JP2023137605A - Mrセンサのオフセット推定方法、mrセンサおよびポジショナ - Google Patents
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Abstract
【課題】MRセンサの出力電圧のオフセットを推定する。【解決手段】MRセンサ10は、第1のブリッジ回路と、第1のブリッジ回路と出力の位相が異なる第2のブリッジ回路と、バルブの弁軸の動きに連動して第1、第2のブリッジ回路に印加する磁場が回転する磁場発生部を備える。オートセットアップ実行部114は、開始角度から終了角度までの所定の範囲内で磁場の角度が変わるようにバルブの開度を制御する。センサ出力測定部111,112は第1、第2のブリッジ回路の出力電圧を測定する、オフセット算出部115は、第1のブリッジ回路の出力電圧をx、第2のブリッジ回路の出力電圧をyとしたときに、磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータを近似する楕円の式の変数を算出し、楕円の中心座標を第1、第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットとして算出する。【選択図】 図2
Description
本発明は、磁気センサであるMRセンサの出力電圧のオフセットを推定する技術に関するものである。
従来、ポジショナのバルブ開度検出には磁気センサが使用されている(特許文献1参照)。磁気センサには、磁気センサを1つ使用する構成と2つ使用する構成とがあるが、いずれの場合でも、理想的に出力電圧が発生しない角度で磁場が印加されている際に、出力電圧が発生するオフセットが存在する。ポジショナのバルブ開度検出に磁気センサを使用する場合、オフセットがバルブ開度リニアリティの誤差要因になるという課題があった。
工場出荷時においては、磁気センサのオフセットの把握が可能であるため、初期状態でのオフセット補正は可能である。しかしながら、磁気センサのオフセットの温度特性に個体差があるため、バルブ開度の検出動作中に温度が変化した場合のオフセットの変化を予測することは困難であり、オフセットを補正することも難しい。このため、バルブ開度リニアリティに誤差が生じる可能性があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、MRセンサの出力電圧のオフセットを推定することが可能なオフセット推定方法、MRセンサおよびポジショナを提供することを目的とする。
本発明は、第1乃至第4のMR素子からなる第1のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が異なるように配置された第5乃至第8のMR素子からなる第2のブリッジ回路と、測定対象の角度に連動して前記第1、第2のブリッジ回路に印加する磁場が回転するように構成された磁場発生部とを備えたMRセンサの出力電圧のオフセットを推定するオフセット推定方法において、オートセットアップの実行時に、開始角度から終了角度までの所定の範囲内で前記磁場の角度を複数の異なる値に順次変更する第1のステップと、前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧をそれぞれ測定する第2のステップと、前記第1のブリッジ回路の出力電圧をx、前記第2のブリッジ回路の出力電圧をyとしたときに、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータを近似する楕円の式の変数を算出する第3のステップと、前記第3のステップで算出した変数に基づいて、前記楕円の中心座標を前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットとして算出する第4のステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサのオフセット推定方法の1構成例において、前記第1乃至第8のMR素子は、AMR素子であり、前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が45°異なるように配置され、開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも90°にわたる範囲とすることを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサのオフセット推定方法の1構成例において、前記第1乃至第8のMR素子は、GMR素子またはTMR素子であり、前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が90°異なるように配置され、開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも180°にわたる範囲とすることを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサのオフセット推定方法の1構成例において、前記第1乃至第8のMR素子は、GMR素子またはTMR素子であり、前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が90°異なるように配置され、開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも180°にわたる範囲とすることを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサのオフセット推定方法の1構成例において、前記第1のブリッジ回路の出力電圧のオフセットをx0、前記第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットをy0、前記第1のブリッジ回路の出力電圧の振幅をa、前記第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅をbとし、a2/b2=A,-2x0=B,-(2a2y0)/b2=C,x0
2+(a2y0
2)/b2-a2=Dとしたときに、前記第3のステップは、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータに基づいて、前記楕円の式x2+Ay2+Bx+Cy+D=0の変数A,B,C,Dを算出するステップを含み、前記第4のステップは、前記第3のステップで算出した変数A,B,C,Dに基づいて、前記楕円の中心座標である前記オフセットx0,y0を算出するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサのオフセット推定方法の1構成例において、前記第1のブリッジ回路の出力電圧のオフセットをx0、前記第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットをy0、前記第1のブリッジ回路の出力電圧の振幅をa、前記第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅をbとし、a/b=k(kは定数)、-2x0=A,-2k2y0=B,x0 2+k2y0 2-a2=Cとしたときに、前記第3のステップは、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータに基づいて、前記楕円の式x2+k2y2+Ax+By+C=0の変数A,B,Cを算出するステップを含み、前記第4のステップは、前記第3のステップで算出した変数A,B,Cに基づいて、前記楕円の中心座標である前記オフセットx0,y0を算出するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサのオフセット推定方法の1構成例において、前記第1のブリッジ回路の出力電圧のオフセットをx0、前記第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットをy0、前記第1のブリッジ回路の出力電圧の振幅をa、前記第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅をbとし、a/b=k(kは定数)、-2x0=A,-2k2y0=B,x0 2+k2y0 