JP2023125347A - 切削加工機 - Google Patents

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Abstract

【課題】スピンドルの把持部に把持される切削ツールの振れ精度に優れた切削加工機を提供する。【解決手段】切削加工機10は、切削ツール6を収納するツールストッカ80と、切削ツール6の頂部6Tを把持する把持部53を有するスピンドル51を備えた切削装置50と、制御装置100と、を備え、ツールストッカ80は、切削ツール6の先端部6Bが押し当てられる押し当て部材82を備え、制御装置100は、把持部53に切削ツール6の頂部6Tを第1の長さL1だけ挿入させた後、把持部53を閉じて切削ツール6を仮把持する仮把持部108と、切削ツール6の先端部6Bが押し当て部材82に押し当てられた状態で把持部53に切削ツール6の頂部6Tを第1の長さL1より長い第2の長さL2だけ挿入させた後、把持部53を閉じて切削ツール6を本把持する本把持部109と、を備えている。【選択図】図15

Description

本発明は、切削加工機に関する。
従来から、切削ツールを軸回りに回転させて被切削物を切削加工する切削加工機が知られている。この種の切削加工機として、例えば、特許文献1には、被切削物を切削加工する切削ツールを把持する把持部を有するスピンドルと、被切削物を保持する保持部とを備えた切削加工機が開示されている。切削加工機は、一回の作業で多様な切削加工を自動的かつ連続的に実施するために、切削部形状の異なる複数の切削ツールを自動的に交換する自動刃物交換機能(オートツールチェンジャー,Auto Tool Changer:ATC)を備えている。複数の切削ツールは、例えば、ツールストッカに収容されている。
特開2017-13155号公報
ところで、ATCを用いてスピンドルの把持部によって把持される切削ツールを交換するときには、スピンドルを交換の対象となる切削ツールの上方に移動させ、把持部が開いた状態でスピンドルを下降させることで、切削ツールの頂部を把持部に挿入させる。そして、把持部を閉じることで切削ツールの頂部を把持部によって把持させる。しかしながら、ツールストッカに収納された切削ツールと、スピンドルとには微妙な位置ずれや角度ずれが生じ得るため、切削ツールを把持部に挿入させるときに、わずかに傾きが生じることがあり得る。この場合には、切削ツールの振れ精度が低下してしまい、切削品質が低下してしまうという問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スピンドルの把持部に把持される切削ツールの振れ精度に優れた切削加工機を提供することである。
本発明に係る切削加工機は、棒状に形成された複数の切削ツールを収納可能なツールストッカと、開閉可能に構成されかつ前記ツールストッカに収納された前記切削ツールの頂部を把持する把持部および前記把持部を回転させる回転ユニットを有するスピンドルを備え、前記切削ツールによって被切削物を切削する切削装置と、前記切削装置を移動させる移動装置と、前記切削装置および前記移動装置を制御する制御装置と、を備えている。前記ツールストッカは、前記切削ツールを収納可能な複数の収納孔が形成された本体部と、前記本体部の上面に設けられ、前記切削ツールの先端部が押し当てられる押し当て部材と、を備えている。前記制御装置は、前記把持部が開いた状態で前記切削装置を下降させて、前記把持部に前記切削ツールの前記頂部を第1の長さだけ挿入させた後、前記把持部を閉じて前記切削ツールを仮把持する仮把持部と、仮把持された前記切削ツールの前記先端部が前記押し当て部材の上方に位置するように前記切削装置を移動させた後、前記把持部が開いた状態で前記切削装置を下降させて、前記切削ツールの前記先端部が前記押し当て部材に押し当てられた状態で前記把持部に前記切削ツールの前記頂部を前記第1の長さより長い第2の長さだけ挿入させた後、前記把持部を閉じて前記切削ツールを本把持する本把持部と、を備えている。
本発明に係る切削加工機によると、仮把持部は、把持部に切削ツールの頂部を第1の長さだけ挿入させた後に、把持部を閉じて切削ツールを仮把持する。即ち、把持部は、切削ツールの頂部を通常より浅く把持する。そして、本把持部は、把持部によって仮把持された切削ツールを把持部が開いた状態で押し当て部材に押し当てながら、切削ツールの頂部を把持部に第2の長さだけ挿入させる。これにより、仮把持の際に切削ツールが把持部に対して傾いて把持されていた場合であっても、傾きが解消される。即ち、切削ツールの振れ精度が向上し、切削品質の向上を実現することができる。
本発明によれば、スピンドルの把持部に把持される切削ツールの振れ精度に優れた切削加工機を提供することができる。
図1は、一実施形態に係る切削加工機の斜視図である。 図2は、被切削物およびアダプタの平面図である。 図3は、左方から見た切削加工機の縦断面図である。 図4は、右方から見た切削加工機の縦断面図である。 図5は、ワークホルダの平面図である。 図6は、アダプタを交換中の切削加工機を示す縦断面図である。 図7は、切削装置室および駆動装置室の斜視図である。 図8は、ツールストッカの平面図である。 図9は、切削装置の下端部付近の一部破断側面図である。 図10は、切削ツール交換時の切削装置の先端部付近の側面図である。 図11は、切削加工機のブロック図である。 図12は、エアブローノズルと加工室の天壁との位置関係を示す断面図である。 図13は、エアブローノズルからのエアの噴射の制御手順を示すフローチャートである。 図14は、把持部に切削ツールの頂部が第1の長さだけ挿入された状態を示す側面図である。 図15は、押し当て部材に切削ツールの先端部が押し当てられた状態を示す斜視図である。 図16は、把持部に切削ツールの頂部が第2の長さだけ挿入された状態を示す側面図である。 図17は、切削ツールの交換の手順を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る切削加工機の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
[切削加工機の構成]
図1は、一実施形態に係る切削加工機10の斜視図である。以下の説明では、切削加工機10を正面から見たときに、切削加工機10から遠ざかる方を前方、切削加工機10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、切削加工機10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。
図2は、被切削物1およびアダプタ5の平面図である。本実施形態に係る切削加工機10は、アダプタ5に保持されたディスク状の被切削物1を切削加工する切削加工機である。切削加工機10は、ここでは、被切削物1を切削して、歯科用成形品、例えば、クラウン、ブリッジ、コーピング、インレー、アンレー、ベニア、カスタムアバットメント等の歯冠補綴物や、人工歯、義歯床等を作製する装置である。本実施形態に係る切削加工機10は、クーラントを使用しないドライ式の切削加工機である。
被切削物1は、例えば、PMMA、PEEK、ガラス繊維強化樹脂、ハイブリッドレジン等のレジンや、ガラスセラミックス、ジルコニア等のセラミックス材料、コバルトクロムシンターメタル等の金属材料、ワックス、石膏等で構成されている。被切削物1の材料としてジルコニアを用いるときには、例えば、半焼結したジルコニアが用いられる。被切削物1は、平板状に形成されている。ここでは、被切削物1の形状は、ディスク状(円板状)である。ただし、被切削物1は、他の形状、例えばブロック状(例えば立方体状や直方体状)等であってもよい。以下では、被切削物1の表面を第1面1A(図2参照)とし、裏面を第2面1B(図2参照)とする。第1面1Aと第2面1Bとの区別は便宜上のものであり、本実施形態では、加工前の被切削物1の第1面1Aと第2面1Bとは同じである。ただし、加工前の被切削物1の第1面1Aと第2面1Bとは区別可能に構成されていてもよい。
