JP2023131619A - 溶銑温度の測定方法および高炉の操業方法 - Google Patents

溶銑温度の測定方法および高炉の操業方法 Download PDF

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【課題】溶銑の温度を精度良く測定し、高炉内の熱的状態をより正確に把握する溶銑温度の測定方法及び高炉の操業方法を提供する。【解決手段】高炉の出銑孔を開孔機で開孔した時点において、前記開孔機の開孔ビットが備える温度センサで前記高炉内の開孔位置において溶銑の温度を測定することを特徴とする溶銑温度の測定方法。【選択図】図1

Description

本発明は、高炉の溶銑温度の測定方法及び高炉の操業方法に関する。
従来、溶銑温度の測定は、出銑滓樋のスキンマーでスラグが分離除去された後、スキンマーの溶銑溜めにおいてイマージョン型(浸漬型)温度計を溶銑に浸漬することにより行われている。また、測定した溶銑温度に基づき炉内の熱的状態を把握し、必要なアクションが実施される。
しかし、出銑初期の溶銑は出銑孔からスキンマーまでの流動過程で大気への放熱の他、出銑滓樋への抜熱が生じる。そのため、従来の方法の場合、出銑初期の期間は放熱等によって低下した溶銑温度が測定されることになる。その後、時間経過と共に出銑滓樋等が昇熱し、溶銑溜めで測定される溶銑温度が徐々に上昇するが、通常であれば温度の測定値が安定するまで1時間程度かかる。従って、特に出銑初期に測定される溶銑温度は炉内熱的状態を反映しておらず、さらに安定するまでのタイムラグが存在するという問題点がある。
また、溶銑温度の測定方法として出銑孔から排出される溶銑流に金属管で被覆された光ファイバーを差し込んで測定する方法も提案されている(特許文献1)。出銑孔のすぐ下流側で溶銑の温度を測定するので、溶銑が出銑滓樋に流れて温度が低下する前に温度を測定できる。
特開平11-222611号公報
しかし、特許文献1の方法でも大気への放熱は発生する。また、出銑孔は高炉内から出銑孔開口部まで4mほどの長さがあり、出銑孔内部での抜熱が生じる。そのため、特許文献1の方法でも、高炉内の熱的状態を正確に反映した溶銑温度を測定できるわけではないという問題があった。
本発明は、溶銑の温度を精度良く測定し、高炉内の熱的状態をより正確に把握する溶銑温度の測定方法及び高炉の操業方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その発明の要旨は以下の通りである。
(1)高炉の出銑孔を開孔機で開孔した時点において、前記開孔機の開孔ビットが備える温度センサで前記高炉内の開孔位置において溶銑の温度を測定することを特徴とする溶銑温度の測定方法。
(2)上記(1)に記載の方法で測定した溶銑温度である炉内溶銑温度と、出銑滓樋への抜熱による溶銑温度の変動が安定した後にスキンマーにおいて測定される溶銑温度である平均溶銑温度との温度差に基づき炉内の熱的状態を判定することを特徴とする高炉の操業方法。
(3)前記温度差が、炉内の熱的状態が正常であると判断すべき所定の範囲内であるか否かに基づいて前記判定を行うことを特徴とする上記(2)に記載の高炉の操業方法。
(4)前記温度差が前記所定の範囲の上限値を超える場合には、炉周辺部の熱的状態に異常があると判定することを特徴とする上記(3)に記載の高炉の操業方法。
(5)前記炉周辺部の熱的状態に異常があると判定した場合に、炉周辺部における、鉱石装入量とコークス装入量の比であるO/C比を低下させるアクションを行うことを特徴とする上記(4)に記載の高炉の操業方法。
(6)前記温度差が前記所定の範囲の下限値未満である場合には、炉芯不活性状態であると判定することを特徴とする上記(3)から(5)のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
