JP2023125486A - 参照電極、電極、及びこれらを備えるセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す新規な参照電極等を提供すること。【解決手段】イオン液体含有膜と、前記イオン液体含有膜上に配置されている親水性膜と、を備える、参照電極。【選択図】図1

Description

本発明は、参照電極、電極、及びこれらを備えるセンサに関する。
電気化学センサは、作用電極に加えて、作用電極の電位測定の基準となる参照電極を備えるものである。従来、参照電極としては、例えばAg/AgClからなる電極材が高濃度のKCl溶液からなる内部液に浸漬され、当該電極材及び内部液がセラミックス又はガラス等の液絡部を有する収容体に収容されている電極が用いられている。
上記のような参照電極では、内部液が液絡部を介して試料溶液に接触していることが一般的である。そのような参照電極では、濃度勾配等に起因して常にK+とCl-が試料溶液側に移動し続けるため、試料溶液が汚染されたり、液絡部が目詰まりしたり、内部液を補充若しくは交換することを要したりするといった問題がある。このような問題点を解決する手段として、例えば特許文献1は、内部電極と、その内部電極に接触する内部液と、その内部液に連なる液絡部とを備えている参照電極であって、前記液絡部が、ゲル化したイオン液体を用いた参照電極を開示している。
また、上記のような内部液型の参照電極を小型化したり、使い捨て化したりすること等を目的として、固体型の参照電極が開発されている。例えば、特許文献2は、金属酸化物及び固体電解質を含有する内部固体層と、電極材と、を含む電極を開示している。
特許第4733588号公報 国際公開第2021/140933号
電気化学センサにおいて、参照電極の電極電位は、被検試料の種類や、アナライト及び/又はその他の成分の濃度によらず一定であることが望ましい。特に、血清のような生体試料にはタンパク質を含む種々の成分が含まれるため、生体試料の測定時においてもそのような成分に影響されず安定した電極電位を示す参照電極を提供することが必要とされている。
発明者らは、イオン液体を用いる上記特許文献1及び2では、生体試料中のアルブミンの影響により電位が変動することを発見した。そこで、本発明は、アルブミンの影響を受けることなく、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す新規な参照電極及びこれを備えるセンサ等を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る参照電極は、イオン液体含有膜と、上記イオン液体含有膜上に配置されている親水性膜と、を備える。
この態様の参照電極は、イオン液体含有膜を備えているため参照電極内部の成分が電極外部に流出することが抑制される。また、イオン液体含有膜上に親水性膜が配置されているため、イオン液体含有膜が生体試料と接触しにくくなり、生体試料中のアルブミンがイオン液体含有膜の表面状態に与える影響を小さくすることができる。また、イオン液体は水への溶解度が低いため、親水性膜とイオン液体含有膜の界面で速やかにイオン液体の濃度が一定となり平衡状態に達し、従来の参照電極と比べて、液間電位差が小さい。これにより、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す参照電極を提供することができる。
上記態様において、イオン液体含有膜は、好ましくは参照電極の内部成分を参照電極の外部と隔離するように構成されている。これにより、参照電極内部の成分が電極外部に流出することが一層抑制されると共に液間電位差を一層抑制することができる。
上記態様のいずれかにおいて、親水性膜は、好ましくは親水性高分子を含む。親水性高分子は、多糖類及びその架橋体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてよく、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム、及びポリメタクリル酸メチル、並びにアクリルアミド、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、又はミリスチルアルコールに由来する単量体単位を含む重合体並びにこれらの誘導体、並びにそれらの架橋体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。親水性膜が上記態様であると、生体試料中の成分がイオン液体含有膜の表面状態に与える影響をより小さくすることができる。
上記多糖類は、好ましくはプルラン、セルロース、ペクチン、アカルボース、アミロペクチン、イヌリン、キチン、キトサン、βグルカン、グリコーゲン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、スタキオース、デキストラン、デキストリン、マルトトリオース、マンナン、メレジトース、ラフィノース、及びレバン、並びにこれらの誘導体からなる群より選択される。これらの多糖類を用いると、生体試料中の成分がイオン液体含有膜の表面状態に与える影響をより小さくすることができる。
上記親水性高分子は、好ましくは水溶性である。この態様によれば、親水性膜が生体試料の測定中に徐々に溶解するため、絶えず親水性膜の表面が生体試料の成分に汚染されていない状況を実現できる。したがって、この態様の参照電極は、生体試料の測定時においても一層安定した電極電位を提供できる。
上記態様のいずれかにおいて、上記親水性膜の平均厚さは、好ましくは1μm以上1000μm以下である。この態様によれば、生体試料の測定時においても一層安定した電極電位を提供できる。
上記態様のいずれかにおいて、上記親水性膜は、組成の異なる2以上の層からなるものであってもよい。この態様によれば、生体試料の測定時においても一層安定した電極電位を提供できる。
上記態様のいずれかにおいて、上記イオン液体含有膜は、好ましくは、イオン液体を含有するゲル膜である。この態様によれば、生体試料の測定時においても一層安定した電極電位を提供できる。
本発明の一実施形態に係る参照電極は、内部電極と、上記内部電極上に配置されている内部固体層とを備える固体型の電極であり、上記イオン液体含有膜が、上記内部固体層上に配置されていてもよい。この態様によれば、固体型の参照電極を提供することができる。
上記内部固体層は、好ましくはインサーション材料及びイオン伝導性セラミックスを含有する。この態様によれば、時間的に安定した電極電位を提供できる。
上記インサーション材料は、好ましくは金属酸化物、酸素レドックス材料、又はプルシアンブルー類似体である。また、上記金属酸化物は、好ましくはMxMnO2(MはNa又はKを示し、xは任意の正数を示す。)である。また、上記イオン伝導性セラミックスは、好ましくはβ”アルミナ又はβアルミナである。この態様によれば、時間的に安定した電極電位を提供できる。
本発明の別の一実施形態に係る参照電極は、内部電極と、上記内部電極を浸漬する内部液と、上記内部電極及び上記内部液を収容する収容体と、を更に備え、上記収容体は液絡部を有し、上記液絡部において、上記内部液と試料溶液とを隔離するように上記イオン液体含有膜が配置され、上記親水性膜が、上記イオン液体含有膜上の上記試料溶液側に位置している。この態様によれば、内部液を有する参照電極を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るセンサは、絶縁基板と、上記絶縁基板上に配置されている第1の電極及び第2の電極と、を備え、上記第1の電極が、イオン液体含有膜と、上記イオン液体含有膜上に配置されている親水性膜と、を備える。
この態様のセンサは、第1の電極がイオン液体含有膜を備えているため第1の電極内部の成分が電極外部に流出することが抑制される。また、イオン液体含有膜上に親水性膜が配置されているため、イオン液体含有膜が生体試料と接触しにくくなり、生体試料中の種々の成分がイオン液体含有膜の表面状態に与える影響を小さくすることができると共に第1の電極における液間電位差が抑制される。これにより、生体試料の測定時においても安定して測定可能なセンサを提供することができる。
上記センサは、好ましくは上記第1の電極を基準として、上記第2の電極における電極電位を測定するセンサである。また、上記センサは、第1の電極と第2の電極との間に流れる電流を測定するセンサであってもよい。
上記センサのいずれかにおいて、第1の電極は、好ましくは上記態様のいずれかに係る参照電極である。上記センサのいずれかにおいて、第2の電極は以下の試料溶液中のアルブミンを検出又は測定するための電極であってよい。
上記センサのいずれかにおいて、上記第1の電極及び上記第2の電極が、内部電極と、上記内部電極上に配置されている内部固体層と、を備える電極であり、上記第1の電極において、上記イオン液体含有膜が上記内部固体層上に配置され、上記内部電極及び上記内部固体層は、上記第1の電極と上記第2の電極とで、実質的に同一であることが好ましい。このようなセンサは容易に製造できるために製造コストがより低く、また、内部固体層と電極の界面電位が経時的に変化したとしても、第1の電極及び第2の電極で当該変化が打ち消されるため、より経時的に安定した測定をすることができる。
上記センサのいずれかにおいて、第2の電極は以下の試料溶液中のアルブミンを検出又は測定するための電極であり、上記第1の電極及び上記第2の電極が、内部電極と、上記内部電極上に配置されている内部固体層と、を備える電極であり、上記第1の電極及び上記第2の電極において、上記イオン液体含有膜が上記内部固体層上に配置され、上記内部電極、上記内部固体層及び上記イオン液体含有膜は、上記第1の電極と上記第2の電極とで、実質的に同一であることが好ましい。このようなセンサは容易に製造できるために製造コストがより低く、また、内部固体層と電極の界面電位、及び/又は内部固体層とイオン液体含有膜の界面電位が経時的に変化したとしても、第1の電極及び第2の電極で当該変化が打ち消されるため、より経時的に安定した測定をすることができる。
本発明の一実施形態に係る電極は、試料溶液中のアルブミンを検出又は測定するための電極であって、イオン液体含有膜を備える。
この態様の電極は、アルブミンを特異的に認識するために通常用いられる抗体や抗体の構造を模倣したアプタマー、分子インプリントポリマー、又はアルブミン標識色素等を含んでいなくとも試料溶液中のアルブミンを検出又は測定することができる。
本発明によれば、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す新規な参照電極及びこれを備えるセンサ等を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る参照電極の概略断面図である。 本発明の別の一実施形態に係る参照電極の概略断面図である。 本発明のさらに別の一実施形態に係る参照電極の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係るアルブミン測定用電極の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係るセンサの(A)概略平面図及び(B)X-X’線概略断面図である。 本発明の一実施形態に係るセンサの使用方法についての概略断面図である。 実施例における電極電位の測定方法についての概略断面図である。 アルブミン又はγ-グロブリンによる、イオン液体含有膜を有する電極の電位シフトの量を示す図である。 アルブミン濃度と、イオン液体含有膜を有する電極の電位シフト量との関係を示す図である。 イオン液体の含有量及び種類を変更したときの電位シフト量を示す図である。 各電極におけるアルブミン溶液の測定電位Eとアルブミンを含まない緩衝溶液の測定電位Ebaseとの差である電位シフトΔEを示す図である。 測定系を示す図である。 カリウムイオンセンサによる標準血清の測定結果を示す図である。 アルブミンセンサを用いて作成した検量線を示す図である。 アルブミン含有溶液のpHメータによる測定結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
[第1実施形態:固体型参照電極]
