JP2023138418A - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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聡史 林
Satoshi Hayashi
和泉 大同
Izumi Daido
徳重 七里
Norishige Shichiri
駿夫 高橋
Toshio Takahashi
由季 西海
Yuki NISHIUMI
千恵子 森
Chieko Mori
久敏 岡山
Hisatoshi Okayama
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Abstract

【課題】仮固定材に薄い電子部品を仮固定した状態で300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には仮固定材から薄い電子部品を容易に剥離でき、タクトタイム及び消費エネルギーを抑えることもできる電子部品の製造方法を提供する。【解決手段】エネルギー線硬化型接着剤を含有する仮固定材に電子部品を仮固定する仮固定工程(1)と、前記仮固定材に対して加熱しながらエネルギー線を照射し、前記エネルギー線硬化型接着剤を硬化する硬化工程(2)と、前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程(3)と、前記仮固定材から熱処理後の前記電子部品を剥離する剥離工程(4)とをこの順に有する電子部品の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品の製造方法に関する。
半導体等の電子部品の加工時においては、電子部品の取扱いを容易にし、破損したりしないようにするために、粘着剤組成物を介して電子部品を支持板に固定したり、粘着テープを電子部品に貼付したりして保護することが行われている。例えば、高純度なシリコン単結晶等から切り出した厚膜ウエハを所定の厚さにまで研削して薄膜ウエハとする場合に、粘着剤組成物を介して厚膜ウエハを支持板に接着することが行われる。
このように電子部品に用いる粘着剤組成物や粘着テープには、加工工程中に電子部品を強固に固定できるだけの高い接着性とともに、工程終了後には電子部品を損傷することなく剥離できることが求められる(以下、「高接着易剥離」ともいう。)。
高接着易剥離の実現手段として、例えば特許文献1には、ポリマーの側鎖又は主鎖に放射線重合性官能基を有する多官能性モノマー又はオリゴマーが結合された粘着剤を用いた粘着シートが開示されている。放射線重合性官能基を有することにより紫外線照射によりポリマーが硬化することを利用して、剥離時に紫外線を照射することにより粘着力が低下して、糊残りなく剥離することができる。
特開平5-32946号公報
近年の電子部品の高性能化に伴い、電子部品に種々の加工を施す工程が行われるようになってきた。例えば、電子部品の表面にスパッタリングにより金属薄膜を形成する工程では、300~350℃程度の高温で加工を行うことにより、より導電性に優れた金属薄膜を形成することができる。
しかしながら、従来の粘着剤組成物や粘着テープを用いて保護した電子部品に、300℃以上の高温加工処理を行うと、接着亢進を起こして、剥離時に充分に粘着力が低下しなかったり、糊残りが発生したりすることがある。また、300℃以上の高温加工処理を経て製造される電子部品は薄化が進んでおり、通常のメカニカル剥離方法を採用した場合、粘着剤組成物や粘着テープの剥離時に電子部品の破損が生じることがある。
本発明は、仮固定材に薄い電子部品を仮固定した状態で300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には仮固定材から薄い電子部品を容易に剥離でき、タクトタイム及び消費エネルギーを抑えることもできる電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本開示1は、エネルギー線硬化型接着剤を含有する仮固定材に電子部品を仮固定する仮固定工程(1)と、前記仮固定材に対して加熱しながらエネルギー線を照射し、前記エネルギー線硬化型接着剤を硬化する硬化工程(2)と、前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程(3)と、前記仮固定材から熱処理後の前記電子部品を剥離する剥離工程(4)とをこの順に有する電子部品の製造方法である。
本開示2は、前記エネルギー線硬化型接着剤は、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を含有する、本開示1の電子部品の製造方法である。
本開示3は、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、ダイマージアミンに由来する脂肪族基を有する、本開示2の電子部品の製造方法である。
本開示4は、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)を含有する、本開示2又は3の電子部品の製造方法である。
本開示5は、前記エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)は、重量平均分子量(Mw)が5000以上である、本開示4の電子部品の製造方法である。
本開示6は、前記エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)は、下記一般式(1a)で表される構成単位、下記一般式(1b)で表される構成単位、及び、下記一般式(1c)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0、u≧0)、両末端がそれぞれX及びXで表される樹脂である、本開示4又は5の電子部品の製造方法である。
Figure 2023138418000001
一般式(1a)~(1c)中、P、P及びPは、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表し、Rは、置換又は非置換の分岐鎖状の脂肪族基又は芳香族基を表す。X、X及びXからなる群より選択される少なくとも1つは、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を表す。
本開示7は、前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)を含有し、前記エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)は、重量平均分子量(Mw)が2万以上である、本開示2、3、4、5又は6の電子部品の製造方法である。
本開示8は、前記エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX及びXで表される樹脂である、本開示7の電子部品の製造方法である。
Figure 2023138418000002
一般式(1d)~(1e)中、P及びPは、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表す。X及びXは、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さない基を表す。
本開示9は、前記エネルギー線硬化型接着剤は、更に、分子内にエネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を2以上有し、分子量が5000以下である多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)を含む、本開示1、2、3、4、5、6、7又は8の電子部品の製造方法である。
本開示10は、前記エネルギー線硬化型接着剤は、光重合開始剤及び熱重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、本開示1、2、3、4、5、6、7、8又は9の電子部品の製造方法である。
本開示11は、前記仮固定材は、前記硬化工程(2)後のガラスに対する180°接着力をF1、前記熱処理工程(3)後のガラスに対する180°接着力をF2としたとき、(F2/F1)≦10を満たす、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の電子部品の製造方法である。
本開示12は、前記F2は、2N/inch以下である、本開示11の電子部品の製造方法である。
本開示13は、前記仮固定材は、前記エネルギー線硬化型接着剤を含有する接着剤層を有し、前記接着剤層は、前記硬化工程(2)後のゲル分率が80重量%以上である、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12の電子部品の製造方法である。
本開示14は、前記硬化工程(2)における前記加熱の温度が80℃以上、160℃以下である、本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13の電子部品の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
300℃以上の高温加工処理を行う場合にも適用できる工程材として、耐熱性に優れ、エネルギー線を照射することで硬化する硬化型接着剤が検討されている。
しかしながら、このような硬化型接着剤は、エネルギー線を照射しても硬化が充分に進行しないことがある。一方、硬化を充分に進行させようとすると、エネルギー線の照射時間を延長したり照射強度を高めたりする必要があり、その結果、タクトタイム(工程作業時間)の延長、消費エネルギーの増大、大掛かりな照射設備の必要性等が生じる。特に、硬化型接着剤がポリイミド樹脂を含有する場合、一般的にポリイミド樹脂は、芳香環構造を多く含むため、可視光領域の光は透過したとしても、より短波長側の紫外線領域の光線透過率は不充分であることから、ポリイミド樹脂を含有する硬化型接着剤は、エネルギー線を照射しても硬化が進行しにくい。
本発明者らは、エネルギー線硬化型接着剤を含有する仮固定材に電子部品を仮固定した状態で電子部品に熱処理を行った後、仮固定材から熱処理後の電子部品を剥離する電子部品の製造方法において、仮固定材に対して加熱しながらエネルギー線を照射し、仮固定材におけるエネルギー線硬化型接着剤を硬化する工程を行うことを検討した。即ち、仮固定材に対して加熱及びエネルギー線の照射を同時に行うことで、仮固定材におけるエネルギー線硬化型接着剤を硬化することを検討した。本発明者らは、このような電子部品の製造方法によれば、仮固定材に薄い電子部品を仮固定した状態で300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には仮固定材から薄い電子部品を容易に剥離でき、タクトタイム及び消費エネルギーを抑えることもできることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の電子部品の製造方法においては、まず、エネルギー線硬化型接着剤を含有する仮固定材に電子部品を仮固定する仮固定工程(1)を行う。