(7)前記炉芯不活性状態であると判定した場合に、コークス比の上昇、還元材比の上昇、装入コークス強度の上昇および装入コークス粒度の上昇のいずれか一つ又は複数のアクションを行うことを特徴とする上記(6)に記載の高炉の操業方法。
(8)前記温度差の前記所定範囲は、15℃以上25℃以下であることを特徴とする上記(3)から(7)のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
本発明によれば、溶銑の温度を精度良く測定し、高炉内の熱的状態をより正確に把握する溶銑温度の測定方法及び高炉の操業方法を提供することができる。
本実施形態に係る高炉の出銑孔及び出銑滓樋付近の構成を模式的に示す構成図である。 炉熱が変動した場合の測定位置aにおける溶銑温度T1と測定位置bにおける溶銑温度T2の変化を模式的に示したグラフである。 本実施形態の高炉の操業方法の流れを示すフローチャートである。 高炉反応熱流動モデルにより計算した、炉下部を滴下する溶銑の温度(滴下溶銑温度)の炉半径方向分布を示すグラフである。 測定位置aの溶銑温度の計算値と、測定位置bにおける溶銑温度の実測値の経時変化を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る高炉1の出銑孔2及び出銑滓樋4付近の構成を模式的に示す構成図である。高炉1において、出銑孔2が開孔されると、出銑孔2から溶銑滓が出銑滓樋4に排出される。出銑滓樋4においては、途中のスキンマー8で比重差により溶銑滓がスラグと溶銑とに分離される。スラグは滓樋6から排出されて回収され、溶銑はスキンマー8の下方をくぐり、溶銑溜め10および溶銑樋を流れてトピードカーに排出される。
そして本実施形態では、出銑孔2を開孔した時点での炉内の溶銑温度である溶銑温度Taを測定位置aで測定するために、開孔ビットに熱電対などの温度センサを備えた開孔機を用いる。開孔機は、既存の油圧式開孔機で構成されればよく、開孔ロッドの先端の開孔ビットで出銑孔2を掘削する。開孔ビットは、出銑孔2の掘削時に振動、衝撃を受け、掘削が進むと炉内溶銑の輻射熱を受ける。したがって、これらの振動、衝撃及び輻射熱から温度センサを保護するために、開孔ビットは耐振動性、耐衝撃性及び耐熱性を備えた構造(例えば、特開平8-21768号公報参照)とすることが望ましい。なお、開孔ビットの温度センサは、後述の通り開孔時に溶銑温度を測定できる程度の耐熱性があればよく、測定後に熱によって損耗し測定不能となるものでもよい。
また、スキンマー8の溶銑溜め10においては、既存のイマージョン型(浸漬型)温度計を浸漬して、スラグとの分離後の溶銑温度である平均溶銑温度Tbが測定される。図1において、スキンマー8での平均溶銑温度Tbの測定位置を測定位置bとして示す。
(溶銑温度の測定方法)
次に、本実施形態の溶銑温度測定方法を説明する。本実施形態の溶銑温度の測定方法は、開孔機の開孔ビットで出銑孔2を開孔した際に、上記開孔ビットが備える温度センサで炉内における開孔位置において溶銑温度を測定するものである。
具体的には、まず出銑のために出銑孔2を開孔機の開孔ビットで掘削する。そして、出銑孔2が炉内に貫通して開孔した時点で、開孔ビットの温度センサで炉内に貫通した位置である出銑孔2の炉内開口部2aの位置において溶銑温度を測定する。本実施形態において当該測定位置が図1の測定位置aであり、測定位置aで貫通直後に測定された溶銑温度が、炉内溶銑温度としての溶銑温度Taである。なお、通常は出銑孔2を閉塞するマッドが炉内側にも堆積しているので、炉壁内の出銑孔2に続いて堆積したマッドも掘削して炉内に貫通した位置が測定位置aとなる。
出銑孔2が開孔した時点は、以下のような方法で特定できるが、開孔したタイミングを特定できる方法であればこれらの方法に限定されない。例えば、開孔機の押し込み反力やトルクを測定し、それらが急激に低減した時点を開孔した時点とすることができる。また、開孔機を駆動する油圧ポンプの電流値を測定し、電流値が急激に低減した時点を開孔した時点とすることができる。また、溶銑が炉外へ噴出したことが確認された時点を、開孔した時点とすることができる。また、以上の方法で確認した状況を踏まえて掘削を終了し、開孔機を後退させる時点を開孔した時点としてもよい。
