JP2023127184A - 流動層ボイラの燃焼制御装置、木質バイオマス発電設備及び流動層ボイラの燃焼制御方法 - Google Patents

流動層ボイラの燃焼制御装置、木質バイオマス発電設備及び流動層ボイラの燃焼制御方法 Download PDF

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栄二 吉原
Eiji Yoshiwara
有史 平田
Yuji Hirata
優嗣 神尾
Yuji Kamio
寿昭 清水
Toshiaki Shimizu
久幸 小島
Hisayuki Kojima
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Abstract

【課題】炉内での燃焼を安定させ、燃焼効率を向上させる。【解決手段】流動層に供給された木質チップを一次空気により流動砂と撹拌して着火させ、二次空気により燃焼させる流動層ボイラ21の燃焼制御装置110であって、第1演算部120と、第2演算部140を備える。前記第1演算部120は、木質バイオマス発電設備の燃料である木質チップの水分率に基づいて、前記流動層ボイラに供給するべき一次空気流量と二次空気流量の合計値である全空気流量を算出する。前記第2演算部140は、前記第1演算部120により算出した全空気流量と、全空気流量に対する一次空気流量の比率に基づいて、前記流動層ボイラ21に供給する一次空気流量と二次空気流量の指令値を算出する。前記第2演算部140は、一次空気を操作する第1操作端47を介して一次空気流量を指令値に制御し、二次空気を操作する第2操作端48を介して二次空気流量を指令値に制御する【選択図】図17

Description

本発明は、流動層ボイラの燃焼を制御する技術に関する。
地球温暖化防止に向けたCO2削減や持続可能な社会の実現に向けたエネルギー自給率の向上のためには、再生可能エネルギー、特に森林資源の豊富なわが国では木質バイオマス発電の拡大が期待されている。
木質バイオマス発電設備の大半は、固定価格買取制度(以下「FIT制度」という)により電力を販売しており、安定した定格運転を継続し設備利用率を維持・向上させるとともに、ボイラ内で最も効率が良くなるように燃料を燃焼させ、事業性の改善を図ることが求められている。
また、木質バイオマス発電設備において燃料として使用する木質チップは、水分率の変動幅が大きく、その性状をコントロールすることは難しい。
さらに、木質チップは幹材をカッターにより切削して生産するブロック状の「切削チップ」と枝葉・樹皮を破砕機により破砕して生産するひも状の「破砕チップ」の2種類に大別され、チップの形状によっても、燃焼が異なる。
今後、国産材を用いた木質バイオマス発電を普及するためには、他の用途に使用できず入手しやすい破砕チップの比率を増加させても、流動層ボイラを安定に運転できるようにする必要がある。
木質チップの水分率や形状などの燃料性状が変動しても、流動層ボイラの安定した燃焼を維持するためには燃焼用空気の制御を改善する必要がある。
図1は、木質バイオマス発電設備10の概略構成図である。木質バイオマス発電設備10は、ボイラ21、蒸気タービン23、発電機25、復水器26、蒸気加減弁27、給水ポンプ28、バグフィルタ31、フライアッシュサイロ33、排気塔35、燃料供給部40、第1通風機47、第2通風機48、クレーン制御装置50及びボイラ制御装置60を備えている。
燃料供給部40は、木質チップを貯蔵する貯蔵庫41、投入クレーン43、荷重計44、供給ホッパ45、及び供給フィーダ46を備えている。
木質チップには、切削チップと破砕チップの2種がある。切削チップは、木材をカッター等で切断したチップである。破砕チップは、木材をハンマー等で破砕したチップである。両チップは形状が相違している。
木質バイオマス発電設備10はトラックヤード15を備えており、木質チップは、トラックに積載されて、木質バイオマス発電設備10に運ばれる。トラックヤード15には、搬入される木質チップを計測するための計器として、トラックスケール15Aと水分率計15Bが設けられている。
トラックスケール15Aは、木質チップを積載したトラックの重量を計測する。トラックスケール15Aの計測値からトラックの重量を引くことで、木質チップの重量[t]を計測することが出来る。また、水分率計15Bにより、木質チップの水分率(チップの全重量に対する水分重量の割合)[%]を計測することが出来る。
チップ貯蔵庫41は、切削ヤード41A、破砕ヤード41B、混合ヤード41Cの3種のヤードを有している。切削ヤード41Aは、切削チップの貯蔵用、破砕ヤード41Bは破砕チップの貯蔵用、混合ヤード41Cは、ボイラに投入するために切削チップと破砕チップを混合した混合チップの貯蔵用である。
投入クレーン43は、図1の左右方向に移動可能である。チップ貯蔵庫41に貯蔵された木質チップは、クレーン43により、供給ホッパ45に投入される。供給ホッパ45に投入する燃料として、例えば、混合チップを使用する。切削チップや破砕チップを単独で使用することもできる。
荷重計44は、投入クレーン43に設けられている。荷重計44は、供給ホッパ45に投入される木質チップの重量[t]を計量する。
供給フィーダ46は、スクリュー式であり、供給ホッパ45に投入され木質チップを、燃料管45Aを経由してボイラ21に供給する。供給フィーダ46の回転数制御により、ボイラ21に対する木質チップの投入量を制御することが出来る。
ボイラ21は、炉内での燃焼により発生する熱を蒸発管により給水と熱交換して、高圧の蒸気を発生させる。
木質バイオマス発電設備10は、高温高圧蒸気により蒸気タービン23を回転させ、蒸気タービン23に接続された発電機25を回転させることで、電気を発生させ送電する。
ボイラ21は、流動層ボイラであり、流動層(流動床)21Aを有している。流動層は、容器内に流動砂を充填したものである。流動砂は、流動層21Aに供給される木質チップを着火する熱源である。
