JP2023126466A - 自動走行方法及び自動走行システム - Google Patents
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Abstract
【課題】各作業経路に存在する未作業経路を極力短くして、作業車両の自動走行で作業する場合の作業効率の向上を図る。【解決手段】自動走行方法は、作業状態と非作業状態とに切り換え可能な作業装置3を後部に備える作業車両1の自動走行方法であって、作業装置3が作業状態に切り換えられた作業車両1を、作業終端位置pdを越えて走行終端位置p4まで前進走行させ、作業車両1が走行終端位置p4に到達すると作業装置3を非作業状態に切り換えて作業車両1を後進走行させ、作業車両1が作業終端位置pdに到達する前に作業車両1を後進走行から旋回走行に切り換える。【選択図】図7
Description
本発明は、自動走行方法及び自動走行システムに関する。
上記のような作業車両用の自動走行システムにおいては、作業車両の後部に備えられた作業装置の作業幅を入力する工程、圃場内での作業領域を設定する工程、作業開始位置と作業停止位置とを設定する工程、基準走行開始方向を設定する工程、作業領域の両端に枕地を設定する工程、及び、圃場内での走行経路を設定する工程、などが行われることで、作業車両の自動走行を可能にする目標経路を生成する目標経路生成部を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
目標経路生成部が生成する目標経路には、作業装置が作業状態に切り換えられた作業車両を前進させる作業経路を含む複数の並列経路と、作業装置が非作業状態に切り換えられた作業車両を方向転換させる複数の方向転換経路とが含まれている。目標経路生成部は、上記の特許文献1に例示された各種の設定工程が行われた場合には、設定された作業領域に対して、複数の並列経路を、作業装置の作業幅に基づく所定間隔を置いて並列に配置し、作業領域の両端に設定された枕地に対して、複数の並列経路を作業車両の走行順に接続する複数の旋回経路を配置して、作業車両の自動走行を可能にする目標経路を生成する。
このように生成された目標経路に従って作業車両を自動走行させるためには、衛星測位システムや距離センサなどを利用して作業地における作業車両の位置を測定する測位ユニットを作業車両に備える必要がある。そして、測位ユニットを作業車両に備える場合には、作業車両の所定位置に、衛星測位システムなどによる作業車両の測位を可能にする測位アンテナ、又は、作業地の端縁までの作業車両の距離を測定する距離センサなどが配置され、その位置が作業車両の測位基準点として設定されることが一般的である。
このような構成において、作業車両を目標経路に従って自動走行させる場合には、例えば、作業車両の測位基準点が並列経路の終端位置に到達したときに、作業車両が並列経路の終端位置に到達したことになり、この到達に伴って、作業車両が走行する経路が並列経路から旋回経路に切り換えられる。そして、並列経路の終端位置が作業経路の終端位置に設定されており、このときの経路の切り換えに基づいて、作業装置が作業状態から非作業状態に切り換えられる。そのため、各並列経路の終端側においては、作業車両の測位基準点が作業経路の終端位置に到達したときの作業装置の位置が、作業経路における作業車両の作業装置による作業終端位置になる。
つまり、特許文献1に記載の技術に基づいて生成される目標経路においては、各作業経路の終端位置(方向転換経路の始端位置)から、作業経路の始端側に、作業車両における測位基準点から作業装置の位置までの離隔距離だけ遡った位置が、各作業経路の終端側での作業車両による作業終端位置になる。そのため、各作業経路においては、作業経路の終端位置と、この終端位置に作業車両が到達したときの作業車両の作業終端位置との間に、作業経路に従って自動走行する作業車両では作業することができない未作業経路が、前述した離隔距離の分だけ存在することになり、その分、作業車両の自動走行で作業する場合の作業効率の低下を招くことになる。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、各作業経路に存在する未作業経路を極力短くして、作業車両の自動走行で作業する場合の作業効率の向上を図れるようにする点にある。
一態様に係る自動走行方法は、作業状態と非作業状態とに切り換え可能な作業装置を後部に備える作業車両の自動走行方法であって、前記作業装置が前記作業状態に切り換えられた前記作業車両を、作業終端位置を越えて走行終端位置まで前進走行させ、前記作業車両が前記走行終端位置に到達すると前記作業装置を前記非作業状態に切り換えて前記作業車両を後進走行させ、前記作業車両が前記作業終端位置に到達する前に前記作業車両を後進走行から旋回走行に切り換える。
一態様に係る自動走行システムは、作業状態と非作業状態とに切り換え可能な作業装置が後部に備えられた作業車両を自動走行させる制御ユニットを備える自動走行システムである。前記制御ユニットは、前記作業装置が前記作業状態に切り換えられた前記作業車両を、作業終端位置を越えて走行終端位置まで前進走行させ、前記作業車両が前記走行終端位置に到達すると前記作業装置を前記非作業状態に切り換えて前記作業車両を後進走行させ、前記作業車両が前記作業終端位置に到達する前に前記作業車両を後進走行から旋回走行に切り換える。
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る作業車両用の自動走行システムを、作業車両の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、本発明に係る作業車両用の自動走行システムは、トラクタ以外に、例えば、乗用管理機、乗用草刈機、乗用田植機、及び、乗用播種機、などの自動走行可能な乗用作業車両、並びに、無人耕耘機や無人草刈機などの無人作業車両に適用することができる。
図1に示すように、本実施形態に例示されたトラクタ1は、その後部に、リンク機構2を介して、作業装置の一例であるロータリ耕耘装置3が昇降可能かつローリング可能に連結されている。これにより、トラクタ1は、ロータリ耕耘仕様に構成されている。
尚、トラクタ1の後部には、ロータリ耕耘装置3に代えて、例えば、プラウ、ディスクハロー、カルチベータ、サブソイラ、播種装置、散布装置、草刈装置、及び、収穫装置、などの作業装置を連結することができる。
トラクタ1は、作業車両用の自動走行システムを使用することにより、作業地の一例である圃場A(図5参照)などにおいて自動走行させることができる。図1、図3に示すように、作業車両用の自動走行システムには、トラクタ1に搭載された自動走行ユニット4、及び、自動走行ユニット4と無線通信可能に通信設定された無線通信機器の一例である携帯通信端末5、などが含まれている。携帯通信端末5には、自動走行に関する各種の情報表示や入力操作などを可能にするマルチタッチ式の表示デバイス50などが備えられている。
尚、携帯通信端末5には、タブレット型のパーソナルコンピュータやスマートフォンなどを採用することができる。又、無線通信には、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信などを採用することができる。
図1~2に示すように、トラクタ1には、走行装置として、駆動可能で操舵可能な左右の前輪10と、駆動可能な左右の後輪11とが備えられている。図1~3に示すように、トラクタ1には、搭乗式の運転部12を形成するキャビン13、コモンレールシステムを有する電子制御式のディーゼルエンジン(以下、エンジンと称する)14、エンジン14などを覆うボンネット15、及び、エンジン14からの動力を変速する変速ユニット16、などが備えられている。尚、エンジン14には、電子ガバナを有する電子制御式のガソリンエンジンなどを採用してもよい。
図3に示すように、トラクタ1には、左右の前輪10を操舵する全油圧式のパワーステアリングユニット17、左右の後輪11を制動するブレーキユニット18、ロータリ耕耘装置3への伝動を断続する電子油圧制御式の作業クラッチユニット19、ロータリ耕耘装置3を昇降駆動する電子油圧制御式の昇降駆動ユニット20、ロータリ耕耘装置3のロール方向への駆動を可能にする電子油圧制御式のローリングユニット21、トラクタ1における各種の設定状態や各部の動作状態などを検出する各種のセンサやスイッチなどを含む車両状態検出機器22、及び、各種の制御部を有する車載制御ユニット23、などが備えられている。尚、パワーステアリングユニット17には、操舵用の電動モータを有する電動式を採用してもよい。
図1に示すように、運転部12には、手動操舵用のステアリングホイール25、搭乗者用の座席26、及び、各種の情報表示や入力操作などを可能にする操作端末27が備えられている。図示は省略するが、運転部12には、アクセルレバーや変速レバーなどの操作レバー類、及び、アクセルペダルやクラッチペダルなどの操作ペダル類、などが備えられている。操作端末27には、マルチタッチ式の液晶モニタやISOBUS(イソバス)対応のバーチャルターミナルなどを採用することができる。
図2に示すように、変速ユニット16には、エンジン14からの動力を走行用に変速する走行伝動系16Aと作業用に変速する作業伝動系16Bとが備えられている。そして、走行伝動系16Aによる変速後の動力が、前輪駆動用の伝動軸28、及び、前車軸ケース29に内蔵された前輪用差動装置30、などを介して左右の前輪10に伝えられる。又、作業伝動系16Bによる変速後の動力がロータリ耕耘装置3に伝えられる。変速ユニット16には、左右の後輪11を個別に制動する左右のブレーキ31が備えられている。
走行伝動系16Aには、エンジン14からの動力を変速する電子制御式の主変速装置32、主変速装置32からの動力を前進用と後進用とに切り換える電子油圧制御式の前後進切換装置33、前後進切換装置33からの前進用又は後進用の動力を高低2段に変速するギア式の副変速装置34、前後進切換装置33からの前進用又は後進用の動力を超低速段に変速するギア式のクリープ変速装置35、副変速装置34又はクリープ変速装置35からの動力を左右の後輪11に分配する後輪用差動装置36、後輪用差動装置36からの動力を減速して左右の後輪11に伝える左右の減速装置37、及び、副変速装置34又はクリープ変速装置35から左右の前輪10への伝動を切り換える電子油圧制御式の伝動切換装置38、などが含まれている。
