JP2023141100A - ジャンクションバリアショットキーダイオード - Google Patents

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Abstract

Figure 2023141100000001
【課題】酸化ガリウムを用いたジャンクションバリアショットキーダイオードのサージ耐量を高める。
【解決手段】ジャンクションバリアショットキーダイオード1は、酸化ガリウムからなる半導体基板20及びドリフト層30と、ドリフト層30と接するアノード電極40と、半導体基板20と接するカソード電極50と、アノード電極40及びドリフト層30と接するp型半導体層60とを備える。p型半導体層60は、アノード電極40と接する第1のp型半導体層61と、ドリフト層30と接する第2のp型半導体層62とを含み、第2のp型半導体層62の価電子帯上端準位は、第1のp型半導体層61の価電子帯上端準位よりも低い。このように、エネルギー準位の異なる2つのp型半導体層61,62を用いていることから、サージ耐量が高められる。
【選択図】図1

Description

本発明はジャンクションバリアショットキーダイオードに関し、特に、酸化ガリウムを用いたジャンクションバリアショットキーダイオードに関する。
ショットキーバリアダイオードは、金属と半導体の接合によって生じるショットキー障壁を利用した整流素子であり、PN接合を有する通常のダイオードに比べて順方向電圧が低く、且つ、スイッチング速度が速いという特徴を有している。このため、ショットキーバリアダイオードはパワーデバイス用のスイッチング素子として利用されることがある。
ショットキーバリアダイオードをパワーデバイス用のスイッチング素子として用いる場合、十分な逆方向耐圧を確保する必要があることから、シリコン(Si)の代わりに、よりバンドギャップの大きい炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga)などが用いられることがある。中でも、酸化ガリウムは、バンドギャップが4.8~4.9eVと非常に大きく、絶縁破壊電界も約8MV/cmと大きいことから、酸化ガリウムを用いたショットキーバリアダイオードは、パワーデバイス用のスイッチング素子として非常に有望である。酸化ガリウムを用いたショットキーバリアダイオードの例は、特許文献1に記載されている。
特許文献1には、酸化ガリウム層に設けられた複数のトレンチにp型の半導体材料を埋め込んだ構造を有するジャンクションバリアショットキーダイオードが開示されている。このように、酸化ガリウム層に複数のトレンチを設けるとともに、複数のトレンチにp型の半導体材料を埋め込めば、逆方向電圧が印加されるとトレンチ間に位置するメサ領域が空乏層となるため、ドリフト層のチャネル領域がピンチオフされる。これにより、逆方向電圧が印加された場合のリーク電流を大幅に抑制することができる。
特開2019-036593号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたジャンクションバリアショットキーダイオードは、p型半導体層の材料として、価電子帯上端準位がフェルミレベルに近い材料を選択すると、ドリフト層の価電子帯上端準位とのエネルギー差が大きくなることから、ドリフト層に正孔を注入するのに必要なエネルギーが大きくなり、サージ耐量が悪化するという問題があった。逆に、p型半導体層の材料として、価電子帯上端準位がドリフト層の価電子帯上端準位に近い材料を選択すると、フェルミレベルとのエネルギー差が大きくなることから、アノード電極とp型半導体層の接触抵抗が増加し、この場合もサージ耐量が悪化するという問題があった。
したがって、本発明は、酸化ガリウムを用いたジャンクションバリアショットキーダイオードのサージ耐量を高めることを目的とする。
本発明によるジャンクションバリアショットキーダイオードは、酸化ガリウムからなる半導体基板と、半導体基板上に設けられた酸化ガリウムからなるドリフト層と、ドリフト層と接するアノード電極と、半導体基板と接するカソード電極と、アノード電極及びドリフト層と接するp型半導体層とを備え、p型半導体層は、アノード電極と接する第1のp型半導体層と、ドリフト層と接する第2のp型半導体層とを含み、第2のp型半導体層の価電子帯上端準位は、第1のp型半導体層の価電子帯上端準位よりも低いことを特徴とする。
