JP2023137052A - コンドロイチン硫酸生合成を阻害するアンチセンス核酸 - Google Patents

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Tsunenari Takeuchi
寛之 笹倉
Hiroyuki Sasakura
高尾 鈴木
Takao Suzuki
正輝 山上
Masaki Yamagami
峻哲 川野邊
Takaaki Kawanobe
アジャヤラム セレスタ
Ram Shrestha Ajaya
由依 宮阪
Yui Miyasaka
忠士 梅本
Tadashi Umemoto
和生 関口
Kazuo Sekiguchi
宅郎 小堀
Takuo Kobori
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Abstract

【課題】コンドロイチン硫酸生合成を阻害する高機能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。【解決手段】コンドロイチン硫酸N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ-1(CSGalNAc-T1)遺伝子の発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、鎖長が11~25merであり、かつ、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを有し、特定の塩基配列を有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、コンドロイチン硫酸生合成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
脊髄損傷(SCI)は、主として脊柱に強い外圧が加えられることによって脊髄に損傷を受けた病態をいう。脊髄を含む中枢神経系は、一度損傷すると修復及び再生することはないため、脊髄損傷を有する患者は、重度の運動機能障害などを患うことが多い。
コンドロイチン硫酸(CS)は、動物の細胞外マトリックスに広く分布するグリコサミノグリカンの一種である。コンドロイチン硫酸は、D-グルクロン酸(GlcA)とN-アセチル-D-ガラクトサミン(GalNAc)の2糖が反復する糖鎖に、硫酸が結合した構造を有する。脊髄損傷後、脊髄でコンドロイチン硫酸が生成され、生成されたコンドロイチン硫酸は軸索再生の強力な阻害因子となることが知られている。
コンドロイチン硫酸N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ-1(CSGalNAcT1)及びコンドロイチン硫酸N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ-2(CSGalNAcT2)は、コンドロイチン硫酸生合成に関与する酵素である。
本発明者らは、CSGalNAcT1ノックアウトマウスにおいて、脊髄損傷後のコンドロイチン硫酸合成が低下すること、及び脊髄損傷からの回復が促進されることを報告している(非特許文献1及び2)。また、本発明者らは、GSGalNAcT1および/またはGSGalNAcT2を阻害することでコンドロイチン硫酸生合成を阻害することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドを報告している(特許文献1)。
国際公開第2018/180005号
Watanabe, T., et al., Biochem. J., 2010, 432: 47-55 Takeuchi, K., et al., Nature Communication, 2013, 4: 2740
本発明は、コンドロイチン硫酸生合成を阻害する高機能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、CSGalNAcT1遺伝子を抑制し、特許文献1に記載の配列とは異なる配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドが、より高機能にコンドロイチン硫酸生合成を阻害することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下を包含する。
(1)コンドロイチン硫酸N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ-1(CSGalNAc-T1)遺伝子の発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、鎖長が11~15merであり、かつ、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを有し、アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて149~163番目、388~632番目、677~744番目、863~1471番目、1651~1769番目、2012~2100番目、2611~3708番目又は3790~4038番目に位置する塩基で構成される標的領域に相補的な塩基配列において80%以上の配列同一性を有する塩基配列である、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
(2)アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップ領域と、ギャップ領域の3’末端に結合している3’ウイング領域と、ギャップ領域の5’末端に結合している5’ウイング領域とを含む、(1)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(3)3’ウイング領域及び5’ウイング領域のヌクレオチドが、それぞれ少なくとも一つの架橋型核酸を有する、(2)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(4)架橋型核酸がscpBNA及び/またはAmNA である、(3)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(5)ヌクレオチド間結合の少なくとも一つが、ホスホロチオエート結合である、(1)~(4)のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(6)3’ウイング領域と5’ウイング領域におけるヌクレオチド間結合の少なくとも一つが、ホスホジエステル結合である、(2)~(5)のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(7)3’ウイング領域と5’ウイング領域におけるヌクレオチド間結合のホスホロチオエート(PS)結合とホスホロジエステル(PO)結合との合計に対するPO結合が占める割合(PO/(PS+PO))が0.5未満である、(6)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(8)ギャップ領域が、7~17merであり、3’ウイング領域が、2~6merであり、5’ウイング領域が、2~6merである、(2)~(7)のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(9)アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて2012~2100番目に位置する塩基で構成される標的領域に相補的な塩基配列において90%以上の配列同一性を有する塩基配列である、(1)~(8)のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(10)アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号2~231からなる群より選択される塩基配列、あるいは当該配列に対し1~2個の核酸塩基が置換、欠失もしくは挿入された配列である、(1)~(8)のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(11)アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号2~4、6~30及び32~231からなる群より選択される配列、あるいは当該配列に対し1~2個の核酸塩基が置換、欠失もしくは挿入された配列である、(10)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(12)アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号2、6~29、32~42、44~229及び231からなる群より選択される配列、あるいは当該配列に対し1~2個の核酸塩基が置換、欠失もしくは挿入された配列である、(11)に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
