JP2023132625A - 水性インクジェットインク、印刷物の製造方法、及びインクセット - Google Patents

水性インクジェットインク、印刷物の製造方法、及びインクセット Download PDF

Info

Publication number
JP2023132625A
JP2023132625A JP2022038050A JP2022038050A JP2023132625A JP 2023132625 A JP2023132625 A JP 2023132625A JP 2022038050 A JP2022038050 A JP 2022038050A JP 2022038050 A JP2022038050 A JP 2022038050A JP 2023132625 A JP2023132625 A JP 2023132625A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
resin particles
white
water
color
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022038050A
Other languages
English (en)
Inventor
彩弥子 中尾
Sayako Nakao
寛峰 山本
Hiromine Yamamoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Riso Kagaku Corp
Original Assignee
Riso Kagaku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Riso Kagaku Corp filed Critical Riso Kagaku Corp
Priority to JP2022038050A priority Critical patent/JP2023132625A/ja
Publication of JP2023132625A publication Critical patent/JP2023132625A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】発色性に優れ、かつ、光沢のある画像を形成することが可能であるとともに、画像形成部分の白色下地印刷に用いた場合、白色下地の上に形成された画像を、光沢を有し、かつ、高画質なものとすることが可能な、水性インクジェットインクを提供する。【解決手段】外面に凹部を有する中空樹脂粒子A、水、及び中実樹脂粒子Bを含み、前記中空樹脂粒子Aの含有量は、インク全量に対して5質量%以上20質量%未満である、水性インクジェットインク。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、水性インクジェットインク、印刷物の製造方法、及びインクセットに関する。
インクジェット印刷は近年、普通紙や専用紙等の紙媒体だけではなく、織物、編物、不織布、木質材等のインクが繊維に沿って滲みやすい基材、基材のもつ空隙により機能を発現するような機能性多孔質材、プラスチック基材、合成紙、金属基材、ガラス等のインクが浸透しにくい基材等にも利用されるようになった。このような多様な基材に高品質な印刷を施すためには、高い画像性に加え、その用途に合った見た目の美しさが求められる場合がある。
例えば、印刷画像を形成した後に、光沢性が高い樹脂を含むオーバーコート剤をスプレーコーティングする方法がある。
特許文献1には、樹脂粒子を含有するクリアインクを、顔料インクによる画像の上にインクジェットプリンタで付与する方法が記載されている。
また、特許文献2には、インク中に扁平粒子を含むバインダ樹脂を使用することで、インク膜表面の凹凸を軽減し、印刷物に光沢を付与する方法が記載されている。
一方、例えば、濃色の基材等に画像を印刷する場合、白インクを印刷して白色下地を形成し、その上に所望の画像を形成する方法がある。
特開2014-43559号公報 特開2015-10143号公報
例えば、画像に光沢を付与するためにオーバーコート剤をスプレーコーティングで付与する場合、光沢は、オーバーコート剤がスプレーコーティングされた領域全体に付与される。また、例えば、特許文献1のようにクリアインクを用いる方法の場合、クリアインク付与の工程が必要となる。また、特許文献2のように、光沢を付与することが可能なインクを用いる場合、光沢は、インクを付与した領域全体に付与される。
本発明の一実施形態は、光沢を有し、かつ、発色性に優れた画像を形成することが可能であるとともに、画像形成部分の白色下地印刷に用いた場合、白色下地の上に形成された画像を、光沢を有し、かつ、高画質なものとすることが可能な、水性インクジェットインクを提供することを課題とする。
本発明の一実施形態は、外面に凹部を有する中空樹脂粒子A、水、及び中実樹脂粒子Bを含み、前記中空樹脂粒子Aの含有量は、インク全量に対して5質量%以上20質量%未満である、水性インクジェットインクに関する。
本発明の他の実施形態は、上記の一実施形態の水性インクジェットインクを基材にインクジェット法により付与する工程、及び前記水性インクジェットインクが付与された前記基材に、水及び非白色の色材を含む水性インクジェットインクをインクジェット法により付与する工程を含む、印刷物の製造方法に関する。
本発明の他の実施形態は、上記の一実施形態の水性インクジェットインク、並びに、水及び非白色の色材を含む水性インクジェットインクを含むインクセットに関する。
本発明の一実施形態によれば、光沢を有し、かつ、発色性に優れた画像を形成することが可能であるとともに、画像形成部分の白色下地印刷に用いた場合、白色下地の上に形成された画像を、光沢を有し、かつ、高画質なものとすることが可能な、水性インクジェットインクを提供することができる。
ケイ酸カルシウム板に一実施形態の水性インクジェットインクの一例を付与した場合の、水性インクジェットインク付与部分の表面のSEM写真(拡大倍率30000倍)である。
以下、本発明の一実施形態を詳しく説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはなく、様々な修正や変更を加えてもよいことはいうまでもない。
<水性インクジェットインク>
一実施形態による水性インクジェットインクは、外面に凹部を有する中空樹脂粒子A、水、及び中実樹脂粒子Bを含み、中空樹脂粒子Aの含有量は、インク全量に対して5質量%以上20質量%未満である、水性インクジェットインク(以下、「ホワイトインク」と称することがある。)である。
このホワイトインクを用いた場合、光沢を有し、かつ、発色性に優れた画像を形成することが可能である。また、このホワイトインクを白色下地印刷に用いた場合、白色下地の上に形成された画像を、光沢を有し、かつ、高画質なものとすることが可能である。
理論に拘束されるものではないが、このホワイトインクは以下のように作用し得ると考えられる。
中空樹脂粒子Aは、中空であり、内部に空孔を有する。液体中では中空樹脂粒子Aの内部の空孔に水等の溶媒が入り込んでいるため、ホワイトインクが基材に塗布された直後は良好に白発色しない。ホワイトインクが基材に付与された後、中空樹脂粒子Aの内部の空孔の溶媒が基材に浸透及び/又は揮発して空気で置換されると、中空樹脂粒子Aの粒子内部と粒子の外殻樹脂の屈折率差によって、光の屈折及び散乱が生じ、白発色する。中空樹脂粒子Aは、中空であることに加え、外面に凹部を有するため、散乱がより細かく起こり、優れた白発色性を発揮することができる。
図1は、ケイ酸カルシウム板に、ホワイトインクの一例をインクジェット法で付与した場合の、ホワイトインク付与部分(ホワイトインク印刷部)の表面のSEM写真(拡大倍率30000倍)である。ホワイトインクが基材に付与され、インク中の溶媒が浸透及び/又は揮発すると、図1に示されるように、ホワイトインク印刷部では、基材表面に中空樹脂粒子Aが敷き詰められる。中空樹脂粒子Aは、外面に凹部を有するため、より平坦な表面を有するように敷き詰められ、その結果、塗膜の表面がより平坦になることで、表面光沢が出やすい状態になる。
また、このホワイトインクを白色下地印刷に用いた場合、基材上の中空樹脂粒子Aの層が、その上に付与されるインクの受容層となり、インクを定着させる。溶媒が基材に浸透または揮発すると、中空樹脂粒子Aが良好に白発色するため、ホワイトインク印刷部の上に形成されたインク画像を、高画質なものとすることができる。また、ホワイトインク印刷部の表面が平坦であるため、ホワイトインク印刷部の上に形成された画像に光沢性を付与することができる。
さらに、ホワイトインク印刷部では、画像に光沢を持たせることができ、ホワイトインクを付与していない部分は基材の質感をそのまま有する表面になるので、部分的に質感が異なる、変化のある印刷物を形成することも可能となる。
また、中空樹脂粒子Aの含有量がホワイトインク全量に対して5.0質量%以上であると、光沢性を得やすく、中空樹脂粒子Aの含有量がホワイトインク全量に対して20.0質量%未満であると、良好なインクジェット吐出性により、白発色性及び光沢性を向上させることができる。
ホワイトインクは、外面に凹部を有する中空である中空樹脂粒子Aを含むことができる。