本発明によれば、エネルギー準位の異なる2つのp型半導体層を用いていることから、フェルミレベルとp型半導体層の価電子帯上端準位の差を低減するとともに、p型半導体層の価電子帯上端準位とドリフト層の価電子帯上端準位の差を低減することが可能となる。
本発明において、第2のp型半導体層と第1のp型半導体層は、ドリフト層の平坦な上面にこの順に積層されていても構わない。これによれば、簡単な製造プロセスにて作製することが可能となる。
本発明において、ドリフト層はトレンチを有し、p型半導体層の少なくとも一部がトレンチに埋め込まれていても構わない。これによれば、p型半導体層とドリフト層の接触面積を拡大することが可能となる。
本発明において、フェルミレベルと第1のp型半導体層の価電子帯上端準位のエネルギー差が1eV以下であり、第2のp型半導体層の価電子帯上端準位とドリフト層の価電子帯上端準位のエネルギー差が2eV以下であっても構わない。これによれば、アノード電極と第1のp型半導体層をオーミック接触させることができるとともに、ドリフト層に正孔を注入するのに必要なエネルギーを十分に低減することが可能となる。
本発明において、p型半導体層は、第1のp型半導体層と第2のp型半導体層の間に位置する第3のp型半導体層をさらに含み、第3のp型半導体層の価電子帯上端準位は、第1のp型半導体層の価電子帯上端準位よりも低く、且つ、第2のp型半導体層の価電子帯上端準位よりも高くても構わない。これによれば、サージ耐量をより高めることが可能となる。
このように、本発明によれば、酸化ガリウムを用いたジャンクションバリアショットキーダイオードのサージ耐量を高めることが可能となる。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1の構成を示す模式的な平面図である。また、図1(b)は、図1(a)に示すA-A線に沿った略断面図である。 図2は、ジャンクションバリアショットキーダイオード1のエネルギーバンド図であり、(a)は第1の電流パスP1におけるエネルギーバンドを示し、(b)は第2の電流パスP2におけるエネルギーバンドを示している。 図3は、順方向電圧VFと順方向電流IFの関係を示すグラフである。 図4は、第1の変形例によるジャンクションバリアショットキーダイオードの構成を示す模式的な平面図である。 図5は、第2の変形例によるジャンクションバリアショットキーダイオードの構成を示す模式的な平面図である。 図6は、第3の変形例によるジャンクションバリアショットキーダイオードの構成を示す模式的な平面図である。 図7は、第4の変形例によるジャンクションバリアショットキーダイオードの構成を示す模式的な平面図である。 図8(a)は、第5の変形例によるジャンクションバリアショットキーダイオードの構成を示す模式的な平面図である。また、図8(b)は、図8(a)に示すA-A線に沿った略断面図である。 図9(a)は、第6の変形例によるジャンクションバリアショットキーダイオードの構成を示す模式的な平面図である。また、図9(b)は、図9(a)に示すA-A線に沿った略断面図である。 図10(a)は、第7の変形例によるジャンクションバリアショットキーダイオードの構成を示す模式的な平面図である。また、図10(b)は、図10(a)に示すA-A線に沿った略断面図である。 図11(a)は、本発明の第2の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード2の構成を示す模式的な平面図である。また、図11(b)は、図11(a)に示すA-A線に沿った略断面図である。 図12は、第8の変形例によるジャンクションバリアショットキーダイオードの構成を示す模式的な断面図である。 図13は、本発明の第3の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード3の構成を示す模式的な断面図である。 図14は、ジャンクションバリアショットキーダイオード3のエネルギーバンド図であり、第2の電流パスP2におけるエネルギーバンドを示している。 図15は、p型半導体層60をn層構造とした場合の第1の例によるエネルギーバンド図である。 図16は、p型半導体層60をn層構造とした場合の第2の例によるエネルギーバンド図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1(a)は、本発明の第1の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1の構成を示す模式的な平面図である。また、図1(b)は、図1(a)に示すA-A線に沿った略断面図である。
