JP2023119903A - パターン検査方法、及びパターン検査装置 - Google Patents

パターン検査方法、及びパターン検査装置 Download PDF

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Abstract

【目的】TDIセンサの使用に伴い階調値ドリフトが生じた撮像素子の感度校正が可能な検査方法を提供する。【構成】本発明の一態様のパターン検査方法は、光学画像が分割された複数のフレーム画像のうち予め設定されたサイズの1以上の白ベタ領域を含む複数の第1の特定フレーム画像について第1の特定フレーム画像毎に1以上の白ベタ領域の平均階調値を算出する工程と、複数の第1の特定フレーム画像のうち平均階調値が基準平均階調値から所定の範囲を超えて外れた平均階調値の1以上の白ベタ領域を有する第2の特定フレーム画像を検出する工程と、複数の第1の特定フレーム画像における第2の特定フレーム画像の割合が第1の閾値以上かどうかを判定する工程と、第1の閾値以上と判定された場合に、以降に光学画像を撮像するためのTDIセンサの感度を校正する工程と、感度が校正されたTDIセンサによって撮像された光学画像と、当該光学画像に対応する参照画像とを比較し、結果を出力する工程と、を備えたことを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、パターン検査方法、及びパターン検査装置に関する。例えば、半導体製造に用いる試料となる物体のパターン欠陥を検査するパターン検査技術に関し、半導体素子や液晶ディスプレイ(LCD)を製作するときに使用されるフォトマスク、ウェハ、あるいは液晶基板などの極めて小さなパターンの欠陥を検査する方法に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。これらの半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスク或いはレチクルともいう。以下、マスクと総称する)を用いて、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。よって、かかる微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細な回路パターンを描画することができる電子ビームを用いたパターン描画装置を用いる。かかるパターン描画装置を用いてウェハに直接パターン回路を描画することもある。或いは、電子ビーム以外にもレーザビームを用いて描画するレーザビーム描画装置の開発が試みられている。
そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになろうとしている。歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
検査手法としては、拡大光学系を用いてリソグラフィマスク等の試料上に形成されているパターンを所定の倍率で撮像した光学画像と、設計データ、あるいは試料上の同一パターンを撮像した光学画像と比較することにより検査を行う方法が知られている。例えば、パターン検査方法として、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die(ダイ-ダイ)検査」や、パターン設計されたCADデータをマスクにパターンを描画する時に描画装置が入力するための装置入力フォーマットに変換した描画データ(設計データ)を検査装置に入力して、これをベースに設計画像(参照画像)を生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる光学画像とを比較する「die to database(ダイ-データベース)検査」がある。かかる検査装置における検査方法では、試料はステージ上に載置され、ステージが動くことによって光束が試料上を走査し、検査が行われる。試料には、光源及び照明光学系によって光束が照射される。試料を透過あるいは反射した光は光学系を介して、センサ上に結像される。センサで撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、許容内に入らない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
ここで、試料上のパターンを撮像する際に、複数の撮像素子(センサ画素)が2次元配列されたTDI(時間遅延積分)センサが用いられる。一般に、検査装置では、マスク検査を行う前に、検査に適切な階調値のTDIセンサイメージが得られるように、レーザ光の光量の調整と、TDIセンサのセンサ画素毎のゲイン調整といったキャリブレーション(校正)が行われる。TDIセンサでは、長時間のレーザ光の照射等に起因して、使用しているうちに一部のエリアの撮像素子の感度が上昇し、これに伴いかかるエリアの階調値が上昇してしまう階調値ドリフトが生じるといった問題があった。検査前に実施したキャリブレーションの後に、TDIセンサの階調値ドリフトが生じると検査感度に影響を及ぼしてしまうといった問題があった。そのため、TDIセンサの使用に伴い階調値ドリフトが生じた撮像素子の感度校正を行うことが望ましい。
TDIセンサとは異なるが、階調補正部が、カラーCCDカメラから入力される画像データを明暗に対する人の目の感度特性に応じて補正する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10-100386号公報
そこで、本発明の一態様は、TDIセンサの使用に伴い階調値ドリフトが生じた撮像素子の感度校正が可能な検査方法および検査装置を提供する。
本発明の一態様のパターン検査方法は、
光量を測定する2次元配列された撮像素子アレイを有するTDI(時間遅延積分)センサを用いて、TDIセンサをTDIセンサの積分方向に相対的に移動しながら図形パターンが形成された試料面上の光学画像を撮像する工程と、
光学画像が分割された複数のフレーム画像のうち予め設定されたサイズの1以上の白ベタ領域を含む複数の第1の特定フレーム画像について第1の特定フレーム画像毎に1以上の白ベタ領域の平均階調値を算出する工程と、
複数の第1の特定フレーム画像のうち平均階調値が基準平均階調値から所定の範囲を超えて外れた平均階調値の1以上の白ベタ領域を有する第2の特定フレーム画像を検出する工程と、
複数の第1の特定フレーム画像における第2の特定フレーム画像の割合が第1の閾値以上かどうかを判定する工程と、
第1の閾値以上と判定された場合に、以降に光学画像を撮像するためのTDIセンサの感度を校正する工程と、
感度が校正されたTDIセンサによって撮像された光学画像と、当該光学画像に対応する参照画像とを比較し、結果を出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
また、複数のフレーム画像内の設定されたサイズの複数の処理領域の処理領域毎に、当該処理領域内の複数の画素の階調値を用いて階調値毎の頻度を示すヒストグラムを作成する工程と、
ヒストグラムにおける予め設定された階調値範囲内に度数が第2の閾値以上となる階調値を有する処理領域を白ベタ領域として抽出する工程と、
をさらに備えると好適である。