中空樹脂粒子Aは、内部に空洞を有する中空粒子であり、かつ、外面に凹部を有する。中空樹脂粒子Aは、球状又は略球状ではないことが好ましく、粒子の立体形状に直交3次元座標系を当てはめたとき、少なくともいずれか一方向において短いことが好ましい。中空樹脂粒子Aの1つの方向からみたときの形状はとくに限定されず、例えば、円形、楕円形、四角状あるいは六角状等の多角形であっても、また、ランダムな(不定形)形状であってもよい。中空樹脂粒子Aの形状の例としては、例えば、図1に例示されるような形状等が挙げられる。中空樹脂粒子Aは、例えば、1つの方向からみたとき、中央部に凹部を有する形状であることが好ましい。中空樹脂粒子Aとしては、例えば、凹部を有することでお椀のような形状を有するもの、赤血球のように、両面の中央部に凹部が形成された円盤状の形状を有するもの等が挙げられる。
中空樹脂粒子Aは、水性溶媒中で分散可能な樹脂粒子であることが好ましい。中空樹脂粒子Aは、水中で水に溶解することなく粒子状に分散して水中油(O/W)型エマルションを形成できるものであることが好ましい。
中空樹脂粒子Aは、ホワイトインク中では、樹脂粒子として分散状態で含まれることが好ましい。中空樹脂粒子Aは、粒子表面に分散性をもつ官能基をもつことで、水性溶媒中で分散するものであっても良いし、分散剤等により分散するものであってもよい。中空樹脂粒子Aは、ホワイトインク中では、中空の中に溶媒が含まれていることが好ましい。
中空樹脂粒子Aは、ホワイトインクの製造に際して、樹脂エマルションとして配合することができる。
中空樹脂粒子Aは、塗膜が乾燥された後も個々の粒子として存在し、膜状にならずバインダとしての機能が無いものが好ましい。中空樹脂粒子Aが基材上で粒子として存在することで、その上に付与されるインクを吸収する受容層として機能しやすい。
インク受容層としての機能を良好に発揮させる観点から、中空樹脂粒子Aは、室温では成膜しない性質をもつことが好ましく、ガラス転移点(Tg)が比較的高いことが好ましい。より具体的には、中空樹脂粒子Aのガラス転移点は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましく、80℃超がさらに好ましい。中空樹脂粒子Aのガラス転移点は、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましい。中空樹脂粒子Aのガラス転移点は、50~200℃が好ましく、60~190℃がより好ましく、70~180℃がさらに好ましく、80℃超180℃以下がさらに好ましい。
中空樹脂粒子Aの樹脂の種類はとくに限定されないが、水性のインクに配合しやすい樹脂として、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル系樹脂などが使用できる。アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体、または、これらとスチレン等との共重合体(例えば、スチレンアクリル樹脂)等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中空樹脂粒子Aの粒子サイズは、インクジェットヘッドで印刷するのに適したサイズで、かつ白発色と光沢性を両立できるサイズが好ましい。中空樹脂粒子Aの平均粒子径は、250nm以上が好ましく、300nm以上がより好ましい。一方、中空樹脂粒子Aの平均粒子径は、1μm以下が好ましく、800nm以下がより好ましい。中空樹脂粒子Aの平均粒子径は、250nm以上1μm以下が好ましく、300nm以上800nm以下がより好ましい。
本明細書において、特に断らない限り、中空樹脂粒子Aと後述する中実樹脂粒子Bの平均粒子径は、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の粒径値(メジアン径)である。動的光散乱式粒子径分布測定装置としては、ナノ粒子解析装置nano Partica SZ-100(株式会社堀場製作所)等を使用することができる。インク中において、中空樹脂粒子Aや後述する中実樹脂粒子Bは、独立した粒子の状態で存在する場合と、独立した粒子が集合した凝集体の状態で存在する場合とが考えられるが、動的光散乱法で測定されるメジアン径を「平均粒子径」と位置づけることとする。
中空樹脂粒子Aを含む樹脂エマルションの市販品としては、冨士色素株式会社製「FUJI SP WHITE 1185」(商品名)等が挙げられる。
中空樹脂粒子Aのホワイトインク中の含有量(固形分)は、光沢性の観点から、インク全量に対して5.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましい。一方、画像の発色性及び光沢性等の観点から、ホワイトインクは良好なインクジェット吐出性を有することが好ましく、その観点から、中空樹脂粒子Aの含有量(固形分)は、インク全量に対して20.0質量%未満が好ましく、18.0質量%以下がより好ましい。中空樹脂粒子Aのホワイトインク中の含有量(固形分)は、インク全量に対して5.0質量%以上20.0質量%未満が好ましく、10.0質量%以上18.0質量%以下がより好ましい。
ホワイトインクは、中実樹脂粒子Bを含むことができる。
中実樹脂粒子Bは、中空ではない粒子であり、中空樹脂粒子Aと異なり、内部に空洞を有しない。
中実樹脂粒子Bは、中空樹脂粒子Aを基材に定着させるためのバインダ樹脂として機能することができる。中空樹脂粒子Aは、印刷面の耐久性、柔軟性の観点から選択することが好ましい。
中実樹脂粒子Bの種類としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。
中実樹脂粒子Bは、水性溶媒中で分散可能な樹脂粒子であることが好ましい。中実樹脂粒子Bは、水中で水に溶解することなく分散して水中油(O/W)型エマルション形成できるものであることが好ましい。
中実樹脂粒子Bは、ホワイトインク中では、樹脂粒子として分散状態で含まれることが好ましい。中実樹脂粒子Bは、ホワイトインクの製造に際し、樹脂エマルションとして配合することができる。
中実樹脂粒子Bの平均粒子径は、250nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましい。また、中実樹脂粒子Bの平均粒子径は、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。中実樹脂粒子Bの平均粒子径は、例えば、1~250nmが好ましく、5~200nmがより好ましく、10~150nmがさらに好ましい。
中実樹脂粒子Bは、自己乳化型樹脂のように、樹脂が有する官能基が樹脂粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面に分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。
中実樹脂粒子Bは、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、または両性の水分散性樹脂のいずれであってもよい。
中実樹脂粒子Bのガラス転移点(Tg)は、80℃以下が好ましく、画像のより優れた光沢性の観点から、20℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましく、0℃以下がさらに好ましい。中実樹脂粒子Bの樹脂のガラス転移点は、-50℃以上が好ましく、-35℃以上がより好ましい。中実樹脂粒子Bの樹脂のガラス転移点は、例えば、-50~80℃が好ましく、-35~20℃がより好ましく、-35~10℃がさらに好ましく、-35~0℃がさらに好ましい。
中実樹脂粒子Bの樹脂の種類としては、例えば、
スチレン-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の共役ジエン系樹脂;
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体、またはこれらとスチレン等との共重合体等のアクリル系樹脂;
エチレン-酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、
あるいはこれらの各種樹脂のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性樹脂;
メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキッド樹脂等、の水性樹脂が挙げられる。これらの単独樹脂の樹脂粒子であってもよく、ハイブリッド型の樹脂粒子でもよい。
中実樹脂粒子Bとしては、ポリウレタン樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子またはこれらの組合せが好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、エーテル型ポリウレタン、エステル型ポリウレタン、エステル・エーテル型ポリウレタン、カーボネート型ポリウレタン等が挙げられる。
これらの中でも、柔軟性及び透明性の観点から、中実樹脂粒子Bは、ガラス転移点(Tg)が比較的低いアクリル系樹脂粒子を含むことが好ましい。
アクリル系樹脂粒子のガラス転移点は、80℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましく、0℃以下がさらに好ましい。アクリル系樹脂粒子のガラス転移点は、-50℃以上が好ましく、-35℃以上がより好ましい。アクリル系樹脂粒子のガラス転移点は、例えば、-50~80℃が好ましく、-35~20℃がより好ましく、-35~10℃がさらに好ましく、-35~0℃がさらに好ましい。
