JP2023130582A - 圧電単結晶コンポジット振動子 - Google Patents

圧電単結晶コンポジット振動子 Download PDF

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Abstract

【課題】 電気機械結合係数が高く、かつ生産性に優れた圧電単結晶コンポジット振動子を提供する。【解決手段】 本発明の圧電単結晶コンポジット振動子は、複数の圧電単結晶の柱と、前記圧電単結晶の柱同士の間に配置された樹脂とを含有し、厚み方向に分極されて、前記厚み方向と平行方向の振動モードの電気機械結合係数を利用する、2-2型のものであって、前記圧電単結晶の柱として、幅の異なる柱(1)および柱(2)を含有し、厚みをt(mm)とし、前記柱(1)の幅をw1(mm)とし、前記柱(2)の幅をw2(mm)としたとき、w1/tが0.3~0.6であり、w2/tが0.6より大きく、w2/w1が1.5以上であることを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、電気機械結合係数が高く、かつ生産性に優れた圧電単結晶コンポジット振動子に関するものである。
超音波機器などの、電気信号を変位に変換する機構を有する装置や、加速度センサなどの、変位を電気信号に変換する機構を有する装置においては、従来から圧電性を有する振動子が使用されている。このような振動子としては、圧電セラミックスと樹脂(高分子)とを組み合わせたコンポジット振動子が知られているが、近年では、圧電セラミックスに代えて圧電単結晶を使用したコンポジット振動子も開発されている(特許文献1など)。
特開2005-139064
圧電単結晶コンポジット振動子を製造するに際しては、例えば、圧電単結晶に機械加工によって溝を形成し、その溝に樹脂を充填した後に圧電単結晶における溝の底に当たる部分を研磨して、溝の中に充填した樹脂の面を露出させる方法が採用されている。このような製造方法によって得られる圧電単結晶コンポジット振動子は、樹脂の端面が、圧電コンポジット振動子のxyz方向に2方向露出しており、2-2型の圧電単結晶コンポジット振動子と称されている。
なお、圧電単結晶コンポジット振動子は、一般に電気機械結合係数が高いことが求められており、これに対応するには、圧電単結晶に形成する溝と、これに隣接する溝との間を狭くして、これらの溝間(すなわち、圧電単結晶コンポジット振動子における樹脂間)に位置する圧電単結晶の柱の幅を小さくし、この柱の数を多くすることが望ましい。
圧電単結晶コンポジット振動子において、幅の小さい圧電単結晶の柱を数多く形成するには、圧電単結晶に形成する溝の本数を多くする必要があるが、溝の形成は容易ではなく、これを多数形成するにはかなりの加工時間を要する。そのため、電気機械結合係数が高い圧電単結晶コンポジット振動子の生産性には、一定の制限があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気機械結合係数が高く、かつ生産性に優れた圧電単結晶コンポジット振動子を提供することにある。
本発明の圧電単結晶コンポジット振動子は、複数の圧電単結晶の柱と、前記圧電単結晶の柱同士の間に配置された樹脂とを含有し、厚み方向に分極されて、前記厚み方向と平行方向の振動モードの電気機械結合係数を利用する、2-2型のものであって、前記圧電単結晶の柱として、幅の異なる柱(1)および柱(2)を含有し、厚みをt(mm)とし、前記柱(1)の幅をw1(mm)とし、前記柱(2)の幅をw2(mm)としたとき、w1/tが0.3~0.6であり、w2/tが0.6より大きく、w2/w1が1.5以上であることを特徴とするものである。
本発明によれば、電気機械結合係数が高く、かつ生産性に優れた圧電単結晶コンポジット振動子を提供することができる。
本発明の圧電単結晶コンポジット振動子の一例を模式的に表す斜視図である。 本発明の圧電単結晶コンポジット振動子の製造方法を説明するための図面である。 本発明の圧電単結晶コンポジット振動子の製造方法を説明するための図面である。
本発明の圧電単結晶コンポジット振動子は、複数の圧電単結晶の柱と、前記圧電単結晶の柱同士の間に配置された樹脂とを含有し、厚み方向に分極されて、前記厚み方向と平行方向の振動モードの電気機械結合係数を利用する、2-2型のものである。そして、幅の異なる柱(1)および柱(2)を含有し、厚みをt(mm)とし、前記柱(1)の幅をw1(mm)とし、前記柱(2)の幅をw2(mm)としたとき、w1/tが0.3~0.6であり、w2/tが0.6より大きく、w2/w1が1.5以上である。
