JP2023140525A - 防湿性紙、その製造方法、およびそれを用いた段ボールシート - Google Patents

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Shinya Kanai
比斗志 岡田
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【課題】紙製の梱包箱に高い防湿性能を付与することが可能な防湿性紙、その製造方法、およびそれを用いた段ボールシートを提供する。【解決手段】本発明は、紙支持体10の少なくとも片面に、平板状顔料、粒状顔料、および合成樹脂ラテックスを含有する防湿性組成物層11を形成した防湿性紙1において、前記防湿性組成物層11が少なくとも2層以上であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、防湿性紙、その製造方法、およびそれを用いた段ボールシートに関する。
従来、紙製の梱包箱(例えば、段ボール箱)は、輸送用や保管用に広く利用されているが、通常の紙製の梱包箱は水に弱いという欠点をもっている。そのため、梱包する物品に対して、水や湿気の外側からの侵入を防止し濡れないようにしたり、内側から水分が逃げないようにして鮮度を保持したりすることが求められる。
そこで、合成樹脂と平板状顔料を主成分とする防湿塗料に粒状顔料を混ぜたものをライナに塗工することで、防湿性を付与した段ボール箱が、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2004-131865号公報
ところで、輸送や保管において、生鮮食料品など鮮度保持への要求は近年一層高いものになっており、高い防湿性能を得る為には、梱包箱の面部に塗工する塗工量を増やし厚い防湿層を付与することが必要となることが考えられる。しかし、当該面部に塗工する塗工量を単純に増やし防湿層を厚くすると、塗工面の乱れや高い乾燥能力を持った設備が必要となり、品質管理の手間や当該設備を導入することによるコストの増大が予想される。この点について、特許文献1に記載の段ボール箱では考慮されておらず、高い防湿性能を有する紙製の梱包箱の面部の構造について依然として改善の余地がある。
よって、本発明の目的は、紙製の梱包箱に高い防湿性能を付与することが可能な防湿性紙、その製造方法、およびそれを用いた段ボールシートを提供することにある。
本発明による防湿性紙は、紙支持体の少なくとも片面に、平板状顔料、粒状顔料、および合成樹脂ラテックスを含有する防湿性組成物層を形成した防湿性紙において、前記防湿性組成物層が少なくとも2層以上であることを特徴とするものである。
また、本発明による製造方法は、本発明に係る防湿性紙を製造するものであり、さらに、本発明による段ボールシートは、本発明に係る防湿性紙をライナとして少なくとも片面に貼合したことを特徴とするものである。
本発明によれば、防湿性紙に形成された防湿性組成物層が少なくとも2層以上となっており、各層が充分な防湿性能を持っているので、高い防湿性能を紙基材に付与することが可能となる。また、当該防湿性紙を梱包箱の面部として使用すれば、当該梱包箱に高い防湿性能を付与することが可能となる。
本発明の一形態に係る防湿性紙の模式的断面図である。 本発明の一形態に係る防湿性紙を用いた段ボールシートの模式的断面図である。
以下、図1および図2を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。但し、本発明は本形態の態様に限定されるものではない。本発明は、紙支持体の少なくとも片面に、平板状顔料、粒状顔料、および合成樹脂ラテックスを含有する防湿塗料を塗工して防湿性組成物層を形成した防湿性紙において、当該防湿性組成物層が少なくとも2層以上である構成によって、高い防湿性能を紙基材に付与することが可能となるものである。
本発明において粒状顔料は、アスペクト比3以下であるものが好適である。本発明で用いるアスペクト比3以下の粒状顔料は、紙支持体に塗工して防湿性組成物層を形成するための防湿塗料に配合することで、防湿性組成物層表面に当該顔料を露出させて粗面化し、塗工層表面とカレンダーロール表面との接触面積を小さくして防湿塗料のカレンダー表面への粘着を防止するものである。また、当該粒状顔料のアスペクト比の範囲は3~1、更に望ましくは2~1のように1にできるだけ近い形状であることが更に望ましい。アスペクト比が3を超えた場合には、防湿性組成物層の塗工表面に顔料が露出せず、防湿性組成物層の粘着防止効果が得られないという問題が発生する。