(13)コンドロイチン硫酸の増加に関連する疾患または状態を治療するための、(1)~(12)のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、医薬組成物。
(14)コンドロイチン硫酸の増加に関連する疾患または状態が、脊髄損傷である、(13)に記載の医薬組成物。
本発明により、コンドロイチン硫酸生合成を阻害する高機能なアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供される。
アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトU251細胞におけるCSGalNAcT1遺伝子に対する発現抑制効果を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトU251細胞におけるCSGalNAcT1遺伝子に対する発現抑制効果を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトU251細胞におけるCSGalNAcT1遺伝子に対する発現抑制効果を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトU251細胞におけるCSGalNAcT1遺伝子に対する発現抑制効果を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトU251細胞におけるCSGalNAcT1遺伝子に対する発現抑制効果を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトU251細胞におけるCSGalNAcT1遺伝子に対する発現抑制効果を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトU251細胞におけるCSGalNAcT1遺伝子に対する発現抑制効果を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトU251細胞におけるCSGalNAcT1遺伝子に対する発現抑制効果を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトU251細胞におけるカスパーゼ3/7活性への影響を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトU251細胞におけるカスパーゼ3/7活性への影響を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトYKG-1細胞におけるCSGalNAcT1遺伝子に対する濃度依存的発現抑制効果を示すグラフである。 アンチセンスオリゴヌクレオチドのヒトYKG-1細胞におけるCSGalNAcT1遺伝子に対する濃度依存的発現抑制効果を示すグラフである。
1.アンチセンスオリゴヌクレオチド
本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。本発明のアンチセンスヌクレオチドは、コンドロイチン硫酸N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ-1(CSGalNAc-T1)遺伝子の発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、下記の(a)~(c)の特徴を有する。
(a)鎖長が11~25merである;
(b)少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを有する;
(c)塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて149~163番目、388~632番目、677~744番目、863~1471番目、1651~1769番目、2012~2100番目、2611~3708番目又は3790~4038番目に位置する塩基で構成される標的領域に相補的な塩基配列において80%以上の配列同一性を有する塩基配列である。
本明細書において、CSGalNAcT1遺伝子は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を、UDP-GalNAcから、グルクロン酸の非還元末端に転移する活性を有する酵素をコードする遺伝子を指す。CSGalNAcT1遺伝子は、脊椎動物門よりも原始的な動物(中枢神経再生が認められる動物)には存在せず、中枢神経損傷を受け得る脊椎動物門になって初めて出現した遺伝子である。CSGalNAcT1遺伝子の由来は、特に限定されないが、例えば哺乳動物、例えば霊長類(例えば、カニクイザル、チンパンジー及びヒト)及び非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ネコ、イヌ、モルモット、ラット及びマウス)であり、より好ましくはヒトである。CSGalNAcT1遺伝子の塩基配列は、米国国立生物工学情報センター(NCBI)データベースから入手できる。ヒトCSGalNAcT1 mRNA配列を、配列番号1に示す(但し、RNAの配列をDNAの配列として示す)。本発明においては、翻訳されたタンパク質が同様の活性を有する限り、上記配列の改変体をコードする遺伝子もまた、CSGalNAcT1遺伝子の範囲内に入る。
本明細書において、「アンチセンス核酸」又は「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的遺伝子であるCSGalNAcT1のmRNAの一部にハイブリダイズすることが可能な(すなわち、相補的な)核酸塩基配列を含む、一本鎖オリゴヌクレオチドを指す。理論に拘束されるものではないが、本発明において、アンチセンス核酸又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的RNAとDNA-RNAハイブリッドを形成し、RNase Hによって切断されることによって標的RNAを分解し、その結果、標的遺伝子の発現を抑制し得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドがハイブリダイズし得る標的遺伝子のmRNAの領域は、3’UTR、5’UTR、エキソン、イントロン、コード領域、翻訳開始領域、翻訳終結領域又は他の核酸領域を含み得る。
本明細書において、遺伝子の発現に関する「抑制」とは、遺伝子の転写によって生じるmRNAの量(存在量)を低下させることを指す。抑制は、対照と比較して、mRNA量を20%以上、30%以上若しくは40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、90%以上又は95%以上抑制することを含む。遺伝子発現の抑制は、当技術分野で公知のいずれの方法で決定してもよいが、特に、ヒト又はマウス細胞などの細胞を用いて、リアルタイムPCRなどのPCRに基づく方法で決定することができる。
本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、コンドロイチン硫酸量を低下させることができる。コンドロイチン硫酸量の低下は、例えば、抗コンドロイチン硫酸抗体を用いたIn Cell ELISAアッセイによって決定できる。本発明に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドは、コンドロイチン硫酸量を、対照と比較して、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、又は50%以上低下させ得る。
本明細書において、「核酸塩基」又は「塩基」は、核酸の塩基成分であり、別の核酸の塩基と対合することができる複素環部分を指す。本明細書において、「核酸塩基配列」は、核酸を構成する糖、ヌクレオシド間結合、又は核酸塩基修飾を考慮に入れない連続した核酸塩基の配列を意味する。
