JP2023133943A - 剛性強度バランスに優れたポリエチレンシーラントフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリエチレンモノマテリアル包装材におけるポリエチレンシーラントフィルムとして好適なポリエチレンシーラントフィルム、およびそれを用いた樹脂積層体と包装材を提供する。【解決手段】 特定の範囲の(1)密度、(2)メルトフローレイト(MFR)、(3)DSCによる融解熱量パラメータ、(4)炭素原子1000個当たりの短鎖分岐数(SCB)の指数(各数値範囲、定義は明細書に記載されたとおりである)を有するポリエチレン樹脂組成物Pを含み、ダートドロップインパクトの値が150g以上かつ、機械方向(MD)の弾性率が300MPa以上であることを特徴とするポリエチレンシーラントフィルム、および同フィルムをポリエチレン基材フィルムに積層したポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体である。【選択図】 なし

Description

本発明はポリエチレンモノマテリアル包材などの樹脂積層体に用いる、剛性強度バランスに優れたモノマテリアルシーラントフィルム、さらにそのモノマテリアルシーラントフィルムを含むポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体、該積層体から構成される包装材に関する。
従来、包装材の基本的な構成の一つとして基材フィルムとシーラントフィルムを接着剤で貼り合わせるものがある。このうち、シーラントフィルムは適度な柔軟性、透明性、ヒートシール性に優れたポリエチレン樹脂組成物からなるフィルムが広く使用されている。他方、基材フィルムには剛性、耐衝撃性、耐熱性の観点からポリエステル樹脂組成物またはポリアミド樹脂組成物からなるフィルムを延伸したフィルムが使用されている(特許文献1参照)。
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、高いリサイクル性を有する包装材が求められている。しかしながら、従来の包装材は上記したように異種の樹脂材料から構成されており、樹脂材料ごとに分離するのが困難であるため、リサイクルされていないのが現状である。
高いリサイクル性を持たせる方法として、全て同一の樹脂材料からなる包装材(モノマテリアル包装材)を構成することが挙げられる。ポリエチレン樹脂組成物は包装材の原料として広く使用されているため、基材フィルムもシーラントフィルムもポリエチレン樹脂組成物で構成されたポリエチレンモノマテリアル包装材は、循環型社会を実現するリサイクル性の高い包装材として期待されている。
ポリエチレンモノマテリアル包装材の構成はポリエチレン基材フィルムとポリエチレンシーラントフィルムからなるのが一般的であるが、特にポリエチレンモノマテリアル包装材のポリエチレンシーラントフィルムとして例えば、市場に出回っている直鎖低密度ポリエチレンを使用したポリエチレンシーラントフィルムを用いたポリエチレンモノマテリアル包装材(特許文献2)や、特定の樹脂物性をもつポリエチレン樹脂組成物をポリエチレンシーラントフィルムに使用することにより、シール時の加工性を改善したポリエチレンモノマテリアル包装材(特許文献3)が挙げられる。
特開2009-202519号公報 特開2019-166810号公報 特表2020-526412号公報
しかしながら、上記のポリエチレンモノマテリアル包装材料はポリエチレン基材フィルムよりも剛性に優れるポリエステル基材フィルム、強度に優れるポリアミド基材フィルムを使用しないため、一般的な構成の包装材料よりも剛性強度バランスが劣る課題があり、この課題は依然として解決されていない。こうしたことから、ポリエチレンモノマテリアル包装材において剛性強度バランスの良いモノマテリアル包装材の開発が望まれていた。
本発明の目的はポリエチレンモノマテリアル包装材におけるポリエチレンシーラントフィルムとして好適なポリエチレンシーラントフィルム、およびそれを用いた樹脂積層体と包装材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の条件を満たすポリエチレン樹脂組成物をポリエチレンシーラントとして使用することで上記の課題を解決可能な特性を示すモノマテリアルシーラントフィルムやモノマテリアル樹脂積層体が得られることを見出し、これらの知見に基づいて発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明[1]によれば、ポリエチレン基材フィルムに積層されるポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体用のポリエチレンシーラントフィルムであって、下記(1)~(4)の要件を満たすポリエチレン樹脂組成物Pを含み、ダートドロップインパクト(DDI)の値が150g以上かつ、機械方向(MD)の弾性率が300MPa以上であることを特徴とするポリエチレンシーラントフィルムが提供される。
(1)密度が0.920~0.940g/cm
(2)190℃、2.16kg荷重のメルトフローレイト(MFR)が0.1~10g/10min
(3)示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃から200℃まで40℃/minの速度で昇温、200℃で5分保持し、その後200℃から20℃まで10℃/minの速さで降温、20℃で5分保持し、さらにその後20℃から200℃まで10℃/minの速さで昇温するプログラムにおいて、2度目の昇温の時の40℃から140℃までの融解熱量をΔH、40℃からT℃までの融解熱量をΔH(T)とすると、ΔH(T)/ΔH=0.7となる温度Tが118℃以上、128℃以下。
