JP2023130063A - マウント - Google Patents

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Shota Kawamura
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Abstract

【課題】バネ部の弾性率が低くても耐久性の低下を抑制できるようにする。【解決手段】マウント1は、スリーブ2と、弾性体部3とを備えている。弾性体部3は、取付部10と、ストッパ部20と、バネ部30と、スリーブ保持部40とを有している。ストッパ部20は取付部10よりも被支持側に位置しており、スリーブ保持部40は、取付部10及びストッパ部20の内周側に位置している。バネ部30は、ストッパ部20とスリーブ保持部40との間に延びており、被支持側に凸に曲がる部分である屈曲部31を有している。バネ部30は、外周側において、ストッパ部20との間に被支持側に開放する環状の空間である外周側空間G1を形成しており、また、内周側において、スリーブ保持部40との間に被支持側に開放する環状の空間である内周側空間G2を形成している。【選択図】図2

Description

本発明は、マウントに関し、特に物体を支持するためのマウントに関する。
従来から、物体を支持するための装置としてマウントが用いられている。マウントには、支持する装置や支持される装置からの振動や力を吸収し又は緩衝する機能を有しているものがある。このようなマウントのうち、自動車の補器を支持するためのマウントや小型の装置を支持するためのマウントには、支持する対象が軽量であるため、弾性体のみから形成されているもの、または、弾性体とこの弾性体に取り付けられたスリーブとから形成されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
実開昭62-62043号公報
近年のe-Mobility化によって、車両等に搭載される装置は軽量になっており、これらの装置を支持するために用いられるマウントには、防振効果を高めるために、防振作用を奏する部分であるバネ部の弾性率を低くすることが求められている。バネ部の弾性率が低くなると、バネ部は変形しやすくなり、このため、被支持体からの荷重に基づくバネ部の変形が大きくなる。バネ部の変形が大きくなると、この変形に伴ってマウントに局所的に応力集中が発生し、マウントに亀裂が発生する場合がある。また、バネ部の変形が大きくなると、バネ部にクリープが発生する場合がある。このため、従来のこのようなマウントに対しては、バネ部の弾性率を低くしても、耐久性の低下を抑制することができる構成が求められている。
本発明の課題は、バネ部の弾性率が低くても、耐久性の低下を抑制することができるマウントを提供することにある。
本発明に係るマウントは、軸線に沿って延びる筒状の部材であるスリーブと、前記スリーブに取り付けられた弾性体から形成された弾性体部とを備え、前記弾性体部は、前記軸線周りに環状の部分である取付部と、前記軸線周りに環状の部分であるストッパ部と、前記軸線周りに環状の部分であるバネ部と、前記スリーブを保持する部分であるスリーブ保持部とを有しており、前記ストッパ部は前記取付部よりも前記軸線方向における一方の側に位置しており、前記スリーブ保持部は、前記取付部及び前記ストッパ部の内周側に位置しており、前記バネ部は、前記ストッパ部と前記スリーブ保持部との間に延びており、前記軸線方向における前記一方の側に凸に曲がる部分である屈曲部を有しており、前記バネ部は、外周側において、前記ストッパ部との間に前記軸線方向における前記一方の側に開放する環状の空間を形成しており、また、内周側において、前記スリーブ保持部との間に前記軸線方向における前記一方の側に開放する環状の空間を形成していることを特徴とする。
本発明の一態様に係るマウントにおいて、前記バネ部の前記屈曲部の前記一方の側の端は、前記ストッパ部の前記一方の側の端よりも、前記軸線方向において前記一方の側に位置している。
本発明の一態様に係るマウントにおいて、前記スリーブ保持部の前記一方の側の端は、前記バネ部の前記屈曲部の前記一方の側の端よりも、前記軸線方向において前記一方の側に位置している。
本発明の一態様に係るマウントにおいては、前記スリーブ保持部の前記一方の側の端と、前記ストッパ部の前記一方の側の端とが、前記軸線方向において同じ位置となったときに、前記バネ部の前記一方の側の端が前記ストッパ部の前記一方の側の端よりも前記軸線方向において前記一方の側に突出しないようになっている。
