JP2023143096A - 多軸慣性力センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも改善された多軸慣性力センサを提供する。【解決手段】多軸慣性力センサは、第1から第4ジャイロセンサの中に故障したジャイロセンサが存在するか否かを判断する判断手段と、3軸角速度を検出する検出手段を備えている。この多軸慣性力センサでは、判断手段は、第1から第4ジャイロセンサにおいて、1個、2個又は3個のジャイロセンサを含む複数のグループの組合せを選択する選択機能と、各グループのジャイロセンサにより測定された角速度を比較する比較機能と、比較機能の結果より故障しているジャイロセンサの有無を判断し、故障しているジャイロセンサの特定を行い、故障しているジャイロセンサが存在する場合に検出手段に向けて故障情報信号を出力する。検出手段は、故障情報信号が入力されたときに第1から第4のジャイロセンサを用いた3軸角速度の検出を停止する。【選択図】図1
Description
本明細書が開示する技術は、多軸慣性力に関する。
特許文献1に、4個のジャイロセンサを備えた多軸慣性力センサ(多軸角速度センサ)が開示されている。特許文献1の多軸慣性力センサは、各ジャイロセンサの測定値を計算し、計算結果が所定値以上であった場合に、多軸慣性力センサに故障が生じていると判断する。
特許文献1は、多軸慣性力センサに故障が生じているか否かの検出はできる。しかしながら、故障の原因は判別できない。具体的には、多軸慣性力センサ全体が故障(破損)したのか、多軸慣性力センサを構成している複数のジャイロセンサのうちの1個が故障したのか判別することができない。そのため、特許文献1は、多軸慣性力センサの故障が検出された場合、多軸慣性力センサ全体を交換する他ない。多軸慣性力センサの故障の原因が特定できれば、多軸慣性力センサ全体を交換する以外の対処も取り得る。このように、多軸慣性力センサにおいては、故障の有無を検出するだけでなく、さらに機能を改善することが必要とされている。本明細書は、従来よりも改善された多軸慣性力センサを提供することを目的とする。
本明細書で開示する第1形態の多軸慣性力センサは、台座と、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第1ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第2ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第3ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第4ブロックと、第1ブロックの傾斜面に配置されている第1ジャイロセンサと、第2ブロックの傾斜面に配置されている第2ジャイロセンサと、第3ブロックの傾斜面に配置されている第3ジャイロセンサと、第4ブロックの傾斜面に配置されている第4ジャイロセンサと、第1から第4ジャイロセンサの中に故障したジャイロセンサが存在するか否かを判断する判断手段と、第1から第4のジャイロセンサの測定値より3軸角速度を検出する検出手段を備えている。この多軸慣性力センサでは、第1ブロックと第2ブロックは、台座の表面に平行な第1方向に沿って対向配置されており、第3ブロックと第4ブロックは、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に沿って対向配置されている。判断手段は、第1から第4ジャイロセンサにおいて、1個、2個又は3個のジャイロセンサを含む複数のグループの組合せを選択する選択機能と、各グループのジャイロセンサにより測定された角速度を比較する比較機能と、比較機能の結果より故障しているジャイロセンサの有無を判断し、故障しているジャイロセンサの特定を行い、故障しているジャイロセンサが存在する場合に検出手段に向けて故障情報信号を出力する。検出手段は、故障情報信号が入力されたときに第1から第4のジャイロセンサを用いた3軸角速度の検出を停止する。
上記多軸慣性力センサは、故障したジャイロセンサを特定することができる。そのため、ジャイロセンサに故障が生じた場合に、多軸慣性力センサ全体を交換する以外の対処を行うことができる。また、使用中(慣性力センサを搭載した機器の動作中)に故障したジャイロセンサを特定することができるので、使用後に故障したジャイロセンサの特定作業(特定のための検査)を省略することができる。
本明細書で開示する第2形態の多軸慣性力センサは、台座と、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第1ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第2ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第3ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第4ブロックと、第1ブロックの傾斜面に配置されている第1ジャイロセンサと、第2ブロックの傾斜面に配置されている第2ジャイロセンサと、第3ブロックの傾斜面に配置されている第3ジャイロセンサと、第4ブロックの傾斜面に配置されている第4ジャイロセンサと、第1から第4ジャイロセンサの中に故障したジャイロセンサが存在するか否かを判断する判断手段と、第1から第4ジャイロセンサの4個のジャイロセンサの測定値より3軸角速度を検出する第1検出手段と、第1から第4ジャイロセンサのうちの3個のジャイロセンサの測定値より3軸角速度を検出する第1検出手段を備えている。この多軸慣性力センサでは、第1ブロックと第2ブロックは、台座の表面に平行な第1方向に沿って対向配置されており、第3ブロックと第4ブロックは、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に沿って対向配置されている。判断手段は、第1から第4ジャイロセンサにおいて、1個、2個又は3個のジャイロセンサを含む複数のグループの組合せを選択する選択機能と、各グループのジャイロセンサにより測定された角速度を比較する比較機能と、比較機能の結果より故障しているジャイロセンサの有無を判断し、故障しているジャイロセンサの特定を行い、故障しているジャイロセンサが存在する場合に検出手段に向けて故障情報信号を出力する。第1検出手段は、故障情報信号が入力されたときに、3軸角速度の検出を停止する。第2検出手段は、故障情報信号が入力されたとき、故障していない3個のジャイロセンサから3軸角速度の検出を行う。
