JP2023130612A - 刷毛並びにこれを用いた被膜付き食品の製造方法、被膜形成方法及び食品の出荷方法 - Google Patents

刷毛並びにこれを用いた被膜付き食品の製造方法、被膜形成方法及び食品の出荷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食品の鮮度を保持し得る被膜を形成できる組成物を塗布する刷毛であって、柔らかい食品であっても表面を傷つけることがなく、作業効率も高い刷毛並びにこれを用いた被膜付き食品の製造方法、被膜形成方法及び食品の出荷方法を提案することを課題とする。【解決手段】本発明は、食品に液体を塗布するための刷毛であって、前記液体が、糖系界面活性剤及び水系溶剤を含む組成物であり、前記刷毛が、前記液体を塗布する塗布部を備え、前記塗布部の100mm幅あたりの90度曲げ荷重が800g以下であり、前記塗布部の100mm幅あたりの保水力が0.5g以上である刷毛を提案する。【選択図】図1

Description

本発明は、刷毛並びにこれを用いた被膜付き食品の製造方法、被膜形成方法及び食品の出荷方法に関する。
近年、MA(Modified Atmosphere)包装に代表されるような、流通又は保管時において食品の鮮度を保持できる包装材が注目されている。そして、環境負荷低減の観点から、使用する包装材も使用後にリサイクル又は廃棄しやすいように、単一素材から構成される、いわゆるモノマテリアル化が進む傾向にある。
そこで、品質保持剤を青果物等の食品に直接塗布し、食品の鮮度を保持する技術が提案されている(特許文献1及び2参照)。
さらに、青果物の果皮障害を防止することを目的に、HLB5以下の界面活性剤を有効
成分としてなる青果物の果皮障害防止剤が提案されている(特許文献3参照)。
特開2018-134115号公報 特表2005-530502号公報 特開平08-056564号公報
上記品質保持剤や果皮障害防止剤を食品にコートする方法としては、浸漬、噴霧又は塗布が一般的である(特許文献1~3)。
この中でも、浸漬法を採用した場合は、食品を個別に処理すると時間がかかり作業効率が低下してしまうし、複数の食品をまとめて処理すればカゴ等にも液剤が付着してしまう。
また、噴霧法を採用した場合は、液剤が周囲に飛散することがあり、作業効率が低下してしまう。
一方で、刷毛による塗布を採用した場合は、食品の目的部位のみに液剤を適用することができ、作業の簡便さという点では好ましいと考えられる。
しかし、液剤をイチゴ等の柔らかい食品に刷毛で塗布した場合は、刷毛の種類によって塗布時に食品の表面が傷つく場合があり、その傷によって食品の鮮度が低下してしまう場合があることがわかってきた。
そこで、本発明は、食品の鮮度を保持し得る被膜を形成できる組成物を塗布する刷毛であって、柔らかい食品であっても表面を傷つけることがなく、作業効率も高い刷毛並びにこれを用いた被膜付き食品の製造方法、被膜形成方法及び食品の出荷方法を提案することを課題とする。
本発明者は、刷毛の塗布部の構造と、当該刷毛を用いて液剤をコートしたときの鮮度保持効果との関係を種々検討し、食品の表面への傷つけやすさが、塗布部の90度曲げ荷重と相関していることを発見した。
一方で、食品の表面を傷つけないように塗布部の毛材の量を減らしすぎると塗布部の保水力が下がり、一度の作業でわずかな面積しか塗布できなくなるため作業効率が低下することから、塗布部に一定の保水力が必要であることも発見した。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1]食品に液体を塗布するための刷毛であって、
前記液体が、糖系界面活性剤及び水系溶剤を含む組成物であり、
前記刷毛が、前記液体を塗布する塗布部を備え、
前記塗布部の100mm幅あたりの90度曲げ荷重が800g以下であり、
前記塗布部の100mm幅あたりの保水力が0.5g以上である刷毛。
[2]前記塗布部の長さが10mm以上200mm以下である、上記[1]に記載の刷毛。
[3]前記塗布部の厚みが1mm以上30mm以下である、上記[1]又は[2]に記載の刷毛。
[4]前記塗布部が合成樹脂製の毛材からなる、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の刷毛。
[5]上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の刷毛を用いて前記組成物を食品に塗布する塗布工程と、前記塗布された組成物を乾燥して食品の表面に被膜を形成する乾燥工程とを含む、被膜付き食品の製造方法。
[6]前記塗布工程において、前記組成物を食品の一部に塗布する、上記[5]に記載の被膜付き食品の製造方法。
[7]前記組成物の不揮発成分濃度が0.1質量%以上20質量%以下である、上記[5]又は[6]に記載の被膜付き食品の製造方法。
[8]前記糖系界面活性剤の主成分が糖脂肪酸エステルである、上記[5]~[7]のいずれか1つに記載の被膜付き食品の製造方法。
[9]前記糖脂肪酸エステル100質量%のうち、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステルを50質量%以上含む、上記[8]に記載の被膜付き食品の製造方法。
[10]前記水系溶剤が、水又は水及びアルコールの混合物である、上記[5]~[9]のいずれか1つに記載の被膜付き食品の製造方法。