作業伝動系16Bには、エンジン14からの動力を断続する油圧式の作業クラッチ39、作業クラッチ39を経由した動力を正転3段と逆転1段とに切り換える作業用変速装置40、及び、作業用変速装置40からの動力を作業用として出力するPTO軸41、などが含まれている。PTO軸41から取り出された動力は、外部伝動軸(図示せず)などを介してロータリ耕耘装置3に伝えられる。作業クラッチ39は、作業クラッチ39に対するオイルの流れを制御する電磁制御弁(図示せず)などとともに作業クラッチユニット19に含まれている。
主変速装置32には、静油圧式無段変速装置(HST:Hydro Static Transmission)よりも伝動効率が高い油圧機械式無段変速装置の一例であるI-HMT(Integrated Hydro-static Mechanical Transmission)が採用されている。
尚、主変速装置32には、I-HMTの代わりに、油圧機械式無段変速装置の一例であるHMT(Hydraulic Mechanical Transmission)、静油圧式無段変速装置、又は、ベルト式無段変速装置、などの無段変速装置を採用してもよい。又、無段変速装置の代わりに、複数の油圧式の変速クラッチ、及び、それらに対するオイルの流れを制御する複数の電磁式の変速バルブ、などを有する電子油圧制御式の有段変速装置を採用してもよい。
伝動切換装置38は、左右の前輪10への伝動状態を、左右の前輪10への伝動を遮断する伝動遮断状態と、左右の前輪10の周速が左右の後輪11の周速と同じになるように左右の前輪10に伝動する等速伝動状態と、左右の後輪11の周速に対して左右の前輪10の周速が約2倍になるように左右の前輪10に伝動する倍速伝動状態とに切り換える。これにより、このトラクタ1の駆動状態を、2輪駆動状態と4輪駆動状態と前輪倍速状態とに切り換えることができる。
図示は省略するが、ブレーキユニット18には、前述した左右のブレーキ31、運転部12に備えられた左右のブレーキペダルの踏み込み操作に連動して左右のブレーキ31を作動させるフットブレーキ系、運転部12に備えられたパーキングレバーの操作に連動して左右のブレーキ31を作動させるパーキングブレーキ系、及び、左右の前輪10の設定角度以上の操舵に連動して旋回内側のブレーキ31を作動させる旋回ブレーキ系、などが含まれている。旋回ブレーキ系には、左右のブレーキ31を独立して作動させることが可能な電子油圧制御式のブレーキ操作装置18Aが含まれている。
車両状態検出機器22は、トラクタ1の各部に備えられた各種のセンサやスイッチなどの総称である。図4に示すように、車両状態検出機器22には、アクセルレバーの操作位置を検出するアクセルセンサ22A、変速レバーの操作位置を検出する変速センサ22B、前後進切り換え用のリバーサレバーの操作位置を検出するリバーサセンサ22C、エンジン14の出力回転数を検出する第1回転センサ22D、トラクタ1の車速を検出する車速センサ22E、前輪10の操舵角を検出する舵角センサ22F、ロータリ耕耘装置3の高さ位置を検出する高さセンサ22G、及び、PTO軸41の回転数をロータリ耕耘装置3の駆動回転数として検出する第2回転センサ22H、などが含まれている。
図2に示すように、車速センサ22Eには、副変速装置34又はクリープ変速装置35から後輪用差動装置36に伝動する伝動軸49の回転数及び回転方向を検出する回転センサが採用されている。
図3~4に示すように、車載制御ユニット23には、エンジン14に関する制御を行うエンジン制御部23A、トラクタ1の車速や前後進の切り換えなどの変速ユニット16に関する制御を行う変速ユニット制御部23B、ステアリングに関する制御を行うステアリング制御部23C、ロータリ耕耘装置3などの作業装置に関する制御を行う作業装置制御部23D、操作端末27などに対する表示や報知に関する制御を行う表示制御部23E、自動走行に関する制御を行う自動走行制御部23F、及び、圃場Aに応じて生成された自動走行用の目標経路P(図5参照)などを記憶する不揮発性の車載記憶部23G、などが含まれている。各制御部23A~23Fは、マイクロコントローラなどが集積された電子制御ユニットや各種の制御プログラムなどによって構築されている。各制御部23A~23Fは、CAN(Controller Area Network)を介して相互通信可能に接続されている。
尚、各制御部23A~23Fの相互通信には、CAN以外の通信規格や次世代通信規格である、例えば、車載EthernetやCAN-FD(CAN with FLexible Data rate)などを採用してもよい。
エンジン制御部23Aは、アクセルセンサからの検出情報と第1回転センサ22Dからの検出情報とに基づいて、エンジン回転数をアクセルレバーの操作位置に応じた回転数に維持するエンジン回転数維持制御、などを実行する。
変速ユニット制御部23Bは、車速センサ22Eの検出情報に基づいて、トラクタ1の実車速を算出するとともにトラクタ1の進行方向を判定する。変速ユニット制御部23Bは、変速センサ22Bの検出情報と車速センサ22Eの検出情報などに基づいて、トラクタ1の車速が変速レバーの操作位置に応じた速度に変更されるように主変速装置32の作動を制御する車速制御、及び、リバーサセンサ22Cの検出情報に基づいて前後進切換装置33の伝動状態を切り換える前後進切り換え制御、などを実行する。車速制御には、変速レバーが零速位置に操作された場合に、主変速装置32を零速状態まで減速制御してトラクタ1の走行を停止させる減速停止処理が含まれている。
変速ユニット制御部23Bは、トラクタ1における走行駆動モードの選択を可能にする第1選択スイッチ(図示せず)の操作に基づいて、トラクタ1の走行駆動モードを、二輪駆動モードと四輪駆動モードと前輪増速モードと旋回ブレーキモードと前輪増速旋回ブレーキモードとに切り換える。第1選択スイッチは、運転部12に備えられ、車両状態検出機器22に含まれている。
変速ユニット制御部23Bは、二輪駆動モードにおいては、伝動切換装置38を伝動遮断状態に切り換えることで、トラクタ1を、左右の前輪10への伝動を遮断して左右の後輪11のみを駆動させた二輪駆動状態で走行させる。
変速ユニット制御部23Bは、四輪駆動モードにおいては、伝動切換装置38を等速駆動状態に切り換えることで、トラクタ1を、左右の前輪10に伝動して左右の前輪10と左右の後輪11とを等速駆動させた四輪駆動状態で走行させる。
変速ユニット制御部23Bは、前輪増速モードにおいては、舵角センサ22Fの検出情報に基づいて、伝動切換装置38を等速伝動状態と倍速伝動状態とに切り換える前輪変速制御を実行する。前輪変速制御には、前輪10の操舵角が設定角度以上に達したときに、トラクタ1が旋回を開始したと判定して、伝動切換装置38を等速伝動状態から倍速伝動状態に切り換える前輪増速処理と、前輪10の操舵角が設定角度未満に至ったときに、トラクタ1が旋回を終了したと判定して、伝動切換装置38を倍速伝動状態から等速伝動状態に切り換える前輪減速処理とが含まれている。これにより、前輪増速モードにおいては、トラクタ1の旋回走行時にトラクタ1を前輪増速状態で走行させることができ、トラクタ1の旋回半径を小さくすることができる。
変速ユニット制御部23Bは、旋回ブレーキモードにおいては、舵角センサ22Fの検出情報に基づいて、ブレーキ操作装置18Aの作動を制御して左右のブレーキ31を制動解除状態と旋回内側制動状態とに切り換える旋回ブレーキ制御を実行する。旋回ブレーキ制御には、前輪10の操舵角が設定角度以上に達したときに、トラクタ1が旋回を開始したと判定するとともに、そのときの操舵角の増減方向から前輪10の操舵方向を判定して、旋回内側のブレーキ31を制動解除状態から制動状態に切り換える旋回内側制動処理と、前輪10の操舵角が設定角度未満に至ったときに、トラクタ1が旋回を終了したと判定して、制動状態(旋回内側)のブレーキ31を制動解除状態に切り換える制動解除処理とが含まれている。これにより、旋回ブレーキモードにおいては、トラクタ1の旋回走行時にトラクタ1を旋回内側制動状態で走行させることができ、トラクタ1の旋回半径を小さくすることができる。
変速ユニット制御部23Bは、前輪増速旋回ブレーキモードにおいては、舵角センサ22Fの検出情報に基づいて、前述した前輪変速制御と旋回ブレーキ制御とを実行する。これにより、前輪増速旋回ブレーキモードにおいては、トラクタ1の旋回走行時にトラクタ1を前輪増速旋回内側制動状態で走行させることができ、トラクタ1の旋回半径を更に小さくすることができる。
作業装置制御部23Dは、運転部12に備えられたPTOスイッチ22K(図4参照)の操作などに基づいて作業クラッチユニット19の作動を制御する作業クラッチ制御、運転部12に備えられた昇降スイッチ22L(図4参照)の操作や高さ設定ダイヤルの設定値などに基づいて昇降駆動ユニット20の作動を制御する昇降制御、及び、運転部12に備えられたロール角設定ダイヤルの設定値などに基づいてローリングユニット21の作動を制御するローリング制御、などを実行する。PTOスイッチ22K、昇降スイッチ22L、高さ設定ダイヤル、及び、ロール角設定ダイヤルは、車両状態検出機器22に含まれている。
図3に示すように、トラクタ1には、トラクタ1の位置や方位などを測定する測位ユニット42が備えられている。測位ユニット42には、衛星測位システムの一例であるGNSS(Global Navigation Satellite System)を利用してトラクタ1の位置と方位とを測定する衛星航法装置43、及び、3軸のジャイロスコープ及び3方向の加速度センサなどを有してトラクタ1の姿勢や方位などを測定する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)44、などが含まれている。GNSSを利用した測位方法には、DGNSS(Differential GNSS:相対測位方式)やRTK-GNSS(Real Time Kinematic GNSS:干渉測位方式)などがある。本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK-GNSSが採用されている。そのため、図1に示すように、圃場周辺の既知位置には、RTK-GNSSによる測位を可能にする基地局6が設置されている。
