JP2023132679A - 積層体、包装材料、および包装体 - Google Patents

積層体、包装材料、および包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】引き裂き性が良好であり、バリア性の付与およびモノマテリアル化がしやすい積層体を提供する。【解決手段】基材層10、第一接着剤層21、中間層30、第二接着剤層22、およびシーラント層50がこの順に積層された積層体1は、中間層の一方の面上にガスバリア層60を有し、基材層、中間層、およびシーラント層はポリエチレンを含む。平行ニコル回転法による測定に基づいて算出された基材層の配向係数cos2θは、MD方向において0以上0.5以下、TD方向において0.38以上1以下、Z方向において0以上0.311以下である。中間層の配向係数cos2θは、MD方向において0以上0.69以下、TD方向において0以上0.69以下、Z方向において0.22以上1以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体に関する。この積層体を用いた包装材料および包装体についても言及する。
近年、循環型社会の構築を求める声が高まっている。これに伴い、リサイクルしやすい包装材料が求められている。
包装材料として、ポリエチレンからなるフィルムを使用することがある。ポリエチレンからなるフィルムは、高い強度や耐熱性等を達成するために、ポリエステルやポリアミド等の樹脂からなるフィルムと貼り合わせて使用することがある。しかしながら、上記のような複数種類の樹脂フィルムを含んだ包装材料は、種類が異なる樹脂を互いに分離することができないため、リサイクルすることが難しい。
一方、樹脂としてポリエチレンのみを含んだ包装材料はリサイクルしやすい。樹脂としてポリエチレンのみを含んだ包装材料は、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2020-055157号公報
発明者らは、特許文献1に係る構成では、積層体にバリア性を付与する際に問題があることを見出した。
また、積層体には、モノマテリアル化とは別に、包装材料の構成部材として、引き裂き性の良さ等も求められている。
これらの条件をクリアしなければ、モノマテリアルであっても普及が見込めず、環境負荷の低減につながらない。
上記事情を踏まえ、本発明は、引き裂き性が良好であり、バリア性の付与およびモノマテリアル化がしやすい積層体を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、基材層、第一接着剤層、中間層、第二接着剤層、およびシーラント層がこの順に積層された積層体である。
この積層体は、中間層の一方の面上にガスバリア層を有する。
基材層、中間層、およびシーラント層はポリエチレンを含む。
基材層の配向係数cosθは、MD方向において0以上0.5以下、TD方向において0.38以上1以下、Z方向において0以上0.311以下である。
中間層の配向係数cosθは、MD方向において0以上0.69以下、TD方向において0以上0.69以下、Z方向において0.22以上1以下である。
本発明の第二の態様は、第一の態様に係る積層体を用いて形成された包装材料である。
本発明の第三の態様は、第二の態様に係る包装材料と、包装材料内に収容される内容物とを備える包装体である。
本発明によれば、引き裂き性が良好であり、バリア性の付与およびモノマテリアル化がしやすい積層体を提供できる。
本発明の一実施形態に係る積層体の模式断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る積層体1の模式断面図である。積層体1は、基材層10、中間層30、およびシーラント層50の3つの樹脂層を備えている。これらの層は、いずれも樹脂成分として、ポリエチレンを最も多く含む。
基材層10と中間層30とは、第一接着剤層21により接合され、中間層とシーラント層とは、第二接着剤層22により接合されている。
中間層30のシーラント層50側の面には、ガスバリア層60が設けられている。
基材層10、中間層30、およびシーラント層50に含まれるポリエチレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーから選ばれる少なくとも一種のポリマーであってもよい。ホモポリマーはポリエチレン単体のみからなるポリエチレンである。ランダムコポリマーは、主モノマーであるエチレンと、エチレンとは異なる少量のコモノマー(例えばα―オレフィン)がランダムに共重合し、均質な相をなすポリエチレンである。ブロックコポリマーは、主モノマーであるエチレンと上記コモノマー(例えばα―オレフィン)がブロック的に共重合したり、ゴム状に重合したりすることによって不均質な相を形成するポリエチレンである。
基材層10および中間層30に含まれるポリエチレンの密度に特に制限はなく、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、および超低密度ポリエチレン(VLDPE)のいずれも使用できる。
ここで、高密度ポリエチレンは、密度が0.942g/cm以上であり、中密度ポリエチレンは、密度が0.930g/cm以上0.942g/cm未満であり、低密度ポリエチレンは、密度が0.910g/cm以上0.930g/cm未満であり、直鎖状低密度ポリエチレンは、密度が0.910g/cm以上0.930cm未満であり、超低密度ポリエチレンは、密度が0.910g/cm未満である。
なお、密度は、JIS K7112:1999に準拠した方法で得られる値とする。
シーラント層50に最も多く含まれるポリエチレンがLDPE、LLDPE、およびVLDPEのいずれかであると、熱融着時の接合性が良好になり、好ましい。
基材層10の厚さは、10μmから200μmの範囲内にあることが好ましく、15μmから50μmの範囲内にあることがより好ましい。基材層10が薄すぎると、積層体1の強度が小さくなりやすい。また、基材層10が厚すぎると、積層体1の加工適性が低下しやすい。