[11]上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の刷毛を用いて前記組成物を食品に塗布する塗布工程と、前記塗布された組成物を乾燥して食品の表面に被膜を形成する乾燥工程とを含む、被膜形成方法。
[12]前記塗布工程において、前記組成物を食品の一部に塗布する、上記[11]に記載の被膜形成方法。
[13]前記組成物の不揮発成分濃度が0.1質量%以上20質量%以下である、上記[11]又は[12]に記載の被膜形成方法。
[14]前記糖系界面活性剤の主成分が糖脂肪酸エステルである、上記[11]~[13]のいずれか1つに記載の被膜形成方法。
[15]前記糖脂肪酸エステル100質量%のうち、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステルを50質量%以上含む、上記[14]に記載の被膜形成方法。
[16]前記水系溶剤が、水又は水及びアルコールの混合物である、上記[11]~[15]のいずれか1つに記載の被膜形成方法。
[17](A)食品を搬送する工程、(B)食品に被膜を形成する工程、及び(C)評価装置を用いて被膜付き食品を検査する工程、を含む食品の出荷方法であって、前記(B)工程において、上記[11]~[16]のいずれか1つに記載の方法により被膜を形成する、食品の出荷方法。
[18]前記(C)検査工程が、外観検査、糖度検査及びサイズ検査からなる群から選ばれる少なくとも1つの検査を含む、上記[17]に記載の食品の出荷方法。
本発明の刷毛を用いて、食品の鮮度を保持し得る被膜を形成できる組成物を食品に塗布すると、柔らかい食品であっても表面を傷つけることがなく、作業効率も高くできる。
また、本発明では、鮮度保持性能を有する被膜を食品に直接設けるため、従来のようにブラスチック製包装材料を必要とせず、フィルムレス化が図れ、環境負荷低減への寄与も大きい。
本発明の刷毛における塗布部の90度曲げ荷重の測定方法を示す図である。
<<刷毛>>
本発明の刷毛は、塗布部の90度曲げ荷重及び保水力が後述する範囲内となるものであれば特に限定されず、水性塗料用刷毛、油性塗料用刷毛、ニス用刷毛、万能刷毛等として市販されているものであってもよい。
[塗布部]
本発明の刷毛は、食品に液体を塗布するための塗布部を少なくとも備える。
塗布部の100mm幅あたりの90度曲げ荷重は、800g以下が好ましく、780g以下がより好ましく、750g以下がさらに好ましく、700g以下がよりさらに好ましく、その中でも、650g以下が好ましく、600g以下がより好ましく、550g以下がさらに好ましく、500g以下がよりさらに好ましい。90度曲げ荷重の下限は特に限定されないが、10g以上が好ましく、20g以上がより好ましく、50g以上がさらに好ましく、100g以上がよりさらに好ましい。
塗布部の90度曲げ荷重が上記上限値以下であると、食品の凹凸に塗布部が追従するように刷毛を押し付けて組成物を塗布しても食品表面に傷がつきにくいため、傷に由来する鮮度低下が起こりにくい。また、食品の凹凸に塗布部が追従すると被膜を適切な範囲に形成しやすいため、当該被膜の鮮度保持に対する寄与が効果的に発揮される。一方、塗布部の90度曲げ荷重が上記下限値以上であると、塗布部が適度な腰をもつので、食品の凹凸に塗布部が追従しやすくなり、鮮度保持効果を有する被膜を適切な範囲に形成しやすくなる。
なお、塗布部の100mm幅あたりの90度曲げ荷重は、図1に示す方法で測定される。図1は、刷毛1を厚み(玉厚)方向から見た図である。塗布部11が天秤に対して垂直になるように刷毛1を持ち、塗布部11の毛束を刷毛1の摺動方向D1と反対の方向に90度に曲がるように天秤に押し付け、その荷重を測定することで求められる。測定は5回繰り返して実施し、その平均値とすることが好ましい。塗布部の幅が100mm以上である場合は、幅が100mmになるように塗布部をカットしてから90度曲げ荷重を測定する。幅が100mm未満である場合は、刷毛を複数本並べて塗布部の幅が100mmになるように調整してから90度曲げ荷重を測定すればよい。
塗布部の100mm幅あたりの保水力は、0.5g以上が好ましく、1.0g以上がより好ましい。保水力の上限は特に限定されないが、200g以下が好ましく、150g以下がより好ましく、100g以下がさらに好ましい。
塗布部の保水力が上記下限値以上であると、一度に複数の食品に塗布できるので、作業効率が高くなる。
なお、塗布部の100mm幅あたりの保水力は、水が十分な量入った容器に塗布部全体を1分間浸漬した後、刷毛を取り出して30秒間保持し余分な液だれを除き、水を含んだ刷毛の重量を測定し、予め測定した刷毛重量を差し引くことで算出できる。塗布部の幅が100mm以上である場合は、幅が100mmになるように塗布部をカットしてから保水力を測定する。幅が100mm未満である場合は、刷毛を複数本並べて塗布部の幅が100mmになるように調整してから保水力を測定すればよい。
塗布部の長さは、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、30mm以上がさらに好ましい。また、200mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましく、100mm以下がさらに好ましく、80mm以下がよりさらに好ましい。