図2に示すように、アダプタ5は、ディスク状の被切削物1を保持する。アダプタ5は、ここでは、被切削物1に対応する略円形の挿入孔5aが中央部に形成された平板状のアダプタである。被切削物1は、挿入孔5aに挿入されることにより、アダプタ5に保持される。被切削物1は、アダプタ5に保持された状態で切削加工機10に収容され、加工される。
図3は、左方から見た切削加工機10の縦断面図である。図4は、右方から見た切削加工機10の縦断面図である。図1に示すように、切削加工機10は、箱状に構成された筐体11を有している。筐体11の内部は、アダプタ5(図2参照)を保持するワークホルダ20が収容された加工室120(図3も参照)と、ワークホルダ20を移動させるホルダ移動装置30(図4参照)が収容された駆動装置室130と、切削装置50(図3参照)およびエアブロー装置55(図3参照)および移動装置60(図3参照)が収容された切削装置室150(図3参照)と、ワークチェンジャ70が収容されたチェンジャ室170と、切削ツール6(図7参照)をツールストッカ80(図7参照)に収納するためのツール交換室180と、を含む複数の空間に区画されている。駆動装置室130は、第1室の一例である。加工室120は、第2室の一例である。
図1に示すように、加工室120は、筐体11の左下部分に配置されている。図3に示すように、加工室120は、筐体11の後端部まで延びている。チェンジャ室170は、加工室120の前方側部分の上方に配置されている。チェンジャ室170は、筐体11の前後方向の中央部まで延びている。駆動装置室130は、加工室120の右方に配置されている。図4に示すように、駆動装置室130は、筐体11の後端部まで延びている。ツール交換室180は、駆動装置室130の前方側部分の上方に配置されている。ツール交換室180は、筐体11の前後方向の中央部まで延びている。なお、駆動装置室130は加工室120の左方に配置されていてもよい。その場合、ツール交換室180は、チェンジャ室170の左方に配置されていてもよい。図3および図4に示すように、切削装置室150は、加工室120および駆動装置室130の上方であってチェンジャ室170、およびツール交換室180の後方に配置されている。切削装置室150は、ここでは、筐体11の左右方向の幅のほぼ全てを占めている。
図1に示すように、加工室120の前面開口部121(図3参照)には、加工室扉122が開閉自在に設けられている。駆動装置室130の前面開口部131(図4参照)には、駆動装置室扉132が設けられている。チェンジャ室170の前面開口部171(図3参照)には、チェンジャ室扉172が開閉自在に設けられている。ツール交換室180の前面開口部181(図4参照)には、ツール交換室扉182が開閉自在に設けられている。加工室扉122、チェンジャ室扉172、およびツール交換室扉182には、それぞれ、内部を視認可能なように透明な窓部122a、172a、および182aが設けられている。駆動装置室扉132の前面には、操作パネル110が設けられている。図3および図4に示すように、筐体11の前面(ここでは、加工室120、駆動装置室130、チェンジャ室170、およびツール交換室180の前面開口部121、131、171、181)は、底面に対して斜めに形成されている。筐体11の前面は、後方に傾くように形成されている。
ワークホルダ20は、切削ツール6(図9参照)によって切削される被切削物1を保持する保持装置の一例である。ワークホルダ20は、ここでは、アダプタ5を介して被切削物1を保持する。ただし、ワークホルダ20は、他の部材を介さず、直接に被切削物1を保持してもよい。図5は、ワークホルダ20の平面図である。図5に示すように、ワークホルダ20は、左右一対のアーム21を備えている。アダプタ5は、一対のアーム21の間に挿入されることによってワークホルダ20に保持される。一対のアーム21の間にアダプタ5が挿入される際の切削加工機10の動作については後述する。
図5に示すように、ホルダ移動装置30は、ワークホルダ20を支持して移動させるものである。本実施形態では、ホルダ移動装置30は、ワークホルダ20を前後方向に移動させる。より詳しくは、図4に示すように、ホルダ移動装置30は、ワークホルダ20(図3参照)を後方に向かって下降するように斜め前後方向に移動させる。ワークホルダ20は、ホルダ移動装置30により前方に移動されると上方にも移動する。ワークホルダ20は、ホルダ移動装置30により後方に移動されると下方にも移動する。以下では、ホルダ移動装置30によってワークホルダ20が移動される方向をX軸方向とも呼ぶ。また、以下では、特に断る必要がない場合には、X軸方向の前方を単に前方と、X軸方向の後方を単に後方と言うことがある。
図5に示すように、ホルダ移動装置30は、左右方向に延びるとともにワークホルダ20を支持する支持アーム31を備えている。図4に示すように、ホルダ移動装置30は、支持アーム31に接続されたX軸方向移動体32と、一対のX軸ガイドレール33と、X軸方向駆動モータ34と、ボールねじ35と、を備えている。ホルダ移動装置30は、支持アーム31をX軸方向に移動させることにより、ワークホルダ20をX軸方向に移動させる。ホルダ移動装置30は、その少なくとも一部が駆動装置室130に収容されている。ここでは、ホルダ移動装置30のX軸方向移動体32、一対のX軸ガイドレール33、X軸方向駆動モータ34、ボールねじ35、および支持アーム31の一部が駆動装置室130に収容されている。
図4に示すように、一対のX軸ガイドレール33は、X軸方向に延びている。X軸方向移動体32は、一対のX軸ガイドレール33に摺動可能に係合している。X軸方向移動体32は、X軸ガイドレール33に沿ってX軸方向に移動することが可能である。ボールねじ35は、X軸方向に延びている。ボールねじ35は、X軸方向移動体32に設けられたナットに噛み合わされている。X軸方向駆動モータ34は、ボールねじ35を軸線周りに回転させる。X軸方向駆動モータ34を駆動してボールねじ35を回転させると、X軸方向移動体32は、X軸ガイドレール33に沿ってX軸方向に移動する。なお、ホルダ移動装置30は、ボールねじ機構を有するものには限定されず、例えば、タイミングベルトやワイヤを有していてもよい。
図5に示すように、支持アーム31は、左右方向に延びる軸線AXb周りに回転する回転シャフト31aと、軸線AXbと直交するように回転シャフト31aに接続され回転シャフト31aとともに前後方向に回転する第1アーム31bと、軸線AXbに平行に(第1アーム31bと直交するように)第1アーム31bに接続された第2アーム31cと、を備えている。図4に示すように、X軸方向移動体32には、回転シャフト31a(図5参照)を軸線AXb周りに回転させるB軸回転モータ41Bが設けられている。B軸回転モータ41Bが駆動して回転シャフト31aが回転すると、ワークホルダ20は前後方向に回転する。以下、軸線AXbの伸長方向をB軸方向とも呼び、軸線AXb周りに回転することをB軸周りに回転するとも言う。また、回転装置40のうち、ワークホルダ20をB軸周りに回転させる装置をB軸回転装置40Bとも呼ぶ。
図5に示すように、回転装置40は、ワークホルダ20を左右方向に回転させるA軸回転装置40Aも備えている。図5に示すように、A軸回転装置40Aは、A軸回転モータ41Aと、回転軸42Aと、を備えている。A軸回転モータ41Aは、第2アーム31cに固定されている。回転軸42Aは、A軸回転モータ41A(より詳細にはA軸回転モータ41Aを含む駆動ユニット)に接続され、軸線AXaに沿って前後方向に延びている。A軸回転モータ41Aを駆動すると、回転軸42Aは、軸線AXa周りに回転する。以下では、軸線AXaの伸長方向をA軸方向とも呼び、軸線AXa周りに回転することをA軸周りに回転するとも言う。