2-a2=Cとしたときに、前記第3のステップは、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータに基づいて、前記楕円の式x2+k2y2+Ax+By+C=0の変数A,B,Cを算出するステップを含み、前記第4のステップは、前記第3のステップで算出した変数A,B,Cに基づいて、前記楕円の中心座標である前記オフセットx0,y0を算出するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサは、第1乃至第4のMR素子からなる第1のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が異なるように配置された第5乃至第8のMR素子からなる第2のブリッジ回路と、測定対象の角度に連動して前記第1、第2のブリッジ回路に印加する磁場が回転するように構成された磁場発生部と、オートセットアップの実行時に、開始角度から終了角度までの所定の範囲内で前記磁場の角度を複数の異なる値に順次変更するように構成されたオートセットアップ実行部と、前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧をそれぞれ測定するように構成されたセンサ出力測定部と、前記第1のブリッジ回路の出力電圧をx、前記第2のブリッジ回路の出力電圧をyとしたときに、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータを近似する楕円の式の変数を算出し、算出した変数に基づいて、前記楕円の中心座標を前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットとして算出するように構成されたオフセット算出部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサの1構成例は、前記オートセットアップの実行後の角度測定時に、前記センサ出力測定部によって測定された前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧と前記オフセットと前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅とに基づいて、前記磁場の角度を算出するように構成された角度算出部をさらに備え、前記オフセット算出部は、前記オートセットアップの実行時に前記楕円の長径と短径のうち一方の径を前記第1のブリッジ回路の出力電圧の振幅、他方の径を前記第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅として算出することを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサの1構成例において、前記第1乃至第8のMR素子は、AMR素子であり、前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が45°異なるように配置され、開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも90°にわたる範囲とすることを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサの1構成例において、前記第1乃至第8のMR素子は、GMR素子またはTMR素子であり、前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が90°異なるように配置され、開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも180°にわたる範囲とすることを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサの1構成例において、前記第1乃至第8のMR素子は、AMR素子であり、前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が45°異なるように配置され、開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも90°にわたる範囲とすることを特徴とするものである。
また、本発明のMRセンサの1構成例において、前記第1乃至第8のMR素子は、GMR素子またはTMR素子であり、前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が90°異なるように配置され、開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも180°にわたる範囲とすることを特徴とするものである。
また、本発明のポジショナは、第1乃至第4のMR素子からなる第1のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が異なるように配置された第5乃至第8のMR素子からなる第2のブリッジ回路と、制御対象のバルブの弁軸の動きに連動して前記第1、第2のブリッジ回路に印加する磁場が回転するように構成された磁場発生部とを備えたMRセンサと、オートセットアップの実行時に、開始角度から終了角度までの所定の範囲内で前記磁場の角度が複数の異なる値に順次変わるように前記バルブの開度を制御するように構成されたオートセットアップ実行部と、前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧をそれぞれ測定するように構成されたセンサ出力測定部と、前記第1のブリッジ回路の出力電圧をx、前記第2のブリッジ回路の出力電圧をyとしたときに、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータを近似する楕円の式の変数を算出し、算出した変数に基づいて前記楕円の中心座標を前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットとして算出し、前記楕円の長径と短径のうち一方の径を前記第1のブリッジ回路の出力電圧の振幅、他方の径を前記第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅として算出するように構成されたオフセット算出部と、前記オートセットアップの実行後のバルブ制御運転時に、前記センサ出力測定部によって測定された前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧と前記オフセットと前記振幅とに基づいて、前記磁場の角度を算出するように構成された角度算出部と、前記バルブ制御運転時に、前記角度算出部によって算出された磁場の角度に基づいて前記バルブの開度実測値を求めるように構成された開度実測値生成部と、前記バルブ制御運転時に、前記バルブの開度設定値と前記開度実測値とに基づいて前記バルブの開度を制御するための制御信号を生成するように構成された制御信号生成部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のポジショナの1構成例において、前記第1乃至第8のMR素子は、AMR素子であり、前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が45°異なるように配置され、開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも90°にわたる範囲とすることを特徴とするものである。
また、本発明のポジショナの1構成例において、前記第1乃至第8のMR素子は、GMR素子またはTMR素子であり、前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が90°異なるように配置され、開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも180°にわたる範囲とすることを特徴とするものである。
また、本発明のポジショナの1構成例において、前記第1乃至第8のMR素子は、GMR素子またはTMR素子であり、前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が90°異なるように配置され、開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも180°にわたる範囲とすることを特徴とするものである。