上記仮固定材に上記電子部品を仮固定する方法は特に限定されず、例えば、ラミネーターを用いて常温~200℃程度でラミネートする方法、真空中で常温~200℃程度でラミネートする方法、真空中で上記仮固定材と上記電子部品とを密着させて固定する方法等が挙げられる。また、常温~200℃程度でプレスする方法、真空中で常温~200℃程度でプレスする方法等も挙げられる。
本発明の電子部品の製造方法においては、次いで、上記仮固定材に対して加熱しながらエネルギー線を照射し、上記エネルギー線硬化型接着剤を硬化する硬化工程(2)を行う。
上記硬化工程(2)では、上記仮固定材に対して加熱及びエネルギー線の照射を同時に行い、上記エネルギー線硬化型接着剤を硬化する。なお、加熱及びエネルギー線の照射を同時に行うとは、上記仮固定材に対して加熱及びエネルギー線の照射の両方を行っている時間が少なくとも一定時間以上あることを意味し、加熱開始から加熱終了までとエネルギー線の照射開始から照射終了までとが必ずしも完全に一致する必要はない。
上記硬化工程(2)工程を行うことで、エネルギー線の照射時間及び照射強度を抑えつつ上記エネルギー線硬化型接着剤の硬化を充分に進行させることができ、例えばポリイミド樹脂等のエネルギー線を照射しても硬化が進行しにくい樹脂を含有する場合であっても、上記エネルギー線硬化型接着剤の硬化を充分に進行させることができる。これにより、本発明の電子部品の製造方法によれば、仮固定材に薄い電子部品を仮固定した状態で300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には仮固定材から薄い電子部品を容易に剥離でき、タクトタイム及び消費エネルギーを抑えることもできる。
上記仮固定材に対して加熱しながらエネルギー線を照射する方法は特に限定されず、例えば、上記仮固定材と上記電子部品とからなる仮固定体を上記電子部品側が接するようにホットプレートに載せて加熱した状態で、上記仮固定材側から紫外線照射装置(例えば、アイグラフィックス社製等)等を用いてエネルギー線を照射する方法等が挙げられる。また、上記紫外線照射装置等と上記仮固定体とを所定の温度に加熱されたオーブンに投入し、加熱雰囲気下で上記仮固定材側から上記紫外線照射装置等を用いてエネルギー線を照射する方法等も挙げられる。
上記加熱の温度は特に限定されないが、上記エネルギー線硬化型接着剤の硬化を充分に進行させる観点から、好ましい下限は80℃、好ましい上限は160℃であり、より好ましい上限は150℃である。ここで、上記加熱の温度とは、上記加熱時における仮固定材の温度である。
上記加熱の時間は特に限定されないが、上記エネルギー線の照射時間と同じでも異なっていてもよく、上記エネルギー線硬化型接着剤の硬化を充分に進行させる観点から、上記エネルギー線の照射時間より30秒間短い又は30秒間長い程度が好ましい。具体的な上記加熱の時間の好ましい下限は10秒、好ましい上限は1000秒であり、より好ましい下限は15秒、より好ましい上限は600秒である。
上記エネルギー線の種類は特に限定されないが、上記エネルギー線硬化型接着剤の硬化を充分に進行させる観点から、上記エネルギー線の波長の好ましい下限は300nm、好ましい上限は500nmであり、より好ましい下限は350nm、より好ましい上限は450nmである。
上記エネルギー線の照射時間は特に限定されないが、上記加熱の時間と同じでも異なっていてもよく、上記エネルギー線硬化型接着剤の硬化を充分に進行させる観点及びタクトタイム短縮の観点から、上記加熱の時間より30秒間短い又は30秒間長い程度が好ましい。具体的な上記エネルギー線の照射時間の好ましい下限は10秒、好ましい上限は1000秒であり、より好ましい下限は15秒、より好ましい上限は600秒である。
上記エネルギー線の照射強度は特に限定されないが、上記エネルギー線硬化型接着剤の硬化を充分に進行させる観点から、好ましい下限は20mW/cm、好ましい上限は200mW/cmであり、より好ましい下限は30mW/cm、より好ましい上限は150mW/cmである。
上記エネルギー線の積算照射量(mJ/cm)は、上記エネルギー線の「照射時間(秒)×照射強度(mW/cm)」から求めることができる。
本発明の電子部品の製造方法においては、次いで、上記電子部品に熱処理を行う熱処理工程(3)を行う。
上記熱処理の種類は特に限定されず、例えば、上記電子部品に対する、モールディング、スパッタリング、熱圧着ボンディング等の熱処理が挙げられる。上記熱処理は、300℃以上の高温加工処理であってもよい。
本発明の電子部品の製造方法においては、更に、上記仮固定材から熱処理後の上記電子部品を剥離する剥離工程(4)を行う。
上記仮固定材から熱処理後の上記電子部品を剥離する方法は特に限定されず、例えば、通常のメカニカル剥離方法、熱スライド剥離方法、テープピール剥離方法等が挙げられる。
本発明の電子部品の製造方法において使用する上記仮固定材は、上記エネルギー線硬化型接着剤を含有していれば特に限定されず、液状、ペースト状等の仮固定材であってもよいし、上記エネルギー線硬化型接着剤を含有する接着剤層を有するシート状、フィルム状等の仮固定材であってもよい。
上記仮固定材が上記エネルギー線硬化型接着剤を含有する接着剤層を有するシート状、フィルム状等の仮固定材である場合、上記仮固定材は、基材の一方又は両方の面に上記エネルギー線硬化型接着剤を含有する接着剤層を有していてもよく、基材を有していなくてもよい。上記基材を有さない場合、光透過性と耐熱性とをともに有する基材を選定する必要がなく、上記仮固定材は、より安価かつ簡易な構成となる。
上記基材としては、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシートが挙げられる。また、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート、ガラス等も用いることができる。また、光線が透過する構造を有する無機材料からなる基材も用いることができる。
上記基材の厚みは特に限定されないが、光透過性を高める観点、及び、柔軟性を高める観点から、好ましい下限は5μm、好ましい上限は200μmであり、より好ましい下限は10μm、より好ましい上限は150μmである。
上記エネルギー線硬化型接着剤は、エネルギー線を照射することで硬化する接着剤であれば特に限定されないが、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を含有することが好ましい。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、イミド骨格を有することによって極めて耐熱性に優れ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても主鎖の分解が起こりにくい。このため、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を含むことにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には容易に剥離することができる。
上記エネルギー線硬化型接着剤は、上記エネルギー線硬化型接着剤全体として反応性を有していればよく、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)自体が反応性を有していてもよいし、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)自体には反応性がなくてもよい。
なお、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)自体に反応性がない場合、上記エネルギー線硬化型接着剤は、反応性官能基を有する他の成分を更に含有することにより、上記エネルギー線硬化型接着剤全体として反応性を有する必要がある。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は特に限定されないが、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合(以下、単に「炭素-炭素二重結合」ともいう)を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)、又は、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)が好ましい。これらのイミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)と、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)とを併用することがより好ましい。これらを併用することにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、より硬化性に優れ、より高い耐熱性を有し、かつ、反応時の内部応力がより少なくなる。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)を含むことで、上記エネルギー線硬化型接着剤は、加熱及びエネルギー線を照射することで硬化が進行し、粘着力が大きく低下するため、高温加工処理を経た後にも接着亢進が抑えられ、容易に剥離することができる。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基は特に限定されず、例えば、マレイミド基、シトラコンイミド基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリル基、及び、これらを含有する基等が挙げられる。これらの炭素-炭素二重結合を含有する官能基は、置換されていてもよい。なかでも、より高い耐熱性が得られることから、マレイミド基、置換されたマレイミド基、アリル基、及び、置換されたアリル基が好適である。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)は、炭素-炭素二重結合を含有する官能基の官能基当量(重量平均分子量/炭素-炭素二重結合を含有する官能基の数)が4000以下であることが好ましい。上記官能基当量が4000以下であることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、高温加工処理を経た後にも接着亢進がより抑えられ、より容易に剥離することができる。これは、樹脂の分子中に一定以上の密度で上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有することにより、架橋間距離が短くなることによって、接着亢進がより抑えられるためと考えられる。上記官能基当量は、3000以下であることがより好ましく、2000以下であることが更に好ましい。上記官能基当量の下限は特に限定されないが、実質的には600程度が下限である。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)は、重量平均分子量(Mw)が1000以上、3万以下であることが好ましい。