第1通風機47と第2通風機48は、流動層ボイラ21に対して、木質チップを燃焼させる燃焼用の空気を供給する。燃焼用の空気には一次空気と二次空気がある。
一次空気は、炉底から流動層21Aに供給される。一次空気は、流動層21Aに供給される木質チップと高温の流動砂を撹拌し、木質チップを着火、燃焼させる。
二次空気は、流動層上方の燃焼空間に供給される。二次空気は、不足するO2を補いボイラの燃焼空間内で木質チップを完全燃焼させる。第1通風機47は一次空気供給用、第2通風機48は二次空気供給用である。
クレーン制御装置50は、投入クレーン43の制御により、供給ホッパ45に対する木質チップの投入量を制御する。
ボイラ制御装置60は、燃料制御装置70と、燃焼制御装置80を備える。燃料制御装置70は、供給フィーダ46の回転数制御により、ボイラ21に対する木質チップの投入量(燃料投入量)を制御する。燃焼制御装置80は、流動層ボイラ21の燃焼を制御する。
図2は、燃焼制御装置80の構成例(発明の比較例)である。燃焼制御装置80は、第1演算部81及び第2演算部85を備える。第1演算部81は、一次空気流量の指令値を算出する。具体的には、第1演算部81は、加算器81Aとバイアス量設定器81Bを有しており、予め決められた流量設定値にバイアス量設定器81Bからの出力を加算して一次空気流量の指令値を算出し、一次空気の操作端である第1通風機47に出力する。バイアス量設定器81Bは、一次空気流量のバイアス値を運転員が設定するために設けられている。
第2演算部85は、二次空気流量の指令値を算出する。具体的には、第2演算部85は、関数設定器85A、減算器85B、比例積分器85C、及び乗算器85Dを有する。
関数設定器85Aは、ボイラ入力指令(発電機出力指令値)に応じた燃料投入量に見合った二次空気の流量指令値を出力する。減算器85Bは、O2濃度設定値からボイラ出口のO2濃度測定値を減算し、O2濃度の差分を算出する。比例積分器85Cは、減算器85Bの出力する偏差に基づいて、二次空気流量の補正係数を生成する。具体的には、偏差に比例した第1修正値と偏差を積分した第2修正値とから補正係数を生成し、出力する。乗算器85Dは、関数設定器85Aの出力する空気流量指令値に比例積分器85Cの出力する補正係数を乗算して二次空気流量の指令値を算出し、二次空気の操作端である第2通風機48に出力する。
上記の通り、燃焼制御装置80は、第1演算部81と第2演算部85が一次空気流量と二次空気流量を独立して制御する。
特開2022-001816号公報
流動層を用いた木質バイオマスボイラは、一般的に次のような燃焼特性を持つ。炉内の燃焼位置(以下「燃焼点」という)が、燃料である木質チップの水分率等により変化することに加えて、燃焼に使用する一次空気流量と二次空気流量の配分比率によっても変化する。そのため、燃焼点が変動し易く、燃焼が不安定になり易い。
ボイラの燃焼効率を向上させるためには、炉内を構成する蒸発管や過熱器の熱吸収量を多くして、燃料使用量を減少させる必要があるが、燃焼点の変動により、炉内各部の熱吸収量が変化し、燃焼効率も安定せずに低くなる。
本発明の主たる課題は、炉内での燃焼点の変動を抑え、燃焼を安定させることである。
流動層に供給された木質チップを一次空気により流動砂と撹拌して着火させ、二次空気により燃焼させる流動層ボイラの燃焼制御装置は、第1演算部と、第2演算部を備える。
前記第1演算部は、木質バイオマス発電設備の燃料である木質チップの水分率に基づいて、前記流動層ボイラに供給するべき一次空気流量と二次空気流量の合計値である全空気流量を算出する。
前記第2演算部は、前記第1演算部により算出した全空気流量と、全空気流量に対する一次空気流量の比率に基づいて、前記流動層ボイラに供給する一次空気流量と二次空気流量の指令値を算出する。
前記第2演算部は、一次空気を操作する第1操作端を介して一次空気流量を指令値に制御し、二次空気を操作する第2操作端を介して二次空気流量を指令値に制御する。
この構成は、木質チップの水分率に基づいて全空気流量を調整するため、木質チップの水分率の変化によらず、流動層ボイラの燃焼を安定させることができる。しかも、一次空気流量と二次空気流量の配分比率を制御するため、配分比率が未制御である場合に比べて、配分比率の変化による燃焼点の変動を抑えることが出来る。そのため、流動層ボイラの燃焼をより安定させることができる。
前記第2演算部は、全空気流量に対する一次空気流量の比率を、一定に制御する。この構成は、流動層ボイラの燃焼を、より一層安定させることが出来る。
前記第2演算部は、全空気流量に対する一次空気流量の比率を、任意に設定可能な設定器を備えてもよい。
前記第2演算部は、前記一次空気流量の上下限値を定めるリミッタを備えてもよい。この構成によれば、一次空気流量を適切な範囲に制御することができる。具体的には、一次空気流量を下限値以上に制御することで、流動層におけるチップの着火が不十分になることを抑制できる。また、一次空気流量を上限値以下に制御することで、流動砂の飛散による後流設備の摩耗を抑制することができる。
前記第2演算部は、流動層温度の目標値に対する偏差に基づいて、全空気流量に対する一次空気流量の比率を調整することにより流動層温度の偏差を小さくする、フィードバック制御回路を備えていてもよい。この構成では、流動層温度の目標値に対する偏差を小さくすることで、流動層ボイラの運転中、燃焼効率の変動を抑えることが出来る。
前記フィードバック制御回路は、流動層温度の目標値を任意に設定可能な設定器を有してもよい。流動層温度の目標値を任意に設定可能とすることで、燃焼効率を制御できる。
この発明は、木質バイオマス発電設備に適用できる。また、流動層ボイラの制御方法に適用することが出来る。
本発明によれば、木質チップの水分率にかかわらず、炉内での燃焼点の変動を抑え、流動層ボイラの燃焼を安定させることができる。燃焼の安定化により、燃焼効率を改善し、燃料使用量を削減することができる。
