JP2023059121A - 組成物、被膜付き食品、被膜付き食品の製造方法、被膜形成方法及び食品の出荷方法 - Google Patents

組成物、被膜付き食品、被膜付き食品の製造方法、被膜形成方法及び食品の出荷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液安定性が良好であり、食品に対し、十分な鮮度保持性能を担保することのできる被膜を形成し得る組成物を提案すること。【解決手段】糖系界面活性剤及び水系溶剤を含む組成物であって、前記糖系界面活性剤の主成分が糖脂肪酸エステルであり、前記糖脂肪酸エステル100質量%のうち、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステルを50~98質量%含み、脂肪酸エステル基数が5個以上である糖脂肪酸エステルを2~50質量%含む組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、被膜付き食品、被膜付き食品の製造方法、被膜形成方法及び食品の出荷方法に関する。
近年、MA(Modified Atmosphere)包装に代表されるような、流通又は保管時において食品の鮮度を保持できる包装材が注目されている。そして、環境負荷低減の観点から、使用する包装材も使用後にリサイクル又は廃棄しやすいように、単一素材から構成される、いわゆるモノマテリアル化が進む傾向にある。
また、包装材を使用することなく、品質保持剤を青果物等の食品に直接塗布し、食品の鮮度を保持する技術が提案されている(特許文献1及び2参照)。
さらに、青果物の果皮障害を防止することを目的に、HLB5以下の界面活性剤を有効成分としてなる青果物の果皮障害防止剤が提案されている(特許文献3参照)。
特開2018-134115号公報 特表2005-530502号公報 特開平8-56564号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示される方法は鮮度保持期間が短かったり、使用する材料が人体には優しくない組成物であったり、必ずしも鮮度保持性能を発現させる上では十分ではなかった。
また、上記特許文献3に開示される液剤においては、液安定性が不十分であって、液剤を調製する際、又は経時的にゲル化が生じる場合があった。
そこで、本発明は、液安定性が良好であり、食品に対し、十分な鮮度保持性能を担保することのできる被膜を形成し得る組成物を提案することを課題とする。
本発明者らは、流通又は保管中における食品からの蒸散が鮮度低下の一要因であると考え、水蒸気バリア性の高い被膜を種々検討した。そして、特定の界面活性剤及び水系溶剤を含む組成物を用いると液安定性が良好であり、かつ、これを食品に付することによって、十分な鮮度保持性能を担保することができ、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1]糖系界面活性剤及び水系溶剤を含む組成物であって、前記糖系界面活性剤の主成分が糖脂肪酸エステルであり、前記糖脂肪酸エステル100質量%のうち、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステルを50~98質量%含み、脂肪酸エステル基数が5個以上である糖脂肪酸エステルを2~50質量%含む組成物。
[2]前記糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のうち、50質量%以上が飽和脂肪酸である、上記[1]に記載の組成物。
[3]前記糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との質量比が50/50~99/1である、上記[1]に記載の組成物。
[4]前記組成物中の不揮発成分濃度が1質量%以上20質量%以下である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の組成物。
[5]前記組成物中の不揮発成分のうち、前記糖系界面活性剤の含有量が60質量%以上である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の組成物。
[6]前記水系溶剤が、水又は水及びアルコールの混合物である、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の組成物。
[7]青果物へのコーティング用である、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の組成物。
[8]上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の組成物からなる被膜を有する、被膜付き食品。
[9]前記食品が青果物である、上記[8]に記載の被膜付き食品。
[10]上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の組成物を食品に塗布する工程を含む、被膜付き食品の製造方法。
[11]前記塗布の方法が、浸漬法又は噴射法である、上記[10]に記載の被膜付き食品の製造方法。
[12] 前記組成物又は前記糖系界面活性剤を食品の一部に塗布する、上記[10]又は[11]に記載の被膜付き食品の製造方法。
[13]前記組成物を食品に塗布した後、前記塗布された組成物の一部を除去する、上記[10]又は[11]に記載の被膜付き食品の製造方法。