本発明の一態様に係るマウントにおいて、前記バネ部と前記ストッパ部との間の前記一方の側に開放する前記空間の前記軸線方向における他方の側の端と、前記ストッパ部の前記一方の側の端との間の、前記軸線方向における距離である距離aと、前記バネ部と前記ストッパ部との間の前記一方の側に開放する前記空間の前記軸線方向における他方の側の端と、前記バネ部の前記屈曲部の前記一方の側の端との間の、前記軸線方向における距離である距離bと、前記ストッパ部の前記一方の側の端と、前記スリーブ保持部の前記一方の側の端との間の、前記軸線方向における距離である距離Sとは、b<S/2+aの関係を満たしている。
本発明の一態様に係るマウントにおいて、前記取付部と前記ストッパ部との間には、内周側に凹む環状の溝が形成されている。
本発明に係るマウントによれば、バネ部の弾性率が低くても、耐久性の低下を抑制することができる。
軸線に沿う断面で切断した本発明の実施の形態に係るマウントの斜視図である。 図1に示すマウントの軸線に沿う断面における断面図である。 図1に示すマウントのバネ部近傍を拡大して示す部分拡大断面図である。 図1に示すマウントの使用状態を示す図である。 図4に示す使用状態において、ボトム状態になったマウントの様子を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、軸線xに沿う断面で切断した本発明の実施の形態に係るマウント1の斜視図であり、図2は、本発明の実施の形態に係るマウント1の軸線xに沿う断面における断面図である。本発明に係るマウントは、例えば車両に支持されて、車両の補器等を支持するために用いられる。本発明に係るマウントの適用対象は、車両に限られない。
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図2参照)方向の側(軸線方向において一方の側)を被支持側とし、軸線x方向において矢印b(図2参照)方向の側(軸線方向において他方の側)を支持側とする。より具体的には、被支持側とは、マウント1によって支持される補器等の被支持体の側であり、支持側とは、エンジンや車両のフレーム等のマウント1を支持する支持体の側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図2の矢印c方向)の側を外周側とし、軸線xに近づく方向(図2の矢印d方向)の側を内周側とする。なお、軸線xは仮想の線である。
図1,2に示すように、マウント1は、軸線xに沿って延びる筒状の部材であるスリーブ2と、スリーブ2に取り付けられた弾性体から形成された弾性体部3とを備えている。弾性体部3は、軸線x周りに環状の部分である取付部10と、軸線x周りに環状の部分であるストッパ部20と、軸線x周りに環状の部分であるバネ部30と、スリーブ2を保持する部分であるスリーブ保持部40とを有している。ストッパ部20は取付部10よりも被支持側(軸線x方向における一方の側)(図2の矢印a方向の側)に位置しており、スリーブ保持部40は、取付部10及びストッパ部20の内周側に位置している。バネ部30は、ストッパ部20とスリーブ保持部40との間に延びており、被支持側に凸に曲がる部分である屈曲部31を有している。バネ部30は、外周側(図2の矢印c方向側)において、ストッパ部20との間に被支持側に開放する環状の空間である外周側空間G1を形成しており、また、内周側において、スリーブ保持部40との間に被支持側に開放する環状の空間である内周側空間G2を形成している。以下、マウント1について具体的に説明する。
スリーブ2は、軸線xに沿って延びる筒状の部材であり、例えば金属から作られている。スリーブ2は、図1,2に示すように、例えば軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒状又は略円筒状の部材である。後述するように、スリーブ2内には被支持体をマウント1に固定するための固定機構が取り付けられる。固定機構は例えば、ボルトとナットであり、ボルトが被支持体を貫通し、スリーブ2内に通されて、このボルトにナットが螺合されて、スリーブ2にボルトとナットが固定され、被支持体がスリーブ2に固定される。
取付部10は、例えば図1,2に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする環状の部分であり、例えば、軸線xを中心とする円を描く仮想線に沿って延びている。取付部10は、例えば支持側の端部の外周側にテーパ面11を有している。テーパ面11は、支持側に向かって縮径する面であり、例えば、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円錐面又は略円錐面である。取付部10は、テーパ面11の被支持側の端から被支持側に延びる筒状の面である外周面12を有しており、また、外周面12の被支持側の端から内周側に延びる面である挟み面13を有している。挟み面13は、環状の面であり、例えば、軸線xに直交する仮想の平面に平行に又は略平行になっている。