加工室120は、複数の壁によって区画され、ワークホルダ20を収容している。図3に示すように、複数の壁は、底壁120D、左側壁120L(図1参照)、右側壁120R、後壁120Rr、前壁120F、および天壁120Uを含み、ここでは金属板によって形成されている。底壁120Dは、ワークホルダ20よりも下方に配置され、加工室120の底面を形成している。底壁120Dは、切削加工機10を水平面に設置したとき略水平になるように構成されている。天壁120Uは、ワークホルダ20よりも上方に配置され、加工室120の天面を形成している。左側壁120L、右側壁120R、後壁120Rr、および前壁120Fは、それぞれ、天壁120Uと底壁120Dとを接続するように立設されている。左側壁120Lは、底壁120Dの左端部に接続され、上方に向かって延びている。左側壁120Lは、ワークホルダ20よりも左方に立設されている。右側壁120Rは、底壁120Dの右端部に接続され、上方に向かって延びている。右側壁120Rは、ワークホルダ20よりも右方に立設されている。後壁120Rrは、底壁120Dの後端部に接続され、上方に向かって延びている。後壁120Rrの左端部および右端部は、それぞれ左側壁120Lの後端部および右側壁120Rの後端部に接続されている。後壁120Rrは、ワークホルダ20よりも後方に立設されている。前壁120Fは、底壁120Dの前端部に接続され、斜め上方に向かって延びている。前壁120Fは、ワークホルダ20よりも前方に立設されている。前壁120Fは、後方に傾くように延びている。前壁120Fの伸長方向は、X軸方向に直交する方向である。前壁120Fの左端部および右端部は、それぞれ左側壁120Lの前端部および右側壁120Rの前端部に接続されている。天壁120Uは、前壁120Fに直交する方向、すなわちX軸方向に平行に延びている。天壁120Uは、後方に向かって下降傾斜している。天壁120Uは、底壁120Dに対して非平行に設けられている。天壁120Uの前端部、左端部、右端部および後端部は、それぞれ前壁120Fの上端部、左側壁120Lの上端部、右側壁120Rの上端部、および後壁120Rrの上端部に接続されている。
図3に示すように、加工室120の前壁120Fには、前面開口部121が形成されている。前述したように、前面開口部121には、加工室扉122が開閉可能に設けられている。前面開口部121は、前壁120Fの下端よりも上方の位置から上方に向かって延びている。前壁120Fの下端部付近は、外部に向かって開放されていない隅部となっている。
図3および図4に示すように、右側壁120Rは、加工室120と駆動装置室130との間を区画している。加工室120の右側壁120Rは、駆動装置室130の左側壁でもある。右側壁120Rには、X軸方向に延びるとともにホルダ移動装置30の支持アーム31が通るスリット123が形成されている。スリット123は、支持アーム31が挿通される開口部である。図3に示すように、支持アーム31には、加工室120内で発生した切削粉が駆動装置室130に侵入することを防止する防塵板36が固定されている。防塵板36は、スリット123の少なくとも一部を覆うように設けられ、支持アーム31とともにX軸方向に移動する。防塵板36は、支持アーム31のうち加工室120内に位置した部分に固定され、加工室120内に設けられている。防塵板36は、ここでは、支持アーム31のX軸方向の位置に応じて、スリット123の異なる部分を覆うように構成されている。
図3は、ワークホルダ20が最もX軸方向の後方に後退した状態を図示している。図3は、ワークホルダ20が後方側のエンド位置に位置した状態を図示している。図6は、アダプタ5(図2参照)を交換中の切削加工機10を示す縦断面図である。図6の詳細は後述するが、図6は、ワークホルダ20が最もX軸方向の前方に前進した状態、すなわち前方側のエンド位置に位置した状態を図示している。図6に示すように、防塵板36は、支持アーム31(図5参照)がX軸方向の前方側のエンド位置に位置しているときにも、スリット123の後方側の端部を覆うように構成されている。後述するが、加工室120内では、風の流れにより、ワークホルダ20よりも後方に切削粉が集まる傾向がある。そのため、防塵板36は、支持アーム31がX軸方向の前方側のエンド位置に位置しているときにも、スリット123の後方側の端部を覆っている。一方、図3に示すように、防塵板36は、支持アーム31(図5参照)が後方側のエンド位置に位置しているとき、スリット123の前方側の端部よりも後方側に位置する。防塵板36は、支持アーム31が後方側のエンド位置に近づくに従って、スリット123の前方側のより多くの部分を開放する。これは、加工室120内の風の流れによりワークホルダ20よりも後方に切削粉が集まる傾向があり、ワークホルダ20よりも前方には切削粉が少ないことによる。これにより、防塵板36の長さが短縮されている。これにより、加工室120が前方に向かって長くなることが抑制されている。なお、スリット123の前方側の一部は、ワークホルダ20の位置にかかわらず開放されている。後述するが、これにより、駆動装置室130から加工室120に向かう風の流れが発生する。
図3に示すように、天壁120Uは、加工室120とチェンジャ室170との間を区画するとともに、加工室120と切削装置室150との間を区画している。天壁120Uには、加工室120とチェンジャ室170とを連通させる前方側開口部124と、加工室120と切削装置室150とを連通させる後方側開口部125と、が開口している。加工室120の天壁120Uの前方側部分は、チェンジャ室170の底壁でもある。前方側開口部124は、チェンジャ室170の下方に形成されている。前方側開口部124は、ワークチェンジャ70の搬送装置72によって搬送される被切削物1が通過可能な開口部である。後述するが、ここでは、搬送装置72は、アダプタ5を収納したアダプタ収納部71を前方側開口部124から加工室120に搬送する。
図3に示すように、加工室120の天壁120Uの後方側部分は、切削装置室150の底壁の左側部分でもある。後方側開口部125は、切削装置室150の下方に形成されている。後方側開口部125は、切削装置50の少なくとも一部、ここでは、スピンドル51の下方部分が通過可能な開口部である。後方側開口部125は、後述するZ軸方向移動装置60Zによってスピンドル51がZ軸方向(図3参照)に移動される際に、切削ツール6、エアブローノズル56およびスピンドル51の一部が通過する開口部である。詳しくは後述するが、後方側開口部125は、駆動装置室130と切削装置室150とを連通させるように、駆動装置室130の上方まで延びている(図7参照)。
図3に示すように、加工室120の底壁120Dは、略水平に構成された底部126と、底部126の後端部に接続され、そこから後方に向かって延びるスロープ127と、を備えている。スロープ127には、後方に向かう上り勾配がつけられている。スロープ127と底部126とは、屈折するように接続されている。スロープ127は、後壁120Rrに接続されている。スロープ127の下方には、空間が形成されている。
図3に示すように、底壁120Dには、排気口128が開口している。排気口128には、後述する排気ダクト92等を介して集塵機111(図11参照)が接続される。排気口128からは、加工室120内の空気や粉塵が排出される。排気口128は、スロープ127に設けられている。さらに詳しくは、排気口128は、スロープ127のうち後壁120Rrとの接続部に沿って開口している。排気口128の後縁は、後壁120Rrにより構成されている。排気口128は、スロープ127の最も後部に設けられている。スロープ127には、排気口128に向かう上り勾配がつけられている。
図5に示すように、排気口128は、ワークホルダ20よりも後方に開口している。これにより、ワークホルダ20を挟んで前方から後方に向かう風の流れが発生する。また、平面視において、スロープ127の少なくとも一部は、ワークホルダ20の少なくとも一部と重なっている(図3も参照)。これにより、切削加工により脱落した被切削物1の破片がスロープ127上に落下する。スロープ127上に落下した被切削物1の破片のうち大きいものは、排気口128からの吸引によっても排気口128に吸い込まれず、スロープ127を滑り落ちる。これにより、被切削物1の破片のうち大きいものが選別される。
