JP2023116035A - 圧電トランスデューサ - Google Patents
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Abstract
【課題】送受信感度の向上が図られた圧電トランスデューサを提供する。【解決手段】 超音波トランスデューサ1においては、圧電振動ユニット18の振動は、音響整合層30においてある程度減衰されるため、ケース12まで到達しにくくなっている。それにより、超音波トランスデューサ1では送受信感度の向上を図ることができる。【選択図】図2
Description
本発明は、圧電トランスデューサに関する。
従来、圧電振動体を備え、気体や液体を計測するための圧電トランスデューサが知られている。たとえば下記特許文献1には、圧電振動体の超音波が出力される側のケース端部に音響整合層が設けられた圧電トランスデューサが開示されている。
上述した圧電トランスデューサでは、たとえば特許文献2の圧電トランスデューサのようにケースを金属等の比較的密度が高い材料で構成することができる。この場合、圧電振動体の振動がケースに伝達され、それにより圧電トランスデューサにおいて高い送受信感度を実現することが困難になる。
本発明は、送受信感度の向上が図られた圧電トランスデューサを提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る圧電トランスデューサは、圧電振動ユニットと、圧電振動ユニットが収容される筒状のケースと、ケースの延在方向において対面する第1端面および第2端面を有し、第1端面においてケースのケース端部の開口を塞ぐ音響整合層とを備え、ケースの密度が音響整合層の密度より高く、圧電振動ユニットの振動が音響整合層を介してケースに伝達される。
上記圧電トランスデューサにおいては、圧電振動ユニットの振動は、音響整合層においてある程度減衰されるため、ケースまで到達しにくくなっている。それにより、上記圧電トランスデューサでは送受信感度の向上を図ることができる。
他の形態に係る圧電トランスデューサは、ケース内が樹脂体で充たされている。
他の形態に係る圧電トランスデューサは、ケースと音響整合層とが接着固定されている。
本発明によれば、送受信感度の向上が図られた圧電トランスデューサを提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1、2を参照して、実施形態に係る超音波トランスデューサ1(圧電トランスデューサ)の構成を説明する。
超音波トランスデューサ1は、外部から入力された電気信号に応じて発振し、超音波信号を出力することができる。また、超音波トランスデューサ1は、外部から超音波信号を受信すると、その信号を電気信号として外部に送信することができる。超音波トランスデューサ1は、気体や液体を計測するために用いることができ、たとえばガススマートメータに採用され得る。
超音波トランスデューサ1は、超音波を送受信できる構成を有し、具体的には、収容空間Sを画成するハウジング10と、ハウジング10の収容空間S内に収容された圧電振動ユニット18と、圧電振動ユニット18の超音波が出力される側のハウジング10の端部に設けられた音響整合層30とを備えた構成を有する。
ハウジング10は、一方向に延びる円筒状を有するケース12を備えている。ケース12は、比較的密度の高い材料で構成されている。ケース12は、アルミニウムやステンレス鋼等の金属で構成することができ、PBT樹脂やPC樹脂、PPS樹脂等の樹脂材料で構成することもできる。ケース12は、圧電振動子20の超音波が出力される側の端部12aと、それとは反対側の端部12bとを有する。ハウジング10は、ケース12の端部12bの外周を覆うように設けられた円筒状のスリーブ14をさらに備えている。本実施形態では、ハウジング10の収容空間Sはケース12とスリーブ14とにより画成されている。
音響整合層30は、ケース12の端部12aの開口に、開口を完全に塞ぐように設けられている。音響整合層30は、略円柱状の外形を有し、互いに対面する第1端面30aおよび第2端面30bを有する。音響整合層30の第1端面30aは、ハウジング10の収容空間S側を向いており、ハウジング10の収容空間Sの底面を画成している。本実施形態では、音響整合層30は、ケース12の端部12a側(すなわち、圧電振動子20の超音波が出力される側)において、一部がケース12内に埋め込まれており、かつ、残部が端部12aの開口から突出している。音響整合層30の厚さは、1.5~5mm(一例として2.5mm)である。
