JP2023149131A - 磁気ディスク及び磁気ディスク用基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄肉でありながら平坦で、物理的エラーが生じ難い磁気ディスクを提供すること。【解決手段】中心部に孔を有する磁気ディスクであって、厚さ寸法が0.60mm以下であり、ディスクの半径をR(mm)、ディスクの中心から測定した半径方向距離をr(mm)とし、r/Rが0.70以上0.99以下である磁気ディスクの外周側領域にて、異なる半径方向距離r1(mm)及びr2(mm)の円周上で測定したときのTIRを、TIR1(μm)及びTIR2(μm)とするとき、磁気ディスクの半径方向距離r1と半径方向距離r2との差(r1-r2)に対する、TIR1とTIR2との差(TIR1-TIR2)の比の絶対値|(TIR1-TIR2)/(r1-r2)|で表されるTIRの径方向変化量ΔTIRは、0.50μm/mm以下である、磁気ディスク。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気ディスク及び磁気ディスク用基板に関する。より詳しくは薄肉でありながらTIRの径方向変化量が小さく、平坦で、物理的エラーの発生が低減された磁気ディスク、特にデータセンターやコンピュータなどに搭載されるハードディスク等の磁気ディスク、及び例えばアルミニウム合金基板及びガラス基板などの磁気ディスク用基板に関する。
データセンターやコンピュータなどの記憶装置として、ハードディスクドライブ(以下で「HDD」と記載する場合がある。)装置が多用されている。近年、スマートフォンやスマート家電の普及やIoTの推進、クラウドコンピューティングの急速な普及により、記録されるデータ量が急激に増加している。これらの膨大なデータはインターネットを通じデータセンター内のHDD装置に読み書きされる。膨大なデータ量を記録するため、HDD装置の大容量化が求められている。
HDD装置には、データを記録するための磁気ディスクが用いられる。HDD装置の大容量化を実現するための技術として、一つには磁気ディスクの厚さを薄くして、HDD装置に搭載される枚数を増やす検討がなされている。その他の技術動向として、磁気ディスクの直径を大きくし、ディスク表面のデータ領域をできるだけ外径端部に近づけることにより、磁気ディスク1枚当たりのデータ領域を拡大する技術も検討されている。
磁気ディスクの板厚を単純に薄くすると、剛性が低下するため、磁気ディスクが回転した際の振動(フラッタリング)や衝撃が加わった際に、磁気ディスクの変形が大きくなる傾向がある。このため、例えば、アルミニウム合金基板やガラス基板を用いた薄肉の磁気ディスクを多数枚搭載したHDD装置では、磁気ディスク間ないしは磁気ディスクと磁気ヘッド等部材との間隔が狭くなり、磁気ディスク同士や磁気ディスクと磁気ヘッドの接触が起こり易くなる。その結果、読み書き時にエラーが発生しがちとなる。こうしたHDD装置における物理的エラー低減のため、磁気ディスクの平坦化に関する検討がいくつかなされている。
例えば特許文献1には、HDDヘッドクラッシュを抑制するために、磁気ディスク用基板の外周端部での高さのズレ量やTIRを規定する技術が開示されている。ここで、TIRとは、表面の平坦さを示す指標である。外周端部でのTIRとは、基板の外周端部の主表面に最適にフィットした平面を最小二乗法で求め、基板の外周端部の高さを周方向に測定したときの、高さが前記平面よりも上方にある最高点(P)と下方にある最低点(V)との差(PV値)を指す。特許文献2には、特定の組成のガラス基板を、所定の2点の半径におけるTIRが規定値以下となるように精密研磨する技術が開示されている。
特開2013-16214号公報 特開2011-225436号公報
従来は磁気ディスクの平坦性を、基板全面の平坦度、うねり、任意の位置の円周上のTIR値などで規定していた。例えば特許文献1及び2においても、周方向に測定したときのTIRによって平坦度を評価している。しかし、近年の磁気ディスクの薄肉化及び大型化に伴い、これまでにはなかった新たな課題が顕在化している。板厚を単純に薄く、例えば0.60mm以下とした場合、磁気ディスクが回転した際の振動(フラッタリング)や、衝撃が加わった際の磁気ディスクの変形が大きくなることにより、磁気ディスクの物理的エラーの発生頻度が高まる。また、磁気ディスクの評価時に読み書きエラーが許容範囲内か否かを明確に判定できない場合が生じる。特許文献1及び2で検討対象とされた基板は、外径が例えば2.5インチ(約65mm)以下と比較的小さく、厚さも0.635mmを超えるサイズであった。そのため、外周端部のTIR等のみを規定するだけで物理的エラーを回避することが可能であったが、薄肉の大型磁気ディスクでは、それだけではエラー回避策として不十分である。
近年のHDD装置ではまた、HDD動作時の磁気ディスクとヘッド間の距離が短くなってきている。例えば厚さが約0.60mm以下と薄い磁気ディスクの場合、主表面上を浮上・移動しながら読み書きを行うヘッドが主表面の形状の変動により不安定となって、読み書きエラー等の動作エラーをもたらす場合がある。そのため、基板とヘッド間距離が短いHDD用基板においては、外周端部だけでなく主表面の形状まで考慮しなければならない。特に主表面上の半径径方向中心近傍から最外周部にかけての領域が平坦でないと、HDD動作時にエラーが生じ易い。
本発明は、薄肉でありながら平坦で、物理的エラーが生じ難く、ハードディスクの高容量化に対応可能な磁気ディスク及び磁気ディスク用基板を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、磁気ディスクの特定領域内の複数の同心円上でそれぞれのTIRを測定し、それらTIRの径方向変化量を所定の値以下とすることによって、厚さ寸法が0.60mm以下と薄い磁気ディスクであっても、物理的エラーが生じ難く、ハードディスクの高容量化に対応可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1) 中心部に孔を有する磁気ディスクであって、
厚さ寸法が0.60mm以下であり、
前記磁気ディスクの半径をR(mm)とし、
前記磁気ディスクの中心から測定した前記磁気ディスクの半径方向距離をr(mm)とし、
r/Rが0.70以上0.99以下である前記磁気ディスクの外周側領域にて、
前記磁気ディスクの異なる半径方向距離r1(mm)及びr2(mm)の円周上でそれぞれ測定したときのTIRを、TIR1(μm)及びTIR2(μm)とするとき、
前記磁気ディスクの半径方向距離r1と前記磁気ディスクの半径方向距離r2との差(r1-r2)に対する、前記TIR1と前記TIR2との差(TIR1-TIR2)の比の絶対値|(TIR1-TIR2)/(r1-r2)|で表されるTIRの径方向変化量ΔTIRは、0.50μm/mm以下である、磁気ディスク。
(2) 平坦度PVが20.0μm以下である、上記(1)に記載の磁気ディスク。
(3) 外径寸法が95mm以上である、上記(1)又は(2)に記載の磁気ディスク。
(4) 上記(1)~(3)のいずれかに記載の磁気ディスクに用いられる基板。
(5) 上記(1)~(3)のいずれかに記載の磁気ディスクの製造方法であって、
前記磁気ディスクは、アルミニウム合金基板から製造され、
前記磁気ディスクの製造方法は、前記アルミニウム合金基板を研削する研削加工工程を有し、
前記研削加工工程が、加圧圧力が50g/cm以上120g/cm以下、定盤回転数が10rpm以上35rpm以下、クーラント流量が1L/分以上10L/分以下の条件で行われることを特徴とする、磁気ディスクの製造方法。
(6) 上記(1)~(3)のいずれかに記載の磁気ディスクの製造方法であって、
前記磁気ディスクは、ガラス基板から製造され、
前記磁気ディスクの製造方法は、前記ガラス基板を研削する研削加工工程を有し、
前記研削加工工程が、加圧圧力が100g/cm以上200g/cm以下、定盤回転数が10rpm以上35rpm以下、クーラント流量が1L/分以上10L/分以下の条件で行われることを特徴とする、磁気ディスクの製造方法。
(7) 前記研削加工工程において、研削量が2.5μm以上25μm以下であることを特徴とする、上記(5)又は(6)に記載の磁気ディスクの製造方法。
(8) 前記研削加工工程で、少なくとも1回は、前記アルミニウム合金基板又は前記ガラス基板の表裏面を反転させてから研削を続けることを特徴とする、上記(5)~(7)のいずれかに記載の磁気ディスクの製造方法。
(9) 前記研削加工工程後に、前記アルミニウム合金基板又は前記ガラス基板を研磨する研磨工程をさらに行い、前記研磨工程で、少なくとも1回は、前記アルミニウム合金基板又は前記ガラス基板の表裏面を反転させてから研磨を続けることを特徴とする、上記(5)~(8)のいずれかに記載の磁気ディスクの製造方法。
本発明によれば、厚さ寸法が0.60mm以下と薄肉でありながら、ΔTIRが0.50μm/mm以下と極めて平坦で、それ故に隣接するディスクとのクラッシュが起こり難い磁気ディスクを提供することができる。本発明の磁気ディスクはそのため、HDD装置に多数枚搭載することが可能で、ハードディスクの高容量化に対応することができる。本発明の磁気ディスクはまた、大型化が可能で、例えば外径寸法を95mm以上とすることができる。しかもディスク外周端部のギリギリまでデータ領域として使用することが可能で、この点からもハードディスクの高容量化に寄与し得る。さらに、本発明の磁気ディスクは、磁気ディスクとヘッド間の距離が短いHDD装置に搭載されてもヘッドクラッシュを起こし難く、HDD装置の動作時エラーを生じ難い。そのため、本発明の磁気ディスクは、特にデータセンターやコンピュータなどに搭載されるハードディスク用の磁気ディスクとして好適である。