図5に示すように、排気口128は、加工室120の左右方向の中心線CL(A軸とは、一致していなくてもよく、一致していてもよい)よりも右方に偏倚して設けられている。言い換えると、排気口128は、加工室120の左右方向の中心線CLよりも駆動装置室130の側に偏倚して設けられている。これにより、駆動装置室130の近くの粉塵(切削粉)等が重点的に排出されている。排気口128は、上方を向くように開口した1つのスリットである。排気口128は、左右方向の長さが前後方向の長さよりも長い略長方形に形成されている。
図3に示すように、本実施形態では、排気口128の下方に集塵チャンバ90が設けられている。集塵チャンバ90は、スロープ127の下面に固定されている。集塵チャンバ90は、上方が開放された箱状の部材であり、上方を向くように開口した上方開口部90Uが排気口128に接続されている。図3および図5に示すように、集塵チャンバ90は、上方開口部90Uと、底壁90Dと、前壁90Fと、左側壁90Lと、を備えている。集塵チャンバ90の後壁および右側壁は、それぞれ、加工室120の後壁120Rrおよび右側壁120Rによって形成されている。ただし、集塵チャンバ90は、加工室120と共用しない後壁および右側壁を備えていてもよい。底壁90D、前壁90F、左側壁90L、加工室120の後壁120Rr、および加工室120の右側壁120Rにより、集塵チャンバ90には、内部空間が形成されている。図5に示すように、集塵チャンバ90の内部空間は、平面視において排気口128よりも大きい。
集塵チャンバ90には、上方開口部90Uとダクト接続孔91とが形成されている。ダクト接続孔91は、排気ダクト92が接続される開口部である。図3に示すように、切削加工機10は、ダクト接続孔91に接続される排気ダクト92を備えている。ダクト接続孔91は、ここでは、集塵チャンバ90の後壁(加工室120の後壁120Rr)に開口している。上方開口部90U(排気口128)の開口方向とダクト接続孔91の開口方向とは交差している。ただし、ダクト接続孔91は、集塵チャンバ90の他の側壁(例えば、右側壁120R)に開口していてもよい。排気ダクト92の前端部は、ダクト接続孔91に接続されている。排気ダクト92は、集塵チャンバ90を介して排気口128および加工室120に連通している。排気ダクト92の後端部は、切削加工機10の外部まで延びている。排気ダクト92の後端部には、集塵機111(図11参照)が接続される。図5に示すように、集塵チャンバ90および排気ダクト92も、加工室120の左右方向の中心線CLよりも右方に、言い換えると、加工室120の左右方向の中心線CLよりも駆動装置室130の側に偏寄して設けられている。
ワークチェンジャ70は、複数の被切削物1を収納可能に構成されており、加工する被切削物1を交換するために使用される。図3に示すように、ワークチェンジャ70は、複数の被切削物1(ここでは、被切削物1が装着されたアダプタ5、図2参照)を収納可能なアダプタ収納部71と、アダプタ収納部71を加工室120に搬送する搬送装置72と、を備えている。例えば被切削物1の交換時のような場合を除き、アダプタ収納部71は、チェンジャ室170に収容されている。図1に示すように、アダプタ収納部71には、それぞれ1つのアダプタ5を収納する棚状の収納スペース71aが複数設けられている。複数の収納スペース71aは、上下方向に並んでいる。より詳しくは、複数の収納スペース71aは、X軸方向に直交する斜め上下方向(以下、L軸方向とも呼ぶ、図3参照)に並んで配置されている。
図3に示すように、搬送装置72は、L軸方向に延びるスライドアーム72Aと、L軸方向駆動モータ72Bと、ボールねじ72Cと、を備えている。スライドアーム72Aは、アダプタ収納部71に固定され、L軸方向に摺動可能である。スライドアーム72Aには、ボールねじ72Cが噛み合っている。L軸方向駆動モータ72Bは、ボールねじ72Cに接続され、ボールねじ72Cを回転させる。L軸方向駆動モータ72Bが駆動することによりボールねじ72Cが回転すると、スライドアーム72AがL軸方向に移動する。これにより、アダプタ収納部71がL軸方向に移動する。
図6は、アダプタ収納部71が加工室120内に下降した状態を示している。アダプタ収納部71は、加工室120の前方側開口部124を通って加工室120内に移動する。図6に示すように、アダプタ5は、ワークホルダ20がX軸方向の前方側に前進し、アダプタ5の収納スペース71a(図1参照)に突入することにより、ワークホルダ20に保持される。なお、本実施形態では、搬送装置72は、アダプタ収納部71を加工室120に搬送することにより複数の被切削物1を加工室120に搬送するが、搬送装置72の構成は、これに限定されない。搬送装置72は、アダプタ収納部71に収納された複数の被切削物1のうちの少なくとも1つの被切削物1を加工室120に搬送するように構成されていればよい。例えば、搬送装置72は、固定されたアダプタ収納部71の収納スペース71a内の被切削物1を把持して取り出し、ワークホルダ20に受け渡すように構成されていてもよい。
図3に示すように、切削装置50は、切削装置室150に収容されている。切削装置50は、ワークホルダ20に保持された被切削物1を切削ツール6によって切削する。切削装置50は、ワークホルダ20およびツールストッカ80(図7参照)よりも上方に設けられている。切削装置50は、切削ツール6を把持して回転させるスピンドル51を備えている。スピンドル51は、回転ユニット52と、回転ユニット52の下端部に設けられた把持部53と、を備えている。回転ユニット52は、X軸方向と直交する(ここでは、L軸方向と平行な)方向に延びている。以下、この方向をZ軸方向とも呼ぶ。回転ユニット52は、把持部53をZ軸方向に平行な軸線周りに回転させる。回転ユニット52は、ここでは、モータ内蔵のユニットである。ただし、回転ユニット52は、例えば、外部のモータとベルト等により接続されていてもよい。把持部53は、開閉可能に構成されている。把持部53は、Z軸方向の下方に突き出すように切削ツール6を把持する。より詳細には、把持部53は、ツールストッカ80(図7参照)に収納された切削ツール6の頂部6T(図10参照)を把持する。把持部53は、例えば、エア駆動式のコレットチャックである。ただし、把持部53の方式は特に限定されない。
図9は、切削装置50の下端部付近の一部破断斜視図である。図9に示すように、エアブロー装置55は、スピンドル51に設けられている。エアブロー装置55は、エアを噴射するエアブローノズル56と、エアブローノズル56を支持するノズル支持部材57とを有する。エアブローノズル56は、スピンドル51の把持部53の側方に設けられている。ノズル支持部材57は、把持部53よりもZ軸方向の上方に設けられている。ノズル支持部材57は、スピンドル51と一体に設けられている。ノズル支持部材57は、ここでは、回転ユニット52に固定されている。ノズル支持部材57は、Z軸方向に移動可能なようにエアブローノズル56を支持している。詳しくは、ノズル支持部材57は、Z軸方向下方側のエンド位置Pd(図9に示した位置、下方側エンド位置Pdとも呼ぶ)と下方側エンド位置PdよりもZ軸方向の上方側にある他の位置との間を移動可能なようにエアブローノズル56を支持している。エアブローノズル56の下方側エンド位置Pdは、把持部53の側方に設定されている。下方側エンド位置Pdでは、把持部53とエアブローノズル56とは、X軸方向に並んでいる。
図9に示すように、ノズル支持部材57は、エアブローノズル56が挿通されたガイド孔57aと、エアブローノズル56が下方側エンド位置Pdよりも下方に移動することを規制するストッパ57bと、を備えている。また、エアブロー装置55は、ノズル支持部材57に支持されたエアブローノズル56を付勢して、エアブローノズル56を下方側エンド位置Pdに保持する付勢部材58を備えている。付勢部材58は、ここでは、コイルスプリングである。ただし、付勢部材58は、コイルスプリングには限定されず、例えば、エアシリンダ等であってもよい。エアブローノズル56は、下方側エンド位置Pdでストッパ57bに当接する当接部56aを備えている。ストッパ57bと付勢部材58とにより、エアブローノズル56は、下方側エンド位置Pdに保持される。また、エアブローノズル56は、Z軸の上方に向かって押されると、付勢部材58の付勢力に抗して、ガイド孔57aに沿ってZ軸の上方に移動する。
