JP2023116239A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒におけるNOxの浄化を促進しつつ、触媒からアンモニアが流出することを抑制する。【解決手段】内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路に配置されると共に酸素を吸蔵可能な触媒20と、触媒の下流側部分の酸素吸蔵量を算出する酸素吸蔵量算出部61と、触媒に流入する流入排気ガスの空燃比を制御する空燃比制御部62とを備える。空燃比制御部は、流入排気ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチにするリッチ制御を実行し、酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、酸素吸蔵量が相対的に少ない場合に比べて、リッチ制御において触媒に供給される還元剤の量が多くなるように流入排気ガスの空燃比を制御する。【選択図】図5

Description

本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
従来、内燃機関の排気通路に触媒を配置し、排気ガス中の有害物質(HC、NOx等)を触媒において浄化することが知られている。特許文献1には、触媒に還元剤を供給してNOxの浄化性能を高めることが記載されている。
特開2002-349249号公報
しかしながら、触媒に還元剤が供給されると、触媒における化学反応によってNOxからアンモニアが生成され、生成されたアンモニアが触媒から流出するおそれがある。
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、触媒におけるNOxの浄化を促進しつつ、触媒からアンモニアが流出することを抑制することにある。
本開示の要旨は以下のとおりである。
(1)内燃機関の排気通路に配置されると共に酸素を吸蔵可能な触媒と、前記触媒の下流側部分の酸素吸蔵量を算出する酸素吸蔵量算出部と、前記触媒に流入する流入排気ガスの空燃比を制御する空燃比制御部とを備え、前記空燃比制御部は、前記流入排気ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチにするリッチ制御を実行し、前記酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、該酸素吸蔵量が相対的に少ない場合に比べて、前記リッチ制御において前記触媒に供給される還元剤の量が多くなるように前記流入排気ガスの空燃比を制御する、内燃機関の排気浄化装置。
(2)前記空燃比制御部は、前記酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、該酸素吸蔵量が相対的に少ない場合に比べて、前記リッチ制御における前記流入排気ガスの空燃比のリッチ度合いを大きくする、上記(1)に記載の内燃機関の排気浄化装置。
(3)前記空燃比制御部は、前記酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、該酸素吸蔵量が相対的に少ない場合に比べて、前記リッチ制御の実行時間を長くする、上記(1)又は(2)に記載の内燃機関の排気浄化装置。
(4)前記空燃比制御部は、前記酸素吸蔵量が予め定められた閾値以下であるときには、該酸素吸蔵量が増加するように前記流入排気ガスの空燃比を制御する、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
(5)前記内燃機関の出力と、該内燃機関を搭載した車両に該車両の動力源として設けられたモータの出力とを制御する出力制御部を更に備え、前記出力制御部は、前記還元剤の供給量の減少によって要求出力に対して前記内燃機関の出力が不足する場合には、該要求出力に対して不足する出力を前記モータに出力させる、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
本発明によれば、触媒におけるNOxの浄化を促進しつつ、触媒からアンモニアが流出することを抑制することができる。
図1は、本発明の第一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置が適用される内燃機関を概略的に示す図である。 図2は、三元触媒の浄化特性の一例を示す図である。 図3は、第一実施形態におけるECUの機能ブロック図である。 図4は、触媒下流部の酸素吸蔵量を変化させた場合にリッチ制御中に触媒から流出するNOx及びアンモニアの量を示す図である。 図5は、第一実施形態における還元剤供給処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。 図6は、触媒下流部の酸素吸蔵量と触媒への還元剤の供給量との関係を示す図である。 図7は、第二実施形態における還元剤供給処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。 図8は、触媒下流部の酸素吸蔵量と触媒への酸素の供給量との関係を示す図である。 図9は、第三実施形態におけるECUの機能ブロック図である。 図10は、第三実施形態における還元剤供給処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