基材層10の一方の面または両面が表面処理されてもよい。表面処理により、隣接する層との密着性を向上させることができる。
表面処理の方法は特に限定されない。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、アルゴンガス及び/又は酸素ガス及び/又は窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理、並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
中間層30の厚さは、10μmから200μmの範囲内にあることが好ましく、15μmから50μmの範囲内にあることがより好ましい。
シーラント層50の厚さは、例えば30μmから150μmの範囲内とできる。シーラント層は、ポリエチレン樹脂フィルムで形成できる。
ガスバリア層60は、酸化珪素、炭素を含む酸化珪素、窒化珪素、金属アルミニウム、および酸化アルミニウムのいずれかを主成分とし、主成分に応じて、酸素、水蒸気等の、所定の気体に対してバリア性を発揮する。他の金属や無機酸化物でガスバリア層60を形成することも可能である。
ガスバリア層60の厚さは、用いられる成分の種類・構成・成膜方法により異なるが、一般的には3~300nmの範囲内で適宜設定できる。ガスバリア層60の厚さが3nm未満であると、均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア層としての機能を十分に発揮しない場合がある。ガスバリア層60の厚さが300nmを越えると、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、ガスバリア層60に亀裂を生じてバリア性を失う可能性がある。ガスバリア層60の厚さは、6~150nmの範囲内がより好ましい。
ガスバリア層60の形成方法に制限はなく、例えば真空蒸着法、プラズマ活性化蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、プラズマ化学気相成長法(PECVD)などを使用できる。プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法などを組み合わせると、ガスバリア層60を緻密に形成してバリア性を向上できる。
中間層30においてガスバリア層を設ける面に前処理層を設けることができる。前処理層を設けることで、ガスバリア層60の成膜性や密着強度を向上させることができる。前処理層の成分や形成方法に制限はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂またはプラズマ処理などから選択できる。
前処理層に樹脂層を用いる場合、前処理層における有機高分子の含有量は、例えば70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。有機高分子としては、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ、中間層30とガスバリア層60との密着強度を考慮すると、ポリアクリル系樹脂、ポリオール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれら有機高分子の反応生成物の少なくとも1つを含むことが好ましい。また前処理層は、シランカップリング剤や有機チタネートまたは変性シリコーンオイルを含んでいてもよい。
前処理層に用いられる有機高分子としてさらに好ましくは、高分子末端に2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール類とイソシアネート化合物との反応により生成したウレタン結合を有する有機高分子、および/または高分子末端に2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール類とシランカップリング剤またはその加水分解物のような有機シラン化合物との反応生成物を含む有機高分子が挙げられる。
ポリオール類としては、例えば、アクリルポリオール、ポリビニルアセタール、ポリスチルポリオール、及びポリウレタンポリオール等から選択される少なくとも一種が挙げられる。アクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られるものであってもよく、アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーとを共重合させて得られるものであってもよい。アクリル酸誘導体モノマーとしては、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。アクリル酸誘導体モノマーと共重合させるモノマーとしては、スチレン等が挙げられる。
イソシアネート化合物は、ポリオールと反応して生じるウレタン結合により中間層30とガスバリア層60との密着性を高める作用を有する。すなわち、イソシアネート化合物は、架橋剤又は硬化剤として機能する。イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類、これらの重合体、及びこれらの誘導体が挙げられる。上述のイソシアネート化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。有機シラン化合物は、これらのシランカップリング剤の加水分解物であってもよい。有機シラン化合物は、上述のシランカップリング剤及びその加水分解物の1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
前処理層として設ける樹脂層は、有機溶媒中に上述の成分を任意の割合で配合して混合液を調製し、中間層30に調製した混合液を塗布して形成することができる。混合液は、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤;フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤;レベリング剤;流動調整剤;触媒;架橋反応促進剤;充填剤等を含有してもよい。