図1、図3に示すように、トラクタ1と基地局6とのそれぞれには、測位衛星7(図1参照)から送信された電波を受信するGNSSアンテナ45,60、及び、トラクタ1と基地局6との間における測位情報を含む各情報の無線通信を可能にする通信モジュール46,61、などが備えられている。これにより、測位ユニット42の衛星航法装置43は、トラクタ1のGNSSアンテナ45が測位衛星7からの電波を受信して得た測位情報と、基地局6のGNSSアンテナ60が測位衛星7からの電波を受信して得た測位情報とに基づいて、トラクタ1の位置及び方位を高い精度で測定することができる。又、測位ユニット42は、衛星航法装置43と慣性計測装置44とを有することにより、トラクタ1の位置、方位、姿勢角(ヨー角、ロール角、ピッチ角)を高精度に測定することができる。
このトラクタ1において、測位ユニット42の慣性計測装置44、GNSSアンテナ45、及び、通信モジュール46は、図1に示すアンテナユニット47に含まれている。アンテナユニット47は、キャビン13の前面側における上部の左右中央箇所に配置されている。
図示は省略するが、測位ユニット42にて測定されるトラクタ1の位置(測位基準位置)は、トラクタ1におけるGNSSアンテナ45の設置位置に設定されている。GNSSアンテナ45は、キャビン13における前面側の上部においてトラクタ1の左右中心上に設置されている。
尚、測位ユニット42にて測定されるトラクタ1の位置は、GNSSアンテナ45の設置位置に代えて、トラクタ1における後輪車軸中心位置に設定されていてもよい。この場合、トラクタ1の位置は、測位ユニット42の測位情報、及び、トラクタ1におけるGNSSアンテナ45の取り付け位置と後輪車軸中心位置との位置関係を含む車体情報から求めることができる。
尚、測位ユニット42にて測定されるトラクタ1の位置は、GNSSアンテナ45の設置位置に代えて、トラクタ1における後輪車軸中心位置に設定されていてもよい。この場合、トラクタ1の位置は、測位ユニット42の測位情報、及び、トラクタ1におけるGNSSアンテナ45の取り付け位置と後輪車軸中心位置との位置関係を含む車体情報から求めることができる。
図3に示すように、携帯通信端末5には、マイクロコントローラなどが集積された電子制御ユニットや各種の制御プログラムなどを有する端末制御ユニット51などが備えられている。端末制御ユニット51には、表示デバイス50などに対する表示や報知に関する制御を行う表示制御部51A、トラクタ1の自動走行を可能にする目標経路Pを生成する目標経路生成部51B、及び、目標経路生成部51Bが生成した目標経路Pなどを記憶する不揮発性の端末記憶部51C、などが含まれている。端末記憶部51Cには、目標経路Pの生成に使用する各種の情報として、トラクタ1の旋回半径やロータリ耕耘装置3の作業幅などを含む車体情報、及び、圃場Aの位置や形状などを含む圃場情報、などが記憶されている。
目標経路Pは、車体情報や圃場情報などに関連付けされた状態で端末記憶部51Cに記憶されており、携帯通信端末5の表示デバイス50にて表示することができる。目標経路Pには、トラクタ1の進行方向、目標車速、前輪操舵角、自動走行の開始位置pa、及び、自動走行の終了位置pb、などの自動走行に関する各種の情報が含まれている。
図3に示すように、トラクタ1及び携帯通信端末5には、車載制御ユニット23と端末制御ユニット51との間における測位情報などを含む各情報の無線通信を可能にする通信モジュール48,52が備えられている。トラクタ1の通信モジュール48は、携帯通信端末5との無線通信にWi-Fiが採用される場合には、通信情報をCANとWi-Fiとの双方向に変換する変換器として機能する。端末制御ユニット51は、車載制御ユニット23との無線通信にてトラクタ1の位置や方位などを含むトラクタ1に関する各種の情報を取得することができる。これにより、携帯通信端末5の表示デバイス50にて、目標経路Pに対するトラクタ1の位置や方位などを含む各種の情報を表示させることができる。
端末制御ユニット51は、車載制御ユニット23からの送信要求指令に応じて、端末記憶部51Cに記憶されている圃場情報や目標経路Pなどを車載制御ユニット23に送信する。車載制御ユニット23は、受信した圃場情報や目標経路Pなどを車載記憶部23Gに記憶する。目標経路Pの送信に関しては、例えば、端末制御ユニット51が、トラクタ1が自動走行を開始する前の段階において、目標経路Pの全てを端末記憶部51Cから車載制御ユニット23に一挙に送信するようにしてもよい。又、端末制御ユニット51が、目標経路Pを所定距離ごとの複数の分割経路情報に分割して、トラクタ1が自動走行を開始する前の段階からトラクタ1の走行距離が所定距離に達するごとに、トラクタ1の走行順位に応じた所定数の分割経路情報を端末記憶部51Cから車載制御ユニット23に逐次送信するようにしてもよい。
自動走行制御部23Fには、車両状態検出機器22に含まれた各種のセンサやスイッチなどからの検出情報が入力されている。これにより、自動走行制御部23Fは、トラクタ1における各種の設定状態や各部の動作状態などを監視することができる。
自動走行制御部23Fは、搭乗者や管理者などのユーザにより、トラクタ1の自動走行を可能にするための各種の手動設定操作が行われて、トラクタ1の走行モードが手動走行モードから自動走行モードに切り換えられた状態において、携帯通信端末5の表示デバイス50が操作されて自動走行の開始が指示された場合に、測位ユニット42にてトラクタ1の位置や方位などを取得しながら目標経路Pに従ってトラクタ1を自動走行させる自動走行制御を開始する。
自動走行制御部23Fは、自動走行制御の実行中に、例えば、ユーザにより携帯通信端末5の表示デバイス50が操作されて自動走行の終了が指示された場合や、運転部12に搭乗しているユーザにてステアリングホイール25やアクセルペダルなどの手動操作具が操作された場合は、自動走行制御を終了するとともに走行モードを自動走行モードから手動走行モードに切り換える。
自動走行制御部23Fによる自動走行制御には、エンジン14に関する自動走行用の制御指令をエンジン制御部23Aに送信するエンジン用自動制御処理、トラクタ1の車速や前後進の切り換えなどに関する自動走行用の制御指令を変速ユニット制御部23Bに送信する車速用自動制御処理、ステアリングに関する自動走行用の制御指令をステアリング制御部23Cに送信するステアリング用自動制御処理、及び、ロータリ耕耘装置3などの作業装置に関する自動走行用の制御指令を作業装置制御部23Dに送信する作業用自動制御処理、などが含まれている。
自動走行制御部23Fは、エンジン用自動制御処理においては、目標経路Pに含まれた設定回転数などに基づいてエンジン回転数の変更を指示するエンジン回転数変更指令、などをエンジン制御部23Aに送信する。エンジン制御部23Aは、自動走行制御部23Fから送信されたエンジン14に関する各種の制御指令に応じてエンジン回転数を自動で変更するエンジン回転数変更制御、などを実行する。
自動走行制御部23Fは、車速用自動制御処理においては、目標経路Pに含まれた目標車速に基づいて主変速装置32の変速操作を指示する変速操作指令、及び、目標経路Pに含まれたトラクタ1の進行方向などに基づいて前後進切換装置の前後進切り換え操作を指示する前後進切り換え指令、などを変速ユニット制御部23Bに送信する。変速ユニット制御部23Bは、自動走行制御部23Fから送信された主変速装置32や前後進切換装置などに関する各種の制御指令に応じて、主変速装置32の作動を自動で制御する自動車速制御、及び、前後進切換装置の作動を自動で制御する自動前後進切り換え制御、などを実行する。自動車速制御には、例えば、目標経路Pに含まれた目標車速が零速である場合に、主変速装置32を零速状態まで減速制御してトラクタ1の走行を停止させる自動減速停止処理などが含まれている。
自動走行制御部23Fは、ステアリング用自動制御処理においては、目標経路Pに含まれた前輪操舵角などに基づいて左右の前輪10の操舵を指示する操舵指令、などをステアリング制御部23Cに送信する。ステアリング制御部23Cは、自動走行制御部23Fから送信された操舵指令に応じて、パワーステアリングユニット17の作動を制御して左右の前輪10を操舵する自動ステアリング制御、及び、左右の前輪10が設定角度以上に操舵された場合に、ブレーキユニット18を作動させて旋回内側のブレーキを作動させる自動旋回ブレーキ制御、などを実行する。
自動走行制御部23Fは、作業用自動制御処理においては、目標経路Pに含まれた各作業開始位置へのトラクタ1の到達に基づいてロータリ耕耘装置3の作業状態への切り換えを指示する作業開始指令、及び、目標経路Pに含まれた各作業停止位置へのトラクタ1の到達に基づいてロータリ耕耘装置3の非作業状態への切り換えを指示する作業終了指令、などを作業装置制御部23Dに送信する。作業装置制御部23Dは、自動走行制御部23Fから送信されたロータリ耕耘装置3に関する各種の制御指令に応じて、作業クラッチユニット19及び昇降駆動ユニット20の作動を制御して、ロータリ耕耘装置3を駆動させて作業高さまで下降させる自動作業開始制御、及び、ロータリ耕耘装置3を非作業高さまで上昇させて駆動停止させる自動作業終了制御、などを実行する。これにより、目標経路Pに従って自動走行するトラクタ1の走行状態を、ロータリ耕耘装置3の作業状態(ロータリ耕耘装置3が駆動されて作業高さまで下降した状態)でトラクタ1が自動走行する作業走行状態と、ロータリ耕耘装置3の非作業状態(ロータリ耕耘装置3が非作業高さまで上昇して駆動停止された状態)でトラクタ1が自動走行する非作業走行状態とに切り換えることができる。
つまり、前述した自動走行ユニット4には、パワーステアリングユニット17、ブレーキユニット18、作業クラッチユニット19、昇降駆動ユニット20、ローリングユニット21、車両状態検出機器22、車載制御ユニット23、測位ユニット42、及び、通信モジュール46,48、などが含まれている。そして、これらが適正に作動することにより、トラクタ1を目標経路Pに従って精度良く自動走行させることができるとともに、ロータリ耕耘装置3による耕耘作業を適正に行うことができる。
