JP2023145219A - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

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貴一 中尾
Kiichi Nakao
将寿 金子
Masahisa Kaneko
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Abstract

【課題】長鎖分岐度の異なるオレフィン重合体を、簡便な方法で作り分ける方法を提供すること。あるいは、長鎖分岐度の異なるオレフィン重合体を製造する簡便な方法を提供すること。【解決手段】特定の遷移金属錯体を含むオレフィン重合用触媒の存在下、ガス状オレフィンの分圧を0.9~6MPa(ゲージ圧)の範囲で制御する方法。前記分圧を高めると長鎖分岐度が少ないオレフィン重合体が得られ易く、前記分圧を低いと長鎖分岐度が高いオレフィン重合体が得られ易い。【選択図】なし

Description

本発明は、様々な長鎖分岐度のオレフィン重合体を効率よく製造するオレフィン重合体の製造方法に関する。
エチレン重合体は、種々の用途に用いられている。たとえば、所謂レジ袋等のポリ袋やラップ用フィルムの様な食品などの包装材や、建築用外装材、内装材、ドアグラスランなどの自動車部品、履物あるいは履物用部品、たとえばスポーツシューズ等の靴底(主にミッドソール)等、様々な用途に用いられている。
エチレン重合体は、長鎖分岐度によってその物性が変化することが知られている。これらのエチレン重合体は、分子量や分岐構造(例えば長鎖分岐、短鎖等)等の分子構造の変更により、その物性が異なることが知られている。その為、世の中では様々な構造、物性を有するエチレン重合体が使用されている。
例えば、直鎖状のエチレン重合体は、一般的に強度に優れる一方、成形性が十分でない傾向がある。長鎖分岐エチレン重合体は、成形性に優れる一方、強度が十分でない場合がある。よって、これらの重合体はその用途に応じて選択して使用されている。
前記の長鎖分岐度の異なるエチレンの重合体を製造する方法は、エチレンの重合に使用する重合触媒の種類や複数種の触媒の組み合わせ、製造方法(ラジカル重合やアニオン重合等)に依存することが多い。(例えば特許文献1~3)
特開2004―182715号公報 国際公開2004-104055号公報 国際公開2006-080578号公報
エチレンの重合に用いられるオレフィン重合用触媒としては、メタロセン化合物等の遷移金属錯体が好適な可能物の一つとされている。一方で、この様な様々な重合体を製造するには、複数のプロセスを保有することや、複数の触媒供給装置を持つプロセスを持つ等の方法が考えられる。この為、コスト増や、触媒のコンタミネーションによる製品品質の不安定化などのリスクを伴う可能性がある。もし一種類の触媒で分岐度が大きく異なるエチレン重合体を作り分けることが出来れば、上記の問題は回避することが出来る。
従って本発明は、触媒の種類を変えずとも直鎖状エチレン重合体。短鎖分岐を有するエチレン重合体、長鎖分岐を有するエチレン重合体を作り分けることが出来る方法を提供することを課題としてなされたものである。
本発明者らが検討した結果、特定の構造を有する遷移金属錯体を含むオレフィン重合用触媒を用い、重合圧力を調整することで直鎖状エチレン重合体、短鎖分岐エチレン重合体、長鎖分岐エチレン重合体を作り分けることが出来る事を見出した。すなわち、本発明は以下の要件によって特定される。
[1]
周期表の第6、第7周期の第3~第10族金属の遷移金属錯体の存在下、エチレンを含むオレフィンの重合を行う際に、
エチレンを必須とし、炭素数3~4のオレフィンの任意成分とするオレフィンガスの分圧を0.9~6MPa(ゲージ圧)の範囲で調整することで、
長鎖分岐度指数(I10/I2)が4~10の範囲のオレフィン重合体を製造する、オレフィン重合体の製造方法。
(前記I10および前記I2は以下のように定義される。
10:ASTM D1238規格に準じ、190℃で、10kg荷重条件で測定されるメルトフローレート。
2:ASTM D1238規格に準じ、190℃で、2.16kg荷重条件で測定されるメルトフローレート。)
[2]
前記遷移金属錯体が周期表4~5族の遷移金属を含む錯体である[1]に記載のオレフィン重合体の製造方法。
[3]
前記遷移金属錯体がハフニウムを含む錯体である[1]に記載のオレフィン重合体の製造方法。
[4]
前記分圧が1.0~4.0MPaの環境下で前記オレフィンの重合を行う[1]に記載のオレフィン重合体の製造方法。
[5]
温度が90~180℃の環境下で前記オレフィンの重合を行う[1]に記載のオレフィン重合体の製造方法。
本発明は、特定の遷移金属錯体を含むオレフィン重合用触媒を用い、エチレンを含むオレフィンの重合圧力を特定の範囲で調節することにより、長鎖分岐度の値の異なるエチレン重合体を製造することが出来る。
重合圧力は、触媒の変更に比してプロセス全体の条件制御等が容易な傾向があるので、長鎖分岐度の異なるエチレン重合体を容易に作り分けることが出来る。
本発明のオレフィンの重合方法を実施する製造装置の一構成例である。
本発明のオレフィン重合体の製造方法について説明する。尚、本願明細書においては、重合体とは共重合体の意味を含み、重合とは共重合の意味を含むものとする。また、「x~y」と言う記載は、xとyとを含む範囲であるであることを示す。
〔遷移金属錯体〕
本発明で使用する遷移金属錯体は周期表の第6、第7周期の第3~第10族遷移金属の錯体である。前記遷移金属としては、周期表の第4族、第5族金属から選ばれることが好ましい。入手容易性の観点からは、第6周期の金属から選ばれることが好ましい。さらに好ましくは周期表の第5族の遷移金属であり、特に好ましくはハフニウムである。この様な遷移金属を含む錯体をオレフィン重合用触媒に用いると、後述するように長鎖分岐度の異なるエチレン重合体を作り分けるのに有利である。この様な効果を発現する理由については後述する。
このような遷移金属錯体を形成する配位子に特に制限は無い。好ましくは、比較的大きな構造の配位子である。この様な配位子の好適な例としては、シクロペンタジエニル骨格とフルオレニル骨格とが炭素やケイ素で連結された配位子である。上記のシクロペンタジエニル骨格とフルオレニル骨格は、炭化水素基などの置換基を有することが好ましい。
上記の様な配位子を含む遷移金属錯体としては、下記のような構造を例示することが出来る。
Figure 2023145219000001
〈R 1 からR 14
式[A3]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1からR4までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R5からR12までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R13とR14とは互いに結合して環を形成していてもよい。