本発明によれば、オートセットアップの実行時に、開始角度から終了角度までの所定の範囲内で磁場の角度を複数の異なる値に順次変更し、第1、第2のブリッジ回路の出力電圧をそれぞれ測定し、第1のブリッジ回路の出力電圧をx、第2のブリッジ回路の出力電圧をyとしたときに、磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータを近似する楕円の式の変数を算出し、算出した変数に基づいて、楕円の中心座標を第1、第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットとして算出することにより、初期状態から温度が変化した場合でも、MRセンサの出力電圧のオフセットを推定することができる。
[発明の原理]
本発明では、磁気センサを構成する素子として磁気抵抗効果(MR:Magneto Resistance effect)素子を使用し、MR素子で構成されたブリッジ回路を2つ設ける2出力フルブリッジMRセンサを使用する。2出力フルブリッジMRセンサでは、2つのブリッジ回路の出力比を用いることで角度を検出することができる。
本発明では、磁気センサを構成する素子として磁気抵抗効果(MR:Magneto Resistance effect)素子を使用し、MR素子で構成されたブリッジ回路を2つ設ける2出力フルブリッジMRセンサを使用する。2出力フルブリッジMRセンサでは、2つのブリッジ回路の出力比を用いることで角度を検出することができる。
2出力フルブリッジMRセンサの出力は、楕円の式で表すことが可能である。この楕円の中心座標が2つのブリッジ回路の出力電圧のオフセットとなる。バルブ制御運転時にMRセンサの出力電圧情報を得てプロットしていき、それら出力電圧のデータに対して最小二乗法を用いて近似を行う。近似を行った楕円の中心座標からオフセットを推定する。
本発明のMRセンサをポジショナに適用した場合、バルブ制御運転時にオートセットアップを行い、出力電圧情報を得ることで、その時点でのMRセンサのオフセットを推定することが可能である。本発明では、使用可能な温度範囲内であれば、どの温度でもオフセットを推定可能である。また、本発明では、ポジショナをバルブから取り外すことなくオフセットの推定が可能である。
[実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係るポジショナの構成を示すブロック図である。ポジショナ1は、上位装置4から与えられたバルブ3の弁開度の設定値とバルブ3の弁開度の実測値との偏差を算出し、その偏差に応じた空気圧操作信号を生成して操作器2に与えることにより、バルブ3の開度を制御する。ポジショナ1は、角度センサであるMRセンサ10と、データ処理制御部11と、電空変換部12と、空気圧増幅部13とを備えている。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係るポジショナの構成を示すブロック図である。ポジショナ1は、上位装置4から与えられたバルブ3の弁開度の設定値とバルブ3の弁開度の実測値との偏差を算出し、その偏差に応じた空気圧操作信号を生成して操作器2に与えることにより、バルブ3の開度を制御する。ポジショナ1は、角度センサであるMRセンサ10と、データ処理制御部11と、電空変換部12と、空気圧増幅部13とを備えている。
MRセンサ10は、バルブ3の開度をバルブ3の弁軸の変位量として検出する。データ処理制御部11は、MRセンサ10の出力信号に基づいて、バルブ3の開度を制御するための制御信号を生成する。具体的には、データ処理制御部11は、MRセンサ10の出力信号に基づいてバルブ3の開度の実測値を算出し、上位装置4から与えられたバルブ3の開度の設定値と開度の実測値との偏差を算出して、偏差がゼロになるように制御信号を生成する。
電空変換部12は、データ処理制御部11によって生成された制御信号を空気圧信号に変換して出力する。具体的には、電空変換部12は、例えば減圧弁(図示せず)から供給された空気の給気圧を、制御信号に応じた圧力に変換し、空気圧信号として出力する。
空気圧増幅部13は、電空変換部12から出力された空気圧信号の圧力を増幅して操作器2に出力する。具体的には、空気圧増幅部13は、例えば減圧弁から供給された空気の給気圧を、電空変換部12から出力された空気圧信号の圧力に応じて調圧し、空気圧操作信号として出力する。
図2は本実施例のデータ処理制御部11の構成を示すブロック図である。データ処理制御部11は、電源110と、センサ出力測定部111,112と、記憶部113と、オートセットアップ実行部114と、オフセット算出部115と、角度算出部116と、開度実測値生成部117と、制御信号生成部118とを備えている。
図3は本実施例のMRセンサ10の構成を示すブロック図である。本実施例のMRセンサ10は、磁場のベクトル変化によって電気抵抗が変化するMR素子で構成された2つのブリッジ回路100,101と、ブリッジ回路100,101に作用する磁場を発生させる磁場発生部102とから構成される。
ブリッジ回路100は、MR素子R1とMR素子R2とを直列に接続した直列回路103と、MR素子R3とMR素子R4とを直列に接続した直列回路104とを並列に接続したものである。同様に、ブリッジ回路101は、MR素子R5とMR素子R6とを直列に接続した直列回路105と、MR素子R7とMR素子R8とを直列に接続した直列回路106とを並列に接続したものである。
データ処理制御部11の電源110がONになると図3におけるブリッジ回路100のPとGNDの間、およびブリッジ回路101のQとGNDの間のそれぞれに、一定電圧Vがかかり電流Iが流れる。
ブリッジ回路100の中点電位差(直列回路103の中点と直列回路104の中点との電位差)V1をブリッジ回路100の出力電圧とし、ブリッジ回路101の中点電位差(直列回路105の中点と直列回路106の中点との電位差)V2をブリッジ回路101の出力電圧とする。
ブリッジ回路100の中点電位差(直列回路103の中点と直列回路104の中点との電位差)V1をブリッジ回路100の出力電圧とし、ブリッジ回路101の中点電位差(直列回路105の中点と直列回路106の中点との電位差)V2をブリッジ回路101の出力電圧とする。
MR素子R1~R8としては、異方性磁気抵抗効果(AMR:Anisotropic Magneto Resistance effect)素子、巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto Resistance effect)素子、トンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunnel Magneto resistance effect)素子がある。
MR素子R1~R8としてAMR素子を用いる場合、図4の矢印で示すように、ブリッジ回路100のMR素子R1とR4の抵抗値が最小になる磁場の方向が同一であり、MR素子R2とR3の抵抗値が最小になる磁場の方向が同一である。ブリッジ回路100の隣り合うMR素子の抵抗値が最小になる磁場の方向は直交している。同様に、ブリッジ回路101のMR素子R5とR8の抵抗値が最小になる磁場の方向が同一であり、MR素子R6とR7の抵抗値が最小になる磁場の方向が同一である。ブリッジ回路101の隣り合うMR素子の抵抗値が最小になる磁場の方向は直交している。そして、ブリッジ回路100とブリッジ回路101は、抵抗値が最小になる磁場の方向が45°ずれるように配置されている。
MR素子R1~R8としてGMR素子またはTMR素子を用いる場合、図5の矢印で示すように、ブリッジ回路100のMR素子R1とR4のピン層の磁化方向が同一であり、MR素子R2とR3のピン層の磁化方向が同一である。ブリッジ回路100の隣り合うMR素子のピン層の磁化方向は逆方向になっている。同様に、ブリッジ回路101のMR素子R5とR8のピン層の磁化方向が同一であり、MR素子R6とR7のピン層の磁化方向が同一である。ブリッジ回路101の隣り合うMR素子のピン層の磁化方向は逆方向になっている。そして、ブリッジ回路100とブリッジ回路101は、ピン層の磁化方向が直交するように配置されている。
磁場発生部102は、ブリッジ回路100,101に作用する磁場を発生させる。図6は磁場発生部102の構成例を示す斜視図である。磁場発生部102は、シャフト1020と、中央部がシャフト1020の先端に固定された回転体1021と、回転体1021に取り付けられた磁石1022,1023とから構成される。
