JP2023135097A - サスペンション制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 学習用データを効果的に抽出し、AIによる出力の精度を向上させることが可能なサスペンション制御装置を提供する。【解決手段】 可変ダンパ6(力発生機構)は、車両の車体1と車輪2との間に介装して設けられている。サスペンション制御装置は、車体1と車輪2との間の力を調整可能な可変ダンパ6を制御する。サスペンション制御装置は、車両の状態量を検出する車両状態量取得部としてのばね上加速度センサ8および車高センサ9と、ばね上加速度センサ8および車高センサ9の取得結果に基づいて可変ダンパ6に対する指令値を学習するAI学習部23と、を有している。AI学習部23は、可変ダンパ6の動作要否と相関が高いばね上速度(物理量)の絶対値に基づいて、ばね上速度が閾値を超えないデータを除去する学習データ抽出部25を有している。【選択図】 図3
Description
本開示は、車両のサスペンションを制御するサスペンション制御装置に関する。
これまでのサスペンション制御は、車両状態を検出または推定し、それに応じたフィードバック制御を行っている(特許文献1参照)。フィードバック制御には、例えばスカイフック制御則やBLQ(Bi-linear Optimal Control)が用いられている。また、特許文献1には、直接最適制御の指令と車両状態をAI(artificial intelligence)に予め学習させ、学習結果の重み係数のみを用いて指令を算出することで、ステップ毎の最適化なしにリアルタイムで最適制御を実現する手段が開示されている。
ところで、特許文献1に開示されたサスペンション制御装置では、走行試験等で計測したデータを、机上またはリアルタイムでAIに学習させ、最適制御指令の精度を向上させている。このとき、学習において多く含まれるパターンに偏って、AIによる最適制御指令の精度が高くなる。計測データには、車両への入力が大きい路面のデータと平坦な路面のデータとが混在している。このうち平坦な路面では、ロール等の車両入力がない限りサスペンションは積極的に制御しなくてよい。しかしながら、計測データ全てを学習に用いると、サスペンションを積極的に制御すべきパターンの割合が相対的に低くなる虞れがある。その場合、制御で必要なパターンに対して、AIによる最適制御指令の精度が低下するという課題があった。
本発明の一実施形態の目的は、学習用データを効果的に抽出し、AIによる出力の精度を向上させることが可能なサスペンション制御装置を提供することにある。
本発明の一実施形態は、車両の車体と車輪との間に介装して設けられ、前記車体と前記車輪との間の力を調整可能な力発生機構を制御するサスペンション制御装置であって、前記車両の状態量を検出または推定する車両状態量取得部と、前記車両状態量取得部の取得結果に基づいて前記力発生機構に対する指令値を学習するAI学習部と、を有し、前記AI学習部は、前記力発生機構の動作要否と相関が高い物理量の絶対値に基づいて、前記絶対値が閾値を超えないデータを除去する機能を有している。
また、本発明の一実施形態は、車両の車体と車輪との間に介装して設けられ、前記車体と前記車輪との間の力を調整可能な力発生機構を制御するサスペンション制御装置であって、前記車両の状態量を推定する車両状態量学習部と、前記車両状態量学習部の推定結果に基づいて前記力発生機構に対する指令値を学習するAI学習部と、を有し、前記AI学習部は、前記力発生機構の動作要否と相関が高い前記状態量の絶対値に基づいて、前記絶対値が閾値を超えないデータを除去する機能を有し、前記車両状態量学習部は、前記AI学習部による除去後のデータを用いて、前記車両の動作に関する物理量に基づいて前記状態量を学習する。
本発明の一実施形態によれば、学習用データを効果的に抽出し、AIによる出力の精度を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態によるサスペンション制御装置を、4輪自動車に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図3は、本発明の第1の実施形態を示している。図1において、車両のボディを構成する車体1の下側には、例えば左,右の前輪と左,右の後輪(以下、総称して車輪2という)が設けられている。これらの車輪2は、タイヤ3を含んで構成されている。タイヤ3は、路面の細かい凹凸を吸収するばねとして作用する。
サスペンション装置4は、車体1と車輪2との間に介装して設けられている。サスペンション装置4は、懸架ばね5(以下、スプリング5という)と、スプリング5と並列関係をなして車体1と車輪2との間に介装して設けられた減衰力調整式緩衝器(以下、可変ダンパ6という)とにより構成される。なお、図1は、1組のサスペンション装置4を、車体1と車輪2との間に設けた場合を模式的に図示している。4輪自動車の場合、サスペンション装置4は、4つの車輪2と車体1との間に個別に独立して合計4組設けられる。
ここで、サスペンション装置4の可変ダンパ6は、車体1側と車輪2側との間で調整可能な力を発生する力発生機構である。可変ダンパ6は、減衰力調整式の油圧緩衝器を用いて構成されている。可変ダンパ6には、発生減衰力の特性(即ち、減衰力特性)をハードな特性(硬特性)からソフトな特性(軟特性)に連続的に調整するため、減衰力調整バルブ等からなる減衰力可変アクチュエータ7が付設されている。なお、減衰力可変アクチュエータ7は、減衰力特性を必ずしも連続的に調整する構成でなくてもよく、例えば2段階以上の複数段階で減衰力を調整可能なものであってもよい。また、可変ダンパ6は、圧力制御タイプでもよく、流量制御タイプであってもよい。
