JP2023131650A - 状態診断装置および状態診断システム - Google Patents

状態診断装置および状態診断システム Download PDF

Info

Publication number
JP2023131650A
JP2023131650A JP2022036534A JP2022036534A JP2023131650A JP 2023131650 A JP2023131650 A JP 2023131650A JP 2022036534 A JP2022036534 A JP 2022036534A JP 2022036534 A JP2022036534 A JP 2022036534A JP 2023131650 A JP2023131650 A JP 2023131650A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
battery
waveform
condition
information
state
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022036534A
Other languages
English (en)
Inventor
泰三 宮崎
Taizo Miyazaki
亮平 中尾
Ryohei Nakao
純 川治
Jun Kawaji
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2022036534A priority Critical patent/JP2023131650A/ja
Priority to PCT/JP2023/000629 priority patent/WO2023171119A1/ja
Publication of JP2023131650A publication Critical patent/JP2023131650A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R31/00Arrangements for testing electric properties; Arrangements for locating electric faults; Arrangements for electrical testing characterised by what is being tested not provided for elsewhere
    • G01R31/36Arrangements for testing, measuring or monitoring the electrical condition of accumulators or electric batteries, e.g. capacity or state of charge [SoC]
    • G01R31/367Software therefor, e.g. for battery testing using modelling or look-up tables
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R31/00Arrangements for testing electric properties; Arrangements for locating electric faults; Arrangements for electrical testing characterised by what is being tested not provided for elsewhere
    • G01R31/36Arrangements for testing, measuring or monitoring the electrical condition of accumulators or electric batteries, e.g. capacity or state of charge [SoC]
    • G01R31/382Arrangements for monitoring battery or accumulator variables, e.g. SoC
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R31/00Arrangements for testing electric properties; Arrangements for locating electric faults; Arrangements for electrical testing characterised by what is being tested not provided for elsewhere
    • G01R31/36Arrangements for testing, measuring or monitoring the electrical condition of accumulators or electric batteries, e.g. capacity or state of charge [SoC]
    • G01R31/385Arrangements for measuring battery or accumulator variables
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R31/00Arrangements for testing electric properties; Arrangements for locating electric faults; Arrangements for electrical testing characterised by what is being tested not provided for elsewhere
    • G01R31/36Arrangements for testing, measuring or monitoring the electrical condition of accumulators or electric batteries, e.g. capacity or state of charge [SoC]
    • G01R31/392Determining battery ageing or deterioration, e.g. state of health
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/42Methods or arrangements for servicing or maintenance of secondary cells or secondary half-cells
    • H01M10/48Accumulators combined with arrangements for measuring, testing or indicating the condition of cells, e.g. the level or density of the electrolyte
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Tests Of Electric Status Of Batteries (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】状態診断システムにおいて、電池の状態を適切に把握できるようにする。【解決手段】状態診断装置11は、計測対象であるバッテリ10の特性カーブ情報D25を取得する波形近似モデル処理部24と、前記特性カーブ情報D25における所定条件を満たす特徴点の位置に基づいて、前記バッテリ10の状態を推定するバッテリ状態推定部30と、複数種類の前記バッテリ10に対応して各種類に応じた前記特性カーブ情報D25の波形形状を各々決定するための複数の波形パラメータD26を記憶するデータベース15から、計測対象の前記バッテリ10に対応する前記波形パラメータD26を選択し、前記波形近似モデル情報D28に適用する波形パラメータ探索部44と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、状態診断装置および状態診断システムに関する。
本技術分野の背景技術として、下記特許文献1の要約には、「劣化判定装置100の電源部107は、交流電源109から交流電力を受け付け直流電力に変換し自身に動作電力を供給する。接続部108は、組電池600の測定対象電池と接続し、設定部102は、ユーザから、測定対象電池の放電条件情報の入力を受け付ける。放電部103は、放電条件情報に基づいて接続された測定対象電池の放電を制御し、放電後の測定対象電池の端子電圧を計測する。演算部105は、電池データ記憶部104内の放電特性情報と、放電条件情報と、測定対象電池の端子電圧とに基づいて残存容量を算出する。表示部106は、残存容量を表示する。」と記載されている。
特開2006-300561号公報
ところで、上述した技術において、一層適切に電池の状態を把握したいという要望がある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、バッテリの状態を適切に把握できる状態診断装置および状態診断システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の状態診断装置は、計測対象であるバッテリの状態量と、前記状態量から前記バッテリの特性カーブ情報を導出する波形近似モデル情報と、に基づいて前記特性カーブ情報を取得する波形近似モデル処理部と、前記特性カーブ情報における所定条件を満たす特徴点の位置に基づいて、前記バッテリの状態を推定するバッテリ状態推定部と、複数種類の前記バッテリに対応して各種類に応じた前記特性カーブ情報の波形形状を各々決定するための複数の波形パラメータを記憶するデータベースから、計測対象の前記バッテリに対応する前記波形パラメータを選択し、前記波形近似モデル情報に適用する波形パラメータ探索部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、バッテリの状態を適切に把握できる。
