JP2023141984A - 電機子 - Google Patents

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知将 武田
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Abstract

【課題】放熱性の向上を図ることのできる電機子を提供する。【解決手段】回転電機の固定子は、相あたり複数の部分巻線からなる相巻線を有する多相の固定子巻線と、固定子巻線が組み付けられる円筒状の巻線保持部材と、を有する。部分巻線は、矩形断面形状を有する平角線CLが束ねられた空芯状の単位コイルよりなる。部分巻線において、平角線CLどうしの間と、平角線CLが集合した集合部の外側に、空気よりも放熱性の高い絶縁材からなる絶縁層85が形成されている。【選択図】 図21

Description

この明細書における開示は、回転電機の電機子に関する。
従来、周方向に極性が交互となる複数の磁極を有する磁石部を含む界磁子と、多相の電機子巻線を有する電機子と、を備える回転電機が知られている。また、電機子巻線として、複数の導線が束ねられてなる空芯状の単位コイルを用いた構成が知られている(特許文献1参照)。
特開2020-137369号公報
複数の導線が束ねられてなる単位コイルを用いた電機子巻線では、導線どうしの間に空隙が存在していると、その空隙に起因して放熱性が低下することが考えられる。つまり、例えば電機子のコイルサイドにおいて導線どうしの間に空隙が存在していると、各導線から電機子コア等への伝導による熱の放出が損なわれ、それに起因する放熱性の低下が懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、放熱性の向上を図ることのできる電機子を提供することを目的とする。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
手段1は、
相あたり複数の部分巻線からなる相巻線を有する多相の電機子巻線と、前記電機子巻線が組み付けられる円筒状の巻線保持部材と、を有する電機子であって、
前記部分巻線は、矩形断面形状を有する平角線が束ねられた空芯状の単位コイルよりなり、
前記部分巻線において、前記平角線どうしの間と、前記平角線が集合した集合部の外側に、空気よりも放熱性の高い絶縁材からなる絶縁層が形成されていることを特徴とする。
矩形断面形状を有する平角線が束ねられた空芯状の単位コイルよりなる部分巻線において、平角線どうしの間と、平角線が集合した集合部の外側に、空気よりも放熱性の高い絶縁材からなる絶縁層が形成されている構成とした。これにより、平角線どうしの間の隙間を絶縁材により埋めることができ、各平角線から巻線保持部材への伝導による熱の放出が促進することができる。その結果、電機子において放熱性の向上を図ることができる。
手段2では、手段1において、回転電機において複数の磁極を有する界磁子に対して径方向に対向するように配置されるティースレス構造の電機子であって、前記部分巻線において、前記平角線が集合した集合部の横断面が四角形状をなしており、その外面である四方の側面のうち前記界磁子に対向する側面では、当該界磁子側の側面以外の他の側面に比べて、前記絶縁層の厚みが薄い。
ティースレス構造の電機子では、周方向において各部分巻線どうしの相間絶縁が必要となり、部分巻線の径方向両側のうち巻線保持部材の側において対地絶縁が必要となる。また、部分巻線の径方向両側のうち界磁子側(巻線保持部材の反対側)では、上記のような絶縁は不要となる。この点を考慮し、平角線の集合部における四方の側面のうち界磁子に対向する側面では、その界磁子側の側面以外の他の側面に比べて、絶縁層の厚みが薄い構成とした。これにより、部分巻線における所望の絶縁を図りつつも、エアギャップの過度な増大を抑制することができる。
手段3では、手段1又は2において、回転電機において複数の磁極を有する界磁子に対して径方向に対向するように配置される電機子であって、前記界磁子に径方向に対向する部分がコイルサイドであり、そのコイルサイドよりも軸方向外側がコイルエンドであり、前記コイルエンドにおいて、前記巻線保持部材の一部又は前記巻線保持部材に固定された部材である位置規制部材により、前記巻線保持部材に組み付けられた状態での前記部分巻線の位置が規制されている。
電機子のコイルエンドにおいて、巻線保持部材に組み付けられた状態の部分巻線の位置が位置規制部材により規制される構成としたため、各部分巻線で生じる相対的な振動が抑制される。この場合、平角線どうしの間に絶縁層が形成されている構成と相俟って、各平角線での振動摩耗による絶縁性の低下を抑制することができる。
手段4では、手段1~3のいずれかにおいて、回転電機において複数の磁極を有する界磁子に対して径方向に対向するように配置される電機子であって、前記界磁子に径方向に対向する部分がコイルサイドであり、そのコイルサイドよりも軸方向外側がコイルエンドであり、前記部分巻線は、前記コイルサイドに対応する部位である第1部分と、前記コイルエンドに対応する部位である第2部分とを有し、前記第1部分では、前記第2部分に比べて前記絶縁層に含まれる気泡が少ない。
部分巻線において、コイルサイドに対応する部位である第1部分では、コイルエンドに対応する部位である第2部分に比べて絶縁層に含まれる気泡が少なくなっている構成とした。この場合、部分巻線の第1部分(コイルサイド対応部位)では、絶縁層の気泡が比較的少ないことで第1部分から巻線保持部材への伝導による熱の放出を好適に行わせることができる一方、部分巻線の第2部分(コイルエンド対応部位)では、絶縁層の気泡が比較的多いことで、第2部分から外界への放射による熱の放出を好適に行わせることができる。
また、コイルエンドでは、コイルサイドに比べて冷熱による絶縁材の膨張及び収縮が大きくなると考えられるが、第2部分において絶縁層の気泡を比較的多くしたことで、冷熱による絶縁材のストレス緩和を実現することができる。
手段5では、手段1~4のいずれかにおいて、前記部分巻線は、軸方向において一端側と他端側とで、前記平角線どうしの間の前記絶縁層の内部に含まれる気泡量が相違しており、前記気泡量が多い側が第1端部、前記気泡量が少ない側が第2端部であり、前記電機子の軸方向一端側及び他端側の各々において前記第1端部と前記第2端部とが周方向に均等に分散配置された状態で、前記各部分巻線が前記巻線保持部材に組み付けられている。
部分巻線では、例えばその長手方向、すなわち軸方向の一端側及び他端側において、絶縁層内に存在する気泡の分布が異なることが考えられる。具体的には、部分巻線の製造時における絶縁材の充填方法や、空芯コイルからなる部分巻線の渡り部分の屈曲形状などに応じて、部分巻線の軸方向一端側と他端側とで絶縁層内の気泡分布が相違することが考えられる。この点に着目し、電機子の軸方向一端側及び他端側において、気泡量が多い側である第1端部と、気泡量が少ない側である第2端部とが周方向に均等に分散配置された状態で、各部分巻線が巻線保持部材に組み付けられている構成とした。これにより、電機子における各所の放熱のばらつきを抑制することができる。
手段6は、
相あたり複数の部分巻線からなる相巻線を有する多相の電機子巻線と、前記電機子巻線が組み付けられる円筒状の巻線保持部材と、を有する電機子の製造方法であって、
矩形断面形状を有する複数の平角線が束ねられた空芯状の単位コイルよりなる部分巻線を作製する巻線作製工程と、
前記部分巻線を成形型に収容した状態で、前記成形型内に、空気よりも放熱性の高い液状の絶縁材を充填し、前記平角線どうしの間と前記複数の平角線の外側に前記絶縁材からなる絶縁層を形成する充填工程と、
前記充填工程後の前記部分巻線を、前記巻線保持部材に対して組み付ける組付工程と、
を有することを特徴とする。
上記製造方法によれば、複数の平角線が束ねられた空芯状の部分巻線において、平角線どうしの間と複数の平角線の外側に、空気よりも放熱性の高い絶縁材の充填により絶縁層が好適に形成される。この場合、平角線どうしの間の隙間が絶縁材により埋まっていることで、各平角線から巻線保持部材への伝導による熱の放出が促進することができる。その結果、電機子において放熱性の向上を図ることができる。
手段7では、手段6において、回転電機において複数の磁極を有する界磁子に対して径方向に対向するように配置される電機子の製造方法であって、前記界磁子に径方向に対向する部分がコイルサイドであり、そのコイルサイドよりも軸方向外側がコイルエンドであり、前記部分巻線は、前記コイルサイドに対応する部位である第1部分と、前記コイルエンドに対応する部位である第2部分とを有しており、前記充填工程では、前記第1部分が鉛直方向に延びる向きにして前記成形型内に前記部分巻線を収容するとともに、前記成形型において、前記第1部分の両側の前記第2部分のうち鉛直方向下側の第2部分から前記絶縁材を注入する。
充填工程において、コイルサイドに対応する部位である第1部分が鉛直方向に延びる向きにして部分巻線を成形型内に収容することで、その第1部分では、平角線どうしの間の隙間が鉛直方向に延びることとなる。また、成形型において、第1部分の両側の第2部分(コイルエンドに対応する部位)のうち鉛直方向下側の第2部分から絶縁材を注入することで、絶縁材の注入に伴い液位が上昇するのにつれて、成形型内の空気が徐々に上方に押し上げられる。これにより、平角線どうしの間の隙間において、気泡を排除しつつ絶縁層を好適に形成することができる。
第1部分(コイルサイド対応部位)は、第2部分(コイルエンド対応部位)に比べて平角線どうしの間の残留気泡を除去したい部位であり、上記製造方法によれば、所望とする第1部分での気泡除去が実現できる。
第1実施形態における回転電機の縦断面図。 固定子ユニットの外観を示す斜視図。 固定子ユニットの平面図。 (a)は図3の4a-4a線断面図、(b)は図3の4b-4b線断面図。 コアアセンブリの分解斜視図。 (a)はコアアセンブリの縦断面図、(b)はコアアセンブリの横断面図。 位置規制部材の斜視図。 コアアセンブリに対して位置規制部材を組み付けた状態を示す斜視図。 部分巻線の構成を示す斜視図。 位置規制部材の構成を示す斜視図。 固定子ユニットの縦断面図。 配線モジュールの斜視図。 固定子ユニットの分解斜視図。 固定子ユニットの組み立て過程を説明するための斜視図。 固定子ユニットの組み立て過程を説明するための斜視図。 固定子ユニットの組み立て過程を説明するための斜視図。 固定子ユニットの組み立て過程を説明するための斜視図。 固定子ユニットの縦断面図。 固定子コアと中間導線部とコイルカバーとを拡大して示す横断面図。 樹脂モールド部を作製するための金型装置を示す図。 部分巻線において導線集合部の横断面を示す断面図。 樹脂成形装置による樹脂充填を説明するための図。 樹脂成形装置による樹脂充填を説明するための図。 固定子ユニットの別の構成を示す縦断面図。 金型装置におけるマスク装置を示す図。 第2実施形態における固定子ユニットの外観を示す斜視図。 固定子ユニットの平面図。 (a)は図27の28a-28a線断面図、(b)は図27の28b-28b線断面図。 コアアセンブリと位置規制部材とを分解して示す斜視図。 固定子ユニットの縦断面図。 第3実施形態における固定子ユニットの外観を示す斜視図。 固定子ユニットの縦断面図。 固定子ユニットの分解斜視図。 固定子ユニットの分解斜視図。 第4実施形態における固定子ユニットの外観を示す斜視図。 固定子ユニットにおいて位置規制部材を分離させた状態を示す斜視図。 第5実施形態における固定子ユニットの外観を示す斜視図。 固定子ユニットにおいて位置規制部材を分離させた状態を示す斜視図。 第6実施形態における固定子ユニットの外観を示す斜視図。 固定子ユニットにおいて主要な構成を分解して示す斜視図。 導線集合部の外側において絶縁層が形成されている範囲を示す図。 変形例の部分巻線を示す図。
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号が付される場合がある。対応する部分および/又は関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
本実施形態における回転電機は、例えば車両動力源として用いられるものとなっている。ただし、回転電機は、産業用、車両用、航空機用、家電用、OA機器用、遊技機用などとして広く用いられることが可能となっている。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る回転電機10は、アウタロータ式の表面磁石型多相交流モータであり、車両のインホイールモータとして用いられる。図1は、回転電機10の縦断面図である。以下の記載では、回転電機10において、回転軸線の延びる方向を軸方向とし、回転軸線の中心から放射状に延びる方向を径方向とし、回転軸線を中心として円周状に延びる方向を周方向としている。
回転電機10は、大別して、回転子20と、固定子40を含んでなる固定子ユニット30とを有する回転電機本体を備えており、その回転電機本体に対して、不図示の車体に固定される略円柱状のスピンドル11と、不図示の車輪のホイールに固定されるハブ12とが一体化された構成となっている。ハブ12は、スピンドル11を挿通させる挿通孔13を有している。そして、ハブ12の挿通孔13にスピンドル11が挿通された状態で、一対の軸受14,15によりハブ12が回転可能に支持されている。回転電機10では、回転中心となる軸線の延びる向き(図1の左右方向)が軸方向であり、その軸方向が水平方向又は略水平方向となる向きで回転電機10が車両に取り付けられるものとなっている。
回転電機10では、回転子20及び固定子40が、エアギャップを挟んで径方向に対向配置されている。また、スピンドル11に対して固定子ユニット30が固定され、ハブ12に対して回転子20が固定されている。そのため、スピンドル11及び固定子ユニット30に対して、ハブ12及び回転子20が回転可能となっている。回転子20が「界磁子」に相当し、固定子40が「電機子」に相当する。