図1は、本実施形態の参照電極の概略断面図である。図1に示すように、本実施形態の参照電極100は、内部電極102と、内部電極102上に配置されている内部固体層104と、内部固体層104上に配置されているイオン液体含有膜106と、イオン液体含有膜106上に配置されている親水性膜108とを備える。参照電極100は、構成部材に液状の、すなわち流動性がある内部液体を必要としない固体型の参照電極である。
本明細書中、参照電極とは、電極電位の測定の際に、電位の基準を与えるために用いられる電極である。参照電極は、センサや電気化学セルにおいて、作用電極と電気的に接続して用いられ、作用電極の電極電位が参照電極と作用電極との電位差として出力される。また、典型的には、参照電極にはほとんど電流が流れないようにして用いられる。一般に、参照電極には、電極反応が可逆であること、使用中における電極電位の変動が小さいことが要求される。
参照電極100は、上記の構成を有するため、特にイオン液体含有膜106及び親水性膜108を有するため、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す。以下、各構成について詳述する。
(内部電極)
内部電極102は、導電性を有する部材であり、作用電極をはじめとする所望の部材に内部固体層104を電気的に接続するための部材である。
内部電極102は、例えば導電性材料を含有する電極である。導電性材料としては、特に限定されないが、例えば、白金、金、銀、銅、炭素、パラジウム、クロム、アルミニウム、及びニッケル等の金属、これらの金属の少なくとも1つを含む合金、並びにこれらの金属のハロゲン化物が挙げられる。導電性材料は、好ましくは白金、金、銀、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、及び炭素の少なくとも1種である。導電性材料は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
上記態様において、内部電極102における導電性材料の含有量は、内部電極の総質量に対して、例えば70~100質量%であり(両端値を含む。本明細書において特に言及する場合を除き同様。)、好ましくは85~100質量%であり、より好ましくは95~100質量%である。なお、導電性材料の含有量が100質量%であるとは、内部電極102が導電性材料のみからなることを意味する。
図1において、内部電極102は単層として示されているが、内部電極102は、単一の組成からなる単層構造であってもよいし、互いに異なる組成を有する2以上の層を含む多層構造であってもよい。
内部電極102の平均厚さは、導電性が著しく損なわれない限り、特に限定されない。かかる厚さは、例えば1~10μmであり、好ましくは1~5μmである。内部電極102が上記範囲内の厚さを有すると、製造効率、製造コスト等が向上する傾向にある。なお、本明細書中、電極中の各構成の平均厚さは、電極の断面を走査型電子顕微鏡や光学顕微鏡により観察することで測定したか、もしくは触針式表面形状測定機、段差計、又はレーザ変位計により測定した。
なお、参照電極100において、内部電極102を省略し、内部固体層104を、作用電極をはじめとする所望の部材と直接接続してもよい。図1の実施形態では、内部固体層104は、内部電極102上に直接配置されている。
参照電極100において、内部電極102の側面が別の材料に覆われて、内部電極102の側面が露出しないように構成されていてもよい。内部電極102の側面102aは絶縁性を有する被覆部材により封止されていてもよいし、内部電極102が内部固体層104に埋め込まれて、内部電極102の底面102bのみが内部固体層104から露出するように構成されていてもよい。
(内部固体層)
内部固体層104は、可逆的に酸化還元反応を生じる化合物を含む固体状の層であり、当該化合物の酸化還元状態によって、参照電極100の電極電位が規定される。なお、内部固体層104には、固体状の材料のみから本質的になる態様に加えて、高分子のようなマトリックス成分に溶媒が含まれてゲル化した態様も含むものとする。
参照電極100がより安定した電極電位を示す観点から、内部固体層104は、内部固体層104中で生じる酸化還元反応に関わるイオンを伝導し、かつ導電性を有することが好ましい。この場合、可逆的に酸化還元反応を生じる化合物は、反応に関わるイオン及び電子が安定的に供給及び放出されるため、参照電極100はより安定した電極電位を示すようになる傾向にある。例えば、内部固体層104は、可逆的に酸化還元反応を生じる化合物に加えて、酸化還元反応に関わるイオンを伝導する物質、及び導電剤を含んでいてよい。
内部固体層104は、可逆的に酸化還元反応を生じる化合物として、例えば金属塩化物、又はインサーション材料を含み、好ましくはインサーション材料を含む。
金属塩化物としては、例えば塩化銀及び塩化水銀が挙げられる。金属塩化物は、例えば粒子状であってよく、内部電極102の表面を被覆する態様であってもよい。
インサーション材料とは、酸化還元反応を伴いながら、骨格構造内に金属イオンを可逆的に挿入及び脱離することができる材料である。インサーション材料は酸化還元反応の可逆性が高いため、内部固体層104がインサーション材料を含むことにより、参照電極100はより安定した電極電位を示すようになる傾向にあり、また、個体ごとの再現性がより高くなる傾向にある。
参照電極の安定性をより高める観点から、インサーション材料は無機インサーション材料である。インサーション材料が挿入及び脱離するイオンとしては、特に限定されないが、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられる。これらのイオンの中でも、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンがより好ましい。
インサーション材料としては、例えば金属酸化物、酸素レドックス材料、及びプルシアンブルー類似体が挙げられる。これらの中でも金属酸化物が好ましい。
金属酸化物としては、例えばMxMnO2、MxNiO2、MxCoO2、MxNi0.5Mn0.52、MxFeO2、MxFe1/3Mn2/32、MxNi1/3Co1/3Mn1/32、MxNi0.5Ti0.52、MxVO2、MxCrO2、及びMxFePO4等が挙げられる。なお、上記組成式中、Mは、それぞれ独立してNa又はKを示し、xは任意の正数を示す。金属酸化物は、好ましくはMxMnO2であり、より好ましくはNaxMnO2である。このような金属酸化物を用いると、参照電極100はより安定した電極電位を示すようになる傾向にある。
上記組成式中、xは、通常は0より大きく1以下の値である。xは、好ましくは0.150~0.660であり、より好ましくは0.200~0.500であり、さらに好ましくは0.220~0.280、0.300~0.360、又は0.410~0.470であり、さらにより好ましくは0.245~0.255、0.325~0.335、又は0.435~0.445である。
金属酸化物の結晶構造は、金属イオンの挿入及び脱離を可逆的に生じる限り、特に限定されない。結晶構造としては、例えば直方晶系、正方晶系、三方晶系、六方晶系、立方晶系、三斜晶系、及び単斜晶系等が挙げられる。これらの中でも好ましくは直方晶系である。
酸素レドックス材料は、遷移金属だけでなく酸化物イオンの酸化還元反応を利用することができる材料である。酸素レドックス材料としては、例えばNa2Mn37、Na2/3Mg0.28Mn0.722、Na2RuO3、Na1.3Nb0.3Mn0.42、及びNa0.6Li0.2Mn0.82等が挙げられる。
プルシアンブルー類似体は、シアノ基が遷移金属イオンに配位した材料である。プルシアンブルー類似体しては、例えばNa2Mn[Fe(CN)6]、NayCO[Fe(CN)60.90・2.9H2O(式中、yは任意の正数を示す。)、K-FeHCF(鉄ヘキサシアノ鉄カリウム)、K-NiHCF(ニッケルヘキサシアノ鉄カリウム)、K-CuHCF(銅ヘキサシアノ鉄カリウム)、Na-NiHCF(ニッケルヘキサシアノ鉄ナトリウム)、及びCa-NiHCF(ニッケルヘキサシアノ鉄カルシウム)等が挙げられる。
インサーション材料は、いずれの形状で内部固体層104に含まれていてもよいが、好ましくは粒子として含まれている。粒子の形状としては、特に限定されず、例えばウロコ状、柱状、球状、及び楕円体状等であってよい。
上記のインサーション材料及びその形状は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
金属塩化物及びインサーション材料等の可逆的に酸化還元反応を生じる化合物が粒子の態様で内部固体層104に含まれる場合、当該粒子の平均粒径は、好ましくは1~20μmであり、より好ましくは2~15μmであり、さらに好ましくは5~12μmである。平均粒径が上記の範囲内にあることにより、内部固体層104においてより均一に金属塩化物及びインサーション材料が含まれることとなり、また、これら材料の酸化還元反応が適度に生じやすくなる。これにより、参照電極100はより安定した電極電位を示すようになる傾向にある。なお、上記平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定すればよい。
金属塩化物及びインサーション材料等の可逆的に酸化還元反応を生じる化合物の含有量は、内部固体層104の総質量100質量部に対して、例えば20~70質量部であり、好ましくは25~65質量部であり、より好ましくは30~60質量部である。特にインサーション材料の含有量は、内部固体層104の総質量100質量部に対して、例えば20~70質量部であり、好ましくは25~65質量部であり、より好ましくは30~60質量部である。
内部固体層104は、好ましくは酸化還元反応に関わるイオンを伝導する物質を含む。当該物質が伝導するイオンは、上述した、金属塩化物及びインサーション材料等の可逆的に酸化還元反応を生じる化合物の種類によって、適宜選択すればよい。例えば内部固体層104がインサーション材料を含む場合は、当該インサーション材料に挿入及び脱離される金属イオンを伝導する物質を含むことが好ましい。
金属イオンを伝導する物質としては、例えばイオン伝導性セラミックスが挙げられる。したがって、好ましい一態様において、内部固体層104は、インサーション材料及び当該インサーション材料に挿入及び脱離される金属イオンを伝導するイオン伝導性セラミックスを含む。
イオン伝導性セラミックスとしては、例えばカリウムイオン伝導性セラミックス、ナトリウムイオン伝導性セラミックス、リチウムイオン伝導性セラミックス、カルシウム伝導性セラミックス、及びマグネシウム伝導性セラミックス等が挙げられる。イオン伝導性セラミックスは、好ましくはカリウムイオン伝導性セラミックス、又はナトリウムイオン伝導性セラミックスであり、より好ましくはナトリウムイオン伝導性セラミックスである。
より具体的には、イオン伝導性セラミックスとしては、例えばβ”アルミナ、βアルミナ、ペロブスカイト型酸化物、NASICON型酸化物、及びガーネット型酸化物等の酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、安定化ジルコニア、並びにイオン交換体等が挙げられる。なお、イオン交換体としては、イオン交換現象を示す物質であれば特に限定されず、例えばゼオライト(ゼオライトは内部にNaイオン、Kイオン、Hイオン等のカチオンを含むことができる。)、及びイオン交換樹脂酸等が挙げられる。これらの中でも、イオン伝導性セラミックスとしては、β"アルミナ、βアルミナ、及びゼオライトが好ましく、β"アルミナ、及びβアルミナがより好ましい。このようなイオン伝導性セラミックスは、水に対する安定性が高い傾向にある。
β”アルミナ、及びβアルミナは、イオン伝導層とスピネルブロックとからなる層状構造を含み、イオン伝導層内で金属イオンが伝導される。β”アルミナとβアルミナとは結晶構造において相違しており、これらのうち、β”アルミナの方が、結晶構造内のナトリウムイオン含有量が高く、また、イオン導電性が高い。β”アルミナ、及びβアルミナは、好ましくは、ナトリウムイオンを伝導するNa-β”アルミナ及びNa-βアルミナである。Na-β”アルミナ及びNa-βアルミナの化学組成は、典型的には、それぞれNa2O・xAl23(x=5~7)及びNa2O・xAl23(x=9~11)である。