第1実施形態による状態診断システムのブロック図である。 SOCの変化に対するOCVカーブの変化の一例を示す図である。 バッテリの時間経過に対する充電電流、SOC、端子電圧の模式的なグラフである。 波形近似モデル情報により導出される可能性のある各種のOCVカーブを示したものである。 変曲点算出部の動作説明図である。 コンピュータのブロック図である。 データベース作成ルーチンのフローチャートである。 状態推定ルーチンのフローチャート(1/2)である。 状態推定ルーチンのフローチャート(2/2)である。 第2実施形態による状態診断システムのブロック図である。 第3実施形態による状態診断システムのブロック図である。 第4実施形態による状態診断システムのブロック図である。 第5実施形態による状態診断システムのブロック図である。
[実施形態の概要]
後述する実施形態は、主に充放電を行うバッテリの状態診断システムおよび劣化診断システムに関するものであり、特に多種多様なバッテリの劣化診断を行う場合に好適である。これら実施形態の応用例としては、運用中駐車時にバッテリ交換を行うことにより航続距離を伸ばすことが可能な電動車両に付帯する車載BMS(Battery Management System:バッテリマネジメントシステム)や、定置充電器などが挙げられる。BMSにおいて搭載バッテリのSOH(State of Health:健全性指標)の診断手段を実現するために、後述する実施形態は効果的である。
地球環境保全の有力手段として、陸海空の乗り物等の電動化、例えば電動車両が期待されている。電動車両はエネルギーをバッテリに蓄えてその電力を用いて走行するため、走行時には環境負荷物質を排出しないという特徴がある。しかし、バッテリの単位体積、単位重量当たりのエネルギー密度はガソリンや水素など化学エネルギーと比較すると低く、航続距離が内燃機関車両と比較して短いという課題がある。そのため頻繁に充電を行わざるを得ず、また充電時間も燃料の補充時間と比較すると長く、電動車両利用者の利便性を損ねている。
この課題を解決するための手段として、バッテリ交換サービスが検討されている。バッテリ交換サービスは、バッテリのSOC(State of Charge:充電率)が少なくなった車両のバッテリを、充電されたバッテリに交換する。これにより、通常なら長時間かかっていた充電時間を、交換という比較的短い時間の作業で代替することができる。交換されたバッテリは、劣化が進んでいない場合には再度満充電され、別の電動車両への交換待ち状態となる。劣化が進んでいた場合には、定置型バッテリや災害時用予備バッテリとして再利用される。転用不可能な程度まで劣化が進んだ場合にはリサイクルされる。
一般にバッテリは劣化進行による性能変化が大きいため、バッテリを有効に運用するためにはSOH(State of Health:劣化率)の正確な把握を行うことが好ましい。上述した特許文献1の内容を応用すると、バッテリのSOHを推定できると考えられる。すなわち、SOCとOCV(Open Circuit Voltage:端子開放電圧)とSOHとの対応関係を予め記憶手段に記憶し、そのデータを用いてSOHを診断できると考えられる。
本実施形態は、特に多種多様なバッテリが搭載されることが予想される電動車両において、一層精度の高いバッテリ状態診断システムを提供するものである。
従来の電動車両にあっては、バッテリの頻繁な交換は考慮されておらず、特定のバッテリの状態診断を実現することを想定していた。バッテリの状態診断装置は車載BMS(Battery Management System:バッテリマネジメントシステム)に搭載され、車両とバッテリの種類とは1対1に対応する。このような前提ではバッテリの材料特性や反応式など物理的な知見から導出された数式モデル(以降「物理モデル」と記載する)を詳細に構築して診断精度を向上させることができる。
しかし、バッテリ交換を前提とした場合、想定したものとは別の種類のバッテリが車両と組み合わされる場合がありうる。例えば、正極材料としてリン酸鉄を想定している車載BMSに対して正極材料がニッケル-コバルト-マンガン三元系を用いるバッテリが組み合わされることも予想される。一般に物理モデルは、精度は非常に高いものの構築に時間を要し、次々に開発される新型バッテリへの対応が困難であるという課題がある。
一方、バッテリ特性の測定結果をそのまま近似式に当てはめて状態診断のよりどころとする手法が代替案として考えられる。これらは物理式によらないためモデルの構築が容易で、新型バッテリにも迅速に対応できるという利点があるが、精度との両立は難しい。
そこで、後述する実施形態の一つの目的は、新型バッテリへの対応が迅速かつ容易で、かつ精度も向上させることができる状態推定システムを提供することである。
電動車両などのバッテリアプリケーションにおいては、バッテリのSOCや寿命などの状態推定が行われる。従来は電気化学的な物理モデルを拠り所としてこれら状態推定が実現されていた。しかし、物理モデルの導出には時間を要し、新型バッテリのサービスインに時間を要する課題があった。後述する実施形態では物理モデルに拠らず、バッテリの特性カーブを直接近似する波形近似モデルを使用することで新型バッテリ導入期間の短縮を図れるという効果がある。一方、波形近似モデルは物理モデルと比較して精度的に不利であると考えられている。それについては十分な精度を確保した波形近似モデルの波形パラメータ(波形を決定するための調整因子)をデータベースに保存しておき、必要に応じて波形パラメータを参照することで、十分な精度を得ることができる。
また、波形近似モデルにより得られた近似波形をどのように判断するかといった判定基準情報も同時にデータベースから与えることもできる。これにより、充電の代わりにバッテリ交換を行うサービスや、劣化バッテリの随時交換といった、バッテリの変更が頻繁に発生する運用方法であっても柔軟に対応できるという効果がある。さらに、後述する実施形態では、前記状態推定装置は前記波形パラメータ候補を前記データベースから取得し、広義単調増加条件(x1<x2ならばf(x1)≦f(x2))を用いて好適な波形パラメータを選択する波形パラメータ探索手段(探索部)を有する。
この手法によれば、バッテリの識別ができずデータベースを直接使えない場合に対処できる。バッテリの識別ができない場合には、データベースに格納された前記波形パラメータ候補を順次確認していくことで、最終的に好適な波形パラメータを決定する。波形パラメータの適否を判定するのが前記広義単調増加条件である。バッテリの状態推定にはSOCに対するOCVの波形(OCVカーブ)が用いられるが、OCV値をx,その時のSOC値をf(x)とすると、広義単調増加条件(x1<x2ならばf(x1)≦f(x2))を満たすという特徴がある。この特徴を用いることで好適な波形パラメータを判定することができ、結果としてバッテリが識別できない場合においても好適な波形パラメータを提供できるという効果がある。
[第1実施形態]
〈第1実施形態の構成〉
図1は、第1実施形態による状態診断システム101のブロック図である。
状態診断システム101は、劣化診断の対象となるバッテリ10の状態を取得するものであり、状態診断装置11と、バッテリ情報サーバ14(サーバ装置)と、バッテリ運用履歴ストレージ16と、充電器17と、を備えている。状態診断装置11、バッテリ情報サーバ14およびバッテリ運用履歴ストレージ16は、通信網13を介して相互に各種データを送受信する。
通信網13は、コンピュータ通信網や電話網等によって実現される。バッテリ情報サーバ14は、各種バッテリ10の情報を記憶するデータベース15を備えており、該データベース15に記憶されている情報を提供する。バッテリ運用履歴ストレージ16は、状態診断装置11の診断結果(詳細は後述する)を記録する。バッテリ運用履歴ストレージ16に記録された情報は、バッテリ10の交換通知サービス、バッテリ価格決定等、各種のバッテリ関連サービスに利用される。
状態診断装置11は、通信部12と、データ加工部22と、波形近似モデル処理部24と、バッテリ状態推定部30と、識別情報取得部42と、波形パラメータ探索部44と、充電制御部78と、を備えている。ここで、波形パラメータ探索部44は、バッテリ状態診断装置27を備えている。バッテリ状態推定部30は、変曲点算出部34と、変曲点位置比較部36と、を備えている。
状態診断装置11は、図示は省略するが、例えば、BMS(Battery Management System:バッテリマネジメントシステム)充電器コントローラ、車両統合コントローラ等の装置に搭載することが好ましい。状態診断装置11を実現するにあたっては、マイクロコントローラに書き込まれたソフトウエアやPLDやFPGAなどのプログラマブルデバイス、システムオンチップなどによって実現できる。通信部12は、通信網13を介してバッテリ情報サーバ14またはバッテリ運用履歴ストレージ16と通信する。
バッテリ10には、各種センサ(図示略)が装着されている。各センサは、バッテリ10の端子電圧、入出力電流および温度を計測し、その結果をセンサ情報D21(状態量)として出力する。なお、状態診断装置11内の処理に関しては、説明の簡略化のため、温度に対応する処理に関しては、説明を省略する場合がある。状態診断装置11内のデータ加工部22は、必要に応じて、センサ情報D21を劣化状態診断に用いて好適な指標や物理量であるバッテリ状態量D23に変換する。バッテリ状態量D23は、例えば、バッテリ10のSOC、OCV等の離散的な値を含む。
