JP2023127780A - ステンレス鋼・高合金製部品の製造方法及びステンレス鋼・高合金製部品 - Google Patents

ステンレス鋼・高合金製部品の製造方法及びステンレス鋼・高合金製部品 Download PDF

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Abstract

Figure 2023127780000001
【課題】ステンレス鋼や高合金の冷間鍛造,切削加工と合わせてアーク溶接による3次元積層造形を行うことで、アーク溶接による金属3次元積層造形を伴う部品の生産性や寸法精度を飛躍的に向上させる。
【解決手段】ステンレス鋼・高合金製部品及びその製造方法において、冷間鍛造、又は冷間プレスにて最大厚さが6mm以上に冷間成形した冷間成形部1と、その後、冷間成形部1の厚さ6mm以上の部分の上にステンレス鋼・高合金製の溶材によるアーク溶接にて最大厚さが10mm以下で3次元積層造形を施した3次元積層造形部2からなる。その後、必要に応じて、3次元積層造形部を切削加工又は研削加工する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ステンレス鋼・高合金製部品の製造方法及びステンレス鋼・高合金製部品について、高強度・高耐食性の寸法精度に優れる部品に関する。
近年、金属3次元積層造形技術は複雑形状部品等への革新的な生産方法として期待され、様々な生産技術が提案されている。特に原料が高価で高強度・高耐食性を有し、冷間加工性が悪いステンレス鋼や高合金製の製品では、従来の切削加工に依存した部品成型方法に対して大きな効果が期待され、中でも高生産性のアーク溶接による3次元積層造形を適用することで画期的な生産性を発揮できる可能性がある。しかしながら、アーク溶接による3次元積層造形方法では適切なベースプレートが必要であって積層造形後にベースプレートを切り離す必要があること、又は熱歪みが生じること、若しくは加工精度が悪い等のデメリットが指摘されている。
そのため、例えば、アーク溶接による3次元積層造形技術において、ベースプレート上に異種の溶材を使用して1層目と2層目で積層造形条件を変更することで、3次元積層造形後にベースプレートから積層造形物を切り離しが容易な技術が提案されている(特許文献1)。
また、溶接等による3次元積層造形した直後に同一領域で切削加工して精度の高い部品を得る複合加工技術が提案されている(例えば、特許文献2)。
更に冷間鍛造とレーザー溶接,切削加工を組み合わせた効率的な部品の成型技術が提案されている(例えば、特許文献3)。但し、部品点数が多く溶接個所が多くて生産性が低くなる課題がある。
以上のように生産性を向上させる技術が従来提案されているが、これらの手法でも十分な生産性が確保できず、従来の鍛造加工や切削加工に比べて効率が必ずしも高いとはいえない。
特開2017-144447号公報 特許第6199511号公報 特開2021-38439号公報
本発明者はこれまでのアーク溶接による3次元積層造形において、生産性を上げて寸法精度の高い製品を安価に製造するにあたって、解決すべき課題を認識した。
まず、3次元積層技術において、3次元積層造形後に切り離す必要のあるベースプレートを使用しない加工技術が必要になる。
また、アーク溶接による3次元積層造形では熱歪みによる製品の変形が生じて寸法精度が劣化するため、熱歪みを低減することが必要になる。
更には、製品の表面や寸法精度を向上することが必要になる。
本発明は、ステンレス鋼や高合金の冷間鍛造,切削加工と合わせてアーク溶接による3次元積層造形を行うことで、アーク溶接による金属3次元積層造形を伴う部品の生産性や寸法精度を飛躍的に向上させることのできる、ステンレス鋼・高合金製部品の製造方法及びステンレス鋼・高合金製部品を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
