JP2023127225A - マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手、溶接構造体および溶接方法 - Google Patents

マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手、溶接構造体および溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接においてHAZの靭性を向上させることを課題とし、HAZ靭性を改善したマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手、その溶接継手を有した溶接構造体、および溶接方法を提供することを目的とする。【解決手段】所定の成分組成を有し、式1で示されるγmaxが75以上あるマルテンサイト系ステンレス鋼である溶接継手であって、前記溶接継手を構成する溶接金属の少なくとも一部を式2を満足するように再溶接することにより、HAZ靭性を改善する。γmax=420C+470N+23Ni+9Cu+7Mn-11.5Cr-11.5Si-52×Al+189 : 式10.01≦L/√Q≦0.11 :式2L:再溶接による溶接金属との溶融境界線と、溶接継手の溶融境界線との間の距離のうち最も短い距離(mm)Q:入熱量(J/mm)【選択図】 図3

Description

本発明は、マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手、その継手を有する溶接構造体、およびマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接方法に関する。
マルテンサイト系ステンレス鋼はCr系ステンレス鋼であり、高温のオーステナイト相の状態から急冷することで生じる硬質なマルテンサイト相を有するステンレス鋼である。硬質である性質を利用して、刃物やシャフトなどに使用されている。マルテンサイト系ステンレス鋼としてはSUS410が知られており、NiやMoなどの高価な元素が少ないうえ、他のステンレス鋼より比較的Cr含有量は少ないため、比較的安価でそれなりの耐食性を有するステンレス鋼でもある(例えば、特許文献1、特許文献2)。
このマルテンサイト系ステンレス鋼を、汎用品輸送タンカーの船倉や汎用品貯蔵タンクなどの貯蔵設備に適用することが検討されている。汎用用途の貯蔵設備の場合、貯蔵品が頻繁に変更され、貯蔵品が変更されるたびに貯蔵設備の内面を洗浄しなければならない。現在は、汎用品用途とは言え、ある程度の耐食性が要求されるため通常塗装鋼鈑が使用されている。しかし、塗装鋼鈑では洗浄による塗装のダメージが発生し、その補修に多大な手間と時間がかかっている。そのため、貯蔵設備を塗装鋼鈑ではなく、無塗装で使用できるステンレス鋼にすることにより、洗浄によるダメージをなくし、洗浄処理の効率化と低コスト化を実現する取り組みがなされている。そのステンレス鋼として、比較的安価でそれなりの耐食性を有するマルテンサイト系ステンレス鋼の適用が検討されている。
特開昭49-53521号公報 特開2011-190521号公報 国際公開第2016/088364号 特開2016-78060号公報 特開2000-271742号公報 特開2012-115886号公報
一般にマルテンサイト系ステンレス鋼は溶接性が悪く、溶接構造体には適用されていない。その理由は、いわゆる低温割れ感受性が高いので200~400℃の予熱が必要になり、これが実作業上のネックとなっているからである。さらに、溶接熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)の靭性が悪いため、700~800℃程度の高温熱処理により靭性を改善する処理が必要となる。このため、現実問題として、溶接構造体を予熱処理や高温熱処理できる熱処理炉が必要となるため溶接構造体へは適用されていない。
特許文献1では、予熱なしで溶接可能で、溶接のままでも延性と靭性を有するマルテンサイト系ステンレス鋼が提案されている。これは、C、Nを減らし、成分を調整することによりHAZに延性や靭性のよいマッシブ・マルテンサイト組織を生成させるものである。しかし、割れ感受性は改善されているものの、溶接後のHAZ靭性は、厚手材を作業性の良い大入熱で溶接する場合には必ずしも十分とは言えない。
特許文献2では、高価なNiの含有量を抑制しつつも溶接部靭性と耐食性を両立したマルテンサイト系ステンレス鋼が提案されている。これは、16%Cr-2%Ni鋼をベースにMnを2%以上含有させて溶接部の靭性を改善したものである。これによりある程度の耐食性を有しつつ、溶接後の熱処理をしなくても溶接部靭性を確保できるものである。しかし、Mnは耐食性を低下する元素である。溶接部の靭性確保のためにMnを含有させているが、それにより低下した耐食性を補償するためCr含有量を多くし、それに伴ってオーステナイト量を確保するためNi含有量も多くしている。このため、高価になってしまい、コストパフォーマンスの観点からフェライト系や二相系ステンレス鋼と変わらないものとなっている。
特許文献3では、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼管の円周溶接において、第1パスをCMT(Cold Metal Transfer)溶接で行うことにより、溶接金属の低温靭性を改善でき、溶接後熱処理を行わなくても実用上問題ないことが記載されている。しかし、靭性が改善されるのは溶接金属の破壊靭性であって、母材HAZ靭性ではない。母材のHAZ靭性を改善するためには、溶接後熱処理が必要となる。
一方、貯蔵設備にマルテンサイト系ステンレス鋼を適用しようとする場合、貯蔵設備自体が大型なため、溶接に際し、予熱や溶接後熱処理をすることは現実的に不可能である。特に、貯蔵設備などに使用される板厚10mm以上のマルテンサイト系ステンレス鋼を溶接するとHAZ部の靭性低下が顕著となり、構造体としての機能低下につながる。
そこで、本発明は、マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手において、予熱や高温熱処理を施さなくても低温割れを起こすことなくHAZの靭性を向上させることを課題とし、HAZ靭性を改善したマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手、その溶接継手を有した溶接構造体、および溶接方法を提供することを目的とする。
上記課題を達成するため、本発明者らは鋭意検討し、以下の知見を得た。
(a)
マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接に際してのHAZの靭性低下と改善のメカニズムについて検討した。各種マルテンサイト系ステンレス鋼において、溶接および溶接後の熱処理による熱サイクル(温度の経時変化)をシミュレーションし、HAZ組織の変化を実験により確認した。その結果、溶接時の入熱によりHAZのマルテンサイト結晶が粗大化し、これが靭性悪化の要因となっていることが分かった。さらに、この結晶粗大化は溶接入熱量が大きいほど顕著で、その結果HAZ靭性もより低下することが分かった。