中実樹脂粒子Bの樹脂エマルションの市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール966A」(商品名)、BASF社製「ジョンクリル7100」(商品名)、三井化学株式会社製「タケラックW-635」等が挙げられる。
中実樹脂粒子Bは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
中実樹脂粒子Bを適量含むと、基材への定着性を向上させることに加え、ホワイトインク層表面の平坦度を向上させ得る。
ホワイトインク層の上にカラー印刷を行う場合のインクの良好な画像形成の観点から、ホワイトインク中の中実樹脂粒子Bの含有量(固形分)は、中空樹脂粒子Aの含有量(固形分)より少ないことが好ましい。中空樹脂粒子Aに対する中実樹脂粒子Bの質量比(中実樹脂粒子B/中空樹脂粒子A)(いずれも固形分)は、1.0未満が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.75以下がさらに好ましい。
一方、良好な光沢性を付与する観点と、中空樹脂粒子Aの基材への定着の観点から、中空樹脂粒子Aに対する中実樹脂粒子Bの質量比(中実樹脂粒子B/中空樹脂粒子A)(いずれも固形分)は、0.1以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましい。
中空樹脂粒子Aに対する中実樹脂粒子Bの質量比(中実樹脂粒子B/中空樹脂粒子A)(いずれも固形分)は、例えば、0.1以上1.0未満が好ましく、0.25以上0.8以下がより好ましく、0.4以上0.75以下がさらに好ましい。
中実樹脂粒子Bのホワイトインク中の含有量(固形分)は、インク全量に対して、0.5~20質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。
ホワイトインクは、水性溶媒として水を含むことが好ましく、主溶媒が水であってもよい。
水としては、特に制限されないが、イオン成分をできる限り含まないものが好ましい。
特に、インクの貯蔵安定性の観点から、カルシウム等の多価金属イオンの含有量が少ないことが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等を用いるとよい。
水は、インク粘度の調整の観点から、ホワイトインク全量に対して20~90質量%で含まれることが好ましく、30~80質量%で含まれることがより好ましく、40~70質量%で含まれることがさらに好ましい。
ホワイトインクには、水溶性有機溶剤を配合することが好ましい。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物を使用することができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、2-メチル-2-プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;モノアセチン、ジアセチン等のアセチン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエタノールアミン、1-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、β-チオジグリコール、スルホラン等を用いることができる。水溶性有機溶剤の沸点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
水溶性有機溶剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテル、エチレングリコール等の1,2-アルカンジオール、またはそれらの組合せを含むことが好ましい。アルキレングリコールアルキルエーテル及び/又は1,2-アルカンジオールを配合する場合、後述するHLBが10.0以下のアセチレングリコール系界面活性剤をインク中に安定に配合しやすい。このため、中空樹脂粒子Aが、さらに基材表面に残留しやすくなり得る。
上記した水溶性有機溶剤は、単独で使用してもよく、水と単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。
水溶性有機溶剤のホワイトインク中の含有量は、インク全量に対して、5~50質量%であることが好ましく、10~35質量%であることがより好ましい。
ホワイトインクは、界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤またはこれらの組合せを好ましく用いることができ、非イオン性界面活性剤がより好ましい。また、低分子系界面活性剤、高分子系界面活性剤のいずれを用いてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ソルビタンエステル等のエステル型界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型界面活性剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型界面活性剤;アセチレン系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤等が挙げられる。なかでも、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレン基を有する界面活性剤等を挙げることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、アセチレン基を有するグリコールであって、好ましくはアセチレン基が中央に位置して左右対称の構造を備えるグリコールであり、アセチレングリコールにエチレンオキサイドを付加した構造を備えてもよい。
アセチレン系界面活性剤の市販品としては、例えば、エボニックインダストリーズ社製サーフィノールシリーズ「サーフィノール104E」、「サーフィノール104H」、「サーフィノール420」、「サーフィノール440」、「サーフィノール465」、「サーフィノール485」等、日信化学工業株式会社製オルフィンシリーズ「オルフィンE1004」、「オルフィンE1010」、「オルフィンE1020」等を挙げることができる(いずれも商品名)。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、アルキル・アラルキル共変性シリコーン系界面活性剤、アクリルシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製の「シルフェイスSAG002」、「シルフェイス503A」、「シルフェイスSAG008」等が挙げられる(いずれも商品名)。
また、その他の非イオン性界面活性剤として、例えば、花王株式会社製エマルゲンシリーズ「エマルゲン102KG」、「エマルゲン103」、「エマルゲン104P」、「エマルゲン105」、「エマルゲン106」、「エマルゲン108」、「エマルゲン120」、「エマルゲン147」、「エマルゲン150」、「エマルゲン220」、「エマルゲン350」、「エマルゲン404」、「エマルゲン420」、「エマルゲン705」、「エマルゲン707」、「エマルゲン709」、「エマルゲン1108」、「エマルゲン4085」、「エマルゲン2025G」等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤等が挙げられる(いずれも商品名)。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製エマールシリーズ「エマール0」、「エマール10」、「エマール2F」、「エマール40」、「エマール20C」等、ネオペレックスシリーズ「ネオペレックスGS」、「ネオペレックスG-15」、「ネオペレックスG-25」、「ネオペレックスG-65」等、ペレックスシリーズ「ペレックスOT-P」、「ペレックスTR」、「ペレックスCS」、「ペレックスTA」、「ペレックスSS-L」、「ペレックスSS-H」等、デモールシリーズ「デモールN」、「デモールNL」、「デモールRN」、「デモールMS」等が挙げられる(いずれも商品名)。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製アセタミンシリーズ「アセタミン24」、「アセタミン86」等、コータミンシリーズ「コータミン24P」、コータミン86P」、「コータミン60W」、「コータミン86W」等、サニゾールシリーズ「サニゾールC」、「サニゾールB-50」等が挙げられる(いずれも商品名)。
両性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製アンヒトールシリーズ「アンヒトール20BS」、「アンヒトール24B」、「アンヒトール86B」、「アンヒトール20YB」、「アンヒトール20N」等が挙げられる(いずれも商品名)。
上記した界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ホワイトインクに用いる界面活性剤のHLB値は、10.0以下が好ましい。