1からR14における炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常1~20、好ましくは1~15、より好ましくは1~10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニル基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
1からR14におけるヘテロ原子含有炭化水素基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フリル基などの酸素原子含有炭化水素基;N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-フェニルアミノ基等のアミノ基、ピリル基などの窒素原子含有炭化水素基;チエニル基などの硫黄原子含有炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子含有炭化水素基の炭素数は、通常1~20、好ましくは2~18、より好ましくは2~15である。ただし、ヘテロ原子含有炭化水素基からはケイ素含有基を除く。
1からR14におけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式-SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1~15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1からR14までの置換基のうち、任意の2つの置換基、例えば隣接した2つの置換基(例:R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R9とR10、R10とR11、R11とR12、R13とR14)は互いに結合して環を形成していてもよい。上記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環、ヘテロ環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環;ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
5、R8、R9およびR12は、好ましくは水素原子である。
6、R7、R10およびR11は、好ましくは水素原子、炭化水素基、酸素原子含有炭化水素基または窒素原子含有炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基である。R6とR7が互いに結合して環を形成し、かつR10とR11が互いに結合して環を形成していてもよい。以上のようなフルオレニル基部分の構造としては、例えば、下式で表されるものが挙げられる。
Figure 2023145219000002
13およびR14は、好ましくは炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、さらに好ましくはアリール基または置換アリール基(ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基を有するアリール基)である。
〈Y〉
式[A3]において、Yは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子であり、好ましくは炭素原子である。
〈M、Q、j〉
式[A3]において、Mは、前記の通り周期表の第6、第7周期の第3~第10族金属の遷移金属である。前記の通り、好ましい態様は第4族金属であり、特に好ましくはハフニウムである。
Qはハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、特に好ましくは塩素が挙げられる。
jは1~4の整数であり、好ましくは2である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
上記遷移金属錯体の具体例としては、国際公開第2004/87775号の第29~43頁に列挙された化合物、国際公開第2006/25540号の第9~37頁に列挙された化合物、国際公開第2015/122414号の[0117]に列挙された化合物、国際公開第2015/122415号の[0143]に列挙された化合物に準じた構造を例示出来る。
《オレフィン重合体の製造方法》
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記遷移金属錯体の存在下にオレフィンの重合を行うことを特徴とする。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記遷移金属錯体をオレフィン重合反応の触媒成分として用いる限り、従来公知のオレフィン重合体の製造方法と同様の方法を適宜採用可能である。
以下、各条件等について説明する。
本発明のオレフィン重合体の製造方法において、オレフィン重合体の重合形式は、バッチ重合、連続重合、セミ連続重合の何れの形式も採用できるが、本発明の製造方法は、とりわけ生産速度の速い連続重合プロセスを用いた場合に上記遷移金属錯体(たとえば、ハフニウムハライド型錯体化合物)(以下「遷移金属錯体(A)」とも記載する。)、有機金属化合物(B)、および炭化水素化合物(C)を含み、当該(A)成分と当該(B)成分との金属元素モル比〔(A)/(B)〕が1/1~1/500の範囲にある遷移金属錯体溶液が有効に機能すると考えられる。
重合を行う反応装置は、SUS製等の反応容器に、撹拌翼を有する回転可能な撹拌軸が備えられている反応装置を挙げることができる。また該撹拌翼としては、傾斜パドル翼、タービン翼、アンカー翼、ヘリカルリボン翼、大型の板翼等が例示される。
本発明の製造方法に用いられる反応器、反応装置のサイズは、好ましくは1リットル~1000立方メートルの範囲である。より好ましい下限値は5リットル、更に好ましくは10リットルである。一方、より好ましい上限値は800立方メートル、さらに好ましくは700立方メートルである。白濁の原因と考えられるオレフィン重合用触媒に対するエチレンの過剰供給状態は、反応器、反応装置のサイズが大きくなる場合に発生し易くなる傾向があるが、反応器、反応装置のサイズが上記の範囲であれば、白濁の原因と考えられるオレフィン重合用触媒に対するエチレンなどのオレフィンの過剰供給状態が起こりにくくなるであろう。
〔重合圧力〕
本発明の製造方法において、オレフィン重合体を製造する際の重合圧力(P)は、0.9~20MPaである。好ましい下限値は1.0MPaである。一方、好ましい上限値は15MPaであり、より好ましくは10MPaであり、さらに好ましくは6MPaである。尚、本発明の圧力は、断りの無い限りは、ゲージ圧の値である。
本発明においては、後述するオレフィンのうち、エチレンと炭素原子数3~4のオレフィンの分圧が0.9MPa~6MPaの範囲で調整するが肝要である。前記分圧の好ましい下限値は1.0MPaであり、より好ましくは1.2MPaである。一方好ましい上限値は5.0MPaであり、より好ましくは4.0MPaであり、さらに好ましくは3.5MPaであり、特に好ましくは3.0MPaである。