一方、HAZを1000℃程度に再加熱すると粗大マルテンサイト結晶(以下「粗大マルテンサイト」と呼ぶことがある。)が微細なマルテンサイト結晶(以下「微細マルテンサイト」と呼ぶことがある。)に変化し、靭性が改善されることが確認された。
他方、1300℃程度に加熱した場合は、微細マルテンサイトにならず靭性が改善されなかった。また、800℃未満に加熱した場合も、微細マルテンサイトにならず靭性が改善されないことが分かった。
(b)
また、成分によっては上記の微細マルテンサイト化を生じないものも見られた。図1に一例として11.3%Cr-0.95%Ni鋼(11.3%Cr鋼とも呼ぶ。)と13.75%Cr-0.88%Ni鋼(13.75%Cr鋼とも呼ぶ。)の熱サイクル試験での組織を示す。溶接時を模擬した入熱(初回入熱)により11.3%Cr鋼では全てが粗大マルテンサイト相になっているが、13.75%Cr鋼はフェライト相が主体で一部マルテンサイト相が存在する組織となっている。これを再加熱(再入熱)すると、11.3%Cr鋼は全てが微細マルテンサイトとなっているが、13.75Cr鋼はフェライト相部分が粗大なフェライト相のまま残存し、そのため靭性も低いままであった。
(c)
さらに検討を進め、微細マルテンサイト化のメカニズムについて考察した。溶接後にHAZのマルテンサイト結晶が粗大化し靭性が悪化することは既に述べたが、一方、マルテンサイト相は内部に微細な転位が高密度に存在することは良く知られている。再加熱してマルテンサイト相がオーステナイト相に変態する際に、この微細転位がオーステナイトの生成核となり、微細な結晶粒のオーステナイト相(以下、微細オーステナイト相と呼ぶ。)に変態するものと思われる。次に、この微細オーステナイト相が急冷されるため、微細マルテンサイトが得られるものと思われる。この効果は最初の入熱で大部分がマルテンサイト相になる成分でなければ達成できず、また再加熱温度が、オーステナイト変態温度より低い800℃未満の場合、もしくはオーステナイト相が粗大結晶のフェライト相に再変態する再変態温度より高い1250℃以上の場合では得られないものである。これらのことから、溶接による入熱でマルテンサイト相になる成分であって、溶接後の再加熱によりオーステナイト相になる温度で維持することにより、HAZにおいて微細化したマルテンサイトが得られ、HAZ靭性が改善することを見出した。
(d)
本発明者らは、さらに溶接構造体に対し、熱処理炉を使わずに、そのような温度履歴(熱サイクル)を付与する再加熱方法を検討した。その結果、特許文献4にあるような二相ステンレス鋼の溶接部の再加熱手法を想起し、一旦溶接により溶接継手を作成した後に、その溶接金属の一部を再溶接(厳密にいうと入熱のための溶接)し、HAZの粗大結晶のマルテンサイト部分を再加熱することを思い付いた。
特許文献4には、二相ステンレス鋼の溶接により高温熱影響部に窒化物が析出し耐食性劣化させるため、溶接部の一部を再溶接して高温熱影響部の窒化物を溶体化して耐食性を改善させる技術が開示されている。二相ステンレス鋼とマルテンサイト系ステンレス鋼とは成分も組織も異なり、さらに組織制御のメカニズムも全く異なるので、特許文献4の技術はそのまま本発明には適用できない。しかしながら、HAZ再加熱の手法として、特許文献4と同様に、溶接部の一部を追加溶接することにより、HAZを再加熱できることを思い付いた。
本発明は、これら知見を集大成してなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]
少なくとも一方が、質量%で、
C :0.030%以下
Si:1.00%以下
Mn:0.10~3.00%、
P :0.050%以下、
S :0.003%以下、
Cr:10.0~13.5%、
Ni:0.10~3.00%、
N :0.0200%以下、
Cu:2.00%以下、
Al:0.050%以下を含み、
C+N:0.040%以下であり、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
式1で示されるγmaxが75以上あるマルテンサイト系ステンレス鋼である溶接継手であって、
前記溶接継手を構成する溶接金属の少なくとも一部に再溶接部を有し、
前記溶接継手の前記再溶接部に対応する前記マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接熱影響部において、結晶粒径が面積同等円相当径で0.05mm以下のマルテンサイト結晶が面積率で75%以上であることを特徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手。
γmax=420C+470N+23Ni+9Cu+7Mn-11.5Cr-11.5Si-52×Al+189 : 式1
ただし、式中の元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を示し、含有しない場合は0を代入する。
[2]
前記マルテンサイト系ステンレス鋼が、さらに、質量%で
Mo:1.00%以下、
W :0.50%以下
V :0.30%以下、
Sn:0.100%以下、
Ca:0.0050%以下、
Mg:0.0050%以下
REM:0.050%以下、
Ti:0.020%以下、
Nb:0.05%以下、
B :0.0050%以下、
の1種または2種以上を含有する、[1]に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手。
[3]
前記マルテンサイト系ステンレス鋼どうしの溶接継手である、[1]または[2]に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手。
[4]
少なくとも前記[1]または[2]に記載の成分を有するマルテンサイト系ステンレス鋼を有する溶接継手の製造方法であって、
前記溶接継手を構成する溶接金属の少なくとも一部を再溶接し、
前記再溶接の入熱量をQ(J/mm)としたとき、
前記溶接継手を構成する溶接金属と再溶接による溶接金属との溶融境界線と、前記溶接継手を構成する溶接金属と前記マルテンサイト系ステンレス鋼の境界である溶融境界線との間の距離のうち、最も短い距離をL(mm)としたとき、
式2を満たすことを特徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手の製造方法。
0.01≦L/√Q≦0.11 :式2
Q=I×V/v :式3
ただし、
I:溶接電流(A)
V:溶接電圧(V)
v:溶接速度(mm/秒)
[5]
