JP2023141052A - 浸漬ノズル - Google Patents

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Yuichi Tsukaguchi
広大 藤田
Kodai Fujita
信幸 ▲高▼平
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    • B22D41/50Pouring-nozzles

Abstract

【課題】鋳型内の溶鋼の流動の偏りを抑制することができる浸漬ノズルを提供する。【解決手段】浸漬ノズルは軸中心を通る厚さ方向平面で分割された2つの領域を備えており、浸漬ノズルは溶鋼を鋳型に供給する吐出部を備え、吐出部は4つの吐出孔を有しており、さらに吐出部は、溶鋼を各領域に分配する内部障壁と、分配された分岐流が流れる分岐流流路と、分岐流をさらに分配し、各吐出孔に供給する分配ブロックと、を有し、各領域に配置された2つの吐出孔のうち、幅方向外側に配置された吐出孔を外側吐出孔とし、幅方向内側に配置された吐出孔を内側吐出孔とし、分岐流流路のうち何れか一方を閉塞させた場合において、分岐流流路が閉塞された領域に配置されている内側吐出孔から吐出される溶鋼の流量が、分岐流流路が閉塞されていない領域に配置されている内側吐出孔から吐出される溶鋼の流量よりも大きいことを特徴とする、浸漬ノズルである。【選択図】図3

Description

本願は溶鋼の連続鋳造においてタンディッシュからモールドへの給湯に用いる浸漬ノズルに関する。特に、高速鋳造において吐出流を分散供給する浸漬ノズルに関する。
タンディッシュからモールドへの給湯に用いる浸漬ノズルにおいて、鋳造速度が3m/minを超え5~8m/minに達する高速鋳造条件が薄スラブ連続鋳造などで用いられる。このような高速鋳造条件が適用される場合、モールド内湯面の乱れを防止する観点から下向きの大きな角度で溶鋼を注入する必要がある。加えて、吐出流の持つ運動エネルギーを鋳型内で消散させる観点から、吐出孔を多孔化するなどして吐出孔面積を拡大する必要がある。
これらの要求に応じて、従来様々な形状の浸漬ノズルが提案されている。例えば、特許文献1~5に開示されているように、浸漬ノズルの下部に吐出孔が4孔以上配置される多孔ノズルが提案されている。あるいは、特許文献6、7に開示されているように、内部に障壁を設けることによって浸漬ノズル内の下降流の流速を低減したり、下降流を複数の吐出孔に円滑に分配したりする工夫が知られている。
特表2004-514562号公報 特開平8-39208号公報 特許第3186068号公報 特許第4580135号公報 特許第4542631号公報 特許第3408884号公報 特許第6666908号公報
本発明者らは水モデル実験を用いた研究を実施し、その結果、従来技術には以下の課題があることが分かった。
浸漬ノズル内の下降流には、タンディッシュから浸漬ノズルへの給湯量を制御するストッパーあるいはスライディングゲートといった流路絞り機構などの影響を受けて、不安定な揺らぎ(流れの偏りや偏り状態の変動)が生じる。その下降流の揺らぎの影響を受けて、多孔吐出孔への流量分配が変動する。その結果、鋳型内流動が不安定に揺らぐ(左右への偏流や状態の変動が生じる)のである。そうすると、製造されるスラブの表面に欠陥が生じる。
多孔吐出孔への流量分配を安定させるには、吐出孔面積を縮小し浸漬ノズル内圧を高めればよいが、そうすると多孔化本来の目的である吐出流速の低減効果が損なわれる。このように、多孔吐出孔への流量分配と吐出流速の低減の両立が難しいことが、従来技術の問題点であった。
本開示は、かかる技術的課題を克服するべく成されたものであり、浸漬ノズル内部構造の工夫により吐出流分配に対するセルフスタビライジング機能を付加し、鋳型内の溶鋼の流動の偏りを抑制することができる浸漬ノズルを提案するものである。
本開示は上記課題を解決するための一つの態様として、タンディッシュから供給された溶鋼を鋳型に吐出して、スラブを連続鋳造するためのスラブ連続鋳造用浸漬ノズルであって、浸漬ノズルは溶鋼を鋳型に供給する吐出部を備え、浸漬ノズルは軸中心を通る厚さ方向平面で分割された2つの領域を備えており、吐出部は底部と、底部の外縁から高さ方向に延びる側壁とを有し、吐出部は4つの吐出孔を有しており、吐出孔は吐出部の底部であって、各領域において幅方向に並んで2つ配置されおり、さらに吐出部は、幅方向の中央に配置され、タンディッシュから供給された溶鋼を各領域に分配する内部障壁と、各領域の側壁及び内部障壁の間であって、各領域において内部障壁によって分配された溶鋼である分岐流が流れる分岐流流路と、内部障壁よりも底部側であって、各領域において分岐流流路を通過した分岐流をさらに分配し、各吐出孔に供給する分配ブロックと、を有し、各領域に配置された2つの吐出孔のうち、幅方向外側に配置された吐出孔を外側吐出孔とし、幅方向内側に配置された吐出孔を内側吐出孔とし、分岐流流路のうち何れか一方を閉塞させた場合において、分岐流流路が閉塞された領域に配置されている内側吐出孔から吐出される溶鋼の流量が、分岐流流路が閉塞されていない領域に配置されている内側吐出孔から吐出される溶鋼の流量よりも大きいことを特徴とする、浸漬ノズルを提供する。
上記浸漬ノズルは次の態様であってもよい。すなわち、浸漬ノズルはタンディッシュから供給された溶鋼を受け取る管状部と、上記吐出部と、及び吐出部を接続する接続部とを備えており、浸漬ノズルを水平面に投影したときに、内部障壁の面積が管状部の流路の面積よりも大きい態様であってもよい。
また、上記浸漬ノズルにおいて、内部障壁のタンディッシュから供給された溶鋼を受ける側の面が凹部を備えていてもよい。
本開示の浸漬ノズルによれば、鋳型内における溶鋼の流動の偏りを抑制することができる。