図3~4に示すように、トラクタ1には、トラクタ1の周辺状況を取得する周辺状況取得システム8が備えられている。図4に示すように、周辺状況取得システム8には、トラクタ1の周囲を撮像して画像情報を取得する撮像ユニット80、及び、トラクタ1の周囲に存在する障害物を検出する障害物検出ユニット85が含まれている。障害物検出ユニット85が検出する障害物には、圃場Aにて作業する作業者などの人物や他の作業車両、及び、圃場Aに既存の電柱や樹木などが含まれている。
図1、図4に示すように、撮像ユニット80には、キャビン13から前方の所定範囲が撮像範囲に設定された前カメラ81と、キャビン13から後方の所定範囲が撮像範囲に設定された後カメラ82と、前後の各カメラ81,82からの画像情報を処理する画像処理装置83(図4参照)とが含まれている。画像処理装置83は、マイクロコントローラなどが集積された電子制御ユニットや各種の制御プログラムなどによって構築されている。画像処理装置83は、車載制御ユニット23などにCANを介して相互通信可能に接続されている。
画像処理装置83は、前後の各カメラ81,82から順次送信される画像情報に対して、各カメラ81,82の撮像範囲に対応したトラクタ1の前側画像と後側画像とを生成する画像生成処理などを行う。そして、生成した各画像を、車載制御ユニット23の表示制御部23Eに送信する画像送信処理を行う。表示制御部23Eは、画像処理装置83からの各画像を、CANを介して操作端末27に送信するとともに、通信モジュール48,52を介して携帯通信端末5の表示制御部5Aに送信する。
これにより、画像処理装置83が生成したトラクタ1の前側画像と後側画像とを、トラクタ1の操作端末27や携帯通信端末5の表示デバイス50などにおいて表示することができる。そして、この表示により、ユーザは、トラクタ1の前方側と後方側の状況を容易に把握することができる。
図1、図4に示すように、障害物検出ユニット85には、トラクタ1の前方側が障害物の検出範囲に設定された前障害物センサ86と、トラクタ1の後方側が障害物の検出範囲に設定された後障害物センサ87と、トラクタ1の左右両横側が障害物の検出範囲に設定された横障害物センサ88とが含まれている。前障害物センサ86及び後障害物センサ87には、障害物の検出にパルス状の近赤外レーザ光を使用するライダーセンサが採用されている。横障害物センサ88には、障害物の検出に超音波を使用するソナーが採用されている。
図4に示すように、前障害物センサ86及び後障害物センサ87は、近赤外レーザ光を使用して測定範囲に存在する各測距点(測定対象物)までの距離を測定する測定部86A,87A、及び、測定部86A,87Aの測定情報に基づいて距離画像の生成などを行う制御部86B,87Bを有している。横障害物センサ88は、超音波の送受信を行う右超音波センサ88Aと左超音波センサ88B、及び、各超音波センサ88A,88Bでの超音波の送受信に基づいて測定範囲に存在する測定対象物までの距離を測定する単一の制御部88Cを有している。
各障害物センサ86~88の制御部86B,87B,88Cは、マイクロコントローラなどが集積された電子制御ユニットや各種の制御プログラムなどによって構築されている。各制御部86B,87B,88Cは、車載制御ユニット23などにCANを介して相互通信可能に接続されている。
自動走行制御部23Fは、測位ユニット42の測位情報、及び、車載制御ユニット23に送信された各障害物センサ86~88の検出情報、などに基づいて、トラクタ1の走行を制御して障害物との衝突を回避する衝突回避制御を実行する。自動走行制御部23Fは、衝突回避制御においては、各障害物センサ86~88の検出情報などに応じた各衝突回避用の走行制御の実行を変速ユニット制御部23Bに指示することで、トラクタ1の走行を制御して障害物との衝突を回避する。
目標経路生成部51Bは、トラクタ1の旋回半径やロータリ耕耘装置3の作業幅などを含む車体情報、トラクタ1を使用して作業する圃場Aの位置や形状などを含む圃場情報、及び、ユーザにて設定される各種の任意設定情報、などに基づいて目標経路Pを生成する目標経路生成制御を実行する。
車体情報には、測位ユニット42にて測定されるトラクタ1におけるGNSSアンテナ45の設置位置からロータリ耕耘装置3までの第1離隔距離L1(図5~8参照)、及び、トラクタ1の後輪11からロータリ耕耘装置3までの第2離隔距離L2(図5~8参照)、などが含まれている。
尚、本実施形態において、図1に示すように、第1離隔距離L1は、トラクタ1におけるGNSSアンテナ45の設置位置からロータリ耕耘装置3における耕耘爪3Aの回転中心位置X1までの距離に設定されている。又、第2離隔距離L2は、トラクタ1における後輪11の車軸中心X2から耕耘爪3Aの回転中心位置X1までの距離に設定されている。
圃場情報には、圃場Aの形状や大きさなどを特定する上において、トラクタ1を圃場Aの外周縁に沿って走行させたときにGNSSを利用して取得した圃場Aにおける複数の形状特定地点(形状特定座標)Cp1~Cp4(図5参照)、及び、それらの形状特定地点を繋いで圃場Aの形状や大きさなどを特定する形状特定線SL(図5参照)、などが含まれている。
尚、本実施形態においては、図5に示すように、圃場Aとして矩形状の圃場Aを例示することから、複数の形状特定地点として4つの角部地点Cp1~Cp4が取得され、かつ、それらの角部地点Cp1~Cp4を繋ぐ矩形状の形状特定線SLが生成されている。
以下、図5~15に示す目標経路P、及び、図16~18に示すフローチャートに基づいて、目標経路生成制御における目標経路生成部51Bの制御作動について説明する。
尚、この目標経路生成制御においては、各種の任意設定情報として、例えば、自動走行の開始位置paや終了位置pb、及び、トラクタ1の作業走行方向、などがユーザにて既に手動入力されていることを前提として説明する。
図16のフローチャートに示すように、目標経路生成部51Bは、例えば、図5に示す矩形状の圃場Aにおいて、自動走行の開始位置paと終了位置pbとが図5に示す位置に設定され、トラクタ1の作業走行方向が圃場Aの短辺に沿う方向に設定されている場合は、先ず、圃場Aを、前述した4つの角部地点Cp1~Cp4と矩形状の形状特定線SLとに基づいて、圃場Aの外周縁に隣接するマージン領域A1と、マージン領域A1の内側に位置する作業可能領域A2とに区分けする第1区分け処理を行う(ステップ#1)。
尚、マージン領域A1は、トラクタ1が作業可能領域A2の端部を自動走行するときに、ロータリ耕耘装置3などが圃場Aに隣接する畦や柵などの他物に接触するのを防止するために、圃場Aの外周縁と作業可能領域A2との間に確保された領域である。
目標経路生成部51Bは、トラクタ1の旋回半径やロータリ耕耘装置3の作業幅などに基づいて、作業可能領域A2を、作業可能領域A2における各長辺側の端部に設定される一対の方向転換領域A2aと、一対の方向転換領域A2aの間に設定される往復走行領域A2bとに区分けする第2区分け処理を行う(ステップ#2)。
尚、図5~15には、方向転換領域A2aと往復走行領域A2bとを把握し易くするために、方向転換領域A2aと往復走行領域A2bとの境界を示す境界線BLが記載されている。
目標経路生成部51Bは、往復走行領域A2bに、圃場Aの長辺に沿う方向に作業幅に応じた所定間隔を置いて並列に配置される複数の並列経路P1を生成する並列経路生成処理を行う(ステップ#3)。
目標経路生成部51Bは、各方向転換領域A2aに、ロータリ耕耘装置3が作業状態に切り換えられたトラクタ1を方向転換させる複数の方向転換経路P2を生成する方向転換経路生成処理を行う(ステップ#4)。
尚、前述した各種の任意設定情報には、方向転換経路P2の種類が含まれており、本実施形態においては、図5~15に示すように、方向転換経路P2として、スイッチバックを利用してトラクタ1をフィッシュテール状に方向転換走行させるスイッチバック式旋回経路が選択された場合を例示している。
ちなみに、方向転換経路P2としては、スイッチバック式旋回経路以外に、トラクタ1をU字状に方向転換走行させるU字旋回経路などを選択することができる。
ちなみに、方向転換経路P2としては、スイッチバック式旋回経路以外に、トラクタ1をU字状に方向転換走行させるU字旋回経路などを選択することができる。
並列経路生成処理においては、図17のフローチャートに示すように、目標経路生成部51Bは、各並列経路P1の始端位置p1から並列経路P1でのトラクタ1の前進方向に第1所定距離L3を隔てた第1中継位置p2にわたる第1前進経路(特許請求の範囲に記載の非作業経路)P1aを生成する第1経路生成処理を行う(ステップ#31)。
目標経路生成部51Bは、第1中継位置p2から並列経路P1でのトラクタ1の後進方向に所定長さL4を隔てた第2中継位置p3にわたる後進経路(特許請求の範囲に記載の第2後進経路)P1bを生成する第2経路生成処理を行う(ステップ#32)。
目標経路生成部51Bは、第2中継位置p3から並列経路P1の終端位置p4にわたる第2前進経路P1cを生成する第3経路生成処理を行う(ステップ#33)。目標経路生成部51Bは、この第3経路生成処理においては、第2前進経路P1cの始端側を、第1中継位置p2から第2中継位置p3にわたる所定長さL4で延長し、かつ、第2前進経路P1cの終端側を、方向転換領域A2aと往復走行領域A2bとの境界から所定長さL4で延長して、第2前進経路P1cの全長を、第2中継位置p3から、方向転換領域A2aと往復走行領域A2bとの境界を越えて、第2前進経路P1cの終端側が所定長さL4で方向転換領域A2aに入り込む第2所定距離L5を有する長さに設定する。
目標経路生成部51Bは、第1中継位置p2を、この第1中継位置p2へのトラクタ1の到達に伴って、トラクタ1が走行する経路を第1前進経路P1aから後進経路P1bに切り換える第1切り換え位置に設定する第1切り換え位置設定処理を行う(ステップ#34)。
目標経路生成部51Bは、第2中継位置p3を、この第2中継位置p3へのトラクタ1の到達に伴って、トラクタ1が走行する経路を後進経路P1bから第2前進経路P1cに切り換える第2切り換え位置に設定する第2切り換え位置設定処理を行う(ステップ#35)。
方向転換経路生成処理においては、図18のフローチャートに示すように、目標経路生成部51Bは、各方向転換経路P2の始端位置p5からトラクタ1を右方向に前進で90度旋回させる始端側旋回経路P2aを生成する第4経路生成処理を行う(ステップ#41)。