波形近似モデル処理部24は、波形近似モデル情報D28を記憶し、これによって離散的なバッテリ状態量D23を加工し、特性カーブ情報D25を算出する。波形近似モデル情報D28は、SOCに対するOCVの特性を規定する情報を含み、特性カーブ情報D25は、SOCに対するOCVの特性曲線の情報を含む。
波形近似モデル情報D28はスプライン曲線や、Volterra級数によって表現することが考えられる。しかし、波形近似モデル情報D28は、このような特定の物理式によらず、波形を近似数式で表現するモデルによって実現することが好ましい。物理モデルを用いないことにより、物理モデルを用いる場合と比較して、多種多様なバッテリの特性カーブ情報D25を、より少ない情報量と同定手順で得ることができる。波形近似モデル情報D28の具体例については後述する。
バッテリ状態推定部30は、特性カーブ情報D25に基づいて、バッテリ10の劣化状態を推定する。バッテリ状態推定部30に含まれる変曲点算出部34は、通信部12を介して、バッテリ情報サーバ14から変曲点探索情報D30を受信する。そして、変曲点算出部34は、変曲点探索情報D30を用いて、特性カーブ情報D25における一または複数の変曲点の位置を算出し、その結果を変曲点情報D34として出力する。
ここで、変曲点探索情報D30とは、バッテリ10の種別に応じて、変曲点の存在範囲、すなわちSOCの範囲等を示す情報である。この変曲点探索情報D30を用いることにより、バッテリ10の劣化を効果的に判断できる変曲点の位置、すなわち変曲点が現れるSOC等を容易に探索することができる。
例えば、正極にリチウムを含有し、負極に黒鉛を含有するリン酸鉄系リチウムイオン電池においては、下記の事象A1,A2,A3が現れる傾向が強い。
・A1:SOCが50%未満の領域に一つの変曲点(低SOC側変曲点という)が現れる。
・A2:SOCが50%を超える領域に他の一つの変曲点(高SOC側変曲点という)が現れる。
・A3:変曲点の数が2個か3個になる。
また、上述した事象A1,A2におけるSOCの領域は、正極、負極、電解液等の詳細構成を限定してゆくと、より狭い範囲にすることができる。そこで、これら事象A1,A2,A3の条件を、変曲点探索情報D30にするとよい。
変曲点位置比較部36は、通信部12を介して、バッテリ情報サーバ14から、バッテリ状態の判定情報D31を受信する。ここで、判定情報D31について説明する。まず、以下の説明において、バッテリ10の劣化度を表す指標としてはSOH(State of Health;健全性指標)を用いる。SOHは、初期の満充電容量(Ah)を100%とした際の、劣化時の満充電容量(Ah)の割合として定義される。劣化が進むほどSOHは減少する。また、変曲点探索情報D30に規定された一または複数の変曲点を、「対象変曲点」と呼ぶ。
対象変曲点の位置は、バッテリ10の劣化に伴い、初期位置から移動する。判定情報D31は、バッテリの劣化度すなわちSOHと、各対象変曲点の初期位置からの移動量と、を対応付けた情報である。すなわち、対象変曲点の移動量が判明すると、判定情報D31に基づいて、バッテリ10のSOHを推定することができる。推定されたSOHは、バッテリ状態情報D32として、通信部12を介して、バッテリ運用履歴ストレージ16に記憶される。
ところで、バッテリ10の筐体表面には、例えば、RFIDタグやバーコード等(図示せず)が設けられており、タグ識別情報D41(識別情報)を提示する。状態診断装置11における識別情報取得部42は、RFIDタグ等(図示せず)からタグ識別情報D41を読み取る。識別情報取得部42は、タグ識別情報D41を、バッテリ10の製造ナンバや管理番号を特定するバッテリ識別情報D43(識別情報)に変換する。バッテリ情報サーバ14におけるデータベース15は、このバッテリ識別情報D43に基づいて、バッテリ10の使用材料、仕様、特性データ等を検索し、バッテリ10の寿命診断に適した変曲点探索情報D30を状態診断装置11に提供する。
しかし、RFIDタグ等(図示せず)が損傷した場合、あるいは元々無い場合には、タグ識別情報D41およびバッテリ識別情報D43は得られない。このような場合の波形パラメータ探索部44の動作については後述する。また、詳細は後述するが、バッテリ状態推定部30は、変曲点テーブルD71、ID・判定情報テーブルD72およびバッテリ仕様情報テーブルD74を作成する。
図2は、SOCの変化に対するOCVカーブの変化の一例を示す図である。
図2の特性F2A,F2Bにおいて、何れも横軸がSOCであり、縦軸がOCVである。特性F2Aは、SOCが100%、すなわち新品同様の状態におけるOCVカーブの例である。特性F2Bは、劣化が進みSOHが80%になった状態におけるOCVカーブの例である。特性F2Aにおいて、SOCが50%未満の領域には低SOC側変曲点51a(特徴点)が現れており、SOCが50%を超える領域には高SOC側変曲点52a(特徴点)が現れている。また、特性F2Bには、低SOC側変曲点51b(特徴点)と、高SOC側変曲点52b(特徴点)と、が現れている。ここで、本実施形態において検索する変曲点とは、SOCの増加に対してOCVが増加し、かつ増加率の微分値が正から負に変化している箇所のことである。
特性F2A,F2Bの低SOC側変曲点51a,51bを比較すると、劣化状態の低SOC側変曲点51bは、非劣化状態の低SOC側変曲点51aより右側(SOCが大きくなる方向)に移動していることがわかる。これは高SOC側変曲点52a,52bについても同様であり劣化状態の高SOC側変曲点52bは、非劣化状態の高SOC側変曲点52aより右側に移動している。このように、変曲点の移動量とSOHの変化とが対応するため、上述したように、変曲点の移動量からSOHを診断することができる。
図3は、バッテリ10の時間経過に対する充電電流、SOC、端子電圧の模式的なグラフである。
図3における充電電流および端子電圧は、センサ情報D21(図1参照)の一部である。また、データ加工部22は、充電電流を積算することによってSOCを取得する。
図2の例では説明の簡単化のため、充電と休止を繰り返す間欠充電を採用した例を示している。図1に示した充電制御部78は、充電器17に対して、SOCが所定値よりも低い場合にはCCC(Constant Current Charging:定電流充電)、SOCが所定値以上である場合にはCVC(Constant Voltage Charging:定電圧充電)を実行させる。充電制御部78(図1参照)は、CVCにおいては、充電電流を供給する際のバッテリ10の端子電圧が所定の電圧Vcになるように充電器17を制御する。
図3において充電電流が正値である期間や、充電電流を停止した直後の期間には、バッテリ10に分極現象が生じるため、バッテリ10の端子電圧はOCVよりも高くなる。一方、充電電流を停止した後に暫く時間が経過すると、バッテリ10は電気化学反応平衡状態になる。そのため、図示の例では、充電電流が0から正値に立ち上がる直前の端子電圧をOCVであると見做して測定する。すなわち、図3に示すSOCデータ53のデータ列と、OCVデータ54のデータ列と、がバッテリ状態量D23(図1参照)に含まれる。
上述したように、波形近似モデル処理部24(図3参照)は、このバッテリ状態量D23と、波形近似モデル情報D28と、を用いて、SOCに対するOCVの特性曲線等の特性カーブ情報D25を作成する。
なお、図3では間欠充電を適用した例を示したが、特性カーブ情報D25は別の手法によっても取得可能である。例えば電動車両においては走行時の電流を積算してSOCを算出し、車両停止時の端子電圧を測定することで同様のOCVカーブが得られる。OCVカーブの作成には物理モデルの同定による手法を適用してもよい。但し、本実施形態では、上述した、波形近似モデルによる波形近似モデル情報D28(図1参照)を用いて特性カーブ情報D25を取得する方法を採用する。
上述したように、波形近似モデル情報D28は、波形を近似数式で表現するモデルによって実現する。この手法は対象(バッテリ10)の特性を物理特性によらず、データから直接導出することができる。このため、新しい特性のバッテリが次々に開発される昨今において物理モデル導出の時間がかからず、結果として新しいバッテリ10を早期にデータベース15に反映させることができるという利点がある。波形近似モデル情報D28には様々な実現方法があるが、ここではGPR(Gaussian Process Regression:ガウス過程回帰)を用いる手法を説明する。GPRは、限られたデータから最も尤もらしい連続波形を生成する数学的手法である。
この手法については広く知られた手法であるため省略し結果のみ示す。この手法の詳細については、例えば「C.M.ビショップ著、パターン認識と機械学習、丸善出版(2012)」に記載されている。波形形状を決めるのに用いた訓練データをx,yとする。ここでxはSOCの事前測定結果、yはOCVの事前測定結果に相当する。また、訓練データの個数をNとする。このときx*の各要素に対して予測される出力値y*の平均値は、[数1]によって計算できる。
Figure 2023131650000002
[数1]において、λは解を安定化させるためのパラメータ、INはN×Nの単位行列である。kはカーネル関数であり例えば下記[数2]のように定義される。
Figure 2023131650000003
また、[数1]におけるKは[数2]で定義されるカーネル関数を各要素に配した行列である。