一般的なスラブ連続鋳造装置の概略図である。 鋳型内の溶鋼流動に偏りが生じた様子を示す概略図である。 浸漬ノズル100の軸中心Cを通る幅方向断面図である。 浸漬ノズル100を上側から観察した平面図である。 浸漬ノズル100を下側から観察した底面図である。 浸漬ノズル100を水平面上に投影した投影図であって、流路11及び内部障壁34に着目した図である。 内部障壁34の拡大図である。 吐出部30の底部31側の拡大図である。 浸漬ノズル200の軸中心Cを通る幅方向断面図である。 吐出部130の底部131側の拡大図である。 実施例Aの幅方向断面図及び底面図である。 実施例Bの幅方向断面図及び平面図である。 実施例Cの幅方向断面図及び底面図である。 実施例Dの幅方向断面図及び平面図である。 実施例Eの幅方向断面図及び底面図である。 実施例Fの幅方向断面図及び平面図である。 比較例Gの幅方向断面図及び底面図である。 比較例Hの幅方向断面図及び平面図である。 フルスケール水モデル実験の概略図である。 フルスケール水モデル実験において、水注入条件を絞りなしで行った場合の結果である。 フルスケール水モデル実験において、水注入条件を絞りありで行った場合の結果である。
図1に一般的なスラブ連続鋳造装置の概略図を示した。図1に示した通り、タンディッシュTに貯留されている溶鋼Sが浸漬ノズルNを介して、鋳型Mに供給される。そして、供給された溶鋼Sは鋳型Mにおいて徐々に冷却されつつ、引き出されることによりスラブが連続鋳造される。
タンディッシュTから浸漬ノズルNに供給される溶鋼Sの流量は、スライディングゲート等の流路絞り機構によって調整される。一方で、流量が調整されることにより、浸漬ノズルN内の下降流に揺らぎや偏りが生じる。浸漬ノズルNが多吐出孔を備える場合、下降流の揺らぎや偏りにより多孔吐出孔への流量分配が変動し、鋳型内の溶鋼の流動にも偏りが生じる。
図2に鋳型内の溶鋼流動に偏りが生じた様子を示す概略図を示した。図2のように、流路絞り機構によって溶鋼の流路が絞られると、浸漬ノズル内に偏流が生じる。そして、偏流が生じた溶鋼が鋳型内に吐出されると、鋳型内の溶鋼流動にも偏流が生じる。鋳型内に偏流が生じると、例えば湯面乱れや淀みといった問題が生じる。このような流動状態のままスラブが鋳造されると、製造されるスラブ表面欠陥が生じる。従って、鋳型内の溶鋼流動の偏りを抑制する技術が望まれている。
この問題に対し、本発明者らは実験的検討を進めた結果、下記の2つの要素を組み合わせることにより、多孔吐出孔を有する浸漬ノズルに有効な吐出流分配のセルフスタビライジング機能を付与することができることを見出した。第一の要素は、タンディッシュから流路絞り機構を経た下降流を左右に分配することができる内部障壁を設けることである。第二の要素は、第一段階の流量分配で生じた左右への偏りを補正する機構として、上記内部障壁の下に、第一の分配で流量分配が少なくなった側への分配が多くなるように流量を分配することができる分配ブロックを設けることである。
上記発見に基づき、本開示の浸漬ノズルが発明された。以下、本開示の浸漬ノズルについて、第1実施形態及び第2実施形態を用いて詳しく説明する。
[第1実施形態]
図3に第1実施形態である浸漬ノズル100の軸中心Cを通る幅方向断面図を示した。ここで、本明細書において、図3の左右方向を幅方向、上下方向を高さ方向、奥行き方向を厚さ方向という。
第1実施形態はタンディッシュから供給された溶鋼を鋳型に吐出して、スラブを連続鋳造するためのスラブ連続鋳造用の浸漬ノズル100である。浸漬ノズル100は中空状であり、内部に溶鋼の流路が形成されている。
図3に示した通り、浸漬ノズル100はタンディッシュから供給された溶鋼を受け取る管状部10と、溶鋼を鋳型に供給する吐出部30と、管状部10及び吐出部30を接続する接続部20とを備えている。管状部10及び接続部20は任意の部材であるが、通常、浸漬ノズルに備えられている。
また、浸漬ノズル100は軸中心Cを通る厚さ方向平面で分割された2つの領域R1、R2を備えている。領域R1、R2は浸漬ノズル100の説明のために便宜的に定められた領域である。浸漬ノズル100において、領域R1と領域R2とは対称な形状であってもよい。
「軸中心C」は浸漬ノズル100の幅方向の長さ及び厚さ方向の長さをそれぞれ2等分する直線の交点である。通常、軸中心Cは、管状部10、接続部20、及び吐出部30の中心を通る。各部材の中心とは、各部材の幅方向の長さ及び厚さ方向の長さをそれぞれ2等分する直線の交点である。
また、浸漬ノズル100は軸中心Cを通る幅方向平面で分割された2つの領域R3、R4を備えていてもよい(図4参照)。また、浸漬ノズル100において、領域R3と領域R4とは対称な形状であってもよい。さらに、浸漬ノズル100において、領域R1と領域R2とが対称な形状であり、かつ、領域R3と領域R4とが対称な形状であってもよい。
<管状部10>
管状部10はタンディッシュから供給された溶鋼を受け取る部分である。図4に浸漬ノズル100を上側から観察した平面図を示した。図4に示されている通り、管状部10はその内部に溶鋼の下降流が流れる一定形状の流路11が形成されている。管状部10や流路11の大きさは、目的に応じて適宜設定することができる。図4に示されている通り、通常、浸漬ノズル100の各部材(管状部10、接続部20、吐出部30)の厚さ方向の長さは概ね一定であり、内部流路の厚さ方向の長さも概ね一定である。「概ね一定である」とは、製造上の誤差や都合(例えば、規定の長さ±1%以内)を含めることを意味する。例えば、製造上の都合により上端から下端にかけて若干のテーパーを付与することがある。
ここで、流路11の幅方向の長さをW11とし、水平面への投影面積をS11とする。
管状部10の幅方向の断面形状は矩形である。ただし、本開示の浸漬ノズルにおいて、管状部の断面形状は特に限定されず、円形や楕円形、多角形であってもよい。例えば、後述の実施例A、C、Eでは管状部の断面形状が矩形である浸漬ノズルを示しており、実施例B、D、Fでは管状部の断面形状が円形である浸漬ノズルを示している(図11~図18参照)。
<接続部20>
接続部20は管状部10及び吐出部30を接続する部分であり、管状部10から吐出部30まで溶鋼を流す流路を有している。接続部20の形状は特に限定されない。図3において、接続部20は管状部10から吐出部30にかけてなだらかな傾斜を有している。
<吐出部30>