イオン伝導性セラミックスのような金属イオンを伝導する物質は、いずれの形状で内部固体層104に含まれていてもよいが、好ましくは粒子として含まれている。粒子の形状としては、特に限定されず、例えばウロコ状、柱状、球状、及び楕円体状等であってよい。
上記のイオン伝導性セラミックス及びその形状は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
イオン伝導性セラミックスのような金属イオンを伝導する物質が粒子の態様で内部固体層104に含まれる場合、当該粒子の平均粒径は、インサーション材料のような可逆的に酸化還元反応を生じる化合物の平均粒径に応じて調整されることが好ましい。
例えばイオン伝導性セラミックス及びインサーション材料を例にして説明すると、イオン伝導性セラミックスの平均粒径がインサーション材料の平均粒径より小さいことが好ましい。具体的には、インサーション材料の平均粒径に対するイオン伝導性セラミックスの平均粒径(=イオン伝導性セラミックスの平均粒径/インサーション材料の平均粒径)は、例えば0.001~0.7であり、好ましくは0.005~0.6であり、より好ましくは0.01~0.3である。上記比は、上記の範囲内において、0.1以下、又は0.05以下であってもよい。イオン伝導性セラミックスの平均粒径がインサーション材料の平均粒径より小さく、さらに両者の比が上記の範囲内にあることにより、インサーション材料における酸化還元反応がより安定的に生じる傾向にあり、参照電極100はより安定した電極電位を示すようになる傾向にある。
上記平均粒径は、具体的には0.02~7μm、0.05~5μm、0.1~3μm、又は0.15~1μmであってよい。上記平均粒径は、上記の範囲内において、0.5μm以下であってもよい。なお、上記平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定すればよい。
イオン伝導性セラミックスのような金属イオンを伝導する物質の含有量は、内部固体層104の総質量100質量部に対して、例えば15~70質量部であり、好ましくは20~65質量部であり、より好ましくは25~60質量部である。
内部固体層104におけるインサーション材料(可逆的に酸化還元反応を生じる化合物)とイオン伝導性セラミックス(酸化還元反応に関わるイオンを伝導する物質)との質量比(インサーション材料:イオン伝導性セラミックス)は、例えば5:1~1:5であり、好ましくは2:1~1:2であり、より好ましくは1.5:1.0~1.0:1.5であり、さらに好ましくは1.2:1.0~1.0:1.2であり、よりさらに好ましくは1.1:1.0~1.0:1.1である。上記の質量比が上記の範囲内にあることにより、インサーション材料における酸化還元反応がより安定的に生じる傾向にあり、参照電極100はより安定した電極電位を示すようになる傾向にある。
内部固体層104は、好ましくは導電剤を含む。導電剤としては、導電性を有する限り特に限定されないが、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボン粉末、フッ化カーボン、及びグラファイト粉末等の炭素材料;金属繊維のような導電性繊維類;アルミニウムのような金属粉末類;酸化亜鉛、及びチタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類;酸化チタンのような導電性金属酸化物;並びに、フェニレン誘導体、及びグラフェン誘導体等の有機導電性材料等を用いることができる。これらの中でも、好ましくは炭素材料が用いられる。
上記の導電剤及びその形状は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。 導電剤の含有量は、内部固体層104の総質量100質量部に対して、例えば0.1~20質量部であり、好ましくは1~15質量部であり、より好ましくは2~10質量部である。
内部固体層104におけるインサーション材料(可逆的に酸化還元反応を生じる化合物)と導電剤との質量比(インサーション材料:導電剤)は、例えば20:1~1:1であり、好ましくは15:1~3:1であり、より好ましくは10:1~6:1である。
内部固体層104は、上述した各成分のそれぞれをより強固に結着させるために、結着剤(バインダー)を含むことが好ましい。これにより、参照電極100はより安定した電極電位を示すようになる傾向にある。
結着剤としては、内部固体層104に含まれる各成分を結着することができる限りにおいて特に限定されないが、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、アクリルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、及びカルボキシメチルセルロース等のポリマーや、これらのポリマーに変性基を導入した類似化合物、さらには上記の複数のポリマーからなるコポリマーが挙げられる。これらの中でも、好ましくは(a)ポリフッ化ビニリデン、(b)スチレンブタジエンラテックス及びカルボキシメチルセルロースを含有する混合剤、(c)ポリアミド、ポリイミド、及びカルボジイミドを含有する混合剤、(d)ポリテトラフルオロエチレン、又は(e)アクリルエマルジョンが用いられ、より好ましくはポリフッ化ビニリデンが用いられる。
上記の結着剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
結着剤の含有量は、内部固体層104の総質量100質量部に対して、例えば0.1~20質量部であり、好ましくは1~15質量部であり、より好ましくは2~10質量部である。
内部固体層104におけるインサーション材料(可逆的に酸化還元反応を生じる化合物)と結着剤との質量比(インサーション材料:結着剤)は、例えば20:1~1:1であり、好ましくは15:1~3:1であり、より好ましくは10:1~6:1である。
内部固体層104は、上記した成分以外の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えばMnCO3、Na2CO3、及びAl23等が挙げられる。
内部固体層における、インサーション材料(可逆的に酸化還元反応を生じる化合物)、イオン伝導性セラミックス(酸化還元反応に関わるイオンを伝導する物質)、導電剤、及び結着剤の含有量の合計は、内部固体層104の総質量100質量部に対して、例えば70~100質量部であり、好ましくは80~100質量部であり、より好ましくは90~100質量部であり、さらに好ましくは95~100質量部であり、さらにより好ましくは99~100質量部である。
図1において、内部固体層104は単層として示されているが、内部固体層104は、単一の組成からなる単層構造であってもよいし、互いに異なる組成を有する2以上の層を含む多層構造であってもよい。
内部固体層104の平均厚さは、例えば1~200μmであり、好ましくは1~100μmであり、より好ましくは1~50μmであり、さらに好ましくは1~20μmである。内部固体層104が上記範囲内の厚さを有すると、安定した電極電位を示す参照電極を製造効率、製造コスト等が高く製造することができる傾向にある。
(イオン液体含有膜)
イオン液体含有膜106は、内部固体層104上に配置されている。参照電極100において、イオン液体含有膜106は内部固体層104の上面及び側面を被覆しており、参照電極100の使用時において、内部固体層104が試料溶液と直接接触しないように構成されている。
イオン液体含有膜106は、イオン液体を含有する膜状の部材であり、ゲル状又は半固体状である。イオン液体含有膜106は、イオン液体を含んでいる。イオン液体とは、常温で溶融状態(液体状態)にある塩であり、カチオン及びアニオンから構成される。イオン液体含有膜106は、親水性膜108と接触しているため、イオン液体含有膜106に含まれるイオン液体は、イオン液体の水への溶解度に応じて親水性膜108とイオン液体含有膜106のそれぞれに分配される。イオン液体は水への溶解度が低いため、親水性膜108とイオン液体含有膜106の界面で速やかにイオン液体の濃度が一定となり平衡状態に達する。これにより、従来の参照電極と比べて、液間電位差を抑制することができる。
イオン液体は、常温で液体状態にある塩であれば特に限定されない。イオン液体が親水性膜108に分配される割合を低減する観点から、イオン液体は、疎水性イオン液体であることが好ましい。
イオン液体におけるカチオンとしては、例えばイミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、4級アンモニウムカチオン、及びホスホニウムカチオン又はアルゾニウムカチオンが挙げられ、中でもイミダゾリウムカチオン及びホスホニウムカチオンが好ましい。
イオン液体におけるアニオンとしては、[R1SO2NSO22-(R1及びR2はそれぞれ独立して炭素数1~5のパーフルオロアルキル基)、フッ素及び4価のホウ素を含むボレートイオン、ビス(2-エチルヘキシル)スルホサクシネート、AlCl4 -、Al3Cl7 -、NO3 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、CF3COO-、CF3SO3 -、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6 -、SbF6 -、F(HF)n-、CF3CF2CF2CF2SO3 -、(CF3CF2SO22-、及びCF3CF2CF2COO-等が挙げられ、中でも[R1SO2NSO22-(R1及びR2はそれぞれ独立して炭素数1~5のパーフルオロアルキル基)が好ましい。
イオン液体は、例えば上記のカチオンの少なくとも1種と、上記のアニオンの少なくとも1種とを含む液体である。上記のイオン液体は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
イオン液体含有膜106は、イオン液体を含有するゲル膜であることが好ましい。この態様において、イオン液体が網目状に架橋された高分子に保持されることで、ゲル状の膜が形成されている。
イオン液体含有膜106が含み得る高分子としては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリブチルアクリレート、ポリビニルピリジン、有機電解質オリゴマー(主鎖カチオン部分がPICPM構造を有するもの等)、ポリ塩化ビニル、及びその他の合成ゴム等が挙げられる。当該高分子は架橋剤により架橋されていてよく、例えば、複数のフルオロアルキル化スルホニルアミド基を有する架橋剤により架橋されていてよい。
上記の高分子及び架橋剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
イオン液体含有膜106は、可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤を含んでいると、イオン液体含有膜106の柔軟性が一層向上する傾向にあり、例えば破断強度のような機械特性が向上する傾向にある。可塑剤としては、特に制限されないが、例えばTEHP(リン酸トリス(2-エチルヘキシル))、NPOE(2-ニトロフェニルオクチルエーテル)、DOP(フタル酸ジオクチル)、DOS(セバシン酸ジオクチル)、DBE(二塩基酸エステル)、及びBA(アクリル酸ブチル)等が挙げられる。可塑剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
イオン液体含有膜106における各成分の含有量は、イオン液体含有膜100質量部に対して、例えばイオン液体が1~15質量部であり、高分子が15~45質量部であり、可塑剤が50~80質量部であってよい。イオン液体含有膜100質量部に対するイオン液体の含有量は、好ましくは1~10質量部であり、より好ましくは1~6質量部である。イオン液体の含有量が上記の範囲内にあることにより、イオン液体の溶出が抑制される傾向にある。
イオン液体含有膜106は、単一の組成からなる単層構造であってもよいし、互いに異なる組成を有する2以上の層を含む多層構造であってもよい。