また、当該粒状顔料の平均粒子径は5~15μmの範囲であることが必要である。平均粒子径が5μm未満の場合は、塗工面に粒状顔料が十分露出せず、塗工面とマシンカレンダー部との接触面積が大きくなるため、粘着防止効果を得ることができない。また15μmを超えた場合は、防湿性組成物層の塗工面の表面性が悪化し、防湿性が低下する。
また、当該粒状顔料は、塗料中全固形分に対して、3~15重量%配合することが望ましい。3重量%未満の場合には、粒状顔料の量が少なすぎるため、マシンカレンダーにおける粘着防止効果が十分に得られない恐れがある。また、15重量%を超えた場合には、防湿性組成物層の塗工面の表面性が悪化し、防湿性が低下するおそれがある。なお、粒状顔料はマシンカレンダーの熱圧より塗工面を保護するものであることから、それ自体耐熱性を有するものであることが望ましい。
具体的にこのような粒状顔料としては、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、シリカ、クレー等が使用できる。特に重質炭酸カルシウムが好適に用いられる。
なお、本発明における平均粒子径とは、レーザー回折法で測定したものである。またアスペクト比とは、当該平均粒子径を板状粒子の平均厚さで割った値である。レーザー回折法による粒子径測定は、島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD2000J」等により測定できる。
次に、本発明において平板状顔料は、アスペクト比5以上のものが好適に用いられ、アスペクト比10以上のものが更に好適に用いられる。アスペクト比が5未満の顔料は平板性が不足しているため、塗工時に塗工面に対して平行に配向できにくくなるため、優れた防湿性を得ることができにくい。ここで「平行に配向」とは、平たく鱗状に並ぶことを意味する。アスペクト比は大きいほど、平板状顔料が平行に配向され、平板状顔料の防湿性組成物層中における層数が多くなるため、高い防湿性能を発揮する。
具体的な平板状顔料としては、フィロケイ酸塩化合物(層状構造を有する層状ケイ酸塩化合物)が挙げられる。フィロケイ酸塩化合物に属するものは、板状または薄片状であって明瞭な劈開を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク(滑石)、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、粘土鉱物がある。これらの中でも雲母族、タルクが好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。これらのフィロケイ酸塩化合物のうち、白雲母、金雲母または絹雲母が粒子径の大きさ、アスペクト比などの点から更に好適である。本発明の平板状顔料は、特開平09-291499号公報に記載のものが使用されうる。
本発明で好適に用いられる平板状顔料の平均粒子径は1~100μm、更に好ましくは5~50μmである。平均粒子径が5μm未満の平板状顔料は、塗工層中での平板状顔料の配向が支持体に対して平行になりにくく、50μm以上になると平板状顔料の一部が塗工層から突き出たり、平板状顔料の厚みが数μm程度となるに伴い、配向した平板状顔料の塗工層中における層数が少なくなってしまうために防湿性能向上効果が減少する。
本発明の合成樹脂ラテックスに用いられる合成樹脂としては、スチレン-ブタジエン系共重合体、アクリル‐スチレン系共重合体、メタクリレート-ブタジエン系共重合体、アクリルニトリル-ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ポリエステル系共重合体、ポリウレタン系共重合体などが挙げられる。これらの中でもスチレン-ブタジエン系共重合体が好適である。本発明の合成樹脂ラテックスは、低透湿度のものが用いられ、合成樹脂ラテックスの透湿度は、本発明の効果を奏する上で、50g/m2・24hr以下であることが好ましい。
スチレン-ブタジエン系共重合体(SBR)は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物と、ブタジエン、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンなどの共役ジエン化合物、及びこれらと共重合可能なその他の化合物からなる単量体を乳化重合することによって得られる共重合ラテックスである。芳香族ビニル化合物としてはスチレン、また、共役ジエン化合物としては1,3-ブタジエンが好適である。合成樹脂のガラス転移温度(Tg)、粒子径、ゲル分率(溶媒としてテトラヒドロフランを用いた時の不溶部分の重量)、分子量などは、特に限定されないが、一般的にTgは-10℃~40℃、より好ましくは-5℃~35℃、粒子径50~500nm、ゲル分率は10~90%、特に離解性を向上させたい場合は90%以上が好適である。また、本発明に使用する「平板状顔料:合成樹脂」の配合(固形分重量)比率は30:70~70:30、好ましくは35:65~60:40である。平板状顔料が30%未満の場合には、合成樹脂が多く存在するため、十分な離解性が得られない。平板状顔料が70%を越えた場合には、塗料の皮膜状態が悪化し、十分な防湿性が得られない。