本明細書で開示する第3形態の多軸慣性力センサは、台座と、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第1ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第2ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第3ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第4ブロックと、第1ブロックの傾斜面に配置されている第1ジャイロセンサと、第2ブロックの傾斜面に配置されている第2ジャイロセンサと、第3ブロックの傾斜面に配置されている第3ジャイロセンサと、第4ブロックの傾斜面に配置されている第4ジャイロセンサと、第1から第4ジャイロセンサの中に故障したジャイロセンサが存在するか否かを判断する判断手段と、第1から第4ジャイロセンサの4個のジャイロセンサの測定値より3軸角速度を検出する第1検出手段と、第1から第4ジャイロセンサのうちの3個のジャイロセンサの測定値より3軸角速度を検出する第1検出手段を備えている。この多軸慣性力センサでは、第1ブロックと第2ブロックは、台座の表面に平行な第1方向に沿って対向配置されており、第3ブロックと第4ブロックは、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に沿って対向配置されている。判断手段は、第1から第4ジャイロセンサにおいて、1個、2個又は3個のジャイロセンサを含む複数のグループの組合せを選択する選択機能と、各グループのジャイロセンサを用いて角速度を算出する算出機能と、算出された角速度を比較する比較機能と、比較機能の結果より故障しているジャイロセンサの有無を判断し、故障しているジャイロセンサの特定を行い、故障しているジャイロセンサが存在する場合に検出手段に向けて故障情報信号を出力する。第1検出手段は、故障情報信号が入力されたときに、3軸角速度の検出を停止する。第2検出手段は、故障情報信号が入力されたとき、故障していない3個のジャイロセンサから3軸角速度の検出を行う。
上記第2及び第3形態の多軸慣性力センサも、故障したジャイロセンサを特定することができる。そのため、ジャイロセンサに故障が生じた場合に、多軸慣性力センサ全体を交換する以外の対処を行うことができる。また、使用中(慣性力センサを搭載した機器の動作中)に故障したジャイロセンサを特定することができるので、使用後に故障したジャイロセンサの特定作業(特定のための検査)を省略することができる。さらに、上記多軸慣性力センサは、ジャイロセンサに故障が生じても、故障していない3個のジャイロセンサで3軸角速度の測定を続けることができる。そのため、使用中にジャイロセンサに故障が生じても、メンテナンス等を行うことなく、使用し続けることができる。
上記第1から第3形態の多軸慣性力センサにおいて、判断手段は、各グループ同士の角速度の差分が閾値より大きいグループの組合せに基づいて故障したジャイロセンサを特定してよい。これにより、故障したジャイロセンサが含まれているグループが特定され、角速度の差分が閾値より大きいグループの組合せより、故障したジャイロセンサを特定することができる。
上記第3形態の多軸慣性力センサにおいて、判断手段は、各グループのジャイロセンサを用いて、第1方向及び第2方向に直交する第3方向の角速度を算出してよい。第3軸の角速度は、各グループのジャイロセンサの組合せに係わらず、必ず測定することができる。そのため、第3方向の角速度を算出することにより、確実にジャイロセンサの故障の有無、故障したジャイロセンサの特定を行うことができる。
上記第3形態の多軸慣性力センサにおいて、判断手段は、算出された各グループの角速度の差分を比較してよい。故障したジャイロセンサが含まれているグループと故障したジャイロセンサが含まれていないグループの差分は、故障したジャイロセンサが含まれていないグループ同士の差分と比較して大きくなる。そのため、算出された各グループの角速度の差分を比較することにより、ジャイロセンサの故障の有無、故障したジャイロセンサの特定を行うことができる。
上記第1から第3形態の多軸慣性力センサでは、判断手段において、選択機能は、複数のグループの組合せを選択し、各グループのジャイロセンサにより測定された角速度の比較結果より故障しているジャイロセンサが存在することが確認された後、再度、故障しているジャイロセンサを特定するために複数のグループの組合せを選択してよい。ジャイロセンサの故障の有無と、故障したジャイロセンサの特定を別個に判断することにより、故障しているジャイロセンサの特定作業を簡略化することができる。具体的には、故障しているジャイロセンサが存在しない場合、故障したジャイロセンサの特定作業自体を省略することができる。
上記第3形態の多軸慣性力センサでは、判断手段において、選択機能は、4個のジャイロセンサのうちの2個のジャイロセンサを含む2グループの組合せを、4個のジャイロセンサの全てが含まれるように選択し、特定機能は、2個のジャイロセンサを含む2グループの組合せから第1方向及び第2方向に直交する第3方向の角速度を算出し、算出された2グループの角速度の差分が閾値より大きいグループの組合せに基づいて故障したジャイロセンサの有無を特定し、故障したジャイロセンサが存在する場合に、選択機能は、4個のジャイロセンサのうちの3個のジャイロセンサを含む4グループのうちから3グループの組合せを選択し、特定機能は、3個のジャイロセンサを含む3グループの組合せから第3方向の角速度を算出し、算出された3グループの角速度の差分が閾値より大きいグループの組合せに基づいて故障したジャイロセンサを特定してよい。
上記ジャイロセンサも、ジャイロセンサの故障の有無と、故障したジャイロセンサの特定を別個に判断することにより、故障しているジャイロセンサの特定作業を簡略化することができる。また、ジャイロセンサの故障の有無を検出する際に選択されるグループ数、及び、故障したジャイロセンサの特定する際に選択されるグループ数を削減することができ、比較機能における計算数を減少させることができる。