[14]上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の組成物を食品に塗布する工程を含む、被膜形成方法。
[15]前記塗布の方法が、浸漬法又は噴射法である、上記[14]に記載の被膜形成方法。
[16]前記組成物を食品の一部に塗布する、上記[14]又は[15]に記載の被膜形成方法。
[17]前記組成物を食品に塗布した後、前記塗布された組成物の一部を除去する、上記[14]又は[15]に記載の被膜形成方法。
[18](A)食品を搬送する工程、(B)食品に被膜を形成する工程、及び(C)評価装置を用いて被膜付き食品を検査する工程、を含む食品の出荷方法であって、前記(B)工程において、上記[14]~[17]のいずれか1つに記載の方法により被膜を形成する、食品の出荷方法。
[19]前記(C)検査工程が、外観検査、糖度検査及びサイズ検査からなる群から選ばれる少なくとも1つの検査を含む、上記[18]に記載の食品の出荷方法。
本発明の組成物は、液安定性が良好であり、これを食品に付することによって、十分な鮮度保持性能を担保することができる。
本発明に係る青果物の出荷方法のイメージ図である。
<組成物>
本発明の組成物は、糖系界面活性剤及び水系溶剤を含む。当該組成物から得られる膜は水蒸気バリア性に優れるため、食品へのコーティング用として好適である。また、当該膜は酸素バリア性も有しているため、青果物へのコーティング用として特に好適である。なお、該組成物から得られる膜は、後述する通り水系溶剤が除去されるとよい。
[糖系界面活性剤]
糖系界面活性剤は、糖を親水基とする非イオン性界面活性剤である。
本発明の糖系界面活性剤としては、例えば、糖と脂肪酸がエステル結合してなる糖脂肪酸エステル、糖と高級アルコールがグリコシド結合してなるアルキルグリコシド等が挙げられ、中でも糖脂肪酸エステルが好ましい。
(糖脂肪酸エステル)
本発明の組成物は、糖系界面活性剤の主成分が糖脂肪酸エステルである。ここで主成分とは、糖系界面活性剤中、糖脂肪酸エステルが最も多い成分であることを意味し、例えば50質量%以上であり、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がよりさらに好ましい。糖系界面活性剤は、糖脂肪酸エステル単独で使用されてもよく、したがって、100質量%以下であればよい。
糖系界面活性剤の主成分として糖脂肪酸エステルを用いることで、得られる被膜のべたつきを抑え、かつ、水蒸気バリア性及び酸素バリア性を高くできる。また、同様の理由から、糖系界面活性剤は、結晶性を有することが好ましい。糖脂肪酸エステルは、被膜としたときに結晶構造を取りやすいため、得られる被膜の水蒸気バリア性及び酸素バリア性を高くすることができる。
糖脂肪酸エステルにおける糖は、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、多糖類、糖アルコール及びその他のオリゴ糖のいずれであってもよい。
単糖類としては、リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース等のペントース;プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フコース、フクロース、ラムノース等のヘキソースが挙げられる。
二糖類としては、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオース等が挙げられる。
三糖類としては、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース等が挙げられる。
四糖類としては、アカルボース、スタキオース等が挙げられる。
多糖類としては、グリコーゲン、デンプン、セルロース、デキストリン、グルカン、フルクタン、キチン等が挙げられる。
糖アルコールとしては、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、グリセリン等が挙げられ、これら糖アルコールの縮合体であってもよい。
その他のオリゴ糖としては、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、ラクトスクロース等が挙げられる。
上記の中でも、入手容易性の観点から、二糖類を含む糖脂肪酸エステルが好ましく、スクロースを含む糖脂肪酸エステル、すなわちショ糖脂肪酸エステルがより好ましい。
なお、糖脂肪酸エステルは1種のみである必要はなく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせる場合、糖脂肪酸エステル100質量%のうち、60質量%以上がショ糖脂肪酸エステルであるのが好ましい。この比率は、得られる被膜のべたつきを抑え、かつ、水蒸気バリア性及び酸素バリア性を高くできる観点から、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がよりさらに好ましい。糖脂肪酸エステルは、ショ糖脂肪酸エステル単独であってもよく、したがって、上記比率は、100質量%以下であればよい。
糖脂肪酸エステルの脂肪酸エステル基数は、親水基である糖の分子構造内にあるエステル結合可能な水酸基の数によってその範囲が変化し、例えば、ショ糖脂肪酸エステルでは1~8個、ソルビタン脂肪酸エステルでは2~4個である。
