JP2023123998A - 基板処理液の精製方法および精製装置 - Google Patents

基板処理液の精製方法および精製装置 Download PDF

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Abstract

【課題】昇華現象を利用して基板に付着した液体を除去するのに用いる基板処理液の品質を高める。【解決手段】この発明は、昇華性物質の過飽和溶液を調製する第1工程と、過飽和溶液から昇華性物質を析出させる第2工程と、析出した昇華性物質を溶媒で溶解して基板処理液を精製する第3工程と、を備えている。すなわち、昇華性物質の過飽和溶液から昇華性物質を析出させた後で、これを溶媒で溶解しているため、高品質の基板処理液が精製される。【選択図】図8

Description

この発明は、昇華性物質の昇華現象を利用して基板に付着した液体を除去する際に用いる基板処理液を精製する精製技術に関するものである。基板には、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品の製造工程においては、基板の表面に成膜やエッチングなどの処理を繰り返し施してパターンを形成する工程が含まれる。また、このパターン形成後において、薬液による洗浄処理、リンス液によるリンス処理および乾燥処理などがこの順序で行われるが、パターンの微細化に伴い乾燥処理の重要性が特に高まっている。つまり、乾燥処理においてパターン倒壊の発生を抑制または防止する技術が重要となっている。そこで、ショウノウやシクロヘキサノンオキシムなどの昇華性物質をIPA(イソプロピルアルコール:isopropyl alcohol)等の溶媒に溶解させた基板処理液を用いて基板を昇華乾燥させる基板処理技術が提案されている(特許文献1等)。
特開2021-9988号公報
上記従来技術では、昇華性物質を溶媒で溶解した溶液を基板処理液として用いているが、不純物が含まれることがある。また、基板処理液を調製してからの時間経過により液中パーティクルが増加することがある。さらに、既に使用された基板処理液を回収して再利用に供したいが、当然のことながら回収した基板処理液の品質低下は否めない。
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、昇華現象を利用して基板に付着した液体を除去する際に用いる基板処理液の品質を高めることができる精製方法および精製装置を提供することを目的とする。
本発明の第1態様は、昇華性物質の昇華現象を利用してパターン形成面を有する基板上の液体を除去するのに用いる基板処理液の精製方法であって、昇華性物質の過飽和溶液を調製する第1工程と、過飽和溶液から昇華性物質を析出させる第2工程と、析出した昇華性物質を溶媒で溶解して基板処理液を精製する第3工程と、を備えることを特徴としている。
また、本発明の第2態様は、昇華性物質の昇華現象を利用してパターン形成面を有する基板上の液体を除去するのに用いる基板処理液を精製する精製装置であって、昇華性物質の過飽和溶液を貯留可能な槽と、槽に貯留される過飽和溶液に超音波振動を付与可能な超音波付与部と、槽から排液する排液部と、昇華性物質を溶解する溶媒を槽に供給する溶媒供給部と、制御部と、を備え、制御部は、過飽和溶液を貯留している槽に超音波振動を付与している超音波付与部を停止させることで過飽和溶液から昇華性物質が析出するように、超音波付与部を制御し、昇華性物質の析出により昇華性物質の濃度が低下した溶液を槽から排液することで析出した昇華性物質のみを槽に残すように、排液部を制御し、析出した昇華性物質のみが残った槽に溶媒を供給して基板処理液を精製するように、溶媒供給部を制御することを特徴としている。
このように構成された発明では、昇華性物質の過飽和溶液から昇華性物質が析出される。このため、析出した昇華性物質が高純度であり、これを溶媒で溶解することで高品質の基板処理液が精製される。
上記したように、昇華性物質の過飽和溶液から析出される昇華性物質を用いて基板処理液を精製しているため、基板処理液の品質を高めることができる。
助剤添加による基板処理液中の昇華性物質の濃度上昇を示す図である。 本発明に係る精製方法を適用可能な基板処理装置の一例を装備する基板処理システムの概略構成を示す平面図である。 図2に示す基板処理システムの側面図である。 本発明に係る精製方法を適用可能な基板処理装置の構成を示す部分断面図である。 基板処理装置を制御する制御部の電気的構成を示すブロック図である。 処理液供給部の構成を示す図である。 図2の基板処理装置で実行される基板処理の内容を示す図である。 図6に示す精製装置の動作を示すフローチャートである。 図6に示す精製装置の第1動作例を模式的に示す図である。 図6に示す精製装置の第2動作例を模式的に示す図である。 図6に示す精製装置の第3動作例を模式的に示す図である。 図6に示す精製装置の第4動作例を模式的に示す図である。 図6に示す精製装置の第5動作例を模式的に示す図である。 本発明に係る精製方法を適用可能な基板処理装置の他の例を装備した基板処理システムの構成を示す図である。
<基板処理液>
本発明の実施の形態に係る基板処理液について、以下に説明する。
本明細書において「基板」とは、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(FieldEmissionDisplay)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の各種基板をいう。また、本明細書において「パターン形成面」とは、平面状、曲面状又は凹凸状の何れであるかを問わず、基板において、任意の領域に凹凸パターンが形成されている面を意味する。さらに、本明細書において「昇華性」とは、単体、化合物若しくは混合物が液体を経ずに固体から気体、又は気体から固体へと相転移する特性を有することを意味し、「昇華性物質」とはそのような昇華性を有する物質を意味する。
本発明に係る基板処理液は、昇華乾燥に用いられているショウノウやシクロヘキサノンオキシムなどの昇華性物質と、当該昇華性物質を溶解するIPAなどの溶媒と、昇華性物質を溶媒で溶解した溶液に添加されることで溶解度を超える昇華性物質の粒子を溶液に分散させる助剤とを含む。このように、本実施形態では、従来技術で用いている基板処理液(以下「従来の基板処理液」という)に助剤を加えることで、基板処理液中において均一に分散する昇華性物質の粒子の濃度を従来の基板処理液に対する昇華性物質の飽和濃度よりも高め、いわゆる準安定状態で昇華性物質の粒子を均一に分散させている。つまり、本実施形態に係る基板処理液は昇華性物質の過飽和溶液である。例えば、シクロヘキサノンオキシムを昇華性物質として用いる場合、溶媒としてIPAを用いるとともに、助剤としてアンモニア水を用いることができる。以下、シクロヘキサノンオキシム(昇華性物質)、IPA(溶媒)およびアンモニア水(助剤)を混合して精製した基板処理液について図1を参照しつつ説明する。
ここでは、基板処理液の説明に先立って、IPAへのシクロヘキサノンオキシムの溶解度について説明する。特許文献2では、シクロヘキサノンオキシムをIPAで溶解した基板処理液が記載されている。より具体的には、シクロヘキサノンオキシムの含有量が0.1vol%(0.13wt%)ないし10vol%(12.97wt%)の基板処理液を用いた昇華乾燥が例示されている。これら従来の基板処理液では、良好な溶解性を有している。この「溶解性」とは、特許文献2に記載されているように、シクロヘキサノンオキシムが、例えば、23℃の溶媒100gに対し、10g以上溶解することを意味する。また、「常温」とは5℃~35℃の温度範囲にあることを意味する。
しかしながら、シクロヘキサノンオキシムの溶解度、つまりシクロヘキサノンオキシムが一定量のIPAに溶ける限界量については、明確な記載はない。そこで、本願発明者は、4gのシクロヘキサノンオキシムを、それぞれ異なる量のIPAが貯留された透明ガラス容器に投入し、十分に混合するまで撹拌した後、各透明ガラス容器を静置して沈殿確認を行った。その結果、4gのシクロヘキサノンオキシムを飽和状態に溶解させるには、8.3mlのIPAが必要であることが判明した。つまり、上記実証実験から、基板処理液でのシクロヘキサノンオキシムの飽和濃度は約38wt%であることがわかった。
シクロヘキサノンオキシムが限界濃度だけ溶解した溶液、つまり飽和溶液では、溶解平衡が成立している。つまり、シクロヘキサノンオキシム(固相)が溶解する溶解反応と、溶液中に分散しているシクロヘキサノンオキシムの粒子が結晶化する反応とが見かけ上停止しているが、実際には溶解と再結晶化とが同じ速度に行われている。そこで、結晶化を阻害する助剤(結晶化阻害剤)を溶液に加えると、再結晶化の速度が小さくなる。したがって、溶解平衡が崩れ、シクロヘキサノンオキシム粒子の濃度が上記飽和濃度よりも高くなった準安定状態の溶液、つまりシクロヘキサノンオキシムの過飽和溶液になると本願発明者は考察した。