混合液は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、又はシルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式、或いは、ロールコート、ナイフエッジコート、又はグラビアコートなどの周知の塗布方式を用いて中間層30の第一面30a上にコーティングすることができる。コーティング後、例えば50~200℃に加熱し、乾燥および/または硬化することによって、前処理層を形成することができる。
前処理層として樹脂層を形成する場合の厚さは、用途又は求められる特性に応じて調整してもよいが、0.01~1μmが好ましく、0.01~0.5μmがより好ましい。前処理層の厚みが0.01μm以上であれば、中間層30とガスバリア層60との十分な密着強度が得られ、ガスバリア性も良好となる。前処理層の厚みが1μm以下であれば、均一な塗工面を形成することが容易であり、また、乾燥負荷や製造コストを抑制できる。
前処理層をプラズマ処理により形成する場合には、生産性の観点からインラインで行うことが可能なプラズマ処理が好ましい。プラズマ処理の方法としてはグロー放電など特に限定されず、プラズマ密度を高めるために磁石を用いてもよい。またプラズマ処理を行う際に使用するガスは酸素、窒素、アルゴンのいずれかもしくは複数から選択することができる。
ガスバリア層60を覆う被覆層を設けることもできる。被覆層により、ガスバリア層60を保護するとともに、積層体1のバリア性をさらに高めることができる。
被覆層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、金属アルコキシド、水溶性高分子、ポリカルボン酸系重合体、多価金属化合物、ポリカルボン酸系重合体と多価金属化合物との反応生成物であるカルボン酸の多価金属塩などのコーティング層を用いることができる。特に酸素バリア性に優れる金属アルコキシドと水溶性高分子が好ましい。これは水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。例えば、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合してコーティング剤を調製する。このコーティング剤をガスバリア層60上に塗布した後、乾燥することで、被覆層を形成できる。
被覆層を形成するためのコーティング剤に含まれる各成分について更に詳細に説明する。コーティング剤に用いられる水溶性高分子として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を例示できる。特に、PVAを用いると、優れたガスバリア性が得られるため好ましい。PVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化することで得られる。PVAとして、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVA、酢酸基が数%しか残存していない完全PVAのいずれも用いることができる。両者の中間のPVAを用いてもよい。
コーティング剤に用いられる金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si、Alの金属、R:CH、C等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウムAl[OCH(CHなどを例示できる。シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するもの、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するもの、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有するもの、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基を有するもの、トリス-(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどを例示できる。
ポリカルボン酸系重合体は、分子内に2個以上のカルボキシ基を有する重合体である。ポリカルボン酸系重合体としては、たとえば、エチレン性不飽和カルボン酸の(共)重合体;エチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和単量体との共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類が挙げられる。エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。エチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類、アルキルイタコネート類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらのポリカルボン酸系重合体は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