本発明に従う磁気ディスクにおける、TIRの径方向変化量の測定箇所及び外周側領域を説明するための概念図である。 図1中の同心円Ca又はCb上で周方向に測定した高さを、測定箇所における角度に対してプロットしたグラフの一例を示す概念図である。 本発明に従う磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造工程の一例を示すフロー図である。 本発明に従う磁気ディスク用ガラス基板の製造工程の一例を示すフロー図である。
以下、本発明に従う磁気ディスクについて詳記する。
≪磁気ディスク≫
本発明の磁気ディスクは、中心部に孔を有する磁気ディスクであって、厚さ寸法が0.60mm以下であり、磁気ディスクの半径をR(mm)とし、磁気ディスクの中心から測定した前記磁気ディスクの半径方向距離をr(mm)とし、r/Rが0.70以上0.99以下である磁気ディスクの外周側領域にて、磁気ディスクの異なる半径方向距離r1(mm)及びr2(mm)の円周上でそれぞれ測定したときのTIRを、TIR1(μm)及びTIR2(μm)とするとき、磁気ディスクの半径方向距離r1と磁気ディスクの半径方向距離r2との差(r1-r2)に対する、TIR1とTIR2との差(TIR1-TIR2)の比の絶対値|(TIR1-TIR2)/(r1-r2)|で表されるTIRの径方向変化量ΔTIRは、0.50μm/mm以下である、磁気ディスクである。
上記のように本発明の磁気ディスクにおいては、外周側領域におけるTIRの径方向変化量ΔTIRが0.50μm/mm以下であることが、重要な要件である。磁気ディスクの板厚が薄く、特に0.60mm以下の場合、外周側領域におけるΔTIRが0.50μm/mmより大きいと、物理的エラーが生じやすくなる。一方で、ΔTIRが0.50μm/mm以下である本発明の磁気ディスクでは、厚さ寸法が0.60mm以下であるにも拘らず物理的エラーを生じ難い。
ここで、「外周側領域」は、前記のように磁気ディスクの中心から測定した磁気ディスクの半径方向距離rと、磁気ディスクの半径Rとの比率r/Rが、0.70以上0.99以下である領域を指す。図1は、本発明に従う磁気ディスクにおける、TIRの径方向変化量の測定箇所及び外周側領域を説明するための概念図である。図1に示した磁気ディスク1を例にとると、点線で示した2つの同心円であり、前記比率r/Rが0.99である位置にある外周円Caと、前記比率r/Rが0.70である位置にある内周円Cbとで区画された領域が、外周側領域である。
<TIRの径方向変化量>
TIRの径方向変化量は、磁気ディスク表面の、半径方向距離が異なる2つの同心円の円周上でTIRをそれぞれ測定したときに、半径方向距離の相違によってTIRがどのくらい変化するかを示した量である。図1に示した磁気ディスク1を例に説明すると、磁気ディスク1の主表面の外周側領域内で、異なる半径方向距離r1(mm)及びr2(mm)の同心円C1及びC2の円周上でTIRをそれぞれ測定し、TIR1(μm)及びTIR2(μm)を求める。次いで、以下の(式1)のようにして、TIR1とTIR2との差をr1とr2との差で除し、その絶対値をTIRの径方向変化量ΔTIRとする。
ΔTIR=|(TIR1-TIR2)/(r1-r2)| ・・・(式1)
(TIR)
TIRとはTotal Indicated Readingの略語であり、表面の平坦さを示す指標である。図1の磁気ディスクを例にとると、先ず磁気ディスクの主表面に差異的にフィットした平面を、最小二乗法で求める。次に、同心円Ca又はCb部分の磁気ディスク主表面の高さ(凹凸)を周方向に測定する。図2は、周方向に測定した高さを、測定箇所における角度に対してプロットしたグラフの一例を示す概念図である。ここで、高さが前記平面よりも上方にある最高点(P)と下方にある最低点(V)との差(PV値)が、円周上でのTIRである。TIRは両主表面における同一半径の円周上で測定し、高い方の値を当該円周上のTIRとしてもよい。
(ΔTIR)
上記のような円周上でのTIR測定を、半径距離が異なる複数の同心円上で行い、半径距離毎のTIRがどの程度変化しているかを、上記(式1)に従い算出した値が径方向変化量ΔTIRである。そのため、ΔTIRは、磁気ディスクにおける特定の円周(例えば外周)上の高さの変動だけでなく、径方向での高さの変動も含んだ数値である。すなわちΔTIRは、磁気ディスクの周方向と径方向両方における高さの変動(粗さ、うねり、凹凸等)を示す指標となる。ΔTIRが0に近い、すなわちΔTIRの絶対値が小さいほど、磁気ディスクは平坦で、クラッシュ等による物理的エラーを来し難くなるといえる。
本発明の磁気ディスクにおいては、径方向変化量ΔTIRとして、上記のように磁気ディスクの外周側領域、すなわちr/Rが0.70以上0.99以下の領域での値を使用する。本発明者らが見出したところによると、磁気ディスク表面は、この領域で特に非平滑となる傾向がある。磁気ディスクの製造においては、ガラスや金属の基板の研削・研磨が行われるが、研削・研磨工程において外周側領域は特に粗さが変化し易い部分である。そのため、外周側領域における径方向変化量ΔTIRが小さい磁気ディスクであれば、研削・研磨精度等に優れた、より平坦な磁気ディスクであると評価することができる。
本発明の磁気ディスクは、上記ΔTIRが外周側領域にて0.50μm/mm以下と極めて小さいため、厚さ寸法が0.60mm以下という薄肉でありながら、HDD装置内で隣接する磁気ディスクやヘッドとクラッシュを起こし難く、物理的エラーを来し難い効果を奏する。物理的エラーをさらに低減する観点から、本発明の磁気ディスクにおけるΔTIRは、0.40μm/mm以下、さらには0.30μm/mm以下、特に0.20μm/mm以下であることが好ましい。
(磁気ディスクの形状評価方法)
上記したTIR等の磁気ディスクの表面形状は、例えば汎用の光学式検査装置で評価することが可能である。評価方法や検査装置に特に制限はなく、例えばニデック社製のFT-17(商品名)、zygo社製のmesa(商品名)、tropel社製のFM-200などが好適に用いられる。
本発明の磁気ディスクを、物理的エラーをより来し難いものとするために、複数のΔTIRにより評価を行うことが好ましい。例えば外径が95mm(半径Rが47.5mm)の磁気ディスクにおいて、中心からの距離rが40mm(r/R=84%)、45mm(r/R=95%)、46mm(r/R=97%)、及び47mm(r/R=99%)の同心円上でのTIRから、3種の径方向変化量ΔTIRを算出する。それら3つのΔTIRの絶対値全てが0.50μm/mm以下となる磁気ディスクであれば、動作エラーがさらに低減された、より信頼性の高いHDD装置を提供することができる。
<磁気ディスクの平坦度>
本発明の磁気ディスクはまた、平坦度PVの値が、小さいことが好ましい。PVが小さいと、具体的には20.0μm以下の磁気ディスクであれば、HDD装置内に多数枚搭載してもクラッシュするリスクが低く、物理的エラーを来し難い。また、形状評価の観点からも、PVはできるだけ小さいことが好ましい。平坦度PVが大きいと、光学式の検査装置で磁気ディスクの表面形状を測定する場合、検査装置から出射された測定光が磁気ディスク表面で反射し検査装置のセンサーに戻る光学系において、反射した測定光の一部が検査装置のセンサーに戻らず、所望の領域の表面形状を評価できなくなる場合がある。一方、PVが小さい、例えば20.0μm以下の磁気ディスクであれば、光学式の検査装置で表面形状を問題なく評価することが可能となる。
ここで、平坦度PVとは、先ず上記した円周上でのTIRと同様、磁気ディスクの主表面に差異的にフィットした平面を最小二乗法で求め、次に磁気ディスク主表面の高さ(粗さ)を面全体で測定した際の、最高点(P)と最低点(V)との差の値である。平坦度PVによって、磁気ディスクの表面粗さだけでなく、磁気ディスク本体のうねりや凹凸等も含んだ、ディスク全面の平坦さが表される。ΔTIRが0.50μm/mm以下であると共に、平坦度PVが小さい、例えば20.0μm以下の磁気ディスクであれば、HDD装置内に多数枚搭載してもクラッシュするリスクが低く、動作エラーを来し難い。物理的エラー低減の観点からは、本発明の磁気ディスクの平坦度PVは、15.0μm以下、特に10.0μm以下であることが、さらに好ましい。ここで、平坦度は両主表面において測定し、高い方の値を測定した基板の平坦度としてもよい。
<磁気ディスクのサイズ>
上記のように本発明の磁気ディスクは表面が極めて平坦であるため、HDD装置内に多数枚搭載してもクラッシュし難い効果を奏する。本発明の効果は、厚さ寸法が0.60mm以下、特に0.50mm以下、0.48mm以下、さらには0.38mm以下である薄肉の磁気ディスクで顕著となる。こうした薄肉の基板では、それより厚い磁気ディスクと比較して剛性が低いため、平坦さがハードディスクの信頼性に大きく影響するからである。同様の理由から、外径寸法(直径)が例えば65mm以上、特に95mm以上である磁気ディスクで、本発明の効果は顕著となる。