また、上記溶液のpHを調整することでシクロヘキサノンオキシム粒子がマイナスのゼータ電位をもつことでシクロヘキサノンオキシム粒子間の反発力が大きくなる。その結果、結晶化が阻害される。このような考察に基づき、本願発明者は、シクロヘキサノンオキシム粒子のゼータ電位をマイナスにするpH調整剤、つまり本願発明の「助剤」の一例として、アンモニア水を選択した。そして、図1に示すように、アンモニア水を助剤として用いることで、基板処理液におけるシクロヘキサノンオキシム粒子の濃度が飽和濃度よりも高く、準安定状態となっていることを確認した。なお、助剤としては、アンモニア水に限定されるものではなく、シクロヘキサノンオキシム粒子のゼータ電位をマイナスにするpH調整剤全般を用いることができる。
図1は助剤添加による基板処理液中の昇華性物質の濃度上昇を示す図である。同図中の「Oxime」は本発明の「昇華性物質」の一例であるシクロヘキサノンオキシムの重量を示し、「IPA」は本発明の「溶媒」の一例であるIPAの量を示し、「NH4OH」は本発明の「助剤」の一例であるアンモニア水の添加量を示している。これらシクロヘキサノンオキシム、IPA(およびアンモニア水)が透明ガラス容器GC内で撹拌混合され、基板処理液Lが生成される。その後で、透明ガラス容器GCが静置され、シクロヘキサノンオキシムの溶解状態が模式的に図示されている。なお、同図中の「wt%」は基板処理液中のシクロヘキサノンオキシムの重量%を示している。また、「溶解状態」においてハッチングが付されている固形物OXはシクロヘキサノンオキシム(固相)を示している。
ここでは、2gのシクロヘキサノンオキシムの固形物OXを2mlのIPAで溶解して溶液を作成している。この溶液では、同図の(a)欄に示すように、シクロヘキサノンオキシムは55.9wt%であり、飽和濃度(38wt%)を超えている。このため、多くのシクロヘキサノンオキシムの固形物OXが透明ガラス容器GCに存在している。この溶液と同一組成の溶液にアンモニア水を添加すると、同図の(b)欄ないし(d)欄に示すように、アンモニア水の添加量が増えるにしたがってシクロヘキサノンオキシムの固形物OXの残量が少なくなり、添加量が0.3mlで2gのシクロヘキサノンオキシムの固形物OXが完全に溶けた。シクロヘキサノンオキシム52.06wt%の基板処理液Lが生成される。これは、特許文献2に記載された基板処理液(シクロヘキサノンオキシム0.13wt%ないしシクロヘキサノンオキシム12.97wt%)の約4倍ないし400倍の濃度でシクロヘキサノンオキシム粒子が基板処理液Lに均一に分散していることを意味している。このように高濃度のシクロヘキサノンオキシム粒子を含む基板処理液Lが得られる。したがって、後述するように当該基板処理液Lが基板のパターン形成面にスピンコートされた後で、基板処理液の溶媒(IPA)が蒸発される。しかも、本発明に係る基板処理液は、シクロヘキサノンオキシムの過飽和溶液であり、いわゆる準安定状態であるため、スピンコートされた直後よりシクロヘキサノンオキシム粒子の再結晶化が開始される。これら再結晶化と溶媒蒸発とにより、従来の基板処理液を用いた場合よりも多くのシクロヘキサノンオキシム(固相)がパターンの隙間に入り込む。その結果、優れた乾燥性能を有し、基板の表面に付着する液体を良好に除去することができる。
なお、本実施形態では、昇華性物質としてシクロヘキサノンオキシムを用いているが、その他の昇華乾燥用の昇華性物質、例えばショウノウなどを用いる場合も同様である。また、溶媒としてIPAを用いているが、上記昇華性物質を溶解させる機能を有するものであればよく、例えば特許文献1にも記載されているように、アルコール類、ケトン類、エーテル類、シクロアルカン類及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。また、助剤としてアンモニア水を用いているが、これ以外に、昇華性物質を溶媒で溶解した溶液のpHを調整することで溶媒に溶けた昇華性物質の粒子が再結晶化するのを阻害する機能を有する結晶化阻害剤を用いることができる。
<枚葉式基板処理システム>
次に、上記基板処理液(=昇華性物質+溶媒+助剤)を用いてパターン形成面を有する基板を処理する基板処理装置を装備する基板処理システムについて説明する。
図2は本発明に係る精製方法を適用可能な基板処理装置の一例を装備する基板処理システムの概略構成を示す平面図である。また、図3は図2に示す基板処理システムの側面図である。これらの図面は装置の外観を示すものではなく、基板処理システム100の外壁パネルやその他の一部構成を除外することでその内部構造をわかりやすく示した模式図である。この基板処理システム100は、例えばクリーンルーム内に設置され、一方主面のみに回路パターン等(上記「パターン」の一例に相当)が形成された基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。そして、基板処理システム100において本発明に係る基板処理方法の第1実施形態が実行される。本明細書では、パターンが形成されているパターン形成面(一方主面)を「表面Wf」と称し、その反対側のパターンが形成されていない他方主面を「裏面Wb」と称する。また、下方に向けられた面を「下面」と称し、上方に向けられた面を「上面」と称する。以下では主として半導体ウエハの処理に用いられる基板処理システムを例に採って図面を参照して説明するが、上に例示した各種の基板の処理にも同様に適用可能である。
図2に示すように、基板処理システム100は、基板Wに対して処理を施す基板処理部110と、この基板処理部110に結合されたインデクサ部120とを備えている。インデクサ部120は、基板Wを収容するための容器C(複数の基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、OC(Open Cassette)など)を複数個保持することができる容器保持部121と、この容器保持部121に保持された容器Cにアクセスして、未処理の基板Wを容器Cから取り出したり、処理済みの基板Wを容器Cに収納したりするためのインデクサロボット122を備えている。各容器Cには、複数枚の基板Wがほぼ水平な姿勢で収容されている。
インデクサロボット122は、装置筐体に固定されたベース部122aと、ベース部122aに対し鉛直軸まわりに回動可能に設けられた多関節アーム122bと、多関節アーム122bの先端に取り付けられたハンド122cとを備える。ハンド122cはその上面に基板Wを載置して保持することができる構造となっている。このような多関節アームおよび基板保持用のハンドを有するインデクサロボットは公知であるので詳しい説明を省略する。
基板処理部110は、平面視においてほぼ中央に配置された基板搬送ロボット111と、この基板搬送ロボット111を取り囲むように配置された複数の基板処理装置1とを備えている。具体的には、基板搬送ロボット111が配置された空間に面して複数の(この例では8つの)基板処理装置1が配置されている。これらの基板処理装置1に対して基板搬送ロボット111はランダムにアクセスして基板Wを受け渡す。一方、各基板処理装置1は基板Wに対して所定の処理を実行する。本実施形態では、これらの基板処理装置1は同一の機能を有している。このため、複数基板Wの並列処理が可能となっている。
<基板処理装置1の構成>
図4は本発明に係る精製方法を適用可能な基板処理装置の構成を示す部分断面図である。また、図5は基板処理装置を制御する制御部の電気的構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、各基板処理装置1に対して制御部4を設けているが、1台の制御部により複数の基板処理装置1を制御するように構成してもよい。また、基板処理システム100全体を制御する制御ユニット(図示省略)により基板処理装置1を制御するように構成してもよい。