ガスバリア性の観点からは、上述した成分のうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸及びクロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位を含む重合体が好ましく、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位を含む重合体が特に好ましい。上記重合体において、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位の割合は、80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい(ただし重合体を構成する全構成単位の合計を100mol%とする)。この重合体は、単独重合体でも、共重合体でもよい。重合体が、上記構成単位以外の他の構成単位を含む共重合体である場合、他の構成単位としては、例えば前述のエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和単量体から誘導される構成単位などが挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量は、2,000~10,000,000の範囲内が好ましく、5,000~1,000,000がより好ましい。数平均分子量が2,000未満では、用途によってはガスバリアフィルムの耐水性が充分でなく、水分によってガスバリア性や透明性が悪化する場合や、白化の発生が起こる場合がある。他方、数平均分子量が10,000,000を超えると、コーティング剤の粘度が高くなり、塗工性が損なわれる場合がある。本実施形態において、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた、ポリスチレン換算の数平均分子量である。
ポリカルボン酸系重合体を主成分とするコーティング剤には各種添加剤を加えることができ、バリア性能を損なわない範囲で架橋剤、硬化剤、レベリング剤、消泡剤、アンチブロッキング剤、静電防止剤、分散剤、界面活性剤、柔軟剤、安定剤、膜形成剤、増粘剤などが挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体を主成分とするコーティング剤に用いる溶媒は水性媒体が好ましい。水性媒体としては、水、水溶性または親水性有機溶剤、またはこれらの混合物が挙げられる。水性媒体は通常、水または水を主成分として含むものである。水性媒体中の水の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。水溶性または親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、セロソルブ類、カルビトール類、アセトニトリル類の二トリル類等が挙げられる。
多価金属化合物は、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基と反応してポリカルボン酸の多価金属塩を形成する化合物であれば特に限定されず、酸化亜鉛粒子、酸化マグネシウム粒子、マグネシウムメトキシド、酸化銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらを単独或いは複数を混合して用いてもよい。酸素バリア性皮膜の酸素バリア性の観点からは、上記のうち酸化亜鉛粒子が好ましい。酸化亜鉛は紫外線吸収能を有する無機材料である。酸化亜鉛粒子の平均粒子径は特に限定されないが、ガスバリア性、透明性、コーティング適性の観点から、平均粒子径が5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましい。
多価金属化合物を主成分とするコーティング剤を塗布、乾燥して皮膜を形成する場合は、必要に応じて、本実施形態の効果を損なわない範囲で、酸化亜鉛粒子のほかに、各種添加剤を含有してもよい。該添加剤としては、コーティング剤に用いる溶媒に可溶又は分散可能な樹脂、該溶媒に可溶又は分散可能な分散剤、界面活性剤、柔軟剤、安定剤、膜形成剤、増粘剤等を含有してもよい。上記の中でも、コーティング剤に用いる溶媒に可溶または分散可能な樹脂を含有することが好ましい。これにより、コーティング剤の塗工性、製膜性が向上する。このような樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。また、コーティング剤に用いる溶媒に可溶又は分散可能な分散剤を含有することが好ましい。これにより、多価金属化合物の分散性が向上する。該分散剤としては、アニオン系界面活性剤や、ノニオン系界面活性剤を用いることができる。該界面活性剤としては、(ポリ)カルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルフォコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、芳香族リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、アルキルアリル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ソルビタンアルキルエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の各種界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。多価金属化合物を主成分とするコーティング剤に添加剤が含まれている場合には、多価金属化合物と添加剤との質量比(多価金属化合物:添加剤)は、30:70~99:1の範囲内であることが好ましく、50:50~98:2の範囲内であることが好ましい。
多価金属化合物を主成分とするコーティング剤に用いる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。また、これらの溶媒は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、塗工性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また製造性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。