GPRを適用する利点は、少ない測定点から波形形状を再現できることにある。OCVカーブ導出の際に取得できるOCVの測定点は、図3に示したように、充電電流が0であるタイミングで取得するため、取得できる条件が限られる。
従って、少ない測定点から可能な限り正確な特性カーブ情報D25すなわちOCV波形を得るためにGPRは好適である。また、GPRは、その計算過程でホワイトノイズを抑制するため、測定時のノイズやバラツキがある場合であっても安定してOCVカーブが取得できるという利点がある。ここで、[数1],[数2]において、λ,ηi,θ0,θ2,θ3は本手法の使用者が自由に決定できるパラメータである。また、訓練データの選択にも自由度がある。そのため、波形近似モデル処理部24は、採用する波形近似モデル情報D28、によって異なるOCVカーブを導出する可能性がある。異なるOCVカーブが導出された例を図4に示す。
図4は波形近似モデル情報D28により導出される可能性のある各種のOCVカーブを示したものである。
図示の特性F4A,F4B,F4Cにおいて、55は実測点、OCVカーブ56は真のOCVカーブ、OCVカーブ57a,57b,57cは導出されたOCVカーブである。
特性F4Aは劣化診断に好適なOCVカーブが得られた例である。また、特性F4Bは取得データを忠実に再現しようとしてOCVカーブ57bが乱高下し、特性F4Aに示した正しい低SOC側変曲点51と高SOC側変曲点52とが埋もれてしまった例である。また、特性F4Cは、波形の滑らかさを重視しすぎて、特性F4Aに示した正しい低SOC側変曲点51と高SOC側変曲点52とが消えてしまった例である。
上述した[数1]、[数2]に含まれるλ,ηi,θ0,θ2,θ3等のパラメータを総称して波形パラメータD26と呼ぶ。図4に示したように、波形パラメータD26の設定状態によっては正しい特性カーブ情報D25すなわちOCV波形が得られないため、本実施形態ではデータベース15から供給された波形パラメータD26を適用する。波形パラメータ探索部44は、取得した波形パラメータD26に基づいて、波形近似モデル情報D28を決定し、これを波形近似モデル処理部24に適用する。これにより、波形近似モデル処理部24においては、正確なOCVカーブ等の特性カーブ情報D25を得ることが可能になる。
図5は変曲点算出部34の動作説明図である。
上述したように、本実施形態では、[数1]および[数2]に基づいて、OCVカーブ等の特性カーブ情報D25を取得する。従って、取得したOCVカーブを二回微分した結果が0になる点から変曲点を得ることも可能である。しかし、図5に示すように、OCVカーブ57dは1入力1出力のカーブであるため、より単純なグリッドサーチによって変曲点を得ることができる。その一例として、OCVカーブ57dから高SOC側変曲点52を得る手法について説明する。
高SOC側変曲点52の範囲は既知であるため、その範囲内のSOC(=x)を幅Δxで微小分割する。そして分割されたSOCに対してOCVをそれぞれ計算することで離散OCV値を得る。離散OCVデータのi番目のサンプル値をyiとすると、二回微分は[数3]のように表せ、これが正から負に変化する点を以て変曲点と判断するとよい。
Figure 2023131650000004
なお、SOC変化に対してOCVがほとんど変化しない領域を変曲点と誤認しないようにするために、OCVカーブの一回微分が一定値以上であるという条件を付けることも好ましい。また、低SOC側変曲点(図示略)についても、高SOC側変曲点52と全く同様に取得できる。
図1に示した変曲点探索情報D30は、上述のような変曲点の存在範囲、分割幅Δxなどの各種条件を変曲点算出部34に提供する。
以上、図2から図5まで本実施形態による状態診断装置11についてリン酸鉄系リチウムイオン電池の特性を例として説明したが、本手法はその他のバッテリ、例えば三元系リチウムイオンバッテリに対しても全く同様に適用可能である。
図6は、コンピュータ980のブロック図である。
図1に示した状態診断装置11、バッテリ情報サーバ14およびバッテリ運用履歴ストレージ16は、何れも図6に示すコンピュータ980を、1台または複数台備えている。
図6において、コンピュータ980は、CPU981と、記憶部982と、通信I/F(インタフェース)983と、入出力I/F984と、メディアI/F985と、を備える。ここで、記憶部982は、RAM982aと、ROM982bと、HDD982cと、を備える。通信I/F983は、通信回路986に接続される。入出力I/F984は、入出力装置987に接続される。メディアI/F985は、記録媒体988からデータを読み書きする。ROM982bには、CPUによって実行される制御プログラム、各種データ等が格納されている。CPU981は、RAM982aに読み込んだアプリケーションプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。先に図1において示した、状態診断装置11、バッテリ情報サーバ14の内部は、アプリケーションプログラム等によって実現される機能をブロックとして示したものである。
図7はデータベース作成ルーチンのフローチャートである。
図7において処理がステップS101に進むと、充電制御部78(図1参照)は、充電器17を制御することにより、ある特定のバッテリ10に対して劣化試験を実行する。これにより、バッテリ10について、データ加工部22(図1参照)はセンサ情報D21を取得し、波形近似が可能となる程度のサンプル数を有するバッテリ状態量D23(すなわちSOC,OCV等)を取得する。なおバッテリ10の温度もバッテリ特性を定める重要な要素であり、センサ情報D21は温度も含まれるが、ここでは説明の簡単化のため、温度に関する説明は省略する。
次のステップS102~104では、波形パラメータ探索部44は、ステップS101で求めたデータに対して、好適なOCVカーブを作成できる波形パラメータD26を決定する。以下の説明において、波形パラメータD26が決定されるまでの、暫定的な候補となる波形パラメータを、「候補波形パラメータD26C」と呼ぶ。同様に、候補波形パラメータD26Cに基づいて決定された波形近似モデル情報を候補波形近似モデル情報D28Cと呼ぶ。同様に、候補波形近似モデル情報D28Cによって得られた特性カーブ情報D25を候補特性カーブ情報D25Cと呼ぶ。なお、図1においては、図示されている符号(例えば「D25」)に対して、アルファベット1文字を付した符号(例えば「D25C」)については図示を省略する。
図7のステップS102では、波形パラメータ探索部44は、候補波形パラメータD26Cの初期値を設定する。初期値が候補波形パラメータD26Cになる。次に、処理がステップS103に進むと、波形パラメータ探索部44は、候補波形パラメータD26Cに基づいて、波形近似モデル処理部24に対して、候補波形近似モデル情報D28Cを適用する。これにより、波形近似モデル処理部24は、バッテリ状態量D23と、候補波形近似モデル情報D28Cと、に基づいて、暫定的なOCVカーブを含む候補特性カーブ情報D25Cを算出する。
次に、処理がステップS104に進むと、波形パラメータ探索部44は、候補特性カーブ情報D25CにおけるOCVカーブが広義単調増加条件を充足しているか否かを判定する。ここで広義単調増加条件とは、SOCを変数xとし、OCVをf(x)としたとき、x1<x2ならばf(x1)≦f(x2)が成立すること、と定義する。
ステップS104において「No」と判定されると、処理はステップS105に進む。バッテリ10は、「SOCが増加したにもかかわらずOCVが減少することは無い」という物理的性質を有するため、ステップS104では、この性質を判定条件の一つとして利用している。仮に、この判定条件が満足されない場合は、例えば図4の特性F4Bに示したように、候補特性カーブ情報D25C(OCVカーブ)が取得データに過敏に反応し、カーブが乱高下している状態であると考えられる。
そのため処理S105において波形パラメータ探索部44は、候補波形パラメータD26Cの感度を低下させる。ここで「感度を低下させる」とは、OCVカーブがより滑らかになるように候補波形パラメータD26Cを調整することをいう。例えば、[数2]のカーネル関数を用いる場合には、ηiを小さくするとよい。ηiは、ある点の測定データが離れた点に与える影響の度合いを表しているため、これによりOCVカーブを滑らかにすることができる。その後、再度ステップS103、S104の処理が実行され、ステップS104において「Yes」と判定されるまで、波形パラメータ探索部44は波形パラメータの感度を下げ続ける。
このようにして広義単調増加条件が充足されると、ステップS104において「Yes」と判定され、次に処理はステップS106に進む。ここでは、バッテリ状態推定部30の変曲点算出部34は、候補特性カーブ情報D25Cの候補変曲点情報D34Cが、「変曲点条件」を充足しているか否かを判定する。ここで、候補変曲点情報D34Cとは、候補特性カーブ情報D25Cにおける一または複数の変曲点の位置(SOCの値)を示す情報である。また、「変曲点条件」とは、「候補変曲点情報D34Cに含まれる変曲点の数が所定数以上であるか否か」である。
バッテリ10の材料が決まれば変曲点の数と大まかな位置は所定範囲内に収まると考えられるので、この特徴を波形近似モデルの妥当性判定に用いることができる。OCVカーブの変曲点の数が多すぎる場合はSOC範囲の限定により波形近似モデルとして利用可能であるため、問題となるのは例えば図4の特性F4Cのように、変曲点の数が少なすぎる場合である。