基板処理装置1は、内部空間21を有するチャンバ2と、チャンバ2の内部空間21に収容されて基板Wを保持するスピンチャック3とを備えている。図2および図3に示すように、チャンバ2の側面にシャッター23が設けられている。シャッター23にはシャッター開閉機構22(図5)が接続されており、制御部4からの開閉指令に応じてシャッター23を開閉させる。より具体的には、基板処理装置1では、未処理の基板Wをチャンバ2に搬入する際にシャッター開閉機構22はシャッター23を開き、基板搬送ロボット111のハンドによって未処理の基板Wがフェースアップ姿勢でスピンチャック3に搬入される。つまり、基板Wは表面Wfを上方に向けた状態でスピンチャック3上に載置される。そして、当該基板搬入後に基板搬送ロボット111のハンドがチャンバ2から退避すると、シャッター開閉機構22はシャッター23を閉じる。そして、チャンバ2の内部空間21内で後述のように薬液、DIW、IPA、昇華乾燥用の基板処理液および窒素ガスが基板Wの表面Wfに供給されて所望の基板処理が常温環境下で実行される。また、基板処理の終了後においては、シャッター開閉機構22がシャッター23を再び開き、基板搬送ロボット111のハンドが処理済の基板Wをスピンチャック3から搬出する。このように、本実施形態では、チャンバ2の内部空間21が常温環境に保ちつつ基板処理を行う処理空間として機能する。
スピンチャック3は、基板Wを把持する複数のチャックピン31と、複数のチャックピン31を支持して水平方向に沿う円盤形状に形成されたスピンベース32と、スピンベース32に連結された状態で基板Wの表面中心から延びる面法線と平行な回転軸線C1まわりに回転自在に設けられた中心軸33と、モータによって中心軸33を回転軸線C1まわりに回転させる基板回転駆動機構34とを備えている。複数のチャックピン31は、スピンベース32の上面の周縁部に設けられている。この実施形態では、チャックピン31は周方向に等間隔を空けて配置されている。そして、スピンチャック3に載置された基板Wをチャックピン31により把持した状態で制御部4からの回転指令に応じて基板回転駆動機構34のモータが作動すると、基板Wは回転軸線C1まわりに回転する。また、このように基板Wを回転させた状態で、制御部4からの供給指令に応じて雰囲気遮断機構5に設けられたノズルから薬液、IPA、DIW、基板処理液および窒素ガスが順次基板Wの表面Wfに供給される。
雰囲気遮断機構5は、遮断板51と、遮断板51に一体回転可能に設けられた上スピン軸52と、遮断板51の中央部を上下方向に貫通するノズル53とを有している。遮断板51は基板Wとほぼ同じ径またはそれ以上の径を有する円板形状に仕上げられている。遮断板51はスピンチャック3に保持された基板Wの上面に間隔を空けて対向配置されている。このため、遮断板51の下面が基板Wの表面Wf全域に対向する円形の基板対向面51aとして機能する。また、基板対向面51aの中央部には、遮断板51を上下に貫通する円筒状の貫通孔51bが形成されている。
上スピン軸52は遮断板51の中心を通り鉛直に延びる回転軸線(基板Wの回転軸線C1と一致する軸線)まわりに回転可能に設けられている。上スピン軸52は円筒形状を有している。上スピン軸52の内周面は、上記回転軸線を中心とする円筒面に形成されている。上スピン軸52の内部空間は、遮断板51の貫通孔51bに連通している。上スピン軸52は、遮断板51の上方で水平に延びる支持アーム54に相対回転可能に支持されている。
ノズル53はスピンチャック3の上方に配置されている。ノズル53は支持アーム54に対して回転不能な状態で支持アーム54によって支持されている。また、ノズル53は、遮断板51、上スピン軸52、および支持アーム54と一体的に昇降可能となっている。ノズル53の下端部には吐出口53aが設けられ、スピンチャック3に保持されている基板Wの表面Wfの中央部に対向する。
遮断板51には、電動モータ等を含む構成の遮断板回転駆動機構55(図5)が結合されている。遮断板回転駆動機構55は制御部4からの回転指令に応じて遮断板51および上スピン軸52を支持アーム54に対して回転軸線C1まわりに回転させる。また、支持アーム54には遮断板昇降駆動機構56が結合されている。遮断板昇降駆動機構56は制御部4からの昇降指令に応じて遮断板51、上スピン軸52およびノズル53を支持アーム54と一体的に鉛直方向Zに昇降する。より具体的には、遮断板昇降駆動機構56は、基板対向面51aがスピンチャック3に保持されている基板Wの表面Wfに近接して表面Wfの上方空間を周辺雰囲気から実質的に遮断する遮断位置(図4に示す位置)と、遮断位置よりも大きく上方に退避した退避位置の間で昇降させる。
ノズル53の上端部は、薬液供給ユニット61、リンス液供給ユニット62、有機溶剤供給ユニット63、処理液供給ユニット64および気体供給ユニット65が接続されている。
薬液供給ユニット61は、ノズル53に接続された薬液配管611と、薬液配管611に介装されたバルブ612とを有している。薬液配管611は薬液の供給源と接続されている。本実施形態では、薬液は基板Wの表面Wfを洗浄する機能を有しておればよく、例えば酸性薬液として例えばフッ酸(HF)、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸のうちの少なくとも1つを含む薬液を用いることができる。また、アルカリ薬液としては、例えばアンモニアおよび水酸基のうちの少なくとも1つを含む薬液を用いることができる。なお、本実施形態では、薬液としてフッ酸を用いている。このため、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ612が開かれると、フッ酸薬液がノズル53に供給され、吐出口53aから基板Wの表面中央部に向けて吐出される。
リンス液供給ユニット62は、ノズル53に接続されたリンス液配管621と、リンス液配管621に介装されたバルブ622とを有している。リンス液配管621はリンス液の供給源と接続されている。本実施形態では、リンス液としてDIWを用いており、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ622が開かれると、DIWがノズル53に供給され、吐出口53aから基板Wの表面中央部に向けて吐出される。なお、リンス液としては、DIW以外に、例えば炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水および希釈濃度(たとえば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水のいずれかを用いてもよい。
有機溶剤供給ユニット63は、空気よりも比重が大きくかつ水よりも低い表面張力を有する低表面張力液体としての有機溶剤を供給するためのユニットである。有機溶剤供給ユニット63は、ノズル53に接続された有機溶剤配管631と、有機溶剤配管631に介装されたバルブ632とを有している。有機溶剤配管631は有機溶剤の供給源と接続されている。本実施形態では、有機溶剤としてIPAが用いられており、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ632が開かれると、IPAがノズル53に供給され、吐出口53aから基板Wの表面中央部に向けて吐出される。なお、有機溶剤としては、IPA以外に、例えばメタノール、エタノール、アセトン、EG(エチレングリコール)およびHFE(ハイドロフルオロエーテル)を用いることができる。また、有機溶剤としては、単体成分のみからなる場合だけでなく、他の成分と混合した液体であってもよい。例えばIPAとアセトンの混合液であってもよいし、IPAとメタノールの混合液であってもよい。
処理液供給ユニット64は、スピンチャック3に保持されている基板Wを乾燥させる際の乾燥補助液として機能する昇華乾燥用の基板処理液を基板Wの表面Wfに供給するユニットである。処理液供給ユニット64は、ノズル53に接続された処理液配管641と、処理液配管641に介装されたバルブ642とを有している。処理液配管641は上記した昇華乾燥用の基板処理液の供給源として機能する処理液供給部と接続されている。
図6は処理液供給部の構成を示す図である。処理液供給部400は、上記基板処理液を精製する精製装置500と、精製装置500により精製された基板処理液を貯留する貯留タンク401とを備えている。なお、この貯留タンク401には、超音波を発生させる振動子を有する超音波付与部402が取り付けられており、制御部4からの振動指令に応じて超音波付与部402が作動すると、貯留タンク401に貯留されている基板処理液に超音波振動が付与される。
精製装置500は、使用済の基板処理液や薬液メーカから提供される基板処理液の原液から液中パーティクルを取り除き、高純度のシクロヘキサノンオキシムの過飽和溶液を基板処理液として精製する装置である。ここで、「使用済の基板処理液」とは、後述するようにスピンコート時にカップにより基板Wから回収した基板処理液を意味している。「薬液メーカから提供される基板処理液の原液」とは、薬液メーカにおいてシクロヘキサノンオキシムをIPAで溶解したシクロヘキサノンオキシム溶液(例えばシクロヘキサノンオキシム溶液3wt%)を意味している。