一般に、「ヌクレオシド」は、糖及び核酸塩基の組み合わせである。「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基をさらに含む。リン酸基は、一般に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合を形成する。オリゴヌクレオチドは、互いに隣接するヌクレオシドの共有結合によって形成され、直鎖ポリマーオリゴヌクレオチドを形成する。
本明細書において「修飾ヌクレオシド」とは、独立して、修飾糖及び/又は修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを意味する。「修飾ヌクレオチド」とは、独立して、修飾ヌクレオシド間結合、修飾糖及び/又は修飾核酸塩基を有するヌクレオチドを意味する。修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、標的核酸への親和性の強化、及びヌクレアーゼ耐性の増加等の望ましい特性により、非修飾型よりも好ましい。
本明細書において「修飾ヌクレオシド間結合」は、天然に存在するヌクレオシド間結合(すなわち、ホスホジエステル結合)からの置換又は何らかの変化を有するヌクレオシド間結合を指す。修飾ヌクレオシド間結合としては、限定するものではないが、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホロジアミデート結合及びホスホロアミデート結合などが挙げられる。ホスホロチオエート結合は、ホスホジエステル結合の非架橋酸素原子を硫黄原子に置換したヌクレオシド間結合を指す。修飾ヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性が天然に存在するヌクレオシド間結合よりも高い結合であることが好ましい。
本明細書において「非修飾核酸塩基」又は「天然核酸塩基」は、プリン塩基であるアデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)、及びウラシル(U)及び5-メチルシトシンを指す。これに対して、「非修飾核酸塩基」又は「天然核酸塩基」に何らかの人工的な修飾を加えた核酸塩基を「修飾核酸塩基」と称する。修飾核酸塩基の例としては、5-フルオロシトシン、5-ブロモシトシン、若しくは5-ヨードシトシン;5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-ヨードウラシル、若しくは5-ヒドロキシウラシル;2-チオチミン;N6-メチルアデニン若しくは8-ブロモアデニン;並びにN2-メチルグアニン若しくは8-ブロモグアニン等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「修飾糖」とは、DNAやRNAの天然糖部分(すなわち、DNA(2’-デオキシリボース)又はRNA(リボース)中に見られる糖部分)に何らかの変化を有する糖を指す。具体的には、(1)リボース又は2-デオキシリボースが、部分的に1つ以上の置換基によって置換されている分子、(2)リボース及び2-デオキシリボースとは異なる五単糖又は六単糖(例えば、ヘキシトール、トレオース等などの天然に存在する五単糖又は六単糖並びに、それらが部分的に1つ以上の置換基によって置換されている分子を含む)、(3)リボース又は2-デオキシリボース全体、あるいはこれらのテトラヒドロフラン環が、5から7員の飽和若しくは不飽和環(例えば、シクロヘキサン、シクロヘキセン、モルホリン等)、又は5から7員の環を水素結合によって形成し得る部分構造(例えば、ペプチド構造)へ置き換えられた分子、又は(4)リボース又は2-デオキシリボースが、炭素数が2~6のアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等)へ置き換えられた分子、などを指す。後述する二環式糖も修飾糖に含まれる。修飾糖は、標的核酸への親和性の強化、及びヌクレアーゼ耐性の増加等をオリゴヌクレオチドに付与し得る。修飾糖に用いられる修飾の例としては、例えば、二環式化、5’-ビニル、5’-メチル、4’-S、2’-F、2’-OCH(2’-メトキシ若しくは2’-O-メチル)、及び2’-O(CHOCH置換等が挙げられる。
本明細書において「二環式糖」は、2つの環を持つ糖を指す。二環式糖部分を含む核酸は、一般に架橋型核酸(bridged nucleic acid、BNA)と称される。二環式糖は、2’位の炭素原子及び4’位の炭素原子が2つ以上の原子によって架橋されている糖であってよい。二環式糖を有する架橋型核酸の例としては、限定されないが、メチレンオキシ(4’-CH-O-2’)架橋を有する架橋型核酸(LNA(商標)、2’,4’-BNAとしても知られている)、エチレンオキシ(4’-(CH-O-2’)架橋を有する架橋型核酸(ENAとしても知られている)、4’-CH(CH3)-O-2’架橋を有する糖(cEt、constrained ethyl)、4’-CH(CHOCH)-O-2’架橋を有する架橋型核酸(cMOE、constrained MOE)、アミド架橋を有する糖(AmNA、Amido-bridged nucleic acid)、架橋部にスピロシクロプロパン環を有する架橋型核酸(scpBNA、2’-O,4’-C-spirocyclo-propylene bridged nucleic acid)などが挙げられる。アミド架橋を有する架橋型核酸の一例としては、4’-C(O)-N(CH)-2’架橋を有する架橋型核酸が挙げられる。アミド架橋を有する架橋型核酸の構造及び調製方法については、例えば、Yahara, A., et al., Amido-bridged nucleic acids (AmNAs): synthesis, duplex stability, nuclease resistance, and in vitro antisense potency, ChemBioChem, 2012, 13(7): 2513-2516、Yamamoto, T., et al., Amido-bridged nucleic acids with small hydrophobic residues enhance hepatic tropism of antisense oligonucleotides in vivo, Org. Biomol. Chem., 2015, 13: 3757-3765、及び国際公開第2011/052436号を参照のこと。4’-CH(CH)-O-2’架橋を有する糖(cEt)及び4’-CH(CHOCH)-O-2’架橋を有する架橋型核酸(cMOE)については、Punit, P.S., et al., Short antisense oligonucleotides with novel 2'-4' conformationaly restricted nucleoside analogues show improved potency without increased toxicity in animals, J. Med. Chem., 2009, 52(1): 10-13を参照のこと。架橋部にスピロシクロプロパン環を有する糖を有する架橋型核酸(スピロシクロプロパンBNA、scpBNA)については、例えば、Yamaguchi, T., et al., Synthesis and properties of 2′- O ,4′- C -spirocyclopropylene bridged nucleic acid (scpBNA), an analogue of 2′,4′-BNA/LNA bearing a cyclopropane ring, Chemical Communications, 2015, 51: 973-9740、Horiba, M., et al., Synthesis of scpBNA-mC, -A, and -G Monomers and Evaluation of the Binding Affinities of scpBNA-Modified Oligonucleotides toward Complementary ssRNA and ssDNA, J. Org. Chem., 2016, 81: 11000-11008を参照のこと。
架橋型核酸としては、例えば、式(a)で示されるアミドBNA(AmNA)または式(b)で示されるスピロシクロプロパンBNA(scpBNA)を用いることができる。
Figure 2023137052000001
Figure 2023137052000002