目標経路生成部51Bは、始端側旋回経路P2aの終端位置p6からトラクタ1を右方向に前進させる右前進経路P2bを生成する第5経路生成処理を行う(ステップ#42)。
目標経路生成部51Bは、右前進経路P2bの終端位置p7からトラクタ1を左方向に後進させる左後進経路P2cを生成する第6経路生成処理を行う(ステップ#43)。
目標経路生成部51Bは、左後進経路P2cの終端位置p8からトラクタ1を右方向に前進で90度旋回させる終端側旋回経路P2dを生成する第7経路生成処理を行う(ステップ#44)。
目標経路生成部51Bは、始端側旋回経路P2aの終端位置p6を、この終端位置p6へのトラクタ1の到達に伴って、トラクタ1が走行する経路を始端側旋回経路P2aから右前進経路P2bに切り換える第3切り換え位置に設定する第3切り換え位置設定処理を行う(ステップ#45)。
目標経路生成部51Bは、右前進経路P2bの終端位置p7を、この終端位置p7へのトラクタ1の到達に伴って、トラクタ1が走行する経路を右前進経路P2bから左後進経路P2cに切り換える第4切り換え位置に設定する第4切り換え位置設定処理を行う(ステップ#46)。
目標経路生成部51Bは、左後進経路P2cの終端位置p8を、この終端位置p8へのトラクタ1の到達に伴って、トラクタ1が走行する経路を左後進経路P2cから終端側旋回経路P2dに切り換える第5切り換え位置に設定する第5切り換え位置設定処理を行う(ステップ#47)。
目標経路生成部51Bは、終端側旋回経路P2dの終端位置p9を、この終端位置p9へのトラクタ1の到達に伴って、トラクタ1が走行する経路を終端側旋回経路P2dから並列経路P1の第1前進経路P1aに切り換える第6切り換え位置に設定する第6切り換え位置設定処理を行う(ステップ#48)。
目標経路生成部51Bは、図16のフローチャートに示すように、並列経路生成処理と方向転換経路生成処理とを行った後、並列経路P1の終端位置p4から方向転換経路P2の始端位置p5にわたってトラクタ1を後進させる中継後進経路(特許請求の範囲に記載の第1後進経路)P3を生成する後進経路生成処理を行う(ステップ#5)。
このようにして、目標経路生成部51Bは、圃場Aにおいてトラクタ1が自動走行で耕耘作業を行うのに適した目標経路Pを生成する。
自動走行制御部23Fは、トラクタ1が自動走行の開始位置paとなる目標経路Pの始端位置(並列経路P1の始端位置p1)に、目標経路Pに従った自動走行が可能の適正姿勢で位置する状態において、自動走行の開始が指示された場合に、先ず、トラクタ1を、ロータリ耕耘装置3が非作業状態に切り換えられた非作業走行状態で、並列経路P1の第1前進経路P1aに従って前進させる(図12~13参照)。
自動走行制御部23Fは、トラクタ1が第1前進経路P1aの終端位置である第1中継位置p2に到達すると、この到達に伴って走行経路が第1前進経路P1aから後進経路P1bに切り換えられるのに基づいて、変速ユニット制御部23Bを介してトラクタ1を前進状態から後進状態に切り換える。これにより、トラクタ1を、非作業走行状態で後進経路P1bに従って後進させる(図13~14参照)。
自動走行制御部23Fは、トラクタ1が後進経路P1bの終端位置である第2中継位置p3に到達すると、この到達に伴って走行経路が後進経路P1bから第2前進経路P1cに切り換えられるのに基づいて、変速ユニット制御部23Bを介してトラクタ1を後進状態から前進状態に切り換えるとともに、ロータリ耕耘装置3を非作業状態から作業状態に切り換える。これにより、トラクタ1を、ロータリ耕耘装置3が作業状態に切り換えられた作業走行状態で、第2前進経路P1cに従って前進させる(図14~15、図6参照)。
自動走行制御部23Fは、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置である並列経路P1の終端位置p4に到達すると、この到達に伴って走行経路が第2前進経路P1cから中継後進経路P3に切り換えられるのに基づいて、変速ユニット制御部23Bを介してトラクタ1を前進状態から後進状態に切り換えるとともに、ロータリ耕耘装置3を作業状態から非作業状態に切り換える。これにより、トラクタ1を、非作業走行状態で中継後進経路P3に従って後進させる(図7~8参照)。
自動走行制御部23Fは、トラクタ1が中継後進経路P3の終端位置である方向転換経路P2の始端位置p5に到達すると、この到達に伴って走行経路が中継後進経路P3から方向転換経路P2の始端側旋回経路P2aに切り換えられるのに基づいて、変速ユニット制御部23Bを介してトラクタ1を後進状態から前進状態に切り換える。これにより、トラクタ1を、非作業走行状態で始端側旋回経路P2aに従って前進させる(図8~9参照)。
自動走行制御部23Fは、トラクタ1が始端側旋回経路P2aの終端位置p6に到達すると、この到達に伴って走行経路が始端側旋回経路P2aから右前進経路P2bに切り換えられるのに基づいて、トラクタ1を、非作業走行状態で右前進経路P2bに従って前進させる(図9~10参照)。
自動走行制御部23Fは、トラクタ1が右前進経路P2bの終端位置p7に到達すると、この到達に伴って走行経路が右前進経路P2bから左後進経路P2cに切り換えられるのに基づいて、変速ユニット制御部23Bを介してトラクタ1を前進状態から後進状態に切り換える。これにより、トラクタ1を、非作業走行状態で左後進経路P2cに従って後進させる(図10~11参照)。
自動走行制御部23Fは、トラクタ1が左後進経路P2cの終端位置p8に到達すると、この到達に伴って走行経路が左後進経路P2cから終端側旋回経路P2dに切り換えられるのに基づいて、変速ユニット制御部23Bを介してトラクタ1を後進状態から前進状態に切り換える。これにより、トラクタ1を、非作業走行状態で終端側旋回経路P2dに従って前進させる(図11~12参照)。
自動走行制御部23Fは、トラクタ1が終端側旋回経路P2dの終端位置p9に到達すると、この到達に伴って走行経路が終端側旋回経路P2dから並列経路P1の第1前進経路P1aに切り換えられるのに基づいて、トラクタ1を、非作業走行状態で第1前進経路P1aに従って前進させる(図12~13参照)。
つまり、この目標経路Pにおいては、各並列経路P1の第2前進経路P1cが、ロータリ耕耘装置3が作業状態に切り換えられたトラクタ1を前進させる作業経路として機能する。そして、目標経路Pは、作業幅に応じた所定間隔を置いて並列に配置される複数の並列経路P1の第2前進経路(作業経路)P1cを、複数の中継後進経路P3と、複数の方向転換経路P2と、複数の並列経路P1における第1前進経路P1a及び後進経路P1bとを介してトラクタ1の走行順に接続する経路設定で生成されている。
又、この目標経路Pにおいて、第2前進経路P1cは、その終端側が所定長さL4で延長されて、その所定長さL4で方向転換経路P2側に入り込む長さに生成されている。そして、延長された第2前進経路P1cの終端位置p4から方向転換経路の始端位置p5にわたってトラクタ1を後進させる中継後進経路P3が生成されている。
これにより、この目標経路Pに従ってトラクタ1を自動走行させると、トラクタ1が方向転換経路P2の始端位置p5を超えて延長後の第2前進経路P1cの終端位置p4に到達するまでの間は、ロータリ耕耘装置3を作業状態に維持することができる。これにより、第2前進経路P1cの終端位置p4を方向転換経路P2の始端位置p5とする場合に比較して、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置p4に到達したときのロータリ耕耘装置3の接地位置である作業終端位置pdを、方向転換経路P2の始端位置p5に近づけることができる。
その結果、各第2前進経路P1cにおいて、トラクタ1による作業終端位置pdと方向転換経路P2の始端位置p5との間に存在する未作業経路を、第2前進経路P1cを延長する所定長さL4の分だけ短くすることができる。これにより、トラクタ1の自動走行で作業する作業領域を広くすることができ、トラクタ1の自動走行で作業する場合の作業効率を向上させることができる。
ちなみに、図5~15においては、トラクタ1が方向転換経路P2の始端位置p5に到達したときのロータリ耕耘装置3の位置が符号pxで示されており、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置p4に到達して作業走行を終了するときのロータリ耕耘装置3の接地位置pdが、トラクタ1が方向転換経路P2の始端位置p5に到達したときのロータリ耕耘装置3の位置pxよりも、方向転換経路P2の始端位置p5に近くなることが示されている。
そして、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置p4に到達してから方向転換経路P2に従って方向転換するまでの間においては、トラクタ1が、中継後進経路P3に従って、非作業走行状態で第2前進経路P1cの終端位置p4から方向転換経路P2の始端位置p5にわたって後進することから、トラクタ1を方向転換させる方向転換領域の位置及び広さを、第2前進経路P1cの終端側を延長する前と同じにしながら、トラクタ1を方向転換経路P2に従って次の並列経路P1の始端位置p1に向けて適正に方向転換させることができる。
従って、トラクタ1を方向転換させる方向転換領域A2aの位置及び広さを変更することなく、前述した未作業経路を短くすることができ、トラクタ1の自動走行で作業する場合の作業効率を向上させることができる。
この目標経路Pにおいては、第2前進経路P1cの終端側を延長する所定長さL4が、トラクタ1の後輪11からロータリ耕耘装置3までの第2離隔距離L2に基づく長さに設定されている。具体的には、所定長さL4は、トラクタ1における後輪11の車軸中心X2からロータリ耕耘装置3における耕耘爪3Aの回転中心位置X1までの第2離隔距離L2よりも短い長さに設定されている。
これにより、トラクタ1が、中継後進経路P3に従って、非作業走行状態で第2前進経路P1cの終端位置p4から方向転換経路P2の始端位置p5にわたって後進するときに、トラクタ1の後輪11がロータリ耕耘装置3による既作業領域に踏み入る虞を回避することができる。