また、撮像素子アレイが積分方向と直交する直交方向に分割された複数のグループを設定する工程をさらに備え、
TDIセンサの感度は、複数のグループのグループ毎に校正されると好適である。
また、グループ毎に、当該グループに設定された撮像素子群によって撮像された領域の光学画像について、1以上の白ベタ領域の平均階調値が算出され、
グループ毎に、当該グループに設定された撮像素子群によって撮像された領域の光学画像について、複数の第1の特定フレーム画像における第2の特定フレーム画像の割合が第1の閾値以上かどうかが判定されると好適である。
また、複数の処理領域は、フレーム画像内で設定されたサイズの領域をm画素(mは自然数)ずつ移動させた場合の各位置での設定されたサイズの領域によって構成されると好適である。
本発明の一態様のパターン検査装置は、
光量を測定する2次元配列された撮像素子アレイを有するTDI(時間遅延積分)センサを有し、TDIセンサをTDIセンサの積分方向に相対的に移動しながら図形パターンが形成された試料面上の光学画像を撮像する光学画像取得機構と、
光学画像が分割された複数のフレーム画像のうち予め設定されたサイズの1以上の白ベタ領域を含む複数の第1の特定フレーム画像について第1の特定フレーム画像毎に1以上の白ベタ領域の平均階調値を算出する平均階調値算出部と、
複数の第1の特定フレーム画像のうち平均階調値が基準平均階調値から所定の範囲を超えて外れた平均階調値の1以上の白ベタ領域を有する第2の特定フレーム画像を検出する検出部と、
複数の第1の特定フレーム画像における第2の特定フレーム画像の割合が第1の閾値以上かどうかを判定する判定部と、
第1の閾値以上と判定された場合に、以降に光学画像を撮像するためのTDIセンサの感度を校正する校正部と、
感度が校正されたTDIセンサによって撮像された光学画像と、当該光学画像に対応する参照画像とを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、TDIセンサの使用に伴い階調値ドリフトが生じた撮像素子の感度校正ができる。その結果、感度が補償されたTDIセンサでの高精度な検査ができる。
実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。 実施の形態1におけるTDIセンサの撮像素子の配置構成の一例を示す図である。 実施の形態1における検査領域を説明するための概念図である。 実施の形態1における検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。 実施の形態1における校正前のTDIセンサの階調値分布の一例を示す図である。 実施の形態1における比較回路の内部構成の一例を示す図である。 実施の形態1におけるフィルタ処理を説明するための図である。 実施の形態1における階調値ドリフトの一例を示す図である。 実施の形態1における1つの撮像素子グループにより撮像された白パターン部分の階調値ドリフトの一例を示す図である。 実施の形態1における抽出回路の内部構成の一例を示す図である。 実施の形態1におけるサブストライプ領域内に設定される領域の一例を示す図である。 実施の形態1における撮像されたサブフレームの画像(実画)を使ったヒストグラム(1)の一例を示す図である。 実施の形態1における撮像された処理領域の画像(実画)を使ったヒストグラム(2)の一例を示す図である。 実施の形態1における校正回路の内部構成の一例を示す図である。 実施の形態1における平均階調値の推移の一例を示す図である。 実施の形態1における感度校正の実施する間隔の一例を示す図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。図1において、検査対象基板、例えばマスクに形成されたパターンの欠陥を検査する検査装置100は、光学画像取得機構150、及び制御系回路160を備えている。
光学画像取得機構150は、光源103、照明光学系170、移動可能に配置されたXYθテーブル102、拡大光学系104、TDI(時間遅延積分)センサ105、センサ回路106、ストライプパターンメモリ123、レーザ測長システム122、及びオートローダ130を有している。XYθテーブル102上には、オートローダ130から搬送された基板101が配置されている。基板101として、例えば、ウェハ等の半導体基板にパターンを転写する露光用のフォトマスクが含まれる。また、このフォトマスクには、検査対象となる複数の図形パターンが形成されている。基板101は、例えば、パターン形成面を下側に向けてXYθテーブル102に配置される。
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、抽出回路140、ヒストグラム作成回路142、校正回路144、磁気ディスク装置109、メモリ111、磁気テープ装置115、フレシキブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、及びプリンタ119に接続されている。また、センサ回路106は、ストライプパターンメモリ123に接続され、ストライプパターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。また、XYθテーブル102は、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータにより駆動される。XYθテーブル102は、ステージの一例となる。
なお、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、抽出回路140、ヒストグラム作成回路142、及び校正回路144、といった一連の「~回路」は、処理回路を有する。かかる処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。例えば、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、抽出回路140、ヒストグラム作成回路142、及び校正回路144、といった一連の「~回路」は、制御計算機110によって構成され、実行されても良い。位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、抽出回路140、ヒストグラム作成回路142、及び校正回路144、に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度各回路内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、FD116、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。