[1]冷間成形部と3次元積層造形部からなる、ステンレス鋼・高合金製部品の製造方法において、冷間鍛造、又は冷間プレスにて厚さが6mm以上の部分を有する前記冷間成形部を形成し、その後、前記冷間成形部の厚さ6mm以上の部分の上にステンレス鋼・高合金製の溶材によるアーク溶接にて厚さが10mm以下で3次元積層造形を施して前記3次元積層造形部を形成することを特徴とするステンレス鋼・高合金製部品の製造方法。
[2]前記3次元積層造形部を切削加工又は研削加工仕上げすることを特徴とする[1]に記載のステンレス鋼・高合金製部品の製造方法。
[3]冷間成形部と3次元積層造形部からなる、ステンレス鋼・高合金製部品の製造方法において、冷間鍛造、又は冷間プレスにて厚さが4mm以上の部分を有する前記冷間成形部を形成し、その後、前記冷間成形部の厚さ4mm以上の部分の上にステンレス鋼・高合金製の溶材によるアーク溶接にて厚さ12mm以下の3次元積層造形を施して前記3次元積層造形部を形成し、3次元積層造形開始から60s経過するまでに3次元積層造形した部分に水溶性の冷却媒体を掛けて冷却し、その後、前記3次元積層造形部を切削加工又は研削加工仕上げすることを特徴とするステンレス鋼・高合金製部品の製造方法。
[4]前記溶材がステンレス鋼製溶材であり、前記溶材のC含有量が0.15質量%以下、Cr含有量が10~30質量%であることを特徴とする請求項[1]~[3]のいずれか1つに記載のステンレス鋼・高合金製部品の製造方法。
[5]冷間成形部と3次元積層造形部からなる部品であって、前記冷間成形部のうち前記3次元積層造形部が配置された部分の肉厚が4mm以上であり、前記3次元積層造形部は、その肉厚が12mm以下、積層造形間隔が2mm以下であり、部品表面の一部が切削加工又は研削加工仕上げとなっていることを特徴とするステンレス鋼・高合金製部品。
[6]前記冷間成形部と前記3次元積層造形部の一方または両方がステンレス鋼製であり、C含有量が0.15質量%以下、Cr含有量が10~30質量%の成分を有することを特徴とする[5]に記載のステンレス鋼・高合金製部品。
[7]前記3次元積層造形部と前記冷間成形部の界面付近の平均の残留応力が500MPa以下であることを特徴とする[5]又は[6]に記載のステンレス鋼・高合金製部品。
冷間成形部と3次元積層造形部からなる本発明のステンレス鋼・高合金製部品は、アーク溶接による金属3次元積層造形を伴うステンレス鋼や高合金製の部品であり、冷間成形と切削加工と合わせて製造工程を最適に配分化させることにより、部品の高生産性と寸法精度を具備させることができ、安価に積層造形品を製造することができる。
冷間成形部と3次元積層造形部からなる部品を示す図であり、下側に円盤状の冷間成形部と上側に円筒形の3次元積層造形部を有する例を示す図である。
図1に記載の部品にさらに切削加工を行った部品を示す図であり、(A)は切削加工前後の関係を示す図、(B)は切削加工後の形状及び冷間成形部と3次元積層造形部の界面付近における残留応力測定位置と残留応力の測定方向を示す図である。
部品の断面埋め込み研磨面のエッチング後の3次元積層造形部のマクロな金属組織写真であり、積層造形のピッチを表す図である。
冷間成形部と3次元積層造形部からなるステンレス鋼・高合金製部品の代表的な金属組織を示す写真であり、(A)は冷間成形部の金属組織の写真、(B)は3次元積層造形部の金属組織の写真を示す図である。
図1~図4に基づいて本発明の説明を行う。
本発明は、冷間成形部1と3次元積層造形部2からなる、ステンレス鋼・高合金製部品及びその製造方法に関するものである。冷間鍛造、又は冷間プレスにて形成した冷間成形部1と、ステンレス鋼、高合金製の溶材を用いたアーク溶接により3次元積層造形を実施して形成した3次元積層造形部2を有する。これにより、高精度な高強度・高耐食性の複雑形状部品を安価且つ高効率に製造することにある。ここで3次元積層造形部2とは、溶着物が積層造形されてなり、積層造形部が3次元の形状を構成している部分を意味する。3次元積層造形部2はその金属組織がデンドライト組織を示すことにより、溶着物が積層されたものであることを判別することができる。