図1から図4を参照し、慣性力センサ60について説明する。慣性力センサ60は、多軸慣性力センサの一例であり、詳細は後述するが、3軸角速度センサである。図1に示すように、慣性力センサ60は、台座2と、第1ブロックセンサ10aと、第2ブロックセンサ10bと、第3ブロックセンサ10cと、第4ブロックセンサ10dを備えている。第1ブロックセンサ10aは、第1ブロック4aと、第1ジャイロセンサ6aを備えている。第2ブロックセンサ10bは、第2ブロック4bと、第2ジャイロセンサ6bを備えている。第3ブロックセンサ10cは、第3ブロック4cと、第3ジャイロセンサ6cを備えている。第4ブロックセンサ10dは、第4ブロック4dと、第4ジャイロセンサ6dを備えている。ブロックセンサ10a~10dは、台座2の表面に固定(実装)されている。ブロック4a~4dは同じ材料で形成されており、ブロックセンサ10a~10dは実質的に同じ構造を有している。慣性力センサ60は、X軸周り、Y軸周り及びZ軸周りの角速度を検知する3軸角速度センサである。
台座2の表面は、X-Y平面に平行である。そして、第1ブロックセンサ10aと第2ブロックセンサ10bは、X軸方向に並んで対向配置されている。X軸方向は、第1方向の一例である。具体的には、第1ブロック4aと第2ブロック4bは、傾斜面22(図2を参照)同士が内向きになるようにX軸方向に並んで対向配置されている。また、第3ブロックセンサ10cと第4ブロックセンサ10dは、Y軸方向に並んで対向して配置されている。Y軸方向は、第2方向の一例である。すなわち、第3ブロック4cと第4ブロック4dは、傾斜面22同士が内向きになるようにY軸方向に並んで対向配置されている。
図2は、ブロックセンサ10(ブロックセンサ10a~10d)の詳細図を示している。ジャイロセンサ6は、はんだ30によって、ブロック4の傾斜面22に固定されている。ブロック4は、LCP(Liquid Crystal Polymer)樹脂製である。また、傾斜面22には、複数の電子部品(チップ抵抗、チップコンデンサ等)32、及びFPC(Flexible Printed Circuits)36が嵌め込まれたソケット34もはんだ(図示省略)によって固定されている。ジャイロセンサ6及び電子部品32は、はんだを介して配線40に接続されており、FPC36を介してブロックセンサ10の外部に設けられている回路演算出力部(図示省略)に接続されている。配線40は、傾斜面22の表面にMID(Molded Interconnect Device)技術を用いた表面改質によって形成された金属製の薄膜であり、ブロック4傾斜面22に直接形成されている。
ジャイロセンサ6は1軸の角速度を検知する。具体的には、ジャイロセンサ6は、搭載面(傾斜面22)に直交する方向の角速度を検知するいわゆるZ軸ジャイロセンサである。ジャイロセンサ6は、QFN(Quad Flat Non lead package)構造である。ジャイロセンサ6の電源とGNDは、上述した回路演算出力部より供給される。また、ジャイロセンサ6の検知信号は、回路演算出力部に出力される。
なお、ブロック4の材料として、LCP樹脂に代え、例えば金属を用いることもできる。ブロック4の材料として金属を用いる場合は、配線パターンを形成したプリント基板上にジャイロセンサ6、角速度センサ8、電子部品32及びソケット34を実装し、そのプリント基板をブロック4に搭載する。
上記したように、慣性力センサ60は、X軸、Y軸及びZ軸の3軸の角速度を検知することができる。以下、慣性力センサ60が3軸角速度を検知する測定原理について説明する。
図3は、(a)X軸方向に並ぶ2個のブロックセンサ(ブロックセンサ10a,10b)と、(b)Y軸方向に並ぶ2個のブロックセンサ(ブロックセンサ10c,10d)を模式的に示している。台座2と第1ジャイロセンサ6aが成す角度θ1、台座2と第2ジャイロセンサ6bが成す角度θ2、台座2と第3ジャイロセンサ6cが成す角度θ3、台座2と第4ジャイロセンサ6dが成す角度θ4で示している。
例えば、慣性力センサ60にX軸周りの角速度「ωx」が印加された場合、第1ジャイロセンサ6aには「-ωx」が印加され、第2ジャイロセンサ6bには「ωx」が印加される(a)。また、この場合、第3ジャイロセンサ6c及び第4ジャイロセンサ6dには、「ωx」が印加されない。第3ブロック4c及び第4ブロック4dがY軸方向に並んで配置されているので、他軸であるX軸周りの角速度に対して不感だからである。
また、慣性力センサ60にY軸周りの角速度「ωy」が印加された場合、第3ジャイロセンサ6cには「-ωy」が印加され、第4ジャイロセンサ6dには「ωy」が印加される(b)。また、この場合、第1ジャイロセンサ6a及び第2ジャイロセンサ6bには、「ωy」が印加されない。第1ブロック4a及び第2ブロック4bがX軸方向に並んで配置されているので、他軸であるY軸周りの角速度に対して不感だからである。
慣性力センサ60にZ軸周りの角速度「ωz」が印加された場合、全てのジャイロセンサ6a~6dに「ωz」が印加される。すなわち、Z軸周りの角速度「ωz」については、全てのジャイロセンサ6a~6dが検知可能である。なお、ジャイロセンサ6a~6dは、表面に直交する方向(S1,S2,S3,S4方向)周りの角速度を検出するジャイロセンサ(Z軸ジャイロセンサ)である。すなわち、第1ジャイロセンサ6aの主軸(検知軸)はS1方向であり、第2ジャイロセンサ6bの主軸はS2方向であり、第3ジャイロセンサ6cの主軸はS3方向であり、第4ジャイロセンサ6dの主軸はS4方向である。
慣性力センサ60に角速度「ωx」,「ωy」及び「ωz」が印加された場合、各ジャイロセンサ6a~6dの主軸に角速度が印加されることが必要である。そのため、例えば、各ジャイロセンサ6a~6dの出力信号を各々S1,S2,S3,S4とすると、各出力信号は、下記式(1)で表すことができる。また、下記式(1)を行列式で表すと、下記式(2)となる。慣性力センサ60は、下記式(1)または(2)に基づいて、3軸角速度を検出することができる。
慣性力センサ60は、台座2を用いてブロック4a~4dの相対位置を制御しているので、上述した式(1)、(2)に基づいて、3軸角速度を高精度に検知することができる。