本発明の組成物は、糖脂肪酸エステル100質量%のうち、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステル(モノエステル、ジエステル又はトリエステル;以下「低脂肪酸エステル」という場合がある。)を50~98質量%含み、脂肪酸エステル基数が5個以上である糖脂肪酸エステル(ペンタエステル、ヘキサエステル、ヘプタエステル、オクタエステル等;以下「高脂肪酸エステル」という場合がある。)を2~50質量%含む。
上記低脂肪酸エステルのみを含有する組成物では、組成物の調製時に低脂肪酸エステルが高次構造を形成して凝集しやすく、沈殿物や浮遊物が生じやすくなる。一方で、上記高脂肪酸エステルの含有量が上記上限値よりも多くなると、組成物の貯蔵安定性が悪くなりやすい。
本発明の組成物は、脂肪酸エステル基数が上記範囲であることで、糖脂肪酸エステルが高次構造を形成して凝集することを抑えられるため、組成物の調製時に沈殿物や浮遊物が生じなくなり、組成物の液安定性が高くなる。また、経時的に沈殿物や浮遊物が生じることもなく、組成物の貯蔵安定性も高くなる。
以上の観点から、低脂肪酸エステルの含有量は60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。また、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましく、80質量%以下がよりさらに好ましい。
一方、高脂肪酸エステルの含有量は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がよりさらに好ましい。
本発明の組成物は、低脂肪酸エステル及び高脂肪酸エステル以外に、脂肪酸エステル基数が4個である糖脂肪酸エステル(テトラエステル)を含んでいてもよい。
糖脂肪酸エステル100質量%のうち、テトラエステルの含有量は0質量%以上であればよく、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、48質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
なお、脂肪酸エステル基数ごとの含有割合は、組成物から糖脂肪酸エステルを単離した後、Residue Monograph prepared by the meeting of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA), 84th meeting 2017 “ Sucrose Esters of Fatty Acids”並びにPrepared at the 71st JECFA (2009) and published in FAO JECFA Monographs 7 (2009) “Sucrose Oligoesters Type I”及び“Sucrose Oligoesters Type II” に記載される、METHOD OF ASSAYに従って測定することができる。
《モノエステル~トリエステル及びテトラエステル以上の測定》
一定量のテトラヒドロフラン(安定剤含有GPC又は工業用グレード)に試料を溶解させた後、0.5μmのメンブランフィルターで不溶物を取り除いた溶液を測定試料とし、下記条件での高速液体クロマトグラフィーを実施する。組成比は、モノエステル~トリエステルそれぞれのピーク面積及びテトラエステル以上をまとめたピーク面積を個別に算出し、43分までに検出された全てのピークの合計ピーク面積に対する比率を算出する。
ピーク面積は各ピークの開始点(立ち上がり位置)から終了点(立ち下がり位置)までの面積に該当する。
2つ以上のピークが隣接しており、開始点や終了点が不明な場合は、ピークとピークの間のデータが最小となった地点を開始点及び終了点として、面積を算出する。
〈測定条件:モノエステル~トリエステル及びテトラエステル以上〉
装置 :HLC-8320GPC 検出器:示差屈折計(東ソー社製)
カラム :TSK-ゲル G1000HXL,G2000HXL,G3000HXL,G4000HXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
検出器温度:40℃
溶離液 :テトラヒドロフラン(安定剤含有GPC又は工業用グレード)
流速 :0.8ml/min
注入量 :80μl
測定時間 :50分(43分までに検出した全てピークをもとに面積比を算出する)
《テトラエステル~オクタエステルの測定》
一定量のメタノール(試薬特級)/テトラヒドロフラン(安定剤不含HPLCグレード)=20/80(vоl/vоl)に試料を溶解させた後、0.45μmのメンブランフィルターで不溶物を取り除いた溶液を測定試料とし、下記条件での高速液体クロマトグラフィーを実施する。テトラエステル~オクタエステルの組成比は、テトラエステル~オクタエステルそれぞれのピーク面積を個別に算出し、テトラエステル~オクタエステルの合計ピーク面積に対する比率を算出し、上記《モノエステル~トリエステル及びテトラエステル以上の測定》で求めたテトラエステル以上の面積比率をテトラエステル~オクタエステルの面積比にて案分して算出する。
ピーク面積は各ピークの開始点(立ち上がり位置)から終了点(立ち下がり位置)までの面積に該当する。
2つ以上のピークが隣接しており、開始点や終了点が不明な場合は、ピークとピークの間のデータが最小となった地点を開始点及び終了点として、面積を算出する。
〈測定条件:テトラエステル~オクタエステル〉