<第一実施形態>
最初に、図1~図6を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
<内燃機関全体の説明>
図1は、本発明の第一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置が適用される内燃機関を概略的に示す図である。図1に示される内燃機関は、火花点火式内燃機関であり、具体的には、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンである。内燃機関は、車両に搭載され、車両の動力源として機能する。
内燃機関は、シリンダブロック2及びシリンダヘッド4を含む機関本体1を備える。シリンダブロック2の内部には、複数(例えば4つ)の気筒が形成される。各気筒には、気筒の軸線方向に往復運動するピストン3が配置される。ピストン3とシリンダヘッド4との間には燃焼室5が形成される。
シリンダヘッド4には吸気ポート7及び排気ポート9が形成される。吸気ポート7及び排気ポート9はそれぞれ燃焼室5に接続される。
また、内燃機関は、シリンダヘッド4内に配置された吸気弁6及び排気弁8を備える。吸気弁6は吸気ポート7を開閉し、排気弁8は排気ポート9を開閉する。
また、内燃機関は点火プラグ10及び燃料噴射弁11を備える。点火プラグ10は、シリンダヘッド4の内壁面の中央部に配置され、点火信号に応じて火花を発生させる。燃料噴射弁11は、シリンダヘッド4の内壁面周辺部に配置され、噴射信号に応じて燃料を燃焼室5内に噴射する。本実施形態では、燃料噴射弁11に供給される燃料として、理論空燃比が14.6であるガソリンが用いられる。
また、内燃機関は、吸気マニホルド13、サージタンク14、吸気管15、エアクリーナ16及びスロットル弁18を備える。各気筒の吸気ポート7はそれぞれ対応する吸気マニホルド13を介してサージタンク14に連結され、サージタンク14は吸気管15を介してエアクリーナ16に連結される。吸気ポート7、吸気マニホルド13、サージタンク14、吸気管15等は、空気を燃焼室5に導く吸気通路を形成する。スロットル弁18は、サージタンク14とエアクリーナ16との間の吸気管15内に配置され、スロットル弁駆動アクチュエータ17(例えばDCモータ)によって駆動される。スロットル弁18は、スロットル弁駆動アクチュエータ17によって回動せしめられることで、その開度に応じて吸気通路の開口面積を変更することができる。
また、内燃機関は、排気マニホルド19、排気管22及び触媒20を備える。各気筒の排気ポート9は排気マニホルド19に連結される。排気マニホルド19は、各排気ポート9に連結される複数の枝部と、これら枝部が集合した集合部とを有する。排気マニホルド19の集合部は、触媒20を内蔵したケーシング21に連結される。ケーシング21は排気管22に連結される。排気ポート9、排気マニホルド19、ケーシング21、排気管22等は、燃焼室5における混合気の燃焼によって生じた排気ガスを排出する排気通路を形成する。
また、内燃機関を搭載した車両には、電子制御ユニット(ECU)31が設けられる。図1に示されるように、ECU31は、デジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36及び出力ポート37を備える。
ECU31は、車両又は内燃機関に設けられた各種センサの出力等に基づいて車両及び内燃機関の各種制御を実行する。このため、ECU31には、各種センサの出力が送信される。本実施形態では、エアフロメータ40、空燃比センサ41、温度センサ42、負荷センサ43及びクランク角センサ44の出力がECU31に送信される。
エアフロメータ40は、内燃機関の吸気通路、具体的にはスロットル弁18よりも上流側の吸気管15内に配置される。エアフロメータ40は、吸気通路を流れる空気の流量を検出する。エアフロメータ40はECU31に電気的に接続され、エアフロメータ40の出力は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
空燃比センサ41は、触媒20の上流側の排気通路、具体的には排気マニホルド19の集合部に配置される。空燃比センサ41は、内燃機関の気筒から排出されて触媒20に流入する排気ガスの空燃比を検出する。空燃比センサ41はECU31に電気的に接続され、空燃比センサ41の出力は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
温度センサ42は、触媒20を内蔵したケーシング21に配置される。温度センサ42は触媒20の温度(床温)を検出する。温度センサ42はECU31に電気的に接続され、温度センサ42の出力は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
負荷センサ43は、内燃機関を搭載した車両に設けられたアクセルペダル50に接続され、アクセルペダル50の踏み込み量を検出する。負荷センサ43はECU31に電気的に接続され、負荷センサ43の出力は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。ECU31は負荷センサ43の出力に基づいて機関負荷を算出する。