本発明の磁気ディスクは、周方向だけでなく径方向においても平坦なため、ディスクの大型化(半径の拡大)に伴って外周側領域のうねりや凹凸が増してクラッシュを来すリスクも低減されている。そのため本発明の磁気ディスクは、直径95mm以上、さらには96mm以上、特に97mm以上の大型ハードディスクとして好適である。本発明はまた、外径寸法が95mm以上である磁気ディスクをも包含する。磁気ディスクの外周側は、データ領域面積拡大に特に大きく寄与するため、本発明のような大型かつ平坦な磁気ディスクは、大容量化実現のために有用である。本発明の磁気ディスクはまた、外周半径の0.99倍以下の領域でΔTIRが0.50μm/mm以下という平坦さを示すので、ディスク外周端部のギリギリまでデータ領域として使用することができる。この点からも、本発明の磁気ディスクはHDD装置の大容量化実現の上で特に有用である。
本発明の磁気ディスクはまた、どのような記録方式用の磁気ディスクとして用いることもできる。例えばデータセンター用の大容量磁気ディスクとして、垂直磁気記録方式(PMR)や瓦書き方式(SMR)のものが好適に用いられている。さらなる大容量化の実現のため、熱アシスト磁気記録方式(HAMR)やマイクロ波アシスト磁気記録方式(MAMR)といったエネルギーアシスト磁気記録技術も開発されており、表面の記録密度をさらに高めるためのビットパターンメディアを用いた研究も進められている。本発明の磁気ディスクは、こうした用途に好適である。
本発明の磁気ディスクは、上記のように厚さ寸法が0.60mm以下で、かつΔTIRが0.50μm/mm以下であれば、どのような種類のものであっても良く、その材質特に制限はない。磁気ディスクは一般に、金属やガラス、樹脂等の基板に磁性膜を成膜して製造される。本発明の磁気ディスクにおいて、磁性膜の材質や、成膜方法に、特に制限はない。
≪基板≫
本発明はまた、上記した磁気ディスクに用いられる基板(磁気ディスク用基板)をも包含する。基板の材質に特に制限はなく、上記のようなどのような材質のものであっても良い。基板は通常、成膜前に研磨されるが、本発明の基板は、どのような方法・条件で研磨されたものであっても良い。しかしながら本発明の磁気ディスクを、上記のような平坦さのものとする上で、金属基板、特にアルミニウム合金や、ガラスからなる基板(本願明細書では、単に「アルミニウム合金基板」や「ガラス基板」という場合がある。)を使用することが好ましい。アルミニウム合金基板やガラス基板は、欠陥が発生し難く、機械的特性や加工性も良好なので、本発明の磁気ディスク用基板として好適である。特に、上記したHAMR用の磁気ディスク用基板としては、耐熱性に優れるガラス基板が好ましい。MAMR用の磁気ディスク用基板として、ガラス基板、アルミニウム合金基板のいずれも使用可能である。
また、磁気ディスク用基板を平坦化する上で、基板の材質に応じた方法・条件で研磨することが好ましい。以下では、アルミニウム合金基板及びガラス基板について、特に好ましい材質を例示すると共に、これら基板を例に、好ましい研磨方法及び条件について説明する。なお、基板の材質及び製造方法は、以下の記載に限定されるものではない。
<アルミニウム合金基板>
アルミニウム合金基板の材質に特に制限はなく、種々の公知のものを使用することができる。例えば従来から使用されている、マグネシウム(Mg)や銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)等の元素を含有する合金が挙げられるが、これらに限定されない。剛性を向上させる観点から、鉄(Fe)やマンガン(Mn)、ニッケル(Ni)等の元素を含有する合金が好ましい。より好ましくは、A5千番台又はA8千番台の合金、特にA5086を使用する。こうした合金であれば、基板に欠陥が発生し難く、また十分な機械的特性を付与することができる。
上記アルミニウム合金の具体的な組成の例を挙げると、例えばA5086では、Mg:3.5~4.5%、Fe:0.50%以下、Si:0.40%以下、Mn:0.20~0.7%、Cr:0.05~0.25%、Cu:0.10%以下、Ti:0.15%以下、及びZn:0.25%以下を含有し、残部はAl及び不可避的不純物からなる。また、アルミニウム合金の具体的な他の組成の例としては、Mg:1.0~6.5%、Cu:0~0.070%、Zn:0~0.60%、Fe:0~0.50%、Si:0~0.50%、Cr:0~0.20%、Mn:0~0.50%、Zr:0~0.20%、Be:0~0.0020%を含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物からなる場合が挙げられる。また、上記以外の成分を、例えば、各元素について0.1%以下、合計で0.3%以下含有していても良い。なお、上記の組成において、「%」は全て「質量%」を意味する。
本発明の磁気ディスク用基板としては、アルミニウム-鉄系合金の基板を使用することもできる。アルミニウム-鉄系合金は一般に、必須元素であるFeと、選択元素であるMn及びNiのうち1種又は2種を含有する合金である。さらに好ましくは、これらFe、Mn、及びNiの含有量の合計が1.00~7.00質量%であり、特に好ましくは、Si:14.0質量%以下、Zn:0.7質量%以下、Cu:1.0質量%以下、Mg:3.5質量%以下、Cr:0.30質量%以下、Zr:0.20質量%以下の1種又は2種以上を更に含有し、残部がアルミニウムと不可避不純物やその他の微量元素からなるアルミニウム合金である。これらアルミニウム-鉄系合金は剛性が高く、変形し難いため、本発明の磁気ディスク用基板として特に有用である。
<ガラス基板>
ガラス基板は、欠陥が発生し難く、機械的特性や加工性も良好という特徴と共に、塑性変形し難い利点も有するので、磁気ディスク用基板として好適である。ガラス基板の材料にも特に制限はなく、アモルファスガラスや結晶化ガラスなどのガラスセラミックスを用いることができる。なお、基板の平坦度や成形性、加工性の観点から、アモルファスガラスを用いることが好ましい。材質にも特に制限はなく、例としてアルミノシリケートガラス(アルミノケイ酸ガラス)、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ボロシリケートガラス(ホウケイ酸ガラス)、さらには風冷又は液冷等の処理を施した物理強化ガラスや、化学強化ガラス等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、アルミノシリケートガラス、特にアモルファスのアルミノシリケートガラスが好ましい。こうした材質の基板は、平坦度や強度の点で優れ、長期信頼性も良好となり得る。
アルミノシリケートガラスとしては、例えばSiO:55~75%を主成分とし、Al:0.7~25%、LiO:0.01~12%、NaO:0.7~12%、KO:0~8%、MgO:0~7%、CaO:0~10%、ZrO:0~10%、TiO:0~1%を含有するものが知られており、本発明においてもこうした材質の基板を用いることができる。なお、上記及び以下の組成において、「%」は全て「質量%」を意味する。
上記ガラス組成において、SiOは、ガラスの骨格を形成する主要成分である。この含有率が55%以上であれば、高い化学的耐久性が発現し易く、75%以下であれば溶融温度が高過ぎず、成形も容易となる傾向がある。
Alは、イオン交換性と化学的耐久性を向上させる作用を有する成分であり、かかる作用を発揮するため、Al含有率を0.7%以上とすることが好ましい。また、Al含有率は、25%以下であれば溶解性及び耐失透性が低下するおそれがない。このため、Alの含有率は0.7~25%とすることが好ましい。
LiOは、Naイオンと交換してガラスを化学強化すると共に、溶融性、成形性を向上させ、かつヤング率を向上させる作用を有する成分である。かかる作用を発揮するため、LiOの含有率は、0.01%以上とすることが好ましい。また、LiOの含有率は、12%以下、特に6%以下であれば、耐失透性と化学的耐久性が低下するおそれがない。このため、LiOの含有率は0.01~6%とすることが好ましい。
NaOは、Kイオンと交換してガラスを化学強化すると共に、高温粘性を低下させ、溶融性、成形性を向上させ、耐失透性を改善させる作用を有する成分である。かかる作用を発揮するため、NaOの含有率は、0.7%以上とすることが好ましい。また、NaOの含有率が12%以下であれば、化学的耐久性とヌープ硬さが低下するおそれがないため好ましい。
さらに、KO、MgO、CaO、ZrO、TiOは、必要に応じて含有させることができる任意添加成分である。KOは、高温粘性を低下させ、溶融性の改善、成形性向上、耐失透性の改善効果を有する作用を有する成分であるが、KOの含有率が8%超えだと、低温粘性が低下するとともに熱膨張率が増加し、耐衝撃性が低下する傾向がある。このため、KOの含有率は0~8%とすることが好ましい。
MgO及びCaOは高温粘性を低下させ、溶解及び清澄性、成形性を向上すると共に、ヤング率を向上させる作用を有する成分であり、特にCaOは、ソーダライムガラスに必須成分として含有される。ここで、MgO及びCaOは、高温粘性を低下させ、溶解及び清澄性、成形性を向上させると共に、ヤング率の向上効果も期待できるが、MgOの含有率が7%超え及び/又はCaOの含有率が10%超えだと、イオン交換性能及び耐失透性を低下させる傾向がある。このため、MgOの含有率は7%以下、CaOの含有率は10%以下とすることが好ましい。