図1に、本発明の圧電単結晶コンポジット振動子の一例を模式的の表す斜視図を示す。ただし、図1は、圧電単結晶コンポジット振動子の構造の理解を容易にするためのものであり、各要素のサイズは必ずしも正確ではない(後記の図2および図3も同様である)。また、図1の左側には、結晶方位を示している(後記の図2および図3も同様である)。
圧電単結晶コンポジット振動子1は、厚み方向〔図中縦方向、すなわち[001]方位〕に分極されて、前記厚み方向と平行方向の振動モードの電気機械結合係数を利用するものである。そして、圧電単結晶コンポジット振動子1は、圧電単結晶の柱21、22と樹脂3とを含有し、樹脂3が、各圧電単結晶の柱同士の間に配置されている。柱21、22は、厚み方向に直交する方向〔図中横方向、すなわち[100]方位〕の幅が、互いに異なっている。また、圧電単結晶コンポジット振動子は、圧電単結晶の柱21、22と樹脂3とを含有する圧電単結晶コンポジットの(001)面(図中上面および下面)に、電極4、4を有している。
本発明の圧電単結晶コンポジット振動子において、その厚みをt(mm)としたとき、より幅の狭い圧電単結晶の柱(図中、柱21)は、その幅w1と厚みtとの比:w1/tが0.3以上0.6以下の柱(1)であり、より幅の広い圧電単結晶の柱(図中、柱22)は、その幅w2と厚みtとの比:w2/tが0.6より大きい柱(2)である。そして、柱(1)の幅w1と柱(2)の幅w2との比:w2/wが1.5以上である。なお、本明細書でいう圧電単結晶コンポジット振動子における厚みtは、電極部分を除く厚み(図1で示すように、圧電単結晶の柱と樹脂とを含有する圧電単結晶コンポジット部分の厚み)を意味している。
このように、本発明の圧電単結晶コンポジット振動子は、幅が異なり、かつ互いの幅が特定の関係を満たす複数の圧電単結晶の柱を有しており、これにより、幅と厚みとの比が、より幅の狭い柱(1)と同程度の柱を一律に形成した圧電単結晶コンポジット振動子と、同等または、これに近い電気機械結合係数を確保できる。また、本発明の圧電単結晶コンポジット振動子では、より幅の広い柱(2)を有することで、製造時の溝(樹脂を充填するための溝)の形成本数を、幅と厚みとの比が柱(1)と同程度の柱を一律に有する圧電単結晶コンポジット振動子よりも少なくして、加工時間を短時間化することが可能とし、これにより、優れた生産性を確保している。
また、幅と厚みとの比が柱(1)と同程度の柱を一律に形成した圧電単結晶コンポジット振動子は、樹脂を充填するための細い溝を数多く形成する必要などから、製造途中に破損しやすく、不良品の発生割合が比較的高いが、本発明の圧電単結晶コンポジット振動子では、例えば樹脂を充填するための溝の形成本数を少なくできるため、製造途中での不良品の発生を抑えることもでき、かかる観点からも、高い生産性を確保できる。
さらに、圧電単結晶コンポジット振動子において、横軸に周波数をとり、縦軸にインピーダンスをとった対数グラフによって振動特性を評価すると、例えば、幅(w)と厚み(t)との比w/tが0.3~0.6程度の圧電単結晶の柱を一律に形成した振動子では、厚み方向の振動である主振動のみが観測される傾向にあるが、w/tが0.6を超える柱を一律に形成した振動子では、厚み方向の振動である主振動だけでなく、幅方向(図1中横方向)の振動が不要振動として現れるようになる。こうした不要振動は、主振動と近い周波数帯に位置することから、上記のように圧電単結晶の柱のw/tが大きい(すなわち、柱の幅が大きい)圧電単結晶コンポジット振動子の場合は、適用する機器において利用すべき主振動のみを効果的に取り出すことができなくなる。しかしながら、本発明の圧電単結晶コンポジット振動子では、幅方向の不要振動は生じるものの、厚み方向の主振動とは重複しない周波数帯に位置するため、適用機器において必要な厚み方向の主振動を効果的に取り出すことが可能となる。
圧電単結晶コンポジット振動子を構成する圧電単結晶としては、例えば、チタン酸鉛を含む固溶系単結晶が挙げられ、具体的には、酸化マグネシウムおよび酸化インジウムのうちの少なくとも一方と、酸化ニオブとを有する鉛複合ペロブスカイト組成物、酸化亜鉛と酸化ニオブを有する鉛複合ペロブスカイト組成物などが挙げられる。上記鉛複合ペロブスカイト組成物としては、マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛〔Pb(Mg1/3Nb2/3)O-PbTiO〕(PMN-PT)、インジウムニオブ酸鉛-マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛〔Pb(In1/2Nb1/2)O-Pb(Mg1/3Nb2/3)O-PbTiO〕(PIN-PMN-PT)、亜鉛ニオブ酸鉛-チタン酸鉛〔Pb(Zn1/3Nb2/3)O-PbTiO〕(PZN-PT)などが挙げられる。