エアブローノズル56は、ワークホルダ20よりも上方に設けられており、下方(ここでは、鉛直方向下方)に向かってエアを噴射するように構成されている。エアブロー装置55によるエアの噴射方向は、鉛直方向下方である。これにより、把持部53に把持された切削ツール6に対して斜めにエアが吹きつけられる。ただし、エアブローノズル56は、その他の方向にエアを噴射してもよい。エアブローノズル56は、その側壁に形成されZ軸方向に斜交するように延びるカット面56bを備えている。カット面56bは、Z軸方向の下方に向かうにつれて把持部53に近づくような傾斜を有している。ここでは、カット面56bは、エアブローノズル56の下端から斜め上方に向かって延びている。
スピンドル51の把持部53に把持された切削ツール6をツールストッカ80に戻すときや、ツールストッカ80の切削ツール6を把持部53に把持させる際には、Z軸方向移動装置60Zは、ツールストッカ80に収納された切削ツール6を把持または解放するように設定されたZ軸方向の所定位置(以下、作業位置Poとも呼ぶ)に把持部53を移動させる。図10は、切削ツール6の交換時の切削装置50の先端部付近の斜視図である。図10は、把持部53が作業位置Poに位置した状態を図示している。図10に示すように、エアブローノズル56は、把持部53がZ軸方向の作業位置Poに位置した状態ではツールストッカ80に当接する。このとき、エアブローノズル56は、ツールストッカ80に押され、付勢部材58の付勢力に抗して下方側エンド位置PdよりもZ軸方向の上方に位置する。
エアブローノズル56は、ツールストッカ80に当接していないときには、ツールストッカ80に当接しているときよりもZ軸方向の下方の下方側エンド位置Pdに位置する。これにより、被切削物1の加工時、クリーニング時、または加工室120のクリーニング時(エアブロー装置55は、加工室120内やワークホルダ20にエアを噴射するように構成されており、加工室120のクリーニングにも使用される)、切削ツール6の先端部6B等にエアブローノズル56を近づけることができる。一方で、エアブローノズル56が下方側エンド位置Pdにあると、スピンドル51の把持部53に装着した切削ツール6をツールストッカ80に戻すときや、ツールストッカ80の切削ツール6を把持部53に装着する際には、長いエアブローノズル56がツールストッカ80や切削ツール6と干渉する。そこで、本実施形態では、エアブロー装置55は、エアブローノズル56がZ軸方向の上方に押されると上方に移動する(縮む)ように構成されている。
エアブローノズル56のカット面56bは、物体が側方からエアブローノズル56を押したときにエアブローノズル56が上方に移動するために設けられたものである。物体が側方からカット面56bを押すと、その押圧力の一部はカット面56bによってZ軸方向の上方向きの力に変換され、エアブローノズル56が上方に移動する。
図3に示すように、切削装置50およびエアブロー装置55を移動させる移動装置60は、切削装置室150に収容されている。移動装置60は、ワークホルダ20よりも上方に設けられている。移動装置60は、切削装置50およびエアブロー装置55をZ軸方向および左右方向に移動させる。左右方向は、X軸方向およびZ軸方向に直交する方向である。以下では、左右方向のことをY軸方向とも呼ぶ。移動装置60が切削装置50をY軸方向およびZ軸方向に移動させ、ホルダ移動装置30がワークホルダ20をX軸方向に移動させることにより、切削ツール6と被切削物1との位置関係が三次元的に変化する。Z軸方向は、加工室120の天壁120Uに交差する(ここでは直交する)方向であり、切削装置50およびエアブロー装置55は、Z軸方向の移動により、加工室120内に出現し、または、切削装置室150内に退避する。移動装置60は、その少なくとも一部がワークホルダ20よりも上方かつ天壁120Uよりも下方に配置されるような位置に切削装置50およびエアブロー装置55を移動させることが可能である。移動装置60は、加工室120と切削装置室150と駆動装置室130との間で切削装置50およびエアブロー装置55を移動させることが可能である。
図7は、切削装置室150および駆動装置室130の斜視図である。図7では、切削装置室150および駆動装置室130の内部が見えるように、一部の部材の図示を省略している。図7に示すように、移動装置60は、Y軸方向移動装置60Yと、Z軸方向移動装置60Zと、を備えている。Y軸方向移動装置60Yは、切削装置50およびエアブロー装置55をY軸方向に移動させる装置である。Z軸方向移動装置60Zは、切削装置50およびエアブロー装置55をZ軸方向に移動させる装置である。Y軸方向移動装置60Yは、Y軸方向に延びる一対のY軸ガイドレール61Yと、Y軸ガイドレール61Yに摺動可能に係合したY軸方向移動体62Yと、Y軸方向駆動モータ63Yと、ボールねじ64Yと、を備えている。一対のY軸ガイドレール61Yは、切削装置室150の底壁(即ち加工室120の天壁120U)に設けられている。Y軸ガイドレール61Yは、加工室120の上方から駆動装置室130の上方まで延びている。Y軸方向移動体62Yは、Y軸ガイドレール61Yに沿ってY軸方向に移動可能である。Y軸方向移動体62Yは、Y軸ガイドレール61Yに沿って加工室120の上方から駆動装置室130の上方まで移動することができる。Y軸方向移動体62Yは、Z軸方向移動装置60Zを支持している。なお、図示は省略するが、Y軸方向移動体62Yの左右には、それぞれ蛇腹が設けられていてもよい。右側の蛇腹の両端は、それぞれ、Y軸方向移動体62Yの右端および後方側開口部125の右端に連結されている。左側の蛇腹の両端は、それぞれ、Y軸方向移動体62Yの左端および後方側開口部125の左端に連結されている。蛇腹により、後方側開口部125から切削装置室150に粉塵等が侵入することが抑制される。
図7に示すように、ボールねじ64Yは、Y軸方向に延びている。ボールねじ64Yは、Y軸方向移動体62Yに噛み合わされている。Y軸方向駆動モータ63Yは、ボールねじ64Yを回転させる。Y軸方向駆動モータ63Yが駆動し、ボールねじ64Yが回転すると、Y軸方向移動体62Yは、Y軸ガイドレール61Yに沿ってY軸方向に移動する。これにより、Z軸方向移動装置60Zおよび切削装置50およびエアブロー装置55がY軸方向に移動する。
図3に示すように、Z軸方向移動装置60Zは、Z軸方向に延びる一対のZ軸ガイドシャフト61Zと、Z軸ガイドシャフト61Zに摺動可能に係合し切削装置50およびエアブロー装置55を支持するZ軸方向移動体62Zと、Z軸方向駆動モータ63Zと、図示しないボールねじと、を備えている。Z軸方向移動装置60Zは、Z軸方向に移動可能に切削装置50およびエアブロー装置55を支持している。Z軸方向移動装置60Zは、Y軸方向移動装置60YがZ軸方向移動装置60Zを移動させるのと同様の仕組みで、切削装置50およびエアブロー装置55をZ軸方向に移動させる。
図3に示すように、切削装置室150の天壁150Uには、吸気口152が開口している。吸気口152は、ここでは、左右方向に並んだ複数のスリットから構成されている。ただし、吸気口152の形状は特に限定されない。吸気口152は、排気口128から空気が排出されるのに応じて、切削加工機10内に外部の空気を取り込むための開口部である。吸気口152は、切削装置室150に連通している。さらに吸気口152は、切削装置室150を介して駆動装置室130およびチェンジャ室170にも連通している。切削装置室150と駆動装置室130とは、切削装置室150の底壁(駆動装置室130の天壁)に開口した後方側開口部125(図7参照)によって連通されている。切削装置室150とチェンジャ室170とは、特に仕切なく連通している。加工室120は、切削装置室150および駆動装置室130を介して吸気口152と連通している。駆動装置室130と加工室120とは、加工室120の右側壁120R(駆動装置室130の左側壁)に開口したスリット123によって連通されている。加工室120は、切削装置室150およびチェンジャ室170を介しても吸気口152と連通している。チェンジャ室170と加工室120とは、加工室120の天壁120U(チェンジャ室170の底壁)に開口した前方側開口部124によって連通されている。