シャフト1020の他端はフィードバックレバー107の一端に固定されている。バルブ3の弁軸の回転に伴ってフィードバックレバー107の他端がシャフト1020の軸を中心として回転すると、シャフト1020が回転し、回転体1021と共に磁石1022,1023がブリッジ回路100,101の周囲を回転する。これにより、ブリッジ回路100,101に作用する磁場の方向が変化してブリッジ回路100,101のMR素子R1~R8の抵抗値が変化する。磁石1022,1023による磁場の回転面と、MR素子R1~R8の薄膜パターンが形成されたセンサ面(図4、図5の紙面と平行な面)とは平行である。
図7に示すようにMRセンサ10のブリッジ回路100,101に対して磁場を角度α=0°~360°の向きで印加した場合、ブリッジ回路100の出力電圧V1を余弦(cos)波で表せるとすると、ブリッジ回路101の出力電圧V2を正弦(sin)波で表すことができる。
MR素子R1~R8としてAMR素子を用いる場合、出力電圧V1,V2の周期は180°、MR素子R1~R8としてGMR素子またはTMR素子を用いる場合、出力電圧V1,V2の周期は360°である。このため、MR素子R1~R8としてAMR素子を用いる場合、磁場の角度αと出力電圧V1,V2との関係は図8のようになる。また、MR素子R1~R8としてGMR素子またはTMR素子を用いる場合、磁場の角度αと出力電圧V1,V2との関係は図9のようになる。
上記のとおりブリッジ回路100,101の出力電圧V1,V2はそれぞれcos波、sin波で表すことができるが、一般的にどちらにもオフセットが存在する。ブリッジ回路100の出力電圧V1のオフセットをV1offとし、ブリッジ回路101の出力電圧V2のオフセットをV2offとする。Vm1は出力電圧V1の最大振幅、Vm2は出力電圧V2の最大振幅である。
MR素子R1~R8としてAMR素子を用いる場合、ブリッジ回路100,101の出力電圧V1,V2の周期が180°であるため、以下の式(1)~式(5)が得られる。
V1=Vm1cos2α+V1off ・・・(1)
V2=Vm2sin2α+V2off ・・・(2)
(V1-V1off)/Vm1=cos2α ・・・(3)
(V2-V2off)/Vm2=sin2α ・・・(4)
cos22α+sin22α=1 ・・・(5)
V1=Vm1cos2α+V1off ・・・(1)
V2=Vm2sin2α+V2off ・・・(2)
(V1-V1off)/Vm1=cos2α ・・・(3)
(V2-V2off)/Vm2=sin2α ・・・(4)
cos22α+sin22α=1 ・・・(5)
式(1)~式(5)より、式(6)が得られる。
{(V1-V1off)/Vm1}2+{(V2-V2off)/Vm2)2=1 ・・(6)
{(V1-V1off)/Vm1}2+{(V2-V2off)/Vm2)2=1 ・・(6)
ここでV1=x,V1off=x0,V2=y,V2off=y0,Vm1=a,Vm2=bとおくと、式(7)のように記述することができる。
{(x-x0)/a}2+{(y-y0)/b}2=1 ・・・(7)
{(x-x0)/a}2+{(y-y0)/b}2=1 ・・・(7)
出力電圧V1,V2の振幅Vm1とVm2が同値となる確率は低いため、aとbも同値となる確率が低い。よって、式(7)をxy座標で表現すると、(x0,y0)を中心とする楕円となる。a,bは一方が楕円の長径、他方が楕円の短径である。また、MR素子R1~R8としてGMR素子またはTMR素子を用いる場合、出力電圧V1,V2の周期が360°であるため、式(1)~式(5)の2αがαとなるが、同様に式(6)、式(7)が得られる。
ここで、aとbの比率a/b(振幅Vm1とVm2の比率)について考える。MRセンサによっては温度変化などによる比率a/bの変化が、初期状態と比較して大きいものと小さいものが存在する。
[ケース1:比率a/bの変化が大きい場合]
最初に、温度変化などによる比率a/bの変化が大きいことが分かっている場合について説明する。比率a/bが変化しないことが期待できない、事前に比率a/bの値を取得しておくことができない、等の事情があれば、以下で説明するケース1の方法を採用する。式(7)において、左辺と右辺の差は式(8)のようになる。
x2+(a2/b2)y2-2x0x-(2a2y0y)/b2+x0 2+(a2y0 2)/b2
-a2=0 ・・・(8)
最初に、温度変化などによる比率a/bの変化が大きいことが分かっている場合について説明する。比率a/bが変化しないことが期待できない、事前に比率a/bの値を取得しておくことができない、等の事情があれば、以下で説明するケース1の方法を採用する。式(7)において、左辺と右辺の差は式(8)のようになる。
x2+(a2/b2)y2-2x0x-(2a2y0y)/b2+x0 2+(a2y0 2)/b2
-a2=0 ・・・(8)
a2/b2=A,-2x0=B,-(2a2y0)/b2=C,x0
2+(a2y0
2)/b2-a2=Dとおくと、式(8)から、出力電圧V1をx、出力電圧V2をyとしたときのxy平面上の楕円の近似式が式(9)のように得られる。
x2+Ay2+Bx+Cy+D=0 ・・・(9)
x2+Ay2+Bx+Cy+D=0 ・・・(9)
評価関数f(x,y)を式(10)のように定める。
f(x,y)=Σ(x2+Ay2+Bx+Cy+D)2 ・・・(10)
f(x,y)=Σ(x2+Ay2+Bx+Cy+D)2 ・・・(10)
ここで最小二乗法を用いる。測定したx,yについて式(7)の左辺と右辺の差の2乗の和(式(10))が最小となる場合を求める必要がある。式(10)をそれぞれA,B,C,Dの変数による式として考えると、式(11)~式(14)に示すように、それぞれA,B,C,Dで偏微分したものが0となればよい。
∂f(x,y)/∂A=Σ(x2y2+Ay4+Bxy2+Cy3+Dy2)=0
・・・(11)
∂f(x,y)/∂B=Σ(x3+Axy2+Bx2+Cxy+Dx)=0
・・・(12)
∂f(x,y)/∂C=Σ(x2y+Ay3+Bxy+Cy2+Dy)=0
・・・(13)
∂f(x,y)/∂D=Σ(x2+Ay2+Bx+Cy+D)=0 ・・・(14)
∂f(x,y)/∂A=Σ(x2y2+Ay4+Bxy2+Cy3+Dy2)=0
・・・(11)
∂f(x,y)/∂B=Σ(x3+Axy2+Bx2+Cxy+Dx)=0
・・・(12)
∂f(x,y)/∂C=Σ(x2y+Ay3+Bxy+Cy2+Dy)=0
・・・(13)
∂f(x,y)/∂D=Σ(x2+Ay2+Bx+Cy+D)=0 ・・・(14)
式(11)~式(14)より、次式が得られる。
実測して得られたMRセンサ10の出力電圧x=V1,y=V2を式(16)に代入すると、A,B,C,Dが得られる。よって、a2/b2=A,-2x0=B,-(2a2y0)/b2=C,x0
2+(a2y0
2)/b2-a2=Dより、x0=V1off、y0=V2off、a=Vm1、b=Vm2が得られるため、出力電圧V1,V2の振幅Vm1,Vm2とオフセットV1off,V2offとを推定することができる。
MR素子R1~R8としてAMR素子を用いる場合、x0=V1off、y0=V2off、a=Vm1、b=Vm2を得るためには、開始角度から終了角度まで少なくとも90°にわたる範囲(楕円の半分に渡る範囲)の角度αについて出力電圧V1,V2を測定する必要がある。また、MR素子R1~R8としてGMR素子またはTMR素子を用いる場合、開始角度から終了角度まで少なくとも180°にわたる範囲の角度αについて出力電圧V1,V2を測定する必要がある。
図10はMR素子R1~R8としてAMR素子を用いる場合のセンサ出力測定部111,112と記憶部113とオフセット算出部115とオートセットアップ実行部114の動作を説明するフローチャートである。
データ処理制御部11のオートセットアップ実行部114は、バルブ制御運転時の所定のタイミングにおいてオートセットアップを実行する。具体的には、オートセットアップ実行部114は、開始角度から終了角度まで少なくとも90°にわたる範囲内の所定の磁場の角度α(すなわちバルブ開度)に対応する制御信号を電空変換部12に出力する(図10ステップS100)。上記で説明した電空変換部12と空気圧増幅部13と操作器2の動作により、バルブ3の開度が制御信号に応じた開度に設定される。オートセットアップを実行するタイミングとしては、例えば運転開始時、あるいはオペレータからオートセットアップの実行指示があった時などがある。