ZrOは、ヌープ硬さを増加させ、化学的耐久性や耐熱性を向上させる作用を有する成分であるが、ZrOの含有率が10%超えだと、溶融性及び耐失透性が低下する傾向がある。このため、ZrOの含有率は0~10%とすることが好ましい。
TiOは、高温粘性を低下させ、溶融性を改善し、構造安定化、耐久性を向上させる作用を有する成分であるが、TiOの含有率が1%超えだと、イオン交換性能及び耐失透性を低下させる傾向がある。このため、TiOの含有率は0~1%とすることが好ましい。
上記組成のガラスはまた、粘性を下げ、溶解性と清澄性を高める作用を有するB、高温粘性を低下させ、溶解及び清澄性、成形性を向上すると共に、ヤング率を向上させる作用を有するSrOやBaO、イオン交換性能を向上させると共に低温粘性を低下させることなく高温粘性を低下させ得るZnO、清澄性とイオン交換性能を向上させる作用を有するSnO、着色剤として機能し得るFeなどの他、さらには清澄剤としてAs、Sbを含んでも良い。また、微量元素として、ランタン(La)、リン(P)、セリウム(Ce)、アンチモン(Sb)、ハフニウム(Hf)、ルビジジウム(Rb)、イットリウム(Y)などの酸化物を含んでも良い。なお、Bは、アルミノボロシリケートガラスやボロシリケートガラスに、必須成分として含有される。上記ガラスはまた、SiO:45~60%、Al:7~20%、B:1~8%、P:0.5~7%、CaO:0~3%、TiO:1~15%、BaO:0~4%、その他MgO等の酸化物:5~35%を含有する組成であっても良い。
上記のような組成のアルミニウム合金基板又はガラス基板であれば、高い平坦さが発現すると共に熱変形し難いため、厚さ寸法が0.60mm以下でありながらΔTIRが0.50μm/mm以下である磁気ディスクを製造することができる。以下ではまず、そうした平坦なアルミニウム合金基板を、上記のようなアルミニウム合金から製造する方法について、代表的な態様を例に説明する。
<アルミニウム合金基板の製造方法>
図3は、本発明に従う磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造工程の一例を示すフロー図である。図3において、アルミニウム合金成分の調製工程(ステップS101)、アルミニウム合金の鋳造工程(ステップS102)、均質化処理工程(ステップS103)、熱間圧延工程(ステップS104)、冷間圧延(ステップS105)は、溶解鋳造でアルミニウム合金素材を製造し、これをアルミニウム合金板にする工程である。次いで、プレス機等での打ち抜き加工工程(ステップS106)によって、アルミニウム合金からなる所望の内径寸法及び外径寸法のディスク(以下で、「ブランク」という場合がある。)が製造され(ブランキング)、好ましくは加圧平坦化処理工程(ステップS107)に付される。そして、製造したブランクに対して切削加工・研削加工工程(ステップS108~S109)等の前処理を行い、寸法等が調整された円環状のアルミニウム合金板(以下で、「サブストレート」又は単に「サブ」ともいう。)を作製する。このサブストレートにジンケート処理工程(ステップS110)及び無電解Ni-Pめっき処理工程(ステップS111)を行い、磁気ディスク用アルミニウム合金基板が製造される。製造された磁気ディスク用アルミニウム合金基板は、粗研磨工程(ステップS112)及び精密研磨工程(ステップS113)に付され、磁性体の付着工程(ステップS114)によって磁気ディスクとなる。以下、この図3のフローに従いつつ、各工程の内容を詳細に説明する。
まず、上述の成分組成を有するアルミニウム合金素材の溶湯を、常法に従って加熱・溶融することによって調製する(ステップS101)。次に、調製されたアルミニウム合金素材の溶湯を、半連続鋳造(DC鋳造)法や連続鋳造(CC鋳造)法等により鋳造して、アルミニウム合金素材を鋳造する(ステップS102)。特に、竪型半連続鋳造が好ましい。DC鋳造法及びCC鋳造法における、アルミニウム合金素材の製造条件等は、以下のとおりとなる。
DC鋳造法においては、スパウトを通して注がれた溶湯が、ボトムブロックと、水冷されたモールドの壁、ならびに、インゴット(鋳塊)の外周部に直接吐出される冷却水で熱を奪われ、凝固し、アルミニウム合金の鋳塊として下方に引き出される。
一方、CC鋳造法では、一対のロール(又はベルトキャスタ、ブロックキャスタ)の間に鋳造ノズルを通して溶湯を供給し、ロールからの抜熱でアルミニウム合金の薄板を直接鋳造する。
DC鋳造法とCC鋳造法との大きな相違点は、鋳造時の冷却速度にある。冷却速度が大きいCC鋳造法では、第二相粒子のサイズがDC鋳造に比べ小さいのが特徴である。
DC鋳造されたアルミニウム合金鋳塊については、必要に応じて均質化処理を実施する(ステップS103)。均質化処理を行う場合は、280~620℃で0.5~30時間の加熱処理を行うことが好ましく、300~620℃で1~24時間の加熱処理を行うことがより好ましい。均質化処理時の加熱温度が280℃未満又は加熱時間が0.5時間未満の場合は、均質化処理が不十分で、アルミニウム合金板毎の損失係数のバラツキが大きくなる虞がある。均質化処理時の加熱温度が620℃を超えると、アルミニウム合金鋳塊に溶融が発生する虞がある。均質化処理時の加熱時間が30時間を超えてもその効果は飽和し、それ以上の顕著な改善効果が得られない。
次に、必要に応じて均質化処理を施した、又は均質化処理を施していないアルミニウム合金鋳塊(DC鋳造)を熱間圧延し、板材とする(ステップS104)。熱間圧延するに当たっては、特にその条件は限定されるものではないが、熱間圧延開始温度を好ましくは250~600℃とし、熱間圧延終了温度を好ましくは230~450℃とする。
次いで、熱間圧延した圧延板、又はCC鋳造法で鋳造した鋳造板を冷間圧延して、例えば0.30~0.60mm程度のアルミニウム合金板とする(ステップS105)。冷間圧延の条件は特に限定されるものではなく、必要な製品板強度や板厚に応じて定めれば良く、圧延率を10~95%とするのが好ましい。
なお、冷間圧延の前、あるいは冷間圧延の途中において、冷間圧延加工性を確保するために焼鈍処理を施すことが好ましい。焼鈍処理時の温度は、250~500℃、特に300~450℃とするのが好ましい。こうした条件で焼鈍処理を施すことにより、長期使用時にも変形を来し難くなり、良好な平坦度が保持され得る。より具体的な焼鈍条件として、例えばバッチ式の加熱ならば300~450℃で0.1~10時間保持、連続式の加熱ならば400~500℃で0~60秒間保持の条件で行うことができる。ここで、保持時間が0秒とは、所望の保持温度に到達後直ちに冷却することを意味する。
そして、冷間圧延により得られたアルミニウム合金板をプレス機等で円環状に打ち抜き、円環状アルミニウム合金板(ブランク)とする(ステップS106)。円環状アルミニウム合金板は、ブランキング・加圧平坦化処理(ステップS107)によってディスクブランクとすることが好ましい。ブランキング・加圧平坦化処理(「加圧焼鈍」ともいう。)は、アルミニウム合金の再結晶温度以上の温度で、30~60kg/cm程度の圧を加えて行うことが好ましい。例えば、ブランク同士を積層し、大気中で250~500℃、特に300~400℃の温度で0.5~10時間、特に1~5時間程度保持して加圧することにより、平坦化したブランクが作製される。
ブランクには次に、切削加工を行い、所望の内径寸法、外径寸法、及び面取り部を有するディスク(以下で、「Tサブ」ということがある。)を作製する(ステップS108)。ここで、ブランクの両表面を切削加工し、厚さが調整されたTサブとすることもできる。さらに、切削加工により材料内部に発生した加工歪を取り除く目的で、Tサブに、例えば150~350℃×0.1~10.0時間等の条件で加熱処理を施してもよい。
得られたTサブを、両側主表面を研削加工機等で研削する研削加工(グラインド加工)工程に付し、所望の厚さのディスク(以下で、「Gサブ」ということがある。)を作製する(ステップS109)。本工程後にも、切削加工により材料内部に発生した加工歪を取り除く目的で、Gサブに、例えば150~350℃×0.1~10.0時間等の条件で加熱処理を施してもよい。ここで、本発明の課題である、ディスク径方向のΔTIRが大きくなるという問題は、主に研削加工工程に起因する。そのため、研削加工については、後に研磨加工と共に詳記する。
次に、Gサブの表面、側面、面取り面を含む全ての面に所望の厚さのめっきを成膜したディスク(以下で、「Mサブ」ということがある。)を作製する。それに先立ち、めっき密着性向上を目的に、Gサブに前処理を行う。
Gサブの前処理方法に特に制限はない。例えば、Gサブ表面を脱脂、エッチングして、ジンケート処理(Zn置換処理)を施す(ステップS110)。脱脂は、例えば市販のAD-68F(上村工業株式会社製)脱脂液などを用い、濃度200~800mL/L、温度40~70℃、処理時間3~10minの条件で行うことができる。エッチングは、例えば、市販のAD-107F(上村工業株式会社製)エッチング液などを用い、濃度20~100mL/L、温度50~75℃、処理時間0.5~5minの条件で酸エッチングすることにより行っても良い。ジンケート処理では、サブストレート表面にジンケート皮膜が形成される。ジンケート処理は、市販のジンケート処理液を用いることができ、濃度100~500mL/L、温度10~35℃、処理時間0.1~5分間の条件で行うことが好ましい。ジンケート処理は、少なくとも1回なされ、2回以上行っても良い。ジンケート処理を複数回行うことで、微細なZnを析出させて均一なジンケート皮膜を形成することができる。ジンケート処理を2回以上行う場合、その合間にZn剥離処理を行っても良い。Zn剥離処理は、HNO溶液を用い、濃度:10~60%、温度15~40℃、処理時間10~120秒の条件で行うことが好ましい(そのため、「硝酸剥離処理」とも呼ばれる。)。また、2回目以降のジンケート処理は、最初のジンケート処理と同様の条件で実施することが好ましい。