塗布部の長さが上記下限値以上であると、塗布部の腰が強くなりすぎず、90度曲げ荷重が大きくなりすぎないので、食品の凹凸に塗布部が追従するように刷毛を押し付けて組成物を塗布しても食品表面に傷がつきにくいため、傷に由来する鮮度低下が起こりにくい。また、食品の凹凸に塗布部が追従すると被膜を適切な範囲に形成しやすいため、当該被膜の鮮度保持に対する寄与が効果的に発揮される。一方、塗布部の長さが上記上限値以下であると、塗布部が適度な腰をもつので、食品の凹凸に塗布部が追従しやすくなり、鮮度保持効果を有する被膜を適切な範囲に形成しやすくなる。
なお、本発明における「塗布部の長さ」とは、刷毛の毛丈のことをいう。
塗布部の厚みは、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。また、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。
塗布部の厚みが上記下限値以上であると、塗布部が適度な腰をもつので、食品の凹凸に塗布部が追従しやすくなり、鮮度保持効果を有する被膜を適切な範囲に形成しやすくなる。一方、塗布部の厚みが上記上限値以下であると、塗布部の腰が強くなりすぎず、90度曲げ荷重が大きくなりすぎないので、食品の凹凸に塗布部が追従するように刷毛を押し付けて組成物を塗布しても食品表面に傷がつきにくいため、傷に由来する鮮度低下が起こりにくい。また、食品の凹凸に塗布部が追従すると被膜を適切な範囲に形成しやすいため、当該被膜の鮮度保持に対する寄与が効果的に発揮される。
なお、本発明における「塗布部の厚み」とは、刷毛の玉厚のことをいう。
塗布部の幅は、塗布対象となる食品の大きさによって適宜調整されてよいが、一度に複数の食品に塗布できる観点から、30mm以上が好ましく、50mm以上がより好ましい。一方、作業性の観点から、1000mm以下が好ましく、500mm以下がより好ましく、300mm以下がさらに好ましい。
なお、本発明における「塗布部の幅」とは、塗布部の厚み(玉厚)方向に対して垂直な方向の塗布部の長さであり、図1においては摺動方向D1に対して垂直な方向の塗布部の長さである。
塗布部は、複数本の毛材からなってよい。
毛材の種類は、90度曲げ荷重及び保水力が上記範囲内となるものであれば特に限定されず、天然繊維、合成樹脂又はこれらを組み合わせたものであってよいが、コストや衛生上の観点から、合成樹脂であることが好ましい。
天然繊維としては、馬、豚、山羊等の動物毛が挙げられる。
合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂又はこれらを主体とする共重合体;ナイロン、アラミド等のポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム、フッ素系樹脂等が挙げられる。
毛材の直径は、0.01mm以上が好ましく、0.02mm以上がより好ましく、0.05mm以上がさらに好ましい。また、2mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.5mm以下がさらに好ましい。
毛材の直径が上記下限値以上であると、刷毛が適度な強度を持つため、異物混入等が発生しにくい。一方、毛材の直径が上記上限値以下であると、保水力が良好となり、一度に複数の食品に塗布できるので、作業効率が高くなる。
[把持部]
本発明の刷毛は、人間の手や自動塗布装置の把持装置等に把持される把持部をさらに備えていてもよい。把持部の形状は特に限定されず、作業性等に応じて適宜選択されてよい。
<食品>
本発明を適用し得る食品としては、青果物、肉、魚等の生鮮食品、乳製品、ベーカリー製品等の加工食品が挙げられる。
中でも、本発明の刷毛は柔らかい食品であっても塗布時に傷がつきにくいため、柔らかい食品や、皮むきやカットが行われた青果物等に適用することが好ましい。
青果物としては、例えば、リンゴ、サクランボ、モモ、アオウメ、オレンジ、グレープフルーツ、ミカン、スダチなどの柑橘類果実、カキ、イチジク、イチゴ、キウイフルーツ、ブドウ、ブルーべリー、バナナ、マンゴー、メロン、パパイヤ、レイシ(ライチ)、アンズ、アボカド、カンタループ、グアバ、ネクタリン、ナシ(ニホンナシ、セイヨウナシなど)、プラム等の果物;ダイコン、ニンジン、ゴボウ、タケノコ、サツマイモ、タマネギ、ショウガ、サトイモ、ナガイモ等の土物類;アスパラガス、キャベツ、レタス、ホウレンソウ、ハクサイ、カリフラワー、ブロッコリー等の葉茎菜類;トマト、ナス、カボチャ、ピーマン、キュウリ等の果菜類;ワラビ、ゼンマイ等の山菜;シイタケ、エリンギ、ブナシメジ、ホンシメジ、エノキダケ、マイタケ等の菌茸類;キク、バラ、ユリ等の切り花が挙げられる。
乳製品としては、チーズ、バター等が挙げられる。
<組成物>
本発明における組成物は、糖系界面活性剤及び水系溶剤を含む。当該組成物から得られる膜は水蒸気バリア性に優れるため、食品へのコーティング用として好適である。また、当該膜は酸素バリア性も有しているため、青果物へのコーティング用として特に好適である。
[糖系界面活性剤]
糖系界面活性剤は、糖を親水基とする非イオン性界面活性剤である。
本発明の糖系界面活性剤としては、例えば、糖と脂肪酸がエステル結合してなる糖脂肪酸エステル、糖と高級アルコールがグリコシド結合してなるアルキルグリコシド等が挙げられ、中でも糖脂肪酸エステルが好ましい。