木質バイオマス発電設備の概略構成図(比較例) 燃焼制御装置のブロック図(比較例) 1AF比率と流動層温度の関係を示すグラフ 流動層ボイラの構成図 流動層ボイラの系統図 スプレー流量算出モデル 1AF比率と蒸発管熱吸収量の関係を示すグラフ 1AF比率と蒸発量の関係を示すグラフ 流動層温度と蒸発管熱吸収量の関係を示すグラフ 流動層温度と蒸発量の関係を示すグラフ 1AF比率と燃焼効率の測定例を示すグラフ 流動層温度と燃焼効率の測定例を示すグラフ 木質チップの水分率とTAFの測定例 木質チップの水分率と1AF比率の測定例 木質チップの水分率と流動層温度の測定例 木質チップの水分率と1AF比率一定制御可能範囲を示す図 燃焼制御装置のブロック図 木質バイオマス発電設備の概略構成図 流動層ボイラの他の形態を示す図
流動層ボイラ21に供給される燃焼用の空気には、一次空気と二次空気がある。一次空気は、炉底から流動層21Aに供給される。一次空気は、流動層21Aに供給される木質チップと高温の流動砂を撹拌し、木質チップを着火、燃焼させる。
二次空気は、流動層上方の燃焼空間に供給される。二次空気は、不足するO2を補いボイラの燃焼空間内で木質チップを完全燃焼させる。
以下の説明において、全空気流量(以下TAFとする)は、一次空気流量(以下1AFFとする)と、二次空気流量(以下2AFとする)を合計した空気流量を指すものとする。燃焼点は、炉内において燃料となる木質チップが燃焼しているポイント(上下方向の位置)を指す。
本明細書の開示する項目は、以下の通りである。
(A)炉内での燃焼点の位置を推定する方法
(B)燃焼点の位置を評価する方法
(C)燃焼に必要となるTAFデマンド(指令値)を設定し、1AF比率に基づいて、1AFと2AFを制御する方法
(D)最適燃焼点を維持するように燃焼点をフィードバック制御する方法
ここで、D項のフィードバック制御のみ実施した場合、制御による変動幅が大きくなり、燃焼に影響を及ぼすことが懸念される。
流動層ボイラ21の燃焼点を安定に制御するには、変動要素を事前に減少させておく必要があるが、チップの形状、発熱量、木種などの燃料側の変動要素は事前に制御することは難しい。そのため、C項の制御を行い、空気側の変動要素を減らすことが望ましい。
(A)炉内での燃焼点の位置を推定する方法について、説明する。
木質チップは1AFと2AFの合計であるTAFにより、完全燃焼する。
TAFに対する1AFの比率を1AF比率、2AFの比率を2AF比率と定義する。
1AF比率=1AF/(1AF+2AF)=1AF/TAF
2AF比率=1-1AF比率
1AF比率は、供給された木質チップの1AFによる燃焼割合、2AF比率は2AFによる燃焼割合である。
流動層21Aは木質チップの着火源であり、保有熱量が大きく、温度は安定している。運転実績値から、1AF比率に対する流動層温度の関係を図3のグラフに示す。図3のグラフより、1AF比率が高くなるほど、流動層温度が高くなる相関が見られる。
1AF比率が高くなり、1AFによる燃焼割合が増加することで、燃焼点は炉内下部に移動し、炉内下部にある流動層温度が上昇する。
上記より、1AF比率または流動層温度を、燃焼点の位置を推定する指標とし、「1AF比率の低下または流動層温度の低下=燃焼点の上昇」、「1AF比率上昇または流動層温度上昇=燃焼点の降下」とすることができる。
(B)炉内での燃焼点の位置を評価する方法について、以下の3項目を説明する。
(b1)安定燃焼を行うための1AF、流動層温度の変動可能範囲
(b2)燃焼効率からのアプローチによる燃焼点の評価方法
(b3)総合評価と最適燃焼点目標値の例
(b1)安定燃焼を行うための1AF、流動層温度の変動可能範囲について説明する。
流動層ボイラ21では、加熱された流動層21Aの流動砂と燃料となる木質チップを1AFにより撹拌・接触させることにより、木質チップを着火させる。そのため、流動砂を良好に撹拌し、着火性を確保するために、1AFには下限値が存在する。
流動層21Aでのチップ着火が不十分であると、未燃分が増加し灰の発生量が増加し、さらに、燃焼不良が発生することとなり、燃焼効率は大幅に低下することとなる。逆に、1AFが増加しすぎると、流動砂が後流側に飛散し、後流設備の摩耗や灰の増加が懸念される。
したがって、1AFおよび流動層温度の変動可能範囲を考慮のうえ、炉内での燃焼点の評価や燃焼制御装置110(図17参照)の構成を検討する必要がある。
本例のボイラでは、1AF下限値20km3/h、上限値22km3/h、流動層温度下限値710℃として、運用している。
(b2)燃焼効率からのアプローチによる燃焼点の評価方法について説明する。燃焼効率から燃焼点を評価し、燃焼効率に優れる燃焼点目標値を定めて制御することが好ましい。
図4、図5を参照して、流動層ボイラ21の構造例と系統例について説明する。流動層ボイラ21は、ボイラ本体210、節炭器211、蒸発管212、層中蒸発管213、炉壁蒸発管214、215、一次過熱器216、二次過熱器217などを備える。
図5に示すように、流動層ボイラ21は、ドラム220を有しており、給水ポンプでボイラに供給された給水は、節炭器211で予熱後、蒸発管212~215で蒸発し、ドラム220で汽水分離される。
ドラム220で汽水分離された蒸気は、一次過熱器216で過熱される。一次過熱器216で過熱された蒸気は、過熱低減器223で給水ポンプ出口から分岐したスプレー水により、減温される。スプレー流量は、蒸気タービン入口主蒸気温度を一定値に制御するように、過熱器スプレー弁225により制御される。
過熱低減器223で減温された過熱蒸気は、二次過熱器217により過熱され、規定の圧力、温度、流量で蒸気タービン23に供給される。図5において、FXは流量計、TEは温度計、PXは圧力計である。
ボイラ主要部位である蒸発管212~215、一次過熱器216および二次過熱器217の熱吸収量を蒸気側の圧力、温度、流量から算出する。
主要部位の入口、出口の蒸気圧力、温度からそれぞれの比エンタルピを求め、比エンタルピ差を算出する。