装置
デガッサー:DGU-20A(島津製作所社製)
ポンプ :LC-20AD(島津製作所社製)
オーブン :CTO-20A(島津製作所社製)
検出器 :RID-20A 示差屈折計(島津製作所社製)
カラム :150mm×4.6mm i.d.;ODS-2(GLサイエンス社製)
カラム温度:40℃
検出器温度:40℃
溶離液 :メタノール(試薬特級)/テトラヒドロフラン(安定剤不含HPLCグレード)=70/30~50/50(vоl/vоl)
流速 :0.8ml/min
注入量 :20μl
測定時間 :16分
糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、食用油脂であることが好ましい。
糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数は特に限定されないが、12以上22以下が好ましく、12以上18以下がより好ましく、14以上18以下がさらに好ましい。炭素数が上記範囲であることによって、得られる被膜のべたつきを抑えられる。
糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸は飽和又は不飽和脂肪酸であってよいが、常温(20~25℃)において固体になりやすく、得られる被膜のべたつきを抑えられる観点から、飽和脂肪酸が好ましい。飽和脂肪酸を持つ糖脂肪酸エステル(a)は、被膜中で規則的な構造をとりやすいため、得られる被膜の水蒸気バリア性及び酸素バリア性を高くすることができる。
構成脂肪酸のうち、飽和脂肪酸の含有量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がよりさらに好ましく、90質量%以上がいっそう好ましい。上限に関しては特に限定されないが、100質量%以下であればよい。
飽和脂肪酸として、より具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられ、中でもラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸がより好ましい。これら飽和脂肪酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記糖脂肪酸エステル(a)と、不飽和脂肪酸を持つ糖脂肪酸エステル(b)を併用してもよい。糖脂肪酸エステル(a)と糖脂肪酸エステル(b)を併用すると、組成物の液安定性及び貯蔵安定性がより高くなる。また、糖脂肪酸エステル(a)と糖脂肪酸エステル(b)を併用すると、食品に塗布したときの外観が良好になる。
糖脂肪酸エステル(a)と糖脂肪酸エステル(b)を併用する場合は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との質量比が50/50~99/1となる量に調整することが好ましい。当該質量比は、50/50~90/10がより好ましく、50/50~80/20がさらに好ましく、55/45~70/30がさらに好ましい。
不飽和脂肪酸として、より具体的には、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸等が挙げられ、中でもオレイン酸、エルカ酸が好ましい。これら不飽和脂肪酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸組成は、組成物から糖脂肪酸エステルを単離した後、誘導体化してからガスクロマトグラフィーによって測定できる。
[水系溶剤]
本発明の組成物に含有される水系溶剤は、水を少なくとも含有する。
また、液安定性及び塗布性の観点からは、水及び水と親和性のある有機溶剤の混合物が好ましく、当該有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコールがより好ましい。
組成物中の水の含有量は、70質量%以上99質量%以下が好ましく、80質量%以上98質量%以下がより好ましく、90質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。
一方、組成物中の有機溶剤の含有量は1質量%以上30質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
[その他の成分]
本発明の組成物は、上記糖系界面活性剤以外の界面活性剤や、pH調整剤などを含有してもよい。
上記糖系界面活性剤以外の界面活性剤としては、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート、レシチンなどが挙げられる。これら界面活性剤の含有量は、組成物中の不揮発成分のうち、0質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
pH調整剤としては、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、アンモニア等を用いることができる。pH調整剤の含有量は、安全性の観点から、組成物のpHが4以上10以下、好ましくは4以上8以下となる量が好ましい。
[組成物の物性]
(不揮発成分濃度)
本発明の組成物における不揮発成分濃度は、1質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。不揮発成分濃度が上記範囲であると、好適な膜厚を有する被膜を形成しやすくなるため、食品からの蒸散を効果的に抑制できる。
