JP2023145253A - 視標提示装置及び眼科装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検眼の遠用検査と近用検査とを行う際の検査効率を、より向上させることを可能とする。【解決手段】視標提示装置3は、遠用視標像を表示する第1の表示部33と、第1の表示部33からの光束により遠用視標像の虚像を形成するとともに、焦点距離が800ミリメートルよりも長い凸レンズ系34と、凸レンズ系34を通過した反射光束の光路を折り曲げて、被検眼Eの前方の所定の遠用検査距離の像点位置Iに遠用視標像の虚像を提示する光路折り曲げミラー35と、を有する遠用視標提示光学系32、及び近用検査距離に近用視標像を提示する透明スクリーン41を有する近用視標提示部4を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、視標提示装置及びこの視標提示装置を備えた眼科装置に関する。
従来、視標像を表示する表示部と、表示部からの光束により視標像の虚像を形成する凸レンズ系と、凸レンズ系を通過した光束の光路を折り曲げて所定の像点位置に虚像を提示する光路折り曲げミラーと、を備え、遠用検査用の視標像を被検眼に提示する視標提示装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。また、このような視標提示装置と、視機能を矯正する矯正光学ユニットと、この矯正光学ユニットに一端が保持された支持棒に吊り下げられた近用検査用の視標板とを備える眼科装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特許第5769304号公報 特許第5835838号公報 特開2021-49220号公報
しかしながら、上記従来技術では、遠用検査と近用検査とを切り替えて行う際に、近点棒を操作して近用検査用の視標板を、視標提示装置の前方に配置したり、退避したりする必要があった。このため、遠用検査用の視標と近用検査用の視標との切り替えに手間や時間がかかり、検査効率という点で改良の余地があった。
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、被検眼の遠用検査と近用検査とを行う際の検査効率を、より向上させることを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示の視標提示装置は、第1の視標像を表示する第1の表示部と、前記第1の表示部からの光束により前記第1の視標像の虚像を形成するとともに、焦点距離が800ミリメートルよりも長い凸レンズ系と、前記凸レンズ系を通過した反射光束の光路を折り曲げて、被検眼の前方の所定の第1の検査距離の像点位置に前記第1の視標像の虚像を提示する光路折り曲げミラーと、を有する第1の視標提示部、及び前記第1の検査距離とは異なる第2の検査距離に第2の視標像を提示する第2の表示部を有する第2の視標提示部、を備える。
このように構成することで、被検眼の遠用検査と近用検査とを行う際の検査効率を、より向上させるこができる。
実施例1に係る眼科装置の全体構成を示す斜視図である。 実施例1に係る眼科装置の側面図である。 被検眼に提示される視標像の一例を示す図であり、(a)は遠用視標像を示し、(b)近用視標像を示し、(c)は同時に提示された遠用視標像と近用視標像とを示し、(d)は同時に提示された遠用視標像と近用視標像の他の例を示す。 実施例2に係る眼科装置の側面図である。 実施例3に係る眼科装置の側面図である。 実施例4に係る眼科装置の側面図である。 実施例4に係る眼科装置の正面図であり、(a)は遠用視標像を提示するための第1位置に第1の表示部が配置された状態の正面図であり、(b)は近用視標像を提示するための第2位置に第1の表示部が配置された状態の正面図である。 実施例5に係る眼科装置の側面図である。 実施例6に係る眼科装置の側面図である。 実施例7に係る眼科装置の側面図である。
以下、本開示の眼科装置及び眼科装置に用いられる視標提示装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1~実施例7に基づいて説明する。
(実施例1)
以下、実施例1の眼科装置100の構成を、図1、図2に基づいて説明する。実施例1の眼科装置100は、被検者が左右の両眼を開放した状態で、被検眼の視機能の検査が実行可能な両眼開放タイプの眼科装置である。なお、実施例1の眼科装置100では、片眼を遮蔽し、片眼ずつ検査等することも可能である。
実施例1の眼科装置100は、図1、図2に示すように、検眼テーブル1と、検眼光学系であるレフラクターヘッド2と、第1の視標提示部である遠用視標提示光学系32及び第2の視標提示部である近用視標提示部4を有する視標提示装置3とを有する装置本体6、並びに制御装置であるコントローラ5を備えている。
実施例1の眼科装置100は、遠用視標提示光学系32で第1の検査距離(遠用検査距離)と、近用視標提示部4で第1の検査距離とは異なる第2の検査距離(近用検査距離)に、各々個別に視標像を提示可能であるとともに、第1の検査距離と第2の検査距離に同時に視標像を提示可能な眼科装置である。
なお、本明細書を通じて図1、図2等に記すようにX軸、Y軸及びZ軸を取り、被検者H(被検眼E)から見て、左右方向をX方向とし、上下方向(鉛直方向)をY方向とし、X方向及びY方向と直交する方向(レフラクターヘッド2と視標提示装置3の対峙方向、奥行方向)をZ方向とする。
検眼テーブル1は、レフラクターヘッド2、視標提示装置3、コントローラ5等の各種機器を載置する机である。また、検眼テーブル1は、検査中の姿勢を適切に保つために被検者Hが肘や腕を載置するためにも用いられる。また、検眼テーブル1は、手動又は適宜の駆動機構により上下方向(Y方向)に移動可能とすることもできる。この構成により、被検者Hの被検眼Eの床面からの高さに合わせて、レフラクターヘッド2、視標提示装置3の高さ調整が可能となる。
レフラクターヘッド2は、被検眼Eに合うレンズを選択するために用いられる眼科装置である。このレフラクターヘッド2は、複数の検査用レンズ24を備え、被検眼Eの前方に検査用レンズ(矯正レンズ)24を選択的に配置し、この検査用レンズ24を適宜交換しながら屈折検査、その他の検査を行うことができる。レフラクターヘッド2は、図1に示すように、支持機構21と、一対の検眼ユニット22L、22Rと、を備えている。
支持機構21は、支柱21aと、支持アーム21bと、支持部材21cと、を備えている。支柱21aは、検眼テーブル1の天板に、上下方向(Y方向)に延在して設けられている。支柱21aは、図1に矢印で示すように、手動又は適宜の駆動機構により上下方向(Y方向)に伸縮自在で、かつ円周方向に回転自在となっている。支持アーム21bは、支柱21aから、斜め上方向に延在して設けられている。支持部材21cは、支持アーム21bの先端に固定されている。
一対の検眼ユニット22L、22Rは、被検者Hの左右の被検眼Eに対応するように、左右に一対設けられた左眼用の検眼光学系と、右眼用の検眼光学系と、を各々有する機器である。一対の検眼ユニット22L、22Rは、支持部材21cに吊下げられており、公知のスライド機構によって左右方向(X方向)へスライド可能となっている。これにより、一対の検眼ユニット22L、22Rは、相対的に接近及び離反が可能である。一対の検眼ユニット22L、22Rは、支持機構21の支柱21aを円周方向へ回転させることで、被検眼Eと視標提示装置3との間に挿脱される。一対の検眼ユニット22L、22Rの前方及び後方には、各々検眼窓23L、23Rが設けられている。一対の検眼ユニット22L、22R内には、左右眼用の複数の検査用レンズ24、偏光フィルタ、遮蔽板等の光学部材が、それぞれ配置されている。複数の検査用レンズ24等の光学部材は、各検眼窓23L、23Rに対向する位置に、図示しない公知の駆動機構によって選択的に配置されて検眼に用いられる。
検査用レンズ24は、被検眼Eの視機能を矯正するために用いられるものであり、例えば、球面レンズ、円柱レンズ、プリズム等が挙げられるが、裸眼での検査も可能とすべく、矯正の機能を持たないレンズ、ガラス板、又はプラスチック板等も検査用レンズ24として選択可能となっている。以下、左右を区別しないときは、検眼ユニット22L、22R、検眼窓23L、23Rを、単に検眼ユニット22、検眼窓23ということがある。
