JP2023136646A - 軽質オレフィン含有ガスの製造方法 - Google Patents

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Tomohiko Handa
公太 馬渕
Kota Mabuchi
義文 平松
Yoshibumi Hiramatsu
正夫 宮岡
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【課題】外部からの熱供給を減らすと共に、廃プラスチックから軽質オレフィン含有ガスを効率よく回収できる軽質オレフィン含有ガスの製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方を含む廃プラスチックを580℃以上680℃以下で熱分解することにより、熱分解ガス及び熱分解残渣を生成する第1工程と、前記第1工程で生成された前記熱分解ガスを、エチレンガス及びプロピレンガスの少なくとも一方を含む軽質オレフィン含有ガスと、熱分解油とに分離する第2工程と、前記第1工程で生成された前記熱分解残渣、及び前記第2工程で分離された前記熱分解油の少なくとも一方を燃焼させる第3工程と、を有し、前記第1工程は、前記第3工程で得られた熱を、前記廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用する、軽質オレフィン含有ガスの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、軽質オレフィン含有ガスの製造方法に関する。
プラスチックは頑丈で腐食性がないことから、投棄された廃プラスチックによる海洋汚染が世界的な課題となっている。品質が均一かつ単一のプラスチックからなる廃プラスチック(例えばペットボトル)については、マテリアルリサイクルが広く実用化されている。しかしながら、多くの廃プラスチックはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、及びポリ塩化ビニル(PVC)を主体として多様なプラスチックが混合した状態で排出されることから、マテリアルリサイクルは困難であるとされている。
また、ケミカルリサイクルとして、油化、ガス化や鉄鋼業の石炭やコークス炉代替物として活用することが検討されている。例えば、鉄鋼業の高炉及びコークス炉を用いて、石炭代替材をガス化する、又は油化する方法が実用化されている。しかしながら、これらの方法で生成される生成物(ガス及び油)は、プラスチック原料であるモノマーには直接リサイクルすることが困難であるとされている。
一方、廃プラスチックの処理設備で発生する残渣物を利用する方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、廃プラスチック油化処理設備において発生する油化不適物やカーボン残渣等の二次廃棄物を部分燃焼してガス化、又は乾留してガス化し、このガスを回収して、廃プラスチック油化処理設備における各種処理炉の燃料として用いることを特徴とする廃プラスチックの二次廃棄物の有効利用方法が開示されている。
また、廃プラスチックの熱分解ガス化反応に関する研究が報告されている。
例えば、非特許文献1、2には、プラスチック廃棄物の有効利用の観点から、熱媒体として過熱水蒸気を用いた固定床流通系常圧装置でポリエチレンまたはポリプロピレンの熱分解ガス化反応を行なったことが記載されている。
特開平10-168462号公報
沢口孝志、黒木健、磯野達男、池村糺、ポリエチレンの熱分解ガス化反応、日本化学会誌、1977、No.4、p.565-569 黒木健、沢口孝志、羽島利生、河島徹、池村糺、ポリプロピレンの熱分解ガス化反応、日本化学会誌、1976、No.2、p.322-327
廃プラスチックをケミカルリサイクルする技術においては、廃プラスチックを熱分解してガス化し、軽質オレフィンガスとして回収する技術が知られている。軽質オレフィンガスは、プラスチック原料として再生することができるので、ケミカルリサイクルで得られる軽質オレフィンガスを効率よく回収するための方法が望まれている。
また、廃プラスチックをガス化する際には、軽質オレフィンガスと共に熱分解残渣が生じる。このような残渣物をエネルギーとして利用できれば有効である。
特許文献1は、廃プラスチックを油化処理する技術であるため、廃プラスチックをガス化する際の熱分解条件について検討がなされていない。
非特許文献1、2では、廃プラスチックをガス化する際に生じる残渣物を利用することについて着目していない。