イオン液体含有膜106の平均厚さは、例えば1~200μmであり、好ましくは1~50μmである。
(親水性膜)
親水性膜108は、イオン液体含有膜106上に配置されている。参照電極100において、親水性膜108はイオン液体含有膜106の上面及び側面を被覆している。
親水性膜108は、親水性を有する膜状の部材であるため、試料溶液は当該膜内に浸潤することができ、また、上述のようにイオン液体がイオン液体含有膜106から分配されて速やかに平衡状態に達することで安定した電位を示す。参照電極100が親水性膜108を有することにより、イオン液体含有膜106が生体試料と接触しにくくなり、生体試料中の種々の成分がイオン液体含有膜106の表面状態に与える影響を小さくすることができる。これにより、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す参照電極を提供することができる。
後述の実施例において示すように、本発明者らは、親水性膜を有せずイオン液体含有膜が露出している電極について、生体試料に浸漬して電極電位を測定した場合に、生体試料でない試料溶液(例えば緩衝溶液)に浸漬している場合と比較して電極電位が正にシフトする現象を見出した。さらに本発明者らは、当該現象の原因の1つとして生体試料中に含まれるアルブミンが影響していることを見出だすと共に、親水性膜をイオン液体含有膜上に配置すると当該アルブミンの影響が低減することを見出した。したがって、特に、参照電極100が親水性膜108を有することにより、アルブミンの存在の有無やその濃度によらず安定した電極電位を示すことができる。
親水性膜108は、親水性を示す限り特に限定されない。すなわち試料溶液を撥水せず、浸潤することができる限り、どのような態様であってもよい。親水性膜108は、好ましくは親水性高分子を含む。
本実施形態の一態様において、親水性高分子は、多糖類及びその架橋体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
多糖類としては、例えばプルラン、セルロース、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、寒天、ペクチン、アラビアガム、大豆多糖類、アカルボース、アミロペクチン、イヌリン、キチン、キトサン、βグルカン、グリコーゲン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、スタキオース、デキストラン、デキストリン、マルトトリオース、マンナン、メレジトース、ラフィノース、及びレバンが挙げられる。これらの中でも、プルラン、セルロース、ペクチン、アカルボース、アミロペクチン、イヌリン、キチン、キトサン、βグルカン、グリコーゲン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、スタキオース、デキストラン、デキストリン、マルトトリオース、マンナン、メレジトース、ラフィノース、及びレバン、並びにこれらの誘導体が好ましく、セルロース、プルラン、及びこれらの誘導体がより好ましい。
多糖類の架橋体としては、上記の多糖類が適当な架橋剤により、又は放射線や電子線の照射により架橋されたものが挙げられる。また、上記多糖類の誘導体としては、多糖類の水溶性を向上させるために、糖鎖の水酸基が置換基により置換されたものが挙げられる。
セルロースを例にして多糖類の誘導体の例示をすると、セルロース誘導体としては、ヒプロメロース(Hypromellose(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸フタル酸セルロース(セラセフェート)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、及びメトローズ(登録商標)等が挙げられる。なお、メトローズは、セルロースの水酸基の水素原子の一部をメチル基(-CH3)、ヒドロキシプロピル基(-CH2CH(OH)CH3)、及び/又はヒドロキシエチル基(-CH2CH2OH)で置換することにより、水溶性を向上させた誘導体である。
したがって、多糖類の誘導体としては、例えばヒドロキシプロピルメチル誘導体、フタル酸エステル誘導体、酢酸エステル誘導体、コハク酸エステル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、酢酸フタル酸誘導体、カルボキシメチルエチル誘導体、及びエチル誘導体等が挙げられる。
本実施形態の一態様において、親水性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸メチル、及びアミノアルキルメタクリレートコポリマー;アクリルアミド、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、又はミリスチルアルコールに由来する単量体単位を含む重合体;並びにこれらの誘導体、並びにそれらの架橋体からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸メチル、及びアミノアルキルメタクリレートコポリマー、並びにアクリルアミド、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、又はミリスチルアルコールに由来する単量体単位を含む重合体の誘導体としては、これらの親水性が損なわれない限り特に限定されず、例えば親水性基がさらに導入されるようにした誘導体であってよい。そのような親水性としては、特に限定されず、例えばヒドロキシ基が挙げられる。また、それらの架橋体としては、上記の親水性高分子が適当な架橋剤により、又は放射線や電子線の照射により架橋されたものが挙げられる。
また、親水性高分子は、(メタ)アクリレートや(メタ)アクリルアミドに由来する単量体単位を含む(メタ)アクリル系ポリマー、又はアリルアミン、エチレンイミン、若しくはオキサゾリンに由来する単量体単位を含むアミン系ポリマーであってもよい。親水性高分子は、疎水性高分子の表面を親水性コーティングしたものや、疎水性高分子に親水性の官能基を導入したものであってもよい。そのような疎水性高分子としては、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン等が挙げられ、親水性コーティングとしては、セルロースコーティング、ポリビニルピロリドンコーティング等が挙げられる。
上記親水性高分子の架橋に用いられる架橋剤としては、ポリビニルアルコールにおいては、シュウ酸、ホウ酸、アジピン酸塩化物、グリオキザール、チオグリコール酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、マレイン酸、クエン酸、及びホルムアルデヒドが挙げられ;多糖類(特にカルボキシメチルセルロース)においては、塩化カルシウム、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)、及びジカルボン酸ハロゲン化物が挙げられ;ポリアクリル酸ナトリウムにおいては、2価以上の金属イオン(塩化カルシウム、及び水酸化アルミニウム等)が挙げられ;ポリメタクリル酸メチルにおいては、ジメタクリル酸エチレングリコールが挙げられる。また、アクリルアミドをN,N’-メチレンビスアクリルアミドのような架橋剤と共に重合することにより、架橋されたポリアクリルアミドを得ることができる。
上記のような親水性高分子を含むことにより、参照電極100の生体試料測定時の電極電位を一層安定させることができる傾向にある。また、上記の親水性高分子は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
親水性膜108は、上記の親水性高分子の中でも、水溶性の親水性高分子を含むことも好ましい。この態様によれば、生体試料の測定中に親水性膜108が徐々に溶解するため、絶えず親水性膜108の表面が生体試料の成分に汚染されていない状況を実現できる傾向にある。したがって、この態様の参照電極は、生体試料の測定時においても一層安定した電極電位を示す傾向にある。
親水性膜108は、親水性高分子に加えてその他の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、特に限定されないが、例えば、単糖類、二糖類、及びその他の添加剤が挙げられる。親水性膜108がこれらの成分を含むことにより、親水性膜108の親水度合いや水溶性を制御することができる傾向にある。
単糖類としては、例えばアロース、アラビノース、アルトローズ、イドーズ、エリスリトール、エリスルロース、エリスロース、ガラクトース、ガラクトサミン、キシリトール、キシルロース、キシロース、グリセルアルデヒド、グルクロン酸、グルコース、グリコールアルデヒド、グローゼ、コリトース、ジヒドロキシアセトン、ジヒドロキシアセトン、セドヘプツロース、ソルボース、タガトース、タロース、2-デオキシ-D-リボース、フクロース、フコース、プシコース、フルクトース、マンノース、ラムノース、リキソース、リブロース、及びリボースが挙げられる。
二糖類としては、例えばスクロース、セロビオース、ツラノース、トレハロース、マルチトール、マルトース、メリビオース、ラクツロース、ラクトビオン酸、及びラクトースが挙げられ、これらの中でも好ましくはトレハロースが用いられる。
その他の添加剤としては、グリセロール及びその誘導体等のアルコール類が挙げられる。
親水性膜108は、単一の組成からなる単層構造であってもよいし、互いに異なる組成を有する2以上の層を含む多層構造であってもよいし、組成の異なる2以上の層が繰り返し又はランダムに積層された積層構造であってもよい。
親水性膜108の平均厚さは、例えば1μm以上1000μm以下であり、好ましくは5μm以上800μm以下であり、より好ましくは6μm以上400μm以下であり、さらに好ましくは8μm以上100μm以下である。親水性膜108が1μm以上であることにより、生体試料中の種々の成分がイオン液体含有膜106の表面状態に与える影響をより小さくすることができる傾向にある。また、親水性膜108が1000μm以下であることにより、親水性膜に起因して生じる電位差をより小さくすることができる傾向にある。
(形状)
参照電極100の形状は、特に限定されず、例えば円柱状、楕円柱状、及び角柱状等の任意の形状であり得る。参照電極100が備える各構成は、参照電極100の形状に応じて適宜変更することができる。
(用途)
参照電極100は、参照電極として用いられる。具体的には、センサや電気化学セルにおいて、作用電極と電気的に接続して用いられ、作用電極の電極電位が参照電極100の電極電位を基準として特定される。
参照電極100は、好ましくは使い捨て用途に用いられる。そのような用途において、親水性膜108は、好ましくは多糖類及びその誘導体からなる群より選択され得る少なくとも1種の水溶性高分子を含む。参照電極100は、好ましくはキャリブレーションフリーの参照電極である。
(製造方法)
参照電極100は、例えば内部電極102に、内部固体層104を形成し、さらにその上にイオン液体含有膜106、及び親水性膜108を順次形成することで製造すればよい。あるいは、内部固体層104上にイオン液体含有膜106、及び親水性膜108を順次形成し、最後に内部電極102を内部固体層104の一端に接合することで製造してもよい。あるいは、内部固体層104上にイオン液体含有膜106を成形した後、別途作製した親水性膜108をイオン液体含有膜106上に圧着させることで製造してもよい。
内部固体層の形成方法は特に制限されないが、例えば上述の各成分と、必要に応じて1-メチル-2-ピロリドンのような適当な溶媒とを混合させて得られる組成物を絶縁体上(又は絶縁体上に形成された内部電極上)に成膜し、乾燥することにより製造してよい。各成分の混合物成膜方法としては、静電塗布、ディスペンサでの塗布、スクリーン印刷、スパッタ、蒸着、及びホットプレス等があげられるが、好ましくは静電塗布である。
イオン液体含有膜の形成方法は、例えばイオン液体と、高分子及び可塑剤等の上述の成分と、必要に応じてテトロヒドロフランのような適当な溶媒とを混合させて得られる組成物を、内部固体層上に成膜し、乾燥する方法であってよい。