(4)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により算出された炭素原子1000個当たりの短鎖分岐数(SCB)を、式(A)を用いて計算したSCB指数が1.10以上
式(A) SCB指数=(log5.2でのSCB)/(log4.2でのSCB)
また本発明[2]によれば、2層以上の多層構造を有し、前記[1]に記載のポリエチレン樹脂組成物Pを少なくとも1つの層に含む、ポリエチレンシーラントフィルムが提供される。
また本発明[3]によれば、厚みが10~200μmであることを特徴とする、前記[1]または[2]に記載のポリエチレンシーラントフィルムが提供される。
また本発明[4]によれば、機械方向(MD)の弾性率をEM、直交方向(TD)の弾性率をETとしたとき、EM≧300MPa、ET≧300MPaを満たすことを特徴とする、前記[1]~[3]のいずれかに記載のポリエチレンシーラントフィルムが提供される。
また本発明[5]によれば、少なくともポリエチレン基材フィルムと、前記[1]~[4]のいずれかに記載のポリエチレンシーラントフィルムを含むことを特徴とするポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体が提供される。
また本発明[6]によれば、該ポリエチレン基材フィルムが、ポリエチレン樹脂組成物からなるポリエチレン延伸基材フィルムであることを特徴とする、前記[5]に記載のポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体が提供される。
また本発明[7]によれば、積層体を構成する各層が、全てポリエチレン樹脂組成物で構成されたモノマテリアル樹脂積層体であることを特徴とする、前記[5]または[6]記載のポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体が提供される。
また本発明[8]によれば、前記[5]~[7]のいずれかに記載のポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体を使用した包装材料が提供される。
本発明のポリエチレンシーラントフィルムは、ポリエチレンモノマテリアル包装材に好適なシーラントフィルムを提供することができる。また、ポリエチレン基材フィルムを用い、本発明のポリエチレンシーラントフィルムと貼り合わせて使用することで、リサイクル性の高い包装材料、特に単一素材で構成された、モノマテリアルの積層体及び包装材を提供することができる。
実施例4のDSC測定の結果を示す。 実施例1、実施例4、実施例5、比較例1、比較例2、比較例3のGPC測定の結果を示す。
1.ポリエチレン樹脂組成物
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物とは、ポリエチレンシーラントフィルムの原料として用いる樹脂組成物であって、ポリエチレン樹脂単体又はそのポリエチレン樹脂混合物の両方を意味し、それに必要な添加剤を加えていてもよい。
・ポリエチレン樹脂組成物の重合触媒および重合方法
ポリエチレン樹脂組成物を構成するためのポリエチレン樹脂は、石油原料を由来とするエチレン、バイオマス原料を由来とするエチレンまたはケミカルリサイクルで得られるエチレンのいずれか少なくとも1つを原料として、チーグラー・ナッタ触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等の重合触媒などの従来公知の触媒を用いて製造される。好ましくはチーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒である。一般にこれらの触媒は有機金属化合物で構成された錯体を、シリカやMg化合物などの担体に担持された状態である。
重合方法は、高圧法、溶液法、スラリー法、気相法のいずれかが挙げられる。高圧法は酸素、過酸化物などのラジカル発生源、もしくは金属錯体からなる触媒を開始剤とし、反応容器にエチレン、コモノマー、開始剤を投入し高温高圧の条件下で重合を行う方法である。反応容器の形によってチューブラー法とオートクレーブ法にさらに分けることができる。
溶液法は、ポリマーの融点以上の温度で炭化水素溶媒中にポリマーが溶解した状態で行う重合法である。スラリー法は溶媒にヘキサンまたはイソブタンなどの炭化水素化合物を用い、生成したポリエチレンがスラリーとして溶媒中に存在する重合方法である。反応容器の形状によって、オートクレーブ法とループパイプ法の2つに大別される。
気相法は、たて型の反応容器の下部からエチレンとコモノマーとしてα-オレフィン、連鎖移動剤として水素をガスの状態でフィードし、そこへ重合触媒を投入する重合方法であり(編著:松浦一雄、三上尚孝/ポリエチレン技術読本より)、本発明のポリエチレン樹脂組成物の製造方法としては気相法が好ましい。
これらの製法により得られるポリエチレン樹脂組成物は、従来知られている様々な用途に応じるために、広い範囲において様々な密度、メルトフローレイト(MFR)、そのほか樹脂物性の組み合わせを有するが、その中でも、本発明の要件を満たすシーラントフィルム用ポリエチレン樹脂組成物Pを選択し、用いることを特徴とする。