吐出部30は溶鋼を鋳型に供給する部分であり、厚さ方向視において管状部10側から底部31側に向かって幅が広くなる扇形形状を有している。また、吐出部30は、幅方向の長さに対して厚さ方向の長さが短い扁平形状を有している。
吐出部30は底部31と、底部31の外縁から延びる側壁32とを有している。図3に示されている通り、底部31が扇形形状の弧を形成する部分である。側壁32の一端は底部31の外縁と接続しており、他端は接続部20の外縁と接続している。側壁32は吐出部30の外側を形成する部材であるとともに、溶鋼の流路、例えば後述する外側吐出孔33aa、33ba及び分岐流流路35の形成に寄与する。吐出部30の扇形形状は内部流路の構成や吐出孔33の角度に応じて適宜設定してよい。
図5に浸漬ノズル100を下側から観察した底面図を示した。図5に示した通り、吐出部30は4つの吐出孔33を有している。吐出孔33の数が4つである理由は、吐出孔面積を増やすことで吐出流速を低減することができるため、吐出孔の数は多いほどよいが、吐出孔の数が多すぎると浸漬ノズル外形寸法の拡大を招きコストや操業上の取り扱いに問題が生じるためである。これらの事項を考慮すると、吐出孔の数は4つがよい。
また、吐出孔33は吐出部30の底部31であって、各領域R1、R2において幅方向に並んで2つ配置されている。図5のように吐出孔33は直線状に並んでいてもよい。図5では、吐出孔33の形状は底面視の矩形である。ただし、本開示の浸漬ノズルにおいて、吐出孔の形状はこれに限定されず、円形や楕円形、多角形であってもよい。
ここで、各領域R1、R2に配置された2つの吐出孔33のうち、幅方向外側に配置された吐出孔33を外側吐出孔33aa、33baとし、幅方向内側に配置された吐出孔33を内側吐出孔33ab、33bbとする。
図3に戻って、吐出部30の構成についてさらに説明する。吐出部30は、幅方向の中央に配置され、タンディッシュから供給された溶鋼(下降流)を各領域R1、R2に分配する内部障壁34と、各領域R1、R2の側壁32及び内部障壁34の間であって、内部障壁34によって分配された溶鋼である分岐流が流れる分岐流流路35と、内部障壁34よりも底部31側であって、各領域R1、R2において分岐流流路35を通過した分岐流をさらに分配し、各吐出孔33に供給する分配ブロック36と、を有している。
そして、浸漬ノズル100は、分岐流流路35のうち何れか一方を閉塞させた場合(例えば、領域R1の分岐流流路35を閉塞させた場合。図3の点線部分)に、分岐流流路35が閉塞された領域に配置されている内側吐出孔(例えば、内側吐出孔33ab)から吐出される溶鋼の流量が、分岐流流路35が閉塞されていない領域(例えば、領域R2)に配置されている内側吐出孔(例えば、内側吐出孔33bb)から吐出される溶鋼の流量よりも大きいことが特徴である。以下、当該特徴を流量分配特徴ということがある。
このような流量分配特徴を有することにより、浸漬ノズル100は内部障壁34を用いた第一段階の流量分配によって流量の偏りが生じた場合にも、分配ブロック36を用いた第二段階の流量分配によって、その流量分配の偏りを補正することができる。すなわち、浸漬ノズル100は吐出流分配に対するセルフスタビライジング機能が付与されているといえる。このような特徴を有する浸漬ノズルによれば、鋳型内における溶鋼の流動の偏りを抑制することができる。
浸漬ノズルが上記の特徴を満たす形態であるかどうかの判断は、実物大の水モデル実験を実施し、分岐流流路のうち何れか一方を閉塞させた場合に、分岐流流路が閉塞された領域に配置されている内側吐出孔から吐出される水の流量が、分岐流流路が閉塞されていない領域に配置されている内側吐出孔から吐出される水の流量よりも大きいことを確認することにより可能である。浸漬ノズルにおける溶鋼の流れ方と水の流れ方とはほぼ同様であるためである。
水モデル実験における分岐流流路35の閉塞方法は特に限定されないが、例えば分岐流流路35の横断面形状に合わせたゴム栓等を用いて図3中に破線の楕円で示した領域を閉塞すればよい。
また、分岐流流路35のうち何れか一方を閉塞させた場合に、分岐流流路35が閉塞された領域に配置されている内側吐出孔から吐出される溶鋼の流量が、分岐流流路35が閉塞されていない領域に配置されている内側吐出孔から吐出される溶鋼の流量に対し1.0倍超であってもよく、1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、3倍以下であってもよく、2.1倍以下であってもよく、1.9倍以下であってもよく、1.5倍以下であってもであってもよい。ここで、分岐流流路35が閉塞されていない領域に配置されている内側吐出孔から吐出される溶鋼の流量に対する、分岐流流路35が閉塞された領域に配置されている内側吐出孔から吐出される溶鋼の流量の割合を流量分配率という。
上記した流量分配率の範囲は管状部10の断面形状によらず適用可能である。一方で、後述の実施例で示されているように、管状部10の断面形状が矩形であるか円形であるかに応じて取り得る範囲が変化する。
管状部10の断面形状が矩形である場合、分流量分配率は1.0倍超であってもよく、1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、3倍以下であってもよく、2.1倍以下であってもよく、1.9倍以下であってもよく、1.5倍以下であってもよく、1.3倍以下であってもよい。
管状部10の断面形状が円形である場合、分流量分配率は1.0倍超であってもよく、1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.4倍以上であってもよく、3倍以下であってもよく、2.1倍以下であってもよく、1.9倍以下であってもよく、1.5倍以下であってもよい。
浸漬ノズル100は上記の流量分配特徴を有するように、各部材の形態を適宜設定される。流量分配特徴を有する浸漬ノズルの形態は、各部材の形態(形状やサイズ等)を厳密に調整することにより達成されるものであるが、その形態は多岐に渡り、全ての形態を説明することは困難である。以下、浸漬ノズル100の各部材について説明するが、これらは一例である。流量分配特徴を有していれば、本開示の浸漬ノズルの形態は限定されるものではない。