なお、検眼光学系がレフラクターヘッド2に限定されることはなく、被検眼Eの前方(被検眼Eと視標提示装置3との間)に検査用レンズ24を配置可能であれば、いずれの構成のものでもよい。また、検眼光学系が、トライアルフレームであってもよい。トライアルフレームは、検眼枠等とも呼ばれ、被検者Hが装着するメガネ型の器具であり、検者等が、手動でレンズ受部に検査用レンズを選択的に配置することができる。
また、検査の際に被検者Hは、必ずしもレフラクターヘッド2やトライアルフレーム等の検眼光学系を通して検査を行う必要もなく、被検者Hは、自身のメガネやコンタクトレンズ等、又は仕上がったメガネやコンタクトレンズ等(これらも検眼光学系の一種と言える。)を装着した状態で検査してもよいし、もちろん、裸眼で検査してもよい。
視標提示装置3は、直方体形状の筺体31と、筺体31に内蔵された遠用視標提示光学系32と、近用視標提示部4と、を備えている。筺体31の前面(被検者H側)には、被検者Hが遠用視標像P1を目視するためのウインドウ(開口部)31aが設けられている。
遠用視標提示光学系32は、被検者Hが遠方の物体を目視するときの視機能を検査(遠用検査)するための視標像を生成する光学系である。遠用視標提示光学系32は、遠用検査用の視標像P1(第1の視標像。以下、「遠用視標像P1」という。)を被検眼Eの前方の遠用検査距離(第1の検査距離)に提示する。
遠用視標提示光学系32は、図2に示すように、第1の表示部33と、凸レンズ系34と、光路折り曲げミラー35とを備えている。第1の表示部33は、LCDや有機EL等の電子表示デバイス(ディスプレイ)から構成される。第1の表示部33は、コントローラ5からの指示信号に基づき、物点Oの位置に存在する表示面33aに遠用視標像P1を表示する。凸レンズ系34は、第1の表示部33に表示された遠用視標からの光束により遠用視標像P1の虚像を形成する。光路折り曲げミラー35は、凸レンズ系34を通過した光束の光路を反射することで折り曲げて、被検眼Eの前方の所定の第1の検査距離(遠用検査距離)の像点位置Iに遠用視標像P1を虚像として結像する。被検者Hは、筺体31のウインドウ31aを介して、この遠用視標像P1を視認することができる。
凸レンズ系34は、一個の平凸レンズにより構成されているが、両凸レンズや二個以上のレンズからなる構成でもよい。また、凸レンズ系34を構成する平凸レンズには、BK7等のガラス材料が用いられる。そして、この凸レンズ系34の焦点距離fは、800ミリメートルよりも長く、実施例1では、f=1314.0ミリメートルに設定されている。
また、光路折り曲げミラー35は、その傾斜角度を変更可能とすることで、高さ調整機構としても機能する。つまり、被検眼Eの高さ方向の位置(床面からの高さ)に応じて、その傾斜角度を調節することで、身長等によって被検眼Eの高さにばらつきがあっても、被検眼Eに適切に遠用視標像P1を提示することができる。
遠用視標提示光学系32は、遠用検査を行わないときは、第1の表示部33を消灯したり、黒画像を表示したりすることで、遠用視標像P1を非表示とすることができる。これにより、例えば、近用視標提示部4により近用検査のみを連続して行う場合に、被検者Hは、近用視標像P2を注視して、近用検査を集中して行うことができる。
遠用検査距離は、例えば、被検眼Eから4.0m~6.0mの範囲の何れかの距離とすることができるが、この範囲に限定されず、6.0m以上の距離とすることもできる。実施例1の遠用視標提示光学系32は、被検眼Eから5.0mの遠用検査距離に、遠用視標像P1(虚像)を提示する。なお、遠用検査距離が5.0mに限定されず、異なる距離であってもよく、例えば、4.0m~6.0mの範囲で設定することが好適であるが、上限が6.0mに限定されず、7.0m、8mであってもよいし、より長い距離であってもよい。また、検査距離変更機構として拡大レンズ、その他の光学部材を遠用視標提示光学系32に配置し、視標像(虚像)Iを提示する遠用検査距離を、検査目的や検査内容に応じて4.0m~6.0m(又は6.0mよりも長い距離でもよい。)の間で変更可能とすることもできる。
近用視標提示部4は、被検者Hが近くの物体を目視するときの視機能を検査(近用検査)するために用いられる。近用視標提示部4は、レフラクターヘッド2の検査用レンズ24を通して、近用検査用の視標像P2(以下「近用視標像P2」という。)を被検眼Eの前方の遠用検査距離とは異なる近用検査距離(第2の検査距離)に提示する第2の視標提示部である。
実施例1の近用視標提示部4は、図1及び図2に示すように、第2の表示部である透明スクリーン41と、投影光学系であるプロジェクタ42とを備えている。
透明スクリーン41は、図1、図2に示すように、筺体31のウインドウ31aに配置されている。なお、ウインドウ31aは、この透明スクリーン41のみが配置されるものでもよい。また、ウインドウ31aは、アクリル樹脂(PMMA)、ガラス等の透光性を有する板部材が配置され、この板部材の被検者H側の表面又は筺体31の内部側の裏面に透明スクリーン41が配置されていてもよい。
透明スクリーン41は、プロジェクタ42から投射される映像光(近用視標の映像光)を反射して、被検眼Eに近用視標像P2を提示し、被検眼Eが近用視標像P2を視認可能にするスクリーンである。また、透明スクリーン41は、背景が透過して見える反射型透明スクリーンである。なお、「透明」とは、少なくとも眼科装置で利用する波長の光(より具体的には、遠用視標提示光学系32で遠用視標像P1を提示するのに用いる波長の光)を透過するものをいう。実施例1では、第1の表示部33からの光束を少なくとも透過可能となっている。このため、被検者Hは、第1の表示部33を点灯しているときは、透明スクリーン41を通して遠用視標像P1を視認可能となっている。
プロジェクタ42は、コントローラ5からの指示信号に従って、映像光を、被検者H側から透明スクリーン41に投影する映像投射装置であり、例えば、短焦点型のプロジェクタが好適である。実施例1では、プロジェクタ42は、レフラクターヘッド2の上部の支持部材21cに、視標提示装置3に向けて斜め下向きに配置され、透明スクリーン41に斜め上から近用視標像P2を投影可能となっている。なお、プロジェクタ42は、被検眼Eの視野内に入ることなく、検査を妨げない位置であって透明スクリーン41に映像光を投影可能であれば、何れの位置に配置されていてもよい。例えば、プロジェクタ42は、図2に仮想線で示すように、検眼テーブル1に設置又は埋め込まれ、透明スクリーン41に斜め下から近用視標像P2を投影する単焦点型のプロジェクタとしてもでもよい。
近用検査距離は、例えば、被検眼Eから250mm~600mm(25cm~60cm)の範囲の何れかの距離、より好ましくは、300mm~400mm(30cm~40cm)の範囲の何れかの距離とすることができる。実施例1の近用視標提示部4では、近用検査距離、すなわち、被検眼Eから透明スクリーン41の投影面41aまでの距離を、30cm(300mm)としている。
なお、実施例1では、透明スクリーン41をウインドウ31aに固定的に配置しているため、透明スクリーン41の奥行方向(Z方向)の位置が固定され、結果的に近用検査距離が300mmに固定されている。しかし、この構成に限定されず、変形例として、透明スクリーン41をウインドウ31aに固定することなく、公知の移動機構によって奥行方向(Z方向)に移動可能な構成とすれば、近用検査距離を、所望の範囲(例えば300mm~400mmの範囲)で変更することが可能となる。この結果、被検者Hは、近用検査を所望の近用検査距離で、又は複数の異なる近用検査距離で行うことが可能となる。
このように、ウインドウ31aに配置した透明スクリーン41に、近用視標像P2を投影することで、被検者Hは、遠用検査を行うときと同様の姿勢、つまり、レフラクターヘッド2に対峙した状態で、近用検査を行うことができる。つまり、実施例1の眼科装置100は、遠用視標像P1及び近用視標像P2を、被検者Hがレフラクターヘッド2に対峙した状態で視認できる同一範囲内(視野内)に提示することができる。
遠用視標像P1及び近用視標像P2に用いる視標は、特に限定されず、被検眼Eの視機能の検査に用いるものであればよい。具体的には、視標は、例えば、ランドルト環、スネレン視標、Eチャート等であってもよいし、ひらがな、カタカナ等の文字、英語その他各国の文字、数字、記号、動物や指等の絵等からなる視標であってもよいし、十字視標等の両眼視機能検査用の特定の図形や風景画や風景写真等からなる視標あってもよいし、新聞や雑誌の記事、小説等からなる視標であってもよく、様々な視標を用いることができる。また、遠用視標像P1及び近用視標像P2は、静止画であってもよいし動画であってもよい。実施例1の遠用視標像P1を表示する第1の表示部33がLCD等からなり、第2の表示部が、プロジェクタ42から近用視標像P2が投影される透明スクリーン41からなることから、所望の形状、形態、大きさ、数、色、コントラスト等の表示態様からなる視標像を表示及び投影することができ、多様な自覚検査が可能となる。