上記で説明したように、バルブ3の弁軸の回転に伴って磁場発生部102のシャフト1020が回転し、回転体1021と共に磁石1022,1023がブリッジ回路100,101の周囲を回転することにより、バルブ3の開度に応じた方向の磁場がMRセンサ10のブリッジ回路100,101に印加される。
データ処理制御部11のセンサ出力測定部111は、ブリッジ回路100の出力電圧V1を測定し、センサ出力測定部112は、ブリッジ回路101の出力電圧V2を測定する(図10ステップS101)。センサ出力測定部111,112によって測定された出力電圧V1,V2の値は、記憶部113に格納される。
次に、オートセットアップ実行部114は、開始角度から終了角度まで少なくとも90°にわたる範囲内の予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えていない場合には(図10ステップS102においてNO)、測定未了の次の角度αに対応する制御信号を電空変換部12に出力する(図10ステップS103)。角度αが変更される度にバルブ3の開度が変わることは言うまでもない。こうして、予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えるまで、ステップS101,S103の処理が繰り返し実行される。
データ処理制御部11のオフセット算出部115は、予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えた後に(ステップS102においてYES)、角度α毎に測定された出力電圧(V1,V2)の組を記憶部113から全て読み出し(図10ステップS104)、角度α毎に測定された出力電圧(x,y)=(V1,V2)を式(16)に代入することにより、楕円の近似式の変数A,B,C,Dを算出する(図10ステップS105)。
そして、オフセット算出部115は、a2/b2=A,-2x0=B,-(2a2y0)/b2=C,x0
2+(a2y0
2)/b2-a2=Dにより、出力電圧V1,V2のオフセットx0=V1off,y0=V2offと振幅a=Vm1,b=Vm2とを算出する(図10ステップS106)。
図11はMR素子R1~R8としてGMR素子またはTMR素子を用いる場合のセンサ出力測定部111,112と記憶部113とオフセット算出部115とオートセットアップ実行部114の動作を説明するフローチャートである。
オートセットアップ実行部114は、ステップS100と同様にバルブ制御運転時の所定のタイミングにおいて、開始角度から終了角度まで少なくとも180°にわたる範囲内の所定の磁場の角度αに対応する制御信号を電空変換部12に出力する(図11ステップS100a)。
センサ出力測定部111,112と記憶部113の動作(図11ステップS101)は上記のとおりである。
センサ出力測定部111,112と記憶部113の動作(図11ステップS101)は上記のとおりである。
次に、オートセットアップ実行部114は、開始角度から終了角度まで少なくとも180°にわたる範囲内の予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えていない場合には(図11ステップS102aにおいてNO)、測定未了の次の角度αに対応する制御信号を電空変換部12に出力する(図11ステップS103a)。こうして、予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えるまで、ステップS101a,S103aの処理が繰り返し実行される。
オフセット算出部115の動作(図11ステップS104~S106)は上記のとおりである。
オフセット算出部115の動作(図11ステップS104~S106)は上記のとおりである。
[ケース2:比率a/bの変化が小さい場合]
次に、温度変化などによる比率a/bの変化が小さいことが分かっている場合について説明する。2つのブリッジ回路100,101の製造方法等により、比率a/bが変化しないことが期待でき、事前に比率a/bの値を取得しておくことができる場合には、比率a/bを利用する。この場合、式(7)においてa/b=k(定数)とおくことができる。よって、式(7)において、左辺と右辺の差は式(17)のようになる。
x2+k2y2-2x0x-2k2y0y+x0 2+k2y0 2-a2=0 ・・・(17)
次に、温度変化などによる比率a/bの変化が小さいことが分かっている場合について説明する。2つのブリッジ回路100,101の製造方法等により、比率a/bが変化しないことが期待でき、事前に比率a/bの値を取得しておくことができる場合には、比率a/bを利用する。この場合、式(7)においてa/b=k(定数)とおくことができる。よって、式(7)において、左辺と右辺の差は式(17)のようになる。
x2+k2y2-2x0x-2k2y0y+x0 2+k2y0 2-a2=0 ・・・(17)
-2x0=A,-2k2y0=B,x0
2+k2y0
2-a2=Cとおくと、式(17)から、出力電圧V1をx、出力電圧V2をyとしたときのxy平面上の楕円の近似式が式(18)のように得られる。
x2+k2y2+Ax+By+C=0 ・・・(18)
x2+k2y2+Ax+By+C=0 ・・・(18)
評価関数f(x,y)を式(19)のように定める。
f(x,y)=Σ(x2+k2y2+Ax+By+C)2 ・・・(19)
f(x,y)=Σ(x2+k2y2+Ax+By+C)2 ・・・(19)
ここで最小二乗法を用いる。a/b=kとおいた式(7)の左辺と右辺の差の2乗の和(式(19))が最小となる場合を求める必要がある。式(19)をそれぞれA,B,Cの変数による式として考えると、式(20)~式(22)に示すように、それぞれA,B,Cで偏微分したものが0となればよい。
∂f(x,y)/∂A=Σ(x3+k2xy2+Ax2+Bxy+Cx)=0
・・・(20)
∂f(x,y)/∂B=Σ(x2y+k2y3+Axy+By2+Cy)=0
・・・(21)
∂f(x,y)/∂C=Σ(x2+k2y2+Ax+By+C)=0 ・・・(22)
∂f(x,y)/∂A=Σ(x3+k2xy2+Ax2+Bxy+Cx)=0
・・・(20)
∂f(x,y)/∂B=Σ(x2y+k2y3+Axy+By2+Cy)=0
・・・(21)
∂f(x,y)/∂C=Σ(x2+k2y2+Ax+By+C)=0 ・・・(22)
式(20)~式(22)より、次式が得られる。
実測して得られたMRセンサ10の出力電圧x=V1,y=V2を式(24)に代入すると、A,B,Cが得られる。よって、-2x0=A,-2k2y0=B,x0
2+k2y0
2-a2=C,a/b=kより、x0=V1off、y0=V2off、a=Vm1、b=Vm2が得られるため、出力電圧V1,V2の振幅Vm1,Vm2とオフセットV1off,V2offとを推定することができる。例えば事前の試験結果から、振幅a=Vm1、b=Vm2のうち一方を推定できていれば、a/b=kより他方の振幅を推定することができる。
MR素子R1~R8としてAMR素子を用いる場合、x0=V1off、y0=V2off、a=Vm1、b=Vm2を得るためには、開始角度から終了角度まで少なくとも90°にわたる範囲の角度αについて出力電圧V1,V2を測定する必要がある。また、MR素子R1~R8としてGMR素子またはTMR素子を用いる場合、開始角度から終了角度まで少なくとも180°にわたる範囲の角度αについて出力電圧V1,V2を測定する必要がある。
図12はMR素子R1~R8としてAMR素子を用いる場合のセンサ出力測定部111,112と記憶部113とオフセット算出部115とオートセットアップ実行部114の動作を説明するフローチャートである。
データ処理制御部11のオートセットアップ実行部114は、ステップS100と同様にバルブ制御運転時の所定のタイミングにおいて、開始角度から終了角度まで少なくとも90°にわたる範囲内の所定の磁場の角度αに対応する制御信号を電空変換部12に出力する(図12ステップS200)。
センサ出力測定部111,112と記憶部113の動作(図12ステップS201)は、ステップS101と同じである。
次に、オートセットアップ実行部114は、開始角度から終了角度まで少なくとも90°にわたる範囲内の予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えていない場合には(図12ステップS202においてNO)、測定未了の次の角度αに対応する制御信号を電空変換部12に出力する(図12ステップS203)。こうして、予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えるまで、ステップS201,S203の処理が繰り返し実行される。