親水性膜は、例えば上述のような親水性高分子と、水やアルコール等の溶媒とを混合させて得られる組成物をイオン液体含有膜上に直接滴下、塗布、又はスプレーし、乾燥することにより製造してよい。あるいは、当該組成物を適当な基板上に成膜し、乾燥させて親水性膜を作製した後に、得られた親水性膜を参照電極のイオン液体含有膜上に圧着してもよい。
親水性高分子を架橋させる場合は、親水性膜を成膜した後に放射線や電子線を照射したり、上記の親水性高分子を含む組成物にさらに架橋剤を添加したりすればよい。
多層構造の親水性膜を作製する方法としては、例えば親水性高分子及び溶媒を混合させて得られる組成物を滴下、塗布、又はスプレーし、乾燥する工程を繰り返す方法が挙げられる。ここで、イオン液体含有膜上に親水性高分子を含む第1の層を形成した後、当該第1の層に別の親水性高分子を含む第2の層を形成する場合、第1の層を形成する際に用いる溶媒と、第2の層を形成する際に用いる溶媒とが、異なる溶媒であると好ましい。このような方法によれば、第2の層を形成する際に親水性高分子及び溶媒を含む組成物を第1の層上に滴下したときに、第1の層中の親水性高分子が再溶解することが抑制され、好適に親水性高分子を含む層の多層構造を得ることができる。
より具体的には、例えばイオン液体含有膜上に、溶媒として水を用いて親水性高分子を含む第1の層を形成し、次に溶媒としてアルコールを用いて第1の層に含まれる親水性高分子とは別の親水性高分子を含む第2の層を形成してよい。この方法において、第1の層を形成する際に溶媒としてアルコールを用い、第2の層を形成する際に溶媒として水を用いてもよい。また、溶媒として水及びアルコールを交互に用いて異なる親水性高分子を含む層を繰り返し形成することで、積層構造の親水製膜を作製してもよい。
(変形例)
上記の参照電極100は、内部固体層、イオン液体含有膜、及び親水性膜を備える限りにおいて、種々の変形が可能である。図2は、参照電極100の変形例を示す図である。
図2(A)に概略断面図が示される参照電極150は、参照電極100と比較して、親水性膜108がイオン液体含有膜106の上面部分のみを被覆し、側面部分を被覆していない点で異なる。参照電極150において、イオン液体含有膜106の側面は被覆部材152により被覆されている。
被覆部材152は、例えば絶縁性を有する部材であり、イオン液体含有膜106中のイオン液体が浸潤せず、またイオン液体と反応しない部材である。被覆部材152は、イオン液体含有膜106と親水性膜108とを固定する役割を有していてもよい。
被覆部材152としては、特に限定されず、例えば電極の製造において通常に用いられている封止材、及び絶縁性テープのようなテープ等が挙げられる。
図2(B)に概略断面図が示される参照電極170は、参照電極150と比較して、被覆部材が、イオン液体含有膜106の側面部分を被覆する第1の被覆部材172と、親水性膜108の側面部分を被覆する第2の被覆部材174とに分離可能な点で異なる。被覆部材172及び174は、被覆部材152と同様の材料からなる部材であってよい。
参照電極170は、上記のように被覆部材が分離可能なように構成されているため、親水性膜108及び被覆部材174のみを交換することができる。したがって、この態様によれば、測定ごとに親水性膜部分のみを交換することができ、検体の汚染を避けながらも親水性膜部分以外の構成を繰り返し測定に用いることが可能である。
[第2実施形態:内部液型参照電極]
図3は、本発明の参照電極の別の実施形態の概略断面図である。図3に示すように、本実施形態の参照電極200は、内部電極202と、内部電極を浸漬する内部液206と、内部電極202及び内部液206を収容する収容体204とを備え、収容体204は液絡部208を有し、液絡部208において、内部液206と図3には図示されていない試料溶液とを隔離するようにイオン液体含有膜210が配置され、イオン液体含有膜210上の試料溶液側に親水性膜212が配置されている。参照電極200は、電極内部に電解液を有する内部液型の参照電極である。
参照電極200は、上記の構成を有するため、特にイオン液体含有膜210及び親水性膜212を有するため、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す。以下、各構成について詳述するが、参照電極100の説明と重複する記載は省略する。
参照電極200は、内部電極202上における酸化還元反応により電極電位が規定される。当該酸化還元反応には、内部電極202上の化合物に加えて、内部液206中のイオン又は化合物が関与していてよい。
参照電極200は、例えば銀-塩化銀参照電極であってよく、水銀-硫酸水銀参照電極又はカロメル電極であってよいが、好ましくは銀-塩化銀電極である。したがって、内部電極202は、好ましくは銀-塩化銀電極である。図3において、内部電極202は、1つの部材として示されているが、リード電極の一部分に銀-塩化銀のような化合物を被覆させた電極であってよい。リード電極は導電性を有し、銀及び塩化物イオンと反応しない電極である。
内部液206は、内部電極202の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば内部電極202が銀-塩化銀電極である場合は、内部液206は塩化ナトリウム水溶液又は塩化カリウム水溶液等の塩化物イオンを含む水溶液であり、好ましくは塩化カリウム水溶液であり、より好ましくは飽和塩化カリウム水溶液である。
収容体204は、内部電極202及び内部液206を収容できる限りにおいて、特に限定されない。収容体204は、例えばガラス製容器、又はポリテトラフルオロエチレンのような耐薬品性を有する樹脂の成形体であってよい。
液絡部208は、収容体204に形成されており、内部液206と試料溶液とを電気的に連結するための部分である。液絡部208は、そのような機能を果たす限りどのような態様であってもよいが、例えばガラスやセラミックス等の多孔質部材により構成される部分であってよい。
イオン液体含有膜210は、液絡部208において、内部液と試料溶液とを隔離するように配置されている。イオン液体含有膜210がこのように配置されていることにより、参照電極200の使用時において、内部液206が試料溶液と直接接触しないように構成されている。
イオン液体含有膜210は、参照電極100におけるイオン液体含有膜106と同様の構成を有していてよい。参照電極200がそのようなイオン液体含有膜を備えることにより、参照電極200の内部(すなわち内部液206)と試料溶液との液間電位差の変動が抑制される。また、内部液206の成分が試料溶液中に流出することも抑制される。
イオン液体含有膜210は、収容体204の外部を被覆することで内部液と試料溶液とを隔離していてもよいし、液絡部208の多孔質部分に充填されていることで内部液と試料溶液とを隔離していてもよい。
親水性膜212は、イオン液体含有膜210上の試料溶液側に配置されている。参照電極200において、親水性膜212はイオン液体含有膜210の収容体204に接触していない部分を被覆している。すなわち、親水性膜212はイオン液体含有膜210を被覆するようにして配置されている。親水性膜212は、参照電極100における親水性膜108と同様の構成を有していてよい。参照電極200がそのような親水性膜を備えることにより、イオン液体含有膜210が生体試料と接触しにくくなり、生体試料中の種々の成分がイオン液体含有膜210の表面状態に与える影響を小さくすることができる。これにより、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す参照電極を提供することができる。
本実施形態の参照電極200は、内部電極、液絡部を有する収容体、内部液、イオン液体含有膜、及び親水性膜を備える限りにおいて、種々の変形が可能である。液絡部の位置、個数、及び態様は図3及び上記したものに限られず、適宜変更してもよい。
本実施形態の参照電極200は、pHメータ等の作用電極と一体化され、複合電極を形成していてもよい。
参照電極200は、例えば市販の内部液型参照電極の液絡部に、イオン液体含有膜を形成し、さらにその上から親水性膜を被覆することにより製造すればよい。イオン液体含有膜及び親水性膜の形成方法は、参照電極100の説明において詳述したとおりである。
以上、具体的な実施形態を用いて本実施形態の参照電極の説明をしたが、上記の実施形態は例示であり、上記の実施形態は適宜変更が可能である。本発明に係る参照電極は、イオン液体含有膜と、イオン液体含有膜上に配置されている親水性膜と、を備えていれば特に限定されない。
[第3実施形態:アルブミン測定用電極]
本実施形態の別の一態様は、試料溶液中のアルブミンを検出又は測定するための電極である。図4は、本実施形態のアルブミン測定用電極の一態様の概略断面図である。図4に示すように、アルブミン測定用電極300は、内部電極302と、内部電極302上に配置されている内部固体層304と、内部固体層304上に配置されているイオン液体含有膜306とを備える。
アルブミン測定用電極300は、試料溶液中のアルブミンを検出又は測定するための作用電極である。アルブミン測定用電極300は、参照電極と接続して使用され、参照電極の電極電位を基準として電極電位が測定される。
上述のとおり、また後述の実施例で詳述するとおり、本発明者らは、イオン液体含有膜を備える電極の電極電位が、測定試料中のアルブミン濃度に依存して変動することを見出した。その要因は必ずしも明らかではないが、測定試料中にアルブミンが存在すると、イオン液体含有膜中のイオン液体のカチオン及びアニオンの測定試料への分配状態が変化するためであると考えられる。より具体的には、イオン液体含有膜の近傍に存在するアルブミン濃度が上昇するほど、アニオンが測定試料中に分配されやすくなるか、カチオンが測定試料中に分配されにくくなると推定される。なお、アルブミン測定用電極300の動作原理は上記の要因に限られない。
従来、アルブミン測定用の電極として用いられる抗体を使った電極は抗体を用いるため、製造コストが高い傾向にある一方、アルブミン測定用電極300はそのような抗体や抗体の構造を模倣したアプタマー、分子インプリントポリマー、又はアルブミン標識色素等を含まなくてもよいため、製造コストを安く抑えることができる。また、アルブミン測定用電極300は血中にアルブミンに次いで多く含まれるγグロブリンには応答しないため、血中においてアルブミンを特異的に検出することができる。
内部電極302、内部固体層304、及びイオン液体含有膜306は、それぞれ、参照電極100における内部電極102、内部固体層104、及びイオン液体含有膜106と同様の構成を有し、好ましい態様も同様である。また、アルブミン測定用電極300の製造方法は、参照電極100の製造方法を適宜参照すればよい。内部電極302、内部固体層304、及びイオン液体含有膜306の形成方法は、内部電極102、内部固体層104、及びイオン液体含有膜106の形成方法と同様であってよい。
本実施形態のアルブミン測定用電極300は、測定試料に浸漬、又は接触されるイオン液体含有膜を備える限りにおいて、種々の変形が可能である。例えば、市販のイオン選択性電極の感応膜に代えて、上記のイオン液体含有膜を配置することにより、アルブミン測定用電極を得ることができる。
アルブミン測定用電極300は、試料溶液中のアルブミンを検出すること、及び試料溶液中のアルブミンの濃度を測定すること等に用いられる。試料溶液は、好ましくは生体試料であり、より好ましくは血清である。
本実施形態では、さらに上記のアルブミン測定用電極を用いて、試料溶液中のアルブミンを検出し、又はアルブミン濃度を測定する方法をも提供する。この方法は、測定試料中に本実施形態のアルブミン測定用電極及び適当な参照電極を浸漬させ、両電極の電位差を測定する工程を含む。
[第4実施形態:センサ]
本実施形態のさらに別の一態様は、2つの電極を備えるセンサである。図5は、本実施形態のセンサの一態様を示す(A)概略平面図及び(B)X-X’線概略断面図である。図5に示すように、センサ400は、絶縁基板402と、絶縁基板402上に配置されている第1の電極410及び第2の電極420とを備える。
センサ400は、第1の電極410を基準として第2の電極420における電極電位を測定する。すなわち、センサ400において、第1の電極410が参照電極であり、第2の電極420が作用電極である。
