JP2023147524A - パルプ成形体 - Google Patents

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【課題】テーパ角が小さい部位が破損しないパルプ成形体を提供すること。【解決手段】パルプを含むパルプ成形体であって、10°未満のテーパ角を有する部位を備えており、比引裂強度が5.0mN・m2/g以上であるパルプ成形体。【選択図】図2

Description

本発明は、本発明は、パルプ材料からなる成形体に関する。
従来、各種物品を梱包する際に発泡スチロール等の緩衝材が用いられている。発泡スチロールは緩衝性に優れている一方、使用後に焼却処理を行うと有害物質を発生し、また、埋立処理を行うと土壌に分解しない等、環境に悪影響を及ぼすという問題がある。
そこで、上記の問題に対応する等のために、パルプを主体とした成形材料からなるパルプ成形体が使用されており、パルプ成形体の製造方法としては、乾式成形法及び湿式成形法が知られている。
乾式成形法では、例えば、スクリーンを備える濾過成形金型上にパルプスラリーを供給して、吸引脱水操作によりスクリーン上にパルプ層を形成して、所定の形状を有する予備成形品を調製し、予備成形品を乾燥後に、所望の形状を有する金型を用いて圧縮成形を行う。
湿式成形法では、例えば、スクリーンを備える濾過成形金型上にパルプスラリーを供給して、吸引脱水操作によりスクリーン上にパルプ層を形成し、そのまま当該金型を用いて圧縮成形を行ってパルプ層を脱水し、更に、金型内にて乾燥を行う(特許文献1)。
すなわち、乾式成形法では乾燥後のパルプ予備成形品を圧縮して所望の形状とする一方で、湿式成形法では乾燥前のパルプを圧縮及び乾燥して所望の形状とする。
特開平8-302597号公報
乾式成形法では、予備成形品の乾燥工程において、予備成形品から水分が抜けることにより予備成形品の形状が大きく変化してしまうので、所望の形状を有する成形品を得るために別途の圧縮成形工程が必要となる。
また、乾式成形法では、乾燥後の予備成形品を圧縮成形するために、箱状容器の隅等のテーパ角が小さい部位を有する成形品を製造することが困難である。
一方、湿式成形法では、パルプ成形材料の水分量が多い状態で圧縮成形を行うので、当該成形材料の流動性が比較的高く、平滑性が高く、テーパ角が小さい部位を有することで美粧性に優れる成形品を製造することが容易である。
しかし、テーパ角が小さい部位には圧縮成形時に特に大きな力が加わるので、圧縮成形時に当該部位が破損し割れ等が生じることがある。この理由としては、例えば、湿式成形法において、湿潤状態で圧縮成形を行うため、金型のキャビティ内の屈曲部分のパルプ成形体が押しつぶされて亀裂が入りやすくなることが挙げられる。それ以外にも、パルプ成形体のテーパ角が小さい部位と金型との間で摩擦が起きやすくなることが挙げられる。特に、パルプ成形体が底面及び側面を備える形態の場合、側面の高さが高くなると破損が起きやすくなるため、より破損に強いパルプ成形体が求められている。
本発明は、上記の問題点を解決することをその課題とする。具体的には、本発明は、テーパ角が小さい部位が破損せず、平滑性の高いパルプ成形体を提供することをその課題とする。
そこで、鋭意検討の結果、本発明者らは、パルプ成形体の比引裂強度を工夫することによって、製造時にテーパ角が小さい部位が破損せず、平滑性の高い滑らかな手触りを有するパルプ成形体を提供可能であることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、
パルプを含むパルプ成形体であって、
10°未満のテーパ角を有する部位を備えており、
比引裂強度が5.0mN・m/g以上であるパルプ成形体である。
前記パルプがパルプの全質量を基準として15質量%以上の針葉樹パルプを含むことが好ましい。
前記パルプがパルプの全質量を基準として10質量%以上の広葉樹パルプを含むことが好ましい。
前記パルプの長さ加重平均繊維長が0.88mm以上であることが好ましい。
本発明のパルプ成形体は再生パルプを更に含んでもよい。
本発明のパルプ成形体は底面及び側面を備える容器の形態でもよい。その場合、前記テーパ角は前記底面からの垂直面に対する前記側面の勾配角であることができる。
本発明のパルプ成形体は、製造時に、テーパ角が小さい部位が破損しない。
また、本発明のパルプ成形体は三次元形状の自由度が高く、様々なデザインを有するものとすることができる。
更に、本発明のパルプ成形体は、湿式成形法により製造可能であるので、寸法精度が高く、また、表面の平滑性にも優れている。