3次元積層造形部2は、金属ワイヤを溶材として用いる金属3Dプリンタによって、溶着積層造形して形成することができる。例えば、ロボットのMIGアーク溶接機を使用して、ステンレス鋼・高合金製ワイヤの溶材を用い、図1に示す溶着方向11に渦巻き状に連続して積層しつつ繰り返し溶着し、図1に示す積層方向12に積層することにより、3次元造形し、図1に示すような中空の円柱からなる3次元積層造形部2を製造する。
ここで、溶着積層造形における「積層方向12」について定義する。造形品に固定した座標系において、溶接機の移動方向が溶着方向11であり、溶着物13は溶着方向11に線状に配置され、層16を形成する。すでに溶着が完了した線状の層16(溶着物13)にさらに溶着を繰り返す。図1に記載の場合は、前回溶着した溶着物13の上に、新たな溶着物13を形成する。これを順次繰り返すことにより、層16(溶着物13)が積み重なった積層構造が形成される。層16と層16の界面を積層界面15と呼ぶ。ここにおいて、層16(溶着物13)が順次積み上がる方向を「積層方向12」と呼ぶ。3次元積層造形部2は通常は「面」状に形成され、この面をここでは「積層面14」と呼ぶ。図1に示す例では、積層面14は円筒面を形成している。溶着方向11と積層方向12はいずれも当該積層面14に平行であり、積層方向12は溶着方向11と直交する。
また、このようにして製造したステンレス鋼・高合金製部品の3次元積層造形部2を切削加工又は研削加工仕上げすることを特徴とする。
本発明において、従来の切削加工品に対して経済合理性を発揮するためには、素材歩留まりの観点から素材自身が冷間成形性,溶接性を有する必要があり、主にステンレス鋼やFe,Ni,Crを主に含有する高価な高合金素材を使用して高合金製とすることが好適であることに着想して本発明に至ったものである。
その上で、従来のベースプレートに替えて、素材の冷間鍛造等の冷間成形品を使用して部品の一部を構成する冷間成形部1とすることで、ベースプレートとの分離作業を省略できて部品成型性の効率化が図れること、更には冷間成形部1のサイズと冷間成形部1の上部に形成される3次元積層造形部2のサイズを規定することで熱歪みを抑制でき、切削加工と合わせると精度の高い複雑部品が製造可能になることがわかった。
以下、詳細に説明する。
素材の限定理由について、素材の歩留まりの観点から合金元素を多く含有するステンレス鋼や高合金が好ましく、特に高硬度・耐食性且つ冷間成形の観点からステンレス鋼や高合金が好ましく、本発明の対象素材とした。ここで高合金製とは、高価なCr,Ni,Moを主要元素として含有する合金を意味する。
本発明において、最初に冷間鍛造、冷間プレス等の冷間成形で冷間成形部1を形成し、冷間成形部1を部品製品の一部として、これを、その上にアーク溶接による3次元積層造形部2を形成するための基板とする。この時、冷間成形部1のうち3次元積層造形部2を積層する部分の厚さが6mm未満と薄いと、次工程のアーク溶接による3次元積層造形時に熱歪みが発生し、部品の変形に繋がる。そのため、最初に製造する冷間成形部1の当該部分の厚さは6mm以上(好ましくは8mm以上)の部品に限定する。
次に前項の冷間成形部1で厚さが6mm以上の部分の上にアーク溶接による積層造形を実施する。この時、3次元積層造形部2の厚さが10mmよりも厚い場合には3次元積層造形部2から冷間成形部1へ伝わる熱量が大きいため、冷間成形部1の熱歪みが大きく、部品の変形が大きくなる。そのため、3次元積層造形部2の厚さが10mm以下(好ましくは8mm以下)に限定する。なお、冷間成形部1と3次元積層造形部2の成分は必ずしも一致する必要がなく、ステンレス鋼又は高合金の範囲内であれば本発明の効果は発揮される。