ばね上加速度センサ8は、車体1(ばね上)の上下加速度を検出する。ばね上加速度センサ8は、車体1の任意の位置に設けられている。ばね上加速度センサ8は、例えば可変ダンパ6の近傍となる位置で車体1に取り付けられている。ばね上加速度センサ8は、所謂ばね上側となる車体1側で上下方向の振動加速度を検出し、その検出信号を電子制御ユニット11(以下、ECU11という)に出力する。
車高センサ9は、車体1の高さを検出する。車高センサ9は、例えばばね上側となる車体1側に、それぞれの車輪2に対応して複数個(例えば、4個)設けられている。即ち、各車高センサ9は、各車輪2に対する車体1の相対位置(高さ位置)を検出し、その検出信号をECU11に出力する。車高センサ9およびばね上加速度センサ8は、車両の状態量を検出する車両状態量取得部を構成する。なお、車両の状態量は、車体1の上下加速度と車体1の高さに限らない。車両の状態量は、例えば、車体1の高さ(車高)を微分した相対速度、車体1の上下加速度を積分した上下速度などを含んでもよい。この場合、車両状態量取得部は、車高センサ9、ばね上加速度センサ8に加えて、車高を微分する微分器、上下加速度を積分する積分器などを有している。
路面計測センサ10は、路面情報としての路面プロフィールを検出する路面プロフィール取得部を構成している。路面計測センサ10は、例えば複数のミリ波レーダによって構成されている。路面計測センサ10は、車両前方の路面状態(具体的には、検出対象の路面までの距離と角度、画面位置と距離を含む)を計測して検出する。路面計測センサ10は、路面の検出値に基づき、路面のプロフィールを出力する。
なお、路面計測センサ10は、例えばミリ波レーダとモノラルカメラを組み合わせたものでもよく、特開2011-138244号公報等に記載のように、左,右一対の撮像素子(デジタルカメラ等)を含むステレオカメラによって構成されてもよい。路面計測センサ10は、超音波距離センサ等によって構成されてもよい。
ECU11は、車両の姿勢制御等を含む挙動制御を行う制御装置である。ECU11は、車両の車体1側に搭載されている。ECU11は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成されている。ECU11は、データの記憶が可能なメモリ11Aを有している。ECU11は、コントローラ12を備えている。
ECU11は、その入力側がばね上加速度センサ8、車高センサ9および路面計測センサ10に接続され、出力側が可変ダンパ6の減衰力可変アクチュエータ7に接続されている。ECU11は、ばね上加速度センサ8による上下方向の振動加速度の検出値と、車高センサ9による車高の検出値と、路面計測センサ10による路面の検出値とに基づき、路面のプロフィールと車両状態量をコントローラ12に出力する。コントローラ12は、路面のプロフィールと車両状態量とに基づいて、サスペンション装置4の可変ダンパ6(力発生機構)で発生すべき力を求め、その命令信号をサスペンション装置4の減衰力可変アクチュエータ7に出力する。
ECU11は、例えば車両が10~20m程度を走行した数秒間に亘って、車両状態量と路面入力のデータをメモリ11Aに保存する。これにより、ECU11は、車両が所定の走行距離を走行したときの路面入力の時系列データ(路面プロフィール)と、車両状態量の時系列データとを生成する。コントローラ12は、路面のプロフィールと車両状態量の時系列データに基づいて、可変ダンパ6で発生すべき減衰力を調整するように制御する。
コントローラ12は、AIを構成する学習済みのDNN13(ディープニューラルネットワーク)を備えている。DNN13は、AI学習部23の一部であり、例えば4層以上の多層のニューラルネットワークによって構成されている。各層は、複数のニューロンを備えており、隣り合う2つの層のニューロンは、重み係数で結合されている。重み係数は、事前の学習によって設定されている。コントローラ12は、ばね上加速度センサ8による上下方向の振動加速度の検出値と、車高センサ9による車高の検出値と、路面計測センサ10による路面の検出値とに基づいて 、路面入力の時系列データ(路面プロフィール)と、車両状態量の時系列データとを取得する。コントローラ12は、路面入力の時系列データと、車両状態量の時系列データとに基づいて、最適指令値の時系列データを出力する。このとき、最新の最適指令値が、現時点の最適な減衰力の指令値に対応する。これにより、コントローラ12は、現在の車両と路面に対して最も適切な減衰力の指令値を出力する。減衰力の指令値は、減衰力可変アクチュエータ7を駆動するための電流値に対応している。
次に、コントローラ12のDNN13の学習方法について、図2に示す説明図を参照して説明する。DNN13は、(1)直接最適制御指令値探索、(2)指令値学習、(3)重み係数ダウンロードの処理を実行することによって、構築される。
まず、直接最適制御指令値探索を実行するために、車両モデル21を含む解析モデル20を構成する。解析モデル20は、車両の状態量を推定する車両状態量取得部を構成している。図2には、車両モデル21が1輪モデルの場合を例示した。車両モデル21は、例えば左右一対の2輪モデルでもよく、4輪モデル(フルビークルモデル)でもよい。車両モデル21には、路面入力と、直接最適制御部22から最適指令値が入力される。直接最適制御部22は、以下に示す直接最適制御指令値探索の手順に従って、最適指令値を求める。
(1)直接最適制御指令値探索