前記の特定の遷移金属錯体の存在下にオレフィンの重合を行う際に、このような前記分圧の範囲で、前記分圧を調整することで、得られるオレフィン重合体の長鎖分岐度を調整することが出来る。本発明における長鎖分岐度の指標は後述する。
前記オレフィンの分圧が高い条件では長鎖分岐度の低いオレフィン重合体が得られる傾向がある。一方、前記オレフィンの分圧が低い条件では、長鎖分岐度が高いオレフィン重合体が得られる傾向がある。この様にオレフィンの分圧によって、長鎖分岐度を調整できる理由は現時点で定かではないが、本発明者は以下のように推測している。
本発明の前記遷移金属錯体は、ハフニウムを代表例とする周期表の第6~第7周期の金属を含む錯体である。この様な金属は、例えばオレフィン重合用触媒の代表的な錯体の金属である、ジルコニウムやチタンに比して原子のサイズが大きいので、錯体構造を考慮すると、ジルコニウム錯体等の場合に比して中心金属が露出し易い構造になり易かったり、複数の配位子構造(例えばシクロペンタジエニル骨格とフルオレニル骨格)が位置関係を示す角度がやや大きくなる可能性が考えられる。
この様な僅かな中心金属廻りの広がりがある環境では、反応性が高いガス状の前記オレフィンの分圧が高い(オレフィンの存在密度が高い)環境では、重合反応が優位であるが、前記オレフィン分圧が相対的に低くなると、装入するオレフィンによる連鎖移動などが併発し易くなり、その結果として末端二重結合型重合体が副生し易くなる可能性がある。(この傾向は、最も小型のオレフィンであるエチレンで顕著になり易いのかもしれない。)
前記末端二重結合型重合体がオレフィンと共重合すると長鎖分岐型重合体が出来る事になる。この為、本発明のオレフィン重合体の製造方法では、前記オレフィン分圧が低い程、長鎖分岐型のオレフィン重合体が出来やすいのであろう。
本発明の比較例で示した通り、ジルコニウム錯体でも同様の傾向があるかもしれないが、ハフニウム錯体の様な大きな金属の錯体の方が、重合圧力による長鎖分岐度の変化が大きな傾向がある。
このような傾向は、ある程度巨大な配位子を有する錯体であることがより顕著であろうと考えられる。その様な構造であれば、前記の様な環境の影響が顕在化し易いと予想され、配位子が大き過ぎる場合や小さすぎる場合は、前記オレフィン分圧の長鎖分岐度への影響が少なくなる可能性がある。
その為、本発明に用いられる遷移金属錯体の好ましい配位子は、シクロペンタジエニル骨格とフルオレニル骨格とが、炭素やケイ素などによって連結されている基本構造を有する配位子である、と考えることが出来る。
上記の様な範囲の前記オレフィン分圧であれば、比較的高い重合活性で所望のオレフィン重合体を生産できる傾向にある。
〔重合温度〕
本発明の製造方法において、オレフィン重合体を製造する際の好ましい重合温度は-20~200℃である。より好ましい下限値は20℃、更に好ましくは50℃、特に好ましくは90℃である。一方、より好ましい上限値は、190℃であり、更に好ましくは180℃である。この様な範囲の温度であれば、高い重合活性で、所望のオレフィン重合体を得ることができる。
〔原料の供給について〕
本発明の製造方法において、エチレン、α-オレフィンなどのオレフィン、水素の反応装置への供給速度は、遷移金属錯体溶液に含まれる遷移金属錯体(A)(たとえば、ハフニウムハライド型錯体化合物)の量や、反応装置の除熱能力等を考慮して決められる。以下、エチレンとα―オレフィンとの共重合を行う場合を例として説明する。
エチレンとα-オレフィンとの供給量比(エチレン/α-オレフィン)は0.001~1,000が好ましく、0.01~100がより好ましく、さらに好ましくは0.1~10である。これらの比率は何れもモル比である。
製造するオレフィン重合体の分子量は、後述する重合温度等によっても制御できるが、水素を反応させる所謂連鎖移動反応によって制御する方法が好ましい。
エチレンと水素との供給量比(水素/エチレン)は0.001~500,000が好ましく、0.01~100,000がより好ましく、さらに好ましくは0.1~10,000である。これらの比率は何れもモル比である。勿論、潤滑油用途の様な低分子量オレフィン重合体を製造する場合は、相対的に上記の比は小さくする傾向がある。具多的な好ましい範囲はl0.001~100,000であり、0.01~10,000がより好ましく、さらに好ましくは0.1~1,000である。これらの比率は何れもモル比である。
好ましい滞留時間は、1分から10時間であり、より好ましくは、2分~8時間であり、更に好ましくは5分~5時間である。エチレン系共重合体の製造方法が連続重合の場合、滞留時間をこの重合時間と見做すことが出来る。
本発明のオレフィンの製造方法では、上記遷移金属錯体の存在下でオレフィンの重合を行う。この際には、上記遷移金属錯体溶液に含まれる遷移金属錯体は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度として通常、1×10-8~1×10-2グラム原子/リットル、好ましくは1×10-7~1×10-3グラム原子/リットルの範囲の量で用いられる。
なお、前述のオレフィン重合用触媒は、後述する図1に示す反応装置では、エチレンとは別々に供給されることが好ましい。
〔反応装置の一態様〕
以上説明したオレフィン重合体の製造は、例えば、図1に示されるような、液相部(液相)と気相部(気相)とを有する反応装置にて行なわれる。
当該反応装置では、図1に示されるように、エチレンと水素等のガスを、上記(I)の要件の比率で反応装置内に供給する。
図1に示される反応装置でエチレン共重合体の製造を行なう場合、反応装置の液相部に供給するガス中のエチレンのモル濃度(EM1)と、反応装置の気相部におけるエチレンのモル濃度(EM2)との比(EM1/EM2)を、例えば1~50の範囲とすることが好ましい。上記の範囲に両ガス組成を制御することによって、白濁の発生等、組成分布の広がりを抑制できる傾向がある。
図1で示される反応装置では、エチレン系共重合体の製造は、連続重合プロセスで行う。連続重合プロセスでは、未反応のガスを循環させて再利用する(以下、この再利用される未反応ガスを循環ガスともいう)。具体的には、図1に示されるように、原料エチレンや水素等のガスは、コンプレッサーにより圧力を調整された上記の循環ガスに適量加えて、反応系の液相部に供給することが好ましい。このような方法を取ることによって、容易に供給ガス組成を好ましい範囲に制御することが出来ると共に、効率的に白濁を防止することも可能となる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、図1に示すように遷移金属錯体溶液を用いた溶液連続重合で行われることが多い。この場合、長期連続運転可能な条件を選定することが重要である。これらのことを考慮すると、上記の条件の他、反応系のポリマー濃度を1~90質量%の範囲で行うことが好ましい、より好ましくは5~85質量%、更に好ましくは10~80質量%である。上記のポリマー濃度の範囲であれば、ファウリング等の弊害を起し難く、長期間安定して運転を行う上で有利である。
本発明のオレフィン重合体の製造方法においては、前記の遷移金属錯体と、下記の様な有機金属化合物を併用することが出来る。これらの中には、オレフィン重合触媒の助触媒となるものも含む。以下、具体的な化合物について紹介する。