前記に示す、アーク溶接によって積層造形した3次元積層造形部2は寸法精度が悪いので、±0.5mmの寸法精度にするために必要に応じて切削加工又は研削加工仕上げすることが好ましい。図2(A)は切削加工前後の関係を示す図であり、切削加工前の3次元積層造形部2が2点鎖線、3次元積層造形部の表面切削加工部3が実線で記述されている。図2(B)は切削加工後の形状を示す図である。寸法精度が必要な部位については切削代又は研削代が1.5mm以下であれば十分である。そのため、部品の切削加工又は研削加工を施した場合にはその部分の厚さに3mmを足した値が、アーク溶接によって積層造形した3次元積層造形部2の厚さと推定できる。
3次元積層造形を開始すると積層造形物の熱が冷間成形部1に伝達して熱歪みが発生し、部品の変形に繋がり易い。熱の伝達を防止するために積層造形後に速やかに水溶性の冷却媒体を掛けて急冷することが好ましい(積層造形を開始後60s以下が好ましい)。この場合、前記の熱歪みが発生し難いため、前記の冷間成形部1のうち3次元積層造形部2が配置される部分の厚さを4mm以上(好ましくは6mm以上)まで薄厚化方向に拡大し、3次元積層造形部2の厚さを12mm以下(好ましくは10mm以下)に範囲を拡大することができる。水溶性の冷却媒体として、水、あるいは水溶性潤滑剤、水性潤滑剤等を用いることができる。
本発明のステンレス鋼・高合金製部品がステンレス鋼製である場合、高硬度・耐食性・冷間成形性の観点から特にCrを10質量%以上、Cを0.15質量%以下に含有するステンレス鋼が好ましい。一方、Crが35質量%を超え、あるいはCが0.15質量%を超えるステンレス鋼や高合金になると冷間成形性に劣るため本発明のニアネット鍛造による3次元積層造形の基盤を製造し難くなり、又は、熱歪みが大きくなる。高硬度・高耐食性の部品で本発明の効果を発揮させるためにはCrが10%質量以上、35質量%以下、Cが0.15質量%以下(好ましくは0.12質量%以下)を含有するステンレス鋼や高合金が好ましい。
本発明のステンレス鋼・高合金製部品が高合金製である場合、例えば、Crが15~35質量%(好ましくは20~30質量%)、Niが5~80質量%以下(好ましくは8~50質量%)、Moが10質量%以下(好ましくは7質量%以下)の高価な元素を主に含有し、Cが0.15質量%以下、Nが0.4質量%以下、Feが50質量%以下で、その他Si,Mn,Cu,W,Co,Nb,V,Al,Ti,B,N,REM等の元素を3.質量%以下含有する高合金が好ましい。
前記理由から本発明の冷間成形と3次元積層造形、積層後の急冷、切削・研削加工の複合加工製法で製造された部品は高硬度・高耐食性を有して優れた寸法精度を有する。すなわち、該部品の冷間成形部のうち前記3次元積層造形部2が配置された部分の肉厚が4mm以上、3次元積層造形部2の肉厚が12mm以下の部品である。この時、入熱量を規制するため積層造形間隔(積層方向12における積層界面5の間隔)は2mm以下であることが好ましい(1.5mm以下が更には好ましい)。更には、3次元積層造形部2を中心に切削若しくは研削加工仕上げすると部品の寸法精度(±0.5mm)が向上する。なお、冷間成形部1および3次元積層造形部2若しくは積層造形の間隔については、断面を鏡面研磨してエッチングすることで冷間加工のメタルフローを有する冷間成形部1、積層造形間隔毎の凝固組織を有する3次元積層造形部2を判別できる。切削若しくは研削加工部は表面拡大鏡又はSEM観察により部品表面に機械加工ラインを観察することで確認できる。以上の要件を示す本発明の複雑形状部品は安価な製造コストで高硬度・高耐食性・高寸法精度を有する特徴を有する。