(糖脂肪酸エステル)
糖脂肪酸エステルにおける糖は、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、多糖類、糖アルコール及びその他のオリゴ糖のいずれであってもよい。
単糖類としては、リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース等のペントース;プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フコース、フクロース、ラムノース等のヘキソースが挙げられる。
二糖類としては、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオース等が挙げられる。
三糖類としては、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース等が挙げられる。
四糖類としては、アカルボース、スタキオース等が挙げられる。
多糖類としては、グリコーゲン、デンプン、セルロース、デキストリン、グルカン、フルクタン、キチン等が挙げられる。
糖アルコールとしては、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、グリセリン等が挙げられ、これら糖アルコールの縮合体であってもよい。
その他のオリゴ糖としては、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、ラクトスクロース等が挙げられる。
上記の糖を含む糖脂肪酸エステルとしては、食品に使用可能なものであれば特に限定されないが、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グルコースエステル等が挙げられる。
中でも、入手容易性の観点から、二糖類を含む糖脂肪酸エステルが好ましく、スクロースを含む糖脂肪酸エステル、すなわちショ糖脂肪酸エステルがより好ましい。
なお、糖脂肪酸エステルは1種のみである必要はなく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせる場合、糖脂肪酸エステル100質量%のうち、60質量%以上がショ糖脂肪酸エステルであるのが好ましい。この比率は、得られる被膜のべたつきを抑え、かつ、水蒸気バリア性及び酸素バリア性を高くできる観点から、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がよりさらに好ましい。糖脂肪酸エステルは、ショ糖脂肪酸エステル単独であってもよく、したがって、上記比率は、100質量%以下であればよい。
糖脂肪酸エステルの脂肪酸エステル基数は、親水基である糖の分子構造内にあるエステル結合可能な水酸基の数によってその範囲が変化し、例えば、ショ糖脂肪酸エステルでは1~8個、ソルビタン脂肪酸エステルでは2~4個である。
本発明においては、水系溶剤に溶かして被膜を形成できる観点から、糖系界面活性剤の全量を100質量%としたときに、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステル(モノエステル、ジエステル又はトリエステル)を50質量%以上含むのが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。上限に関しては特に限定されないが、100質量%以下であればよい。
なお、脂肪酸エステル基数ごとの含有割合は、組成物から糖脂肪酸エステルを単離した後、Residue Monograph prepared by the meeting of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA), 84th meeting 2017 “Sucrose Esters of Fatty Acids”並びにPrepared at the 71st JECFA (2009) and published in FAO JECFA Monographs 7 (2009) “Sucrose Oligoesters Type I”及び“Sucrose Oligoesters Type II”に記載される、METHOD OF ASSAYに従って測定することができる。
《モノエステル~トリエステル及びテトラエステル以上の測定》
一定量のテトラヒドロフラン(安定剤含有GPC又は工業用グレード)に試料を溶解させた後、0.5μmのメンブランフィルターで不溶物を取り除いた溶液を測定試料とし、下記条件での高速液体クロマトグラフィーを実施する。組成比は、モノエステル~トリエステルそれぞれのピーク面積及びテトラエステル以上をまとめたピーク面積を個別に算出し、43分までに検出された全てのピークの合計ピーク面積に対する比率を算出する。
ピーク面積は各ピークの開始点(立ち上がり位置)から終了点(立ち下がり位置)までの面積に該当する。
2つ以上のピークが隣接しており、開始点や終了点が不明な場合は、ピークとピークの間のデータが最小となった地点を開始点及び終了点として、面積を算出する。
〈測定条件:モノエステル~トリエステル及びテトラエステル以上〉
装置 :HLC-8320GPC 検出器:示差屈折計(東ソー社製)