吸気口152が切削装置室150に連通し、切削装置室150と加工室120とが後方側開口部125によって連通し、さらに、加工室120に排気ダクト92が連通していることにより、集塵機111を駆動させると、図3に示すように、吸気口152から切削装置室150を経由して加工室120に向かう風の流れF3が発生する。切削装置室150の内圧は、加工室120の内圧よりも高くなる。よって、加工室120で発生した切削粉等が切削装置室150に侵入しにくくなる。同様に、吸気口152がチェンジャ室170に連通し、チェンジャ室170と加工室120とが前方側開口部124によって連通していることにより、集塵機111を駆動させると、図3に示すように、吸気口152からチェンジャ室170を経由して加工室120に向かう風の流れF4が発生する。チェンジャ室170の内圧は、加工室120の内圧よりも高くなる。これにより、加工室120で発生した切削粉等がチェンジャ室170に侵入しにくくなる。さらに、吸気口152が駆動装置室130に連通し、駆動装置室130と加工室120とがスリット123によって連通していることにより、集塵機111を駆動させると、図5に示すように、吸気口152(図3参照)から駆動装置室130を経由して加工室120に向かう風の流れF5が発生する。駆動装置室130の内圧は、加工室120の内圧よりも高くなる。これにより、加工室120で発生した切削粉等が駆動装置室130に侵入しにくくなる。
図7に示すように、本実施形態では、ツールストッカ80は、駆動装置室130に収容されている。ツールストッカ80は、複数の棒状に形成された切削ツール6を収納可能に構成されている。複数の切削ツール6は、例えば、被切削物1の材料や切削の種類に応じて使い分けられる。ツールストッカ80は、X軸方向移動体32に支持されている。詳しくは、ツールストッカ80は、X軸方向移動体32の上面に固定されている。従来、ツールストッカは、ホルダ移動装置の支持アームに支持されていた。そのため、従来の切削装置では、支持アームが撓みやすく、被切削物1の切削において被切削物1にあまり負荷を掛けることができなかった。具体的には、切削による負荷を考慮して、時間当たりの切削量を制限するなどしていた。本実施形態では、ツールストッカ80がX軸方向移動体32に支持されることにより、支持アーム31の負荷が低減されている。
図8は、ツールストッカ80の平面図である。図8に示すように、ツールストッカ80は、それぞれ切削ツール6を収納可能な複数の収納孔81が形成された本体部80Aと、本体部80Aの上面80Uに設けられた押し当て部材82およびツールセンサ83と、を備えている。複数の収納孔81は、本体部80AをZ軸方向に貫通するように形成されている。複数の収納孔81は、千鳥状に配置されている。詳しくは、ツールストッカ80には、複数の収納孔81のうちの一部の複数の収納孔81が所定の並び方向(ここでは、Y軸方向)に並んだ列81A~81Eが形成されており、複数の列81A~81Eのうちの隣り合った2つの列(例えば、列81Aと列81B)は、並び方向の位置がずれている。上記隣り合った2つの列の間の並び方向の位置のずれ量は、各列81A~81Eにおける収納孔81のピッチの半分以下である。かかる千鳥配置により、複数の収納孔81の配置が密となっている。その結果、スペースに対する切削ツール6の収納効率が向上している。なお、複数の列81A~81Eは、1つおきに並び方向の位置が揃っている。
図8に示すように、押し当て部材82は、切削ツール6の先端部6B(図9参照)が押し当てられる部材である。後述するように、押し当て部材82は、スピンドル51の把持部53によって切削ツール6を本把持するときに切削ツール6の先端部6Bが押し当てられる。ここでは、押し当て部材82は、樹脂材料から形成されているが、ゴム材料等から形成されていてもよい。押し当て部材82が比較的柔らかい材料から形成されていることにより、切削ツール6の先端部6Bの摩耗や劣化を抑制することができる。押し当て部材82は、収納孔81より後方に配置されている。押し当て部材82は、本体部80Aの上面80Uから上方に向けて突出している。
図8に示すように、ツールセンサ83は、切削ツール6の長さを検出するセンサである。ツールセンサ83は、導電性材料から形成されている。ツールセンサ83と切削ツール6とが接触したときには、電流が流れるように構成されている。ツールセンサ83は、ツールセンサ83と切削ツール6とが接触したときのスピンドル51の位置に基づいて、切削ツール6の長さを検出する。ツールセンサ83は、押し当て部材82の側方(ここでは右方)に設けられている。ツールセンサ83は、収納孔81より後方に配置されている。ツールセンサ83は、本体部80Aの上面80Uから上方に向けて突出している。
切削装置50は、ツールストッカ80に収納された各切削ツール6を把持可能に構成され、把持した切削ツール6によってワークホルダ20に保持された被切削物1を切削する。これを可能とするように、移動装置60は、切削装置50を駆動装置室130と切削装置室150と加工室120との間で移動させる。また、ホルダ移動装置30は、ツールストッカ80を切削装置室150の下方に移動させる。
図7に示すように、ホルダ移動装置30は、Y軸方向移動装置60Yによる切削装置50の移動経路の下方に設定されたツール把持位置P1にツールストッカ80を移動させることが可能に構成されている。ツール把持位置P1は、後方側開口部125の下方の位置である。ツール把持位置P1にツールストッカ80を移動させ、かつ、切削装置50をツール把持位置P1の上方の位置に移動させた状態でZ軸方向移動装置60Zを駆動して切削装置50を下降させることにより、切削装置50にツールストッカ80の切削ツール6を把持させることができる。なお、切削ツール6の仮把持および本把持については後述する。
図7に示すように、ホルダ移動装置30は、ツール把持位置P1よりも前方に設定されたツール交換位置P2にツールストッカ80を移動させることが可能に構成されている。ツール交換位置P2は、ツール交換室180の底壁183の下方に設定されている。ツール交換室180の底壁183は、ツール交換室180と駆動装置室130とを区画している。ツール交換室180の底壁183には、ツール交換位置P2の上方に位置しかつZ軸方向に開口した開口部184が形成されている。開口部184は、ユーザがツールストッカ80に切削ツール6を抜き差しするための開口部である。ホルダ移動装置30を駆動してツールストッカ80をツール交換位置P2に移動させると、ユーザは、開口部184を通してツールストッカ80にアクセスすることができる。開口部184が形成されたツール交換室180を設けることにより、切削ツール6の交換時などにユーザがホルダ移動装置30に触れてしまうことが防止されている。また、かかる構成により、切削ツール6の交換時などに駆動装置室130に外部の異物が侵入することが抑制されている。
制御装置100は、ホルダ移動装置30、移動装置60、切削装置50などに接続され、それらの動作を制御している。図11は、切削加工機10のブロック図である。図11に示すように、制御装置100は、ホルダ移動装置30のX軸方向駆動モータ34と、回転装置40のA軸回転モータ41AおよびB軸回転モータ41Bと、切削装置50の回転ユニット52および把持部53と、移動装置60のY軸方向駆動モータ63YおよびZ軸方向駆動モータ63Zと、ワークチェンジャ70のL軸方向駆動モータ72Bと、エアブロー装置55と、集塵機111と、操作パネル110と、に接続され、それらの動作を制御している。なお、集塵機111の制御は、制御装置100ではなく、集塵機111に内蔵された制御装置または外部の装置によって行われてもよい。