・ポリエチレン樹脂組成物Pのコモノマー組成
本発明で使用されるポリエチレン樹脂組成物Pは、エチレン単独重合体、またはエチレンと炭素数3~18のα-オレフィンから選ばれる一種以上のα-オレフィンとの共重合体である。この炭素数3~18のα-オレフィンとしては、好ましくは炭素数3~12のものであり、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテンなどが挙げられる。また、これらのα-オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。この範囲であれば、フィルムなどの柔軟性と耐熱性が良好になる。
ここでα-オレフィンの含有量は、下記の条件の13C-NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子製 JEOL-GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
・密度
本発明で使用されるポリエチレン樹脂組成物Pは、密度が0.920~0.940g/cmの範囲にあることを必須とする。好ましい密度は、0.922~0.938g/cmの範囲にある。ここで、密度は、JIS K6922-1、2に準拠して測定する値である。
密度が0.920g/cm未満であると、シーラントフィルムの強度は十分であるが剛性が不十分となり、好ましくない。一方、密度が0.940g/cmを超えると、シーラントフィルムの剛性は十分であるが強度が不十分となるため、好ましくない。
・メルトフローレイト(MFR)
本発明で使用されるポリエチレン樹脂組成物Pは、MFRが0.1~10g/10minの範囲にあることを必須とする。好ましいMFRは、0.5~8g/10minの範囲にある。MFRが0.1g/10min未満であると、ゲル等の発生するおそれがあり、一方、MFRが10g/10minを超えると、シーラントフィルムの成形性が悪化し、好ましくない。なお、MFRは、JIS K6922-2に準拠して、190℃、2.16kg荷重にて、溶融したポリマーをダイ(長さ8mm、外径9.5mm、内径2.095mm)より押出し、測定した押出し量である。
・融解熱量
本発明で使用されるポリエチレン樹脂組成物Pは、示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃から200℃まで40℃/minの速度で昇温、200℃で5分保持し、その後200℃から20℃まで10℃/minの速さで降温、20℃で5分保持し、さらにその後20℃から200℃まで10℃/minの速さで昇温するプログラムにおいて、2度目の昇温の時の40℃から140℃までの融解熱量をΔH、40℃からT℃までの融解熱量をΔH(T)とすると、ΔH(T)/ΔH=0.7となる温度Tが118℃以上、128℃以下であることを必須とする。118℃以下もしくは128℃以上である場合、ポリエチレンシーラントフィルムの剛性強度バランスが悪化するため、好ましくない。
・SCB指数
本発明で使用されるポリエチレン樹脂組成物Pは、SCB指数が1.10以上であることを必須とする。好ましくは1.15以上である。SCB指数とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)によって求めた炭素原子1000個当たりの短鎖分岐数(SCB)を以下の式(A)を用いて計算した値である。すなわち、logM=5.2(Mw=158000)の短鎖分岐数とlogM=4.2(Mw=15800)の短鎖分岐数との商である。
式(A)SCB指数=(log5.2での短鎖分岐数)/(log4.2での短鎖分岐数)
・樹脂ブレンド
本発明で使用されるポリエチレン樹脂組成物Pは、単一樹脂であってもよく、二種以上の樹脂を混合して、本発明の要件を満たすポリエチレン樹脂組成物Pを製造し、それを用いてもよい。混合するポリエチレン樹脂はエチレンを単独重合、もしくはエチレンとα-オレフィンを共重合させたバージン樹脂でも、使用済みのポリエチレンを主成分とする製品をメカニカルリサイクルして得られるリサイクル樹脂であってもよい。低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられるが、フィルムの剛性強度バランスの観点からMDPE、HDPEとLLDPEとの混合、MDPEとLLDPEとの混合が好ましい。
・添加剤
本発明で使用されるポリエチレン樹脂組成物Pは、本発明の目的を損なわない範囲で、一般に樹脂組成物用として用いられている添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、中和剤、アンチブロッキング剤、粘着付与剤、帯電防止剤、スリップ剤、核剤、発泡剤、架橋剤、バイオマス資源、生分解促進剤等が配合されてもよい。
2.ポリエチレン基材フィルム
本発明のポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体は、少なくともポリエチレン基材フィルムと、ポリエチレンシーラントフィルムからなり、ポリエチレン基材フィルムとしては、延伸基材フィルム又は電子線架橋フィルムなどを用いることができるが、好ましくは、延伸基材フィルムが用いられる。
延伸基材フィルムとは、ポリエチレン樹脂組成物をインフレーション成形またはTダイ成形にて得られたフィルムを、延伸して得られるフィルムであって、樹脂積層体の基材として用いる延伸フィルムのことを意味する。
・使用するポリエチレン樹脂組成物