精製装置500により精製された基板処理液(=昇華性物質+溶媒+助剤)を貯留タンク401に送液するために、精製装置500と貯留タンク401とは、フィルタ404が介装された配管403により接続されている。したがって、基板処理装置1が稼働している間、精製装置500も並行して稼働し、昇華乾燥用の基板処理液が間欠的に精製され、配管403を介して貯留タンク401に送液される。そして、貯留タンク401は精製された基板処理液を貯留する。なお、精製装置500の構成および精製動作などについては、基板処理方法を説明した後で詳述する。
貯留タンク401の底部は、配管405により処理液配管641と接続されている。この配管405には、ポンプ406、バルブ407およびフィルタ408が介装されている。このため、制御部4からの制御指令に基づいてポンプ406が作動するとともにバルブ407が開成したとき、上記基板処理液が処理液供給部400からノズル53に向けて送液される。その結果、バルブ642が開いている間、基板処理液(シクロヘキサノンオキシムの過飽和溶液)がノズル53から基板Wの表面Wfに供給される。
また、本実施形態では、図6への図示を省略しているが、貯留タンク401からの基板処理液の供給経路(配管405、処理液配管641およびノズル53)に沿って超音波付与部が設けられている。このため、基板Wに供給されるまで基板処理液に対する超音波振動の付与が継続され、準安定状態が維持される、つまり基板処理液に含まれるシクロヘキサノンオキシム粒子が結晶化するのが効果的に抑制される。その結果、準安定状態の基板処理液を基板Wの表面Wfに確実に供給することができる。なお、基板処理液への超音波振動の付与態様は任意であり、例えばノズル53に振動子を内蔵させてもよい。また、ノズル53に振動子を隣接した状態で設けてもよい。
図4に戻って説明を続ける。上記のようにして基板処理液がノズル53に向けて送液されると、ノズル53の吐出口53aから基板Wの表面中央部に向けて基板処理液が吐出される。
気体供給ユニット65は、ノズル53に接続された気体供給配管651と、気体供給配管651を開閉するバルブ652とを有している。気体供給配管651は気体の供給源と接続されている。本実施形態では、気体として除湿された窒素ガスが用いられており、制御部4からの開閉指令に応じてバルブ652が開かれると、窒素ガスがノズル53に供給され、吐出口53aから基板Wの表面中央部に向けて吹き付けられる。なお、気体としては、窒素ガス以外に、除湿されたアルゴンガスなどの不活性ガスを用いてもよい。
基板処理装置1では、スピンチャック3を取り囲むように、排気桶80が設けられている。また、スピンチャック3と排気桶80との間に配置された複数のカップ81,82(第1カップ81および第2カップ82)と、基板Wの周囲に飛散した処理液を受け止める複数のガード84~86(第1ガード84~第3ガード86)とが設けられている。また、ガード84~86に対してガード昇降駆動機構87~89(第1~第3ガード昇降駆動機構87~89)がそれぞれ連結されている。ガード昇降駆動機構87~89はそれぞれ制御部4からの昇降指令に応じてガード84~86を独立して昇降する。なお、第1ガード昇降駆動機構87の図4への図示は省略されている。また、3つのガードのうち第2ガード85が基板処理液のスピンコート時(後で説明する液膜形成工程S6-1)に基板Wの周端面に対向する。したがって、基板Wから振り切られた基板処理液が第2ガード85で捕集され、第2カップ82で回収される。そして、回収された基板処理液が回収配管821を介して精製装置500に送られ、精製された後で再利用に供せられる。
制御部4は、CPU等の演算ユニット、固定メモリデバイス、ハードディスクドライブ等の記憶ユニット、および入出力ユニットを有している。記憶ユニットには、演算ユニットが実行するプログラムが記憶されている。そして、制御部4は上記プログラムにしたがって装置各部を制御することで、シクロヘキサノンオキシムを過飽和に溶解する、準安定状態の基板処理液を用いて図7に示す基板処理を実行する。
<基板処理方法>
次に、図2に示す基板処理システム100を用いた基板処理方法について図7を参照しつつ説明する。図7は図2の基板処理装置で実行される基板処理の内容を示す図である。同図では、左側に一の基板処理装置1で実行される基板処理のフローチャートが示されている。また、右側上段、右側中段および右側下段にそれぞれ液膜形成工程、固化膜形成工程および昇華工程が模式的に図示されるとともに、基板Wの表面Wfの一部を拡大して図示している。ただし、理解容易の目的で、必要に応じて各部の寸法や数などを誇張または簡略化して描いている。
基板処理システム100における処理対象は、例えばシリコンウエハであり、パターン形成面である表面Wfに凹凸状のパターンPTが形成されている。本実施形態において、凸部PT1は100~600nmの範囲の高さであり、5~50nmの範囲の幅を有している。また、隣接する2個の凸部PT1の最短距離(凹部の最短幅)は、5~150nmの範囲である。凸部PT1のアスペクト比、即ち高さを幅で除算した値(高さH/幅WD)は、5~35である。
また、パターンPTは、微細なトレンチにより形成されたライン状のパターンが繰り返し並ぶものであってもよい。また、パターンPTは、薄膜に、複数の微細穴(ボイド(void)またはポア(pore))を設けることにより形成されていてもよい。パターンPTは、たとえば絶縁膜を含む。また、パターンPTは導体膜を含んでいてもよい。より具体的には、パターンPTは、複数の膜を積層した積層膜により形成されており、さらには、絶縁膜と導体膜とを含んでいてもよい。パターンPTは単層膜で構成されるパターンであってもよい。絶縁膜はシリコン酸化膜やシリコン窒化膜であってもよい。また、導体膜は、低抵抗化のための不純物を導入したアモルファスシリコン膜であってもよいし、金属膜(例えばTiN膜)であってもよい。また、パターンPTは、フロントエンドで形成されたものであってもよいし、バックエンドで形成されたものであってもよい。さらに、パターンPTは、疎水性膜であってもよいし、親水性膜であってもよい。親水性膜として例えばTEOS膜(シリコン酸化膜の一種)が含まれる。
また、図7に示す各工程は、特に明示しないかぎり、大気圧環境下で処理される。ここで、大気圧環境とは標準大気圧(1気圧、1013hPa)を中心に、0.7気圧以上1.3気圧以下の環境のことを指す。特に、基板処理システム100が陽圧となるクリーンルーム内に配置される場合には、基板Wの表面Wfの環境は、1気圧よりも高くなる。
未処理の基板Wが基板処理装置1に搬入される前においては、制御部4が装置各部に指令を与えて基板処理装置1は初期状態にセットされる。すなわち、シャッター開閉機構22によりシャッター23(図2、図3)は閉じられている。基板回転駆動機構34によりスピンチャック3は基板Wのローディングに適した位置に位置決め停止されるとともに、図示しないチャック開閉機構によりチャックピン31は開状態となっている。遮断板51は遮断板昇降駆動機構56により退避位置に位置決めされるとともに、遮断板回転駆動機構55による遮断板51の回転は停止されている。ガード84~86はいずれも下方に移動して位置決めされている。さらに、バルブ612、622、632、642、652はいずれも閉じられている。
未処理の基板Wが基板搬送ロボット111により搬送されてくると、シャッター23が開く。シャッター23の開成に合わせて基板Wは基板搬送ロボット111によりチャンバ2の内部空間21に搬入され、表面Wfを上方に向けた状態でスピンチャック3に受け渡される。そして、チャックピン31が閉状態となり、基板Wはスピンチャック3に保持される(ステップS1:基板の搬入)。
基板Wの搬入に続いて、基板搬送ロボット111がチャンバ2の外に退避し、さらにシャッター23が再び閉じた後、制御部4は基板回転駆動機構34のモータを制御してスピンチャック3の回転速度(回転数)を、所定の処理速度(約10~3000rpmの範囲内で、例えば800~1200rpm
)まで上昇させ、その処理速度に維持させる。また、制御部4は、遮断板昇降駆動機構56を制御して、遮断板51を退避位置から下降させて遮断位置に配置する(ステップS2)。また、制御部4は、ガード昇降駆動機構87~89を制御して第1ガード84~第3ガード86を上位置に上昇させることにより、第1ガード84を基板Wの周端面に対向させる。
基板Wの回転が処理速度に達すると、次いで、制御部4はバルブ612を開く。これにより、ノズル53の吐出口53aから薬液(本実施形態ではHF)が吐出され、基板Wの表面Wfに供給される。基板Wの表面Wf上では、HFが基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁部に移動する。これにより、基板Wの表面Wfの全体がHFによる薬液洗浄を受ける(ステップS3)。このとき、基板Wの周縁部に達したHFは基板Wの周縁部から基板Wの側方に排出され、第1ガード84の内壁に受け止められ、図示を省略する排液経路に沿って機外の廃液処理設備に送られる。このHF供給による薬液洗浄は予め定められた洗浄時間だけ継続され、それを経過すると、制御部4はバルブ612を閉じて、ノズル53からのHFの吐出を停止する。