上記式(a)及び(b)において、Baseは5-メチルシトシン-1-イル基、チミン-1-イル基、アデニン-9-イル基またはグアニン-9-イル基であり、Meはメチルである。アミドBNA(AmNA)またはスピロシクロプロパンBNA(scpBNA)の調製方法は、国際公開第2011/052436号または国際公開第2015/125783号に記載の方法を参照のこと。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、11~25merの鎖長を有する。好ましくは11~17mer、より好ましくは11~15mer、さらに好ましくは13~15merの鎖長を有する。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、その塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて149~163番目、388~632番目、677~744番目、863~1471番目、1651~1769番目、2012~2100番目、2611~3708番目又は3790~4038番目に位置する塩基で構成される標的領域に相補的な塩基配列において80%以上、好ましくは85%以上、90%以上又は95%以上、の配列同一性を有する塩基配列である。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、その塩基配列が 配列番号2~231からなる群より選択される塩基配列、あるいは当該配列に対し1~2個の核酸塩基が置換、欠失もしくは挿入された配列である。より好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、その塩基配列が、配列番号2~4、6~30及び32~231からなる群より選択される配列、あるいは当該配列に対し1~2個の核酸塩基が置換、欠失もしくは挿入された配列である。さらにより好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、その塩基配列が、配列番号2、6~29、32~42、44~229及び231からなる群より選択される配列、あるいは当該配列に対し1~2個の核酸塩基が置換、欠失もしくは挿入された配列である。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの別の実施形態においては、その塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて2012~2100番目に位置する塩基で構成される標的領域に相補的な塩基配列において80%以上、好ましくは85%以上、90%以上又は95%以上、の配列同一性を有する塩基配列とすることが好ましい。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップ領域と、ギャップ領域の3’末端に結合している3’ウイング領域と、ギャップ領域の5’末端に結合している5’ウイング領域とを含む、いわゆる、ギャップマー(gapmer)であることが好ましい。本明細書において「ギャップマー」とは、少なくとも4個の連続デオキシリボヌクレオシドを含む中央領域(DNAギャップ領域)、その5’末端側及び3’末端側に配置された非天然ヌクレオシドを含む領域(5’ウイング領域及び3’ウイング領域)からなるオリゴヌクレオチドを指す。DNAギャップ領域の長さは、7~17merであることが好ましく、より好ましくは、7~16mer、7~14mer、7~12mer、又は8~10merである。5’ウイング領域及び3’ウイング領域の長さは、独立して、2~6mer、2~5mer、又は2~4merであってよい。5’ウイング領域及び3’ウイング領域は、非天然ヌクレオシドを少なくとも1個含んでいればよく、天然ヌクレオシドを含んでいてもよい。
5’ウイング領域及び3’ウイング領域は、それぞれ、3’ウイング領域及び5’ウイング領域のヌクレオチドについて、それぞれ少なくとも一つは架橋型核酸であってもよい。5’ウイング領域及び3’ウイング領域の全てのヌクレオシドが架橋型核酸であってもよい。架橋型核酸は、具体的には二環式糖を有する糖を有する核酸を指す。ここでいう架橋型核酸は、scpBNA及び/またはAmNAであることが好ましい。特に、5’ウイング領域及び3’ウイング領域に少なくとも1つのscpBNAが含まれることが好ましい。5’ウイング領域及び3’ウイング領域には天然ヌクレオシドが含まれていてもよい。ここでいう天然ヌクレオシドはメチル化されていてもよく、すなわち、5-メチルシトシンを含んでいてもよい。
本発明では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸、モルホリノ核酸などのヌクレオチド模倣体を含んでもよい。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの同一鎖中の異なるヌクレオチドは、独立して異なる修飾を受けていてもよい。例えば、ヌクレアーゼ耐性を増強するため、同一のヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド間結合(例えば、ホスホロチオエート結合)を有していてもよい。特に、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、ヌクレオシド間結合の少なくとも1つは、ホスホロチオエート結合であることが好ましい。アンチセンスオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%が、ホスホロチオエート結合であってよい。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドがギャップマーである場合、3’ウイング領域と5’ウイング領域におけるヌクレオチド間結合の少なくとも一つが、ホスホジエステル結合であることが好ましい。さらに、ウイング部分におけるヌクレオシド間結合のうち、ホスホロチオエート(PS)結合とホスホロジエステル(PO)結合との合計に対するPO結合が占める割合(PO/(PS+PO))が、0.5未満、特に0.4未満、0.3未満であってもよい。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、特に限定されないが、表1~3に示す構造を有するものとすることができる。表中、標的配列は、配列番号1の塩基配列上の5’末端からの位置を指す。小文字は非修飾ヌクレオチド、大文字は架橋型核酸を示し、「(Am)」はAmNA、「(Sc)」はscpBNA、「5」は5-メチルシトシンを示す。また、「^」は、ホスホロチオエート結合を示す。表中の配列番号は、各オリゴヌクレオチドの修飾のない状態での塩基配列の配列番号を示す。
Figure 2023137052000003
Figure 2023137052000004
Figure 2023137052000005
Figure 2023137052000006
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Figure 2023137052000011
Figure 2023137052000012
Figure 2023137052000013
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知の方法によって、製造することができる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、市販の自動核酸合成装置を使用して合成し、その後、逆相カラムなど用いて精製することにより製造することができる。あるいは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列並びに修飾部位及び種類を指定して、製造業者(例えば、株式会社ジーンデザイン)に注文し、入手することもできる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、CSGalNAcT1遺伝子の発現を抑制することにより、コンドロイチン生合成を阻害し、その結果、コンドロイチン硫酸量を低下させることができる。脊髄損傷後のコンドロイチン硫酸の増加は、軸索再生を阻害し、脊髄損傷からの回復を妨げる。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドにより、コンドロイチン硫酸量を低下させることによって、脊髄損傷を治療(脊髄損傷からの回復を促進)することができる。一方、ヘパラン硫酸は、軸索再生を促進することが報告されている(Takeuchi,K.,et al.,2013、上掲)。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヘパラン硫酸量を低下させずにコンドロイチン硫酸量を低下させることができるため、脊髄損傷を効果的に治療することができる。