圧電単結晶には、市販の原料単結晶板を使用することができる。原料単結晶板として使用し得る市販品の具体例としては、ティーアールエス・テクノロジーズ・インコーポレーテッド社製の「X2B(商品名)」(PMN-PT)、シーティーエスコーポレーション社製のPMN-28PT(Type A)やPMN-32PT(Type B)などが挙げられる。
圧電単結晶コンポジット振動子を構成し、圧電単結晶の柱同士の間に配置される樹脂としては、圧電単結晶の柱の間に充填して圧電単結晶コンポジット振動子を製造でき、かつ圧電単結晶コンポジット振動子に必要な絶縁性を有するものであれば、特に制限はない。樹脂の具体例としては、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂(これらの熱硬化性樹脂の硬化物);アクリロニトリル系共重合体樹脂、アクリロニトリルスチレン系共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂などの熱可塑性樹脂;が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂については、圧電単結晶コンポジット振動子の電極形成の際に軟化が生じないように、電極形成時の温度よりも融点またはガラス転移温度が高いものを選択することが望ましい。
圧電単結晶コンポジット振動子における圧電単結晶の柱(1)は、w1/tが0.6以下であり、このように幅の狭い柱(1)を設けることで、圧電単結晶コンポジット振動子の電気機械結合係数を高めることができる。ただし、柱(1)の幅を小さくしすぎると、その形成が容易ではなく、生産性の向上効果が小さくなる虞がある。よって、柱(1)のw1/tは、0.3以上である。
また、圧電単結晶コンポジット振動子における圧電単結晶の柱(2)は、w2/tが0.6より大きく、このように幅の広い柱(2)を、幅の狭い柱(1)と共に設けることで、圧電単結晶コンポジットの生産性向上を図っている。なお、w2/tの上限値については、w1/tの上記範囲と、後記のw2/w1の範囲とを満たす範囲であればよい。
さらに、圧電単結晶コンポジット振動子においては、柱(1)の幅w1と柱(2)の幅w2との比:w2/w1が、1.5以上であり、2以上であることが好ましい。このように、柱(1)の幅に対して柱(2)の幅が一定以上大きいことで、電気機械結合係数の向上効果と生産性の向上効果とのバランスが良好となる。w2/w1の値が大きくなりすぎると、上記のバランスが悪くなる傾向にあることから、w2/w1の値は、4以下であることが好ましい。
柱(1)の幅w1は、具体的には、0.01mm以上であることが好ましく、0.03mm以上であることがより好ましく、3mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。また、柱(2)の幅w2は、具体的には、0.02mm以上であることが好ましく、0.09mm以上であることがより好ましく、9mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
さらに、圧電単結晶コンポジット振動子の厚みtは、0.02mm以上であることが好ましく、0.04mm以上であることがより好ましく、3mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
また、圧電単結晶コンポジット振動子における樹脂の幅(図1中、横方向の長さ)は、0.005mm以上であることが好ましく、0.015mm以上であることがより好ましく、3mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
さらに、圧電単結晶コンポジット振動子における、図1中に示す奥行方向の長さLは、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、30mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。
