JP2023123309A - 止水構造 - Google Patents

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庄悟 青柳
Shogo Aoyagi
浩善 川口
Hiroyoshi Kawaguchi
正敏 南
Masatoshi Minami
竜 石川
Ryu Ishikawa
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Abstract

【課題】スムーズに構築可能な止水構造を提供する。【解決手段】隣り合う押出成形セメント板10間の縦目地15及び横目地16を止水する止水構造は、隣り合う押出成形セメント板10間の屋外側に設けられ、1次シーリング材17aと1次シーリング材17aの内側に設けられた1次バックアップ材17bとを備えている1次止水部17と、隣り合う押出成形セメント板10間で且つ1次止水部17の屋内側に設けられ、2次シーリング材18aと2次シーリング材18aの内側に設けられた2次バックアップ材18bとを備えている2次止水部18と、を備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、押出成形セメント板間の目地を止水する止水構造に関する。
押出成形セメント板(Extruded Cement Panel : ECP)とは、セメント・珪酸カルシウム・無機質繊維を原料とし、中空板状に押出成形されたパネルであって、建物の外壁等に用いられる。押出成形セメント板は、軽量でありながら、強度、耐候性、耐火性、耐震性に優れ、かつ美観と意匠性も兼ね備えた建築材料である。押出成形セメント板の種類としては、表面が平滑なフラットパネル、表面にリブ形状やエンボス模様を施したデザインパネル、表面にタイルを張り付けるための溝が形成されたタイルベースパネル等が知られている。
特許文献1には、上下に縦積みされた押出成形セメント板間の目地の屋外側に、シーリング材及びバックアップ材が配置され、目地の屋内側に水切部材や各種ガスケットを配置した止水構造が開示されている。
特開2019-19562号公報
しかしながら、押出成形セメント板の屋外側にシーリング材等を、屋内側に水切部材やガスケット等をそれぞれ配置して構築される複雑な止水構造は、煩雑な施工が必要になり施工コストが高いという問題があった。
そこで、スムーズに構築可能な止水構造を提供するという解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、この課題を解決することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る止水構造は、隣り合う押出成形セメント板間の目地を止水する止水構造であって、隣り合う前記押出成形セメント板間の屋外側に設けられ、1次シーリング材と前記1次シーリング材の内側に設けられた透水性バックアップ材とを備えている1次止水部と、隣り合う前記押出成形セメント板間で且つ前記1次止水部の屋内側に設けられ、2次シーリング材と前記2次シーリング材の内側に設けられたバックアップ材とを備えている2次止水部と、を備えている構成とした。
これまで単色塗装のみであった無機質板表面に、高い意匠性を付与することができる。
本発明の一実施形態に係る止水構造を適用した外壁を屋内側から視た模式図。 外壁の構造を示す平面図。 図2中のA-A線断面図。 押出成形セメント板の構造を示す平面図。 開口補強材の外周に構築された止水構造を示す斜視図と縦断面図。 開口補強材の外周に構築された従来の止水構造を示す斜視図と縦断面図。
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
図1は、本実施形態に係る止水構造を適用した外壁1を建造物(屋内)側から視た模式図である。外壁1は、建造物の躯体である梁2と、梁2に固定されて取り付けられた押出成形セメント板10と、を備えている。梁2は、例えばH型鋼材から成る。梁2には、建造物の床等の構造部材となる床パネル3が載置されている。外壁1は、梁2と押出成形セメント板10とから成る基本単位を繰り返すことにより構築されている。
押出成形セメント板10は、押出方向を長軸、幅方向を短軸とする略矩形状に形成されたパネルである。押出成形セメント板10は、長手寸法、幅寸法又は厚み寸法が異なるサイズのパネルの中から、個数及び種類のうち少なくとも何れか一方を選択し、建造物の構造に応じて適宜選択することができる。
図1に示された外壁1は、押出成形セメント板10の押出方向の長さが長いタイプのパネル2枚と短いタイプのパネル6枚とから構成されている。8枚の押出成形セメント板10は、梁2に対して垂直に梁2に取り付けられている。
複数の押出成形セメント板10は、建造物の躯体に沿って、地面に対して垂直面方向に並べられていればよく、押出成形セメント板10の押し出し方向を垂直方向とする「縦張り工法」によって並べられていてもよい。また、押出成形セメント板10の押し出し方向を水平方向とする「横張り工法」によって並べられていてもよい。複数の押出成形セメント板10は、通しアングル4により、それぞれ建造物の躯体である梁2に取り付けられる。なお、通しアングル4は、例えばL型鋼材から成る。