2.医薬組成物
本発明の医薬組成物は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする。本発明の医薬組成物は、コンドロイチン硫酸の増加と関連する疾患又は状態を治療するために使用できる。
コンドロイチン硫酸の増加と関連する疾患又は状態としては、限定されないが、脊髄損傷、脳血管障害(例えば、脳損傷及び脳虚血)、消化器系疾患(例えば、炎症性大腸炎)、並びに皮膚損傷若しくは炎症が挙げられる。
本明細書において、脊髄損傷は、脊髄に損傷を受けた病態をいう。脊髄損傷の原因は問わない。脊髄損傷は、外傷性の脊髄損傷であってもよい。脊髄損傷は、完全脊髄損傷及び不完全脊髄損傷を含む。完全脊髄損傷は、脊髄が横断的に離断した状態を指す。不完全脊髄損傷は、脊髄の一部が損傷した状態を指す。脊髄損傷によって、運動機能障害、感覚障害、自律神経障害などの様々な障害が生じる。
本明細書において、「治療」は、脊髄損傷を有する被験体において、脊髄損傷によって生じた症状(例えば運動機能障害)を軽減若しくは治癒することを含み得る。
脊髄損傷後に組織修復の結果として生じる瘢痕は、神経の再生を阻害すると一般に考えられている。そのため、瘢痕の形成を抑制することにより、脊髄損傷の回復を促進することができる。本発明に係る医薬組成物は、脊髄損傷後の瘢痕形成を抑制又は低下させるために使用してもよい。
医薬組成物は、製剤分野で通常使用される任意の製剤補助剤をさらに含んでもよい。本明細書において、製剤補助剤としては、製薬上許容される、担体(固体又は液体担体)、賦形剤、安定化剤、崩壊剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁剤、抗酸化剤、矯臭剤、充填剤、溶解補助剤、コーティング剤、着色剤、矯味剤、保存剤、緩衝剤などの、様々な担体又は添加剤を用いることができる。具体的には、製剤補助剤としては、水、生理食塩水、他の水性溶媒、製薬上許容される有機溶媒、マンニトール、ラクトース、デンプン、微結晶セルロース、ブドウ糖、カルシウム、ポリビニルアルコール、コラーゲン、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、水溶性デキストリン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、アラビアゴム、キサンタンガム、カゼイン、ゼラチン、寒天、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、グリセリン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ソルビトールなどが挙げられる。製剤補助剤は、製剤の剤形に応じて適宜又は組み合わせて選択され得る。
医薬組成物は、経口的又は非経口的に被験体に投与できる。非経口的投与としては、限定されないが、静脈内投与、皮下投与、髄腔内投与及び局所投与などが挙げられる。効率的に治療効果をもたらすため、医薬組成物は、損傷部へ局所的に直接投与することが好ましい。また、持続注入ポンプを用いて、医薬組成物を持続的に損傷部へ投与することもできる。また、医薬組成物をスポンジに担持させて損傷部に留置してもよい。医薬組成物は、注射剤、点滴剤などの製剤としてよい。当業者は、慣用の方法でこれらの製剤を製造することができる。
医薬組成物は、治療上有効な量で投与されてよい。医薬組成物の具体的な投与量は、個々の被験体に応じて、疾患の重症度、全身の健康状態、年齢、性別、体重及び治療に対する忍容性などに基づき、例えば医師の判断により決定される。例えば、医薬組成物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが0.000001mg/体重kg/日~1000mg/体重kg/日、又は0.001mg/体重kg/日~1mg/体重kg/日となる量で投与してもよい。医薬組成物は、単回投与又は複数回投与することができ、例えば一定の時間間隔、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月などの間隔で、被験体に対して、数回又は数十回投与してもよい。あるいは、医薬組成物は、上述のように持続注入ポンプを用いて持続的に投与してもよい。持続投与する場合の投与量(速度)、期間などは当業者であれば適宜設定できる。
医薬組成物を投与する被験体は、哺乳動物、例えば霊長類(例えば、カニクイザル、チンパンジー及びヒト)及び非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ネコ、イヌ、モルモット、ラット及びマウス)であり、より好ましくはヒトである。被験体は、脊髄損傷を有する被験体であってよい。
本発明はまた、コンドロイチン硫酸の増加と関連する疾患又は状態の治療方法であって、それを必要とする被験体に、本発明の一実施形態に係るアンチセンスオリゴヌクレオチド又は医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
本発明はまた、コンドロイチン硫酸の増加と関連する疾患又は状態を治療するための医薬の製造における、本発明の一実施形態に係るアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
以下、本発明をより詳細に説明するために実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明を実施例の範囲に限定することを意図するものではない。
(実施例1)アンチセンスオリゴヌクレオチドの合成
糖修飾ヌクレオシドとして、アミドBNA(AmNA)又はスピロシクロプロパンBNA(scpBNA)を用いた。本発明に用いた架橋型核酸であるアミドBNA(AmNA)またはスピロシクロプロパンBNA(scpBNA)は、国際公開第2011/052436号または国際公開第2015/125783号に記載の方法を参照してそれぞれ合成した。そして本発明に関連するオリゴヌクレオチドは、Tetrahedron Letters 22, 1859-1862(1981)、国際公開第2011/052436号等に記載される方法によって合成した。具体的には以下の通りである。
アミドBNA(AmNA)またはスピロシクロプロパンBNA(scpBNA)を含むオリゴヌクレオチドは、核酸自動合成機(nS-8型、株式会社ジーンデザイン製)を用いて、0.2μmolスケールまたは1.0μmolスケールで合成した。鎖長の伸長は標準的なホスホロアミダイトプロトコール(固相担体としてコントロールドポアグラス(CPG)を、ホスホロジエステル(PO)骨格形成のための酸化はヨウ素を、ホスホロチオエート化(PS)骨格形成のための硫化はDDTT(((dimethylamino-methylidene)amino)-3H-1,2,4-dithiazaoline-3-thione)等を使用)にて実施した。アミドBNA(AmNA)またはスピロシクロプロパンBNA(scpBNA)を含むオリゴヌクレオチドは、末端の5’位の水酸基がDMTr(4,4’-ジメトキシトリチル)基で保護されておらず、かつ3’位が固相に担持されたものを得た。続いて塩基処理することにより、目的物を固相担体から切り出した後に溶媒を留去し、得られた粗生成物を逆相HPLCにて精製することにより目的物を得た。得られた各オリゴヌクレオチドの純度および構造をLC-MS(Waters社製)により確認した。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを、ヒトCSGALNACT1(hCSGalNAcT1)(GenBank:NM_001130518.1(配列番号1))のmRNAを標的とするよう設計した。
標的領域の選定のため、mRNAの一次配列から熱力学的に安定な相補結合を計算したmRNAの二次構造予測に基づき、ループ構造などの、アンチセンスオリゴヌクレオチドがアクセスしやすい領域を選定した。この領域内でmRNAの逆相補の配列(アンチセンスの配列)を選定し、それらの配列からアンチセンスで毒性発現するCGの配列を含む配列を除外した。GGGenome(GGGenome:gggenome.dbcls.jp/)を用いて配列とhCSGalNAcT1以外の遺伝子との相同性を評価して候補配列を選定した。