さらに、ジンケート処理したサブストレート表面に、磁性体付着の下地処理としてめっき処理を施し、Mサブを作製する(ステップS111)。めっき処理としては、無電解Ni-Pめっき処理が好ましい。無電解Ni-Pめっき処理工程は、市販のめっき液、例えば上村工業株式会社製のニムデン(登録商標)HDXを用い、Ni濃度:3~10g/L、温度:80~95℃、処理時間:30~180分間の条件で行うことが好ましい。めっきの際の内部応力を取り除く目的で、Mサブに、例えば280~295℃×15~60分間等の条件で加熱処理を施してもよい。300℃を超えると結晶化が進行し磁性が付与されてしまうため,加熱温度は300℃未満としなければならない。
こうして得られたMサブの両側主表面を、後記するような研磨処理に付し(ステップS112~S113)、磁気ディスク用基板とする。この基板に磁性体を付着させ(ステップS114)、所望により積層することにより、ハードディスク等の磁気ディスクを製造することができる。研磨処理の方法及び条件については、研削加工(グラインド加工)と共に、後に詳記する。
<ガラス基板の製造方法>
図4は、本発明に従う磁気ディスク用ガラス基板の製造工程の一例を示すフロー図である。はじめに、所定の厚さのガラス板を準備する(ステップS201~S202)。次に、準備したガラス板をコアリングして、内外周の端面研磨加工を行うことで、円環状のガラス基板を成形・加工する(ステップS203~S205)。次いで、成形したガラス基板を、望ましくはダイヤモンドペレット等を用いた研削加工(ラッピング)工程(ステップS206)に付す。続いて、あるいはガラス基板の状態によってはステップS205の後に、ガラス基板を上下から一括して研磨パッドで挟圧し、複数のガラス基板を例えば酸化セリウム砥粒により、同時に研磨する粗研磨工程を行い(ステップS207)、所望により化学強化処理(ステップS208)を施した後、例えばコロイダルシリカ砥粒による精密研磨工程を行う(ステップS209)。次いで、磁性体の付着工程(ステップS210)によって磁気ディスクを製造する。以下、この図4のフローに従いつつ、各工程の内容を詳細に説明する。
まず、上述の成分組成を有するガラス素材の融液を、常法に従って加熱・溶融することによって調製する(ステップS201)。次に、調製されたガラス素材の融液を、フロート法、ダウンドロー法、ダイレクトプレス法、リドロー法、フェージョン法などの公知の製造方法により、ガラス板へと成形する(ステップS202)。ここで、フロート法等を用いて製造した母材ガラス板を加熱して軟化し、所望の厚さに延伸するリドロー法を用いれば、厚さのばらつきが小さいガラス板を比較的容易に製造できるので好ましい。しかしながらガラス板の成形方法はリドロー法に限定されず、例えば溶融塊を両面からプレス成形して所望の厚さを有するガラス板を作製する、ダイレクトプレス法により成形してもよい。
次に、ステップS202で得られたガラス板から、コアリング工程によって円環状のガラス基板を成形する(ステップS203)。切削・端面研削加工(ステップS204~S205)によって、内外周の端面を研磨しても良い。成形したガラス基板(ガラスブランク)は、2面の主表面を有し、中央部に円孔が形成された円環状の板となる。
得られたガラスブランクに、焼鈍処理(アニール処理)を施しても良い。焼鈍処理は例えば、ガラスブランクを歪点付近の温度に15分間程度以上保持し、3~12時間程度かけて徐冷することによって行うことができる。焼鈍処理時の温度は、ガラス材質にもよるが、250~750℃、特に500~700℃とするのが好ましい。こうした条件で焼鈍処理を施すことにより、長期使用時にも変形を来し難くなり、良好な平坦度が保持され得る。より具体的な焼鈍条件として、例えばバッチ式の加熱ならば500~650℃で0.1~10時間保持、連続式の加熱ならば500~750℃で0~60秒間保持の条件で行うことができる。ここで、保持時間が0秒とは、所望の保持温度に到達後直ちに冷却することを意味する。本発明のガラス基板はまた、例えば上記したような組成の市販のガラス板を、円環状に成形し、焼鈍処理して製造することも可能である。
次に、ステップS206において、形成した円環状の板を、両側主表面を研削加工機等で研削する研削加工(ラッピング)工程に付し、板厚を調整する。なお、ステップS205までの工程で得られたガラス基板の板厚次第では、ラッピング工程S206を省略し、下記の研磨工程に移ってもよい。例えば、リドロー法により製造されたガラス板は、一般に厚さばらつきが小さいので、ラッピング工程S206を省略できる場合もあるが、基板を平坦化するためにはラッピングを行うことが望ましい。また、ガラス板をフロート法やダイレクトプレス法で製造した場合は、ラッピング工程S206を行う必要性が高い。ラッピング工程は、例えばダイヤモンドペレットを用いたバッチ式の両面研磨機を用いて実施することができる。ここで、本発明の課題である、ディスク径方向のΔTIRが大きくなるという問題は、ガラス基板では主にラッピング工程に起因する。そのため、ラッピング工程については、後に別途詳記する。
上記のようにして得られたガラス基板(ブランク基板)の表面に、後記のような研磨処理を行い(ステップS207~S209)、磁気ディスク用基板とする。この基板に磁性体を付着させ(ステップS210)、所望により積層することにより、ハードディスク等の磁気ディスクを製造することができる。
上記研磨処理工程は、後記するように粗研磨工程(ステップS207)と精密研磨工程(ステップS209)とに大別される。粗研磨工程と精密研磨工程との間に、ガラス基板に化学強化処理(ステップS208)を施すことが好ましい。化学強化によって、ガラス基板表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換される結果、表層部分に圧縮応力層が形成され、ガラス基板が強化され得る。化学強化処理法に特に制限はなく、例えばガラス基板を、300~400℃に加熱した化学強化液に3~4時間程度浸漬することによって行うことができる。ここで、化学強化液にも特に制限はなく、例えば硝酸カリウム溶液や硫酸ナトリウム溶液、それらの混合溶液、特に、硝酸カリウム60重量%と硫酸ナトリウム40重量%の混合液等を用いることができる。なお、ガラス基板は化学強化処理前に洗浄し、200~300℃程度に予熱しておくことが好ましい。また、化学強化処理されたガラス基板は洗浄処理に付されることが好ましい。例えば、硫酸等の酸で洗浄した後に、さらに純水等で洗浄すればよい。
<研削・研磨処理>
サブストレートを作製する過程で、上記のようにアルミニウム合金基板の製造においては通常研削加工(グラインド加工)が、ガラス基板の製造においては望ましくはラッピングが行われる。また、磁気ディスク用基板は一般に、基板の材質がどのようなものであっても、磁性体を付着させるに先立ち、平坦化のための研磨処理に付される。この研磨工程では、研磨砥粒の径を調整した複数段階での研磨を行うことが好ましい。これら研削加工(グラインド加工、ラッピング)、粗研磨、及び精密研磨は一般に、両面同時研磨機を用いて行うことが好ましい。本発明の磁気ディスク用基板も、市販のバッチ式の両面同時研磨機を用いて研削又は研磨することができる。なお、研削・研磨処理、特に粗研磨に先立ち、ダミー研磨を行って研磨パッドの表面を管理しておくことが好ましい。
(両面研磨機)
両面同時研磨機は通常、鋳鉄製の上定盤及び下定盤、複数の基板を上定盤と下定盤との間に保持するキャリア、並びに、上定盤及び下定盤の基板接触面に取り付けられた研磨パッド又は砥石とを備える。研磨処理においては通常、キャリアによって上定盤と下定盤との間に複数の基板を保持し、上定盤と下定盤とによって各基板を所定の加工圧力で挟圧する。すると、各基板は上下から一括して研磨パッド又は砥石によって挟圧される。次に、研磨パッドと各基板との間に研磨液又はクーラントを所定の供給量で供給しながら、上定盤と下定盤とを互いに異なる向きに回転させる。この際、キャリアもサンギアによって自転するため、基板は遊星運動を行う。これによって、基板は研磨パッド又は砥石の表面を摺動し、両表面が同時に研磨される。
(キャリア)
両面研磨において使用するキャリアの材質や寸法に特に制限はなく、汎用のキャリアを使用することができる。キャリアの強度の観点からは、アラミド樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂製のキャリアが好適に用いられる。強度向上を目的に、炭素繊維やガラス繊維等の繊維状補強材を含有させてもよい。キャリアの厚さは被加工物であるディスクの厚みにより任意に選択可能である。ただしキャリアは薄すぎると強度が不足し、研削加工中に破損する虞がある。そのため、キャリア厚さは0.3mm程度以上が好ましく、0.4mm程度以上がより好ましい。
[アルミニウム合金基板の研削加工(グラインド加工)]