なお、低脂肪酸エステル及び高脂肪酸エステルの含有量が本発明の範囲外である組成物では、不揮発成分濃度が低いと(例えば、0.5質量%程度)液安定性及び貯蔵安定性において問題は生じにくいが、1質量%又はそれ以上となるにつれて液安定性及び貯蔵安定性が悪くなる傾向がある。
ここで、本発明における「不揮発成分濃度」とは、組成物中に含まれる溶剤を除いた不揮発成分の濃度である。
(糖系界面活性剤の含有量)
糖系界面活性剤の含有量は、得られる塗膜の水蒸気バリア性及び酸素バリア性を高くできる観点から、組成物中の不揮発成分のうち、100質量%を上限として、60質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がよりさらに好ましい。
本発明における被膜は、組成物から溶剤を揮発させたものであるため、被膜における糖系界面活性剤の好適な含有量も上記と同様である。
(組成物のpH)
組成物のpHは、食品に安全に適用できる観点から、4以上10以下が好ましく、4以上8以下がより好ましい。
(糖系界面活性剤のHLB)
糖系界面活性剤のHLBは特に限定されないが、水系溶剤を用いて被膜を形成できる観点から、5以上が好ましく、7以上がより好ましく、9以上がさらに好ましい。HLBの上限は通常20であり、18以下がより好ましい。
<被膜付き食品>
本発明の組成物は、食品に直接塗布し、被膜を形成する、被膜付き食品用途に極めて有効である。当該被膜は水蒸気バリア性に優れるため、食品からの蒸散を抑制でき、食品の鮮度が保持できる。また、当該被膜は酸素バリア性も有するため、特に青果物においては、呼吸による老化も抑制できる。
当該被膜は必ずしも食品の全体を被覆している必要はなく、食品からの蒸散及び呼吸が抑制できるのであれば食品の一部のみを被覆していてもよい。
例えば、当該食品が青果物である場合、当該被膜は青果物の一部のみを被覆していてもよい。当該被膜の面積は青果物全体の表面積に対して10%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、50%以上がよりさらに好ましい。
また、青果物の鮮度を保持する観点からは、当該被膜が、水分の蒸散が多い部位を少なくとも被覆することが好ましい。水分の蒸散が多い部位としては、例えば、葉裏の気孔、茎、果梗、穂軸、ガク若しくは根等の部位、又は、収穫時の切断面が挙げられる。
さらに、青果物の外観を大きく変えることなく、鮮度を保持する観点からは、水分の蒸散が多い部位のみを被覆することが好ましい。
[食品]
本発明の組成物を適用し得る食品としては、青果物、肉、魚等の生鮮食品、乳製品、ベーカリー製品等の加工食品が挙げられる。
中でも、本発明の被膜は水蒸気バリア性に優れることから、蒸散によって品質が低下しやすい青果物又は乳製品に適用することが好ましい。また、当該被膜は酸素バリア性も有するため、呼吸による老化が発生する青果物に適用することがより好ましい。
青果物としては、例えば、リンゴ、サクランボ、モモ、アオウメ、オレンジ、グレープフルーツ、ミカン、スダチなどの柑橘類果実、カキ、イチジク、イチゴ、キウイフルーツ、ブドウ、ブルーべリー、バナナ、マンゴー、メロン、パパイヤ、レイシ(ライチ)、アンズ、アボカド、カンタループ、グアバ、ネクタリン、ナシ(ニホンナシ、セイヨウナシなど)、プラム等の果物;ダイコン、ニンジン、ゴボウ、タケノコ、サツマイモ、タマネギ、ショウガ、サトイモ、ナガイモ等の土物類;アスパラガス、キャベツ、レタス、ホウレンソウ、ハクサイ、カリフラワー、ブロッコリー等の葉茎菜類;トマト、ナス、カボチャ、ピーマン、キュウリ等の果菜類;ワラビ、ゼンマイ等の山菜;シイタケ、エリンギ、ブナシメジ、ホンシメジ、エノキダケ、マイタケ等の菌茸類;キク、バラ、ユリ等の切り花が挙げられる。
乳製品としては、チーズ、バター等が挙げられる。
[被膜の物性]
(平均膜厚)
本発明の組成物により得られる被膜の平均膜厚は、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下がより好ましい。平均膜厚が0.1μm以上であることによって、水蒸気バリア性及び酸素バリア性が良好となる。一方、平均膜厚が10μm以下であることによって、食品の食感を保った状態で被膜を形成できる。
本発明においては、食品全体において被膜の厚みが均一でなくてもよい。
なお、被膜の平均膜厚は、被膜付き食品を予め凍結乾燥させた後、被膜を剥離して断面を電子顕微鏡又は金属顕微鏡等で観察し、無作為に10点以上を選択して厚みを測定した平均値から求めることができる。
(水蒸気バリア性)
本発明の組成物により得られる被膜は、30℃、50%RHにおける1μmあたりの水蒸気透過率が0.1~30g/(m・day)であるのが好ましく、0.5~20g/(m・day)がより好ましく、1~10g/(m・day)がさらに好ましい。水蒸気透過率が上記範囲内であると、食品からの蒸散を抑制でき、鮮度保持が可能となる。
なお、水蒸気透過率(WVTR)はJIS K7129-5に基づき水蒸気透過率測定装置 DELTAPERMを用いた差圧法にて測定できる。より具体的には、30℃、50%RHの条件下において、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に被膜した際の水蒸気透過率の測定値を、下記式によって1μmあたりの透過率に換算した値である。
Figure 2023059121000001