クランク角センサ44は、内燃機関のクランクシャフトが所定角度(例えば10度)回転する毎に出力パルスを発生させる。クランク角センサ44はECU31に電気的に接続され、クランク角センサ44の出力は入力ポート36に入力される。ECU31はクランク角センサ44の出力に基づいて機関回転数を計算する。
一方、ECU31の出力ポート37は、対応する駆動回路39を介して、点火プラグ10、燃料噴射弁11及びスロットル弁駆動アクチュエータ17に接続され、ECU31はこれらを制御する。具体的には、ECU31は、点火プラグ10の点火時期、燃料噴射弁11から噴射される燃料の噴射時期及び噴射量、並びにスロットル弁18の開度を制御する。
なお、上述した内燃機関は、ガソリンを燃料とする無過給内燃機関であるが、内燃機関の構成は、上記構成に限定されるものではない。したがって、気筒配列、燃料の噴射態様、吸排気系の構成、動弁機構の構成、過給器の有無のような内燃機関の具体的な構成は、図1に示した構成と異なっていてもよい。例えば、燃料噴射弁11は、吸気ポート7内に燃料を噴射するように配置されてもよい。また、排気通路から吸気通路にEGRガスを還流させるための構成が設けられていてもよい。
<内燃機関の排気浄化装置>
以下、本発明の実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置(以下、単に「排気浄化装置」という)について説明する。排気浄化装置は触媒20及びECU31を備える。
触媒20は、内燃機関の排気通路に配置され、排気通路を流れる排気ガスを浄化するように構成される。本実施形態では、触媒20は、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)を同時に浄化可能な三元触媒である。触媒20は、セラミック又は金属から成る担体(基材)と、触媒作用を有する貴金属(例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等)と、酸素吸蔵能力を有する助触媒(例えば、セリア(CeO2)等)とを有する。貴金属及び助触媒は担体に担持される。
図2は、三元触媒の浄化特性の一例を示す図である。図2に示されるように、三元触媒によるHC、CO及びNOxの浄化率は、三元触媒に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍領域(図2における浄化ウィンドウA)にあるときに非常に高くなる。したがって、触媒20は、排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍に維持されているときに、HC、CO及びNOxを効果的に浄化することができる。
また、触媒20は助触媒によって排気ガスの空燃比に応じて酸素を吸蔵し又は放出する。具体的には、触媒20は、排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときには、排気ガス中の過剰な酸素を吸蔵する。一方、触媒20は、排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチであるときには、HC及びCOを酸化させるのに不足している酸素を放出する。この結果、排気ガスの空燃比が理論空燃比から若干ずれた場合であっても、触媒20の表面上における空燃比が理論空燃比近傍に維持され、触媒20においてHC、CO及びNOxが効果的に浄化される。
図3は、第一実施形態におけるECU31の機能ブロック図である。本実施形態では、ECU31は酸素吸蔵量算出部61及び空燃比制御部62を有する。酸素吸蔵量算出部61及び空燃比制御部62は、ECU31のROM34に記憶されたプログラムをECU31のCPU35が実行することによって実現される機能モジュールである。
酸素吸蔵量算出部61は、触媒20に吸蔵された酸素の量、すなわち触媒20の酸素吸蔵量を算出する。特に、本実施形態では、詳しくは後述するように、吸蔵量算出部61は触媒20の下流側部分の酸素吸蔵量を算出する。
空燃比制御部62は、触媒20に流入する排気ガス(以下、「流入排気ガス」という)の空燃比を制御する。具体的には、空燃比制御部62は、目標空燃比を設定し、流入排気ガスの空燃比が目標空燃比に一致するように燃焼室5への燃料供給量を制御する。例えば、空燃比制御部62は、空燃比センサ41によって検出された空燃比が目標空燃比に一致するように燃焼室5への燃料供給量をフィードバック制御する。
なお、空燃比制御部62は、空燃比センサ41を用いることなく、流入排気ガスの空燃比が目標空燃比に一致するように燃焼室5への燃料供給量を制御してもよい。この場合、空燃比制御部62は、燃焼室5に供給される燃料と空気との比率が目標空燃比に一致するように、吸入空気量、機関回転数及び目標空燃比から燃焼室5への燃料供給量を算出する。
本実施形態では、空燃比制御部62は触媒20を還元雰囲気にすることによって排気ガス中のNOxを浄化する。すなわち、空燃比制御部62は、排気ガス中のNOxを浄化するために、流入排気ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチにするリッチ制御を実行する。このことによって、NOxの流出による排気エミッションの悪化を抑制することができる。