検査装置100では、光源103、XYθテーブル102、照明光学系170、拡大光学系104、TDIセンサ105、及びセンサ回路106により高倍率の検査光学系が構成されている。また、XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X-Y-θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータは、例えばステップモータを用いることができる。XYθテーブル102は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。そして、XYθテーブル102上に配置された基板101の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。また、オートローダ130からXYθテーブル102への基板101の搬送、及びXYθテーブル102からオートローダ130への基板101の搬送処理は、オートローダ制御回路113によって制御される。
被検査基板101のパターン形成の基となる描画データ(設計データ)が検査装置100の外部から入力され、磁気ディスク装置109に格納される。描画データには、複数の図形パターンが定義され、各図形パターンは、通常、複数の要素図形の組合せにより構成される。なお、1つの図形で構成される図形パターンがあっても構わない。被検査基板101上には、かかる描画データに定義された各図形パターンに基づいて、それぞれ対応するパターンが形成されている。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
図2は、実施の形態1におけるTDIセンサの撮像素子の配置構成の一例を示す図である。図2において、TDIセンサ105は、光量を測定する2次元配列されたフォトダイオード(撮像素子)アレイを有する。x方向にm1個、y方向にm2個の複数のフォトダイオード(撮像素子)11(センサ画素)によりフォトダイオードアレイ(撮像素子アレイ)が構成される。例えば、x,y方向に1024×3584個のフォトダイオード11によりフォトダイオードアレイが構成される。図2の例では、例えば、6×21個のフォトダイオード11によりフォトダイオードアレイが構成される場合を示している。また、図2の例では、x方向がスキャン方向として用いる場合を示している。この場合、x方向に並ぶm1個のフォトダイオードにより構成されるフォトダイオード列は、時間を異にして同じ位置を順次撮像することになる。そのため、TDIセンサ105では、同じ位置を撮像したx方向に並ぶフォトダイオード列の光量を積分することで、画像上の1画素あたりの輝度値を測定する。実施の形態1では、2次元配列されたフォトダイオードアレイが積分方向(x方向)と直交する直交方向(y方向)に複数の撮像素子グループ1~7に分割される場合を示している。例えば、直交方向(y方向)に512個ずつ複数の撮像素子グループ1~7に分割される。例えば、1024×3584個のフォトダイオードアレイの場合、例えば1024×512個のフォトダイオード11により1つあたりの撮像素子グループが構成される。図2の例では、例えば、6×3個のフォトダイオード11により1つあたりの撮像素子グループが構成される。
図3は、実施の形態1における検査領域を説明するための概念図である。基板101の検査領域10(検査領域全体)は、図3に示すように、例えばY方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプ20に仮想的に分割される。そして、検査装置100では、検査ストライプ20毎に画像(ストライプ領域画像)を取得していく。検査ストライプ20の各々に対して、レーザ光(検査光)を用いて、当該ストライプ領域の長手方向(X方向)に向かって当該検査ストライプ20内に配置される図形パターンの画像を撮像する。なお、画像の取りこぼしを防ぐために、複数の検査ストライプ20は、隣接する検査ストライプ20同士間が所定のマージン幅でオーバーラップするように設定されると好適である。
XYθテーブル102の移動によってTDIセンサ105が相対的にX方向に連続移動しながら光学画像が取得される。TDIセンサ105では、図3に示されるようなスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。言い換えれば、TDIセンサ105は、TDIセンサ105の積分方向に相対的に移動しながら複数の図形パターンが形成された基板101面上の光学画像を撮像する。実施の形態1では、1つの検査ストライプ20における光学画像を撮像した後、Y方向に次の検査ストライプ20の位置まで移動して今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。すなわち、往路と復路で逆方向に向かうフォワード(FWD)-バックフォワード(BWD)の方向で撮像を繰り返す。
また、実際の検査にあたって、各検査ストライプ20のストライプ領域画像は、図3に示すように、例えば、スキャン幅方向(y方向)の撮像素子グループ幅のサイズの矩形の複数のフレーム領域30の画像に分割される。そして、フレーム領域30の画像毎に検査を行っていく。例えば、512×512画素のサイズに分割される。図3の例では、7つの光学画素グループの撮像領域によって、検査ストライプ20がy方向に分割された(1)~(7)の7つのサブストライプ領域22の画像を撮像することになる。各光学画素グループがそれぞれ1つのサブストライプ領域22の画像を撮像する。そして、各サブストライプ領域22の画像が、スキャン方向に複数のフレーム領域30の画像に分割される。よって、フレーム領域30の画像と比較される参照画像も同様にフレーム領域30毎に作成されることになる。
ここで、撮像の方向は、フォワード(FWD)-バックフォワード(BWD)の繰り返しに限るものではない。一方の方向から撮像してもよい。例えば、FWD-FWDの繰り返しでもよい。或いは、BWD-BWDの繰り返しでもよい。
図4は、実施の形態1における検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。図4において、実施の形態1における検査方法は、グループ設定工程(S90)と、キャリブレーション工程(S100)と、スキャン工程(S102)と、フレーム画像作成工程(S104)と、参照画像作成工程(S110)と、位置合わせ工程(S120)と、比較工程(S122)と、対象サブフレーム抽出工程(S130)と、処理領域設定工程(S132)と、ヒストグラム作成工程(S134)と、白ベタ領域抽出工程(S136)と、平均階調値算出工程(S140)と、オーバーフレーム画像検出工程(S142)と、判定工程(S144)と、感度校正工程(S150)と、判定工程(S152)と、いう一連の工程を実施する。
グループ設定工程(S90)として、制御計算機110(グループ設定部)が、TDIセンサ105のフォトダイオードアレイが積分方向と直交する直交方向に分割された複数の撮像素子グループを設定する。図2の例では、7つの撮像素子グループ1~7が設定される。
キャリブレーション工程(S100)として、マスク検査を行う前に、検査に適切な階調値のTDIセンサイメージが得られるように、レーザ光の光量の調整と、TDIセンサ105のフォトダイオード11毎のゲイン調整といったキャリブレーション(校正)が行われる。