本発明における防湿塗料の防湿効果を高めるためには、カップリング剤を使用することが好ましい。このようなカップリング剤としては、親水基部分にSiを含むシランカップリング剤、親水基部分にTiを含むチタネートカップリング剤、親水基部分にAlを含むアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。このようなカップリング剤には、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、イソプロピルトリ(N-アミノエチルアミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
カップリング剤の構造は、フィロケイ酸塩化合物等の平板状顔料のような無機化合物と相互作用する親水基と、樹脂のような有機化合物と相互作用する疎水基に大別され、特にその親水基部分はTi、Al等の金属元素やSiに結合したアルコキシ基を加水分解して得られる。一方、カップリング剤の疎水基部分については、疎水基部分が有機オリゴマーである場合、無機化合物表面に高分子有機質の被膜を形成し、表面を完全に疎水化して樹脂マトリックスとの接着性を高める効果がある。また、疎水基部分がエポキシ基、ビニル基、アミノ基等の反応性有機官能基を有する場合、その官能基と樹脂マトリックスの反応性官能基とが架橋し、より一層樹脂マトリックスとの接着性が高まる。
こうしたカップリング剤により、平板状顔料をインテグラルブレンド法や前処理法などで表面処理して使用する。インテグラルブレンド法は平板状顔料と合成樹脂ラテックスを含む塗料にカップリング剤を直接添加する方法である。また、前処理法はあらかじめ平板状顔料をカップリング剤で処理する方法である。カップリング剤の添加量は平板状顔料100重量部に対して0.1~5重量部、好ましくは0.5~2重量部である。添加量が0.1重量部未満の場合、カップリング剤による平板状顔料表面の被覆が不十分となるため好ましくなく、5重量部を超える場合、カップリング剤の効果が頭打ちとなるため不経済である。
以上の材料を混合して防湿塗料とするが、この時に必要であれば、ポリカルボン酸などの分散剤、消泡剤、界面活性剤、色合い調製剤を添加したりすることができる。
本発明の紙支持体は、防湿塗料を塗工して防湿性組成物層を形成する紙基材であり、本発明の防湿性紙は、上述したように、紙支持体に防湿性組成物層を2層以上形成したものである。当該防湿性紙は、例えば、段ボールシートのライナ原紙として使用されうる。
このようにして調製した防湿塗料は、オンマシン上の塗工設備で塗工することが可能である。即ち、紙支持体を抄造する抄紙機のドライヤーパートとカレンダーパートの間に塗工設備を設けて当該塗工設備によって防湿塗料を塗工するものである。本発明で使用可能な塗工設備としては特に限定はなく、公知のものが任意に採用できるが、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター等、塗工表面をスクレイプする塗工方式が、平板状顔料の配向を促す傾向があるので更に好ましい。特に、バーコーターによるバー塗工は、表面が平滑になるように塗工することが可能であり、本発明の効果を奏する上で好ましい。また、この防湿塗料の紙支持体への2回塗工の塗工量は、片面当たり固形分として、5~35g/m2、更に好ましくは7~30g/m2である。このようにオンマシンにより本発明の防湿塗料を1回塗工し、通常110~150℃で1秒~20秒間乾燥された後、さらに1回目と同様の工程で2回目の塗工および乾燥を行った防湿性紙は、マシンカレンダー(通常線圧約10~30kg/cm)通過時に、防湿塗料による粘着トラブルを起こさないため通常通り操業可能である。
図1は本発明の一形態に係る防湿性紙1の模式的断面図である。本形態に係る防湿性紙1は、図1に示すように、紙支持体10の少なくとも片面に、平板状顔料、粒状顔料、および合成樹脂ラテックスを含有する防湿塗料を塗工して防湿性組成物層11を形成した防湿性紙1において、防湿性組成物層11が第1防湿性組成物層111と第2防湿性組成物層112を含んで2層となっている。本発明では、紙支持体10の両面に防湿性組成物層11を形成してもよいし、防湿性組成物層は、3層以上であってもよい。また、紙支持体10の全面でなく一部面に防湿性組成物層を形成してもよいし、他の部位と比較して高い防湿性を付与したい部位に、防湿性組成物層の層数を増やしてもよい。また、各防湿性組成物層の防湿塗料の塗工量を変えてもよい。