従って、トラクタ1の後輪11が既作業領域に踏み入る虞を回避しながら、前述した未作業経路を短くすることができ、トラクタ1の自動走行で作業する場合の作業効率を向上させることができる。
この目標経路Pにおいては、方向転換後のトラクタ1が第2前進経路P1cの始端位置である第2中継位置p3に到達したときのロータリ耕耘装置3の接地位置である作業始端位置pcが、トラクタ1が延長後の第2前進経路P1cの終端位置p4に到達したときのロータリ耕耘装置3の接地位置である作業終端位置pdと一致するように、第2前進経路P1cの始端位置(第2中継位置p3)が、各並列経路P1の始端位置p1から第1所定距離L3を隔てた第1中継位置p2よりも所定長さL4だけ並列経路P1の始端位置p1に近づけた位置に設定されている。
これにより、トラクタ1が第2前進経路P1cの始端位置p3に到達して作業走行を開始するときのロータリ耕耘装置3の接地位置(作業始端位置)pcを、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置p6に到達して作業走行を終了するときのロータリ耕耘装置3の接地位置(作業終端位置)pdに揃えることができる。
又、第2前進経路P1cの終端側と同様に、トラクタ1が第2前進経路P1cの始端位置p3に到達したときのロータリ耕耘装置3の接地位置(作業始端位置)pcを、方向転換経路P2の終端位置p9に近づけることができる。
従って、各方向転換経路P2の終端位置p9とトラクタ1による作業始端位置pcとの間に存在する未作業経路を短くすることができ、トラクタ1の自動走行で作業する場合の作業効率を向上させることができる上に、トラクタ1の自動走行で作業を行う場合の作業精度を向上させることができる。
この目標経路Pには、方向転換経路P2の終端位置p9から第2前進経路P1cの始端位置p3を越えて延びる第1前進経路P1aと、第1前進経路P1aの終端位置である第1中継位置p2から第2前進経路P1cの始端位置p3にわたってトラクタ1を後進させる後進経路P1bとが含まれている。
これにより、トラクタ1が方向転換経路P2の終端位置p9から第2前進経路P1cの始端位置p3に移動するときに、トラクタ1の位置や方位が第2前進経路P1cに対して許容範囲を超えて外れる場合には、第1前進経路P1aでのトラクタ1の前進と後進経路P1bでのトラクタ1の後進とで、第2前進経路P1cの始端位置p3に対するトラクタ1の位置や方位を許容範囲内に軌道修正することができる。
従って、トラクタ1が第2前進経路P1cの始端位置p3に到達して作業走行を開始するときの第2前進経路P1cに対するトラクタ1の位置や方位を適正にすることができ、トラクタ1の自動走行で作業を行う場合の作業精度を向上させることができる。
前述した各種の任意設定情報には、前述した第1選択スイッチの操作で選択されたトラクタ1の走行駆動モードが含まれている。そのため、目標経路生成部51Bは、前述した方向転換経路生成処理においては、任意設定されたトラクタ1の走行駆動モードに応じて、始端側旋回経路P2a及び終端側旋回経路P2dの旋回半径を決定する。自動走行制御部23Fは、トラクタ1の走行駆動モードとして、前輪増速モードと旋回ブレーキモードと前輪増速旋回ブレーキモードのうちのいずれかが任意設定されている場合は、トラクタ1が中継後進経路P3の終端位置である方向転換経路P2の始端位置p5に到達すると、トラクタ1の走行駆動モードを任意設定された走行駆動モードに切り換える。自動走行制御部23Fは、トラクタ1が始端側旋回経路P2aの終端位置p6に到達すると、トラクタ1の走行駆動モードを、任意設定された走行駆動モードに切り換えられる前の元の走行駆動モードに復帰させる。自動走行制御部23Fは、トラクタ1が終端側旋回経路P2dの始端位置である左後進経路P2cの終端位置p8に到達すると、トラクタ1の走行駆動モードを任意設定された走行駆動モードに切り換える。自動走行制御部23Fは、トラクタ1が終端側旋回経路P2dの終端位置p9に到達すると、トラクタ1の走行駆動モードを、任意設定された走行駆動モードに切り換えられる前の元の走行駆動モードに復帰させる。
これにより、ユーザは、目標経路Pを生成する場合に、トラクタ1の走行駆動モードとして、前輪増速モードと旋回ブレーキモードと前輪増速旋回ブレーキモードのうちのいずれかを任意設定すれば、任意設定されたトラクタ1の走行駆動モードを含む各種の任意設定情報に基づいて目標経路生成部51Bが目標経路Pを生成することから、この目標経路Pの始端側旋回経路P2a又は終端側旋回経路P2dに従ってトラクタ1が旋回走行する場合には、任意設定されたトラクタ1の走行駆動モードに応じて、トラクタ1を前輪増速状態と旋回内側制動状態と前輪増速旋回内側制動状態のいずれかで走行させることができ、トラクタ1の旋回半径を小さくすることができる。
つまり、目標経路Pを生成する場合に、トラクタ1の走行駆動モードとして、前輪増速モードと旋回ブレーキモードと前輪増速旋回ブレーキモードのうちのいずれかが任意設定されていれば、目標経路生成部51Bは、前述した第2区分け処理においては、方向転換経路P2が生成される一対の方向転換領域A2aを狭くして、並列経路P1が生成される往復走行領域A2bを広くすることができる。そして、これに応じて、作業領域Awを広くすることができ、トラクタ1の自動走行で作業する場合の作業効率を向上させることができる。
尚、トラクタ1の走行駆動モードは、上記のようにユーザが任意設定するのではなく、目標経路生成部51Bが、作業領域Awを広くして作業効率の向上を図るのに最適な走行駆動モードを自動設定するように構成されていてもよい。
自動走行制御部23Fは、トラクタ1が並列経路P1の第2前進経路(作業経路)P1cに従って自動走行している間は、トラクタ1の車速に基づいて算出した制動距離と、前障害物センサ86の検出情報に含まれたトラクタ1から圃場端までの直線距離とを比較して、トラクタ1が圃場外に飛び出す可能の有無を判定する飛び出し判定処理を行う。そして、自動走行制御部23Fは、飛び出し判定処理において、トラクタ1が圃場外に飛び出す可能性があると判定した場合は、トラクタ1が圃場外に飛び出すことを防止するために、変速ユニット制御部23Bなどにトラクタ1の緊急停止を指示してトラクタ1を緊急停止させる緊急停止処理を行う。
これに加えて、自動走行制御部23Fは、トラクタ1が並列経路P1の第2前進経路(作業経路)P1cに従って自動走行している間は、算出した制動距離が、直線距離から飛び出し防止用の設定距離を差し引いた距離よりも短くなる状態が維持されるように、変速ユニット制御部23Bを介してトラクタ1の車速を制限する車速制限制御を実行する。
これにより、目標車速が方向転換経路P2などよりも高速に設定される並列経路P1の第2前進経路(作業経路)P1cを圃場端側に延長するようにしながらも、飛び出し判定処理において、トラクタ1が圃場外に飛び出す可能性があると判定されて、トラクタ1が緊急停止されることに起因した作業効率の低下を防止することができる。
尚、図5に示す目標経路Pはあくまでも一例であり、目標経路生成部51Bは、トラクタ1の機種や作業装置の種類などに応じて異なる車体情報、及び、圃場Aに応じて異なる圃場Aの形状や大きさなどの圃場情報、などに基づいて、それらに適した種々の目標経路Pを生成することができる。
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
なお、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
本発明の別実施形態について説明する。
なお、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)作業車両1の構成は種々の変更が可能である。
例えば、作業車両1は、走行装置として、左右の前輪10と、左右の後輪11に代わる左右のクローラとが備えられたセミクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、走行装置として、左右の前輪10及び左右の後輪11に代えて左右のクローラが備えられたフルクローラ仕様に構成されていてもよい。
これらの構成においては、各クローラの後端からロータリ耕耘装置3などの作業装置までの離隔距離に基づいて、各第2前進経路(作業経路)P1cを延長する所定長さL4を設定することが考えられる。
例えば、作業車両1は、原動部14として、エンジンの代わりに電動モータが備えられた電動仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、原動部14として、エンジンと電動モータとが備えられたハイブリッド仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、走行装置として、左右の前輪10と、左右の後輪11に代わる左右のクローラとが備えられたセミクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、走行装置として、左右の前輪10及び左右の後輪11に代えて左右のクローラが備えられたフルクローラ仕様に構成されていてもよい。
これらの構成においては、各クローラの後端からロータリ耕耘装置3などの作業装置までの離隔距離に基づいて、各第2前進経路(作業経路)P1cを延長する所定長さL4を設定することが考えられる。
例えば、作業車両1は、原動部14として、エンジンの代わりに電動モータが備えられた電動仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両1は、原動部14として、エンジンと電動モータとが備えられたハイブリッド仕様に構成されていてもよい。
(2)後輪(走行装置)11から作業装置3までの第2離隔距離L2は、例えば、後輪11の接地面後端から作業装置3の作業位置までの距離に設定されてもよい。
この場合、各第2前進経路(作業経路)P1cを延長する所定長さL4は第2離隔距離L2と同じ長さに設定してもよい。
この場合、各第2前進経路(作業経路)P1cを延長する所定長さL4は第2離隔距離L2と同じ長さに設定してもよい。
(3)図19に示すように、各並列経路P1の第2前進経路(作業経路)P1cにおいては、第2前進経路P1cおける終端位置p4よりも第2前進経路P1cでのトラクタ1の目標車速に応じた制動距離Laだけ手前の位置に、トラクタ1の到達に伴って、トラクタ1が走行する経路を第2前進経路P1cから中継後進経路P3に切り換える切り換え位置p10を設定してもよい。