しかしながら、リッチ制御によって触媒20に還元剤が供給されると、触媒20における化学反応によってNOxからアンモニアが生成され、生成されたアンモニアが触媒20から流出するおそれがある。触媒20は上流側部分及び下流側部分から成り、アンモニアの生成は触媒20の下流側部分よりも触媒20の上流側部分において先に生じる。これに関して、本願の発明者は、鋭意検討の結果、触媒20でアンモニアが生成されたとしても、触媒20の下流側部分に酸素が吸蔵されている場合には、触媒20からのアンモニアの流出が抑制されることを見出した。なお、触媒20の下流側部分(以下、「触媒下流部」という)は内燃機関の排気通路において触媒20の上流側部分(以下、「触媒上流部」という)よりも下流側に位置し、触媒上流部と触媒下流部との間の境界は例えば触媒20の長手方向において中央の位置に設定される。
図4は、触媒下流部の酸素吸蔵量を変化させた場合にリッチ制御中に触媒20から流出するNOx及びアンモニア(NH3)の量(積算値)を示す図である。この実験では、リッチ制御によって触媒20に還元剤を供給する前に、触媒下流部の酸素吸蔵量が三段階(大、中及び小)に調整された。
図4に示されるように、触媒下流部の酸素吸蔵量が最も多いときには、触媒下流部の酸素吸蔵量が最も少ないときと比べて、リッチ制御中に触媒20から流出するアンモニアの量が48%低減された。一方、リッチ制御中に触媒20から流出するNOxの量は触媒下流部の酸素吸蔵量に関わらずほぼ一定となった。この現象は、触媒上流部で生成されたアンモニアが触媒下流部の吸蔵酸素によって酸化消滅することで生じていると考えられる。このため、アンモニアの流出を抑制しつつNOxの浄化を促進するためには、触媒下流部に吸蔵された酸素が枯渇しない程度の量の還元剤を触媒20に供給することが望ましい。
そこで、本実施形態では、酸素吸蔵量算出部61が触媒下流部の酸素吸蔵量を算出し、空燃比制御部62は、触媒下流部の酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、触媒下流部の酸素吸蔵量が相対的に少ない場合と比べて、リッチ制御において触媒20に供給される還元剤の量が多くなるように流入排気ガスの空燃比を制御する。このことによって、触媒下流部の酸素吸蔵量に応じた適切な量の還元剤を触媒20に供給することができ、ひいては触媒20におけるNOxの浄化を促進しつつ、触媒20からアンモニアが流出することを抑制することができる。
<還元剤供給処理>
以下、図5のフローチャートを参照して、上述した制御のフローについて説明する。図5は、第一実施形態における還元剤供給処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、ECU31によって所定の時間間隔で繰り返し実行される。
最初に、ステップS101において、酸素吸蔵量算出部61は触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdを算出する。例えば、酸素吸蔵量算出部61は、マップ又は計算式を用いて、所定のパラメータに基づいて触媒下流部における酸素の吸放出量(酸素吸蔵量の変化量)を算出し、この吸放出量を積算することによって触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdを算出する。所定のパラメータは、例えば、触媒20の温度、流入排気ガスの流量、及び流入排気ガスの空燃比である。
酸素吸蔵量算出部61は例えば温度センサ42の出力に基づいて触媒20の温度を推定する。なお、温度センサ42は、流入排気ガスの温度を検出するように触媒20の上流側の排気通路に配置され、又は触媒20から流出する排気ガスの温度を検出するように触媒20の下流側の排気通路に配置されてもよい。また、酸素吸蔵量算出部61は、温度センサ42を用いることなく、内燃機関の所定の状態量(例えば、機関水温、吸入空気量、機関負荷等)に基づいて触媒20の温度を推定してもよい。
また、酸素吸蔵量算出部61は例えばエアフロメータ40の出力に基づいて流入排気ガスの流量を推定する。なお、排気ガスの流量を検出する流量センサが触媒20の上流側の排気通路に設けられ、酸素吸蔵量算出部61はこの流量センサの出力に基づいて流入排気ガスの流量を推定してもよい。
また、酸素吸蔵量算出部61は例えば空燃比センサ41の出力に基づいて流入排気ガスの空燃比を推定する。なお、流入排気ガスの空燃比として、空燃比センサ41によって検出される空燃比の代わりに、空燃比制御部62によって決定される流入排気ガスの目標空燃比が用いられてもよい。また、触媒下流部に流入する排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ(触媒内空燃比センサ)が触媒上流部と触媒下流部との境界部に設けられ、流入排気ガスの空燃比として、空燃比センサ41によって検出される空燃比の代わりに、触媒内空燃比センサによって検出される空燃比が用いられてもよい。
また、内燃機関において、燃焼室5への燃料供給を停止する燃料カット制御が実行された場合には、酸素吸蔵量算出部61は燃料カット制御の実行時間等に応じて触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdを増加させる。空燃比制御部62は、例えば、アクセルペダル50の踏込み量がゼロ又はほぼゼロ(すなわち、機関負荷がゼロ又はほぼゼロ)であり且つ機関回転数がアイドリング時の回転数よりも高い所定回転数以上であるときに燃料カット制御を実行する。