図3(a)~図3(d)に、ウインドウ31aを介して被検眼Eに提示される視標像の一例を示す。図3(a)は、ウインドウ31aを介して被検眼Eに提示される遠用視標像P1の一例を示し、図3(b)は、ウインドウ31aを介して被検眼Eに提示される近用視標像P2の一例を示す。図3(c)は、ウインドウ31aを介して被検眼Eに並んで提示される遠用視標像P1及び近用視標像P2の一例を示し、図3(d)は、ウインドウ31aを介して被検眼Eに並んで提示される遠用視標像P1及び近用視標像P2の他の例を示す。
近用視標像P2を投影する第2の表示部が、透明スクリーン41であるため、図3(a)、(b)のように遠用視標像P1及び近用視標像P2を、それぞれ単独で提示することもできるし、図3(c)、(d)のように双方を並べて同時に提示することもできる。
コントローラ5は、検者等の操作者が眼科装置100を操作するために用いられる。コントローラ5は、検者による操作を受け付け、この操作に応じた指示信号を、レフラクターヘッド2及び視標提示装置3へ出力する。
コントローラ5と、レフラクターヘッド2及び視標提示装置3(装置本体6)は、近距離無線通信によって通信可能に接続されている。このため、検者は、コントローラ5を携帯して、何れの位置からでも、容易にレフラクターヘッド2及び視標提示装置3の各部の操作が可能となる。よって、例えば、被検者Hの後方から、検者自身も視標を目視しつつコントローラ5を操作したり、被検者Hの前方から、被検者Hが視標を注視しているか、被検眼Eの視線を確認しつつコントローラ5を操作したりすることができる。
近距離無線通信の規格の一例として、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等が挙げられる。このような近距離無線通信は、通信速度が速く、各種信号の送受信のタイムラグの発生を抑制することができる。また、コントローラ5と、レフラクターヘッド2及び視標提示装置3の各部は、ケーブルによって有線で接続されていてもよく、この場合も、速い通信速度で、タイムラグの発生を抑制しつつ、各種信号を送受信することができる。その他にも、コントローラ5と、レフラクターヘッド2及び視標提示装置3の各部は、光リモコンや有線による接続でもよい。
コントローラ5は、図1に示すように、検者からの操作指示の入力を受け付ける入力部51と、検眼パラメータ、検査情報又は検査結果等を表示する表示部52と、眼科装置100全体の動作を制御する制御部53と、から主に構成される。なお、コントローラ5による装置本体6の操作を、離れた場所や遠隔操作で行う場合は検者と被検者Hとの意思疎通を明瞭かつ円滑に行うため、コントローラ5及び装置本体6側に、マイクやスピーカ等を設けてもよい。
入力部51は、例えば、キーボードやマウス等を備えている。また、表示部52は、LCDや有機EL等の電子表示デバイス(ディスプレイ)により構成することができる。表示部52がタッチパネル式であれば、表示部52の表示面52aが入力部51としても機能する。入力部51は、検者による遠用視標提示光学系32の第1の表示部33及び近用視標提示部4の第2の表示部である透明スクリーン41に表示する各種視標の選択指示、レフラクターヘッド2におけるプリズム度数、球面度数等の検眼パラメータを設定するための指示、被検眼Eを左眼若しくは右眼又は両眼に設定するための指示等を受け付ける。
制御部53は、マイクロプロセッサと、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等の記憶部と、等を有して構成される。制御部53は、ROM等に記憶されたコンピュータプログラムを、例えばRAM上に展開して実行することにより、眼科装置100の動作を統括的に制御する。また、記憶部には、コンピュータプログラムの他、検眼のための各種検査用パラメータ、検査結果などが記憶される。
制御部53は、メニュー画面や検査結果画面等を表示部52に表示する。また。制御部53は、入力部51で入力を受け付けた操作指示に応じて、検査用パラメータや検査情報を表示部52に表示させる。また、制御部53は、操作指示に応じて、駆動機構を駆動して、検眼窓23L、23Rに配置される屈折レンズの度数やプリズムの度数を変更する。
また、制御部53は、入力部51で受け付けた提示対象視標の選択指示によって選択された遠用視標像P1を、第1の表示部33の表示面33aに表示させるための指示信号を、第1の表示部33に送信する。また、制御部53は、入力部51で受け付けた提示対象視標の選択指示によって選択された近用視標像P2を、透明スクリーン41の投影面41aに表示させるための指示信号を、プロジェクタ42に送信する。また、制御部53は、第1の表示部33とプロジェクタ42のオン、オフ(点灯、消灯)を制御する。すなわち、制御部53は、使用目的に応じて、第1の表示部33に表示する遠用視標像P1及び透明スクリーン41に投影する近用視標像P2の表示態様(視標の形状、形態、大きさ、数、色、コントラスト等)を変更するように遠用視標提示光学系32及び近用視標提示部4を制御する。
コントローラ5は、入力部51、表示部52、制御部53を備えた検眼専用のコントローラであってもよいし、モニタを備えたノート型パーソナルコンピュータであってもよい。または、コントローラ5は、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯情報端末(情報処理装置)とすることもできる。
以下、実施例1の眼科装置100を用いて、被検眼Eの遠用検査及び近用検査を順次実行するときの動作の一例を説明する。以下では、検者が検眼テーブル1に向かって着席したり、被検者Hの背後や横に立ったりして、検者が被検者Hの近傍で、被検者Hに付き添って検査を行う手順を説明する。しかし、検者の居る場所は、被検者Hの近傍に限定されない。例えば、同じ部屋であっても適宜の距離を介した位置やパーティションで隔てられた位置等、被検者Hと、いわゆるソーシャルディスタンスを設けた位置で、検者がコントローラ5を操作して、以下で説明するすべての工程又は一部の工程を行ってもよい。また、近距離無線やケーブル接続等を利用して、異なる部屋で検者がコントローラ5を操作してすべての工程又は一部の工程を行ってもよい。実施例2~実施例7でも同様である。
まず、遠用検査を行うときの手順を説明する。検者等は、支柱21aを回転して、被検眼Eと視標提示装置3との間に一対の検眼ユニット22L、22Rを配置する。被検者Hは、立った状態又は椅子に座った状態で、一対の検眼ユニット22L、22Rに対峙する。また、被検者Hは、一対の検眼ユニット22L、22Rの間に設けた図示しない額当部に額を当て、検眼テーブル1の上に肘や腕を載置することで、検眼の姿勢を安定させることができる。
次に、検者は、コントローラ5の入力部51を操作して、遠用検査の提示対象視標を選択する。この操作を受けて、コントローラ5の制御部53は、遠用視標提示光学系32を制御し、第1の表示部33の表示面33aに遠用視標像P1を表示させる。
これにより、ウインドウ31aを介して被検眼Eに遠用視標像P1が提示される(例えば、図3(a)参照)。被検者Hは、この遠用視標像P1を、検眼窓23及び検査用レンズ24を通して目視することで、自覚の遠用検査を行うことができる。さらに、検者は、被検者Hの見え方等に応じてコントローラ5を操作し、複数の検査用レンズ24を適宜選択して検眼窓23に配置することで、被検眼Eの遠用検査を繰り返すことができる。この結果、遠方の物体を目視する際の被検眼Eの調節状態や斜位等の矯正を行って、遠用の矯正データを取得することができる。
次に、近用検査を実行すべく、検者は、コントローラ5を操作して第1の表示部33を消灯するか又は黒画像を表示して、遠用視標像P1を非表示とする。そして、検者が、コントローラ5から近用視標の提示指示を入力すると、制御部53の制御の下、プロジェクタ42が透明スクリーン41に近用視標像P2を投影する。これにより、例えば、図3(b)のように、ウインドウ31aを介して被検眼Eに近用視標像P2が提示される。なお、図3(b)では、遠用視標像P1と近用視標像P2とを並べて同時に提示すること等を考慮して、ウインドウ31aの下方に近用視標像P2を提示しているが、この位置に限らず、中央や情報に近用視標像P2を提示しても構わない。しかし、実生活では近くの視認対象物を、視線を下げて視認していることから、近用視標像P2をウインドウ31aの下方に提示することが好適である。
