JP2023138404A - 硬化体の製造方法 - Google Patents

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美育 高野
Miku Takano
建佑 林
Kensuke Hayashi
彦次 兵頭
Hikotsugu Hyodo
宙 平尾
Hiroshi Hirao
貴文 野口
Takafumi Noguchi
一平 丸山
Ippei Maruyama
学 兼松
Manabu Kanematsu
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Abstract

【課題】高い成形圧力を要せずとも、十分な強度を有する硬化体を製造可能な硬化体の製造方法を提供すること。【解決手段】CaO、SiO2及びAl2O3を含む組成物であって、水酸化度が15~26質量%である組成物を加圧成形して成形体を作製する第1の工程と、第2族元素含有材料と水との混合液に炭酸ガスを吹き込んで調製した炭酸水素塩水溶液と、第1の工程で作製した成形体とを接触させる第2の工程と、第2の工程後の成形体を乾燥する第3の工程を含む、硬化体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化体の製造方法に関する。
建設分野で利用されている無機材料硬化体は、CaO、SiO2及びAl23を含む硬化体であることが多い。このような硬化体として、例えば、コンクリートやモルタルを挙げることができる。コンクリートやモルタルの製造にはセメントが必要不可欠であるが、セメントの生産時には石灰石の主成分である炭酸カルシウムの分解等によって多くの二酸化炭素が排出される。そこで、使用済みコンクリートの再利用が検討され、路盤材料や骨材として活用されてきた。しかし、道路建設の減少により使用済みコンクリートを路盤材料として消費することには限界があり、また骨材として再利用する場合、十分に表面の付着ペーストを取り除かなければ強度減少や乾燥収縮の増加等を生ずるため、付着ペーストの少ない良質の骨材を製造するにはコストやエネルギーの増大が避けられない。このような事情から、使用済みコンクリートの再利用は、未だ研究、検討段階にあり、完全実用化には至っていない。
近年、使用済みコンクリートを用いた新たな試みとして、コンクリートを破砕し、圧縮成形を行うことで、骨材の選別や分別等を行わずに、十分な強度を有する硬化体として再生する技術が検討されている(非特許文献1、2)。
酒井 雄也 他、土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)、Vol.72、No.1、p.32-40(2016) 酒井 雄也 他、土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)、Vol.76、No.4、p.306-314(2020)
上記非特許文献では、粉砕したコンクリートの成形物から十分な強度を有する硬化体を製造するために50MPa以上の高い成形圧力で成形体を圧縮成形している。即ち、硬化体の強度は成形圧力に依存するため、硬化体に十分な強度を発現させるうえで高い成形圧力を成形体に付与することが不可欠である。そのため、成形体を圧縮成形する際に多くのエネルギーが必要となり、コストの増大が避けられない。
本発明の目的は、高い成形圧力を要せずとも、十分な強度を有する硬化体を製造可能な硬化体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、CaO、SiO2及びAl23を含む組成物において、当該組成物中の酸化カルシウムと水酸化カルシウムに着目し、酸化カルシウムに対する水酸化カルシウムの割合(以下、「水酸化度」と称する)を指標に組成物を選択し、それを用いた成形体を圧縮成形する際の成形圧力と硬化体の強度との関係、硬化方法について詳細に検討を行った。その結果、CaO、SiO2及びAl23を含む組成物であって、水酸化度が特定範
囲内にある組成物を用いて成形体を作製し、水酸化カルシウムとアルミナシリカゲルとのポゾラン反応を惹起したうえで、さらに炭酸水素塩水溶液と接触させることより炭酸カルシウムの生成が促進され、高い成形圧力を要せずとも、十分な強度を有する硬化体が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔5〕を提供するものである。