また、触媒20から流出する排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ(下流側空燃比センサ)が触媒20の下流側の排気通路に設けられ、酸素吸蔵量算出部61は下流側空燃比センサの出力に基づいて触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdを補正してもよい。この場合、例えば、下流側空燃比センサの出力空燃比が理論空燃比よりも僅かにリッチなリッチ判定空燃比(例えば14.55)に達したときに酸素吸蔵量OSAdがゼロに補正され、下流側空燃比センサの出力空燃比が理論空燃比よりも僅かにリーンなリーン判定空燃比(例えば14.65)に達したときに酸素吸蔵量OSAdが最大値に補正される。なお、下流側空燃比センサの出力空燃比とは、下流側空燃比センサの出力電流に相当する空燃比、すなわち下流側空燃比センサによって検出された空燃比を意味する。
次いで、ステップS102において、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量算出部61によって算出された触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdに基づいて触媒20への還元剤の供給量を決定する。このとき、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量OSAdが相対的に多い場合には、酸素吸蔵量OSAdが相対的に少ない場合に比べて、触媒20への還元剤の供給量を多くする。例えば、空燃比制御部62は、図6に示されるようなマップを用いて酸素吸蔵量OSAdに基づいて還元剤の供給量を決定する。具体的には、図6に実線で示したように、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量OSAdが多くなるにつれて、還元剤の供給量を線形的に多くする。なお、図6に破線で示したように、空燃比制御部62は酸素吸蔵量OSAdが多くなるにつれて、還元剤の供給量を段階的に大きくしてもよい。
次いで、ステップS103において、空燃比制御部62は、ステップS102において決定された供給量の還元剤が触媒20に供給されるように、流入排気ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチにするリッチ制御を実行する。このとき、空燃比制御部62は、還元剤の供給量が多いほど、リッチ制御における流入排気ガスの空燃比のリッチ度合を大きくする。すなわち、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量OSAdが相対的に多い場合には、酸素吸蔵量OSAdが相対的に少ない場合に比べて、リッチ制御における流入排気ガスの空燃比のリッチ度合を大きくする。なお、リッチ度合とは、理論空燃比よりもリッチな空燃比と理論空燃比との差を意味する。また、空燃比制御部62は、還元剤の供給量が多いほど、リッチ制御の実行時間(継続時間)を長くしてもよい。すなわち、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量OSAdが相対的に多い場合には、酸素吸蔵量OSAdが相対的に少ない場合に比べて、リッチ制御の実行時間を長くしてもよい。ステップS103の後、本制御ルーチンは終了する。
<第二実施形態>
第二実施形態における排気浄化装置の構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態における排気浄化装置と同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
触媒下流部の酸素吸蔵量が少ない状態が維持されると、触媒20への還元剤の供給量を制限したとしても、触媒下流部の酸素が枯渇し、触媒20からアンモニアが流出するおそれがある。このため、第二実施形態では、空燃比制御部62は、触媒下流部の酸素吸蔵量が予め定められた閾値以下であるときには、触媒下流部の酸素吸蔵量が増加するように流入排気ガスの空燃比を制御する。このことによって、触媒下流部の酸素吸蔵量を回復させることができ、ひいては触媒20からアンモニアが流出することをより一層抑制することができる。
図7は、第二実施形態における還元剤供給処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、ECU31によって所定の時間間隔で繰り返し実行される。
最初に、ステップS201において、図5のステップS101と同様に、酸素吸蔵量算出部61は触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdを算出する。
次いで、ステップS202において、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量算出部61によって算出された触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdが閾値TH以下であるか否かを判定する。閾値THは、予め定められ、例えば触媒下流部の最大酸素吸蔵量の1/2未満の値に設定される。ステップS202において酸素吸蔵量OSAdが閾値TH以下であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS203に進む。