被検者Hは、この近用視標像P2を、検眼窓23及び検査用レンズ24を通して目視することで、自覚の近用検査を行うことができる。さらに、検者は、被検者Hの見え方等に応じてコントローラ5を操作し、複数の検査用レンズ24を適宜選択して検眼窓23に配置することで、被検眼Eの近用検査を繰り返すことができる。この結果、近方の物体を目視する際の被検眼Eの調節状態や斜位等の矯正を行って、近用の矯正データを取得することができる。
ここで、従来の眼科装置では、遠用検査と近用検査とを切り替えるときに、近点棒等で近用視力表を被検眼Eの前方に配置したり、前方から退避させたりしていたため、検査効率の向上が測れなかった。これに対して、実施例1の眼科装置100は、第1の表示部33による遠用視標像P1の表示と、プロジェクタ42による近用視標像P2を投影とを切り替えるだけで、短時間で迅速かつ簡単に遠用検査と近用検査とを切り替えることができ、検査効率を、より向上させることができる。
また、遠用視標像P1と近用視標像P2とを短時間で切り替えて提示し、切り替えから被検者Hの応答までの時間を検者等が測定することもできる。これにより、検者は、被検眼Eの調節にかかる時間を測定することができ、加齢や疲れによる被検眼Eの調節力の状態等を把握することができる。なお、応答時間は、検者が経験や感覚で長短を判定してもよいし、検者がストップウォッチ等で測定してもよい。また、眼科装置100が被検者用の操作部を備えている場合は、眼科装置100が、視標像の提示から操作部による応答までの時間を測定して検者に提示してもよい。
また、実施例1では、第2の表示部は、ウインドウ31aに設けられた透明スクリーン41から構成され、近用視標提示部4(第2の視標提示部)は、透明スクリーン41に近用視標像P2(第2の視標像)を投影するプロジェクタ42(投影光学系)を備えている。つまり、近用視標提示部4は、透明ディスプレイ44から出射された(プロジェクタ42の光を反射した)光束を反射する反射光学系を備えていない。この構成により、近用視標提示部4は、光量を低下させることなく近用視標像P2を被検眼Eに提示することができるとともに、光学系へのゴミの付着等による近用視標像P2の視認性の低下等を適切に防ぐことができる。
また、実施例1では、ウインドウ31aに設けられた透明スクリーン41に、プロジェクタ42によって近用視標像P2を投影しているため、近用視標像P2と遠用視標像P1とを同時に被検眼Eに提示することができる。この同時の提示によって行う検査は、例えば、メガネ、コンタクトレンズ、眼内レンズの処方を行うときに、先の遠用検査と近用検査で取得した処方データが適切であるか最終的な確認や微調整の際に好適に行える。さらには、この検査は、仕上がったメガネやコンタクトレンズを装着した被検眼E、眼内レンズを挿入した被検眼E等の見え方の確認の際等に好適に行える。
遠用視標像P1と近用視標像P2とを同時に提示するときは、互いに重ならないように、提示する領域を分けつつ、被検眼Eが視認可能な範囲内であって平面視で隣接して提示する。「被検眼Eが視認可能な範囲内」とは、ウインドウ31aを介して被検者H(被検眼E)が目視できる範囲(視野内)である。この範囲内に、遠用視標像P1と近用視標像P2を、各々個別に、又は同時に提示する。さらに、実施例1では、被検者Hはレフラクターヘッド2の検眼窓23L、23Rを介して視標像を視認する。このため、「被検眼Eが視認可能な範囲内」は、被検眼Eが検査用レンズ24を通して目視できる範囲内(検査用レンズ24の視野内)であって、検査用レンズ24の収差の影響を受けない領域であることが好ましい。この領域内に、遠用視標像P1と近用視標像P2とが個別に、又は平面視で隣接して提示されることで、眼科装置100は、被検者Hに歪み等のない鮮明な視標像を提示することができる。
例えば、第1の表示部33の中央に遠用視標像P1を表示させ、透明スクリーン41の下方に近用視標像P2を投影することで、図3(c)に示すように、ウインドウ31aを介して被検眼Eに、遠用視標像P1と近用視標像P2とが上下に隣接して提示される。このため、被検者Hは、検査用レンズ24を通して、遠用視標像P1と近用視標像P2とを目視することができる。このとき、レフラクターヘッド2の向きや遠用視標像P1と近用視標像P2の提示位置を変更しなくても、被検者Hは視線を移動するだけで、検査用レンズ24を通して目視する対象を、遠用視標像P1から近用視標像P2に、又は近用視標像P2から遠用視標像P1に自在に切り替えることができる。
したがって、被検者Hは、遠用検査と近用検査とを続けて、又は何度も交互に行うことができる。また、遠用視標像P1と近用視標像P2とを切替えて提示する手数を省き、眼科装置100での検査効率を著しく向上させることができる。また、同時に提示した場合でも、遠用視標像P1と近用視標像P2に対する見え方を順次被検者Hに応答させることで、その応答時間によって被検眼Eの調節にかかる時間を測定することもできる。
図3(d)は、遠用視標像P1と近用視標像P2とを同時に提示した他の例を示す。この例では、遠用視標像P1と近用視標像P2とは、一列に交互に並べて提示されている。この例でも、被検者Hは、遠用検査と近用検査を交互に行うことができる。また、検者は、被検者Hに指示して左又は右から順に遠用視標像P1と近用視標像P2を交互に視認して応答させ、その応答時間を測定することで、被検眼Eの調節にかかる時間を測定することができる。なお、図3(d)では、理解を容易とするため、遠用視標像P1はひらがなで、近用視標像P2はランドルト環で示しているが、これに限定されず、双方ともにひらがな又はランドルト環としてもよいし、他の視標像であってもよい。
なお、図3(c)、(d)では、遠用視標像P1と近用視標像P2の位置関係を説明するべく、双方を鮮明に図示、つまり双方に被検眼Eのピントが合っているように図示しているが、実際は、被検眼Eの固視対象となる、遠用視標像P1と近用視標像P2の何れか一方に被検眼Eのピントが合うものである。
また、遠用視標像P1及び近用視標像P2の隣接方向(並び方向)は、特に限定されず、平面視で上下方向、左右方向、斜め方向の何れでもよい。この中でも、遠用視標像P1を上に、近用視標像P2を下に配置することが最も好ましい。なぜなら、2焦点レンズや累進レンズ等を用いた、遠近両用メガネ、コンタクトレンズ、眼内レンズ(IOL)等では、遠方を見る場合は、被検者Hはレンズ中心を通る主光軸Sに沿った方向、すなわち、真直ぐな方向に視線を向け、近方を見る場合は、視線を下方に向けるためである。遠用視標像P1及び近用視標像P2を上下に配置とすることで、遠近両用メガネ等の、実際の使用に即した検査が可能となるとともに、被検眼Eの眼特性の検査及び矯正を、より精度よく、より適切に行うことが可能となる。
また、一方の被検眼Eの矯正レンズを遠用レンズとし、他方の被検眼Eの矯正レンズを近用レンズとする、いわゆるモノビジョンのメガネ、コンタクトレンズ、眼内レンズ等の処方等には、遠用視標像P1と近用視標像P2とを上下のみならず、左右に並べて配置して検査することも有効である。
(実施例2)
以下、実施例2に係る眼科装置100Aの構成を、図4に基づいて説明する。実施例2の眼科装置100Aは、透明スクリーン41及びプロジェクタ42を有する近用視標提示部4に代えて、透明ディスプレイ44を有する近用視標提示部4Aを備えること以外は、図1等に示す実施例1の眼科装置100と同一の基本構成を有している。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略し、以下では、実施例1と異なる構成について主に説明する。以降で説明する実施例3~実施例8も同様である。
図4に示すように、実施例2に係る眼科装置100Aは、検眼テーブル1と、レフラクターヘッド2と、遠用視標提示光学系32及び近用視標提示部4Aを有する視標提示装置3とを有する装置本体6、並びにコントローラ5(図4では図示せず、図1等参照)と、を備えている。検眼テーブル1、レフラクターヘッド2、筺体31、遠用視標提示光学系32は、実施例1のこれらと同様のものを用いることができる。
