JP2023118040A - 吸湿性評価方法及び含水率評価方法 - Google Patents

吸湿性評価方法及び含水率評価方法 Download PDF

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高一郎 秋山
Koichiro Akiyama
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Abstract

Figure 2023118040000001
【課題】測定対象物の吸湿性を容易に評価することが可能な吸湿性評価方法、及び測定対象物の含水率を容易に評価することが可能な含水率評価方法を提供する。
【解決手段】吸湿性評価方法は、第1試料及び第2試料を用意する第1工程と、第1試料及び第2試料のそれぞれに対してテラヘルツ波を入射させることで、第1試料に関する第1検出結果及び第2試料に関する第2検出結果を取得する第2工程と、第1検出結果から算出された第1周波数特性L1及び第2検出結果から算出された第2周波数特性L2に基づいて、測定対象物の吸湿性を評価する第3工程と、を備えている。第3工程では、基準周波数範囲Fにおける第1周波数特性L1の第1ピークP1の大きさと基準周波数範囲Fにおける第2周波数特性L2の第2ピークP2の大きさとの差に基づいて、測定対象物の吸湿性の大きさを評価する。
【選択図】図4

Description

本発明は、吸湿性評価方法及び含水率評価方法に関する。
従来、測定対象物の含水率等を評価する方法として、例えばカールフィッシャー滴定法(Karl Fischer titration)が知られている(例えば非特許文献1参照)。このようなカールフィッシャー滴定法によれば、測定対象物の含水率を高精度に評価することができる。
大堺利行、「カールフィッシャー滴定による水分量測定の原理」、Review ofPolarography,Vol.63, No.2, (2017), p.101-107 Walid Oueslati、他2名、"Quantitative XRD Analysis oftheStructural Changes of Ba-Exchanged Montmorillonite: Effect of an in SituHydrousPerturbation"、Minerals2015, 5,507-526
上述したようなカールフィッシャー滴定法を用いる場合には、測定対象物の化学反応を伴うため、作業が複雑となるおそれがある。測定対象物の化学反応を伴わない(非破壊)方法としては、例えばX線回折法(XRD:X-ray Diffraction)が知られている(例えば非特許文献2参照)。このようなX線回折法を用いる場合には、被爆の防止が求められるため、作業が複雑となるおそれがある。
本発明は、測定対象物の吸湿性を容易に評価することが可能な吸湿性評価方法、及び測定対象物の含水率を容易に評価することが可能な含水率評価方法を提供することを目的とする。
本発明の吸湿性評価方法は、[1]「粘土鉱物を含む測定対象物の吸湿性を評価する方法であって、粘土鉱物として第1粘土鉱物を含む第1試料、及び粘土鉱物として第1粘土鉱物と同じ第2粘土鉱物を含む第2試料を用意する第1工程と、第1試料及び第2試料のそれぞれに対してテラヘルツ波を入射させ、第1試料及び第2試料のそれぞれからのテラヘルツ波を検出することで、第1試料に関する第1検出結果及び第2試料に関する第2検出結果を取得する第2工程と、第1検出結果から算出された第1試料の第1周波数特性及び第2検出結果から算出された第2試料の第2周波数特性に基づいて、測定対象物の吸湿性を評価する第3工程と、を備え、第1工程では、第1試料及び第2試料の少なくとも一方に対して吸脱水処理を施し、第3工程では、基準周波数範囲における第1周波数特性の第1ピークの大きさと基準周波数範囲における第2周波数特性の第2ピークの大きさとの差に基づいて、測定対象物の吸湿性の大きさを評価する、吸湿性評価方法」である。
[1]に記載の吸湿性評価方法では、第2工程において、テラヘルツ波を用いることで、第1粘土鉱物を含む第1試料に関する第1検出結果、及び第1粘土鉱物と同じ第2粘土鉱物を含む第2試料に関する第2検出結果を取得している。また、第1工程においては、第1試料及び第2試料の少なくとも一方に対して吸脱水処理を施し、第3工程においては、基準周波数範囲における第1周波数特性の第1ピークの大きさと基準周波数範囲における第2周波数特性の第2ピークの大きさとの差に基づいて、測定対象物の吸湿性の大きさを評価している。これにより、テラヘルツ波を用いることで、例えば測定対象物の化学反応を伴わず且つ被爆の防止が求められない状態で、測定対象物の吸湿性を評価することができる。よって、この吸湿性評価方法によれば、測定対象物の吸湿性を容易に評価することが可能となる。
本発明の吸湿性評価方法は、[2]「粘土鉱物は、モンモリロナイト又はカオリナイトである、[1]に記載の吸湿性評価方法」であってもよい。これにより、粘土鉱物としてモンモリロナイト又はカオリナイトを含む測定対象物について、吸湿性を評価することが可能となる。
本発明の吸湿性評価方法は、[3]「前記第1ピークの大きさと前記第2ピークの大きさとの差に基づいて選定された前測定対象物を用意する第4工程と、測定対象物に対してテラヘルツ波を入射させ、測定対象物からのテラヘルツ波を検出することで、測定対象物に関する検出結果を取得する第5工程と、検出結果から算出された測定対象物の周波数特性に基づいて、測定対象物の含水率を評価する第6工程と、を更に備え、第6工程では、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさと参照試料の含水率との関係を示す第1参照情報、及び基準周波数範囲における測定対象物の周波数特性のピークの大きさに基づいて、測定対象物の含水率を評価する、[1]又は[2]に記載の吸湿性評価方法」であってもよい。これにより、テラヘルツ波を用いることで、例えば測定対象物の化学反応を伴わず且つ被爆の防止が求められない状態で、測定対象物の含水率を評価することができる。そのため、測定対象物の含水率を容易に評価することが可能となる。
本発明の吸湿性評価方法は、[4]「第6工程では、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさとして、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性の微分値を用いると共に、基準周波数範囲における測定対象物の周波数特性のピークの大きさとして、基準周波数範囲における測定対象物の周波数特性の微分値を用いることで、測定対象物に含まれる層間水について評価する層間水評価を実施する、[3]に記載の吸湿性評価方法」であってもよい。これにより、測定対象物に含まれる層間水について評価することによって、測定対象物の含水率をより詳細に評価することが可能となる。
本発明の吸湿性評価方法は、[5]「第6工程では、基準周波数範囲とは異なるベース周波数範囲における参照試料の周波数特性と参照試料の含水率との関係を示す第2参照情報、及びベース周波数範囲における測定対象物の周波数特性に基づいて、測定対象物に含まれる自由水について評価する自由水評価を更に実施する、[4]に記載の吸湿性評価方法」であってもよい。これにより、測定対象物に含まれる層間水に加えて、測定対象物に含まれる自由水についても評価することによって、測定対象物の含水率をより詳細に評価することが可能となる。
本発明の吸湿性評価方法は、[6]「互いに異なる含水率を有し、それぞれが参照試料である複数の参照試料を用意する第7工程と、複数の参照試料のそれぞれに対してテラヘルツ波を入射させ、複数の参照試料のそれぞれからのテラヘルツ波を検出することで、複数の参照試料のそれぞれに関する検出結果を取得する第8工程と、検出結果から算出された複数の参照試料のそれぞれの周波数特性、及び複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、第1参照情報を作成する第9工程と、を更に備え、第9工程では、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさ、及び複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、第1参照情報を作成する、[3]~[5]のいずれか一つに記載の吸湿性評価方法」であってもよい。これにより、テラヘルツ波を用いることで、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさと参照試料の含水率との関係を示す第1参照情報を容易に取得することができる。
本発明の吸湿性評価方法は、[7]「第9工程では、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさとして、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性の微分値を用いる、[6]に記載の吸湿性評価方法」であってもよい。これにより、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさを容易に把握することができる。
本発明の吸湿性評価方法は、[8]「第2工程では、テラヘルツ波全反射減衰分光方法を用いる、[1]~[7]のいずれか一つに記載の吸湿性評価方法」であってもよい。これにより、測定対象物の吸湿性を容易に且つ確実に評価することが可能となる。
本発明の含水率評価方法は、[9]「粘土鉱物を含む測定対象物の含水率を評価する方法であって、測定対象物を用意する第1工程と、測定対象物に対してテラヘルツ波を入射させ、測定対象物からのテラヘルツ波を検出することで、測定対象物に関する検出結果を取得する第2工程と、検出結果から算出された測定対象物の周波数特性に基づいて、測定対象物の含水率を評価する第3工程と、を備え、第3工程では、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさと参照試料の含水率との関係を示す第1参照情報、及び基準周波数範囲における測定対象物の周波数特性のピークの大きさに基づいて、測定対象物の含水率を評価する、含水率評価方法」である。