ステップS203では、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量算出部61によって算出された触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdに基づいて触媒下流部への酸素の供給量を決定する。このとき、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量OSAdが相対的に少ない場合には、酸素吸蔵量OSAdが相対的に多い場合に比べて、触媒下流部への酸素の供給量を多くする。例えば、空燃比制御部62は、図8に示されるようなマップを用いて酸素吸蔵量OSAdに基づいて酸素の供給量を決定する。具体的には、図8に実線で示したように、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量OSAdが少なくなるにつれて、酸素の供給量を線形的に多くする。なお、図8に破線で示したように、空燃比制御部62は酸素吸蔵量OSAdが少なくなるにつれて、酸素の供給量を段階的に大きくしてもよい。
次いで、ステップS204において、空燃比制御部62は、ステップS203において決定された供給量の酸素が触媒下流部に供給されるように、流入排気ガスの空燃比を制御する。例えば、空燃比制御部62は、流入排気ガスの空燃比を理論空燃比よりもリーンにするリーン制御を実行する。このとき、空燃比制御部62は、酸素の供給量が多いほど、リーン制御における流入排気ガスの空燃比のリーン度合を大きくする。すなわち、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量OSAdが相対的に少ない場合には、酸素吸蔵量OSAdが相対的に多い場合に比べて、リーン制御における流入排気ガスの空燃比のリーン度合を大きくする。なお、リーン度合とは、理論空燃比よりもリーンな空燃比と理論空燃比との差を意味する。また、空燃比制御部62は、酸素の供給量が多いほど、リーン制御の実行時間(継続時間)を長くしてもよい。すなわち、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量OSAdが相対的に少ない場合には、酸素吸蔵量OSAdが相対的に多い場合に比べて、リーン制御の実行時間を長くしてもよい。
また、空燃比制御部62は燃料カット制御を実行することによって触媒下流部に酸素を供給してもよい。この場合、例えば、空燃比制御部62は、酸素の供給量が多いほど、燃料カット制御の実行時間(継続時間)を長くし、又は酸素の供給量が多いほど、燃料カット制御中のスロットル弁18の開度を大きくする。ステップS204の後、本制御ルーチンは終了する。
一方、ステップS202において酸素吸蔵量OSAdが閾値THよりも多いと判定された場合、本制御ルーチンはステップS205に進む。ステップS205では、図5のステップS102と同様に、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量算出部61によって算出された触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdに基づいて触媒20への還元剤の供給量を決定する。
次いで、ステップS206では、図5のステップS103と同様に、空燃比制御部62は、ステップS205において決定された供給量の還元剤が触媒20に供給されるようにリッチ制御を実行する。ステップS206の後、本制御ルーチンは終了する。
<第三実施形態>
第三実施形態における排気浄化装置の構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態における排気浄化装置と同様である。このため、以下、本発明の第三実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図9は、第三実施形態におけるECU31の機能ブロック図である。第三実施形態では、ECU31は、酸素吸蔵量算出部61及び空燃比制御部62に加えて、出力制御部63を有する。酸素吸蔵量算出部61、空燃比制御部62及び出力制御部63は、ECU31のROM34に記憶されたプログラムをECU31のCPU35が実行することによって実現される機能モジュールである。
第三実施形態では、内燃機関を搭載した車両が、車両の動力源として、内燃機関に加えてモータ(電動機)を備える。すなわち、第三実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置が適用される車両はいわゆるハイブリッド車両(HEV)又はプラグインハイブリッド車両(PHEV)である。出力制御部63は、要求出力等に応じて、内燃機関の出力及びモータの出力を制御する。
上述したように、空燃比制御部62は、触媒下流部の酸素吸蔵量が少ない場合には、リッチ制御において触媒20に供給される還元剤の量を制限する。この結果、内燃機関の出力が低下し、アクセル開度(アクセルペダル50の踏込み量)等に応じた要求出力に対して内燃機関の出力が不足するおそれがある。
そこで、第三実施形態では、出力制御部63は、触媒20への還元剤の供給量の減少によって要求出力に対して内燃機関の出力が不足する場合には、要求出力に対して不足する出力をモータに出力させる。このことによって、触媒20からアンモニアが流出することを抑制しつつ、内燃機案の出力低下による車両の加速性能の低下等を抑制することができる。