延伸基材フィルムに使用されるポリエチレン樹脂組成物は特に限定されないが、エチレンを単独重合、もしくはエチレンとα-オレフィンを共重合させたバージン樹脂でも、使用済みのポリエチレンを主成分とする製品をメカニカルリサイクルして得られるリサイクル樹脂であってもよい。低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられ、これらを混合したポリエチレン樹脂組成物であってもよい。上記(1)~(4)の要件を満たすポリエチレン樹脂組成物P以外のポリエチレン樹脂組成物も用いることができる。
・原反製造方法と製造条件
延伸基材フィルムは原反を延伸することで得られる。原反の製造方法としてインフレーション成形、Tダイ成形法またはカレンダー成形法が挙げられるが、生産速度、製造のしやすさなどの観点からインフレーション成形またはTダイ成形法が好ましい。また単一のポリエチレン樹脂組成物を用いた単層フィルムであってもよいし、複数のポリエチレン樹脂組成物を用いた多層フィルムであってもよい。
また原反の製造条件は特に限定されるものではないが、原反フィルムの厚みは20μm~200μが好ましい。より好ましくは30μm~200μmであり、さらに好ましくは50μm~200μmである。
・延伸方法
延伸基材フィルムとしては1軸延伸フィルムであっても、2軸延伸フィルムであってもよい。延伸方法は縦1軸延伸、横1軸延伸、逐次2軸延伸、同時2軸延伸のいずれかが使用可能である。
・縦延伸倍率
延伸基材フィルムの縦方向、すなわち機械方向(MD)の延伸倍率は、2倍以上15倍以下であることが好ましく、5倍以上10倍以下であることが好ましい。更に7倍以上とすると好ましい。延伸基材フィルムの機械方向(MD)の延伸倍率を大きくすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性を向上することができる。さらに、基材への印刷適性を向上することができる。また、基材の透明性を向上することができるため、基材のポリエチレンシーラントフィルム側表面に画像を形成した場合に、その視認性を向上させることができる。一方、延伸基材フィルムの機械方向(MD)の延伸倍率の上限値は、特に制限されるものではないが、破断限界の観点からは15倍以下、更には10倍以下とすることが好ましい。
・横延伸倍率
延伸基材フィルムの横方向、すなわちTDの延伸倍率は、1.5倍以上であることが好ましく、さらに好ましくは2倍以上である。
延伸基材フィルムのTDの延伸倍率を1.5倍以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性を向上することができる。さらに、基材への印刷適性を向上することができる。また、基材の透明性を向上することができるため、基材のポリエチレンシーラント側表面に画像を形成した場合に、その視認性を向上させることができる。一方、ポリエチレン延伸基材フィルムのTDの延伸倍率の上限値は、特に制限されるものではないが、破断限界の観点からは10倍以下とすることが好ましい。
・二軸延伸倍率
延伸基材フィルムをMD及びTDに延伸する場合には、各々1.5倍以上が好ましく、さらに好ましくは2倍以上である。
延伸基材フィルムのMD、TDの延伸倍率を大きくすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性を向上することができる。さらに、基材への印刷適性を向上することができる。また、基材の透明性を向上することができるため、基材のポリエチレンシーラントフィルム側表面に画像を形成した場合に、その視認性を向上させることができる。一方、延伸基材フィルムのMD及びTDそれぞれの延伸倍率の上限、特に制限されるものではないが、延伸基材フィルムの破断点限界の観点から、MD及びTDの延伸倍率の下限値を1.5倍、好ましくは2倍とし、MD延伸倍率とTD延伸倍率との積が50以下とすることが好ましい。
・多層延伸フィルム
ポリエチレン樹脂組成物から構成される延伸基材フィルムは、複数の複数のフィルムを積層させた多層延伸フィルムであってもよい。
使用できる樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)が挙げられる。また、積層の方法は共押成形によって得られる共押フィルムを、更に延伸してもよいし、接着剤を使用してフィルム同士を接着したものであってもよい。
3.ポリエチレンシーラントフィルム
・使用するポリエチレン樹脂組成物
ポリエチレンシーラントフィルムとは、少なくとも1つ以上のポリエチレン樹脂組成物からなる層(ヒートシール層)を含み、この層が融着することによってシールできることを特徴とするフィルムである。使用できるポリエチレン樹脂組成物は、少なくとも一種が本発明の要件を満たすポリエチレン樹脂組成物Pであり、エチレンを単独重合、もしくはエチレンとα-オレフィンを共重合させたバージン樹脂でも、使用済みのポリエチレンを主成分とする製品をメカニカルリサイクルして得られるリサイクル樹脂であってもよい。低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられ、単一樹脂であってもよく、2種以上の樹脂の混合であってもよい。
・ポリエチレンシーラントフィルムの製造方法と製造条件
ポリエチレンシーラントフィルムの製造方法としては公知技術を使用することができる。具体的にはインフレーション成形、Tダイ成形、カレンダー成形が挙げられるが、好ましくはインフレーション成形、Tダイ成形である。またポリエチレンシーラントフィルムの厚みは特に限定されないが、フィルム全体で10~200μmが好ましく、さらに好ましくは30~180μmである。