上記重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、上記エネルギー線硬化型接着剤は、耐熱性が向上し、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。また、上記重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)の溶媒への溶解度が低くなりすぎることを防ぐこともできる。上記重量平均分子量(Mw)は1500以上、2万未満であることがより好ましく、5000以上、1万未満であることが更に好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によりポリスチレン換算分子量として測定される。より具体的には、APCシステム(ウォーターズ社製、又はその同等品)を用いて、移動相THF、流量1.0mL/min、カラム温度40℃、サンプル濃度0.2重量%、RI・PDA検出器の条件で測定することができる。カラムとしては、HR-MB-M 6.0×150mm(品名、ウォーターズ社製、又はその同等品)等を用いることができる。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)は、上炭素-炭素記二重結合を含有する官能基を、側鎖又は末端のいずれに有していてもよい。上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)が上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を側鎖に有する場合、上記エネルギー線硬化型接着剤は、架橋間距離が短くなることによって、接着亢進がより抑えられ、より容易に剥離することができる。また、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を末端に有する場合には、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基の反応性がより高くなる。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)としては、具体的には例えば、次の樹脂が挙げられる。即ち、下記一般式(1a)で表される構成単位、下記一般式(1b)で表される構成単位、及び、下記一般式(1c)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0、u≧0)、両末端がそれぞれX及びXで表される樹脂が挙げられる。
Figure 2023138418000003
一般式(1a)~(1c)中、P、P及びPは、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表し、Rは、置換又は非置換の分岐鎖状の脂肪族基又は芳香族基を表す。X、X及びXからなる群より選択される少なくとも1つは、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を表す。
上記一般式(1a)~(1c)中、P、P及びPは、炭素数5~50の芳香族基であることが好ましい。P、P及びPが炭素数5~50の芳香族基であることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には容易に剥離することができる。
上記一般式(1a)中、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2~100の脂肪族基であることが好ましい。Qが置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2~100の脂肪族基であることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。
また、Qは、後述するようなジアミン化合物に由来する脂肪族基であることが好ましい。なかでも、柔軟性を高める観点、及び、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)の溶媒や他の成分との相溶性が増す観点から、Qは、ダイマージアミンに由来する脂肪族基であることが好ましい。
上記ダイマージアミンに由来する脂肪族基として、より具体的には例えば、下記一般式(4-1)で表される基、下記一般式(4-2)で表される基、下記一般式(4-3)で表される基、及び、下記一般式(4-4)で表される基からなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。なかでも、下記一般式(4-2)で表される基がより好ましい。なお、これらの基において光学異性は特に限定されず、いずれの光学異性も含む。
Figure 2023138418000004
一般式(4-1)~(4-4)中、R~R及びR13~R20はそれぞれ独立して、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表す。なお、*は結合手を表す。結合手*は、上記一般式(1a)~(1c)中のNと結合する。
上記一般式(4-1)~(4-4)中、R~R及びR13~R20で表される炭化水素基は特に限定されず、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。
なかでも、RとR、RとR、RとR、RとR、R13とR14、R15とR16、R17とR18、及び、R19とR20の炭素数の合計が7以上、50以下であることが好ましい。上記炭素数の合計が上記範囲内であることで、上記エネルギー線硬化型接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。また、上記炭素数の合計が上記範囲内であることで、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)の溶媒や他の成分との相溶性も増す。上記炭素数の合計は、より好ましくは9以上、更に好ましくは12以上、更により好ましくは14以上である。上記炭素数の合計は、より好ましくは35以下、更に好ましくは25以下、更により好ましくは18以下である。
上記一般式(1b)中、Qは、置換又は非置換の炭素数5~50の芳香族構造を有する基であることが好ましい。Qが置換又は非置換の炭素数5~50の芳香族構造を有する基であることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には容易に剥離することができる。
上記一般式(1c)中、Rは、置換又は非置換の分岐鎖状の炭素数2~100の脂肪族基又は芳香族基であることが好ましい。Rが置換又は非置換の分岐鎖状の炭素数2~100の脂肪族基又は芳香族基であることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。
上記一般式(1c)中、Rは芳香族エステル基又は芳香族エーテル基を有する芳香族基であって、Rにおける該芳香族エステル基又は該芳香族エーテル基はXと結合していることが好ましい。
ここで、「芳香族エステル基」とは、芳香族環にエステル基が直接結合した基を意味し、「芳香族エーテル基」とは、芳香族環にエーテル基が直接結合した基を意味する。このようにエステル基やエーテル基に結合する部分を芳香族基にすることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には容易に剥離することができる。一方、Xが芳香族エステル基又は芳香族エーテル基を介してRに結合することにより、X中の炭素-炭素二重結合がRと共役することがないことから、加熱及びエネルギー線を照射したときの重合架橋を妨げることがない。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)中、炭素-炭素二重結合を含有する官能基(架橋性不飽和結合)は、X、X及びXからなる群より選択される少なくとも1つであればよい。上記X、X2及びXのいずれかが炭素-炭素二重結合を含有する官能基以外の官能基(炭素-炭素二重結合を有さない官能基)である場合、該炭素-炭素二重結合を有さない官能基としては、それぞれ独立して、例えば、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、酸無水物、アミン化合物等が挙げられる。具体的には、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)の原料となる酸無水物、ジアミン化合物の片末端未反応物が挙げられる。
上記一般式(1a)~(1c)中、s、t及びuは、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)中における上記一般式(1a)で表される構成単位、上記一般式(1b)で表される構成単位、及び、上記一般式(1c)で表される構成単位それぞれの含有量(モル%)に対応するものである。
上記一般式(1a)で表される構成単位の含有量(s)は0モル%よりも大きく、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。上記一般式(1b)で表される構成単位の含有量(t)は0モル以上%、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは20モル%以上であり、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。上記一般式(1c)で表される構成単位の含有量(u)は0モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。上記一般式(1a)~(1c)においてそれぞれの構成単位の含有量が上記範囲内であると、上記エネルギー線硬化型接着剤は、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。
なお、上記一般式(1a)で表される構成単位、上記一般式(1b)で表される構成単位、及び、上記一般式(1c)で表される構成単位は、それぞれの構成単位が連続して配列したブロック成分からなるブロック構造を有していてもよいし、それぞれの構成単位がランダムに配列したランダム構造を有していてもよい。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)を製造する方法は特に限定されない。例えば、ジアミン化合物と芳香族酸無水物とを反応させてイミド化合物を調製した後、該イミド化合物の末端に、例えば無水マレイン酸等を反応させることにより得ることができる。また、例えば、ジアミン化合物と芳香族酸無水物とを反応させてイミド化合物を調製する際に、該イミド化合物に官能基を導入し、該イミド化合物中の官能基に、該官能基と反応する官能基と炭素-炭素二重結合を含有する官能基とを有する化合物(官能基含有不飽和化合物ともいう)を反応させることにより得ることもできる。
上記イミド化合物に官能基を導入する方法は特に限定されず、例えば、ジアミン化合物と芳香族酸無水物とを反応させてイミド化合物を調製する際に、更に、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン基等の官能基を有するジアミン化合物を添加する方法等が挙げられる。上記官能基含有不飽和化合物は特に限定されず、上記イミド化合物中の官能基に応じて選択して用いればよい。