候補変曲点情報D34Cに含まれる変曲点の数が所定数未満であれば、ステップS106において「No」と判定され、処理はステップS107に進む。この場合には、変曲点算出部34は、候補波形パラメータD26Cの感度を上昇させる。ここで「感度を上昇させる」とは、OCVカーブがより取得データを忠実にトレースするように波形パラメータを調整することをいう。[数2]のカーネル関数を用いる場合には、例えばθ0とθ3を大きくするとよい。その後、候補変曲点情報D34Cが変曲点条件を満たすまで、ステップS103、S104、S106、S107のループが繰り返される。なお、ステップS103~S107の繰り返し処理は、制約条件付き非線形計画法などを用いることにより自動化することができる。
ステップS104,S106において共に「Yes」と判定されると、処理はステップS108に進む。この時点で、バッテリ状態推定部30は、現時点の候補波形パラメータD26Cを、バッテリ10に対する波形パラメータD26として同定し、現時点の候補変曲点情報D34Cに基づいて変曲点探索情報D30を作成する。そして、バッテリ状態推定部30は、バッテリ10のタグ識別情報D41と、波形パラメータD26と、変曲点探索情報D30と、を対応付けた変曲点テーブルD71を作成する。
次に処理がステップS109に進むと、バッテリ状態推定部30は、バッテリ10のタグ識別情報D41と、バッテリ識別情報D43と、判定情報D31と、を対応付けたID・判定情報テーブルD72を作成する。
次に処理がステップS110に進むと、バッテリ状態推定部30は、バッテリ仕様情報テーブルD74を作成する。ここで、バッテリ仕様情報テーブルD74は、正極材料、負極材料、バッテリ容量、セル接続数など、バッテリ特性に大きく影響するバッテリ10の仕様(以下、主要仕様と呼ぶ)と、バッテリ10のタグ識別情報D41と、を対応付けたテーブルである。なお、セル接続数とは、多セルモジュールにおける電池セルの直列接続数、並列接続数等である。
次に、処理がステップS111に進むと、バッテリ状態推定部30は、変曲点テーブルD71、ID・判定情報テーブルD72およびバッテリ仕様情報テーブルD74を、それぞれ通信部12を介してバッテリ情報サーバ14に送信する。これにより、バッテリ情報サーバ14は、データベース15に対して、変曲点テーブルD71、ID・判定情報テーブルD72およびバッテリ仕様情報テーブルD74を記録する。
ところで、本実施形態では、バッテリ識別情報D43が得られる場合は、これに基づいてバッテリ情報サーバ14から波形パラメータD26を取得できるため、バッテリ仕様情報テーブルD74は必ずしも必要ではない。しかし、バッテリ識別情報D43が設定されていない場合や、バッテリ識別情報D43が得られない場合も考えられるため、このような場合にバッテリ仕様情報テーブルD74を用いるとよい。なお、バッテリ識別情報D43が得られない場合の状態診断装置11の挙動については後述する。
図8,図9は、状態推定ルーチンのフローチャートである。
図8において処理がステップS121に進むと、識別情報取得部42はバッテリ識別情報D43を取得できたか否かを判定する。ここで「Yes」と判定されると、処理はステップS122に進む。
ステップS122では、識別情報取得部42は、バッテリ識別情報D43に変更が生じたか否かを判定する。例えば、ユーザがバッテリ10を交換した場合には、今回取得したバッテリ識別情報D43は前回のものと異なる。この場合に、ステップS122では「Yes」と判定される。ステップS122において「Yes」と判定されると、処理はステップS123に進む。
ステップS123においては、識別情報取得部42は、通信部12を介して、バッテリ情報サーバ14に対して、バッテリ識別情報D43を送信する。これにより、バッテリ情報サーバ14は、供給されたバッテリ識別情報D43に対応する波形パラメータD26と、変曲点探索情報D30と、判定情報D31と、を検索し、これらの情報を状態診断装置11に送信する。次に、処理がステップS124に進むと、状態診断装置11は、供給された波形パラメータD26と、変曲点探索情報D30と、判定情報D31と、を取得する。
次に、処理がステップS125に進むと、バッテリ状態推定部30および波形パラメータ探索部44は、ステップS124で取得した情報に基づいて、状態診断装置11の各種データ設定を行う。すなわち、波形パラメータ探索部44は、波形パラメータD26に基づいて波形近似モデル情報D28の状態を設定する。また、バッテリ状態推定部30は、変曲点探索情報D30および判定情報D31に基づいて、変曲点算出部34および変曲点位置比較部36の状態を設定する。
ステップS125の処理が終了すると、次に処理はステップS126に進む。また、上述したステップS122において「No」と判定された場合も、処理はステップS126に進む。ステップS126においては、データ加工部22は、センサ情報D21を取得する。次に、処理がステップS127に進むと、データ加工部22は、センサ情報D21に基づいて離散的なバッテリ状態量D23を算出する。
次に、処理がステップS128に進むと、波形近似モデル処理部24は、波形近似モデル情報D28と、バッテリ状態量D23と、に基づいて、特性カーブ情報D25を算出する。次に、処理がステップS129に進むと、変曲点算出部34は、特性カーブ情報D25に基づいて、変曲点情報D34を算出する。
次に、処理がステップS130に進むと、変曲点位置比較部36は、変曲点情報D34に基づいて、SOHを含むバッテリ状態情報D32を算出する。次に、処理がステップS131に進むと、通信部12は、SOHを含むバッテリ状態情報D32を、バッテリ運用履歴ストレージ16に送信し、本ルーチンの処理が終了する。
一方、上述したステップS121において「No」と判定された場合、すなわち識別情報取得部42がバッテリ識別情報D43を取得できなかった場合、処理は図9のステップS136に進む。図9のステップS136においては、上述したステップS126(図8参照)と同様に、データ加工部22は、センサ情報D21を取得する。次に、処理がステップS137に進むと、上述したステップS127(図8参照)と同様に、データ加工部22は、センサ情報D21に基づいて離散的なバッテリ状態量D23を算出する。
次に、処理がステップS141に進むと、バッテリ状態推定部30は、バッテリ10に関する既知情報D74Pをバッテリ情報サーバ14に送信する。ここで、既知情報D74Pとは、上述したバッテリ仕様情報テーブルD74に含まれ得る情報のうち、既に状態診断装置11が把握している内容を指す。
バッテリ情報サーバ14は、通信網13を介して既知情報D74Pを受信すると、既知情報D74Pに基づいて、バッテリ10に対して推定される好適な波形近似モデル情報D28を作成するためにデータベース15から候補となる1件の波形パラメータを探索する。例えば、バッテリ10の容量が既知であり、これが既知情報D74Pに含まれていた場合には、バッテリ情報サーバ14は、バッテリ10の容量をキーとして検索することにより、候補波形パラメータD26Cを検索する。
これにより、容量が不明の場合と比較して、波形パラメータD26の候補数を削減でき、探索時間を低減することができる。また、正極材料、負極材料まで既知である場合には、候補をさらに大幅に絞り込める。バッテリ情報サーバ14によって探索された、波形パラメータD26の候補を、候補波形パラメータD26Cと呼ぶ。そして、バッテリ情報サーバ14は、探索した1個の候補波形パラメータD26Cを、状態診断装置11に送信する。
バッテリ情報サーバ14が1個の候補波形パラメータD26Cを送信すると、状態診断装置11において処理はステップS142に進み、波形パラメータ探索部44はこの候補波形パラメータD26Cを受信する。その後、状態診断装置11においては、ステップS154においてループを抜けるか、全ての候補波形パラメータD26Cの受信が完了するまでステップS150~ステップS158のループを繰り返す。
まず、ステップS151において、波形パラメータ探索部44は、候補波形パラメータD26Cに基づいて、波形近似モデル処理部24に対して候補波形近似モデル情報D28Cを作成させる。これにより、波形近似モデル処理部24は、バッテリ状態量D23と、候補波形近似モデル情報D28Cと、に基づいて、候補特性カーブ情報D25Cを算出する。
次に、処理がステップS152に進むと、上述したステップS104の処理と同様に、波形パラメータ探索部44は候補特性カーブ情報D25CにおけるOCVカーブが広義単調増加条件を充足しているか否かを判定する。
ここで「Yes」と判定されると、処理はステップS154に進む。ここでは、上述したステップS106の処理と同様に、バッテリ状態推定部30の変曲点算出部34は、候補特性カーブ情報D25Cの変曲点を示す候補変曲点情報D34Cが、変曲点条件を充足しているか否かを判定する。
ステップS152,S154の何れかにおいて「No」と判定されると、処理はステップS156に進む。ここでは、波形パラメータ探索部44は、バッテリ情報サーバ14から、次の新たな候補波形パラメータD26Cを受信する。そして、新たな候補波形パラメータD26Cを受信すると、波形パラメータ探索部44において、ステップS151以降の処理が繰り返される。
一方、ステップS156において、新たな候補波形パラメータD26Cが受信できなかった場合、すなわち、適切な候補波形パラメータD26Cが得られないまま、データベース15に記憶された全ての候補波形パラメータD26Cの探索が終了した場合、処理はステップS160に進む。
ステップS160においては、バッテリ状態推定部30は、別診断手法によってバッテリ10のSOHを推定する。例えば、SOHは使用開始時からの経過時間の平方根にほぼ比例するが知られているため、これによってSOHを推定することができる。また、過去の充電回数をカウントすることによってもSOHを推定することができる。ステップS160においては、このような簡易的な手法によってSOHを推定するとよい。