また、取付部10は、図1,2に示すように、挟み面13の内周側の端から被支持側に延びる筒状の面である溝底面14を有している。溝底面14は、例えば図2に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒面又は略円筒面である。また、取付部10は、内周側に面する面である内周面15を有している。内周面15は、図2に示すように、軸線xに沿って延びる筒状の面である。内周面15は、例えば、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒面又は略円筒面である。また、内周面15は、例えば、被支持側に向かうに連れて縮径する面であり、例えば、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円錐面又は略円錐面である。取付部10の支持側の端には、環状の端面16が広がっている。
ストッパ部20は、例えば図1,2に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする環状の部分であり、例えば、軸線xを中心とする円を描く仮想線に沿って延びている。ストッパ部20は、例えば、取付部10の溝底面14の被支持側の端から外周側に延びる環状の面である接地面21を有している。接地面21は、環状の面であり、例えば、軸線xに直交する仮想の平面に平行に又は略平行になっている。接地面21は、内周側の部分において取付部10の挟み面13に対向しており、接地面21は、取付部10の挟み面13よりも外周側に延びている。また、ストッパ部20は、接地面21の外周側の端から被支持側に延びる筒状の面である外周面22と、外周面22の被支持側の端から内周側に延びる面であるストッパ面23とを有している。ストッパ面23は、環状の面であり、例えば、軸線xに直交する仮想の平面に平行に又は略平行になっている。
また、ストッパ部20は、取付部10の内周面15から延びる、内周側に面する面である内側内周面24を有している。内側内周面24は、内周面15に滑らかにつながっている。内側内周面24は、図2に示すように、軸線xに沿って延びる筒状の面である。内側内周面24は、例えば、被支持側に向かうに連れて縮径する面であり、例えば、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円錐面又は略円錐面である。また、内側内周面24は、例えば、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒面又は略円筒面である。図2に示すように、ストッパ部20において、内側内周面24は、外周面22の支持側の部分に径方向において背向している部分である。
また、ストッパ部20は、ストッパ面23の内周側の端から支持側に延びる、内周側に面する面である外側内周面25を有している。外側内周面25は、図2に示すように、軸線xに沿って延びる筒状の面である。外側内周面25は、例えば、支持側に向かうに連れて縮径する面であり、例えば、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円錐面又は略円錐面である。また、外側内周面25は、例えば、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒面又は略円筒面である。図2に示すように、ストッパ部20において、外側内周面25は、外周面22の被支持側の部分に径方向において背向している部分である。
上述のように、取付部10とストッパ部20とはつながっており、図2に二点鎖線で示す境界線L1が、断面における取付部10とストッパ部20との境界となっている。なお、境界線L1は仮想の線である。つまり、取付部10の溝底面14の被支持側の端と内周面15の被支持側の端との間の部分と、ストッパ部20の接地面21の内周側の端と内側内周面24の支持側の端との間の部分とで、取付部10とストッパ部20とは一体につながっている。
スリーブ保持部40は、スリーブ2を外周側において保持している部分であり、例えば、図2に示すように、スリーブ2の外周面2a全体に取り付けられている。スリーブ保持部40は、スリーブ2の外周面2aの一部に取り付けられていてもよい。スリーブ保持部40は、例えば、接着によってスリーブ2に取り付けられている。スリーブ2は、スリーブ保持部40内に圧入されて嵌着されていてもよい。また、スリーブ保持部40は、例えば図2に示すように、支持側に向かうに連れて肉厚が厚くなるようになっている。なお、肉厚とは、径方向の厚さである。