吐出部30は扇形形状を有しており、その弧である底部31には吐出孔33が4つ配置されている。これらの吐出孔33は流量分配特徴を実現するように、配置位置や孔の大きさ、角度等が適宜設定される。
通常、内側吐出孔33ab、33bbの角度は外側吐出孔33aa、33baの角度よりも大きく設定される。吐出孔の角度とは、軸中心Cを通る幅方向断面において、吐出孔の幅(例えば、外側開口部の幅)を2等分する直線と幅方向に延びる直線とからなる角度である。例えば、内側吐出孔33ab、33bbの角度は60°以上としてもよく、70°以上としてもよく、75°以上としてもよく、90°以下としてもよい。外側吐出孔33aa、33baの角度は40°以上としてもよく、50°以上としてもよく、60°以上としてもよく、90°以下としてもよく、75°以下としてもよい。
内部障壁34は幅方向の中央に配置され、管状部10から供給される下降流(溶鋼)を各領域R1、R2(幅方向の一方側及び他方側)に分配する役割を有する。また、内部障壁34は分配ブロック36よりも筒状部10側であり、かつ、筒状部10の下端以下に配置される。
内部障壁34は、下降流を各領域R1、R2(幅方向の一方側及び他方側)に適切に分配する観点から、厚さ方向において内部障壁34と側壁32との間が完全に閉塞されていてよい。言い換えると、内部障壁34が吐出部30の厚さ方向に亘って形成されていてもよい。
図6に、浸漬ノズル100を水平面(幅方向及び厚さ方向から形成される面)上に投影した投影図であって、流路11及び内部障壁34に着目した図を示した。このとき、内部障壁34の面積S34は流路11の面積S11以上に設定してよい。これにより、下降流の各領域R1、R2への分配の偏りを効果的に抑制することができる。より効果的に抑制する観点から、内部障壁34の面積S34は流路11の面積S11の1.2倍以上としてよく、1.5倍以上としてもよく、3倍以下としてもよく、2倍以下としてもよい。
図7に内部障壁34の拡大図を示した。内部障壁34は筒状部10側の上面34aと、底部31側の下面34bと、面34a及び面34bを接続する側面34cを有している。
上面34aは、内部障壁34のタンディッシュ(筒状部10)から供給された溶鋼(下降流)を受け止める側の面である。上面34aにより下降流を各領域R1、R2に分配することができる。
図3、図7に示した通り、上面34aは凹部34aaを有している。凹部34aaは底面部34ab、底面部34abの両端部から延びる側面部34ac、管状部10側に開口している開口部34adを有する。浸漬ノズル100は凹部34aaを有することにより、分岐流の流量の偏りを抑制することができる。すなわち、セルフスタビライジング機能をさらに高めることができる。ただし、本開示の内部障壁の上面は凹部を備えていなくてもよい。すなわち、内部障壁の上面は平坦であってもよい。
本発明者らは凹部34aaによる効果について、次のメカニズムを推定している。すなわち、内部障壁34に下降流が衝突し、下降流が各領域R1、R2に分岐流として分配される際に分岐流の流量に偏りが発生した場合、凹部34aaの側面部34acから底面部34abに渡る面に沿って流量の多い分岐流の一部が跳ね返され、跳ね返された溶鋼が流量の少ない分岐流に加わることにより、分岐流の流量の偏りを抑制することができると推定している。
凹部34aaは上面34a全体に配置されていてもよく、上面34aの一部に配置されていてもよい。上面34aの一部に凹部34aaが配置されている場合、図7に示した通り、凹部34aaは幅方向の中央に配置される。
水平面上に投影した凹部34aaの面積S34aa(開口部34adの面積)は特に限定されないが、流路11の面積S11と同程度としてよい。これにより、さらに分岐流の流量の偏りを抑制する効果を向上することができる。例えば、凹部34aaの面積S34aaは流路11の面積S11の0.8倍以上としてよく、0.9倍以上としてよく、1.5倍以下としてよく、1.2倍以下としてよい。
凹部34aaの深さ(底面部34abから開口部34adまでの高さ方向の長さ)H34aaは特に限定されないが、10mm以上でもよく、15mm以上でもよく、30mm以下でもよく、20mm以下でもよい。凹部34aaの深さH34aaが10mm未満であると、分岐流の流量の偏りを抑制する効果が低減する。凹部34aaの深さH34aaが30mmを超えると、ノズル外形寸法が無用に大きくなる虞がある。
底面部34abの面積S34abは特に限定されないが、凹部34aaの面積S34aa以下としてもよい。例えば、底面部34abの面積S34abは凹部34aaの面積S34aaの0.9倍であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.5倍以上であってもよく、0.6倍以上であってもよい。
側面部34acは、底面34abに対して垂直に形成されていてもよく、傾斜を有していてもよい。側面34acが傾斜を有する場合、その傾斜は直線状であってもよく、曲線状であってもよい。
上面34aの一部に凹部34aaが配置されている場合、上面34aの端部と凹部34aaとの間に端面34aeが配置される。端面34aeは水平であってもよく、傾斜を有していてもよい。端面34aeの傾斜は、内側に向かって高さが低くなってもよく、高くなってもよい。
下面34bは内側に向かって高さが低くなる傾斜部34baを有している。後述の分配流路36bを形成するために、少なくとも傾斜部34baは分配ブロック36の上面36aに対応する位置に配置されている。図3、図7では、下面34bの幅方向の両端部に傾斜部34baが配置されている。下面34bは、傾斜部34baの機能を阻害しない範囲で水平面34bbを有していてもよい。ただし、流量分配特徴を達成することができれば、下面34bは全て水平面34bbであってもよい。例えば、分配ブロック36の上面36aから下面34bの距離が大きいときには、傾斜部34baがなく下面全てが水平面34bbであっても構わない。下面34bが全て水平面34bbである場合、水平面34bbと分配ブロック36の上面36aとから分配流路36bが形成される。