ステップS160においてバッテリ状態推定部30がSOHを推定すると、処理はステップS131(図8参照)に進む。ここでは、上述したように、通信部12は、SOHすなわちバッテリ状態情報D32を、バッテリ運用履歴ストレージ16に送信し、本ルーチンの処理が終了する。
また、候補特性カーブ情報D25Cが広義単調増加条件と、変曲点条件と、を共に満たす場合、ステップS152,S154において共に「Yes」と判定され、処理はステップS164に進む。ステップS164においては、上述したステップS124と同様に、状態診断装置11は、供給された波形パラメータD26と、変曲点探索情報D30と、判定情報D31と、を取得(受信)する。
次に、処理がステップS165に進むと、上述したステップS125の処理と同様に、バッテリ状態推定部30および波形パラメータ探索部44は、ステップS164で取得した情報に基づいて、状態診断装置11の各種データ設定を行う。すなわち、波形パラメータ探索部44は、波形パラメータD26に基づいて波形近似モデル情報D28の状態を設定する。また、バッテリ状態推定部30は、変曲点探索情報D30および判定情報D31に基づいて、変曲点算出部34および変曲点位置比較部36の状態を設定する。そして、上述したステップS129,S130,S131が実行され、本ルーチンの処理が終了する。
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態による状態診断システム102のブロック図である。なお、以下の説明において、上述した第1実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
本実施形態の状態診断システム102においては、波形パラメータ探索部44がバッテリ情報サーバ14の内部に設けられている。但し、波形パラメータ探索部44の構成要素のうち、バッテリ状態診断装置27は状態診断装置11に残されている。また、状態診断装置11には、データ保持部45が設けられている。
データ保持部45は、データ加工部22から出力されたバッテリ状態量D23を保持する。さらに、データ保持部45は、通信部12および通信網13を介して、バッテリ状態量D23を、バッテリ情報サーバ14内の波形パラメータ探索部44に供給する。上述した以外の本実施形態の構成、動作は第1実施形態のもの(図1参照)と同様である。
状態診断装置11は、例えば車両(図示せず)に設けられた車載用のマイクロコンピュータによって実現することが考えられる。しかし、車載用のマイクロコンピュータでは、波形パラメータ探索部44を実現するために充分な処理能力が得られない場合も考えられる。このような場合、本実施形態のように、車両の外部に設けられたバッテリ情報サーバ14に波形パラメータ探索部44を設けることが好ましい。これにより、一般的に計算能力が高いバッテリ情報サーバ14を用いて、より短い時間で最適な波形パラメータD26を探索することができる。
但し、本実施形態では、状態診断装置11とバッテリ情報サーバ14間の通信が、バッテリ状態診断を行う場合に常に確立していることが必要となる。このため、例えば状態診断装置11が充電器設備(図示せず)に設けられているような場合に本実施形態を採用することが好ましい。充電器は定置設備であることが多く、この場合は有線で通信路を確立できるため、無線を用いる場合と比較して通信の信頼性を高めることができる。
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態による状態診断システム103のブロック図である。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図1に示した構成では、車載、あるいは充電器17の近傍等、バッテリ情報を直接取り扱うことができる箇所に状態診断装置11を配置することが好ましかった。これに対して、図11は、状態診断装置11の機能をネットワーク経由でアプリケーションプログラムによって利用できるようにしたものである。
図11において、状態診断システム103は、データロガー46と、バッテリ運用履歴ストレージ16と、バッテリ情報サーバ14と、データロガー46と、を備えている。また、アプリケーションサーバ装置48は、状態診断装置11を備えている。本実施形態における状態診断装置11は、データ加工部22と、波形パラメータ探索部44と、バッテリ状態推定部30と、通信部12bと、を備えている。
また、データロガー46は、通信部12aと、データ取得部47と、を備えている。データ取得部47は、バッテリ10のセンサ情報を逐次またはまとめて、通信部12aを介してバッテリ情報サーバ14に送信する。
アプリケーションサーバ装置48は、アプリケーションサーバ装置側の通信部12bを用いてセンサ情報D21を受け取る。また、アプリケーションサーバ装置48はアプリケーションサーバ装置側の通信部12bを用いて、バッテリ情報サーバ14からデータベース15の情報を取得する。アプリケーションサーバ装置48は、受け取ったセンサ情報D21に基づいて、第1実施形態と同様の処理(図8、図9参照)によって、バッテリ10のSOH等、バッテリ状態情報D32を算出する。
算出されたバッテリ状態情報D32は、通信部12bを介して、バッテリ運用履歴ストレージ16に送出され、バッテリ10の交換通知サービスやバッテリ価格決定等のバッテリ関連サービスに利用される。本実施形態によれば、通信網13上にバッテリ診断サービスを提供するアプリケーションサーバ装置48が数多く存在する場合に好適である。
一般的に診断対象とするバッテリは非常に多いため、アプリケーションサーバ装置48が少ない場合にはアプリケーションサーバ装置48の負荷が高くなる。しかし、今後バッテリ診断サービスが普及し、多くのアプリケーションサーバ装置48が提供されるとみられている。この場合にはアプリケーションサーバ装置48の一台あたり診断対象とするバッテリの数が少なくなるため、高性能なアプリケーションサーバ装置48の負荷が軽くなり、十分な性能が得られる。この場合、状態診断装置11が車載機器として搭載される場合と比較してバージョンアップなどの対応が容易になるという利点がある。
[第4実施形態]
図12は、第4実施形態による状態診断システム104のブロック図である。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図12において、電動車両60(車両)は、バッテリ10と、BMS(Battery Management System:バッテリマネジメントシステム)61と、を備えている。そして、BMS61は、状態診断装置11を備えている。
本実装形態では、電動車両60において通信網13を介した通信ができない場合においても、状態診断装置11は、常にバッテリ10の運用状態を取得することができる。バッテリ交換時に一回波形パラメータ等が更新できていれば、電波状態の良くない地域を走行している場合においても常に状態の推定を行うことができるという効果がある。また、バッテリマネジメントシステム61はその目的のため電流、電圧センサを既に搭載しているため、状態診断装置11を安価に実現できるという利点がある。
[第5実施形態]
図13は、第5実施形態による状態診断システム105のブロック図である。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図13において、電動車両60はバッテリ10を備えており、充電器62は状態診断装置11を備えている。一般に、充電器62は定置運用されるため、重量的に余裕があり、状態診断装置11に対して高性能なマイクロコンピュータを用いることが可能である。また、有線で通信網13に接続することもでき、通信品質も安定している。その結果、高速にバッテリ10の状態推定ができるという効果がある。また、推定したバッテリの劣化状態を用いて、充電方法を変更する用途にも適用可能となる効果がある。
[実施形態の効果]
以上のように上述の実施形態によれば、状態診断装置(11)は、計測対象であるバッテリ(10)の状態量(D21)と、状態量(D21)からバッテリ(10)の特性カーブ情報(D25)を導出する波形近似モデル情報(D28)と、に基づいて特性カーブ情報(D25)を取得する波形近似モデル処理部(24)と、特性カーブ情報(D25)における所定条件を満たす特徴点(51a,51b,52a,52b)の位置に基づいて、バッテリ(10)の状態を推定するバッテリ状態推定部(30)と、複数種類のバッテリ(10)に対応して各種類に応じた特性カーブ情報(D25)の波形形状を各々決定するための複数の波形パラメータ(D26)を記憶するデータベース(15)から、計測対象のバッテリ(10)に対応する波形パラメータ(D26)を選択し、波形近似モデル情報(D28)に適用する波形パラメータ探索部(44)と、を備える。これにより、計測対象のバッテリ(10)に対応する波形パラメータ(D26)を選択し、波形近似モデル情報(D28)に適用できるため、バッテリ(10)の状態を適切に判定できる。
また、特性カーブ情報(D25)は、バッテリ(10)の充電率(SOC)に対する端子開放電圧(OCV)の特性であり、バッテリ状態推定部(30)は、波形パラメータ(D26)の候補値である候補波形パラメータ(D26C)に基づいて算出した候補特性カーブ情報(D25C)が、広義単調増加条件を満たすことを条件として、候補波形パラメータ(D26C)を波形パラメータ(D26)に設定すると一層好ましい。これにより、適切な候補波形パラメータ(D26C)を波形パラメータ(D26)として設定できる。
また、特徴点(51a,51b,52a,52b)は、特性カーブ情報(D25)に生じる変曲点であり、バッテリ状態推定部(30)は、特性カーブ情報(D25)が所定の変曲点条件を満たすことをさらなる条件として、候補波形パラメータ(D26C)を波形パラメータ(D26)に設定すると一層好ましい。これにより、一層適切な候補波形パラメータ(D26C)を波形パラメータ(D26)として設定できる。