この別実施形態(3)について説明すると、トラクタ1の前後進切り換え操作を行う場合には、前後進の切り換え操作が開始されてから完了するまでの間にトラクタ1の移動を許容する距離(前後進切り換え用の制動距離)が必要になる。そのため、上記の実施形態に例示したように、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置p4に到達したときに、トラクタ1が走行する経路が第2前進経路P1cから中継後進経路P3に切り換えられるように設定されていると、トラクタ1が、第2前進経路P1cの終端位置p4から制動距離の分だけ不要にオーバーランすることになる。そして、このオーバーランは、トラクタ1の車速が速いほど長くなることから、第2前進経路P1cに設定されたトラクタ1の目標車速が速いほど、不要なオーバーランによる作業効率の低下などを招くことになる。
そこで、この別実施形態(3)においては、図19に示すように、第2前進経路P1cの終端位置p4よりも前述した制動距離だけ手前の位置に前述した切り換え位置p10を設定するようにしているのであり、これにより、トラクタ1が、第2前進経路P1cの終端位置p4から不要にオーバーランするのを防止することができ、不要なオーバーランによる作業効率の低下などを回避することができる。
尚、この別実施形態(3)は、各並列経路P1の第2前進経路(作業経路)P1c以外に、トラクタ1の前後進切り換えに関係する各並列経路P1の第1前進経路P1aや後進経路P1b、各中継後進経路P3、及び、各方向転換経路P2の右前進経路P2bや左後進経路P2cに適用してもよい。
この別実施形態(3)について説明すると、トラクタ1の前後進切り換え操作を行う場合には、前後進の切り換え操作が開始されてから完了するまでの間にトラクタ1の移動を許容する距離(前後進切り換え用の制動距離)が必要になる。そのため、上記の実施形態に例示したように、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置p4に到達したときに、トラクタ1が走行する経路が第2前進経路P1cから中継後進経路P3に切り換えられるように設定されていると、トラクタ1が、第2前進経路P1cの終端位置p4から制動距離の分だけ不要にオーバーランすることになる。そして、このオーバーランは、トラクタ1の車速が速いほど長くなることから、第2前進経路P1cに設定されたトラクタ1の目標車速が速いほど、不要なオーバーランによる作業効率の低下などを招くことになる。
そこで、この別実施形態(3)においては、図19に示すように、第2前進経路P1cの終端位置p4よりも前述した制動距離だけ手前の位置に前述した切り換え位置p10を設定するようにしているのであり、これにより、トラクタ1が、第2前進経路P1cの終端位置p4から不要にオーバーランするのを防止することができ、不要なオーバーランによる作業効率の低下などを回避することができる。
尚、この別実施形態(3)は、各並列経路P1の第2前進経路(作業経路)P1c以外に、トラクタ1の前後進切り換えに関係する各並列経路P1の第1前進経路P1aや後進経路P1b、各中継後進経路P3、及び、各方向転換経路P2の右前進経路P2bや左後進経路P2cに適用してもよい。
(4)ところで、切り換え位置p10を上記の別実施形態(3)で例示したように設定するだけでは、前述したように、自動走行制御部23Fは、トラクタ1が走行する経路の第2前進経路P1cから中継後進経路P3への切り換えに基づいて、ロータリ耕耘装置3を作業状態から非作業状態に切り換えることから、第2前進経路P1cでの目標車速が速いほど、第2前進経路P1cにおいてトラクタ1が自動走行で作業する距離が短くなる。
そこで、この別実施形態(4)においては、上記の別実施形態(3)に加えて、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置p4に近づくにつれて、自動走行制御部23Fが作業経路での目標車速を低下させる目標車速低下処理を行うように構成している。
これにより、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置p4に近づくほど、トラクタ1の車速を低下させることができ、前述した制動距離Laを短くすることができる。その結果、各第2前進経路P1cにおいてトラクタ1が自動走行で作業する距離を長くすることができる。
従って、トラクタ1の第2前進経路P1cからのオーバーランによる作業効率の低下などを招くことなく、トラクタ1の自動走行で作業する場合の作業領域Awを拡張することができて作業効率を向上させることができる。
そこで、この別実施形態(4)においては、上記の別実施形態(3)に加えて、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置p4に近づくにつれて、自動走行制御部23Fが作業経路での目標車速を低下させる目標車速低下処理を行うように構成している。
これにより、トラクタ1が第2前進経路P1cの終端位置p4に近づくほど、トラクタ1の車速を低下させることができ、前述した制動距離Laを短くすることができる。その結果、各第2前進経路P1cにおいてトラクタ1が自動走行で作業する距離を長くすることができる。
従って、トラクタ1の第2前進経路P1cからのオーバーランによる作業効率の低下などを招くことなく、トラクタ1の自動走行で作業する場合の作業領域Awを拡張することができて作業効率を向上させることができる。
(5)上記の別実施形態(4)においては、前記別実施形態(3)で例示した構成に加えて、自動走行制御部23Fが目標車速低下処理を行う構成を例示したが、これに代えて、自動走行制御部23Fが、トラクタ1が切り換え位置p10に到達したときの車速センサ22Eの検出に基づいて、トラクタ1が切り換え位置p10に到達してから後進状態に切り換わるまでに要する制動時間を算出し、トラクタ1が切り換え位置p10に到達してから制動時間が経過したタイミング、又は、制動時間が経過する少し前のタイミングで、トラクタ1の走行状態を作業走行状態から非作業走行状態に切り換えるように構成してもよい。
これにより、トラクタ1が切り換え位置p10に到達してからも、制動時間が経過するまでの間、又は、制動時間が経過する少し前までの間は、トラクタ1を作業走行状態に維持することができ、作業領域Awの拡張による作業効率の向上を図ることができる。
これにより、トラクタ1が切り換え位置p10に到達してからも、制動時間が経過するまでの間、又は、制動時間が経過する少し前までの間は、トラクタ1を作業走行状態に維持することができ、作業領域Awの拡張による作業効率の向上を図ることができる。
(6)前記別実施形態(3)で例示した構成に加えて、自動走行制御部23Fが、トラクタ1が切り換え位置p10に到達したときに、車速センサ22Eの検出に基づいてトラクタ1の走行状態を作業走行状態から非作業走行状態に切り換える走行状態切り換え制御を開始し、この走行状態切り換え制御においては、車速センサ22Eの検出に基づいて、トラクタ1が前進状態から後進状態に切り換わったことを検知したタイミングでトラクタ1の走行状態を作業走行状態から非作業走行状態に切り換えるように構成してもよい。
これにより、トラクタ1が切り換え位置p10に到達してからも、トラクタ1が実際に後進を開始するまでの間は、トラクタ1を作業走行状態に維持することができ、作業領域Awの拡張による作業効率の向上を図ることができる。
これにより、トラクタ1が切り換え位置p10に到達してからも、トラクタ1が実際に後進を開始するまでの間は、トラクタ1を作業走行状態に維持することができ、作業領域Awの拡張による作業効率の向上を図ることができる。
<発明の付記>
本発明の第1特徴構成は、作業車両用の自動走行システムにおいて、
作業状態と非作業状態とに切り換え可能な作業装置が後部に備えられた作業車両の位置を測定する測位ユニットと、
前記作業車両の自動走行を可能にする目標経路を生成する目標経路生成部と、
前記測位ユニットの測位情報に基づいて前記作業車両を前記目標経路に従って自動走行させる制御ユニットと、を備え、
前記目標経路には、前記作業装置が前記作業状態に切り換えられた前記作業車両を前進させる作業経路と、前記作業装置が前記非作業状態に切り換えられた前記作業車両を方向転換させる方向転換経路と、が含まれており、
前記目標経路生成部は、所定間隔を置いて並列に配置される複数の前記作業経路を、複数の前記方向転換経路を介して記作業車両の走行順に接続する経路設定で前記目標経路を生成するとともに、
前記目標経路生成部は、前記作業経路の終端側を所定長さで延長して、前記作業経路を、その終端側が前記所定長さで前記方向転換経路側に入り込む長さに生成し、かつ、延長後の前記作業経路の終端位置から前記方向転換経路の始端位置にわたって前記作業車両を後進させる第1後進経路を生成し、
前記制御ユニットは、前記作業車両が走行する経路の前記作業経路から前記第1後進経路への切り換えに基づいて、前記作業装置を前記作業状態から前記非作業状態に切り換える点にある。
本発明の第1特徴構成は、作業車両用の自動走行システムにおいて、
作業状態と非作業状態とに切り換え可能な作業装置が後部に備えられた作業車両の位置を測定する測位ユニットと、
前記作業車両の自動走行を可能にする目標経路を生成する目標経路生成部と、
前記測位ユニットの測位情報に基づいて前記作業車両を前記目標経路に従って自動走行させる制御ユニットと、を備え、
前記目標経路には、前記作業装置が前記作業状態に切り換えられた前記作業車両を前進させる作業経路と、前記作業装置が前記非作業状態に切り換えられた前記作業車両を方向転換させる方向転換経路と、が含まれており、
前記目標経路生成部は、所定間隔を置いて並列に配置される複数の前記作業経路を、複数の前記方向転換経路を介して記作業車両の走行順に接続する経路設定で前記目標経路を生成するとともに、
前記目標経路生成部は、前記作業経路の終端側を所定長さで延長して、前記作業経路を、その終端側が前記所定長さで前記方向転換経路側に入り込む長さに生成し、かつ、延長後の前記作業経路の終端位置から前記方向転換経路の始端位置にわたって前記作業車両を後進させる第1後進経路を生成し、
