JP2023135175A - 真空容器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスポケットの形成を抑制する切削加工の条件を開示することによって、切削加工後の研磨工程を省略または削減する技術を提供する。【解決手段】アルミ製の内周壁を周回して切削する切削加工によって真空容器を製造する方法であって、前記切削加工の刃先である単結晶ダイヤモンドの曲率半径Rは0.5mm~3mmとし、前記刃先の周回方向の切り込み量Zを0.005mm以下に浅くし、前記切削加工の周回当たりの前記刃先の送り速度は(前記曲率半径R×0.06)mm/rev以下に遅くし、前記切削加工の送り方向に向かって傾斜角0.2°~5°の範囲で前記刃先の周回径を傾斜させることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、真空容器の製造方法に関し、特にアルミ製の内周壁の切削加工によって真空容器を製造する方法に関する。
従来、真空容器の内部において低周波または高周波のプラズマを用いてエッチングを実施する加工技術が知られている。
例えば、特許文献1には、「真空槽(真空容器)内に発生させた低周波プラズマを用いて、大面積試料に対して均一な異方性エッチングを行う」旨の加工技術が開示される。
また、特許文献2には、この種の真空容器の製造方法として、「ステンレス鋼製の真空容器の内周壁に対して、砥粒による研磨処理を行った後に、電解研磨処理もしくは化学研磨処理をさらに繰り返すことによって、真空容器の内周壁の表面を研磨処理する」旨が開示される。
さらに、アルミ製(純アルミやアルミ合金など)の真空容器については、次の手順で内周壁を加工する製造方法が知られている。
(1)第1工程 切削工程(切削後の内周壁の粗さ:Ra1.6~0.8μm)
(2)第2工程 バフ研磨(研磨後の内周壁の粗さ:Ra1.0~0.2μm)
(3)第3工程 電解研磨(研磨後の内周壁の粗さ:Ra0.4~0.025μm)
図8は、上記の手順(1)~(3)で製造される従来のアルミ製の真空容器800を示す図である。図8において、従来の真空容器800の内側は円筒または多角筒などの筒状の内周壁810を有し、その内周壁810は上下の面に対して垂直な筒面形状に切削加工(第1工程)され、その後に研磨処理(第2工程および第3工程)が施される。
特開平06-049666号公報 特開平03-180500号公報
一般に、研磨処理を完了しない真空容器の内周壁には、微細な溝や窪みなどの凹凸がガスポケットとして残存する。これらのガスポケットに吸着されたガスは十分に取り除くことが難しい。そのため、未研磨の真空容器を真空に引いた場合には、ガスポケットが多いほどプラズマエッチングに必要な真空度に達するまでに時間がかかるという問題点があった。
また、ガスポケットからはプラズマエッチングの処理中もガスが持続的または突発的に放出されうる。このガスの放出によって真空環境を損ない、プラズマエッチングにおける試料の作業歩留まりを下げるという問題点があった。
さらに、プラズマを用いたドライエッチング処理では、プラズマがガスポケットの凹凸に衝突しやすく、真空容器の内周壁にエッチングダメージや汚染が生じやすい。そのため、真空容器を洗浄や再研磨するなどのメンテナンスがたびたび必要になり、プラズマエッチングの作業性が悪くなるという問題点があった。
一方、このようなガスポケットを削減するためには、真空容器の内周壁に対して、砥粒による研磨や、バフ研磨や、電解研磨や、電解複合研磨などの複数段階の研磨工程が欠かせなかった。そのため、真空容器の製造に当たっては、研磨工程に必要な加工装置や、工程数や、作業時間が増え、真空容器の製造コストが高くなるという問題点があった。
さらに、研磨作業では、アルミ製などの柔らかい内周壁に対して、硬い研磨剤の埋め込み(残留物)が発生する。この残留物が抜けた痕(埋め込み痕)が新たなガスポケットになるという問題点もあった。
そこで、本発明は、上述した問題点の少なくとも一つを解決するために、ガスポケットの形成を抑制する切削加工の条件を開示することによって、切削加工後の研磨工程を省略または削減する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の代表的な製造方法は、アルミ製の内周壁を周回して切削する切削加工によって真空容器を製造する方法であって、次の切削工程を有することを特徴とする。