本発明の目的は、外部からの熱供給を減らすと共に、廃プラスチックから軽質オレフィン含有ガスを効率よく回収できる軽質オレフィン含有ガスの製造方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方を含む廃プラスチックを580℃以上680℃以下で熱分解することにより、熱分解ガス及び熱分解残渣を生成する第1工程と、前記第1工程で生成された前記熱分解ガスを、エチレンガス及びプロピレンガスの少なくとも一方を含む軽質オレフィン含有ガスと、熱分解油とに分離する第2工程と、前記第1工程で生成された前記熱分解残渣、及び前記第2工程で分離された前記熱分解油の少なくとも一方を燃焼させる第3工程と、を有し、前記第1工程は、前記第3工程で得られた熱を、前記廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用する、軽質オレフィン含有ガスの製造方法が提供される。
本発明の一態様に係る軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、前記熱分解残渣を燃焼させることにより得られた熱を、前記熱源として使用することが好ましい。
本発明の一態様に係る軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、前記熱分解油及び前記熱分解残渣を燃焼させることにより得られた熱を、前記熱源として使用することが好ましい。
本発明の一態様に係る軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、前記熱源として使用する前記熱は、燃焼ガスであることが好ましい。
本発明の一態様に係る軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、前記第1工程は、熱分解装置にて実施され、前記熱分解装置内における前記廃プラスチックの滞留時間は5秒以上15秒以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係る軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、前記廃プラスチックは、ポリエチレン及びポリプロピレンを含むことが好ましい。
本発明の一態様に係る軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、前記廃プラスチック中における前記ポリエチレン及び前記ポリプロピレンの合計の含有量は、70質量%以上であることが好ましい。
本発明の一態様に係る軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、前記廃プラスチックは、さらにポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及び熱硬化性プラスチックから選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明の一態様によれば、外部からの熱供給を減らすと共に、廃プラスチックから軽質オレフィン含有ガスを効率よく回収できる軽質オレフィン含有ガスの製造方法を提供することができる。
第1実施形態の製造方法に用いられる軽質オレフィン含有ガスの製造設備の一例の概略図。 第1実施形態の製造方法に用いられる軽質オレフィン含有ガスの製造設備の別の一例の概略図。 実施例及び比較例の評価で用いた実験装置の概略図。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前に記載される数値を下限値とし、「~」の後に記載される数値を上限値として含む範囲を意味する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る軽質オレフィン含有ガスの製造方法(以下、本実施形態の製造方法とも称する。)は、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方を含む廃プラスチックを580℃以上680℃以下で熱分解することにより、熱分解ガス及び熱分解残渣を生成する第1工程と、前記第1工程で生成された前記熱分解ガスを、エチレンガス及びプロピレンガスの少なくとも一方を含む軽質オレフィン含有ガスと、熱分解油とに分離する第2工程と、前記第1工程で生成された前記熱分解残渣、及び前記第2工程で分離された前記熱分解油の少なくとも一方を燃焼させる第3工程と、を有する。
前記第1工程は、前記第3工程で得られた熱を、前記廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用する。
本発明者らは、廃プラスチックの熱分解温度を580℃以上680℃以下に設定することで、廃プラスチックの熱分解に必要な熱量を、廃プラスチックに由来する熱分解生成物(熱分解油及び熱分解残渣の少なくとも一方)から確保しながら、軽質オレフィンガスを効率よく製造できることを見出した。