開孔した時点の判断は、作業者が行ってもよいし、温度測定や開孔機などの制御装置や高炉の制御システムにおいて行ってもよい。いずれの場合も、開孔したと判断すべき条件(例えば測定値の変動量の閾値)をあらかじめ設定しておき、条件を満たした場合に作業者または制御装置が開孔したと判断し、その時点の溶銑温度を溶銑温度Taと認定すればよい。
以上の方法により、出銑孔2が貫通した時点の溶銑の温度である溶銑温度Taを測定することで、出銑開始初期に炉周辺部(炉内半径方向における炉壁側)に存在する溶銑の温度を測定することができる。出銑開始初期は、炉周辺部にある炉内開口部2aの周辺に溜まっている溶銑から排出される。そして、炉周辺部に溜まる溶銑は、その上方の滴下帯から滴下した溶銑であるので、測定位置aにおける溶銑温度Taには炉周辺部の滴下帯、融着帯、塊状帯などの熱的状態が反映される。さらに、溶銑温度Taは、4m程の出銑孔2を通過する前の温度であるので、出銑孔2における抜熱の影響も受けない。よって、出銑孔2の開孔のタイミングで測定位置aにおいて溶銑温度を測定することで、炉周辺部の熱的状態を的確に把握することができる。
これに対して、スキンマー8においてイマージョン型温度計によって測定される溶銑温度は、炉周辺部の溶銑に対応する出銑初期の溶銑温度が、大気への放熱や出銑滓樋4への抜熱によって大きく低下してしまうため、炉周辺部の溶銑温度を正確に把握することができない。つまり、スキンマー8の溶銑温度から炉周辺部の熱的状態を的確に把握することとは困難である。
また、溶銑温度Taには、スキンマー8において測定される溶銑温度に比べて、炉内の熱レベルの変化がより大きく素早く表れる。図2を参照してこの点について説明する。図2は、炉内の熱レベルが変動した場合に、測定位置aにおける溶銑温度T1と測定位置bにおける溶銑温度T2がどのように変化するのかを模式的に示したグラフである。図2の縦軸は温度、横軸は時間の経過を示す。温度については、変動量の差をわかりやすく示すために2つのグラフを上下に離して示しているが、実際の絶対的な温度の高低を表すものではない。
図2に示すように、炉内の同じ熱レベルの変化に対して、測定位置aの溶銑温度T1の変動量ΔT1の方が、測定位置bの溶銑温度T2の変動量ΔT2よりも大きい。つまり、測定位置aにおいて溶銑温度を測定した場合は測定位置bで測定する場合に比べて、炉内の熱レベルの変動をより大きい温度変化として検出することができる。
また、炉内の同じ熱レベルの変化に対して、測定位置aの溶銑温度T1の変動時間Δt1は、測定位置bの溶銑温度T2の変動時間Δt2よりも短い。さらに、溶銑温度が変化するタイミングも、溶銑温度T1の方が溶銑温度T2よりも早い。つまり、測定位置aにおいて溶銑温度を測定した場合は測定位置bで測定する場合に比べて、炉内の熱レベルの変動をより早く検出できる。
さらに、測定位置bにおける測定では溶銑温度の変動量がより小さく変動時間がより長いため、検知できないような熱レベルの変動も、測定位置aでは変動がより大きく素早くおこるため検知できる場合もある。
以上のように、溶銑温度Taを測定することで、従来の出銑滓樋での測定に比べて、炉内の熱的状態の変動をいち早く、より確実に把握することができる。よって、溶銑温度Taに基づいてより適切なきめ細かいアクションを行うことが可能となり、より安定した高炉の操業を実現できる。
溶銑温度Taに基づくアクションとして、溶銑温度Taが目標の温度に対して低い場合にはコークス装入量や微粉炭吹込み量を増やして還元材比を上昇させることができる。また、溶銑温度Taが目標の温度に対して高い場合にはコークス装入量や微粉炭吹込み量を減らして還元材比を低減することができる。
(高炉の操業方法)