〔1〕CaO、SiO2及びAl23を含む組成物であって、水酸化度が15~26質量%である組成物を加圧成形して成形体を作製する第1の工程と、
第2族元素含有材料と水との混合液に炭酸ガスを吹き込んで調製した炭酸水素塩水溶液と、第1の工程で作製した成形体とを接触させる第2の工程と、
第2の工程後の成形体を乾燥する第3の工程
を含む、硬化体の製造方法。
〔2〕第1の工程前に、CaO、SiO2及びAl23を含む組成物を2以上混合するか、又はCaO、SiO2及びAl23を含む組成物と水酸化カルシウムとを混合することにより、水酸化度が15~26質量%である組成物を調製する工程を含む、前記〔1〕記載の硬化体の製造方法。
〔3〕成型圧力が20MPa以下である、前記〔1〕又は〔2〕記載の硬化体の製造方法。
〔4〕第2族元素含有材料が水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム及びアルミン酸カルシウムから選択される1又は2以上を含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の硬化体の製造方法。
〔5〕第2の工程及び第3の工程を繰り返し行う、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一に記載の硬化体の製造方法。
本発明によれば、高い成形圧力を要することなく、十分な強度を有する硬化体を簡便な操作で製造することができる。したがって、本発明は、使用済みコンクリートやモルタルの再利用法として有用であり、またセメント製造時やその他の産業から大気中に排出され炭酸ガスを可能な限り回収し、それを用いることで、資源循環と炭素循環を両立したカーボンニュートラルの実現に大きく寄与することができる。
本発明の製造方法の一例を示すフローチャートである。 CaO、SiO及びAlを含む組成物の水酸化度の分析方法に関する説明図である。
以下、本発明の硬化体の製造方法について詳細に説明する。
本発明の硬化体の製造方法は、第1の工程と、第2の工程及び第3の工程を含むことを特徴とするものであり、その一例を図1に示す。
(第1の工程)
第1の工程は、CaO、SiO2及びAl23を含む組成物であって、水酸化度が15~26質量%である組成物(以下、「特定組成物」とも称する)を加圧成形して成形体を作製する工程である。
本工程においては、先ず、図1に示されるように、特定組成物を準備する。
特定組成物は、CaO、SiO2及びAl23の3種を含有すれば、これら以外の無機化合物が含まれていてもよい。これら3種以外の無機化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミン酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル、アルミナゲルを挙げることができるが、これらに限定されない。
また、特定組成物として、例えば、廃コンクリート、廃モルタル、焼却灰、スラグを使用してもよい。
廃コンクリート及び廃モルタルとしては、例えば、土木工事や構造物の解体等によって発生する解体コンクリートや解体モルタル、建築物等の建設時等に発生した余剰コンクリートや余剰モルタルを挙げることができる。特定組成物が廃コンクリートの場合は、粗骨材を分離して再生骨材として使用しても良い。
焼却灰としては、例えば、火力発電所等での微粉炭の燃焼によって生じる石炭灰を電気集塵機等で回収したもの、又はそれらを分級若しくは粉砕したものであって、「JIS A 6201:2015(コンクリート用フライアッシュ)」で規定されているフライアッシュI~IV種が挙げられる。また、火力発電所等での微粉炭やバイオマスの燃焼によって生じるクリンカアッシュ、バイオマス灰等も挙げられる、さらに、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰等も挙げられる。
スラグとしては、例えば、鉄鋼製造プロセス等をはじめとする種々のプロセスの溶解工程や精錬工程で生じたスラグを挙げることができる。具体的には、例えば、高炉スラグ、製鋼スラグ(例えば、転炉脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱珪スラグ、脱硫スラグ、電気炉スラグ、鋳造スラグなど)、溶融還元スラグ(例えば、鉄鉱石、Cr鉱石、Ni鉱石、Mn鉱石などの溶融還元により生じるスラグ)、その他の製錬炉や精錬炉から発生するスラグ、ごみ焼却灰溶融スラグ、廃棄物ガス化溶融スラグ等が挙げられる。