本発明のパルプ成形体の10°未満のテーパ角を有する部位の一例を示す断面図である。 本発明のパルプ成形体の10°未満のテーパ角を有する部位の他の一例を示す断面図である。 テーパ角が小さい箇所で割れが生じたパルプ成形体の一例を示す画像である。
本発明は、パルプを含むパルプ成形体であって、
10°未満のテーパ角を有する部位を備えており、
比引裂強度が5.0mN・m/g以上である。
本発明パルプ成形体は、比引裂強度が5.0mN・m/g以上であるために、パルプ成形体が10°未満のテーパ角を有する部位を備えていてもパルプ成形体の製造時に当該部位が破損しない。
以下、本発明を説明する。
[形状]
本発明のパルプ成形体は10°未満のテーパ角を有する部位を備える。本発明における「テーパ角」は勾配角の意味であり、基準面に対する傾きの角度を意味する。本発明における基準面は鉛直面である。
図1は、本発明のパルプ成形体の10°未満のテーパ角を有する部位の一例を示す断面図である。
図1に示す例では、全体の図示を省略する本発明のパルプ成形体1は複数の凸部1a及び水平面を有する基部1bを備えており、複数の凸部1aは基部1bの水平面から突出している。図1に示す例では、複数の凸部1a及び基部1bの間の空間に任意の物品を挟持可能であるので、パルプ成形体1は、例えば、梱包体の構成部品として使用することができる。
図1に示す例では、凸部1aは、基部1bからの垂直面(点線で示す)に対して凸部1aの傾斜面が形成する勾配角(テーパ角)θが10°未満である。勾配角θは8°未満が好ましく、6°未満がより好ましく、4°未満が更により好ましく、2°未満が更により好ましく、1°以下が特に好ましい。パルプ成形体1は、直角に交差する2つの平面から構成される部位を備えることができる。テーパ角を一定以下にすれば、パルプ成形体の美粧性に優れる。また、パルプ成形体が身蓋形状や雄雌形状などを備える容器の場合、テーパ角が小さければ篏合性が上がる為、運搬時に分離することがなく、容器の内容物を保護することができる。
図1に示す凸部1aを備えるパルプ成形体1は、比引裂強度が5.0mN・m/g以上であり、そのために、勾配角θが小さくても、パルプ成形体1の製造時に凸部1aが破損することがない。特に、製造時に比較的大きな応力が加わる凸部1aと基部1bとの境界及び/又は凸部1aの先端の破損が回避される。すなわち、本発明により、パルプ成形体1の表面の屈曲部の破損を回避することができる。
図2は、本発明のパルプ成形体の10°未満のテーパ角を有する部位の他の例を示す断面図である。
図2に示す例では、本発明のパルプ成形体2は底面2a、側面2b及び開口部2cを有する容器であり、側面2bの一端は底面2aに接しており、側面2bの他端は開口部2cに達している。図2に示す例では、底面2a及び側面2bによって形成される収容部2dに任意の物品を収容可能であるので、図2に示すパルプ成形体2は、各種の物品を収容するための容器として使用することができる。底面2aは水平面である。
図2に示す例では、側面2bは底面2aからの垂直面(点線で示す)に対して側面2bが形成する勾配角(テーパ角)θが10°未満である。勾配角θは8°未満が好ましく、6°未満がより好ましく、4°未満が更により好ましく、2°未満が更により好ましく、1°以下が特に好ましい。パルプ成形体2は、直角に交差する2つの平面から構成される部位を備えることができる。
図2に示すパルプ成形体2は、比引裂強度が5.0mN・m/g以上であり、そのために、勾配角θが小さくても、パルプ成形体2の製造時に側面2bが破損することがない。特に、製造時に比較的大きな応力が加わる側面2bと底面2aとの境界及び/又は側面2bの自由端(開口部2cを形成する側面2bの端部)の破損が回避される。したがって、図2に示す容器の形態のパルプ成形体2には破れが生じることがない。
本発明のパルプ成形体は、5.0mN・m/g以上の比引裂強度を有する。本発明のパルプ成形体の比引裂強度は6.0mN・m/g以上が好ましく、7.0mN・m/g以上がより好ましく、8.0mN・m/g以上が更に好ましく、9.0mN・m/g以上が更により好ましく、10.0mN・m/g以上が更に好ましく、11.0mN・m/g以上が更により好ましく、12.0mN・m/g以上が更に好ましく、13.0mN・m/g以上が更により好ましい。比引裂強度は、本発明のパルプ成形体をシート状として、JIS P8116に準じて測定して得られた引裂強度(mN)をシート状パルプ成形体の坪量(g/m)で除して決定することができる。したがって、本発明のパルプ成形体は優れた強度を有することができる。
[パルプ]
本発明パルプ成形体に含まれるパルプは針葉樹パルプを含むことが好ましい。