蒸発管比エンタルピ差=A1-A2=B1-B2
A1は蒸発管出口蒸気比エンタルピ、A2は蒸発管入口水比エンタルピである。
B1はドラム飽和蒸気比エンタルピ、B2は給水比エンタルピである。
1SH比エンタルピ差=C1-C2=D1-D2
1SHは一次過熱器である。
C1は1SH出口蒸気比エンタルピ、C2は1SH入口蒸気比エンタルピである。
D1は過熱低減器入口蒸気比エンタルピ、D2はドラム飽和蒸気比エンタルピである。
2SH比エンタルピ差=E1-E2=F1-F2
2SHは二次過熱器である。
E1は2SH出口蒸気比エンタルピ、E2は2SH入口蒸気比エンタルピである。
F1はタービン入口主蒸気比エンタルピ、F2は過熱低減器出口蒸気比エンタルピである。
主要部位の比エンタルピ差に、その部位を通過する流量を乗じて、各部の熱吸収量を算出する。
Qj=蒸気管比エンタルピ差×(FWF-SF)
Q1=1SH比エンタルピ差×(FWF-SF)
Q2=2SH比エンタルピ差×FWF
Qjは蒸発管熱吸収量、Q1は一次過熱器熱吸収量、Q2は二次過熱器熱吸収量である。FWFは給水流量、SFはスプレー流量である。
スプレー流量を測定していない場合は、図6のモデルを用いて、過熱低減器出入口の熱量バランスからスプレー流量を算出する。
Doh×FWF=Dih×JWF+Fwh×SF
Doh×FWF=Dih×(FWF-SF)+Fwh×SF
Doh×FWF=Dih×FWF-Dih×SF+Fwh×SF
(Dih-Fwh)×SF=(Dih-Doh)×FWF
SF=(Dih-Doh)×FWF/(Dih-Fwh)
また、蒸発管での蒸発量は次式となる。
JWF=FWF-SF
JWFは蒸発量、FWFは給水流量、SFはスプレー流量
主要部位の合計熱吸収量ΣQを算出する。
ΣQ=Qj+Q1+Q2
Qjは蒸発管熱吸収量、Q1は一次過熱器熱吸収量、Q2は二次過熱器熱吸収量である。
燃料の保有する熱量のうちボイラ主要部位で有効に熱回収できた熱量の割合を燃焼効率と定義する。
燃焼効率=ΣQ/Qf
ΣQは合計熱吸収量、Qfは燃料保有熱量である。
Qf=LHV×F
LHVは、木質チップの低位発熱量(チップ水分率を加味)、Fは燃料使用量である。
燃焼効率が高いほど、ボイラは有効に熱吸収できているため、燃焼効率を指標とすることにより、燃焼点の良否を評価することができる。また、最高燃焼効率の最適燃焼点を求めることが出来る。
次に1AF比率と蒸発管熱吸収量・蒸発量の関係について説明する。
運転データを用いて蒸発管熱吸収量および蒸発量の算出例を示す。図7のグラフは、1AF比率と蒸発管熱吸収量の関係を示し、図8のグラフは、1AF比率と蒸発量の関係を示す。
図7、図8のグラフより、1AF比率が低くなるほど、蒸発管熱吸収量が増加し、蒸発量も増加している。
これは、1AF比率が低下すると、2AFによる燃焼割合が増加し、燃焼点が炉内上部に移動し、炉壁および火炉後流部に設置された蒸発管での熱吸収量が増加して、蒸発量が増加することを表している。
逆に燃焼点が炉内上部に移動することで、流動層温度が低下、流動層内の二次過熱器熱吸収量が減少し、スプレー流量が減少する。
次に流動層温度と蒸発管熱吸収量・蒸発量の関係について説明する。
図9のグラフは、流動層温度と蒸発管熱吸収量の関係を示し、図10のグラフは流動層温度と蒸発量の関係を示す。
図9、図10のグラフより、流動層温度が低くなるほど、蒸発管熱吸収量が増加し、蒸発量も増加している。
これは、2AFによる燃焼割合が増加し、燃焼点が炉内上部に移動し、流動層温度が低下するとともに、炉壁および火炉後流部に設置された蒸発管での熱吸収量が増加し、蒸発量が増加することを表している。
逆に流動層温度の低下により、流動層内の二次過熱器熱吸収量が減少し、スプレー流量が減少する。
次に1AF比率または流動層温度と燃焼効率の関係について説明する。運転データを用いて燃焼効率の算出例を示す。図11に1AF比率と燃焼効率の関係を示し、図12に流動層温度と燃焼効率の関係を示す。
それぞれの関係は2次近似でき、1AF比率または流動層温度が上昇すると燃焼効率は上昇し、飽和する傾向を示している。
図8~図10に示すように、1AF比率または流動層温度が低下するほど、蒸発管熱吸収量および蒸発量が増加しているが、これは、蒸発管熱吸収量および蒸発量の増加が必ずしも燃焼効率の上昇とはならないことを示している。すなわち、1AF比率または流動層温度が低下すると燃料使用量が増加し、蒸発管熱吸収量および蒸発量が増加するため、燃焼効率は悪化することを示している。
木質チップの水分率[%]と燃焼に必要なTAFの関係について説明する。
チップ水分率が増加すると、水の潜熱が増加、燃料の発熱量が低下するため、燃料使用量が増加し、燃焼に必要な全空気流量は増加する。
図13のグラフは、ボイラ出口O2濃度設定値を2.7%一定として制御した場合のチップ水分率と燃焼に必要となるTAFの測定値である。水分率が増加するほど、TAFは増加する。
木質チップの水分率と1AF比率および流動層温度の関係について説明する。
流動層ボイラ21において、1AFを固定値にした場合(図2の制御例の場合)、木質チップの水分率の増加によりTAFが増加すると、1AF比率は低下し、逆に、水分率の減少によりTAFが減少すると、1AF比率は上昇することとなる。
図14のグラフは、1AFを固定値にした場合のチップ水分率と1AF比率の測定例である。チップ水分率が増加するほど1AF比率は低下する。
チップ水分率が変化することにより1AF比率は変化し、その結果、燃焼点は上下方向で変動することとなる。また、図15のグラフより、木質チップの水分率の増加により、流動層温度も低下する。
<水分率の変動による1AF比率制御可能範囲>
安定した燃焼性を確保するためには、1AFの変動可能範囲が存在する。流動層ボイラ21の1AF変動可能範囲(20km3/h~22km3/h)を例に、木質チップの水分率に対する1AF比率制御可能範囲を求める。