〔有機金属化合物(B)〕
本発明のオレフィン重合の製造方法に用いてもよい有機金属化合物(B)とは、公知の還元能を有する有機金属化合物である。具体例を以下に記載する。
本発明に係る有機金属化合物の例としては、周期律表の1族、2族を含む有機金属化合物が挙げられる。
その他の好ましい例としては、周期律表の13族金属を含む有機金属化合物が挙げられる。中でも、特開2010-248526号公報に記載された以下の有機アルミニウム化合物が好ましい。
〔有機アルミニウム化合物〕
本発明に使用するオレフィン重合用触媒には、有機アルミニウム化合物を併用することが好ましい。この様な化合物としては、例えば下記一般式(6)で表される有機アルミニウム化合物、下記一般式(7)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、又は有機アルミニウムオキシ化合物等を挙げることができる。
a mAl(ORbnpq…(6)
(式中、Ra及びRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
2AlRa 4…(7)
(式中、M2はLi、Na又はKを示し、Raは炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示す。)
上記一般式(6)で表される有機アルミニウム化合物としては、例えば下記一般式(8)、(9)、(10)、又は(11)で表される化合物等を例示できる。
a mAl(ORb3-m…(8)
(式中、Ra及びRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)
a mAlX3-m…(9)
(式中、Raは炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)
a mAlH3-m…(10)
(式中、Raは炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である。)
a mAl(ORbnq…(11)
(式中、Ra及びRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)
上記一般式(8)、(9)、(10)、又は(11)で表されるアルミニウム化合物として、より具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリn-アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルブチルアルミニウム、トリ2-メチルペンチルアルミニウム、トリ3-メチルペンチルアルミニウム、トリ4-メチルペンチルアルミニウム、トリ2-メチルヘキシルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウム等のトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウム;
ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;
一般式(i-C49xAly(C510z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)等で表されるイソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシド等のアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
一般式Ra 2.5Al(ORb0.5等で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)等のアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等その他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化及びハロゲン化されたアルキルアルミニウム
等を挙げることができる。
また、上記一般式(6)で表される化合物に類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252、等を挙げることができる。
上記一般式(7)で表される化合物としては、例えば、LiAl(C254、LiAl(C7154等を挙げることができる。
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組み合わせ、又はハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組み合わせ等を使用することもできる。
これらのうち、有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記一般式(6)で表される有機アルミニウム化合物、又は上記一般式(7)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
下記のような所謂オレフィン重合用助触媒と言われる成分とを組み合わせることも好ましい態様である。
上記化合物としては、例えば、遷移金属錯体(A)(たとえば、ハフニウムハライド型錯体化合物)と反応して以下のイオン対を形成する化合物や有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることができる。(本発明においては、ホウ素も金属元素とみなす場合がある。)この様な成分は、所謂オレフィン重合触媒の助触媒成分と言われることがある。
〔遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物〕
遷移金属錯体(A)(たとえば、ハフニウムハライド型錯体化合物)と反応してイオン対を形成する化合物としては、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、米国特許第5321106号明細書等に記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物及びカルボラン化合物等を挙げることができる。
具体的には、ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基等の置換基を有していてもよいフェニル基又はフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、トリメチルボロン、トリイソブチルボロン等が挙げられる。
イオン性化合物としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023145219000003
式中、Re+としては、H+、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。Rf~Riは、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基又は置換アリール基である。