次に、上記溶銑温度の測定方法を用いた高炉の操業方法について説明する。図3は、本実施形態の高炉の操業方法の流れを示すフローチャートである。本実施形態の高炉の操業方法は、上記方法により溶銑温度Taを測定する第1の工程(S101)と、出銑滓樋4のスキンマー8において測定される溶銑温度である平均溶銑温度Tbを測定する第2の工程(S102)と、溶銑温度Taと平均溶銑温度Tbとの温度差に基づき炉内状況(炉内の熱的状態)を判定する第3の工程(S103)と、を少なくとも含み、必要に応じて、第3の工程の判定結果に応じたアクションを行う第4の工程(S104)をさらに含む。以上が高炉の操業方法の概要である。
各工程について詳細に説明する。まず、上述の溶銑温度の測定方法により、出銑孔2が開孔した時点の開孔位置における溶銑温度Taを測定する(S101)。次に、出銑滓樋4のスキンマー8における測定位置b(溶銑溜め10)において測定される溶銑温度である平均溶銑温度Tbを求める(S102)。平均溶銑温度Tbは、S101で溶銑温度Taを測定した出銑の出銑期間のうち、出銑初期の出銑滓樋4への抜熱等が終息して測定値が安定する、出銑開始から所定時間が経過した後に測定される溶銑温度である。
平均溶銑温度Tbの「平均」の意味は、溶銑温度Taが出銑口付近(炉底周辺部)に溜まった溶銑の温度であるのに対して、平均溶銑温度Tbは炉底に溜まった溶銑全体の平均的な温度に相当するという意味である。平均溶銑温度Tbは、出銑開始から所定時間経過後の温度であり、炉内に溜まった溶銑が混ざった状態で測定される。そのため、平均溶銑温度Tbは、特定の部分に溜まった溶銑と対応関係があるわけではなく、出銑中の溶銑の平均的な温度になるためである。
測定値が安定する所定時間は、出銑量や出銑滓樋4の大きさ、構造等によっても変わる。そのため、測定位置bでの温度の測定値について出銑開始時点から抜熱等による温度の変動が安定するまでに要する時間をあらかじめ計測して、その計測時間に基づいて設定すればよい。例えば、複数回の出銑について測定位置bで溶銑温度の測定を行い、遅くとも出銑開始50分後には測定位置bの温度が安定していることが確認できた場合には、所定時間を50分とすればよい。この場合は、出銑開始50分以降の測定値を平均溶銑温度Tbとする。平均溶銑温度Tbは、通常、1回の出銑期間中に複数回測定される。
次に、溶銑温度Taと平均溶銑温度Tbとの温度差を求め、温度差に基づき炉内の熱的状態を判定する(S103)。判定は、温度差が炉内の熱的状態が正常であると判断すべき所定の範囲内であるか否かに基づいて行う。具体的には、溶銑温度Taから平均溶銑温度Tbを引いて温度差(=Ta-Tb)を求める。そして、温度差が所定の範囲内である場合には、高炉1の炉内の熱的状態が正常であると判定し、所定範囲外である場合には炉内の熱的状態が異常であると判定する。本実施形態において炉内の熱的状態は、炉内状況の熱的な側面における状態のことを指し、特に温度差(Ta-Tb)に基づいて把握される炉内半径方向の熱レベルの分布状態(炉周辺部や炉芯部の熱レベル)や、炉半径方向の熱レベル分布から分かる炉内状況のことである。より具体的には、炉内の熱的状態は温度差(Ta-Tb)から把握できる炉内半径方向のガス流れ分布状態である。温度差が所定の範囲内であれば、炉内半径方向の熱レベルの分布状態、つまり炉内半径方向のガス流れ分布状態が目標とする適正な状態であり、正常と判断する。一方で、温度差が所定の範囲外であれば、炉内半径方向の熱レベルの分布状態、つまり炉内半径方向のガス流れ分布状態が目標とする状態から外れており、何らかのアクションが必要な状態であり、異常と判断する。
S103の判定は、平均溶銑温度Tbを測定した後に、速やかに行えばよい。迅速に炉内状況を確認することができ、効果的にアクションを行うことができる。また、平均溶銑温度Tbが出銑期間中に複数回測定される場合には、平均溶銑温度Tbを測定するたびに判定を行えばよい。