結果を図16に示す。1AF下限流量20km3/hに相当する1AF比率を下限線、1AF上限流量22km3/hに相当する1AF比率を上限線として記入する。
流動層ボイラ21で使用する木質チップの水分率の変動範囲X1~X2は28%~47%である。図16のグラフより、1AF比率を62%一定に制御する場合、水分率が28%~44%の範囲では1AF比率を62%で制御可能であるが、水分率が44%~47%の範囲では1AFは上限となるため、1AF比率は上限線上を動くこととなり、1AF比率は62%から61%の範囲で変動することとなる。
1AF比率を62%でおおむね一定に制御できるのは、水分率の変動範囲28%~44%の範囲に限定される。
(b3)総合評価と最適燃焼点目標値の例について説明する。
1AF比率および流動層温度と燃焼効率の関係、1AF比率制御可能範囲を総合的に判断して、最適燃焼点目標値を定める。
図11、図12で示したように、燃焼効率は1AF比率および流動層温度が高くなるほど上昇する。そのため、本ボイラの運転においては、1AF比率目標値および流動層温度目標値をできるだけ高く設定する方が燃焼効率の向上につながる。
<1AF比率目標値の例>
1AF比率を高く設定する方が燃焼効率は向上するが、図16に示すように、1AF上限値の制約を受け、チップ水分率が増加すると1AF比率は低下することとなる。
1AF比率を一定に保ち、燃焼点の変動を抑え、燃焼を安定させることを目的とする場合、使用する木質チップの水分率変動範囲内で1AF比率を一定に制御できるように1AF比率目標値を設定する。流動層ボイラ21の場合、1AF比率61%~62%の範囲を目標値にするとよい。燃焼効率の向上を目的とする場合、1AF比率目標値をできるだけ高く設定するとよい。
ただし、いずれの目標値設定も水分率の増加による流動層温度の低下に対応する必要があり、木質チップの水分率が最も高いチップを1AF比率目標値で燃焼させた場合に流動層温度が規定値を下回らないように、1AF比率目標値を再設定する必要がある。
<流動層温度目標値の例>
木質チップの水分率の増加による流動層温度低下に対応して、流動層温度を目標値に保つため、この例では、後述するように、流動層温度により1AF比率を補正するフィードバック制御回路150を設けている。
図12のグラフに示すように、流動層温度が高いほど燃焼効率は上昇する。流動層温度により1AF比率を設定するフィードバック制御回路150を設け、流動層温度目標値一定となるように1AF比率を制御することで、チップ着火不良を抑止するとともに、燃焼効率を向上させることができる。
なお、木質チップの水分率が増加し、水の潜熱が増加することにより、流動層温度が低下した際に、図2に示す燃焼制御装置80では燃焼点を炉内上部に移動することとなり、流動層温度をさらに低下させることとなる。一方、本発明では、水の潜熱の増加による流動層温度低下時に、燃焼点を炉内下部に移動させるようにフィードバック制御が働くため、流動層温度を上昇させ、目標値一定に制御させることができる。
また、逆に、木質チップの水分率が減少し、水の潜熱が減少することにより、流動層温度が上昇した際には、燃焼点を炉内上部に移動させるようにフィードバック制御が働くため、流動層温度を低下させ、目標値一定に制御させることができる。
(C)燃焼に必要となるTAFデマンドを設定し、1AF比率に基づいて1AFと2AFを制御する方法について、以下の5項目を説明する。
(c1)チップ水分率を用いて、燃焼に必要となるTAFデマンドを設定する方法
(c2)過剰空気率を補正する方法
(c3)発電機出力変化によりTAFデマンドを補正する方法
(c4)ボイラ出口O2濃度の偏差からTAFデマンドを補正する方法
(c5)TAFデマンドから1AF比率に基づいて1AFデマンドおよび2AFデマンドを設定する方法
(c1)木質チップの水分率を用いて、燃焼に必要となるTAFデマンドを設定する方法について説明する。
燃焼に影響を与える変動要素のうち最も影響の大きいものは、木質チップの水分率[%]である。木質チップの水分率は、木質チップの全重量(乾燥重量と水分重量の合計)に対する水分重量の割合である。木質チップの水分率に対する必要燃焼空気流量は、図14に示すように木質チップの水分率が増加するほど増加するため、この関係を第1関数設定器121によりあらかじめ設定しておく。
なお、不完全燃焼により未燃分が発生すると燃焼効率は低下するため、未燃分の発生しない過剰空気率を用いて、木質チップの水分率に対する必要燃焼空気流量を第1関数設定器121により設定する。
木質チップの水分率は、ボイラ投入時の水分率を測定する水分率計45Bによる測定値を用いてもよいし、燃料消費率、木質チップの嵩比重などから算出した計算値を用いてもよい。
(c2)過剰空気率を補正する方法について説明する。
過剰空気率を大きくし過ぎると、通風機などの通風系統補機動力が増加する。そのため、運転員が過剰空気率を補正できるように過剰空気率設定器を設け、その出力を木質チップの水分率に対する必要空気流量に乗じることでTAFデマンドを補正する。
なお、後述するように、第1フィードバック制御回路130により、ボイラ出口O2濃度測定値を設定器により設定値と一致させるようにフィードバック制御を行うため、ボイラ出口O2濃度設定値を変更する場合は、過剰空気率を相当する値に再設定する必要がある。
(c3)発電機出力変化によりTAFデマンドを補正する方法について説明する。
チップ水分率より算出したTAFデマンドは、発電機定格出力に対する値であるため、発電機25を定格以外で運転する場合、発電機出力による補正が必要となる。流動層ボイラ21はボイラ入力指令(発電機出力指令値)により、主蒸気圧力を一定に保つように燃料投入量が制御される。
発電機出力に対応する燃料投入量に見合った空気流量とするため、ボイラ入力指令を入力とする補正係数を算出し(第2関数発生器124)、TAFに乗じることでTAFデマンドを補正する。