前記切削加工の刃先である単結晶ダイヤモンドの曲率半径Rは0.5mm~3mmとする。
前記刃先の周回方向の切り込み量Zは0.005mm以下に浅くする。
前記切削加工の周回当たりの前記刃先の送り速度は(前記曲率半径R×0.06)mm/rev以下に遅くする。
前記切削加工の送り方向に向かって傾斜角0.2°~5°の範囲で前記刃先の周回径を傾斜させる。
本発明が開示する切削加工の条件によって、真空容器の内周壁に形成されるガスポケットが抑制される。その結果、切削加工後の研磨工程を省略または削減することが可能になる。
なお、上記していない具体的な課題、構成および効果の詳細については、後述する発明の実施形態においてさらに説明される。
図1は、真空容器100の形状を説明する断面図である。 図2[A]は、真空容器100の斜視図である。図2[B]は、真空容器100の分解斜視図である。 図3は、内周壁111および内周壁121の切削加工を説明する説明図である。 図4は、実施例1における切削加工後の算術平均粗さRaの測定結果を示す図である。 図5は、実施例2における第1の実験の測定データ(切り込み量Zと切削粗さの関係)を示す図表である。 図6は、実施例2における第2の実験の測定データ(送り速度と切削粗さの関係)を示す図表である。 図7[A]は、真空容器500の斜視図である。図7[B]は、真空容器500の分解斜視図である。 図8は、従来の手順で製造されるアルミ製の真空容器800を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
《真空容器100の形状について》
まず、実施例1において製造される真空容器100の形状について説明する。
図1は、真空容器100の形状を説明する断面図である。
図2の[A]は、真空容器100の斜視図である。図2の[B]は、真空容器100の分解斜視図である。
これらの図において、真空容器100は、上部電極210を上面に覆い置き可能にしたアルミ製の上部反応器110と、下部電極220を内部に設置可能にしたアルミ製の下部反応器120とを接合して構成される。
上部反応器110は、上に狭まる部分的な錐面状に面取りされた内周壁111を備える。この内周壁111の母線は、垂直方向に対して0.2°~5°の範囲の傾斜角Aを有する。
下部反応器120は、下に狭まる部分的な錐面状に面取りされた内周壁121を備える。この内周壁121の母線は、垂直方向に対して0.2°~5°の範囲の傾斜角Bを有する。
《内周壁111および内周壁121の切削加工について》
図3は、内周壁111および内周壁121の切削加工を説明する説明図である。
ここでは、重複説明を省くため、内周壁111および内周壁121それぞれの切削加工をまとめて説明する。
同図において、刃先310は単結晶ダイヤモンドから構成される。この刃先310は、土台となる工具チップ320にロー付けされる。
工具チップ320の刃先310を内周壁111,121に押し当てた状態で、数値制御旋盤(NC旋盤)やマシンニングセンタ(MC)などによって反応器110,120を旋回駆動することによって、内周壁111,121を周回方向Xに切削加工する。
なお、工具チップ320の刃先310を内周壁111,121に押し当てた状態で、数値制御旋盤(NC旋盤)やマシニングセンタ(MC)などによって刃先310を旋回駆動することによって、内周壁111,121を周回方向Xに切削加工してもよい。
さらに、刃先310の付近には、噴霧ノズル330が配置される。
このような切削加工は、次のステップを備えて実施される。
ステップS001:単結晶ダイヤモンドの刃先310の曲率半径Rは0.5mm~3mmにする。
ステップS002:刃先310の周回方向Xの切り込み量Zは0.005mm以下に浅くする。
ステップS003:切削加工の周回当たりの刃先310の送り速度は、曲率半径Rに応じて(R×0.06)mm/revを上限にする。例えば、曲率半径R=0.5mmの場合、送り速度は0.03mm/revを上限にする。曲率半径R=1mmの場合、送り速度は0.06mm/revを上限にする。曲率半径R=2mmの場合、送り速度は0.12mm/revを上限にする。