針葉樹パルプとは針葉樹由来のパルプであり、その製造方法は特には限定されないが、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)及び針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)が好ましい。針葉樹としては、マツ目の樹木が好ましく、例えば、スギ(マツ目ヒノキ科)、ヒノキ(マツ目ヒノキ科)、マツ(マツ目マツ科)、モミ(マツ目マツ科)、ツガ(マツ目マツ科)、シラベ(マツ目マツ科)、スギ(スギ目)、ツガ(マツ目マツ科)、ヒノキ(スギ目ヒノキ科)、トウヒ(マツ目マツ科)、ダグラスファー(マツ目マツ科)、ホワイトファー(マツ目マツ科)、スプルース(マツ目マツ科)、バルサムファー(マツ目マツ科)、シダー(マツ目マツ科)、パイン(マツ目マツ科)、ラジアータパイン(マツ目マツ科)が挙げられる。1種の針葉樹パルプを使用してもよく、2種以上の針葉樹パルプを併用してもよい。
本発明のパルプ成形体に含まれるパルプは、パルプの全質量を基準として、15質量%以上の針葉樹パルプを含むことが好ましい。パルプ中の針葉樹パルプの含有量は、パルプの全質量を基準として、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更により好ましく、30質量%以上が更により好ましく、35質量%以上が特に好ましい。
本発明のパルプ成形体に含まれるパルプ中の針葉樹パルプの含有量の上限は特には限定されるものではなく、当該パルプの全てを針葉樹パルプとすることも可能であるが、パルプ成形体の表面特性の向上のためには、パルプ中の針葉樹パルプの含有量は、パルプの全質量を基準として、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更により好ましい。
本発明のパルプ成形体に含まれるパルプ中の針葉樹パルプの含有量の範囲も特には限定されるものではなく、例えば、パルプの全質量を基準として、15質量%~90質量%、15質量%~70質量%、15質量%~50質量%、20質量%~90質量%、20質量%~70質量%、20質量%~50質量%、25質量%~90質量%、25質量%~70質量%、25質量%~50質量%、30質量%~90質量%、30質量%~70質量%、30質量%~50質量%、35質量%~90質量%、35質量%~70質量%、或いは、35質量%~50質量%の範囲とすることができる。
本発明のパルプ成形体に含まれるパルプは広葉樹パルプを含んでもよい。広葉樹パルプとは広葉樹由来のパルプであり、その製造方法は特には限定されないが、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)及び広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)が好ましい。広葉樹としては、例えば、ブナ、カバ、アスペン、マングローブ、オーク、ユーカリ、ドロノキ、ハコヤナギ、シナノキ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、アカシア、オルダー、ラワンが挙げられる。1種の広葉樹パルプを使用してもよく、2種以上の広葉樹パルプを併用してもよい。
本発明のパルプ成形体に含まれるパルプが広葉樹パルプを含む場合、広葉樹パルプの含有量は、パルプの全質量を基準として、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更により好ましい。
本発明のパルプ成形体に含まれるパルプが広葉樹パルプを含む場合、広葉樹パルプの含有量の下限は特には限定されるものではないが、パルプ成形体の表面特性の向上のためには、パルプ中の広葉樹パルプの含有量は、パルプの全質量を基準として、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更により好ましい。
本発明のパルプ成形体に含まれるパルプが広葉樹パルプを含む場合、広葉樹パルプの含有量の範囲も特には限定されるものではなく、例えば、パルプの全質量を基準として、10質量%~85質量%、10質量%~80質量%、10質量%~75質量%、30質量%~85質量%、30質量%~80質量%、30質量%~75質量%、50質量%~85質量%、50質量%~80質量%、或いは、50質量%~75質量%の範囲とすることができる。