廃プラスチックを熱分解する際には、大きなエネルギーを必要とするため、通常は、熱分解に必要な熱量(LPG及び重油等)を外部から供給する必要がある。
本実施形態の製造方法では、熱分解に必要な熱量を廃プラスチックに由来する熱分解生成物で補うことができる。
廃プラスチックの熱分解温度を580℃以上680℃以下にする意義について説明する。
本発明者らの知見に基づき、本実施形態では、軽質オレフィンガスの収率(得率)が25%以上である場合を、軽質オレフィンガスの収率が高いと判断する。
廃プラスチックをケミカルリサイクルする技術において、軽質オレフィンガスを製造する方法としては、例えば、廃プラスチックを油化することで生成したナフサ留分を熱分解する方法、及び廃プラスチックをガス化することで生成した混合ガス(CO及びH等)を用いて軽質オレフィンガスを合成する方法がある。
ナフサ留分を熱分解する方法の場合、軽質オレフィンガスの収率は、廃プラスチックの総量に対して10質量%~12質量%(エチレン7質量%~8質量%、プロピレン3質量%~4質量%)程度である。
混合ガスを用いて軽質オレフィンガス合成する方法の場合、軽質オレフィンガスの収率は、廃プラスチックの総量に対して20質量%(エチレン及びプロピレンの合計で20質量%)程度である。
以上の理由より、本実施形態では、軽質オレフィンガスの収率が25%以上である場合を、軽質オレフィンガスの収率が高いと判断した。
廃プラスチックの熱分解温度が580℃未満であると、廃プラスチックの熱分解が不十分となり、軽質オレフィンガスの収率が25%未満になる。一方、熱分解油及び熱分解残渣の合計の収率は増える傾向がある。
廃プラスチックの熱分解温度が680℃超えであると、廃プラスチックの熱分解が過度に進行し、軽質オレフィンガスの収率が向上するものの、熱分解油及び熱分解残渣の合計の収率は低下する傾向がある。また、廃プラスチックの熱分解温度が680℃超えであると、プロピレンガスが他の生成物に転換するため、プロピレンガスの収率が低下するという問題が生じる。
よって、廃プラスチックの熱分解温度を580℃以上680℃以下にすることで、軽質オレフィンガスの収率をバランスよく向上でき、かつ熱分解の熱量として利用可能な前記熱分解生成物を確保し易くなる。
本実施形態の製造方法によれば、外部からの熱供給を減らし(好ましくは外部からの熱供給を無くし)、かつ廃プラスチックから軽質オレフィン含有ガスを効率よく回収できる。
軽質オレフィンガスの収率(質量%)とは、(軽質オレフィンガスの総生成量(kg)/原料としての廃プラスチックの総量(kg))×100で表される値である。
熱分解油及び熱分解残渣の合計の収率(質量%)とは、(熱分解油及び熱分解残渣の総生成量(kg)/原料としての廃プラスチックの総量(kg))×100で表される値である。
なお、熱分解油及び熱分解残渣の合計の収率は、廃プラスチックを熱分解するために必要な熱量を十分確保する観点から、23質量%以上であることが好ましい。
軽質オレフィンガスの収率、熱分解油の収率及び熱分解残渣の収率は、例えば、実施例に記載の方法で測定される。
本明細書において、軽質オレフィンガスとは、エチレンガス及びプロピレンガスを意味する。
本明細書において、熱分解ガスとは、廃プラスチックの熱分解で生成したガス成分を意味する。
本明細書において、熱分解油とは、気液分離装置によって熱分解ガスから分離された油成分(炭素数5以上の炭化水素油)を意味する。
本明細書において、熱分解残渣とは、廃プラスチックの熱分解によりガス化されなかった残渣物(チャー及びタール等)を意味する。
本実施形態の製造方法における各工程について説明する。
<第1工程>
第1工程は、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方を含む廃プラスチックを580℃以上680℃以下で熱分解することにより、熱分解ガス及び熱分解残渣を生成する。第1工程は、第3工程で得られた熱を、廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用する。
廃プラスチックの熱分解温度は、軽質オレフィンガスの収率をより向上させる点で、620℃以上670℃以下であることがより好ましい。
本実施形態において、第1工程は、熱分解装置にて実施され、熱分解装置内における廃プラスチックの滞留時間は、好ましくは5秒以上15秒以下である。
熱分解装置内における廃プラスチックの滞留時間が5秒以上15秒以下であると、廃プラスチックを効率よく熱分解できる。
熱分解装置は特に限定されず、公知の熱分解装置(例えば熱分解炉等)を用いることができる。廃プラスチックのサイズ及び形状としては特に限定されない。熱分解装置の仕様に応じて決定される。