熱歪みによる部品の変形を防止すると供に、特に部品の耐久性(疲労や遅れ破壊等の防止)のためには冷間成形部1と3次元積層造形部2の接合界面付近の残留応力の低減が必要になる。最大の残留応力が500MPaを超えると界面の疲労や遅れ破壊等の耐久性劣化につながる。そのため500MPa以下に制限する。好ましくは300MPa以下である。本発明の手法により製造することで該残留応力の低減が可能になる。
45kgの真空溶解炉にて表1に示すNi,Cr等の主要な合金元素を含有する金属を溶解し、熱間鍛造によりφ60mm棒鋼とし、一部については焼鈍と切削加工を施して冷間プレス用の試験片φ48mm×5~17mmを作製した。φ60mm棒鋼の残部については熱間押し出しにより直径11mmの線材に加工し、伸線と焼鈍を繰り返してφ1.2mmの金属ワイヤとし、MIGアーク溶接用の溶材として用いた。
Figure 2023127780000002
Figure 2023127780000003
冷間プレス用の試験片は、最初に1000t平面プレスにより冷間で厚さ3~10mmの円盤状に冷間圧縮成型し、端面を機械加工してφ60mm-高さ3~10mmの円盤状の冷間成形部1とし、この上に3次元積層造形部2を形成するための基板を作製した。
その後、ロボットのCMTのアーク溶接機を使用し、先の冷間成形部1(直径φ60mm-3~10mm厚)上に、図1に示すように、各種試作した金属ワイヤを溶材として、図1に示す溶着方向11に渦巻状に連続して積層しつつ繰り返し溶着し、冷間成形部1と垂直方向(積層方向12)に積層造形することにより高さ10~30mmの円筒形(平均径30mm)に3次元造形を行い、冷間成形部1と3次元積層造形部2の複合加工物を形成した。この時、アーク溶接機のヘッド移動速度,ワイヤ供給量を変化させて3次元積層造形部2の厚さと積層造形間隔を変化させた。また、一部については積層造形を開始してから60s以内に水溶性の冷却媒体として水を噴射させて部品を急冷させた。
アークによる溶着条件として、Ar+3%酸素のシールドガスを用い、溶接電流200A、アーク電圧20Vとし、アーク溶接のヘッド移動速度は10~30mm/s、溶材供給速度は2~8kg/hとした。
常温まで冷却された成形部品について、3次元積層造形部2の外周を、切り込み1mm,送り0.1mm/rev.,切削速度100m/min,湿式の条件で切削加工仕上げを行って、図2(B)に示すような仮想の部品に仕上げた。該切削仕上げの箇所の寸法精度は0.5mm以下に十分に入る。
成形部品について、3次元積層造形部2の厚さを測定し、また熱歪み,冷間成形部1と3次元積層造形部2の界面近傍の割れ有無および残留応力,金属組織および積層造形間隔を評価した。
熱歪みは、成型部品の基盤(冷間成形部1)部分(φ60-3~10mm)の底を平面の床に接して置いて、基盤周囲と床部との隙間の最大長さを測定した。すなわち熱歪みが大きいと基盤が変形して隙間が大きくなり、成型部品の寸法精度が悪くなる。隙間が1mm超の場合を×、1mm以下で0.5mm超の場合を〇、0.5mm以下の場合を◎として評価した。
3次元積層造形部2と冷間成形部1の界面付近の割れの有無は、拡大鏡での観察で行って有無を確認し、割れ観察の場合を×、割れ観察なしの場合を〇として評価した。
3次元積層造形部2と冷間成形部1の界面近傍の残留応力について、図2(B)に「X線による残留応力測定位置および残留応力の測定方向4」として示すように、界面から5mm離れた冷間成形部1の表層部の位置においてφ1mmにX線を絞ったX線応力測定法により円盤表層の円周方向に垂直な方向で測定した。引張の残留応力が500MPaを超える場合を残留応力×、500MPa以下で300MPa超の場合を残留応力〇、300MPa以下の場合を残留応力◎とした。なお、切削加工部の表面は加工変質層の影響を受けるため界面から5mm離れた冷間成形部仕上げの表層の残留応力を測定した。