一方、実施例2の近用視標提示部4Aは、第2の表示部である透明ディスプレイ44と、図示しない移動機構とを有している。透明ディスプレイ44は、筺体31のウインドウ31aに配置されている。なお、ウインドウ31aは、この透明ディスプレイ44のみが配置されるものでもよいし、アクリル樹脂(PMMA)、ガラス等の透光性を有する板部材と、透明ディスプレイ44とが配置されるものでもよい。
透明ディスプレイ44は、ガラス等の透明な部材に画像や文字等の情報を表示する機器である。透明ディスプレイ44は、例えば、液晶透明ディスプレイ、有機EL透明ディスプレイ、無機EL透明ディスプレイ等から構成することができる。
透明ディスプレイ44は、バックライトを有するものであってもよいし、第1の表示部33(ディスプレイ)の光を、バックライト代わりに用いるものであってもよい。第1の表示部33をバックライトとして用いる場合は、第1の表示部33に白画像を表示する。
透明ディスプレイ44は、電動式又は手動式の公知の移動機構によって、Z軸に沿って被検者Hの方向又は筺体31の内部方向(奥行方向、Z方向)に移動可能となっている。この構成により、透明ディスプレイ44に表示される近用視標像P2の被検眼Eからの距離、つまり近用検査距離を所定範囲(例えば、300mm~400mmの範囲)で変更することが可能となる。このため、被検者Hは、様々な近用検査距離での近用検査を行うことが可能となる。
実施例2の眼科装置100Aにおいて、遠用検査を行うときには、制御部53は遠用視標提示光学系32を制御して、第1の表示部33に表示した遠用視標像P1(虚像)を、遠用検査距離に提示させる。これにより、被検者Hは、遠用検査を行うことができる。このとき、透明ディスプレイ44を消灯することで、被検者Hは、遠用検査に集中することができる。
また、近用検査を行うときには、制御部53は、第1の表示部33を消灯して、またはバックライトとして使用する場合は白画像を表示して、透明ディスプレイ44に近用視標像P2を表示させる。これにより、被検者Hは近用検査を行うことができる。
このように、視標提示装置3は、被検眼Eが視認可能な一つの範囲内(視野内)で被検眼Eへ提示する視標像を、遠用視標像P1から近用視標像P2に、短時間で迅速に切り替えることができる。したがって、実施例2の眼科装置100Aは、被検眼Eの遠用検査と近用検査とを行う際の検査効率を、より向上させることが可能となる。また、実施例2の眼科装置100Aは、遠用検査と近用検査とを短時間で切り替えできるため、被検眼Eの調節にかかる時間の測定を行うこともできる。
また、実施例2の眼科装置100Aは、透明ディスプレイ44からの光束を反射する反射光学系を備えていないため、光量を低下させることなく近用視標像P2を被検眼Eに提示することができるとともに、ゴミの付着等による近用視標像P2の視認性の低下を適切に防ぐことができる。
また、実施例2の眼科装置100は、透明ディスプレイ44を用いていることから、遠用視標提示光学系32で遠用視標像P1を提示する領域と、透明ディスプレイ44で近用視標像P2を提示する領域とを分けることで、これらを隣接して同時に被検眼Eに提示することができる。このため、遠用視標像P1と近用視標像P2とを切り替えて提示する必要がなく、実施例2の眼科装置100は、検査効率をさらに向上させることができるとともに、被検眼Eの調節にかかる時間の測定を行うこともできる。
(実施例3)
以下、実施例3に係る眼科装置100Bの構成を、図5に基づいて説明する。実施例3の眼科装置100Bは、第1の表示部33を第2の表示部として兼用している。実施例3の眼科装置100Bは、検眼テーブル1と、レフラクターヘッド2(図1参照)と、視標提示装置3を有する装置本体6、及びコントローラ5(図1参照)を備えている。検眼テーブル1、レフラクターヘッド2及びコントローラ5は、実施例1と同様のものを用いることができる。
視標提示装置3は、ウインドウ31aが設けられた筺体31と、筺体31に内蔵された遠用視標提示光学系32とを備えている。ウインドウ31aは、アクリル樹脂(PMMA)、ガラス等の透光性を有する板部材が配置されている。遠用視標提示光学系32は、第1の表示部33と、反射ミラー36と、凸レンズ系34と、光路折り曲げミラー35とを備えている。第1の表示部33、凸レンズ系34及び光路折り曲げミラー35は、実施例1と同様のものを用いることができる。
反射ミラー36は、第1の表示部33からの光束の光路を反射することで折り曲げて、反射光束を凸レンズ系34に向ける平面ミラー(平面鏡)である。反射ミラー36は、筺体31の下部に、XZ平面に平行に(水平に)配置されている。第1の表示部33は、筺体31の上部で反射ミラー36からY方向においてズレた位置に、その表示面33aから反射ミラー36に向けて光束を出射可能に斜め下方に向けて配置されている。このときの位置を第1位置とする。凸レンズ系34は、その光軸が、反射ミラー36で反射される光束の光軸と一致するように、筺体31の上部に斜めに配置されている。
このような位置合わせで遠用視標提示光学系32の各部材が配置されていることで、第1の表示部33の法線軸と凸レンズ系34の光軸が一致するものとなる。この結果、遠用視標提示光学系32は、例えば、凹面鏡を用いたときのようなコマ収差等の発生が適切に抑制され、遠用視標像P1を適切かつ鮮明に提示することができる。
また、実施例3では、第1の表示部33は、X軸に平行な回転軸37aを有する公知の回転機構37によって、制御部53の制御の下自動で、又は外部から手動で回転軸37aを中心として回転可能に構成されている。この回転機構37により、第1の表示部33は、反射ミラー36に向けて光束を出射可能な第1位置と、被検眼Eに対向する位置(「第2位置」という。)との間を回転して移動可能となっている。この第2の位置は、被検者Hが、視線をやや下に向けたときに第1の表示部33を視認可能な位置である。この第2位置に位置されたとき、第1の表示部33は第2の表示部として機能する。すなわち、実施例3では、第1の表示部33及び回転機構37は、第2の視標提示部(近用視標提示部4B)として機能する。
このような構成の実施例3の眼科装置100において、遠用検査を行うときには、第1の表示部33は、図1の実線で示すように、第1位置に配置される。そして、第1の表示部33は、その表示面33aに遠用視標像P1を表示させると、出射した光束は、反射ミラー36で反射され、凸レンズ系34を透過し、光路折り曲げミラー35によって反射されることで、被検眼Eの前方の遠用検査距離の像点位置Iに遠用視標像P1の虚像となって提示される。これにより、被検者Hは、遠用検査を行うことができる。
一方、近用検査を行うときは、制御部53が回転機構37を駆動制御することで、第1の表示部33は、図5に仮想線で示すように第2位置に配置される。つまり、第1の表示部33は、被検眼Eの前方のやや下方に、被検眼Eと対峙するように配置される。そして、第1の表示部33がその表示面33aに近用視標像P2を表示することで、この近用視標像P2を被検眼Eに提示することができる。これにより、被検者Hは、近用検査を行うことができる。
以上、実施例3の眼科装置100Bは、回転機構37によって第1の表示部33を第1位置と第2位置とに移動させることで、被検眼Eが視認可能な一つの範囲内(視野内)で被検眼Eへ提示する視標像を、遠用視標像P1から近用視標像P2に、短時間で迅速に切り替えることができる。したがって、実施例3の眼科装置100Bは、被検眼Eの遠用検査と近用検査とを行う際の検査効率を、より向上させることが可能となるとともに、被検眼Eの調節にかかる時間の測定を行うこともできる。
また、実施例3の眼科装置100Bは、第2位置における第1の表示部33からの光束を反射する反射光学系を備えていないため、光量を低下させることなく近用視標像P2を被検眼Eに提示することができるとともに、ゴミの付着等による近用視標像P2の視認性の低下を適切に防ぐことができる。
(実施例4)
以下、実施例4に係る眼科装置100Cの構成を、図6、図7に基づいて説明する。実施例4の眼科装置100Cは、検眼テーブル1と、レフラクターヘッド2(図1参照)と、視標提示装置3を有する装置本体6、及びコントローラ5(図1参照)を備えている。検眼テーブル1、レフラクターヘッド2及びコントローラ5は、実施例1と同様のものを用いることができる。
視標提示装置3は、ウインドウ31aが設けられた筺体31と、筺体31に内蔵された遠用視標提示光学系32、を備えている。遠用視標提示光学系32は、第1の表示部33と、反射ミラー36と、凸レンズ系34と、光路折り曲げミラー35とを備えている。第1の表示部33、凸レンズ系34及び光路折り曲げミラー35は、実施例1と同様のものを用いることができる。なお、図7の符号f0は凸レンズ系34の焦点を示している。ここで、物点Oは凸レンズ系34の焦点距離f以内にある。すなわち、第1の表示部33は、表示面33aの位置が凸レンズ系34の焦点距離f以内に存在する位置に配置されている。他の実施例においても同様である。