アルミニウム合金基板の研削加工工程(グラインド加工工程、ステップS109)では、上記のような両面研磨機を用い、キャリアに保持された基板に、上下面から砥石と呼ばれる固定砥粒を回転させながら押し当てることにより、基板両側の主表面を研削加工する。
[ガラス基板の研削加工(ラッピング)]
ガラス基板の研削加工工程(ラッピング工程、ステップS206)においても、上記のような両面研磨機を用い、キャリアに保持された基板に、上下面から砥石を回転させながら押し当てることにより、基板両側の主表面を研削することができる。
[研削加工条件]
(研磨定盤の回転数等)
グラインド加工においても、ラッピング加工においても、研削加工中は基板、キャリア、砥石にクーラントをかけ流す。研磨定盤(砥石)の回転数は、10~35rpm、特に15~30rpmの範囲内に設定することが、平滑な基板を得る上で好ましい。回転数が速過ぎると、砥石が安定せず、形状が悪化する場合がある。また、回転数が速過ぎると、基板の内周部と外周部或いは、定盤の内周部と外周部にクーラント量の差異が生じる。詳細には、クーラントは定盤の回転による遠心力で排出されるが、外周側で研削に寄与すべきクーラントが排出され、所望のTIRを実現することが出来ず、結果的にΔTIRが悪化する。また、回転数が遅い場合は生産性が悪化するため好ましくない。
サンギアの回転数には特に制限はなく、例えば5~15rpmとすることができる。なお、研削加工は1~10分間程度、特に2~5分間程度行い、研削量は2.5~25μm程度、例えば5~20μm程度とすることが好ましい。また、研削加工の前に面削加工を行ってもよい。
(砥石)
砥石は砥粒、及び砥粒を結合するバインダーから成る。アルミニウム合金基板のグラインド加工において、砥粒はSi-C粒子、バインダーはPVAなどの多孔質スポンジ状の弾性体が好適に用いられる。ガラス基板のラッピングに用いる砥石としては、例えばダイヤモンド粒子等の砥粒をバインダーで結合した砥石等が挙げられる。グラインド加工においても、ラッピングにおいても、研削加工で発生する研削屑の排出性向上を目的に、砥石に切り溝を掘っても良い。
前記のように、基板の非平坦化、すなわち形状の悪化は、主に研削加工工程(グラインド加工、ラッピング工程)に起因する。本発明者らが見出したところによると、基板の形状が悪化する主原因は、不均一な砥石の目詰まりである。これは、研削時に発生した研削屑が砥石表面に堆積することにより発生する。不均一な砥石の目詰まりが発生した場合、基板表面に対する研削が均一とならず、表面形状の悪化を招く。研削時、研削液は主表面上の外周部から排出されるが、外周側領域は相対的に面積が大きいことから、研削の不均一性の影響を大きく受けることになる。したがって、砥石の目詰まりを抑制すれば、形状の悪化を抑制でき、磁気ディスクを搭載したHDD装置の動作エラーを低減することも可能となる。砥石の目詰まり防止方法としては、上記の切り溝の付加や、砥石が目詰まりする前に砥石表面を定期的に削り取る(ドレッシング)方法等が有効である。
(砥石の加圧)
上記以外の砥石目詰まりの抑制方法としては、例えば、研削屑の排出性を高めるために、両面研磨装置(グラインディング装置、ラッピング装置)定盤の基板に対する圧力を適正に印加することが有効である。圧力が高過ぎると、加工歪が加わって基板の形状が悪化するだけでなく、砥石表面が基板表面に押し付けられる結果、クーラントの流路が制限される。特に、クーラント流量が少ない場合に研削屑の排出が滞り、砥石表面と基板表面に研削屑が残留したまま研削を行うことになる。
加圧圧力(印加圧力)は、アルミニウム合金基板の場合、具体的には50~120g/cmが好ましい。印可圧力が120g/cmを超えると、砥石の一部が弾性変形して基板と砥石の並行性が崩れる場合がある。そうすると、アルミニウム合金基板の内周部と外周部で印可される圧力に差異が生じ、TIRが悪化した結果、ΔTIRが大きくなり得る。また、印可圧力が120g/cmを超えて上記のようにクーラントの流路が制限されると、アルミニウム合金基板と砥石の摩擦係数が大きくなり、基板の回転に引っかかりが生じ均一な研削がし難くなり、平坦度が20μmより大きくなる場合がある。さらに印可圧力は70~110g/cm、特に75~100g/cmとすることが好ましい。
また、ガラス基板の場合、加圧圧力(印可圧力)は具体的には100~200g/cmが好ましい。ガラス基板は一般にアルミニウム合金基盤よりもビッカース硬さが高いため、印可圧力を高く設定することが出来る。しかし、印可圧力が200g/cmを超えると、上記のアルミニウム合金基板におけるような、ΔTIRが大きくなる弊害が生じる場合がある。さらに、ガラス基板において印可圧力が200g/cmを超えると、砥粒が基板に食い込み、切込みが生じてスクラッチが発生し、S206のラッピング工程や後工程の研磨工程の取り代を大きくする必要が生じる場合がある。そのため、上限は200g/cmとすることが好ましい。ガラス基板における印可圧力は、130~200g/cmがより好ましい。
(クーラント)
砥石目詰まりの抑制の上で、適正な流量でクーラントを供給することも有効である。クーラントは、研削加工発熱の冷却の他、潤滑性向上、研削屑の排出性向上などを目的に用いられる。クーラント流量は1~10L/分程度が好ましく、さらには3~5L/分程度が好ましい。クーラント流量が不足すると、研削屑が十分に排出されず、基板の形状が悪化する場合がある。より詳細には、クーラント流量が少ないと、基板上においてフレッシュなクーラントが接触して良く削れる部分と、劣化したクーラントが接触し切削量が減少する部分が生じる場合がある。特に、クーラントが排出される外周部ではクーラント不足になり、研削量が不均一になるためTIRが悪化し、ΔTIRが大きくなり勝ちである。また、基板全体を均一に切削する能力が損なわれているため、平坦度が悪化する場合がある。
また、クーラントは定盤の回転による遠心力で定盤の外部に排出されるが、クーラント流量が多い場合、研削に寄与しないクーラント量が増加し生産性の低下を招く場合があるため、上限は10L/分とすることが好ましい。
クーラントの材質に特に制限はなく、大友化学産業株式会社製メカノアクアカットECO#408(商品名)等の汎用品を使用することができる。ここで、クーラントに界面活性剤や潤滑剤等を添加することにより、より平坦性に優れる基板を作製することが可能となる。
前述した定盤の回転数とクーラント流量は、ある一定まで向上させることで単位時間当たりの切削量(これを切削能力と呼ぶ)が向上し得るが、それ以上としても、定盤の回転数においては切削能力が下がり、クーラント流量においては切削能力が頭打ちとなる場合がある。そして、これら2つのパラメータは加圧圧力を中心に所望の値が決定される。本発明の製造方法において、アルミニウム合金基板については、加圧圧力が100g/cm以上200g/cm以下であり、定盤回転数が10rpm以上35rpm以下であり、クーラント流量が1L/分以上10L/分、ガラス基板については、加圧圧力が50g/cm以上120g/cm以下であり、定盤回転数が10rpm以上35rpm以下であり、クーラント流量が1L/分以上10L/分であることが、所望のΔTIRを実現するのに適していることが見出された。
すなわち本発明は、上記磁気ディスクの製造方法であって、磁気ディスクは、アルミニウム合金基板から製造され、当該磁気ディスクの製造方法は、アルミニウム合金基板を研削する研削加工工程を有し、当該研削加工工程が、加圧圧力が50g/cm以上120g/cm以下、定盤回転数が10rpm以上35rpm以下、クーラント流量が1L/分以上10L/分以下の条件で行われることを特徴とする、磁気ディスクの製造方法を包含する。
本発明はまた、上記磁気ディスクの製造方法であって、磁気ディスクは、ガラス基板から製造され、当該磁気ディスクの製造方法は、ガラス基板を研削する研削加工工程を有し、当該研削加工工程が、加圧圧力が100g/cm以上200g/cm以下、定盤回転数が10rpm以上35rpm以下、クーラント流量が1L/分以上10L/分以下の条件で行われることを特徴とする、磁気ディスクの製造方法を包含する。
[粗研磨]
粗研磨の方法に特に制限はなく、基板の材質に応じた任意の条件で行うことができる。例えば、アルミニウム合金基板の粗研磨は、粒径が0.1~1.0μmのアルミナを含む研磨液と、硬質又は軟質のポリウレタン等からなる研磨パッドとを用いて行うことができる。また、ガラス基板の粗研磨は、粒径が0.1~1.0μmの酸化セリウムを含む研磨液と、硬質のポリウレタン等からなる研磨パッドとを用いて行うことができる。アルミナや酸化セリウムの代わりに、所望の粒径のシリカ、酸化ジルコニウム、SiC、ダイヤモンド等の砥粒を使用しても良い。なお、硬質とは日本ゴム協会標準規格(準拠規格:SRIS0101)に定める測定方法で測定した硬度(アスカーC)が85以上のもの、軟質とは硬度が60~80のものをいう。
具体的な粗研磨条件は、用いた基板の材質や粗研磨に付すまでの工程(例えばアルミニウム合金基板の製造におけるステップS101~S111、ガラス基板の製造におけるステップS201~S206)によっても影響され、一義的に決定することが難しい。また、特定の条件に限定されるものでもない。例えばアルミニウム合金基板の粗研磨条件は、研磨時間2~5分、研磨定盤の回転数を10~35rpm、サンギアの回転数を5~15rpm、研磨液供給速度を1~5L/分、加工圧力を20~250g/cm、好ましくは30~120g/cm、研磨量(取り代)を2.5~3.5μmとすることができる。