ここで、温度差=Ta-Tb基づき炉内状況を判定できる理由を、高炉モデルによるシミュレーション結果を用いて説明する。以下に示すシミュレーションは高炉反応熱流動モデルと高炉炉床部熱流動(湯流れ)モデルとの連成により行った。シミュレーション結果を図4及び図5のグラフに示す。
図4は、高炉反応熱流動モデルにより計算した、炉下部を滴下する溶銑の温度(滴下溶銑温度)の炉半径方向分布を示すグラフである。縦軸は炉下部の高さ方向のある位置における滴下溶銑温度であり、横軸は炉中心からの距離である。炉中心からの距離は、1を炉壁とした場合の相対的な距離(無次元量)である。
図4の計算値Aは炉周辺部のO/C(鉱石装入量とコークス装入量の比)を中心部よりも高くした周辺ガス流抑制型の装入物分布を境界条件(前提)とした炉下部滴下溶銑温度の半径方向分布である。計算値Bは計算値Aよりも半径方向O/C分布を平坦化したフラット型の装入物分布を境界条件として計算した炉下部滴下溶銑温度の半径方向分布である。計算値AもBも、それぞれのO/C分布条件で、正常な炉内状況で操業された場合の計算値である。
図5は、高炉反応熱流動モデルで得られた滴下溶銑温度(図4)および滴下溶銑量分布を境界条件として、測定位置aにおける溶銑温度を高炉炉床部熱流動モデルにより計算した計算値(計算値a、b)及び実高炉での測定位置bにおける溶銑温度の測定値(スキンマー部実測値)を示す。計算値a、bはそれぞれ、図4の計算値A、Bに対応する計算結果を境界条件とする計算値である。スキンマー部実測値は、図4の計算値Aに対応する操業条件と同じ操業条件で操業した実高炉(高炉容積5050m)において、出銑中に測定した溶銑温度であり、平均溶銑温度Tbと同様にスキンマー8(測定位置b)においてイマージョン型温度計で測定した温度である。
まず図4の計算結果から、周辺部のO/Cが相対的に高い計算値Aの操業の場合には、周辺部の滴下溶銑温度が中心部よりも高いことがわかる。また、半径方向のO/C分布を計算値Aの場合よりも平坦化した計算値Bの場合でも、計算値Aの場合より温度差は小さいが、周辺部の滴下溶銑温度の方が中心部よりも高い。
そして図5の計算値aおよび計算値bでは、それぞれ出銑開始時(0分頃)の溶銑温度が、図4の計算値A、Bの炉壁側の滴下溶銑温度に近い温度となっている。このことから、計算値a、bの出銑開始時の溶銑温度に対応する溶銑温度Taは、炉周辺部の滴下溶銑温度と対応しており、溶銑温度Taによって炉周辺部の熱的状態を把握できることがわかる。
また、スキンマー部実測値は、出銑開始時点では出銑滓樋への抜熱等によって、同じタイミングの計算値aよりも70℃以上低いが、50分程度経過した以降は計算値aと1500℃でほぼ一致している。このことから、測定位置bにおける溶銑温度であっても、出銑開始から所定時間経過後の平均溶銑温度Tbであれば、炉内から出銑孔2に排出される直前の溶銑の温度を正確に把握できることがわかる。
したがって、温度差(Ta-Tb)を求めることで、炉周辺部の熱的状態が反映された溶銑温度Taが、平均溶銑温度Tbを基準として適正な温度であるか否かを評価することができる。そのため、温度差が適正な範囲であれば、炉内の熱的状態が正常であると判断することができる。
一方で、当該温度差が適正な範囲外の場合、つまり、(1)温度差が所定範囲の上限値よりも大きい場合や、(2)温度差が所定範囲の下限値よりも小さい場合には、炉内の熱的状態が異常であると判断することができる。
具体的には、上記のケース(1)の場合は、溶銑温度Taが平均溶銑温度Tbに対して相対的に高すぎて、炉周辺部の熱的状態に異常があることが示されている。つまり、炉周辺部の炉内滴下溶銑量が多く温度が高いことを示し、炉周辺部の還元負荷が高い状況、もしくはガス流が抑制されやすい状況にあると判断できる。また、炉底湯流れ状況においては周辺流の熱負荷が高い状況であり、特に炉底側壁の浸食抑制の観点からは対策アクションが必要な状況である。