バネ部30は、上述のように、被支持側に凸に曲がる屈曲部31を有しており、被支持側に突出するように曲がる環状の膜状の部分である。バネ部30は、例えば図1,2に示すように、外周側に位置する筒状の部分である外周側筒部32と、外周側筒部32より内周側に位置する筒状の部分である内周側筒部33とを有している。外周側筒部32は、被支持側の端において、屈曲部31の外周側の端に一体につながっており、また、内周側筒部33は、被支持側の端において、屈曲部31の内周側の端に一体につながっている。また、外周側筒部32は、支持側の端において、ストッパ部20に一体につながっており、内周側筒部33は、支持側の端において、スリーブ保持部40に一体につながっている。
図2に二点鎖線で示す境界線L2が、断面におけるストッパ部20とバネ部30との境界となっている。つまり、ストッパ部20の内側内周面24の被支持側の端と外側内周面25の支持側の端との間の部分と、バネ部30の外周側筒部32の支持側の端とで、ストッパ部20とバネ部30とは一体につながっている。また、図2に二点鎖線で示す境界線L3が、断面におけるスリーブ保持部40とバネ部30との境界となっている。例えば、バネ部30の内周側筒部33の支持側の端は、スリーブ保持部40の軸線x方向における中央よりも支持側においてスリーブ保持部40の外周面41の部分に一体につながっている。また、図2に示すように、例えば、ストッパ部20とバネ部30との境界線L2と、スリーブ保持部40とバネ部30との境界線L3とは、径方向において対向しており、軸線x方向における位置が同じであるか又は近接している。なお、境界線L2,L3は、仮想の線である。
図3は、マウント1のバネ部30近傍を拡大して示す部分拡大断面図である。図3に示すように、バネ部30の外周側筒部32は、被支持側に向かうにつれて縮径しており、例えば、ストッパ部20と接続する部分である移行部32aを除いて、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円錐筒状又は略円錐筒状となっている。この円錐筒状又は略円錐筒状の部分(立上り部32b)は、例えば、延び方向全体に亘って厚さが一定又は略一定となっている。なお、立上り部32bの厚さは、図3に示す断面における、立上り部32bの延び方向に直交する方向の立上り部32bの幅である。図2,3に示すように、断面において、立上り部32bは、被支持部側に向かって軸線x側(内周側)に傾いている。なお、立上り部32bの形状は上述の形状に限られず他の形状であってもよい。例えば、立上り部32bは、断面において、軸線xに平行又は略平行であってもよく、被支持部側に向かって外周側に傾いていてもよい。また、立上り部32bは、断面において、曲線に沿って延びていてもよい。
図3に示すように、バネ部30の内周側筒部33は、被支持側に向かうにつれて拡径しており、例えば、スリーブ保持部40と接続する部分である移行部33aを除いて、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円錐筒状又は略円錐筒状となっている。この円錐筒状又は略円錐筒状の部分(立上り部33b)は、例えば、延び方向全体に亘って厚さが一定又は略一定となっている。なお、立上り部33bの厚さは、図3に示す断面における、立上り部33bの延び方向に直交する方向の立上り部33bの幅である。図2,3に示すように、断面において、立上り部33bは、被支持側に向かって外周側に傾いている。なお、立上り部33bの形状は上述の形状に限られず他の形状であってもよい。例えば、立上り部33bは、断面において、軸線xに平行又は略平行であってもよく、被支持部側に向かって内周側に傾いていてもよい。また、立上り部33bは、断面において、曲線に沿って延びていてもよい。
図3に示すように、バネ部30の外周側筒部32の移行部32aは、ストッパ部20に滑らかにつながっている。例えば、移行部32aの内周側の面は、ストッパ部20の内側内周面24と面一になっている。また、例えば、移行部32aの外周側に面する面である外周側面32cは、図3に示すように断面において支持側に凹む曲線を描く曲面となっており、断面における曲率は、立上り部32b側から大きくなっている。例えば、移行部32aの外周側面32cが図3に示す断面において描く曲線は、それぞれ異なる曲率を有する複数の曲線がつながったものであり、曲線の曲率は、立上り部32b側から増加している。例えば、移行部32aの外周側面32cが図3に示す断面において描く曲線は、それぞれ異なる曲率を有する2つの曲線からなっており、立上り部32b側の曲線の曲率の方が、ストッパ部20の外側内周面25側の曲線の曲率よりも小さくなっている。ストッパ部20の外側内周面25の外周側筒部32に接続する部分である移行面25aは、例えば図3に示すように断面において支持側に凹む曲線を描く曲面となっている。