上記ジアミン化合物としては、脂肪族ジアミン化合物又は芳香族ジアミン化合物のいずれも用いることができる。
上記ジアミン化合物として脂肪族ジアミン化合物を用いることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。上記ジアミン化合物として芳香族ジアミン化合物を用いることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には容易に剥離することができる。これらの脂肪族ジアミン化合物、芳香族ジアミン化合物及び官能基を有するジアミン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、ダイマージアミン、1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノメンタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、ジアミノマレオニトリル、1,3-ジアミノペンタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ(5.2.1.02,6)デカン等が挙げられる。
上記芳香族ジアミン化合物としては、例えば、9,10-ジアミノフェナントレン、4,4’-ジアミノオクタフルオロビフェニル、3,7-ジアミノ-2-メトキシフルオレン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノアントラキノン、2,6-ジアミノトルエン、2,3-ジアミノトルエン、1,8-ジアミノナフタレン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノアントラキノン、1,5-ジアミノナフタレン、1,2-ジアミノアントラキノン、2,4-クメンジアミン、1,3-ビスアミノメチルベンゼン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、2-クロロ-1,4-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジクロロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジメチルベンゼン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビストリフルオロメチルビフェニル、ビス(アミノ-3-クロロフェニ)エタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジエチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルジアミノフルオレン、2,3-ジアミノナフタレン、2,3-ジアミノフェノール、-5-メチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルフェニル)メタン、4,4’-ジアミノフェニルスルホン、3,3’-ジアミノフェニルスルホン、2,2-ビス(4,(4アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2-ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’-オキシジアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-オキシジアニリン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメトキシビフェニル、Bisaniline M、Bisaniline P、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、o‐トリジンスルホン、メチレンビス(アントラニル酸)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、4,4’-ジアミノベンザニリド、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ポリオキシアルキレンジアミン類(たとえば、HuntsmanのJeffamine D-230、D400、D-2000およびD-4000)、1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン等が挙げられる。
上記脂肪族ジアミン化合物のなかでも、柔軟性を高める観点、及び、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)の溶媒や他の成分との相溶性が増す観点から、ダイマージアミンが好ましい。
上記ダイマージアミンとは、不飽和脂肪酸の2量体として得られる環式及び非環式ダイマー酸を、還元しアミノ化して得られるジアミン化合物であり、例えば、直鎖型、単環型、多環型等のダイマージアミンが挙げられる。上記ダイマージアミンは、炭素-炭素不飽和二重結合を含んでもよく、水素が付加した水素添加物であってもよい。上記ダイマージアミンとして、より具体的には例えば、上述した一般式(4-1)で表される基、一般式(4-2)で表される基、一般式(4-3)で表される基、及び、一般式(4-4)で表される基を構成することのできるダイマージアミン等が挙げられる。
上記芳香族酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸、4,4’-スルホニルジフタル酸、1-トリフルオロメチル-2,3,5,6-ベンゼンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、2,3,2’,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フェナンスレン-1,8,9,10-テトラカルボン酸、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、チオフエン-2,3,4,5-テトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,4,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,2’,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)-ビス(フタル酸)等が挙げられる。
上記エネルギー線硬化型接着剤が上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)を含む場合、該樹脂(1-I)の含有量は特に限定されない。該樹脂(1-I)の含有量は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と後述する多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に占める好ましい下限が10重量部である。上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)の含有量が10重量部以上であれば、上記エネルギー線硬化型接着剤は、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には容易に剥離することができる。剥離性を更に高める観点から、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)の含有量のより好ましい下限は20重量部、更に好ましい下限は30重量部である。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)の含有量の上限は特に限定されない。剥離性を更に高める観点から、該樹脂(1-I)の含有量は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と後述する多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に占める好ましい上限が100重量部、より好ましい上限が90重量部、更に好ましい上限が80重量部、更により好ましい上限が70重量部である。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)は、重量平均分子量(Mw)が2万以上であることが好ましい。上記重量平均分子量が2万以上であることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には容易に剥離することができる。上記重量平均分子量は5万以上であることがより好ましい。上記重量平均分子量の上限は特に限定されないが、溶媒への溶解度の観点から、好ましい上限は60万、より好ましい上限は30万である。
なお、上記重量平均分子量は、上述した上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)と同様にして測定することができる。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)としては、具体的には例えば、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX及びXで表される樹脂(1-ii)が挙げられる。
Figure 2023138418000005
一般式(1d)~(1e)中、P及びPは、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表す。X及びXは、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を有さない官能基を表す。
上記一般式(1d)~(1e)中、P及びPは、炭素数5~50の芳香族基であることが好ましい。P及びPが炭素数5~50の芳香族基であることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には容易に剥離することができる。
上記一般式(1d)中、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2~100の脂肪族基であることが好ましい。Qが置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2~100の脂肪族基であることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。
また、Qは、上述したようなジアミン化合物に由来する脂肪族基であることが好ましい。なかでも、柔軟性を高める観点、及び、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)の溶媒や他の成分との相溶性が増す観点から、Qは、ダイマージアミンに由来する脂肪族基であることが好ましい。