カラム :TSK-ゲル G1000HXL,G2000HXL,G3000HXL,G4000HXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
検出器温度:40℃
溶離液 :テトラヒドロフラン(安定剤含有GPC又は工業用グレード)
流速 :0.8ml/min
注入量 :80μl
測定時間 :50分(43分までに検出した全てピークをもとに面積比を算出する)
糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、食用油脂であることが好ましい。
糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数は特に限定されないが、12以上22以下が好ましく、12以上18以下がより好ましく、14以上18以下がさらに好ましい。炭素数が上記範囲であることによって、得られる被膜のべたつきを抑えられる。
糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸は飽和又は不飽和脂肪酸であってよいが、常温(20~25℃)において固体になりやすく、得られる被膜のべたつきを抑えられる観点から、飽和脂肪酸が好ましい。
より具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、中でも炭素数が12以上18以下の飽和脂肪酸である、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、炭素数が14以上18以下の飽和脂肪酸である、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸がより好ましい。これら飽和脂肪酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸はすべて同一である必要はなく、糖脂肪酸エステル中の構成脂肪酸の60質量%以上が上記の好適な構成脂肪酸であればよい。この比率は、得られる被膜のべたつきを抑えられる観点から、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。上限に関しては特に限定されないが、100質量%以下であればよい。
糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸組成は、組成物から糖脂肪酸エステルを単離した後、誘導体化してからガスクロマトグラフィーによって測定できる。
[水系溶剤]
本発明の組成物に含有される水系溶剤は、水を少なくとも含有する。
また、液安定性及び塗布性の観点からは、水及び水と親和性のある有機溶剤の混合物が好ましく、当該有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコールがより好ましい。
組成物中の水の含有量は、70質量%以上99質量%以下が好ましく、80質量%以上98質量%以下がより好ましく、90質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。
一方、組成物中の有機溶剤の含有量は1質量%以上30質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
[その他の成分]
本発明の組成物は、上記糖系界面活性剤以外の界面活性剤や、pH調整剤などを含有してもよい。
上記糖系界面活性剤以外の界面活性剤としては、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート、レシチンなどが挙げられる。これら界面活性剤の含有量は、組成物中の不揮発成分のうち、0質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
pH調整剤としては、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、アンモニア等を用いることができる。pH調整剤の含有量は、安全性の観点から、組成物のpHが4以上10以下、好ましくは4以上8以下となる量が好ましい。
[組成物の物性]
(不揮発成分濃度)
組成物の不揮発成分濃度は、特に限定されないが、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.2質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。不揮発成分濃度が上記範囲であると、本発明の刷毛による塗布が容易となるうえ、糖系界面活性剤を水系溶剤に適切に溶解させつつ、好適な膜厚を有する被膜を形成しやすくなる。
なお、本発明における「不揮発成分濃度」とは、組成物中に含まれる溶剤を除いた不揮発成分の濃度である。
(糖系界面活性剤の含有量)
糖系界面活性剤の含有量は、得られる塗膜の水蒸気バリア性及び酸素バリア性を高くできる観点から、組成物中の不揮発成分のうち、100質量%を上限として、60質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がよりさらに好ましい。
本発明における被膜は、組成物から溶剤を揮発させたものであるため、被膜における糖系界面活性剤の好適な含有量も上記と同様である。
(組成物のpH)