[9]に記載の含水率評価方法では、第2工程において、テラヘルツ波を用いることで、粘土鉱物を含む測定対象物に関する検出結果を取得している。第3工程において、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさと参照試料の含水率との関係を示す第1参照情報、及び基準周波数範囲における測定対象物の周波数特性のピークの大きさに基づいて、測定対象物の含水率を評価している。これにより、テラヘルツ波を用いることで、例えば測定対象物の化学反応を伴わず且つ被爆の防止が求められない状態で、測定対象物の含水率を評価することができる。よって、この含水率評価方法によれば、測定対象物の含水率を容易に評価することが可能となる。
本発明の含水率評価方法は、[10]「第3工程では、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさとして、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性の微分値を用いると共に、基準周波数範囲における測定対象物の周波数特性のピークの大きさとして、基準周波数範囲における測定対象物の周波数特性の微分値を用いることで、測定対象物に含まれる層間水について評価する層間水評価を実施する、[9]に記載の含水率評価方法」であってもよい。これにより、測定対象物に含まれる層間水について評価することによって、測定対象物の含水率をより詳細に評価することが可能となる。
本発明の含水率評価方法は、[11]「第3工程では、基準周波数範囲とは異なるベース周波数範囲における参照試料の周波数特性と参照試料の含水率との関係を示す第2参照情報、及びベース周波数範囲における測定対象物の周波数特性に基づいて、測定対象物に含まれる自由水について評価する自由水評価を更に実施する、[10]に記載の含水率評価方法」であってもよい。これにより、測定対象物に含まれる層間水に加えて、測定対象物に含まれる自由水についても評価することによって、測定対象物の含水率をより詳細に評価することが可能となる。
本発明の含水率評価方法は、[12]「互いに異なる含水率を有し、それぞれが参照試料である複数の参照試料を用意する第4工程と、複数の参照試料のそれぞれに対してテラヘルツ波を入射させ、複数の参照試料のそれぞれからのテラヘルツ波を検出することで、複数の参照試料のそれぞれに関する検出結果を取得する第5工程と、検出結果から算出された複数の参照試料のそれぞれの周波数特性、及び複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、第1参照情報を作成する第6工程と、を更に備え、第6工程では、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさ、及び複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、第1参照情報を作成する、[9]~[11]のいずれか一つに記載の含水率評価方法」であってもよい。これにより、テラヘルツ波を用いることで、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさと参照試料の含水率との関係を示す第1参照情報を容易に取得することができる。
本発明の含水率評価方法は、[13]「第6工程では、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさとして、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性の微分値を用いる、[12]に記載の含水率評価方法」であってもよい。これにより、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさを容易に把握することができる。
本発明の含水率評価方法は、[14]「粘土鉱物は、モンモリロナイトであり、基準周波数範囲は、2.7THz~3THzである、[9]~[13]のいずれか一つに記載の含水率評価方法」であってもよい。これにより、粘土鉱物としてモンモリロナイトを含む測定対象物の含水率を容易に評価することが可能となる。
本発明の含水率評価方法は、[15]「第2工程では、テラヘルツ波減衰全反射分光方法を用いる、[9]~[14]のいずれか一つに記載の含水率評価方法」であってもよい。これにより、測定対象物の含水率を容易に且つ確実に評価することが可能となる。
本発明によれば、測定対象物の吸湿性を容易に評価することが可能な吸湿性評価方法、及び測定対象物の含水率を容易に評価することが可能な含水率評価方法を提供することができる。
第1実施形態の分光装置の構成図である。 図1に示される配置部の周辺構造の断面図である。 第1実施形態の吸湿性評価方法のフローチャートである。 第1試料及び第2試料のそれぞれの周波数特性の一の例を示す図である。 第1試料及び第2試料のそれぞれの周波数特性の他の例を示す図である。 第1実施例の粘土鉱物を含む第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれの周波数特性を示す図である。 図6に示される各周波数特性の微分を示す図である。 第2実施例の第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれの周波数特性を示す図である。 図8に示される各周波数特性の微分を示す図である。 第1実施形態の含水率評価方法のフローチャートである。 第1実施形態の第1参照情報を示す図である。 図11に示される参照情報を作成する方法のフローチャートである。 第2実施形態の複数の参照試料のそれぞれの周波数特性を示す図である。 第2実施形態の第1参照情報を示す図である。 第2実施形態の第2参照情報を示す図である。 ベース周波数範囲における周波数特性と含水率との関係を示す図である。 基準周波数範囲における周波数特性と含水率との関係を示す図である。 基準周波数範囲における周波数特性の微分値と含水率との関係を示す図である。 含水率が所定値以下である場合の基準周波数範囲における周波数特性の微分値と含水率との関係を示す図である。 含水率が所定値よりも大きい場合の基準周波数範囲における周波数特性の微分値と含水率との関係を示す図である。 乾燥強度の変化に従って基準周波数範囲における周波数特性の微分値及びベース周波数範囲における周波数特性のそれぞれと乾燥強度との関係を示す図である。 乾燥強度の変化に従った層間水及び自由水のそれぞれの変化を示す図である。 変形例の分光装置の構成図である。 図23に示される分光装置が用いられた場合の周波数特性を示す図である。 変形例の分光装置の構成図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
[分光装置]
図1に示されるように、第1実施形態の分光装置1は、出力部20と、配置部30と、調整部40と、反射部50と、検出部60と、処理部70と、を備えている。分光装置1は、テラヘルツ波を用いた全反射減衰分光方法(ATR:Attenuated Total Reflection Spectroscopy)を実施するための装置である。
出力部20は、テラヘルツ波Tを出力する。具体的には、出力部20は、光源21と、分岐部22と、チョッパ23と、複数のミラーM1~M3と、テラヘルツ波発生素子24と、を有している。光源21は、パルス発振によって光を出力する。光源21は、例えばパルス幅がフェムト秒程度であるパルスレーザ光を出力する。つまり、光源21は、フェムト秒パルスレーザ光源である。
分岐部22は、例えばビームスプリッタ等である。分岐部22は、光源21から出力された光をポンプ光P1及びプローブ光P2に分岐する。チョッパ23は、分岐部22から出力されたポンプ光P1の通過及び遮断を一定の周期で交互に繰り返す。
各ミラーM1~M3は、チョッパ23を通過したポンプ光P1を順次に反射する。チョッパ23を通過したポンプ光P1は、各ミラーM1~M3で順次に反射された後、テラヘルツ波発生素子24に入射する。なお、以下では、分岐部22からテラヘルツ波発生素子24に到るポンプ光P1の光学系を「ポンプ光学系」という。
テラヘルツ波発生素子24は、ミラーM3で反射されたポンプ光P1が入射されることでテラヘルツ波Tを出力する。テラヘルツ波発生素子24は、例えば、非線形光学結晶(例えばZnTe)、光導電アンテナ素子(例えばGaAsを用いた光スイッチ)、半導体(例えばInAs)又は超伝導体を含んでいる。テラヘルツ波発生素子24が非線形光学結晶を含む場合、テラヘルツ波発生素子24は、ポンプ光P1の入射に伴って発生する非線形光学現象によってテラヘルツ波Tを発生させる。
テラヘルツ波Tは、光波と電波との間の中間的な性質を有している。テラヘルツ波Tは、光波と電波との中間領域に相当する周波数を有する電磁波である。テラヘルツ波Tは、0.01THz~100THz程度の周波数を有している。テラヘルツ波Tは、一定の繰返し周期で発生し、数ピコ秒程度のパルス幅を有する。つまり、テラヘルツ波発生素子24は、所定の時間間隔(パルス間隔)で並んだ複数のテラヘルツ波Tを含むパルス光列を発生させる。なお、以下では、テラヘルツ波発生素子24から後述する検出器61に到るテラヘルツ波Tの光学系を「テラヘルツ波光学系」という。
配置部30は、例えばいわゆる無収差プリズム等である。配置部30は、入射面30a、出射面30b、反射面30c、第1副反射面30d及び第2副反射面30eを有している。入射面30aと出射面30bとは、互いに平行である。反射面30cは、入射面30a及び出射面30bに対して垂直である。反射面30cには、測定対象物Sが配置される。第1副反射面30d及び第2副反射面30eは、配置部30における反射面30cとは反対側の面であり、凹部を形成している。第1副反射面30d及び第2副反射面30eによって構成された面は、反射面30cに向かって凹んでいる。