薬液洗浄に続いて、リンス液(DIW)によるリンス処理が実行される(ステップS4)。このDIWリンスでは、制御部4は第1ガード84~第3ガード86の位置を維持しながら、バルブ622を開く。これにより、薬液洗浄処理を受けた基板Wの表面Wfの中央部に対してノズル53の吐出口53aからDIWがリンス液として供給される。すると、DIWが基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁部に移動する。これにより、基板W上に付着しているHFがDIWによって洗い流される。このとき、基板Wの周縁部から排出されたDIWは、基板Wの周縁部から基板Wの側方に排出され、HFと同様にして機外の廃液処理設備に送られる。このDIWリンスは予め定められたリンス時間だけ継続され、それを経過すると、制御部4はバルブ622を閉じて、ノズル53からのDIWの吐出を停止する。
DIWリンスの完了後、DIWよりも表面張力の低い有機溶剤(本実施形態ではIPA)による置換処理が実行される(ステップS5)。IPA置換では、制御部4は、ガード昇降駆動機構87、88を制御して第1ガード84および第2ガード85を下位置に下降させることにより、第3ガード86を基板Wの周端面に対向させる。そして、制御部4は、バルブ632を開く。それにより、DIWが付着している基板Wの表面Wfの中央部に向けてノズル53の吐出口53aからIPAが低表面張力液体として吐出される。基板Wの表面Wfに供給されたIPAは、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの表面Wfの全域に広がる。これにより、基板Wの表面Wfの全域において、当該表面Wfに付着しているDIW(リンス液)がIPAによって置換される。なお、基板Wの表面Wfを移動するIPAは、基板Wの周縁部から基板Wの側方に排出され、第3ガード86の内壁に受け止められ、図示を省略する回収経路に沿って回収設備に送られる。このIPA置換は予め定められた置換時間だけ継続され、それを経過すると、制御部4はバルブ632を閉じて、ノズル53からのIPAの吐出を停止する。
IPA置換の次に、本発明の基板処理方法の第1実施形態に相当する昇華乾燥工程(ステップS6)が実行される。この昇華乾燥工程は、基板処理液の液膜を形成する液膜形成工程(ステップS6-1)と、基板処理液の液膜を固化させてシクロヘキサノンオキシムの固化膜を形成する固化膜形成工程(ステップS6-2)と、固化膜を昇華させて基板Wの表面Wfから除去する昇華工程(ステップS6-3)と、を備えている。
ステップS6-1では、制御部4は、第2ガード昇降駆動機構88を制御して第2ガード85を上位置に上昇させることにより、第2ガード85を基板Wの周端面に対向させる。そして、制御部4は、バルブ642を開く。それにより、図7の右上段に示すように、IPAが付着している基板Wの表面Wfの中央部に向けてノズル53の吐出口53aから基板処理液(シクロヘキサノンオキシムの過飽和溶液)が乾燥補助液として吐出され、基板Wの表面Wfに供給される。基板Wの表面Wf上の基板処理液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの表面Wfの全域に広がる。これにより、基板Wの表面Wfの全域において、当該表面Wfに付着しているIPAが基板処理液によって置換され、図7の右上段の図面に示すように表面Wfに基板処理液の液膜LFが形成される。なお、基板Wから振り切られた基板処理液は第2ガード85で捕集され、第2カップ82で回収される。そして、回収された基板処理液は回収配管821を介して精製装置500に送られる。なお、当該基板処理液の精製装置500による精製処理については後で詳述する。
基板Wの表面Wfの全域に広がった基板処理液の一部はパターンPTの内部に入り込むが、特許文献2に記載の発明と次の点で大きく相違している。すなわち、パターンPTの内部に入り込んだ基板処理液において均一に分散しているシクロヘキサノンオキシム粒子の濃度は高い。より具体的には、その濃度は特許文献2に記載の発明の4倍ないし400倍にも達する。しかも、基板処理液では、シクロヘキサノンオキシム粒子が溶解度を超えた濃度で均一に分散している状態、つまり基板処理液は準安定状態であるため、パターンPTの内部に入り込んで流動拡散が小さくなると、シクロヘキサノンオキシム粒子の再結晶化が開始される。しかも、本実施形態では、基板Wの回転や次の窒素ガスの供給(ステップS6-2)による基板処理液中の溶媒成分、つまりIPAの蒸発により上記再結晶化がさらに促進される。
また、準安定状態が解消された後も、基板Wの回転と窒素ガスの供給が続けられる。つまり、ステップS6-2では、制御部4がバルブ652を開き、図7の右中段に示すように、除湿された窒素ガスが基板処理液の液膜LFで覆われた状態で回転している基板Wの表面Wfに向けて吐出される。その結果、パターンPTの内部に高濃度のシクロヘキサノンオキシムの固化膜SFが形成される。ここで、バルブ652を開くタイミング、つまり窒素ガスの吐出開始タイミングについてはシクロヘキサノンオキシム粒子の再結晶化の開始前でも開始後であってもよい。また、窒素ガスの吐出はシクロヘキサノンオキシムの固化膜を形成するための必須構成ではないが、スループットの向上を図るためには窒素ガスの吐出を併用するのが望ましい。
次いで、制御部4は昇華工程を実行する(ステップS6-3)。制御部4は、第2ガード昇降駆動機構88を制御して第2ガード85を下位置に下降させることにより、第3ガード86を基板Wの周端面に対向させる。なお、本実施形態では、制御部4は基板Wの回転速度を固化膜SFの形成工程(ステップS6-2)から継続させているが、高速度まで加速させてもよい。また、制御部4は、遮断板回転駆動機構55を制御して、遮断板51を基板Wの回転と同方向に同等の速度で回転させる。基板Wの回転に伴って、固化膜SFと、その周囲の雰囲気との接触速度が増大する。これにより、固化膜SFの昇華を促進させることができ、短期間のうちに固化膜SFを昇華させることができる。ただし、遮断板51の回転は昇華工程の必須構成ではなく、任意構成である。
また、昇華工程S6-3においては、制御部4は固化膜SFの形成から継続してバルブ652を開いた状態を維持し、図7の右下段に示すように、回転状態の基板Wの表面Wfの中央部に向けてノズル53の吐出口53aから除湿された窒素ガスが吐出される。これにより、基板Wの表面Wfと遮断板51の基板対向面51aとに挟まれた遮断空間を低湿度状態に保ちながら、昇華工程を行うことが可能となっている。この昇華工程S6-3では、固化膜SFの昇華に伴って昇華熱が奪われ、固化膜SFがシクロヘキサノンオキシムの凝固点(融点)以下に維持される。そのため、固化膜SFを構成する昇華性物質、つまりシクロヘキサノンオキシムが融解することを効果的に防止できる。これにより、基板Wの表面WfのパターンPTの間に液相が存在しないので、パターンPTの倒壊の問題を緩和しながら、基板Wを乾燥させることができる。
昇華乾燥工程S6の開始から予め定める昇華時間が経過すると、ステップS7において、制御部4は基板回転駆動機構34のモータを制御してスピンチャック3の回転を停止させる。また、制御部4は、遮断板回転駆動機構55を制御して遮断板51の回転を停止させるとともに、遮断板昇降駆動機構56を制御して遮断板51を遮断位置から上昇させて退避位置に位置決めする。さらに、制御部4は、第3ガード昇降駆動機構89を制御して、第3ガード86に下降させて、全てのガード86~88を基板Wの周端面から下方に退避させる。
その後、制御部4がシャッター開閉機構22を制御してシャッター23(図2、図3)を開いた後で、基板搬送ロボット111がチャンバ2の内部空間に進入して、チャックピン31による保持が解除された処理済みの基板Wをチャンバ2外へと搬出する(ステップS8)。なお、基板Wの搬出が完了して基板搬送ロボット111が基板処理装置1から離れると、制御部4はシャッター開閉機構22を制御してシャッター23を閉じる。