ガラス基板の粗研磨の条件も、特に限定されない。例えば硬度86~88の硬質の研磨パッドを用い、研磨定盤の回転数を10~35rpm、特に15~30rpm;サンギアの回転数を5~15rpm;研磨液供給速度を1~5L/分、特に2~4L/分;加工圧力を20~250g/cm、特に30~120g/cm;研磨時間2~10分とすることが好ましい。研磨量(取り代)にも特に制限はないが、2~50μm程度、例えば5~25μm程度とすることが好ましい。
(ダミー研磨)
研磨処理の際には、上記のような粗研磨に先立ち、ダミー研磨を行って研磨パッドの表面を管理しても良い。一般にダミー研磨工程は、ダミー基板を使用し、粗研磨工程と同様、好ましくは同一の条件で行う。使用するダミー基板は、特に制限はなく、例えばガラス基板の粗研磨の前にアルミニウム合金基板を用いてダミー研磨を行うこともできるが、製品のブランク基板と同種、特に製品のブランク基板と同様の条件で製造したブランク基板を用いることが好ましい。ダミー研磨工程は例えば、ダミー基板の少なくとも一方の表面におけるΔTIRが0.50μm/mm以下となるまで、あるいは平坦度PVが20.0μm以下となるまで研磨することが好ましい。
上記のようなダミー研磨によって、上記の粗研磨工程で用いる研磨パッドの表面を好適な状態に調整することができる。なお、ダミー研磨は任意的な工程であり、研磨パッド表面が調整・管理されていれば省略してもよい。例えば粗研磨ロットの開始に先立ってダミー研磨を行い、調整後の研磨パッドで製品用ブランク基板の粗研磨を複数バッチ繰り返して行うことが可能である。
[精密研磨]
精密研磨(ポリッシング)の方法にも特に制限はなく、種々の公知の方法で行うことができる。例えばアルミニウム合金基板の精密研磨は、粒径が0.01~0.10μm程度のコロイダルシリカを含む研磨液と軟質の研磨パッドを用いて行うことができる。また、ガラス基板の精密研磨は、粒径が0.01~0.10μm程度、特に10~50nm程度のコロイダルシリカを含む研磨液と、発泡ウレタン等からなるより軟質の研磨パッドとを用いて行うことができる。勿論、精密研磨の条件もこれらに限定されない。所望の粒径の酸化セリウム、酸化ジルコニウム、SiC、ダイヤモンド等の砥粒を使用しても良い。また、こうした処理によって、基板の主表面が鏡面に研磨され、磁気ディスク用基板が製造される。上記研磨工程を経た本発明の磁気ディスク用基板は、熱衝撃試験後も平坦度が良好で、規定のPV値を示す。なお、研磨後の基板は、中性洗剤、純水、IPA等を用いて洗浄することが好ましい。
精密研磨の具体的な条件も、用いた基板の材質や粗研磨までの工程により影響されるため一義的に決定することが難しく、また、特定の条件に限定されるものでもない。例えばアルミニウム合金基板の精密研磨においては、研磨時間2~5分、研磨定盤の回転数を10~35rpm、サンギアの回転数を5~15rpm、研磨液供給速度を1000~5000mL/分、加工圧力を例えば10~200g/cm、特に20~100g/cm、研磨量を1.0~1.5μmとすることができる。
ガラス基板の精密研磨の条件も、特に限定されない。例えば、硬度75~77の軟質の研磨パッドを用い、研磨定盤の回転数を10~35rpm、サンギアの回転数を5~15rpm、研磨液供給速度を1000~5000mL/分、加工圧力を例えば10~200g/cm、特に20~100g/cm、研磨時間2~12分とすることが好ましい。研磨量は、例えば2~50μm程度、特に5~25μm程度とすることができる。
(フリッピング)
ここで、本発明の磁気ディスク用基板を製造するに当たり、研削加工工程(グラインド加工工程もしくはラッピング工程)及び/又は研磨工程の途中で基板の表裏面を反転(フリッピング)させても良い。すなわち、研削加工工程で、少なくとも1回は、アルミニウム合金基板又はガラス基板の表裏面を反転させてから研削を続ける。あるいは研削加工工程後に、アルミニウム合金基板又はガラス基板を研磨する研磨工程をさらに行い、研磨工程で、少なくとも1回は、アルミニウム合金基板又はガラス基板の表裏面を反転させてから研磨を続ける。これによって、研削・研磨後の基板を、さらに平坦なものに加工し易くなる。好ましくは、粗研磨工程の途中で、特に研削工程及び粗研磨工程の途中でフリッピングを行う。
両面研磨においても、研磨により削り取られる層厚は、基板の上定盤側と下定盤側とで相違しがちである。特に粗研磨においては、その傾向が高い。そうして研磨された基板で磁気ディスクを作製すると、平坦度が悪化する場合がある。研削・研磨工程、特に粗研磨工程の途中でフリッピングを行うことにより、磁気ディスクが変形するリスクが低減される。なお、フリッピングは研削又は研磨工程中に1回行えば良いが、2回以上行っても良い。また、基板の両面がそれぞれ、上定盤側と下定盤側の各研磨パッドに対して同一の条件で接触するようフリッピングを行うことが好ましい。例えば、フリッピングを1回行う場合は、研削・研磨速度や研磨時間をフリッピングの前後で同一とし、フリッピングを複数回行う場合は、各面が上側になる時間の合計と下側になる時間の合計とを揃えて研磨すれば良い。
<磁気ディスク及び基板の評価方法>
上記のような研削・研磨工程、特に研削加工(グラインド加工、ラッピング加工)工程を経ることにより、厚さ寸法が0.60mm以下でありながらΔTIRが0.50μm/mm以下の磁気ディスク用基板を製造することができる。本発明の磁気ディスクは、薄肉でかつ平坦であるため、HDD装置内でクラッシュを起こし難く、動作エラーを低減させることが可能である。なお、磁気ディスクは、例えば回転する磁気ディスク上にヘッドを浮上させ、磁気ディスクからの信号をヘッドで検知する方法によって評価することができる。この評価試験に合格した磁気ディスクが、次のHDD工程へと投入されるが、磁気ディスクの板厚が0.60mm程度以下になると、合格率は概して低下する。こうした評価試験の結果は、本発明者らが見出したところによると、TIRの径方向の変化率ΔTIRと関係を有する。本発明の磁気ディスクは、ΔTIRが0.50μm/mm以下と、平坦で良好な表面形状を有するため、板厚が0.60mm以下であっても上記のような評価試験に合格し得る。
なお、本発明者らが見出したところによると、基板及び磁気ディスクの表面形状は、磁性膜を製膜する前後で殆ど変化しない。そのため、ΔTIRの測定は、磁性膜を製膜する前、研磨後のアルミニウム合金基板やガラス基板等について行うことが好ましい。すなわち、上記したようなΔTIRやPVの評価は、基板製造後に、基板の検査工程として行うことが好ましい。また先述の通り、磁気ディスクの表面形状は、アルミニウム合金基板の場合はグラインド加工工程、ガラス基板の場合はラッピング加工工程に主として起因し、いずれの基板においても基板内の板厚分布、加工時に発生する内部応力等の多くの要因に影響される。そのため、研削(グラインド)加工又はラッピング加工終了後に基板の評価を行えば、直ちに加工バッチ毎の基板品質を確認することができ、より好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
[実施例1]
厚さ0.50mm、外径97mmのアルミニウム合金製磁気ディスク用基板を、以下のようにして作製した。実施例1ではAl―Mg系合金を使用した。
まず半連続鋳造法により鋳塊を作製し、それを熱間圧延及び冷間圧延加工して、厚さ0.52mmの板材を作製した。この板材をプレス機で打抜き加工し、内径寸法24mm、外径寸法98mmのブランクとした。次に、ブランク同士を積層し、30kg/cmの加圧下で320℃、3時間の加圧焼鈍処理を行った。次いで、このブランクの内径部と外径部を旋盤加工機で切削加工、面取り加工して、内径寸法25mm、外径寸法97mmのTサブを作製し、300℃×30分間の加熱処理に付した。次に、Tサブ両面の表面を研削加工機で研削(グラインド)加工し、厚さ0.48mmのGサブを作製した。このGサブを前処理した後、無電解Ni-Pめっき処理を行い、片面あたり厚さ10μmのNi-Pめっき層を付してMサブとした。次いで、250℃×30分間の加熱処理を行った後、さらに、Mサブ両面の表面を研磨加工機で研磨し、アルミニウム合金製磁気ディスク用基板とした。
なお、上記Gサブの前処理及び無電解Ni-Pめっき処理は、以下のようにして行った。
(前処理)
・Gサブの脱脂処理:上村工業株式会社製のAD-68Fの脱脂液を用い、濃度:500mL/L、温度:45℃、処理時間:3分間の条件で行った。
・酸エッチング処理:上村工業株式会社製のAD-107Fのエッチング液を用い、濃度:50mL/L、温度:60℃、処理時間:2分間の条件で行った。
・ジンケート処理:硝酸剥離処理を挟んだ2回のジンケート処理で行い、具体的には、第1ジンケート処理、純水洗浄、硝酸剥離処理、純水洗浄、及び第2ジンケート処理の順で行った。
第1ジンケート処理は、上村工業株式会社製のAD-301F-3Xのジンケート処理液を用い、濃度:200mL/L、温度:20℃、処理時間:1分間の条件で行った。硝酸剥離処理は、硝酸濃度:30体積%、温度:25℃、処理時間:1分間の条件で行った。第2ジンケート処理は、第1ジンケート処理と同一の条件で行った。
(無電解Ni-Pめっき処理)
上村工業株式会社製のニムデン(登録商標)HDXの無電解めっき液を用い、Ni濃度:6g/L、温度:88℃、処理時間:130分間の条件で行った。
また、上記研削加工は、以下の条件で行った。
(研削加工)
・砥石:#4000番のシリコンカーバイド(SiC)砥石