スピンドル11及び固定子ユニット30の一体物と、ハブ12及び回転子20の一体物とが互いに組み付けられた状態において、回転子20の軸方向一端側(スピンドル11の基端側)には回転子カバー16が固定されている。回転子カバー16は、円環板状をなしており、固定子ユニット30との間に軸受17を介在させた状態で、回転子20に対してボルト等の固定具により固定されている。
回転子20は、略円筒状の回転子キャリア21と、その回転子キャリア21に固定された環状の磁石ユニット22とを有している。回転子キャリア21は、円筒状をなす筒状部23と、その筒状部23の軸方向一端側に設けられた端板部24とを有しており、筒状部23の径方向内側に環状に磁石ユニット22が固定されている。回転子キャリア21の軸方向他端側は開放されている。回転子キャリア21は、磁石保持部材として機能する。端板部24の中央部には貫通孔24aが形成されており、その貫通孔24aに挿通された状態で、ハブ12がボルト等の固定具により端板部24に固定されている。
磁石ユニット22は、回転子20の周方向に沿って極性が交互に変わるように配置された複数の永久磁石により構成されている。これにより、磁石ユニット22は、周方向に複数の磁極を有する。磁石ユニット22が「磁石部」に相当する。永久磁石は、例えば、固有保磁力が400[kA/m]以上であり、かつ残留磁束密度Brが1.0[T]以上である焼結ネオジム磁石である。
磁石ユニット22は、それぞれ極異方性の複数の永久磁石を有しており、それら各磁石は、d軸側(d軸寄りの部分)とq軸側(q軸寄りの部分)とで磁化容易軸の向きが相違し、d軸側では磁化容易軸の向きがd軸に平行する向きとなり、q軸側では磁化容易軸の向きがq軸に直交する向きとなっている。この場合、磁化容易軸の向きに沿って円弧状の磁石磁路が形成されている。要するに、各磁石は、磁極中心であるd軸の側において、磁極境界であるq軸の側に比べて磁化容易軸の向きがd軸に平行となるように配向がなされて構成されている。
次に、固定子ユニット30の構成を説明する。図2(a),(b)は、固定子ユニット30の外観を示す斜視図であり、そのうち図2(b)は、固定子ユニット30に設けられた樹脂モールドを除去した状態を示している。図3は、固定子ユニット30の平面図であり、図4(a)は、図3の4a-4a線断面図であり、図4(b)は、図3の4b-4b線断面図である。
固定子ユニット30は、その概要として、固定子40と、その径方向内側の固定子ホルダ50と、配線モジュール130とを有している。固定子40は、ティースレス構造となっており、固定子巻線41と固定子コア42とを有している。そして、固定子コア42と固定子ホルダ50とを一体化してコアアセンブリCAとして設け、そのコアアセンブリCAに対して、固定子巻線41を構成する複数の部分巻線81を組み付ける構成としている。なお、固定子巻線41が「電機子巻線」に相当し、固定子コア42が「電機子コア」に相当し、固定子ホルダ50が「電機子保持部材」に相当する。また、コアアセンブリCAが「巻線保持部材」に相当する。
固定子ユニット30は、その外観として、軸方向一端側及び他端側が樹脂により被覆された樹脂モールド部150になっており、その軸方向両端の樹脂モールド部150の間である中間部分の全体が、コイルカバー140により覆われた構成となっている(図2(a)参照)。
ここではまず、コアアセンブリCAについて説明する。図5は、コアアセンブリCAの分解斜視図であり、図6(a)は、コアアセンブリCAの縦断面図であり、図6(b)は、コアアセンブリCAの横断面図(図6(a)の6b-6b線断面図)である。
コアアセンブリCAは、上述したとおり固定子コア42と、その径方向内側に組み付けられた固定子ホルダ50とを有している。言うなれば、固定子ホルダ50の外周面に固定子コア42が一体に組み付けられて構成されている。
固定子コア42は、磁性体である電磁鋼板からなるコアシートが軸方向に積層されたコアシート積層体として構成されており、径方向に所定の厚さを有する円筒状をなしている。固定子コア42の径方向外側の外周面は凹凸のない曲面状をなしており、その外周面(すなわち、径方向内外のうち回転子20側)には固定子巻線41が組み付けられる。固定子コア42はバックヨークとして機能する。固定子コア42は、例えば円環板状に打ち抜き形成された複数枚のコアシートが軸方向に積層されて構成されている。ただし、固定子コア42としてヘリカルコア構造を有するものを用いてもよい。ヘリカルコア構造の固定子コア42では、帯状のコアシートが用いられ、このコアシートが環状に巻回形成されるとともに軸方向に積層されることで、全体として円筒状の固定子コア42が構成されている。
また、固定子コア42において、径方向内側の内周面には、周方向に所定間隔で複数の凸部43が設けられている。凸部43は、固定子コア42の径方向の厚さを局所的に厚くする部分であり、凸部43により厚肉となった部分にはそれぞれ軸方向に貫通する貫通孔44が形成されている。
本実施形態において、固定子40は、スロットを形成するためのティースを有していないスロットレス構造を有するものであるが、その構成は以下の(A)~(C)のいずれかを用いたものであってもよい。これら(A)~(C)は実質的にティースレス構造に相当する。
(A)固定子40において、周方向における各導線部(後述する中間導線部82)の間に導線間部材を設け、かつその導線間部材として、1磁極における導線間部材の周方向の幅寸法をWt、導線間部材の飽和磁束密度をBs、1磁極における磁石の周方向の幅寸法をWm、磁石の残留磁束密度をBrとした場合に、Wt×Bs≦Wm×Brの関係となる磁性材料を用いている。
(B)固定子40において、周方向における各導線部(中間導線部82)の間に導線間部材を設け、かつその導線間部材として、非磁性材料を用いている。
(C)固定子40において、周方向における各導線部(中間導線部82)の間に導線間部材を設けていない構成となっている。
固定子ホルダ50は、固定子コア42が組み付けられる円筒部51と、円筒部51よりも径方向外側に張り出す張出部52と、円筒部51の径方向内側に形成された底部53とを有している。底部53には、軸方向に貫通する貫通孔54が設けられており、その貫通孔54に、スピンドル11が挿通可能となっている。固定子ホルダ50は、例えばアルミニウムや鋳鉄等の金属、又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により構成されている。
円筒部51は、その外周面が二段に形成されており、小径部55と大径部56とを有している。小径部55に対して固定子コア42が組み付けられている。小径部55には、固定子コア42の凸部43に対応する複数の凹部57が設けられており、固定子ホルダ50に対して固定子コア42が組み付けられることで、固定子ホルダ50側の凹部57内に固定子コア42側の凸部43が入り込む状態となっている。
大径部56には、小径部55側に端面58が形成されているとともに、その端面58に開口する状態で、軸方向に延びる複数の孔部59が形成されている。孔部59にて雌ねじが形成されている。固定子ホルダ50に対して固定子コア42が組み付けられた状態では、固定子コア42側の貫通孔44と固定子ホルダ50側の孔部59とが軸方向に連通する。固定子コア42の外径と固定子ホルダ50の大径部56の外径とは一致している。
円筒部51には、冷却水等の冷媒を流通させる冷媒通路60が形成されている。冷媒通路60は、軸方向に延び、かつ円筒部51に沿って環状に設けられており、不図示の入口部と出口部との間で周方向に冷媒を流通させるものとなっている。本実施形態では、上述のとおり小径部55に複数の凹部57が設けられていることから、その凹部57ごとに冷媒通路60が径方向内側に凹ませて形成されている。ただし、凹部57ごとに凹ませることなく、冷媒通路60が環状に形成されていてもよい。
なお、円筒部51を、径方向外側の外筒部材と径方向内側の内筒部材とからなる二重構造とし、それら外筒部材と内筒部材との間の隙間空間が冷媒通路60になっているとよい。不図示とするが、冷媒通路60には、冷媒を循環させる外部循環経路が接続されるようになっている。外部循環経路には、例えば電動式のポンプと、ラジエータ等の放熱装置とが設けられ、ポンプの駆動に伴い循環経路と回転電機10の冷媒通路60とを通じて冷媒が循環する。
また、張出部52には、周方向に所定間隔で複数の突出部61が設けられている。突出部61にはそれぞれ軸方向に貫通する貫通孔62が形成されている。貫通孔62にはそれぞれ雌ねじが形成されている。固定子コア42の凸部43の数(貫通孔44の数)と突出部61の数はいずれも同数で設けられており、本実施形態では例えば18個である。
固定子ホルダ50の張出部52には、コアアセンブリCAに対して組み付けられる部分巻線81の位置を規制する位置規制部材70が固定されるようになっている(図2(b)参照)。図7は、位置規制部材70の斜視図であり、図8は、コアアセンブリCAに対して位置規制部材70を組み付けた状態を示す斜視図である。
位置規制部材70は、固定子ホルダ50の大径部56よりも大径の円環部71を有しており、その円環部71には径方向外側に突出する複数の突出部72が設けられている。突出部72は周方向に所定間隔で設けられており、各突出部72の位置は、固定子ホルダ50の張出部52に設けられた突出部61の位置に合致している。突出部72にはそれぞれ軸方向に貫通する貫通孔73が形成されている。
また、円環部71には、コアアセンブリCAに組み付けられた部分巻線81の渡り部(後述する渡り部83,84)に対して位置規制を行う規制部75,76が設けられている。規制部75は、円環部71から径方向内側に延びるようにして周方向に所定間隔で設けられ、規制部76は、円環部71から軸方向に延びるようにして周方向に所定間隔で設けられている。これら各規制部75,76は、周方向に延びる凸状部であり、周方向に交互に並ぶようにして設けられている。
位置規制部材70は、部分巻線81の位置規制の役割を担う部材であり、高剛性の部材であることが望ましい。本実施形態では、位置規制部材70を金属製としており、例えばアルミニウムやアルミニウム合金、鋳鉄等により位置規制部材70が形成されている。
図8においては、固定子ホルダ50の張出部52に位置規制部材70が組み付けられている。つまり、張出部52側の突出部61と位置規制部材70側の突出部72とに固定具としてのボルト77が螺着されることにより、コアアセンブリCAに対して位置規制部材70が固定されている。この状態では、固定子ホルダ50の大径部56と位置規制部材70とが径方向に対向し、それら両者の間に環状空間が形成されている。そして、この環状空間と、位置規制部材70の各規制部75,76とにより、部分巻線81の位置規制が行われるようになっている。ただしその詳細は後述する。
なお、円筒部51の内周側には環状の内部空間が形成されており、その内部空間に、例えば電力変換器としてのインバータを構成する電気部品が配置される構成としてもよい。電気部品は、例えば半導体スイッチング素子やコンデンサをパッケージ化した電気モジュールである。円筒部51の内周面に当接した状態で電気モジュールを配置することにより、冷媒通路60を流れる冷媒による電気モジュールの冷却が可能となっている。
次に、コアアセンブリCAに対して組み付けられる固定子巻線41の構成を詳しく説明する。コアアセンブリCAに対して固定子巻線41が組み付けられた状態は、図2~図14に示すとおりであり、コアアセンブリCAの径方向外側、すなわち固定子コア42の径方向外側に、固定子巻線41を構成する複数の部分巻線81が周方向に並ぶ状態で組み付けられている。固定子巻線41は、複数の相巻線を有し、各相の相巻線が周方向に所定順序で配置されることで円筒状(環状)に形成されている。本実施形態では、U相、V相及びW相の相巻線を用いることで、固定子巻線41が3相の相巻線を有する構成となっている。
図4(a)に示すように、固定子40は、軸方向において、固定子コア42に径方向に対向するコイルサイドCSに相当する部分と、そのコイルサイドCSの軸方向外側であるコイルエンドCE1,CE2に相当する部分とを有している。コイルサイドCSは、回転子20の磁石ユニット22に径方向に対向する部分でもある。この場合、部分巻線81は、その軸方向両端部分が固定子コア42よりも軸方向外側(すなわちコイルエンドCE1,CE2側)に突出した状態で組み付けられている。部分巻線81は、回転電機10の極数に応じて設けられており、相ごとに複数の部分巻線81が並列又は直列に接続されている。本実施形態では、磁極数を24としているが、その数は任意である。
部分巻線81はそれぞれ、軸方向両端のうち一方が径方向に屈曲され、他方が径方向に屈曲されずに設けられている。そして、全ての部分巻線81のうち半数の部分巻線81は、軸方向一端側が屈曲側となり、その屈曲側で径方向内側に屈曲されている。また、残りの半数の部分巻線81は、軸方向他端側が屈曲側となり、その屈曲側で径方向外側に屈曲されている。なお以下の記載では、部分巻線81のうち、径方向内側に屈曲された屈曲部を有する部分巻線81を「部分巻線81A」、径方向外側に屈曲された屈曲部を有する部分巻線81を「部分巻線81B」とも称する。
各部分巻線81A,81Bの構成を詳しく説明する。図9(a),(b)は、部分巻線81A,81Bの構成を示す斜視図である。
部分巻線81A,81Bはいずれも、導線材を多重に巻回することで構成されており、互いに平行でかつ直線状に設けられる一対の中間導線部82と、一対の中間導線部82を軸方向両端でそれぞれ接続する一対の渡り部83,84とを有している。そして、これら一対の中間導線部82と一対の渡り部83,84とにより環状に形成されている。一対の中間導線部82は、所定のコイルピッチ分を離して設けられており、周方向において一対の中間導線部82の間に、他相の部分巻線81の中間導線部82が配置可能となっている。本実施形態では、一対の中間導線部82は2コイルピッチ分を離して設けられ、一対の中間導線部82の間に、他2相の部分巻線81における中間導線部82が1つずつ配置される構成となっている。各部分巻線81A,81Bを周方向に並べて配置した状態では、互いに異なる部分巻線81A,81Bの各中間導線部82どうしが近接状態で周方向に並べて配置されている。