前記再溶接における溶加材は、前記溶接継手で用いた溶加材、オーステナイト系ステンレス鋼用溶加材、または二相ステンレス鋼用溶加材から選ばれる、前記[4]に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手の製造方法。
[6]
前記溶接継手を構成する前記マルテンサイト系ステンレス鋼において、前記最も短い距離Lに対応する前記溶融境界線に隣接する溶接熱影響部(HAZ)において、結晶粒径が面積同等円相当径で0.05mm以下のマルテンサイト相が面積率で75%以上である、前記「4」または[5]に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手の製造方法。
[7]
前記[1]~[3]の何れか一項に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手を少なくとも一部に有することを特徴とする溶接構造体。
本発明に係るマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接方法は、HAZ靭性を改善させる効果を奏し、本発明の係るマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手は、HAZ靭性が改善された溶接継手を提供する。さらに、本発明に係る溶接継手により、靭性を改善した溶接構造体を得ることができる。
図1は、11.3%Cr-0.95%Ni鋼と13.75%Cr-0.88%Ni鋼の熱サイクル試験での初期入熱後と再入熱後の組織を示す概要図である。 図2は、従来の実施形態の一例を示す突合せ溶接による溶接継手の断面図を示す図である。 図3は、本発明の実施形態の一例を示す突合せ溶接による溶接継手の断面図を示す図である。 図4は、本発明に係る溶接継手の断面の一例を示す概要図である。
[マルテンサイト系ステンレス鋼の成分]
以下、本発明の実施に形態の一例について説明する。なお、特に断りのない限り、元素の含有量に関する「%」は質量%を意味する。また、特に下限を規定していない場合は、含有しない場合(0%)を含んでよい。さらに、式において元素記号を用いている場合は、元素記号は、各元素の含有量(質量%)を示し、含有していない場合は0(%)を代入するものとする。
C:0.030%以下
Cは、強度を向上する効果を奏するが、一方で溶接割れ感受性を高める。このため、溶接時に予熱を必要としない本発明に係る鋼では極力低減するとよく、0.030%以下とする。C含有量の上限は、好ましくは0.028%、0.026%、0.024%、0.022%、0.020%、または0.018%の値を取り得る。
一方、C含有量の下限は特に限定せず、含まなくても(0%でも)よい。しかしC含有量の過度な低減は極端なコストの増加につながるため0.001%を下限としてもよく、好ましくは0.002%、0.003%、0.004%または0.005%にするとよい。
Si:1.00%以下
Siは、精錬時における脱酸効果を奏するとともに、熱処理時の酸化スケール生成を抑制するのにも有用であるが、Siはオーステナイト単相の温度域を狭くし、靭性も低下するために1.00%以下とする。オーステナイト単相温度域を確保する観点から、Si含有量の上限は、0.90%、0.80%、0.70%、0.60%、0.55%、0.50%、0.45%、または0.40%の値を取り得る。
一方、Si含有量の下限は特に限定せず、含まなくても(0%でも)よい。しかし、Siは精錬工程において脱酸元素でもあるので、Si含有量の下限を0.01%としてもよく、好ましくは0.03%、0.05%、0.08%、0.10%、0.13%、0.15%、0.17%または0.18%の値を取り得る。
Mn:0.10~3.00%
Mnは、精錬時における脱酸効果を奏するとともに、オーステナイト単相域を拡大する。その効果を得るためにMn含有量は0.10%以上にするとよい。オーステナイト単相域の拡大効果を確実に得る観点から、Mn含有量の下限は0.20%、0.30%、0.40%、0.50%、または0.60%の値を取り得る。
一方、必要以上のMnは耐食性を低下させ、酸化スケールの生成を促進するため、Mn含有量は3.00%以下にするとよい。MnS等の粒化物に起因する耐食性の低下も考慮するとMn含有量の上限は、2.80%、2.60%、2.50%、2.40%、2.30%、2.20%、2.10%、または2.00%の値を取り得る。
P:0.050%以下
Pは原料である溶銑やフェロクロム等の主原料中に不純物として含まれる元素である。Pは、熱間延性低下の主要な原因となる元素であることからその含有量はできるだけ低減させた方がよい。この観点から、P含有量は0.050%以下にするとよい。好ましくはP含有量の上限を0.045%、0.040%、0.035%、または0.030%、であるとよい。
しかしながら、過度な低減は極端なコストの増加につながるため、P含有量の下限は0.001%、0.005%、または0.010%であるとよい。
S:0.0030%以下
Sは、硫化物系介在物を形成し、鋼材の一般的な耐食性(全面腐食や孔食)を劣化させる元素であり、また、熱間延性を低下させ熱延鋼板の耳割れ感受性を高めるため、その含有量はできるだけ少ない方が好ましい。また、SとPが共存する場合、特に熱間延性を低減し割れ感受性を高めることがあるため、Sを特に制限し、S含有量は0.0030%以下とする。これらの観点から、S含有量はできるだけ少ない方がよいので、その上限は、好ましくは0.0020%、または0.0010%であるとよい。一方、Sの含有量は少ないほど熱間加工性および耐食性は良好となるが、低S化には脱硫負荷が増大し、製造コストが増大するので、その含有量の下限は0.0001%であってもよく、好ましくは0.0003%の値を取り得る。
Cr:10.00~13.50%
Crは、マルテンサイト系ステンレス鋼において耐食性を確保するために、その含有量は10.00%以上であるとよい。耐食性確保の観点からCr含有量の下限は、好ましくは10.10%、10.20%、10.30%、10.50%、10.70%、10.90%、11.00%、11.10%、または11.20%の値を取り得る。
一方、Cr含有量が多過ぎると、最初の溶接入熱時にHAZがフェライト相メインとなり、再熱時の微細化効果がなされないため、Cr含有量は13.50%以下の必要がある。Cr含有量の上限は、好ましくは13.40、13.30%、13.20%、13.10%、13.00%、12.90%、12.80%、12.70%、12.60%、または12.50%の値を取り得る。
Ni:0.10~3.00%
Niは、Mnと同様にオーステナイト安定化元素であり、オーステナイト単相域を拡大し靭性を向上させるとともに、孔食の進展を抑制する効果も有す。この観点から、Ni含有量は0.10%以上とする。これらの効果を確実にする観点から、Ni含有量の下限は0.15%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、または0.50%の値を取り得る。