図5は、実施の形態1における校正前のTDIセンサの階調値分布の一例を示す図である。図5において、縦軸は白パターンを撮像した場合における1画素あたりの階調値を示す。横軸は、スキャン方向と直交する方向のフォトダイオードアレイの位置を示す。TDIセンサ105の各フォトダイオード11は、個体差による感度のずれの他に、劣化等により、例えば、レーザ光に当たっていない期間が長期間になると、感度が変動してしまう場合がある。そのため、校正前には、図5に示すように、スキャン方向と直交する方向の位置によって、画像として得られる階調値が異なってしまう。そのため、検査前に、レーザ光の光量の調整と、TDIセンサ105のフォトダイオード11毎のゲイン調整とにより、スキャン方向と直交する方向の感度が一様になるように調整される。ゲイン調整は、センサ回路106により実施される。各フォトダイオード11が白パターンを撮像した際の階調値がTになるようにゲイン調整される場合を示している。例えば256階調のダイナミックレンジに対して、白パターン部分を撮像した場合に、階調値が例えば200階調になるように調整される。ここで、白パターンとは、所謂、白ベタ(領域内に白部以外存在しない)の領域を指す。透過検査において、白パターンはガラス部(光が透過して抜けてくる)の領域で生じる。反射検査において、白パターンはCrやArFなど遮光膜部(光が反射してくる)の領域で生じる。
スキャン工程(S102)として、光学画像取得機構150は、TDIセンサ105を用いて、TDIセンサ105をTDIセンサ105の積分方向に相対的に移動しながら図形パターンが形成された基板101面上の光学画像を撮像する。言い換えれば、光学画像取得機構150は、検査ストライプ20上をレーザ光(検査光)でスキャンして、検査ストライプ20毎に、TDIセンサ105によりストライプ領域画像を撮像する。具体的には、以下のように動作する。対象となる検査ストライプ20が撮像可能な位置にXYθテーブル102を移動させる。基板101に形成されたパターンには、適切な光源103から、検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が照明光学系170を介して照射される。基板101を透過した光は拡大光学系104を介して、TDIセンサ105(センサの一例)に光学像として結像し、入射する。
TDIセンサ105上に結像されたパターンの像は、TDIセンサ105の各フォトダイオード11によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。その際、各画素の画素データ(階調値)は、センサ回路106によって、設定されているゲイン値によりゲイン調整される。そして、ストライプパターンメモリ123に、測定対象の検査ストライプ20の画素データが格納される。かかる画素データ(ストライプ領域画像)を撮像する際、TDIセンサ105のダイナミックレンジは、例えば、照明光の光量が60%入射する場合を最大階調とするダイナミックレンジを用いる。測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。その後、ストライプ領域画像(ストライプデータ)は、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上における基板101の位置を示すデータと共に比較回路108に送られる。
図6は、実施の形態1における比較回路の内部構成の一例を示す図である。図6において、比較回路108内には、磁気ディスク装置等の記憶装置70,71,72,76、フレーム画像作成部74、位置合わせ部78、及び比較処理部79が配置されている。フレーム画像作成部74、位置合わせ部78、及び比較処理部79といった一連の「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。フレーム画像作成部74、位置合わせ部78、及び比較処理部79に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度比較回路108内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。
比較回路108に入力されたストライプデータ(ストライプ領域画像)は記憶装置70に格納される。
フレーム画像作成工程(S104)として、フレーム画像作成部74は、TDIセンサ105の積分方向(スキャン方向)と直交する直交方向(y方向)に複数の撮像素子グループの個別撮像素子グループの撮像領域幅でかつ積分方向に所定の幅でストライプ領域画像(光学画像)が分割された複数のフレーム画像(サブ光学画像)を生成する。具体的には、図3に示すように、ストライプ領域画像は、撮像素子グループ幅のサイズの矩形の複数のフレーム領域30のフレーム画像に分割される。例えば、512×512画素のサイズに分割される。図3の例では、7つの光学画素グループの撮像領域によって、検査ストライプ20がy方向に分割された(1)~(7)の7つのサブストライプ領域22の画像が、x方向にそれぞれ分割されることによって、光学画素グループ毎に、時間の経過と共に撮像された複数のフレーム画像(サブ光学画像)が作成される。各サブストライプ領域22では、スキャン方向に向かって順に撮像されていくので、スキャン開始直後に撮像されたフレーム画像とスキャン終了間近に撮像されたフレーム画像とでは、時間の経過が生じていることになる。かかる処理により、複数のフレーム領域30に応じた複数のフレーム画像(光学画像)が取得される。複数のフレーム画像は、記憶装置76に格納されると共に抽出回路140に送られる。以上により、検査のために比較される画像(測定された画像)データが生成される。よって、フレーム領域30の画像と比較される参照画像も同様にフレーム領域30毎に作成されることになる。
参照画像作成工程(S110)として、参照画像作成回路112(参照画像作成部)は、複数の図形パターンの基になる設計パターンデータを用いて、複数のフレーム画像に対応する複数の参照画像を作成する。具体的には、以下のように動作する。参照画像作成回路112は、対象となる検査ストライプ20の各フレーム領域30について記憶装置109から制御計算機110を通して描画データ(設計パターンデータ)を読み出し、読み出された設計パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。
設計パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
かかる図形データとなる設計パターンデータが参照画像作成回路に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計パターン画像データに展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、フレーム領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データ(設計画像データ)を出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとして作成する。かかるマス目(検査画素)は、測定データの画素に合わせればよい。
次に、参照画像作成回路112は、図形のイメージデータである設計パターンの設計画像データに、フィルタ関数を使ってフィルタ処理を施す。