本発明の一形態では、1回目の塗工工程で、第1防湿性組成物層111を薄く形成して乾燥させ、そして、2回目の塗工工程で、当該乾燥後の第1防湿性組成物層111の上に更に第2防湿性組成物層112を薄く形成して乾燥させて、紙支持体10の上に2層の防湿性組成物層11を形成する。
本形態によれば、防湿性紙1に形成された防湿性組成物層11が第1防湿性組成物層111と第2防湿性組成物層112とに分割され2層となっており、各層が充分な防湿性能を持っているので、紙支持体10である紙基材に高い防湿性能を付与することが可能となる。また、当該防湿性紙1を梱包箱の面部として使用すれば、当該梱包箱に高い防湿性能を付与することが可能となる。さらに、防湿性組成物層11の各層が薄く、それぞれ充分に乾燥させることが可能となっているため、防湿性紙1をロール状にしたり、防湿性紙1の上に防湿性紙1を積み重ねても、ブロッキングが発生しにくくすることができる。
本発明で使用される紙支持体としては、通常使用される紙支持体が任意に使用できるが、より耐水性を付与するためには、耐水化剤を配合して抄紙するか、または抄紙機における乾燥前に耐水化剤を含浸させる等の方法で得られた耐水性を有する紙支持体を使用することも可能である。
なお、本発明における防湿性紙の透湿度は、JAPAN_TAPPI No.7 A法で測定して、好ましくは50g/m2・24hr以下、更に好ましくは20g/m2・24hr以下である。
前述のようにして得られた防湿性紙をライナ原紙として使用して、本発明の防湿性を有する段ボールシートを作成する。段ボールシートを製造するにはライナ原紙と中芯原紙との貼合が必要となるが、貼合はコルゲータと呼ばれる段ボールシート製造装置で行われる。コルゲータは、主として、ライナ原紙と中芯原紙を貼合するSF部と、SF部で貼合した片段ボールシートの中芯側に更にライナ原紙を貼合するDF部とから構成される。コルゲータにおける貼合時に段ボールシートはSF部のプレスロール部で温度150~200℃、線圧20~40kg/cm2加圧時間0.01~0.20秒、DF部の熱盤部分で温度150~200℃、線圧0.3kg/cm2という条件で貼合されるが、本発明のライナ原紙は、防湿性組成物層表面に粒状顔料が露出し粗面化されているので、コルゲータのプレスロール及び熱盤との塗工面の接触面積が少なく、耐熱性を有するため、塗工面のプレスロールや熱盤への融着トラブルが発生せず、通常のライナ原紙と全く同様に製造することができる。当該防湿性を有する段ボールシート製造の際には、片面に防湿性組成物層を設けたライナ原紙を使用し、防湿塗料の非塗工面に、中芯原紙をコルゲータにより貼合して段ボールシートとすることが望ましい。また、本発明により得たライナ原紙は、段ボールシートのSF側とDF側両面のライナとして用いることができる。どちらか片方のライナとして用い、他方は一般のライナを使用することも可能である。このようにして得られた段ボールシートは、FFG(フレキソフォルダーグルアー)により印刷と打ち抜き及びグルー糊付けを行い、防湿性を有する段ボール箱を製造することができる。
図2は、本発明の一形態に係る防湿性紙1をライナとして用いた段ボールシート100の模式的断面図である。本形態に係る段ボールシート100は、図2に示すように、防湿性紙1を、防湿性を有するライナ1011として、中芯原紙の片面に貼合したものである。図2では、区別し易いように、防湿性を有するライナ1011を太い二重線で表し、防湿塗料を塗工していないライナ1012を太い一重線で表す。本形態に係る段ボールシート100は、図2に示すように、中芯102を、防湿性を有するライナ1011と防湿塗料を塗工していないライナ1012とで挟むように、ライナ1011とライナ1012と中芯102とを貼合して生成される。本発明では、段ボールシートは、防湿性紙1を両面にライナとして貼合してもよい。また、段ボールシートの片側のライナに防湿性紙1を使用して段ボール箱を製造する場合、防湿性紙1が内側面となってもよいし、防湿性紙1が外側面となってもよい。さらに、ダブルフルート等の複数のフルートを有する段ボールシートにおいて、フルート間に位置するライナに防湿性紙1を使用してもよい。
また、本形態では、防湿性紙1を段ボールシートのライナに使用しているが、本発明ではこれに限られず、フルート構造を含まない厚紙に使用して、当該厚紙を用いて包装箱を製造してもよい。
従来、段ボール箱等の紙製の梱包箱は、通常水に弱いという欠点をもっており、そのため、梱包する物品に対して、水や湿気の外側からの侵入を防止し濡れないようにしたり、内側から水分が逃げないようにして鮮度を保持したりすることが求められる。そこで、合成樹脂と平板状顔料を主成分とする防湿塗料に粒状顔料を混ぜたものをライナに塗工することで、防湿性を付与した段ボール箱が、例えば、特許文献1に記載されている。