一方、多量含有すると、残留オーステナイト相が生成して硬度を低下させることと、合金コストの観点から、Ni含有量は3.00%以下とする。Ni含有量の上限は、2.80%、2.60%、2.40%、2.20%、2.00%、1.80%、1.60%、1.40%、1.20%、1.00%、0.90%、または0.80%の値を取り得る。
N:0.0200%以下
Nは、オーステナイト生成元素であるが、Cと同様に溶接割れ感受性を高めることから、極力低減するとよく、N含有量を0.0200%以下とする。N含有量の上限は、好ましくは、0.0180%、0.0160%、0.0150%、0.0140%、0.0130%、0.0120%、0.0110%、または0.0100%の値を取り得る。
一方、N含有量の下限は特に限定せず、含まなくても(0%でも)よい。しかしN含有量の過度な低減は極端なコストの増加につながるため0.0010%を下限としてもよく、好ましくは0.0030%、または0.0050%の値を取り得る。
Cu:2.00%以下
Cuは、オーステナイト安定化効果があるので含有してもよい。しかし、Cuを過剰に含有すると熱間加工性の低下や原料コストの増加につながるため、Cu含有量は2.00%以下とする。Cu含有量の上限は、好ましくは1.80%、1.60%、1.40%、1.20%、1.00%、0.90%、0.80%、0.70%、0.60%、または0.50%、の値を取り得る。
Cuは含まなくても良いので、その含有量の下限は0%であるが、Cu除去にコストがかかるため、Cu含有量の下限を0.01%にしてもよい。好ましくは0.10%、または0.20%の値を取り得る。
Al:0.050%以下
Alは、脱酸元素であり、耐酸化性を向上させる元素であるので、含有してもよい。一方、Alの過剰含有は大型の酸化物系介在物の形成しやすくなり、靭性を損ねる。このため、Al含有量は0.050%以下とする。好ましくは0.040%、または0.030%の値を取り得る。
Alは含まなくても良いので、その含有量の下限は0%であるが、Al除去にコストがかかるため、Al含有量の下限を0.001%にしてもよい。好ましくは0.005%の値を取りうる。ここでAl含有量はT.Al(トータルAl)含有量である。
C+N:0.040%以下
炭素Cは窒素Nと組合せることにより鋼の強度を高める効果があるが、溶接割れ感受性を高める。予熱を行わなくても溶接割れを生じない条件として、CとNの総量(C+N)を0.040%以下に制限する。CとNの総量(C+N)の上限は、好ましくは0.039%、0.038%、0.037%、0.036%、0.035%、0.034%、0.033%、0.032%、0.031%、0.030%、0.029%、0.028%、0.027%、0.026%、または0.025%の値を取り得る。
本発明の一実施態様は、上記元素の他、残部としてFeと不純物である。ここで不純物とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石やスクラップ等のような原料をはじめとして、製造過程において不可避的に意図せず混入する元素であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
さらに、本実施形態のステンレス鋼は、これらの元素に加えて、Feの一部に代えて、Mo、V、Sn、Ca、REMのうち1種または2種以上を含有してもよい。これらの元素は含有しなくてもよいが、含有することによりさらなる効果を得ることができる。以下、これら元素について説明する。
Mo:1.000%以下
Moは、δフェライトを含むマルテンサイト組織の耐食性向上に有効であるため含有してもよい。しかし、Moはフェライト相の安定化元素であり、過度の添加は、Crと同様にHAZのフェライト相が多くなる。さらに、Moは高価な元素でもあるため、Mo含有量は1.000%以下とする。Mo含有量の上限は、好ましくは0.900%、0.800%、0.700%、0.600%、0.500%、0.450%、0.400%、0.350%、0.300%、0.250%、0.200%、0.150%、または0.100%の値を取り得る。
Mo含有量の下限は特に限定しないが、Mo除去にコストがかかるため、好ましくは0.005%、または0.010%の値を取り得る。
W:0.50%以下
Wは、Moと同様にステンレス鋼の耐食性を向上させる元素であり、含有してもよい。しかし、高価な元素であるので0.50%以下にするとよい。好ましくは0.40%、または0.30%以下にするとよい。Wを含有する場合、その効果をより確実に得るため0.01%以上含有するとよく、好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.10%以上にするとよい。
V:0.30%以下
Vは、微細な炭窒化物を形成し、耐磨耗性を向上させる他、耐食性の向上にも効果を有するため、含有してもよい。一方、過剰に含有すると、析出物の粗大化を招くおそれがあり、その結果、靭性が低下してしまうので、V含有量の上限は0.30%、好ましくは0.20%または0.10%であるとよい。
V含有量の下限は特に限定しないが、製造コストや製造性を考慮すると0.01%、0.03%、0.05%、または0.07%であるとよい。
Sn:0.100%以下
Snは焼入れ後の耐食性向上に有効な元素であるが、過度な添加は熱延時の耳割れを促進する。そのためSn含有量の上限は0.100%、好ましくは0.090%、0.080%、0.070%、0.060%、または0.050%であるとよい。Sn含有量の下限は特に限定しないが、効果を確実に得る観点から0.001%、好ましくは、0.002%、0.005%、0.010%、0.015%、または0.020%であるとよい。
Ca:0.0050%以下
Mg:0.0050%以下
CaおよびMgはそれぞれ製鋼段階で成分調整のために添加される場合があり、強力な脱酸材として作用し、脱酸を促進させる効果および熱間延性を改善する効果があるため含有してもよい。一方、耐食性を低下させる懸念があるので、CaやMg含有量は、それぞれ0.0050%以下とする。CaやMg含有量の上限は、好ましくはそれぞれ0.0030%0.0020%の値を取り得る。
CaやMg含有量の下限は特に限定しないが、効果を確実に得る観点からそれぞれ0.0001%、好ましくは0.0002%、0.0003%、0.0004%、または0.0005%であるとよい。
REM:0.050%以下
REMを適量含有することにより、Caと同様に熱間延性の顕著な向上が見られる。この効果を得るため、REMの含有量の下限は0.001%、0.002%、0.003%、0.004%、または0.005%とするとよい。