以上のように、本実施形態では、特許文献1に記載の発明と同様に、昇華乾燥用の昇華性物質のひとつであるシクロヘキサノンオキシムを用いて基板Wを乾燥させているが、パターンPTの内部に存在するシクロヘキサノンオキシム(固相)が大きく相違する。つまり、本実施形態では、パターンPTの内部に多量のシクロヘキサノンオキシム(固相)が存在し、溶媒成分(IPA)の残存が効果的に抑制される。すなわちシクロヘキサノンオキシム(固相)でパターンPTをしっかりと保持した状況で昇華乾燥が実行される。このため、特許文献2に記載の発明よりもパターン倒壊の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、基板Wから振り切られた基板処理液を第2カップ82で回収し、当該回収済みの基板処理液を精製装置500により精製し、再利用している。つまり、比較的高価なシクロヘキサノンオキシムの使用量を抑制することができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
また、次に説明するように精製装置500は、準安定状態にあるシクロヘキサノンオキシム粒子の再結晶化を利用してシクロヘキサノンオキシムの純度を高めている。このため、基板処理液に含まれる液中パーティクルを低減させ、パターン倒壊の発生をさらに低減させることができる。
<精製装置>
準安定状態のシクロヘキサノンオキシム粒子を含む基板処理液を放置すると、溶解度を超える分のシクロヘキサノンオキシム粒子が再結晶化する。例えば図1の(d)欄に示す組成の基板処理液を貯留する透明ガラス容器GCを常温で静置すると、透明ガラス容器GCでシクロヘキサノンオキシムが析出する。この析出物をフーリエ変換赤外分光法およびガスクロマトグラフ分析(水素炎イオン化検出器)により解析したところ、析出物が純度99.99%のシクロヘキサノンオキシム(固相)であることが確認された。つまり、液中パーティクルを含む基板処理液であっても、再結晶化を利用することで高純度のシクロヘキサノンオキシム(固相)を入手することができる。そして、析出したシクロヘキサノンオキシム(固相)を溶媒(IPA)で溶解した溶液に助剤(NHOH)を加えることで液中パーティクルを含まない高純度の基板処理液(シクロヘキサノンオキシムの過飽和溶液)を精製することができる。
そこで、本実施形態では、図6に示す精製装置500が基板処理装置1に組み込まれている。以下、図6を参照しつつ精製装置500の構成を説明した後で、図8、図9Aないし図9Eを参照しつつ精製装置500の動作について説明する。
精製装置500は、図6に示すように、2つの超音波槽510、520を有している。超音波槽510は、基板処理液を貯留可能な槽511と、槽511に取り付けられた超音波付与部512とを有している。超音波付与部512は、制御部4からの指令に応じて動作制御される。準安定状態のシクロヘキサノンオキシム粒子を含む基板処理液が超音波槽510に貯留された状態で制御部4からの動作指令に応じて超音波付与部512が作動すると、槽511に貯留された基板処理液に超音波振動が加えられ、準安定状態が維持される。一方、制御部4からの動作停止指令に応じて超音波付与部512が停止すると、超音波槽510内でシクロヘキサノンオキシム粒子の再結晶化が進行し、高純度のシクロヘキサノンオキシム(固相)が槽内511内に析出する。なお、超音波槽520も、超音波槽510と同様に、基板処理液を貯留可能な槽521と、槽521に取り付けられた超音波付与部522とを有し、同一機能を果たす。
超音波槽510、520は、連結配管530により相互接続されている。連結配管530の一方端は超音波槽510の底部に接続され、他方端は超音波槽510の底部に接続されている。また、連結配管530の中央部には、ポンプ531が介装されている。また、連結配管530の一方端とポンプ531の介装位置との間に三方弁532が介装され、連結配管530の他方端と上記介装位置との間に三方弁533が介装されている。このため、ポンプ531が制御部4からの指令に応じて作動しながら、三方弁532、533が制御部4からの指令に応じて送液ポジション(図9C参照)に切り替えられると、超音波槽510、520の間での基板処理液の送液が行われる。また、三方弁532、533は、基板処理液の送液を制御する第1ポートおよび第2ポート以外に、超音波槽510から液を排液するための第3ポートを有している。このため、制御部4からの指令に応じて三方弁533が全てのポートを閉じた状態で三方弁532の第1ポートおよび第3ポートが開くことで、超音波槽510から液が配管534を介して排液可能となる(図9D参照)。また、制御部4からの指令に応じて三方弁532が全てのポートを閉じた状態で三方弁533の第1ポートおよび第3ポートが開くことで、超音波槽520から液が配管535を介して排液可能となる。
また、超音波槽510には、配管513~515が接続されている。配管515はシクロヘキサノンオキシムの供給源と接続されている。このため、制御部4からの補給指令に応じて供給源からシクロヘキサノンオキシムが超音波槽510に補給される。なお、当該供給源から供給されるのは、シクロヘキサノンオキシム(固相)または上記基板処理液中の溶媒成分と同じ溶媒で溶解した比較的高濃度のシクロヘキサノンオキシム溶液であってもよい。
配管514は、基板処理液の溶媒(本実施形態でIPA)の供給源と接続されている。このため、制御部4からの供給指令に応じて当該供給源からIPAが超音波槽510に供給される。
配管513は、基板処理液の助剤(本実施形態でアンモニア水)の供給源と接続されている。このため、制御部4からの供給指令に応じて当該供給源からアンモニア水が超音波槽510に供給される。
また、超音波槽510には、第2カップ82から延設される回収配管821の分岐配管822が延設され、第2カップ82で回収された使用済の基板処理液を超音波槽510に案内する。この分岐配管822には、バルブ516が介装されており、制御部4からの開閉指令に応じて開閉制御される。つまり、バルブ516が開成されることで、回収された基板処理液が超音波槽510に送液される(回収処理)。逆に、バルブ516が閉成されることで、回収された基板処理液の超音波槽510への送液が停止される。
さらに、超音波槽510内でのシクロヘキサノンオキシムの濃度を計測するために、超音波槽510には濃度計541が設けられている。
このように超音波槽510に対し、シクロヘキサノンオキシム、IPA、NHOHおよび使用済の基板処理液がそれぞれ独立して供給可能となっている。したがって、濃度計541による計測結果から超音波槽510に貯留されている基板処理液中のシクロヘキサノンオキシム濃度が低いことが検知されると、制御部4はシクロヘキサノンオキシムの供給によって当該濃度を飽和濃度よりも高める。また、超音波槽510に貯留されている基板処理液にIPAを加えることでシクロヘキサノンオキシム濃度を調整可能となっている。また、飽和濃度を超える濃度のシクロヘキサノンオキシムが存在する基板処理液にNHOHを補給してシクロヘキサノンオキシム粒子を準安定状態に調整することが可能となっている。さらに、後述するように超音波槽510内で析出したシクロヘキサノンオキシム(固相)のみを超音波槽510に残した状態でIPAを供給することで析出物(シクロヘキサノンオキシム(固相))の表面層を薄く剥ぎ取り、析出物に付着していた不純物を除去することも可能となっている。これにより、超音波槽510に高純度のシクロヘキサノンオキシム(固相)のみが残っており、IPAおよびNHOHをそれぞれ適量供給することによって高純度で、しかも準安定状態のシクロヘキサノンオキシム粒子を含む基板処理液が得られる(精製処理)。
こうして精製された基板処理液を貯留タンク401に送液するために、超音波槽510の底部と、配管403とを接続する配管517が設けられている。配管517には、ポンプ518と、バルブ519が介装されている。このため、制御部4からの開成指令に応じてバルブ519が開成された状態で制御部4からの作動指令に応じてポンプ518が作動することで、上記精製された基板処理液が配管517を介して貯留タンク401に送液される。こうして基板処理液の補給処理が実行される。このように、超音波槽510では、回収・精製処理と、補給処理とを交互に実行可能となっている。
もう一方の超音波槽520に対しても、超音波槽510と同様に、配管523~525が接続されている。そして、濃度計542の計測結果に基づく配管525を介したシクロヘキサノンオキシムの補給、配管524を介したIPA(溶媒)の供給、配管523を介したアンモニア水(助剤)の補給がそれぞれ独立して実行可能となっている。また、超音波槽520には、第2カップ82から延設される回収配管821の分岐配管823が接続されており、分岐配管823に介装されたバルブ526が開成されることで、回収された基板処理液が超音波槽520に送液される。逆に、バルブ527が閉成されることで、回収された基板処理液の超音波槽520への送液が停止される。このため、超音波槽520においても、超音波槽510と同様に、回収・精製処理と、補給処理とを交互に実行可能となっている。