側面34cは側壁32と共に分岐流流路35を形成する役割を有する。側面34cの形状は特に限定されず、平面であってもよく、垂直な面であってもよく、傾斜した面であってもよく、曲面であってもよく、これらを組み合わせた形状であってもよい。また、側面34cは外側に向かって高さが低くなるよう傾斜していてもよい。これにより、分岐流を円滑に流すことができる。
分岐流流路35は上述した通り、内部障壁34の側面34cと側壁32との間に形成される。分岐流流路35の断面積S35は特に限定されないが、流路の面積S11の0.5倍以上であってもよく、0.7倍以上としてもよく、3倍以下としてもよく、2倍以下としてもよい。分岐流流路35の断面積S35とは、分岐流流路35の最小断面積を指す。通常、分岐流流路35の断面積は一定である。
分岐流流路35はその断面積S35が一定でない形態であってもよい。例えば、分岐流流路35の断面積S35が漸減する形態であってもよい。この場合であっても、分岐流流路35の断面積S35は上記の範囲を満たすようにしてよい。このような分岐流流路35は、側面34c及び/又は側壁32の傾斜角度を調整することにより形成することができる。分岐流流路35の断面積S35が漸減する形態であると、断面積S35が漸増する形態である場合に比べ、分岐流が適切に分配ブロック36に導かれ、セルフスタビライジング機能をさらに高めることができる。
分配ブロック36は、内部障壁34よりも底部31側であって、各領域R1、R2において分岐流流路35を通過した分岐流をさらに分配し、各吐出孔33に供給する部材であり、下降流の2段階目の分配を実施する部材である。具体的には、内部障壁34による第一段階の分配を経た分岐流のうち、領域R1に流れる分岐流に着目したとき、分配ブロック36aはさらに分岐流を外側吐出孔33aa側と内側吐出孔ab側とに分配する部材である。外側吐出孔33aa側に分配された分岐流は外部吐出孔33aaを通って外部に吐出されるが、内側吐出孔33ab側に分配された分岐流は、さらに内側吐出孔33abと内部吐出孔33bbに分配され、それぞれの内側吐出孔を通って外部に吐出される。
ここで、分岐流の分配率は分配ブロックの形状によりコントロールすることができる。分配率をコントロールすることにより、流量分配の偏りを抑制することができる。以下。分配ブロック36の形状について説明する。
図8に吐出部30の底部31側の拡大図を示した。図8に示した通り、分配ブロック36は各領域R1、R2にそれぞれ配置されており、外側吐出孔と内側吐出孔とを分離する隔壁であり、底部31の一部である。また、底部31は2つの内側吐出孔を分離する中央ブロック37を有している。
分配ブロック36は分岐流を分配する役割を有するため、分岐流と衝突する上面36aに特徴を有している。分配ブロック36の側面及び下面は吐出孔の形状に応じて適宜設定してよい。図8では分配ブロック36は台形状である。
分配ブロック36の上面36aは、内部障壁34に対応する部分36aaと、それ以外の部分36abとからなる。ただし、分配ブロック36の形状はこれに限定されず、部分36aaのみを有する形状であってもよい。
内部障壁34に対応する部分36aaとそれ以外の部分36abは、例えば、次のように規定することができる。分配ブロック36の上面36aの外側端部Aと内側端部Bと結ぶA-B線分に垂直な直線(垂直直線L)が当該A-B線分内を移動するとき、内部障壁34の下面34bに接触する範囲である。具体的には、上面36aの内側端部Bと、内部障壁34の下面34bの端部C’を通る垂直直線L及びA-B線分の交点Cとの間の範囲である。部分36abは外側端部Aと交点Cとの間の範囲である。ただし、実際には、分配ブロック36の上面の角度によっては、上記規定は成立しない場合があり、分配ブロック36の上面が曲面である場合にも上記規定は成立しない場合がある。そのような意味では、内部障壁34に対応する部分36aaとそれ以外の部分36abの範囲を幾何学的に厳密に定義することは難しいのであるが、ここでは説明の便宜上、上記規定を用いて説明する。
部分36aaは、内側吐出孔側に分配される分岐流の流路(分配流路36b)の形成に寄与する。分配流路36bは内部障壁34の下面34b(傾斜部34ba)と分配ブロック36の上面36cとの間に形成され、分岐流を2つの内側吐出孔に供給する。この際、例えば領域R1側の分配流路36bおよび中央ブロック37の上面形状に着目したとき、内側吐出孔33abよりも内側吐出孔33bbに分配される分岐流の割合を大きくする。これにより、流量分配の偏りを補正することができる。
このような効果を奏する分配流路36bは、例えば、次のような特徴を有する。内部障壁34の下面34bと分配ブロック36の上面36cとの幅(点C-点C’間)の中点Mを通る直線Lに垂直な直線F(流線F)が他の領域の底部31の上面(分配ブロック36の上面、中央ブロック37の上面、内側吐出孔の内側開口部又は外側吐出孔の内側開口部)を通過するように、内部障壁34、分配ブロック36ならびに中央ブロック37の形状を設定し、分配流路36bを形成する。
分配流路36bの断面積S36bは特に限定されないが、流路の面積S11の0.3倍以上であってもよく、0.7倍以上としてもよく、2倍以下としてもよく、1倍以下としてもよい。分配流路36bの断面積S36bとは、分配流路36bの最小断面積を指す。
部分36abは内部障壁34によって分配された分岐流をさらに外側吐出孔側と内側吐出孔側に分配するときの分配率に寄与する。
上面36aの長さL36a(点A-B間)は特に限定されないが、例えば流路11の幅方向の長さW11の0.3倍以上でもよく、0.8倍以上でもよく、1.5倍以下でもよく、1.0倍以下でもよい。部分36aaの長さL36aa(点A-点B間)と部分36abの長さL36ab(点A-点C間)との比L36aa:L36abは特に限定されないが、例えば1:4~3:2の間である。
なお、図8では分配ブロック36の上面36aが平坦である形態を示したが、本開示はこれに限定されず、分配ブロックの上面36aは凹部を有していてもよく、凸部を有していてもよい。