直接最適制御部22は、事前に車両モデル21を含む解析モデル20を用いて、繰り返し演算により最適指令値を探索する。最適指令値の探索は、以下に示す最適制御問題と定式化し、最適化手法を用いて数値解析的に求める。
直接最適制御部22は、事前に車両モデル21を含む解析モデル20を用いて、繰り返し演算により最適指令値を探索する。最適指令値の探索は、以下に示す最適制御問題と定式化し、最適化手法を用いて数値解析的に求める。
対象となる車両の運動は、状態方程式によって数1の式で表されるものとする。なお、式中のドットは、時間tによる1階微分(d/dt)を意味する。
ここで、xは状態量、uは制御入力である。状態方程式の初期条件は、数2の式のように与えられる。
初期時刻t0から終端時刻tfまでの間に課せられる等式拘束条件と不等式拘束条件は、数3の式および数4の式のように表される。
最適制御問題は、数1の式に示す状態方程式と、数2の式に示す初期条件と、数3および数4の式に示す拘束条件を満足しつつ、数5の式に示す評価関数Jを最小にするような制御入力u(t)を求める問題である。
上記のような拘束条件付きの最適制御問題を解くのは、非常に困難である。このため、最適化手法として拘束条件を簡単に扱うことができる直接法を用いる。この手法は、最適制御問題をパラメタ最適化問題に変換し、最適化手法を用いて解を得る方法である。
最適制御問題をパラメタ最適化問題に変換するため、初期時刻t0から終端時刻tfまでをN個の区間に分割する。各区間の終端時刻をt1,t2,…,tNと表すと、それらの関係は、数6に示す通りとなる。
連続的な入力u(t)は、数7に示すように、各区間の終端時刻における離散的な値uiで置き換えられる。
入力u0,u1,…,uNに対して状態方程式を初期条件x0から数値積分し、各区間の終端時刻における状態量x1,x2,…,xNを求める。このとき、各区間内の入力は、各区間の終端時刻で与えられる入力を一次補間して求める。以上の結果、入力に対して状態量が決定され、これによって評価関数と拘束条件が表現される。よって、変換したパラメタ最適化問題は、次のように表すことができる。
最適化すべきパラメタをまとめてXとすると、数8の式に示すようになる。
よって、数5の式に示す評価関数は、数9の式のように表される。
また、数3および数4の式に示す拘束条件は、数10および数11の式のように表される。
このようにして、前述のような最適制御問題は、数8ないし数11の式で表されるパラメタ最適化問題に変換することができる。
路面に応じた最適制御指令を求める問題を最適制御問題として定式化するための評価関数Jは、上下加速度Azが最少となって乗り心地が良く、かつ制御指令値uを小さくするように、数12の式のように定義する。ここで、q1,q2は重み係数である。q1,q2は、例えば実験結果等により予め設定されている。
直接最適制御部22は、このように定式化したパラメタ最適化問題を最適化手法により数値解析的に求め、様々な路面での最適指令値を導出する。
(2)指令値学習
AI学習部23は、DNN24を備えている。AI学習部23は、直接最適制御指令値探索により導出した最適指令値を出力とし、そのときの路面プロフィール、車両状態量を入力として、様々な路面の入出力を、人工知能となるDNN24に学習させる。DNN24は、学習用のディープニューラルネットワークであり、車載用のDNN13と同じ構成になっている。DNN24には、路面プロフィールとして路面入力の時系列データと、車両状態量の時系列データとが入力される。このとき、路面入力と車両状態量とに対応して最適指令値の時系列データを教師データとして、DNN24におけるニューロン間の重み係数が求められる。なお、DNN24の学習には、後述する学習データ抽出部25によって抽出されたデータ(路面入力の時系列データ、車両状態量の時系列データ、最適指令値の時系列データ)が使用される。
AI学習部23は、DNN24を備えている。AI学習部23は、直接最適制御指令値探索により導出した最適指令値を出力とし、そのときの路面プロフィール、車両状態量を入力として、様々な路面の入出力を、人工知能となるDNN24に学習させる。DNN24は、学習用のディープニューラルネットワークであり、車載用のDNN13と同じ構成になっている。DNN24には、路面プロフィールとして路面入力の時系列データと、車両状態量の時系列データとが入力される。このとき、路面入力と車両状態量とに対応して最適指令値の時系列データを教師データとして、DNN24におけるニューロン間の重み係数が求められる。なお、DNN24の学習には、後述する学習データ抽出部25によって抽出されたデータ(路面入力の時系列データ、車両状態量の時系列データ、最適指令値の時系列データ)が使用される。
(3)重み係数ダウンロード
指令値学習によって学習したDNN24の重み係数を、実際のECU11の指令値決定部となるDNN13に設定する。これにより、コントローラ12のDNN13が構成される。
指令値学習によって学習したDNN24の重み係数を、実際のECU11の指令値決定部となるDNN13に設定する。これにより、コントローラ12のDNN13が構成される。
(4)最適指令値計算
DNN13を含むコントローラ12は、車両に搭載される。コントローラ12の入力側には、ばね上加速度センサ8、車高センサ9および路面計測センサ10が接続されている。コントローラ12の出力側には、可変ダンパ6の減衰力可変アクチュエータ7に接続されている。コントローラ12は、ばね上加速度センサ8、車高センサ9および路面計測センサ10の検出信号に基づいて、路面入力と車両状態量とを取得する。コントローラ12は、路面プロフィールとして路面入力の時系列データと、車両状態量の時系列データとをDNN13に入力する。DNN13は、路面入力と車両状態量の時系列データが入力されると、学習結果に応じて最適指令となる可変ダンパ6に対する指令値を出力する。