組成物のpHは、食品に安全に適用できる観点から、4以上10以下が好ましく、4以上8以下がより好ましい。
(糖系界面活性剤のHLB)
糖系界面活性剤のHLBは特に限定されないが、水系溶剤に溶かして被膜を形成できる観点から、5以上が好ましく、7以上がより好ましく、9以上がさらに好ましい。HLBの上限は通常20であり、18以下がより好ましい。
<被膜付き食品の製造方法>
本発明の被膜付き食品は、塗布工程と乾燥工程を経て製造される。
[塗布工程]
塗布工程では、上記刷毛を用いて、上記組成物を食品に塗布する。
当該食品が青果物である場合、青果物の種類及び塗布作業のしやすさに応じて、収穫後に青果物表面に被膜を形成してもよいし、青果物表面に被膜を形成してから収穫してもよい。収穫前に被膜を形成する場合は、青果物が所望の成熟度になった段階で被膜を形成することが望ましい。
食品への塗布は、手動であっても自動であってもよい。
手動で塗布を行う場合は、複数の食品をカゴやパック等の容器に載置してから塗布してもよい。本発明の刷毛を用いると、複数個の青果物を一度に処理できるので作業効率が高い。
自動で塗布を行う場合は、ベルトコンベア等で搬送される食品又は複数の食品が入った容器の通路に刷毛を設置して、随時液を供給しながら塗布してもよい。
本方法で用いる刷毛の塗布部の幅は、塗布対象となる食品又は複数の食品が入った容器の幅に合わせて調整されてよい。塗布部の幅を短くしたい場合は毛材をカットしてもよいし、塗布部の幅を長くしたい場合は刷毛を複数連結して使用してもよい。
塗布部の幅を、塗布対象となる食品又は複数の食品が入った容器の幅の60%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上とすると、一度の塗布で鮮度保持効果を有する被膜を適切な範囲に形成しやすくなる。一方、塗布対象となる食品又は複数の食品が入った容器の幅の100%以下、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下とすると、食品を載置する他の部品等を汚染することが抑えられ、商品外観を損ないにくい。
塗布する膜厚は、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下がより好ましい。膜厚が上記下限値以上であることによって、水蒸気バリア性及び酸素バリア性が良好となる。一方、膜厚が上記上限値以下であることによって、食品の食感を保った状態で被膜を形成できる。
本発明においては、食品全体において被膜の厚みが均一でなくてもよい。
なお、被膜の膜厚は、被膜付き食品を予め凍結乾燥させた後、被膜を剥離して断面を電子顕微鏡又は金属顕微鏡等で観察し、無作為に10点以上を選択して厚みを測定した平均値から求めることができる。
本方法において、組成物の乾燥時間を短くし、被膜形成処理の効率を高める観点からは、組成物を食品の一部に塗布することが好ましい。
例えば、当該食品が青果物である場合は、組成物を青果物の一部のみに塗布してもよい。この場合、塗布面積は青果物全体の表面積に対して10%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、50%以上がよりさらに好ましい。
また、青果物の鮮度を保持する観点からは、組成物を水分の蒸散が多い部位に少なくとも塗布することが好ましい。水分の蒸散が多い部位としては、例えば、葉裏の気孔、茎、果梗、穂軸、ガク若しくは根等の部位、又は、収穫時の切断面が挙げられる。
さらに、青果物の外観を大きく変えることなく、鮮度を保持する観点からは、水分の蒸散が多い部位のみを被覆することが好ましい。本方法は、従来の浸漬法や噴霧法と比べ、食品の一部のみに組成物を塗布しやすい。
本方法において、組成物を食品に塗布した後、塗布された組成物の一部を除去してもよい。除去方法は特に限定されないが、エアードライヤーを用いた風圧による除去等が挙げられる。
例えば、食品表面の余分な組成物を除去することで、過剰量塗布された部分の乾燥不良を防ぐことができる。
また、食品の一部分の組成物を除去することで、糖系界面活性剤の使用量を必要最小限にできる。
当該食品が青果物である場合は、水分の蒸散が多い部位を少なくとも被覆すれば鮮度を保持できるため、それ以外の部分の組成物は除去されてもよい。
[乾燥工程]
乾燥工程では、上記塗布工程で食品に塗布された組成物を乾燥して、食品の表面に被膜を形成する。
当該乾燥工程において、組成物の水系溶剤が除去される。
乾燥方法としては、例えば、静置乾燥、風乾又は加熱乾燥が挙げられるが、食品の鮮度を保持する観点から、室温(20~25℃)で静置して乾燥する方法、又は室温で風乾する方法が好ましい。
<被膜形成方法>
本発明の被膜形成方法(以下、「本方法」ともいう)は、上記刷毛を用いて、上記組成物を食品に塗布する工程を含む。
組成物の塗布及び乾燥については、上記「被膜付き食品の製造方法」に記載の方法を好適に用いることができる。
<食品の出荷方法>
本発明の食品の出荷方法は、(A)食品を搬送する工程、(B)食品に被膜を形成する工程、及び(C)評価装置を用いて被膜付き食品を検査する工程、を含み、当該(B)工程において、本発明の刷毛を用いた被膜形成方法により、食品に被膜を形成することを特徴とする。このようにして、被膜が形成され、検査された食品は、輸送機関等により、消費地に出荷される。