通しアングル4は、梁2に沿って、垂直方向に並べられた押出成形セメント板10の建造物の室内側の上端部及び下端部に複数の押出成形セメント板10を一括りできるように取り付けられている。通しアングル4は、建造物の躯体である梁2に固定されている。
通しアングル4は、後述するLZ金物(Z型クリップ)6と押出成形セメント板10とによって挟持されて固定化されている。
なお、必要に応じて、梁2と押出成形セメント板10との取り付け状態を強化して、安定化するために押出成形セメント板10の幅方向の中央に、通しアングル4に固定されるL型のピースアングル5を取り付けてもよい。
外壁1は、押出成形セメント板10の幅方向の縁底面10aと壁パネルの押し出し方向の側面10bから形成される建造物の開口を備えていてもよい。この開口は、建造物の窓枠等として利用される。外壁1は、この建造物の開口を補強するために開口補強材7を備えていてもよい。
図2は、外壁1の横断面構造を示す図である。図3は、図2中のA―A線断面図である。
通しアングル4は、垂直部4aと水平部4bとを備えている。垂直部4aは、ピースアングル5に固定されている。垂直部4aは、上下方向に隣り合う押出成形セメント板10の間に介装されている。
押出成形セメント板10は、LZ金物6を介して通しアングル4に固定されている。LZ金物6は、公知の構成であり、横断面が緩やかなZ型をした段付き取付金具6aと、当て板6bと、ボルト6cと、平ナット6dと、を備えている。LZ金物6と押出成形セメント板10とは、LZ金物6と押出成形セメント板10とを貫通する孔にボルト6cが嵌合されることによって固定化される。段付き取付金具6a及び当て板6bの材質は、SS400である。ボルト6cの材質は、軟鋼線材である。平ナット6dは、例えば日新製鋼株式会社の「ZAM(登録商標)」である。
段付き取付金具6a及び当て板6bは、上下方向の下方側で通しアングル4を挟持するように組み付けられている。また、段付き取付金具6a及び当て板6bは、上下方向の上方側をボルト6c及び平ナット6dで締結固定されている。これにより、段付き取付金具6aの弾性的な圧接力(バネ力)が通しアングル4に作用するため、通しアングル4が段付き取付金具6aと当て板6bとの間に挟着固定されるようになっている。
次に、隣り合う押出成形セメント板10間の止水構造について、図面に基づいて説明する。
図2に示すように、押出成形セメント板10には、上下方向に伸びた中空部11と、中空部11に対して屋外側に設けられた外壁部12と、中空部11に対して屋外側に設けられて外壁部12に連結された内壁部13と、を備えている。
押出成形セメント板10は、図4(a)に示すように、外壁部12と内壁部13とが略同寸のものの他に、図4(b)、(c)に示すように、外壁部12が内壁部13より広幅に形成されたものを含む。
図4(a)に例示した押出成形セメント板10は、外壁部12の厚みt11と内壁部13の厚みt13とがそれぞれ13mm、中空部11の厚みがt12が34mm、総厚T1が60mmに形成されている。図4(b)に例示した押出成形セメント板10は、外壁部12の厚みt21が28mm、中空部11の厚みt22が34mm、内壁部13の厚みt23が13mm、総厚T2が75mmに形成されている。図4(c)に例示した押出成形セメント板10は、外壁部12の厚みt31が30mm、中空部11の厚みt32が45mm、内壁部13の厚みt33が15mm、総厚T3が90mmに形成されている。
したがって、押出成形セメント板10を、例えば、総厚90mmの押出成形セメント板10と総厚60mmの押出成形セメント板10とを上下又は左右に並べて配置した場合、前者の外壁部12から梁2までの距離が後者の外壁部12から梁2までの距離より30mm長い。したがって、総厚90mmの押出成形セメント板10は、総厚60mmの押出成形セメント板10より30mm前方に迫り出して外壁1表面に凹凸を付与することができる。押出成形セメント板10は、外壁部12と内壁部13との幅寸法が異なるサイズのパネルの中から、個数及び種類のうち少なくとも何れか一方を選択し、建造物の構造に応じて適宜選択することができる。以下、図4(a)に示すように、外壁部12と内壁部13とが等厚に形成されたものを「等厚セメント板」と称し、図4(b)、(c)に示すように、外壁部12が内壁部13より厚肉に形成されたものを「偏厚セメント板」と称す。
接合部14、即ち、隣り合う押出成形セメント板10の隙間である縦目地15及び横目地16には、屋外側から屋内側に向かって、1次止水部17及び2次止水部18がこの順で設けられている。なお、縦目地15の幅は、約10mmに設定され、横目地16の幅は、約15mmに設定されている。
1次止水部17は、1次シーリング材17a、1次シーリング材17aの屋内側に隣接して配置された1次バックアップ材17bと、を備えている。