特定組成物の大きさは、加圧成形できれば適宜選択可能であるが、成形の容易さから、最大粒径が40mm未満であることが好ましく、35mm未満がより好ましく、30mm未満が更に好ましい。このような粒度の特定組成物の形態は、通常、粒状又は粉状であるが、中でも、粉状であると、所望の形状により成形しやすい点で好ましい。特定組成物が粉状である場合、その最大粒径は、通常、2mm未満が好ましく、1mm未満が更に好ましい。ここで、本明細書において「最大粒径」とは、試料がすべて通過する篩の最小の目開きで表した粒径をいう。
特定組成物を所望の粒度に調整するために、破砕、粉砕及び篩分けから選択される1以上を行うことができる。
破砕は、破砕機を使用することが可能であり、例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロールクラッシャー、ロータリークラッシャーが挙げられる。なお、破砕機には、廃コンクリートの粒度を調整するために、所望する篩目のスクリーンを装着するか、あるいはスクリーンを装着しない場合には、固定歯、回転歯、内壁等を所望するクリアランスに調整すればよい。
粉砕は、粉砕機を使用することが可能であり、例えば、ディスクミル、ワンダーブレンダー、ロッドミル、ボールミル、ローラーミルを挙げることができる。
篩分けは、篩選別機を使用することが可能であり、例えば、振動式、面内運動式、回転式及び固定式のいずれも使用することができる。篩目の種類としては、例えば、金属製又は非金属製の織網、打ち抜き網、溶接網、ウェッジワイヤースクリーン、櫛歯が挙げられ、適宜選択することができる。
特定組成物は、水酸化度が15~26質量%であることを要する。水酸化度が15質量%未満である場合、高い成形圧力を負荷しないと、硬化体に十分な強度を付与することができない。26質量%を超える場合、使用済みコンクリートやモルタルなどの再利用できる量が少なくなる。ここで、本明細書において「水酸化度」とは、特定組成物中の酸化カルシウムに対する水酸化カルシウムの割合をいう。水酸化度は、下記の条件で熱重量示差熱分析(TG-DTA測定)を行い、図2(a)に示されるように、400~500℃の範囲においてDTA曲線に吸熱ピークが認められた場合のみ、400~500℃の重量減少量(脱水量)から水酸化カルシウム量を分析し、下記式により算出することができる。他方、図2(b)に示されるように、同範囲にDTA曲線の吸熱ピークが認められない場合には、水酸化度は0質量%とする。また、熱重量分析装置として、市販の装置を使用することが可能であり、例えば、Thermo plus EV02 TG8121(リガク社製)を挙げることができる。
TG-DTA測定条件
・試料量 :約20mg
・昇温速度:10℃/min
・Nガスフロー雰囲気:300mL/min
水酸化度(質量%)
=(組成物中のCa(OH)2量×56/74)/組成物中のCaO量×100
水酸化度は、硬化体強度のより一層の増強の観点から、16質量%以上が好ましく、17質量%以上がより好ましく、18質量%以上が更に好ましく、19質量%以上がより更に好ましく、そして25質量%以下が好ましく、24質量%以下がより好ましく、23質量%以下が更に好ましい。
本工程前において、CaO、SiO2及びAl23を含む組成物を2種以上混合するか、又はCaO、SiO2及びAl23を含む組成物と水酸化カルシウムとを混合することにより、上記した水酸化度を有する特定組成物を調製してもよい。
次に、本工程においては、図1に示されるように、特定組成物を加圧成形する。
加圧成形は、例えば、型枠等に入れて行えばよい。型枠の形状は、硬化体の用途に合わせて適宜選択することができる。
成形の際には、液体を添加してもよい。液体を含むことで、成形しやすくなる。
液体の量は適宜選択可能であるが、特定組成物に対して、通常5質量%以上であり、8質量%以上が好ましく、そして20質量%以下が好ましく、15質量%以下が更に好ましい。液体は、硬化体の強度発現を損なわなければ特に種類は問わない。例えば、水を挙げることができるが、強度発現を促進する観点から、二酸化炭素回収装置から得た使用済みのアルカノールアミンやセメントの粉砕助剤に用いられるアミン溶液、炭酸水素カルシウム溶液等のアルカリ土類化合物の溶液を使用することもできる。
また、成形の際に、骨材、繊維等を混合しても構わない。