即ち、上記エネルギー線硬化型接着剤においては、上記樹脂(1-I)と上記樹脂(1-II)との少なくともいずれかが、ダイマージアミンに由来する脂肪族基を有することが好ましい。つまり、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)が、ダイマージアミンに由来する脂肪族基を有することが好ましい。
上記一般式(1e)中、Qは、置換又は非置換の炭素数5~50の芳香族構造を有する基であることが好ましい。Qが置換又は非置換の炭素数5~50の芳香族構造を有する基であることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができ、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には容易に剥離することができる。
上記X及びXで表される炭素-炭素二重結合を有さない官能基としては、それぞれ独立して、例えば、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、酸無水物、アミン化合物等が挙げられる。具体的には、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)の原料となる酸無水物、ジアミン化合物の片末端未反応物が挙げられる。
上記一般式(1d)~(1e)中、s、及びtは、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)中における上記一般式(1d)で表される構成単位、及び、上記一般式(1e)で表される構成単位それぞれの含有量(モル%)に対応するものである。
上記一般式(1d)で表される構成単位の含有量(s)は0モル%よりも大きく、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。上記一般式(1e)で表される構成単位の含有量(t)は0モル以上%、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは20モル%以上であり、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。上記一般式(1d)~(1e)においてそれぞれの構成単位の含有量が上記範囲内であると、上記エネルギー線硬化型接着剤は、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。
なお、上記一般式(1d)で表される構成単位、及び、上記一般式(1e)で表される構成単位は、それぞれの構成単位が連続して配列したブロック成分からなるブロック構造を有していてもよいし、それぞれの構成単位がランダムに配列したランダム構造を有していてもよい。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)を製造する方法は特に限定されず、例えば、ジアミン化合物と芳香族酸無水物とを反応させることにより得ることができる。上記ジアミン化合物及び上記芳香族酸無水物は、上述したような炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)におけるジアミン化合物及び芳香族酸無水物と同様のものであってよい。
上記エネルギー線硬化型接着剤は上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)を含む場合、該樹脂(1-II)の含有量は特に限定されない。該樹脂(1-II)の含有量は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と後述する多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に占める好ましい下限が20重量部である。上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)の含有量が20重量部以上であれば、上記エネルギー線硬化型接着剤は、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には容易に剥離することができる。剥離性を更に高める観点から、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)の含有量のより好ましい下限は30重量部である。
上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)の含有量の上限は特に限定されない。剥離性を更に高める観点から、該樹脂(1-II)の含有量は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と後述する多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に占める好ましい上限が90重量部、より好ましい上限が80重量部である。
上記エネルギー線硬化型接着剤は、更に、分子内にエネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を2以上有する多官能モノマー又は多官能オリゴマーを含むことが好ましい。なかでも、分子内にエネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を2以上有し、分子量が5000以下である多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)(以下、単に「多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)」ともいう。)を含むことがより好ましい。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)を含むことで、上記エネルギー線硬化型接着剤は、加熱及びエネルギー線を照射することで硬化がより充分に進行し、粘着力が大きく低下するため、高温加工処理を経た後にも接着亢進がより抑えられ、より容易に剥離することができる。
なお、上述したように、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)自体に反応性がない場合、上記エネルギー線硬化型接着剤は、反応性官能基を有する他の成分を更に含有することにより、上記エネルギー線硬化型接着剤全体として反応性を有する必要がある。このような反応性官能基を有する他の成分として、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)を用いることが好ましい。上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)自体に反応性がない場合としては、例えば、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)が、上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)のみを含有する場合等が挙げられる。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)における炭素-炭素二重結合を含有する官能基は特に限定されず、例えば、マレイミド基、シトラコンイミド基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリル基、及び、これらを含有する基等が挙げられる。これらの炭素-炭素二重結合を含有する官能基は、置換されていてもよい。なかでも、より高い耐熱性が得られることから、マレイミド基、置換されたマレイミド基、アリル基、及び、置換されたアリル基が好適である。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)は、ジアミン化合物に由来する脂肪族基を有することが好ましい。上記ジアミン化合物としては、脂肪族ジアミン化合物又は芳香族ジアミン化合物のいずれも用いることができるが、脂肪族ジアミン化合物が好ましい。上記ジアミン化合物として脂肪族ジアミン化合物を用いることにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、硬化物の柔軟性が向上して被着体に対して高い追従性を発揮でき、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。
上記脂肪族ジアミン化合物のなかでも、柔軟性を高める観点、及び、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の溶媒や他の成分との相溶性が増す観点から、上述したようなダイマージアミンが好ましい。
上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の含有量は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に占める好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の含有量が上記範囲内であれば、上記エネルギー線硬化型接着剤は、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。剥離性を更に高める観点から、上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は60重量部である。
上記エネルギー線硬化型接着剤が上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)とを含む場合、これらの合計含有量は特に限定されない。上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に占める上記樹脂(1-I)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。上記樹脂(1-I)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計含有量が上記範囲内であれば、上記エネルギー線硬化型接着剤は、高温加工処理を経た後にはより容易に剥離することができる。剥離性を更に高める観点から、上記樹脂(1-I)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は60重量部である。
上記エネルギー線硬化型接着剤は、更に、シリコーン化合物又はフッ素化合物を含むことが好ましい。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物は、耐熱性に優れることから、300℃以上の高温加工処理を経ても上記エネルギー線硬化型接着剤の固着を防止し、剥離時には被着体界面にブリードアウトして、剥離をより容易にする。