ホワイトインクに用いる界面活性剤は、アセチレングリコール系界面活性剤等のアセチレン系界面活性剤が好ましく、アセチレングリコール系界面活性剤がより好ましい。
ここで、HLB値は、界面活性剤の性質を示す尺度の一つであり、分子中の親水基と親油基とのバランスを数値化したものである。HLB値は、いくつかの算出方法によって提唱されているが、本明細書において、グリフィン法によって算出される値であり、下記式(1)によって算出される。
HLB値=20×(親水部の式量)/(界面活性剤の分子量)・・・式(1)
ここで、「親水部」は、界面活性剤の分子構造中に含まれている親水性の部分を示し、好ましくは、ポリオキシアルキレン基、水酸基に対する主鎖の炭素数が3以下のアルコール基、又はこれらの組み合わせである。界面活性剤に複数の親水性の部分が含まれる場合は、上記式(1)において親水部の式量はこれらの合計量とする。
ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基(ポリエチレンオキサイド;EO:-(CHCHO)-)、ポリオキシプロピレン基(ポリプロピレンオキサイド;PO:-(CHCH(CH)O)-)等が挙げられる。
また、アルコール基としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、スクロース(ショ糖)、マンニット、グリコール類等に由来する基(例えばエタノールであれば-CHCHOH)が挙げられる。
「疎水部」は、界面活性剤の分子構造中に含まれている疎水性の部分を示し、例えば、水酸基に対する主鎖の炭素数が4以上の脂肪族アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸等に由来する脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基;有機シロキサン、ハロゲン化アルキル等に由来する基;又はこれらの組み合わせである。
ホワイトインクが基材に濡れる速度を上げ、中空樹脂粒子Aが基材に残りやすくする観点から、ホワイトインクは、HLB10.0以下のアセチレン系界面活性剤を含むことが好ましく、HLB10.0以下のアセチレングリコール系界面活性剤を含むことがより好ましい。
界面活性剤のホワイトインク中の配合量は、ホワイトインク全量に対して、0.1~5.0質量%が好ましく、0.5~3.0質量%がより好ましい。
ホワイトインクは、その他の成分を適宜含んでもよい。その他の成分としては、pH調整剤、防腐剤等が挙げられる。
ホワイトインクの粘度は、23℃において3.0~20.0mPa・sであることが好ましく、4.0~16・0mPa・sであることがより好ましく、6.0~14.0mPa・sであることがさらに好ましい。
ホワイトインクの作製方法は、特に限定されないが、各成分を適宜混合することで所望のインクを得ることができる。例えば、ビーズミル等の分散機を用いてもよい。また、得られた組成物をフィルター等を用いてろ過してもよい。また、各種添加剤を適宜添加してもよい。
ホワイトインクは、水性ホワイトインクジェットインクとして好ましく使用することができる。
ホワイトインクは、例えば、表面凹凸が大きい基材、空隙を多くもつ基材等に好ましく適用できる。ホワイトインクは、表面凹凸が大きい基材、空隙を多くもつ基材等、基材本体では光沢をもたない基材に対して、印刷部に適度な光沢を付与することが出来る。特に、ケイ酸カルシウム板、調湿建材、印刷用紙、木質材、布などの、適度な吸液性や凹凸をもつ基材がより好ましい。
印刷用紙としては、例えば、普通紙、コート紙等が挙げられる。
ここで、普通紙とは、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層等が形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙等を挙げることができる。
また、コート紙としては、マット紙、光沢紙、半光沢紙等のインクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。ここで、塗工印刷用紙とは、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と、澱粉等のバインダを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙等に分類される。
例えば、フィルムや金属板等の平滑な基材の表面に、珪藻土等の適度な吸液性や凹凸をもたせる材料を塗布して基材として用いてもよい。また、例えば、そのようにして凹凸を持たせる材料を塗布して得られた基材に一実施形態のホワイトインクを印刷することにより、本来平滑な表面を有する基材に凹凸を持たせる材料を塗布することで得られたマットな部分と、マットな部分の上にさらにホワイトインクを印刷することで得られる光沢を有する部分とを有する印刷物を得ることもできる。
<印刷物の製造方法>
一実施形態の印刷物の製造方法は、外面に凹部を有する中空樹脂粒子A、水、及び中実樹脂粒子Bを含み、中空樹脂粒子Aの含有量は、インク全量に対して5質量%以上20質量%未満である、水性インクジェットインクを基材にインクジェット法により付与する工程、及び、この水性インクジェットインクを付与した基材に、水及び非白色の色材を含む水性インクジェットインク(以下、「カラーインク」と称することがある。)をインクジェット法により付与する工程を含むことができる。外面に凹部を有する中空樹脂粒子A、水、及び中実樹脂粒子Bを含み、中空樹脂粒子Aの含有量は、インク全量に対して5質量%以上20質量%未満である、水性インクジェットインクとしては、上記した一実施形態によるホワイトインクを用いることができる。また、基材としては、例えば、上記した一実施形態のホワイトインクを用いることができる基材として説明した基材を用いることができる。以下の、印刷物の製造方法の説明においても、外面に凹部を有する中空樹脂粒子A、水、及び中実樹脂粒子Bを含み、中空樹脂粒子Aの含有量は、インク全量に対して5質量%以上20質量%未満である、水性インクジェットインクを「ホワイトインク」と称することがある。
カラーインクとしては、マゼンタインク、シアンインク、イエローインク、ブラックインク等の白色以外の無彩色または有彩色のインクが挙げられる。
カラーインクは、非白色の色材として、顔料、染料、又はこれらの組み合わせを含むことができ、顔料を含むことがより好ましい。
カラーインクは、非白色の顔料を含むことが好ましい。
非白色の顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料、及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
カラーインク中における顔料粒子の平均粒子径は、吐出安定性と保存安定性の観点から、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の平均値として、300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
顔料として自己分散性顔料を配合してもよい。自己分散性顔料は、化学的処理又は物理的処理により顔料の表面に親水性官能基が導入された顔料である。自己分散性顔料に導入させる親水性官能基としては、イオン性を有するものが好ましく、顔料表面をアニオン性又はカチオン性に帯電させることにより、静電反発力によって顔料粒子を水中に安定に分散させることができる。アニオン性官能基としては、カルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、硫酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、亜リン酸基、亜リン酸エステル基等が好ましい。カチオン性官能基としては、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基等が好ましい。
これらの親水性官能基は、顔料表面に直接結合させてもよいし、他の原子団を介して結合させてもよい。他の原子団としては、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられるが、これらに限定されることはない。顔料表面の処理方法としては、ジアゾ化処理、スルホン化処理、次亜塩素酸処理、フミン酸処理、真空プラズマ処理等が挙げられる。
自己分散性顔料としては、例えば、キャボット社製CAB-O-JETシリーズ「CAB-O-JET200」、「CAB-O-JET300」、「CAB-O-JET250C」、「CAB-O-JET260M」、「CAB-O-JET270」、「CAB-O-JET450C」、「CAB-O-JET465M」、「CAB-O-JET470Y」等、オリヱント化学工業株式会社製「BONJET BLACK CW-1」、「BONJET BLACK CW-2」、「BONJET BLACK CW-3」、「BONJET BLACK CW-4」等を好ましく使用することができる(いずれも商品名)。
顔料として、顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を用いてもよい。
顔料分散剤で顔料があらかじめ分散された顔料分散体を使用してもよい。顔料分散剤で分散された顔料分散体の市販品としては、例えば、クラリアント社製HOSTAJETシリーズ、冨士色素株式会社製FUJI SPシリーズ等が挙げられる。後述する顔料分散剤で分散された顔料分散体を使用してもよい。