また、圧電単結晶コンポジット振動子において、電気機械結合係数の向上効果をより良好に確保する観点からは、柱(2)の数を1としたときに、柱(1)の数が、2以上であることが好ましい。ただし、柱(2)の数に対して柱(1)の数を大きくしすぎると、生産性向上効果が小さくなる虞がある。よって、圧電単結晶コンポジット振動子において、より良好な生産性を確保する観点からは、柱(2)の数を1としたときに、柱(1)の数が、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
圧電単結晶コンポジット振動子が有する柱(1)は、w1/tが上記の値を満たしていれば、全てが同じ幅であってもよく、一部が異なる幅であったり、全てが互いに異なる幅であったりしてもよいが、生産性向上の観点からは、全てが同じ幅であることが好ましい。また、圧電単結晶コンポジット振動子が有する柱(2)も、w2/tが上記の値を満たしていれば、全てが同じ幅であってもよく、一部が異なる幅であったり、全てが互いに異なる幅であったりしてもよいが、生産性向上の観点からは、全てが同じ幅であることが好ましい。
また、圧電単結晶コンポジット振動子における柱(1)および柱(2)の配置については、特に制限はないが、幅の狭い柱(1)は、数本が連続して配置されていてもよい一方で、幅の広い柱(2)は、連続して配置されていないことが好ましい。また、生産性向上と特性向上とをより良好なバランスで達成する観点からは、図1に示すように、連続して配置された数本(例えば、3~5本程度)の柱(1)と、それに隣接する1本の柱(2)とを1セットとして、これらのセットが連続的に配置されていることが、より好ましい〔ただし、この場合、最外部の圧電単結晶の柱は、いずれも柱(2)としてもよい〕。
次に、圧電単結晶コンポジット振動子の製造方法の一例を、図面を用いて説明する。図2は、圧電単結晶コンポジット振動子を形成するための圧電単結晶板の一例を模式的に表す斜視図である。この図2に示すように、圧電単結晶板2に、樹脂を充填するための溝23を、[010]方位に平行に形成する。溝の形成には、ダイシングソーなどの精密切断装置を使用することができる。
次に、圧電単結晶板に形成した溝に樹脂を充填する。溝への樹脂の充填は、熱硬化性樹脂の場合は、一般に液状であるため、この液を溝に注入し、加熱するなどの定法に従って熱硬化性樹脂を硬化させる方法を採用することができる。また、熱可塑性樹脂を使用する場合の溝への樹脂の充填については、熱可塑性樹脂の溶液または分散液を溝に注入し、加熱するなどして溶液または分散液中の溶媒を除去する方法を採用することができる。
その後、圧電単結晶板の溝の底部分を研磨して、溝の底に位置していた樹脂の面を露出させると共に、圧電単結晶の柱(1)および柱(2)を形成して、圧電単結晶コンポジットを得る。圧電単結晶板の研磨には、グラインダーなどを使用することができる。
このようにして得られる圧電単結晶コンポジットの一例を表す斜視図を図3に示しているが、圧電単結晶コンポジット10は、圧電単結晶の柱(1)21および柱(2)22を有し、かつこれらの柱の間に樹脂3を有している。
そして、通常は、この圧電単結晶コンポジットの図中上面および下面〔すなわち、(001)面〕に電極を形成し、厚み方向に分極処理を施して、図1に示すような圧電単結晶コンポジット振動子を得る。
電極は、例えば、Ni、Cr、Ti、Au、Pt、Pd、Ag、Cu、Alなどの金属を1種類以上用いて、スパッタ法、メッキ法、蒸着法などによって形成することができる。電極の厚みは、100~2000nmであることが好ましい。
分極処理は、電極形成後の圧電素子用単結晶板の両電極間に、直流電圧を印加することによって行うことができる。分極処理時に印加する直流電圧は、例えば、0.1~2.0kV/mmとすればよく、また、処理時間は、例えば、10秒~30分とすればよい。
このようにして得られる圧電単結晶コンポジット振動子においては、主振動の共振点および反共振点におけるインピーダンスを、それぞれZr1、Za1とし、不要振動の共振点および反共振点におけるインピーダンスを、それぞれZr2、Za2としたとき、「〔log(Za2)-log(Zr2)〕/〔log(Za1)-log(Zr1)〕」を、0以上0.4以下というように、幅の広い圧電単結晶の柱を有する振動子において問題となっている不要振動(幅方向の振動)を低減することができる。