軸方向両側の各渡り部83,84は、それぞれコイルエンドCE1,CE2(図4(a)参照)に相当する部分として設けられ、各渡り部83,84のうち、一方の渡り部83は径方向に屈曲形成され、他方の渡り部84は径方向に屈曲されることなく形成されている。渡り部83が「屈曲側の渡り部」であり、渡り部84が「非屈曲側の渡り部」である。渡り部83は、中間導線部82に対して直交する向き、すなわち軸方向に直交する方向に折り曲がるようにして設けられている。これにより、部分巻線81A,81Bは、側方から見て略L形状となっている。
部分巻線81A,81Bでは、渡り部83の径方向の屈曲方向が異なり、部分巻線81Aでは渡り部83が径方向内側に屈曲され、部分巻線81Bでは渡り部83が径方向外側に屈曲されている。この場合、各部分巻線81A,81Bを周方向に並べて配置することを想定すると、部分巻線81A,81Bにおける渡り部83の平面視の形状(径方向の平面形状)が互いに異なっているとよく、部分巻線81Aの渡り部83では先端側ほど周方向の幅が細くなり、部分巻線81Bの渡り部83では先端側ほど周方向の幅が広くなっているとよい。
図4(a)では、軸方向両側のうち一端側であるコイルエンドCE1側(図の上側)において、部分巻線81Aの渡り部83が径方向内側に屈曲され、他端側であるコイルエンドCE2側(図の下側)において、部分巻線81Bの渡り部83が径方向外側に屈曲されている。
各部分巻線81A,81Bにおいて、中間導線部82は、コイルサイドCSにおいて周方向に1つずつ並ぶコイルサイド導線部として設けられている。また、各渡り部83,84は、コイルエンドCE1,CE2において、周方向に異なる2位置の同相の中間導線部82どうしを接続するコイルエンド導線部として設けられている。
部分巻線81A,81Bでは、導線集合部分の横断面が四角形になるように導線材が多重に巻回されて形成されている。中間導線部82で言えば、導線材が周方向に複数列で並べられ、かつ径方向に複数列で並べられることで、横断面が略矩形状となるように形成されている。本実施形態では、導線材として矩形断面形状を有する平角線を用い、その平角線を多重に巻回することで部分巻線81A,81Bが構成されている。
上述したとおり、コアアセンブリCAに対して部分巻線81が組み付けられた状態では、コイルエンドCE2側(図4(a)の下側)において部分巻線81の位置が位置規制部材70により規制される。これに対し、コイルエンドCE1側(図4(a)の上側)では、位置規制部材70とは別の位置規制部材100により、部分巻線81の位置が規制される。つまり、各部分巻線81は、軸方向両端のうち渡り部83が径方向外側に屈曲された側(CE2側)が位置規制部材70により位置規制されるのに対し、渡り部83が径方向内側に屈曲された側(CE1側)が位置規制部材100により位置規制されるものとなっている。
以下に、位置規制部材100の構成を説明する。図10(a)は、位置規制部材100の斜視図であり、図10(b)は、位置規制部材100を構成する第1環状部材110と第2環状部材120とを互いに分離させた状態を示す斜視図である。位置規制部材100は、それぞれ環状に形成され、かつ軸方向に重ねられた状態で設けられる第1環状部材110と第2環状部材120とを有している。第1環状部材110は、固定子コア42の軸方向端面に当接した状態で設けられ、第2環状部材120は、軸方向において第1環状部材110を挟んで固定子コア42の反対側に設けられる。コイルエンドCE1側では、互いに分割可能な第1環状部材110及び第2環状部材120を有する位置規制部材100により、部分巻線81の位置が規制されるものとなっている。
各環状部材110,120は、位置規制部材70と同様、部分巻線81の位置規制の役割を担う部材であり、高剛性の部材であることが望ましい。本実施形態では、各環状部材110,120を金属製としており、例えばアルミニウムやアルミニウム合金、鋳鉄等により各環状部材110,120が形成されている。
図10(b)に示すように、第1環状部材110は、円環部111と、その円環部111に所定間隔で設けられた規制部112,113とを有している。規制部112は、円環部111から軸方向に延びるように設けられるのに対し、規制部113は、円環部111から径方向外側に延びるように設けられている。これら各規制部112,113は、周方向に交互に並ぶようにして設けられている。各規制部112には、それぞれ軸方向に貫通する貫通孔114が形成されている。また、周方向に並ぶ各規制部112のうち複数の規制部112には、径方向内側に突出する突出部115が設けられている。
また、第2環状部材120は、円環部121と、その円環部121に所定間隔で設けられた規制部122とを有している。規制部122は、円環部121から軸方向に延びるように設けられ、その先端側で径方向外側に屈曲されている。また、円環部121には、軸方向に貫通する貫通孔123が形成されている。
図10(a)に示すように、第1環状部材110及び第2環状部材120を一体化した状態では、各環状部材110,120の円環部111,121が重ね合わされることで、各環状部材110,120の貫通孔114,123が軸方向に連通した状態となる。また、第1環状部材110側の規制部113と第2環状部材120側の規制部122とが軸方向(図の上下方向)に互いに離間した状態で対向する。
なお、各環状部材110,120を重ね合わせた状態での互いの位置ずれを抑制すべく、各環状部材110,120の少なくともいずれかには、例えば凹凸係合による係合部が設けられているとよい。これにより、コアアセンブリCAへの組み付け時において各環状部材110,120の位置ずれが抑制されるようになっている。
位置規制部材100(第1環状部材110及び第2環状部材120)は、長尺ボルト101によりコアアセンブリCAに対して固定されるようになっている。具体的には、図4(a),(b)に示すように、位置規制部材100は、固定子コア42の軸方向端面に組み付けられている。その組み付け状態では、各環状部材110,120の貫通孔114,123と、固定子コア42側の貫通孔44と、固定子ホルダ50側の孔部59とが軸方向に連通しており、これら一連の孔部に長尺ボルト101螺着されることで、コアアセンブリCAに対して位置規制部材100が固定されている。
位置規制部材70,100による部分巻線81A,81Bの位置規制の概要を、図11を用いて説明する。図11(a),(b)は、図4(a),(b)の一部を拡大して示す図であり、図11(a)が図4(a)に対応し、図11(b)が図4(b)に対応する。
図11(a),(b)に示すように、コイルエンドCE2側では、位置規制部材70の円環部71と固定子ホルダ50の大径部56とが径方向に対向し、それら両者の間に形成される環状空間に、部分巻線81Aの渡り部84(非屈曲側の渡り部)が挿入されている。これにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Aの径方向及び軸方向の位置が規制されている。また、位置規制部材70の規制部75が部分巻線81Aの渡り部84の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Aの周方向及び軸方向の位置が規制されている。
さらに、位置規制部材70の規制部76が部分巻線81Bの渡り部83(屈曲側の渡り部)の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Bの周方向の位置が規制されている。
一方、コイルエンドCE1側では、第1環状部材110の円環部111により、部分巻線81Aの軸方向の位置が規制されている。また、第1環状部材110の規制部112が部分巻線81Aの渡り部83の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE1側において部分巻線81Aの周方向及び径方向の位置が規制されている。
さらに、第1環状部材110の規制部113と第2環状部材120の規制部122との間に、部分巻線81Bの渡り部84が配置されることにより、コイルエンドCE1側において部分巻線81Bの周方向及び軸方向の位置が規制されている。なお、位置規制部材70,100はそれぞれ、部分巻線81A,81Bの各位置を共に規制する共通部材として設けられている。
次に、配線モジュール130について説明する。配線モジュール130は、固定子巻線41において各部分巻線81A,81Bに電気的に接続される巻線接続部材であり、この配線モジュール130により、各相の部分巻線81が相ごとに並列又は直列に接続され、かつ各相の相巻線が中性点接続される。図4(a),(b)に示すように、配線モジュール130は、コイルエンドCE1側、すなわち軸方向両側のうち部分巻線81Aの渡り部83が径方向内側に屈曲された側に設けられている。
図12に示すように、配線モジュール130は円環状に形成されており、周方向に所定間隔で複数の台座部131が設けられている。配線モジュール130は、位置規制部材100に固定されるものとなっている。具体的には、第1環状部材110に設けられた突出部115(図10(a)参照)に台座部131が固定されることで、位置規制部材100に対して配線モジュール130が固定されている。コイルエンドCE1側では、部分巻線81Bの渡り部84が環状に並んで配置されており、その渡り部84の径方向内側に配線モジュール130が設けられている。
詳細な構成は割愛するが、配線モジュール130は、相ごとにバスバー等の配線部材を有しており、その配線部材が、各相の電力入出力線に接続される。そして、それら各相の電力入出力線が不図示のインバータに接続され、電力の入出力が行われるようになっている。なお、配線モジュール130に、各相の相電流を検出する電流センサが一体に設けられていてもよい。配線モジュール130は、固定子巻線41の形態に応じて環状に形成されているものであればよく、多角形状の環状をなすものや、環状部分の一部が欠けている略C字状の形状のものであってもよい。
次に、固定子ユニット30における各部材の組み付け手順と、固定子ユニット30の細部の詳細構成とを説明する。図13は、固定子ユニット30を組み付け順に分解した分解斜視図である。図13では、固定子ユニット30が、コアアセンブリCA、部分巻線81A、位置規制部材70,100、部分巻線81B、配線モジュール130に分解して示されている。また、図14~図17は、固定子ユニット30の組み立て過程の構成を示す斜視図である。
固定子ユニット30の組み付けに際し、まず図14では、コアアセンブリCAに対して複数の部分巻線81Aが組み付けられている。この状態では、コイルエンドCE1側(図の上側)において、部分巻線81Aの渡り部83(屈曲側の渡り部)が固定子コア42の軸方向端面に対向するように配置される。この場合、固定子コア42の貫通孔44を周方向の中心位置として各部分巻線81Aがそれぞれ配置される。また、コイルエンドCE2側(図の下側)では、部分巻線81Aの渡り部84(非屈曲側の渡り部)が、固定子ホルダ50の張出部52の軸方向端面に対向し、かつ大径部56に沿って周方向に並ぶ状態となっている。
図15では、図14の状態のアセンブリに対して、コイルエンドCE2側の位置規制部材70が組み付けられている。このとき、位置規制部材70が軸方向上側から組み付けられ、ボルト77の螺着により、位置規制部材70がコアアセンブリCAに固定される。この状態では、各部分巻線81Aの渡り部84が、位置規制部材70の円環部71と固定子ホルダ50の大径部56との間に入り込んだ状態となり、コイルエンドCE2側において部分巻線81Aの径方向の位置が規制される。また、位置規制部材70の規制部75が各部分巻線81Aの一対の中間導線部82の間に入り込み、渡り部84の先端部に軸方向に対向することにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Aの周方向及び軸方向の位置が規制される。
また、図16では、図15の状態のアセンブリに対して、コイルエンドCE1側の位置規制部材100が組み付けられている。位置規制部材100の環状部材110,120は、部分巻線81Aの渡り部83の軸方向外側から組み付けられ、長尺ボルト101の螺着によりコアアセンブリCAに固定される。この状態では、第1環状部材110の円環部111により、部分巻線81Aの軸方向の位置が規制される。また、第1環状部材110の規制部112が部分巻線81Aの渡り部83の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE1側において部分巻線81Aの周方向及び径方向の位置が規制される。
また、図17では、図16の状態のアセンブリに対して、複数の部分巻線81Bが組み付けられている。このとき、部分巻線81Bは、各々の中間導線部82が部分巻線81A側の中間導線部82の間に入るようにして径方向外側から組み付けられる。この状態では、位置規制部材70の規制部76が部分巻線81Bの渡り部83の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Bの周方向の位置が規制される。また、第1環状部材110の規制部113と第2環状部材120の規制部122との間に、部分巻線81Bの渡り部84が配置されることにより、コイルエンドCE1側において部分巻線81Bの周方向及び軸方向の位置が規制される。
そして、図17の状態のアセンブリに対して、配線モジュール130が組み付けられる(図2(b)参照)。
また、図2(b)に示すように、各部分巻線81A,81Bの径方向外側には、各部分巻線81A,81Bを拘束する拘束部材として、円環に形成されたコイルカバー140が取り付けられている。コイルカバー140は、径方向外側から、すなわちコアアセンブリCAとは逆側から、周方向に並ぶ各部分巻線81A,81Bを覆う筒状の筒状被覆部材である。コイルカバー140は、固定子巻線41において回転子20の磁石ユニット22に径方向に対向する対向部分の全体、すなわち少なくともコイルサイドCSを含む範囲の全体を覆うように設けられている。換言すれば、固定子巻線41のコイルサイドCSは、コイルカバー140により隙間無く覆われる構成となっている。