骨材としては、例えば、川や海等から採取した砂利や砂、岩石等を粉砕したもの、再生骨材を挙げることができる。
繊維としては、例えば、コンクリート用の鋼製の繊維、炭素繊維、ガラス繊維、玄武岩繊維(バサルトファイバー、玄武岩を溶融してガラス化して繊維を作るもの)、プラスチック製の繊維等のコンクリート用材料として市販されているものを挙げることができる。
なお、骨材及び繊維の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜選択することができる。
成形圧力は、20MPa以下が好ましく、15MPa以下がより好ましく、12MPa以下が更に好ましい。このような低い成形圧力であっても、硬化体に十分な強度を付与することができる。なお、成形圧力の下限値は、硬化体の強度に合わせて設定することが可能であるが、通常1Mpa以上であり、好ましくは2MPa以上であり、更に好ましくは3MPa以上である。
(第2の工程)
第2の工程は、第2族元素含有材料と水との混合液に炭酸ガスを吹き込んで調製した炭酸水素塩水溶液と、前記成形体とを接触させる工程である。これにより、硬化体中に炭酸カルシウムが析出することで硬化が進んでいくと共に、水、アルミナシリカゲル、水酸化カルシウムの存在によって、ポゾラン反応を促進することができる。
本工程においては、先ず、第2族元素含有材料を準備する。
第2族元素含有材料に含まれる第2族元素としては、周期表第2族元素であれば特に限定されないが、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムを挙げることができる。第2族元素は、1種又は2種以上含有することができる。中でも、第2族元素含有材料としては、カルシウム化合物及びマグネシウム化合物から選択される1又は2以上を含有することが好ましい。
カルシウム化合物及びマグネシウム化合物は、炭酸塩、酸化物、水酸化物、ケイ酸塩及びアルミニウム塩から選択される1種又は2種以上の形態であることが好ましい。具体例としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩を挙げることができる。
また、第2族元素含有材料として、例えば、石灰石、廃コンクリート、廃モルタル、廃コンクリートや生コンクリート廃水スラッジから回収したセメント水和物、スラグを使用しても構わない。ここで、本明細書において「生コンクリート廃水スラッジ」とは、生コンクリート工場やセメント二次製品工場等において、コンクリートの混練、運搬、成型設備等の洗浄廃水や、生コンクリート運搬先で余剰となった戻りコンクリート等の洗浄廃水をいう。なお、廃コンクリート、廃モルタル及びスラグは、第1の工程において説明したとおりである。
次に、本工程においては、図1に示されるように、第2族元素含有材料と水とを混合し、混合液を調製する。
混合液中の第2族元素含有材料と水との質量比(第2族元素含有材料/水)は、硬化体に十分な強度を付与する観点から、0.2/100~10/100が好ましく、0.5/100~5/100がより好ましく、1/100~2/100が更に好ましい。
混合液の調製は、第2族元素含有材料と水とを同時に添加しても、一方を他方に添加してもよい。混合液は、懸濁液又は分散液であってもよい。
次に、本工程においては、図1に示されるように、第2族元素含有材料と水との混合液に炭酸ガスを吹き込んで炭酸水素塩水溶液を調製する。
例えば、第2族元素含有材料が第2族元素としてカルシウムを含有する場合、Ca(HCO32が生成し、またマグネシウムを含有する場合、Mg(HCO32が生成する。
炭酸水素塩を含む混合液は、アニオンとしてHCO3 -を含む塩が形成されていれば、懸濁又は分散している液、例えばスラリーであっても構わない。
混合液への炭酸ガスの吹き込み方法は、混合液に炭酸ガスを溶解させ炭酸水素塩を生成することができれば、従来公知の手法を用いることができる。例えば、バブリング、細孔式、加圧溶解式、超音波式、旋回液流式、気液混合せん断式等の機械を用いる手法を挙げることができるが、これらに限定されない。
炭酸ガスは、市販のボンベに充填されたCO2でも構わないが、大気中のCO2由来であるか、種々の産業排気ガス中のCO2由来であることが好ましい。特に、カルシネーションによってセメント製造時に大気中に排出され分散した状態にあるCO2等を含めて種々の産業排気ガス中のCO2由来とすることにより、大気中のCO2の固定化に寄与することができる。なお、使用する炭酸ガスは、炭酸ガス濃度が高い方が炭酸塩の生成が速くなるため、好ましい。