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態の分配ブロック36が吐出部30の底部31から独立した構成となった浸漬ノズル200である。以下、浸漬ノズル200について説明するが、浸漬ノズル100と共通する構成については説明を省略する。
浸漬ノズル200は分配ブロック136が底部131から独立した吐出部130を有する。図9に浸漬ノズル200の吐出部130の軸中心Cを通る幅方向断面図を示した。また、図10に吐出部130の底部131側の拡大図を示した。
図9、図10に示した通り、浸漬ノズル200は各領域R1、R2に底部131から独立した分配ブロック136をそれぞれ備えている。従って、底部131には外側吐出孔と内側吐出孔とを隔てる隔壁131aがそれぞれ配置されている。また、分配ブロック136を独立した構成にしたことにより、内部障壁134の形状も変更している。
分配ブロック136は分配ブロック36と同様の上面136aを有している。例えば、分配流路136bの流線Fが他の領域の底部131の上面に含まれるように、分配流路136bが形成されている。これにより、流量分配の偏りを補正することができる。
分配ブロック136の他の構成は特に限定されない。例えば、分配ブロック136と底部131との間の距離は特に限定されず、浸漬ノズル200が流量分配特徴を有するように適宜設定すればよい。
以上より、第1実施形態及び第2実施形態を用いて本開示の浸漬ノズルについて説明した。本開示の浸漬ノズルは、内部障壁を用いた第一段階の流量分配によって流量の偏りが生じた場合にも、分配ブロックを用いた第二段階の流量分配によって、流量分配の偏りが補正される。従って、本開示の浸漬ノズルは鋳型内の流動の偏りを抑制することができる。
以下に実施例を用いて、本開示の浸漬ノズルについてさらに説明する。
実施例A~F及び比較例G~Hの浸漬ノズルを図11~図18に示した。図11~図18では、浸漬ノズルの幅方向断面図及び上面図若しくは底面図を示している。これらの浸漬ノズルを用いて、次の実験を行った。
[実験1]
<実施例A>
実施例Aは56×31mmの矩形状断面を有する管状部の流路の下に、最大幅79mmであって、凹部を有する内部障壁(凹部の幅52mm、深さ10mm)と、内部障壁に当たって左右に分かれた分岐流のそれぞれをさらに内側吐出孔(吐出角度75°)及び外側吐出孔(吐出角度50°)に分配する分配ブロックとを有する浸漬ノズルである。実施例Aの分配ブロックは、底部外壁を兼ねている形態である。
ここで、実施例Aの浸漬ノズルを水平面に投影したときの、内部障壁の面積は管状部の流路の面積の1.41倍である。また、管状部の流路の水平投影面積に対する分岐流流路の断面積及び分配流路の断面積の倍率はそれぞれ0.79倍、0.45倍である。
実施例Aの浸漬ノズルを用い、内部障壁の左側の破線楕円で示した領域(図11)を完全に閉塞した状態で水モデル実験を実施した。管状部の断面領域における下降流の流速が2m/sとなる条件で水を浸漬ノズルに供給し、左右の内側吐出孔から吐出される水の流量を測定した。その結果、左側の内側吐出孔から吐出された水の流量が右側の内側吐出孔から吐出された水の流量に対して1.2倍であった。
<実施例B>
実施例Bは、内径φ80mmの円断面を有する管状部の流路の下に、最大幅140mmであって、凹部を有する内部障壁(凹部の幅φ80mm、深さ15mm、最大深さ18mm、端面角度10°)と、内部障壁に当たって左右に分かれた分岐流のそれぞれをさらに内側吐出孔(吐出角度75°)及び外側吐出孔(吐出角度50°)に分配する分配ブロックとを有する。実施例Bの分配ブロックは、底部外壁を兼ねている形態である。
ここで、実施例Bの浸漬ノズルを水平面に投影したときの、内部障壁の面積は管状部の流路の面積の2.23倍である。管状部の流路の水平投影面積に対する分岐流流路の断面積及び分配流路の断面積の倍率はそれぞれ1.27倍、0.80倍である。
実施例Bの浸漬ノズルを用い、内部障壁の左側の破線楕円で示した領域(図12)を完全に閉塞した状態で水モデル実験を実施した。管状部の断面領域における下降流の流速が1.2m/sとなる条件で水を浸漬ノズルに供給し、左右の内側吐出孔から吐出される水の流量を測定した。その結果、左側の内側吐出孔から吐出された水の流量が右側の内側吐出孔から吐出された水の流量に対して1.4倍であった。
<実施例C>
実施例Cは、56×31mmの矩形状断面を有する管状部の流路の下に、最大幅79mmである内部障壁と、内部障壁に当たって左右に分かれた分岐流のそれぞれをさらに内側吐出孔(吐出角度75°)及び外側吐出孔(吐出角度50°)に分配する分配ブロックとを有する。実施例Cの分配ブロックは、底部外壁を兼ねている形態である。また、実施例Cは実施例Aに対し内部障壁の凹部を無くした仕様であるといえる。
ここで、実施例Cの浸漬ノズルを水平面に投影したときの、内部障壁の面積は管状部の流路の面積の1.41倍である。管状部の流路の水平投影面積に対する分岐流流路の断面積及び分配流路の断面積の倍率はそれぞれ0.79倍、0.45倍である。
実施例Cの浸漬ノズルを用い、内部障壁の左側の破線楕円で示した領域(図13)を完全に閉塞した状態で水モデル実験を実施した。管状部の断面領域における下降流の流速が3m/sとなる条件で水を浸漬ノズルに供給し、左右の内側吐出孔から吐出される水の流量を測定した。その結果、左側の内側吐出孔から吐出された水の流量が右側の内側吐出孔から吐出された水の流量に対して1.3倍であった。
<実施例D>
実施例Dは、内径φ80mmの円断面を有する管状部の流路の下に、最大幅140mmである内部障壁と、内部障壁に当たって左右に分かれた分岐流のそれぞれをさらに内側吐出孔(吐出角度75°)及び外側吐出孔(吐出角度50°)に分配する分配ブロックとを有する。実施例Dの分配ブロックは、底面外壁を兼ねている形態である。また、実施例Dは実施例Bに対し内部障壁の凹部を無くした仕様であるといえる。
ここで、実施例Dの浸漬ノズルを水平面に投影したときの、内部障壁の面積は管状部の流路の面積の2.23倍である。管状部の流路の水平投影面積に対する分岐流流路の断面積及び分配流路の断面積の倍率はそれぞれ1.27倍、0.80倍である。