図3に示すように、バネ部30の内周側筒部33の移行部33aは、スリーブ保持部40の外周面41に滑らかにつながっている。例えば、移行部33aの外周側の面は、図3に示すように断面において被支持側に凹む曲線を描く曲面となっており、スリーブ保持部40の外周面41に滑らかにつながっている。また、例えば、移行部33aの内周側に面する面である内周側面33cは、図3に示すように断面において支持側に凹む曲線を描く曲面となっており、断面における曲率は一定となっている。スリーブ保持部40の外周面41の内周側筒部33に接続する部分である移行面41aは、例えば図3に示すように断面において支持側に凹む曲線を描く曲面となっている。
バネ部30において、上述のように、屈曲部31は、外周側において外周側筒部32の立上り部32bにつながっており、また、内周側において内周側筒部33の立上り部33bにつながっている。また、外周側の立上り部32bの厚さは、内周側の立上り部33bの厚さよりも厚くなっている。このため、屈曲部31の外周側の端の厚さは、屈曲部31の内周側の端の厚さよりも厚くなっている。例えば、屈曲部31の厚さは、内周側の端から外周側の端に向かって、徐々に厚くなっている。具体的には、例えば、屈曲部31の支持側に面する面である内側面31aは、図3に示すように断面において一定の曲率の曲線を描く曲面となっており、同様に、屈曲部31の被支持側に面する面である外側面31bは、図3に示すように断面において一定の曲率の曲線を描く曲面となっている。また、内側面31aの断面における曲率は、外側面31bの断面における曲率よりも大きくなっている。
上述のように、バネ部30の屈曲部31の内側面31aは、被支持側に凹んでおり、バネ部30は、支持側に開放する環状の空間であるバネ部空間G3を形成している。また、ストッパ部20の内側内周面24は、スリーブ保持部40の外周面41に対向して、外周面41との間に環状の空間G4を形成しており、また、取付部10の内周面15は、スリーブ保持部40の外周面41に対向して、外周面41との間に環状の空間G5を形成している。バネ部空間G3は空間G4に連通しており、空間4は空間G5に連通しており、バネ部空間G3、空間G4、及び空間G5は、支持側に開放する環状の空間を形成している。
また、図3に示すように、バネ部30の屈曲部31の外側面31bの軸線x方向における被支持側の端(先端31c)は、ストッパ部20の被支持側の端であるストッパ面23よりも、軸線x方向において被支持側に位置している。また、図2に示すように、スリーブ2の軸線x方向における被支持側の端(先端2b)は、バネ部30の屈曲部31の外側面31bの先端31cよりも、軸線x方向において被支持側に位置している。このように、バネ部30は、ストッパ部20及びスリーブ保持部40に囲まれており、ストッパ部40とバネ部30との間には、被支持側に開放する環状の空間である外周側空間G1が形成されており、また、バネ部30とスリーブ保持部40との間には、被支持側に開放する環状の空間である内周側空間G2が形成されている。
図1~3に示すように、外力が加わっていない自由状態のマウント1において、スリーブ2の支持側の端である後端2cは、例えば、取付部10の端面16よりも支持側に突出しておらず、空間G5内に位置している。なお、自由状態のマウント1において、スリーブ2の支持側の端である後端2cは、取付部10の端面16よりも支持側に突出していてもよい。
上述のように、取付部10には挟み面13及び溝底面14が形成されており、また、ストッパ部20には接地面21が形成されている。接地面21は、内周側の端において溝底面14の被支持側の端につながっている。このように、挟み面13と溝底面14と接地面21とは、内周側に凹む環状の溝である取付溝4を形成しており、マウント1には、取付部10とストッパ部20との間に取付溝4が形成されている。取付溝4は、後述するように、マウント1が支持される支持体の部材が取付溝4に入り込むようになっており、これによりマウント1が支持体に固定されるようになっている。
上述したように、自由状態のマウント1においては、図2に示すように、スリーブ2の先端2bが、バネ部30の先端31cよりも軸線x方向において被支持側に位置し、また、バネ部30の先端31cが、ストッパ部20のストッパ面23よりも軸線x方向において被支持側に位置している。バネ部30は、後述するマウント1の使用状態において、ママウント1に支持される被支持体がストッパ部20のストッパ面23に接触するボトム状態において、バネ部30の軸線x方向における被支持側の端が被支持体に接触しないように作られている。例えば、図2に示すように、自由状態のマウント1において、バネ部30とストッパ部20との間の外周側空間G1の端g1とストッパ20のストッパ面23との間の軸線x方向における距離を距離aとし、バネ部30の先端31cと外周側空間G1の端g1との間の軸線x方向における距離を距離bとし、スリーブ2の先端2bとストッパ部20のストッパ面23との間の軸線x方向における距離を距離Sとすると、距離aと距離bと距離Sとは、下記の式(1)を満たすように夫々設定されている。なお、端g1は、外周側空間G1の軸線x方向における支持側の端であり、例えば、外周側筒部32の移行部32aの外周側面32cと外側内周面25の移行面25aとがつながる部分である。