配置部30は、テラヘルツ波発生素子24から出力されたテラヘルツ波Tに対して透明である。配置部30の屈折率は、測定対象物Sの屈折率よりも高い。配置部30の材料は、例えばシリコン等である。
配置部30の入射面30aに入射したテラヘルツ波Tは、第1副反射面30d、反射面30c及び第2副反射面30eで順次に反射された後、出射面30bから外部へ出力される。反射面30cにおいてテラヘルツ波Tが全反射する際に染み出したエバネッセント波の減衰反射率を検出することで、測定対象物Sに関するテラヘルツ波帯の情報を取得することが可能となる。
調整部40は、複数のミラーM4~M8を有している。分岐部22から出力されたプローブ光P2は、各ミラーM4~M8で順次に反射され、さらに反射部50で反射された後、検出器61に入射する。反射部50は、ミラーである。なお、以下では、分岐部22から検出器61に到るプローブ光P2の光学系を「プローブ光学系」という。
調整部40では、ミラーM5,M6が移動することで、ミラーM4とミラーM5との間の光路長、及びミラーM6とミラーM7との間の光路長が調整される。これにより、プローブ光学系の光路長が調整される。調整部40は、「分岐部22からテラヘルツ波発生素子24に到るポンプ光学系の光路長に、テラヘルツ波発生素子24から検出器61に到るテラヘルツ波光学系の光路長を加算した光路長」と「分岐部22から検出器61に到るプローブ光学系の光路長」との差を調整する。
検出部60は、配置部30から出力されたテラヘルツ波Tを検出する。具体的には、検出部60は、検出器61と、I/V変換増幅器62と、ロックイン増幅器63と、A/D変換器64と、を有している。配置部30から出力されたテラヘルツ波T、及び反射部50で反射されたプローブ光P2が検出器61に入射すると、検出器61は、テラヘルツ波Tとプローブ光P2との間の相関を検出する。
具体的には、検出器61は、光導電アンテナ等を含む。プローブ光P2が検出器61に入射すると、検出器61では光キャリアが発生する。光キャリアが発生した検出器61にテラヘルツ波Tが入射すると、テラヘルツ波Tの電場に応じて光キャリアが流れた結果、電流として検出器61から出力される。検出器61から出力される電流量は、テラヘルツ波Tの電場強度に依存する。
検出器61から出力された電流は、I/V変換増幅器62に入力される。I/V変換増幅器62は、検出器61から出力された電流を電圧に変換した後、当該電圧を増幅させると共にロックイン増幅器63へ出力する。ロックイン増幅器63は、チョッパ23におけるポンプ光P1の通過及び遮断の繰返し周波数で、I/V変換増幅器62から出力される電気信号を同期検出する。A/D変換器64は、ロックイン増幅器63からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。ロックイン増幅器63から出力される信号は、テラヘルツ波Tの電場強度に依存する値を有する。このように、検出部60は、テラヘルツ波Tとプローブ光P2との間の相関を検出し、テラヘルツ波Tの電場振幅を検出する。
調整部40において、ミラーM4とミラーM5との間の光路長、及びミラーM6とミラーM7との間の光路長が調整されることで、プローブ光学系の光路長が調整されると、検出器61に入力されるテラヘルツ波Tおよびプローブ光P2のそれぞれのタイミングの差が調整される。上述したように、一般に、テラヘルツ波Tのパルス幅はピコ秒程度であるのに対して、プローブ光P2のパルス幅はフェムト秒程度である。つまり、テラヘルツ波Tに比べてプローブ光P2のパルス幅は数桁狭い。このことから、調整部40により検出器61へのプローブ光P2の入射タイミングが掃引されることで、テラヘルツ波Tの電場振幅の時間波形(以下、「電場波形」という)が得られる。以下、このような手法によって電場波形を取得することを、単に「電場波形を取得する」という。
プローブ光P2の入射タイミングが一回掃引されると、所定の時間に対応する一つのテラヘルツ波Tの電場波形(検出結果)が得られる。調整部40により検出器61へのプローブ光P2の入射タイミングが複数回掃引されてもよい。これにより、複数の電場波形が得られる。つまり、検出部60は、互いに離れた複数の時間のそれぞれに対応する複数の電場波形を含むデータを取得してもよい。
処理部70は、検出部60によって取得された電場波形に基づいて、測定対象物Sに関する情報を取得する。具体的には、処理部70は、A/D変換器64から出力された信号に基づいて、電場波形に対応する周波数特性を算出する。周波数特性とは、周波数に対する光学特性のことをいう。光学特性は、光の吸収性、光の反射性又は光の透過性等である。本実施形態では、光学特性は、例えばテラヘルツ波に対する吸収係数である。本実施形態では、周波数特性は、例えば吸収スペクトルである。処理部70は、周波数特性に基づいて、測定対象物Sに関する情報を取得する。処理部70は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等によって構成されている。
[配置部の周辺構造]
図2に示されるように、分光装置1は、配置部30の周辺構造として、枠体32と、シート33と、圧力付与装置10と、を更に備えている。なお、図1においては、それらの図示が省略されている。
枠体32には、凹部32cが形成されている。枠体32は、配置部30における反射面30cを含む一部及びシート33が凹部32c内に位置するように、反射面30cに配置されている。枠体32及びシート33には、それぞれ貫通孔32d及び貫通孔33aが形成されている。貫通孔32d及び貫通孔33aのそれぞれは、Z軸方向から見た場合に、例えば円形状を呈している。測定対象物Sは、貫通孔32d及び貫通孔33aの内側において、反射面30cに配置されている。貫通孔32d及び貫通孔33aのそれぞれの形状は、限定されない。貫通孔32d及び貫通孔33aのそれぞれは、Z軸方向から見た場合に、例えば矩形状を呈していてもよい。
圧力付与装置10は、接触部11と、付勢部12と、を有している。接触部11の一部は、貫通孔32dに入り込み、接触部11の先端面11aは、測定対象物Sの表面Saに接触する。接触部11のうち貫通孔32dに入り込む部分は、例えば円柱状を呈している。接触部11の形状は、限定されない。接触部11のうち貫通孔32dに入り込む部分は、例えば直方体状を呈していてもよい。付勢部12は、接触部11の後端面11bに対して荷重を付与する。付勢部12は、例えば加圧治具等を有している。当該加圧治具は、例えばトルクドライバー等である。付勢部12は、一定の大きさの荷重を接触部11に付与することが可能である。当該荷重は、接触部11を介して測定対象物Sの表面Saに伝わる。
圧力付与装置10は、測定対象物Sに付与する圧力の大きさを調整可能に構成されている。圧力付与装置10では、例えば、付勢部12のトルクドライバーのトルクを管理することで、接触部11への荷重を調整可能である。本実施形態では、圧力付与装置10は、測定対象物Sに実質的に一定の圧力を付与する。具体的には、上述したように、反射面30cに平行な方向に沿った測定対象物Sの広がりは、枠体32によって規制されている。そのため、付勢部12による荷重が接触部11を介して測定対象物Sに伝わると、測定対象物Sは、枠体32の内側において押圧されることになる。これにより、測定対象物Sには、圧力が付与される。ここで、付勢部12のトルクドライバーのトルクの大きさが一定であるため、測定対象物Sには一定の荷重が伝わる。したがって、測定対象物Sには一定の圧力が付与される。なお、「実質的に一定の圧力を付与する」とは、基準値に対して±5%の範囲内の圧力を付与することを意味する。
[吸湿性評価方法]
次に、分光装置1を用いた吸湿性評価方法について説明する。本実施形態の吸湿性評価方法は、粘土鉱物を含む測定対象物Sの吸湿性を評価する方法である。まず、反射面30cが露出した状態(反射面30cに測定対象物S等が配置されていない状態)で、入射面30aにテラヘルツ波Tを入射させることで、リファレンス電場波形を取得する。続いて、図3に示されるように、第1試料及び第2試料を用意する(ステップS1)。
第1試料は、測定対象物Sの粘土鉱物と同じ粘土鉱物(第1粘土鉱物)を含んでいる。第2試料は、測定対象物Sの粘土鉱物と同じ粘土鉱物(第2粘土鉱物)を含んでいる。つまり、第1試料及び第2試料のそれぞれは、互いに同じ粘土鉱物を含んでいる。第1試料及び第2試料のそれぞれの含水率は、互いに異なっている。本実施形態では、「含水率」とは、粘土鉱物のうち、粘土鉱物の結晶構造に存在する水分の量が占める割合のことをいう。一例として、含水率は、粘土鉱物の結晶構造に存在する水分の重量を、粘土鉱物の重量で除した値である。
ステップS1では、第1試料に対して第1吸脱水処理を施し、第2試料に対して第2吸脱水処理を施している。第1吸脱水処理の条件と第2吸脱水処理の条件とは、互いに異なっている。第1吸脱水処理及び第2吸脱水処理は、第1試料の含水率と第2試料の含水率とを異ならせるための処理である。第1吸脱水処理は、第1試料の含水率を所定値にするための処理である。第2吸脱水処理は、第2試料の含水率を第1試料の含水率とは異なる値にするための処理である。吸脱水処理は、例えば乾燥機及び真空ポンプ等を備えた乾燥処理装置、又は、例えばデシケータ等を備えた湿潤処理装置によって施される。
第1吸脱水処理は、例えば第1試料の含水率を小さくするための処理である。第1吸脱水処理は、例えば、乾燥処理装置による乾燥処理である。第2吸脱水処理は、例えば第2試料の含水率を大きくするための処理である。第2吸脱水処理は、例えば、湿潤処理装置による湿潤処理である。第2試料の含水率は、第1試料の含水率よりも大きいと想定される。なお、第1試料及び第2試料の含水率を異ならせることができれば、第1試料及び第2試料のいずれか一方に対しては、吸脱水処理が施されていなくてもよい。