廃プラスチック中におけるポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
本実施形態において、廃プラスチックは、ポリエチレン及びポリプロピレンを含むことが好ましい。
廃プラスチック中におけるポリエチレン及びポリプロピレンの合計の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。廃プラスチック中におけるポリエチレン及びポリプロピレンの合計の含有量の上限は、100質量%である。
ポリエチレン及びポリプロピレンの合計の含有量が多い程、プラスチック原料として再生できるエチレンガス及びプロピレンガスの生成量を増やすことができるので好ましい。
本実施形態において、廃プラスチックは、さらにポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及び熱硬化性プラスチックから選択される少なくとも一種(以下、他の廃プラスチックとも称する)を含むことも好ましい。
熱硬化性プラスチックとしては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコン樹脂、及びポリウレタン等が挙げられる。
他の廃プラスチック(ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及び熱硬化性プラスチックから選択される少なくとも一種)は、原料に由来する熱分解生成物(熱分解油及び熱分解残渣の少なくとも一方)を生成し易いので、廃プラスチックが他の廃プラスチックを含む場合、廃プラスチックの熱分解に必要な熱量を確保し易くなる。
例えば、廃プラスチックの熱分解温度を高くすると、熱分解がより進行するが、一方で、熱分解油及び熱分解残渣の合計の収率が低下し、廃プラスチックを熱分解するための熱量を確保しにくくなる。
このような場合に、廃プラスチックが、他の廃プラスチックを含むことで、廃プラスチックの熱分解に必要な熱量を他の廃プラスチックから補うことができる。
本実施形態において、廃プラスチックがポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及び熱硬化性プラスチックから選択される少なくとも一種(他の廃プラスチック)を含む場合、廃プラスチック中における当該他の廃プラスチックの含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。廃プラスチックが他の廃プラスチックを含む場合、廃プラスチック中におけるポリエチレン、ポリプロピレン及び他の廃プラスチックの合計の含有量の上限は、100質量%である。
本実施形態において、廃プラスチックがポリ塩化ビニルを含む場合、廃プラスチック中におけるポリ塩化ビニルの含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態において、廃プラスチックがポリスチレンを含む場合、廃プラスチック中におけるポリスチレンの含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態において、廃プラスチックが熱硬化性プラスチックを含む場合、廃プラスチック中における熱硬化性プラスチックの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
<第2工程>
第2工程は、第1工程で生成された熱分解ガスを、エチレンガス及びプロピレンガスの少なくとも一方を含む軽質オレフィン含有ガスと、熱分解油とに分離する。
第2工程は、例えば、公知の気液分離装置にて実施される。また、第2工程は、インピンジャーを用いて実施することもできる。
気液分離装置に導入された熱分解ガスは、例えば、40℃程度に冷却される。この冷却により、熱分解ガス中に含まれる油成分は凝縮し、熱分解油として分離される。
また、熱分解ガス中に含まれる非凝縮性のガス成分は冷却器塔頂から軽質オレフィン含有ガスとして分離される。
<第3工程>
第3工程は、第1工程で生成された熱分解残渣、及び第2工程で分離された熱分解油の少なくとも一方を燃焼させる。
第3工程は、例えば、公知の燃焼装置(例えば燃焼炉等)にて実施される。
燃焼装置には、第1工程で生成された熱分解残渣、及び第2工程で分離された熱分解油の少なくとも一方が導入されて燃焼される。
燃焼温度は、例えば、850℃以上1000℃以下である。
燃焼時間は、例えば、2秒以上である。
本実施形態において、熱分解残渣を燃焼させることにより得られた熱を、廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用することが好ましい。