ポリカルボン酸系重合体を主成分とするコーティング剤を塗布、乾燥して皮膜を形成した後に多価金属化合物の皮膜を形成する場合、ポリカルボン酸系重合体は、カルボキシ基の一部が予め塩基性化合物で中和されていてもよい。ポリカルボン酸系重合体の有するカルボキシ基の一部を予め中和することにより、ポリカルボン酸系重合体からなる皮膜の耐水性や耐熱性をさらに向上させることができる。塩基性化合物としては、上述した多価金属化合物、一価金属化合物およびアンモニアからなる群から選択される少なくとも1種の塩基性化合物が好ましい。一価金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体と多価金属化合物を混合したコーティング剤を塗布、乾燥して皮膜を形成する場合には、ポリカルボン酸系重合体と、多価金属化合物と、水またはアルコール類を溶媒として、溶媒に溶解或いは分散可能な樹脂や分散剤、および必要に応じて添加剤を混合してコーティング剤を調整する。このようなコーティング剤を公知のコーティング方法にて塗布、乾燥することでも、被覆層を形成することができる。
被覆層のコート法としては、例えばキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
被覆層の厚さは、使用するコーティング剤の組成や塗工条件等によって異なり、特に制限はない。ただし、被覆層の乾燥後膜厚が0.01μm未満の場合は、均一な塗膜にならず十分なガスバリア性を得られない場合がある。乾燥後膜厚が50μmを超える場合は被覆層にクラックが生じ易くなる。したがって、被覆層の好適な厚さは、例えば0.01~50μmの範囲であり、被覆層の最適な厚さは、例えば0.1~10μmの範囲である。
第一接着剤層21および第二接着剤層22としては、公知のドライラミネート用接着剤を使用できる。ドライラミネート用接着剤であれば特に制限なく使用できるが、具体例として、2液硬化型のエステル系接着剤やエーテル系接着剤、ウレタン系接着剤等が挙げられる。
硬化した層がガスバリア性を発揮するガスバリア性接着剤を第一接着剤層21や第二接着剤層22に用いることもできる。ガスバリア性接着剤を第二接着剤層22に適用することで、積層体1のガスバリア性を向上させることができる。ガスバリア性接着剤が硬化した層の酸素透過度は、150cc/m・day・atm以下であることが好ましく、100cc/m・day・atm以下であることがより好ましく、80cc/m・day・atm以下であることが更に好ましく、50cc/m・day・atm以下であることが特に好ましい。酸素透過度が上記範囲内であることで、積層体のガスバリア性を十分に向上させることができると共に、仮にガスバリア層60または被覆層に軽微な割れが生じた場合であっても、その隙間にガスバリア性接着剤が入り込んで補完することができ、ガスバリア性の低下を抑制することができる。
ガスバリア性接着剤にはエポキシ系、ポリエステル・ポリウレタン系等がある。具体例としては、三菱ガス化学社製の「マクシーブ」、DIC社製の「Paslim」等が挙げられる。
第二接着剤層22の厚さは、0.1~20μmであることが好ましく、0.5~10μmであることがより好ましく、1~5μmであることが更に好ましい。第二接着剤層22の厚さが上記下限値以上であることで、ガスバリア層60の割れをより十分に抑制することができ、かつ、積層体1トータルのガスバリア性をより向上させることができる。また、第二接着剤層22の厚さが上記下限値以上であることで、外部からの衝撃を緩和するクッション性を得ることができ、衝撃によりガスバリア層60が割れることを防ぐことができる。一方、第二接着剤層22の厚さが上記上限値以下であることで、積層体1の柔軟性を十分に保持できる傾向がある。
上記の条件に加えて、第二接着剤層22の厚さは、ガスバリア層60の厚さの50倍以上であることが好ましい。第二接着剤層22の厚さが上記条件を満たすことで、ガスバリア層60および被覆層の割れをより十分に抑制することができ、かつ、第二接着剤層22にガスバリア性接着剤を用いる場合は積層体1トータルのガスバリア性をより向上させることができる。また、第二接着剤層22の厚さが上記条件を満たすことで、外部からの衝撃を緩和するクッション性をさらに高めることができ、衝撃によりガスバリア層60および被覆層が割れることを防止できる。一方、積層体1の柔軟性の保持、加工適性、およびコストの観点から、第二接着剤層22の厚さは、ガスバリア層60の厚さの300倍以下であることが好ましい。
第一接着剤層21および第二接着剤層22を形成するための接着剤は、例えば、バーコート法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により塗布することができる。接着剤の塗膜を乾燥させる際の温度は、例えば、30~200℃とすることができ、50~180℃とすることが好ましい。また、塗膜を硬化させる際の温度は、例えば、室温(27℃)~70℃とすることができ、30~60℃とすることが好ましい。乾燥及び硬化時の温度を上記範囲内とすることで、ガスバリア層60や第二接着剤層22にクラックが発生することをより一層抑制でき、優れたガスバリア性を発現することができる。
発明者らは、上記のように、樹脂成分としてポリエチレンを最も多く含む樹脂層を3つ有する積層体に関して、バリア性の付与のしやすさと良好な引き裂き性とを両立させるため種々検討を行った。その結果、樹脂層の配向係数の値により、引き裂き性や、形成されるバリア層と樹脂層との密着性が大きく変化することを突き止めた。
樹脂フィルムの配向係数は、平行ニコル回転法により測定された、MD方向における屈折率Nxと、TD方向における屈折率Ny、Z方向(フィルムの厚さ方向)における屈折率Nzより算出できる。
MD方向およびTD方向とは、樹脂フィルムにおいて規定される、互いに直交する2方向である。一般的に、ロール状態で流通する樹脂フィルムにおいては、長手方向がMD方向であり、幅方向がTD方向である。長方形または正方形で流通する樹脂フィルムにおいては、ある一辺が延びる方向がMD方向であり、この一辺と直交する他の一辺が延びる方向がTD方向である。
通常、樹脂フィルムを用いて製造された包装材料において、樹脂フィルムの法線方向に見た包装材料の形状が長方形または正方形である場合、上記要領で特定したMD方向およびTD方向の組は、製造に使用された樹脂フィルムのMD方向およびTD方向の組と一致する。したがって、このような包装材料を用いて配向係数を測定する場合は、上記要領でMD方向およびTD方向を特定して行えばよい。