図8は図6に示す精製装置の動作を示すフローチャートである。図9Aないし図9Eは、それぞれ図6に示す精製装置の動作例を模式的に示す図である。これらの図面において、符号ON、OFFは超音波付与部521、522の動作/動作停止を示し、バルブおよび三方弁を示す記号において三角形の部分が黒いものは、ポートおよびバルブが開いている状態を示し、三角形の部分が白いものは、ポートおよびバルブが閉じている状態を示している。
さらに、太線は液の流れを示している。
精製装置500の各部は、基板処理装置1での図6に示す基板処理と並行し、制御部4に予め記憶された精製プログラムにしたがって以下のように動作する。これにより、超音波槽510、520の一方で回収・精製処理が実行されるのと並行して、他方で補給処理が実行される。なお、本実施形態では、基板処理装置1全体を制御する制御部4により精製装置500を制御しているが、精製装置500を制御するための専用の制御部を設け、当該制御部により精製装置500の各部を制御するように構成してもよい。
制御部4は、ステップS11で、回収・精製処理を行う超音波槽と、補給処理を行う超音波槽とが交互に切り替えられるように、各超音波槽510、520の機能を設定する。ここでは、このステップS11で、超音波槽510、520がそれぞれ回収・精製処理および補給処理を行うように、制御部4が設定したと仮定して説明する。この時点では、バルブ516、526は閉じており、第2カップ82に回収された基板処理液の精製装置500への供給は停止されている。また、三方弁532、533の全ポートは閉じられており、これによって、精製前の基板処理液(以下「精製前処理液」という)が超音波槽510、520の間で流通するのを規制している。また、超音波付与部522、523はいずれも動作しており、超音波槽510は精製前処理液が貯留される一方、超音波槽520では精製された基板処理液が貯留されている。
補給処理を実行する超音波槽520では、図9Aに示すように、バルブ529が開くとともに、ポンプ528が作動する。これにより、精製された基板処理液が配管527を介して処理液供給部400の貯留タンク401(図6)に向けて送液される(ステップS12)。また、基板処理液の送液に伴って超音波槽520内での基板処理液の貯留量が徐々に減っていき、空になる(ステップS13で「YES」)。すると、ポンプ528が停止するとともに、バルブ529が閉じる(ステップS14)。これにより補給処理が完了する。
補給処理と並行して、超音波槽510では、回収・精製処理が実行される(ステップS15~S19)。ステップS15で、図9Aに示すように、バルブ516が開き、第2カップ82に回収された基板処理液が配管821、822を介して精製用超音波槽として機能する超音波槽510に回収され、既に貯留されている精製前処理液と混合される。これが終了すると、バルブ516は閉じる。
濃度計541による計測結果から精製前処理液に含まれるシクロヘキサノンオキシム粒子の濃度が飽和濃度以下の場合、つまり精製前処理液が過飽和となっていない(ステップS16で「NO」)場合、シクロヘキサノンオキシム、IPAまたはNHOHが超音波槽510に供給され、精製前処理液中のシクロヘキサノンオキシム粒子の濃度が調整された(ステップS17)後で、ステップS16に戻る。
一方、シクロヘキサノンオキシム粒子の濃度が飽和濃度を超え、超音波槽510内で過飽和の精製前処理液が存在していることを確認する(ステップS16で「YES」)と、図9Bに示すように、超音波付与部512が停止して精製前処理液への超音波振動の付与を停止する(ステップS18)。これにより、準安定状態のシクロヘキサノンオキシム粒子の再結晶化が開始され、超音波槽510内にシクロヘキサノンオキシム(固相)OXが析出する。濃度計541による計測結果に基づき再結晶化が完了し、しかも補給処理が完了していることを確認すると、図9Cに示すように、三方弁532、533の第1、第2ポートが開くとともに、ポンプ531が作動して超音波槽510に貯留されている精製前処理液が配管530を介して空に超音波槽520に移される。つまり、精製用超音波槽510から精製前処理液が空の超音波槽520に送液される(ステップS19)とともに、超音波槽520が精製用超音波槽510からの精製前処理液を受け取る(ステップS20)。これにより、超音波槽510では析出物(シクロヘキサノンオキシム(固相))のみが残存する一方、超音波槽520では飽和濃度以下のシクロヘキサノンオキシム粒子を含む精製前処理液が貯留され、この回収・精製処理を開始する前の超音波槽510と近似した状態となる。
精製前処理液の移し替えが完了すると、ポンプ531が停止する。また、三方弁532、533の第1ポートおよび第2ポートが閉じる。そして、図9Dに示すように、IPAのみが超音波槽510に供給される。これによって、析出物の表面層が薄く剥ぎ取られ、析出物に付着していた不純物が除去される、つまりシクロヘキサノンオキシム(固相)OXが洗浄される。この洗浄後に、三方弁532の第1ポートおよび第3ポートが開き、洗浄後のIPAが配管530、三方弁532および配管534で形成される排液経路に沿って不純物とともに超音波槽510から排出される。このような析出物の洗浄を繰り返すことで高純度のシクロヘキサノンオキシム(固相)OXが得られる(ステップS21)。これに続いて、図9Eに示すように、IPAおよびNHOHが超音波槽510に供給されるとともに、超音波付与部512の動作が再開される。これによって、過飽和の基板処理液が精製され、上記補給処理を実行する前の超音波槽520と同様に、昇華乾燥に好適な基板処理液として超音波槽510に貯留される(ステップS22)。
こうして、補給処理と回収・精製処理が完了すると、ステップS11に戻って、補給処理と回収・精製処理が繰り返される。つまり、超音波槽510、520でそれぞれ補給処理および回収・精製処理および補給処理が行われる。
以上のように、精製装置500では、準安定状態のシクロヘキサノンオキシム粒子の再結晶化による得られるシクロヘキサノンオキシム(固相)OXを用いて基板処理液を精製している。したがって、不純物や液中パーティクルなどを含まない基板処理液が得られる。そして、この基板処理液を用いて昇華乾燥を行うことで、パターンPTの倒壊をさらに抑制することができる。
<バッチ式基板処理システム>
本発明の適用対象は、枚葉式基板処理装置に限定されるものではなく、いわゆるバッチ式基板処理システムに装備される基板処理装置に対して適用可能である。
図10は本発明に係る精製方法を適用可能な基板処理装置の他の例を装備した基板処理システムの構成を示す図である。基板処理システム200は、複数枚の基板Wを一括して処理するバッチ式の基板処理システムである。基板処理システム200は、薬液を貯留する薬液貯留槽210と、リンス液(たとえば水)を貯留するリンス液貯留槽220と、第1実施形態で使用した昇華乾燥用の基板処理液を貯留する昇華剤貯留槽230と、供給液(たとえば水含有液)を貯留する供給液貯留槽240とを含む。なお、昇華剤貯留槽230には、上記処理液供給部400から延設される配管405が接続されている。また、昇華剤貯留槽230に設けられたオーバーフロー槽により回収される基板処理液は配管821を介して精製装置500に回収される。この精製装置500で回収・精製処理が実行される。そして、精製済みの基板処理液が処理液供給部400を経由して昇華剤貯留槽230に戻される。さらに、図10への図示を省略しているが、例えば特開2021-034442号公報に記載された超音波発生器が昇華剤貯留槽230の下側に設けられ、昇華剤貯留槽230内の基板処理液への超音波付与と付与停止とを切り替え可能となっている。
基板処理システム200は、さらに、供給液貯留槽240に貯留されている供給液に基板Wを浸漬させるリフタ250と、リフタ250を昇降させるためのリフタ昇降部260とを含む。リフタ250は、複数枚の基板Wの各々を、鉛直な姿勢で支持する。リフタ昇降部260は、リフタ250に保持されている基板Wが供給液貯留槽240内に位置する処理位置(図10に実線で示す位置)と、リフタ250に保持されている基板Wが供給液貯留槽240内から上方に退避する退避位置(図10に2点鎖線で示す位置)との間でリフタ250を昇降させる。