反射ミラー36は、第1の表示部33からの光束の光路を反射することで折り曲げて、反射光束を凸レンズ系34に向けるミラーである。実施例4の反射ミラー36は、第1の表示部33からの光束を直接反射する第1ミラー36aと、第1ミラー36aによって反射された反射光束を凸レンズ系34に向けて反射する第2ミラー36bとから構成されている。
第1ミラー36aは、第1の表示部33の表示面33aに対し、水平方向に対向する位置に配置されるとともに、反射面を第1の表示部33の下方に向けた一枚のミラーである。第1ミラー36aの反射面の傾斜角度θ1は、ここでは、水平方向に対して75°に設定されている。そして、第1ミラー36aは、第1の表示部33からの光束を、被検者Hの視線に交差(実施例4では直交)するXY平面に沿って第1の表示部33よりも下方に向けて反射する。
一方、第2ミラー36bは、第1の表示部33よりも下方であって、第1ミラー36aによって反射された反射光束を反射可能な位置に配置された一枚のミラーである。この第2ミラー36bは、第1の表示部33からの光束に干渉しない位置であって、凸レンズ系34に対し、鉛直方向に対向する位置に配置されている。また、第2ミラー36bの反射面は、上方に向けられるとともに、鉛直方向に対して傾斜している。第2ミラー36bの反射面の傾斜角度θ2は、ここでは、鉛直方向に対して60°に設定されている。そして、第2ミラー36bは、第1ミラー36aによって反射された反射光束を、被検者Hの視線に交差(実施例4では直交)するXY平面に沿って鉛直上方に向けて反射する。ここで、反射光束の反射方向は、第1の表示部33からの光束の出射方向に対し、視線の方向(装置本体6の奥行き方向)から見たときに交差する。
このような構成の遠用視標提示光学系32とすることで、視標提示装置3は、第1の表示部33の表示面33aから凸レンズ系34までの必要な光路長を確保しつつ、高さ方向のコンパクト化を図ることができる。
また、実施例4では、第1の表示部33は、公知の回転機構37によって、制御部53の制御の下自動で、又は外部から手動でY軸及びZ軸を回転軸として回転可能に構成されている。この回転機構37は、第1の表示部33に連結された回転棒37bと、この回転棒37bを回転させる図示しない回転部から構成される。この回転機構37により、第1の表示部33は、図6に点線で示すように、又は図7(a)に示すように、表示面33aが第1ミラー36aに対向して、この第1ミラー36aに向けて光束を出射可能な第1位置と、図6に実線で示すように、又は図7(b)に示すように、表示面33aが被検眼Eに対向する位置(「第2位置」という。)との間を回転して移動可能となっている。この第2の位置は、表示面33aがXY平面に平行になる位置であるが、視線をやや下に向けたときに第1の表示部33を視認可能な位置としてもよい。この第2位置に位置されたとき、第1の表示部33は第2の表示部として機能する。すなわち、実施例3でも、第1の表示部33及び回転機構37は、第2の視標提示部(近用視標提示部4C)として機能する。さらに実施例4では、回転機構37は、第1の表示部33とともに、公知の移動機構によって奥行方向(Z方向)に移動可能な構成としてもよい。
このような構成の実施例4の眼科装置100Cにおいて、遠用検査を行うときには、第1の表示部33は、図7(a)に示すように第1位置に配置される。そして、第1の表示部33が、その表示面33aに遠用視標像P1を表示させると、出射した光束は、第1ミラー36a及び第2ミラー36bで反射され、凸レンズ系34を透過し、光路折り曲げミラー35によって反射されることで、被検眼Eの前方の遠用検査距離の像点位置Iに遠用視標像P1の虚像となって提示される。これにより、被検者Hは、遠用検査を行うことができる。
一方、近用検査を行うときは、制御部53は、回転機構37を駆動して、まずは回転棒37bとともに第1の表示部33を、Y軸を回転軸として回転させ、図7(b)に仮想線で示すように第1の表示部33をXY平面に平行に配置する。さらに制御部53は、回転機構37を駆動して、回転棒37bとともに第1の表示部33を、Z軸を回転軸として回転させ、図7(b)に実線で示すように第1の表示部33を、被検者Hに対峙する第2位置に配置する。そして、第1の表示部33がその表示面33aに近用視標像P2を表示することで、この近用視標像P2を被検眼Eに提示することができる。これにより、被検者Hは、近用検査を行うことができる。
さらに、第1の表示部33とともに回転機構37が、移動機構によって奥行方向(Z方向)に移動する構成とすることで、近用検査距離を、所望の範囲(例えば300mm~400mmの範囲)で変更することが可能となる。この結果、被検者Hは、近用検査を所望の近用検査距離で、又は複数の異なる近用検査距離で行うことが可能となる。
以上、実施例4の眼科装置100Cは、回転機構37によって第1の表示部33を移動させることで、被検眼Eが視認可能な一つの範囲内(視野内)で、被検眼Eへ提示する視標像を、遠用視標像P1から近用視標像P2に、短時間で迅速に切り替えることができる。したがって、実施例4の眼科装置100Cは、被検眼Eの遠用検査と近用検査とを行う際の検査効率を、より向上させることが可能となるとともに、被検眼Eの調節にかかる時間の測定を行うこともできる。
また、実施例4の眼科装置100Cは、第1の表示部33を第2位置に配置したときに、第1の表示部33からの光束を反射する反射光学系を備えていないため、光量を低下させることなく近用視標像P2を被検眼Eに提示することができる。
(実施例5)
以下、実施例5に係る眼科装置100Dの構成を、図8に基づいて説明する。実施例5に係る眼科装置100D及び以降で説明する実施例6、7に係る眼科装置100E,100Fは、第2の表示部が、光路折り曲げミラー35の近傍であって、光路折り曲げミラー35によって被検眼Eによる視認が妨げられない位置に、被検眼Eに対向するように配置される実施例である。実施例5の眼科装置100Dは、視標提示装置3(装置本体6)、及びコントローラ5(図1参照)を備えている。コントローラ5は、実施例1と同様のものを用いることができる。また、眼科装置100Dは、レフラクターヘッド2(図1参照)等の検眼光学系を備えていてもよい。
視標提示装置3(装置本体6)は、床面Fに設置される。視標提示装置3は、ウインドウ31aが設けられた筺体31と、筺体31に内蔵された遠用視標提示光学系32と、近用視標提示部4Dとを備えている。遠用視標提示光学系32は、第1の表示部33と、反射ミラー36と、凸レンズ系34と、光路折り曲げミラー35、反射ミラー36とを備えている。第1の表示部33及び凸レンズ系34は、実施例1と同様のものを用いることができ、反射ミラー36は実施例3と同様のものを用いることができる。光路折り曲げミラー35は、第1の表示部33からの光束を反射し、後述の第2の表示部45からの光束を透過するハーフミラーから構成される。
近用視標提示部4Dは、第2の表示部45を有している。第2の表示部45は、LCDや有機EL等の電子表示デバイス(ディスプレイ)から構成され、第1の表示部33とは異なる波長の光を出射する。第2の表示部45は、ウインドウ31a及び光路折り曲げミラー35の後方(光路折り曲げミラー35を介してウインドウ31aと反対側)に、表示面45aが被検者Hに対峙するように配置されている。
このような構成の実施例5の眼科装置100Dにおいて、遠用検査を行うときには、制御部53は遠用視標提示光学系32を制御し、第1の表示部33に表示した遠用視標像P1(虚像)を、遠用検査距離に提示させる。これにより、被検者Hは、遠用検査を行うことができる。このとき、第2の表示部45を消灯することで、被検者Hは、遠用検査に集中することができる。
また、近用検査を行うときには、制御部53は、第1の表示部33を消灯して、第2の表示部45に近用視標像P2を表示させる。この近用視標像P2の光束は光路折り曲げミラー35を透過して、被検眼Eに提示される。これにより、被検者Hは近用検査を行うことができる。