一方、過度に添加すると大型のREM系酸化物が形成しやすくなり、鋳造時のノズル詰まり等を引き起こすので好ましくなく、REM含有量の上限を0.050%または0.030%とするとよい。REMは通常、複合体であるミッシュメタルの形で添加することが多いが、La,Ce、Pr、Nd等の単体元素での添加でも同様の効果を示す。ここでREM(希土類元素)は、一般的な定義に従い、スカンジウム (Sc)、イットリウム (Y)の2元素と、ランタン(La)からルテチウム(Lu) までの15元素(ランタノイド)の総称を指す。これらのREM元素を単独で含有してもよいし、複数のREM元素を含有してもよい。複数のREM元素を含有する場合、それらの総量が上記下限および上限の範囲内に入っているとよい。
Ti:0.020%以下
Nb:0.05%以下
B:0.0050%以下
Ti、Nbは耐食性、Bは熱間延性を改善する効果があり、Ti:0.020%以下、Nb:0.05%以下、B:0.0050%以下を含有してもよい。Ti、Nb、Bの各元素は含まなくてもよいが、過度に除去する必要もない。そのためこれら各元素の含有量の下限は特に限定しないが、Ti:0.001%、Nb0.01%、B:0.0001%としてもよい。
また、Zn、Pb、Bi、Se、Sb、Ga、Ta、Mg、Zr、等は可能な限り低減することが好ましい。一方、これらの元素は、本発明の課題を解決する限度において、必要に応じて、Zn:50ppm以下、Pb:10ppm以下、Bi:30ppm以下、Se:100ppm以下、Sb:100ppm以下、Ga:50ppm以下、Ta:500ppm以下、Mg:100ppm以下、Zr:120ppm以下の1種または2種以上を含有してもよい。
[γmax≧75]
γmaxは式1で示され、900℃~1000℃域で生成するオーステナイト相率の最大値を予測する指標である。ここで、式1中の元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を示し、含有しない場合は0を代入する。

γmax=420C+470N+23Ni+9Cu+7Mn-11.5Cr
-11.5Si-52×Al+189 : 式1
γmaxは大きいほど1000℃近傍においてオーステナイト相率が高いことを示している。また、γmaxが大きいほど1000℃近傍の温度変化に対し、オーステナイト単相となる温度域が広いことを示している。このことから、γmaxを大きくすることによって、最初の溶接によってほぼオーステナイト単相を達成し、その結果再熱時に微細マルテンサイトを得ることができる。本発明者らの実験によりγmaxが75以上あれば、十分なオーステナイト相を確保することができ、再加熱後に靭性を確保できることを確認した。γmaxは大きいほど好ましいので、その下限値は、好ましくは80、85、または90の値を取り得る。上限は特に限定しない。マルテンサイト系ステンレス鋼の成分範囲から式1に従い上限が自ずと決まる。
[マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法]
前記説明したマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法は特に限定しない。常法の製造方法を適用して製造することができる。なお、低C+N鋼(低炭素・低窒素含有鋼)であるので極端な硬質にはならず、靭性も比較的良好であるので、一般のマルテンサイト系ステンレス鋼とは異なり長時間の焼きなまし等は必要なく、熱延後の水冷もしくは空冷でマルテンサイト相となったものを約700℃~800℃で短時間の焼き戻し熱処理をすることで十分な特性を有することができる。
[溶接継手]
本発明の実施形態における溶接継手の構造は、特に限定しない。例えば、突合せ溶接や隅肉溶接、重ね隅肉溶接など、通常用いられる溶接継手構造を採用することができる。また、溶接手段も特に限定しない。例えば、TIG溶接、MIG溶接、MAG溶接、プラズマ溶接、サブマージ溶接などのいわゆるアーク溶接やレーザー溶接などの既存の溶接手段を適用することができる。特に貯蔵設備のような厚手鋼材(厚板)の場合は、溶加材を伴うアーク溶接が一般的である。その場合、溶加材(溶接ワイヤー等)も特に限定しないが、マルテンサイト系ステンレス鋼と相性のよい、オーステナイト系ステンレス鋼または二相系ステンレス鋼用の溶加材を用いるとよい。
溶接継手を構成する鋼材は、前記した成分組成を有するマルテンサイト系ステンレス鋼を少なくとも含む鋼材の組合せであればよい。この時、溶接継手を構成するマルテンサイト系ステンレス鋼のHAZ靭性改善に本発明を適用することになる。もちろん、マルテンサイト系ステンレス鋼どうしの溶接継手であってもよい。マルテンサイト系ステンレス鋼どうしの溶接継手であれば、全てのHAZ靭性の改善に本発明を適用することができる。
鋼材の形状も特に限定しない。帯状鋼材(鋼板)であっても、棒状鋼材(棒鋼)や線状鋼材(線材、ワイヤ等)、管状鋼材(鋼管)であってもよい。もちろん、これらの鋼材を組合せたものであっても良い。
[板厚]
溶接継手を構成するマルテンサイト系ステンレス鋼板の板厚は特に限定しないが、薄すぎると初期の溶接金属上への再溶接が困難になるので、好ましくは板厚6mm以上、8mm以上、10mm以上、12mm以上、15mm以上、20mm以上、25mm以上、または30mm以上であるとよい。
[高温熱影響部の靭性改善]
次に、図2、3を用いて、本発明の実施形態の一例を示す突合せ溶接による溶接継手を例に説明する。
図2に示すようにマルテンサイト系ステンレス鋼2枚を突合せ溶接継手を作製した場合、溶融境界線3に隣接し、母材であるマルテンサイト系ステンレス鋼中に形成される溶接熱影響部、特に最高到達温度が約1250℃以上の領域(高温熱影響部(図2のハッチング領域4))では、粗大なフェライト粒が形成される。これは、マルテンサイト系ステンレス鋼の場合、1000℃ではオーステナイト相率(面積率)がほぼ100%(単相)になるが、約1250℃を超えると、ほぼ全量がフェライトになる。さらに、この時、高温域での変態のためフェライト結晶粒が成長し粗大結晶粒化する。
このような高温熱影響部4は、溶接入熱量によっても変化するが、通常の溶接では、溶融境界線3より母材側に約1mm以内の領域となる。なお、溶融境界線3とは、溶接継手を構成する溶接金属2と母材となるマルテンサイト系ステンレス鋼の境界である。また、溶融境界線から1mmの範囲とは、母材となるステンレス鋼内であって、溶接継手の溶接線に垂直な断面において、溶融境界線から1mm以内の範囲の領域を指す。
溶接直後の高温熱影響部4は粗大粒化したフェライト結晶であるが、溶接後の冷却によりオーステナイト相が再析出する。高温の粗大フェライト結晶粒からの変態のため、再析出したオーステナイトも粗大な結晶粒となる。さらに冷却が進むと、オーステナイトがマルテンサイト変態する。しかし、オーステナイトの粗大結晶粒から変態するため、常温下のマルテンサイトも粗大結晶粒化する。このように、溶接により高温熱影響部が粗大マルテンサイト化してしまい、靭性が悪化する。この時、冷却過程においてマルテンサイト変態する際に微細な転位が生成する。