2次止水部18は、1次止水部17の屋内側に隣接して配置された2次シーリング材18a、2次シーリング材18aの屋内側に隣接して配置された2次バックアップ材18bと、を備えている。
1次シーリング材17a及び2次シーリング材18aは、例えば、湿式シーリング材であり、ウレタン系、アクリル系、ポリサルファイド系、シリコーン系、変性シリコーン系等の材料を利用できる。
1次バックアップ材17b及び2次バックアップ材18bは、例えば、縦目地15及び横目地16の寸法に合わせて形成された長尺状の部材であり、略角柱状に形成されている。
なお、総厚が異なる押出成形セメント板10を左右に並設して外壁1表面に凹凸を付与する場合、隣り合う1次止水部17同士を接続するL字状の止水部材(不図示)を設けるのが好ましい。同様に、隣り合う2次止水部18同士を接続するL字状の止水部材(不図示)を設けるのが好ましい。これにより、総厚の異なる押出成形セメント板10を左右に並べる場合であっても、1次止水部17及び2次止水部18同士が切れ目なく接続されるようになっている。
次に、開口補強材7に溶接されるサッシ8の外周に構築された止水構造について説明する。
例えば、図6に示す従来の止水構造では、押出成形セメント板100の側面100aとサッシ101との間の屋外側において、1次シーリング材102a及び1次バックアップ材102bが、上下に亘って連続して設けられている。
しかしながら、1次シーリング材102a及び1次バックアップ材102bを透水した水が屋内側に漏水しないように中空部(凹部)100bを図示しないシーリング材で充填した上で、サッシ101の角より下方では、2次シーリング材103a及び2次バックアップ材103bが凹部100bに充填された図示しないシーリング材から成る壁とサッシ101の側面との間に設けられ、サッシ101の角より上方では、水切部材104及び通しアングル105と押出成形セメント板100の側面100aとの間にL字側のシーリング材106が設けられている。すなわち、2次側止水では、サッシ101の角を境にして上下に二分される。
一方、図5に示す本実施形態に係る止水構造では、サッシ8の外周において、外壁部12の側面10bとサッシ8との間に、上下方向に亘って1次止水部17及び2次止水部18が設けられている。すなわち、1次止水部17及び2次止水部18は、上下方向において切れ目なく延伸されている。
このようにして、本実施形態に係る止水構造は、隣り合う押出成形セメント板10間の縦目地15及び横目地16を止水する止水構造であって、隣り合う押出成形セメント板10間の屋外側に設けられ、1次シーリング材17aと1次シーリング材17aの内側に設けられた1次バックアップ材17bとを備えている1次止水部17と、隣り合う押出成形セメント板10間で且つ1次止水部17の屋内側に設けられ、2次シーリング材18aと2次シーリング材18aの内側に設けられた2次バックアップ材18bとを備えている2次止水部18と、を備えている構成とした。
この構成によれば、縦目地15及び横目地16において、1次止水部17及び2次止水部18が並んで配置されて止水性に優れた2重シール構造が構築可能なため、内壁部13の縦目地15及び横目地16において水切部材やガスケットを設ける必要がなくなるため、施工を簡便化することができる。
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
上述した実施形態では、偏厚セメント板の外壁部12側に1次止水部17、2次止水部18を設けた場合を例に説明したが、等厚セメント板の外壁部12側に1次止水部17、2次止水部18を設けても構わない。
1 :外壁
2 :梁
3 :床パネル
4 :通しアングル
4a :垂直部
4b :水平部
5 :ピースアングル
6 :LZ金物
6a :段付き取付金具
6b :当て板
6c :ボルト
6d :平ナット
7 :開口補強材
8 :サッシ
10 :押出成形セメント板
10a:縁底面
10b:側面
11 :中空部
12 :外壁部
13 :内壁部
14 :接合部
15 :縦目地
16 :横目地
17 :1次止水部
17a:1次シーリング材
17b:1次バックアップ材
18 :2次止水部
18a:2次シーリング材
18b:2次バックアップ材

Claims (2)

  1. 隣り合う押出成形セメント板間の目地を止水する止水構造であって、
    隣り合う前記押出成形セメント板間の屋外側に設けられ、1次シーリング材と前記1次シーリング材の内側に設けられた透水性バックアップ材とを備えている1次止水部と、
    隣り合う前記押出成形セメント板間で且つ前記1次止水部の屋内側に設けられ、2次シーリング材と前記2次シーリング材の内側に設けられたバックアップ材とを備えている2次止水部と、
    を備えていることを特徴とする止水構造。
  2. 前記押出成形セメント板の外壁部は、中空部を挟んで前記外壁部の屋内側に設けられた内壁部より厚く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の止水構造。
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