DNN13を含むコントローラ12は、車両に搭載される。コントローラ12の入力側には、ばね上加速度センサ8、車高センサ9および路面計測センサ10が接続されている。コントローラ12の出力側には、可変ダンパ6の減衰力可変アクチュエータ7に接続されている。コントローラ12は、ばね上加速度センサ8、車高センサ9および路面計測センサ10の検出信号に基づいて、路面入力と車両状態量とを取得する。コントローラ12は、路面プロフィールとして路面入力の時系列データと、車両状態量の時系列データとをDNN13に入力する。DNN13は、路面入力と車両状態量の時系列データが入力されると、学習結果に応じて最適指令となる可変ダンパ6に対する指令値を出力する。
このように、直接最適制御部22は、様々な条件において、直接最適制御指令をオフラインの数値最適化により導出する。その際の路面プロフィールおよび車両状態量と最適指令を人工知能(DNN24)に学習させる。この結果、ステップ毎の最適化を行うことなく、DNN13を搭載したコントローラ12(ECU11)によって、直接最適制御を実現することができる。
次に、学習データ抽出部25によるデータ抽出処理について説明する。まず、学習に用いる路面入力、車両状態量、最適制御指令のデータを蓄積する。これらのデータは、例えば路面入力のデータから解析モデル20(車両モデル21)および直接最適制御部22を用いて算出したものでもよく、実際に車両を走行させてセンサ(ばね上加速度センサ8、車高センサ9、路面計測センサ10)によって取得したデータでもよい。センサによって計測したデータを用いる場合には、センサが車両の状態量を検出する車両状態量取得部を構成する。
これらのデータのうち、車両状態量に含まれるばね上速度と、学習値となる最適制御指令の制御量との相関を求める。制御量の増加しない範囲で、ばね上速度の絶対値の閾値となる一定値を決定する。この一定値は、ばね上速度の振幅の大きさの閾値である。この閾値の設定方法は、閾値の上限側からの設定方法である。閾値の下限側からの設定としては、平坦な路面を直進している際のデータが除外可能なように、閾値を決定する。
次に、車両の走行試験等でばね上加速度センサ8、車高センサ9および路面計測センサ10によって計測したデータ(検出値)をAI学習部23に入力する。AI学習部23は、直接最適制御部22を用いて最適指令値(制御量)を算出する。
一方、学習データ抽出部25は、例えばばね上加速度センサ8からのばね上加速度に基づいて、ばね上速度を取得する。学習データ抽出部25は、センサからの検出値に対応したばね上速度を用いて、取得済みのデータをAI学習用のデータとして抽出するかを判断する。具体的には、学習データ抽出部25は、物理量としてのばね上速度に基づいて、AI学習用のデータとして抽出するか否かを判断する。
ばね上速度は、制御量(最適指令値)と相関が大きい。このため、ばね上速度の絶対値が予め決定した一定値(閾値)以上である場合に、データを抽出して学習に用いると判断する。DNN24の学習には、ばね上速度の絶対値が一定値(閾値)以上である場合のデータが使用される。一方、DNN24の学習には、ばね上速度の絶対値が一定値よりも小さい場合のデータは使用されない。
このとき、ばね上速度(物理量)の値は、ばね上加速度センサ8の検出値を用いて算出した値である。これに限らず、ばね上速度の値は、ばね上速度センサを用いて直接的に計測してもよい。また、ばね上速度の値は、路面入力から解析モデル20(車両モデル21)を用いて推定した推定値でもよい。即ち、抽出前の車両状態量のデータは、走行試験で取得したデータに限らず、路面入力に基づいて、解析モデル20によって算出したものでもよい。
また、学習データ抽出部25によるデータ抽出の判定結果は、DNN24の学習に用いるか否かに限らず、計測したデータに対して直接最適制御部22を用いて最適指令値(制御量)を算出するか否かの判断に用いてもよい。この場合、抽出されなかったデータに対して最適指令値を算出する必要がなくなるから、不要な最適指令値の算出を省くことでき、学習時間を短縮することができる。さらに、学習データ抽出部25によるデータ抽出の判定結果は、リアルタイムで計測中のデータを保存するか否かに用いてもよく、DNNのリアルタイム学習を行う場合にDNNに入力するか否かに用いてもよい。また、オンラインで集積されたデータを用いたオフラインでDNNを学習させる場合には、学習データ抽出部25によるデータ抽出の判定結果は、計測データをサーバに送信するか否かに用いてもよい。
かくして、本実施形態によれば、車両の車体1と車輪2との間に介装して設けられ、車体1と車輪2との間の力を調整可能な可変ダンパ6(力発生機構)を制御するサスペンション制御装置であって、車両の状態量を検出する車両状態量取得部としてのばね上加速度センサ8および車高センサ9と、ばね上加速度センサ8および車高センサ9の取得結果に基づいて可変ダンパ6に対する指令値を学習するAI学習部23と、を有し、AI学習部23は、可変ダンパ6の動作要否と相関が高いばね上速度(物理量)の絶対値に基づいて、ばね上速度が閾値を超えないデータを除去する学習データ抽出部25を有している。
これにより、AI学習部23は、走行中にセンサ等で計測が可能な物理量に着目してデータ抽出の閾値を設け、学習用のデータからサスペンション装置4を積極的に制御する必要がないパターンを除外する。この結果、最適制御指令の制御量に対して相関が低いデータを除去してDNN24を学習することができる。この結果、DNN24の学習用データを効果的に抽出し、DNN24の学習結果に基づくDNN13の推定精度を向上させることができる。