実施例Dの浸漬ノズルを用い、内部障壁の左側の破線楕円で示した領域(図14)を完全に閉塞した状態で水モデル実験を実施した。管状部の断面領域における下降流の流速が1.5m/sとなる条件で水を浸漬ノズルに供給し、左右の内側吐出孔から吐出される水の流量を測定した。その結果、左側の内側吐出孔から吐出された水の流量が右側の内側吐出孔から吐出された水の流量に対して1.5倍であった。
<実施例E>
実施例Eは、56×31mmの矩形状断面を有する管状部の流路の下に、最大幅50mmである内部障壁と、内部障壁に当たって左右に分かれた分岐流のそれぞれをさらに内側吐出孔(吐出角度60°)及び外側吐出孔(吐出角度80°)に分配する分配ブロックとを有する。実施例Eは、実施例A~Dと異なり、分配ブロックが底面から独立した形態である。
ここで、実施例Eの浸漬ノズルを水平面に投影したときの、内部障壁の面積は管状部の流路の面積の0.89倍である。管状部の流路の水平投影面積に対する分岐流流路の断面積及び分配流路の断面積の倍率はそれぞれそれぞれ0.77倍、0.45倍である。
実施例Eの浸漬ノズルを用い、内部障壁の左側の破線楕円で示した領域(図15)を完全に閉塞した状態で水モデル実験を実施した。管状部の断面領域における下降流の流速が2.5m/sとなる条件で水を浸漬ノズルに供給し、左右の内側吐出孔から吐出される水の流量を測定した。その結果、左側の内側吐出孔から吐出された水の流量が右側の内側吐出孔から吐出された水の流量に対して1.9倍であった。
<実施例F>
実施例Fは、内径φ80mmの円断面を有する管状部の流路の下に、最大幅70mmであって、凹部を有する内部障壁(凹部の幅44mm、深さ10mm)と、内部障壁に当たって左右に分かれた分岐流のそれぞれをさらに内側吐出孔(吐出角度85°)及び外側吐出孔(吐出角度75°)に分配する分配ブロックとを有する。実施例Fは、実施例A~Dと異なり、分配ブロックが底面から独立した形態である。
ここで、実施例Fの浸漬ノズルを水平面に投影したときの、内部障壁の面積は管状部の流路の面積の1.11倍である。管状部の流路の水平投影面積に対する分岐流流路の断面積及び分配流路の断面積の倍率はそれぞれ1.85倍、0.80倍である。
実施例Fの浸漬ノズルを用い、内部障壁の左側の破線楕円で示した領域(図16)を完全に閉塞した状態で水モデル実験を実施した。管状部の断面領域における下降流の流速が1.0m/sとなる条件で水を浸漬ノズルに供給し、左右の内側吐出孔から吐出される水の流量を測定した。その結果、左側の内側吐出孔から吐出された水の流量が右側の内側吐出孔から吐出された水の流量に対して2.1倍であった。
<比較例G>
比較例Gは、56×31mmの矩形状断面を有する管状部の流路の下に、最大幅50mmである内部障壁を有する。一方、比較例Gは、外側吐出孔と内側吐出孔との間に隔壁を有しているが、この隔壁は分配ブロックではない。従って、比較例Gは、実施例Eの分配ブロックを無くした仕様であるといえる。詳しい理由は後述する。
ここで、比較例Gの浸漬ノズルを水平面に投影したときの、内部障壁の面積は管状部の流路の面積の0.89倍である。管状部の流路の水平投影面積に対する分岐流流路の断面積は0.77倍である。
比較例Gの浸漬ノズルを用い、内部障壁の左側の破線楕円で示した領域(図17)を完全に閉塞した状態で水モデル実験を実施した。管状部の断面領域における下降流の流速が2.5m/sとなる条件で水を浸漬ノズルに供給し、左右の内側吐出孔から吐出される水の流量を測定した。その結果、左側の内側吐出孔から吐出された水の流量が右側の内側吐出孔から吐出された水の流量に対して0.6倍であった。
<結果>
実施例A~Fは、左側の内側吐出孔から吐出された水の流量が右側の内側吐出孔から吐出された水の流量よりも大きかった。一方で、比較例Gは左側の内側吐出孔から吐出された水の流量が右側の内側吐出孔から吐出された水の流量よりも小さかった。
ここで、比較例Gの隔壁について説明する。比較例Gの外側吐出孔と内側吐出孔との間に配置される隔壁は、実施例C等と同様の分配ブロックと呼べなくはない。しかし、たとえその隔壁を分配ブロックと規定したとしても、比較例Gは左側の内側吐出孔から吐出された水の流量が右側の内側吐出孔から吐出された水の流量よりも小さく、吐出流量分配機能を有さないことから、その隔壁は分配ブロックとは言えない。すなわち、外側吐出孔と内側吐出孔との間に配置される隔壁が分配ブロックを兼ね、独立した分配ブロックを有さない場合には、浸漬ノズルが吐出流量分配機能を有するに場合のみ、その隔壁を分配ブロックと呼ぶこととする。
なお、図18に示した比較例Hは内部障壁及び分配ブロックを有さない浸漬ノズルである。比較例Hは実施例Fの内部障壁および分配ブロック無くした仕様であるといえる。今回、比較例Hを用いて上述の実験を行っていないが、比較例Hは内部障壁や分配ブロックを有していないので、ノズル上部の下降流が左右どちらかに偏った場合に、4つの吐出孔への分配比も直ちに偏流した側に偏る傾向があることが容易に推定できる。
[実験2]
次に、実施例A~F及び比較例G~Hの浸漬ノズルを用いて、フルスケール水モデル実験を実施し、鋳型内流動の安定状況を評価した。図19にフルスケール水モデル実験の概略図を示した。また、表1に実験条件を示した。
まず、絞りなしの水を注入するフルスケール水モデル実験を実施した。水の注入条件が絞りなしの場合、左右対称の下降流がノズル内に入ることから、左右への偏流は時間平均的にはほとんど生じない。一方、絞りなしの場合であっても、数10秒から数分周期での左右への自励振動的な偏流のゆらぎ現象が生じる。従って、その揺らぎの程度を流速測定点における水平方向流速の変動の標準偏差を平均流速で除した値をパラメータに用いて評価した。このパラメータを流動安定指数とし、左右の流速測定点それぞれで計算した値の平均値を用いて評価した。流速測定時間は1条件あたり15分とした。結果を図20に示した。
図20より、実験1において良好な結果が得られた実施例A~Fは比較例G~Hに比べて流動安定指数が小さく、鋳型内の流動が安定していることが分かった。これは、浸漬ノズルが内部障壁及び分配ブロックを有することにより、浸漬ノズル内の流動の揺らぎに起因する一時的な偏流を抑制する効果が発揮され、その結果、鋳型内流動の揺らぎをも抑制しうることを示している。すなわち、浸漬ノズルが内部障壁及び分配ブロックを有することにより、吐出流分配に対するセルフスタビライジング機能が付与され、揺らぎによる一時的な偏流現象に対して効果を発揮することがわかる。