上記カルベニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオン等の三置換カルベニウムカチオン等が挙げられる。
上記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n-プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン、ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
上記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。
上記のうち、Re+としては、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオン等が好ましく、特にトリフェニルカルベニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
カルベニウム塩として具体的には、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4-メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
アンモニウム塩としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩等を挙げることができる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウム等が挙げられる。
N,N-ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、ジ(1-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレート等が挙げられる。
さらに、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N-ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、あるいは下記式(2)又は(3)で表されるボレート化合物、又は下記式(4)で表される活性水素を含むボレート化合物、又は下記式(5)で表されるシリル基を含むボレート化合物等を挙げることもできる。
Figure 2023145219000004
(式中、Etはエチル基を示す。)
Figure 2023145219000005
活性水素を含むボレート化合物:
[B-Qn(Gq(T-H)r)z]-+…(4)
ここで、Bはホウ素を表す。Gは多結合性ヒドロカーボンラジカルを表し、好ましい多結合性ヒドロカーボンとしては炭素数1~20を含むアルキレン、アリレン、エチレン、アルカリレンラジカルであり、Gの好ましい例としては、フェニレン、ビスフェニレン、ナフタレン、メチレン、エチレン、プロピレン、1,4-ブタジエン、p-フェニレンメチレンが挙げられる。多結合性ラジカルGはr+1の結合、すなわち一つの結合はボレートアニオンと結合し、Gのその他の結合rは(T-H)基と結合する。A+はカチオンである。
上記一般式中のTはO、S、NRj、又はPRjを表し、Rjはヒドロカルバニルラジカル、トリヒドロカルバニルシリルラジカル、トリヒドロカルバニルゲルマニウムラジカル、又はハイドライドを表す。qは1以上の整数で好ましくは1である。T-H基としては、-OH、-SH、-NRH、又はPRjHが挙げられ、ここでRjは炭素数1~18好ましくは炭素数1~10のヒドロカルビニルラジカル又は水素である。好ましいRjはアルキル、シクロアルキル、アリル、アリルアルキル又は炭素数1~18を有するアルキルアリルである。-OH、-SH、-NRjH又はPRjHは、例えば、-C(O)-OH、-C(S)-SH-C(O)-NRjH、及びC(O)-PRjHでもかまわない。最も好ましい活性水素を有する基は-OH基である。Qは、ハイドライド、ジヒドロカルビルアミド、好ましくはジアルキルアミド、ハライド、ヒドロカルビルオキシド、アルコキシド、アリルオキシド、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビルラジカル等である。ここでn+zは4である。
上記一般式(4)の[B-Qn(Gq(T-H)r)z]として、例えば、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニルージ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4-ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p-トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4-ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス〔3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(2-ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-ヒドロキシシクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)〔4-(4-ヒドロキシフェニル)フェニル〕ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)ボレート等が挙げられ、最も好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)(4-ヒドキシフェニル)ボレートである。さらに上記ボレート化合物の-OH基を-NHRj(ここで、Rjはメチル、エチル、t-ブチルを表す)で置換したものも好ましい。
ボレート化合物の対カチオンであるA+としては、カルボニウムカチオン、トロピルリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられる。またそれ自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イオンも挙げられる。これらカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムイオン、ジフェニルカルボニウムイオン、シクロヘプタトリニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリオクチルアンモニウム、N,N-ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、2,4,6-ペンタメチルアンモニウム、N,N-ジメチルフェニルアンモニウム、ジ-(i-プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリホスホニウム、トリジメチルフェニルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルホスホニウムイオン、トリフェニルオキソニウムイオン、トリエチルオキソニウムイオン、ピリニウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジュウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。なかでも特にアンモニウムイオンが好ましい。