(酸素バリア性)
本発明の被膜は、25℃、50%RHにおける1μmあたりの酸素透過率が0.1~1000cc/(m・day・atm)であるのが好ましく、0.5~700cc/(m・day・atm)がより好ましく、1~500cc/(m・day・atm)がさらに好ましい。酸素透過率が上記範囲内であると、青果物の呼吸による老化を抑制でき、より鮮度保持が可能となる。
なお、酸素透過率(OTR)はJIS K7126-2に基づき酸素透過率測定装置 OX-TRAN 2/21(MOCON社製)を用いた等圧法にて測定できる。より具体的には、25℃、50%RHの条件下において、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に被膜した際の酸素透過率の測定値を、下記式によって1μmあたりの透過率に換算した値である。
Figure 2023059121000002
<被膜付き食品の製造方法>
本発明の組成物を塗布して得られる被膜付き食品は、上記組成物を食品に塗布する方法によって製造される。上記組成物を食品に塗布した後、乾燥が行われてもよい。
組成物の塗布及び乾燥については、後述する「被膜形成方法」に記載の方法を好適に用いることができる。
<被膜形成方法>
本発明に係る被膜形成方法としては、上記組成物を食品に塗布する方法が挙げられる。
組成物を食品に塗布する場合、塗布方法は特に限定されるものではなく、例えば、刷毛塗り、カーテンコート等の塗布液を食品に直接塗布する方法;含浸コート等の浸漬法;スプレーコート等の噴射法が挙げられる。
これらのうち、立体形状を有する食品表面を比較的均一に被覆できる観点からは、浸漬法又は噴射法が好ましい。
なお、当該食品が青果物である場合、青果物の種類及び塗布作業のしやすさに応じて、収穫後に青果物表面に被膜を形成してもよいし、青果物表面に被膜を形成してから収穫してもよい。収穫前に被膜を形成する場合は、青果物が所望の成熟度になった段階で被膜を形成することが望ましい。
本方法において、組成物の乾燥時間を短くし、被膜形成処理の効率を高める観点からは、組成物を食品の一部に塗布することが好ましい。
例えば、当該食品が青果物である場合は、組成物を青果物の一部のみに塗布してもよい。この場合、塗布面積は青果物全体の表面積に対して10%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、50%以上がよりさらに好ましい。
また、青果物の鮮度を保持する観点からは、組成物を水分の蒸散が多い部位に少なくとも塗布することが好ましい。
糖系界面活性剤の使用量を必要最小限にする観点からは、水分の蒸散が多い部位のみに組成物を塗布してもよい。
本方法において、組成物を食品に塗布した後、塗布された組成物の一部を除去してもよい。除去方法は特に限定されないが、エアードライヤーを用いた風圧による除去等が挙げられる。
例えば、食品表面の余分な組成物を除去することで、過剰量塗布された部分の乾燥不良を防ぐことができる。
また、食品の一部分の組成物を除去することで、糖系界面活性剤の使用量を必要最小限にできる。
当該食品が青果物である場合は、水分の蒸散が多い部位を少なくとも被覆すれば鮮度を保持できるため、それ以外の部分の組成物は除去されてもよい。
なお、塗布方法に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著1979年発行に記載例がある。
[乾燥]
組成物を食品に塗布した後、水系溶媒を除去する等の目的で被膜の乾燥が行われてもよい。乾燥方法としては、例えば、静置乾燥、風乾又は加熱乾燥が挙げられるが、食品の鮮度を保持する観点から、室温(20~25℃)で静置して乾燥する方法、又は室温で風乾する方法が好ましい。
<食品の出荷方法>
本発明の組成物を塗布した食品の出荷方法は、(A)食品を搬送する工程、(B)食品に被膜を形成する工程、及び(C)評価装置を用いて被膜付き食品を検査する工程、を含み、当該(B)工程において、本発明に係る被膜形成方法により、食品に被膜を形成することが好ましい。このようにして、被膜が形成され、検査された食品は、輸送機関等により、消費地に出荷される。
なお、上記出荷方法における(B)工程及び(C)工程は順序が逆であってもよい。すなわち、(A)工程、(B)工程、(C)工程の順であってもよく、(A)工程、(C)工程、(B)工程の順であってもよい。
以下では、(A)工程、(B)工程、(C)工程の順を例にして、図1に示すイメージ図に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る食品出荷方法のイメージ図である。(A)食品を搬送する工程は、食品を(B)工程に供するための工程である。その方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ベルトコンベア等で連続的に搬送してもよいし、トラック等で多くの食品をまとめて搬送するものであってもよい。
図1では、ベルトコンベア11を利用して、食品10を搬送する態様を示す。食品10は、ベルトコンベアに載せられ、回転ロール12を回転させることにより、(B)工程に供される。
次の(B)工程は、(A)工程で搬送された食品10に被膜を形成する工程である。被膜の形成は、上記「被膜形成方法」に記載の方法を好適に用いることができる。