ここで、実施例A、Bと実施例C、Dを比較すると、これらは内部障壁が凹部を有するか否かの違いである。図20より、実施例A、Bは実施例C、Dに比べて結果が優れている。このことから、内部障壁が凹部を有することによりセルフスタビライジング機能がさらに向上すると考えられる。
また、実施例Cと実施例Eとを比較すると、これらの違いは、水平面に投影した上部流路の面積に対し水平面に投影した内部障壁の面積がどの程度大きいかの違いである。実施例Bと実施例Fとの違いも同様である。図20より、実施例Cは実施例Eよりも結果が優れており、実施例Bは実施例Fよりも結果が優れていた。このことから、水平面に投影した内部障壁の面積が水平面に投影した上部流路の面積に対して大きい場合、セルフスタビライジング機能がさらに向上すると考えられる。
次に、水の注入条件が左右非対称であり、ノズルの入口において左側1/2を閉止し、右側1/2のみを通って水がノズル内に流入する条件においてフルスケール水モデル実験を実施した。左右非対称の下降流は左右への偏流を引き起こすため、その偏流の流速測定点における水平方向流速の左右差の絶対値を水平方向流速の左右平均値で除した値をパラメータに用いて評価した。このパラメータを偏流指数とした。流速測定時間は1条件あたり15分とした。結果を図21に示した。
図21より、実験1において良好な結果が得られた実施例A~Fは比較例G~Hに比べ偏流指数が小さく、鋳型内の流動が安定していることが分かった。これは、浸漬ノズルが内部障壁及び分配ブロックを有することにより、浸漬ノズル上部下降流の偏りに起因する時間平均的な偏流を抑制する効果が発揮され、その結果、鋳型内流動の偏りをも抑制しうることを示している。すなわち、浸漬ノズルが内部障壁及び分配ブロックを有することにより、吐出流分配に対するセルフスタビライジング機能が付与され、外乱に起因する時間平均的な偏流現象に対して効果を発揮することがわかる。
ここで、実施例A、Bと実施例C、Dを比較すると、これらは内部障壁が凹部を有するか否かの違いである。図21より、実施例A、Bは実施例C、Dに比べて結果が優れている。このことから、内部障壁が凹部を有することによりセルフスタビライジング機能がさらに向上すると考えられる。
また、実施例Cと実施例Eとを比較すると、これらの違いは、水平面に投影した上部流路の面積に対し水平面に投影した内部障壁の面積がどの程度大きいかの違いである。実施例Bと実施例Fとの違いも同様である。図21より、実施例Cは実施例Eよりも結果が優れており、実施例Bは実施例Fよりも結果が優れていた。このことから、水平面に投影した内部障壁の面積が水平面に投影した上部流路の面積に対して大きい場合、セルフスタビライジング機能がさらに向上すると考えられる。
以上の実験1、2で示された通り、本開示の浸漬ノズルは外乱による時間平均的な偏流現象、及び揺らぎによって生じる自励振動的な偏流現象の両方に対し、セルフスタビライジング効果を発揮し、安定した鋳型内流動を維持することができる。
10 管状部
11 流路
20 接続部
30 吐出部
31、131 底部
131a 隔壁
32 側壁
33 吐出孔
33aa、33ba 外側吐出孔
33ab、22bb 内側吐出孔
34 内部障壁
34a 上面
34aa 凹部
34ab 底面部
34ac 側面部
34ad 開口部
34ae 端面
34b 下面
34ba 傾斜部
34bb 水平面
34c 側面
35 分岐流流路
36 分配ブロック
36a 上面
36b 分配流路
37 中央ブロック
100、200 浸漬ノズル

Claims (3)

  1. タンディッシュから供給された溶鋼を鋳型に吐出して、スラブを連続鋳造するためのスラブ連続鋳造用浸漬ノズルであって、
    前記浸漬ノズルは前記溶鋼を前記鋳型に供給する吐出部を備え、
    前記浸漬ノズルは軸中心を通る厚さ方向平面で分割された2つの領域を備えており、
    前記吐出部は底部と、前記底部の外縁から高さ方向に延びる側壁とを有し、
    前記吐出部は4つの吐出孔を有しており、
    前記吐出孔は前記吐出部の前記底部であって、各前記領域において幅方向に並んで2つ配置されおり、
    さらに前記吐出部は、幅方向の中央に配置され、前記タンディッシュから供給された前記溶鋼を各前記領域に分配する内部障壁と、
    各前記領域の前記側壁及び前記内部障壁の間であって、前記内部障壁によって分配された前記溶鋼である分岐流が流れる分岐流流路と、
    前記内部障壁よりも前記底部側であって、各前記領域において前記分岐流流路を通過した前記分岐流をさらに分配し、各前記吐出孔に供給する分配ブロックと、を有し、
    各前記領域に配置された2つの吐出孔のうち、幅方向外側に配置された前記吐出孔を外側吐出孔とし、幅方向内側に配置された前記吐出孔を内側吐出孔とし、前記分岐流流路のうち何れか一方を閉塞させた場合において、前記分岐流流路が閉塞された前記領域に配置されている前記内側吐出孔から吐出される前記溶鋼の流量が、前記分岐流流路が閉塞されていない前記領域に配置されている前記内側吐出孔から吐出される前記溶鋼の流量よりも大きいことを特徴とする、
    浸漬ノズル。
  2. 前記浸漬ノズルは前記タンディッシュから供給された前記溶鋼を受け取る管状部と、前記吐出部と、前記管状部及び前記吐出部を接続する接続部とを備えており、
    前記浸漬ノズルを水平面に投影したときに、前記内部障壁の面積が前記管状部の流路の面積よりも大きいことを特徴とする、
    請求項1に記載の浸漬ノズル。
  3. 前記内部障壁の前記タンディッシュから供給された前記溶鋼を受ける側の面が凹部を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の浸漬ノズル。
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