また、変曲点条件は、一つの特徴点(51a,52a)は候補特性カーブ情報(D25C)において充電率(SOC)が50%未満の領域に現れ、他の一つの特徴点(51b,52b)は候補特性カーブ情報(D25C)において充電率(SOC)が50%を超える領域に現れ、かつ、全ての特徴点(51a,51b,52a,52b)の数は「2」または「3」である、という条件であると一層好ましい。これにより、特にバッテリ(10)がリチウムイオンバッテリである場合に、一層適切な候補波形パラメータ(D26C)を波形パラメータ(D26)として設定できる。
また、上述の実施形態は、他の見地によれば、バッテリ(10)の状態を判定する状態診断システム(101)であって、バッテリ(10)の状態量(D21)に基づいて、バッテリ(10)の状態を推定する状態診断装置(11)と、通信網(13)を介して、状態診断装置(11)との間でデータを送受信するサーバ装置(14)と、を備え、サーバ装置(14)は、バッテリ(10)を特定する識別情報(D41,D43)または状態量(D21)と、バッテリ(10)の特性カーブ情報(D25)の波形形状を決定する波形パラメータ(D26)と、を対応付けて記憶するデータベース(15)を備え、波形近似モデル情報(D28)と、状態量(D21)と、に基づいてバッテリ(10)の特性カーブ情報(D25)を取得する波形近似モデル処理部(24)と、特性カーブ情報(D25)における所定条件を満たす特徴点(51a,51b,52a,52b)の位置に基づいてバッテリ(10)の状態を推定するバッテリ状態推定部(30)と、特性カーブ情報(D25)の波形形状を決定する波形パラメータ(D26)をデータベース(15)から読み出す波形パラメータ探索部(44)と、を備える。これにより、この構成においても、計測対象のバッテリ(10)に対応する波形パラメータ(D26)を選択し、波形近似モデル情報(D28)に適用できるため、バッテリ(10)の状態を適切に判定できる。
また、特性カーブ情報(D25)は、バッテリ(10)の充電率(SOC)に対する端子開放電圧(OCV)の特性であり、バッテリ状態推定部(30)は、波形パラメータ(D26)の候補値である候補波形パラメータ(D26C)に基づいて算出した候補特性カーブ情報(D25C)が、広義単調増加条件を満たすことを条件として、当該候補波形パラメータ(D26C)を波形パラメータ(D26)に設定すると一層好ましい。これにより、適切な候補波形パラメータ(D26C)を波形パラメータ(D26)として設定できる。
また、波形パラメータ探索部(44)は、サーバ装置(14)に設けられ、通信網(13)を介して状態量(D21)を受信し、広義単調増加条件に基づいて波形パラメータ(D26)を選択する機能を有すると一層好ましい。波形パラメータの探索には、通常は多数回の試行が必要となる。上述した第2実施形態(図9参照)によれば、サーバ装置(14)が波形パラメータ探索部(44)を備えるため、データベース(15)に対して直接的に波形パラメータのやりとりが行えるようになる。これにより、通信によるオーバヘッドを抑制でき、処理時間を一層低減させることができる。
また、波形近似モデル処理部(24)およびバッテリ状態推定部(30)は、車両(60)に搭載されたバッテリマネジメントシステム(61)によって実現しても好ましい。特に、車両(60)が電動車両である場合、バッテリマネジメントシステム(61)が通信網(13)に対する通信が確保できていない場合においても、バッテリ(10)の運用状態を取得することができる。例えば、バッテリ(10)の交換時に一回波形パラメータ等が更新できていれば、電波状態の良くない地域を走行している場合においても常に状態の推定を行うことができるという効果がある。
また、波形近似モデル処理部(24)およびバッテリ状態推定部(30)は、バッテリ(10)を搭載した車両(60)に接続される充電器(62)によって実現しても好ましい。一般的に充電器(62)は定置運用されるため、重量的に余裕があり、高性能なマイクロコンピュータを用いることが可能である。また、有線で通信網(13)に接続することもでき、通信品質も安定している。その結果、高速にバッテリ(10)の状態推定ができるという効果がある。また、推定したバッテリの劣化状態を用いて充電方法を変更するという用途にも適用可能となる効果がある。
また、波形近似モデル処理部(24)およびバッテリ状態推定部(30)は、サーバ装置(14)によって実現しても好ましい。これにより、サーバ装置(14)が有する有する計算機資源を有効利用することが可能となり、計算時間を一層低減することができる。
また、第3実施形態の状態診断システム103のように、通信網(13)に接続されたアプリケーションサーバ装置(48)をさらに備え、波形近似モデル処理部(24)およびバッテリ状態推定部(30)は、アプリケーションサーバ装置(48)によって実現しても好ましい。特に、アプリケーションサーバ装置(48)を複数設けることにより、バッテリ(10)側は、アイドル状態となっているアプリケーションサーバ装置(48)を随時選択し、バッテリ(10)の状態推定を行わせることができる。このことにより、状態推定にかかる待ち時間を一層削減でき、平均処理時間を短縮できる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、もしくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
(1)上記実施形態における状態診断装置11、バッテリ情報サーバ14等のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、図7~図9に示したフローチャート、その他上述した各種処理を実行するプログラム等を記憶媒体に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
(2)図7~図9に示した処理、その他上述した各処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
(3)上記各実施形態においては、バッテリ情報サーバ14等は、タグ識別情報D41またはバッテリ識別情報D43によってバッテリ10を特定したが、センサ情報D21によってバッテリ10を特定してもよい。
(4)また、上記各実施形態において、特徴点とは「変曲点」であったが、変曲点以外の点を特徴点としてもよい。
(5)状態診断装置11の機能は、上述した各実施形態の例以外にも、様々な機器によって実現することができる。例えば、波形近似モデル処理部24およびバッテリ状態推定部30等を含む状態診断装置11の機能全体をバッテリ情報サーバ14によって実現してもよい。
10 バッテリ
11 状態診断装置
13 通信網
14 バッテリ情報サーバ(サーバ装置)
15 データベース
24 波形近似モデル処理部
30 バッテリ状態推定部
44 波形パラメータ探索部
48 アプリケーションサーバ装置
51a,52a 低SOC側変曲点(特徴点)
51b,52b 低SOC側変曲点(特徴点)
60 電動車両(車両)
61 バッテリマネジメントシステム
62 充電器
101,102,103,104,105 状態診断システム
D21 センサ情報(状態量)
D25 特性カーブ情報
D26 波形パラメータ
D28 波形近似モデル情報
D41 タグ識別情報(識別情報)
D43 バッテリ識別情報(識別情報)
D25C 候補特性カーブ情報
D26C 候補波形パラメータ

Claims (11)

  1. 計測対象であるバッテリの状態量と、前記状態量から前記バッテリの特性カーブ情報を導出する波形近似モデル情報と、に基づいて前記特性カーブ情報を取得する波形近似モデル処理部と、
    前記特性カーブ情報における所定条件を満たす特徴点の位置に基づいて、前記バッテリの状態を推定するバッテリ状態推定部と、
    複数種類の前記バッテリに対応して各種類に応じた前記特性カーブ情報の波形形状を各々決定するための複数の波形パラメータを記憶するデータベースから、計測対象の前記バッテリに対応する前記波形パラメータを選択し、前記波形近似モデル情報に適用する波形パラメータ探索部と、を備える
    ことを特徴とする状態診断装置。
  2. 前記特性カーブ情報は、前記バッテリの充電率に対する端子開放電圧の特性であり、
    前記バッテリ状態推定部は、前記波形パラメータの候補値である候補波形パラメータに基づいて算出した候補特性カーブ情報が、広義単調増加条件を満たすことを条件として、前記候補波形パラメータを前記波形パラメータに設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の状態診断装置。
  3. 前記特徴点は、前記特性カーブ情報に生じる変曲点であり、
    前記バッテリ状態推定部は、前記特性カーブ情報が所定の変曲点条件を満たすことをさらなる条件として、前記候補波形パラメータを前記波形パラメータに設定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の状態診断装置。
  4. 前記変曲点条件は、
    一つの前記特徴点は前記候補特性カーブ情報において前記充電率が50%未満の領域に現れ、他の一つの前記特徴点は前記候補特性カーブ情報において前記充電率が50%を超える領域に現れ、かつ、全ての前記特徴点の数は「2」または「3」である、という条件である
    ことを特徴とする請求項3に記載の状態診断装置。
  5. バッテリの状態を判定する状態診断システムであって、
    前記バッテリの状態量に基づいて、前記バッテリの状態を推定する状態診断装置と、