非白色の染料としては、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等のうち水溶性の染料および還元等により水溶性になった水溶性染料を好ましく用いることができる。また、アゾ系、アントラキノン系、アゾメチン系、ニトロ系等の分散染料も好ましく用いることができる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用してもよい。
色材の含有量は、印刷濃度とインク粘度の観点から、カラーインク全量に対して0.5~20.0質量%であることが好ましく、1.0~15.0質量%であることがより好ましく、2.0~10.0質量%であることがさらに好ましい。
カラーインクが顔料を含む場合、インク中に顔料を安定に分散させるために、高分子分散剤、界面活性剤型分散剤等に代表される顔料分散剤を用いることができる。
高分子分散剤としては、例えば、市販品として、EVONIK社製のTEGOディスパースシリーズ「TEGOディスパース740W」、「TEGOディスパース750W」、「TEGOディスパース755W」、「TEGOディスパース757W」、「TEGOディスパース760W」等、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ「ソルスパース20000」、「ソルスパース27000」、「ソルスパース41000」、「ソルスパース41090」、「ソルスパース43000」、「ソルスパース44000」、「ソルスパース46000」等、BASFジャパン株式会社製のジョンクリルシリーズ「ジョンクリル57」、「ジョンクリル60」、「ジョンクリル62」、「ジョンクリル63」、「ジョンクリル71」、「ジョンクリル501」等、ビックケミージャパン株式会社製の「DISPERBYK-102」、「DISPERBYK-180」、「DISPERBYK-185」、「DISPERBYK-190」、「DISPERBYK-193」、「DISPERBYK-199」等、第一工業製薬株式会社製の「ポリビニルピロリドンK-30」、「ポリビニルピロリドンK-90」等が挙げられる(いずれも商品名)。
界面活性剤型分散剤としては、例えば、花王株式会社製デモールシリーズ「デモールP」、「デモールEP」、「デモールN」、「デモールRN」、「デモールNL」、「デモールRNL」、「デモールT-45」等のアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ「エマルゲンA-60」、「エマルゲンA-90」、「エマルゲンA-500」、「エマルゲンB-40」、「エマルゲンL-40」、「エマルゲン420」等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる(いずれも商品名)。
上記した顔料分散剤は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料分散剤を使用する場合のインク中の配合量は、その種類によって異なり特に限定はされないが、一般に、有効成分(顔料濃度)の質量比で顔料1に対し、0.01~1.0が好ましい。
カラーインクは、水性溶媒として水を含むことが好ましく、主溶媒が水であってもよい。
水としては、特に制限されないが、イオン成分をできる限り含まないものが好ましい。
特に、インクの貯蔵安定性の観点から、カルシウム等の多価金属イオンの含有量が少ないことが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等を用いるとよい。
水は、インク粘度の調整の観点から、カラーインク全量に対して20~90質量%で含まれることが好ましく、30~80質量%で含まれることがより好ましい。
カラーインクは、水溶性有機溶剤を含むことができる。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物を用いることができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、上記したホワイトインクで説明したものから選択して用いることができる。
これらの水溶性有機溶剤は、単独で使用してもよく、水と単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。水溶性有機溶剤のカラーインク中の含有量は、5~50質量%であることが好ましく、10~35質量%であることがより好ましい。
カラーインクは、界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤またはこれらの組合せを好ましく用いることができ、非イオン性界面活性剤がより好ましい。また、低分子系界面活性剤、高分子系界面活性剤のいずれを用いてもよい。
界面活性剤としては、例えば、上記したホワイトインクで説明したものから選択して用いることができる。
界面活性剤は、カラーインク全量に対し有効成分量で0.05~5.0質量%が好ましく、0.1~3.0質量%がより好ましい。
カラーインクは、水性溶媒中で分散可能な樹脂粒子である水分散性樹脂を含むことが好ましい。水分散性樹脂は、中実樹脂粒子Bと同じ物であってもよいし、違ってもよい。
水分散性樹脂は、水分散性を示し、水中で水に溶解することなく分散して水中油(O/W)型エマルションを形成できる。水分散性樹脂は、カラーインク中では、樹脂粒子として分散状態で含まれることが好ましい。水分散性樹脂は、カラーインクの製造に際し、樹脂エマルションとして配合することが可能である。
水分散性樹脂の種類としては、透明の塗膜を形成する樹脂を用いることが好ましい。
水分散性樹脂の平均粒子径は、250nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましい。また、水分散性樹脂の平均粒子径は、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。水分散性樹脂の平均粒子径は、例えば、1~300nmが好ましく、5~200nmがより好ましく、10~150nmがさらに好ましい。ここで、水分散性樹脂の平均粒子径は、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の粒径値(メジアン径)である。
水分散性樹脂は、自己乳化型樹脂のように、樹脂が有する官能基が樹脂粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面に分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。
水分散性樹脂は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性の水分散性樹脂のいずれであってもよい。水分散性樹脂はアニオン性、非イオン性又はこれらの組合せが好ましい。
水分散性樹脂としては、例えば、
スチレン-ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の共役ジエン系樹脂;
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体、またはこれらとスチレン等との共重合体等のアクリル系樹脂;
エチレン-酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、
あるいはこれらの各種樹脂のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性樹脂;
メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの単独樹脂の樹脂エマルションを用いてもよく、ハイブリッド型の樹脂エマルションでもよい。
水分散性樹脂の樹脂エマルションの市販品としては、第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス470」(商品名)等が挙げられる。
これらの水分散性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。水分散性樹脂のカラーインク中の含有量(固形分)は、0.5~20質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。
カラーインクは、その他の成分を適宜含んでもよい。その他の成分としては、pH調整剤、防腐剤等が挙げられる。
カラーインクの粘度は、23℃において1.0~20.0mPa・sであることが好ましく、2.0~16.0mPa・sであることがより好ましく、3.0~14.0mPa・sであることがさらに好ましい。
カラーインクの作製方法は、特に限定されないが、各成分を適宜混合することで所望のインクを得ることができる。例えば、顔料の分散性を高めるためにビーズミル等の分散機を用いてもよい。また、得られた組成物をフィルター等を用いてろ過してもよい。また、各種添加剤を適宜添加してもよい。
カラーインクは、水性カラーインクジェットインクとして好ましく使用することができる。
印刷物の製造方法は、ホワイトインクを基材にインクジェット法により付与する工程、及びホワイトインクが付与された基材にカラーインクをインクジェット法により付与する工程を含むことができる。