なお、慣性力センサ60は、ジャイロセンサ6a~6dのうちの3個を利用して3軸角速度を検出することができる。そのため、例えば、ジャイロセンサ6a~6dのうちの1個が故障した場合であっても、3軸角速度を検出することができる。例えば、第1ジャイロセンサ6a又は第2ジャイロセンサ6bが故障した場合、下記式(3)、下記式(4)の行列式に基づいて3軸角速度を検出することができる。なお、「θ1,2」,「S1,2」は、各々「θ1又はθ2」,「S1又はS2」を意味する。
また、第3ジャイロセンサ6c又は第4ジャイロセンサ6dが故障した場合、下記式(5)、下記式(6)の行列式に基づいて3軸角速度を検出することができる。なお、「θ3,4」,「S3,4」は、各々「θ3又はθ4」,「S3又はS4」を意味する。
次に、図4を参照し、慣性力センサ60の内部構成について説明する。上述したように、慣性力センサ60は、4個のジャイロセンサ6a~6dを利用して3軸角速度を検出することもできるし、4個のジャイロセンサ6a~6dのうちの3個を利用して軸角速度を検出することもできる。慣性力センサ60は、3軸角速度を検出する手段を2個有している。
慣性力センサ60は、センシング部62と、回路演算出力部63を備えている。センシング部62は、図1に示すブロックセンサ10を有する実装構造である。回路演算出力部63は、センシング部62から入力されたセンサ出力を演算し、3軸角速度のセンサ信号を外部に出力する。また、回路演算出力部63は、慣性力センサ60の外部のDC電源90の出力を、センシング部62に供給する。さらに、回路演算出力部63は、SPI通信によって、センシング部62から角速度の測定結果を受け取る。
回路演算出力部63は、第1検出手段72、判断手段64、第2検出手段68、切替手段70を備えている。第1検出手段72は、4個のジャイロセンサ6a~6dを利用して3軸角速度を検出する。判断手段64は、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無、及び、故障したジャイロセンサの特定を行う。具体的には、判断手段64は、ジャイロセンサ6a~6dのうちの幾つかを選択する選択機能と、選択したジャイロセンサで角速度(1軸角速度)を算出する算出機能と、算出された角速度を比較する比較機能と、比較結果よりジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行う特定機能を有している。また、判断手段64は、ジャイロセンサの故障が確認された場合は、切替手段70に故障発生のエラー信号を出力する。エラー信号は、故障情報信号の一例である。さらに、判断手段は、故障していることが特定されたジャイロセンサの情報を第2検出手段68に出力する。なお、選択機能、算出機能、比較機能、特定機能の詳細については後述する。
第2検出手段68は、判断手段64で故障が特定されたジャイロセンサ以外の正常なジャイロセンサ(3個のジャイロセンサ)を利用して、3軸角速度を検出する。切替手段は、判断手段64からエラー信号を受信したときに、外部に出力する信号(3軸角速度)を、第1検出手段72で得られた検出値から第2検出手段68で得られた検出値に切替える。
上述したように、慣性力センサ60は、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無、及び、故障したジャイロセンサの特定を行う。以下、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無、及び、故障したジャイロセンサの特定方法について幾つかの実施例を説明する。
(第1実施例)
図1に示す慣性力センサ60において、ジャイロセンサ6a~6dのうちの1個のジャイロセンサを含む4グループの組合せを選択(選択機能)し、各グループのZ軸角速度を測定する(算出機能)。その後、各グループのZ軸角速度の差分を計算して計算結果を設定された閾値と比較し(比較機能)、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行う(特定機能)。各グループの角速度は、下記式(7)で計算する(図3も参照)。なお、下記式(7)において「a」は、1,2,3,4の何れかを意味する。
図1に示す慣性力センサ60において、ジャイロセンサ6a~6dのうちの1個のジャイロセンサを含む4グループの組合せを選択(選択機能)し、各グループのZ軸角速度を測定する(算出機能)。その後、各グループのZ軸角速度の差分を計算して計算結果を設定された閾値と比較し(比較機能)、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行う(特定機能)。各グループの角速度は、下記式(7)で計算する(図3も参照)。なお、下記式(7)において「a」は、1,2,3,4の何れかを意味する。
各グループのZ軸角速度の差分を計算すると、図5に示す「A」~「F」の6個の結果が得られる。図5において、「ωz1」は第1ジャイロセンサ6aのZ軸角速度であり、「ωz2」は第2ジャイロセンサ6bのZ軸角速度であり、「ωz3」は第3ジャイロセンサ6cのZ軸角速度であり、「ωz4」は第4ジャイロセンサ6dのZ軸角速度である。
ジャイロセンサ6a~6dが全て正常であれば(故障していなければ)、理論上、各グループの角速度の結果は等しくなり、理論上「A」~「F」の結果は「0」となる。但し、実際には、各グループの角速度の結果はばらつきを有するので、「A」~「F」の数値は「0」以外となることが多い。但し、ジャイロセンサ6a~6dが全て正常であれば、「A」~「F」の数値(絶対値)は、閾値を超えない小さな数値となる。
しかしながら、例えば、第1ジャイロセンサ6aが故障している場合、「A」,「B」,「C」の数値が、閾値を超える大きな数値となる。すなわち、第1ジャイロセンサ6aが故障し、他のジャイロセンサ6b,6c,6dが故障していない場合、「A」,「B」,「C」の数値は閾値を超え、「D」,「E」,「F」の数値は閾値を超えない。このようにして、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と、故障したジャイロセンサの特定を行う。
なお、第2ジャイロセンサ6bが故障し、他のジャイロセンサ6a,6c,6dが故障していない場合、「A」,「D」,「E」の数値は閾値を超え、「B」,「C」,「F」の数値は閾値を超えない。第3ジャイロセンサ6cが故障し、他のジャイロセンサ6a,6b,6dが故障していない場合、「B」,「D」,「F」の数値は閾値を超え、「A」,「C」,「E」の数値は閾値を超えない。第4ジャイロセンサ6dが故障し、他のジャイロセンサ6a,6b,6cが故障していない場合、「C」,「E」,「F」の数値は閾値を超え、「A」,「B」,「D」の数値は閾値を超えない。