上記のように選定した候補配列に相補的な塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして設計した。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、15量体とし、5’末端および3’末端に糖修飾ヌクレオシドを含む人工核酸領域を、そして中央部に天然ヌクレオシド(DNA)を含む天然核酸領域を設けた。より詳細には、5’末端側の3塩基(5’ウイング領域)を糖修飾ヌクレオシドとし、次いで9塩基(ギャップ領域)を天然ヌクレオシド(DNA)、次いで3’末端側の3塩基(3’ウイング領域)のうち中央側の2塩基を糖修飾ヌクレオシド、そして3’末端の1塩基をDNAとする、3-9-2-1型ギャップマーとして設計した。
設計、調製したアンチセンスオリゴヌクレオチドを表1、表2及び表3に列挙する。表1~3には、アンチセンスオリゴヌクレオチドの名称(「オリゴヌクレオチド名」)を、その標的領域の配列の5’末端および3’末端(各々、配列番号1の塩基位置にて示す)と共に示す。例えば、hCSGALNACT1-149-AmNA(15)であれば、配列番号1の塩基配列の149位を標的領域の5’末端とする、AmNAを含む15量体のアンチセンスオリゴヌクレオチドであることを意味する。
表1~3中、「5」は5-メチルシトシン(mC)を表し、A(Am),G(Am),5(Am),T(Am)は、AmNAヌクレオチドであることを表し、A(Sc),G(Sc),5(Sc),T(Sc)は、ScpBNAヌクレオチドであることを表し、a,g,c,tは、非修飾のヌクレオチド(DNA)であることを表し、「^」は、ホスホロチオエート結合を表す。
表1~3中、各アンチセンスオリゴヌクレオチドは「hCSGALNACT1-p-n(L)」と表記した。当該表記において、「p」は、配列番号1におけるその標的領域の5’末端にあたる塩基位置の番号を意味し、「n」は、糖修飾ヌクレオシド(人工核酸)を意味し(表1~3では「AmNA」)、そして「L」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さを意味する。すなわち、例えば、「hCSGAlNACT1-149-AmNA(15)」と表記された場合、配列番号1の塩基配列の149位が標的領域の5’末端となり、AmNAを含み、そして塩基長が15であることを意味する。また例えば、「hCSGALNACT1-2430-AmNA,SCP,PO(15)」と表記された場合、配列番号1の塩基配列の2430位が標的領域の5’末端となり、AmNA・SCPを含みホスホロチオエート結合がPO化されており、そして塩基長が15であることを意味する。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列を5’から3’の方向(5’→3’)で表す場合、例えば、hCSGalNAcT1-149でアンチセンスオリゴヌクレオチドが15merの長さの場合、配列番号1の塩基配列の149位から15塩基分3’末端側に伸ばした、すなわち配列番号1の149位から163位までのDNA塩基配列である5’-gcgctcttaccttct-3’に基づく標的mRNA配列である5’-gcgcucuuaccuucu-3’に相補する塩基配列(5’-agaaggtaagagcgc-3’)(配列番号2)として設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを意味する。
すなわちこのように設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドhCSGALNACT1-149-AmNA(15)の塩基配列(5’-agaaggtaagagcgc-3’)(配列番号2)は、配列番号1の149位から163位までの領域の塩基配列(5’-gcgctcttaccttct-3’)に対して相補的な配列となる。
(実施例2)ヒトグリア芽腫細胞におけるインビトロでのhCSGalNAcT1のmRNA発現抑制
実施例1で調製したアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、ヒトグリア芽腫細胞におけるインビトロでのhCSGalNAcT1のmRNA発現抑制活性を調べた。オリゴヌクレオチドを添加しなかったものをブランクとした。また、比較のために、LNAを含むネガティブコントロール(NC)のオリゴヌクレオチド:
G(L)^A(L)^A(L)^a^a^c^t^a^a^a^a^t^G(L)^A(L)^g(配列番号232)
及びLNAを含むポジティブコントロール(PC)のオリゴヌクレオチド:
A(L)^5(L)^A(L)^t^c^a^c^a^g^a^a^a^A(L)^A(L)^g(配列番号233)
(上記配列中、「(L)」がLNAを示す以外、記号は表1~3と同義である)を用いた。NCは、特許文献1において「核酸NEG#1(配列番号186)」として使用されたオリゴヌクレオチドと同一のものである。また、PCは、特許文献1において、「hT1-2126-LNA(15)(配列番号113)」として使用されたオリゴヌクレオチドであり、CSGALNACT1の阻害が確認されたものと同一のものである。
ヒトグリア芽腫細胞として、U251-MG細胞(European Collection of Authenticated Cell Cultures:ECACC)を用いた。各アンチセンスオリゴヌクレオチドを市販のトランスフェクション試薬(ThermoFisher Scientific社、リポフェクトアミン3000)を用いてU251-MG細胞に取り込ませ、qRT-PCR法にてmRNAの発現量を測定し、ノックダウン活性(mRNAの発現抑制)を調べた。以下に手順を示す。対数増殖期のU251-MG細胞を4.0×10個/ウェルにて、24ウェルプレートのウェル(10%ウシ胎児血清(FBS)及び1%非必須アミノ酸を含むイーグル最小必須培地(EMEM)を含む)中に播いた。24時間後、各アンチセンスオリゴヌクレオチドを最終濃度が100nMとなるようにウェル内に添加し、24時間インキュベートした。インキュベート後、細胞を回収し、RNA抽出試薬(Promega社、Maxwell RSC simplyRNA Cells Kit)及び機器(Promega社、Maxwell RSC Instrument)を用いて、total RNAを抽出した。該当total RNAを鋳型として、逆転写用酵素(Promega、GoScript Reverse Transcriptase System)を使用してcDNAを合成した。逆転写反応は、25℃5分間、42℃60分間、70℃15分間、4℃5分間の温度サイクリングで行った。合成したcDNAを鋳型として、核酸増幅反応用試薬(Promega社、GoTaq qPCR Master Mix)を用いてPCR増幅反応を行った。核酸増幅反応は、95℃2分間、[(95℃5秒間、60℃30秒間)×40~45サイクル]の温度サイクリングで行った。リアルタイムPCRでは、ハウスキーピング遺伝子のヒトグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(hGAPDH)のmRNA量も同時に定量し、hGAPDHのmRNA量に対するhCSGALNACT1のmRNA量を評価した。各アンチセンスオリゴヌクレオチドによるmRNA量は、オリゴヌクレオチド無添加細胞のmRNA量を1とした場合の相対値にて示す。試験は、各条件につき二重測定(n=2)で行い、平均値を求めた。
用いたプライマーセットは、下記のとおりである:
(hCSGALNACT1検出用プライマー、ファスマック社)
hCSGalNAcT1 Set1-Fw:
5’-TCAGGGAGATGTGCATTGAG-3’(配列番号234)
hCSGalNAcT1 Set1-Rv:
5’-AGTTGGCAGCTTTGGAAGTG-3’(配列番号235)
hCSGalNAcT1 Set2-Fw:
5’-GGAGACCCTGAACAGTCCTG-3’(配列番号236)
hCSGalNAcT1 Set2-Rv:
5’-GCCGTTTGAATTCGTGTTTG-3’(配列番号237)
(hGAPDH検出用プライマー、ファスマック社)
Fw:5’-GAGTCAACGGATTTGGTCGT-3’(配列番号238)
Rv:5’-GACAAGCTTCCCGTTCTCAG-3’(配列番号239)
mRNA発現抑制解析の結果を図1A-Hに示す。図中横軸の番号は、表1-3に示すアンチセンスヌクレオチドの番号(No.)に対応する。アンチセンスヌクレオチドを添加することで、オリゴヌクレオチド無添加細胞(ブランク)およびNCを添加した細胞よりもmRNA量が低くなる細胞が多く見られた。すなわちmRNA発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドが数多く見出された。