第1試料としては、第1吸脱水処理が施された測定対象物Sが用いられてもよい。第2試料としては、第2吸脱水処理が施された測定対象物Sが用いられてもよい。つまり、第1試料及び第2試料のそれぞれは、互いに異なる含水率を有している測定対象物Sであってもよい。ステップS1は、吸湿性評価方法の第1工程に相当する。
続いて、反射面30cに配置された枠体32の貫通孔32dに第1試料を配置する。続いて、第1試料に実質的に一定の圧力を付与する。具体的には、まず、枠体32の貫通孔32dに接触部11を配置する。続いて、接触部11の後端面11bに付勢部12を配置し、トルクドライバーのトルクを調整する。これにより、第1試料には、実質的に一定の圧力が付与される。
続いて、第1試料に対してテラヘルツ波Tを入射させ、第1試料からのテラヘルツ波Tを検出する(ステップS2)。これにより、第1試料の電場波形(第1検出結果)を取得する。このように、ステップS2では、テラヘルツ波全反射減衰分光方法が用いられている。ステップS2は、吸湿性評価方法の第2工程に相当する。続いて、第1試料の周波数特性を取得する(ステップS3)。具体的には、リファレンス電場波形及び第1試料の電場波形に基づいて、第1試料の第1周波数特性を算出する。第2試料についても、第1試料と同様に、第2試料の電場波形を取得し、第2試料の第2周波数特性を算出する。つまり、第1試料及び第2試料のそれぞれについてステップS1~ステップS3を実行する。
図4は、一の例の測定対象物Sについての第1試料及び第2試料のそれぞれの周波数特性を示す図である。図4に示されるように、第1試料の第1周波数特性L1は、基準周波数範囲Fにおいて第1ピークP1を含んでいる。第2試料の第2周波数特性L2は、基準周波数範囲Fにおいて第2ピークP2を含んでいる。
周波数特性の「ピーク」とは、周波数特性のうち、周波数の変化に従って光学特性の変化率が変化する部分のことをいう。一例として、横軸を周波数とし縦軸を光学特性とした場合に、一の周波数と他の周波数との間の所定の周波数に対応する光学特性を示す点が、一の周波数に対応する一の光学特性を示す一の点と他の周波数に対応する他の光学特性を示す他の点とを結ぶベースラインに対して、一方側又は他方側に位置しているときには、周波数特性のうち、一の周波数と他の周波数との間の部分がピークである。ベースラインは、直線であってもよいし曲線であってもよい。他の例として、横軸を周波数とし縦軸を光学特性とした場合に、周波数特性のうち、周波数の変化に従って光学特性の変化率が正の数から負の数に変化する部分又は負の数から正の数に変化する部分が存在するときには、当該部分は周波数特性のピークである。
第1周波数特性L1の第1ピークP1は、ベースラインB1に対して一方側に位置している。第2周波数特性L2の第2ピークP2は、ベースラインB2に対して一方側に位置している。第1ピークP1の大きさ及び第2ピークP2の大きさは、互いに異なっている。第2ピークP2の大きさは、第1ピークP1の大きさよりも大きい。
「ピークの大きさ」とは、ピークがベースラインから離れている度合いのことをいう。ピークがベースラインから大きく離れているときには、ピークの大きさは大きい。ピークがベースラインから小さく離れているときには、ピークの大きさは小さい。ピークとベースラインとの間の最大距離が大きいときには、ピークの大きさは大きい。ピークとベースラインとの間の最大距離が小さいときには、ピークの大きさは小さい。第2周波数特性L2の第2ピークP2とベースラインB2との間の最大距離D2は、第1周波数特性L1の第1ピークP1とベースラインB1との間の最大距離D1よりも大きい。なお、最大距離D1及び最大距離D2のそれぞれに対応する周波数は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
ピークとベースラインとの間の面積が大きいときには、ピークの大きさは大きい。ピークとベースラインとの間の面積が小さいときには、ピークの大きさは小さい。第2周波数特性L2の第2ピークP2とベースラインB2との間の面積は、第1周波数特性L1の第1ピークP1とベースラインB1との間の面積よりも大きい。
図5は、他の例の測定対象物Sについての第1試料及び第2試料のそれぞれの周波数特性を示す図である。他の例の測定対象物Sについての第1試料に施された第1吸脱水処理の条件は、一の例の測定対象物Sについての第1試料に施された第1吸脱水処理の条件と同じである。他の例の測定対象物Sについての第2試料に施された第2吸脱水処理の条件は、一の例の測定対象物Sについての第2試料に施された第2吸脱水処理の条件と同じである。
図5に示されるように、第1周波数特性L1の第1ピークP1の大きさ及び第2周波数特性L2の第2ピークP2の大きさは、略一致している。第1周波数特性L1の第1ピークP1とベースラインB1との間の最大距離D1、及び第2周波数特性L2の第2ピークP2とベースラインB2との間の最大距離D2は、略同じである。第1周波数特性L1の第1ピークP1とベースラインB1との間の面積、及び第2周波数特性L2の第2ピークP2とベースラインB2との間の面積は、略同じである。
続いて、第1周波数特性L1及び第2周波数特性L2に基づいて、測定対象物Sの吸湿性を評価する。具体的には、図3に示されるように、基準周波数範囲Fにおける第1周波数特性L1の第1ピークP1の大きさと基準周波数範囲Fにおける第2周波数特性L2の第2ピークP2の大きさとの差を取得する(ステップS4)。続いて、ステップS4で取得された差に基づいて、測定対象物Sの吸湿性の大きさを評価する(ステップS5)。
具体的には、ステップS4の取得された差が比較的大きい場合には、測定対象物Sの吸湿性が比較的大きいと評価する。ステップS4で取得された差が比較的小さい場合には、測定対象物Sの吸湿性が比較的小さいと評価する。例えば、図4に示される第1ピークP1の大きさと第2ピークP2の大きさとの差は、図5に示される第1ピークP1の大きさと第2ピークP2の大きさとの差よりも大きいため、一の例の測定対象物Sの吸湿性の大きさは、他の例の測定対象物Sの吸湿性の大きさよりも大きい。
このように、ステップS5では、異なる測定対象物Sのそれぞれについて、第1ピークP1の大きさと第2ピークP2の大きさとの差を比較することで、測定対象物Sの吸湿性の大きさが比較的大きいか否かを評価する。ステップS5では、第1ピークP1の大きさと第2ピークP2の大きさとの差が大きいほど、測定対象物Sの吸湿性の大きさが大きいと評価する。
「吸湿性の大きさ」とは、水分を吸収する能力のことをいう。例えば、2つの試料のそれぞれに対して、同一の条件(例えば、温度、湿度及び時間等)において吸水処理を施した場合に、一の試料が他の試料よりも多くの量の水分を吸収した場合には、一の試料の吸湿性が他の試料の吸湿性よりも大きいという。ステップS4及びステップS5は、吸湿性評価方法の第3工程に相当する。
図6及び図7を参照しつつ、第1実施例について説明する。第1実施例では、粘土鉱物としてモンモリロナイトを含む測定対象物Sの吸湿性を評価した。第1実施例では、粘土鉱物としてモンモリロナイトを含む第1試料、第2試料及び第3試料について、ステップS1~S3を実行した。第1試料は、上述した乾燥処理装置を用いて測定対象物Sのサンプルを乾燥処理することで用意された。第2試料は、測定対象物Sのサンプルを放置処理することで用意された。つまり、第2試料は、吸脱水処理が施されていない測定対象物Sのサンプルである。第2試料の含水率は、第1試料の含水率よりも大きいと想定される。第3試料は、上述した湿潤処理装置を用いて測定対象物Sのサンプルを湿潤処理することで用意された。第3試料の含水率は、第2試料の含水率よりも大きいと想定される。測定対象物Sのサンプルは、例えば製造元から入手された。本実施例では、測定対象物Sのサンプルは、純度が比較的高いモンモリロナイトである。
図6は、モンモリロナイトを含む第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれの周波数特性を示す図である。図6に示されるように、第1試料の第1周波数特性L11は、基準周波数範囲F1において第1ピークP11を含んでいる。第2試料の第2周波数特性L12は、基準周波数範囲F1において第2ピークP12を含んでいる。第3試料の第3周波数特性L13は、基準周波数範囲F1において第3ピークP13を含んでいる。基準周波数範囲F1は、2.7THz~3.0THzである。
第1ピークP11の大きさ、第2ピークP12の大きさ及び第3ピークP13の大きさは、互いに異なっている。第2ピークP12の大きさは、第1ピークP11の大きさよりも大きい。第3ピークP13の大きさは、第2ピークP12の大きさよりも大きい。第2ピークP12とベースラインB12との間の最大距離D12は、第1ピークP11とベースラインB11との間の最大距離D11よりも大きい。第3ピークP13とベースラインB13との間の最大距離D13は、第2ピークP12とベースラインB12との間の最大距離D12よりも大きい。第2ピークP12とベースラインB12との間の面積は、第1ピークP11とベースラインB11との間の面積よりも大きい。第3ピークP13とベースラインB13との間の面積は、第2ピークP12とベースラインB12との間の面積よりも大きい。
図7は、図6に示される各周波数特性L11,L12,L13の微分を示す図である。図7に示されるように、第2周波数特性L12の微分L15のピークP15は、第1周波数特性L11の微分L14のピークP14よりも大きい。第3周波数特性L13の微分L16のピークP16は、第2周波数特性L12の微分L15のピークP15よりも大きい。各微分L14,L15,L16によれば、各ベースラインB1,B2,B3の影響をキャンセルすることで、第1ピークP11の大きさ、第2ピークP12の大きさ及び第3ピークP13の大きさを容易に把握することができる。