配向係数cosθの計算方法の一例を以下に示す。測定対象のフィルムに対し、一軸偏光した測定光(波長586.6nm)をフィルムの直上方向から入射する。その後フィルムに対して入射する角度を変更しながら屈折率を測定することで、フィルムを透過した光を、MD方向の直線偏光、TD方向の直線偏光、およびZ方向の直線偏光に分解し、それぞれの直線偏光の屈折率Nx、Ny、およびNzを測定する。これらの屈折率値を用いて、各方向における複屈折Δnx、Δny、Δnzを、それぞれ以下の式により算出する。
Δnx=Nx-(Ny+Nz)/2
Δny=Ny-(Nx+Nz)/2
Δnz=Nz-(Nx+Ny)/2
なお、屈折率Nxとして、測定により得られたMD方向の屈折率Nmdの値を用いる。Nyとして、測定により得られたTD方向の屈折率Ntdの値を用いる。Nzは測定した各傾斜角度における値Nzの算術平均値とする。
さらに、ポリエチレンの固有複屈折を0.052として、以下の式により各方向における配向係数を算出する。
配向係数cosθ=(2×Δn/0.052+1)/3
Δnxを用いて得られた配向係数をMD方向の値、Δnyを用いて得られた配向係数をTD方向の値、Δnzを用いて得られた配向係数をZ方向の値とした。
発明者らの検討では、樹脂層の配向係数cosθが、MD方向、TD方向、およびZ方向において、それぞれ0以上0.5以下、0.38以上1以下、および0以上0.311以下であると引き裂き性が良好となり、配向係数cosθが、MD方向、TD方向、およびZ方向において、それぞれ0以上0.69以下、0以上0.69以下、および0.22以上1以下になると、形成されるバリア層との密着性が向上することが分かった。
発明者らは、この知見に基づき、ガスバリア層60を設ける中間層30の配向係数cosθを、MD方向、TD方向、およびZ方向において、それぞれ0以上0.69以下、0以上0.69以下、および0.22以上1以下とし、その一方で基材層10の配向係数cosθを、MD方向、TD方向、およびZ方向において、それぞれ0以上0.5以下、0.38以上1以下、および0以上0.311以下とすることで、バリア性の付与のしやすさと良好な引き裂き性とを両立させることに成功した。
本実施形態に係る基材層10および中間層30は、上述した配向係数cosθを満たす限り、延伸フィルム、未延伸フィルムのいずれを用いて構成してもよい。
シーラント層50の配向係数cosθは特に限定されないが、発明者らの検討では、シーラント層50の配向係数cosθが中間層30の配向係数cosθと同程度であると、熱融着時の接合性が良くなることが分かっており、好ましい。
なお、本発明において、「引裂き性が良好である」とは、引き裂き強度が100N/mm以下であることを意味する。
引き裂き強度は、JIS K 7128-1に準拠したトラウザー引裂法による測定値とする。引き裂き強度の値は、引き裂く方向によって異なることがあるが、ある一方向において十分低い引き裂き強度を有していれば、開封しやすい包装材料を形成できる。
これを踏まえ、本発明における引き裂き強度においては、MD方向と、TD方向とにおいて測定を行い、低い方の値を採用する。
積層体が接着剤を用いて形成されている場合は、接着剤の層を溶解する等により、積層体となった後でも各層を分離して配向係数cosθを測定できる。
2枚あるいは折り返した1枚の積層体1を、シーラント層50を対向させつつ周縁部を熱融着すると、積層体1からなるパウチ等の包装材料を形成でき、収容した内容物が密封された包装体とできる。積層体1からなる包装材料および包装体は、取り扱いが容易で開封も容易である。
積層体1は、基材層10、中間層30、およびシーラント層50として、適宜のポリエチレンフィルムを選択することにより、積層体1に占めるポリエチレンの比率を90質量%以上とすることも容易である。すなわち、積層体1は、モノマテリアル化が容易であり、リサイクルしやすい。
本実施形態に係る基材層10、中間層30およびシーラント層50は、添加剤を更に含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、及び改質用樹脂などが挙げられる。
基材層10、中間層30およびシーラント層50の樹脂成分に占めるポリエチレンの割合は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。一例において、これらの樹脂層は、ポリエチレンのみからなる。他の例において、これらの樹脂層はポリエチレンと添加剤とからなる。これらの構成例は、樹脂成分として、ポリエチレンのみを含有する。
本実施形態の積層体について、実施例および比較例を用いてさらに説明する。本発明の技術的範囲は、実施例および比較例の具体的内容のみを根拠として限定されることはない。
実施例および比較例におけるポリエチレンを含む樹脂層として、下記α1からα6のいずれかのフィルムを用いた。
α1:厚さ30μm、密度0.937g/cm
α2:厚さ35μm、密度0.926g/cm
α3:厚さ32μm、密度0.946g/cm
α4:厚さ35μm、密度0.948g/cm
α5:厚さ60μm、密度0.921g/cm
α6:厚さ20μm、密度0.944g/cm
α7:厚さ25μm、密度0.956g/cm
フィルムα1からα6について、上記方法で測定した配向係数cosθは以下の通りである。
α1:配向係数 MD 0.250 TD 0.626 Z 0.124
α2:配向係数 MD 0.316 TD 0.345 Z 0.339
α3:配向係数 MD 0.347 TD 0.290 Z 0.364
α4:配向係数 MD 0.349 TD 0.320 Z 0.330
α5:配向係数 MD 0.339 TD 0.338 Z 0.323
α6:配向係数 MD 0.249 TD 0.695 Z 0.056
α7:配向係数 MD 0.883 TD 0.087 Z 0.030
(前処理層用混合液の調製)
アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとを、アクリルポリオールのOH基の数に対してトリレンジイソシアネートのNCO基の数が等量となるように混合し、全固形分(アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量)が5質量%になるように酢酸エチルで希釈した。さらにβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを、アクリルポリオールおよびトリレンジイソシアネートの合計量100質量部に対して5質量部となるように添加して混合した。
以上により、前処理層用混合液を得た。
(被覆層用混合液の調製)
以下に示すA液、B液およびC液を、それぞれ70/20/10の質量比で混合してオーバーコート層用混合液を得た。
A液:テトラエトキシシラン(Si(OC)17.9gとメタノール10gに0.1N塩酸72.1gを加えて30分間攪拌して加水分解させた、固形分5質量%(SiO換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの5質量%水/メタノール溶液(水:メタノールの質量比は95:5)。
C液:1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを水/イソプロピルアルコールの混合液(水:イソプロピルアルコールの質量比は1:1)で固形分5質量%に希釈した加水分解溶液。
第一接着剤層および第二接着剤層には、以下のいずれかを用いた。
(ウレタン系接着剤)
三井化学社製 タケラックA525 100質量部に対し、三井化学社製 タケネートA52 11質量部、酢酸エチル 84質量部を混合した接着剤
(ガスバリア性接着剤)
酢酸エチルとメタノールとを質量比1:1で混合した溶媒23質量部に、三菱ガス化学社製 マクシーブC93T 16質量部と、三菱ガス化学社製 マクシーブM-100 5質量部を混合した接着剤
(実施例1)
中間層30として、樹脂フィルムα2を用いた。中間層30の一方の面に、Arガスを用いたプラズマ処理を100W・sec/mの処理強度で実施した。処理強度は以下のように算出した。
電力密度[W/m]=投入電力[W]/カソード面積[m
処理時間[sec]=電極MD幅[m]/処理速度[m/sec]
処理強度=電力密度[W/m]×処理時間[sec]
中間層30のもう一方の面に、前処理層用混合液をグラビアコート法により塗布量0.1g/mで塗布して乾燥及び硬化させ、前処理層を形成した。電子線加熱方式による真空蒸着装置により、前処理層上に酸化珪素(SiO)からなるガスバリア層60(膜厚30nm)を形成した。
ガスバリア層60上に、ガスバリア性接着剤を塗布して厚さ3μmの第二接着剤層22を形成し、樹脂フィルムα5をシーラント層50として貼り合わせた。
中間層30のプラズマ処理面にウレタン系性接着剤をグラビアコート法で塗工及び乾燥させて厚さ3μmの第一接着剤層21を形成し、樹脂フィルムα1をドライラミネーションにより貼り合わせて基材層10を設けた。その後、40℃で4日間のエージングを行い、実施例1に係る積層体を作製した。
(実施例2)
基材層10として樹脂フィルムα6を用いた点を除き、実施例1と同様の手順で、実施例2に係る積層体を作製した。
(実施例3)
中間層30として樹脂フィルムα3を用いた点を除き、実施例1と同様の手順で、実施例3に係る積層体を作製した。
(実施例4)
ガスバリア層60上に、上記被覆層用混合液をグラビアコート法により塗布、乾燥し、厚さ3μmの被覆層を形成した点を除き、実施例1と同様の手順で、実施例4に係る積層体を作製した。
(実施例5)
前処理層を設けない点を除き、実施例4と同様の手順で、実施例5に係る積層体を作製した。
(実施例6)
被覆層を設けない点を除き、実施例5と同様の手順で、実施例6に係る積層体を作製した。
(実施例7)
ウレタン系接着剤で第二接着剤層22を形成した点を除き、実施例6と同様の手順で実施例7に係る積層体を作製した。
(実施例8)
ガスバリア層60の膜厚を10nmとした点を除き、実施例6と同様の手順で実施例8に係る積層体を作製した。
(実施例9)
ガスバリア層60を膜厚3nmの酸化アルミニウム(AlO)層(電子ビーム蒸着により形成)とした点を除き、実施例6と同様の手順で実施例9に係る積層体を作製した。
(実施例10)
ガスバリア層60を膜厚9nmの酸化アルミニウム(AlO)層(電子ビーム蒸着により形成)とし、ウレタン系接着剤で第二接着剤層22を形成した点を除き、実施例4と同様の手順で実施例10に係る積層体を作製した。
(実施例11)
ガスバリア層60を膜厚20nmの酸化アルミニウム(AlO)層(電子ビーム蒸着により形成)とした点を除き、実施例1と同様の手順で実施例11に係る積層体を作製した。
(実施例12)
ガスバリア層60を膜厚10nmの金属アルミニウム(Al)層(電子ビーム蒸着により形成)とした点を除き、実施例6と同様の手順で実施例12に係る積層体を作製した。
(実施例13)
真空装置内にヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を導入し、プラズマCVD法により炭素を含む酸化珪素(SiO)からなるガスバリア層60(膜厚30nm)を形成した点を除き、実施例6と同様の手順で実施例13に係る積層体を作製した。
(実施例14)
真空装置内にモノシラン(SiH)、アンモニア(NH)、および窒素(N)を導入し、プラズマCVD法により窒化珪素(SiN)からなるガスバリア層60(膜厚30nm)を形成した点を除き、実施例6と同様の手順で実施例14に係る積層体を作製した。
(比較例1)
基材層10として樹脂フィルムα3を用いた点を除き、実施例1と同様の手順で、比較例1に係る積層体を作製した。
(比較例2)
基材層10として樹脂フィルムα4を、中間層30として樹脂フィルムα7をそれぞれ用いた点を除き、実施例1と同様の手順で、比較例2に係る積層体を作製した。
(比較例3)
基材層10および中間層30に樹脂フィルムα7を用いた点を除き、実施例1と同様の手順で比較例3に係る積層体を作製した。
実施例および比較例に係る積層体に対して、以下の評価を行った。
(配向係数算出)
各樹脂フィルムの値は、上記した通りであるが、算出に係る測定条件等について以下に示す。