(実施例3)ヒト子宮頸がん細胞におけるインビトロでのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる細胞毒性の解析
上記実施例2において高いノックダウン活性(mRNAの発現抑制)を示し、且つヒト・マウス間の遺伝子配列で相同性の高い51種のアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、それらのヒト細胞株におけるインビトロ細胞毒性を評価するために、アポトーシスのマーカーであるカスパーゼ-3/7活性への影響を調べた。オリゴヌクレオチドを添加しなかったものをブランクとした。また、比較のために、スタウロスポリン及びAmNAあるいはLNAを含む2種のポジティブコントロール、PC1、PC2のオリゴヌクレオチド:
A(Am)^T(Am)^5(Am)^a^t^g^g^c^t^g^c^a^g^5(Am)^T(Am)^t(PC1、配列番号240)、及び
G(L)^T(L)^5(L)^a^t^c^c^c^a^a^a^t^5(L)^5(L)^a(PC2、配列番号241)
(上記配列中、「(L)」がLNAを示す以外、記号は表1~3と同義である)を用いた。PC1は、Burel et al. Nucleosides, Nucleotides, and Nucleic Acids 44, 2093-2109 (2015)中で使用している配列(Isis No.569717、PTEN)のLNAをAmNAに変更し、3’末端をDNAに変更した配列であるが、上記論文中で肝毒性を示すことが確認されている。PC2は、特許文献1において、「hT1-2327-LNA(15)(配列番号35)」として使用されたオリゴヌクレオチドであり、CSGALNACT1の阻害が確認されたものと同一のものである。PC1、PC2のいずれの配列も、カスパーゼ濃度を上昇させるポジティブコントロールとして使用した。
ヒト子宮頸がん細胞としてHeLa-S3細胞を用い、各アンチセンスオリゴヌクレオチドを市販のトランスフェクション試薬(ThermoFisher Scientific社、リポフェクトアミン3000)を用いてHeLa-S3細胞に取り込ませ、カスパーゼ活性を測定し、細胞毒性(アポトーシス誘導作用)を調べた。以下に手順を示す。
対数増殖期のHeLa-S3細胞を1.0×10個/ウェルにて、96ウェルプレートのウェル(10%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を含む)中に播いた。24時間後、各アンチセンスオリゴヌクレオチドを最終濃度が200nMとなるようにウェル内に添加し、24時間インキュベートした。
インキュベート後、カスパーゼ活性用試薬(Promega社、Caspase-Glo3/7 Assay System)を添加し、HeLa-S3細胞のカスパーゼ-3/7由来の発光強度を測定した。試験は、各条件につき二重測定(n=2)で行い、平均値を求めた。
カスパーゼ-3/7活性解析の結果を図2A~Bに示す。図中横軸の番号は、表1-3に示すアンチセンスヌクレオチドの番号(No.)に対応する。各細胞における発光強度を、ブランクを100とした相対値で示した。その結果、PC1、PC2添加細胞よりもカスパーゼ-3/7活性が低くなる、すなわち細胞毒性への影響が少ないアンチセンスオリゴヌクレオチドが見出された。カスパーゼ-3/7活性(アポトーシス作用)の上昇の低かったアンチセンスオリゴヌクレオチドを表4にまとめた。
Figure 2023137052000014
Figure 2023137052000015
(実施例4)scpBNA含有オリゴヌクレオチド等の設計
表1に列挙したアンチセンスオリゴヌクレオチドのうち、ヒトグリア芽腫細胞におけるインビトロでのhCSGalNAcT1のmRNA発現抑制が認められたアンチセンスオリゴヌクレオチドの一部について、塩基の一部をscpBNAに変更、一部の骨格をホスホロチオエート化(PS)骨格からホスホロジエステル(PO)骨格に変更、また、配列長を変更したギャップマーを設計した。設計ののち、実施例1と同様に核酸自動合成機(nS-8型、株式会社ジーンデザイン製)を用いて、0.2μmolスケールまたは1.0μmolスケールで合成した。合成したアンチセンスオリゴヌクレオチドを表2および表3に示す。
(実施例5)ヒトグリア芽腫細胞(YKG-1細胞)におけるインビトロでのhCSGalNAcT1のmRNA発現抑制
実施例4で調製したアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、ヒトグリア芽腫細胞(YKG-1細胞)におけるインビトロでのhCSGalNAcT1のmRNA発現抑制活性を調べた。ヒトグリア芽腫細胞として、YKG-1細胞(JCRB 細胞バンク)を用いた。各アンチセンスオリゴヌクレオチドを市販のトランスフェクション試薬(ThermoFisher Scientific社、リポフェクトアミン3000)を用いてYKG-1細胞に取り込ませ、qRT-PCR法にてmRNAの発現量を測定し、ノックダウン活性(mRNAの発現抑制)を調べた。以下に手順を示す。
対数増殖期のYKG-1細胞を3.0×10個/ウェルにて、24ウェルプレートのウェル(10%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を含む)中に播いた。24時間後、各アンチセンスオリゴヌクレオチドを最終濃度が3nM及び30nMとなるようにウェル内に添加し、24時間インキュベートした。インキュベート後、細胞を回収し、RNA抽出試薬(Promega社、Maxwell RSC simplyRNA Cells Kit)及び機器(Promega社、Maxwell RSC Instrument)を用いて、total RNAを抽出した。該当total RNAを鋳型として、逆転写用酵素(Promega、GoScript Reverse Transcriptase System)を使用してcDNAを合成した。逆転写反応は、25℃5分間、42℃60分間、70℃15分間、4℃5分間の温度サイクリングで行った。合成したcDNAを鋳型として、核酸増幅反応用試薬(Promega社、GoTaq qPCR Master Mix)を用いてPCR増幅反応を行った。核酸増幅反応は、95℃2分間→[(95℃5秒間、60℃30秒間)×40サイクル]の温度サイクリングで行った。リアルタイムPCRでは、ハウスキーピング遺伝子のヒトグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(hGAPDH)のmRNA量も同時に定量し、hGAPDHのmRNA量に対するhCSGALNACT1のmRNA量を評価した。各アンチセンスオリゴヌクレオチドによるmRNA量は、オリゴヌクレオチド無添加細胞のmRNA量を1とした場合の相対値にて示す。なお、本実施例のPCRに使用したプライマーセットは、実施例3と同様である。試験は、各条件につき二重測定(n=2)で行い、平均値を求めた。
図3は、各種アンチセンスオリゴヌクレオチドを3nMおよび30nM添加した際の、mRNA発現抑制解析の結果を示す。図4は、各種アンチセンスオリゴヌクレオチドを3nMおよび10nM添加した際の、mRNA発現抑制解析の結果を示す。いずれのアンチセンスオリゴヌクレオチドを添加した細胞も、10nMまたは30nMの濃度ではオリゴヌクレオチド無添加細胞(ブランク)およびNC添加細胞よりもmRNA量が低かった。
(実施例6)アンチセンスオリゴヌクレオチドの瘢痕形成への影響(1)
in vitroで瘢痕形成を定量することによって、アンチセンスオリゴヌクレオチドの瘢痕形成への影響を調べた。本発明者らは、線維芽細胞とグリア細胞を混合し、増殖因子(TGFβ及びPDGF)を加えた培地中で培養すると線維性瘢痕が形成される、in vitro瘢痕形成系を開発した。脊髄損傷後に組織修復の結果として生じる瘢痕は、神経の再生を阻害すると一般に考えられている。そのため、瘢痕の形成を抑制することにより、脊髄損傷の回復を促進することができる。
U251細胞(グリア細胞、ヒトアストロサイトーマ由来)は、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所JCRB細胞バンクから細胞登録番号IFO50288で入手した。HT1080細胞(線維芽細胞、ヒト線維肉腫由来)は、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所JCRB細胞バンクから細胞登録番号JCRB9113で入手した。