(第2実施例)
図1に示す慣性力センサ60において、ジャイロセンサ6a~6dのうちの2個のジャイロセンサを含む6グループの組合せを選択(選択機能)し、各グループのZ軸角速度を測定する(算出機能)。その後、各グループのZ軸角速度の差分を計算して計算結果を設定された閾値と比較し(比較機能)、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行う(特定機能)。各グループの角速度は、下記式(8)で計算する(図3も参照)。なお、下記式(8)において「a」は、1,2,3、「b」は、2,3,4の何れかを意味する。
図1に示す慣性力センサ60において、ジャイロセンサ6a~6dのうちの2個のジャイロセンサを含む6グループの組合せを選択(選択機能)し、各グループのZ軸角速度を測定する(算出機能)。その後、各グループのZ軸角速度の差分を計算して計算結果を設定された閾値と比較し(比較機能)、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行う(特定機能)。各グループの角速度は、下記式(8)で計算する(図3も参照)。なお、下記式(8)において「a」は、1,2,3、「b」は、2,3,4の何れかを意味する。
各グループのZ軸角速度の差分を計算すると、図6に示す「A」~「O」の15個の結果が得られる。図6において、「ωz12」は第1ジャイロセンサ6aと第2ジャイロセンサ6bのグループのZ軸角速度であり、「ωz13」は第1ジャイロセンサ6aと第3ジャイロセンサ6cのグループのZ軸角速度であり、「ωz14」は第1ジャイロセンサ6aと第4ジャイロセンサ6dのグループのZ軸角速度であり、「ωz23」は第2ジャイロセンサ6bと第3ジャイロセンサ6cのグループのZ軸角速度であり、「ωz24」は第2ジャイロセンサ6bと第4ジャイロセンサ6dのグループのZ軸角速度であり、「ωz34」は第3ジャイロセンサ6cと第4ジャイロセンサ6dのグループのZ軸角速度である。ジャイロセンサ6a~6dが全て正常であれば、「A」~「O」の数値(絶対値)は、閾値を超えない小さな数値となる。本実施例の特定方法は、Z軸角速度の差分の計算数(比較数)が多く、高精度にジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行うことができる。
本実施例の場合、第1ジャイロセンサ6aが故障し、他のジャイロセンサ6b,6c,6dが故障していない場合、「C」,「D」,「E」,「G」,「H」,「I」,「J」,「K」,「L」の数値は閾値を超え、「A」,「B」,「F」,「M」,「N」,「O」の数値は閾値を超えない。第2ジャイロセンサ6bが故障し、他のジャイロセンサ6a,6c,6dが故障していない場合、「A」,「B」,「E」,「G」,「H」,「J」,「K」,「N」,「O」の数値は閾値を超え、「C」,「D」,「F」,「I」,「L」,「M」の数値は閾値を超えない。第3ジャイロセンサ6cが故障し、他のジャイロセンサ6a,6b,6dが故障していない場合、「A」,「C」,「E」,「F」,「H」,「J」,「L」,「M」,「O」の数値は閾値を超え、「B」,「D」,「G」,「I」,「K」,「N」の数値は閾値を超えない。第4ジャイロセンサ6dが故障し、他のジャイロセンサ6a,6b,6cが故障していない場合、「B」,「D」,「E」,「F」,「H」,「I」,「J」,「M」,「N」の数値は閾値を超え、「A」,「C」,「G」,「K」,「L」,「O」の数値は閾値を超えない。
(第3実施例)
図1に示す慣性力センサ60において、ジャイロセンサ6a~6dのうちの3個のジャイロセンサを含む4グループの組合せを選択(選択機能)し、各グループのZ軸角速度を測定する(算出機能)。その後、各グループのZ軸角速度の差分を計算して計算結果を設定された閾値と比較し(比較機能)、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行う(特定機能)。各グループの角速度は、下記式(9)で計算する(図3も参照)。なお、下記式(9)において「a」は、1又は2、「b」は、2又は3、「c」は、3又は4を意味する。
図1に示す慣性力センサ60において、ジャイロセンサ6a~6dのうちの3個のジャイロセンサを含む4グループの組合せを選択(選択機能)し、各グループのZ軸角速度を測定する(算出機能)。その後、各グループのZ軸角速度の差分を計算して計算結果を設定された閾値と比較し(比較機能)、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行う(特定機能)。各グループの角速度は、下記式(9)で計算する(図3も参照)。なお、下記式(9)において「a」は、1又は2、「b」は、2又は3、「c」は、3又は4を意味する。
各グループのZ軸角速度の差分を計算すると、図7に示す「A」~「F」の6個の結果が得られる。図6において、「ωz123」は第1ジャイロセンサ6a,第2ジャイロセンサ6b及び第3ジャイロセンサ6cのグループのZ軸角速度であり、「ωz124」は第1ジャイロセンサ6a,第2ジャイロセンサ6b及び第4ジャイロセンサ6dのグループのZ軸角速度であり、「ωz134」は第1ジャイロセンサ6a,第3ジャイロセンサ6c及び第4ジャイロセンサ6dのグループのZ軸角速度であり、「ωz234」は第2ジャイロセンサ6b,第3ジャイロセンサ6c及び第4ジャイロセンサ6dのグループのZ軸角速度である。ジャイロセンサ6a~6dが全て正常であれば、「A」~「F」の数値(絶対値)は、閾値を超えない小さな数値となる。本実施例の特定方法は、3個のジャイロセンサでZ軸角速度の差分を計算しているので、高精度にジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行うことができる。