図10は、第三実施形態における還元剤供給処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、ECU31によって所定の時間間隔で繰り返し実行される。
最初に、ステップS301において、図5のステップS101と同様に、酸素吸蔵量算出部61は触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdを算出する。次いで、ステップS302において、図5のステップS102と同様に、空燃比制御部62は、酸素吸蔵量算出部61によって算出された触媒下流部の酸素吸蔵量OSAdに基づいて触媒20への還元剤の供給量を決定する。
次いで、ステップS303において、空燃比制御部62は、ステップS102において決定された供給量の還元剤が触媒20に供給される場合に、要求出力に対して内燃機関の出力が不足するか否かを判定する。要求出力に対して内燃機関の出力が不足すると判定された場合、本制御ルーチンはステップS304に進む。
ステップS304では、出力制御部63は、内燃機関の出力低下が相殺されるように、バッテリからモータへの電力供給量の増加等によりモータの出力を増加させる。すなわち、出力制御部63は、要求出力に対して不足する出力をモータに出力させる。次いで、ステップS305において、図5のステップS103と同様に、空燃比制御部62は、ステップS102において決定された供給量の還元剤が触媒20に供給されるように、リッチ制御を実行する。ステップS305の後、本制御ルーチンは終了する。
一方、ステップS303において要求出力に対して内燃機関の出力が不足しないと判定された場合、本制御ルーチンはステップS304をスキップしてステップS305に進む。ステップS305では、図5のステップS103と同様に、空燃比制御部62は、ステップS102において決定された供給量の還元剤が触媒20に供給されるように、リッチ制御を実行する。ステップS305の後、本制御ルーチンは終了する。
<その他の実施形態>
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、上述した実施形態では触媒上流部及び触媒下流部が触媒20として一体的に形成されているが、触媒上流部及び触媒下流部は別個の触媒として排気通路において離間して設けられてもよい。
また、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施可能である。例えば、第二実施形態と第三実施形態とが組み合わされる場合、図7の還元剤供給処理の制御ルーチンにおいて、ステップS205とステップS206との間において、図10のステップS303及びS304が実行される。
20 触媒
31 電子制御ユニット(ECU)
61 酸素吸蔵量算出部
62 空燃比制御部

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気通路に配置されると共に酸素を吸蔵可能な触媒と、
    前記触媒の下流側部分の酸素吸蔵量を算出する酸素吸蔵量算出部と、
    前記触媒に流入する流入排気ガスの空燃比を制御する空燃比制御部と
    を備え、
    前記空燃比制御部は、前記流入排気ガスの空燃比を理論空燃比よりもリッチにするリッチ制御を実行し、前記酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、該酸素吸蔵量が相対的に少ない場合に比べて、前記リッチ制御において前記触媒に供給される還元剤の量が多くなるように前記流入排気ガスの空燃比を制御する、内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記空燃比制御部は、前記酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、該酸素吸蔵量が相対的に少ない場合に比べて、前記リッチ制御における前記流入排気ガスの空燃比のリッチ度合いを大きくする、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記空燃比制御部は、前記酸素吸蔵量が相対的に多い場合には、該酸素吸蔵量が相対的に少ない場合に比べて、前記リッチ制御の実行時間を長くする、請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記空燃比制御部は、前記酸素吸蔵量が予め定められた閾値以下であるときには、該酸素吸蔵量が増加するように前記流入排気ガスの空燃比を制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記内燃機関の出力と、該内燃機関を搭載した車両に該車両の動力源として設けられたモータの出力とを制御する出力制御部を更に備え、
    前記出力制御部は、前記還元剤の供給量の減少によって要求出力に対して前記内燃機関の出力が不足する場合には、該要求出力に対して不足する出力を前記モータに出力させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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