制御装置100の構成は特に限定されない。制御装置100は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から切削データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置と、を備えている。
図11に示すように、制御装置100は、切削制御部101と、ブロー制御部103と、ワーク交換部105と、ツール交換部107と、を備えている。制御装置100の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、制御装置100の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。
切削制御部101は、ホルダ移動装置30のX軸方向駆動モータ34と、回転装置40のA軸回転モータ41AおよびB軸回転モータ41Bと、切削装置50の回転ユニット52と、移動装置60のY軸方向駆動モータ63YおよびZ軸方向駆動モータ63Zとを制御して、被切削物1を指定された形状に切削する。被切削物1の切削加工中には、集塵機111が駆動される。
ブロー制御部103は、エアブロー装置55を制御してエアブローノズル56からエアを噴射する。ブロー制御部103は、エアブローノズル56の位置に基づいて、エアブローノズル56からエアを噴射することと噴射しないこととを制御する。ブロー制御部103は、エアブローノズル56の位置に基づいて、エアブローノズル56が、切削装置室150、加工室120および駆動装置室130のいずれに位置するか判断する。なお、エアブローノズル56の位置は、移動装置60のY軸方向駆動モータ63YおよびZ軸方向駆動モータ63Zの駆動量により決定される。ブロー制御部103は、エアブローノズル56が切削装置室150に位置するときにはエアブローノズル56からエアを噴射しないように制御する。ブロー制御部103は、エアブローノズル56が駆動装置室130に位置するときには、原則として、エアブローノズル56からエアを噴射しないように制御する。なお、ブロー制御部103は、エアブローノズル56が駆動装置室130に位置するときであっても、スピンドル51の把持部53によってツールストッカ80に収納された切削ツール6を把持するときにはエアブローノズル56から切削ツール6に向けてエアを噴射するように構成されている。即ち、ブロー制御部103は、切削ツール6を把持部53によって把持する直前にエアブローノズル56からエアを噴射させて、切削ツール6に付着した切削粉を除去する。また、ブロー制御部103は、エアブローノズル56が駆動装置室130に位置するときであっても、スピンドル51の把持部53に把持された切削ツール6をツールストッカ80に収納するとき(返却するとき)にはエアブローノズル56から切削ツール6に向けてエアを噴射するように構成されている。即ち、ブロー制御部103は、把持部53に把持された切削ツール6をツールストッカ80に収納する直前にエアブローノズル56からエアを噴射させて、切削ツール6とツールストッカ80との間に切削粉が侵入しないようにする。ブロー制御部103は、エアブローノズル56が加工室120に位置するときにはエアブローノズル56からエアを噴射するように制御する。ブロー制御部103は、被切削物1の切削加工中には、適宜にエアブロー装置55を制御してエアブローノズル56からエアを噴射させて、被切削物1、アダプタ5、およびワークホルダ20に付着した切削粉を除去する。図12に示すように、ブロー制御部103は、エアブローノズル56が加工室120の天壁120Uよりも上方に位置するときにはエアブローノズル56からエアを噴射しないように構成されている。ブロー制御部103は、エアブローノズル56が加工室120の天壁120Uよりも下方に位置するときのみエアブローノズル56からエアを噴射可能に構成されている。
次に、エアブローノズル56からのエアの噴射の制御手順について説明する。図13は、エアブローノズル56からのエアの噴射の制御手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS110において、ブロー制御部103は、エアブローノズル56が加工室120の天壁120Uよりも上方に位置するかどうかを判断する。エアブローノズル56が天壁120Uより上方に位置する場合には、ステップS120に進む。一方、エアブローノズル56が天壁120Uより上方に位置しない場合には、ステップS130に進む。
ステップS120において、ブロー制御部103は、エアブローノズル56が天壁120Uよりも上方に位置するため、エアブローノズル56からエアを噴射しないように制御する。
ステップS130において、ブロー制御部103は、切削ツール6によって被切削物1が切削加工中であるかを判断する。被切削物1が切削加工中の場合には、ステップS140に進む。一方、被切削物1が切削加工中でない場合には、ステップS150に進む。
ステップS140において、ブロー制御部103は、被切削物1が切削加工中であるため(即ちエアブローノズル56が加工室120に位置するため)、エアブローノズル56からエアを噴射するように制御する。
ステップS150において、ブロー制御部103は、切削ツール6の交換中であるかを判断する。切削ツール6の交換中である場合には、ステップS160に進む。一方、切削ツール6の交換中でない場合には、ステップS170に進む。
ステップS160において、ブロー制御部103は、切削ツール6の交換中であるため(即ちエアブローノズル56が駆動装置室130に位置するため)、切削ツール6を交換するときに(例えば把持部53によって切削ツール6の頂部6Tを把持する直前に)エアブローノズル56からエアを噴射するように制御する。
ステップS170において、ブロー制御部103は、エアブローノズル56からエアを噴射しないように制御する。
ワーク交換部105は、ワークチェンジャ70のL軸方向駆動モータ72Bと、ホルダ移動装置30のX軸方向駆動モータ34とを制御して、被切削物1(ここでは被切削物1が保持されたアダプタ5)を交換する。これにより、複数の被切削物1が順次加工される。
ツール交換部107は、ホルダ移動装置30のX軸方向駆動モータ34と、移動装置60のY軸方向駆動モータ63YおよびZ軸方向駆動モータ63Zと、切削装置50の把持部53と、を制御して、把持部53に把持される切削ツール6を交換する。図11に示すように、ツール交換部107は、仮把持部108と、本把持部109とを備えている。図14に示すように、仮把持部108は、把持部53が開いた状態で切削装置50を下降させて、把持部53に切削ツール6の頂部6Tを第1の長さL1だけ挿入させた後、把持部53を閉じて切削ツール6を仮把持する。本把持部109は、仮把持された切削ツール6の先端部6Bがツールストッカ80の押し当て部材82の上方に位置するように切削装置50を移動させた後、把持部53が開いた状態で切削装置50を下降させて、切削ツール6の先端部6Bが押し当て部材82に押し当てられた状態(図15参照)で把持部に切削ツール6の頂部6Tを第1の長さL1(図14参照)より長い第2の長さ(図16参照)だけ挿入させた後、把持部53を閉じて切削ツール6を本把持する。なお、切削ツール6を仮把持するときと、切削ツール6を本把持するときとは、機構的には同じであり、把持部53によって把持される部分の長さ(即ち切削ツール6の頂部6Tの挿入された部分の長さ)が異なるだけである。
次に、切削ツール6の交換の手順について説明する。図17は、切削ツール6の交換の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS210において、ツール交換部107は、切削ツール6を交換するよう指示を受ける。ここでは、把持部53に切削ツール6が把持(装着)されていない状態を想定する。なお、把持部53に切削ツール6が把持されている場合には、ツール交換部107は、まず、把持されている切削ツール6をツールストッカ80の所定の収納孔81に収納させて、把持部53に切削ツール6が把持されていない状態にする。