なお、第1周波数特性L11、第2周波数特性L12及び第3周波数特性L13は、同一の基準周波数範囲F1において、第1ピークP11、第2ピークP12及び第3ピークP13を含んでいるため、第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれの粘土鉱物(モンモリロナイト)の結晶形態が同じであると推定される。第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれの粘土鉱物の結晶形態が異なっている場合には、第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれの基準周波数範囲も異なると推定される。また、モンモリロナイトは、層状の結晶構造を有しているため、層間に水分が入り込むと、水素結合の強さが大きくなる。その結果、分子の振動が誘起され、ピークの大きさが大きくなると推定される。また、産業においては、水分保持能力として、結晶構造の中に入り込んでいる水分の量の把握が求められる場合が多い。
図8及び図9を参照しつつ、第2実施例について説明する。第2実施例では、粘土鉱物としてカオリナイトを含む測定対象物Sの吸湿性を評価した。第2実施例では、粘土鉱物としてカオリナイトを含む第1試料、第2試料及び第3試料について、ステップS1~S3を実行した。第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれは、上述したように、測定対象物Sのサンプルを乾燥処理、放置処理又は湿潤処理することで用意された。測定対象物Sのサンプルは、例えば製造元から入手された。本実施例では、測定対象物Sのサンプルは、純度が比較的高いカオリナイトである。
図8は、カオリナイトを含む第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれの周波数特性を示す図である。図8に示されるように、第1試料の第1周波数特性L21は、基準周波数範囲F2において第1ピークP21を含んでいる。第2試料の第2周波数特性L22は、基準周波数範囲F2において第2ピークP22を含んでいる。第3試料の第3周波数特性L23は、基準周波数範囲F2において第3ピークP23を含んでいる。基準周波数範囲F2は、3.5THz~3.7THzである。第1ピークP21の大きさ、第2ピークP22の大きさ及び第3ピークP23の大きさは、略一致している。
第1ピークP11の大きさと第2ピークP12の大きさとの差(図6参照)は、第1ピークP21の大きさと第2ピークP22の大きさとの差(図8参照)よりも大きい。第1ピークP11の大きさと第3ピークP13の大きさとの差(図6参照)は、第1ピークP21の大きさと第3ピークP23の大きさとの差(図8参照)よりも大きい。第2ピークP12の大きさと第3ピークP13の大きさとの差(図6参照)は、第2ピークP22の大きさと第3ピークP23の大きさとの差(図8参照)よりも大きい。
図9は、図8に示される各周波数特性L21,L22,L23の微分を示す図である。図9に示されるように、第1周波数特性L21の微分L24のピークP24、第2周波数特性L22の微分L25のピークP25、及び第3周波数特性L23の微分L26のピークP26は、略一致している。
本実施形態では、粘土鉱物がモンモリロナイトである場合における各ピークP11,P12,P13の大きさの差は、粘土鉱物がカオリナイトである場合における各ピークP21,P22,P23の大きさの差よりも大きいため、モンモリロナイトを含む測定対象物Sの吸湿性の大きさは、カオリナイトを含む測定対象物Sの吸湿性の大きさよりも大きいことが分かる。
なお、第1周波数特性L21、第2周波数特性L22及び第3周波数特性L23は、同一の基準周波数範囲F2において、第1ピークP21、第2ピークP22及び第3ピークP23を含んでいるため、第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれの粘土鉱物(カオリナイト)の結晶形態が同じであると推定される。第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれの粘土鉱物の結晶形態が異なっている場合には、第1試料、第2試料及び第3試料のそれぞれの基準周波数範囲も異なると推定される。
[吸湿性評価方法の作用効果]
以上説明したように、吸湿性評価方法では、第2工程において、テラヘルツ波Tを用いることで、第1粘土鉱物を含む第1試料に関する第1検出結果、及び第1粘土鉱物と同じ第2粘土鉱物を含む第2試料に関する第2検出結果を取得している。また、第1工程においては、第1試料に対して第1吸脱水処理を施し、第2試料に対して第2吸脱水処理を施し、第3工程においては、基準周波数範囲Fにおける第1周波数特性L1の第1ピークP1の大きさと基準周波数範囲Fにおける第2周波数特性L2の第2ピークP2の大きさとの差に基づいて、測定対象物Sの吸湿性の大きさを評価している。これにより、テラヘルツ波Tを用いることで、例えば測定対象物Sの化学反応を伴わず(非破壊で)且つ被爆の防止が求められない状態で、測定対象物Sの吸湿性を評価することができる。よって、この吸湿性評価方法によれば、測定対象物Sの吸湿性を容易に評価することが可能となる。
本願の発明者らは、上述したようなカールフィッシャー滴定法又はX線回折法のような様々な方法の課題を、テラヘルツ波を用いることで解決することができるのではないかと仮説を立てた。そこで、本願の発明者らは、第1実施例及び第2実施例のように、モンモリロナイトを含む各試料及びカオリナイトを含む各試料のそれぞれについて、テラヘルツ波を照射することで吸湿性を評価した。その結果、モンモリロナイトを含む試料については、吸脱水処理の条件の違いによって基準周波数範囲における周波数特性のピークの大きさに変化が見られたものの、カオリナイトを含む試料については、当該変化がみられなかった。本願の発明者らは、このような結果に基づいて、モンモリロナイトを含む試料は、吸湿性が大きいものの、カオリナイトを含む試料は、吸湿性が小さいことを見出した。つまり、本願の発明者らは、テラヘルツ波を用いることで、カールフィッシャー滴定法又はX線回折法のような様々な方法の課題を解決することに成功した。
粘土鉱物は、モンモリロナイト又はカオリナイトである。これにより、粘土鉱物としてモンモリロナイト又はカオリナイトを含む測定対象物Sについて、吸湿性を評価することが可能となる。
第2工程では、テラヘルツ波全反射減衰分光方法を用いている。これにより、測定対象物Sの吸湿性を容易に且つ確実に評価することが可能となる。
[含水率評価方法]
次に、分光装置1を用いた含水率評価方法について説明する。本実施形態の含水率評価方法は、吸湿性を有している粘土鉱物を含む測定対象物Sの含水率を評価する方法である。まず、図10に示されるように、基準周波数範囲Fにおける第1ピークP1の大きさと基準周波数範囲Fにおける第2ピークP2の大きさとの差に基づいて選定された測定対象物Sを用意する(ステップS21)。ステップS21では、ステップS5において例えば吸湿性が比較的大きいと評価された測定対象物Sが用意される。本実施形態では、一例として、粘土鉱物としてモンモリロナイトを含む測定対象物Sが用意される。ステップS21は、吸湿性評価方法の第4工程及び含水率評価方法の第1工程のそれぞれに相当する。
続いて、測定対象物Sに対してテラヘルツ波Tを入射させ、測定対象物Sからのテラヘルツ波Tを検出する(ステップS22)。これにより、測定対象物Sの電場波形(検出結果)を取得する。このように、ステップS22では、テラヘルツ波減衰全反射分光方法が用いられている。ステップS22は、吸湿性評価方法の第5工程及び含水率評価方法の第2工程のそれぞれに相当する。
続いて、測定対象物Sの周波数特性を取得する(ステップS23)。具体的には、リファレンス電場波形及び測定対象物Sの電場波形に基づいて、測定対象物Sの波数特性を算出する。続いて、測定対象物Sの周波数特性に基づいて、測定対象物Sの含水率を評価する(ステップS24)。ステップS24では、参照情報(第1参照情報)、及び基準周波数範囲における測定対象物Sの周波数特性のピークの大きさに基づいて、測定対象物Sの含水率を評価する。参照情報は、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさと参照試料の含水率との関係を示す情報である。参照試料は、測定対象物Sの粘土鉱物と同じ粘土鉱物を含んでいる。本実施形態では、参照試料は、純度が比較的高いモンモリロナイトである。参照試料は、測定対象物Sのサンプルであってもよい。
図11に示されるように、参照情報Rは、横軸を参照試料の含水率とし縦軸を基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさとした場合に、参照試料の含水率とピークの大きさとの相関関係を示している。ピークの大きさとしては、例えば、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性の微分値(例えば、図7のピークP14,P15,P16等参照)が用いられる。具体的には、ピークの大きさとしては、例えば、当該微分値の絶対値の最大値が用いられる。本実施形態では、参照情報Rは、5つの当該最大値を用いて作成されている。本実施形態では、参照情報Rは、ピークの大きさを従属変数とし、含水率を独立変数とする回帰分析を行うことで算出されている。回帰分析は、例えば線形回帰であってもよいし、非線形回帰であってもよい。
ピークの大きさとしては、例えば、基準周波数範囲における参照試料のピークとベースラインとの間の距離(最大距離又は平均距離等)に相当する値が用いられてもよい。ピークの大きさとしては、例えば、基準周波数範囲における参照試料のピークとベースラインとの間の面積に相当する値が用いられてもよい。ピークの大きさとしては、例えば、参照試料の周波数特性の微分値において、基準周波数範囲のピーク位置や面積に相当する値が用いられてもよい。