・弾性率
本発明に係るポリエチレンシーラントフィルムは、機械方向(MD)の弾性率をEMとしたときに300MPa以上であることを必須とする。300MPa以下である場合、ポリエチレンシーラントフィルムの剛性が小さく好ましくない。また直交方向(TD)の弾性率をETとしたときに、EM≧300MPa、ET≧300MPaであることが好ましい。
・ダートドロップインパクト(DDI)
本発明に係るポリエチレンシーラントフィルムは、DDIの値が150g以上であることを必須とする。好ましくは175g以上であり、さらに好ましくは200g以上である。150g以下である場合、フィルムの強度が不足しているため好ましくない。
・ポリエチレンシーラントフィルム構造
ポリエチレンシーラントフィルムは単層構造であっても多層構造であってもよい。単層構造の場合、本発明の要件を満たすポリエチレン樹脂組成物Pを単体で用いてもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で他のポリエチレン樹脂組成物と混合して用いてもよい。多層構造の場合、本発明の要件を満たすポリエチレン樹脂組成物Pが少なくとも1つの層に含まれていればよい。好ましくは、該ポリエチレン樹脂組成物Pは2層構造の場合はヒートシール層では内層に含まれ、3層構造以上では中間層に含まれる。また、多層構造の場合、本発明の要件を損なわない範囲で上記の公知技術を使用し、共押成形で成形することが好ましい。
4.その他
本発明のポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体とは、樹脂積層体を構成する層が、全てまたは主たる成分がポリエチレン系樹脂で構成された樹脂積層体をいう。ここで、本明細書において「ポリエチレン系樹脂」というときは、エチレンの単独重合体、およびエチレンとα-オレフィンのような炭化水素モノマーとの共重合体を含む、炭素と水素で実質的に構成される樹脂を指す。この樹脂積層体は、単一の樹脂で構成されたモノマテリアル樹脂積層体として扱うことができる。モノマテリアル樹脂積層体中の樹脂成分中、主たる成分であるポリエチレン系樹脂の割合について、特に制限されるものではないが、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは100重量%である。
・表面処理
延伸基材フィルムとシーラントフィルムは表面処理が施されていることが好ましい。これにより、隣接する層との密着性を向上することができる。
表面処理の方法は特に限定されず、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスおよび/または窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理、並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
また、基材表面に従来公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。
・印刷
延伸基材フィルムまたはシーラントの少なくとも一方の面に、文字、柄、記号等の画像が形成されていてもよい。画像の経時的な劣化を防止することができるため、延伸基材フィルムとシーラントフィルムが向かい合う面に画像が形成されていることが好ましい。
画像の形成方法は、特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の従来公知の印刷法を挙げることができる。これらの中でも、環境負荷の観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
・蒸着膜
延伸基材フィルムまたはシーラントフィルムの少なくとも一方の面に蒸着膜を備えていてもよい。蒸着膜としては、アルミニウムなどの金属、並びに酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウムなどの無機酸化物から構成される、蒸着膜を挙げることができる。
また、蒸着膜の厚さは、1nm以上150nm以下であることが好ましく、5nm以上60nm以下であることがより好ましく、10nm以上40nm以下であることがさらに好ましい。
蒸着膜の厚さを1nm以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。また、蒸着膜の厚さを150nm以下とすることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができると共に、本発明の積層体のリサイクル性を向上することができる。
蒸着膜が、アルミニウム蒸着膜である場合には、そのOD値は、2以上3.5以下であることが好ましい。これにより、本発明の積層体の生産性を維持しつつ、酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。なお、本発明において、OD値は、JIS-K-7361に準拠して測定することができる。
蒸着膜は、従来公知の方法を用いて形成することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、並びにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法および光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)などを挙げることができる。