次に、再加熱してオーステナイト相率がほぼ100%(オーステナイト単相)になる温度にする。この温度域は、本発明に係る鋼の場合おおよそ800℃から1250℃となる。従って、再加熱温度は800℃以上、好ましくは850℃以上、または900℃以上であって、1250℃以下、好ましくは1200℃以下、または1150℃以下の温度にするとよい。この再加熱によりフェライトがオーステナイトに変態する際に、フェライト中の微細転位がオーステナイトの生成核となり、オーステナイト結晶粒が微細化する。
このオーステナイト微細結晶粒が急冷されるため、マルテンサイトの微細結晶粒が得られる。このように微細マルテンサイト化することにより、靭性が改善されることになる。この時、再加熱した領域におけるマルテンサイトの結晶粒径は、面積同等円相当径で0.05mm以下の結晶が面積率で75%以上、好ましくは76%以上、78%以上、80%以上、82%以上、84%以上、86%以上、88%以上、90%以上、92%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、または98%以上であるとよい。
一方、加熱し過ぎすぎると、オーステナイト相がフェライト相に再変態する際に、溶接時と同様に、フェライト結晶粒が粗大粒化するため、この状態から冷却しても微細オーステナイト相にならず、その結果、マルテンサイトも微細化しないため靭性が改善しない。
以上のように、溶接後に再加熱してほぼオーステナイト単相になる温度域にした後に冷却することにより、HAZにマルテンサイトの微細結晶(微細マルテンサイト)が生成され、HAZ靭性が改善する。
特に、継手に曲げ荷重がかかると継手表面近傍が亀裂発生源となるので、継手表面近傍の靭性改善が継手全体の靭性改善に寄与することから、継手表面近傍(さらに具体的には母材となるステンレス鋼のHAZ表面近傍)の靭性改善に着目して開発を進めた。
[再溶接部および再溶接方法]
再加熱方法は、特に限定しない。しかしながら、溶接後の構造体をそのまま熱処理するような熱処理炉を準備することは現実的ではない。特に、貯蔵設備や船の貯槽などの溶接構造体は大型構造であるのでそのまま熱処理することは困難である。また、局所的に熱処理する手法を用いることもできるが、溶接構造体は種々個別の形状をしているため、汎用的に局所的加熱できるような装置はない。そのため、溶接構造体となっても溶接継手部を局所的且つ簡便に加熱できる手法を検討し、特許文献4に記載されているように、再加熱する熱源として溶接熱を適用することを着想した。
一方、このように溶接熱影響部の組織の改質に対し溶接熱を利用する方法としては、溶接熱影響部の硬化域の靭性を改善させることを目的としたテンパービード法がある(特許文献5、6)。しかしながら、このテンパービード法で効果のある対象部位(溶接熱影響部の硬化域)と加熱温度域は、本発明が目的とする溶融境界線より1mm以内の領域を1000℃程度に加熱するという条件範囲とは異なる。すなわち、従来のテンパービード法は、初層溶接で母材が焼入れ硬化した部分を、残層溶接の溶接熱で焼き戻しするものであり、組織を制御するような観点に立っていない。また温度域はオーステナイト相に変態する温度いわゆるAc1点である7百数十℃を下回る温度より低くなければならない。そのため、特許文献5および6に記載のテンパービード法を本発明が解決しようとする課題にはすぐには適用できない。
また、溶接部を再溶接する方法としては、疲労強度を向上させるために溶接止端部をTIG法でなめ付け溶接または化粧盛り溶接などが広く知られている。しかし、これらの方法は、溶接部形状を改善することを目的としたものであり、マルテンサイト系ステンレス鋼のHAZ靭性を改善することはできない。すなわち、マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接部をこのなめ付け溶接や化粧盛り溶接で再溶接することで、新たな溶接熱影響部が形成され、その部位(なめ付け溶接や化粧盛り溶接の溶融境界線より1mm以内の領域)のHAZ靭性が低下するためである。
そこで、再加熱する熱源として、溶接熱を活用することを着想した。図3に示すように、溶接金属6上に再度溶接を行い(以下、再溶接と呼ぶ。)、基になる溶接継手を製造する際の溶接(以下、初期の溶接と呼ぶ。)による高温溶接熱影響部の組織および靭性を調査した。再溶接金属(再溶接により生成した溶接金属)8の位置について、再溶接金属8の溶融境界線10(初期の溶接継手を構成する溶接金属(初期の溶接金属)と再溶接金属との溶融境界線。以下、再溶接溶融境界線と呼ぶ。)と初期の溶接継手の溶融境界線(初期の溶接継手を構成する溶接金属と母材となるマルテンサイト系スレンテス鋼の境界である溶融境界線。以下、初期の溶融境界線と呼ぶ。)9との間の距離のうち最短距離Lをパラメータとして種々検討を行った。
その結果、Lが小さい場合は、初期の溶接継手において靭性が低下した高温熱影響部7が再溶接によって再度1250℃以上のフェライト単相域が生成する温度まで加熱されてしまい、フェライトの粗大結晶が生成する部分が生じる。逆に、Lが大きい場合は、高温熱影響部が、再溶接からの溶接熱によっても800℃以上には加熱されず、それ以下の温度域にしか加熱されないため、マルテンサイト結晶粒に変化は見られず、いずれも靭性の改善は見られない。すなわち、初期の溶接による高温熱影響部7の表面を約800℃以上1250℃以下に再加熱して靭性を改善するには、再溶接の溶接位置に適正範囲が存在することが明らかとなった。さらに、再溶接における熱履歴もその溶接入熱量によって変化するため、それらが再溶接の溶接位置の適正範囲に影響を与えることも明らかである。
そこで、初期の溶融境界線9と再溶接溶融境界線10との最短距離L(mm)の適正範囲を、再溶接の溶接入熱量をQ(J/mm)として、高温熱影響部の表面が800℃以上1250℃以下になるように熱伝導解析を行い検討した。その結果、初期の溶融境界線と再溶接溶融境界線との距離Lが式2を満たすことにより、微細マルテンサイトを得ることができ、HAZ靭性が改善することを見出した。ここで、溶接入熱量Qは以下の式3で規定されるものである。
0.01≦L/√Q≦0.11 :式2
Q=I×V/v :式3
L:初期の溶接の溶融境界線と再溶接金属の溶融境界線との最短距離(mm)
Q:溶接入熱量(J/mm)
I:溶接電流(A)
V:溶接電圧(V)
v:溶接速度(mm/秒)
即ち、距離Lが0.01√Qより小さい場合は、高温熱影響部が、再度1250℃以上のフェライト単相が現れる温度域まで加熱されるため、結果として粗大マルテンサイト結晶となり靭性が改善されない。一方、距離Lが0.11√Qより大きい場合は、高温熱影響部が800℃以上に加熱されないため、フェライトがオーステナイトに変態せず、靭性が改善されない。
再溶接は、溶接継手のうちHAZ靭性を改善したい部分に対応する溶接金属の位置に行えばよい。言葉を換えれば、HAZ靭性を改善したい部分に隣接す溶融境界線(初期の溶融境界線)から適正距離(式2のLの範囲)になるように、初期の溶接による溶接金属の少なくとも一部に再溶接すればよい。