シリル基を含むボレート化合物:
[B-Qn(Gq(SiRklm)r)z]-+…(5)
ここで、Bはホウ素を表す。Gは多結合性ヒドロカーボンラジカルを表し、好ましい多結合性ヒドロカーボンラジカルとしては炭素数1~20を含むアルキレン、アリレン、エチレン、アルカリレンラジカルであり、Gの好ましい例としては、フェニレン、ビスフェニレン、ナフタレン、メチレン、エチレン、プロピレン、1,4-ブタジエン、p-フェニレンメチレンが挙げられる。多結合性ラジカルGはr+1の結合、すなわち一つの結合はボレートアニオンと結合し、Gのその他の結合rは(SiRklm)基と結合する。A+はカチオンである。
上記一般式中のRk、Rl、Rmはヒドロカルバニルラジカル、トリヒドロカルバニルシリルラジカル、トリヒドロカルバニルゲルマニウムラジカル、水素ラジカル、アルコキシラジカル、ヒドロキシラジカル又はハロゲン化合物ラジカル、を表す。Rk、Rl、Rmは互いに独立していて、同一でも異なる基でも良い。Qは、ハイドライド、ジヒドロカルビルアミド、好ましくはジアルキルアミド、ハライド、ヒドロカルビルオキシド、アルコキシド、アリルオキシド、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビルラジカル等であり、さらに好ましくはペンタフルオロベンジルラジカルである。ここでn+zは4である。
上記一般式(5)中の[B-Qn(Gq(SiRklm)r)z]-として、例えば、トリフェニル(4-ジメチルクロロシリルフェニル)ボレート、ジフェニルージ(4-ジメチルクロロシリルフェニル)ボレート、トリフェニル(4-ジメチルメトキシシリルフェニル)ボレート、トリ(p-トリル)(4-トリエトキシシリルフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-ジメチルクロロシリルフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-ジメチルメトキシシリルフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-トリメトキシシリルフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6-ジメチルクロロシリル-2ナフチル)ボレート等が挙げられる。ボレート化合物の対カチオンであるA+は上記式(4)中のA+と同じものが挙げられる。
ボラン化合物として具体的には、デカボラン(14)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレート等のアニオンの塩、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)等の金属ボランアニオンの塩等が挙げられる。
カルボラン化合物として具体的には、4-カルバノナボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、6,9-ジカルバデカボラン(14)、ドデカハイドライド-1-フェニル-1,3-ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド-1-メチル-1,3-ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド-1,3-ジメチル-1,3-ジカルバノナボラン、7,8-ジカルバウンデカボラン(13)、2,7-ジカルバウンデカボラン(13)、ウンデカハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド-11-メチル-2,7-ジカルバウンデカボラン、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-トリメチルシリル-1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムブロモ-1-カルバドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート(14)、トリ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート(12)、トリ(n-ブチル)アンモニウム7-カルバウンデカボレート(13)、トリ(n-ブチル)アンモニウム7,8-ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n-ブチル)アンモニウム2,9-ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n-ブチル)アンモニウムドデカハイドライド-8-メチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-エチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-ブチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-アリル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-9-トリメチルシリル-7,8-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-4,6-ジブロモ-7-カルバウンデカボレート等のアニオンの塩;トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)等の金属カルボランアニオンの塩等が挙げられる。
尚、遷移金属錯体(A)(たとえば、ハフニウムハライド型錯体化合物)と反応してイオン対を形成する化合物は、2種以上混合して用いることができる。
(有機アルミニウムオキシ化合物)
有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物又は結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物等の炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水又は結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等の媒体中で、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に直接水、氷又は水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒又は未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解又はアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、上記一般式(8)で表される有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。なお、トリメチルアルミニウムから調製されるアルミノキサンは、メチルアルミノキサンあるいはMAOと呼ばれ、特によく用いられる化合物である。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油等の石油留分又は上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物等の炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素又は脂肪族炭化水素が好ましい。