インクジェット方式は特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式などのいずれの方式であってもよい。インクジェット印刷装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクの液滴を吐出させ、吐出された液滴を基材に付着させるようにすることが好ましい。
ホワイトインクを基材にインクジェット法により付与する工程について説明する。
ホワイトインクを付与する領域は、例えば、カラーインクによる画像と同一の形状の領域であってもよいし、カラーインクによる画像の形状を含む広めの領域であってもよいし、カラーインクによる画像の一部のみであってもよいし、カラーインクによる画像の一部とそれ以外の部分を含む領域であってもよい。ホワイトインクを付与する領域は、例えば、基材の全面であってもよい。
ホワイトインクの付与領域と、カラーインクの付与領域とは、少なくとも部分的に重なることが好ましい。
基材へのホワイトインクの付与量は、10~400g/mが好ましく、15~300g/mがより好ましく、20~200g/mがより好ましい。
ホワイトインクが付与された基材に、カラーインクを、インクジェット法により付与する工程について説明する。
カラーインクを付与する領域は、例えば、ホワイトインクによる画像と同一の形状の領域であってもよいし、ホワイトインクによる画像の形状を含む広めの領域であってもよいし、ホワイトインクによる画像の一部のみであってもよいし、ホワイトインクによる画像の一部とそれ以外の部分を含む領域であってもよい。カラーインクを付与する領域は、例えば、基材の全面であってもよい。
カラーインクの付与領域と、ホワイトインクの付与領域とは、少なくとも部分的に重なることが好ましい。
基材へのカラーインクの付与量は特に限定されないが、例えば、5~50g/mが好ましく、10~40g/mがより好ましい。
1種類のカラーインクを付与してもよく、2種類以上のカラーインクを付与してもよい。
印刷物の製造方法は、その他の工程を含んでもよい。
例えば、ホワイトインクを基材にインクジェット法により付与する工程と、ホワイトインクが付与された基材に、カラーインクを、インクジェット法により付与する工程との間に、基材を乾燥させる工程を含んでもよい。基材を乾燥させる方法は特に限定されないが、例えば、基材を、室温で一定時間放置して乾燥させる方法等が挙げられ、放置時間としては、例えば、1分~24時間が好ましい。
印刷物の製造方法は、例えば、ホワイトインクが付与された基材に、カラーインクをインクジェット法により付与する工程の後に、基材を熱処理する工程を含むことが好ましい。熱処理温度は、例えば、30~250℃が好ましく、35~200℃がより好ましい。加熱装置は、特に制限されないが、例えば、ドライヤー、オーブン、赤外線ヒーター等を用いることができる。加熱処理時間は、例えば、30秒~10分が好ましく、1分~5分がより好ましい。
一実施形態のインクセットは、外面に凹部を有する中空樹脂粒子A、水、及び中実樹脂粒子Bを含み、中空樹脂粒子Aの含有量は、インク全量に対して5質量%以上20質量%未満である、水性インクジェットインク、並びに、水及び非白色の色材を含む水性インクジェットインクを含むことができる。外面に凹部を有する中空樹脂粒子A、水、及び中実樹脂粒子Bを含み、中空樹脂粒子Aの含有量は、インク全量に対して5質量%以上20質量%未満である、水性インクジェットインクとしては、上述の一実施形態のホワイトインクを用いることができる。また、水及び非白色の色材を含む水性インクジェットインクとしては、上述の一実施形態の印刷物の製造方法で説明したカラーインクを用いることができる。インクセットは、カラーインクを1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の説明において、特に説明のない箇所では、「%」は「質量%」を示す。各表に示す含有量は、溶液又は分散体として配合される原材料はその全体量で示し、不揮発分又は有効成分等の割合を併記する。
<無機粒子分散体の製造(分散体C~E)>
表1に、中空シリカ粒子分散体(分散体C)、酸化チタン粒子分散体(分散体D)、扁平マイカ粒子分散体(分散体E)の処方を示す。表1に示す材料を、表1に示す割合で、総量が300gになるようにビーカーに測りとり、プレミックスした後、超音波分散機で5分間分散し、分散体C~Eを得た製造した。
表1に記載の原材料の詳細は以下の通りである。
中空シリカ粒子:「シリナックス」(商品名)、日鉄鉱業株式会社製、中空シリカ粒子、平均粒子径0.1μm
酸化チタン粒子:「A-100」(商品名)、石原産業株式会社製、酸化チタン粒子(中実)、平均粒子径0.15μm
扁平マイカ粒子:「パールグレイズMM-100R」(商品名)、日本光研工業株式会社製、中実扁平マイカ粒子、平均粒子径15μm未満
高分子分散剤:「DISPERBYK-180」(商品名)、ビックケミージャパン株式会社製、不揮発分81.0質量%
Figure 2023132625000001
<ホワイトインクの製造>
表2~5に、ホワイトインク1~14の処方を示す。表2~5に記載の各材料を表2~5に示す割合で混合し、その後孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過し、ホワイトインク1~14を得た。なお、ホワイトインク14については、粒子径が大きいためメンブレンフィルターは通過させなかった。なお、表2~5及び7~9において、Wインク1~14は、ホワイトインク1~14を示す。
表2~5に記載の原材料の詳細は以下の通りである。
(分散体)
分散体A:「FUJI SP WHITE 1185」(商品名)、冨士色素株式会社製、外面に凹部を有する中空樹脂粒子Aの分散体、アクリル系樹脂、平均粒子径0.45μm、不揮発分29.6質量%
分散体B:「SANSUI A-170」(商品名)、三水株式会社製、球状中空樹脂粒子分散体、不揮発分17.0質量%、平均粒子径1μm
分散体C:上記で製造、中空シリカ粒子分散体、不揮発分20.0質量%
分散体D:上記で製造、酸化チタン粒子分散体、不揮発分20.0質量%
分散体E:上記で製造、扁平マイカ粒子分散体、不揮発分20.0質量%
分散体A及びBの各粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径を表し、株式会社堀場製作所製の動的光散乱式粒子径分布測定装置であるナノ粒子解析装置「nano Partica SZ-100」を用いて、以下の条件で測定した。
サンプル:粒子濃度が0.5質量%になるように水で希釈して用意した。
分散媒屈折率:1.333。
試料屈折率:1.600。
演算条件:多分散・ナロー。
温度:25℃。
(樹脂エマルション:中実樹脂粒子Bの樹脂エマルション)
「ジョンクリル7100」(商品名):BASFジャパン株式会社製、アクリル系樹脂エマルション、ガラス転移点(Tg)=-10℃、不揮発分48.0質量%
「モビニール966A」(商品名):ジャパンコーティングレジン株式会社製、アクリル系樹脂エマルション、ガラス転移点(Tg)=-32℃、不揮発分45.0質量%
「タケラックW-635」(商品名):三井化学株式会社製、カーボネート系ポリウレタン樹脂エマルション、ガラス転移点(Tg)=70℃、不揮発分35.0質量%
(水溶性有機溶剤)
グリセリン:富士フイルム和光純薬株式会社製
エチレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:富士フイルム和光純薬株式会社製
トリメチロールプロパン:東京化成工業株式会社製
(界面活性剤)
「サーフィノール440」(商品名):日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤、HLB=8.1、有効成分100質量%
「サーフィノール485」(商品名):日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤、HLB=17.1、有効成分100質量%
「シルフェイスSAG008」(商品名):日信化学工業株式会社製、シリコーン系界面活性剤、HLB=7、有効成分100質量%
Figure 2023132625000002
Figure 2023132625000003
Figure 2023132625000004
Figure 2023132625000005
<カラーインクの製造>
表6に、非白色の色材を含む水性インクジェットインクである4種のカラーインク(インクK、インクC、インクM、及びインクY)の処方を示す。表6に記載の各材料を表6に示す割合でプレミックスし、その後、ホモジナイザーで1分間分散し、その後、孔径3μmのメンブレンフィルターで濾過し、インクK、インクC、インクM、及びインクYの4種のカラーインクを得た。インクK、インクC、インクM、及びインクYを含むインクセットを、水性インクセット1とした。
表6に記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
(顔料分散体)
「CAB-O-JET 300」(商品名):キャボット社製、水系自己分散性カーボンブラック分散体、顔料15.0質量%
「CAB-O-JET 450C」(商品名):キャボット社製、水系自己分散性顔料(シアン)分散体、顔料15.0質量%