図1に示すように、第1の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1は、いずれも酸化ガリウム(β-Ga)からなる半導体基板20及びドリフト層30を備える。半導体基板20及びドリフト層30には、n型ドーパントとしてシリコン(Si)又はスズ(Sn)が導入されている。ドーパントの濃度は、ドリフト層30よりも半導体基板20の方が高く、これにより半導体基板20はn層、ドリフト層30はn層として機能する。半導体基板20の不純物濃度は例えば1×1018cm-3程度であり、ドリフト層30の不純物濃度は例えば3×1016cm-3程度である。
半導体基板20は、融液成長法などを用いて形成されたバルク結晶を切断加工したものであり、その厚みは250μm程度である。半導体基板20の平面サイズについては特に限定されないが、一般的に素子に流す電流量に応じて選択することになり、順方向の最大電流量が20A程度であれば、平面視で2.4mm×2.4mm程度とすればよい。
半導体基板20は、実装時において上面側に位置する上面21と、上面21の反対側であって、実装時において下面側に位置する裏面22を有する。上面21の全面にはドリフト層30が形成されている。ドリフト層30は、半導体基板20の上面21に反応性スパッタリング、PLD法、MBE法、MOCVD法、HVPE法などを用いて酸化ガリウムをエピタキシャル成長させた薄膜である。ドリフト層30の膜厚については特に限定されないが、一般的に素子の逆方向耐電圧に応じて選択することになり、600V程度の耐圧を確保するためには、例えば7μm程度とすればよい。
ドリフト層30の上面31には、ドリフト層30とショットキー接触するアノード電極40と、ドリフト層30とpn接合するp型半導体層60が形成されている。アノード電極40は、例えば白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)等の金属からなる。アノード電極40は、異なる金属膜を積層した多層構造、例えば、Pt/Au、Pt/Al、Pd/Au、Pd/Al、Pt/Ti/AuまたはPd/Ti/Auであっても構わない。
p型半導体層60は、第1のp型半導体層61と第2のp型半導体層62を含んでいる。p型半導体層60は平面視で二重のリング状に形成されており、ドリフト層30の平坦な上面31に第2のp型半導体層62と第1のp型半導体層61がこの順に積層されている。これにより、第1のp型半導体層61はアノード電極40と接し、第2のp型半導体層62はドリフト層30とpn接合する。図1に示す例では、第2のp型半導体層62の側面もアノード電極40と接している。第1及び第2のp型半導体層61,62の材料としては、Si、GaAs、GaN、SiC、Ge、ZnSe、CdS、InP、SiGe、AlN、BN、AlGaN、NiO、CuO、Ir、AgOなどを用いることができるが、少なくとも、第2のp型半導体層62の材料としては、価電子帯上端準位が第1のp型半導体層61の価電子帯上端準位よりも低い材料を選択する必要がある。一例として、第1のp型半導体層61としては不純物濃度が1×1019cm-3程度のNiOを選択することができ、第2のp型半導体層62としては不純物濃度が1×1016cm-3程度のBNを選択することができる。
半導体基板20の裏面22には、半導体基板20とオーミック接触するカソード電極50が設けられる。カソード電極50は、例えばチタン(Ti)等の金属からなる。カソード電極50は、異なる金属膜を積層した多層構造、例えば、Ti/AuまたはTi/Alであっても構わない。
本実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1に順方向電圧を印加すると、アノード電極40からドリフト層30へ向けて2つの電流パスが形成される。第1の電流パスは、図1(b)において符号P1で示すように、p型半導体層60を経由することなく、アノード電極40からドリフト層30へ電流が直接流れるパスである。第2の電流パスは、図1(b)において符号P2で示すように、p型半導体層60を経由するパスである。
図2は、本実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1のエネルギーバンド図であり、(a)は第1の電流パスP1におけるエネルギーバンドを示し、(b)は第2の電流パスP2におけるエネルギーバンドを示している。