なお、図3は初期の溶接継手の右側の溶接熱影響部の靭性を改善する場合を示しており、初期の溶接継手の左側の溶接熱影響部の靭性を改善する場合は、初期の溶接継手の左側の溶融境界線を基準として、再溶接金属の位置を設定することとなる。
また、多パス溶接(第1パス溶接の上に第2パス溶接を重ねて行うような2パス以上のパスで行う重ね溶接)の場合は、上部に重ねる溶接により、下部溶接によって生じたHAZが再加熱されるため、上記再加熱の効果を得ることができる。そのため、最終パス、もしくは最上部のパスの溶接により生じた溶接金属に再溶接すればよい。
前記の式2を満足する再溶接により、再溶接部に対応する母材(マルテンサイト系ステンレス鋼)の高温熱影響部では、結晶粒径が面積同等円相当径で0.05mm以下のマルテンサイト結晶(微細マルテンサイト)が面積率で75%以上にすることができる。この面積率は、好ましくは76%以上、78%以上、80%以上、82%以上、84%以上、86%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、95%以上、96%以上、97%以上、または98%以上であるとよい。微細マルテンサイトを面積率で90%以上にすることにより、高温熱影響部の靭性を改善することができる。
ここで、再溶接部に対応する母材(マルテンサイト系ステンレス鋼)の高温熱影響部とは、再溶接溶融境界線と初期の溶融境界線との間の距離のうち最も短い距離となる母材の高温熱影響部であって、初期の溶接の溶接線に垂直な断面において、図4に一例を示すとおり、溶接線から母材側で母材組織(板面と平行に伸長している組織)と異なる組織となる領域のうち、表面から再溶接金属の深さの1/2に相当する深さまでの範囲を指す。従って、この部分のマルテンサイトの結晶粒径を測定すればよい。
結晶粒径が面積同等円相当径で0.05mm以下のマルテンサイト面積率は、溶接方向に垂直な断面を樹脂に埋込んで鏡面研磨し、王水等でエッチングして、顕微鏡観察して写真撮影し、写真画像にて0.05mm相当の円と比較してそれより小さい粒である部分の面積を塗りつぶしてその面積率を測定する等の方法で測定可能である。
再溶接方法は特に限定されず、TIG溶接、MIG溶接、MAG溶接、プラズマ溶接、サブマージ溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接などを適用することができる。使用する溶加材(溶接材料)も特に限定する必要はないが、基になる溶接継手を製造する際の溶加材と同じにすることが好ましい。同じ溶加材にすることにより、溶接金属部の耐食性などを維持できるからである。もしくはオーステナイト系ステンレス鋼用、または二相ステンレス鋼用の溶加材を用いてもよい。
また、TIG溶接やレーザー溶接、電子ビーム溶接では、溶接材料を用いずに溶接しても構わない。式2および式3で規定する溶接位置に再溶接することにより、初期の溶接継手におけるHAZ(溶接熱影響部)の組織を改善し、靭性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手が得られる。
[溶接構造体]
溶接により構成された構造体、即ち溶接継手を有する構造体を溶接構造体という。本発明に係る溶接構造体は、上記説明した溶接継手を少なくとも1か所以上有する溶接構造体である。本発明に係る溶接継手を有することにより、その溶接継手部の靭性を改善することができる。しかも、上記説明した再溶接方法を適用することにより、溶接構造体を形成した後であっても簡便に靭性改善を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は以下の実施例で用いた条件に限定されるものでない。
表1に示す成分の鋼を実験室の50kg真空誘導炉によりMgOるつぼ中で溶製し、厚さが約100mmの扁平鋼塊に鋳造した。鋼塊の本体部分より熱間圧延用素材を加工し、1150~1250℃の温度に1~2h加熱後、熱間圧延により、板厚15mmの熱延鋼板とした。最終の溶体化熱処理は700℃×20分均熱後水冷の条件で実施した。得られた熱延板から、それぞれ長さ200mm幅100mmの短冊状の鋼試験材を複数枚(少なくとも4枚)準備した。
まず、母材特性について、以下の試験を行って合否を判定した。熱間加工性については、熱延時に幅端部に耳割れを生じなかったものを合格とした。靭性については、母材よりシャルピー試験片を採取してシャルピー衝撃試験(-20℃吸収エネルギ)をJIS Z 2242:2018に準拠して行い、3本の平均値が80J以上だった場合に合格とした。耐食性については、鋼材表面より採取して#600研磨仕上げを行ったサンプルについてJIS G 0577に準拠した孔食電位測定を行い、3個の平均値が0VvsAg/AgCl以上だった場合に合格とした。表1に、それぞれの評価において合格のものを「○」で、不合格のものを「×」で表示した。
次に、低温割れ評価については、準備した各鋼の試験材において任意に選択した2枚を同じ条件で突合せ、y形拘束割れ試験(JIS Z3158:2016)に準拠し、表2の通常溶接の条件で溶接して評価した。その結果を表2に示す。割れ(クラック)が確認されなかった試験材を「〇」で、割れが確認された試験材を「×」で表示した。
さらに、準備した各鋼試験材について、任意に選択した2枚を同じ条件で突合せ溶接(初期の溶接)して溶接継手を作成した。この時各試験材の突合せ端部には開先角度60°となるV開先を設け、表2に示す溶接方法および溶加材(溶接材料)を用いた。また、表2に示す所定の溶接入熱量になるよう、溶接電流、溶接電圧、溶接速度を調整して溶接を行った。この初期の溶接は、開先底部が1パス、上部2パスになる合計3パス溶接で行った。
次に、このように作製した各溶接継手の溶接継手の溶接金属上に、図3に示すように再溶接を行った。この時も、各鋼試験材ごとに同じ条件になるよう再溶接を行った。再溶接は、初期の溶接の溶融境界線に平行になるよう、初期の溶接金属の全長(つまり、溶接線に沿って全長)に亘って再溶接した。再溶接の溶接方法、溶接条件および溶接位置(初期の溶融境界線と再溶接溶融境界線との距離L(図3に示すLと同じ。))を表2の「再溶接」の欄に示す。なお、再溶接に際し、表2に示す溶接材料、溶接方法を用いて、表2に示す所定の溶接入熱量になるよう、溶接電流、溶接電圧、溶接速度を調整した溶接を行った。再溶接は1パス溶接で行った。
なお、表2に示す溶接方法で、「GMAW」はガスメタルアーク溶接、「TIG」はタングステン不活性ガス溶接、「SAW」はサブマージアーク溶接を示す。また溶加材(溶接金属)で、「308」、「329J3L」はJIS Z 3321:2013(溶接用ステンレス鋼溶加棒)に規定するYUS308,YUS329J3Lに相当する。