本実施例の場合、第1ジャイロセンサ6aが故障し、他のジャイロセンサ6b,6c,6dが故障していない場合、「C」,「E」,「F」の数値は閾値を超え、「A」,「B」,「D」の数値は閾値を超えない。第2ジャイロセンサ6bが故障し、他のジャイロセンサ6a,6c,6dが故障していない場合、「B」,「D」,「F」の数値は閾値を超え、「A」,「C」,「E」の数値は閾値を超えない。第3ジャイロセンサ6cが故障し、他のジャイロセンサ6a,6b,6dが故障していない場合、「A」,「D」,「E」の数値は閾値を超え、「B」,「C」,「F」の数値は閾値を超えない。第4ジャイロセンサ6dが故障し、他のジャイロセンサ6a,6b,6cが故障していない場合、「A」,「B」,「C」の数値は閾値を超え、「D」,「E」,「Fの数値は閾値を超えない。
(第4実施例)
本実施例は、第2実施例及び第3実施例の変形例である。図1に示す慣性力センサ60において、ジャイロセンサ6a~6dのうちの2個のジャイロセンサを含む6グループのうちから2グループの組合せを選択するとともに、ジャイロセンサ6a~6dのうちの3個のジャイロセンサを含む4グループのうちから3グループの組合せを選択(選択機能)し、各グループのZ軸角速度を測定する(算出機能)。2個のジャイロセンサを含む2グループは、ジャイロセンサ6a~6dの全てが含まれるように選択する。その後、各グループのZ軸角速度の差分を計算して計算結果を設定された閾値と比較し(比較機能)、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行う(特定機能)。各グループの角速度は、上記式(8)及び上記式(9)で計算する。
本実施例は、第2実施例及び第3実施例の変形例である。図1に示す慣性力センサ60において、ジャイロセンサ6a~6dのうちの2個のジャイロセンサを含む6グループのうちから2グループの組合せを選択するとともに、ジャイロセンサ6a~6dのうちの3個のジャイロセンサを含む4グループのうちから3グループの組合せを選択(選択機能)し、各グループのZ軸角速度を測定する(算出機能)。2個のジャイロセンサを含む2グループは、ジャイロセンサ6a~6dの全てが含まれるように選択する。その後、各グループのZ軸角速度の差分を計算して計算結果を設定された閾値と比較し(比較機能)、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行う(特定機能)。各グループの角速度は、上記式(8)及び上記式(9)で計算する。
各グループのZ軸角速度の差分を計算すると、図8に示す「A」~「J」の10個の結果が得られる。「ωz12」,「ωz34」,「ωz123」,「ωz124」,「ωz134」は、第2実施例及び第3実施例で説明したグループのZ軸角速度である。ジャイロセンサ6a~6dが全て正常であれば、「A」~「F」の数値(絶対値)は、閾値を超えない小さな数値となる。本実施例の特定方法は、2個のジャイロセンサを含むグループの一部と、3個のジャイロセンサを含むグループの一部を選択することにより、第2実施例よりもZ軸角速度の差分の計算数(比較数)を減少させながら、高精度にジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行うことができる。
本実施例の場合、第1ジャイロセンサ6aが故障し、他のジャイロセンサ6b,6c,6dが故障していない場合、「A」,「E」,「F」,「G」の数値は閾値を超え、「B」,「C」,「D」,「H」,「I」,「J」の数値は閾値を超えない。第2ジャイロセンサ6bが故障し、他のジャイロセンサ6a,6c,6dが故障していない場合、「A」,「D」,「E」,「F」,「I」,「J」の数値は閾値を超え、「B」,「C」,「G」,「H」の数値は閾値を超えない。第3ジャイロセンサ6cが故障し、他のジャイロセンサ6a,6b,6dが故障していない場合、「A」,「B」,「D」,「F」,「H」,「J」の数値は閾値を超え、「C」,「E」,「G」,「I」の数値は閾値を超えない。第4ジャイロセンサ6dが故障し、他のジャイロセンサ6a,6b,6cが故障していない場合、「A」,「C」,「D」,「E」,「H」,「I」の数値は閾値を超え、「B」,「F」,「G」,「J」の数値は閾値を超えない。
(第5実施例)
本実施例は、第4実施例の変形例である。本実施例では、まず、図1に示す慣性力センサ60において、ジャイロセンサ6a~6dのうちの2個のジャイロセンサを含む6グループのうちから2グループの組合せを選択し(選択機能)、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無の特定のみを行う。2個のジャイロセンサを含む2グループは、ジャイロセンサ6a~6dの全てが含まれるように選択する。その後、故障ありと判定された場合、ジャイロセンサ6a~6dのうちの3個のジャイロセンサを含む4グループのうちから3グループの組合せを選択し(選択機能)、各グループのZ軸角速度を測定する(算出機能)。すなわち、ジャイロセンサに故障が生じている場合、選択機能は、故障判定を間に挟み、間欠的に2度動作する。その後、各グループのZ軸角速度の差分を計算して計算結果を設定された閾値と比較し(比較機能)、故障したジャイロセンサの特定を行う(特定機能)。各グループの角速度は、上記式(8)及び上記式(9)で計算する。
本実施例は、第4実施例の変形例である。本実施例では、まず、図1に示す慣性力センサ60において、ジャイロセンサ6a~6dのうちの2個のジャイロセンサを含む6グループのうちから2グループの組合せを選択し(選択機能)、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無の特定のみを行う。2個のジャイロセンサを含む2グループは、ジャイロセンサ6a~6dの全てが含まれるように選択する。その後、故障ありと判定された場合、ジャイロセンサ6a~6dのうちの3個のジャイロセンサを含む4グループのうちから3グループの組合せを選択し(選択機能)、各グループのZ軸角速度を測定する(算出機能)。すなわち、ジャイロセンサに故障が生じている場合、選択機能は、故障判定を間に挟み、間欠的に2度動作する。その後、各グループのZ軸角速度の差分を計算して計算結果を設定された閾値と比較し(比較機能)、故障したジャイロセンサの特定を行う(特定機能)。各グループの角速度は、上記式(8)及び上記式(9)で計算する。