チップ水分率を特定できない場合、ボイラ入力指令を入力とする関数発生器により、TAFデマンドを決定することも可能である。ただし、実際のチップ性状と関数発生器の設定値にズレが発生すると制御性が悪くなる可能性がある。
(c4)ボイラ出口O2濃度の偏差からTAFデマンドを補正する方法について説明する。安定した燃焼を行うためには、燃料量と空気流量をバランスさせる必要があり、TAFを設定するが、木質チップの木種の変化などにより、必ずしもバランスしない。
そのアンバランス分を補正するために、運転員がボイラ出口O2濃度設定器で設定した値に、ボイラ出口O2濃度測定値を制御する第1フィードバック制御回路130を設け、その補正量を、TAFに乗じて補正することで、燃焼に必要となる全空気流量をTAFデマンドとして設定する。
(c5)TAFデマンドから1AF比率に基づいて1AFデマンドおよび2AFデマンドを設定する方法について説明する。図3のグラフに示すように、流動層温度は1AF比率の影響を受けるが、図2の燃焼制御装置80は1AFと2AFを独立して制御している。そのため、図2の燃焼制御装置80は、1AF比率を制御することが難しい。
この実施形態では、運転員が1AF比率を設定できるように1AF比率設定器141を設け、設定された1AF比率をTAFデマンドに乗じることで、1AFデマンドを設定する。
なお、1AFデマンドは、上下限値を設定できるようにして、1AF変動範囲内で制御させる。TAFデマンドから1AFデマンドを差引くことで、2AFデマンドを設定する。
1AFデマンド=TAFデマンド×1AF比率
2AFデマンド=TAFデマンド-1AFデマンド
この構成では、TAFを1AF比率に応じて1AFと2AFに分配することから、1AFと2AFの配分比率を、常にコントロールすることが可能である。
(D)最適燃焼点を維持するように燃焼点をフィードバック制御する方法について説明する。流動層21Aでのチップ着火性を維持するためには、1AFのみでなく、着火源となる流動層温度を規定値以上に維持する必要がある。
木質チップの水分率が増加すると水の潜熱が増加するため、流動層温度が低下する。また、図12のグラフに示すように、流動層温度が低くなるほど燃焼効率は低下する。
上記より、流動層温度を制御対象として、運転員が流動層温度設定器151で設定した目標値一定となるように、流動層温度を制御する第2フィードバック制御回路150を設け、その演算結果により1AF比率を補正することで、チップ着火不良を抑止するとともに、燃焼効率を向上させる。
図17は、燃焼制御装置110のブロック図である。燃焼制御装置110は、流動層ボイラ21に供給する1AF(一次空気流量)、2AF(二次空気流量)を制御する。燃焼制御装置110は、図2の燃焼制御装置80を改良したものである。
燃焼制御装置110は、第1演算部120及び第2演算部140を備える。第1演算部120は、チップ水分率に基づいて、TAFデマンドを演算する。
具体的に説明すると、第1演算部120は、第1関数設定器121、過剰空気率設定器122、第1乗算器123、第2関数設定器124、第2乗算器125、第3乗算器126及び第1フィードバック制御回路130を備える。
第1関数設定器121には、燃料として使用される木質チップの水分率[%]が入力される。木質チップの水分率はトラックヤード15の水分率計15Bで測定できるが、チップ貯蔵庫保管中に水分率が変化するため、ボイラ投入時の水分率を水分率計45Bにより測定し、使用することが望ましい。また、水分率は燃料消費率、木質チップの嵩比重などから算出した計算値を用いてもよい。
第1関数設定器121には、木質チップの水分率に対する必要空気流量を算出する関数が設定されており、入力された水分率に対する必要空気流量を算出して出力する。第1関数設定器121の設定する必要空気流量は、木質バイオマス発電設備10Aの発電機25が定格出力である時に、流動層ボイラ21に対して供給するべきTAF(全空気流量)
である。
過剰空気率設定器122は、運転員が過剰空気率補正係数を設定するために設けられている。過剰空気率は、実際に供給された空気の質量を理論上必要な最少空気質量で除した値であり、混合気中の空気の余剰度を表す指標である。
第1乗算器123は、第1関数設定器121より出力されるTAFに対して過剰空気率設定器122にて設定される過剰空気率補正係数を乗算して補正し、補正後のTAFを出力する。
第2関数設定器124には、ボイラ入力指令(発電機出力指令値)が入力される。第2関数設定器124は、発電機出力指令値に応じたTAFの補正係数を算出する関数が設定されている。
第2乗算器125は、第1乗算器123の出力するTAFに、第2関数設定器124の出力する補正係数を乗算して補正し、補正後のTAFを出力する。
第1フィードバック制御回路130は、ボイラ出口O2濃度の設定値に対する偏差が小さくなるようにTAFを補正する回路であり、ボイラ出口O2濃度設定器131、減算器132、及び比例積分器133を備える。
ボイラ出口O2濃度設定器131はボイラ出口O2濃度の設定値を設定する。運転員は、ボイラ出口O2濃度設定器131により、ボイラ出口O2濃度の設定値を任意に設定することができる。
減算器132は、ボイラ出口O2濃度の設定値から測定値を減算して、ボイラ出口O2濃度の偏差を算出し、比例積分器133に出力する。
比例積分器133は、ボイラ出口O2濃度の偏差に比例する成分と時間積分の成分に基づいてTAFの補正係数を算出する。比例積分器133は、算出した補正係数を第3乗算器126に出力する。
第3乗算器126は、第2乗算器125より出力されるTAFに対して比例積分器133より出力されるフィードバック補正係数を乗算して、TAFデマンド(全空気流量指令値)を算出する。第3乗算器126は、算出したTAFデマンドを、第2演算部140に出力する。
第2演算部140は、TAFデマンドから1AFデマンド(一次空気流量指令値)と2AFデマンド(二次空気流量指令値)を演算する。
具体的には、第2演算部140は、1AF比率設定器141、加算器142、乗算器143、リミッタ144、減算器146、流量指令値算出部145、147及び第2フィードバック制御回路150を備える。