「CAB-O-JET 465M」(商品名):キャボット社製、水系自己分散性顔料(マゼンタ)分散体、顔料24.0質量%
「CAB-O-JET 470Y」(商品名):キャボット社製、水系自己分散性顔料(イエロー)分散体、顔料15.0質量%
(樹脂エマルション)
「スーパーフレックス470」(商品名):第一工業製薬株式会社製、水系ポリウレタン樹脂エマルション、不揮発分38.0質量%
(界面活性剤)
「サーフィノール485」(商品名):日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤
(水溶性有機溶剤)
グリセリン:富士フイルム和光純薬株式会社製
エチレングリコール:富士フイルム和光純薬株式会社製
Figure 2023132625000006
<白印刷物及びカラー印刷物の作製>
(対象基材)
以下では、白印刷物の作製には、基材として、市販の黒上質紙(A4サイズ)を用いた。また、カラー印刷物の作製には、基材としてケイ酸カルシウム板(A4サイズ)を使用した。
(白印刷物の作製)
表7~9に、各実施例及び比較例の白印刷物の作製に用いたホワイトインク及びホワイトインクの塗布量(WET塗布量)を示す。
表7~9に記載のホワイトインクを用いて、黒上質紙を基材として用い、以下のようにして、各実施例及び比較例の白印刷物を作製した。
ホワイトインクのうちホワイトインク1~13を用いた実施例1~9及び比較例1~5については、ホワイトインクをエスアイアイ・プリンテック株式会社製プリントヘッド「RC1536M」(商品名)に導入し、表7~9に記載の塗布量(約20~50g/m)になるように、3cm×3cm角の白ベタ画像を印刷し、1時間放置乾燥し、白ベタ画像が印刷された白印刷物を得た。
ホワイトインク14を用いた比較例6については、ホワイトインク14のインクジェットヘッドでの吐出が不可能であったため、基材に3cm×3cm角のマスキングをし、ワグナー社製ハンディスプレー「WAGNER W550」(商品名)を用いて、塗布量50g/mとなるように、3cm×3cm角の白ベタ画像を印刷し、1時間放置乾燥して、白ベタ画像が印刷された白印刷物を得た。
(カラー印刷物の作製)
各実施例及び比較例のカラー印刷物の作製においては、上記の白印刷物の作製で用いたのと同じホワイトインクが用いられた。表7~9に、各実施例及び比較例のカラー印刷物の作製に用いたホワイトインクの塗布量(WET塗布量)、及びカラーインクの塗布量(WET塗布量)を示す。表7~9に記載のホワイトインク、及び、インクセット1を用いて、ケイ酸カルシウム板を基材として用い、以下のようにして、各実施例及び比較例のカラー印刷物を作製した。
ホワイトインクのうちホワイトインク1~13を用いた実施例1~9及び比較例1~5については、ホワイトインクをエスアイアイ・プリンテック株式会社製プリントヘッド「RC1536M」(商品名)に導入し、基材に、塗布量として約20~50g/mになるように、3cm×3cm角の白ベタ画像、3cm×3cm角の白グラデーション画像、及び白文字を印刷し、1時間放置乾燥した。
ホワイトインク14を用いた比較例6については、ホワイトインク14は、インクジェットヘッドでの吐出が不可能であったため、基材に3cm×3cm角のマスキングをし、ワグナー社製ハンディスプレー「WAGNER W550」(商品名)を用いて、塗布量として50g/mとなるように、3cm×3cm角の白ベタ画像を印刷し、1時間放置乾燥した。
インクセット1を株式会社マスターマインド製インクジェットプリンタ「MMP845H」(商品名)に導入し、上記でホワイトインク印刷が行われたケイ酸カルシウム板のホワイトインク印刷部及びホワイトインクが印刷されていない非印刷部に、インクセット1を用いて、ベタ画像、グラデーション画像、及び文字を印刷した。具体的には、インクセット1を用いて、3cm×3cm角の白ベタ画像の上に3cm×3cm角のベタ画像(以下、「カラーインクベタ画像WC」と称することがある。)を、3cm×3cm角の白グラデーション画像の上に3cm×3cm角のグラデーション画像(以下「カラーインクグラデーション画像WC」と称することがある。)を、白文字の上に同じ文字(以下「カラーインク文字WC」と称することがある。)を印刷し、ホワイトインクが印刷されていない非印刷部にも、同様の3cm×3cm角のベタ画像(以下、「カラーインクベタ画像C」ともいう)、3cm×3cm角のグラデーション画像、及び文字を印刷した。印刷終了後、90℃で3分間乾燥させ、カラー印刷物を得た。
なお、比較例6については、カラーインクベタ画像のみのカラー印刷物を作製した。
<評価>
上記のようにして作製したホワイトインク、白印刷物、及びカラー印刷物を用いて、以下の評価を行った。結果を表7~9に示す。
1.ホワイトインクのインクジェット吐出性
作製したホワイトインク(ホワイトインク1~14)をインクジェットヘッド(エスアイアイ・プリンテック株式会社製プリントヘッド「RC1536M」(商品名)に導入し、インクジェットヘッドの全ノズルを1分間吐出し続けたあと、1分間静置後にノズルチェックを行い、吐出できなかったノズルの数を計測した。評価基準を下記に示す。
X:吐出できなかったノズルが5本未満
Y:吐出できなかったノズルが5本以上
ホワイトインク1~12は、いずれも、評価結果はXであったが、ホワイトインク13及び14の評価結果はそれぞれYであった。
2.白印刷物の評価
(ホワイトインク画像の発色性)
黒上質紙を基材として用いて作製した白印刷物の白ベタ画像の発色を目視で評価した。評価基準を下記に示す。
AA:白ベタ画像の白色がはっきりしており下地の色が見えない
A:白ベタ画像の白色がやや暗いが、はっきりしている。
B:白ベタ画像の白色がはっきりせず、グレーに見える。
C:白ベタ画像の白色がはっきりせず、うっすらしか見えない。
(ホワイトインク画像の光沢性)
黒上質紙を基材として用いて作製した白印刷物について、白ベタ画像、及びホワイトインクが印刷されていない非印刷部それぞれの60°光沢度を測定し、下記の式により、白ベタ画像の60°光沢度と非印刷部の60°光沢度との差(以下、「光沢度の差」と称することもある)を算出した。60°光沢度の測定には、日本電色工業株式会社製光沢計「VG7000」(商品名)を用いた。
光沢度の差=(白ベタ画像の60°光沢度)-(ホワイトインクが印刷されていない非印刷部の60°光沢度)
上記の式で得られた光沢度の差をもとに、ホワイトインク画像の光沢性を下記の評価基準で評価した。光沢度の差が大きいほど、1つの印刷物の中で質感の変化を付与できるため、良好である。
AA:光沢度の差が、+15以上である
A:光沢度の差が、+10以上+15未満である
AB:光沢度の差が、+5以上+10未満である
B:光沢度の差が、0以上+5未満である
3.カラー印刷物の評価
(カラーインク画像の画質)
上記で得られたカラー印刷物について、ホワイトインク印刷部に印刷されたカラーインクベタ画像WC、ホワイトインク印刷部に印刷されたカラーインクグラデーション画像WC、及びホワイトインク印刷部に印刷されたカラーインク文字WCの鮮明性を目視で評価した。
評価基準を下記に示す。
AA:色彩が鮮やかで、文字がはっきり見え、グラデーションが鮮明である
A:色彩がやや素地の色(つまり基材自体の色)と混ざった色であるが、自然に発色しており文字がはっきり見え、グラデーションが鮮明である。
B:色が暗めになり、ムラがある。文字がやや見えにくく、グラデーションに基材の色が混ざりはっきりしない。
C:カラーインク印刷部の画像が見えにくい。
(カラーインク画像の光沢性)
上記で得られたカラー印刷物について、ホワイトインク印刷部に印刷されたカラーインクベタ画像WC、及び、ホワイトインクが印刷されていない非印刷部に印刷されたカラーインクベタ画像Cそれぞれの60°光沢度を測定し、下記の式により、ホワイトインク印刷部に印刷されたカラーインクベタ画像WCの60°光沢度と、ホワイトインクが印刷されていない非印刷部に印刷されたカラーインクベタ画像Cの60°光沢度との差(以下及、「カラーインクベタ画像の光沢度の差」と称することがある。)を算出した。測定には、日本電色工業株式会社製光沢計「VG7000」(商品名)を用いた。
カラーインクベタ画像の光沢度の差=(ホワイトインク印刷部に印刷されたカラーインクベタ画像WCの60°光沢度)-(ホワイトインクが印刷されていない非印刷部に印刷されたカラーインクベタ画像Cの60°光沢度)
上記の式で得られたカラーインクベタ画像の光沢度の差をもとに、カラーインク画像の光沢性を下記の評価基準で評価した。カラーインクベタ画像の光沢度の差が大きいほど、1つの印刷物の中で質感の変化を付与できるため、良好である。
AA:カラーインクベタ画像の光沢度の差が+15以上である
A:カラーインクベタ画像の光沢度の差が、+10以上+15未満である
B:カラーインクベタ画像の光沢度の差が、+5以上+10未満である
C:カラーインクベタ画像の光沢度の差が、0以上+5未満である
Figure 2023132625000007
Figure 2023132625000008
Figure 2023132625000009
表からわかるように、実施例1~9は、ホワイトインク画像の発色性、ホワイトインク画像の光沢性、カラーインク画像の画質及びカラーインク画像の光沢性のいずれにおいても優れた結果を示した。なかでも、実施例1~3は、ホワイトインク画像の発色性、ホワイトインク画像の光沢性、カラーインク画像の画質及びカラーインク画像の光沢性のいずれにおいても、より優れた結果を示した。