ここで、曲率半径Rが大きいほど、内周壁111,121に切り込みながら当たる刃先310の接触面積(図3参照)は広くなる。この接触面積が広いほど、かつ刃先310の送り速度が遅いほど、内周壁111,121に生じる凹凸を切削直後に平滑する整地作用が強く発揮される。上述した送り速度の上限を(R×0.06)mm/revにする条件は、整地作用によって鏡面化(許容される粗さの経過値)を実現にするように真空容器100の試作を繰り返して確かめた結果である。
ステップS004:内周壁111を切削加工する場合、刃先310の送り方向Yは、内周壁111の下端(上部反応器110の下端開口の高さ)から出発し、内周壁111の上端(上部反応器110の上面裏側の高さ)に至る。一方、内周壁121を切削加工する場合、刃先310の送り方向Yは、内周壁121の上端(下部反応器120の上端開口の高さ)から出発し、内周壁121の下端(上部反応器110の内底の高さ)に至る。
ステップS005:切削加工の送り方向Yに向かって角度0.2°~5°で刃先310の周回径を狭めることによって、内周壁111,121の傾斜角A,Bを0.2°~5°にする。
ステップS006:切削加工に際し、噴霧ノズル330から工業用IPA(イソプロピルアルコール)を刃先310の切削領域に供給する。
ステップS007:切削面に対する最終の面仕上げの切り込み量Zはそれ以前の切り込み量Zよりも浅くして少なくとも2面行う。最終仕上げの送り速度は、例えば0.08~0.03mm/rev以下に制限して、接触面積の送り位相は各面ごとにずらす。例えば、最終仕上げを2面仕上げで行う場合は、接触面積の送り位相は各面ごとに1/2位相だけずらす。また例えば、最終仕上げをN面仕上げ(N≧2)で行う場合は、接触面積の送り位相は各面ごとに1/N位相ずつずらす。
ここで、最終仕上げの切り込み量Zを浅く変更することによって、最終仕上げで内周壁111,121の周回方向Xに生じる切削溝が浅くなる。この状態で送り位相をずらすことによって、内周壁111,121の周回方向Xに最終的に残存する切削溝の位相がずれて打ち消し合うことによって、切削溝を浅くすることができる。上述したステップS007の条件は、位相ずらしによって鏡面化(許容される粗さ)が得られるように真空容器100の試作を繰り返して確かめた結果である。
《実施例1の効果》
以下、上述した実施例1が奏する効果について説明する。
(効果1)図4は、上述した切削加工後の算術平均粗さRaの測定結果を示す図である。
ここでは、無作為にサンプルした切削面の3箇所について算術平均粗さRaを測定している。ここでのアルミ材質はA7075(一般的に非常に硬いアルミ材質)を使用している。
この測定結果によれば、切削加工後において、内周壁111,121の粗さは、Ra0.036~0.069μm程度に収まり、鏡面化が実現する。
この内周壁111,121の粗さは、上述した従来の真空容器800(図8参照)における最終的な研磨処理後の粗さ(上述したRa0.4~0.025μm)に匹敵する。
したがって、本実施例1の切削加工のみによって、従来の研磨処理と同等程度まで内周壁111,121の粗さ(ガスポケット)を抑制することが可能になる。その結果、切削加工後の研磨工程を省略または削減することが可能になる。
(効果2)本実施例1の切削加工の条件によって内周壁111,121の粗さ(ガスポケット)が削減された分だけ、内周壁111,121に吸着されるガス量が少なくなる。その結果、本実施例1により製造される真空容器100は、プラズマエッチングに必要な真空度に達するまでの時間を短縮できるという点で優れている。
(効果3)本実施例1の切削加工の条件によって内周壁111,121の粗さ(ガスポケット)が削減された分だけ、プラズマエッチングの処理中に持続的または突発的に放出されうるガス量も少なくなる。その結果、本実施例1により製造される真空容器100は、真空環境を精度良く維持して、プラズマエッチングの試料の作業歩留まりを高めることができるという点で優れている。
(効果4)本実施例1の切削加工の条件によって内周壁111,121の粗さ(ガスポケット)が削減された分だけ、プラズマがガスポケットに衝突して生じるエッチングダメージや汚染が低減される。その結果、本実施例1により製造される真空容器100は、洗浄や研磨するなどのメンテナンスの回数を減らせるという点で優れている。