図7は、実施の形態1におけるフィルタ処理を説明するための図である。基板101から撮像される光学画像の画素データは、撮像に使用される光学系の解像特性等によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にあるため、例えば、図7に示すように、画像強度(濃淡値)がデジタル値の展開画像(設計画像)とは異なっている。そのため、参照画像作成回路112は、展開画像に画像加工(フィルタ処理)を施して光学画像に近づけた参照画像を作成する。これにより、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データを測定データ(光学画像)の像生成特性に合わせることができる。作成された各フレーム領域30の参照画像のデータは比較回路108に送られると共にヒストグラム作成回路142に送られる。比較回路108に入力された参照画像のデータは記憶装置72に格納される。
位置合わせ工程(S120)として、位置合わせ部78は、比較対象となるフレーム画像30(光学画像)を記憶装置76から読み出し、同様に比較対象となる参照画像を記憶装置72から読み出す。そして、所定のアルゴリズムで位置合わせを行う。例えば、最小2乗法を用いて位置合わせを行う。
比較工程(S122)として、比較処理部79(比較部)は、フレーム画像と、当該フレーム画像に対応する参照画像とを比較する。言い換えれば、フレーム領域30(検査単位領域)毎に、フレーム画像と参照画像を比較する。さらに言い換えれば、比較処理部79は、複数のフレーム領域30(小領域)のフレーム領域30毎に、当該フレーム領域30のフレーム画像(光学画像)と当該フレーム画像に対応する参照画像とを画素毎に比較して、パターンの欠陥を検査する。具体的には、比較処理部79は、所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。判定条件としては、例えば、所定のアルゴリズムに従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する。例えば、画素毎に参照画像の画素値からフレーム画像の画素値を差し引いた差分値を演算し、差分値が閾値Thより大きい場合を欠陥と判定する。そして、比較結果が記憶装置71に出力される。また、比較結果は、例えば、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118に出力される、或いはプリンタ119から出力されればよい。
なお、後述する感度校正工程(S150)を行った場合には、それ以降にスキャンされた光学画像については、比較処理部79は、TDIセンサ105の感度が校正されることによって感度が補償されたTDIセンサ105によって撮像されたフレーム画像と、当該フレーム画像に対応する参照画像とを比較することになる。
上述した例では、ダイ-データベース検査(D-DB検査)を行う場合を説明したが、これに限るものではない。ダイ-ダイ検査(D-D検査)を行う場合であっても良い。かかる場合、位置合わせ部78は、検査対象のフレーム画像(ダイ1)と同じパターンが配置される別のフレーム画像(ダイ2)を記憶装置76から読み出す。そして、所定のアルゴリズムで位置合わせを行う。例えば、最小2乗法を用いて位置合わせを行う。そして、比較処理部79(比較部)は、フレーム画像(ダイ1)とフレーム画像(ダイ2)とを比較する。
ここで、上述したように、TDIセンサ105では、長時間のレーザ光の照射等に起因して、使用しているうちに一部のエリアの撮像素子の感度が上昇し、これに伴いかかるエリアの階調値が上昇してしまう階調値ドリフトが生じるといった問題があった。
図8は、実施の形態1における階調値ドリフトの一例を示す図である。図8において、縦軸は白パターンを撮像した場合における1画素あたりの階調値を示す。横軸は、スキャン方向と直交する方向のフォトダイオードアレイの位置を示す。図5に示したように、検査前に実施したキャリブレーションによって、白パターン部分(白ベタ領域)を撮像した場合の階調値を一様にTに調整した後に、TDIセンサ105の使用によって、図8に示すように、時間と共に、各フォトダイオード11(センサ画素)の感度が変動してしまう。図8の例では、キャリブレーションから5時間後と11時間後のy方向に並ぶ各画素の階調値の一例を示している。図8に示すように、感度の変動量は一様にはならないものの、各画素の階調値が時間の経過と共に上昇していることがわかる。
図9は、実施の形態1における1つの撮像素子グループにより撮像された白パターン部分の階調値ドリフトの一例を示す図である。図9において、縦軸は白パターンを撮像した場合における1画素あたりの階調値を示す。横軸は、時間を示す。図9の例では、ある1つの撮像素子グループにより撮像された白パターン部分の階調値が、時間の経過と共に、ほぼ線形(1次比例)に上昇していることがわかる。TDIセンサ105の7つの撮像素子グループでは、それぞれ時間あたりの上昇量の程度は異なるもののいずれのグループについても同様の傾向を示す。そこで、実施の形態1では、撮像素子グループ毎に、階調値ドリフトを補正するようにゲイン調整を行ってTDIセンサ105を校正する。以下、具体的に説明する。
図10は、実施の形態1における抽出回路の内部構成の一例を示す図である。図10において、抽出回路140内には、磁気ディスク装置等の記憶装置80,81,89、サブフレーム設定部82、対象サブフレーム抽出部84、処理領域設定部86、及び抽出部88が配置されている。サブフレーム設定部82、対象サブフレーム抽出部84、処理領域設定部86、及び抽出部88といった一連の「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。サブフレーム設定部82、対象サブフレーム抽出部84、処理領域設定部86、及び抽出部88に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度抽出回路140内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。
対象サブフレーム抽出工程(S130)として、まず、サブフレーム設定部82は、フレーム画像毎に、複数のサブフレーム32を設定する。白パターン部分のキャリブレーションの精度が許容される領域サイズとして、例えば、m×m画素分のサイズが設定される。例えば、20×20画素のサイズに設定される。そこで、白パターン部分だけで構成される白ベタ領域(m×m画素の領域)を探索するために、m×m画素の白ベタ領域が含まれ得るサイズのサブフレーム32を設定する。
図11は、実施の形態1におけるサブストライプ領域内に設定される領域の一例を示す図である。上述したように、検査ストライプ20内には、撮像素子グループ毎の撮像領域となる複数のサブストライプ領域22が設定される。各サブストライプ領域22は、スキャン方向(x方向)にサブストライプ領域22の短手方向(y方向)の幅(m画素分の幅)と同じ幅で複数のフレーム領域30に分割される。各フレーム領域30内では、スキャン方向(x方向)に所定の画素数毎にサブフレーム32が設定される。フレーム領域30の幅(m画素分の幅)よりも小さい幅(m画素分の幅)毎にサブフレーム32が設定される。フレーム領域30が例えば512×512画素のサイズである場合、サブフレーム32は、例えば20×512画素のサイズに設定される。サブフレーム32のx方向幅はこれに限るものではない。20画素よりも大きくしても構わない。或いは、白パターン部分のキャリブレーションの精度が許容される場合には20画素よりも小さくしても構わない。