また、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできる。蒸着チャンバーの真空度としては、酸素導入前においては、10-2~10-8mbar程度が好ましく、酸素導入後においては、10-1~10-6mbar程度が好ましい。なお、酸素導入量などは、蒸着機の大きさなどによって異なる。導入する酸素には、キャリヤーガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスなどの不活性ガスを支障のない範囲で使用してもよい。フィルムの搬送速度は、10~800m/min程度とすることができる。
蒸着膜の表面は、上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、隣接する層との密着性を向上することができる。
・コート
延伸基材フィルムまたはシーラントフィルムの少なくとも一方の面に、コート層として耐熱コート層またはバリアコート層を備えることができ、少なくとも1種の樹脂材料を含む。コート層の樹脂材料として例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロース樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびビニル樹脂などが挙げられる。
コート層に含まれる樹脂材料の、積層体の総重量に対する割合は、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。これにより、本発明の積層体のリサイクル性を維持しつつ、耐熱性やバリア性を向上することができる。
コート層の厚さは、0.1μm以上、5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、3μm以下であることがより好ましい。これにより、本発明の延伸基材フィルムを用いて得られる積層体のリサイクル性を維持しつつ、耐熱性やバリア性を向上することができる。
・接着剤
上記樹脂積層体を積層するため、接着剤を使用することができる。使用する接着剤は少なくとも1つの樹脂組成物を含むが、特に制限はない。使用できる接着剤は例えば、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系がある。
また、上記いずれかの樹脂組成物を含む接着剤は、特に制限はないが必要に応じて1液型、2液型、ホットメルト型を使用することができる。
また、DIC株式会社製、商品名:PASLIMや三菱ガス化学株式会社製、商品名:マクシーブといったバリア性を持つ接着剤を用いると、そのほかバリア性を持つ素材の使用量が減り、樹脂積層体のポリエチレンの比率が上がるので好ましい。
4.包装材
本発明の積層体は、包装材料用途に特に好適に使用することができる。包装材料の形状としては、特に限定されず包装袋であってもよく、スタンドパウチであってもよい。なお、スタンドパウチにおいては、胴部のみが上記樹脂積層体により形成されていても、底部のみが上記樹脂積層体により形成されていても、胴部および底部の両方が上記樹脂積層体により形成されていてもよい。
・包装袋
袋状の包装材料は、上記積層体のヒートシール層が内側となるように、二つ折にして重ね合わせて、その端部をヒートシールすることにより製造することができる。
また、袋状の包装材料は、2枚の積層体を、ヒートシール層が向かい合うように重ね合わせ、その端部をヒートシールすることによっても製造することができる。
・スタンドパウチ
スタンドパウチ状の包装材料は、上記積層体のヒートシール層が内側となるように、筒状にヒートシールすることにより、胴部を形成し、次いで、ヒートシール層が内側となるように、上記積層体をV字状に折り、胴部の一端から挟み込み、ヒートシールすることにより底部を形成し、製造することができる。
ヒートシールの方法は、特に限定されるものではなく、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シールなどの公知の方法で行うことができる。
包装材料に充填される内容物は、特に限定されるものではなく、内容物は、液体、粉体およびゲル体であってもよい。また、食品であっても、非食品であってもよい。内容物充填後、開口をヒートシールすることにより、包装体とすることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例に用いた評価及び使用樹脂は以下の通りである。
<評価方法>
(1)密度
JIS K6922-1、2を参考にし、成形したフィルムをプレスシートにしたものを試料として測定した。
(2)MFR
JIS K6922-2を参考にし、190℃、2.16kg荷重の条件にて、成形したフィルムをプレスシートにしたものを試料として測定した。
(3)融解熱量の測定
下記条件の示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。
[測定条件]
使用機種:日立ハイテクサイエンス社製EXTAR7000シリーズ 高感度型示差走査熱量計 DSC7020
測定方式:熱流束型
測定プログラム:表1
Figure 2023133943000001
・試料の調整
成形したフィルムを試料とし、試料をアルミパンに5mg程度入れ、その上にアルミ蓋を被せて密閉した。リファレンス試料として空のアルミパンを準備した。