(効果5)本実施例1の切削加工の条件によって内周壁111,121の粗さ(ガスポケット)が削減された分だけ、切削加工後の研磨工程を省略または削減できる。その結果、本実施例1は、真空容器100の製造にかかる加工装置や工程数や作業時間を削減できるという点で優れている。その結果、真空容器100の製造コストは低くなる。
(効果6)本実施例1では、切削加工後の研磨工程を省略または削減した分だけ、研磨作業においてアルミ製の内周壁111,121に残留する硬い研磨剤の埋め込みを回避または削減できる。その結果、本実施例1は、残留物の埋め込み痕が新たなガスポケットを形成するという問題を回避または改善できるという点で優れている。
(効果7)本実施例1では、噴霧ノズル330を用いて工業用IPA(イソプロピルアルコール)を刃先310の切削領域に供給する。したがって、本実施例1は、噴霧ノズル330によって、切削領域からキリコ(内周壁111,121を荒らす要因)を素早く除去する効果と、刃先310の温度上昇を抑える効果と、内周壁111,121に付着または埋め込まれる残留物を洗い流して真空容器100の清浄度を上げる効果という三点において優れている。
(効果8)本実施例1では、上部反応器110の内周壁111と、下部反応器120の内周壁121とを逆向きに傾斜させることによって、真空容器100を上下方向それぞれにすぼめる。その結果、プラズマエッチングの試料(半導体ウェハなど)を載置する中央付近については広い断面積のままで、真空容器100の内容積を全体的に削減することが可能になる。したがって、本実施例1で製造される真空容器100は、内容積を上下方向にすぼめることによって、試料を載置する中央付近を広く確保しつつ、内容積の全体的な削減分だけ目的の真空度に早く到達できるという点において優れている。
(効果9)以上説明した点から、本実施例1によって、プラズマを用いるエッチング装置において求められる「高真空性」および「高能率性」を低コストで両立した真空容器100を製造することが可能になる。
続いて、実施例2について説明する。なお、特に断らない部分については、実施例1と同様の製造方法が実施される。
まず、実施例2では、具体的な要求仕様を以下のように定める。
真空下のエッチング処理時に求められる真空容器100のガスポケットの許容量(要求仕様)に基づいて、内周壁111,121の切削粗さの許容上限(鏡面として許容される面粗さ)を、算術平均粗さRaの値として例えば0.1μmに定める。
その上で、この切削粗さの要求仕様を十分かつ安定に達成しうるための製造条件を次の2つの実験(第1の実験、第2の実験)から決定する。
《第1の実験》
第1の実験では、次のステップS101~107の統一条件の下で行う。
ステップS101:単結晶ダイヤモンドの刃先310の曲率半径Rは0.5mmとする。
ステップS102:切削加工の周回当たりの刃先310の送り速度は、曲率半径Rに応じて(R×0.06)mm/revに相当する0.03mm/revとする。
ステップS103:切削加工の周回速度は、1分間当たり400回転とする。この周回速度は、被切削物や刃先310や切削装置などの周辺条件に合わせて、切削加工時に共振振動を回避ないし抑制可能な回転数の範囲に設定する。この共振振動の抑制によって、内周壁111,121の鏡面化がより確実に実現される。
ステップS104:内周壁111を切削加工する場合、刃先310の送り方向Yは、内周壁111の下端(上部反応器110の下端開口の高さ)から出発し、内周壁111の上端(上部反応器110の上面裏側の高さ)に至る。一方、内周壁121を切削加工する場合、刃先310の送り方向Yは、内周壁121の上端(下部反応器120の上端開口の高さ)から出発し、内周壁121の下端(上部反応器110の内底の高さ)に至る。
ステップS105:切削加工の送り方向Yに向かって角度1.5°で刃先310の周回径を狭めることによって、内周壁111,121の傾斜角A,Bを1.5°にする。
ステップS106:切削加工に際し、噴霧ノズル330から工業用IPA(イソプロピルアルコール)を刃先310の切削領域に供給する。
ステップS107:切削面に対する最終の面仕上げの切り込み量Zはそれ以前の切り込み量Zよりも浅くして少なくとも2面行い、接触面積の送り位相は各面ごとにずらす。例えば、最終仕上げを2面仕上げで行う場合は、接触面積の送り位相は各面ごとに1/2位相だけずらす。また例えば、最終仕上げをN面仕上げ(N≧2)で行う場合は、接触面積の送り位相は各面ごとに1/N位相ずつずらす。