こうして得られた再溶接後の溶接継手試験材(長さ200mm、幅200mm)について、断面観察と靭性評価を行った。
再溶接後溶接継手試験材の長手方向の任意の位置で初期の溶接線に垂直に切断し、長さ20mmの評価用試験材を5個採取した。即ち、評価用試験材は、初期の溶接金属が中央に位置し、長さ20mm、幅100mm、厚さ15mmとなる。5個の評価用試験材において、王水を用いてエッチングを行い、再溶接溶融境界線と初期の溶融境界線との距離を測定し、その算術平均を求めた。
その後、5個の評価用試験材のうち2個を採取し、光学顕微鏡を用いた断面観察により、マルテンサイト相の面積率および結晶粒径が0.05mm以下の微細マルテンサイト相の面積率を測定した。観察領域は図4に一例を示すとおり、溶接線から母材側で母材組織と異なる組織となる領域のうち、表面から再溶接金属の深さの1/2に相当する深さまでの範囲で、任意の1mmの領域にてマルテンサイト結晶を特定して測定した。
さらに、残り3個の評価用試験材で、ノッチ位置を高温熱影響部に合わせてシャルピー試験片を採取し、シャルピー衝撃試験(-20℃吸収エネルギ)をJIS Z 2242:2018に準拠して行った。3個の評価用試験材での吸収エネルギを算術平均して当該溶接継手の吸収エネルギ値とした。シャルピー衝撃試験における吸収エネルギが27J以上を合格とした。これら試験結果を表2に記載する。
表2からも分かるように、本発明の実施例の溶接継手は、いずれも低温割れもなく、母材の高温熱影響部の靭性が改善されていることが分かる。一方、溶接構造No.63、65、70は母材の靭性が不足していた。溶接構造No.64、66は母材の耐食性が不足した。溶接構造No.69は熱間延性不良であり熱間加工時に割れが発生した。
本発明は、マルテンサイト系ステンレス鋼板を用いる溶接構造体に利用することができ、その用途は、貯蔵設備に限らず、一般建築、橋梁などの社会インフラ構造体、機械設備など広範な産業で利用可能である。
1 マルテンサイト系ステンレス鋼材
2 溶接金属
3 溶融境界線
4 高温熱影響部(最高到達温度が1100℃以上の溶接熱影響部)
5 母材(マルテンサイト系ステンレス鋼材)
6 初期の溶接継手の溶接金属(初期の溶接金属)
7 高温熱影響部(最高到達温度が1100℃以上の溶接熱影響部)
8 再溶接の溶接金属(再溶接溶融金属)
9 初期の溶接継手の溶融境界線(初期の溶融境界線)
10 再溶接金属の溶融境界線(再溶接溶融境界線)

Claims (7)

  1. 少なくとも一方が、質量%で、
    C :0.030%以下
    Si:1.00%以下
    Mn:0.10~3.00%、
    P :0.050%以下、
    S :0.003%以下、
    Cr:10.0~13.5%、
    Ni:0.10~3.00%、
    N :0.0200%以下、
    Cu:2.00%以下、
    Al:0.050%以下を含み、
    C+N:0.040%以下であり、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    式1で示されるγmaxが75以上あるマルテンサイト系ステンレス鋼である溶接継手であって、
    前記溶接継手を構成する溶接金属の少なくとも一部に再溶接部を有し、
    前記溶接継手の前記再溶接部に対応する前記マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接熱影響部において、結晶粒径が面積同等円相当径で0.05mm以下のマルテンサイト結晶が面積率で75%以上であることを特徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手。
    γmax=420C+470N+23Ni+9Cu+7Mn-11.5Cr-11.5Si-52×Al+189 : 式1
    ただし、式中の元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を示し、含有しない場合は0を代入する。
  2. 前記マルテンサイト系ステンレス鋼が、さらに、質量%で
    Mo:1.00%以下、
    W:0.50%以下、
    V :0.30%以下、
    Sn:0.100%以下、
    Ca:0.0050%以下、
    Mg:0.0050%以下、
    REM:0.050%以下、
    Ti:0.020%以下、
    Nb:0.05%以下、
    B :0.0050%以下、
    の1種または2種以上を含有する、請求項1に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手。
  3. 前記マルテンサイト系ステンレス鋼どうしの溶接継手である、請求項1または2に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手。
  4. 少なくとも前記請求項1または2に記載の成分を有するマルテンサイト系ステンレス鋼を有する溶接継手の製造方法であって、
    前記溶接継手を構成する溶接金属の少なくとも一部を再溶接し、
    前記再溶接の入熱量をQ(J/mm)としたとき、
    前記溶接継手を構成する溶接金属と再溶接による溶接金属との境界線と、前記溶接継手を構成する溶接金属と前記マルテンサイト系スレンテス鋼の境界である溶融境界線との間の距離のうち、最も短い距離をL(mm)としたとき、
    式2および式3を満足することを特徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手の製造方法。
    0.01≦L/√Q≦0.11 :式2
    Q=I×V/v :式3
    ただし、 I:溶接電流(A)
    V:溶接電圧(V)
    v:溶接速度(mm/秒)
  5. 前記再溶接における溶加材は、前記溶接継手で用いた溶加材、オーステナイト系ステンレス鋼用溶加材、または二相ステンレス鋼用溶加材から選ばれる、請求項4に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手の製造方法。
  6. 前記溶接継手を構成する前記マルテンサイト系ステンレス鋼において、前記最も短い距離Lに対応する前記溶融境界線に隣接する溶接熱影響部(HAZ)において、結晶粒径が面積同等円相当径で0.05mm以下のマルテンサイト結晶が面積率で75%以上である、請求項4または5に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手の製造方法。
  7. 請求項1~3の何れか一項に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接継手を少なくとも一部に有することを特徴とする溶接構造体。
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