(数1)
b<S/2+a ・・・・・・・・・・ (1)
マウント1の使用状態において、被支持体からの荷重によってスリーブ2及びスリーブ保持部40が支持側に移動すると、バネ部30の移行部33aが支持側に引っ張られ、バネ部30が変形して弾性力が発生する。このバネ部30の変形によって発生する弾性力が被支持体からの荷重に対して作用し、緩衝機能が発揮され、被支持体の変位が抑制される。バネ部30は、上述のような形状をしており、つまり、スリーブ保持部40側から、筒状の内周側筒部33、被支持側に凸に屈曲した屈曲部31、筒状の外周側筒部32と続いており、移行部33aが引っ張られると先ず屈曲部31が更に屈曲するように変形することになる。これにより、例えば屈曲部31の内側面31aの図3に示す断面における曲率が大きくなり、屈曲部31の軸線x方向における先端が自由状態における先端31cの位置から径方向において外周側にずれ、軸線x方向において支持側にずれる。
バネ部30の屈曲部31が180°折れ曲がるような屈曲部であると仮定すると、スリーブ2が軸線x方向において支持側にs移動した場合、屈曲部31の軸線x方向における先端は、s/2だけ軸線x方向において支持側に移動する。この仮定の場合、スリーブ2が軸線x方向において支持側に距離Sを移動してボトム状態となった際に、屈曲部31の軸線x方向における先端は軸線x方向において支持側にS/2移動した位置となる。この仮定の場合、ボトム状態において、バネ部30が被支持体に接触しないようにするためには、自然状態のマウント1において、b-S/2<aとなっている必要がある。つまり、上記式(1)を満たしている必要がある。この仮定の場合における、ボトム状態においてバネ部30が被支持体に接触しないようにするための条件に基づき、本マウント1においても、マウント1の自然状態において、式(1)を満たすよう形状となっている。なお、自然状態において式(1)を満たすマウント1において、屈曲部31の曲率等の屈曲部31の形態は、ボトム状態においてバネ部30が被支持体に接触しないような形態になっている。
上述のように、バネ部30は屈曲部31を有しており、また、バネ部30は外周側において環状の外周側空間G1に接しており、内周側において環状の内周側空間G2に接している。このため、バネ部30は、弾性力を低くすることができ、バネ部30の弾性力は低くなっている。例えば、バネ部30とは異なり外周側筒部32を有さずに屈曲部31がストッパ部20のストッパ面23から延びるようなバネ部を有するマウントに比べて、マウント1は、弾性率を低くすることができる。また、屈曲部31の厚さは、外周側が厚くなっており、また、外周側筒部32の厚さが厚くなっているので、ボトム状態において、弾性力の強いバネ部30の外周側の部分が弾性変形し、バネ部30の内周側筒部33等の内周側の部分にクリープが発生することを抑制することができるようになっている。
なお、弾性体部3は、上述のように、取付部10、ストッパ部20、バネ部30、及びスリーブ保持部40を有しているが、弾性体部3は、同一の材料から一体に形成されており、取付部10、ストッパ部20、バネ部30、及びスリーブ保持部40は、一体に形成された弾性体部3の各部分である。
次いで、上述の構成を有するマウント1の作用について説明する。図4は、マウント1が支持体60に固定され、被支持体50がマウント1に支持された、マウント1の使用状態を示す図である。被支持体50は、例えば、車両に用いられる真空ポンプ等の装置であり、支持体60は、例えば、車両の車体のフレームや他の構成部材である。被支持体50は、車両に用いられる真空ポンプ等の装置に限られず、また、支持体60は、車両の車体のフレームや他の構成部材に限られない。
マウント1は、マウント1の取付部10が支持体60の貫通孔63に圧入され、貫通孔63がマウント1の取付溝4内に入り、支持体60の貫通孔63の近傍の部分が取付溝4内に収容されて、支持体60に固定される。取付部10の支持側にはテーパ面11が形成されているため、テーパ面11が貫通孔63への取付部10の圧入のガイドとなり、取付部10の貫通孔63への圧入が容易になっている。図4に示すように、マウント1が支持体60に固定された使用状態において、マウント1のストッパ部20の接地面21が、支持体60の被支持側の面である支持面61に接触し、マウント1が支持体60に支持されている。また、取付部10の挟み面13が、支持体60の支持側の面である裏面62に対向している。これにより、支持体60に取り付けられたマウント1が支持体60から外れることの防止が図られている。取付溝4の挟み面13は、支持体60の裏面62を押圧するようになっていてもよく、挟み面13は、裏面62に隙間を介して対向するようになっていてもよい。上述したように、取付溝4の接地面21は、挟み面13よりも外周側に延びており、接地面21の表面積は、挟み面13の表面積よりも大きくなっている。これにより、マウント1の支持体60による支持の安定化が図られている。一方、挟み面13の表面積が小さくなっていることにより、取付部10の貫通孔63への挿入の容易化が図られている。