ところで、輸送や保管において、生鮮食料品など鮮度保持への要求は近年一層高いものになっており、高い防湿性能を得る為には、梱包箱の面部に塗工する塗工量を増やし厚い防湿層を付与することが必要となることが考えられる。しかし、当該面部に塗工する塗工量を単純に増やし防湿層を厚くすると、塗工面の乱れや高い乾燥能力を持った設備が必要となり、品質管理の手間や当該設備を導入することによるコストの増大が予想される。
本発明によれば、防湿性紙に形成された防湿性組成物層が少なくとも2層以上となっており、各層が充分な防湿性能を持っているので、高い防湿性能を紙基材に付与することが可能となる。また、当該防湿性紙を梱包箱の面部として使用すれば、当該梱包箱に高い防湿性能を付与することが可能となる。
また、本発明によれば、防湿性紙に形成された防湿性組成物層が2層以上に分割されているため、塗工量を単純に増やし厚い防湿層を紙基材に形成することで起こりうる上記のような課題、つまり、塗工面の乱れや高い乾燥能力を持った設備が必要となるといった課題を起こりにくくすることが可能となる。すなわち、本発明によれば、防湿性組成物層である塗工層を分割して付与することができ、合計が同一塗工量になるよう単層で付与したものと本発明のように2層以上で付与したものとを比較したとき、後者の方が高い防湿性を得ることができる(下記の比較評価を参照)。
さらに、本発明によれば、防湿塗料を1回塗工した紙において、1層目と基本組成が同じであれば、同一または近似した防湿塗料を2層目以降に使用することができるため、当該1回塗工した紙に更なる防湿性能を付与することができ、在庫品のグレードアップを効率よく行うことも可能となる。
本発明に係る段ボール箱は、例えば、鮮度保持用途として、おがくず入り高級野菜などを収納したり、建材輸送用途として、床タイルなどを収納したりするために利用することができる。
<比較評価>
本発明に係る実施例と比較例の透湿度について、比較評価を行った。防湿塗料を塗工して紙支持体に防湿性組成物層を形成する工程については、比較例では、1回の塗工で防湿性組成物層を形成したのに対して、実施例では、2回の塗工で防湿性組成物層を形成した。当該紙支持体は、NRK220:王子製紙製のライナ原紙とし、下記に詳述する配合で調整した防湿塗料をオンマシンでメイヤーバーによって紙支持体の表面に塗工した。実施例の1回目の塗工および比較例の塗工は、熱盤160℃で乾燥させて行った。実施例の2回目の塗工も、実施例の1回目の塗工と同様に行った。実施例での塗工量は2回の塗工を合計したものである。各実施例および各比較例の表面ライナの透湿度を、JAPAN_TAPPI No.7 A法に準拠して測定した。
<実施例1>
下記の配合で防湿塗料を調製した。次に、当該防湿塗料をバー塗工で乾燥後の塗工量が17.3g/m2となるようにライナ原紙の基材表面に同量で2回塗工し、本発明の防湿性組成物層が2層形成されたライナを得た。本実施例のサンプルの透湿度は50g/m2・24hrだった。なお、下記重量部は、防湿塗料100重量部に対するものである。
[防湿塗料]
SBR(合成樹脂ラテックス) 46.2重量部
(nipol S1X3:日本ゼオン製)
白雲母(平板状顔料) 46.2重量部
(W40H,アスペクト比20~30,平均粒子径22μm:レプコ製)
重質炭酸カルシウム(粒状顔料) 4.62重量部
(BF-300,アスペクト比1~2,平均粒子径8μm:備北粉工業製)
カップリング剤 0.46重量部
(KBM-603:青木油脂工業製)
<実施例2>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を18.8g/m2とした以外は、実施例1と全く同様にしてライナを得た。本実施例のサンプルの透湿度は32g/m2・24hrだった。
<実施例3>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を21.2g/m2とした以外は、実施例1と全く同様にしてライナを得た。本実施例のサンプルの透湿度は28g/m2・24hrだった。
<実施例4>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を21.5g/m2とした以外は、実施例1と全く同様にしてライナを得た。本実施例のサンプルの透湿度は28g/m2・24hrだった。
<実施例5>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を27.5g/m2とした以外は、実施例1と全く同様にしてライナを得た。本実施例のサンプルの透湿度は11g/m2・24hrだった。