図1では、好ましい態様の一つである浸漬法を例示している。食品10は本発明の組成物を満たした浸漬槽13に浸漬させられ、食品の表面に組成物が塗布される。なお、ベルトコンベアには爪などの食品固定手段が備えられており、食品10は固定された状態で浸漬槽に搬入、搬出される。その後、乾燥炉14で溶媒が除去され、食品10に被膜が形成される。ただし、乾燥炉14を省略し、食品10を室温で静置して乾燥してよいし、無溶剤塗布では乾燥を省略してもよい。
当該(B)工程において食品の一部のみに被膜を形成する場合には、ベルトコンベアに載せられた食品10の上から組成物が塗布又はスプレーされ、乾燥炉14へ搬送されるのが好ましい。
また、ロボットハンドなどの食品把持手段によって、食品10の一部分のみが浸漬槽13に浸漬させられた後、浸漬面を上にしてベルトコンベアに載せられ、乾燥炉14へ搬送されてもよい。
食品10が浸漬槽13に浸漬させられた後、塗布された組成物の一部がエアードライヤー(図示せず)等によって除去されてもよい。
次に、(C)工程は、(B)工程で被膜が形成された食品10を、評価装置15を用いて検査する工程である。当該評価装置としては、光センサー、重量計、カメラ等を用いることができる。
(C)検査工程における検査としては、種々の検査項目が挙げられるが、外観検査、糖度検査及びサイズ検査からなる群から選ばれる少なくとも1つの検査を含むことが好ましい。
なお、本発明では、被膜の透明性が高いために、糖度検査等の光を用いた非破壊検査に対して支障を来たすことがないため、従来の食品に対して用いられていた検査方法(例えば、特開2012-78206号公報)をそのまま使用することができる。
以上のように、(A)搬送工程、(B)被膜形成工程、(C)検査工程を経た被膜付き食品は、通常の手段により出荷される。図1では、出荷車両16により出荷される例を示す。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
下記材料を表1に記載の量で配合し、実施例1~5、比較例2~4及び参考例1の組成物を調製した。具体的には、表1に記載の含有量となるように、該糖系界面活性剤(不揮発成分)をエタノール及び水からなる水系溶剤に73℃で溶解させ、その後常温(25℃)下で2時間静置し、塗布液(組成物)を作製した。使用した材料は以下の通りである。
S-1670;ショ糖ステアリン酸エステル、三菱ケミカル社製「リョートー(登録商標)シュガーエステル」、HLB 約16
P-1670;ショ糖パルミチン酸エステル、三菱ケミカル社製「リョートー(登録商標)シュガーエステル」、HLB 約16
S-170;ショ糖ステアリン酸エステル、三菱ケミカル社製「リョートー(登録商標)シュガーエステル」、HLB 約1
O-170;ショ糖オレイン酸エステル、三菱ケミカル社製「リョートー(登録商標)シュガーエステル」、HLB 約1
ER-290;ショ糖エルカ酸エステル、三菱ケミカル社製「リョートー(登録商標)シュガーエステル」、HLB 約2
なお、表1中では、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステルの含有量を「低脂肪酸エステル」の欄に記載し、脂肪酸エステル基数が5個以上である糖脂肪酸エステルの含有量を「高脂肪酸エステル」の欄に記載している。これらの含有量は、上記各製品からMETHOD OF ASSAYに従って測定した脂肪酸エステル基数の値と、各製品の配合比率とから計算で求めた値である。
<評価方法>
(沈殿又は浮遊物)
実施例1~5、比較例2~4及び参考例1の塗布液(組成物)の沈殿又は浮遊物の有無を、作製直後と4日間静置した後について、目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
A(very good):沈殿又は浮遊物が全くなく、液の透明度が均一である。
B(good):わずかに沈殿又は浮遊物が見られるが、液の透明度は80%以上均一である。
C(poor):若干沈殿又は浮遊物が見られるが、液相と沈殿又は浮遊物との境界があいまいである。
D(very poor):はっきりとした沈殿又は浮遊物が見られ、液相と沈殿又は浮遊物とがはっきりと分離している。
(塗膜の外観)
実施例1~5、比較例2~4及び参考例1の塗布液(組成物)を浸漬法でイチゴに塗布し、室温(20~25℃)で静置して乾燥させた後の外観について、目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
A(very good):塗布跡が残っているか、又は表面が白化している果数が5%未満である。
B(good):塗布跡が残っているか、又は表面が白化している果数が5%以上50%未満である。
C(poor):塗布跡が残っているか、又は表面が白化している果数が50%以上である。
[酸素バリア性評価]
実施例1~5、比較例2~4及び参考例1の塗布液(組成物)を、予め高平滑面側にコロナ処理したPETフィルム(50μm厚 東洋紡社製:A4160タイプ)に#20バーコーターで塗布し、室温(20~25℃)で24時間乾燥して、PETフィルム上に塗膜を形成した。
実施例1~5、比較例2~4及び参考例1の塗膜付きPETフィルムについて、JIS K7126-2に基づき、MOCON社製の酸素透過率測定装置「OX-TRAN 2/21」を用いて、25℃、50%RHの条件下における酸素透過率を測定し、塗膜1μmあたりの酸素透過率を下記の式によって求めた。
Figure 2023059121000003
[水蒸気バリア性評価]