図2(a)に示すように、第1の電流パスP1においては、アノード電極40とドリフト層30がショットキー接触していることから、この部分はショットキーバリアダイオードとして機能する。このため、順方向電圧が低く、且つ、スイッチング速度が速いことから、順方向電圧を印加した場合に最初にオンする。アノード電極40とドリフト層30の間のショットキー障壁の高さはΦb1である。ここで、Eはフェルミレベル、Eは伝導帯下端準位、Eは価電子帯上端準位、Eはエネルギーバンドギャップを意味する。
これに対し、図2(b)に示すように、第2の電流パスP2においては、アノード電極40とドリフト層30の間にp型半導体層60が介在する。このため、第1の電流パスP1に電流が流れた後、より高い順方向電圧が印加されると第2の電流パスP2がオンする。これにより、オン抵抗が大幅に低減される。
図3は、順方向電圧VFと順方向電流IFの関係を示すグラフであり、符号Aは本実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1の特性を示し、符号Bは一般的なショットキーバリアダイオードの特性を示している。図3に示すように、一般的なショットキーバリアダイオードにおいては、例えば100Aといった突発的な大電流(サージ電流)が流れた場合、約50Vの電圧が発生し、大量の発熱によって焼損する。これに対し、本実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1では、100Aのサージ電流が流れた場合であっても、第2の電流パスP2がオンすることから、発生する電圧は約5V程度に抑えられる。
しかも、本実施形態においては、アノード電極40とドリフト層30の間に第1のp型半導体層61と第2のp型半導体層62がこの順に配置されている。図2(b)に示すように、フェルミレベルEと第1のp型半導体層61の価電子帯上端準位のエネルギー差はΦb2、第1のp型半導体層61の価電子帯上端準位と第2のp型半導体層62の価電子帯上端準位のエネルギー差はΔEV1、第2のp型半導体層62の価電子帯上端準位とドリフト層30の価電子帯上端準位のエネルギー差はΔEV2である。また、第1のp型半導体層61のバンドギャップはEg1、第2のp型半導体層62のバンドギャップはEg2、ドリフト層30のバンドギャップはEg3である。そして、本実施形態においては、第2のp型半導体層62の価電子帯上端準位が第1のp型半導体層61の価電子帯上端準位よりも低いことから、p型半導体層60の材料として単一の半導体材料を用いた場合と比べ、エネルギー差Φb2及びΔEV2が低減する。これにより、ドリフト層30に正孔を注入するのに必要なエネルギーが低減されるとともに、アノード電極40とp型半導体層60の接触抵抗が低減することから、p型半導体層60の材料として単一の半導体材料を用いた場合と比べてサージ耐量が増加する。
ここで、第1及び第2のp型半導体層61,62の材料としては、エネルギー差Φb2が1eV以下となり、エネルギー差ΔEV2が2eV以下となる材料を選択することが好ましい。例えば、第1のp型半導体層61の材料としてNiOを用い、第2のp型半導体層62の材料としてBNを用いた場合、NiOのバンドギャップEg1は3.7eV程度、BNのバンドギャップEg2は6.2eV程度であり、エネルギー差Φb2は0.5eV以下となる。このため、アノード電極40と第1のp型半導体層61をオーミック接触させることが可能となる。また、エネルギー差はΔEV2についても2eV以下となり、ドリフト層30に正孔を注入するのに必要なエネルギーが十分に低減される。その他、エネルギー差Φb2を1eV以下、エネルギー差ΔEV2を2eV以下とするためには、第1のp型半導体層61の材料としてNiOを用い、第2のp型半導体層62の材料としてAlNを用いても構わないし、第1のp型半導体層61の材料としてCuOを用い、第2のp型半導体層62の材料としてBNを用いても構わないし、第1のp型半導体層61の材料としてCuOを用い、第2のp型半導体層62の材料としてAlNを用いても構わないし、第1のp型半導体層61の材料としてGaNを用い、第2のp型半導体層62の材料としてBNを用いても構わないし、第1のp型半導体層61の材料としてAlGaNを用い、第2のp型半導体層62の材料としてBNを用いても構わないし、第1のp型半導体層61の材料としてCuGaOを用い、第2のp型半導体層62の材料としてBNを用いても構わない。これに対し、p型半導体層60の材料として単一の半導体材料を用いた結果、アノード電極40とp型半導体層60との間でオーミック接触を確保することができない場合には、図3において特性Cで示すように、サージ電流によって比較的大きな電圧が発生するおそれがある。