次に、オートセットアップ実行部114は、開始角度から終了角度まで少なくとも90°にわたる範囲内の予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えていない場合には(図12ステップS202においてNO)、測定未了の次の角度αに対応する制御信号を電空変換部12に出力する(図12ステップS203)。こうして、予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えるまで、ステップS201,S203の処理が繰り返し実行される。
データ処理制御部11のオフセット算出部115は、予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えた後に(ステップS202においてYES)、角度α毎に測定された出力電圧(V1,V2)の組を記憶部113から全て読み出し(図12ステップS204)、角度α毎に測定された出力電圧(x,y)=(V1,V2)を式(24)に代入することにより、楕円の近似式の変数A,B,Cを算出する(図12ステップS205)。
そして、オフセット算出部115は、-2x0=A,-2k2y0=B,x0
2+k2y0
2-a2=C,a/b=kにより、出力電圧V1,V2のオフセットx0=V1off,y0=V2offと振幅a=Vm1,b=Vm2とを算出する(図12ステップS206)。
図13はMR素子R1~R8としてGMR素子またはTMR素子を用いる場合のセンサ出力測定部111,112と記憶部113とオフセット算出部115とオートセットアップ実行部114の動作を説明するフローチャートである。
オートセットアップ実行部114は、ステップS200と同様にバルブ制御運転時の所定のタイミングにおいて、開始角度から終了角度まで少なくとも180°にわたる範囲内の所定の磁場の角度αに対応する制御信号を電空変換部12に出力する(図13ステップS200a)。
センサ出力測定部111,112と記憶部113の動作(図13ステップS201)は上記のとおりである。
センサ出力測定部111,112と記憶部113の動作(図13ステップS201)は上記のとおりである。
次に、オートセットアップ実行部114は、開始角度から終了角度まで少なくとも180°にわたる範囲内の予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えていない場合には(図13ステップS202aにおいてNO)、測定未了の次の角度αに対応する制御信号を電空変換部12に出力する(図13ステップS203a)。こうして、予め定められた全ての角度αについて出力電圧V1,V2を測定し終えるまで、ステップS201a,S203aの処理が繰り返し実行される。
オフセット算出部115の動作(図13ステップS204~S206)は上記のとおりである。
オフセット算出部115の動作(図13ステップS204~S206)は上記のとおりである。
本発明の目的はMRセンサの出力電圧のオフセットを推定することである。MRセンサが1つのフルブリッジ回路で構成される場合においても出力電圧のオフセットを求めることは可能であるが、本発明においてオフセットを推定するためには、2つのフルブリッジ回路が必要である。2つのフルブリッジ回路を用いる理由は、楕円の式を利用したいためである。MRセンサの出力電圧のオフセットを推定するためには、楕円の中心座標を求めなければならないが、楕円の式を表現するためにはcos波とsin波の2出力が必要である。
2つのフルブリッジ回路を用いるMRセンサの構成は従来から提案されているが、このようなMRセンサの利点としては、角度の測定精度向上と、測定可能な角度範囲の拡大とがある。
2つのフルブリッジ回路を用いる場合の磁場の角度αの計算方法を以下に説明する。AMRセンサにおいて、オフセットV1off,V2offが存在する場合のブリッジ回路100,101の出力電圧V1,V2は次式のようになる。
V1=Vm1cos2α+V1off ・・・(25)
V2=Vm2sin2α+V2off ・・・(26)
V1=Vm1cos2α+V1off ・・・(25)
V2=Vm2sin2α+V2off ・・・(26)
式(25)、式(26)より、式(27)、式(28)が得られる。
(V1-V1off)/Vm1=cos2α ・・・(27)
(V2-V2off)/Vm2=sin2α ・・・(28)
(V1-V1off)/Vm1=cos2α ・・・(27)
(V2-V2off)/Vm2=sin2α ・・・(28)
さらに、式(27)、式(28)より、式(29)が得られる。
{Vm1(V2-V2off)}/{Vm2(V1-V1off)}=tan2α
・・・(29)
{Vm1(V2-V2off)}/{Vm2(V1-V1off)}=tan2α
・・・(29)
式(29)より、角度αの計算式は式(30)のようになる。
α=(1/2)tan-1[{Vm1(V2-V2off)}/{Vm2(V1-V1off)}]
・・・(30)
α=(1/2)tan-1[{Vm1(V2-V2off)}/{Vm2(V1-V1off)}]
・・・(30)
本実施例との比較のため、1つのフルブリッジ回路を用いる場合の磁場の角度αの計算方法を以下に説明する。オフセットV1offが存在する場合のブリッジ回路100の出力電圧V1は次式のようになる。
V1=Vm1cos2α+V1off ・・・(31)
V1=Vm1cos2α+V1off ・・・(31)
式(31)より、式(32)が得られる。
(V1-V1off)/Vm1=cos2α ・・・(32)
(V1-V1off)/Vm1=cos2α ・・・(32)
式(32)より、角度αの計算式は式(33)のようになる。
α=(1/2)cos-1{(V1-V1off)/Vm1} ・・・(33)
α=(1/2)cos-1{(V1-V1off)/Vm1} ・・・(33)
ブリッジ回路101を用いる場合、ブリッジ回路101の出力電圧V2は次式のようになる。
V2=Vm2sin2α+V2off ・・・(34)
V2=Vm2sin2α+V2off ・・・(34)
式(34)より、式(35)が得られる。
(V2-V2off)/Vm2=sin2α ・・・(35)
(V2-V2off)/Vm2=sin2α ・・・(35)
式(35)より、角度αの計算式は式(36)のようになる。
α=(1/2)sin-1{(V2-V2off)/Vm2} ・・・(36)
α=(1/2)sin-1{(V2-V2off)/Vm2} ・・・(36)
なお、式(25)~式(36)はAMR素子を用いる場合の式であり、GMR素子またはTMR素子を用いる場合には、式(25)~式(29)、式(31)、式(32)、式(34)、式(35)中の2αをαにすればよい。
したがって、MR素子R1~R8としてGMR素子またはTMR素子を用いる場合には、式(30)の代わりに式(37)を使用すればよい。
α=tan-1[{Vm1(V2-V2off)}/{Vm2(V1-V1off)}]
・・・(37)
α=tan-1[{Vm1(V2-V2off)}/{Vm2(V1-V1off)}]
・・・(37)
また、GMR素子またはTMR素子を用いる場合には、式(33)の代わりに式(38)を使用し、式(36)の代わりに式(39)を使用すればよい。
α=cos-1{(V1-V1off)/Vm1} ・・・(38)
α=sin-1{(V2-V2off)/Vm2} ・・・(39)
α=cos-1{(V1-V1off)/Vm1} ・・・(38)
α=sin-1{(V2-V2off)/Vm2} ・・・(39)
MRセンサが1つのフルブリッジ回路で構成される場合においても、上記のように磁場の角度αの計算が可能である。しかしながら、sin波、cos波のどちらにおいてもピーク付近で角度αの精度が悪くなるという欠点がある。
一方、本実施例のように2つのフルブリッジ回路100,101を使用する場合は、式(30)、式(37)のようにtanを用いて角度αを計算する。AMR素子を用いる場合、tanを使用することで、sin波、cos波の位相が45°ずれる。また、GMR素子またはTMR素子を用いる場合、tanを使用することで、sin波、cos波の位相が90°ずれる。したがって、2つのフルブリッジ回路100,101を使用する場合、sin波のピーク付近の角度精度の悪化をcos波で軽減し、cos波のピーク付近の角度精度の悪化をsin波で軽減するような計算方法となるため、1つのフルブリッジ回路を使用する場合の弱点に対応できる。よって、本実施例では、sin波、cos波のピーク付近についても角度αの測定精度を向上させることが可能となり、測定可能な角度αの範囲を拡大することができる。