1AF比率設定器141は、1AF比率を設定する。1AF比率は、TAFに対する1AFの比率である。
運転員は、1AF比率設定器141により、1AF比率を任意に設定することができる。つまり、1AF比率の設定値を任意に変更できる。1AF比率設定器141は、設定された1AF比率を加算器に142に出力する。
第2フィードバック制御回路150は、流動層温度の目標値に対する偏差を小さくするように、1AF比率を調整する回路である。具体的には、流動層温度設定器151、減算器152及び比例積分器153を備える。
流動層温度設定器151は、流動層温度の目標値を設定する。運転員は、流動層温度設定器151により、流動層温度の目標値を任意に設定することができる。流動層温度の目標値設定により、流動層ボイラ21の燃焼効率を制御することが出来る(図12参照)。例えば、流動温度の目標値を750℃にした場合、燃焼効率を約87.5%に制御することが出来る。
減算器152には、流動層温度の目標値と測定値が入力される。流動層温度が、複数の計測点で測定されている場合、その平均値を測定値に用いてもよい。
減算器152は流動層温度の目標値から測定値を減算して流動層温度の偏差を算出する。減算器152は、流動層温度の偏差を比例積分器153に出力する。
比例積分器153は、流動層温度の偏差に比例する成分と時間積分の成分に基づいて、1AF比率の調整値を算出する。比例積分器153は、1AF比率の調整量を加算器142に出力する。
加算器142は、1AF比率設定器141の出力する1AF比率に、第2フィードバック制御回路150の出力する調整値を加算して、1AF比率を補正する。加算器142は、補正した1AF比率を乗算器143に出力する。
なお、第2フィードバック制御回路150は、燃焼効率の向上を目的とする補正回路であり、燃焼を安定させることを目的とする場合は、第2フィードバック制御回路150を不使用とする。第2フィードバック制御回路150を不使用とした場合、第2演算部140により、1AF比率一定制御を行うことが出来る。つまり、1AF比率設定器141による設定値に1AF比率を一定に制御できる。
乗算器143は、第1演算部120の出力するTAFデマンドに加算器142の出力する1AF比率を乗算して1AFデマンドを算出する。
1AFデマンドはリミッタ144に入力され、上下限値と比較される。1AFデマンドが上下限値に含まれている場合、リミッタ144は1AFデマンドを一次空気流量指令値算出部145に出力する。一次空気流量指令値算出部145は、1AFデマンドを通風機の流量指令値に変換した後、一次空気流量の第1操作端である第1通風機47に出力する。
1AFデマンドが上下限値に含まれていない場合、1AFデマンドは、リミッタ144で上限値又は下限値に修正された後、一次空気流量指令値算出部145に出力される。
リミッタ144は、1AFデマンドを減算器146にも出力する。減算器146は、第1演算部120の出力するTAFデマンドから1AFデマンドを減算して2AFデマンドを算出する。減算器146は、2AFデマンドを二次空気流量指令値算出部147に出力する。
二次空気流量指令値算出部147は、2AFデマンドを通風機の流量指令値に変換した後、二次空気流量の第2操作端である第2通風機48に出力する。
図18は、燃焼制御装置110を適用した木質バイオマス発電設備10Aのブロック図である。木質バイオマス発電設備10Aは、流動層ボイラ21、蒸気タービン23、発電機25、復水器26、蒸気加減弁27、給水ポンプ28、バグフィルタ31、フライアッシュサイロ33、排気塔35、燃料供給部40、第1通風機47、第2通風機48、クレーン制御装置50及びボイラ制御装置100を備えている。また、計測類として、ボイラ出口O2濃度を検出する第1検出部250、流動層ボイラ21の流動層温度を検出する第2検出部260を備えている。
ボイラ制御装置100は、燃料制御装置70と、燃焼制御装置110を備えている。燃焼制御装置110は、以下の4つの入力に基づいて、1AFデマンド、2AFデマンドを算出し、1AFと2AFを制御する。燃焼制御装置110は、1AFと2AFの制御により、流動層ボイラ21の流動層温度、燃焼点の上下方向位置、燃焼効率を制御する。
<燃焼制御装置110に対する4入力>
(1)木質チップの水分率
(2)ボイラ入力指令(発電機出力指令値)
(3)O2濃度測定値
(4)流動層温度測定値
以下、燃焼制御装置110の効果について説明する。
燃焼制御装置110によれば、木質チップの水分率、ボイラ入力指令などによりフィードフォワード指令として設定したTAFデマンドを算出すること、1AFと2AFの配分比率を制御することにより、木質チップの水分率などの燃料性状にかかわらず、炉内での燃焼点の変動を抑えることが出来る。そのため、良好な燃焼を維持して運転を行うことができる。
図12に示したように、流動層温度と燃焼効率には相関があるが、燃焼制御装置110によれば、第2フィードバック制御回路150により、流動層温度が設定値にフィードバック制御される。そのため、運転中、流動層温度を目標値に安定させることが出来、燃焼効率の変動を抑えることが出来る。例えば、流動層温度を、750℃にフィードバック制御することで、運転中、ボイラの燃焼効率を概ね87.5%に保つことが出来る。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、第1演算部120を、第1関数設定器121、過剰空気率設定器122、第1乗算器123、第2関数設定器124、第2乗算器125、第3乗算器126及び第1フィードバック制御回路130から構成した。
第1演算部120は、木質チップの水分率に関わらず、炉内での燃焼点の変動を抑え、燃焼を安定させることを解決するため、少なくとも、木質チップの水分率に基づいて、前記流動層ボイラに供給するべき一次空気流量と二次空気流量の合計値である全空気流量を算出する構成であれば、どのような構成でもよい。例えば、第1演算部120を第1関数設定器121により構成してもよい。また、第1演算部120を第1関数設定器121と第1フィードバック制御回路130により構成してもよい。