上記シリコーン化合物は特に限定されず、例えば、シリコーンオイル、シリコーンジアクリレート、シリコーン系グラフト共重合体等が挙げられる。上記フッ素化合物は特に限定されず、例えば、フッ素原子を有する炭化水素化合物等が挙げられる。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物は、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と架橋可能な官能基を有することが好ましい。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物がこのような官能基を有することにより、加熱及びエネルギー線の照射により上記シリコーン化合物又はフッ素化合物が上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と化学反応して上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)中に取り込まれる。このため、被着体に上記シリコーン化合物又はフッ素化合物が付着して汚染することを抑制することができる。
上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と架橋可能な官能基は特に限定されず、例えば、炭素-炭素二重結合を含有する官能基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミド基、イソシアネート基、エポキシ基等が挙げられる。なかでも、炭素-炭素二重結合を含有する官能基が好ましい。即ち、上記シリコーン化合物又はフッ素化合物は、炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有することが好ましい。上記炭素-炭素二重結合を含有する官能基は、二重結合(ラジカル重合性の不飽和結合)を含有していれば特に限定されず、例えば、マレイミド基、シトラコンイミド基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリル基、ナジイミド基、及び、これらを含有する基等が挙げられる。これらの炭素-炭素二重結合を含有する官能基は、置換されていてもよい。
なかでも、環境にやさしく、廃棄が容易であるという観点から、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物が好適である。上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物としては、主鎖にシロキサン骨格を有し、側鎖又は末端に炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有するシリコーン化合物が好ましい。
上記主鎖にシロキサン骨格を有し、側鎖又は末端に炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有するシリコーン化合物は特に限定されないが、下記一般式(I)で表されるシリコーン化合物、下記一般式(II)で表されるシリコーン化合物、及び、下記一般式(III)で表されるシリコーン化合物からなる群より選択される少なくとも1つを含有することが好ましい。これらのシリコーン化合物は、耐熱性が特に高く、極性が高いために上記エネルギー線硬化型接着剤からのブリードアウトが容易である。
Figure 2023138418000006
上記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)中、X及びYは、それぞれ独立して、0~1200の整数を表し、Rは炭素-炭素二重結合を含有する官能基を表す。
上記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)中、Rで表される炭素-炭素二重結合を含有する官能基としては、例えば、マレイミド基、シトラコンイミド基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリル基、ナジイミド基、及び、これらを含有する基等が挙げられる。これらの炭素-炭素二重結合を含有する官能基は、置換されていてもよい。なかでも、より高い耐熱性が得られることから、マレイミド基、置換されたマレイミド基、アリル基、及び、置換されたアリル基が好適である。なお、上記一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)において、Rが複数存在する場合、複数のRは同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)で表されるシリコーン化合物のうち市販されているものは、例えば、EBECRYL350、EBECRYL1360(いずれもダイセル・サイテック社製)等が挙げられる。更に、BYK-UV3500、BYK-UV3505、BYK-UV3570(いずれもビックケミー社製)、TEGO RAD2250、TEGO RAD2100、TEGO RAD2200N、TEGO RAD2800(いずれもエボニック社製)、メガファックRS-56(DIC社製、シリコーン及びフッ素原子含有化合物)等が挙げられる。
上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に対する好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は20重量部である。上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量がこの範囲内であると、上記エネルギー線硬化型接着剤が被着体を汚染することなく優れた剥離性を発揮することができる。汚染を抑制しつつも剥離性を更に高める観点から、上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は10重量部である。
なお、上記エネルギー線硬化型接着剤は耐熱性に優れることから、上記シリコーン化合物又はフッ素化合物の含有量を比較的少なくしても充分な効果を発揮することができる。そのため、上記シリコーン化合物又はフッ素化合物による汚染の可能性をより一層少なくすることができる。
上記エネルギー線硬化型接着剤は、更に、重合開始剤を含むことが好ましい。
上記重合開始剤は特に限定されないが、光重合開始剤及び熱重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、光重合開始剤がより好ましい。
上記光重合開始剤としては、例えば、250~800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられる。なかでも、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)の吸収波長と重なりにくく、上記エネルギー線硬化型接着剤にエネルギー線を照射した際に充分に活性化されることから、上記光重合開始剤は、405nmにおけるモル吸光係数が1以上である光重合開始剤を含有することが好ましい。上記光重合開始剤は、405nmにおけるモル吸光係数が200以上である光重合開始剤を含有することがより好ましく、405nmにおけるモル吸光係数が350以上である光重合開始剤を含有することが更に好ましい。上記405nmにおけるモル吸光係数が1以上である光重合開始剤の405nmにおけるモル吸光係数の上限は特に限定されないが、例えば2000、1500等が上限である。
上記光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物、フォスフィンオキシド誘導体化合物等が挙げられる。更に、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記重合開始剤の含有量は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に対する好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記重合開始剤の含有量がこの範囲内であると、加熱及びエネルギー線の照射により上記エネルギー線硬化型接着剤の全体が均一にかつ速やかに重合架橋し、弾性率が上昇することにより粘着力が大きく低下して、接着亢進を起こしたり、剥離時に糊残りが発生したりするのを防止することができる。上記重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は3重量部である。
上記エネルギー線硬化型接着剤は、更に、気体発生剤を含有していてもよい。
上記気体発生剤は、TG-DTA(熱重量-示差熱分析)測定にて窒素雰囲気下で30℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱したときの300℃における重量減少率が5%以下であることが好ましい。上記重量減少率が5%以下であれば、300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても上記気体発生剤の分解が起こりにくく、上記エネルギー線硬化型接着剤は、より高い耐熱性を発揮することができる。
なお、TG-DTA(熱重量-示差熱分析)測定は、例えば、TG-DTA装置(STA7200RV、日立ハイテクサイエンス社製、又はその同等品)を用いて行うことができる。
上記気体発生剤としては、例えば、加熱することにより気体を発生する気体発生剤、光を照射することにより気体を発生する気体発生剤等が挙げられる。これらの気体発生剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、光を照射することにより気体を発生する気体発生剤が好ましく、紫外線を照射することにより気体を発生する気体発生剤がより好ましい。
上記光を照射することにより気体を発生する気体発生剤を含有することにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、光を照射することにより発生した気体が被着体との界面に放出される。これにより、上記エネルギー線硬化型接着剤は、より容易に剥離することができる。また、被着体が薄い場合であっても、被着体の破損を防止することができる。
上記光を照射することにより気体を発生する気体発生剤としては、例えば、テトラゾール化合物又はその塩、トリアゾール化合物又はその塩、アゾ化合物、アジド化合物、キサントン酢酸、炭酸塩等が挙げられる。これらの気体発生剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、特に耐熱性に優れることから、テトラゾール化合物又はその塩が好適である。
上記気体発生剤の含有量は特に限定されないが、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)と上記多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)との合計100重量部に対する好ましい下限は5重量部、好ましい上限は50重量部である。上記気体発生剤の含有量が上記範囲内であれば、上記エネルギー線硬化型接着剤が特に優れた剥離性を発揮することができる。上記気体発生剤の含有量のより好ましい下限は8重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記エネルギー線硬化型接着剤は、例えば、無機充填剤、光増感剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス等の公知の添加剤を含んでもよい。