MRセンサのオフセットを求めるための従来の方法は、sin波またはcos波の正のピークと負のピークの両方を含んだ角度範囲の連続測定が必要であり、最低限、楕円の半分に相当する測定範囲が必要であった(AMR素子の場合は最低限90°以上、GMR素子またはTMR素子の場合は最低限180°以上)。
一方、本実施例では、少なくとも楕円の半分に相当する角度範囲であれば、必ずしもsin波、cos波のピークを含む必要がない。連続測定の場合は測定開始角度と終了角度をどの値に設定してもよい。仮に不連続測定を実施し、sin波、cos波のピークを知ることができなくても、測定範囲の合計が楕円の半分に相当する範囲であれば、オフセットを推定することができる。
また、従来の方法の場合、sin波またはcos波のピーク付近での電圧測定のサンプリングが粗いと正確なピークが測定できないため、正確なオフセットを求めることができない。しかし、本実施例では、sin波、cos波のピーク付近での電圧測定のサンプリングが上記と同程度に粗かったとしても、少なくとも楕円の半分に相当する角度範囲で測定を行えば、従来よりも正確なオフセットが推定できる可能性がある。
また、本実施例では、測定範囲を少なくとも楕円の半分に相当する範囲(AMR素子の場合は90°、GMR素子またはTMR素子の場合は180°)としているが、測定誤差、測定点数によっては楕円の半分未満の測定範囲であっても、オフセットを推定できる可能性がある。
オートセットアップ実行後のバルブ制御運転時のセンサ出力測定部111,112と角度算出部116と開度実測値生成部117と制御信号生成部118の動作を、図14を参照して説明する。
センサ出力測定部111は、MRセンサ10のブリッジ回路100の出力電圧V1を測定し、センサ出力測定部112は、ブリッジ回路101の出力電圧V2を測定する(図14ステップS300)。
角度算出部116は、測定された出力電圧V1,V2と、オートセットアップ実行後にオフセット算出部115によって算出されたオフセットV1off,V2offと振幅Vm1,Vm2とに基づいて、磁場の角度αを算出する(図14ステップS301)。具体的には、角度算出部116は、MR素子R1~R8としてAMR素子が使用されている場合、式(30)により角度αを算出する。また、角度算出部116は、MR素子R1~R8としてGMR素子またはTMR素子が使用されている場合、式(37)により角度αを算出する。
次に、開度実測値生成部117は、角度算出部116によって算出された角度αに基づいてバルブ3の現在の開度実測値PVを求める(図14ステップS302)。開度実測値PVは、角度αと開度実測値PVとの既知の関係に基づいて求めることができる。
制御信号生成部118は、上位装置4から与えられたバルブ3の開度設定値SPと開度実測値PVとの偏差を算出して、偏差がゼロになるように制御信号を生成して電空変換部12に出力する(図14ステップS303)。こうして、バルブ3の開度を制御することができる。
なお、図1、図2、図6ではポジショナを例に挙げて説明しているが、本実施例のMRセンサはポジショナ以外にも適用可能である。ポジショナ以外に適用する場合には、図6のシャフト1020が測定対象の角度に連動して回転するように構成すればよい。この場合、オートセットアップ実行部114は、オートセットアップの実行時に、開始角度から終了角度までの所定の範囲内で磁場の角度αが複数の異なる値に順次変わるように制御信号を、測定対象を駆動する制御部に対して出力すればよい。
また、図2の例では、電源110とセンサ出力測定部111,112と記憶部113とオートセットアップ実行部114とオフセット算出部115と角度算出部116とをポジショナ側に設けるようにしているが、これらをMRセンサ10の内部に設けるようにしてもよい。
本実施例で説明した記憶部113とオートセットアップ実行部114とオフセット算出部115と角度算出部116と開度実測値生成部117と制御信号生成部118とは、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインターフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図15に示す。
コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インターフェース装置(I/F)202とを備えている。I/F202には、センサ出力測定部111,112と電空変換部12等が接続される。本発明のオフセット推定方法を実現させるためのプログラムは記憶装置201に格納される。CPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って本実施例で説明した処理を実行する。
本発明は、MRセンサ、およびMRセンサを使用するポジショナに適用することができる。
1…ポジショナ、2…操作器、3…バルブ、4…上位装置、10…MRセンサ、11…データ処理制御部、12…電空変換部、13…空気圧増幅部、100,101…ブリッジ回路、102…磁場発生部、107…フィードバックレバー、110…電源、111,112…センサ出力測定部、113…記憶部、114…オートセットアップ実行部、115…オフセット算出部、116…角度算出部、117…開度実測値生成部、118…制御信号生成部、1020…シャフト、1021…回転体、1022,1023…磁石、R1~R8…MR素子。
Claims (12)
- 第1乃至第4のMR素子からなる第1のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が異なるように配置された第5乃至第8のMR素子からなる第2のブリッジ回路と、測定対象の角度に連動して前記第1、第2のブリッジ回路に印加する磁場が回転するように構成された磁場発生部とを備えたMRセンサの出力電圧のオフセットを推定するオフセット推定方法において、
オートセットアップの実行時に、開始角度から終了角度までの所定の範囲内で前記磁場の角度を複数の異なる値に順次変更する第1のステップと、
前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧をそれぞれ測定する第2のステップと、
前記第1のブリッジ回路の出力電圧をx、前記第2のブリッジ回路の出力電圧をyとしたときに、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータを近似する楕円の式の変数を算出する第3のステップと、
前記第3のステップで算出した変数に基づいて、前記楕円の中心座標を前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットとして算出する第4のステップとを含むことを特徴とするMRセンサのオフセット推定方法。 - 請求項1記載のMRセンサのオフセット推定方法において、
前記第1乃至第8のMR素子は、AMR素子であり、
前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が45°異なるように配置され、
開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも90°にわたる範囲とすることを特徴とするMRセンサのオフセット推定方法。 - 請求項1記載のMRセンサのオフセット推定方法において、
前記第1乃至第8のMR素子は、GMR素子またはTMR素子であり、
前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が90°異なるように配置され、
開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも180°にわたる範囲とすることを特徴とするMRセンサのオフセット推定方法。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のMRセンサのオフセット推定方法において、