図11に示されるように、例えば、基準周波数範囲における測定対象物Sの周波数特性のピークの大きさ(微分値)がYである場合には、参照情報Rに基づくと、測定対象物Sの含水率はXである。ステップS24は、吸湿性評価方法の第6工程及び含水率評価方法の第3工程のそれぞれに相当する。
次に、参照情報Rを作成する方法について説明する。図12に示されるように、互いに異なる含水率を有している複数の参照試料を用意する(ステップS41)。複数の参照試料のそれぞれの含水率は、ステップS1と同様に、吸脱水処理を施すことで調整される。各含水率は、例えば、ステップS1の処理の前後における重量差から算出される。なお、複数の参照試料のそれぞれの含水率を異ならせることができれば、複数の参照試料のうちの1つの参照試料に対しては、吸脱水処理が施されていなくてもよい。ステップS41は、吸湿性評価方法の第7工程及び含水率評価方法の第4工程のそれぞれに相当する。
続いて、複数の参照試料のそれぞれに対してテラヘルツ波Tを入射させ、複数の参照試料のそれぞれからのテラヘルツ波Tを検出する(ステップS42)。これにより、複数の参照試料のそれぞれに関する電場波形(検出結果)を取得する。このように、ステップS42では、テラヘルツ波減衰全反射分光方法が用いられている。ステップS42は、吸湿性評価方法の第8工程及び含水率評価方法の第5工程のそれぞれに相当する。
続いて、複数の参照試料のそれぞれの周波数特性を取得する(ステップS43)。具体的には、リファレンス電場波形及び参照試料の電場波形に基づいて、参照試料の波数特性を算出する。続いて、複数の参照試料のそれぞれの周波数特性、及び複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、参照情報Rを作成する(ステップS44)。ステップS44は、吸湿性評価方法の第9工程及び含水率評価方法の第6工程のそれぞれに相当する。
ステップS44では、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさ(微分値)、及び複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、参照情報Rを作成する。具体的には、横軸を含水率とし縦軸をピークの大きさとするグラフを作成し、互いに対応する含水率とピークの大きさとを示す点を当該グラフにプロットする(図11参照)。続いて、プロットされた複数の点について、上述したような回帰分析を行うことで、参照情報Rを算出する。
[含水率評価方法の作用効果]
以上説明したように、含水率評価方法では、第2工程において、テラヘルツ波Tを用いることで、粘土鉱物を含む測定対象物Sに関する検出結果を取得している。第3工程において、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさと参照試料の含水率との関係を示す参照情報R、及び基準周波数範囲における測定対象物Sの周波数特性のピークの大きさに基づいて、測定対象物Sの含水率を評価している。これにより、テラヘルツ波Tを用いることで、例えば測定対象物Sの化学反応を伴わず(非破壊で)且つ被爆の防止が求められない状態で、測定対象物Sの含水率を評価することができる。また、乾燥処理の前後の重量差によって含水率を評価する場合に比べ、含水率を容易に評価することができる。よって、この含水率評価方法によれば、測定対象物Sの含水率を容易に評価することが可能となる。吸湿性が大きい粘土鉱物(例えばモンモリロナイト)は、化粧品又は土壌改良資材等として利用されているため、このような粘土鉱物についての含水率の評価は、極めて重要である。
含水率評価方法は、互いに異なる含水率を有している複数の参照試料を用意する第4工程と、複数の参照試料のそれぞれに対してテラヘルツ波Tを入射させ、複数の参照試料のそれぞれからのテラヘルツ波Tを検出することで、複数の参照試料のそれぞれに関する検出結果を取得する第5工程と、検出結果から算出された複数の参照試料のそれぞれの周波数特性、及び複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、参照情報Rを作成する第6工程と、を更に備えている。第6工程では、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさ、及び複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、参照情報Rを作成している。これにより、テラヘルツ波Tを用いることで、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさと参照試料の含水率との関係を示す参照情報Rを容易に取得することができる。
第6工程では、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさとして、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性の微分値を用いている。これにより、基準周波数範囲における複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさを容易に把握することができる。
粘土鉱物は、モンモリロナイトである。基準周波数範囲は、2.7THz~3THzである。これにより、粘土鉱物としてモンモリロナイトを含む測定対象物Sの含水率を容易に評価することが可能となる。
第2工程では、テラヘルツ波減衰全反射分光方法を用いている。これにより、測定対象物Sの含水率を容易に且つ確実に評価することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の吸湿性評価方法及び含水率評価方法について説明する。本実施形態では、第1参照情報に基づいて測定対象物Sに含まれる層間水について評価する層間水評価を実施すると共に、第2参照情報に基づいて測定対象物Sに含まれる自由水について評価する自由水評価を実施する(吸湿性評価方法の第6工程又は含水率評価方法の第3工程)。層間水は、粘土鉱物の結晶構造に存在する水分のうち、結晶層の間に入り込んでいる水分である。自由水は、粘土鉱物の結晶構造に存在する水分のうち、結晶層の外側に留まっている水分である。
第1参照情報は、第1実施形態と同様に作成される。具体的には、まず、含水率が互いに異なる複数の参照試料のそれぞれの周波数特性を取得する。図13は、本実施形態の各参照試料の周波数特性Lを示す図である。図13に示されるように、各周波数特性Lは、基準周波数範囲FにおいてピークPを含んでいる。各周波数特性Lは、ベース周波数範囲Bにおいてはピークを含んでいない。ベース周波数範囲Bは、周波数特性Lのベースラインに対応する周波数帯域である。ベース周波数範囲Bは、周波数特性Lの周波数帯域のうち、基準周波数範囲Fとは異なる領域である。ベース周波数範囲Bは、周波数特性Lの周波数帯域のうち、基準周波数範囲Fを除く任意の範囲である。参照試料は、第1実施形態の参照試料と同様に、純度が比較的高いモンモリロナイトである。参照試料は、測定対象物Sのサンプルであってもよい。
図14は、第1参照情報R1を示す図である。図14に示されるように、第1参照情報R1は、横軸を参照試料の含水率(吸脱水処理前後の重量差)とし縦軸を基準周波数範囲Fにおける参照試料の周波数特性LのピークPの大きさとした場合に、参照試料の含水率と参照試料の周波数特性LのピークPの大きさとの相関関係を示している。第1参照情報R1では、基準周波数範囲Fにおける参照試料の周波数特性LのピークPの大きさとして、基準周波数範囲Fにおける参照試料の周波数特性Lの微分値(二次微分値)が用いられている。以下、「基準周波数範囲Fにおける参照試料の周波数特性Lの微分値(二次微分値)」を「参照試料のピーク値」という。
第1参照情報R1では、含水率(横軸)が所定値Q以下である場合には、参照試料のピーク値(縦軸)は、含水率の変化に従って一次関数的に変化する。第1参照情報R1では、含水率が所定値Qよりも大きい場合には、参照試料のピーク値は、含水率が変化しても一定の値を維持する(ほぼ変化しない)。本実施形態では、所定値Qは、例えば20%~30%のうちのいずれかの値である。所定値Qは、例えば22.5%程度である。所定値Qは、参照試料の種類によって異なる場合がある。
図15は、第2参照情報R2を示す図である。図15に示されるように、第2参照情報R2は、横軸を参照試料の含水率とし縦軸をベース周波数範囲Bにおける参照試料の周波数特性(以下、「参照試料のベース値」という)とした場合に、参照試料の含水率と参照試料のベース値との相関関係を示している。第2参照情報R2では、含水率(横軸)が所定値Q以下である場合及び含水率が所定値Qよりも大きい場合のいずれにおいても、参照試料のベース値は、含水率の変化に従って一次関数的に変化する。
層間水評価では、上述したような第1参照情報R1、及び測定対象物Sの周波数特性に基づいて、測定対象物Sに含まれる層間水について評価し、自由水評価では、上述したような第2参照情報R2、及び測定対象物Sの周波数特性に基づいて、測定対象物Sに含まれる自由水について評価する。具体的には、まず、第1実施形態と同様に、粘土鉱物としてモンモリロナイトを含む測定対象物Sを用意した後、測定対象物Sの周波数特性を取得する。
層間水評価では、第1参照情報R1、及び基準周波数範囲Fにおける測定対象物Sの周波数特性のピークの大きさに基づいて、測定対象物Sに含まれる層間水について評価する。層間水評価では、基準周波数範囲Fにおける測定対象物Sの周波数特性のピークの大きさとして、基準周波数範囲Fにおける測定対象物Sの周波数特性の微分値(二次微分値)を用いる。以下、基準周波数範囲Fにおける測定対象物Sの周波数特性の微分値(二次微分値)を「測定対象物Sのピーク値」という。自由水評価では、第2参照情報R2、及びベース周波数範囲Bにおける測定対象物Sの周波数特性(以下、「測定対象物Sのベース値」という)に基づいて、測定対象物Sに含まれる自由水について評価する。