なお、ここでいう「主要振動」とは、(001)面に電極が付され、[001]方位に分極された本発明の振動子にあっては、厚み方向の振動であり、分極方向に一致した振動であり、付与された電極に交流ないしパルス電界を印加した際に励振される、最も大きな振動を意味する。周波数に対するインピーダンス特性計測において、得られたピークのインピーダンス最大値は反共振インピーダンスZa、インピーダンス最小値は共振インピーダンスZrで計測される。計測された周波数帯において、厚み方向振動モードであり、最大のピークを示す振動を主振動と規定する。主振動の反共振インピーダンスをZa1、共振インピーダンスをZr1で示す。また、「不要振動」とは、上の「主振動」以外の振動で、柱の幅方向の振動および高次の幅方向の振動の結合で励振される振動で、「主振動」の振動方向と直交する方向の振動を意味する。主振動に対して高周波側で最も近接するピークを不要振動と規定し、その反共振インピーダンスをZa2、共振インピーダンスをZr2で示す。
本発明の圧電単結晶コンポジット振動子は、医療用超音波機器、空中超音波機器、水中超音波機器、固体超音波機器、その他の超音波機器などの電気信号を変位に変換するセンシング材料;加速度センサなどの変位を電気信号に変換するセンシング材料;などをはじめとして、従来から知られている圧電単結晶コンポジット振動子が適用されている用途に、好ましく適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
Pb(Mg1/3Nb2/3)O-PbTiO〔PMN-PT、ティーアールエス・テクノロジーズ・インコーポレーテッド社製、「X2B(商品名)」〕の原料単結晶板の両主面〔(001)面〕を、グラインダー(株式会社ディスコ製)で研磨して、厚みを0.50mmとした。この単結晶板を、ダイシングソー(株式会社ディスコ製)を用いて、切断面が(100)面および(010)面となるように切断して、[100]方位の長さLが30mm、[010]方位の幅Wが15mmのPMN-PT単結晶板を得た。
得られたPMN-PT単結晶板に、ダイシングソーを用いて溝幅0.035mm、溝深さ0.3mm幅の溝加工を行った。このとき、w/t=0.5の柱になる幅は0.1mm、w/t=1.5の柱になる幅は0.3mmになるよう溝加工を行って、幅0.1mmの柱を32本、幅0.3mmの柱を16本形成した。
得られた溝加工後のPMN-PT単結晶板にエポキシ樹脂〔Epoky Tecnology、Inc製「EPO-TEK 301(商品名)」〕を充填し、熱を加えてで硬化させ、圧電単結晶コンポジットを作製した。得られた圧電単結晶コンポジットを、グラインダーを用いて厚み0.2mmに研磨して、溝の底部分に位置していた樹脂を露出させた。
得られた圧電単結晶コンポジットの両主面(001)面に、スパッタリング装置(芝浦メカトロニクス株式会社製)を用いて、厚みが50nmのクロムからなる下地層と、厚みが200nmの金からなる上地層とを有する電極を形成した。そして、電極を形成した圧電単結晶コンポジットに、25℃で5kV/cmの直流電界を印加して分極処理を施し、図1に示す外観の圧電単結晶コンポジット振動子を得た。
実施例2~4、比較例1~3
表1に示す柱幅と柱数で溝加工を行った以外は、実施例1と同様にして圧電単結晶コンポジット振動子を得た。
実施例および比較例の圧電単結晶コンポジット振動子について、以下の各評価を行った。
<周波数に対するインピーダンス特性評価>
実施例および比較例の各圧電単結晶コンポジット振動子の厚み方向振動の周波数に対するインピーダンス特性を、キーサイト・テクノロジー社製の「インピーダンスアナライザー4294A(商品名)」を用いて、25℃で、厚み方向振動モード(図1における[001]方位)で測定した。そして、得られた各圧電単結晶コンポジット振動子の共振周波数frと反共振周波数faとから、一般社団法人電子情報技術産業協会の規格JEITA EM-4501A(圧電セラミック振動子の電気的試験方法)に記載の方法に準じて、電気機械結合係数k(%)を算出した。
また、上記の測定で得られた最大のピークを示す振動を主振動とし、そのピークのインピーダンス最大値を反共振インピーダンスZa1、インピーダンス最小値を共振インピーダンスZr1とした。また、上記の測定で主振動のピークに対して高周波側で最も近接するピークを不要振動とし、その反共振インピーダンスをZa2、共振インピーダンスをZr2とした。そして、主振動の反共振・共振インピーダンスの差に対する不要振動の反共振・共振インピーダンスの差の割合を「〔log(Za2)-log(Zr2)〕/〔log(Za1)-log(Zr1)〕」で表した。この割合は、主振動に対する不要振動の大きさの比を表している。