実施例4及び5では、中実樹脂粒子Bにガラス転移点(Tg)が比較的高い樹脂粒子が含まれるホワイトインク5及び6がそれぞれ使用された。実施例4及び5と実施例2との比較では、中実樹脂粒子Bのガラス転移点が比較的低い実施例2は、白ベタ画像の光沢性において、実施例4及び5に比べ、より優れた結果を示した。実施例4及び5では、白ベタ画像においてホワイトインク膜に微小のひび割れが生じ、白ベタ画像の光沢性が実施例2に比べてやや低下したと考えられる。
実施例6では、中実樹脂粒子Bの量が比較的少ないホワイトインク8が使用された。実施6と実施例2との比較では、中実樹脂粒子Bの量が比較的多い実施例2は、実施例6に比べ、ホワイトインク画像の光沢性において、より優れた結果を示した。
実施例7では、中空樹脂粒子Aのインク中の量が比較的低いホワイトインク4が使用された。実施例7と実施例2との比較では、中空樹脂粒子Aの量が比較的多いホワイトインク2を用いた実施例2は、実施例7に比べ、ホワイトインク画像の発色性、ホワイトインク画像の光沢性、カラーインク画像の画質及びカラーインク画像の光沢性において、より優れた結果を示した。
実施例8では、HLBが比較的高い界面活性剤を含むホワイトインク7が使用された。実施例2と実施例8との比較では、HLBが比較的低い界面活性剤を含むホワイトインク2を用いた実施例2は、実施例8に比べ、ホワイトインク画像の発色性、ホワイトインク画像の光沢性、カラーインク画像の画質及びカラーインク画像の光沢性において、より優れた結果を示した。
実施例9では、ホワイトインク2の塗布量が実施例1~8のホワイトインクの塗布量に比べて少ない。実施例9と実施例2との比較では、ホワイトインク2の塗布量が比較的多い実施例2は、実施例9に比べ、ホワイトインク画像の発色性、ホワイトインク画像の光沢性、カラーインク画像の画質及びカラーインク画像の光沢性において、より優れた結果を示した。
比較例1では、外面に凹部のない球状の中空樹脂粒子を含むホワイトインク9が使用されたが、ホワイトインク画像の発色性、カラーインク画像の画質及びカラーインク画像の光沢性が、実施例に比べて劣っていた。
比較例2及び3では、球状の中空シリカ粒子を含むホワイトインク10、酸化チタン粒子を含むホワイトインク11がそれぞれ使用されたが、ホワイトインク画像の発色性、カラーインク画像の画質及びカラーインク画像の光沢性が、実施例に比べて劣っていた。ホワイトインク中の粒子が基材内部に浸透してしまい、ホワイトインク画像の発色が不十分となり、カラー印刷物のホワイトインク印刷部のカラーインク画像も暗めになってしまったと考えられる。
比較例4では、中空樹脂粒子Aのインク中の量が少ないホワイトインク12が使用されたが、ホワイトインク画像の発色性、ホワイトインク画像の光沢性、カラーインク画像の画質及びカラーインク画像の光沢性が、実施例に比べて劣っていた。白の発色が不十分であり、結果としてカラー印刷物のホワイトインク印刷部のカラーインク画像も暗めになってしまったと考えられる。
比較例5では、中空樹脂粒子Aのインク中の量が多いホワイトインク13をインクジェットヘッドに導入したところ、吐出性が非常に悪く綺麗な印刷ができなかったため、結果として、ホワイトインク画像の発色性及びホワイトインク画像の光沢性が実施例に比べて劣っていた。
比較例6では、扁平マイカ粒子を含むホワイトインク14が使用されたが、扁平マイカ粒子の粒子径が大きくインクジェットヘッドで吐出できなかった。そのため、スプレーで塗布し、その上にカラー印刷をしたが、良好な画像が形成できなかった。

Claims (6)

  1. 外面に凹部を有する中空樹脂粒子A、水、及び中実樹脂粒子Bを含み、前記中空樹脂粒子Aの含有量は、インク全量に対して5質量%以上20質量%未満である、水性インクジェットインク。
  2. 前記中実樹脂粒子Bが、ガラス転移点が20℃以下のアクリル系樹脂粒子を含む、請求項1に記載の水性インクジェットインク。
  3. 前記中空樹脂粒子Aが、平均粒子径が250nm以上1μm以下である、請求項1又は2に記載の水性インクジェットインク。
  4. HLBが10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の水性インクジェットインクを基材にインクジェット法により付与する工程、及び
    前記水性インクジェットインクが付与された基材に、水及び非白色の色材を含む水性インクジェットインクをインクジェット法により付与する工程を含む、印刷物の製造方法。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク、並びに、水及び非白色の色材を含む水性インクジェットインクを含むインクセット。

JP2022038050A 2022-03-11 2022-03-11 水性インクジェットインク、印刷物の製造方法、及びインクセット Pending JP2023132625A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022038050A JP2023132625A (ja) 2022-03-11 2022-03-11 水性インクジェットインク、印刷物の製造方法、及びインクセット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022038050A JP2023132625A (ja) 2022-03-11 2022-03-11 水性インクジェットインク、印刷物の製造方法、及びインクセット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023132625A true JP2023132625A (ja) 2023-09-22

Family

ID=88065057

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022038050A Pending JP2023132625A (ja) 2022-03-11 2022-03-11 水性インクジェットインク、印刷物の製造方法、及びインクセット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023132625A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10501654B2 (en) Pretreatment solution, ink set and method for producing printed matter
WO2018221045A1 (ja) インクジェット用水性インキ、及び印刷物の製造方法
JP7217093B2 (ja) 捺染インクジェット用水性顔料インク、捺染物の製造方法、及びインクセット
TW201718787A (zh) 印刷方法
EP3653678B1 (en) Ink set and method for producing printed matter
JPWO2004092285A1 (ja) 顔料分散液、並びにこれを用いたインク組成物及びインクセット
JP5772094B2 (ja) 水性インクジェットインク
EP3475371B1 (en) Aqueous inkjet inks containing a water-insoluble additive
WO2019013338A1 (ja) インキセット、及び印刷物の製造方法
US7833336B2 (en) Pigmented inkjet ink comprising a bleed control agent
US11135865B2 (en) Method for producing printed matter
JP2001524572A (ja) 無機顔料を含んでなる顔料調製物
JP6814365B1 (ja) 前処理液、インキセット、及び印刷物
JP2018203794A (ja) 調湿基材用水性インクジェットインクセット及び加飾された調湿基材の製造方法
EP2535381B1 (en) Image forming method
JP2019111770A (ja) 水性前処理液、水性記録液セット、及び印刷物の製造方法
US8398762B2 (en) Pigmented inkjet ink comprising a bleed control agent
JP5657883B2 (ja) インクジェット記録用インクセット
JP2023132625A (ja) 水性インクジェットインク、印刷物の製造方法、及びインクセット
JP2016210015A (ja) 加飾された調湿基材の製造方法
US10196531B2 (en) Pigmented inkjet ink comprising dispersed polyurethane and olefin ionic copolymer
JP2023144904A (ja) 印刷物の製造方法
JP2019042990A (ja) 多孔質材用前処理液、多孔質材用インクセット、加飾された多孔質材の製造方法、及び、加飾された多孔質材
EP2411229B1 (en) Pigmented inkjet ink comprising a bleed control agent
JP2024010562A (ja) 捺染用インクセット及び捺染物の製造方法