混合液への炭酸ガスの吹き込み量は、炭酸ガスが飽和するまで吹き込めばよく、混合液のpHが弱酸性になるまで過剰に吹き込んでも構わない。
次に、本工程においては、図1に示されるように、炭酸水素塩水溶液と、第1の工程で作製した成形体とを接触させる。
接触方法は、例えば、次の方法を挙げることができるが、第1の工程で得た成形体と炭酸水素塩水溶液とを接触できれば、これらに特に限定されない。
(1)型枠に充填した成形体に炭酸水素塩水溶液を注入する方法
(2)型枠から外した成形体に炭酸水素塩水溶液を散布する方法
(3)型枠から外した成形体を炭酸水素塩水溶液に浸漬する方法
(4)(2)又は(3)の方法の後、乾燥を行い、散布もしくは浸漬と乾燥を繰り返す方法
炭酸水素塩水溶液と成形体との接触時間は、炭酸カルシウム生成及びポゾラン反応促進の観点から、通常0.1時間以上であり、好ましくは0.5時間以上であり、更に好ましくは1時間以上である。また、生産効率の観点から、接触時間は、好ましくは7時間以下であり、より好ましくは5時間以下であり、更に好ましくは2時間以下である。
また、炭酸水素塩水溶液と成形体とを接触させる際には、例えば、炭酸水素塩水溶液及び成形体を入れた容器に炭酸ガスを注入しながら行ってもよい。また、必要により撹拌しても構わない。
(第3の工程)
第3の工程は、図1に示されるように、第2の工程後の成形体を乾燥する工程である。これにより、成形体から水分が除去され、十分な強度を有する硬化体を得ることができる。
乾燥温度は、水分を除去できる温度であればよく、特に限定されないが、30~120℃が好ましく、45~120℃がより好ましく、60~110℃が更に好ましい。
乾燥時間は、水分を除去できば特に限定されないが、10~48時間が好ましく、15~36時間がより好ましく、20~30時間が更に好ましい。
乾燥方法は、水分が除去できれば特に限定されないが、例えば、内部が所定の乾燥温度に調整された乾燥設備に成形体を装入し、所定の時間保持することによって乾燥させる方法や、所定の乾燥温度の熱風を成形体に吹き付けて乾燥させる方法等を挙げることができる。また、セメント製造設備において発生する排ガスを利用して乾燥してもよい。
本発明においては、第2の工程及び第3の工程を繰り返し、複数回行ってもよい。これにより、硬化体の強度をより一層増強することができる。硬化体の強度の増強の観点から、第2の工程及び第3の工程を2回以上繰り返し行うことが好ましく、3回以上繰り返し行うことが更に好ましい。なお、第2の工程及び第3の工程を繰り返し行う回数の上限値は特に限定されないが、生産効率の観点から、5回以下である。
このようにして、硬化体を製造することができるが、得られた硬化体は、下記の特性を具備することができる。
硬化体の圧縮強度は、好ましくは4MPa以上であり、より好ましくは8MPa以上、更に好ましくは12MPa以上、より更に好ましくは14MPa以上である。なお、硬化体の圧縮強度の上限値は特に限定されないが、例えば、80MPa以下である。
本明細書において、硬化体の圧縮強度は、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に準拠して測定することができる。例えば、従来公知の万能試験機(引張・圧縮試験機)により、硬化体(試験体)を圧縮し、荷重を測定して、最大値を記録し、その荷重を断面積で除して応力(圧縮強度(MPa))として算出することができる。
本発明の硬化体は、コンクリートの代替品として用いることができる。例えば、建設材料用、より具体的には、建築用柱、梁、スラブ等の部材、ブロック等の固化体、建造物の基礎、杭を挙げることができるが、これらに限定されない。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
1.組成分析
JIS R 5201に準拠して強熱減量を測定した。
また、蛍光X線分析装置(ZSX primus II、リガク社製)を用いて蛍光X線分析し、SiO2、Al23、Fe23、CaO、MgO及びSO3の含有率を求めた。
2.水酸化度の分析
下記の条件で熱重量示差熱分析(TG-DTA測定)を行った。そして、図2(a)に示されるように、400~500℃の範囲においてDTA曲線に吸熱ピークが認められた場合のみ、400~500℃の重量減少量(脱水量)から水酸化カルシウム量を分析し、下記式により算出した。他方、図2(b)に示されるように、同範囲にDTA曲線の吸熱ピークが認められない場合には、水酸化度は0.0質量%とした。