ケース(2)の場合は、炉周辺部の溶銑温度Taが平均溶銑温度Tbに対して相対的に低すぎることが示されている。この場合は、通気通液性に異常をきたし、いわゆる炉芯不活性の状況であると判断できる。よって、直ちに炉熱アクションを講じる必要があると判断できる。
炉内状況が正常であると判断すべき温度差(Ta-Tb)の所定の範囲は、高炉操業の経験則や、高炉モデルによるシミュレーションから求めることができる。例えば、高炉モデルによって、溶銑温度Taと平均溶銑温度Tbを様々に変えて、異なる温度差での操業計算を行い、正常な炉内状況と判断してよい温度差の上限値および下限値を決定すればよい。
本実施形態では、高炉モデルによって様々な条件で計算を行った結果、まずケース(1)の場合については、温度差が25℃以下の場合であれば正常な炉内状況であったが、25℃を超えた場合は炉周辺部の還元負荷が高い状況等の異常が確認された。また、ケース(2)の場合については、温度差が5℃以上の場合であれば正常な炉内状況であったが、5℃未満の場合は炉芯不活性の状況等が確認された。
よって本実施形態では、炉内の熱的状態が正常であると判定する温度差(溶銑温度Ta-平均溶銑温度Tb)の所定範囲は、5℃≦Ta-Tb≦25℃とすることが好ましい。
次に、必要に応じてS103の判定結果に応じたアクションを行う(S104)。具体的には、温度差が所定範囲の上限値よりも大きいケース(1)の場合には、例えば炉周辺部に装入する原料のO/Cを低下させ、滴下溶銑を炉内側に移動させるアクションを行うことができる。これらのアクションによって、炉周辺部の炉内滴下溶銑量および温度を適正なレベルに移行させることができ、良好な熱的状態に復帰させることができる。
温度差が所定範囲の下限値よりも小さいケース(2)の場合には、炉芯活性化対策として、例えばコークス比や還元材比の上昇、装入コークス強度や装入コークス粒度の上昇、のいずれか一つ又は複数のアクションをとることができる。これらのアクションによって、熱不足となっている炉下部に熱量を供給して効熱化を図る、あるいは、コークス品質を改善することにより通気通液抵抗の高い状態にあると思われる炉芯コークスの健全化を図ることができ、炉芯不活性の状況を改善できる。
温度差が所定範囲内であり、炉内の熱的状態が正常であると判定された場合には、アクションは不要である。なお、1回の出銑期間中に平均溶銑温度Tbを複数回測定する場合には、全ての平均溶銑温度Tbについて温度差を求めて判定を行ってもよいし、任意の平均溶銑温度Tbについて判定を行ってもよい。また、複数の平均溶銑温度Tbの平均値を求めて、その平均値を用いて温度差を求めて判定を行ってもよい。
以上の本実施形態によれば、溶銑温度Taと平均溶銑温度Tbとの温度差に基づいて、炉内の熱的状態を的確に評価することができる。特に、溶銑温度Taは、従来の出銑滓樋4におけるイマージョン型温度計による測定では把握できない、炉周辺部の熱的状態をより正確に確認できるので、従来よりも炉内状況をより細かく把握してより的確なアクションを行うことができる。
以上の本実施形態の高炉の操業方法は、測定した溶銑温度に基づき作業者が判定やアクションの決定を行ってもよいし、高炉の操業システムにおいて本方法を実行して判定処理やアクション決定処理を行ってもよいし、それらを組み合わせて行ってもよい。
なお、本実施形態においては、平均溶銑温度Tbは溶銑温度Taを測定した出銑期間中における出銑滓樋4への抜熱等の終息後の溶銑温度であるとしたが、測定した溶銑温度Taの出銑とは異なる出銑期間における平均溶銑温度でもよい。つまり、平均溶銑温度Tbは、少なくとも出銑滓樋4への抜熱による溶銑温度の変動が安定した後に、スキンマー8において測定される溶銑温度であって、溶銑温度Taとの温度差を求めることで、現在の炉内の熱的状態を推測可能な、溶銑温度Taと関連性のある溶銑温度であればよい。例えば、平均溶銑温度Tbは、溶銑温度Taを測定した出銑の前回の出銑時の平均溶銑温度でもよいし、前回以前の過去数回の出銑のうちいずれかの平均溶銑温度でもよいし、それらの平均でもよい。また、前回以前の出銑の平均溶銑温度を用いる場合は、溶銑温度Taを測定した出銑時とは異なる出銑孔による出銑時の平均溶銑温度であってもよい。このような過去の出銑における平均溶銑温度Tbを用いた場合には、溶銑温度Taを測定した時点で温度差(Ta-Tb)を求めることができ、その温度差に基づいて判定や必要なアクションを行うことができる。