第1参照情報R1に基づくと(図14参照)、測定対象物Sのピーク値に対応する含水率が所定値Q以下である場合には、測定対象物Sの含水率が大きいほど測定対象物Sに含まれる層間水の量が大きいことが分かる。第2参照情報R2に基づくと(図15参照)、測定対象物Sのベース値に対応する含水率が所定値Q以下である場合には、測定対象物Sの含水率が大きいほど測定対象物Sに含まれる自由水の量が大きいことが分かる。
第1参照情報R1に基づくと、測定対象物Sのピーク値に対応する含水率が所定値Qよりも大きい場合には、測定対象物Sの含水率が異なっても測定対象物Sに含まれる層間水の量が概ね同じであることが分かる。第2参照情報R2に基づくと、測定対象物Sのベース値に対応する含水率が所定値Qよりも大きい場合には、測定対象物Sの含水率が大きいほど測定対象物Sに含まれる自由水の量が大きいことが分かる。
以上説明したように、本実施形態では、基準周波数範囲Fにおける参照試料の周波数特性LのピークPの大きさとして、基準周波数範囲Fにおける参照試料の周波数特性Lの微分値を用いると共に、基準周波数範囲Fにおける測定対象物Sの周波数特性のピークの大きさとして、基準周波数範囲Fにおける測定対象物Sの周波数特性の微分値を用いることで、測定対象物Sに含まれる層間水について評価する層間水評価を実施する。これにより、測定対象物Sに含まれる層間水について評価することによって、測定対象物Sの含水率をより詳細に評価することが可能となる。
本実施形態では、基準周波数範囲Fとは異なるベース周波数範囲Bにおける参照試料の周波数特性Lと参照試料の含水率との関係を示す第2参照情報R2、及びベース周波数範囲Bにおける測定対象物Sの周波数特性に基づいて、測定対象物Sに含まれる自由水について評価する自由水評価を更に実施する。これにより、測定対象物Sに含まれる層間水に加えて、測定対象物Sに含まれる自由水についても評価することによって、測定対象物Sの含水率をより詳細に評価することが可能となる。
本願の発明者らは、測定対象物Sのピーク値(二次微分値)を用いることで測定対象物Sに含まれる層間水について評価することができ、測定対象物Sのベース値を用いることで測定対象物Sに含まれる自由水について評価することができることを見出した。具体的には、本願の発明者らは、研究を重ねているうちに、以下のことを見出した。すなわち、図16の(a)~(c)に示されるように、例えば、ベース周波数範囲B(例えば、周波数が1THz、2THz又は4THzである場合)における参照試料の周波数特性と含水率とは、強い相関関係を示している。また、図17に示されるように、基準周波数範囲F(例えば、周波数が2.8THzである場合)における参照試料の周波数特性と含水率とは、強い相関関係を示している。一方、図18に示されるように、基準周波数範囲F(例えば、周波数が2.8THzである場合)における参照試料のピーク値(二次微分値)と含水率とは、基準周波数範囲Fにおける参照試料の周波数特性と含水率との相関関係に比べて、弱い相関関係を示している。
本願の発明者らは、このような傾向に着目して、参照試料のピーク値(二次微分値)と含水率との相関関係について更に詳細に分析した。その結果、本願の発明者らは、図19に示されるように、含水率が所定値Q以下である場合には、参照試料のピーク値と含水率とは、強い相関関係を示している一方、図20に示されるように、含水率が所定値Qよりも大きい場合には、含水率が変化しても参照試料のピーク値がほぼ変化しないことを見出した。
本願の発明者らは、このような結果について、以下のように分析した。すなわち、図21の(a)及び(b)に示されるように、参照試料の含水率は、吸脱水処理の乾燥強度の増加(湿度の減少)に従って減少している。つまり、参照試料に含まれる水分(層間水及び自由水)の量は、吸脱水処理の乾燥強度の増加に従って減少している。図21の(a)に示されるように、含水率が所定値Qよりも大きい場合には、吸脱水処理の乾燥強度が増加しても、参照試料のピーク値が一定の値を維持している一方、含水率が所定値Q以下である場合には、吸脱水処理の乾燥強度の増加に従って、参照試料のピーク値が一次関数的に変化している。図21の(b)に示されるように、含水率がQよりも大きい場合及び含水率が所定値Q以下である場合のいずれにおいても、吸脱水処理の乾燥強度の増加に従って、参照試料のベース値が一次関数的に変化している。
これは、図22に示されるように、層間水82は、結晶層81の間に入り込んでいるの対して、自由水83は、結晶層81の外側に留まっているためであると考えられる。具体的には、結晶層81の間に入り込んでいる層間水82は、吸脱水処理等の外部環境の変化の影響を受け難いため、例えば、吸脱水処理の乾燥強度が増加した場合(湿潤状態から乾燥状態に向かって変化した場合)、層間水82の量は、乾燥強度が比較的小さいときには変化せず、乾燥強度がある程度まで大きくなった後から減少し始める。結晶層81の外部に留まっている自由水83は、吸脱水処理等の外部環境の変化の影響を受けやすいため、例えば、吸脱水処理の乾燥強度が増加した場合(湿潤状態から乾燥状態に向かって変化した場合)、自由水83の量は、乾燥強度の大きさに関わらず減少すると考えられる。
このように、本願の発明者らは、参照試料の含水率を所定値Qよりも大きい値まで変化させた場合に、吸脱水処理の条件に対する層間水及び自由水の異なる反応を捉えることに成功した。本願の発明者らは、このような結果に基づいて、測定対象物Sの含水率について、更に詳細に評価することができることを見出した。
自由水83に比べて外部環境の影響を受けにくい層間水82は、粘土鉱物の水分保持能力を維持するための重要な存在である。本実施形態の方法によれば、粘土鉱物の水分保持能力についての評価として、層間水82を維持する為の乾燥強度の閾値(所定値Q)、又は、乾燥強度の増加に従った層間水82の減少度合い等を把握することができる。本実施形態の方法は、層間水82による水分保持能力のような機能が重要な製品(例えば、粘土鉱物を含む農業用土壌改良資材、デトックス食品又は化粧品等)の開発に用いられる技術としての応用が期待される。
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。図23に示されるように、吸湿性評価方法及び含水率評価方法のそれぞれでは、分光装置1に代えて分光装置1Aが用いられてもよい。分光装置1Aは、出力部20に代えて出力部20Aを備え、検出部60に代えて検出部60Aを備えている。分光装置1Aは、調整部40及び反射部50を備えていない。分光装置1Aは、出力部20Aと、チョッパ26と、配置部30と、検出部60Aと、処理部70と、を備えている。
出力部20Aは、複数の光源25を有している。各光源25は、単一波長を有するテラヘルツ波Tを出力する。各光源25は、互いに異なる周波数を有するテラヘルツ波Tを出力する。光源25は、例えば、後進波管又は量子カスケードレーザ等である。チョッパ26は、光源25から出力されたテラヘルツ波Tの通過及び遮断を一定の周期で交互に繰り返す。出力部20Aから出力されたテラヘルツ波Tは、配置部30の入射面30aに入射され、第1副反射面30d、反射面30c及び第2副反射面30eで順次に反射された後、出射面30bから外部へ出力され、検出部60Aに入射される。
検出部60Aは、配置部30から出力されたテラヘルツ波Tを検出する。具体的には、検出部60Aは、検出器65と、ロックイン増幅器63と、A/D変換器64と、を有している。検出器65は、例えばゴーレイセル、ボロメータ、ショットキーバリアダイオード又は共鳴トンネルダイオード等である。検出器65から出力された電気信号は、ロックイン増幅器63に入力される。ロックイン増幅器63は、チョッパ23におけるテラヘルツ波Tの通過及び遮断の繰返し周波数で、検出器65から出力される電気信号を同期検出する。A/D変換器64は、ロックイン増幅器63からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。処理部70は、A/D変換器64から出力された信号に基づいて、周波数特性を算出する。なお、分光装置1Aは、チョッパ26及びロックイン増幅器63を備えていなくてもよい。
分光装置1Aを用いた吸湿性評価方法及び含水率評価方法のそれぞれでは、単一波長のテラヘルツ波Tが測定対象物S等に対して入射される。具体的には、図24に示されるように、周波数(基準周波数)がpであるテラヘルツ波T、周波数がf1であるテラヘルツ波T、及び周波数がf2であるテラヘルツ波Tのそれぞれが、測定対象物S等に対して入射される。f1は、pよりも小さい値である。f2は、pよりも大きい値である。
続いて、周波数がp,f1,f2である場合の周波数特性として、Ap,Af1,Af2を算出する。Ap,Af1,Af2は、例えば吸光度である。続いて、Am=(Af2-Af1)×(p-f1)/(f2-f1)+Af1(式1)に基づいて、Amを算出する。続いて、Ap>Am+α(式2)に基づいて、基準周波数範囲においてピークが存在するか否かを判別する。式2が成立する場合には、ピークが存在すると判別され、式2が成立しない場合には、ピークが存在しないと判別される。
基準周波数範囲は、f1~f2である。ベースラインは、点(f1,Af1)と点(f2,Af2)とを結んだ直線である。基準周波数範囲における周波数特性のピークは、点(p,Ap)と点(f1,Af1)とを結んだ線、及び、点(p,Ap)と点(f2,Af2)を結んだ線である。なお、αは、バッファである。αは、分光装置1Aの状況に応じて、適宜設定され得る。αは、分光装置1Aの測定時におけるノイズ等に基づいて設定され得る。一例として、αは、測定のバラツキの標準偏差の3倍の値である。
周波数がp,f1,f2である場合の周波数特性として、吸光度Ap,Af1,Af2に代えて、透過光強度Ip,If1,If2を用いてもよい。その場合には、Im=(If2-If1)×(p-f1)/(f2-f1)+If1(式3)に基づいて、Imを算出する。続いて、Ip<Im-α(式4)に基づいて、基準周波数においてピークが存在するか否かを判別する。式4が成立する場合には、ピークが存在すると判別され、式4が成立しない場合には、ピークが存在しないと判別される。