被支持体50は、被支持体50の貫通孔53に固定機構の一例としてのボルト70が挿入され、このボルト70が被支持側からスリーブ2内に挿入され、支持側においてボルト70に固定機構の一例としてのナット71が螺合されることにより、スリーブ2にボルト70とナット71が固定されて、被支持体50がスリーブ2に固定される。図4に示すように、使用状態において、被支持体50の支持側の面51がスリーブ2の先端2bに接触し、ボルト70の締結面が被支持体50の被支持側の面52に接触し、ボルト70とスリーブ2との間で被支持体50が押圧され、マウント1に被支持体50が固定されている。
図5は、マウント1の使用状態において、被支持体50がストッパ部20のストッパ面23に接触した、ボトム状態におけるマウント1の様子を示す断面図である。上述したように、マウント1は、ストッパ部20とバネ部30とスリーブ保持部40とが、上述の式(1)の関係を満たすようになっているため、ボトム状態においても、図5に示すように、バネ部30が被支持体50の面52に接触して支持側に押されることがない。このため、バネ部30の外周側筒部32やストッパ部20のバネ部30との接続部に大きな応力が発生することを防止でき、大きな歪みが発生することを防止でき、バネ部30の外周側筒部32やストッパ部20のバネ部30との接続部にクリープが発生することを抑制している。また、バネ部30の外周側筒部32やストッパ部20のバネ部30との接続部に大きな応力が発生することを防止でき、大きな歪みが発生することを防止でき、バネ部30の外周側筒部32やストッパ部20のバネ部30との接続部に亀裂が発生することを抑制している。
また、上述したように、バネ部30は屈曲部31を有しており、また、バネ部31は外周側筒部32を有しており、この外周側筒部32とストッパ部20との間には外周側空間G1が形成されている。このため、バネ部30は、屈曲部31において、スリーブ2の支持側への移動に伴って更に屈曲するように変形しやすくなっており、また、スリーブ2の支持側への更なる移動に伴って、外周側筒部32において屈曲変形しやすくなっている。このように、マウント1のバネ部30は、弾性率が低くなっている。このため、スリーブ2の支持側への移動に伴って、バネ部30の内周側筒部33やスリーブ保持部40のバネ部30との接続部に大きな応力が発生することを防止でき、大きな歪みが発生することを防止でき、バネ部30の内周側筒部33やスリーブ保持部40のバネ部30との接続部にクリープが発生することを抑制している。また、バネ部30の内周側筒部33やスリーブ保持部40のバネ部30との接続部に大きな応力が発生することを防止でき、大きな歪みが発生することを防止でき、バネ部30の内周側筒部33やスリーブ保持部40のバネ部30との接続部に亀裂が発生することを抑制している。
また、上述したように、バネ部30の外周側筒部32の移行部32aは、ストッパ部20のストッパ面23よりも軸線x方向において支持側に位置しており、また、ストッパ部20とバネ部30との間には外周側空間G1が存在する。これにより、被支持体50がストッパ面23に接触しバネ部30に接触しないボトム状態を可能にすることができる。このため、被支持体50がバネ部30に接触することなく、被支持体50の支持側への移動の限界を設定することができる。これにより、被支持体50に大きな衝撃等が加わった場合でも、被支持体50がバネ部30に接触することなく被支持体50の移動を制限でき、バネ部30に加わる応力を制限することができる。
また、上述のように、スリーブ2の支持側への移動に伴って、バネ部30の外周側筒部32やストッパ部20のバネ部30との接続部に大きな応力が発生することを防止でき、大きな歪みが発生することを防止できる。これにより、ストッパ部20の変形が抑制され、支持体60における支持面61と貫通孔63との間のエッジ部が接地面21に食い込むことが抑制され、ストッパ部20の接地面21やストッパ部20の他の部分に大きな応力が発生することを抑制することができる。このため、ストッパ部20に亀裂が発生することを抑制することができる。