このように、本実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1は、p型半導体層60が第1及び第2のp型半導体層61,62の積層体によって構成されていることから、p型半導体層60の材料として単一の半導体材料を用いた場合と比べて大きなサージ耐量を得ることが可能となる。しかも、p型半導体層60をドリフト層30の平坦な上面31に形成していることから、簡単な製造プロセスにて作製することができる。
ここで、p型半導体層60の平面的な形状については図1(a)に示す形状に限定されず、図4に示す第1の変形例のようにストライプ状であっても構わないし、図5に示す第2の変形例のようにドット状であっても構わないし、図6に示す第3の変形例のようにリングとストライプの組み合わせであっても構わないし、図7に示す第4の変形例のようにリングとドットの組み合わせであっても構わない。また、図8に示す第5の変形例のようにp型半導体層60の一部がアノード電極40で覆われていなくても構わないし、図9に示す第6の変形例のようにアノード電極40の幅がp型半導体層60よりも大きくても構わない。さらに、図10に示す第7の変形例のように、ドリフト層30の上面31にフィールド絶縁膜70を設け、アノード電極40の端部をフィールド絶縁膜70上に配置しても構わない。このようなフィールドプレート構造を採用すれば、ドリフト層30に印加される電界を緩和することが可能となる。
<第2の実施形態>
図11(a)は、本発明の第2の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード2の構成を示す模式的な平面図である。また、図11(b)は、図11(a)に示すA-A線に沿った略断面図である。
図11に示すように、第2の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード2は、ドリフト層30にトレンチ32が設けられており、第2のp型半導体層62がトレンチ32に埋め込まれている点において、第1の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1と相違している。その他の基本的な構成は、第1の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
トレンチ32は、ドリフト層30の上面31から半導体基板20に達しない深さを有しており、その内部に第2のp型半導体層62が埋め込まれている。一例として、トレンチ32の深さは3μm程度、トレンチ32の幅は1.5μm程度とすることができる。第1のp型半導体層61は、トレンチ32の外部であって、第2のp型半導体層62と接する位置に設けられている。このため、本実施形態においてはアノード電極40と第2のp型半導体層62は直接接しない。
このように、第2の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード2においては、第2のp型半導体層62がドリフト層30に設けられたトレンチ32に埋め込まれていることから、第2のp型半導体層62とドリフト層30の接触面積が増大する。これにより、第2の電流パスP2の抵抗値をより低減することが可能となる。
また、図11に示す例では、第2のp型半導体層62の全体がトレンチ32に埋め込まれているが、第2のp型半導体層62の一部がトレンチ32の外部に設けられていても構わないし、図12に示す変形例のように、第1のp型半導体層61を含むp型半導体層60の全体がトレンチ32に埋め込まれていても構わない。
<第3の実施形態>
図13は、本発明の第3の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード3の構成を示す模式的な断面図である。
図13に示すように、第3の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード3は、p型半導体層60に第3のp型半導体層63が含まれている点において、第1の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1と相違している。その他の基本的な構成は、第1の実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