なお、上記出荷方法における(B)工程及び(C)工程は順序が逆であってもよい。すなわち、(A)工程、(B)工程、(C)工程の順であってもよく、(A)工程、(C)工程、(B)工程の順であってもよい。
[(A)工程]
(A)食品を搬送する工程は、食品を(B)工程に供するための工程である。その方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ベルトコンベア等で連続的に搬送してもよいし、トラック等で多くの食品をまとめて搬送するものであってもよい。
[(B)工程]
(B)食品に被膜を形成する工程は、(A)工程で搬送された食品に被膜を形成する工程である。被膜の形成は、上記「被膜形成方法」に記載の方法を好適に用いることができる。
複数の食品をまとめて処理する場合は、カゴやパック等の容器に食品を載置してから(B)工程を行うのが好ましい。
自動で塗布を行う場合は、食品又は複数の食品が入った容器をベルトコンベア等で搬送し、その通路に刷毛を設置して、随時液を供給しながら塗布するのが好ましい。
上記塗布が行われた後は、乾燥炉やエアードライヤーで塗膜の乾燥が行われてもよいし、室温で静置することで塗膜の乾燥が行われてもよい。
[(C)工程]
(C)工程は、(B)工程で被膜が形成された食品を、評価装置を用いて検査する工程である。当該評価装置としては、光センサー、重量計、カメラ等を用いることができる。
(C)検査工程における検査としては、種々の検査項目が挙げられるが、外観検査、糖度検査及びサイズ検査からなる群から選ばれる少なくとも1つの検査を含むことが好ましい。
なお、本発明では、被膜の透明性が高いために、糖度検査等の光を用いた非破壊検査に対して支障を来たすことがないため、従来の食品に対して用いられていた検査方法(例えば、特開2012-78206号公報)をそのまま使用することができる。
以上のように、(A)搬送工程、(B)被膜形成工程、(C)検査工程を経た被膜付き食品は、通常の手段により出荷される。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
試験例1では、イチゴの表面に被膜を形成して鮮度保持評価を行った。
[使用した刷毛]
下記刷毛A及びBについて、幅、長さ及び厚みを表1に示すサイズに調整して試験に用いた。
・刷毛A:インダストリーコーワ社製「万能刷毛 オールプロシリーズ(型番:12518)」(化学繊維100%)
・刷毛B:カンダ社製「シリコンハケ 100mm 大々 白(型番:066133)」(シリコーン樹脂製)
(塗布部の100mm幅あたりの90度曲げ荷重)
塗布部が天秤に対して垂直になるように刷毛を持ち、塗布部の毛束を刷毛の摺動方向と反対の方向に90度に曲がるように天秤に押し付け、その荷重を測定した。測定は5回繰り返して実施し、その平均を記録した。
(塗布部の100mm幅あたりの保水力)
水が十分な量入った容器に塗布部全体を1分間浸漬した後、刷毛を取り出して30秒間保持し余分な液だれを除いた。水を含んだ刷毛の重量を測定し、予め測定した刷毛重量を差し引くことで、100mm幅あたりの保水力を算出した。
[被膜形成用組成物の調製]
糖系界面活性剤として三菱ケミカル社製の「リョートー(登録商標)シュガーエステル S-1170」(ショ糖ステアリン酸エステル、HLB:約11、モノ~トリエステル含量:94質量%以上)及び「リョートー(登録商標)シュガーエステル O-170」(ショ糖オレイン酸エステル、HLB:約1、モノ~トリエステル含量:約10質量%)を質量比95:5でエタノール及び水からなる水系溶剤に73℃で溶解させ、その後常温(25℃)下で2時間静置し、被膜形成用組成物1を調製した。当該組成物1における糖系界面活性剤の含有量は4質量%、エタノールの含有量は5質量%とした。
[被膜の形成]
イチゴを平積みパック(12cm×17cm)に9~12個(3個×3~4列)並べたものを準備した。
被膜形成用組成物1が十分な量入った容器に刷毛の塗布部全体を1分間浸漬した後、刷毛を取り出して30秒間保持し余分な液を除いた。その刷毛を用いて、平積みパックに入ったイチゴに対し、パックの長手方向に1回塗布を行い、室温(25℃)で1時間静置乾燥させて被膜を形成した。
なお、被膜を形成しないイチゴを比較例1とした。
[鮮度保持評価]
実施例1~3及び比較例2~5の被膜付きイチゴと、比較例1のイチゴについて、鮮度維持率及び重量減少率によって鮮度保持評価を行った。
(鮮度維持率)
イチゴは、鮮度が低下すると表面の光沢が失われることが知られているため、光沢が維持されていることをもって鮮度保持効果があると評価した。
具体的には、実施例1~3及び比較例2~5の被膜付きイチゴと、比較例1のイチゴについて、15℃、50%RHで6日間保管した後の表面光沢を下記基準で評価した。
○(good):パックから見えるイチゴの外観において、ブランク(比較例1の0日目の状態)と同等の光沢がある部分が80%以上である。
×(no good):パックから見えるイチゴの外観において、ブランク(比較例1の0日目の状態)と同等の光沢がある部分が80%未満である。
上記基準で○(good)と評価したサンプルの割合を、表1の「鮮度維持率」に示した。
(重量減少率)
実施例1~3及び比較例2~5の被膜付きイチゴと、比較例1のイチゴについて、保管前(0日目)のイチゴの重量を基準とし、15℃、50%RHで6日間保管した後の重量減少率(((0日目の重量-保管後の重量)/0日目の重量)×100(%))を求めた。