本実施形態において、熱分解油及び熱分解残渣を燃焼させることにより得られた熱を、廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用することがより好ましい。
熱分解油及び熱分解残渣の両方を燃焼させることで、熱分解油及び熱分解残渣から得られる熱量を増加できる。その結果、外部からの熱供給をより減らすことができる。
廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用する前記熱(熱分解残渣、又は熱分解油及び熱分解残渣を燃焼させることにより得られた熱)は、燃焼ガスであることが好ましい。
前記熱の使用態様としては、例えば、下記(1)から(3)の態様が挙げられる。
(1)燃焼装置で発生した燃焼ガスを熱分解装置に直接導入して廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用する態様
(2)燃焼ガスを熱分解装置周囲に供給し、伝熱により廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用する様態
(3)燃焼装置で燃焼により生じた熱を砂等の流動媒体に伝熱し、伝熱された流動媒体を熱分解装置に導入して廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用する態様
本実施形態の製造方法は、例えば、図1に示す軽質オレフィン含有ガスの製造設備1を用いて実施できる。
<全体構成>
軽質オレフィン含有ガスの製造設備1は、熱分解装置10と、燃焼装置12と、気液分離装置14と、廃プラスチックが熱分解装置10に導入される流路L1と、熱分解装置10及び気液分離装置14を接続する流路L2と、熱分解装置10及び燃焼装置12を接続する流路L3と、気液分離装置14で分離された軽質オレフィン含有ガスが流通する流路L4と、気液分離装置14で分離された熱分解油が流通する流路L5とを備える。図1中、符号H1は、燃焼装置12で発生した熱が熱分解装置10に供給されることを示している。符号H1は、例えば、熱分解装置10及び燃焼装置12を接続する流路である。
図1に示す製造設備1では、以下のようにして軽質オレフィン含有ガスが製造される。
ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方を含む廃プラスチックが、流路L1を介して熱分解装置10に導入される。熱分解装置10では、廃プラスチックが熱分解されて熱分解ガス及び熱分解残渣が生成する。
熱分解装置10で生成した熱分解ガスは、流路L2を介して気液分離装置14に導入される。
気液分離装置14では、熱分解ガスを、軽質オレフィン含有ガスと、熱分解油とに分離する。
気液分離装置14で分離された軽質オレフィン含有ガスは、流路L4を介して各種設備(例えば、エチレン製造設備、プロピレン製造設備、及びガス回収装置等)に供給され利用される。
気液分離装置14で分離された熱分解油は、流路L5を介して各種設備(例えば、常圧蒸留設備、及び流動分解接触装置等)に供給され利用される。
熱分解装置10で生成した熱分解残渣は、流路L3を介して燃焼装置12に導入される。熱分解装置10では、熱分解残渣が燃焼され、燃焼ガスが発生する。熱分解残渣の燃焼により発生した熱(例えば燃焼ガス)は、熱分解装置10に導入されて廃プラスチックを熱分解する際の熱源として利用される。
また、第1実施形態の製造方法は、例えば、図2に示す軽質オレフィン含有ガスの製造設備1Aを用いて実施できる。
<全体構成>
軽質オレフィン含有ガスの製造設備1Aは、図1で説明した製造設備1に対し、気液分離装置14で分離された熱分解油が流路L6を介して燃焼装置12に導入されること以外は、製造設備1と同様である。
図2では、図1で説明した製造設備1との相違点について説明し、その他の記載は省略もしくは簡略化する。
図2に示す製造設備1Aでは、熱分解装置10に導入された熱分解残渣及び熱分解油が共に燃焼され、燃焼ガスが発生する。熱分解残渣及び熱分解油の燃焼により発生した熱(例えば燃焼ガス)は、熱分解装置10に導入されて廃プラスチックを熱分解する際の熱源として利用される。
〔他の実施形態〕
図2の製造設備において、例えば、流路L3及び流路L6が混合装置に接続され、当該混合装置で熱分解残渣及び熱分解油を混合した後、その混合物を燃焼装置に導入してもよい。
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
〔評価に用いた実験装置の構成〕
以下の実施例及び比較例の評価は図3に示す実験装置100を用いて行った。図3に、実験装置100の概略図を示す。
実験装置100は、図1に示す軽質オレフィン含有ガスの製造設備1を実験用に小型化して改良した装置である。