次に、ヒストグラム作成回路142は、対象フレーム領域30の撮像されたフレーム画像31について、サブフレーム32毎に、階調値毎の頻度を示すヒストグラム(1)(第1のヒストグラム)を作成する。作成されたヒストグラム(1)のデータは、抽出回路140に出力され、抽出回路140内の記憶装置81に格納される。
図12は、実施の形態1における撮像されたサブフレームの画像(実画)を使ったヒストグラム(1)の一例を示す図である。サブフレーム32内に白パターン部分だけで構成される白ベタ領域(m×m画素の領域)が存在するためには、白パターン部分に調整された階調値T付近のT±ΔTの範囲内の度数割合がm/m以上(例えば、約4%(0.04≒20/512)以上)必要となる。ΔTとして、例えば、5階調程度に設定すると好適である。
そこで、対象サブフレーム抽出部84は、作成されたヒストグラム(1)を参照して、白パターン部分に調整された階調値T付近のT±ΔTの範囲内の度数割合がm/m以上となる対象サブフレームを抽出する。例えば、200±5階調の範囲の度数割合が約4%以上のサブフレーム32を抽出する。図12の例では、T±ΔTの範囲内の度数割合が46%なので、抽出対象のサブフレームとなる。かかる対象サブフレーム内には、白ベタ領域が存在する可能性があることになる。
処理領域設定工程(S132)として、処理領域設定部86は、対象サブフレーム32内に、複数の処理領域34を設定する。複数の処理領域34は、光学画像(ここではフレーム画像)内で設定されたサイズの領域をm画素(mは自然数)ずつ移動させた場合の各位置での設定されたサイズの領域によって構成される。具体的には、フレーム画像31内に設定される対象サブフレーム32内に、白ベタ領域(m×m画素の領域)を探索するために、m×m画素の複数の処理領域34を設定する。例えば、20×20画素の複数の処理領域34を設定する。処理領域34は、図11に示すように、対象サブフレーム32内を対象サブフレーム32端部から長手方向(y方向)にm画素ずつ移動しながら設定される。移動画素数mは自然数である。図11に示すように、m=mであっても良いし、1≦m<mであっても良い。言い換えれば、1≦m≦mに設定される。
ヒストグラム作成工程(S134)として、ヒストグラム作成回路142は、複数のフレーム画像31内の設定されたサイズの複数の処理領域34の処理領域34毎に、当該処理領域34内の複数の画素の階調値を用いて階調値毎の頻度を示すヒストグラム(2)を作成する。具体的には、ヒストグラム作成回路142は、対象サブフレーム32内の処理領域34毎に、階調値毎の頻度を示すヒストグラム(2)を作成する。作成されたヒストグラム(2)のデータは、抽出回路140に出力され、抽出回路140内の記憶装置81に格納される。
図13は、実施の形態1における撮像された処理領域の画像(実画)を使ったヒストグラム(2)の一例を示す図である。図13の例では、対象サブフレーム32内の3つの処理領域34-1.34-2,34-3についてのヒストグラム(2)をそれぞれ示している。処理領域34が白ベタ領域であるためには、白パターン部分に調整された階調値T付近のT±ΔTの範囲内に度数が理想的には100%となる階調値を有することになる。
白ベタ領域抽出工程(S136)として、抽出部88は、ヒストグラム(2)における予め設定された階調値範囲T±ΔT内に度数が閾値(第2の閾値)以上となる階調値を有する処理領域34を白ベタ領域として抽出する。図13の例では、処理領域34-1では、T±ΔTの範囲内に度数が0%なので、かかる領域は白ベタ領域ではないことがわかる。処理領域34-2では、T±ΔTの範囲内に度数が37%なので、かかる領域は白ベタ領域ではないことがわかる。処理領域34-3では、T±ΔTの範囲内に度数が100%なので、かかる領域は白ベタ領域であることがわかる。階調値T付近のT±ΔTの範囲内に度数が理想的には100%となる階調値を有する。但し、階調誤差を想定して、閾値(第2の閾値)を100%よりも若干小さい割合(例えば、95~99%)に設定すると好適である。もちろん閾値(第2の閾値)を100%に設定しても構わない。
以降、対象サブフレーム毎に、上述した手法と同様の手法で、白ベタ領域を抽出していく。
以上のようにして、フレーム領域30を撮像したフレーム画像31毎に、1以上の白ベタ領域を抽出する。但し、パターンのレイアウトによっては、白ベタ領域が存在しないフレーム画像31も存在し得る。
図14は、実施の形態1における校正回路の内部構成の一例を示す図である。図14において、校正回路144内には、磁気ディスク装置等の記憶装置90、平均階調値算出部92、検出部94、割合算出部95、判定部96、及び校正部98が配置されている。平均階調値算出部92、検出部94、割合算出部95、判定部96、及び校正部98といった一連の「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。平均階調値算出部92、検出部94、割合算出部95、判定部96、及び校正部98に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度校正回路144内の図示しないメモリ若しくはメモリ111に記憶される。
抽出された白ベタ領域のデータは、校正回路144に出力され、記憶装置90に一時的に格納される。
平均階調値算出工程(S140)として、平均階調値算出部92は、ストライプ領域画像(光学画像)或いはサブストライプ領域画像が分割された複数のフレーム画像31のうち予め設定されたサイズの1以上の白ベタ領域を含む複数の特定フレーム画像(第1の特定フレーム画像)について特定フレーム画像(第1の特定フレーム画像)毎に1以上の白ベタ領域の平均階調値Bnを算出する。実施の形態1において、平均階調値算出部92は、撮像素子グループ毎に、当該グループに設定された撮像素子群によって撮像されたサブストライプ領域22の画像(光学画像)について、上述した1以上の白ベタ領域の平均階調値Bnを算出する。具体的には、以下のように動作する。図13の例では、処理領域34-3が白ベタ領域に相当するので、かかる処理領域34-3を含むフレーム画像31は、特定フレーム画像に相当する。閾値(第2の閾値)を100%に設定する場合、かかる100%の度数の階調値がかかる白ベタ領域の平均階調値である。よって、フレーム画像31内の各白ベタ領域の平均階調値を合計して、白ベタ領域の数で割ることで、かかる特定フレーム画像における白ベタ領域の平均階調値Bnを算出できる。
閾値(第2の閾値)を100%未満に設定する場合には、白ベタ領域毎に平均階調値を算出した後に、同様に、フレーム画像31内の各白ベタ領域の平均階調値を合計して、白ベタ領域の数で割ることで、かかる特定フレーム画像における白ベタ領域の平均階調値Bnを算出できる。