積層造形間隔は、3次元積層造形部2を積層方向に平行で埋め込み鏡面研磨して、しゅう酸電解エッチによりエッチングして図3に示すようにエッチングのマクロパターンによって積層界面5を現出し、積層界面5の間隔により積層造形間隔を求めた。また、3次元積層造形部は図4(B)に示すようにデンドライト組織を示し、冷間成形部は図4(A)に示すようにメタルフローを有する冷間加工組織を示す。本発明の積層造形間隔は2mm以下であった。
表2の本発明例No.1~15は、積層造形後の水冷有無材について冷間成形部1の厚さ、3次元積層造形部2の厚さが本発明範囲内であり、本発明の製造方法を適用した結果として、熱歪みも少なく、割れなく、残留応力も低く、寸法精度に優れることを確認した。
なお、本発明例No.1,13は冷間成形部1の厚さが小さく、本発明例No.3,15は3次元積層造形部2の厚さが大きく、本発明例No.5,7は素材のC量が高いため、熱歪み、残留応力が大きい傾向にあった。
表2の比較例No.1~No.13は冷間成形部1の厚さ、3次元積層造形部2の厚さが本発明の範囲外であり、熱歪みが大きく、残留応力が高く、寸法精度に劣る。また、C量の高い比較例No.6~9ではその傾向が顕著であり、比較例No.6、8では界面付近で割れも発生した。
1 冷間成形部
2 3次元積層造形部
3 3次元積層造形部の表面切削加工部
4 X線による残留応力測定位置および残留応力の測定方向
5 積層界面
11 溶着方向
12 積層方向
13 溶着物
14 積層面
16 層

Claims (7)

  1. 冷間成形部と3次元積層造形部からなる、ステンレス鋼・高合金製部品の製造方法において、冷間鍛造、又は冷間プレスにて厚さが6mm以上の部分を有する前記冷間成形部を形成し、その後、前記冷間成形部の厚さ6mm以上の部分の上にステンレス鋼・高合金製の溶材によるアーク溶接にて厚さが10mm以下で3次元積層造形を施して前記3次元積層造形部を形成することを特徴とするステンレス鋼・高合金製部品の製造方法。
  2. 前記3次元積層造形部を切削加工又は研削加工仕上げすることを特徴とする請求項1に記載のステンレス鋼・高合金製部品の製造方法。
  3. 冷間成形部と3次元積層造形部からなる、ステンレス鋼・高合金製部品の製造方法において、冷間鍛造、又は冷間プレスにて厚さが4mm以上の部分を有する前記冷間成形部を形成し、その後、前記冷間成形部の厚さ4mm以上の部分の上にステンレス鋼・高合金製の溶材によるアーク溶接にて厚さ12mm以下の3次元積層造形を施して前記3次元積層造形部を形成し、3次元積層造形開始から60s経過するまでに3次元積層造形した部分に水溶性の冷却媒体を掛けて冷却し、その後、前記3次元積層造形部を切削加工又は研削加工仕上げすることを特徴とするステンレス鋼・高合金製部品の製造方法。
  4. 前記溶材がステンレス鋼製溶材であり、前記溶材のC含有量が0.15質量%以下、Cr含有量が10~30質量%であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のステンレス鋼・高合金製部品の製造方法。
  5. 冷間成形部と3次元積層造形部からなる部品であって、前記冷間成形部のうち前記3次元積層造形部が配置された部分の肉厚が4mm以上であり、前記3次元積層造形部は、その肉厚が12mm以下、積層造形間隔が2mm以下であり、部品表面の一部が切削加工又は研削加工仕上げとなっていることを特徴とするステンレス鋼・高合金製部品。
  6. 前記冷間成形部と前記3次元積層造形部の一方または両方がステンレス鋼製であり、C含有量が0.15質量%以下、Cr含有量が10~30質量%の成分を有することを特徴とする請求項5に記載のステンレス鋼・高合金製部品。
  7. 前記3次元積層造形部と前記冷間成形部の界面付近の平均の残留応力が500MPa以下であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のステンレス鋼・高合金製部品。
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