・融解熱量の算出
表1のプログラムに従って得られたDSC曲線の2nd scan部分に対し、40℃と140℃の2点で直線を引き、直線とDSC曲線に囲まれた面積から融解熱量ΔHを計算した。次いで40℃からT℃までの間で、直線とDSC曲線に囲まれた面積から融解熱量ΔH(T)を計算した。温度Tを変化させたとき、ΔH(T)/ΔH=0.7となる温度Tを算出した。
(4)SCB指数
下記条件のGPC(Gel Permeation Clomatography)により測定した。
[測定条件]
使用機種:Polymer Char社製HT GPC-IR System
検出器:IR-6
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)(酸化防止剤としてトリメチルフェノール3.6g/18L添加)
カラム:昭和電工社製Shodex HT-806M×2本
流速:1.0mL/分
注入量:20μL
・試料の調製
成形したフィルムを試料としてバイアル瓶に5~8mg入れ、オートサンプラーにセットした。オートサンプラーで溶媒量8mL(室温)を注入し、150℃で2時間を要して溶解するようにプログラムした。ポンプ流量補正のためのフローマーカーとしてヘプタンを使用した。
・検量線の作成
標準ポリスチレンにより検量線を作成し、ポリエチレンに換算した。使用した標準ポリスチレンは、Showdex Standard SM-105のサンプルセット及びn-エイコサン、n-テトラコンタンを用いた。
・分子量の計算
前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1sでクロマトグラムを記録した。クロマトグラムの記録(データ取り込み)及び平均分子量計算は、Microsoft社製OS Windows(登録商標)10をインストールしたPC上で専用ソフトウエア(GPC One、Polymer Char社製)を用いて行った。
・SCB指数の算出
Polymer Char社のIR-6を用いて、短鎖分岐数を算出した。即ち、IRにて、CH(メチレン)、CH(メチル)の濃度を測定し、短鎖分岐数既知の標準サンプルの検量線から短鎖分岐数を求めた。
求めた短鎖分岐数を以下の式(A)を用いて計算し、SCB指数を求めた。SCB指数とlogM=5.2(Mw=158000)の短鎖分岐数とlogM=4.2(Mw=15800)の短鎖分岐数との商である。
式(A)SCB指数=(log5.2での短鎖分岐数)/(log4.2での短鎖分岐数)
(5)弾性率の測定
JIS K7127を参考にして測定した。長さ200mm、幅10mmの大きさの試験片をフィルムの機械方向(MD方向)と垂直方向(TD方向)にカットし、引張速度2mm/min、チャック間距離100mmとして伸び率1%の時の引張弾性率を測定した。
(6)ダートドロップインパクト(DDI)の測定
JIS K7124-1を参考にして測定した。試験機はテスター産業社製、IM-302ダートインパクトテスターを使用した。クランプにサンプルフィルムを挟み、フィルム面から66cmの高さのところの支柱に重錘ホルダーを設置した。Φ38mmのアルミニウム製半円球と長さ150mmのシャフトを組み合わせた重錘(ダート)に任意の重さを設定し、重錘ホルダーに設置した。この状態で重錘を自由落下させ、フィルム面が破膜するかどうかを目視で判断した。ダートの重さ1点につき5回測定し、5回すべて破膜しない場合は一定の割合でダートを重くして再度測定した。5回すべて破膜する場合は一定の割合でダートを軽くして再度測定した。このように重さを変えて測定していき、5回すべて破膜しないダートの重さと5回すべて破膜するダートの重さが分かれば測定は終了とした。最後にフィルムサンプルの50%破壊質量(M50)および50%破壊エネルギー(E50)を次式[1][2]で算出した。
[1]M50=W-S(T/100-1/2)
[2]E50=M50×g×H
W:全試験数破壊時の最低質量(g)
S:繰り返し試験時の質量間隔(g)
T:各試験質量における5枚フィルムサンプルの破壊割合の総和(%)
H:フィルムサンプル面からダート先端までの距離(m)
g:重力加速度(9.81m/s2)
[実施例1]
日本ポリエチレン(株)製、商品名ハーモレックス(登録商標)、グレード名NF396Aを用意した。190℃、ブロー比2.0、50μmのフィルムをインフレーション成形した。樹脂物性と弾性率、DDIを表2に示す。
[実施例2]
日本ポリエチレン(株)製、商品名ハーモレックス(登録商標)、グレード名NF396AとNF324Aを用意した。NF396A:NF324A=90:10(重量比)でドライブレンドした以外は実施例1と同様であった。樹脂物性と弾性率、DDIを表2に示す。
[実施例3]
NF396A:NF324A=80:20(重量比)とした以外は実施例2と同様であった。樹脂物性と弾性率、DDIを表2に示す。
[実施例4]
NF396A:NF324A=70:30(重量比)とした以外は実施例2と同様であった。樹脂物性と弾性率、DDIを表2に示す。
[実施例5]
日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)LL、グレード名UF943と日本ポリエチレン(株)製、商品名ハーモレックス(登録商標)、グレード名NF324Aを用意した。UF943:NF324A=70:30(重量比)でドライブレンドし、190℃、ブロー比2.0、50μmのフィルムをインフレーション成形した。樹脂物性と弾性率、DDIを表2に示す。