ステップS220において、仮把持部108は、切削装置50を交換の対象となる切削ツール6の上方に移動させる。
ステップS230において、仮把持部108は、把持部53を開く。これにより、把持部53に切削ツール6が挿入可能な状態になる。なお、把持部53を開く動作は、ステップS220の前に行ってもよい。
ステップS240において、仮把持部108は、把持部53を開いた状態で切削装置50を下降させて、把持部53に切削ツール6の頂部6Tを第1の長さL1(図14参照)だけ挿入させる。即ち、把持部53は、切削ツール6を通常より浅く把持する。
ステップS250において、仮把持部108は、把持部53を閉じて切削ツール6を仮把持する。その後、仮把持部108は、切削装置50を上昇させる。
ステップS260において、本把持部109は、仮把持された切削ツール6の先端部6Bがツールストッカ80の押し当て部材82の上方に位置するように切削装置50を移動させる。
ステップS270において、本把持部109は、把持部53を開く。これにより、把持部53による切削ツール6の把持が解除される。なお、把持部53による切削ツール6の把持が解除されても、把持部53と切削ツール6の頂部6Tとの間には適度な摩擦力が作用するため、把持部53から切削ツール6が落下することはない。
ステップS280において、本把持部109は、把持部53が開いた状態で切削装置50を下降させて、切削ツール6の先端部6Bが押し当て部材82に押し当てられた状態(図15参照)で把持部53に切削ツール6の頂部6Tを第1の長さL1より長い第2の長さL2(図16参照)だけ挿入させる。このように、把持部53が開いた状態で、切削ツール6を押し当て部材82に押し当てながら切削装置50を下降させることで、切削ツール6が把持部53に対してより正確に挿入される。
ステップS290において、本把持部109は、把持部53を閉じて切削ツール6を本把持する。その後、本把持部109は、切削装置50を上昇させる。これにより、切削ツール6の交換が完了する。
以上のように、本実施形態の切削加工機10によると、制御装置100の仮把持部108は、スピンドル51の把持部53に切削ツール6の頂部6Tを第1の長さL1だけ挿入させた後に、把持部53を閉じて切削ツール6を仮把持する。即ち、把持部53は、切削ツール6の頂部6Tを通常より浅く把持する。そして、制御装置100の本把持部109は、把持部53によって仮把持された切削ツール6を把持部53が開いた状態でツールストッカ80の押し当て部材82に押し当てながら、切削ツール6の頂部6Tを把持部53に第2の長さL2だけ挿入させる。これにより、仮把持の際に切削ツール6が把持部53に対して傾いて把持されていた場合であっても、傾きが解消される。即ち、切削ツール6の振れ精度が向上し、切削品質の向上を実現することができる。
本実施形態の切削加工機10では、押し当て部材82は、樹脂材料から形成されている。かかる構成によると、切削ツール6を押し当て部材82に押し当てたときに切削ツール6の先端部6Bの摩耗や劣化等を抑制することができる。
本実施形態の切削加工機10では、複数の収納孔81は、千鳥状に配置されている。詳しくは、ツールストッカ80には、複数の収納孔81のうちの一部が所定の並び方向(ここでは左右方向)に並んだ列が複数形成されており(ここでは、5つの列81A~81E)、複数の列81A~81Eのうちの隣り合った2つの列は、並び方向の位置がずれている。かかる構成によれば、ツールストッカ80の本体部80Aのスペースに対する切削ツール6の収納効率を向上させることができ、本体部80Aの大型化を抑制することができる。
本実施形態の切削加工機10では、ツールストッカ80は、切削ツール6の長さを検出するツールセンサ83を備え、ツールセンサ83は、押し当て部材82の側方に設けられている。かかる構成によると、押し当て部材82とツールセンサ83との距離が比較的近いため、押し当て部材82に押し当てられながら本把持された切削ツール6の長さを検出するためにスピンドル51を移動させる時間を低減することができる。
本実施形態の切削加工機10では、ツールストッカ80を収容する駆動装置室130と、駆動装置室130と区画され、かつ、被切削物1が切削される加工室120と、を備えている。かかる構成によると、加工室120で被切削物1が切削されたときに生じる切削粉が、ツールストッカ80に付着することが抑制される。即ち、把持部53によって切削ツール6を仮把持したり本把持したり際に切削粉による悪影響を低減することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
1 被切削物
6 切削ツール
6B 先端部
6T 頂部
10 切削加工機
20 ワークホルダ(保持装置)
50 切削装置
51 スピンドル
52 回転ユニット
53 把持部
60 移動装置
80 ツールストッカ
80A 本体部
81 収納孔
82 押し当て部材
83 ツールセンサ
100 制御装置
107 ツール交換部
108 仮把持部
109 本把持部
120 加工室
130 駆動装置室
150 切削装置室

Claims (6)

  1. 棒状に形成された複数の切削ツールを収納可能なツールストッカと、
    開閉可能に構成されかつ前記ツールストッカに収納された前記切削ツールの頂部を把持する把持部および前記把持部を回転させる回転ユニットを有するスピンドルを備え、前記切削ツールによって被切削物を切削する切削装置と、
    前記切削装置を移動させる移動装置と、
    前記切削装置および前記移動装置を制御する制御装置と、を備え、
    前記ツールストッカは、
    前記切削ツールを収納可能な複数の収納孔が形成された本体部と、
    前記本体部の上面に設けられ、前記切削ツールの先端部が押し当てられる押し当て部材と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記把持部が開いた状態で前記切削装置を下降させて、前記把持部に前記切削ツールの前記頂部を第1の長さだけ挿入させた後、前記把持部を閉じて前記切削ツールを仮把持する仮把持部と、
    仮把持された前記切削ツールの前記先端部が前記押し当て部材の上方に位置するように前記切削装置を移動させた後、前記把持部が開いた状態で前記切削装置を下降させて、前記切削ツールの前記先端部が前記押し当て部材に押し当てられた状態で前記把持部に前記切削ツールの前記頂部を前記第1の長さより長い第2の長さだけ挿入させた後、前記把持部を閉じて前記切削ツールを本把持する本把持部と、を備えている、切削加工機。
  2. 前記押し当て部材は、樹脂材料から形成されている、請求項1に記載の切削加工機。
  3. 複数の前記収納孔は、千鳥状に配置されている、請求項1または2に記載の切削加工機。
  4. 前記ツールストッカには、複数の前記収納孔のうちの一部が所定の並び方向に並んだ列が複数形成されており、
    複数の前記列のうちの隣り合った2つの列は、前記並び方向の位置がずれている、請求項3に記載の切削加工機。
  5. 前記ツールストッカは、前記切削ツールの長さを検出するツールセンサを備え、
    前記ツールセンサは、前記押し当て部材の側方に設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の切削加工機。
  6. 前記ツールストッカを収容する第1室と、
    前記第1室と区画され、かつ、前記被切削物が切削される第2室と、を備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載の切削加工機。
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