2個のジャイロセンサを含む2グループのZ軸角速度「ωz12」,「ωz34」の差分を計算すると、ジャイロセンサ6a~6dが全て正常であれば、「ωz12」,「ωz34」の差分の数値(絶対値)は、閾値を超えない小さな数値となる。一方、故障が発生しているジャイロセンサが存在する場合、「ωz12」,「ωz34」の差分の数値(絶対値)が閾値を超える。本実施例では、「ωz12」,「ωz34」の差分の数値(絶対値)が閾値を超えた場合、3個のジャイロセンサを含む3グループZ軸角速度「ωz123」,「ωz124」,「ωz134」を測定し、差分を計算する。各グループのZ軸角速度の差分として図9に示す「A」~「D」の4個の結果が得られる。本実施例の特定方法は、まず、ジャイロセンサ6a~6dの故障の有無のみ特定し、故障ありの場合のみ故障したジャイロセンサの特定を行う。その結果、測定(計算)数の増大を抑制しながら、高精度にジャイロセンサ6a~6dの故障の有無と故障したジャイロセンサの特定を行うことができる。
本実施例の場合、第1ジャイロセンサ6aが故障し、他のジャイロセンサ6b,6c,6dが故障していない場合、「A」の数値は閾値を超え、「B」,「C」,「D」の数値は閾値を超えない。第2ジャイロセンサ6bが故障し、他のジャイロセンサ6a,6c,6dが故障していない場合、「A」,「C」,「D」の数値は閾値を超え、「B」の数値は閾値を超えない。第3ジャイロセンサ6cが故障し、他のジャイロセンサ6a,6b,6dが故障していない場合、「A」,「B」,「D」の数値は閾値を超え、「C」の数値は閾値を超えない。第4ジャイロセンサ6dが故障し、他のジャイロセンサ6a,6b,6cが故障していない場合、「A」,「B」,「C」の数値は閾値を超え、「D」の数値は閾値を超えない。
図10は、慣性力センサ60におけるジャイロセンサ6a~6dの故障検知の流れを示している。慣性力センサ60は、ステップS2のように、通常、4個のジャイロセンサ6a~6dを利用し、上記式(1),(2)を利用して3軸角速度を測定している(第1検出手段)。4個のジャイロセンサ6a~6dのちの1~3個のジャイロセンサを含む複数のグループの組合せを選択する(ステップS4:選択機能)。その後、各グループのZ軸角速度を計算し(ステップS6)、各グループのZ軸角速度の差分と閾値との比較を行う(ステップS8)。Z軸角速度の差分が閾値より小さい場合、故障器なしと判断し、ステップS4に戻る(ステップS10:NO)。すなわち、4個のジャイロセンサ6a~6dを利用した3軸角速度の測定を継続する。
故障器ありと判断された場合(ステップS10:YES)、ステップS12に進み、回路演算出力部63は、切替手段70にエラー信号を出力する(図4を参照)。切替手段70は、第1検出手段(4個のジャイロセンサ6a~6dで3軸角速度を測定)を停止し(ステップS14)、故障器の特定が可能か否かを判断する(ステップS16)。すなわち、切替手段70は、3個のジャイロセンサ6a~6dを利用し、上記式(3)~(6)を利用して3軸角速度を測定できるか否かを判断する。3個のジャイロセンサ6a~6dを利用して3軸角速度を測定できる場合(ステップS16:YES)、切替手段70は、3軸角速度の測定を、第2検出手段に切替える(ステップS18)。その後、慣性力センサ60は、3個のジャイロセンサを利用し、上記式(3)~(6)を利用して3軸角速度を測定する。3個のジャイロセンサ6a~6dを利用して3軸角速度を測定できない場合(ステップS16:NO)、慣性力センサ60に異常が生じていることを報知する(ステップS20)。
本実施例で開示した慣性力センサ60は、例えば、車両の自動運転システム、ドローン等の飛行体の自動運転システムにおいて好適に用いることができる。上述したように、慣性力センサ60は、ジャイロセンサ6a~6dに故障が生じてることだけでなく、どのジャイロセンサが故障しているかを特定し、故障していないジャイロセンサで3軸角速度の測定を継続することができる。そのため、ジャイロセンサに故障が生じても、自己位置(現在の経路)の推定を継続することができ、使用(走行、飛行)を中断する必要がない。また、ジャイロセンサが故障した場合に、故障していないジャイロセンサで3軸角速度を測定するので、正確な自己位置の推定を行うことができる。さらに、どのジャイロセンサが故障しているかを特定することにより、使用後に故障しているジャイロセンサの特定作業(特定のための検査)を省略することができる。
なお、慣性力センサ60では、ジャイロセンサとして、検出軸が1個の一軸ジャイロセンサ(Z軸ジャイロセンサ)を用いているが、検出軸が2個の二軸ジャイロセンサ又は検出軸が3個の三軸ジャイロセンサを用いることもできる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:台座
4:ブロック
6:ジャイロセンサ
60:慣性力センサ
64:回路演算出力部
4:ブロック
6:ジャイロセンサ
60:慣性力センサ
64:回路演算出力部
Claims (8)
- 台座と、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第1ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第2ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第3ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第4ブロックと、
第1ブロックの傾斜面に配置されている第1ジャイロセンサと、
第2ブロックの傾斜面に配置されている第2ジャイロセンサと、
第3ブロックの傾斜面に配置されている第3ジャイロセンサと、
第4ブロックの傾斜面に配置されている第4ジャイロセンサと、
第1から第4ジャイロセンサの中に故障したジャイロセンサが存在するか否かを判断する判断手段と、
第1から第4のジャイロセンサの測定値より3軸角速度を検出する検出手段と、
を備えており、
第1ブロックと第2ブロックは、台座の表面に平行な第1方向に沿って対向配置されており、
第3ブロックと第4ブロックは、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に沿って対向配置されており、
判断手段は、第1から第4ジャイロセンサにおいて、1個、2個又は3個のジャイロセンサを含む複数のグループの組合せを選択する選択機能と、各グループのジャイロセンサにより測定された角速度を比較する比較機能と、比較機能の結果より故障しているジャイロセンサの有無を判断し、故障しているジャイロセンサの特定を行い、故障しているジャイロセンサが存在する場合に検出手段に向けて故障情報信号を出力し、