コイルカバー140は、非磁性体であり、かつ長尺状をなす長尺材Laを用い、その長尺材Laが、各部分巻線81A,81Bの外周側に巻回されることで構成されている。より具体的には、コイルカバー140は、芯材とその芯材に含浸された含浸材とを含み長尺状をなす長尺材Laを用い、その長尺材Laが、各部分巻線81A,81Bの外周側に螺旋状に巻回され、かつ含浸材が軸方向に互いに結合されることで構成されている。例えば、長尺材Laはいわゆるプリプレグであり、芯材は炭素繊維、グラスファイバ、アラミド繊維等の繊維材であり、含浸材は熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)等の絶縁樹脂である。
なお、長尺材Laは、紐状をなすもの、布状をなすもの、帯状をなすもののいずれであってもよい。また、長尺材Laは、各部分巻線81A,81Bの外周側において径方向に均一の厚さで巻回されるものであるとよい。
また、図2(a)に示すように、本実施形態の固定子ユニット30では、軸方向両側のコイルエンドCE1,CE2を含む範囲で樹脂モールドが施されている。
以下に、固定子ユニット30の樹脂モールドに関する構成を説明する。図18(a),(b)は、樹脂モールド部150を付加した状態の固定子ユニット30を示す断面図である。なお、図18(a)は図4(a)に対応する図であり、図18(b)は図4(b)に対応する図である。
樹脂モールド部150は、軸方向において軸方向一端側の位置規制部材70から軸方向他端側の位置規制部材100までの範囲であって、かつ部分巻線81A,81Bの各中間導線部82の周囲を含むものとして設けられている。ここでは、樹脂モールド部150のうち、コイルエンドCE1,CE2を樹脂封止している部位をコイルエンド樹脂部151とし、コイルサイドCSを樹脂封止している部位をコイルサイド樹脂部152としている。また、説明の便宜上、軸方向両側のコイルエンド樹脂部151のうちコイルエンドCE1側をコイルエンド樹脂部151A、コイルエンドCE2側をコイルエンド樹脂部151Bとしている。
コイルエンドCE1,CE2では、コイルエンド樹脂部151により、部分巻線81A,81Bと位置規制部材70,100との間に絶縁層が形成されている。すなわち、コイルエンドCE1では、各部分巻線81A,81Bの渡り部83,84と位置規制部材100とが僅かに互いに離間した状態でそれぞれ配置されており、その離間部分を含む範囲で、絶縁層として樹脂の充填によりコイルエンド樹脂部151Aが形成されている。また、コイルエンドCE2では、各部分巻線81A,81Bの渡り部83,84と位置規制部材70とが僅かに互いに離間した状態でそれぞれ配置されており、その離間部分を含む範囲で、絶縁層としてコイルエンド樹脂部151Bが形成されている。
また、コイルサイドCSでは、周方向に並ぶ各中間導線部82の周囲に、絶縁層として樹脂の充填によりコイルサイド樹脂部152が形成されている。つまり、固定子コア42とコイルカバー140との間にはコイルサイド樹脂部152の樹脂が介在する構成となっている。以下には、コイルサイド樹脂部152について詳しく説明する。
図19は、固定子コア42と、部分巻線81の中間導線部82と、コイルカバー140とを拡大して示す断面図である。図19に示すように、固定子コア42の外周面には中間導線部82が周方向に並べて配置されており、各中間導線部82の径方向外側にコイルカバー140が装着されている。この場合、これら各部材の間には微小な隙間が形成されることが考えられる。
具体的には、中間導線部82の横断面は四角形であり、固定子コア42の外周面が曲面であることから、中間導線部82は、固定子コア42の外周面に対してコア側側面の中間点P1で接触し、その中間点P1の周方向両側には楔形状の隙間G1が形成される。また、複数の中間導線部82を囲むように設けられるコイルカバー140は、中間導線部82に対して2つの角部P2,P3で接触し、それら角部P2,P3の間に隙間G2が形成される。さらに、周方向において中間導線部82どうしの間には隙間G3が形成される。
部分巻線81の中間導線部82が、複数の導線材が集合してなる導線部であることからすると、コイルカバー140による押圧や、回転電機10の使用時における熱ストレス等に起因して、中間導線部82の横断面の変形が生じることも考えられる。
これに対し、本実施形態では、コイルサイド樹脂部152を、上記の各隙間G1~G3に樹脂を介在させることで構成しているため、各中間導線部82の位置ずれや変形が抑制される。つまり、これら各隙間G1~G3が樹脂により埋まっていることで、中間導線部82を構成する導線材が径方向や周方向に意図せず変位することが抑制され、ひいては各中間導線部82の位置ずれや変形が抑制される。
また、固定子コア42とコイルカバー140との間、更に言えば中間導線部82とコイルカバー140との間にコイルサイド樹脂部152が介在する構成では、コイルカバー140を通り抜けて、エアギャップ側に樹脂が漏れ出ることが懸念される。この点、本実施形態では、上記のとおりコイルカバー140がコイルサイド部分の全面にわたって隙間無く設けられているため、樹脂が意図せずエアギャップ側に漏れ出ることが抑制されるようになっている。
樹脂モールド部150において、軸方向両側のコイルエンド樹脂部151A,151Bとコイルサイド樹脂部152とは軸方向に連続して設けられている。つまり、コイルサイドCSにおける上記各隙間G1~G3は軸方向両側に開口しており、その開口を通じて、各コイルエンド樹脂部151A,151Bが、コアアセンブリCAとコイルカバー140との間に介在する樹脂に軸方向に連続して設けられている。この場合、図18(a),(b)では、軸方向両側のコイルエンド樹脂部151A,151Bがコイルサイド樹脂部152(図19参照)により繋がった状態となっている。
固定子巻線41(各部分巻線81)の径方向外側において、軸方向両側のコイルエンド樹脂部151A,151Bの間となる範囲でコイルカバー140が設けられているとよい。本実施形態では、コイルカバー140は、固定子巻線41と回転子20との間でエアギャップが形成されるエアギャップ形成範囲、すなわち軸方向でコイルサイドCSに一致する範囲において、その範囲の全体を覆うように設けられている。
ただし、コイルカバー140が、固定子巻線41と回転子20との間でエアギャップが形成されるエアギャップ形成範囲に対して軸方向に拡張した範囲(コイルサイドCSを軸方向に拡張した範囲)において、その範囲の全体を覆うように設けられていてもよい。
なお、固定子コア42と固定子ホルダ50との間に樹脂が介在する構成であってもよい。これにより、固定子ホルダ50に対する固定子コア42のがたつきが抑制される。上述したとおり固定子コア42と固定子ホルダ50との径方向内外の対向部には凹凸が形成されており(図5参照)、その凹凸の嵌め合わせにより固定子コア42及び固定子ホルダ50が結合されている。この場合、それら両部材の間の隙間部分に樹脂が介在する構成であるとよい。固定子ホルダ50に対する固定子コア42の組み付けが、上記の凹凸嵌合以外に、焼き嵌めやピン固定などであってもよい。
次に、樹脂モールド部150の作製手順について説明する。
ここではまず、円筒状をなすコアアセンブリCAに対して、部分巻線81の中間導線部82が周方向に並ぶようにして各部分巻線81を組み付ける(第1工程に相当)。各部分巻線81の組み付けが完了した状態が、先に説明した図17の状態である。さらに、部分巻線81を組み付けた後のアセンブリに対して配線モジュール130を組み付ける。
その後、固定子巻線41においてコイルサイドCSの全体を覆うように、周方向に並ぶ中間導線部82に対してコアアセンブリCAの逆側からコイルカバー140を組み付ける(第2工程に相当)。この工程では、プリプレグからなる長尺材Laを、中間導線部82の外周側に螺旋状に巻回し、その巻回後にプリプレグの含浸材を軸方向に互いに結合させることで、中間導線部82に対するコイルカバー140の組み付けを行う。この場合、各部分巻線81に対する押し付け強度を調整しつつ長尺材Laの巻付けが行われる。また、長尺材Laの芯材によりコイルカバー140としての強度を持たせつつ、固定子巻線41において回転子20との対向部分の全体が隙間無く覆われる。
その後、固定子40に対する樹脂モールドを行い、樹脂モールド部150を作製する(第3工程に相当)。具体的には、図20に示すように、金型装置180を用いて樹脂モールド部150を作製する。図20では、コイルエンドCE2が鉛直方向上側、コイルエンドCE1が鉛直方向下側となる向きで固定子40が金型装置180にセットされ、樹脂モールドが行われる。ただし、その上下は逆であってもよい。
詳しくは、金型装置180は、上下に分割された金型181,182を有している。金型181は周方向に延びる環状溝部181aを有しており、その環状溝部181a内にコイルエンドCE1側の渡り部83,84や位置規制部材100、配線モジュール130等が入り込むようにして、固定子40が金型181にセットされる。また、金型182は周方向に延びる環状凹部182aを有しており、その環状凹部182aの周壁によりコイルエンドCE2側の渡り部83,84や位置規制部材70等が囲まれるようにして、固定子40に対して金型182がセットされる。なお、金型182は、周方向に複数に分割可能になっているとよい。
固定子40の軸方向一端側及び他端側に金型181,182がセットされた状態では、これら各金型181,182において壁面181b,182bがコイルカバー140に対向する。この場合、各金型181,182は、壁面181b,182bがコイルカバー140を径方向に押し潰さず(すなわち図19の隙間G2を押し潰さず)、かつコイルカバー140に対して密着する状態でセットされる。この場合、コイルカバー140の反導線部側は、樹脂充填しない非充填部となっている。
そして、例えば金型181に設けられた不図示の樹脂注入口から液状の樹脂が注入される。樹脂は、金型181の環状溝部181a内に入った後、その環状溝部181aから固定子コア42とコイルカバー140との間の隙間に入り、その隙間を通って、コイルエンドCE2である金型182の環状凹部182aへと流れ込む。このとき、樹脂は、鉛直方向下側から注入され、空気と共に上方に押し上げられながら、金型181,182内の空間や、固定子コア42とコイルカバー140との間の隙間に充填される。その際、樹脂の流れを鉛直方向の下から上に向かう向きにしていることで、空気の残留が抑制されるようになっている。
コイルサイドCSでは、径方向に互いに対向する固定子コア42と中間導線部82との間(図19の隙間G1)、径方向に互いに対向する中間導線部82とコイルカバー140との間(図19の隙間G2)、周方向に互いに対向する中間導線部82どうしの間(図19の隙間G3)にそれぞれ樹脂が充填される。これにより、コイルサイド樹脂部152が形成される。このとき、コイルカバー140がコイルサイドCSの全面にわたって設けられているため、コイルカバー140の反導線部側(すなわちコイルカバー140の内外両面のうち回転子20側)への樹脂の漏れ出しが生じないようになっている。したがって、コイルカバー140において、回転子20側の表面には樹脂が付着しないようになっている。
また、金型181の環状溝部181aによりコイルエンド樹脂部151Aが形成され、金型182の環状凹部182aによりコイルエンド樹脂部151Bが形成される。樹脂の充填が完了した後には、加熱処理により樹脂の硬化が行われる。
一方、本実施形態では、固定子巻線41の部分巻線81を、導線材としての平角線が束ねられてなる単位コイルとして構成としており、かかる構成において、平角線どうしの間に空隙が存在していると、その空隙に起因して固定子巻線41の放熱性が低下することが考えられる。つまり、コイルサイドCSにおいて平角線どうしの間に空隙が存在していると、各平角線から固定子コア42(コアアセンブリCA)への伝導による熱の放出が損なわれ、それに起因する放熱性の低下が懸念される。
そこで本実施形態では、固定子巻線41の放熱性向上を図るべく、部分巻線81において、平角線どうしの間と、平角線が集合した導線集合部の外側に、空気よりも放熱性の高い絶縁材からなる絶縁層85を形成する構成としている。ここでは、各部分巻線81の構成をあらためて説明する。
図21は、部分巻線81において導線集合部の横断面を示す断面図である。なお、図21は、部分巻線81において中間導線部82の横断面を示すが、渡り部83,84でも同様の横断面となっている。
図21に示すように、部分巻線81は、矩形断面形状を有する平角線CLを束ねた束線からなり、その横断面は、平角線CLが互いに直交する2方向に同数ずつ重ね合わされることで四角形状に形成されている。なお、平角線CLは、断面矩形状の導体に絶縁被膜が付与された導線であるとよい。そして、部分巻線81において、平角線CLどうしの間と平角線CLの集合部の外側に、空気よりも放熱性の高い絶縁材からなる絶縁層85が形成された構成となっている。
この場合、部分巻線81において、平角線CLどうしの間に絶縁材が充填されていることにより、平角線CLどうしの間に空隙が存在しない構成となっている。そのため、各平角線CLからコアアセンブリCAへの伝導による熱の放出が促進されるようになっている。つまり、絶縁層85の絶縁材は例えばエポキシ樹脂であり、その熱伝導率は空気の熱伝導率よりも大きい。なお、エポキシ樹脂の熱伝導率は0.3[W/mK]であり、空気の熱伝導率は0.025[W/mK]である。そのため、平角線CLどうしの間の隙間が絶縁材により埋まっている構成では、各平角線CLの間に空隙が介在している場合に比べて、コアアセンブリCAへの伝導による熱の放出が促進されるようになっている。
また、部分巻線81の導線集合部では、その外面である四方の各側面において、それら各側面の対向相手に対する絶縁の要求が異なっている。具体的には、周方向において各部分巻線81どうしの間では相間絶縁が必要となり、部分巻線81の径方向両側のうちコアアセンブリCA側では対地絶縁が必要となっている。これに対し、部分巻線81の径方向両側のうち回転子20側(コアアセンブリCAの反対側)では、上記のような絶縁は不要となる。
そこで本実施形態では、部分巻線81の導線集合部の各側面のうち回転子20に対向する側面において、それ以外の側面に比べて、絶縁層85の厚みを薄くした構成としている。図21では、上側が回転子20側、下側が反回転子側(コアアセンブリCA側)であり、それら各側面での絶縁層85の厚みT1,T2はT1<T2となっている。これにより、部分巻線81における所望の対地絶縁を図りつつも、エアギャップの過度な増大が抑制されるようになっている。