装置:位相差測定装置(王子計測機器社製:KOBRA-WR)
光源波長:586.6nm
測定方法:平行ニコル回転法 傾斜測定
傾斜角度:法線に対し10°、20°、30°、40°、50°
測定対象のフィルムに対し、一軸偏光した測定光(波長586.6nm)をフィルムの法線方向から入射する。フィルムを透過した光を、MD方向、TD方向、Z方向の直線偏光に分解し、それぞれの直線偏光の屈折率NxおよびNyおよびNzを測定した。
各方向の配向係数cosθの算出にあたっては、Nxとして上述のNmdを用い、NyとしてNtdを用い、Nzとして、上記5つの傾斜角度における測定値の算術平均値を用いた。
(積層体の引裂き性評価)
JIS K 7128-1に準拠したトラウザー法により測定した。矩形の積層体の一辺が延びる方向と、これに直交する方向とにおいて測定し、低い方の値を採用した。
値が100N/mm以下であるものを、引裂き性良好(〇)、100N/mmを超えるもしくは積層体が伸びて引き裂けなかったものを引裂き性不良(×)とした。
(ガスバリア層と中間層との密着性評価)
JIS Z1707に準拠して、各例の積層体から15mm巾短冊状試験片を切り出し、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC-1250を用いて基材層とシーラント層とのラミネート強度を測定した。ラミネート強度が2N/15mm以上のもの、および積層体が伸びて基材層とシーラント層を剥離できなかったものを密着性良好(〇)、2N/15mm以下のものを密着性不良(×)とした。
各例の主な構成および評価結果について、表1に示す。
Figure 2023132679000002
いずれの実施例も、基材層および中間層の配向係数が上記数値範囲内にあることにより、積層体としての良好な引き裂き性と、形成したガスバリア層の密着性とを両立できた。
一方、基材層の配向係数が上記数値範囲外である比較例1および2では、積層体としての引き裂き性が悪く、中間層の配向係数が上記数値範囲外である比較例2および3は、ガスバリア層の密着性が低かった。
以上、本発明の一実施形態、および実施例について説明したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。以下にいくつか変更を例示するが、これらはすべてではなく、それ以外の変更も可能である。これらの変更は自由に組み合わせることができる。
・基材層には、内容物に関する各種情報や、イメージ絵柄等を表示するための印刷層が設けられてもよい。第一接着剤層が設けられる面に文字等が反転した印刷層を設けると、使用者が印刷層に直接触れることがなくなり、印刷層による表示等を好適に長期間保持できる。印刷層は、基材層側から視認できれば他の層に設けられてもよい。
・ガスバリア層が、シーラント層側の面でなく、基材層側の面に設けられてもよい。あるいは、中間層の両面にガスバリア層が設けられてもよい。
・基材層、中間層、シーラント層にバイオマス由来のポリエチレンまたはリサイクルされたポリエチレンを用いると、環境負荷を低減でき、好ましい。
1 積層体
10 基材層
21 第一接着剤層
22 第二接着剤層
30 中間層
50 シーラント層
60 ガスバリア層

Claims (11)

  1. 基材層、第一接着剤層、中間層、第二接着剤層、およびシーラント層がこの順に積層された積層体であって、
    前記中間層の一方の面上にガスバリア層を有し、
    前記基材層、前記中間層、および前記シーラント層がポリエチレンを含み、
    前記基材層の配向係数cosθが、MD方向において0以上0.5以下、TD方向において0.38以上1以下、Z方向において0以上0.31以下であり、
    前記中間層の配向係数cosθが、MD方向において0以上0.69以下、TD方向において0以上0.69以下、Z方向において0.22以上1以下である、
    積層体。
  2. 前記ガスバリア層が金属または無機酸化物からなる、
    請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ガスバリア層が、酸化珪素、炭素を含む酸化珪素、窒化珪素、金属アルミニウム、酸化アルミニウムのいずれかを含む、
    請求項1に記載の積層体。
  4. 前記中間層と前記ガスバリア層との間に設けられた前処理層をさらに備える、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記ガスバリア層を覆う被覆層をさらに備える、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記被覆層は、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解物、および水溶性高分子のいずれか、または、ポリカルボン酸系重合体、多価金属化合物、およびポリカルボン酸系重合体と多価金属化合物との反応生成物であるカルボン酸の多価金属塩のいずれかを含む、
    請求項5に記載の積層体。
  7. 前記第一接着剤層および前記第二接着剤層の少なくとも一方がガスバリア性接着剤からなる、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記シーラント層に含まれる前記ポリエチレンが、低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンである、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 前記積層体における前記ポリエチレンの割合が、90質量%以上である、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の積層体を用いて形成された包装材料。
  11. 請求項10に記載の包装材料と、
    前記包装材料内に収容された内容物と、
    を備える、
    包装体。
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