第1の電極410は、内部電極418と、内部電極418上に配置されている内部固体層412と、内部固体層412上に配置されているイオン液体含有膜414と、イオン液体含有膜414上に配置されている親水性膜416とを備える。第1の電極410は、上述の参照電極100、150又は170であってよい。すなわち、内部電極418、内部固体層412、イオン液体含有膜414、及び親水性膜416は、それぞれ、参照電極100における内部電極102、内部固体層104、イオン液体含有膜106、及び親水性膜108と同様の構成を有していてよく、好ましい態様も同様である。したがって、第1の電極410は、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示すものである。
第2の電極420は、内部電極428と、内部電極428上に配置されている内部固体層422と、内部固体層422上に配置されているイオン選択性膜423とを備える。内部電極428、及び内部固体層422は、それぞれ、参照電極100における内部電極102、及び内部固体層104と同様の構成を有していてよく、好ましい態様も同様である。
内部固体層422に含まれる各成分は、測定イオンに応じて適宜変更することが好ましい。例えば、内部固体層422は、測定イオンのインサーション材料及び測定イオンを伝導可能な物質を含むと好ましい。
センサ400において、内部電極418と内部電極428と、及び内部固体層412と内部固体層422とが実質的に同一であると好ましい。このようなセンサは少ない工程で製造することができるため、製造コストが一層低くなる。また、測定時において、内部固体層と電極の界面電位が経時的に変化したとしても、内部電極及び内部固体層が第1の電極と第2の電極とで実質的に同一であれば、当該界面電位の変化は第1の電極と第2の電極とでほとんど等しくなるため、第1の電極を基準として第2の電極における電極電位を測定する場合、当該界面電位の変化が打ち消されることとなり、より経時的に安定した測定をすることができる傾向にある。
なお、2つの内部電極が実質的に同一であるとは、2つの内部電極が実質的に同一の組成を有する材料により構成されていることを意味する。また、2つの内部固体層が実質的に同一であるとは、2つの内部固体層が実質的に同一の組成を有することを意味する。
(イオン選択性膜)
第2の電極420は、イオン選択性膜423を備えるため、試料溶液中の測定イオンの濃度に応じて電極電位が変化する。第1の電極410は、測定イオンの濃度によらず一定の電極電位を示すため、第1の電極410を基準として第2の電極420の電極電位を測定することで、測定イオンの濃度を定量することができる。
第2の電極420において、イオン選択性膜423は内部固体層422の上面及び側面を被覆しており、内部固体層422が試料溶液と直接接触しないように構成されている。
イオン選択性膜423は、イオン選択性物質を含有する。イオン選択性物質とは、所定のイオンのみを認識し、イオン選択性膜に取り込むことができる物質である。イオン選択性物質は、センサ400の用途に応じて適宜選択すればよい。
イオン選択性物質としては、例えば従来公知のイオノフォア、及び合成物質が挙げられ、好ましくはイオノフォアが用いられる。イオノフォアとしては、バリノマイシン、モネシン、ロドプシン、ノナクチン、モナクチン、イオノマイシン、グラミシジンA、ナイジェリシン、CCCP(カルボニルシアニド-m-クロロフェニルヒドラゾン)、及びFCCP(カルボニルシアニド-p-トリフルオロメトキシフェニルヒドラゾン)等が挙げられる。また合成物質としては、クラウンエーテル、及び非環状のノニルフェノキシポリエタノール等が挙げられる。より具体的には、DD16C5、Bis-12Crown-4、12-Crown-4、15-Crown-5、18-Crown-6、及びカレックスアレン等が挙げられる。上記のイオン選択性物質は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
イオン選択性膜423は、イオン選択性物質に加えて、好ましくはバインダ樹脂を含有する。バインダ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、シリコンエラストマー、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、ポリカーボネート、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体、及び塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体等が挙げられる。上記のバインダ樹脂の成分は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
イオン選択性膜423は、好ましくは可塑剤をさらに含有する。可塑剤を含んでいると、イオン選択性膜423の柔軟性が一層向上する傾向にあり、例えば破断強度のような機械特性が向上する傾向にある。可塑剤としては、イオン液体含有膜106が含み得る可塑剤を用いてよい。
イオン選択性膜423は、好ましくはアニオン排除剤をさらに含有する。アニオン排除剤は、測定イオンに応じて適宜選択することができる。アニオン排除剤としては、例えばテトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸ナトリウム(Na-TCPB)、テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウム(K-TCPB)、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム(Na-TFPB)、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸カリウム(K-TFPB)、テトラフェニルホウ酸カリウム(K-TPB)、テトラフェニルホウ酸ナトリウム(Na-TPB)、及びテトラキス[3,5-ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル]ホウ酸ナトリウム等のテトラフェニルボレート塩が挙げられる。上記のアニオン排除剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
イオン選択性膜423における各成分の含有量は、イオン選択性膜423の総質量100質量部に対して、例えばイオン選択性物質が1~10質量部であり、バインダ樹脂が15~45質量部であり、可塑剤が50~80質量部であり、アニオン排除剤が0.1~5質量部である。
イオン選択性膜423は、単一の組成からなる単層構造であってもよいし、互いに異なる組成を有する2以上の層を含む多層構造であってもよい。
イオン選択性膜423の平均厚さは、例えば30~300μmである。
(絶縁基板)
絶縁基板402は、第1の電極410及び第2の電極420を保持する役割を有する。絶縁基板402は、絶縁性を有し、第1の電極410及び第2の電極420を電気的に接続しない基板であれば、特に限定されない。絶縁基板は、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、ガラス、セラミックス、金属酸化物、及び紙のような繊維基材等を含む基板であってよい。
(用途)
センサ400は、イオン選択性膜423の種類を適宜変更することにより種々のイオンセンサとして用いることができる。センサ400は、例えばナトリウムセンサ又はカリウムであってよい。また、センサ400は、生体試料測定用センサとして好適に用いられ、また使い捨て用途としても好適に用いられる。センサ400は、好ましくはキャリブレーションフリーのセンサである。
図6は、センサ400の使用方法の一例を示した図である。図6に示すように、絶縁基板402上に、第1の電極410及び第2の電極420が浸漬するように、測定試料440を滴下する。測定試料は、生体試料であってよい。第1の電極410及び第2の電極420が測定試料と接触した状態で、内部電極418及び428に接続された電位差計430により両電極の電位差を読み取ることで、測定試料中の測定イオンの濃度を測定することができる。
あるいは、別の態様において、本実施形態のセンサは、第1の電極と第2の電極との間に流れる電流を測定するようにして使用してもよい。
センサ400は上記のように使用するため、イオン測定における電位をより安定させる観点から、第1の電極410及び第2の電極420の間隔(最短距離)は例えば2mm以上であると好ましい。同様の観点から、当該間隔は、より好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上、さらにより好ましくは5mm以上である。当該間隔の上限は、より少ない同一試料を、イオン選択性電極と参照電極の両方に同時に接触させることができる観点から、例えば20mm、15mm、10mm、8mm、又は6mmである。
(製造方法)
センサ400は、絶縁基板402上に第1の電極410及び第2の電極420を形成することにより製造すればよい。第1の電極410の製造方法は、本実施形態の参照電極を製造する方法を適宜参照すればよい。具体的には、絶縁基板402上に、内部電極418を形成し、内部電極418上に、内部固体層412、イオン液体含有膜414、及び親水性膜416を順次形成すればよい。
第2の電極420の製造方法は、例えば絶縁基板402上に、内部電極428を形成し、内部電極428上に、内部固体層422、及びイオン選択性膜423を順次形成すればよい。内部電極428及び内部固体層422の形成は、本実施形態の参照電極を製造する方法と同様にすればよい。また、イオン選択性膜423は、例えばイオン選択性物質と、バインダ樹脂、可塑剤、及びアニオン排除剤等の上述の成分と、必要に応じてアセトンのような適当な溶媒とを混合させて得られる組成物を、内部固体層上に成膜し、乾燥する方法であってよい。
(変形例)
本実施形態のセンサ400は、2つの電極を備え、そのうちの参照電極として用いられる方の電極がイオン液体含有膜と、イオン液体含有膜上に配置されている親水性膜と、を備える限りにおいて、種々の変形が可能である。
例えば、第1の電極410は、上記の固体型参照電極に限られず、上述の参照電極200のような内部液型の参照電極であってもよい。また、第1の電極410は参照電極100、150、170、又は200を適宜変形した参照電極であってもよい。
また、第2の電極420は、イオン選択性膜を備えていなくてもよく、イオン選択性膜に代えて、測定試料中の化合物又はイオンの濃度に応じて第2の電極の電極電位を変化させ得る部材を有していてもよい。例えば、センサ400において、第2の電極は、上記第2の電極のイオン選択性膜423に代えて、イオン液体含有膜306を配置した電極であってよく、この態様において、第2の電極は、アルブミン測定用電極300である。
第2の電極がアルブミン測定用電極300である態様において、内部電極、内部固体層及びイオン液体含有膜が、第1の電極と第2の電極とで、実質的に同一であることが好ましい。このようなセンサは少ない工程で製造することができるために製造コストが一層低くなる。また、測定時において、内部固体層と電極の界面電位、及び/又は内部固体層とイオン液体含有膜の界面電位が経時的に変化したとしても、内部電極、内部固体層及びイオン液体含有膜が第1の電極と第2の電極とで実質的に同一であれば、当該界面電位の変化は第1の電極と第2の電極とでほとんど等しくなるため、第1の電極を基準として第2の電極における電極電位を測定する場合、当該界面電位の変化が打ち消されることとなり、より経時的に安定した測定をすることができる傾向にある。
さらに、センサ400において、絶縁基板402上に複数の第2の電極が配置されていてもよい。当該複数の第2の電極は同じであってよく、この態様によれば、一度に複数の測定ができるため、より精度の高いセンサとすることができる。あるいは、当該複数の第2の電極は異なっていてもよく、この態様によれば、一度に複数の成分に関する測定をすることができる。例えば、センサ400は、参照電極である第1の電極を1つと、複数の第2の電極とを備えていてよい。ここで、複数の第2の電極は、イオン選択性電極及び上記アルブミン測定用電極300を含んでいてよく、イオン選択性電極として、ナトリウムイオン選択性電極、カリウムイオン選択性電極、及び塩化物イオン選択性電極の少なくとも1種を含んでいてよい。