オーバーフレーム画像検出工程(S142)として、検出部94は、複数の特定フレーム画像(第1の特定フレーム画像)のうち平均階調値Bnが基準平均階調値Aから所定の範囲を超えて外れた平均階調値の1以上の白ベタ領域を有する特定フレーム画像(第2の特定フレーム画像)を検出する。実施の形態1において、検出部94は、撮像素子グループ毎に、当該撮像素子グループに設定された撮像素子群によって撮像されたサブストライプ領域22の光学画像について、撮像素子グループ毎に、複数の特定フレーム画像(第1の特定フレーム画像)のうち平均階調値Bnが基準平均階調値Aから所定の範囲を超えて外れた平均階調値の1以上の白ベタ領域を有する特定フレーム画像(第2の特定フレーム画像)を検出する。基準平均階調値Aは、キャリブレーション後、最初に検出した白ベタ領域の平均階調値を用いると好適である。キャリブレーションを実施してから時間が経過していないので、キャリブレーション時に設定した白パターン部分の階調値を検出できる。或いは、基準平均階調値Aとして、キャリブレーション時に設定した白パターン部分の階調値に設定しても構わない。例えば、200階調に設定する。検出部94は、平均階調値Bnから基準平均階調値Aを引いた値が閾値より大きい場合、かかる特定フレーム画像をオーバーフレーム画像として検出する。
図15は、実施の形態1における平均階調値の推移の一例を示す図である。図15では、あるサブストライプ領域22について特定フレーム画像の平均階調値Bnを撮像順に並べたグラフの一例である。nは特定フレーム画像のフレーム番号を示す。図15において、縦軸に平均階調値を示す。横軸にフレーム番号を示す。図15の例では、基準平均階調値を直線で示している。図15の例では、フレーム番号8,10,11の平均階調位置が基準平均階調値Aよりも大きい値にドリフトしていることがわかる。所定の範囲として、例えば、2階調以下に設定する。例えば、フレーム番号8,10,11の平均階調位置が基準平均階調値Aよりも3階調以上大きい場合、オーバーフレーム画像として検出される。
上述した例では、平均階調値Bnが基準平均階調値Aよりも上昇した場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、平均階調値Bnが基準平均階調値Aよりも所定の範囲を外れて下降した特定フレーム画像をオーバーフレーム画像として検出するように構成しても構わない。図15の例では、フレーム番号2,4,7の平均階調位置が基準平均階調値Aよりも小さい値にドリフトしていることがわかる。或いは、例えば、平均階調値Bnが基準平均階調値Aよりも所定の範囲を外れて上昇若しくは下降した特定フレーム画像をオーバーフレーム画像として検出するように構成しても構わない。
判定工程(S144)として、まず、割合算出部95は、複数の特定フレーム画像(第1の特定フレーム画像)における所定の範囲を外れてドリフトした特定フレーム画像(第2の特定フレーム画像)の割合を算出する。図15の例では、フレーム番号8,10,11の3つの特定フレーム画像が、所定の範囲を外れてドリフトした特定フレーム画像である場合、所定の範囲を外れてドリフトした特定フレーム画像の数Nは3である。同じサブストライプ領域22内に1~11の特定フレーム画像が存在するので、同じサブストライプ領域22内の特定フレーム画像の数Nallは11となる。よって、かかるサブストライプ領域22における割合(N/Nall)は、3/11(=0.27)と算出される。
次に、判定部96は、複数の特定フレーム画像(第1の特定フレーム画像)における所定の範囲を外れてドリフトした特定フレーム画像(第2の特定フレーム画像)の割合(N/Nall)が閾値Th(第1の閾値)以上かどうかを判定する。ここでは、撮像素子グループ毎に、当該グループに設定された撮像素子群によって撮像されたサブストライプ領域22の光学画像について、割合(N/Nall)が閾値Th以上かどうかが判定される。閾値Thとして、0.4~0.6、例えば、0.5を用いると好適である。
割合(N/Nall)が閾値Th以上の場合、感度校正工程(S150)に進む。割合(N/Nall)が閾値Th以上ではない場合、スキャン工程(S102)に戻り、次の検査ストライプ20のスキャンを実施すると共に、スキャン工程(S102)から判定工程(S144)までの各工程を繰り返す。言い換えれば、撮像素子グループの感度の校正をし直すことなく、検査処理を継続する。
感度校正工程(S150)として、校正部98は、割合(N/Nall)が閾値Th以上と判定された場合に、以降に光学画像を撮像するためのTDIセンサ105の感度を校正する。TDIセンサ105の感度は、複数の撮像素子グループの撮像素子グループ毎に校正される。具体的には、校正部98は、校正することを指示するコマンドと共に、所定の範囲を外れてドリフトした特定フレーム画像の平均階調値の合計ΣBnを所定の範囲を外れてドリフトした特定フレーム画像の個数Nで割った値で、基準平均階調値Aを割った係数kをセンサ回路106に送信する。センサ回路106は、撮像素子グループ毎に、当該グループに設定されているゲイン値に係数kを乗じることで、当該グループに設定された撮像素子群の感度を校正する。
判定工程(S152)として、制御計算機110は、全検査ストライプ20のスキャンが終了したかどうかを判定する。まだ、スキャンしていない検査ストライプ20が残っている場合には、スキャン工程(S102)に戻り、校正後の感度で次の検査ストライプ20の光学画像を撮像する。以降、同様に各工程を実施する。
これにより、校正後にスキャンされた検査ストライプ20の比較工程(S122)では、比較回路108が、感度が校正されたTDIセンサ105によって撮像された光学画像と、当該光学画像に対応する参照画像とを比較する。比較結果は、例えば、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118に出力される、或いはプリンタ119から出力されればよい点は上述した通りである。
ここで、上述した例では、サブストライプ領域22毎に、割合(N/Nall)が算出され、割合(N/Nall)が、閾値Th(第1の閾値)以上かどうかが判定される場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、2以上の連続するストライプ領域分をまとめて割合(N/Nall)を算出し、閾値Th(第1の閾値)以上かどうかを判定するようにしても構わない。言い換えれば、撮像素子グループ毎に、当該グループに設定された撮像素子群によって撮像された領域(2以上のサブストライプ領域22)の光学画像について、1以上の白ベタ領域の平均階調値が算出される。そして、撮像素子グループ毎に、当該グループに設定された撮像素子群によって撮像された領域(2以上のサブストライプ領域22)の光学画像について、複数の特定フレーム画像(第1の特定フレーム画像)における、所定の範囲から外れた特定フレーム画像(第2の特定フレーム画像)の割合(N/Nall)が閾値Th以上かどうかが判定される。そして、割合(N/Nall)が閾値Th以上と判定された場合に、以降に光学画像を撮像するためのTDIセンサ105の感度を校正する。