(実施例1)
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。実施例1として、炉内溶銑温度(Ta)と平均溶銑温度(Tb)との比較を行った。4800mの高炉を想定した高炉反応熱流動モデルと高炉炉床部熱流動(湯流れ)モデルとの連成によるシミュレーションを行った。装入O/Cの急上昇によって炉熱低下となるトリガーを与えて炉内状況を変化(炉熱低下)させた場合に、平均溶銑温度及び炉内溶銑温度の変動量、変動時間の違いを確認した。また、平均溶銑温度及び炉内溶銑温度に基づきアクションを行った場合の操業状態の変化についても確認した。
表1に、平均溶銑温度に基づいてアクションを行った場合の比較例と、炉内溶銑温度に基づいてアクションを行った場合の実施例のシミュレーション結果を示す。なお平均溶銑温度は、高炉炉床部熱流動(湯流れ)モデルで、出銑孔から炉外に出た直後の溶銑がさらに幅1mの出銑滓樋を10m流動後の地点の溶銑温度を計算したものである。出銑滓樋及び上層スラグを介した表面からのヒートロスは、実測溶銑温度に一致するように伝熱係数をフィッティングして決定した。
比較例では、平均溶銑温度が徐々に低下を始めてから120分後に低下幅が60℃に達したところで、炉熱回復アクションとして補正還元材比を25kg/tp上昇させた。「120分」は、出銑滓樋で溶銑温度を測定する従来方法の場合に、溶銑温度の変動を見極めるのに通常必要となる時間である。比較例は、低下から120分までの複数回の測定結果に基づき、溶銑温度の低下によりアクションが必要であると判断し、アクションを行った操業例である。
アクション開始後、平均溶銑温度は80℃まで低下したが、その後450分後に平均溶銑温度の回復方向が確認されたため、上昇させていた補正還元材比は元に戻し、平均溶銑温度の低下開始から630分後に溶銑温度は復帰した。この630分の平均還元材比上昇幅は18kg/tpとなった。
実施例では炉内溶銑温度が、低下開始から30分で70℃以上低下したので、直ちに補正還元材比を30kg/tp増加させた。炉内溶銑温度は最低90℃低下したが、その後100分後の測温により、炉内溶銑温度の回復傾向が見えたので、補正還元材比は元の値に戻した。すると炉内溶銑温度の低下開始から250分後に溶銑温度は回復した。炉内溶銑温度が低下開始後、比較例の場合に復帰に要した10時間の平均還元材比上昇幅は5kg/tpとなった。よって、実施例の場合は比較例に対して還元材比の上昇を抑えることができた。また、炉内溶銑温度(Ta)は平均溶銑温度(Tb)に比べて、同じ炉熱変化について短時間でより大きい変化として表れることが確認できた。したがって、溶銑温度Taを測定することで平均溶銑温度Tbよりも、炉熱の変化をいち早くより正確に把握することができる。
(実施例2)
実施例2として、実高炉(4800m)において操業を行い、本発明の方法によって温度差を算出して炉内状況の判定を行い、必要なアクションを行った場合の炉内状況の変化を確認した。期間1~期間4の各期間は1回の出銑期間を意味し、期間1と2および期間3と4がそれぞれ連続する出銑期間である。期間1において判定及びアクションを行って、続く期間2において炉内状況の改善について確認した。同様に、期間3において判定・アクションを行い、続く期間4において炉内状況の改善について確認した。操業結果を表2に示す。