また、ばね上速度は、制御指令を算出するときの主な入力になるため、指令値との相関は強い。しかしながら、例えばフィルタ処理等によって、ばね上速度にも感度のない範囲が存在する。これに対し、学習データ抽出部25は、ばね上速度の絶対値として、ばね上速度の振幅の大きさに基づいて、データを抽出するか否かを判断する。このため、ばね上速度の感度のない範囲のデータを除去することができる。これにより、ばね上速度の閾値を決定した後は、簡便にデータの抽出を行うことができる。この結果、走行時に取得したデータを用いてDNN13をリアルタイム学習させるときでも、容易に適用することができる。
なお、第1の実施形態では、4輪全てで同じDNN13を用いる場合を例示した。本発明はこれに限らず、前輪と後輪でそれぞれ異なるDNNの重みを設定し、4輪独立して可変ダンパを制御してもよい。
次に、図4は第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、AI学習部は、ばね上とばね下の相対速度の変化速度が所定条件を満たすときに、相対速度の絶対値が閾値を超えたデータを用いて学習を行い、それ以外のデータを除去することにある。なお、第2の実施形態では、上述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
AI学習部31は、第2の実施形態による学習データ抽出部32によって抽出されたデータ(路面入力の時系列データ、車両状態量の時系列データ、最適指令値の時系列データ)を用いて、DNN24を学習させる。そこで、学習データ抽出部32によるデータ抽出処理について説明する。
まず、学習に用いる路面入力、車両状態量、最適制御指令のデータを蓄積する。学習データ抽出部32は、バンドパスフィルタ33(BPF)を備えている。バンドパスフィルタ33は、これらのデータのうち、車両状態量に含まれるばね上とばね下の相対速度に対して、制御を適用すべき周波数帯域の信号を通過させ、他の周波数帯域の信号を減衰させる。このとき、バンドパスフィルタ33の通過帯域は、例えば1Hz付近のように制御が増加する周波数帯域に設定されている。バンドパスフィルタ33の通過帯域は、事前に走行データを解析し、制御量が増加する周波数帯域を調べることによって、決定されている。
また、バンドパスフィルタ33を通過した相対速度の信号と、学習値となる最適制御指令の制御量との相関を求める。制御量の増加しない範囲で、相対速度の閾値となる一定値を決定する。この一定値は、相対速度の振幅の大きさの閾値である。一定値(閾値)は、平坦な路面を直進している際のデータが除外可能な値に決定してもよい。
次に、車両の走行試験等でばね上加速度センサ8、車高センサ9および路面計測センサ10によって計測したデータ(検出値)をAI学習部31に入力する。AI学習部31は、直接最適制御部22を用いて最適指令値(制御量)を算出する。
一方、学習データ抽出部32は、例えばばね上加速度センサ8と車高センサ9の検出値に基づいて、相対速度を取得する。学習データ抽出部32は、センサからの検出値に対応した相対速度を用いて、取得済みのデータをAI学習用のデータとして抽出するかを判断する。具体的には、学習データ抽出部32は、物理量としての相対速度のうちバンドパスフィルタ33の通過帯域の信号を抽出する。その上で、学習データ抽出部32は、バンドパスフィルタ33を通過した相対速度の振幅の大きさが予め決められた一定値(閾値)以上である場合に、データを抽出して学習に用いると判断する。DNN24の学習には、相対速度の通過帯域成分の絶対値(振幅の大きさ)が一定値(閾値)以上である場合に、そのときのデータが使用される。一方、それ以外のデータは、DNN24の学習には使用されない。
このとき、相対速度(物理量)の値は、ばね上加速度センサ8、車高センサ9の検出値を用いて算出した値である。これに限らず、相対速度の値は、例えば可変ダンパが取付けられたストロークセンサを用いて直接的に計測してもよい。また、相対速度の値は、路面入力から解析モデル20(車両モデル21)を用いて推定した推定値でもよい。即ち、抽出前の車両状態量のデータは、走行試験で取得したデータに限らず、路面入力に基づいて、解析モデル20によって算出したものでもよい。また、学習データ抽出部32によるデータ抽出の判定結果は、DNN24の学習に用いるか否かに限らず、計測したデータに対して直接最適制御部22を用いて最適指令値(制御量)を算出するか否かの判断に用いてもよい。
かくして、第2の実施形態でも、第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。相対速度の場合、相対速度の変化速度としての周波数に応じて指令値(制御量)が増減する。これに対し、第2の実施形態では、AI学習部31は、相対速度の周波数(変化速度)が所定条件を満たすときに、相対速度の振幅(絶対値)が閾値を超えたデータを用いて学習を行う。このため、相対速度の感度が高い範囲のデータを用いて、DNN24を学習させることができる。
次に、図5は第3の実施形態を示している。第3の実施形態の特徴は、AI学習部は、ばね上加速度の変化速度が所定条件を満たすときに、ばね上加速度の絶対値が閾値を超えたデータを用いて学習を行い、それ以外のデータを除去することにある。なお、第3の実施形態では、上述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