図16は、実施の形態1における感度校正の実施する間隔の一例を示す図である。検査処理を実施する前にキャリブレーションを実施するので、第1番目の検査ストライプ20では、感度校正は不要になる場合が多いと思われる。同様に、描画領域10(チップ領域)の前半に位置する検査ストライプ20では感度校正が必要になるほどに感度ドリフトは進行していないかもしれない。その場合、例えば、描画領域10の半分近くの領域がスキャンされた後の検査ストライプ20において割合(N/Nall)が、閾値Th(第1の閾値)以上となり、感度校正が実施される。校正後、しばらく感度校正は不要になるかもしれない。その場合、例えば、描画領域10の終盤近くの検査ストライプ20がスキャンされた後に、割合(N/Nall)が、閾値Th(第1の閾値)以上となり、再度、感度校正が実施される。かかる校正の間隔或いは頻度は、チップ領域のサイズ、マスクの種類、或いは/及び検査装置100のプロセス条件によって変化する。
以上のように、実施の形態1によれば、TDIセンサ105の使用に伴い階調値ドリフトが生じた撮像素子の感度校正ができる。その結果、感度が補償されたTDIセンサ105での高精度な検査ができる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、実施の形態では、照明光学系170として、透過光を用いた透過照明光学系を示したが、これに限るものではない。例えば、反射光を用いた反射照明光学系であってもよい。或いは、透過照明光学系と反射照明光学系とを組み合わせて、透過光と反射光を同時に用いてもよい。
また、上述した例では、ベースとなる階調値を200に調整しているが、これに限るものではない。200よりも大きくても良い。或いは小さくても良い。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、検査装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのTDI(時間遅延積分)センサの感度変動の判定方法、パターン検査方法、及びパターン検査装置は、本発明の範囲に包含される。
10 検査領域
11 フォトダイオード
20 検査ストライプ
22 サブストライプ領域
30 フレーム領域
70,71,72,76 記憶装置
74 フレーム画像生成部
78 位置合わせ部
79 比較処理部
80,89 記憶装置
82 サブフレーム設定部
84 対象サブフレーム抽出部
86 処理領域設定部
88 抽出部
90 記憶装置
92 平均階調値算出部
94 検出部
95 割合算出部
96 判定部
98 校正部
100 検査装置
101 基板
102 XYθテーブル
103 光源
104 拡大光学系
105 TDIセンサ
106 センサ回路
107 位置回路
108 比較回路
109 磁気ディスク装置
110 制御計算機
111 メモリ
112 参照画像作成回路
113 オートローダ制御回路
114 テーブル制御回路
115 磁気テープ装置
116 FD
117 CRT
118 パターンモニタ
119 プリンタ
120 バス
122 レーザ測長システム
123 ストライプパターンメモリ
130 オートローダ
140 抽出回路
142 ヒストグラム作成回路
144 校正回路
150 光学画像取得機構
160 制御系回路
170 照明光学系

Claims (6)

  1. 光量を測定する2次元配列された撮像素子アレイを有するTDI(時間遅延積分)センサを用いて、前記TDIセンサを前記TDIセンサの積分方向に相対的に移動しながら図形パターンが形成された試料面上の光学画像を撮像する工程と、
    前記光学画像が分割された複数のフレーム画像のうち予め設定されたサイズの1以上の白ベタ領域を含む複数の第1の特定フレーム画像について第1の特定フレーム画像毎に前記1以上の白ベタ領域の平均階調値を算出する工程と、
    前記複数の第1の特定フレーム画像のうち前記平均階調値が基準平均階調値から所定の範囲を超えて外れた平均階調値の1以上の白ベタ領域を有する第2の特定フレーム画像を検出する工程と、
    前記複数の第1の特定フレーム画像における前記第2の特定フレーム画像の割合が第1の閾値以上かどうかを判定する工程と、
    前記第1の閾値以上と判定された場合に、以降に光学画像を撮像するための前記TDIセンサの感度を校正する工程と、
    前記感度が校正された前記TDIセンサによって撮像された光学画像と、当該光学画像に対応する参照画像とを比較し、結果を出力する工程と、
    を備えたことを特徴とするパターン検査方法。
  2. 前記複数のフレーム画像内の前記設定されたサイズの複数の処理領域の処理領域毎に、当該処理領域内の複数の画素の階調値を用いて階調値毎の頻度を示すヒストグラムを作成する工程と、
    前記ヒストグラムにおける予め設定された階調値範囲内に度数が第2の閾値以上となる階調値を有する処理領域を前記白ベタ領域として抽出する工程と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のパターン検査方法。
  3. 前記撮像素子アレイが前記積分方向と直交する直交方向に分割された複数のグループを設定する工程をさらに備え、
    前記TDIセンサの感度は、前記複数のグループのグループ毎に校正されることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン検査方法。
  4. 前記グループ毎に、当該グループに設定された撮像素子群によって撮像された領域の光学画像について、前記1以上の白ベタ領域の平均階調値が算出され、
    前記グループ毎に、当該グループに設定された撮像素子群によって撮像された領域の光学画像について、前記複数の第1の特定フレーム画像における前記第2の特定フレーム画像の割合が第1の閾値以上かどうかが判定されることを特徴とする請求項3記載のパターン検査方法。
  5. 前記複数の処理領域は、前記光学画像内で前記設定されたサイズの領域をm画素(mは自然数)ずつ移動させた場合の各位置での前記設定されたサイズの領域によって構成されることを特徴とする請求項2記載のパターン検査方法。
  6. 光量を測定する2次元配列された撮像素子アレイを有するTDI(時間遅延積分)センサを有し、前記TDIセンサを前記TDIセンサの積分方向に相対的に移動しながら図形パターンが形成された試料面上の光学画像を撮像する光学画像取得機構と、
    前記光学画像が分割された複数のフレーム画像のうち予め設定されたサイズの1以上の白ベタ領域を含む複数の第1の特定フレーム画像について第1の特定フレーム画像毎に前記1以上の白ベタ領域の平均階調値を算出する平均階調値算出部と、
    前記複数の第1の特定フレーム画像のうち前記平均階調値が基準平均階調値から所定の範囲を超えて外れた平均階調値の1以上の白ベタ領域を有する第2の特定フレーム画像を検出する検出部と、
    前記複数の第1の特定フレーム画像における前記第2の特定フレーム画像の割合が第1の閾値以上かどうかを判定する判定部と、
    前記第1の閾値以上と判定された場合に、以降に光学画像を撮像するための前記TDIセンサの感度を校正する校正部と、
    前記感度が校正された前記TDIセンサによって撮像された光学画像と、当該光学画像に対応する参照画像とを比較する比較部と、
    を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
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