第1の実験では、以上のステップS101~107の統一条件の下で、切り込み量Zを0.005mmから増やして、切削加工後の内周壁111,121の切削粗さに与える影響を測定する。
図5は、このように測定された測定データ(切り込み量Zと切削粗さの関係)の図表である。ここでのアルミ材質はA5052(標準的な柔らかさのアルミ材質)を使用している。
この図5に示す実験結果では、内周壁111,121の切削粗さは0.138μmを下回らず、切削粗さの許容上限である0.1μmを十分かつ安定に達成できなかった。
さらに、図5に示す実験結果からは、切り込み量Zが0.005mmを上回ると、切削粗さが急激に悪化し始め、かつ切削粗さの値が大きく戻るなど変動して安定しないことが分かった。
以上の結果から、切り込み量Zは0.005mm以下に浅くすることが安定性(つまり再現性)の点から好ましいと分かった。
《第2の実験》
上述した第1の実験結果に基づいて、第2の実験では、切削粗さの変動を抑えるため、切り込み量Zを0.005mmに設定する。
さらに、第2の実験では、上述したステップS101,103~107の統一条件の下で、送り速度を0.03mm/rev付近で増減変化させて、内周壁111,121の切削粗さに与える影響を測定する。
図6は、このように測定された測定データ(送り速度と切削粗さの関係)を示す図表である。ここでのアルミ材質はA5052(標準的な柔らかさのアルミ材質)を使用している。
この図6に示す実験結果では、送り速度と切削粗さの関係は概ね二次曲線で近似される安定した関係(再現性の高い関係)を示す。さらに、送り速度を0.015mm/rev程度に小さくすることによって、内周壁111,121の切削粗さは0.088μmになり、切削粗さの許容上限とした0.1μmを達成する。
《実験のまとめ》
上述した2つの実験に基づいて、エッチング加工時に求められる内周壁111,121の切削粗さの許容上限(算術平均粗さRa0.1μm)を十分かつ安定に再現しうる製造条件は次の通りになる。
・切削加工の刃先310である単結晶ダイヤモンドの曲率半径Rは0.5mmとする。
・刃先310の周回方向Xの切り込み量Zは0.005mmとする。
・切削加工の周回当たりの刃先310の送り速度は0.015mm/revとする。
・上側の内周壁111は、切削加工によって上方に向かって1.5°で狭まる傾斜角Aを形成する。
・下側の内周壁121は、切削加工によって下方に向かって1.5°で狭まる傾斜角Bを形成する。
《実施例2の効果》
本実施例2は、既に述べた実施例1と同様の効果を奏する。
さらに、本実施例2は、切り込み量Zを0.005mm未満に浅くせず、かつ送り速度を0.015mm/rev未満に遅くしないため、切削加工の所要時間が過度に長くなるという弊害を回避できる点で優れている。
また、本実施例2は、切削粗さの上限として設定されたRa0.1μmといった困難かつ高度な鏡面化を、A5052という比較的柔らかいアルミ材質であっても、高い再現性で達成できるという点で優れている。
《その他の補足事項》
なお、上部反応器110内側の上面部分や、下部反応器120内側の底部分については、特に限定していないが、刃先310などを用いて切削加工のみで製造してもよいし、従来同様に切削加工と研磨加工を併用して製造してもよい。
また、上述した実施形態では、切削加工を施した上部反応器110および下部反応器120を接合して真空容器100を製造している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。一体からなる真空容器100に対して、上部電極210をかぶせる開口部などから挿入した刃先310を内周壁111,121の面形状に沿わせて切削加工を行うことによって、真空容器100を製造してもよい。
さらに、上述した実施形態では、内周壁111,121それぞれを円錐面の一部として形成している。しかしながら、本発明の内周壁の形状は、円錐面の一部に限定されない。
例えば、図7として、本発明の内周壁の別例を示す。