また、上述のようにバネ部30は屈曲部31を有しており、屈曲部31が更に屈曲するような変形をするようになっており、また、バネ部30は外周側筒部32及び内周側筒部33を有しているので、スリーブ2が径方向に移動した場合に、バネ部30がスリーブ保持部40やストッパ部20に接触して摩耗することを抑制することができる。このように、マウント1は、接触摩耗を抑制することができる。
上述のように、本発明の実施の形態に係るマウント1によれば、バネ部の弾性率が低くても、耐久性の低下を抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係るマウント1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
1…マウント、2…スリーブ、2a…外周面、2b…先端、2c…後端、3…弾性体部、4…取付溝、10…取付部、11…テーパ面、12…外周面、13…挟み面、14…溝底面、15…内周面、16…端面、20…ストッパ部、21…接地面、22…外周面、23…ストッパ面、24…内側内周面、25…外側内周面、25a…移行面、30…バネ部、31…屈曲部、31a…内側面、31b…外側面、31c…先端、32…外周側筒部、32a…移行部、32b…立上り部、32c…外周側面、33…内周側筒部、33a…移行部、33b…立上り部、33c…内周側面、40…スリーブ保持部、41…外周面、41a…移行面、50…被支持体、51,52…面、53…貫通孔、60…支持体、61…支持面、62…裏面、63…貫通孔、70…ボルト、71…ナット、G1…外周側空間、G2…内周側空間、G3…バネ部空間、G4,G5…空間、g1…端、L1,L2,L3…境界線、x…軸線

Claims (6)

  1. 軸線に沿って延びる筒状の部材であるスリーブと、
    前記スリーブに取り付けられた弾性体から形成された弾性体部とを備え、
    前記弾性体部は、前記軸線周りに環状の部分である取付部と、前記軸線周りに環状の部分であるストッパ部と、前記軸線周りに環状の部分であるバネ部と、前記スリーブを保持する部分であるスリーブ保持部とを有しており、
    前記ストッパ部は前記取付部よりも前記軸線方向における一方の側に位置しており、
    前記スリーブ保持部は、前記取付部及び前記ストッパ部の内周側に位置しており、
    前記バネ部は、前記ストッパ部と前記スリーブ保持部との間に延びており、前記軸線方向における前記一方の側に凸に曲がる部分である屈曲部を有しており、
    前記バネ部は、外周側において、前記ストッパ部との間に前記軸線方向における前記一方の側に開放する環状の空間を形成しており、また、内周側において、前記スリーブ保持部との間に前記軸線方向における前記一方の側に開放する環状の空間を形成していることを特徴とするマウント。
  2. 前記バネ部の前記屈曲部の前記一方の側の端は、前記ストッパ部の前記一方の側の端よりも、前記軸線方向において前記一方の側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のマウント。
  3. 前記スリーブ保持部の前記一方の側の端は、前記バネ部の前記屈曲部の前記一方の側の端よりも、前記軸線方向において前記一方の側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載のマウント。
  4. 前記スリーブ保持部の前記一方の側の端と、前記ストッパ部の前記一方の側の端とが、前記軸線方向において同じ位置となったときに、前記バネ部の前記一方の側の端が前記ストッパ部の前記一方の側の端よりも前記軸線方向において前記一方の側に突出しないようになっていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマウント。
  5. 前記バネ部と前記ストッパ部との間の前記一方の側に開放する前記空間の前記軸線方向における他方の側の端と、前記ストッパ部の前記一方の側の端との間の、前記軸線方向における距離である距離aと、
    前記バネ部と前記ストッパ部との間の前記一方の側に開放する前記空間の前記軸線方向における他方の側の端と、前記バネ部の前記屈曲部の前記一方の側の端との間の、前記軸線方向における距離である距離bと、
    前記ストッパ部の前記一方の側の端と、前記スリーブ保持部の前記一方の側の端との間の、前記軸線方向における距離である距離Sとは、
    b<S/2+aの関係を満たしていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマウント。
  6. 前記取付部と前記ストッパ部との間には、内周側に凹む環状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のマウント。
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