以上、具体的な実施形態を用いて本実施形態の説明をしたが、上記の実施形態は例示であり、上記の実施形態は適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態において、例示した態様や、好ましい、より好ましい、さらに好ましい、及びさらにより好ましい態様等として記載する態様は、任意に組み合わせてよい。例えば、本実施形態のセンサにおいて、第1の電極が本実施形態の参照電極であり、第2の電極が本実施形態のアルブミン測定用電極である態様において、参照電極の好ましい、より好ましい、さらに好ましい、又はさらにより好ましい態様と、アルブミン測定用電極の好ましい、より好ましい、さらに好ましい、又はさらにより好ましい態様等とを任意に組み合わせてよい。また、本明細書中に記載される数値範囲は、上限値及び下限値を任意に組み合わせて得られる数値範囲としてよい。例えば好ましい範囲の下限値又は上限値と、より好ましい範囲の下限値又は上限値とを任意に組み合わせて、数値範囲を選択してもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1:イオン液体含有膜を有する電極の性能検討]
(電極の作製)
内部電極と、内部電極上に配置されている内部固体層と、内部固体層上に配置されているイオン液体含有膜とを有する図4に示されるような電極を作製した。
まず、インサーション材料(Na0.33MnO2(直方晶系結晶構造、平均粒径8.9μm、ウロコ状))、イオン伝導性セラミックス(β”アルミナ:Na2Al10.615.9、平均粒径0.26μm)、導電剤(アセチレンブラック)、及び結着剤(ポリフッ化ビニリデン)を、インサーション材料:イオン伝導性セラミックス:導電剤:結着剤=8:8:1:1の組成比で、溶媒(1-メチル-2-ピロリドン)に添加、混合し、スラリーを調製した。
調製したスラリーを、絶縁基板(アルミナ基板)上の白金電極の上に、静電気力により材料をターゲットに塗布する静電塗布により積層した後、真空乾燥炉で完全に溶媒を除去することで、内部電極上に内部固体層を形成した。
次いで、内部固体層上に、イオン液体([TBMOEP+][C11-]:トリブチル(2-メトキシエチル)ホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)4質量部、可塑剤(リン酸トリス(2-エチルへキシル))64質量部、及び高分子(ポリ塩化ビニル)32質量部を含有するテトラヒドロフラン溶液を塗布し、乾燥させることにより、内部固体層及びイオン液体含有膜を有する電極Aを得た。内部固体層及びイオン液体含有膜の合計の平均厚さは60μmであった。
(アルブミン及びγグロブリン溶液の測定)
図7に示す測定系で、測定試料を変えながら上記電極Aの電極電位を測定した。具体的には、電極504として示す電極Aと、銀-塩化銀参照電極508(飽和KCl、ダブルジャンクションNaCl 140mM(mmol・dm-3))とを電位差計510を介して接続し、電極A及び銀-塩化銀参照電極に測定試料506が浸漬するように、測定試料506を絶縁基板502上に滴下した。銀-塩化銀参照電極に対する電極Aの開放電位を3分間測定した。
測定試料としては、主要な血清タンパク質であるアルブミン(ウシ血清アルブミン)又はγ-グロブリン(ヒト血漿由来γ-グロブリン)を含む140mM NaCl溶液を用いた。アルブミン又はγ-グロブリンを含む溶液と、アルブミン又はγ-グロブリンを含まない140mM NaCl溶液の両方を測定し、アルブミン又はγ-グロブリンを含む溶液の測定電位Eと、アルブミン又はγ-グロブリンを含まない溶液の測定電位Ebaseとの差(ΔE=E-Ebase)を算出した。アルブミン又はγ-グロブリンの濃度を変更させて、複数のΔEを測定した。結果を図8に示す。図8から、測定試料にアルブミンが存在する場合にのみ、電位シフトが生じることがわかった。
そこで、電極Aを2つ作製し、2つのサンプルについて、アルブミン濃度(2~10g/dL)と電位シフトΔEとの関係を調べた。結果を図9に示す。図9から、再現性高く、アルブミンの濃度に依存して電極Aの電位シフトが生じることがわかった。
そこで、さらに、イオン液体含有膜中のイオン液体の種類及び含有量を変更した電極B、C及びDを作製し、各電極について、標準血清(JCTCM 130-4 M)を用いて電位シフトΔEを測定した。なお、標準血清において、K、Na、Cl、及びアルブミンの濃度は、それぞれ、4.37mM、140.4mM、105.1mM、及び3.1g/dLであり、電位シフトΔEは、140mM NaCl溶液の測定結果Ebaseを基準として算出した。
なお、電極B及びCは、イオン液体の含有量をそれぞれ10質量%及び20質量%としたこと以外は電極Aと同様にして作製した。電極Dは、イオン液体として、[TBMOEP+][C22-](トリブチル(2-メトキシエチル)ホスホニウムビス(トリフルオロエタンスルホニル)イミド)を用い、イオン液体の含有量を20質量%としたこと以外は電極Aと同様にして作製した。
結果を図10に示す。図10から、イオン液体の含有量及び種類を変更しても電位シフトが生じることがわかった。
以上のことから、イオン液体含有膜を有する電極が、アルブミン測定用電極として有用であることがわかった。また、アルブミンを含む生体試料の測定において、イオン液体含有膜を有する電極を参照電極として用いると生体試料中のアルブミン濃度によって電極電位が変動する可能性があることが示唆された。
[実施例2:親水性膜を有する固体型参照電極の性能検討]
次に、イオン液体含有膜を有する電極におけるアルブミンによる電位シフトを抑制する方法を検討した。
(電極の作製)
まず、電極Aと同様にして、内部電極上に、内部固体層及びイオン液体含有膜が形成された電極を作製した。次いで、当該電極について、メトローズSH(信越化学工業社製、製品名)2質量%及びトレハロース10質量%を含む水溶液をイオン液体含有膜上に滴下し、乾燥させることにより、イオン液体含有膜上に水溶性の親水性膜が形成された電極Eを作製した。電極Eは、図1に示すように、イオン液体含有膜の側面も親水性膜に被覆されていた。親水性膜の平均厚さは9μmであった。
以下に示す各方法で、親水性膜を形成したこと以外は電極Eと同様にして、電極F、G、H、及びIを作製した。なお、電極G~Iは、図1に示すようにイオン液体含有膜の側面も親水性膜に被覆されており、親水性膜の平均厚さは9μmであった。
電極F:特許第5572016号公報に記載の電子線架橋したポリビニルアルコールハイドロゲル膜(KCl 268mM含有,平均厚さ700μm)をイオン液体含有膜に圧着し、図2に示すようにゲル周囲をテープで固定した。
電極G:メトローズSH(信越化学工業社製、製品名)2質量%及びトレハロース30質量%を含む水溶液をイオン液体含有膜上に滴下し、乾燥させた。
電極H:メトローズSH(信越化学工業社製、製品名)2質量%及びキシロース10質量%を含む水溶液をイオン液体含有膜上に滴下し、乾燥させた。
電極I:メトローズSM(信越化学工業社製、製品名)2質量%及びトレハロース10質量%を含む水溶液をイオン液体含有膜上に滴下し、乾燥させた。
電極J:プルラン10質量%を含む水溶液を適当な基板上に滴下し、乾燥させることで平均厚さ350μmのプルラン膜を作製した。プルラン膜をイオン液体含有膜に圧着し、図2に示すようにプルラン膜周囲をテープで固定した。
(電位シフトの測定)
実施例1と同様の図7に示す測定系で、電極Eを用いて、アルブミン溶液の測定電位Eと、アルブミンを含まない緩衝溶液の測定電位Ebaseとの差(ΔE=E-Ebase)を算出した。アルブミン溶液には10g/dLアルブミンを含む緩衝溶液(K10バッファー)を用い、緩衝溶液(K10バッファー)としては10mM カリウムイオン、140mM ナトリウムイオン、及び1.5mM リン酸イオンを含むリン酸緩衝溶液を用いた。
具体的なプロトコルは、以下のとおりである。まず、電極E上にアルブミン含有溶液を滴下し、3分間電位を測定した。その後、電極Eを上記緩衝溶液でよく洗浄して、親水性膜を溶解させ、完全に取り除いた。次に、この電極上に緩衝溶液を新たに滴下し、3分間電位を測定した。その後、この電極を用いて緩衝溶液、及びアルブミン含有溶液を順に測定した。各測定の前には、緩衝溶液で電極を洗浄した。測定プロトコル及び測定結果を表1に示す。
表1から、電極が親水性膜を有していると、アルブミンによる電位シフトが抑制されることが示唆された。親水性膜による電位シフトの抑制を検証するために、表2及び表3に示す検証測定を行った。表2にプロトコルを示す測定においては、親水性膜を形成しなかった電極(すなわち、電極A)を用いて測定をおこなった。また、表3に示す測定においては、親水性膜の有無が測定電位に与える影響を検討した。結果を表2及び3に示す。
表1~3に示す結果から、イオン液体含有膜を有する電極において、イオン液体含有膜上に親水性膜を配置すると、アルブミンによる電位シフトが抑制されることが確かめられた。したがって、イオン液体含有膜及び親水性膜を含む電極が、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す参照電極として用いることができることがわかった。
次に、電極Eに代えて電極A及びF~Jを用いて、電位シフトの測定を行った。また、参考例として、電極Eに代えて銀-塩化銀参照電極を用いて、電位シフトの測定を行った。
具体的なプロトコルは、以下のとおりである。まず、各電極上にアルブミン含有溶液を滴下し、3分間電位を測定した。その後、電極を緩衝溶液(K1バッファー)でよく洗浄して、親水性膜を溶解させ、完全に取り除いた。緩衝溶液(K1バッファー)としては1mM カリウムイオン、140mM ナトリウムイオン、及び1.5mM リン酸イオンを含むリン酸緩衝溶液を用いた。電極Fにおいては、圧着していた親水性膜を物理的に外した後、洗浄を行った。また、次に、銀-塩化銀参照電極においては、洗浄のみを行った。次いで、この電極上に緩衝溶液を新たに滴下し、3分間電位を測定した。測定試料は、上記と同様に10g/dLアルブミンを含む緩衝溶液、及び緩衝溶液であった。なお、電極Jのみ、電位の測定時間を10分間とした。
各電極の測定における電位シフトΔEを図11に示す。図11から、イオン液体含有膜上に親水性膜を有する電極である電極F~Jは、参考例である銀-塩化銀参照電極と同程度又は小さい電位シフトΔEを示した。一方で、親水性膜を有しない電極Aのみが大きい電位シフトΔEを示した。
以上のことから、イオン液体含有膜とイオン液体含有膜上に配置されている親水性膜とを備える電極が、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す参照電極として好適に用いることができることがわかった。
[実施例3:イオンセンサの性能検討]
次に、上記のイオン液体含有膜とイオン液体含有膜上に配置されている親水性膜とを備える電極を有するイオンセンサの性能を検討した。
(イオンセンサの作製)
絶縁基板上にカリウムイオン選択性電極及び参照電極を備える、図5に示すようなセンサを作製した。実施例として、上記の電極Jを参照電極として用いたセンサを、比較例として、上記の電極Aを参照電極として用いたセンサをそれぞれ2サンプルずつ作製した。
カリウムイオン選択性電極は、以下のようにして作製した。上記の電極Aと同様にして、内部電極である白金電極の上に、内部固体層を形成した。次いで、内部固体層上に、イオノフォア(バリノマイシン)3質量部、可塑剤(リン酸トリス(2-エチルへキシル))67.9質量部、アニオン排除剤(テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウム)0.3質量部、及びバインダ樹脂(ポリ塩化ビニル)28.8質量部を含有するテトラヒドロフラン溶液を塗布し、乾燥させることにより、内部固体層を被覆するカリウムイオン選択性膜を作製した。カリウムイオン選択性電極の平均厚さは、60μmであった。
(標準血清の測定)