・加工圧力:100g/cm
・研磨定盤の回転数:30rpm
・クーラント流量:3.5L/分
・研削時間:5分間
上記研磨は、いずれも両面研磨により以下の条件で行った。
(粗研磨)
・砥粒:粒径0.4μmのアルミナ砥粒
・研磨パッド:硬度87の硬質ウレタン研磨パッド
・加工圧力:100g/cm
・研磨定盤の回転数:30rpm
・サンギアの回転数:10rpm
・研磨液供給速度:3.5L/分
・研削時間:5分間
(精密研磨)
・砥粒:粒径0.08μmのコロイダルシリカ砥粒
・研磨パッド:硬度76の発泡ウレタン研磨パッド
・加工圧力:100g/cm
・研磨定盤の回転数:30rpm
・サンギアの回転数:10rpm
・研磨液供給速度:3.5L/分
・研削時間:3分間
磁気ディスク用基板について、Zygo社製の光学式検査装置Mesaを使用して、中心からの半径方向距離r=40mm、45mm、46mm、及び47mmの円周上でのTIRを測定し、隣り合う半径方向距離について上記した(式1)に従ってΔTIRを算出した。算出された3つのΔTIRの全てが0.5μm以内であった場合は総合評価を○、算出された3つのΔTIRの内1つでも0.5μmを超えた場合は総合評価を×とした。また、同じくZygo社製の光学式検査装置Mesaを用いて、平坦度PVを測定した。それらの結果を、研削加工条件と共に後記する表1に示す。
[実施例2~4、比較例1~3]
実施例1と同様にして、下記のアルミニウム合金製磁気ディスク用基板を作製した。
・実施例2、4、比較例1~3: Al-Fe系合金
・実施例3:Al-Mg系合金。
研削加工時のクーラント流量を10.0L/分に増した以外は、実施例1と同様の操作を行った(実施例2)。また、アルミニウム合金基板の板厚を0.60mmとした(実施例3)、あるいは加工圧力を70g/cmとした(実施例4)以外は、実施例1と同様の操作を行った。さらに、研削加工の際の加工圧力を150g/cmに(比較例1)、研磨定盤の回転数を40rpmに(比較例2)、又はクーラント流量を0.1L/分に変化させた(比較例3)以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた磁気ディスク用基板それぞれについての評価結果を、基板の材質及び研削加工条件と共に、後記する表1に示す。
[実施例5]
厚さ0.60mm、外径97mmのアルミノシリケートガラス製磁気ディスク用基板を、以下のようにして作製した。
上記のガラス素材を、1600~1700℃で加熱して融液とし、リドロー法を用いて、100mm、長さ10mのアルミノシリケートガラス板へと成形した。その後、厚さが0.6mmに近いガラス板を選別してコアリング、及び内外周の端面研磨(ガラスディスク内外径の切削、寸法調整、チャンファー加工、チャンファー加工部の研削加工)を行って、外径が97mm、円孔の内径が25mmの円環状のガラス板を作製した。このガラス板に対して、両面研磨機を用いて研削加工(ラッピング)、粗研磨及び精密研磨を行い、ガラス基板を作製した。
上記のラッピングは、以下の条件で行った。
(ラッピング)
・砥石:ダイヤモンドペレット
・加工圧力:150g/cm
・研磨定盤の回転数:30rpm
・クーラント流量:3.5L/分
・研削時間:5分間
上記の粗研磨及び精密研磨処理は、以下の条件で、いずれも両面研磨により行った。
(粗研磨)
・砥粒:粒径0.1~0.4um、平均粒径0.19umの酸化セリウム研磨砥粒
・研磨パッド:硬度87の硬質ウレタン研磨パッド
・加工圧力:160g/cm
・研磨定盤の回転数:15rpm
・サンギアの回転数:10rpm
・研磨液供給速度:2.0L/分
・研削時間:5分間
(精密研磨)
・砥粒:粒径10~100nm、平均粒径80nmのコロイダルシリカ砥粒
・研磨パッド:硬度76の発泡ウレタン研磨パッド
・加工圧力:100g/cm
・研磨定盤の回転数:30rpm
・サンギアの回転数:10rpm
・研磨液供給速度:3.5L/分
・研削時間:5分間
得られたアルミノシリケートガラス製磁気ディスク用基板について、実施例1と同様にしてΔTIR及び平坦度PVを評価した。評価結果を、研削加工(ラッピング)条件と共に表1に示す。
Figure 2023149131000002
本発明に従い、厚さ寸法が0.60mm以下と薄肉でありながら、ΔTIRが0.50μm/mm以下と極めて平坦な磁気ディスク用基板が提供された。これら基板は平坦であるためHDD装置に多数枚搭載することが可能で、しかも外径が97mmと大型であるため、表面のデータ領域を広く取ることもできる。実施例1~3の磁気ディスク用基板はまた、平坦度PVも20.0μm以下と、良好な表面形状を示した。それ故これら基板に基づく磁気ディスクは、HDD装置に組み込まれた際にも物理的エラーを低減でき、ハードディスクの高容量化にも対応可能なことがわかる。
一方で、比較例1ではアルミニウム合金基板に対する加圧圧力が高かったため、アルミニウム合金基板内の位置によって印可された圧力に差異が生じ、TIRが悪化した結果、ΔTIRが悪化した。
比較例2では、定盤の回転数が速過ぎたために砥石が安定せず、また、外周側で研削に寄与すべきクーラントが排出されてしまった結果、測定箇所によりTIRがばらつき、ΔTIRが悪化した。
比較例3ではクーラント流量が少なかったため、研削屑が十分に排出されず、全体としてTIRが悪化し、ΔTIRが悪化した。
実施例5はガラス基板であるため、加圧圧力が150g/cmであってもTIRは良好で、結果としてΔTIRが0.50μm/mm以下と極めて平坦な磁気ディスク用基板が提供された。
1 磁気ディスク
2 磁気ディスク1の中心
C1 磁気ディスク1の中心2から測定した半径方向距離がr1である、TIR1測定用の円
C1 磁気ディスク1の中心2から測定した半径方向距離がr2である、TIR2測定用の円
Ca 磁気ディスク1における外周側領域を示す外周円
Cb 磁気ディスク1における外周側領域を示す内周円

Claims (9)

  1. 中心部に孔を有する磁気ディスクであって、
    厚さ寸法が0.60mm以下であり、
    前記磁気ディスクの半径をR(mm)とし、
    前記磁気ディスクの中心から測定した前記磁気ディスクの半径方向距離をr(mm)とし、
    r/Rが0.70以上0.99以下である前記磁気ディスクの外周側領域にて、
    前記磁気ディスクの異なる半径方向距離r1(mm)及びr2(mm)の円周上でそれぞれ測定したときのTIRを、TIR1(μm)及びTIR2(μm)とするとき、
    前記磁気ディスクの半径方向距離r1と前記磁気ディスクの半径方向距離r2との差(r1-r2)に対する、前記TIR1と前記TIR2との差(TIR1-TIR2)の比の絶対値|(TIR1-TIR2)/(r1-r2)|で表されるTIRの径方向変化量ΔTIRは、0.50μm/mm以下である、磁気ディスク。
  2. 平坦度PVが20.0μm以下である、請求項1に記載の磁気ディスク。
  3. 外径寸法が95mm以上である、請求項1又は2に記載の磁気ディスク。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気ディスクに用いられる基板。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気ディスクの製造方法であって、
    前記磁気ディスクは、アルミニウム合金基板から製造され、
    前記磁気ディスクの製造方法は、前記アルミニウム合金基板を研削する研削加工工程を有し、
    前記研削加工工程が、加圧圧力が50g/cm以上120g/cm以下、定盤回転数が10rpm以上35rpm以下、クーラント流量が1L/分以上10L/分以下の条件で行われることを特徴とする、磁気ディスクの製造方法。
  6. 請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気ディスクの製造方法であって、
    前記磁気ディスクは、ガラス基板から製造され、
    前記磁気ディスクの製造方法は、前記ガラス基板を研削する研削加工工程を有し、
    前記研削加工工程が、加圧圧力が100g/cm以上200g/cm以下、定盤回転数が10rpm以上35rpm以下、クーラント流量が1L/分以上10L/分以下の条件で行われることを特徴とする、磁気ディスクの製造方法。
  7. 前記研削加工工程において、研削量が2.5μm以上25μm以下であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の磁気ディスクの製造方法。
  8. 前記研削加工工程で、少なくとも1回は、前記アルミニウム合金基板又は前記ガラス基板の表裏面を反転させてから研削を続けることを特徴とする、請求項5~7のいずれか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
  9. 前記研削加工工程後に、前記アルミニウム合金基板又は前記ガラス基板を研磨する研磨工程をさらに行い、前記研磨工程で、少なくとも1回は、前記アルミニウム合金基板又は前記ガラス基板の表裏面を反転させてから研磨を続けることを特徴とする、請求項5~8のいずれか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
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