AI学習部41は、第3の実施形態による学習データ抽出部42によって抽出されたデータ(路面入力の時系列データ、車両状態量の時系列データ、最適指令値の時系列データ)を用いて、DNN24を学習させる。そこで、学習データ抽出部42によるデータ抽出処理について説明する。
まず、学習に用いる路面入力、車両状態量、最適制御指令のデータを蓄積する。学習データ抽出部42は、バンドパスフィルタ43(BPF)を備えている。バンドパスフィルタ43は、これらのデータのうち、車両状態量に含まれるばね上加速度に対して、制御を適用すべき周波数帯域の信号を通過させ、他の周波数帯域の信号を減衰させる。このとき、バンドパスフィルタ43の通過帯域は、例えば1Hz付近のように制御が増加する周波数帯域に設定されている。バンドパスフィルタ43の通過帯域は、事前に走行データを解析し、制御量が増加する周波数帯域を調べることによって、決定されている。
また、バンドパスフィルタ43を通過したばね上加速度の信号と、学習値となる最適制御指令の制御量との相関を求める。制御量の増加しない範囲で、ばね上加速度の閾値となる一定値を決定する。この一定値は、ばね上加速度の振幅の大きさの閾値である。一定値(閾値)は、平坦な路面を直進している際のデータが除外可能な値に決定してもよい。
次に、車両の走行試験等でばね上加速度センサ8、車高センサ9および路面計測センサ10によって計測したデータ(検出値)をAI学習部41に入力する。AI学習部41は、直接最適制御部22を用いて最適指令値(制御量)を算出する。
一方、学習データ抽出部42は、例えばばね上加速度センサ8の検出値としてばね上加速度を取得する。学習データ抽出部42は、センサからの検出値に対応したばね上加速度を用いて、取得済みのデータをAI学習用のデータとして抽出するかを判断する。具体的には、学習データ抽出部42は、物理量としてのばね上加速度のうちバンドパスフィルタ43の通過帯域の信号を抽出する。その上で、学習データ抽出部42は、バンドパスフィルタ43を通過したばね上加速度の振幅の大きさが予め決められた一定値(閾値)以上である場合に、データを抽出して学習に用いると判断する。DNN24の学習には、ばね上加速度の通過帯域成分の絶対値(振幅の大きさ)が一定値(閾値)以上である場合に、そのときのデータが使用される。一方、それ以外のデータは、DNN24の学習には使用されない。
このとき、ばね上加速度(物理量)の値は、ばね上加速度センサ8の検出値である。これに限らず、ばね上加速度の値は、路面入力から解析モデル20(車両モデル21)を用いて推定した推定値でもよい。即ち、抽出前の車両状態量のデータは、走行試験で取得したデータに限らず、路面入力に基づいて、解析モデル20によって算出したものでもよい。また、学習データ抽出部42によるデータ抽出の判定結果は、DNN24の学習に用いるか否かに限らず、計測したデータに対して直接最適制御部22を用いて最適指令値(制御量)を算出するか否かの判断に用いてもよい。
かくして、第3の実施形態でも、第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。ばね上加速度の場合、ばね上加速度の周波数に応じて指令値(制御量)が増減する。これに対し、第3の実施形態では、AI学習部41は、ばね上加速度の周波数(変化速度)が所定条件を満たすときに、ばね上加速度の振幅(絶対値)が閾値を超えたデータを用いて学習を行う。このため、ばね上加速度の感度が高い範囲のデータを用いて、DNN24を学習させることができる。
次に、図6および図7は第4の実施形態を示している。第4の実施形態の特徴は、AI学習部は、力発生機構の動作要否と相関が高い車両の状態量の絶対値に基づいて、前記絶対値が閾値を超えないデータを除去する機能を有し、車両状態量学習部は、前記AI学習部による除去後のデータを用いて、前記車両の動作に関する物理量に基づいて前記車両の状態量を学習することにある。なお、第4の実施形態では、上述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第4の実施形態では、ECU51は、車両の姿勢制御等を含む挙動制御を行う制御装置である。ECU51は、車両の車体1側に搭載されている。ECU51は、第1の実施形態によるECU11と同様に構成されている。ECU51は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成され、データの記憶が可能なメモリ51Aを有している。ECU51は、コントローラ52を備えている。
ECU51は、その入力側がCAN53および路面計測センサ10に接続され、出力側が可変ダンパ6の減衰力可変アクチュエータ7に接続されている。ECU51は、CAN53(Controller Area Network)から車両の動作に関する物理量を取得する。車両の動作に関する物理量には、例えば車輪速、操舵角等が含まれている。コントローラ52は、車両の動作に関する物理量に基づいて、車両の状態量を推定する。コントローラ52は、この車両の状態量と、路面計測センサ10による路面の検出値とに基づいて、サスペンション装置4の可変ダンパ6(力発生機構)で発生すべき力を求め、その命令信号をサスペンション装置4の減衰力可変アクチュエータ7に出力する。
ECU51は、例えば車両が10~20m程度を走行した数秒間に亘って、車両状態量と路面入力のデータをメモリ51Aに保存する。これにより、ECU51は、車両が所定の走行距離を走行したときの路面入力の時系列データ(路面プロフィール)と、車両状態量の時系列データとを生成する。コントローラ52は、路面のプロフィールと車両状態量の時系列データに基づいて、可変ダンパ6で発生すべき減衰力を調整するように制御する。