溶銑温度Taは、実施形態に示した開口機の開孔ビットに搭載される温度計を用いて、開孔時点の測定位置aにおいて測定した溶銑温度である。平均溶銑温度Tbは、各期間中の実測溶銑温度のうち出銑開始から50分以降に、出銑滓樋の溶銑溜めにおいてイマージョン型温度計で測定した溶銑温度である。炉周辺部の熱的状態の評価として、炉下部ステーブ冷却水の温度差を確認し、炉下部周辺部の熱負荷状態を評価した。炉下部ステーブの冷却水の入側と出側の温度差が4℃以下の場合には、周辺部分が不活性であり異常が生じていると判断して×と評価し、4℃より大きい場合は〇とした。また、炉下部の炉芯活性状態の評価として、残銑滓の増加量と出滓率を確認した。残銑滓が50t以上増加し且つ出滓率が70%以下となった場合には炉芯不活性と判断して×と評価し、そうでない場合には〇と評価した。
期間1では炉下部周辺部の熱流比が高く、時折羽口より生鉱石の落下が確認され、炉周辺部分の不活性が懸念された。この状態の温度差(Ta-Tb)は32℃であり、温度差の適正範囲の上限値である25℃より高かった。そこで、炉周辺部の装入O/Cを低下させるアクションをとった。その結果、その後の期間2では、溶銑温度Taは低下し、温度差(Ta-Tb)は18℃に低下し、炉下部周辺部の熱不足は解消された。
また、期間3では、平均溶銑温度Tbは1500℃以上維持しているにもかかわらず、炉周辺部の溶銑温度が著しく低下し(1482℃)、残銑滓が増加、出滓率も低下し、炉芯コークス通気通液性が低下している状況であった。この時のTaはTbよりも低いことが分かった。そこで、装入コークスの強度上昇アクションとコークス比上昇アクションを行った。その結果、その後の期間4では、炉周辺部の溶銑温度は上昇に転じ、排滓性も改善され炉底の活性化が認められた。
よって、溶銑温度Taと平均溶銑温度Tbの温度差に基づいて判定およびアクションを行う本発明の高炉の操業方法によれば、炉内の熱的状態に異常がある場合にも適切なアクションを取ることができ、炉内状況を改善することができる。
1 高炉
2 出銑孔
4 出銑滓樋
6 滓樋
8 スキンマー
10 溶銑溜め

Claims (8)

  1. 高炉の出銑孔を開孔機で開孔した時点において、前記開孔機の開孔ビットが備える温度センサで前記高炉内の開孔位置において溶銑の温度を測定することを特徴とする溶銑温度の測定方法。
  2. 請求項1に記載の方法で測定した溶銑温度である炉内溶銑温度と、出銑滓樋への抜熱による溶銑温度の変動が安定した後にスキンマーにおいて測定される溶銑温度である平均溶銑温度との温度差に基づき炉内の熱的状態を判定することを特徴とする高炉の操業方法。
  3. 前記温度差が、炉内の熱的状態が正常であると判断すべき所定の範囲内であるか否かに基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の高炉の操業方法。
  4. 前記温度差が前記所定の範囲の上限値を超える場合には、炉周辺部の熱的状態に異常があると判定することを特徴とする請求項3に記載の高炉の操業方法。
  5. 前記炉周辺部の熱的状態に異常があると判定した場合に、炉周辺部における、鉱石装入量とコークス装入量の比であるO/C比を低下させるアクションを行うことを特徴とする請求項4に記載の高炉の操業方法。
  6. 前記温度差が前記所定の範囲の下限値未満である場合には、炉芯不活性状態であると判定することを特徴とする請求項3から5のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
  7. 前記炉芯不活性状態であると判定した場合に、コークス比の上昇、還元材比の上昇、装入コークス強度の上昇および装入コークス粒度の上昇のいずれか一つ又は複数のアクションを行うことを特徴とする請求項6に記載の高炉の操業方法。
  8. 前記温度差の前記所定範囲は、15℃以上25℃以下であることを特徴とする請求項3から7のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
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