なお、比較例1の圧電単結晶コンポジット振動子については、不要振動と評価できる振動が認められなかったために、「〔log(Za2)-log(Zr2)〕/〔log(Za1)-log(Zr1)〕」は求めていない。
<PMN-PT単結晶板の溝加工時の生産性評価>
実施例2および比較例1~3の圧電単結晶コンポジット振動子の作製途中の、PMN-PT単結晶板の溝加工時の生産性を、加工時間と歩留まりとで評価した。歩留まりについては、形成した柱の良品率で評価した。溝加工で形成した柱について、「倒れ」や「割れ」、「裂け」といった不良状態の発生の有無を目視で確認し、このような不良状態が生じなかった柱を良品とした。評価は、実施例、比較例のいずれも3個について行い、良品の柱の割合(%)を溝加工時の歩留まりとした。この溝加工時の生産性が高いPMN-PT単結晶板を用いて得られた圧電単結晶コンポジット振動子は、生産性が高いと判断できる。
実施例および比較例の圧電単結晶コンポジット振動子における柱の構成を表1に示し、厚み方向振動の周波数に対するインピーダンス特性の評価結果を表2および表3に示す。なお、表1における本数比の「w/t 0.5:1.5」とは、w/t=0.5の柱の本数と、w/t=1.5の柱の本数との比を意味している。また、表3における「主振動に対する不要振動の大きさの割合」は、上記の「〔log(Za2)-log(Zr2)〕/〔log(Za1)-log(Zr1)〕」の値を意味している。
Figure 2023130582000002
Figure 2023130582000003
Figure 2023130582000004
実施例1~4の圧電単結晶コンポジット振動子において、幅が0.1mmの柱(w/t=0.5の柱)が「柱(1)」に相当し、幅が0.3mmの柱(w/t=1.5の柱)が「柱(2)」に相当する。表1~表3に示す通り、w/tの値が適正な柱(1)と柱(2)とを、適正な比率で有する実施例1~4の圧電単結晶コンポジット振動子は、電気機械結合係数kが、w/t=1.5の柱を一律に形成した比較例3の圧電単結晶コンポジット振動子よりも高く、w/t=0.5の柱を一律に形成した比較例1の圧電単結晶コンポジット振動子よりは低いものの、w/t=0.75の柱を一律に形成した比較例2の圧電単結晶コンポジット振動子と同等程度であった。
また、実施例1~4の圧電単結晶コンポジット振動子は、主振動に対する不要振動の大きさの割合「〔log(Za2)-log(Zr2)〕/〔log(Za1)-log(Zr1)〕」が、比較例2、3の圧電単結晶コンポジット振動子に比べて小さく、不要振動を抑制できていた。
さらに、PMN-PT単結晶板の溝加工時の生産性評価結果を表4に示す。表4における「加工時間」は、比較例1に係るPMN-PT単結晶板の加工に要した時間を1.00とした相対値で示す。
Figure 2023130582000005
表4に示す通り、実施例2の圧電単結晶コンポジット振動子に係るPMN-PT単結晶板は、w/t=0.5の柱を一律に形成した比較例1の圧電単結晶コンポジット振動子に係るPMN-PT単結晶板に比べて、上記溝加工時の加工時間が短く、かつ歩留まりが高く、生産性が優れていた。
1 圧電単結晶コンポジット振動子
10 圧電単結晶コンポジット
2 圧電単結晶板
21 圧電単結晶の柱(1)
22 圧電単結晶の柱(2)
23 溝
3 樹脂
4 電極

Claims (3)

  1. 複数の圧電単結晶の柱と、前記圧電単結晶の柱同士の間に配置された樹脂とを含有し、厚み方向に分極されて、前記厚み方向と平行方向の振動モードの電気機械結合係数を利用する、2-2型の圧電単結晶コンポジット振動子であって、
    前記圧電単結晶の柱として、幅の異なる柱(1)および柱(2)を含有し、
    厚みをt(mm)とし、前記柱(1)の幅をw1(mm)とし、前記柱(2)の幅をw2(mm)としたとき、w1/tが0.3~0.6であり、w2/tが0.6より大きく、w2/w1が1.5以上であることを特徴とする圧電単結晶コンポジット振動子。
  2. 前記柱(2)の数を1としたときに、前記柱(1)の数が2以上である請求項1に記載の圧電単結晶コンポジット振動子。
  3. 主振動の共振点および反共振点におけるインピーダンスを、それぞれZr1、Za1とし、不要振動の共振点および反共振点におけるインピーダンスを、それぞれZr2、Za2としたとき、〔log(Za2)-log(Zr2)〕/〔log(Za1)-log(Zr1)〕が0~0.4である請求項1または2に記載の圧電単結晶コンポジット振動子。
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