部分巻線81の導線集合部の各側面のうち回転子20に対向する側面以外の各側面では、コアアセンブリCA側の側面(図21の下側の側面)における絶縁層85の厚みT2が、周方向の側面(図21の左右両側の側面)における絶縁層85の厚みT3よりも厚い構成となっている。この場合、径方向両側及び周方向両側の厚みを比べると、T2>T3>T1であるとよい。なお、周方向両側で絶縁層85の厚みが相違していてもよい。
部分巻線81の導線集合部における各側面の絶縁層85の厚みは、固定子巻線41への印加電圧と絶縁材の誘電率とに応じて調整されているとよい。例えば誘電率の低い絶縁材を用いる場合には、絶縁層85の厚みを薄くするとよい。
次いで、部分巻線81の製造の手順を説明する。
ここではまず、平角線CLが束ねられた空芯状の単位コイルよりなる部分巻線81を作製する(巻線作製工程)。
その後、平角線CLどうしの間と、導線集合部の外側に、絶縁材としての樹脂の充填により絶縁層85を形成する(充填工程)。具体的には、図22,図23に示すように、樹脂成形装置190を用いて樹脂の充填を行う。
詳しくは、樹脂成形装置190は、2つに分割可能な成形型191,192を有している。成形型191は、部分巻線81の空芯形状に合わせて形成された収容凹部191aを有しており、その収容凹部191a内に部分巻線81の導線集合部が収容される。図23に示すように、収容凹部191aは、部分巻線81の導線集合部の横断面よりも大きい開口寸法で形成されている。成形型191には、部分巻線81において屈曲側である渡り部83が鉛直方向下側、非屈曲側である渡り部84が鉛直方向上側となる向きで、部分巻線81がセットされる。
また、成形型192は、成形型191に対して収容凹部191aの開口側から組み付け可能となっており、成形型191に対して成形型192が組み付けられることにより、樹脂成形装置190内に、部分巻線81の全体を収容する閉空間が形成されるようになっている。成形型192には、部分巻線81の渡り部83に対向する位置に樹脂注入口192aが設けられている。
樹脂成形装置190内に部分巻線81が収容された状態で、成形型192の樹脂注入口192aから液状の樹脂が注入されると、その樹脂は、各成形型191,192と部分巻線81との間の隙間や、平角線CLどうしの隙間に流れ込む。このとき、樹脂は、鉛直方向下側から注入され、空気と共に上方に押し上げられながら、樹脂成形装置190内の隙間部分に充填される。その際、樹脂の流れを鉛直方向の下から上に向かう向きにしていることで、空気の残留が抑制されるようになっている。なお、不図示とするが、例えば成形型191の上部位置には空気抜き孔が設けられているとよい。
樹脂成形装置190内に注入される樹脂は、部分巻線81の微小隙間への浸透性を高めるべく、温度調節等により粘度が調整されているとよい。例えば樹脂の粘度は100[Pa・s]程度以下であるとよい。樹脂粘度の調整により、浸透性の向上や充填速度の向上が可能となる。
ここで、部分巻線81において、コイルサイドCSに対応する部位を第1部分A1、コイルエンドCE1,CE2に対応する部位を第2部分A2とすると、第1部分A1は、鉛直方向に延びる向きにして樹脂成形装置190内に収容される。そのため、第1部分A1では、平角線CLどうしの間の隙間が鉛直方向に延びることとなる。そして、第1部分A1の両側の第2部分A2のうち鉛直方向下側の第2部分A2から樹脂を注入することで、樹脂の注入に伴い液位が上昇するのにつれて、樹脂成形装置190内の空気が徐々に上方に押し上げられる。これにより、平角線CLどうしの間の隙間において、気泡が排除されつつ樹脂の充填が行われる。
第1部分A1(コイルサイド対応部位)は、第2部分A2(コイルエンド対応部位)に比べて平角線CLどうしの間の残留気泡を除去したい部位であり、上記製造方法によれば、所望のとおり第1部分A1での気泡除去が実現できる。
樹脂の充填後、樹脂の硬化処理が行われる。このように、充填工程において、平角線CLどうしの間と、平角線CLが集合した導線集合部の外側に、樹脂(絶縁材)からなる絶縁層85が形成される。
上述した絶縁層85の形成手法によれば、平角線CLどうしの間や導線集合部の外側に微小厚さの絶縁層85を形成することができる。つまり、例えば、導体集合部の外側に樹脂製のボビンやり絶縁シートを装着する構成では、強度要求等によりその厚さが0.3mm以上になるのに対し、上記手法によれば絶縁層85の厚みを0.1mm程度にすることが可能となる。これにより、固定子巻線41における占積率の向上を図ることができる。
上記のごとく部分巻線81が作製されると、その部分巻線81がコアアセンブリCAに対して組み付けられる(組付工程)。この組み付けが完了した状態が、先に説明した図17の状態である。
本実施形態では、上記のとおり部分巻線81において平角線CLどうしの間を絶縁層85で埋めることで、平角線CLどうしの間の空隙を排除する構成としているが、部分巻線81の樹脂充填時において、気泡が抜けきらず残留することも考えられる。具体的には、部分巻線81では、中間導線部82と渡り部83,84とで平角線CLの延びる方向が異なり、樹脂充填時において、中間導線部82では気泡が除去され易いのに対し、渡り部83,84では気泡が残りやすい。そのため、第1部分A1(コイルサイド対応部位)では、第2部分A2(コイルエンド対応部位)に比べて絶縁層85に含まれる気泡が少なくなると考えられる。
この点、固定子40で見ると、部分巻線81のコイルサイドCSでは、絶縁層85の気泡が比較的少ないため、中間導線部82からコアアセンブリCAへの伝導による熱の放出を好適に行われる。一方で、部分巻線81のコイルエンドCE1,CE2では、絶縁層85の気泡が比較的多いため、渡り部83,84から外界への放射による熱の放出を好適に行わせることができる。また、コイルエンドCE1,CE2では、コイルサイドCSに比べて冷熱による絶縁材の膨張及び収縮が大きくなると考えられるが、絶縁材の気泡が比較的多いため、冷熱による絶縁材のストレスが緩和される。
また、図22に示すように、樹脂成形装置190には、部分巻線81において屈曲側である渡り部83が鉛直方向下側、非屈曲側である渡り部84が鉛直方向上側となる向きで、部分巻線81がセットされる。この場合、各渡り部83,84の形態の違い等により、部分巻線81の軸方向一端側と他端側とで、平角線CLどうしの間の絶縁層85の内部に含まれる気泡量が相違することが考えられる。例えば、屈曲側である渡り部83では、非鉛直方向(水平方向)に延びる向きとなる導線集合部が増えることになり、非屈曲側である渡り部84に比べて気泡量が多くなることが考えられる。
この点、固定子40では、図17等に示すように、屈曲側の渡り部83と非屈曲側の渡り部84とが周方向に均等に分散されるように部分巻線81A,81Bが組み付けられている。つまり、部分巻線81Aと部分巻線81Bとが、周方向に均等に分散配置されている。これにより、固定子40における各所の放熱のばらつきが抑制されるようになっている。なお、部分巻線81において気泡量が多い側を第1端部、気泡量が少ない側を第2端部とする場合、渡り部83,84のうちいずれか一方が第1端部となり、渡り部83,84のうち他方が第2端部となっている。
コアアセンブリCAに対する部分巻線81の組み付け後には、上述したとおりコイルカバー140の組み付けや、樹脂モールド部150の作製が行われる。樹脂モールド部150の作製により、コイルエンド樹脂部151やコイルサイド樹脂部152が形成される(図19,図20参照)。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
ティースレス構造の固定子40を有する回転電機10では、固定子巻線41を固定する構造が必要となる。この点、コアアセンブリCAに組み付けられた各導線部(部分巻線81の中間導線部82)を、コアアセンブリCAとは逆側からコイルカバー140により覆う構成とした。これにより、コアアセンブリCAに対する固定子巻線41の固定が可能となる。また特に、コアアセンブリCAとコイルカバー140との間に樹脂が介在する構成において、コイルカバー140を、固定子巻線41のコイルサイド部分の全体を覆うように設ける構成とした。この場合、コアアセンブリCAとコイルカバー140との間に介在する樹脂が、コイルカバー140を径方向に抜けて意図せず回転子20側に漏れ出るといった不都合が抑制される。その結果、固定子巻線41を適正な状態で保持することができる。
コイルカバー140を非磁性体により構成したため、固定子巻線41と回転子20との間においてコイルカバー140による磁束への影響を抑制でき、ひいては回転電機10の性能への影響を抑制できる。
コイルカバー140を、周方向に並ぶ導線部の外周側に長尺材Laが巻回されてなる構成とした。これにより、各導線部を保持するためにコイルカバー140側から付与される押圧力を容易かつ任意に調整することができる。この場合、長尺材Laが巻回された状態では、固定子巻線41がコアアセンブリCA側に押圧された状態で保持される。そのため、固定子巻線41がコアアセンブリCAに押し付けられ、固定子巻線41からコアアセンブリCAへの放熱性を高めることができる。
固定子巻線41の導線部(部分巻線81の中間導線部82)が、複数の導線材(平角線CL)が集合してなる導線部であり、その導線部の横断面が四角形状をなしている場合には、円筒状のコアアセンブリCAに対して導線部が組み付けられている状態においてコアアセンブリCAと導線部との間に隙間ができやすく、その隙間に起因して、周方向に並ぶ各導線部の位置ずれや変形が生じることが懸念される。この点、径方向に互いに対向するコアアセンブリCAと導線部との間に樹脂が介在していることにより、コアアセンブリCAと導線部との間に隙間が樹脂により埋まり、各導線部の位置ずれや変形を抑制することができる。
径方向に互いに対向するコイルカバー140と導線部との間に樹脂が介在していることにより、それらコイルカバー140と導線部との間の隙間が樹脂により埋まり、各導線部の位置ずれや変形を抑制することができる。また、上記のとおりコイルカバー140が、固定子巻線41において回転子20との対向部分の全体を覆うように設けられていることで、コイルカバー140と導線部との間の樹脂により各導線部の位置ずれを抑制しつつも、コイルカバー140の径方向内外を樹脂が通り抜けることを好適に抑制できる。
コイルエンドCE1,CE2において位置規制部材70,100により固定子巻線41の位置が規制される構成としたため、各導線部に対するコイルカバー140の保持強度は、少なくとも径方向に各導線部が保持できればよいものとなる。つまり、固定子巻線41の径方向とそれ以外の方向との位置規制を、コイルカバー140と位置規制部材70,100とで分担させることができる構成となっている。そのため、コイルカバー140における強度の要求を下げることができ、構成の簡易化が可能となる。
固定子40のコイルエンドCE1,CE2を覆うコイルエンド樹脂部151が、コアアセンブリCAとコイルカバー140との間に介在する樹脂に軸方向に連続して設けられている構成としたため、放熱性の観点や製造上の観点において有利な構成を実現することができる。
固定子40の樹脂モールド部150を作製する手順として、コアアセンブリCAに対して各部分巻線81を組み付け(第1工程)、その後、固定子巻線41のコイルサイド部分の全体を覆うように、各部分巻線81の中間導線部82に対してコイルカバー140を組み付け(第2工程)、その状態で、コアアセンブリCAとコイルカバー140との間の隙間に、樹脂を充填するようにした(第3工程)。この作製手順では、樹脂がコイルカバー140を径方向に抜けて意図せず外側(回転子20の側)に漏れ出るといった不都合が抑制される。その結果、固定子巻線41を適正な状態で保持することができる。
また、平角線CLが束ねられた空芯状の単位コイルよりなる部分巻線81において、平角線CLどうしの間と、平角線CLが集合した導線集合部の外側に、空気よりも放熱性の高い絶縁材からなる絶縁層85が形成されている構成とした。これにより、平角線CLどうしの間の隙間を絶縁材により埋めることができ、各平角線CLからコアアセンブリCAへの伝導による熱の放出が促進することができる。その結果、固定子40において放熱性の向上を図ることができる。
ティースレス構造の固定子40では、周方向において各部分巻線81どうしの相間絶縁が必要となり、部分巻線81の径方向両側のうちコアアセンブリCA側において対地絶縁が必要となる。また、部分巻線81の径方向両側のうち回転子20側では、上記のような絶縁は不要となる。この点を考慮し、部分巻線81の導線集合部における四方の側面のうち回転子20側の側面では、その回転子20側の側面以外の他の側面に比べて、絶縁層85の厚みが薄い構成とした。これにより、部分巻線81における所望の絶縁を図りつつも、エアギャップの過度な増大を抑制することができる。
コイルエンドCE1,CE2において、コアアセンブリCAに組み付けられた状態の部分巻線81の位置が位置規制部材70,100により規制される構成としたため、各部分巻線81で生じる相対的な振動が抑制される。この場合、平角線CLどうしの間に絶縁材が充填されている構成と相俟って、各平角線CLでの振動摩耗による絶縁性の低下を抑制することができる。
部分巻線81において、コイルサイド対応部位である第1部分A1では、コイルエンド対応部位である第2部分A2に比べて絶縁層85に含まれる気泡が少なくなっている構成とした。この場合、部分巻線81の第1部分A1(コイルサイド対応部位)では、絶縁層85の気泡が比較的少ないことで第1部分A1からコアアセンブリCAへの伝導による熱の放出を好適に行わせることができる一方、部分巻線81の第2部分A2(コイルエンド対応部位)では、絶縁層85の気泡が比較的多いことで、第2部分A2から外界への放射による熱の放出を好適に行わせることができる。
また、コイルエンドCE1,CE2では、コイルサイドCSに比べて冷熱による絶縁材の膨張及び収縮が大きくなると考えられるが、第2部分A2において絶縁層85の気泡を比較的多くしたことで、冷熱による絶縁層85のストレス緩和を実現することができる。