上記エネルギー線硬化型接着剤は、上記硬化工程(2)後のゲル分率の好ましい下限が70重量%、好ましい上限が95重量%である。上記硬化工程(2)後のゲル分率が上記範囲内であることで、上記エネルギー線硬化型接着剤は、剥離時により容易に剥離することができる。上記硬化工程(2)後のゲル分率のより好ましい下限は80重量%、より好ましい上限は90重量%である。
なお、上記硬化工程(2)後のゲル分率は、以下の方法により測定される。
上記硬化工程(2)後の上記エネルギー線硬化型接着剤について、50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製する。試験片をトルエン中に23℃にて24時間浸漬した後、トルエンから取り出して、130℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片には、接着剤層を保護するための離型フィルムは積層されていないものとする。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
上記仮固定材(上記エネルギー線硬化型接着剤)は、上記硬化工程(2)後のガラスに対する180°接着力をF1、上記熱処理工程(3)後のガラスに対する180°接着力をF2としたとき、(F2/F1)≦10を満たすことが好ましい。このような式を満たすことで、上記エネルギー線硬化型接着剤は、剥離時により容易に剥離することができる。上記仮固定材(上記エネルギー線硬化型接着剤)は、(F2/F1)≦5を満たすことがより好ましく、(F2/F1)≦4.7を満たすことがさらに好ましい。
上記(F2/F1)の下限は特に限定されないが、0<(F2/F1)を満たすことが好ましく、3.5≦(F2/F1)を満たすことがより好ましく、4.5≦(F2/F1)を満たすことが更に好ましい。
なお、上記接着力は、上記仮固定材におけるエネルギー硬化型接着剤を含有する接着剤層とガラスとを接触させたときの接着力であり、エネルギー硬化型接着剤の組成及び厚さによって調整することができる。
上記F1は特に限定されず、(F2/F1)≦5を満たすように調整されることが好ましく、上記エネルギー線硬化型接着剤が初期に充分な粘着力を有する観点から、0.1N/inch以上が好ましい。上記F2も特に限定されず、(F2/F1)≦5を満たすように調整されることが好ましく、上記エネルギー線硬化型接着剤の剥離性を更に高める観点から、2N/inch以下が好ましく、1N/inch以下がより好ましい。
なお、ガラスに対する180°接着力は、以下の方法により測定される。
上記仮固定材(上記エネルギー線硬化型接着剤)を1インチの幅にカットした後、1mm厚のガラス(松浪ガラス工業社製、大型スライドガラス白縁磨 No.2)に100℃のラミネーター(ラミーコーポレーション社製、Leon13DX、速度メモリ5)にて加熱ラミネートする。ラミネート後、上記硬化工程(2)及び上記熱処理工程(3)と同様の工程を行い、上記硬化工程(2)後の仮固定材、及び、上記熱処理工程(3)後(放冷後)の仮固定材に対して、25℃、引張速度300mm/分の条件にて180°ピール試験を行い、接着力(N/inch)を測定する。
上記仮固定材が上記エネルギー線硬化型接着剤を含有する接着剤層を有するシート状、フィルム状等の仮固定材である場合、上記仮固定材の厚み(基材を有さない場合は接着剤層の厚み、基材を有する場合は接着剤層の厚みと基材の厚みとを合わせた厚み)は特に限定されず、本発明の電子部品の製造方法によれば、上記仮固定材の厚みが比較的厚い場合であっても、高温加工処理を経た後には仮固定材から薄い電子部品を容易に剥離できる。上記仮固定材の好ましい下限は5μm、好ましい上限は550μmである。上記厚みが5μm以上であれば、上記接着剤層が初期に充分な粘着力を有することができる。上記厚みが550μm以下であれば、上記仮固定材は、高い柔軟性を発揮することができ、被着体に対して高い追従性を発揮できるとともに、剥離時により容易に剥離することができる。上記厚みのより好ましい下限は10μm、更に好ましい下限は20μm、更により好ましい下限は30μmである。上記厚みのより好ましい上限は400μm、更に好ましい上限は300μm、更により好ましい上限は200μm、一層好ましい上限は150μmである。
上記仮固定材を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)等の配合成分をビーズミル、超音波分散、ホモジナイザー、高出力ディスパー、ロールミル等を用いて混合し、液状、ペースト状等の仮固定材を製造する方法が挙げられる。また、上記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)等の配合成分を溶剤とともにビーズミル、超音波分散、ホモジナイザー、高出力ディスパー、ロールミル等を用いて混合し、得られたエネルギー線硬化型接着剤溶液を離型フィルムの離型処理面上に塗工し、乾燥させて接着剤層を有する仮固定材を製造する方法も挙げられる。
本発明の電子部品の製造方法によれば、高温加工処理を経た後には仮固定材から薄い電子部品を容易に剥離できる。上記電子部品は特に限定されず、例えば、半導体ウエハ、半導体チップ、表示部材、MEMS等が挙げられる。
本発明によれば、仮固定材に薄い電子部品を仮固定した状態で300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には仮固定材から薄い電子部品を容易に剥離でき、タクトタイム及び消費エネルギーを抑えることもできる電子部品の製造方法を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)の調製)
(合成例1)
テフロン(登録商標)スターラーを入れた500mLの丸底フラスコに250mLのトルエンを投入した。次いで、トリエチルアミン35g(0.35モル)と無水メタンスルホン酸35g(0.36モル)を加えて攪拌し、塩を形成した。10分間撹拌後、ダイマージアミン(クローダ社製、プリアミン1075)56g(0.1モル)と、無水ピロメリット酸19.1g(0.09モル)をこの順に加えた。ディーンスターク管とコンデンサーをフラスコに取り付け、混合物を2時間還流し、アミン末端のジイミドを形成した。反応物を室温以下に冷却後、無水マレイン酸12.8g(0.13モル)を加え、次いで、無水メタンスルホン酸5g(0.05モル)を加えた。混合物を、更に12時間還流した後、室温に冷却し、トルエン300mLをフラスコに加え、静置により不純物を沈殿させ除去した。得られた溶液を、シリカゲルを充填したガラスフリット漏斗を通してろ過した後、溶剤を真空除去し、琥珀色ワックス状の、下記式(A)で表される両末端にマレイミド基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)を得た。
得られた樹脂について、溶出液としてTHF、カラムとしてHR-MB-M(品名、ウォーターズ社製)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したところ、重量平均分子量は5000であった。
Figure 2023138418000007
(炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)の調製)
(合成例2)
テフロン(登録商標)スターラーを入れた500mLの丸底フラスコに250mLのトルエンを投入した。次いで、トリエチルアミン35g(0.35モル)と無水メタンスルホン酸35g(0.36モル)を加えて攪拌し、塩を形成した。10分間撹拌後、ダイマージアミン(クローダ社製、プリアミン1075)31.9g(0.06モル)、Bis-AP-AF5.5g(0.015モル)及び4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物39g(0.075モル)をこの順に加えた。ディーンスターク管とコンデンサーをフラスコに取り付け、混合物を2時間還流し、室温に冷却し、トルエン300mLをフラスコに加え、静置により不純物を沈殿させ除去した。得られた溶液を、シリカゲルを充填したガラスフリット漏斗を通してろ過した後、溶剤を真空除去し、褐色固体状の、下記式(D)で表される炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)を得た。
得られた樹脂について、溶出液としてTHF、カラムとしてHR-MB-M(品名、ウォーターズ社製)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したところ、重量平均分子量は72000であった。
Figure 2023138418000008
(多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)の調製)
(合成例3)
テフロン(登録商標)スターラーを入れた500mLの丸底フラスコに250mLのトルエンを投入した。ダイマージアミン(クローダ社製、プリアミン1075)56g(0.1モル)と、無水マレイン酸19.6g(0.2モル)を加え、次いで、無水メタンスルホン酸5gを加えた。溶液を12時間還流した後、室温に冷却し、トルエン300mLをフラスコに加え、静置により塩を沈殿させ除去した。得られた溶液を、シリカゲルを充填したガラスフリット漏斗を通してろ過した後、溶剤を真空除去し、茶色液状の、下記式(E)で表されるビスマレイミドモノマー(2)を得た。
Figure 2023138418000009
(実施例1)
(1)仮固定材の製造
アニソール100重量部に、上記で得られた樹脂(1-I)を30重量部、上記で得られた樹脂(1-II)を60重量部、上記で得られた多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)を10重量部加えた。更に、シリコーン化合物としてEBECRYL350(ダイセル・サイテック社製)を5重量部、光重合開始剤としてOmnirad369(IGM Resins社製)を2重量部加え、エネルギー線硬化型接着剤溶液を調製した。
得られたエネルギー線硬化型接着剤溶液を、片面離型処理の施された50μmのPETフィルム(セパレータ)の離型処理面上に、乾燥皮膜の厚みが表1に示す接着剤層の厚みとなるようにドクターナイフで塗工し、130℃、10分間加熱して乾燥させた。これにより、接着剤層を有し、かつ該接着剤層の表面上にセパレータが設けられた仮固定材(ノンサポートタイプ)を得た。
(2)電子部品の製造
セパレータを取り外した仮固定材を1インチの幅にカットした後、電子部品としてのベアシリコンウエハの鏡面側に100℃のラミネーター(ラミーコーポレーション社製、Leon13DX、速度メモリ5)にて加熱ラミネートした[仮固定工程(1)]。
ラミネート後、仮固定材とベアシリコンウエハとからなる仮固定体をベアシリコンウエハ側が接するようにホットプレートに載せて100℃の温度に加熱した状態で、仮固定材側から超高圧水銀灯を用いて、405nmの照射強度が90mW/cmの紫外線を60秒照射した[硬化工程(2)]。