<比較例1>
上記実施例1-5と同じ配合で防湿塗料を調製し、上記実施例1-5と同じライナ原紙の表面に、当該防湿塗料をバー塗工で乾燥後の塗工量が3.6g/m2となるように1回塗工し、ライナを得た。本比較例のサンプルの透湿度は1030g/m2・24hrだった。
<比較例2>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を4.8g/m2とした以外は、比較例1と全く同様にしてライナを得た。本比較例のサンプルの透湿度は690g/m2・24hrだった。
<比較例3>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を6.1g/m2とした以外は、比較例1と全く同様にしてライナを得た。本比較例のサンプルの透湿度は650g/m2・24hrだった。
<比較例4>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を8.6g/m2とした以外は、比較例1と全く同様にしてライナを得た。本比較例のサンプルの透湿度は250g/m2・24hrだった。
<比較例5>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を9.5g/m2とした以外は、比較例1と全く同様にしてライナを得た。本比較例のサンプルの透湿度は180g/m2・24hrだった。
<比較例6>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を11.2g/m2とした以外は、比較例1と全く同様にしてライナを得た。本比較例のサンプルの透湿度は100g/m2・24hrだった。
<比較例7>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を12.1g/m2とした以外は、比較例1と全く同様にしてライナを得た。本比較例のサンプルの透湿度は130g/m2・24hrだった。
<比較例8>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を20.7g/m2とした以外は、比較例1と全く同様にしてライナを得た。本比較例のサンプルの透湿度は54g/m2・24hrだった。
<比較例9>
防湿塗料の乾燥後の塗工量を27.4g/m2とした以外は、比較例1と全く同様にしてライナを得た。本比較例のサンプルの透湿度は40g/m2・24hrだった。
<試験結果>
各実施例および各比較例の表面ライナの測定した透湿度および塗工量を、下記表1に表す。
Figure 2023140525000002
上記表1を参照すると、防湿塗料を塗工して防湿性組成物層を形成したライナにおいて、2回塗工の実施例3および4の塗工量は、1回塗工の比較例8の塗工量とほぼ同じであり、2回塗工の実施例5の塗工量は、1回塗工の比較例9の塗工量とほぼ同じだが、透湿度は低くなり、高防湿性になったことが分かる。つまり、防湿性組成物層を1層ではなく2層とすることによって、トータルの塗工量が同じでもより高い防湿性を得られることが分かる。
1 防湿性紙
10 紙支持体
11 防湿性組成物層
111 第1防湿性組成物層
112 第2防湿性組成物層
100 段ボールシート
1011 防湿性を有するライナ
1012 防湿塗料を塗工していないライナ
102 中芯

Claims (6)

  1. 紙支持体の少なくとも片面に、平板状顔料、粒状顔料、および合成樹脂ラテックスを含有する防湿性組成物層を形成した防湿性紙において、前記防湿性組成物層が少なくとも2層以上であることを特徴とする防湿性紙。
  2. 前記平板状顔料のアスペクト比が5以上であることを特徴とする請求項1に記載の防湿性紙。
  3. 前記粒状顔料のアスペクト比が3以下であって平均粒子径5~15μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防湿性紙。
  4. 透湿度が50g/m2・24hr以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の防湿性紙。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の防湿性紙を製造する製造方法。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の防湿性紙をライナとして、少なくとも中芯原紙の片面に貼合したことを特徴とする段ボールシート。
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