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性又は難溶性である。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(12)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 2023145219000006
(式中、Rcは炭素原子数が1~10の炭化水素基を示す。Rdは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数が1~10の炭化水素基を示す。)
上記一般式(12)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(13)で表されるアルキルボロン酸と有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、-80℃~室温の温度で1分~24時間反応させることにより製造できる。
cB(OH)2…(13)
(式中、Rcは上記と同じ基を示す。)
上記一般式(13)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n-プロピルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n-ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸等が挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、上記一般式(6)又は(7)で表される有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
以上、説明した有機アルミニウム化合物の中では、有機アルミニウムオキシ化合物を好適な化合物として挙げることが出来る。
また、上記の様なボロン化合物や有機アルミニウムオキシ化合物の他に、上記の有機金属化合物(B)を挙げることも出来る。この有機金属化合物(B)は、上記の様なボロン化合物や有機アルミニウムオキシ化合物と組み合わせて使用してもよい。
〔その他反応に用いられる成分〕
本発明では、重合反応は、通常、炭化水素媒体中で実施することも出来る。このような炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ガソリン、灯油、軽油等の石油留分等を挙げることができる。さらに、重合に用いるオレフィンを用いることもできる。
その他、重合反応に有用とされる公知の成分を組み合わせて使用しても良い。例えば、フッ素含有化合物(アルコール系化合物など)を挙げることが出来る。
〔オレフィン〕
本発明のオレフィン重合に用いられるオレフィンは、エチレンを必須とする。その他、α-オレフィンとして、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキサン等の炭素数3~20の直鎖状又は分岐状のα-オレフィンを例示することができる。α-オレフィンとしては、炭素数3~10の直鎖状又は分岐状のα-オレフィンが好ましく、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン及び1-オクテンがより好ましい。得られる重合体を潤滑油などの用途に用いる場合は、剪断安定性の点からエチレン、プロピレン等の炭素原子数が少ないオレフィンが好ましい。一方、樹脂の耐衝撃性改善の為の改質剤などの用途では、1-ブテン、1-ヘキセン及び1-オクテン、1-デセン等の比較的が炭素原子数の多いオレフィンが好ましい。これらのオレフィンは1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明においては、エチレンとα-オレフィンに加えて、他の共重合可能なオレフィン性モノマーを用いて、共重合をおこなってもよい。かかるオレフィン性モノマーとしては、ポリエン、ビニル芳香族化合物、ビニル脂環式化合物、環状オレフィン等を挙げることができる。
ポリエンとしては、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,7-ノナジエン、1,8-ノナジエン、1,8-デカジエン、1,9-デカジエン、1,12-テトラデカジエン、1,13-テトラデカジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,5-ヘキサジエン、3-エチル-1,4-ヘキサジエン、3-エチル-1,5-ヘキサジエン、3,3-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、3,3-ジメチル-1,5-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、2,5-ノルボルナジエン、7-メチル-2,5-ノルボルナジエン、7-エチル-2,5-ノルボルナジエン、7-プロピル-2,5-ノルボルナジエン、7-ブチル-2,5-ノルボルナジエン、7-ペンチル-2,5-ノルボルナジエン、7-ヘキシル-2,5-ノルボルナジエン、7,7-ジメチル-2,5-ノルボルナジエン、7,7-メチルエチル-2,5-ノルボルナジエン、7-クロロ-2,5-ノルボルナジエン、7-ブロモ-2,5-ノルボルナジエン、7-フルオロ-2,5-ノルボルナジエン、7,7-ジクロロ-2,5-ノルボルナジエン、1-メチル-2,5-ノルボルナジエン、1-エチル-2,5-ノルボルナジエン、1-プロピル-2,5-ノルボルナジエン、1-ブチル-2,5-ノルボルナジエン、1-クロロ-2,5-ノルボルナジエン、1-ブロモ-2,5-ノルボルナジエン等を挙げることができる。
また、ポリエンとしては、下記の構造の化合物も挙げることができる。
ポリエンは、1種以上用いられ、好ましくは、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニルノルボルネン、ノルボルナジエンである。
ビニル芳香族化合物としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン等を挙げることができる。また、ビニル脂環式化合物としては、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ビニルシクロオクタン等を挙げることができる。環状オレフィンとしては、シクロヘキセン、2-ノルボルネン等を挙げることができる。