    通信網を介して、前記状態診断装置との間でデータを送受信するサーバ装置と、を備え、
    前記サーバ装置は、前記バッテリを特定する識別情報または前記状態量と、前記バッテリの特性カーブ情報の波形形状を決定する波形パラメータと、を対応付けて記憶するデータベースを備え、
    波形近似モデル情報と、前記状態量と、に基づいて前記バッテリの前記特性カーブ情報を取得する波形近似モデル処理部と、
    前記特性カーブ情報における所定条件を満たす特徴点の位置に基づいて前記バッテリの状態を推定するバッテリ状態推定部と、
    前記特性カーブ情報の波形形状を決定する前記波形パラメータを前記データベースから読み出す波形パラメータ探索部と、を備える
    ことを特徴とする状態診断システム。
  6. 前記特性カーブ情報は、前記バッテリの充電率に対する端子開放電圧の特性であり、
    前記バッテリ状態推定部は、前記波形パラメータの候補値である候補波形パラメータに基づいて算出した候補特性カーブ情報が、広義単調増加条件を満たすことを条件として、当該候補波形パラメータを前記波形パラメータに設定する
    ことを特徴とする請求項5に記載の状態診断システム。
  7. 前記波形パラメータ探索部は、前記サーバ装置に設けられ、前記通信網を介して前記状態量を受信し、広義単調増加条件に基づいて波形パラメータを選択する機能を有する
    ことを特徴とする請求項5に記載の状態診断システム。
  8. 前記波形近似モデル処理部および前記バッテリ状態推定部は、車両に搭載されたバッテリマネジメントシステムによって実現される
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の状態診断システム。
  9. 前記波形近似モデル処理部および前記バッテリ状態推定部は、バッテリを搭載した車両に接続される充電器によって実現される
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の状態診断システム。
  10. 前記波形近似モデル処理部および前記バッテリ状態推定部は、前記サーバ装置によって実現される
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の状態診断システム。
  11. 前記通信網に接続されたアプリケーションサーバ装置をさらに備え、
    前記波形近似モデル処理部および前記バッテリ状態推定部は、前記アプリケーションサーバ装置によって実現される
    ことを特徴とする請求項5に記載の状態診断システム。
JP2022036534A 2022-03-09 2022-03-09 状態診断装置および状態診断システム Pending JP2023131650A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022036534A JP2023131650A (ja) 2022-03-09 2022-03-09 状態診断装置および状態診断システム
PCT/JP2023/000629 WO2023171119A1 (ja) 2022-03-09 2023-01-12 状態診断装置および状態診断システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022036534A JP2023131650A (ja) 2022-03-09 2022-03-09 状態診断装置および状態診断システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023131650A true JP2023131650A (ja) 2023-09-22

Family

ID=87936698

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022036534A Pending JP2023131650A (ja) 2022-03-09 2022-03-09 状態診断装置および状態診断システム

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2023131650A (ja)
WO (1) WO2023171119A1 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014088325A1 (ko) * 2012-12-04 2014-06-12 주식회사 엘지화학 이차 전지의 방전 심도 추정 장치 및 방법
US10393813B2 (en) * 2013-08-27 2019-08-27 The Regents Of The University Of Michigan On-board state of health monitoring of batteries using incremental capacity analysis
JP6245094B2 (ja) * 2014-06-30 2017-12-13 日立化成株式会社 電池システム
JP2018048913A (ja) * 2016-09-21 2018-03-29 カルソニックカンセイ株式会社 バッテリのパラメータ推定装置及びパラメータ推定方法
CN110954832A (zh) * 2019-12-19 2020-04-03 北京交通大学 一种识别老化模式的锂离子电池健康状态在线诊断方法
JP6944208B2 (ja) * 2020-01-20 2021-10-06 東洋システム株式会社 充電器
CN111693882B (zh) * 2020-06-30 2022-09-06 厦门金龙联合汽车工业有限公司 一种换电电池健康状态的评价方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023171119A1 (ja) 2023-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wang et al. An adaptive remaining energy prediction approach for lithium-ion batteries in electric vehicles
Basia et al. Review on State of Health estimation methodologies for lithium-ion batteries in the context of circular economy
KR100818520B1 (ko) 전기화학셀(cell)의 현재 상태와 현재 파라미터를추정하는 장치, 방법 및 시스템 및 기록매체
JP5694088B2 (ja) 二次電池の劣化管理システム
CN102998623B (zh) 蓄电池荷电状态的在线估算方法及系统
US7197487B2 (en) Apparatus and method for estimating battery state of charge
CN113391213B (zh) 一种基于电池组一致性演变的电池微故障诊断方法
Kessels et al. On-line battery identification for electric driving range prediction
CN109814041A (zh) 一种锂离子电池双卡尔曼滤波容量估计方法
CN111983457A (zh) 一种基于lstm神经网络的电池组soh估算方法
CN109799463A (zh) 基于大数据方法的实际运行工况下动力电池soc/soh/sop的估计与预测方法
CN114609524A (zh) 运行提供电储能器的预测老化状态的系统的方法和装置
US20220011370A1 (en) Apparatus for mining battery characteristic data having sensitivity to solid phase diffusion coefficient of battery electrode and method thereof
KR102246633B1 (ko) 하이브리드 varma 및 lstm을 이용한 배터리의 출력 전압 응답 및 충전 상태 예측 최적화 방법
CN113075569A (zh) 一种基于噪声自适应粒子滤波的电池荷电状态估计方法和装置
CN113752903A (zh) 可再充电的电池的退化状态的成本低廉且精确的求取
CN112269133B (zh) 一种基于预充电路模型参数识别的soc估计方法
CN113884905B (zh) 基于深度学习的动力电池荷电状态估计方法及系统
Havangi Adaptive robust unscented Kalman filter with recursive least square for state of charge estimation of batteries
CN115994441A (zh) 基于机理信息的大数据云平台在线电池寿命预测方法
CN113687237B (zh) 一种保障电气安全的锂电池剩余充电时间预测方法
CN113495214B (zh) 一种基于温度变化模型的超级电容荷电状态估计方法
WO2023171119A1 (ja) 状態診断装置および状態診断システム
US20230003802A1 (en) Lebesgue sampling-based lithium-ion battery state-of-charge diagnosis and prognosis
CN116413606A (zh) 动力电池健康状态估计方法、系统及介质

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240711