図12に示す測定系で、実施例、及び比較例のカリウムイオンセンサの性能評価を行った。具体的には絶縁基板602上に第1の電極(参照電極)610及び第2の電極(カリウムイオン選択性電極)620を備えるセンサ(カリウムイオンセンサ)600に、測定試料640を滴下した。電位差計630を介して第1の電極(参照電極)610及び第2の電極(カリウムイオン選択性電極)620を接続すると共に、第2の電極(カリウムイオン選択性電極)620と、測定試料640に浸漬した銀-塩化銀参照電極608(飽和KCl、ダブルジャンクションNaCl 140mM(mmol・dm-3))とを電位差計632を介して接続した。
具体的なプロトコルは、以下のとおりである。まず、測定試料640として標準血清(JCTCM 130-4 M)を滴下し、第1の電極(参照電極)610を基準とする第2の電極(カリウムイオン選択性電極)620の電極電位Eを測定すると共に、銀-塩化銀参照電極608を基準とする第2の電極(カリウムイオン選択性電極)620の電極電位Erefを3分間測定した。次に、上記の緩衝溶液(K1バッファー)でセンサを洗浄した後、同様の測定を緩衝溶液(K1バッファー)についても行い、第1の電極(参照電極)610を基準とする第2の電極(カリウムイオン選択性電極)620の電極電位Ebase及び銀-塩化銀参照電極608を基準とする第2の電極(カリウムイオン選択性電極)620の電極電位Eref_baseを測定した。その後、電位差(ΔE=E-Ebase及びΔEref=Eref-Eref_base)を算出した。なお、標準血清において、K、Na、Cl、及びアルブミンの濃度は、それぞれ、4.37mM、140.4mM、105.1mM、及び3.1g/dLであった。
作製した2つの実施例のセンサ、及び2つの比較例のセンサについて上記測定を行い、実施例のセンサ及び比較例のセンサのそれぞれに関して、電位差ΔEの平均値を計算した。また、計4つのセンサについての電位差ΔErefの平均値を計算した。実施例のセンサ及び比較例のセンサのそれぞれにおける電位差ΔEの平均値、及び計4つのセンサについてのΔErefの平均値を図13に示す。
イオン液体含有膜だけでなく親水性膜を備える参照電極を用いた実施例のセンサでは、従来の臨床測定において用いられている銀-塩化銀参照電極を用いた参考例の結果と同等の測定結果が得られた。一方、親水性膜を有しない参照電極を用いた比較例のセンサでは参考例のセンサに対して測定結果が大きく異なっていた。以上のことから、イオン液体含有膜上に親水性膜を備える本実施形態の参照電極を備えるセンサが生体試料の測定時においても安定した電位を与えることが示唆された。
[実施例4:アルブミンセンサによる生体試料の測定]
(アルブミンセンサの作製)
絶縁基板上にアルブミン測定用電極及び参照電極を備えるセンサを3サンプル作製した。上記と同様にして、アルミナ基板上に隣接して電極A及び電極Jを作製した。
(検量線の作成)
作製したセンサを用いて、アルブミンを含むリン酸緩衝溶液の電位Eを測定した。次いで、センサをリン酸緩衝液で洗浄した後、同様の測定をリン酸緩衝液についても行い、電位Ebaseを測定した。その後、電位差ΔE(ΔE=E-Ebase)を算出した。測定する試料のアルブミン濃度を変更して、計3回の測定を行い、アルブミン濃度と電位差ΔEの関係をプロットすることで、検量線を作成した。作成した検量線を図14に示す。この結果から、イオン液体含有膜を備える電極を作用電極とし、イオン液体含有膜及び親水性膜を備える電極を参照電極としたセンサがアルブミンセンサとして用いることができることがわかった。
[実施例5:pHセンサによる生体試料の測定]
親水性膜が、イオン液体含有膜を備える固体型の電極だけでなく、イオン液体含有膜を備える内部液型の電極においても、アルブミンによる電位シフトを抑制することを検証するために、市販の内部液型の参照電極を備えるpHメータを用いてアルブミン含有溶液の測定を行った。
(pHメータの準備及び作製)
比較例として、液絡部にイオン液体含有膜が配置された銀-塩化銀参照電極と、ガラスpH電極とを備える市販のpHメータ(PUREIL、株式会社堀場製作所、商品名)を準備した。また、当該pHメータの液絡部におけるイオン液体含有膜上に、電極Fと同様にして作製したポリビニルアルコールハイドロゲル膜を圧着し、テープで固定することにより、実施例のpHメータを作製した。また、参考例1として、イオン液体含有膜を有しない銀-塩化銀参照電極と、ガラスpH電極とを備える市販のpHメータを準備した。参考例2として、銀-塩化銀参照電極と、ガラス膜pH電極とを備える市販のpHメータを準備した。
(アルブミン溶液のpH測定)
上記のようにして作製した実施例、比較例、参考例1、及び参考例2のpHメータを用いて、pH7.4の緩衝溶液にアルブミンを種々の濃度(3g/dL、6g/dL、又は10g/dL)で添加した溶液をそれぞれ測定した。測定方法は、各pHメータの附属説明書を参照した。結果を図15に示す。
図15から、液絡部にイオン液体含有膜が配置された比較例の参照電極は、アルブミン濃度に応じて測定結果が大きく変化しており、アルブミンの影響により正しいpHを測定できていないことが示唆される。一方、イオン液体含有膜上に親水性膜が配置された実施例のpHメータ、並びにイオン液体含有膜を有しない参考例1及び2のpHメータは、アルブミン濃度に依存せずpH約6.8を示しており、親水性膜が、イオン液体含有膜を備える固体型の電極だけでなく、イオン液体含有膜を備える内部液型の電極においても、アルブミンによる電位シフトを抑制することが示唆された。
[実施例6:多層構造の親水性膜を有する電極]
以下に示す各方法で、親水性膜を形成したこと以外は電極Eと同様にして、電極K、及びLを作製した。電極K及びLにおいて、親水性膜の平均厚さはそれぞれ約10μm及び約20μmであった。
電極K:プルラン10質量%及びグリセロール3質量%を含む水溶液をイオン液体含有膜上に滴下し、乾燥させた。さらに、メトローズSH(信越化学工業社製、製品名)5質量%及びグリセロール1.5質量%を含む80質量%エタノール溶液をプルラン膜上に滴下し、乾燥させた。
電極L:プルラン10質量%及びグリセロール3質量%を含む水溶液をイオン液体含有膜上に滴下し、乾燥させた。さらに、メトローズSH(信越化学工業社製、製品名)5質量%及びグリセロール1.5質量%を含む80質量%エタノール溶液をプルラン膜上に滴下し、乾燥させた。さらに、プルラン10質量%及びグリセロール3質量%を含む水溶液をメトローズ膜上に滴下し、乾燥させた。
上記電極K及びLも、電極E~Jのようにアルブミンによる電位シフトが抑制される電極であり、生体試料の測定時においても安定した電極電位を示す参照電極として好適に用いることができる。
100,150,170,200…参照電極、102,202,302,418,428…内部電極、104,304,412,422…内部固体層、106,210,306,414…イオン液体含有膜、108,212,416…親水性膜、152,172,174…被覆部材、204…収容体、206…内部液、208…液絡部、300…アルブミン測定用電極、400,600…センサ、402,502,602…絶縁基板、410,610…第1の電極、420,620…第2の電極、423…イオン選択性膜、430,510,630,632…電位差計、440,506,640…測定試料、504…電極、508,608…銀-塩化銀参照電極。

Claims (22)

  1. イオン液体含有膜と、前記イオン液体含有膜上に配置されている親水性膜と、を備える、参照電極。
  2. 前記親水性膜が、親水性高分子を含む、請求項1に記載の参照電極。
  3. 前記親水性高分子が、多糖類及びその架橋体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の参照電極。
  4. 前記多糖類が、プルラン、セルロース、ペクチン、アカルボース、アミロペクチン、イヌリン、キチン、キトサン、βグルカン、グリコーゲン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、スタキオース、デキストラン、デキストリン、マルトトリオース、マンナン、メレジトース、ラフィノース、及びレバン、並びにこれらの誘導体からなる群より選択される、請求項3に記載の参照電極。
  5. 前記親水性高分子が、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム、及びポリメタクリル酸メチル、並びにアクリルアミド、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、又はミリスチルアルコールに由来する単量体単位を含む重合体、並びにこれらの誘導体、並びにそれらの架橋体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の参照電極。
  6. 前記親水性高分子が、水溶性である、請求項2~5のいずれか1項に記載の参照電極。
  7. 前記親水性膜の平均厚さが、1μm以上1000μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の参照電極。
  8. 前記親水性膜が、組成の異なる2以上の層からなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の参照電極。
  9. 前記イオン液体含有膜が、イオン液体を含有するゲル膜である、請求項1~8のいずれか1項に記載の参照電極。
  10. 前記参照電極が、内部電極と、前記内部電極上に配置されている内部固体層とを備える固体型の電極であり、
    前記イオン液体含有膜が、前記内部固体層上に配置されている、
    請求項1~9のいずれか1項に記載の参照電極。
  11. 前記内部固体層が、インサーション材料及びイオン伝導性セラミックスを含有する、請求項10に記載の参照電極。
  12. 前記インサーション材料が、金属酸化物、酸素レドックス材料、又はプルシアンブルー類似体である、請求項11に記載の参照電極。
  13. 前記金属酸化物が、MxMnO2(MはNa又はKを示し、xは任意の正数を示す。)である、請求項12に記載の参照電極。
  14. 前記イオン伝導性セラミックスが、β”アルミナ又はβアルミナである、請求項11~13のいずれか1項に記載の参照電極。
  15. 内部電極と、前記内部電極を浸漬する内部液と、前記内部電極及び前記内部液を収容する収容体と、を更に備え、
    前記収容体は液絡部を有し、
    前記液絡部において、前記内部液と試料溶液とを隔離するように前記イオン液体含有膜が配置され、
    前記親水性膜が、前記イオン液体含有膜上の前記試料溶液側に位置している、
    請求項1~9のいずれか1項に記載の参照電極。
  16. 絶縁基板と、前記絶縁基板上に配置されている第1の電極及び第2の電極と、を備え、
    前記第1の電極が、イオン液体含有膜と、前記イオン液体含有膜上に配置されている親水性膜と、を備える、センサ。
  17. 前記第1の電極を基準として、前記第2の電極における電極電位を測定する、請求項16に記載のセンサ。
  18. 前記第1の電極が、請求項1~15のいずれか1項に記載の参照電極である、請求項16又は17に記載のセンサ。
  19. 前記第1の電極及び前記第2の電極が、内部電極と、前記内部電極上に配置されている内部固体層と、を備える電極であり、
    前記第1の電極において、前記イオン液体含有膜が前記内部固体層上に配置され、
    前記内部電極及び前記内部固体層は、前記第1の電極と前記第2の電極とで、実質的に同一である、
    請求項16~18のいずれか1項に記載のセンサ。
  20. イオン液体含有膜を備える、試料溶液中のアルブミンを検出又は測定するための電極。
  21. 前記第2の電極が、請求項20に記載の電極である、請求項16~19のいずれか1項に記載のセンサ。
  22. 前記第1の電極及び前記第2の電極が、内部電極と、前記内部電極上に配置されている内部固体層と、を備える電極であり、
    前記第1の電極及び前記第2の電極において、前記イオン液体含有膜が前記内部固体層上に配置され、
    前記内部電極、前記内部固体層及び前記イオン液体含有膜は、前記第1の電極と前記第2の電極とで、実質的に同一である、
    請求項21に記載のセンサ。
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