本発明では、得られる重合体の分子量を調節するための分子量調節剤として、通常、水素を用いる。水素はエチレンとともに反応装置へ供給される。
〔オレフィン重合体〕
本発明の製造方法で製造し得るオレフィン重合体は、射出成型、押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形等の公知の方法で製造出来る成形体の主材や改質剤として用いることも出来る。
本発明のオレフィン重合体の製造方法で得られるオレフィン重合体の長鎖分岐度は、下記の様なI10とI2との比(I10/I2)が指標である。
10:ASTM D1238規格に準じ、190℃で、10kg荷重条件で測定されるメルトフローレート。
2:ASTM D1238規格に準じ、190℃で、2.16kg荷重条件で測定されるメルトフローレート。)
上記のI2は、一般的にオレフィン重合体のメルトフローレートと言われている値と同様の指標である。
長鎖分岐度の高い重合体は、その長鎖分岐が隣接する高分子鎖と絡み合うことで高荷重条件下での溶融樹脂流動性が高くなり易い傾向があるが、低荷重条件下ではその効果が相対的に小さくなる。この為、上記のI10/I2は、長鎖分岐度の指標として有用である。(I10/I2値が高い方が長鎖分岐が多いことを示す指標となる。)
本発明のオレフィン重合体の製造方法では、I10/I2値が4~10のオレフィン重合体を製造することを特徴とする。前記の通り、本発明の方法では、重合圧力を調節することで、上記のI10/I2値の広い範囲でオレフィン重合体を作り分けることが出来る。前記I10/I2値の高い重合体は、長鎖分岐度が高く、成形性に優れるので、食品包装材などのフィルムが好適用途の例となる。一方、前記I10/I2値の低い重合体は、直鎖性が高い重合体であり、強度に優れるので、米袋などの重量物の包装材の様な高強度が求められる用途に適している。
本発明のオレフィン重合体の製造方法では、幅広い長鎖分岐度の異なる重合体の製造を、重合圧力の調節によって可能と出来るので、触媒の変更を必要とせず、効率的に実施することが出来る。
本発明のオレフィン重合体の製造方法で得られる重合体が、改質剤などの用途の場合は、その重合体のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01~1000g/10分、より好ましくは0.1~500g/10分、さらに好ましくは0.1~200g/10分、またさらに好ましくは0.1~100g/10分、特に好ましくは0.1~50g/10分の範囲であることが望ましい。オレフィン重合体のMFRは、2.0以上であることも好ましい。
なお本発明において、上記のMFRは、前記の通りASTM D1238規格の方法により、190℃、2.16kg荷重での測定値である。
上記の重合体は、エチレンと必要応じて炭素数3~20のα-オレフィンとを共重合して得られるエチレン系共重合体であり、エチレン由来の構造単位を好ましくは60以上、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは70以上含んでいる。エチレンの由来構造単位の上限値は勿論100モル%である。炭素数3~20のα-オレフィンとの共重合を必須とする場合は、前記の上限値は好ましくは98モル%、より好ましくは95モル%、さらに好ましくは90モル%、特に好ましくは85モル%である。このような組成であれば、改質剤等、様々な用途に好適に使用可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1~8、比較例1~4〕
下記の方法で、エチレンと1-ブテンとの共重合を行った。使用した遷移金属錯体溶液は、調製後10時間と、48時間の2条件の溶液を使用したが、運転性能に変化無く、後述する物性の重合体を安定した活性で得ることが出来た。
(連続重合方法)
温度制御のできるジャケットを付した内容積100Lの攪拌翼付耐圧反応器に、未反応ガスを循環出来る様なコンプレッサーとバルブを付したライン(循環ラインと言うことが有る)、n-ヘキサンのフィードライン、原料ガス(エチレンと水素)のフィードライン、1-オクテンのフィードライン、触媒(遷移金属錯体、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(本明細書ではホウ素助触媒と言うことがある))のフィードライン、内容(生成)物抜出しラインを付した装置を用いて、エチレンと1-オクテンとの重合を行った。この中で、エチレンと水素のフィードラインは、上記の循環ラインと連結した形状とした。
定常状態に達した段階での連続重合条件と得られた重合体の物性は表1に示した。連続重合の共通条件は以下の通りである。
重合温度:125℃
n-ヘキサン:16L/時間
反応液体積:28Lを維持
生産速度:8kg/時間
ハフニウム錯体:下記構造式の化合物。
Figure 2023145219000008
ジルコニウム錯体:ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
Figure 2023145219000009
Figure 2023145219000010
上記の結果の通り、実施例の結果からハフニウム錯体を用いたエチレン/1-オクテン共重合では、比較例よりもエチレン分圧によるI10/I2の変動が大きく、重合圧力によって得られる重合体のI10/I2を制御し易いことが分かる。

Claims (5)

  1. 周期表の第6、第7周期の第3~第10族金属の遷移金属錯体の存在下、エチレンを含むオレフィンの重合を行う際に、
    エチレンを必須とし、炭素数3~4のオレフィンの任意成分とするオレフィンガスの分圧を0.9~6MPa(ゲージ圧)の範囲で調整することで、
    長鎖分岐度指数(I10/I2)が4~10の範囲のオレフィン重合体を製造する、
    オレフィン重合体の製造方法。
    (前記I10および前記I2は以下のように定義される。
    10:ASTM D1238規格に準じ、190℃で、10kg荷重条件で測定されるメルトフローレート。
    2:ASTM D1238規格に準じ、190℃で、2.16kg荷重条件で測定されるメルトフローレート。)
  2. 前記遷移金属錯体が周期表4~5族の遷移金属を含む錯体である請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  3. 前記遷移金属錯体がハフニウムを含む錯体である請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  4. 前記分圧が1.0~4.0MPaの環境下で前記オレフィンの重合を行う請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  5. 温度が90~180℃の環境下で前記オレフィンの重合を行う請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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