TG-DTA測定条件
・試料量 :約20mg
・昇温速度:10℃/min
・Nガスフロー雰囲気:300mL/min
・使用機器:Thermo plus EV02 TG8121(リガク社製)
水酸化度(質量%)
=(組成物中のCa(OH)2量×56/74)/組成物中のCaO量×100
3.圧縮強度の測定
変位制御式万能試験機(インストロンジャパン社製)により測定した。
製造例1
建設廃材を模したモルタルを次の手順で製造した。先ず、普通ポルトランドセメント、セメント強さ試験用標準砂(セメント協会)、水を用いてモルタルを練り混ぜた。練り混ぜ方法はJIS R 5201に準拠した。材料配合は水セメント比を50%とし、砂セメント比を3とした。
モルタルを型枠に打ち込み、材齢1日後に脱型した。脱型後のモルタルを水中で28日間養生させた。養生後のモルタルを105℃で7日間乾燥した後、ジョークラッシャーを用いて5mm以下まで破砕した。破砕したモルタルの一部は、中性化装置中に45℃、80%RH、CO2 80%の条件下で7日間静置し、炭酸化処理を実施した。「炭酸化処理後のモルタル」及び「炭酸化処理前のモルタル」をそれぞれ篩目0.6mmの篩を用いて篩分けし、篩下の粉末を実験に用いた。
そして、炭酸化処理を実施していないものを「モルタル粉末A」、炭酸化処理を実施したものを「モルタル粉末B」とした。モルタル粉末A及びモルタル粉末Bの組成について分析した結果を表1に示す。
実施例1~3及び比較例1~4
(第1の工程)
製造例1で得られたモルタル粉末A及びモルタル粉末Bを表2に示す割合で混合した後、外割で10質量%の水を混合し、ペレット成形機を用いて、成形圧力10MPaにてφ10×20mmの成形体を作製した。そして、作製した成形体を105℃の乾燥機で12時間乾燥した。
(第2の工程)
イオン交換水2Lに対し、炭酸カルシウム(関東化学、特級)を20g投入した。次いで、CO2ガスを0.5L/minの速度で吹き込みながら、250rpmの速度で1時間撹拌し、炭酸水素カルシウム水溶液を作製した。
次いで、この炭酸水素カルシウム水溶液に、第1の工程で得た成形体を2時間浸漬した。なお、浸漬中もCO2ガスの吹込みと溶液の撹拌を継続した。
(第3の工程)
浸漬後、成形体を105℃の乾燥機で12時間乾燥した。
浸漬から乾燥までの操作を1サイクルとし、全部で3サイクル繰返し行い、1サイクルごとに硬化体の圧縮強度試験を実施した。その結果を表2に示す。
表2の結果から、水酸化度が特定範囲内である特定組成物を用いることで、高い成形圧力を要することなく、十分な強度を有する硬化体を製造できることがわかる。また、第2の工程と第3の工程を2回以上繰り返し行うことで、硬化体の強度を増強できることがわかる。

Claims (5)

  1. CaO、SiO2及びAl23を含む組成物であって、水酸化度が15~26質量%である組成物を加圧成形して成形体を作製する第1の工程と、
    第2族元素含有材料と水との混合液に炭酸ガスを吹き込んで調製した炭酸水素塩水溶液と、第1の工程で作製した成形体とを接触させる第2の工程と、
    第2の工程後の成形体を乾燥する第3の工程
    を含む、硬化体の製造方法。
  2. 第1の工程前に、CaO、SiO2及びAl23を含む組成物を2以上混合するか、又はCaO、SiO2及びAl23を含む組成物と水酸化カルシウムとを混合することにより、水酸化度が15~26質量%である組成物を調製する工程を含む、請求項1記載の硬化体の製造方法。
  3. 成型圧力が20MPa以下である、請求項1又は2記載の硬化体の製造方法。
  4. 第2族元素含有材料が水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム及びアルミン酸カルシウムから選択される1又は2以上を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化体の製造方法。
  5. 第2の工程と第3の工程を繰り返し行う、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化体の製造方法。
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