コントローラ52は、学習済みのDNN13(ディープニューラルネットワーク)を備えている。これに加えて、コントローラ52は、車両の動作に関する物理量に基づいて車両の状態量を推定する車両状態量学習部54を備えている。車両状態量学習部54は、DNNを備えており、車両の動作に関する物理量と車両の状態量との相関関係を学習している。これにより、車両状態量学習部54は、CAN53から取得した車両の動作に関する物理量から車両の状態量を推定する。
コントローラ52は、車両状態量学習部54によって推定した車両の状態量の推定値と、路面計測センサ10による路面の検出値とに基づいて 、路面入力の時系列データ(路面プロフィール)と、車両状態量の時系列データとを取得する。コントローラ52のDNN13は、路面入力の時系列データと、車両状態量の時系列データとに基づいて、最適指令値の時系列データを出力する。これにより、コントローラ52は、現在の車両と路面に対して最も適切な減衰力の指令値を出力する。減衰力の指令値は、減衰力可変アクチュエータ7を駆動するための電流値に対応している。
AI学習部55は、第4の実施形態による学習データ抽出部56によって抽出されたデータ(路面入力の時系列データ、車両状態量の時系列データ、最適指令値の時系列データ)を用いて、DNN24を学習させる。これに加え、車両状態量学習部54は、第4の実施形態による学習データ抽出部56によって抽出されたデータ(路面入力の時系列データ、車両状態量の時系列データ)を用いて、車両状態量学習部54のDNNを学習させる。そこで、学習データ抽出部56によるデータ抽出処理について説明する。
まず、学習に用いる路面入力、車両状態量、最適制御指令のデータを蓄積する。これらのデータは、例えば路面入力のデータから解析モデル20(車両モデル21)および直接最適制御部22を用いて算出したものでもよく、実際に車両を走行させてセンサ(ばね上加速度センサ8、車高センサ9、路面計測センサ10)によって取得したデータでもよい。これらのデータのうち、車両状態量に含まれるばね上速度と、最適制御指令の制御量との相関を求める。制御量の増加しない範囲で、ばね上速度の絶対値の閾値となる一定値を決定する。この一定値は、ばね上速度の振幅の大きさの閾値である。この閾値の設定方法は、閾値の上限側からの設定方法である。閾値の下限側からの設定としては、平坦な路面を直進している際のデータが除外可能なように、閾値を決定する。
次に、CAN53から取得した車輪速および操舵角のデータと、車両の走行試験等でばね上加速度センサ8、車高センサ9および路面計測センサ10によって計測したデータ(検出値)とをAI学習部55に入力する。AI学習部55の学習データ抽出部56は、例えばばね上加速度センサ8からのばね上加速度からばね上速度を取得する。学習データ抽出部56は、センサからの検出値に対応したばね上速度を用いて、取得済みのデータをAI学習用のデータとして抽出するかを判断する。具体的には、物理量としてのばね上速度に基づいて、AI学習用のデータとして抽出するか否かを判断する。
学習データ抽出部56は、第1の実施形態による学習データ抽出部25と同様に、ばね上速度の絶対値として、ばね上速度の振幅の大きさが予め決定した一定値(閾値)以上である場合に、データを抽出して学習に用いると判断する。DNN24と車両状態量学習部54の学習には、ばね上速度の絶対値が一定値(閾値)以上である場合のデータが使用される。一方、DNN24と車両状態量学習部54の学習には、ばね上速度の絶対値が一定値よりも小さい場合のデータは使用されない。
DNN24は、学習データ抽出部56によって抽出されたデータ(路面入力の時系列データ、車両状態量の時系列データ、最適指令値の時系列データ)を用いて、路面入力、車両状態量と制御量との相関関係を学習する。また、車両状態量学習部54は、学習データ抽出部56によって抽出されたデータ(車輪速および操舵角の時系列データ、路面入力の時系列データ、車両状態量の時系列データ)を用いて、車輪速および操舵角、路面入力と車両状態量との相関関係を学習する。
かくして、第4の実施形態でも、第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。第4の実施形態では、AI学習部55は、可変ダンパ6(力発生機構)の動作要否と相関が高い状態量(ばね上速度)の絶対値に基づいて、この絶対値が閾値を超えないデータを除去する学習データ抽出部56を有している。これに加えて、車両状態量学習部54は、AI学習部55の学習データ抽出部56による除去後のデータを用いて、車両の動作に関する物理量(車輪速、操舵角等)に基づいて車両の状態量(ばね上加速度、車体の高さ、相対速度、ばね上速度等)を学習する。
学習データ抽出部56は、走行中にセンサ等で計測が可能な物理量に着目して抽出の閾値を設け、学習用のデータからサスペンション装置4を積極的に制御する必要がないパターンを除外する。この結果、最適制御指令の制御量に対して相関が低いデータを除去して車両状態量学習部54のDNNを学習することができる。この結果、車両状態量学習部54の学習用データを効果的に抽出し、車両状態量学習部54の学習結果に基づく車両状態量の推定精度を向上させることができる。
なお、第4の実施形態では、車両の動作に関する物理量(車輪速、操舵角等)はCAN53から取得するものとした。本発明はこれに限らず、例えば車両の動作に関する物理量は、センサ等によって検出してもよい。
また、学習データ抽出部56は、第1の実施形態による学習データ抽出部25と同様に構成されるものとしたが、第2,第3の実施形態による学習データ抽出部32,42と同様に構成されるものとしてもよい。