検出手段は、故障情報信号が入力されたときに第1から第4のジャイロセンサを用いた3軸角速度の検出を停止する、多軸慣性力センサ。 - 台座と、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第1ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第2ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第3ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第4ブロックと、
第1ブロックの傾斜面に配置されている第1ジャイロセンサと、
第2ブロックの傾斜面に配置されている第2ジャイロセンサと、
第3ブロックの傾斜面に配置されている第3ジャイロセンサと、
第4ブロックの傾斜面に配置されている第4ジャイロセンサと、
第1から第4ジャイロセンサの中に故障したジャイロセンサが存在するか否かを判断する判断手段と、
第1から第4ジャイロセンサの4個のジャイロセンサの測定値より3軸角速度を検出する第1検出手段と、
第1から第4ジャイロセンサのうちの3個のジャイロセンサの測定値より3軸角速度を検出する第1検出手段と、
を備えており、
第1ブロックと第2ブロックは、台座の表面に平行な第1方向に沿って対向配置されており、
第3ブロックと第4ブロックは、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に沿って対向配置されており、
判断手段は、第1から第4ジャイロセンサにおいて、1個、2個又は3個のジャイロセンサを含む複数のグループの組合せを選択する選択機能と、各グループのジャイロセンサにより測定された角速度を比較する比較機能と、比較機能の結果より故障しているジャイロセンサの有無を判断し、故障しているジャイロセンサの特定を行い、故障しているジャイロセンサが存在する場合に検出手段に向けて故障情報信号を出力し、
第1検出手段は、故障情報信号が入力されたときに、3軸角速度の検出を停止し、
第2検出手段は、故障情報信号が入力されたとき、故障していない3個のジャイロセンサから3軸角速度の検出を行う、多軸慣性力センサ。 - 台座と、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第1ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第2ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第3ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第4ブロックと、
第1ブロックの傾斜面に配置されている第1ジャイロセンサと、
第2ブロックの傾斜面に配置されている第2ジャイロセンサと、
第3ブロックの傾斜面に配置されている第3ジャイロセンサと、
第4ブロックの傾斜面に配置されている第4ジャイロセンサと、
第1から第4ジャイロセンサの中に故障したジャイロセンサが存在するか否かを判断する判断手段と、
第1から第4ジャイロセンサの4個のジャイロセンサの測定値より3軸角速度を検出する第1検出手段と、
第1から第4ジャイロセンサのうちの3個のジャイロセンサの測定値より3軸角速度を検出する第1検出手段と、
を備えており、
第1ブロックと第2ブロックは、台座の表面に平行な第1方向に沿って対向配置されており、
第3ブロックと第4ブロックは、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に沿って対向配置されており、
判断手段は、第1から第4ジャイロセンサにおいて、1個、2個又は3個のジャイロセンサを含む複数のグループの組合せを選択する選択機能と、各グループのジャイロセンサを用いて角速度を算出する算出機能と、算出された角速度を比較する比較機能と、比較機能の結果より故障しているジャイロセンサの有無を判断し、故障しているジャイロセンサの特定を行い、故障しているジャイロセンサが存在する場合に検出手段に向けて故障情報信号を出力し、
第1検出手段は、故障情報信号が入力されたときに、3軸角速度の検出を停止し、
第2検出手段は、故障情報信号が入力されたとき、故障していない3個のジャイロセンサから3軸角速度の検出を行う、多軸慣性力センサ。 - 判断手段は、各グループ同士の角速度の差分が閾値より大きいグループの組合せに基づいて故障したジャイロセンサを特定する請求項1から3のいずれか一項に記載の多軸慣性力センサ。
- 判断手段は、各グループのジャイロセンサを用いて、第1方向及び第2方向に直交する第3方向の角速度を算出する請求項3に記載の多軸慣性力センサ。
- 判断手段は、算出された各グループの角速度の差分を比較する請求項3に記載の多軸慣性力センサ。
- 判断手段において、選択機能は、複数のグループの組合せを選択し、各グループのジャイロセンサにより測定された角速度の比較結果より故障しているジャイロセンサが存在することが確認された後、再度、故障しているジャイロセンサを特定するために複数のグループの組合せを選択する請求項1から3のいずれか一項に記載の多軸慣性力センサ。
- 判断手段において、
選択機能は、4個のジャイロセンサのうちの2個のジャイロセンサを含む2グループの組合せを、4個のジャイロセンサの全てが含まれるように選択し、
特定機能は、2個のジャイロセンサを含む2グループの組合せから第1方向及び第2方向に直交する第3方向の角速度を算出し、算出された2グループの角速度の差分が閾値より大きいグループの組合せに基づいて故障したジャイロセンサの有無を特定し、
故障したジャイロセンサが存在する場合に、選択機能は、4個のジャイロセンサのうちの3個のジャイロセンサを含む4グループのうちから3グループの組合せを選択し、
特定機能は、3個のジャイロセンサを含む3グループの組合せから第3方向の角速度を算出し、算出された3グループの角速度の差分が閾値より大きいグループの組合せに基づいて故障したジャイロセンサを特定する請求項3に記載の多軸慣性力センサ。
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