上記酸素バリア性評価と同じ方法で作製した実施例1~5、比較例2~4及び参考例1の塗膜付きPETフィルムについて、JIS K7129-5法に基づき、Technolox社製の水蒸気透過率測定装置 DELTAPERMを用いて、30℃、50%RHの条件下における水蒸気透過率を測定し、塗膜1μmあたりの水蒸気透過率を下記の式によって求めた。
Figure 2023059121000004
(重量維持率)
実施例1~5及び比較例2の塗布液(組成物)を浸漬法で塗布した被膜付きブドウと、比較例1のブドウ(被膜なし)について、保管前(0日)のブドウの重量を基準とし、12℃、80%RHで5日、12日、24日保管した後の重量維持率((保管後の重量/0日の重量)×100(%))を求めた。
Figure 2023059121000005
表1の結果から、本発明の組成物は、作製直後及び4日間静置後のいずれも、沈殿又は浮遊物が全くなく、液の透明度が均一であり、液の安定性が極めて高いことが実証された。また、実施例1~5の組成物からなる被膜は酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有しており、比較例1よりもブドウからの蒸散を抑制できたことから、十分な鮮度保持性能を有していることが示唆された。
一方、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステルの含有量が50質量%未満である比較例2~4では、作製直後、4日間静置後のいずれの場合も、はっきりとした沈殿又は浮遊物が見られ、液相と沈殿又は浮遊物とがはっきりと分離していた。すなわち、液の安定性が悪いことがわかる。また、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステルの含有量が98質量%を超える参考例1では、作製直後の液の安定性は高いものの、4日間静置後には、若干沈殿又は浮遊物が見られた。
1 食品出荷システム
10 食品
11 ベルトコンベア
12 回転ロール
13 浸漬槽
14 乾燥炉
15 評価装置
16 出荷車両

Claims (19)

  1. 糖系界面活性剤及び水系溶剤を含む組成物であって、前記糖系界面活性剤の主成分が糖脂肪酸エステルであり、前記糖脂肪酸エステル100質量%のうち、脂肪酸エステル基数が3個以下である糖脂肪酸エステルを50~98質量%含み、脂肪酸エステル基数が5個以上である糖脂肪酸エステルを2~50質量%含む組成物。
  2. 前記糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のうち、50質量%以上が飽和脂肪酸である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との質量比が50/50~99/1である、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記組成物中の不揮発成分濃度が1質量%以上20質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記組成物中の不揮発成分のうち、前記糖系界面活性剤の含有量が60質量%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記水系溶剤が、水又は水及びアルコールの混合物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 青果物へのコーティング用である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物からなる被膜を有する、被膜付き食品。
  9. 前記食品が青果物である、請求項8に記載の被膜付き食品。
  10. 請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物を食品に塗布する工程を含む、被膜付き食品の製造方法。
  11. 前記塗布の方法が、浸漬法又は噴射法である、請求項10に記載の被膜付き食品の製造方法。
  12. 前記組成物又は前記糖系界面活性剤を食品の一部に塗布する、請求項10又は11に記載の被膜付き食品の製造方法。
  13. 前記組成物を食品に塗布した後、前記塗布された組成物の一部を除去する、請求項10又は11に記載の被膜付き食品の製造方法。
  14. 請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物を食品に塗布する工程を含む、被膜形成方法。
  15. 前記塗布の方法が、浸漬法又は噴射法である、請求項14に記載の被膜形成方法。
  16. 前記組成物を食品の一部に塗布する、請求項14又は15に記載の被膜形成方法。
  17. 前記組成物を食品に塗布した後、前記塗布された組成物の一部を除去する、請求項14又は15に記載の被膜形成方法。
  18. (A)食品を搬送する工程、(B)食品に被膜を形成する工程、及び(C)評価装置を用いて被膜付き食品を検査する工程、を含む食品の出荷方法であって、前記(B)工程において、請求項14~17のいずれか1項に記載の方法により被膜を形成する、食品の出荷方法。
  19. 前記(C)検査工程が、外観検査、糖度検査及びサイズ検査からなる群から選ばれる少
    なくとも1つの検査を含む、請求項18に記載の食品の出荷方法。
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