ベースラインは、点(f1,If1)と点(f2,If2)とを結んだ直線である。基準周波数範囲における周波数特性のピークは、点(p,Ip)と点(f1,If1)とを結んだ線、及び、点(p,Ip)と(f2,If2)を結んだ線である。なお、この場合、リファレンス測定を行わなくてもよい。
分光装置1Aを用いた吸湿性評価方法及び含水率評価方法によれば、簡易な構成によって、測定対象物Sの吸湿性を評価することが可能となり、測定対象物Sの含水率を評価することが可能となる。
また、分光装置1,1Aは、全反射減衰分光方法を実施するための装置ではなくてもよい。図25の(a)に示されるように、分光装置1,1Aでは、テラヘルツ波Tが測定対象物S等を透過してもよい。図25の(b)に示されるように、分光装置1,1Aでは、テラヘルツ波Tが一対のミラーM及び測定対象物Sで反射された後、検出されてもよい。
また、検出部60,60Aの光学系として光干渉方式を用いてもよい。この場合、検出部60,60Aによってテラヘルツ波Tの電場波形を取得することなく、テラヘルツ波Tの吸収スペクトルを直接取得することができる。
また、粘土鉱物として、モンモリロナイト又はカオリナイトの例を示したが、本発明の吸湿性評価方法及び含水率評価方法は、様々な粘土鉱物について適用してもよい。
また、付勢部12が加圧治具等を有している例を示したが、付勢部12は、例えば、一定の重量を有する重りであってもよい。付勢部12は、Z軸方向に沿って接触部11に付勢部12の重量に相当する荷重を付与してもよい。当該荷重は、接触部11を介して、測定対象物Sの表面Saに伝わる。この場合、例えば、付勢部12として、重量が異なる重りに変更することで、測定対象物Sに付与する圧力の大きさを調整可能である。
F,F1,F2…基準周波数範囲、L1,L11,L21…第1周波数特性、L2,L12,L22…第2周波数特性、P1,P11,P21…第1ピーク、P2,P12,P22…第2ピーク、R…参照情報、S…測定対象物、T…テラヘルツ波。

Claims (15)

  1. 粘土鉱物を含む測定対象物の吸湿性を評価する方法であって、
    前記粘土鉱物として第1粘土鉱物を含む第1試料、及び前記粘土鉱物として前記第1粘土鉱物と同じ第2粘土鉱物を含む第2試料を用意する第1工程と、
    前記第1試料及び前記第2試料のそれぞれに対してテラヘルツ波を入射させ、前記第1試料及び前記第2試料のそれぞれからの前記テラヘルツ波を検出することで、前記第1試料に関する第1検出結果及び前記第2試料に関する第2検出結果を取得する第2工程と、
    前記第1検出結果から算出された前記第1試料の第1周波数特性及び前記第2検出結果から算出された前記第2試料の第2周波数特性に基づいて、前記測定対象物の吸湿性を評価する第3工程と、を備え、
    前記第1工程では、前記第1試料及び前記第2試料の少なくとも一方に対して吸脱水処理を施し、
    前記第3工程では、基準周波数範囲における前記第1周波数特性の第1ピークの大きさと前記基準周波数範囲における前記第2周波数特性の第2ピークの大きさとの差に基づいて、前記測定対象物の吸湿性の大きさを評価する、吸湿性評価方法。
  2. 前記粘土鉱物は、モンモリロナイト又はカオリナイトである、請求項1に記載の吸湿性評価方法。
  3. 前記第1ピークの大きさと前記第2ピークの大きさとの差に基づいて選定された前記測定対象物を用意する第4工程と、
    前記測定対象物に対してテラヘルツ波を入射させ、前記測定対象物からの前記テラヘルツ波を検出することで、前記測定対象物に関する検出結果を取得する第5工程と、
    前記検出結果から算出された前記測定対象物の周波数特性に基づいて、前記測定対象物の含水率を評価する第6工程と、を更に備え、
    前記第6工程では、前記基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさと前記参照試料の含水率との関係を示す第1参照情報、及び前記基準周波数範囲における前記測定対象物の周波数特性のピークの大きさに基づいて、前記測定対象物の含水率を評価する、請求項1に記載の吸湿性評価方法。
  4. 前記第6工程では、前記基準周波数範囲における前記参照試料の周波数特性のピークの大きさとして、前記基準周波数範囲における前記参照試料の周波数特性の微分値を用いると共に、前記基準周波数範囲における前記測定対象物の周波数特性のピークの大きさとして、前記基準周波数範囲における前記測定対象物の周波数特性の微分値を用いることで、前記測定対象物に含まれる層間水について評価する層間水評価を実施する、請求項3に記載の吸湿性評価方法。
  5. 前記第6工程では、前記基準周波数範囲とは異なるベース周波数範囲における前記参照試料の周波数特性と前記参照試料の含水率との関係を示す第2参照情報、及び前記ベース周波数範囲における前記測定対象物の周波数特性に基づいて、前記測定対象物に含まれる自由水について評価する自由水評価を更に実施する、請求項4に記載の吸湿性評価方法。
  6. 互いに異なる含水率を有し、それぞれが前記参照試料である複数の参照試料を用意する第7工程と、
    前記複数の参照試料のそれぞれに対してテラヘルツ波を入射させ、前記複数の参照試料のそれぞれからの前記テラヘルツ波を検出することで、前記複数の参照試料のそれぞれに関する検出結果を取得する第8工程と、
    前記検出結果から算出された前記複数の参照試料のそれぞれの周波数特性、及び前記複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、前記第1参照情報を作成する第9工程と、を更に備え、
    前記第9工程では、前記基準周波数範囲における前記複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさ、及び前記複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、前記第1参照情報を作成する、請求項3に記載の吸湿性評価方法。
  7. 前記第9工程では、前記基準周波数範囲における前記複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさとして、前記基準周波数範囲における前記複数の参照試料のそれぞれの周波数特性の微分値を用いる、請求項6に記載の吸湿性評価方法。
  8. 前記第2工程では、テラヘルツ波全反射減衰分光方法を用いる、請求項1に記載の吸湿性評価方法。
  9. 粘土鉱物を含む測定対象物の含水率を評価する方法であって、
    前記測定対象物を用意する第1工程と、
    前記測定対象物に対してテラヘルツ波を入射させ、前記測定対象物からの前記テラヘルツ波を検出することで、前記測定対象物に関する検出結果を取得する第2工程と、
    前記検出結果から算出された前記測定対象物の周波数特性に基づいて、前記測定対象物の含水率を評価する第3工程と、を備え、
    前記第3工程では、基準周波数範囲における参照試料の周波数特性のピークの大きさと前記参照試料の含水率との関係を示す第1参照情報、及び前記基準周波数範囲における前記測定対象物の周波数特性のピークの大きさに基づいて、前記測定対象物の含水率を評価する、含水率評価方法。
  10. 前記第3工程では、前記基準周波数範囲における前記参照試料の周波数特性のピークの大きさとして、前記基準周波数範囲における前記参照試料の周波数特性の微分値を用いると共に、前記基準周波数範囲における前記測定対象物の周波数特性のピークの大きさとして、前記基準周波数範囲における前記測定対象物の周波数特性の微分値を用いることで、前記測定対象物に含まれる層間水について評価する層間水評価を実施する、請求項9に記載の含水率評価方法。
  11. 前記第3工程では、前記基準周波数範囲とは異なるベース周波数範囲における前記参照試料の周波数特性と前記参照試料の含水率との関係を示す第2参照情報、及び前記ベース周波数範囲における前記測定対象物の周波数特性に基づいて、前記測定対象物に含まれる自由水について評価する自由水評価を更に実施する、請求項10に記載の含水率評価方法。
  12. 互いに異なる含水率を有し、それぞれが前記参照試料である複数の参照試料を用意する第4工程と、
    前記複数の参照試料のそれぞれに対してテラヘルツ波を入射させ、前記複数の参照試料のそれぞれからの前記テラヘルツ波を検出することで、前記複数の参照試料のそれぞれに関する検出結果を取得する第5工程と、
    前記検出結果から算出された前記複数の参照試料のそれぞれの周波数特性、及び前記複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、前記第1参照情報を作成する第6工程と、を更に備え、
    前記第6工程では、前記基準周波数範囲における前記複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさ、及び前記複数の参照試料のそれぞれの含水率に基づいて、前記第1参照情報を作成する、請求項9に記載の含水率評価方法。
  13. 前記第6工程では、前記基準周波数範囲における前記複数の参照試料のそれぞれの周波数特性のピークの大きさとして、前記基準周波数範囲における前記複数の参照試料のそれぞれの周波数特性の微分値を用いる、請求項12に記載の含水率評価方法。
  14. 前記粘土鉱物は、モンモリロナイトであり、
    前記基準周波数範囲は、2.7THz~3THzである、請求項9に記載の含水率評価方法。
  15. 前記第2工程では、テラヘルツ波減衰全反射分光方法を用いる、請求項9に記載の含水率評価方法。

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