部分巻線81では、その長手方向、すなわち軸方向の一端側及び他端側において、絶縁層85内に存在する気泡の分布が異なることが考えられる。この点に着目し、固定子40の軸方向一端側及び他端側において、気泡量が多い側である第1端部と、気泡量が少ない側である第2端部とが周方向に均等に分散配置された状態で、各部分巻線81がコアアセンブリCAに組み付けられている構成とした。これにより、固定子40における各所の放熱のばらつきを抑制することができる。
部分巻線81において絶縁層85を形成する手順として、複数の平角線CLが束ねられた空芯状の部分巻線81を作製し(巻線作製工程)、その後、部分巻線81が収容された樹脂成形装置190内に、空気よりも放熱性の高い液状の絶縁材を充填して、平角線CLどうしの間と導線集合部の外側に絶縁材からなる絶縁層85を形成し(充填工程)、充填作業後の部分巻線81を、コアアセンブリCAに対して組み付けるようにした(組付工程)。この手順によれば、部分巻線81において、平角線CLどうしの間と導線集合部の外側に、空気よりも放熱性の高い絶縁材の充填により絶縁層85が好適に形成される。この場合、放熱性や絶縁性に優れた固定子巻線41を作製することができる。
絶縁材を充填する充填工程において、コイルサイド対応部位である第1部分が鉛直方向に延びる向きにして樹脂成形装置190内に部分巻線81を収容するとともに、樹脂成形装置190において、第1部分A1の両側の第2部分A2のうち鉛直方向下側の第2部分A2から絶縁材を注入するようにした。この場合、第1部分A1では、平角線CLどうしの間の隙間が鉛直方向に延びることとなり、絶縁材の注入に伴い液位が上昇するのにつれて、樹脂成形装置190内の空気が徐々に上方に押し上げられる。これにより、平角線CLどうしの間の隙間において、気泡を排除しつつ絶縁層85を好適に形成することができる。
(第1実施形態の変形例)
・平角線CLどうしの間と導線集合部の外側に樹脂充填により絶縁層85を形成する充填工程において、図22に示すような樹脂成形装置190による樹脂成形とは異なる態様で樹脂充填を行うことも可能である。例えば、樹脂成形装置190において、非屈曲側の渡り部84を鉛直方向下側、屈曲側の渡り部83を鉛直方向上側となる向きで、部分巻線81をセットしてもよい。また、樹脂成形装置190において、中間導線部82が水平方向に延び、かつ各渡り部83,84の中間部分が鉛直方向に又は水平方向に延びる向きで、部分巻線81をセットしてもよい。
・コイルカバー140は、磁性材を用いたものであってもよい。ただし、固定子巻線41との絶縁を考慮すると、は非金属でかつ非磁性であるとよい。
・部分巻線81において、平角線CLどうしの間の絶縁層と、導線集合部の外側の絶縁層とが互いに異なる絶縁材(樹脂)により形成されていてもよい。例えば、平角線CLどうしの間は、導線集合部の外側よりも狭い隙間に樹脂充填されるため、平角線CLどうしの間の樹脂の方が、導線集合部の外側の樹脂よりも粘度が小さいものであるとよい。
・平角線CLの表面に、撥水性を高めた表面処理が施されているとよい。この構成では、平角線CLの表面に撥水層が形成されており、気泡が付着しにくくなる。そのため、樹脂充填時において、平角線CLどうしの間の絶縁材において気泡が排除されやすくなり、絶縁層85内の気泡を少なくする構成を実現することができる。
・固定子巻線41において回転子20の磁石ユニット22との対向部分がコイルカバー140により覆われ、そのコイルカバー140の回転子20側の表面に樹脂を付着させないようにするには、固定子ユニット30の製造時において、樹脂を非付着とする範囲であるコイルカバー140の表面全域にマスク等の処置が行われる。この場合、コイルカバー140側への樹脂の漏れ出しを防止するには、製造金型側にシール構造を付加することが考えられる。ただし、固定子巻線41の軸方向端部に回転子20側に屈曲された屈曲部を有する構成では、その端部側において、製造金型側に設けられるシール構造に制約が生じる。つまり、製造金型側において、固定子巻線41の屈曲部との干渉を回避するには、製造金型におけるシール位置を固定子巻線41の屈曲部からある程度離す必要があり、仮にコイルカバー140の途中部分でシールが行われると、コイルカバー140において回転子20側の表面の一部に樹脂が付着することが懸念される。
これを考慮し、固定子ユニット30を図24に示す構成にするとよい。なお、図24では、固定子巻線41において、下側の端部が、径方向内外のうち回転子20側に屈曲された屈曲部を有する第1端部であり、上側の端部が第2端部である。また、軸方向において固定子巻線41が回転子20と対向する範囲がエアギャップ形成範囲AGである。
図24では、コイルカバー140が、図の上端側(第2端部側)において少なくともエアギャップ形成範囲AGの境界位置までの範囲で設けられている一方、図の下端側(第1端部側)においてエアギャップ形成範囲AGの境界位置の手前位置までの範囲で設けられている。
図25は、固定子40に対する樹脂モールドを行う際に用いる金型装置を説明するための図である。図25では、金型装置のうち、コイルカバー140に対するマスクを行うマスク装置185のみを示し、コイルエンド樹脂部151A,151Bを形成するための上下の分割金型については図示を省略している。なお、マスク装置185は全体として円環状をなし、周方向に複数に分割可能になっているとよい。
マスク装置185は、固定子巻線41における各部分巻線81の中間導線部82に対向する対向面186を有しており、その対向面186には、コイルカバー140の上端位置、下端位置に対応する2位置に凹部187が設けられ、その凹部187内にはシール部材188が収容されている。この場合、樹脂モールド時には、マスク装置185がコイルカバー140に押し当てられることにより、上下の各シール部材188を含む範囲で樹脂マスクが行われ、コイルカバー140において、回転子20側の表面には樹脂が付着しないようになっている。
ここで、マスク装置185において、その軸方向端部(図の上端部及び下端部)に適正強度のシール構造を設けるには、凹部187よりも外側に強度確保のための肉厚を有する構成にすることが必要となる。つまり、マスク装置185において、固定子巻線41の屈曲部との干渉を回避する上で、マスク装置185におけるシール位置を固定子巻線41の屈曲部からある程度離すことが必要となる。そこで本実施形態では、マスク装置185のシール位置に合わせてコイルカバー140の被覆範囲を定めることとし、固定子巻線41の非屈曲側(第2端部側)では、少なくともエアギャップ形成範囲AGの境界位置までの範囲でコイルカバー140を設け、屈曲側(第1端部側)では、エアギャップ形成範囲AGの境界位置の手前位置までの範囲でコイルカバー140を設けるようにしている。
この場合、仮にコイルカバー140において軸方向の途中部分でシールが行われると、コイルカバー140において回転子20側の表面の一部に樹脂が付着することが懸念されるが、上記構成によれば、コイルカバー140の表面に樹脂が付着することが抑制される。これにより、固定子巻線41の軸方向端部に回転子20側に屈曲された屈曲部を有する構成であっても、その軸方向端部側において、コイルカバー140の回転子20側の表面に樹脂を付着させないためのマスクを好適に行わせることができる。
以下に、他の実施形態の構成及び作用効果について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
(第2実施形態)
本実施形態の固定子ユニット30を説明する。本実施形態の固定子ユニット30では、第1実施形態との相違点として、固定子ユニット30のコイルエンドCE2側における巻線位置規制の構成を変更している。図26(a),(b)は、固定子ユニット30の外観を示す斜視図であり、そのうち図26(b)は、固定子ユニット30に設けられた樹脂モールドを除去した状態を示している。図27は、固定子ユニット30の平面図であり、図28(a)は、図27の28a-28a線断面図であり、図28(b)は、図27の28b-28b線断面図である。図29は、本実施形態におけるコアアセンブリCAと、コアアセンブリCAのコイルエンドCE2側に取り付けられる位置規制部材170とを分解して示す斜視図である。
本実施形態では、コイルエンドCE1,CE2における巻線位置規制の構成のうちコイルエンドCE2側の構成を変更しており、それに伴い、コアアセンブリCAの固定子ホルダ50において張出部52が削除されている。また、固定子ホルダ50の大径部56に設けられた孔部59は、軸方向に貫通する貫通孔となっている。ただし、コアアセンブリCAについて他の構成は、図5等に示す構成と共通である。また、コイルエンドCE1側の位置規制部材100の構成は変更が無いため、説明を省略する。
図29に示すように、位置規制部材170は、円環状に形成されており、固定子ホルダ50の大径部56の軸方向端面(図の下側端面)よりも軸方向外側となる端板部171と、その端板部171の外縁部から軸方向に延びる円環状の環状壁部172とを有している。端板部171には、周方向に所定間隔で複数のボス部173が設けられており、そのボス部173にはそれぞれ軸方向に貫通する貫通孔174が形成されている。
環状壁部172は、大径部56よりも大径に形成されている。環状壁部172には、軸方向に延びるようにして複数の規制部175が設けられている。規制部175は、周方向に延びる凸状部であり、周方向に所定間隔で設けられている。位置規制部材170は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金、鋳鉄等により形成されている。
図28(a),(b)に示すように、コイルエンドCE2側において、位置規制部材170は、ボス部173が固定子ホルダ50の大径部56の軸方向端面(図の下側端面)に当接した状態で、固定子ホルダ50に組み付けられている。この状態では、位置規制部材170の環状壁部172と固定子ホルダ50の大径部56とが径方向に対向し、それら両者の間に形成される環状溝部に、部分巻線81Aの渡り部84(非屈曲側の渡り部)が挿入されている。これにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Aの径方向及び軸方向の位置が規制されている。また、位置規制部材170の規制部175が部分巻線81Bの渡り部83(屈曲側の渡り部)の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Bの周方向の位置が規制されている。
なお、環状壁部172には、径方向内側に延びるようにして周方向に所定間隔で複数の規制部が設けられていてもよい。この場合、その規制部が部分巻線81Aの渡り部84の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Aの周方向及び軸方向の位置が規制される。
図30(a),(b)は、樹脂モールド部150を付加した状態の固定子ユニット30を示す断面図である。なお、図30(a)は図28(a)に対応する図であり、図30(b)は図28(b)に対応する図である。
図30(a),(b)に示すように、樹脂モールド部150は、軸方向において軸方向一端側の位置規制部材170から軸方向他端側の位置規制部材100までの範囲であり、かつ部分巻線81A,81Bの各中間導線部82を含むものとして設けられている。その構成は、既述の図18(a),(b)と概ね同じである。つまり、各コイルエンドCE1,CE2において、各部分巻線81A,81Bの渡り部83,84と位置規制部材70,100との間に樹脂材が入り込み、絶縁層が形成される構成となっている。また、固定子コア42と固定子ホルダ50との間に樹脂材(絶縁材)が介在する構成となっている。
また、コイルエンドCE2側では、位置規制部材170において、部分巻線81Aの渡り部84を挟んで固定子ホルダ50の反対側であり、かつ当該渡り部84を径方向外側から包囲する部位が、樹脂モールドがなされていない非モールド部となっている(図30のX部)。この場合、位置規制部材170の一部が樹脂モールドされずに外部に露出する露出部となっており、放熱性が向上する。つまり、回転電機10では、例えば回転子キャリア21の内部に潤滑油を滴下して固定子40を油令することが考えられる。このような油冷構造を有する構成において、位置規制部材170の非モールド部(露出部)が油冷による放熱部となっている。
なお、図30(a)に示すように、位置規制部材170において固定子ホルダ50の軸方向端面よりも軸方向外側となる端板部171に、軸方向に貫通する孔部176が設けられていてもよい。孔部176は、ボス部173に干渉しない位置に設けられているとよい。この場合、固定子ホルダ50の大径部56を囲む環状溝部に対して、孔部176から樹脂材を充填することが可能となる。そのため、位置規制部材170の周囲において絶縁層を適正に形成することができる。
(第3実施形態)
本実施形態の固定子ユニット200を説明する。図31(a),(b)は、固定子ユニット200の外観を示す斜視図であり、そのうち図31(a)は、樹脂モールドがなされた状態の固定子ユニット200を示し、図31(b)は、樹脂モールドがなされていない状態の固定子ユニット200を示している。図32(a)は、樹脂モールドがなされた状態の固定子ユニット200の縦断面図であり、図32(b)は、樹脂モールドがなされていない状態の固定子ユニット200の縦断面図である。図33は、固定子ユニット200において主要な構成を分解して示す斜視図である。
固定子ユニット200は、その概要として、固定子210と、その径方向内側の固定子ホルダ220と、配線モジュール230とを有している。固定子210は、ティースレス構造となっており、固定子巻線211と固定子コア212とを有している。そして、固定子コア212と固定子ホルダ220とを一体化してコアアセンブリCAとして設け(図33参照)、そのコアアセンブリCAに対して、固定子巻線211を組み付ける構成としている。