実験装置100は、熱分解装置10Aと、直列に接続された3本のインピンジャー20と、廃プラスチックが導入される流路L1Aと、熱分解装置10A及びインピンジャー20を接続する流路L2Aと、各インピンジャー20を接続する流路21と、熱分解残渣を回収する排出口23と、軽質オレフィン含有ガスを排出する流路22と、を備えている。流路22には、流量計24が設けられている。それぞれのインピンジャー20には冷却水Wが貯留されている。
〔実施例1〕
ポリエチレン47.5質量%、ポリプロピレン47.5質量%、及びポリ塩化ビニル5質量%からなる廃プラスチック300gを下記条件で熱分解し、熱分解ガス及び熱分解残渣を生成した。
-条件-
・熱分解装置 :実験装置が備える熱分解装置10A(容積8L)
・熱分解温度 :600℃
・圧力 :2kPa
・廃プラスチックの滞留時間:8秒
次に、熱分解装置10Aで生成した熱分解ガスを下記条件で3本のインピンジャー20に貯留された冷却水に順番に通気させることで、熱分解油を凝縮させた。なお、インピンジャー20内の冷却水Wは外部から氷冷することで0℃に調整されている。
熱分解実験終了後、インピンジャー20の冷却水Wの上部に凝縮した凝縮物を1日静置して油層と水層とに分離(静置分離)したのち、油層のみを熱分解油として回収した。
水中への通気により凝縮されなかったガス(軽質オレフィン含有ガス)は、流路22から回収した。また、熱分解残渣も排出口23から回収した。
-条件-
・各インピンジャー20内の冷却水W :900mL
・冷却水Wの温度:0℃
〔実施例2及び比較例1~2〕
廃プラスチックの熱分解温度を表1に記載の温度に変更した以外、実施例1と同様の方法で、廃プラスチックを熱分解し、熱分解油、軽質オレフィン含有ガス及び熱分解残渣を回収した。
<評価>
実施例1~2及び比較例1~2で得られた熱分解油、軽質オレフィン含有ガス及び熱分解残渣の収率を、それぞれ以下の方法で求めた。なお、熱分解残渣の収率は、燃焼ガス中のCO及びCOの組成から求めた。
燃焼ガスは以下の方法で生成させた。
熱分解残渣を回収後、燃焼炉に導入した。次に、熱分解残渣を空気雰囲気下で650℃、30分間、燃焼させることで燃焼ガスを生成させた。生成した燃焼ガスを採取し、後述の方法で燃焼ガス中のCO及びCOの組成を測定した。
結果を表1に示す。表1の値は、原料として用いた廃プラスチック300gに対する各成分の収率(各成分の質量の百分率)を表す
(熱分解油の収率)
回収した熱分解油を、分液漏斗を用いて油層のみを分離及び秤量し、この秤量値を熱分解油の質量とした。得られた質量から熱分解油の収率を求めた。
(軽質オレフィン含有ガスの収率)
ガス流量計(シナガワ社製、型番W-NK-5)を用いて、軽質オレフィン含有ガス総量を測定した。
ガスクロマトグラフを用いて、軽質オレフィン含有ガス中の各成分(炭化水素留分及び水素)の組成を測定した。得られた組成から軽質オレフィン含有ガス中に含まれる各成分の収率を求めた。
なお、軽質オレフィン含有ガス中の炭化水素留分の組成は、2つのAgilent社製カラムを、品番「123-1015」及び品番「19091P-S12」の順で接続し、品番「123-1015」の側から軽質オレフィン含有ガスを通気して測定した。
ガスクロマトグラフの条件は以下の通りである。
(軽質オレフィン含有ガス中の炭化水素留分)
-条件-
・測定機:ガスクロマトグラフ(Agilent社製、品番:7890A)
・検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
・カラム:Agilent社製、品番:123-1015、及び19091P-S12
・検出器温度:250℃
(軽質オレフィン含有ガス中の水素)
-条件-
・測定機:ガスクロマトグラフ(Agilent社製、品番:7890A)
・検出器:TCD(熱伝導度型検出器)
・カラム:Agilent社製、品番:G3591-80022
・検出器温度:250℃
(熱分解残渣の収率)
ガス流量計(シナガワ社製、型番W-NK-5)を用いて燃焼ガスの総量を測定した。
ガスクロマトグラフを用いて、燃焼ガス中のCO及びCOの組成を測定し、得られた組成から熱分解残渣の収率を算出した。
なお、燃焼ガス中のCO及びCOの組成は、2つのAgilent社製カラムを、品番「G3591-80004」及び品番「3591-80017」の順で接続し、品番「G3591-80004」の側から燃焼ガスを通気して測定した。
ガスクロマトグラフの条件は以下の通りである。
(燃焼ガス中のCO及びCO
-条件-
・測定機:ガスクロマトグラフ(Agilent社製、品番:7890A)
・検出器:TCD(熱伝導度型検出器)