本発明のパルプ成形体に使用されるパルプは木材パルプであることが好ましい。特に、木材パルプは乾燥効率の点でバージンパルプであることが好ましい。木材パルプは、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)及び晒化学サーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の化学パルプ以外のパルプを含んでもよい。
本発明のパルプ成形体は、非木材パルプを含んでもよい。非木材パルプは、特には限定されるものではないが、麻、竹、藁、ケナフ、バガス、三椏、楮、木綿等に由来するパルプが挙げられる。1種の非木材パルプを使用してもよく、2種以上の非木材パルプを併用してもよい。
本発明のパルプ成形体が非木材パルプを含む場合、非木材パルプの含有量は特には限定されるものではないが、パルプの全質量を基準として、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更により好ましい。また、非木材パルプの含有量は、パルプの全質量を基準として、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更により好ましい。
本発明のパルプ成形体は、再生パルプを含んでもよい。再生パルプは、特には限定されるものではないが、古紙、レーヨン、キュプラ等に由来するパルプが挙げられる。1種の再生パルプを使用してもよく、2種以上の再生パルプを併用してもよい。
本発明のパルプ成形体が再生パルプを含む場合、再生パルプの含有量は特には限定されるものではないが、環境負荷軽減のためには、再生パルプの含有量は、パルプの全質量を基準として、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更により好ましい。
上記木材パルプ、非木材パルプ及び再生パルプはセルロース繊維を含む。
本発明のパルプ成形体は、各種の有機繊維、無機繊維又はこれらの複合繊維から選択される非セルロース繊維を含むことができる。1種の非セルロース繊維を使用してもよく、2種以上の非セルロース繊維を併用してもよい。
有機繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリエステル、ポリエステル誘導体、アクリル系重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリテトラフルオロエチレン、これらの誘導体からなる単繊維又はこれらの樹脂を2種類以上複合してなる複合繊維が挙げられる。無機繊維としては、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ガラス繊維、マイクロガラス繊維、ジルコニア繊維、窒化珪素繊維、炭化珪素繊維等が挙げられる。
本発明のパルプ成形体が非セルロース繊維を含む場合、非セルロース繊維の含有量は特には限定されるものではないが、パルプの全質量を基準として、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更により好ましい。また、非セルロース繊維の含有量は、パルプ成形体の全質量を基準として、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更により好ましい。
本発明のパルプ成形体はセルロース繊維及び非セルロース繊維以外の他の成分を含んでもよい。他の成分は特には限定されるものではないが、例えば、澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の各種高分子;硫酸バンド;サイズ剤;填料;着色料;蛍光増白剤;剥離剤;フィックス剤等の各種添加剤が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。サイズ剤は、特に限定なく公知のものが使用できるが、例えばロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、高級脂肪酸アミド系サイズ剤、スチレン・アクリル系サイズ剤等が挙げられる。填料は、特に限定なく公知のものが使用でき、例えばタルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、非晶性シリカ、ゼオライト、砂、セラミック、ガラス粉、陶土、カオリン、パーライト、セルロース系粉末、プラスチックピグメント、その他有機系填料等が挙げられる。着色料も同様に限定はないが、直接染料、反応染料、硫化染料、建築染料、酸性染料、カチオン染料、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。また、剥離剤も同様に限定はないが、脂肪酸系剥離剤やポリエチレンワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。フィックス剤も同様に限定はないが、ポリアミン系化合物、ジシアンジアミド化合物等が挙げられる。