前記制御ユニットは、前記作業車両が走行する経路の前記作業経路から前記第1後進経路への切り換えに基づいて、前記作業装置を前記作業状態から前記非作業状態に切り換える点にある。
本構成によれば、作業車両が方向転換経路の始端位置を超えて延長後の作業経路の終端位置に到達するまでの間は、作業装置を作業状態に維持することができる。これにより、作業経路の終端位置を方向転換経路の始端位置に設定する場合に比較して、作業車両が作業経路の終端位置に到達したときの作業装置の位置(作業終端位置)を、方向転換経路の始端位置に近づけることができる。
その結果、各作業経路において、作業車両による作業終端位置と方向転換経路の始端位置との間に存在する前述した未作業経路を、作業経路を延長する所定長さの分だけ短くすることができる。これにより、作業車両の自動走行で作業する作業領域を広くすることができ、作業車両の自動走行で作業する場合の作業効率を向上させることができる。
そして、作業車両が作業経路の終端位置に到達してから方向転換経路に従って方向転換するまでの間においては、作業車両が、第1後進経路に従って、作業装置が非作業状態に切り換えられた状態で、作業経路の終端位置から方向転換経路の始端位置にわたって後進することから、作業車両を方向転換させる方向転換領域の位置及び広さを、作業経路の終端側を延長する前と同じにしながら、作業車両を方向転換経路に従って次の作業経路の始端位置に向けて適正に方向転換させることができる。
従って、作業車両を方向転換させる方向転換領域の位置及び広さを変更することなく、前述した未作業経路を短くすることができ、作業車両の自動走行で作業する場合の作業効率を向上させることができる。
本発明の第2特徴構成は、
前記所定長さが、前記作業車両に備えられた走行装置から前記作業装置までの離隔距離に基づく長さに設定されている点にある。
前記所定長さが、前記作業車両に備えられた走行装置から前記作業装置までの離隔距離に基づく長さに設定されている点にある。
本構成によれば、作業装置が非作業状態に切り換えられた作業車両が、第1後進経路に従って作業経路の終端位置から方向転換経路の始端位置にわたって後進するときに、作業車両の走行装置が作業装置による既作業領域に踏み入る虞を回避することができる。
従って、作業車両の走行装置が既作業領域に踏み入る虞を回避しながら、前述した未作業経路を短くすることができ、作業車両の自動走行で作業する場合の作業効率を向上させることができる。
本発明の第3特徴構成は、
前記目標経路生成部は、方向転換後の前記作業車両が前記作業経路の始端位置に到達したときの前記作業装置の位置が、前記作業車両が延長後の前記作業経路の終端位置に到達したときの前記作業装置の位置と一致するように、前記作業経路の始端位置を設定している点にある。
前記目標経路生成部は、方向転換後の前記作業車両が前記作業経路の始端位置に到達したときの前記作業装置の位置が、前記作業車両が延長後の前記作業経路の終端位置に到達したときの前記作業装置の位置と一致するように、前記作業経路の始端位置を設定している点にある。
本構成によれば、作業車両が作業経路の始端位置に到達して作業走行を開始するときの作業装置の位置(作業始端位置)を、作業車両が作業経路の終端位置に到達して作業走行を終了するときの作業装置の位置(作業終端位置)に揃えることができる。そして、作業経路の終端側と同様に、作業車両が作業経路の始端位置に到達したときの作業装置の位置(作業始端位置)を、方向転換経路の終端位置に近づけることができる。
従って、方向転換経路の終端位置と作業車両による作業始端位置との間に存在する未作業経路を短くすることができ、作業車両の自動走行で作業する場合の作業効率を向上させることができる上に、作業車両の自動走行で作業を行う場合の作業精度を向上させることができる。
本発明の第4特徴構成は、
前記目標経路生成部は、前記方向転換経路の終端位置から前記作業経路の始端位置を越えて延びる非作業経路と、前記非作業経路の後端位置から前記作業経路の始端位置にわたって前記作業車両を後進させる第2後進経路とを生成する点にある。
前記目標経路生成部は、前記方向転換経路の終端位置から前記作業経路の始端位置を越えて延びる非作業経路と、前記非作業経路の後端位置から前記作業経路の始端位置にわたって前記作業車両を後進させる第2後進経路とを生成する点にある。
本構成によれば、作業車両が方向転換経路の終端位置から作業経路の始端位置に移動するときに、作業車両の位置や方位が作業経路に対して許容範囲を超えて外れる場合には、非作業経路での作業車両の前進と第2後進経路での作業車両の後進とで、作業経路の始端位置に対する作業車両の位置や方位を許容範囲内に軌道修正することができる。
従って、作業車両が作業経路の始端位置に到達して作業走行を開始するときの作業経路に対する作業車両の位置や方位を適正にすることができ、作業車両の自動走行で作業を行う場合の作業精度を向上させることができる。
本発明の第5特徴構成は、
前記目標経路生成部は、前記作業経路における終端位置よりも前記作業経路での前記作業車両の目標車速に応じた制動距離だけ手前の位置に、前記作業車両の到達に伴って、前記作業車両が走行する経路を前記作業経路から前記第1後進経路に切り換える切り換え位置を設定する点にある。
前記目標経路生成部は、前記作業経路における終端位置よりも前記作業経路での前記作業車両の目標車速に応じた制動距離だけ手前の位置に、前記作業車両の到達に伴って、前記作業車両が走行する経路を前記作業経路から前記第1後進経路に切り換える切り換え位置を設定する点にある。
作業車両の前後進切り換え操作を行う場合には、前後進の切り換え操作が開始されてから完了するまでの間に作業車両の移動を許容する距離(前後進切り換え用の制動距離)が必要になる。そのため、例えば、作業車両が作業経路の終端位置に到達したときに、作業車両が走行する経路が作業経路から第1後進経路に切り換えられるように設定されていると、作業車両が、作業経路の終端位置から制動距離の分だけ不要にオーバーランすることになる。そして、このオーバーランは、作業車両の車速が速いほど長くなることから、作業経路に設定された作業車両の目標車速が速いほど、不要なオーバーランによる作業効率の低下などを招くことになる。
そこで、本構成においては、作業経路の終端位置よりも前述した制動距離だけ手前の位置に前述した切り換え位置を設定するようにしているのであり、これにより、作業車両が、作業経路の終端位置から不要にオーバーランするのを防止することができ、不要なオーバーランによる作業効率の低下などを回避することになる。
本発明の第6特徴構成は、
前記制御ユニットは、前記作業車両が前記作業経路の終端位置に近づくにつれて前記目標車速を低下させる点にある。
前記制御ユニットは、前記作業車両が前記作業経路の終端位置に近づくにつれて前記目標車速を低下させる点にある。
前述したように、制御ユニットは、作業車両が走行する経路の作業経路から第1後進経路への切り換えに基づいて、作業装置を作業状態から非作業状態に切り換えることから、上記の第5特徴構成のように切り換え位置を作業経路の終端位置よりも制動距離だけ手前の位置に設定すると、作業経路での目標車速が速いほど、作業経路において作業車両が自動走行で作業する距離が短くなる。
そこで、本構成においては、上記の第5特徴構成に加えて、作業車両が作業経路の終端位置に近づくにつれて、制御ユニットが作業経路での目標車速を低下させるようにしている。
これにより、作業車両が作業経路の終端位置に近づくほど、作業車両の車速を低下させることができ、前述した制動距離を短くすることができる。その結果、各作業経路において作業車両が自動走行で作業する距離を長くすることができる。
従って、作業車両の作業経路からのオーバーランによる作業効率の低下などを招くことなく、作業車両の自動走行で作業する場合の作業効率を向上させることができる。
1 作業車両
3 作業装置
11 走行装置
23 制御ユニット
42 測位ユニット
51B 目標経路生成部
L2 離隔距離
L4 所定長さ
La 制動距離
P 目標経路
P1a 非作業経路
P1b 第2後進経路
P1c 作業経路
P2 方向転換経路
P3 第1後進経路
p2 非作業経路の後端位置
p3 作業経路の始端位置
p4 作業経路の終端位置
p5 方向転換経路の始端位置
p9 方向転換経路の終端位置
p10 切り換え位置
3 作業装置
11 走行装置
23 制御ユニット
42 測位ユニット
51B 目標経路生成部
L2 離隔距離
L4 所定長さ
La 制動距離
P 目標経路
P1a 非作業経路
P1b 第2後進経路
P1c 作業経路
P2 方向転換経路
P3 第1後進経路
p2 非作業経路の後端位置
p3 作業経路の始端位置
p4 作業経路の終端位置
p5 方向転換経路の始端位置
p9 方向転換経路の終端位置
p10 切り換え位置
Claims (3)
- 作業状態と非作業状態とに切り換え可能な作業装置を後部に備える作業車両の自動走行方法であって、
前記作業装置が前記作業状態に切り換えられた前記作業車両を、作業終端位置を越えて走行終端位置まで前進走行させ、
前記作業車両が前記走行終端位置に到達すると前記作業装置を前記非作業状態に切り換えて前記作業車両を後進走行させ、前記作業車両が前記作業終端位置に到達する前に前記作業車両を後進走行から旋回走行に切り換える、
自動走行方法。 - 前記作業車両を旋回走行させた後に次の作業始端位置を越えるまで前記作業車両を前進走行させ、当該作業始端位置を越えた後に前記作業車両を後進走行させ、前記作業車両を後進走行させた後に前記作業装置を前記作業状態に切り換える、
請求項1に記載の自動走行方法。 - 作業状態と非作業状態とに切り換え可能な作業装置が後部に備えられた作業車両を自動走行させる制御ユニットを備える自動走行システムであって、
前記制御ユニットは、
前記作業装置が前記作業状態に切り換えられた前記作業車両を、作業終端位置を越えて走行終端位置まで前進走行させ、
前記作業車両が前記走行終端位置に到達すると前記作業装置を前記非作業状態に切り換えて前記作業車両を後進走行させ、前記作業車両が前記作業終端位置に到達する前に前記作業車両を後進走行から旋回走行に切り換える、
自動走行システム。
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