このように、視標提示装置3は、第1の表示部33と第2の表示部45とを切り替えて点灯させることで、被検眼Eが視認可能な一つの範囲内(視野内)で被検眼Eへ提示する視標像を、遠用視標像P1から近用視標像P2に、短時間で迅速に切り替えることができる。したがって、実施例5の眼科装置100Dは、被検眼Eの遠用検査と近用検査とを行う際の検査効率を、より向上させることが可能となるとともに、被検眼Eの調節にかかる時間の測定を行うこともできる。
また、実施例5の眼科装置100Dは、第2の表示部45からの光束を反射する反射光学系を備えていないため、光量を低下させることなく近用視標像P2を被検眼Eに提示することができるとともに、ゴミの付着等による近用視標像P2の視認性の低下を適切に防ぐことができる。
また、実施例5の眼科装置100Dは、第1の表示部33と、第2の表示部45と、第1の表示部33からの光束を反射させ、第2の表示部45からの光束を透過させる光路折り曲げミラー35を有している。このため、第1の表示部33で遠用視標像P1を提示する領域と、第2の表示部45で近用視標像P2を提示する領域とを分けることで、これらを隣接して同時に被検眼Eに提示することができる。このため、遠用視標像P1と近用視標像P2とを切り替えて提示する必要がなく、実施例2の眼科装置100は、検査効率をさらに向上させることができるとともに、被検眼Eの調節にかかる時間の測定を行うこともできる。
(実施例6)
以下、実施例6に係る眼科装置100Eの構成を、図9に基づいて説明する。実施例6の眼科装置100Eは、光路折り曲げミラー35のサイズと、第2の表示部45の配置態様が異なること以外は、実施例5に係る眼科装置100Dと同一の基本構成を備えている。このため、実施例5と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略し、以下では、実施例5と異なる構成について主に説明する。
実施例6の光路折り曲げミラー35は、実施例5の向上よりも縦の長さ(Y方向の長さ)が短い。具体的には、主光軸Sを介して下側の部分が短く形成されている。そして、この光路折り曲げミラー35の下端及び主光軸Sよりも下側であって被検眼Eから視認可能な範囲内に、第2の表示部45(近用視標提示部4E)が斜め上方を向いて配置されている。この第2の表示部45は、第1の表示部33と同様のものを用いることができ、第1の表示部33と同じ波長の光束を出射することができる。
このような構成の実施例6の眼科装置100Eにおいて、遠用検査を行うときには、制御部53は遠用視標提示光学系32を制御し、第1の表示部33に表示した遠用視標像P1(虚像)を、遠用検査距離に提示させる。これにより、被検者Hは、遠用検査を行うことができる。このとき、第2の表示部45を消灯することで、被検者Hは、遠用検査に集中することができる。
また、近用検査を行うときには、制御部53は、第1の表示部33を消灯して、第2の表示部45に近用視標像P2を表示させる。この近用視標像P2の光束は光路折り曲げミラー35の下方を通過して被検眼Eに提示される。第2の表示部45が、主光軸Sよりも下方に配置されていることから、被検者Hは、視線を下方に向けることで、近用視標像P2を視認しつつ、近用検査を行うことができる。
このように、視標提示装置3は、第1の表示部33と第2の表示部45とを切り替えて点灯させることで、被検眼Eが視認可能な一つの範囲内(視野内)で被検眼Eへ提示する視標像を、遠用視標像P1から近用視標像P2に、短時間で迅速に切り替えることができる。したがって、実施例5の眼科装置100Dは、被検眼Eの遠用検査と近用検査とを行う際の検査効率を、より向上させることが可能となるとともに、被検眼Eの調節にかかる時間の測定を行うこともできる。
また、実施例5の眼科装置100Dは、第2の表示部45からの光束を反射する反射光学系を備えていないため、光量を低下させることなく近用視標像P2を被検眼Eに提示することができるとともに、ゴミの付着等による近用視標像P2の視認性の低下を適切に防ぐことができる。
また、実施例6の眼科装置100Eは、第2の表示部45によって、被検眼Eが視認できる範囲内の下側に近用視標像P2を提示できる。このため、第1の表示部33で遠用視標像P1を、第2の表示部45で近用視標像P2を提示する領域と異なる領域(例えば上部)に提示することで、これらを隣接して同時に被検眼Eに提示することができる。この結果、遠用視標像P1と近用視標像P2とを切り替えて提示する必要がなく、実施例6の眼科装置100Eは、検査効率をさらに向上させることができるとともに、被検眼Eの調節にかかる時間の測定を行うこともできる。
(実施例7)
以下、実施例7に係る眼科装置100Fの構成を、図10に基づいて説明する。実施例10の眼科装置100Fは、第2の表示部45の配置態様が異なること以外は、実施例5に係る眼科装置100Dと同一の基本構成を備えている。このため、以下では、実施例5と異なる構成及び機能等について主に説明する。
実施例7では、光路折り曲げミラー35が、図示しない公知の回転機構によって、その傾斜角度を変更可能であることを利用して、遠用視標像P1と近用視標像P2とを切り替えて被検眼Eに提示可能としている。このため、光路折り曲げミラー35は、高さ調整機構としてだけではなく、近用視標提示部4Fとしても機能する。
実施例7の近用視標提示部4Fは、第2の表示部45を有している。この第2の表示部45は、主光軸Sよりも下側であって被検眼Eから視認可能な範囲内に、その表示面45aが被検者Hに対峙するように、斜め上方を向いて配置されている。
このような構成の実施例7の眼科装置100Fにおいて、遠用検査を行うときには、制御部53は回転機構を制御して、図10に実線で示すように、主光軸Sに対して約45°の傾斜角度で光路折り曲げミラー35を傾斜して配置する。次いで、制御部53は、第1の表示部33を制御して、遠用視標像P1を表示させると、この遠用視標像P1の光束が、反射ミラー36で反射され、凸レンズ系34を透過し、光路折り曲げミラー35によって反射されることで、被検眼Eの前方の遠用検査距離の像点位置Iに遠用視標像P1の虚像となって提示される。これにより、被検者Hは、遠用検査を行うことができる。
このとき、第2の表示部45が点灯していても、その前方(ウインドウ31a側)に配置された光路折り曲げミラー35によって、第2の表示部45の光束が反射されるので、遠用視標像P1の視認に影響することはない。しかし、第2の表示部45を消灯させることが好ましく、被検者Hは、遠用検査に集中することができる。
また、近用検査を行うときには、制御部53は、回転機構を制御して、第1の表示部33を消灯し、光路折り曲げミラー35を回転させて、図10に仮想線で示すように、XZ平面にほぼ平行となるような傾斜角度で傾斜させ、第2の表示部45の前方から退避させる。すなわち、光路折り曲げミラー35を、第2の表示部45からの光束の通過を妨げない位置に退避させる。次いで、制御部53は、第2の表示部45を制御して、その表示面45aに近用視標像P2を表示させる。この近用視標像P2の光束はウインドウ31aを透過して、被検眼Eに提示される。これにより、被検者Hは近用検査を行うことができる。なお、光路折り曲げミラー35を退避させていることから、第1の表示部33からの光束が、被検眼Eで視認できる範囲外に反射されるため、例え、第1の表示部33が点灯していても、近用視標像P2の視認への影響を防ぐことができる。
以上、実施例7の眼科装置100Fは、回転機構によって光路折り曲げミラー35を回転させることで、被検眼Eが視認可能な一つの範囲内(視野内)で、被検眼Eへ提示する視標像を、遠用視標像P1から近用視標像P2に、短時間で迅速に切り替えることができる。したがって、実施例7の眼科装置100Fは、被検眼Eの遠用検査と近用検査とを行う際の検査効率を、より向上させることが可能となるとともに、被検眼Eの調節にかかる時間の測定を行うこともできる。
また、実施例7の眼科装置100Fは、第2の表示部45からの光束を反射する反射光学系を備えていないため、光量を低下させることなく近用視標像P2を被検眼Eに提示することができる。
以上、本開示の視標提示装置及び眼科装置を実施例に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、上記各実施例の眼科装置100~100Fは、特殊コンタクトレンズによるオルソケラトロジーの治療後の被検眼、レーザー治療後の被検眼、遠近両用眼内レンズ(マルチフォーカルIOL)、乱視矯正機能付き眼内レンズ(プレミアムIOL)、有水晶体眼内レンズ(フェイキックIOL)等を装着した被検眼Eの遠用検査と近用検査にも好適に用いることができる。この場合、各種治療後の被検眼Eの水晶体、コンタクトレンズ、眼内レンズが、検査用レンズとして機能する。