第3のp型半導体層63は、第1のp型半導体層61と第2のp型半導体層62の間に位置する。そして、第3のp型半導体層63の材料としては、価電子帯上端準位が第1のp型半導体層61の価電子帯上端準位よりも低く、且つ、第2のp型半導体層62の価電子帯上端準位よりも高い材料が選択される。
図14は、本実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード3のエネルギーバンド図であり、第2の電流パスP2におけるエネルギーバンドを示している。
図14に示すように、本実施形態においては、p型半導体層60が3層構造を有していることから、フェルミレベルEと第1のp型半導体層61の価電子帯上端準位のエネルギー差Φb2や、第2のp型半導体層62の価電子帯上端準位とドリフト層30の価電子帯上端準位のエネルギー差ΔEV2をより低減することができる。これにより、ドリフト層30に正孔を注入するのに必要なエネルギーがより低減されるとともに、アノード電極40とp型半導体層60の接触抵抗がより低減することから、サージ耐量をより増大させることが可能となる。
本実施形態によるジャンクションバリアショットキーダイオード3が例示するように、p型半導体層60を3層構造とすれば、サージ耐量をより増大させることが可能となる。さらに、p型半導体層60を4層以上の層構造とすることも可能である。例えば、p型半導体層をn層構造とした場合、図15に示すように、隣接する2層のp型半導体層のうち、アノード電極40側に位置するp型半導体層(図15では第4p層)の価電子帯上端準位がドリフト層30側に位置するp型半導体層(図15では第np層)の価電子帯上端準位よりも低く組み合わせが一部に存在していても構わない。また、図16に示すように、最もドリフト層30側に位置するp型半導体層(図15では第np層)の価電子帯上端準位がドリフト層30の価電子帯上端準位よりも低くても構わない。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
1~3 ジャンクションバリアショットキーダイオード
20 半導体基板
21 半導体基板の上面
22 半導体基板の裏面
30 ドリフト層
31 半導体基板の上面
32 トレンチ
40 アノード電極
50 カソード電極
60 p型半導体層
61 第1のp型半導体層
62 第2のp型半導体層
63 第3のp型半導体層
70 フィールド絶縁膜
P1 第1の電流パス
P2 第2の電流パス

Claims (5)

  1. 酸化ガリウムからなる半導体基板と、
    前記半導体基板上に設けられた酸化ガリウムからなるドリフト層と、
    前記ドリフト層と接するアノード電極と、
    前記半導体基板と接するカソード電極と、
    前記アノード電極及びドリフト層と接するp型半導体層と、を備え、
    前記p型半導体層は、前記アノード電極と接する第1のp型半導体層と、前記ドリフト層と接する第2のp型半導体層とを含み、
    前記第2のp型半導体層の価電子帯上端準位は、前記第1のp型半導体層の価電子帯上端準位よりも低いことを特徴とするジャンクションバリアショットキーダイオード。
  2. 前記第2のp型半導体層と前記第1のp型半導体層は、前記ドリフト層の平坦な上面にこの順に積層されていることを特徴とする請求項1に記載のジャンクションバリアショットキーダイオード。
  3. 前記ドリフト層はトレンチを有し、前記p型半導体層の少なくとも一部が前記トレンチに埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載のジャンクションバリアショットキーダイオード。
  4. フェルミレベルと前記第1のp型半導体層の価電子帯上端準位のエネルギー差は1eV以下であり、前記第2のp型半導体層の価電子帯上端準位と前記ドリフト層の価電子帯上端準位のエネルギー差が2eV以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のジャンクションバリアショットキーダイオード。
  5. 前記p型半導体層は、前記第1のp型半導体層と前記第2のp型半導体層の間に位置する第3のp型半導体層をさらに含み、
    前記第3のp型半導体層の価電子帯上端準位は、前記第1のp型半導体層の価電子帯上端準位よりも低く、且つ、前記第2のp型半導体層の価電子帯上端準位よりも高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジャンクションバリアショットキーダイオード。
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