前記各実施形態では、路面プロフィール取得部は、路面計測センサ10によって路面のプロフィールを検出した。本発明はこれに限らず、路面プロフィール取得部は、例えばGPSデータを基にしてサーバから情報を取得するものでもよく、車車間通信により他車から情報を取得するものでもよい。また、路面プロフィール取得部は、ばね上加速度センサ8による上下方向の振動加速度の検出値と、車高センサ9による車高の検出値とに基づき、路面のプロフィールを推定してもよい。この場合、路面プロフィール取得部は、各種のセンサに加えて、ECU11内の演算部分によって構成される。
前記各実施形態では、サスペンション制御装置は、車両状態量取得部または車両状態量学習部を有するのに加えて、路面プロフィール取得部を有するものとした。本発明はこれに限らず、サスペンション制御装置は、路面プロフィール取得部を有さなくてもよい。この場合、サスペンション制御装置のコントローラは、車両状態量取得部または車両状態量学習部のみの取得結果に基づいて力発生機構の発生力を調整する。コントローラは、車両状態量取得部または車両状態量学習部の取得結果に基づいて力発生機構に対する指令値を学習するAI学習部を有する。コントローラのAI学習部は、事前にある評価関数を最小となるように最適化手法によって求められた指令値と車両状態量取得部または車両状態量学習部の取得結果を学習している。
前記各実施形態では、力発生機構としてセミアクティブダンパからなる可変ダンパ6である場合を例に説明した。本発明はこれに限らず、力発生機構としてアクティブダンパ(電気アクチュエータ、油圧アクチュエータのいずれか)を用いるようにしてもよい。前記各実施形態では、車体1側と車輪2側との間で調整可能な力を発生する力発生機構を、減衰力調整式の油圧緩衝器からなる可変ダンパ6により構成する場合を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、例えば力発生機構を液圧緩衝器の他に、エアサスペンション、スタビライザ(キネサス)、電磁サスペンション等により構成してもよい。
前記各実施形態では、4輪自動車に用いる車両挙動装置を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば2輪、3輪自動車、または作業車両、運搬車両であるトラック、バス等にも適用できるものである。
前記各実施形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。
1:車体、2:車輪、3:タイヤ、4:サスペンション装置、5:懸架ばね(スプリング)、6:可変ダンパ(力発生機構)、7:減衰力可変アクチュエータ、8:ばね上加速度センサ(車両状態量取得部)、9:車高センサ(車両状態量取得部)、10:路面計測センサ、11,51:ECU、12,52:コントローラ、13,24:DNN、20:解析モデル(車両状態量取得部)、21:車両モデル、22:直接最適制御部、23,31,41,55:AI学習部、25,32,42,56:学習データ抽出部、33,43:バンドパスフィルタ、54:車両状態量学習部
Claims (5)
- 車両の車体と車輪との間に介装して設けられ、前記車体と前記車輪との間の力を調整可能な力発生機構を制御するサスペンション制御装置であって、
前記車両の状態量を検出または推定する車両状態量取得部と、
前記車両状態量取得部の取得結果に基づいて前記力発生機構に対する指令値を学習するAI学習部と、を有し、
前記AI学習部は、前記力発生機構の動作要否と相関が高い物理量の絶対値に基づいて、前記絶対値が閾値を超えないデータを除去する機能を有するサスペンション制御装置。 - 前記物理量はばね上速度であり、前記絶対値は前記ばね上速度の振幅の大きさである請求項1に記載のサスペンション制御装置。
- 前記AI学習部は、前記物理量の変化速度が所定条件を満たすときの前記物理量の前記絶対値が前記閾値を超えたデータを用いて学習を行い、それ以外のデータを除去するものであり、
前記物理量はばね上とばね下の相対速度であり、
前記AI学習部は、前記変化速度である前記相対速度の周波数が所定範囲内であり、かつ前記絶対値である前記相対速度の振幅の大きさが前記閾値である所定値を超えたデータを抽出する請求項1に記載のサスペンション制御装置。 - 前記AI学習部は、前記物理量の変化速度が所定条件を満たすときの前記物理量の前記絶対値が前記閾値を超えたデータを抽出して学習を行い、それ以外のデータを除去するものであり、
前記物理量はばね上加速度であり、
前記AI学習部は、前記変化速度である前記ばね上加速度の周波数が所定範囲内であり、かつ前記絶対値である前記ばね上加速度の振幅の大きさが前記閾値である所定値を超えたデータを抽出する請求項1に記載のサスペンション制御装置。 - 車両の車体と車輪との間に介装して設けられ、前記車体と前記車輪との間の力を調整可能な力発生機構を制御するサスペンション制御装置であって、
前記車両の状態量を推定する車両状態量学習部と、
前記車両状態量学習部の推定結果に基づいて前記力発生機構に対する指令値を学習するAI学習部と、を有し、
前記AI学習部は、前記力発生機構の動作要否と相関が高い前記状態量の絶対値に基づいて、前記絶対値が閾値を超えないデータを除去する機能を有し、
前記車両状態量学習部は、前記AI学習部による除去後のデータを用いて、前記車両の動作に関する物理量に基づいて前記状態量を学習するサスペンション制御装置。
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