図7の[A]は、真空容器500の斜視図である。図7の[B]は、真空容器500の分解斜視図である。これらの図において、真空容器500は、切削加工を施したアルミ製の上部反応器510と、切削加工を施したアルミ製の下部反応器520とを接合して製造される。上部反応器510は、閉曲線Qaから上に狭まるように面取りされた内周壁511を備える。この内周壁511の母線は、垂直方向に対して0.2°~5°の範囲の傾斜角Aを有する。下部反応器520は、閉曲線Qbから下に狭まるように面取りされた内周壁521を備える。この内周壁521の母線は、垂直方向に対して0.2°~5°の範囲の傾斜角Bを有する。なお、製造方法としては、数値制御旋盤(NC旋盤)やマシニングセンタ(MC)などを用いて、工具チップ320の刃先310を内周壁511,521の周回軌道に相対的に沿わせて切削する点を除けば、上記の切削条件と同様の切削条件が適用可能である。
なお、本発明は、上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、さらに様々な変形が可能である。
例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は必ずしも説明した全ての構成や工程を備えるものに限定されない。
例えば、本発明で示した数値については、工学的な誤差や公差などが実用的に含まれるものであるため、その範囲内での実質的な値という意味である。
また、実施例1、2、および/または補足事項の各条件を適宜組み合わせてもよい。また、実施形態の一部について、他の構成や工程の追加・削除・置換をすることも可能である。
100...真空容器、110...上部反応器、111...内周壁、120...下部反応器、121...内周壁、210...上部電極、220...下部電極、310...刃先、320...工具チップ、330...噴霧ノズル、500...真空容器、510...上部反応器、511...内周壁、520...下部反応器、521...内周壁、800...真空容器、810...内周壁、A...傾斜角、B...傾斜角、Qa...閉曲線、Qb...閉曲線、X...周回方向、Y...送り方向、Z...切り込み量

Claims (5)

  1. アルミ製の内周壁を周回して切削する切削加工によって真空容器を製造する方法であって、
    前記切削加工の刃先である単結晶ダイヤモンドの曲率半径Rは0.5mm~3mmとし、
    前記刃先の周回方向の切り込み量Zを0.005mm以下に浅くし、
    前記切削加工の周回当たりの前記刃先の送り速度は(前記曲率半径R×0.06)mm/rev以下に遅くし、
    前記切削加工の送り方向に向かって傾斜角0.2°~5°の範囲で前記刃先の周回径を傾斜させる
    ことを特徴とする真空容器の製造方法。
  2. 請求項1に記載の真空容器の製造方法であって、
    工業用IPA(イソプロピルアルコール)を前記単結晶ダイヤモンドの前記刃先の切削領域に供給しながら前記切削加工を行う
    ことを特徴とする真空容器の製造方法。
  3. 請求項1~2のいずれか一項に記載の真空容器の製造方法であって、
    前記内周壁の上側は、前記切削加工によって上方に向かって0.2°~5°の範囲で狭まる傾斜角を形成し、
    前記内周壁の下側は、前記切削加工によって下方に向かって0.2°~5°の範囲で狭まる傾斜角を形成する
    ことを特徴とする真空容器の製造方法。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の真空容器の製造方法であって、
    前記切削加工の最終の面仕上げは少なくとも2面仕上げで行い、かつ前記最終の面仕上げの各面の送り位相はずらす
    ことを特徴とする真空容器の製造方法。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の真空容器の製造方法であって、
    前記切削加工の前記刃先である前記単結晶ダイヤモンドの曲率半径Rは0.5mmとし、
    前記刃先の周回方向の切り込み量Zは0.005mmとし、
    前記切削加工の周回当たりの前記刃先の送り速度は0.015mm/revとし、
    前記内周壁の上側は、前記切削加工によって上方に向かって1.5°で狭まる傾斜角を形成し、
    前記内周壁の下側は、前記切削加工によって下方に向かって1.5°で狭まる傾斜角を形成する
    ことを特徴とする真空容器の製造方法。
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