パルプや繊維の組成を分析する方法としては、JIS P 8120の各種染色法および定性・定量分析法を用いることができる。パルプ成形体に使用される材料は一般的な紙、板紙と同じであるためJIS P 8120の「普通紙」の離解方法でパルプ成形体を離解することができる。耐水化剤などの影響で離解が難しい場合にはJIS P 8120の「特殊な処理を施した紙」の離解方法で離解すると良い。
本発明のパルプ成形体に含まれるパルプの長さ加重平均繊維長は0.88mm以上であることが好ましい。
長さ加重平均繊維長が0.88mm以上のパルプとは、ISO16065-2に従い全パルプに含まれる0.20~7.00mmの範囲の繊維を対象として、後述する繊維画像解析装置での解析により長さ加重平均繊維長が0.88mm以上であることを意味する。
本発明のパルプ成形体に含まれるパルプの長さ加重平均繊維長等は以下の方法で求めることができる。
まず、JIS P 8120の離解方法を用いてパルプ成形体を離解してパルプとし、次に、そのパルプをISO16065-2に従う繊維画像解析装置により測定する。装置内の超高解像度(UHD)カメラがパルプの繊維のグレースケール画像を取り込み、アナライザーで画像を解析することで長さ加重平均繊維長や長さ加重平均繊維幅などのパラメーターを算出することができる。
長さ加重平均繊維長や長さ加重平均繊維幅の測定の際に選別される繊維の数は1,000以上であり、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましい。
パルプの長さ加重平均繊維長は0.88mm以上が好ましく、0.90mm以上がより好ましく、1.00mm以上が更により好ましい。
パルプに含まれる繊維の長さ加重平均繊維長は2.00mm以下が好ましく、1.80mm以下がより好ましく、1.60mm以下が更により好ましい。
パルプに含まれる繊維の長さ加重平均繊維幅は18μm以上が好ましく、19μm以上がより好ましく、20μm以上が更により好ましい。
パルプに含まれる繊維の長さ加重平均繊維幅は40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。
[製造方法]
本発明のパルプ成形体は湿式成形法により製造することができる。
例えば、スクリーンを備える濾過成形金型上にパルプを含むパルプスラリーを供給して、吸引脱水操作によりスクリーン上にパルプ層を形成し、そのまま当該金型を用いて圧縮成形を行ってパルプ層を脱水し、更に、金型内にて乾燥を行うことにより、本発明のパルプ成形体を製造することができる。
本発明で使用されるパルプスラリーを調製する際に、パルプの叩解を進めると、セルロース繊維同士の絡み合いが増大し、パルプ成形体の強度が増す効果が期待できる。叩解度は350mlcsf以上が好ましく、350~650mlcsfがより好ましく、350~550mlcsfが更により好ましい。
湿式成形法では乾燥前のパルプ材料を圧縮及び乾燥して所望の形状とする。すなわち、湿式成形法では、パルプ材料の水分量が多い比較的流動性の高い状態で圧縮成形を行うので、パルプ材料に付与可能な三次元形状の自由度が高く、様々なデザインの成形体を容易に製造することができる。例えば、図2に示す例において勾配角(テーパ角)θが1°以下の箱状容器を製造することが容易である。
勾配角(テーパ角)が小さい部位には圧縮成形時に特に大きな力が加わるが、本発明のパルプ成形体は比引裂強度が5.0mN・m/g以上であるので、圧縮成形時に当該部位が破損することがない。
また、湿式成形法は、使用するパルプ材料の流動性が比較的高く、金型のキャビティ形状の再現性に優れているので、寸法精度の高いパルプ成形体を製造することができ、また、得られるパルプ成形体の表面の平滑性にも優れている。
本発明のパルプ成形体は各種の用途に好適に使用可能である。
本発明のパルプ成形体は、例えば、卵パック等の食品用緩衝材用途、食品用パッケージ等の食品梱包用途、化粧品用パッケージ等の化粧品梱包用途、ディスプレイ用緩衝材等の家電用緩衝材用途、各種の工業部品用緩衝材・梱包材の用途に使用することができる。また、本発明のパルプ成形体は、各種の容器又は容器の一部として使用することができる。