実施例1~3及び比較例1~5の構成及び評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1~3では鮮度保持効果が良好であった。
実施例1~3の刷毛は、塗布部の100mm幅あたりの90度曲げ荷重が800g以下であり、これらの刷毛をイチゴ上で滑らせたときは抵抗が少なかったので、イチゴの表面の傷を抑制できていたと考えられる。
また、実施例1~3の刷毛は、塗布部の100mm幅あたりの保水力が0.5g以上であり、1回の塗布でパックのイチゴ全体に十分な厚みの被膜を形成できたため、作業効率が高かった。
一方、比較例2~5では、実施例1~3よりも鮮度維持効果が劣っていた。
比較例2~4の刷毛は、塗布部の100mm幅あたりの90度曲げ荷重が800gを超えており、これらの刷毛をイチゴ上で滑らせたときは抵抗が大きかった。よって、イチゴの表面に傷が発生したことが鮮度低下の一因であると考えられる。
また、比較例5の刷毛は、塗布部の100mm幅あたりの保水力が0.5gに満たず、1回の塗布では1列分(3個)しか塗工することができなかった。この刷毛であると、パックのイチゴ全体に十分な厚みの被膜を形成するには複数回塗布する必要があるため、作業効率が悪くなる。
以上の試験例1より、本発明の刷毛を用いて、食品の鮮度を保持し得る被膜を形成できる組成物を食品に塗布すると、柔らかい食品であっても表面を傷つけることがなく、作業効率も高くできることが確認できた。
なお、本発明において被膜を形成するための組成物の構成はシンプルであり、食品として使用可能な糖系界面活性剤から構成されているので、食品衛生上も安全であるという利点を有する。
また、本発明では食品に直接被膜を設けてガスバリア性を付与するため、従来のように樹脂製の包装フィルムを使用する必要もなく、フィルムレス化が図れることにより、環境負荷の低減にもつながるという利点を有する。

Claims (18)

  1. 食品に液体を塗布するための刷毛であって、
    前記液体が、糖系界面活性剤及び水系溶剤を含む組成物であり、
    前記刷毛が、前記液体を塗布する塗布部を備え、
    前記塗布部の100mm幅あたりの90度曲げ荷重が800g以下であり、
    前記塗布部の100mm幅あたりの保水力が0.5g以上である刷毛。
  2. 前記塗布部の長さが10mm以上200mm以下である、請求項1に記載の刷毛。
  3. 前記塗布部の厚みが1mm以上30mm以下である、請求項1又は2に記載の刷毛。
  4. 前記塗布部が合成樹脂製の毛材からなる、請求項1~3のいずれか1項に記載の刷毛。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の刷毛を用いて前記組成物を食品に塗布する塗布工程と、前記塗布された組成物を乾燥して食品の表面に被膜を形成する乾燥工程とを含む、被膜付き食品の製造方法。
  6. 前記塗布工程において、前記組成物を食品の一部に塗布する、請求項5に記載の被膜付き食品の製造方法。
  7. 前記組成物の不揮発成分濃度が0.1質量%以上20質量%以下である、請求項5又は6に記載の被膜付き食品の製造方法。
  8. 前記糖系界面活性剤の主成分が糖脂肪酸エステルである、請求項5~7のいずれか1項に記載の被膜付き食品の製造方法。
  9. 前記糖脂肪酸エステル100質量%のうち、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステルを50質量%以上含む、請求項8に記載の被膜付き食品の製造方法。
  10. 前記水系溶剤が、水又は水及びアルコールの混合物である、請求項5~9のいずれか1項に記載の被膜付き食品の製造方法。
  11. 請求項1~4のいずれか1項に記載の刷毛を用いて前記組成物を食品に塗布する塗布工程と、前記塗布された組成物を乾燥して食品の表面に被膜を形成する乾燥工程とを含む、被膜形成方法。
  12. 前記塗布工程において、前記組成物を食品の一部に塗布する、請求項11に記載の被膜形成方法。
  13. 前記組成物の不揮発成分濃度が0.1質量%以上20質量%以下である、請求項11又は12に記載の被膜形成方法。
  14. 前記糖系界面活性剤の主成分が糖脂肪酸エステルである、請求項11~13のいずれか1項に記載の被膜形成方法。
  15. 前記糖脂肪酸エステル100質量%のうち、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステルを50質量%以上含む、請求項14に記載の被膜形成方法。
  16. 前記水系溶剤が、水又は水及びアルコールの混合物である、請求項11~15のいずれか1項に記載の被膜形成方法。
  17. (A)食品を搬送する工程、(B)食品に被膜を形成する工程、及び(C)評価装置を用いて被膜付き食品を検査する工程、を含む食品の出荷方法であって、前記(B)工程において、請求項11~16のいずれか1項に記載の方法により被膜を形成する、食品の出荷方法。
  18. 前記(C)検査工程が、外観検査、糖度検査及びサイズ検査からなる群から選ばれる少なくとも1つの検査を含む、請求項17に記載の食品の出荷方法。
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