[比較例1]
日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)LL、グレード名UF420を用意した以外は実施例1と同様であった。樹脂物性と弾性率、DDIを表2に示す。
[比較例2]
日本ポリエチレン(株)製、商品名ハーモレックス(登録商標)、グレード名NF366Aを用意した以外は実施例1と同様であった。樹脂物性と弾性率、DDIを表2に示す。
[比較例3]
日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)LL、グレード名UF943を用意した以外は実施例1と同様であった。樹脂物性と弾性率、DDIを表2に示す。
[比較例4]
UF943:NF324A=90:10(重量比)とした以外は実施例5と同様であった。樹脂物性と弾性率、DDIを表2に示す。
[比較例5]
UF943:NF324A=80:20(重量比)とした以外は実施例5と同様であった。樹脂物性と弾性率、DDIを表2に示す。
<評価>
本願発明の特徴的な物性を有するポリエチレン樹脂組成物Pを用いたポリエチレンシーラントフィルムにおいては、表2にみられるように、優れた剛性強度バランスを有する。そのため、基材及びシーラントフィルムの双方がポリエチレン樹脂組成物で構成されるモノマテリアル樹脂積層体の用途において用いるシーラントフィルムとして、極めて有用である。
Figure 2023133943000002
本発明によれば、剛性強度バランスに優れるポリエチレンシーラントフィルムを提供することができる。
従って、本発明のポリエチレンシーラントフィルムは剛性と強度を必要とする包装材の用途に適し、特に、基材とシーラント両方がポリエチレン樹脂組成物で構成されるポリエチレンモノマテリアル包材等の用途に好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. ポリエチレン基材フィルムに積層されるポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体用のポリエチレンシーラントフィルムであって、下記(1)~(4)の要件を満たすポリエチレン樹脂組成物Pを含み、ダートドロップインパクト(DDI)の値が150g以上かつ、機械方向(MD)の弾性率が300MPa以上であることを特徴とするポリエチレンシーラントフィルム。
    (1)密度が0.920~0.940g/cm
    (2)190℃、2.16kg荷重のメルトフローレイト(MFR)が0.1~10g/10min
    (3)示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃から200℃まで40℃/minの速度で昇温、200℃で5分保持し、その後200℃から20℃まで10℃/minの速さで降温、20℃で5分保持し、さらにその後20℃から200℃まで10℃/minの速さで昇温するプログラムにおいて、2度目の昇温の時の40℃から140℃までの融解熱量をΔH、40℃からT℃までの融解熱量をΔH(T)とすると、ΔH(T)/ΔH=0.7となる温度Tが118℃以上、128℃以下。
    (4)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により算出された炭素原子1000個当たりの短鎖分岐数(SCB)を、式(A)を用いて計算したSCB指数が1.10以上
    式(A) SCB指数=(log5.2でのSCB)/(log4.2でのSCB)
  2. 2層以上の多層構造を有し、請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物Pを少なくとも1つの層に含む、ポリエチレンシーラントフィルム。
  3. フィルム全体の厚みが10~200μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエチレンシーラントフィルム。
  4. 機械方向(MD)の弾性率をEM、直交方向(TD)の弾性率をETとしたとき、EM≧300MPa、ET≧300MPaを満たすことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエチレンシーラントフィルム。
  5. 少なくともポリエチレン基材フィルムと、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエチレンシーラントフィルムを含むことを特徴とするポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体。
  6. 該ポリエチレン基材フィルムが、ポリエチレン樹脂組成物からなるポリエチレン延伸基材フィルムであることを特徴とする、請求項5記載のポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体。
  7. 積層体を構成する各層が、全てポリエチレン樹脂組成物で構成されたモノマテリアル樹脂積層体であることを特徴とする請求項5または6に記載のポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体。
  8. 請求項5~7のいずれか一項に記載のポリエチレンモノマテリアル樹脂積層体を使用した包装材料。
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