本発明のパルプ成形体はカーボンニュートラルな材質であるパルプから構成されるので、環境負荷が小さく、焼却しても大気中の二酸化炭素量の増大を全体として抑制することができる。したがって、本発明のパルプ成形体は、大気中の二酸化炭素増大による地球温暖化、石油枯渇等の資源問題に対応することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を20質量%、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を80質量%含むパルプのスラリーを抄紙原料とし、150℃以上に加熱した金属製金型で60秒以上熱圧成形する湿式成形法により、図2に示すパルプ成形体を製造した。その結果、パルプ成形体のテーパ角は0.4°であった。
(実施例2)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を30質量%、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を70質量%含むパルプのスラリーを抄紙原料とし、実施例1と同様に湿式成形法により、図2に示すパルプ成形体を製造した。
(実施例3)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を37質量%、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を63質量%含むパルプのスラリーを抄紙原料とし、実施例1と同様に湿式成形法により、図2に示すパルプ成形体を製造した。
(実施例4)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)100質量%であるパルプのスラリーを抄紙原料とし、実施例1と同様に湿式成形法により、図2に示すパルプ成形体を製造した。
(比較例1)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を10質量%、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を90質量%含むパルプのスラリーを抄紙原料とし、実施例1と同様に湿式成形法により、図2に示すパルプ成形体を製造した。その結果、パルプ成形体のテーパ角は0.4°であった。
(比較例2)
実施例1の抄紙原料を用いて、乾式成形法を用いて、図2に示すパルプ成形体を目指して製造した。その結果、テーパ角は20°であった。
(性能評価)
実施例1~4および比較例1~2の各パルプ成形体について、パルプ成形体中のパルプの長さ加重平均繊維長及び長さ加重平均繊維幅、比引裂強度、表面粗さを下記のように測定乃至決定し、製造時にテーパ角が小さい部位に割れの破損が生じたか否かを目視観察した。結果を表1に示す。
長さ加重平均繊維長および長さ加重平均繊維幅:パルプ成形体をJIS P 8120の離解方法により離解して、得られたパルプをラボ用繊維特性分析計Valmet FS5 UHD(バルメット株式会社製)により測定した。
比引裂強度:パルプ成形体の底面のシート状部分を使用して、JIS P 8116に準じて引裂強度(mN)を測定し、引裂強度値を当該シート状部分の坪量(g/m)で除して決定した。
表面粗さ:JIS P 8151に準じてパーカプリントサーフ試験機を用いて測定した。
Figure 2023147524000002
表1に示す結果の通り、比引裂強度が5.0mN・m/g以上であるパルプ成形体は、製造時にテーパ角が小さい部位の破損がなく、平滑性にも優れていた。一方、比較例1ではテーパ角が小さい部位に図3のような割れが観察された。
1 パルプ成形体
1a 凸部 1b 基部
2 パルプ成形体
2a 底面 2b 側面 2c 開口部 2d 収容部

Claims (7)

  1. パルプを含むパルプ成形体であって、
    10°未満のテーパ角を有する部位を備えており、
    比引裂強度が5.0mN・m/g以上であるパルプ成形体。
  2. 前記パルプがパルプの全質量を基準として15質量%以上の針葉樹パルプを含む、請求項1記載のパルプ成形体。
  3. 前記パルプがパルプの全質量を基準として10質量%以上の広葉樹パルプを含む、請求項1又は2記載のパルプ成形体。
  4. 前記パルプの長さ加重平均繊維長が0.88mm以上である、請求項1乃至3のいずれかに記載のパルプ成形体。
  5. 前記パルプが再生パルプを更に含む請求項1乃至4のいずれかに記載のパルプ成形体。
  6. 底面及び側面を備える容器である、請求項1乃至5のいずれかに記載のパルプ成形体。
  7. 前記テーパ角が前記底面からの垂直面に対する前記側面の勾配角である、請求項6記載のパルプ成形体。
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