前記第1のブリッジ回路の出力電圧のオフセットをx0、前記第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットをy0、前記第1のブリッジ回路の出力電圧の振幅をa、前記第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅をbとし、a2/b2=A,-2x0=B,-(2a2y0)/b2=C,x0 2+(a2y0 2)/b2-a2=Dとしたときに、前記第3のステップは、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータに基づいて、前記楕円の式x2+Ay2+Bx+Cy+D=0の変数A,B,C,Dを算出するステップを含み、
前記第4のステップは、前記第3のステップで算出した変数A,B,C,Dに基づいて、前記楕円の中心座標である前記オフセットx0,y0を算出するステップを含むことを特徴とするMRセンサのオフセット推定方法。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のMRセンサのオフセット推定方法において、
前記第1のブリッジ回路の出力電圧のオフセットをx0、前記第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットをy0、前記第1のブリッジ回路の出力電圧の振幅をa、前記第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅をbとし、a/b=k(kは定数)、-2x0=A,-2k2y0=B,x0 2+k2y0 2-a2=Cとしたときに、前記第3のステップは、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータに基づいて、前記楕円の式x2+k2y2+Ax+By+C=0の変数A,B,Cを算出するステップを含み、
前記第4のステップは、前記第3のステップで算出した変数A,B,Cに基づいて、前記楕円の中心座標である前記オフセットx0,y0を算出するステップを含むことを特徴とするMRセンサのオフセット推定方法。 - 第1乃至第4のMR素子からなる第1のブリッジ回路と、
前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が異なるように配置された第5乃至第8のMR素子からなる第2のブリッジ回路と、
測定対象の角度に連動して前記第1、第2のブリッジ回路に印加する磁場が回転するように構成された磁場発生部と、
オートセットアップの実行時に、開始角度から終了角度までの所定の範囲内で前記磁場の角度を複数の異なる値に順次変更するように構成されたオートセットアップ実行部と、
前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧をそれぞれ測定するように構成されたセンサ出力測定部と、
前記第1のブリッジ回路の出力電圧をx、前記第2のブリッジ回路の出力電圧をyとしたときに、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータを近似する楕円の式の変数を算出し、算出した変数に基づいて、前記楕円の中心座標を前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットとして算出するように構成されたオフセット算出部とを備えることを特徴とするMRセンサ。 - 請求項6記載のMRセンサにおいて、
前記オートセットアップの実行後の角度測定時に、前記センサ出力測定部によって測定された前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧と前記オフセットと前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅とに基づいて、前記磁場の角度を算出するように構成された角度算出部をさらに備え、
前記オフセット算出部は、前記オートセットアップの実行時に前記楕円の長径と短径のうち一方の径を前記第1のブリッジ回路の出力電圧の振幅、他方の径を前記第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅として算出することを特徴とするMRセンサ。 - 請求項6または7記載のMRセンサにおいて、
前記第1乃至第8のMR素子は、AMR素子であり、
前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が45°異なるように配置され、
開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも90°にわたる範囲とすることを特徴とするMRセンサ。 - 請求項6または7記載のMRセンサにおいて、
前記第1乃至第8のMR素子は、GMR素子またはTMR素子であり、
前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が90°異なるように配置され、
開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも180°にわたる範囲とすることを特徴とするMRセンサ。 - 第1乃至第4のMR素子からなる第1のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が異なるように配置された第5乃至第8のMR素子からなる第2のブリッジ回路と、制御対象のバルブの弁軸の動きに連動して前記第1、第2のブリッジ回路に印加する磁場が回転するように構成された磁場発生部とを備えたMRセンサと、
オートセットアップの実行時に、開始角度から終了角度までの所定の範囲内で前記磁場の角度が複数の異なる値に順次変わるように前記バルブの開度を制御するように構成されたオートセットアップ実行部と、
前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧をそれぞれ測定するように構成されたセンサ出力測定部と、
前記第1のブリッジ回路の出力電圧をx、前記第2のブリッジ回路の出力電圧をyとしたときに、前記磁場の角度が変わる度に測定されたx,yのデータを近似する楕円の式の変数を算出し、算出した変数に基づいて前記楕円の中心座標を前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧のオフセットとして算出し、前記楕円の長径と短径のうち一方の径を前記第1のブリッジ回路の出力電圧の振幅、他方の径を前記第2のブリッジ回路の出力電圧の振幅として算出するように構成されたオフセット算出部と、
前記オートセットアップの実行後のバルブ制御運転時に、前記センサ出力測定部によって測定された前記第1、第2のブリッジ回路の出力電圧と前記オフセットと前記振幅とに基づいて、前記磁場の角度を算出するように構成された角度算出部と、
前記バルブ制御運転時に、前記角度算出部によって算出された磁場の角度に基づいて前記バルブの開度実測値を求めるように構成された開度実測値生成部と、
前記バルブ制御運転時に、前記バルブの開度設定値と前記開度実測値とに基づいて前記バルブの開度を制御するための制御信号を生成するように構成された制御信号生成部とを備えることを特徴とするポジショナ。 - 請求項10記載のポジショナにおいて、
前記第1乃至第8のMR素子は、AMR素子であり、
前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が45°異なるように配置され、
開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも90°にわたる範囲とすることを特徴とするポジショナ。 - 請求項10記載のポジショナにおいて、
前記第1乃至第8のMR素子は、GMR素子またはTMR素子であり、
前記第2のブリッジ回路は、前記第1のブリッジ回路と出力電圧の位相が90°異なるように配置され、
開始角度から終了角度までの前記所定の範囲を少なくとも180°にわたる範囲とすることを特徴とするポジショナ。
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JP2022043872A JP2023137605A (ja) | 2022-03-18 | 2022-03-18 | Mrセンサのオフセット推定方法、mrセンサおよびポジショナ |
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