固定子210は、上述した固定子40と概ね同様の構成を有しており、固定子巻線211は、上記同様、複数の部分巻線81A,81Bにより構成されている。固定子コア212は、内周側に複数の凸部を有していない点を除き、固定子コア42と同様の構成を有している。固定子210について、固定子40と同様の構成については詳細な説明を省略する。図32に示すように、軸方向両側のうち、部分巻線81Aの渡り部83が径方向内側に屈曲されている側(図の上側)がコイルエンドCE1であり、部分巻線81Bの渡り部83が径方向外側に屈曲されている側(図の下側)がコイルエンドCE2である。なお、配線モジュール230についても、配線モジュール130と同等の構成を有しているため、説明を省略する。
図33に示すように、固定子ホルダ220は円筒部221を有し、その円筒部221には固定子コア212が組み付けられている。円筒部221において、コイルエンドCE1側の軸方向端部には、径方向内側に延びるフランジ部222が形成されており、そのフランジ部222には周方向に所定間隔で複数のボス部223が設けられている。各ボス部223には、軸方向に延びる孔部223aが設けられている。孔部223aにはそれぞれ雌ねじが形成されている。
また、円筒部221において、コイルエンドCE2側の軸方向端部には、円筒部221よりも径方向外側に張り出した張出部225が設けられている。張出部225は、固定子ホルダ220の円筒部221(大径部221a)から径方向外側に延びる端板部226と、その端板部226の外縁部から軸方向に延びる円環状の環状壁部227とを有している。環状壁部227は、大径部221aよりも大径に形成されている。環状壁部227には、軸方向に延びるようにして複数の規制部228が設けられている。規制部228は、周方向に延びる凸状部であり、周方向に所定間隔で設けられている。
固定子ホルダ220の張出部225は、コイルエンドCE2側において、コアアセンブリCAに対して組み付けられる部分巻線81A,81Bの位置を規制する位置規制部材として機能する。
固定子ホルダ220は、例えばアルミニウムや鋳鉄等の金属、又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により構成されている。なお、図示を略しているが、固定子ホルダ220は、固定子ホルダ50と同様に、冷却水等の冷媒を流通させる冷媒通路を有しているとよい。
また、コイルエンドCE1側において、固定子ホルダ220のボス部223には、部分巻線81の位置を規制する位置規制部材240が取り付けられている。位置規制部材240は、円環部241と、その円環部241に所定間隔で設けられた複数の規制部242とを有している。規制部242は、円環部241から軸方向に延びるように設けられている。円環部241には、ボルト挿通孔として、軸方向に貫通する複数の貫通孔243が形成されている。位置規制部材240は、ボルト245により固定子ホルダ220に固定されている。位置規制部材240は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金、鋳鉄等により形成されている。
位置規制部材240において、円環部241における径方向内外のうちいずれか一方の側には、部分巻線81Aにおける渡り部83の環状内側に入り込む規制部242が設けられるとともに、他方の側には、ボルト245により固定子ホルダ220に固定される貫通孔243(被固定部)が設けられている。この場合、位置規制部材240において径方向内外に離れた位置に規制部242と貫通孔243(被固定部)とがそれぞれ設けられているため、周方向に並ぶ各渡り部83の位置規制を邪魔することなく、固定子ホルダ220に対する位置規制部材240の固定を行わせることができる。つまり、位置規制部材240において、仮に径方向外側の位置に規制部242と貫通孔243(被固定部)とを共に設ける構成にすると、被固定部の制約を受けて規制部242が小さくなる等の懸念が生じるが、上記構成によれば、規制部242を十分な強度を有するものとして設けることができる。
各部分巻線81A,81Bの位置規制について図32~図34を用いて詳しく説明する。コイルエンドCE2側(図の下側)では、固定子ホルダ220の大径部221aと張出部225の環状壁部227とが径方向に対向し、それら両者の間に形成される環状溝部に、部分巻線81Aの渡り部84(非屈曲側の渡り部)が挿入されている。これにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Aの径方向及び軸方向の位置が規制されている。また、張出部225の規制部228が部分巻線81Bの渡り部83(屈曲側の渡り部)の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Bの周方向の位置が規制されている。
一方、コイルエンドCE1側では、固定子ホルダ220に対して位置規制部材240が組み付けられた状態において、位置規制部材240の円環部241により、部分巻線81Aの軸方向の位置が規制されている。また、位置規制部材240の規制部242が部分巻線81Aの渡り部83の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE1側において部分巻線81Aの周方向及び径方向の位置が規制されている。
本実施形態では、コイルエンドCE2側において、固定子ホルダ220とは別部材の位置規制部材240(第1位置規制部材)がボルト245により固定される一方、コイルエンドCE1側において、径方向に張り出した状態で張出部225(第2位置規制部材)が固定子ホルダ220に一体成形される構成とした。この構成よれば、固定子ホルダ220に対して各部分巻線81A,81Bを組み付ける場合において、先に、固定子ホルダ220に一体成形された張出部225により位置規制された状態で各部分巻線81A,81Bを組み付け、その後に、固定子ホルダ220及び部分巻線81A,81Bを含むアセンブリに対して、位置規制部材240を後付けすることができる。この場合、軸方向両側の位置規制部材のうち一方を固定子ホルダ220に一体成形しておくことで、部品点数の削減や組み付け作業の簡略化を図りつつ、各部分巻線81A,81Bに対する適正な位置規制を施すことができる。
また、図31(a)に示すように、本実施形態の固定子ユニット200では、固定子巻線211と配線モジュール230とを含む範囲で樹脂モールド部250が形成されている。樹脂モールド部250の構成を、図32(a)を用いて説明する。
樹脂モールド部250は、軸方向において軸方向一端側の位置規制部材である張出部225から軸方向他端側の位置規制部材240までの範囲であり、かつ部分巻線81A,81Bの各中間導線部82を含むものとして設けられている。この場合、各コイルエンドCE1,CE2において、各部分巻線81A,81Bの渡り部83,84と、張出部225及び位置規制部材240との間に樹脂材が入り込み、絶縁層が形成される構成となっている。
また、コイルエンドCE1側では、張出部225において、部分巻線81Aの渡り部84を挟んで固定子ホルダ220の反対側であり、かつ当該渡り部84を径方向外側から包囲する部位が、樹脂モールドがなされていない非モールド部となっている(図32(a)のX部)。この場合、張出部225の一部が樹脂モールドされずに外部に露出する露出部となっており、放熱性が向上する。
なお、部分巻線81A,81Bを比べると、部分巻線81Aは渡り部83が径方向内側に屈曲され、部分巻線81Bは渡り部83が径方向外側に屈曲されている。この場合、部分巻線81Aの方が導線長が短くなり、導線抵抗が低くなることで発熱量が大きくなることが考えられる。ただし上記構成では、部分巻線81Aの渡り部83は、張出部225により形成された環状溝部に収容されていることで放熱性が高められている。また、固定子ホルダ220に設けられた冷却通路への放熱も好適に行われるものとなっている。
(第4実施形態)
本実施形態では、第3実施形態における固定子ユニット200の一部を変更している。図35は、本実施形態の固定子ユニット200の構成を示す斜視図であり、図36は、本実施形態の固定子ユニット200において位置規制部材260を分離させた状態を示す斜視図である。図35では、説明の便宜上、配線モジュールや樹脂モールドの図示を省略している。本実施形態では、固定子ユニット200において、コイルエンドCE1側での位置規制部として位置規制部材260を備える構成としている。図35に示す固定子ユニット200では、図31(b)に示す固定子ユニット200との対比において、位置規制部材240に代えて位置規制部材260を設けている点で相違するが、その位置規制部材260以外の構成は概ね同じである。図36おいて、コアアセンブリCA及び固定子巻線211の側の構成は、図34と同じである。
図36に示すように、位置規制部材260は、第1円環部261と、第2円環部262と、それら各円環部261,262を軸方向に繋ぐ複数の繋ぎ部263とを有している。第1円環部261には、軸方向に延びる複数の規制部264が所定間隔で設けられているとともに、軸方向に貫通する複数の孔部265,266が設けられている。孔部265は、周方向において規制部264と同じピッチで、かつ周方向に孔部265と規制部264とが交互になるよう設けられている。孔部266は、ボルト245を挿通させるボルト挿通孔として設けられている。また、第2円環部262には、軸方向に延びる複数の規制部267が所定間隔で設けられている。
図35に示すように、固定子ホルダ220には、コイルエンドCE1側(図の上側)に位置規制部材260が組み付けられている。そして、その状態において、位置規制部材260の第1円環部261により、部分巻線81Aの軸方向の位置が規制されるとともに、第2円環部262により、部分巻線81Bの軸方向の位置が規制されている。また、位置規制部材260の規制部264が部分巻線81Aの渡り部83(屈曲側の渡り部)の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE1側において部分巻線81Aの周方向及び径方向の位置が規制されている。さらに、位置規制部材260の規制部267が周方向に並ぶ各部分巻線81Bの渡り部84(非屈曲側の渡り部)どうしの間に入り込むことにより、コイルエンドCE1側において部分巻線81Bの周方向の位置が規制されている。
本実施形態では、位置規制部材260を、部分巻線81Aにおける渡り部83の環状内側となる部位に入り込んだ状態にする一方、部分巻線81Bにおける渡り部84の環状外側となる部位に対向する状態にする構成とした。この場合、各部分巻線81A,81Bにおける渡り部83,84の屈曲状態を加味しつつ位置規制部材260を組み付けることができる。また、各部分巻線81A,81Bの組み付け後に、軸方向から位置規制部材260を組み付けることが可能であり、作製作業を容易化できるものとなっている。
また、位置規制部材260の第1円環部261に、軸方向に貫通する孔部265が設けられていることにより、固定子ユニット200の製造時(モールド成形時)において、第1円環部261の軸方向外側から軸方向内側への樹脂材の流れが促される。これにより、孔部265内と第1円環部261の軸方向両側とを含む範囲で樹脂モールドがなされる。この場合、部分巻線81A,81Bの各渡り部83,84と位置規制部材260との間への樹脂材の回り込みが確実に行われ、適正なる樹脂モールド部250の形成(絶縁層の形成)を実現できる。
(第5実施形態)
本実施形態では、第3実施形態における固定子ユニット200の一部を変更している。図37は、本実施形態の固定子ユニット200の構成を示す斜視図であり、図38は、本実施形態の固定子ユニット200において位置規制部材270,280を分離させた状態を示す斜視図である。図37では、説明の便宜上、配線モジュールや固定子ホルダ、樹脂モールドの図示を省略している。本実施形態では、固定子ユニット200において、コイルエンドCE1側の位置規制部として位置規制部材270を備えるとともに、コイルエンドCE2側の位置規制部として位置規制部材280を備える構成としている。なお、固定子巻線211の構成は既述の構成と同じである。
図38に示すように、位置規制部材270は、円環部271と、その円環部271から径方向内側に延びる複数の規制部272と、円環部271から軸方向に延びる複数の規制部273とを有している。規制部273は、円環部271から軸方向に延び、かつその先端側で屈曲され径方向外側に延びる形状を有する。また、円環部271には、不図示の固定子ホルダに対する被取付部として、軸方向に延びる突出部274が設けられている。
また、位置規制部材280は、円環部281と、その円環部281から軸方向に延びる複数の規制部282と、円環部281から径方向外側に延びる複数の規制部283とを有している。また、円環部281には、不図示の固定子ホルダに対する被取付部として、径方向内側に延びる突出部284が設けられている。
図37に示すように、固定子ホルダ220には、コイルエンドCE2側(図の下側)に位置規制部材270が組み付けられている。そして、その状態において、位置規制部材270の規制部272が部分巻線81Aの渡り部84(非屈曲側の渡り部)の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Aの軸方向及び周方向の位置が規制されている。また、位置規制部材270の規制部273が部分巻線81Bの渡り部83の環状内側(屈曲側の渡り部)に入り込むことにより、コイルエンドCE2側において部分巻線81Bの軸方向及び周方向の位置が規制されている。
また、固定子ホルダ220には、コイルエンドCE1側(図の上側)に位置規制部材280が組み付けられている。そして、その状態において、位置規制部材280の規制部282が部分巻線81Aの渡り部83(屈曲側の渡り部)の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE1側において部分巻線81Aの周方向及び径方向の位置が規制されている。また、位置規制部材280の規制部283が部分巻線81Bの渡り部84(非屈曲側の渡り部)の環状内側に入り込むことにより、コイルエンドCE1側において部分巻線81Bの軸方向及び周方向の位置が規制されている。
(第6実施形態)