上記実施形態では、第2演算部140を、1AF比率設定器141、加算器142、乗算器143、リミッタ144、減算器146、流量指令値算出部145、147及び第2フィードバック制御回路150から構成した。
第2演算部140は、木質チップの水分率に関わらず、炉内での燃焼点の変動を抑え、燃焼を安定させることを解決する構成として、少なくとも、前記第1演算部により算出した全空気流量と、全空気流量に対する一次空気流量の比率に基づいて、前記流動層ボイラに供給する一次空気流量と二次空気流量の指令値を算出し、一次空気を操作する第1操作端を介して一次空気流量を指令値に制御し、二次空気を操作する第2操作端を介して二次空気流量を指令値に制御する構成であれば、どのような構成でもよい。例えば、第2演算部140を、1AF比率設定器141、乗算器143、減算器146、流量指令値算出部145、147のみにより構成してもよい。
(3)図12に示すように、流動層温度と燃焼効率には相関があるから、流動層温度の制御により、燃焼効率を制御することが出来る。例えば、流動層温度を約750℃に制御することにより、燃焼効率を約87.5%に制御できる。尚、流動層温度は、図3に示すように1AF比率と相関があるから1AF比率により制御してもよいし、他の方法で制御してもよい。
(4)一次空気を操作する第1操作端は、第1通風機47の回転数制御により、一次空気流量を制御してもよいし、ダンパの開度制御または回転数とダンパ開度の併用により、一次空気流量を制御してもよい。二次空気を操作する第2操作端についても同様である。
(5)流動層ボイラ21は、図4の構成に限定されない。流動層21Aを有する水管ボイラであれば、他の構造でもよい。例えば、図19の流動層ボイラ300に示すように、流動層内に過熱系熱交換器である一次過熱器216、二次過熱器217を配置し、火炉後流部に蒸発系熱交換器である蒸発菅212を配置したボイラでもよい。こうしたボイラは、木質チップの水分率の変動の影響を受けやすくなるため、本発明を適用することによる効果は大きい。
10 バイオマス発電設備
21 流動層ボイラ
21A 流動層
47 第1通風機(第1操作端)
48 第2通風機(第2操作端)
110 燃焼制御装置
120 第1演算部
130 第1フィードバック制御回路
140 第2演算部
141 1A比率設定器
144 リミッタ
150 第2フィードバック制御回路
151 流動層温度設定器

Claims (9)

  1. 流動層に供給された木質チップを一次空気により流動砂と撹拌して着火させ、二次空気により燃焼させる流動層ボイラの燃焼制御装置であって、
    第1演算部と、第2演算部を備え、
    前記第1演算部は、木質バイオマス発電設備の燃料である木質チップの水分率に基づいて、前記流動層ボイラに供給するべき一次空気流量と二次空気流量の合計値である全空気流量を算出し、
    前記第2演算部は、前記第1演算部により算出した全空気流量と、全空気流量に対する一次空気流量の比率に基づいて、前記流動層ボイラに供給する一次空気流量と二次空気流量の指令値を算出し、
    前記第2演算部は、一次空気を操作する第1操作端を介して一次空気流量を指令値に制御し、二次空気を操作する第2操作端を介して二次空気流量を指令値に制御する、流動層ボイラの燃焼制御装置。
  2. 請求項1に記載の流動層ボイラの燃焼制御装置であって、
    前記第2演算部は、全空気流量に対する一次空気流量の比率を一定に制御する、流動層ボイラの燃焼制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の流動層ボイラの燃焼制御装置であって、
    前記第2演算部は、全空気流量に対する一次空気流量の比率の設定値を、任意に設定可能な設定器を有する、流動層ボイラの燃焼制御装置。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の流動層ボイラの燃焼制御装置であって、
    前記第2演算部は、前記一次空気流量の上下限値を定めるリミッタを備える、流動層ボイラの燃焼制御装置。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の流動層ボイラの燃焼制御装置であって、
    前記第2演算部は、流動層温度の目標値に対する偏差に基づいて、全空気流量に対する一次空気流量の比率を調整することにより流動層温度の偏差を小さくする、フィードバック制御回路を備える、流動層ボイラの燃焼制御装置。
  6. 請求項5に記載の流動層ボイラの燃焼制御装置であって。
    前記フィードバック制御回路は、流動層温度の目標値を任意に設定可能な設定器を有する、流動層ボイラの燃焼制御装置。
  7. 流動層を用いて木質チップを燃焼させて蒸気を発生させる流動層ボイラと、
    請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の燃焼制御装置と、を備える、木質バイオマス発電設備。
  8. 流動層に供給された木質チップを一次空気により流動砂と撹拌して着火させ、二次空気により燃焼させる流動層ボイラの燃焼制御方法であって、
    全空気流量に対する一次空気流量の比率を一定に制御することにより、ボイラの燃焼を安定させる、流動層ボイラの燃焼制御方法。
  9. 流動層に供給された木質チップを一次空気により流動砂と撹拌して着火させ、二次空気により燃焼させる流動層ボイラの燃焼制御方法であって、
    流動層温度の制御により、前記流動層ボイラの燃焼効率を制御する、流動層ボイラの燃焼制御方法。
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