硬化後、仮固定材とベアシリコンウエハとからなる仮固定体を、内部を窒素置換して加熱できるオーブンを用いて窒素雰囲気下で更に300℃で10分加熱した[熱処理工程(3)]。
その後、通常のメカニカル剥離方法により仮固定材から電子部品を剥離した[剥離工程(4)]。
(3)硬化工程(2)後のゲル分率の測定
硬化工程(2)後の仮固定材(エネルギー線硬化型接着剤)について、50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製した。試験片をトルエン中に23℃にて24時間浸漬した後、トルエンから取り出して、130℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出した。なお、実施例1の仮固定材は、基材を有さないノンサポートタイプであるので、W=0とした。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
(4)ガラスに対する180°接着力
仮固定材を1インチの幅にカットした後、1mm厚のガラス(松浪ガラス工業社製、大型スライドガラス白縁磨 No.2)に100℃のラミネーター(ラミーコーポレーション社製、Leon13DX、速度メモリ5)にて加熱ラミネートした。
ラミネート後、上記「(2)電子部品の製造」における硬化工程(2)と同様にして所定温度所定時間加熱及びエネルギー線の照射を行い、上記「(2)電子部品の製造」における熱処理工程(3)と同様にして加熱を行った。
硬化工程(2)後の仮固定材、及び、熱処理工程(3)後(放冷後)の仮固定材に対して、25℃、引張速度300mm/分の条件にて180°ピール試験を行い、接着力(N/inch)を測定した。
硬化工程(2)後のガラスに対する180°接着力をF1、熱処理工程(3)後のガラスに対する180°接着力をF2とし、F2/F1を算出した。また、熱処理工程(3)後に仮固定材又は被着体(ガラス)が破損なく剥離できた場合を○、仮固定材又は被着体(ガラス)が破損した場合を×と判定した(表1~2に示した)。
(実施例2~9、比較例1~6)
表1~2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、仮固定材を得た。また、電子部品の製造を行った。
なお、比較例5では仮固定材の種類を変更し、比較例6では加熱後、30秒放置した後にエネルギー線照射を行った。
比較例5の仮固定材は、下記の通り作製したアクリル系反応性樹脂を用いた。
温度計、撹拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、2-エチルヘキシルアクリレート94質量部、メタクリル酸ヒドロキシエチル6質量部、ラウリルメルカプタン0.01質量部、及び、酢酸エチル80質量部を加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン0.01質量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から1時間後及び2時間後にも、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンを0.01質量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt-ヘキシルパーオキシピバレートを0.05質量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から8時間後に、固形分55重量%、重量平均分子量50万の官能基含有アクリル系ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。
得られた官能基含有アクリル系ポリマーを含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100質量部に対して、官能基含有不飽和化合物として2-イソシアナトエチルメタクリレート3.5質量部を加えて反応させてアクリル系反応性樹脂を得た。
得られたアクリル系反応性樹脂について、溶出液としてTHF、カラムとしてHR-MB-M 6.0×150mm(ウォーターズ社製)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC、装置名:Acquity APCシステム(ウォーターズ社製))法により測定したところ、重量平均分子量は55万であった。
<評価>
実施例及び比較例で行った電子部品の製造について、以下の方法により評価を行った。結果を表1~2に示した。
(1)タクトタイム(工程作業時間)評価
硬化工程(2)に要した時間をタクトタイム(工程作業時間)として評価した。
(2)省エネルギー評価
硬化工程(2)において付与した、エネルギー線によるエネルギー(J)及び加熱によるエネルギー(J)を算出した。エネルギー線によるエネルギーと加熱によるエネルギーとの合計を消費エネルギーとして算出した。消費エネルギーが1000J以下であった場合を〇、1000Jを超えた場合を×と判定した。
Figure 2023138418000010
Figure 2023138418000011
本発明によれば、仮固定材に薄い電子部品を仮固定した状態で300℃以上の高温加工処理を行う場合であっても、高温加工処理を経た後には仮固定材から薄い電子部品を容易に剥離でき、タクトタイム及び消費エネルギーを抑えることもできる電子部品の製造方法を提供することができる。

Claims (14)

  1. エネルギー線硬化型接着剤を含有する仮固定材に電子部品を仮固定する仮固定工程(1)と、
    前記仮固定材に対して加熱しながらエネルギー線を照射し、前記エネルギー線硬化型接着剤を硬化する硬化工程(2)と、
    前記電子部品に熱処理を行う熱処理工程(3)と、
    前記仮固定材から熱処理後の前記電子部品を剥離する剥離工程(4)とをこの順に有する
    ことを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記エネルギー線硬化型接着剤は、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)を含有することを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、ダイマージアミンに由来する脂肪族基を有することを特徴とする請求項2記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)を含有することを特徴とする請求項2又は3記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)は、重量平均分子量(Mw)が5000以上であることを特徴とする請求項4記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有し、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-I)は、下記一般式(1a)で表される構成単位、下記一般式(1b)で表される構成単位、及び、下記一般式(1c)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0、u≧0)、両末端がそれぞれX及びXで表される樹脂であることを特徴とする請求項4記載の電子部品の製造方法。
    Figure 2023138418000012
    一般式(1a)~(1c)中、P、P及びPは、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表し、Rは、置換又は非置換の分岐鎖状の脂肪族基又は芳香族基を表す。X、X及びXからなる群より選択される少なくとも1つは、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を表す。
  7. 前記イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1)は、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)を含有し、前記エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)は、重量平均分子量(Mw)が2万以上であることを特徴とする請求項2又は3記載の電子部品の製造方法。
  8. 前記エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さず、かつ、イミド骨格を主鎖の繰り返し単位に有する樹脂(1-II)は、下記一般式(1d)で表される構成単位、及び、下記一般式(1e)で表される構成単位を有し(ただし、s>0、t≧0)、両末端がそれぞれX及びXで表される樹脂であることを特徴とする請求項7記載の電子部品の製造方法。
    Figure 2023138418000013
    一般式(1d)~(1e)中、P及びPは、それぞれ独立して、芳香族基を表し、Qは、置換又は非置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族基を表し、Qは、置換又は非置換の芳香族構造を有する基を表す。X及びXは、エネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を有さない基を表す。
  9. 前記エネルギー線硬化型接着剤は、更に、分子内にエネルギー線反応性を有する炭素-炭素二重結合を含有する官能基を2以上有し、分子量が5000以下である多官能モノマー又は多官能オリゴマー(2)を含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子部品の製造方法。
  10. 前記エネルギー線硬化型接着剤は、光重合開始剤及び熱重合開始剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子部品の製造方法。
  11. 前記仮固定材は、前記硬化工程(2)後のガラスに対する180°接着力をF1、前記熱処理工程(3)後のガラスに対する180°接着力をF2としたとき、(F2/F1)≦10を満たすことを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子部品の製造方法。
  12. 前記F2は、2N/inch以下であることを特徴とする請求項11記載の電子部品の製造方法。
  13. 前記仮固定材は、前記エネルギー線硬化型接着剤を含有する接着剤層を有し、前記接着剤層は、前記硬化工程(2)後のゲル分率が80重量%以上であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子部品の製造方法。
  14. 前記硬化工程(2)における前記加熱の温度が80℃以上、160℃以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子部品の製造方法。

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