基板処理システム200における一連の処理では、基板処理システム200の処理ユニットに搬入された複数枚の基板Wは、薬液貯留槽210に貯留されている薬液に浸漬される。これにより、薬液処理(洗浄処理やエッチング処理)が各基板Wに施される(薬液工程)。薬液への浸漬開始から予め定める期間が経過すると、複数枚の基板Wは薬液貯留槽210から引き上げられ、リンス液貯留槽220へと移される。次いで、複数枚の基板Wは、リンス液貯留槽220に貯留されているリンス液に浸漬される。これにより、リンス処理が基板Wに施される(リンス工程)。リンス液への浸漬開始から予め定める期間が経過すると、複数枚の基板Wは、リンス液貯留槽220から引き上げられ、昇華剤貯留槽230へと移される。次いで、複数枚の基板Wは、昇華剤貯留槽230に貯留されている基板処理液に浸漬される。基板処理液への浸漬開始から予め定める期間が経過すると、複数枚の基板Wは、昇華剤貯留槽230から引き上げられる。この引き上げ時に基板処理液中のシクロヘキサノンオキシム粒子が析出し、各基板Wの表面への固化膜の形成が開始される。そして、固化膜を有した状態で基板Wは供給液貯留槽240へと移される。
供給液貯留槽240へと移された各基板Wの表面には、その全域において基板処理液の固化膜が形成されている。そして、リフタ昇降部260が制御されて、リフタ250が退避位置から処理位置に移動させられることにより、リフタ250に保持されている複数枚の基板Wが供給液に浸漬される。
供給液への基板Wの浸漬開始から予め定める期間が経過すると、リフタ昇降部260が制御されて、リフタ250が処理位置から退避位置に移動させる。これにより、供給液に浸漬されている複数枚の基板Wが供給液から引き上げられる。
供給液からの基板Wの引上げ時には引上げ乾燥(供給液除去工程)が実施される。引上げ乾燥は、供給液貯留槽240から引き上げられた基板Wの表面に気体(たとえば、窒素ガス等の不活性ガス)を吹き付けながら、かつ比較的遅い速度(たとえば数mm/秒)で基板Wを引き上げることにより行う。これにより、基板Wの表面の全域から、供給液が除去される。
その後、固化膜、つまりシクロヘキサノンオキシム(固相)が気体に昇華する。これにより、液体状態を経ずに固化膜を基板Wの表面から除去できるので、パターンの倒壊を効果的に抑制または防止しながら、基板Wの表面を乾燥させることができる。
上記実施形態では、図8中のステップS15~S17が本発明の「第1工程」の一例に相当し、ステップS18が本発明の「第2工程」の一例に相当し、ステップS21、S22が本発明の「第3工程」の一例に相当している。また、超音波槽510、520の一方が本発明の「槽」、「第1槽」の一例に相当し、他方が本発明の「槽」、「第2槽」の一例に相当している。また、ステップS19を実行した際の精製前処理液が本発明の「前記昇華性物質の析出により前記昇華性物質の濃度が低下した溶液」の一例に相当している。また、配管530、ポンプ531、三方弁532、533の組み合わせが本発明の「排液部」として機能する。また、溶媒の供給源と配管514(524)の組み合わせが本発明の「溶媒供給部」として機能する。また、助剤の供給源と配管513(523)の組み合わせが本発明の「助剤供給部」として機能する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、回収した基板処理液を混合させた上で、精製装置500により基板処理液を用いているが、上記混合は必須ではなく、任意である。ただし、ラニングコストの低減などを図る上では、上記混合は有益である。
また、上記実施形態では、析出したシクロヘキサノンオキシムOXに対して洗浄処理を施しているが、これを省略してもよい。
また、上記実施形態では、超音波槽510、520の間を精製前処理液が往復移動しており、往復回数の増大に伴って精製前処理液に不純物や液中パーティクルなどが増える。そこで、往復回数が一定値に達すると、精製前処理液が配管534、535を介して排液されるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、助剤添加により溶解度を超える昇華性物質の粒子が分散する基板処理液を精製しているが、助剤添加は必須構成ではない。つまり、析出した昇華性物質(固相)を溶媒で溶解して溶解度以下の昇華性物質の粒子が分散する基板処理液を精製するように構成してもよい。
この発明は、昇華性物質の昇華現象を利用して基板に付着した液体を除去するのに用いる基板処理液を精製する精製技術全般に適用することができる。
1…基板処理装置
4…制御部
402,512,522,523…超音波付与部
500…精製装置
510、520…超音波槽(槽、第1槽、第2槽)
513、523…配管(助剤供給部)
514、524…配管(溶媒供給部)
530…配管(排液部)
531…ポンプ(排液部)
532、533…三方弁
L…基板処理液

Claims (7)

  1. 昇華性物質の昇華現象を利用してパターン形成面を有する基板上の液体を除去するのに用いる基板処理液の精製方法であって、
    前記昇華性物質の過飽和溶液を調製する第1工程と、
    前記過飽和溶液から前記昇華性物質を析出させる第2工程と、
    析出した前記昇華性物質を溶媒で溶解して前記基板処理液を精製する第3工程と、
    を備えることを特徴とする基板処理液の精製方法。
  2. 請求項1に記載の基板処理液の精製方法であって、
    前記第1工程ないし前記第3工程をそれぞれ実行可能な第1槽および第2槽において
    (a)前記第1槽において前記第1工程および第2工程を行うのと並行して前記第2槽に貯留されている前記基板処理液を外部に送液して前記第2槽を空にする工程と
    (b)前記第1槽において前記昇華性物質の析出により前記昇華性物質の濃度が低下した溶液を空になった前記第2槽に移し、析出した前記昇華性物質のみを前記第1槽に残す工程と
    (c)前記第1槽において前記第3工程を実行して前記基板処理液を貯留する工程と
    (d)前記第2槽において前記第1工程および第2工程を行うのと並行して前記第1槽に貯留されている前記基板処理液を外部に送液して前記第1槽を空にする工程と
    (e)前記第2槽において前記昇華性物質の析出により前記昇華性物質の濃度が低下した溶液を空になった前記第1槽に移し、析出した前記昇華性物質のみを前記第2槽に残す工程と
    (f)前記第2槽において前記第3工程を実行して前記基板処理液を貯留する工程と、
    を前記工程(a)~工程(f)の順序で繰り返して実行する基板処理液の精製方法。
  3. 請求項1または2に記載の基板処理液の精製方法であって、
    前記第3工程は、析出した前記昇華性物質を前記溶媒で溶解する前に、析出した前記昇華性物質を洗浄する工程を含む基板処理液の精製方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の基板処理方法であって、
    前記第3工程は、析出した前記昇華性物質を前記溶媒で溶解した溶液に助剤を添加することで溶解度を超える前記昇華性物質の粒子が分散する前記基板処理液を精製する工程を含む基板処理液の精製方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の基板処理液の精製方法であって、
    前記第1工程は、超音波振動が付与しながら実行され、
    前記第2工程は、前記過飽和溶液への超音波付与の停止により前記昇華性物質の析出が実行される基板処理液の精製方法。
  6. 昇華性物質の昇華現象を利用してパターン形成面を有する基板上の液体を除去するのに用いる基板処理液を精製する精製装置であって、
    前記昇華性物質の過飽和溶液を貯留可能な槽と、
    前記槽に貯留される前記過飽和溶液に超音波振動を付与可能な超音波付与部と、
    前記槽から排液する排液部と、
    前記昇華性物質を溶解する溶媒を前記槽に供給する溶媒供給部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記過飽和溶液を貯留している前記槽に超音波振動を付与している前記超音波付与部を停止させることで前記過飽和溶液から前記昇華性物質が析出するように、前記超音波付与部を制御し、
    前記昇華性物質の析出により前記昇華性物質の濃度が低下した溶液を前記槽から排液することで析出した前記昇華性物質のみを前記槽に残すように、前記排液部を制御し、
    析出した前記昇華性物質のみが残った前記槽に前記溶媒を供給して前記基板処理液を精製するように、前記溶媒供給部を制御する
    ことを特徴とする精製装置。
  7. 請求項6に記載の精製装置であって、
    前記昇華性物質を前記溶媒で溶解した溶液に添加されることで溶解度を超える前記昇華性物質の粒子を前記溶液に分散させる助剤を前記槽に供給する助剤供給部を備え、
    前記制御部は、析出した前記昇華性物質を前記溶媒で溶解した溶液に前記助剤が添加されて前記基板処理液が過飽和の前記昇華性物質を含むように、前記助剤供給部を制御する精製装置。
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