本実施形態の固定子ユニット300を説明する。図39(a),(b)は、固定子ユニット300の外観を示す斜視図であり、そのうち図39(a)は、樹脂モールド部を除く固定子ユニット300を示し、図39(b)は、図39(a)から配線モジュール130とコイルカバー140を除去した状態の固定子ユニット300を示している。図40は、固定子ユニット300において主要な構成を分解して示す斜視図である。
固定子ユニット300は、その概要として、図2等で説明した固定子40と、その径方向内側に設けられた固定子ホルダ310とを有している。固定子40は、ティースレス構造となっており、固定子巻線41と固定子コア42とを有している。固定子巻線41や固定子コア42の構成は既述のとおりであり、ここではその説明を割愛する。そして、固定子コア42と固定子ホルダ310とを一体化してコアアセンブリCAとして設け、そのコアアセンブリCAに対して、固定子巻線41を組み付ける構成としている。
本実施形態の固定子ユニット300は、既述の固定子ユニット30等と比べて、固定子ホルダ310と、コイルエンドCE1側において各部分巻線81の位置を規制する位置規制部材320とが相違している。
図40に示すように、固定子ホルダ310は円筒部311を有し、その円筒部311には固定子コア42が組み付けられている。円筒部311においてコイルエンドCE1側(図の上側)の軸方向端面には、周方向に所定間隔で、軸方向に延びる複数の突出部312が設けられるとともに、各突出部312どうしの間となる位置に複数のねじ孔313が設けられている。
また、円筒部311において、コイルエンドCE2側(図の下側)の軸方向端部には、円筒部311よりも径方向外側に張り出した張出部315が設けられている。固定子ホルダ310において円筒部311の外周側には、張出部315により環状溝316が形成されている。環状溝316内には、部分巻線81Aにおける非屈曲側の渡り部84について周方向の位置規制を行うための複数の突出部316aが設けられている。
また、張出部315には、部分巻線81Bにおける屈曲側の渡り部83について周方向及び径方向の位置規制を行うための複数の突出部317,318が設けられている。突出部317,318は、それぞれ周方向に延びる凸状部であり、周方向に互い違いとなる位置にそれぞれ所定間隔で設けられている。
固定子ホルダ310の張出部315は、コイルエンドCE2側において、コアアセンブリCAに対して組み付けられる部分巻線81A,81Bの位置を規制する位置規制部材として機能する。
固定子ホルダ310は、例えばアルミニウムや鋳鉄等の金属、又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により構成されている。なお、図示を略しているが、固定子ホルダ310は、固定子ホルダ50と同様に、冷却水等の冷媒を流通させる冷媒通路を有しているとよい。
また、位置規制部材320は、円環状に形成されており、部分巻線81Aにおける屈曲側の渡り部83の軸方向、周方向及び径方向の位置規制と、部分巻線81Bにおける非屈曲側の渡り部84の軸方向及び周方向の位置規制とを行うものとなっている。位置規制部材320において、規制部321は、屈曲側の渡り部83の軸方向の位置規制を行う部位であり、規制部322は、屈曲側の渡り部83の周方向の位置規制を行う部位であり、規制部323は、屈曲側の渡り部83の周方向及び径方向の位置規制を行う部位である。また、位置規制部材320において、規制部324は、非屈曲側の渡り部84の軸方向及び周方向の位置規制を行う部位である。
なお、規制部322には、ボルト挿通孔として、軸方向に貫通する貫通孔325が形成されている。位置規制部材320は、ボルト326により固定子ホルダ310に固定されている。位置規制部材320は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金、鋳鉄等により形成されている。
固定子ユニット300では、上述の各実施形態と同様に、コイルサイドCS及びコイルエンドCE1,CE2を含む範囲で樹脂モールド部150が設けられている。この場合、各コイルエンドCE1,CE2において、各部分巻線81A,81Bの渡り部83,84と、張出部315及び位置規制部材320との間に樹脂材が入り込み、絶縁層が形成される構成となっている。
また、部分巻線81では、上記各実施形態と同様に、固定子巻線41の放熱性向上や絶縁性確保を図るべく、平角線どうしの間と、平角線が集合した導線集合部の外側に、空気よりも放熱性の高い絶縁材からなる絶縁層85が形成されている。この場合、固定子ユニット300の巻線保持構造からすると、導線集合部の外側において、少なくとも図41に示す範囲で絶縁層85が形成されているとよい。図41(a),(b)ではそれぞれ左側が回転子20側、右側が反回転子側(固定子コア側)となっており、図41(a)は、屈曲側の渡り部83が径方向内側、すなわち反回転子側に屈曲された部分巻線81Aを示し、図41(b)は、屈曲側の渡り部83が径方向外側、すなわち回転子20側に屈曲された部分巻線81Bを示している。
図41(a)に示すように、部分巻線81Aでは、導線集合部の外側において、コアアセンブリCAに対向する各部位にそれぞれ絶縁層85が形成されている。具体的には、導線集合部の外側において、コアアセンブリCAに径方向に対向する部分X1、コアアセンブリCAに軸方向に対向する部分X2、固定子ホルダ310の突出部312及び位置規制部材320に径方向に対向する部分X3、固定子ホルダ310の張出部315に軸方向に対向する部分X4に、それぞれ絶縁層85が形成されている。
また、図41(b)に示すように、部分巻線81Bでは、導線集合部の外側において、コアアセンブリCAに対向する各部位にそれぞれ絶縁層85が形成されている。具体的には、導線集合部の外側において、コアアセンブリCAに径方向に対向する部分Y1、固定子ホルダ310の張出部315に軸方向に対向する部分Y2、固定子ホルダ310の張出部315(突出部317,318)に径方向に対向する部分Y3に、それぞれ絶縁層85が形成されている。
(他の変形例)
・上記各実施形態では、軸方向両側の各コイルエンドCE1,CE2において樹脂モールド部を形成する構成としたが、これを変更し、いずれか一方のコイルエンドにおいて樹脂モールド部を形成する構成としてもよい。
・上記各実施形態では、軸方向両側の各コイルエンドCE1,CE2において、各部分巻線81A,81Bの位置を規制する位置規制部材を設ける構成としたが、いずれか一方のコイルエンドにおいて位置規制部材を設ける構成としてもよい。この場合、軸方向一方側のみで各部分巻線81A,81Bの位置規制を行うとともに、コイルカバー140により各部分巻線81A,81Bを拘束する構成とするとよい。
・上記各実施形態では、固定子ユニット30,200として固定子コア42,212を具備する構成としたが、これを変更し、固定子コア42,212を具備しない構成としてもよい。この場合、各部分巻線81A,81Bは、固定子ホルダ50,220に対して組み付けられる。なお、コイルサイドCSにおいて、各部分巻線81A,81Bの中間導線部82と固定子ホルダ50,220との間に絶縁層(樹脂材)が介在しているとよい。
・部分巻線81A,81Bの構成を変更することが可能である。
図42に示す構成では、2種類の部分巻線81A,81Bのうち一方の部分巻線81Aは、側面視で略C字状をなし、他方の部分巻線81Bは、側面視で略I字状をなしている。各部分巻線81A,81Bのうち、部分巻線81AがコアアセンブリCAに対して先付けされ、部分巻線81BがコアアセンブリCAに対して後付けされる。そして、軸方向両側の各コイルエンドCE1,CE2では、各部分巻線81A,81Bの渡り部に位置規制部材がそれぞれ組み付けられるとともに、それら渡り部と位置規制部材とをまとめて樹脂モールドされる。
・上記各実施形態では、コイルエンドCE1側において、固定子コア42,212の軸方向端面と固定子ホルダ50,220の軸方向端面とが面一となっていたが、これを変更してもよい。例えば、コイルエンドCE1側において、固定子コア42,212の軸方向端面よりも固定子ホルダ50,220の軸方向端面が軸方向に突出している構成としてもよい。この場合、放熱性向上の効果が期待できる。
・回転電機10における固定子巻線41は2相の相巻線(U相巻線及びV相巻線)を有する構成であってもよい。この場合、例えば部分巻線81では、一対の中間導線部82が1コイルピッチ分を離して設けられ、一対の中間導線部82の間に、他1相の部分巻線81における中間導線部82が1つ配置される構成となっていればよい。
・固定子巻線41は、複数の部分巻線81を用いたものに限定されず、導線を波巻きにより巻回した構成であってもよい。この場合、円筒状の固定子コア42に対して、波巻きにより円筒状に形成された固定子巻線41が組み付けられる構成であるとよい。
・上記各実施形態では、回転子20として表面磁石型の回転子を用いたが、これに代えて、埋込磁石型の回転子を用いる構成としてもよい。
・上記各実施形態では、回転電機10をアウタロータ構造のものとしたが、これを変更し、インナロータ構造の回転電機であってもよい。インナロータ構造の回転電機では、固定子が径方向外側に設けられ、回転子が径方向内側に設けられる。
・回転電機10として、界磁子を回転子、電機子を固定子とする回転界磁形の回転電機に代えて、電機子を回転子、界磁子を固定子とする回転電機子形の回転電機を採用することも可能である。
・回転電機10の用途は車両の走行用モータ以外であってもよく、航空機を含め広く移動体に用いられる回転電機や、産業用又は家庭用の電気機器に用いられる回転電機であってもよい。
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
10…回転電機、20…回転子、40,210…固定子、41,211…固定子巻線、81…部分巻線、82…中間導線部、85…絶縁層、140…コイルカバー、CA…コアアセンブリ。

Claims (7)

  1. 相あたり複数の部分巻線(81)からなる相巻線を有する多相の電機子巻線(41,211)と、前記電機子巻線が組み付けられる円筒状の巻線保持部材(CA)と、を有する電機子(40,210)であって、
    前記部分巻線は、矩形断面形状を有する平角線(CL)が束ねられた空芯状の単位コイルよりなり、
    前記部分巻線において、前記平角線どうしの間と、前記平角線が集合した集合部の外側に、空気よりも放熱性の高い絶縁材からなる絶縁層(85)が形成されている、電機子。
  2. 回転電機(10)において複数の磁極を有する界磁子(20)に対して径方向に対向するように配置されるティースレス構造の電機子であって、
    前記部分巻線において、前記平角線が集合した集合部の横断面が四角形状をなしており、その外面である四方の側面のうち前記界磁子に対向する側面では、当該界磁子側の側面以外の他の側面に比べて、前記絶縁層の厚みが薄い、請求項1に記載の電機子。
  3. 回転電機(10)において複数の磁極を有する界磁子(20)に対して径方向に対向するように配置される電機子であって、
    前記界磁子に径方向に対向する部分がコイルサイド(CS)であり、そのコイルサイドよりも軸方向外側がコイルエンド(CE1,CE2)であり、
    前記コイルエンドにおいて、前記巻線保持部材の一部又は前記巻線保持部材に固定された部材である位置規制部材(70,100,170,225,240,260,270,280,315,320)により、前記巻線保持部材に組み付けられた状態での前記部分巻線の位置が規制されている、請求項1又は2に記載の電機子。
  4. 回転電機(10)において複数の磁極を有する界磁子(20)に対して径方向に対向するように配置される電機子であって、
    前記界磁子に径方向に対向する部分がコイルサイド(CS)であり、そのコイルサイドよりも軸方向外側がコイルエンド(CE1,CE2)であり、
    前記部分巻線は、前記コイルサイドに対応する部位である第1部分(A1)と、前記コイルエンドに対応する部位である第2部分(A2)とを有し、
    前記第1部分では、前記第2部分に比べて前記絶縁層に含まれる気泡が少ない、請求項1~3のいずれか1項に記載の電機子。
  5. 前記部分巻線は、軸方向において一端側と他端側とで、前記平角線どうしの間の前記絶縁層の内部に含まれる気泡量が相違しており、前記気泡量が多い側が第1端部、前記気泡量が少ない側が第2端部であり、
    前記電機子の軸方向一端側及び他端側の各々において前記第1端部と前記第2端部とが周方向に均等に分散配置された状態で、前記各部分巻線が前記巻線保持部材に組み付けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の電機子。
  6. 相あたり複数の部分巻線(81)からなる相巻線を有する多相の電機子巻線(41,211)と、前記電機子巻線が組み付けられる円筒状の巻線保持部材(CA)と、を有する電機子(40,210)の製造方法であって、
    矩形断面形状を有する複数の平角線が束ねられた空芯状の単位コイルよりなる部分巻線を作製する巻線作製工程と、
    前記部分巻線を成形型(191,192)に収容した状態で、前記成形型内に、空気よりも放熱性の高い液状の絶縁材を充填し、前記平角線どうしの間と前記複数の平角線の外側に前記絶縁材からなる絶縁層(85)を形成する充填工程と、
    前記充填工程後の前記部分巻線を、前記巻線保持部材に対して組み付ける組付工程と、
    を有する電機子の製造方法。
  7. 回転電機(10)において複数の磁極を有する界磁子(20)に対して径方向に対向するように配置される電機子の製造方法であって、
    前記界磁子に径方向に対向する部分がコイルサイド(CS)であり、そのコイルサイドよりも軸方向外側がコイルエンド(CE1,CE2)であり、
    前記部分巻線は、前記コイルサイドに対応する部位である第1部分(A1)と、前記コイルエンドに対応する部位である第2部分(A2)とを有しており、
    前記充填工程では、前記第1部分が鉛直方向に延びる向きにして前記成形型内に前記部分巻線を収容するとともに、前記成形型において、前記第1部分の両側の前記第2部分のうち鉛直方向下側の第2部分から前記絶縁材を注入する、請求項6に記載の電機子の製造方法。
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