5×10個のU251細胞及び5×10個のHT1080細胞をそれぞれ500μLの培地(RPMI1640培地、和光純薬工業株式会社)中に懸濁した。U251細胞懸濁液をPoly-L-Lysine(SIGMA社)でコーティングした4well Chamber Slide(RS Glass)に播種し、その4時間後にHT1080細胞懸濁液を追加で播種した。HT1080細胞播種時にTGFβ(和光純薬)を5ng/mL添加した。細胞は10%FCS(SIGMA社)を補充したDMEM培地中で培養した。
翌日、培地を、400μLのOpti-MEM(Gibco)に交換した。培地交換の際、市販のトランスフェクション試薬(ThermoFisher Scientific社、リポフェクトアミン3000)を用いて、アンチセンスオリゴヌクレオチドを最終濃度200nMで細胞にトランスフェクト(導入)した。アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、実施例1で合成したNo.231及び235のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用した。対照として、実施例2に記載のネガティブコントロール(NC)でトランスフェクトした細胞を準備した。
細胞を37℃にてCOインキュベーター内でインキュベートした。6時間後にTGFβ(最終濃度20ng/mL)を含む10%FCS(SIGMA社)を補充したDMEM400μLを追加した。アンチセンスオリゴヌクレオチド投与96時間後に、4%パラホルムアルデヒドで固定したのち撮像した。得られた画像データより、画像処理ソフトウェアImage J(National Institute of Health)を用いて瘢痕数を計数した。試験は、時期を変えて2回実施した。
表5に、アンチセンスオリゴヌクレオチドをトランスフェクトした場合の瘢痕数を示す。瘢痕数は、NCをトランスフェクトした場合の瘢痕数の値に対する相対値(%)として示す。No.231及び235のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、瘢痕数を顕著に低下させることが示された。
Figure 2023137052000016
(実施例7)アンチセンスオリゴヌクレオチドの瘢痕形成への影響(2)
同様に、No.81、242、243及び245のアンチセンスオリゴヌクレオチドの瘢痕形成への影響を検討するために、in vitro瘢痕形成系による評価を行った。培養器として24well plate(Thermo 142475)を用いた点、U251細胞及びHT1080細胞の播種濃度をいずれも3.5×10個/500μLとした点、U251細胞播種5時間後にHT-1080細胞を播種した点、並びにトランスフェクト4時間後にTGFβを含む10%FCSを補充したDMEMを追加した点以外は、実施例6と同様の条件とした。実施例2に記載のポジティブコントロール(PC)についても同様の評価を行った。細胞固定は行わずそのまま撮像し、瘢痕数計数を行った。
表6にアンチセンスオリゴヌクレオチドをトランスフェクトした場合の瘢痕数を示す。いずれのアンチオリゴヌクレオチドも、PCより瘢痕数の低減効果が高いことが確認された。
Figure 2023137052000017

Claims (14)

  1. コンドロイチン硫酸N-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ-1(CSGalNAc-T1)遺伝子の発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、
    前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、鎖長が11~25merであり、かつ、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを有し、
    アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて149~163番目、388~632番目、677~744番目、863~1471番目、1651~1769番目、2012~2100番目、2611~3708番目又は3790~4038番目に位置する塩基で構成される標的領域に相補的な塩基配列において80%以上の配列同一性を有する塩基配列である、
    アンチセンスオリゴヌクレオチド。
  2. アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップ領域と、ギャップ領域の3’末端に結合している3’ウイング領域と、ギャップ領域の5’末端に結合している5’ウイング領域とを含む、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  3. 3’ウイング領域及び5’ウイング領域のヌクレオチドが、それぞれ少なくとも一つの架橋型核酸を有する、請求項2に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  4. 架橋型核酸がscpBNA及び/またはAmNAである、請求項3に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  5. ヌクレオチド間結合の少なくとも一つが、ホスホロチオエート結合である、請求項1~4のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  6. 3’ウイング領域と5’ウイング領域におけるヌクレオチド間結合の少なくとも一つが、ホスホジエステル結合である、請求項2~5のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  7. 3’ウイング領域と5’ウイング領域におけるヌクレオチド間結合のホスホロチオエート(PS)結合とホスホロジエステル(PO)結合との合計に対するPO結合が占める割合(PO/(PS+PO))が0.5未満である、請求項6に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  8. ギャップ領域が、7~17merであり、
    3’ウイング領域が、2~6merであり、
    5’ウイング領域が、2~6merである、
    請求項2~7のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  9. アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号1に記載の塩基配列において、5’末端から数えて2012~2100番目に位置する塩基で構成される標的領域に相補的な塩基配列において90%以上の配列同一性を有する塩基配列である、請求項1~8のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  10. アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号2~231からなる群より選択される塩基配列、あるいは当該配列に対し1~2個の核酸塩基が置換、欠失もしくは挿入された配列である、請求項1~8のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  11. アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号2~4、6~30及び32~231からなる群より選択される配列、あるいは当該配列に対し1~2個の核酸塩基が置換、欠失もしくは挿入された配列である、請求項10に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  12. アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列が、配列番号2、6~29、32~42、44~229及び231からなる群より選択される配列、あるいは当該配列に対し1~2個の核酸塩基が置換、欠失もしくは挿入された配列である、請求項11に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
  13. コンドロイチン硫酸の増加に関連する疾患または状態を治療するための、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、医薬組成物。
  14. コンドロイチン硫酸の増加に関連する疾患または状態が、脊髄損傷である、請求項13に記載の医薬組成物。
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