また、他の異なる実施例として、実施例1~実施例7に示す眼科装置100~100Fから選択された1つ又は複数の眼科装置100~100F(より詳細には、各々の装置本体6)と、これらの動作を統括的に制御するコントローラ5と、管理サーバと、を備えた眼科システムを構築することもできる。
各眼科装置100~100Fと、コントローラ5と、管理サーバとは、インターネット等の通信ネットワークを介して通信可能に接続することができる。なお、管理サーバは、必ずしも備えられている必要はなく、各眼科装置100~100Fとコントローラ5とが、直接に通信可能に接続されていてもよい。
各眼科装置100~100Fは、眼科医院、眼鏡店等に設置することができる。コントローラ5は、より高度な知識や技量を有する専門医の居る病院、眼科装置メーカ、眼鏡店の本部等の遠隔地(または、眼科医院や眼科店等の別室でもよい)に設置することで、専門医や、メーカの社員や、熟練の検者等が操作することができる。管理サーバは、自社サーバ、クラウドサーバ等からなり、コントローラ5からの操作入力を受けて、各装置本体6の動作を制御したり、測定結果等を管理したりすることができる。
このような構成の眼科システムでは、遠隔地に居る検者が、コントローラ5を操作して、第1の視標提示部(遠用視標提示光学系32)に遠用視標像P1を提示させ、第2の視標提示部(近用視標提示部4~4F)に近用視標像P2を提示させることができる。
したがって、検者が眼科装置100~100Fから離れた場所において、コントローラ5によって制御して、遠用視標像P1と近用視標像P2とを短時間で切り替えて提示できるので、遠隔によっても、検査効率向上させることができる。また、熟練した検者による検査や無人での検査が可能となるとともに、検者と被検者Hとの接触を回避して、感染対策等を図ることもできる。
また、実施例1及び実施例2では、第1の表示部33と、凸レンズ系34と、光路折り曲げミラー35とを有する遠用視標提示光学系32を備える視標提示装置3に、第2の表示部である透明ディスプレイ42及びプロジェクタ42、又は透明ディスプレイ44を設けているが、この構成に限定されない。実施例1又は実施例2のような遠用視標提示光学系32以外の光学系を備える視標提示装置に、透明ディスプレイ42及びプロジェクタ42、又は透明ディスプレイ44を設けてもよい。すなわち、被検眼に対して所定の第1の距離に第1の視標像を表示する第1の表示部を有する第1の視標提示部と、第1の視標提示部を収容し被検眼に対向する面にウインドウが設けられた筐体と、ウインドウに設けられた第2の表示部である透明スクリーン、及び透明スクリーンに第1の距離とは異なる第2の検査距離に第2の視標像を投影する投影光学系を有する第2の視標提示部と、を少なくとも備えた視標提示装置及びこの視標提示装置を備えた眼科装置とすることもできる。また、被検眼に対して所定の第1の距離に第1の視標像を表示する第1の表示部を有する第1の視標提示部と、第1の視標提示部を収容し被検眼に対向する面にウインドウが設けられた筐体と、ウインドウに設けられて第1の距離とは異なる第2の検査距離に第2の視標像を提示する第2の表示部である透明ディスプレイを有する第2の視標提示部と、を少なくとも備えた視標提示装置及びこの視標提示装置を備えた眼科装置とすることもできる。このような視標提示装置及び眼科装置においても、被検眼の遠用検査と近用検査とを行う際の検査効率を、より向上させることが可能となるとともに、実施例1、実施例2と同様の効果を奏することができる。
3 :視標提示装置
4,4A,4B,4C,4D,4E,4F :近用視標提示部(第2の視標提示部)
31 :筺体
31a :ウインドウ
32 :遠用視標提示光学系(第1の視標提示部)
33 :第1の表示部
34 :凸レンズ系
35 :光路折り曲げミラー
36 :反射ミラー
37 :回転機構
41 :透明スクリーン(第2の表示部)
42 :プロジェクタ(投影光学系)
44 :透明ディスプレイ(第2の表示部)
45 :第2の表示部
53 :制御部
100,100A,100B,100C,100D,100E,100F :眼科装置
E :被検眼
H :被検者
I :像点位置
P1 :遠用視標像(第1の視標像)
P2 :近用視標像(第2の視標像)
f :焦点距離

Claims (10)

  1. 第1の視標像を表示する第1の表示部と、
    前記第1の表示部からの光束により前記第1の視標像の虚像を形成するとともに、焦点距離が800ミリメートルよりも長い凸レンズ系と、
    前記凸レンズ系を通過した反射光束の光路を折り曲げて、被検眼の前方の所定の第1の検査距離の像点位置に前記第1の視標像の虚像を提示する光路折り曲げミラーと、を有する第1の視標提示部、及び
    前記第1の検査距離とは異なる第2の検査距離に第2の視標像を提示する第2の表示部を有する第2の視標提示部、を備える
    ことを特徴とする視標提示装置。
  2. 前記第1の視標提示部を収容し前記被検眼に対向する面にウインドウが設けられた筐体を有し、
    前記第2の表示部は、前記ウインドウに設けられた透明スクリーンから構成され、
    前記第2の視標提示部は、前記透明スクリーンに前記第2の視標像を投影する投影光学系を備えている
    ことを特徴とする請求項1に記載の視標提示装置。
  3. 前記第1の視標提示部を収容し前記被検眼に対向する面にウインドウが設けられた筐体を有し、
    前記第2の表示部は、前記ウインドウに設けられた透明ディスプレイから構成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の視標提示装置。
  4. 前記第1の表示部と前記第2の表示部とは、1つの表示部からなり、前記第1の視標提示部は、前記第1の表示部から出射された光束を反射して前記凸レンズ系に導く平面鏡からなる反射ミラーをさらに有し、
    前記第1の表示部を、前記反射ミラーに向けて光束を出射可能な位置と、前記被検眼に対向する位置に移動させる移動機構を備え、前記移動機構によって、前記被検眼に対向する位置に移動したときに、前記第1の表示部が、前記第2の表示部として機能する
    ことを特徴とする請求項1に記載の視標提示装置。
  5. 前記第1の視標提示部を収容し前記被検眼に対向する面にウインドウが設けられた筐体を有し、
    前記第2の表示部は、前記筐体内の前記光路折り曲げミラーの近傍であって、前記光路折り曲げミラーによって前記被検眼による視認が妨げられない位置に、前記被検眼に対向するように配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の視標提示装置。
  6. 被検眼に対して所定の第1の距離に第1の視標像を表示する第1の表示部を有する第1の視標提示部と、
    前記第1の視標提示部を収容し前記被検眼に対向する面にウインドウが設けられた筐体と、
    前記ウインドウに設けられた第2の表示部である透明スクリーン、及び
    前記透明スクリーンに前記第1の距離とは異なる第2の検査距離に第2の視標像を投影する投影光学系を有する第2の視標提示部と、を備えた
    ことを特徴とする視標提示装置。
  7. 被検眼に対して所定の第1の距離に第1の視標像を表示する第1の表示部を有する第1の視標提示部と、
    前記第1の視標提示部を収容し前記被検眼に対向する面にウインドウが設けられた筐体と、
    前記ウインドウに設けられて前記第1の距離とは異なる第2の検査距離に第2の視標像を提示する第2の表示部である透明ディスプレイを有する第2の視標提示部と、を備えた
    ことを特徴とする視標提示装置。
  8. 前記第2の視標提示部は、前記第2の表示部から出射された光束を反射する反射光学系を備えていない
    ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の視標提示装置。
  9. 前記第1の視標像と、前記第2の視標像は、前記被検眼が視認可能な範囲内に、平面視で隣接して前記被検眼に提示される
    ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の視標提示装置。
  10. 請求項1~請求項9の何れか一項に記載の視標提示装置と、
    被検眼の視機能を矯正する検眼光学系と、を備えた
    ことを特徴とする眼科装置。
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