・カラム:Agilent社製、G3591-80004、及びG3591-80017
・検出器温度:250℃
Figure 2023136646000001
・表1の説明
No Dataは、測定しなかったことを示す。
廃プラスチックを580℃以上680℃以下で熱分解した実施例1~2は、廃プラスチックを580℃未満で熱分解した比較例1に比べ、エチレンガス及びプロピレンガスの収率が向上した。
また、廃プラスチックを580℃以上680℃以下で熱分解した実施例1~2は、廃プラスチックを680℃超えで熱分解した比較例2に比べ、プロピレンガスの収率が向上した。一方、比較例2は、実施例1~2に比べ、エチレンガスの収率が向上した。比較例2は、廃プラスチックの熱分解が過度に進行し、プロピレンガスがエチレンガスに転換したためエチレンガスの収率が高くなったと考えられる。
また、比較例2は、熱量となる熱分解油及び熱分解残渣の合計の収率が低くなった。この収率は、廃プラスチックを熱分解するために必要とされる熱量としては不十分な収率であった。
以上より、本実施例によれば、軽質オレフィンガスの収率をバランスよく向上でき、かつ熱量となる熱分解油及び熱分解残渣の収率を十分確保できる。
本発明の軽質オレフィン含有ガスの製造方法は、軽質オレフィン含有ガスをプラスチック原料として再生できるため、産業上利用可能である。
1,1A…製造設備、10,10A…熱分解装置、12…燃焼装置、14…気液分離装置、20…インピンジャー、21,22…流路、23…排出口、24…流量計、100…実験装置100,L1,L2,L3,L4,L5,L6,L1A,L2A…流路。

Claims (8)

  1. ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方を含む廃プラスチックを580℃以上680℃以下で熱分解することにより、熱分解ガス及び熱分解残渣を生成する第1工程と、
    前記第1工程で生成された前記熱分解ガスを、エチレンガス及びプロピレンガスの少なくとも一方を含む軽質オレフィン含有ガスと、熱分解油とに分離する第2工程と、
    前記第1工程で生成された前記熱分解残渣、及び前記第2工程で分離された前記熱分解油の少なくとも一方を燃焼させる第3工程と、を有し、
    前記第1工程は、前記第3工程で得られた熱を、前記廃プラスチックを熱分解する際の熱源として使用する、
    軽質オレフィン含有ガスの製造方法。
  2. 請求項1に記載の軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、
    前記熱分解残渣を燃焼させることにより得られた熱を、前記熱源として使用する、
    軽質オレフィン含有ガスの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、
    前記熱分解油及び前記熱分解残渣を燃焼させることにより得られた熱を、前記熱源として使用する、
    軽質オレフィン含有ガスの製造方法。
  4. 請求項2または請求項3に記載の軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、
    前記熱源として使用する前記熱は、燃焼ガスである、
    軽質オレフィン含有ガスの製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、
    前記第1工程は、熱分解装置にて実施され、
    前記熱分解装置内における前記廃プラスチックの滞留時間は5秒以上15秒以下である、
    軽質オレフィン含有ガスの製造方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、
    前記廃プラスチックは、ポリエチレン及びポリプロピレンを含む、
    軽質オレフィン含有ガスの製造方法。
  7. 請求項6に記載の軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、
    前記廃プラスチック中における前記ポリエチレン及び前記ポリプロピレンの合計の含有量は、70質量%以上である、
    軽質オレフィン含有ガスの製造方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の軽質オレフィン含有ガスの製造方法において、
    前記廃プラスチックは、さらにポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及び熱硬化性プラスチックから選択される少なくとも一種を含む、
    軽質オレフィン含有ガスの製造方法。
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