音響整合層30は、本体部31と先端部32とを有する。本体部31は、第1端面30a側に位置しており、ケース12の端部12aによって画成された領域を埋める部分である。本実施形態では、本体部31は円柱形状を有し、図2に示すように本体部31の断面形状は略矩形状を呈する。先端部32は、本体部31から連続して設けられており本体部31の先端側(すなわち、圧電振動子20の超音波が出力される側、第2端面30b側)に位置している。本実施形態では、先端部32にはC面取り部30cが設けられており、C面取り部30cは第2端面30bの外縁に設けられている。先端部32は円錐台形状を有し、図2に示すように先端部32の断面形状は先端側に向かって漸次幅が狭まる台形状を呈する。C面取り部30cにより、ケース12の延在方向から見たときに、第1端面30aの面積が第2端面30bの面積より広くなっている。音響整合層30は、たとえばエポキシ樹脂とガラスビーズとを含む複合材料で構成されている。本実施形態では、音響整合層30は、ケース12の端部12aに接着固定されている。図3に示すように、音響整合層30とケース12との接着にはエポキシ系樹脂等の接着材60を用いることができる。
圧電振動ユニット18は、圧電振動子20を含んで構成されている。圧電振動子20は、ケース12内に位置する音響整合層30の第1端面30a上に配置されている。圧電振動子20は、たとえば板状の外形を有する。本実施形態では、圧電振動子20は円板状の外形を有し、その厚さ方向(すなわち、ケース12の延在方向)から見たときに円形を呈する。また、本実施形態では、圧電振動子20の厚さより、音響整合層30の厚さのほうが厚くなるように設計されており、0.4~1.4mm(一例として0.4mm)である。さらに、本実施形態では、圧電振動子20は圧電材料層21を第1電極層22Aと第2電極層22Bとで挟んだ構成を有する。圧電振動子20は、一層の圧電材料層を含む単層構造であってもよく、複数の圧電材料層と内部電極層とが交互に積層された多層構造であってもよい。圧電材料層は、たとえばPZT等の圧電セラミックス材料で構成することができる。
本実施形態における圧電振動ユニット18はさらに振動板40を含んでいる。振動板40は、圧電振動子20と音響整合層30の第1端面30aとの間に介在しており、圧電振動子20は振動板40上に搭載されている。本実施形態では、振動板40の縁はケース12から所定距離だけ離間している。振動板40の上面40aは圧電振動子20に接しており、振動板40の下面40bは音響整合層30に接している。圧電振動子20は、音響整合層30上に直接設けられておらず、音響整合層30とは接していない。振動板40は、音響整合層30の第1端面30aに直接接合されていてもよく、エポキシ系樹脂等の接着材を介して音響整合層30の第1端面30aに接着されていてもよい。
本実施形態では、振動板40は円板状を有し、その厚さ方向(すなわち、ケース12の延在方向)から見たときに円形を呈する。振動板40は、圧電振動子20の径より大きい径を有し、かつ、圧電振動子20と同心配置されている。振動板40の厚さは、圧電振動子20の厚さより薄くなるように設計されており、0.05~0.3mm(一例として0.3mm)である。
振動板40は、導体で構成されており、真鍮、ステンレス鋼、インバー等の金属材料で構成することができる。本実施形態では、振動板40の音響インピーダンスは、音響整合層30の音響インピーダンスより大きく、かつ、圧電振動子20の音響インピーダンスより小さくなるように設計されている。振動板40は、圧電振動子20の第2電極層22Bと重なっており、第2電極層22Bと電気的に接続されている。振動板40は、圧電振動子20の第2電極層22Bに直接接合されていてもよく、導電性を有する接着材を介して圧電振動子20の第2電極層22Bに接着されていてもよい。
ハウジング10内には、圧電振動ユニット18に対して電圧を印加する一対の配線24A、24Bが引き込まれている。第1配線24Aは圧電振動子20の第1電極層22Aにたとえばはんだ付けで接続されており、第2配線24Bは圧電振動子20から露出している振動板40の外縁領域にたとえばはんだ付けで接続されている。上述したとおり、振動板40と圧電振動子20の第2電極層22Bとは電気的に接続されているため、第2配線24Bは振動板40を介して圧電振動子20の第2電極層22Bと間接的に電気的に接続されている。圧電振動子20は、一対の配線24A、24Bから入力された信号に応じて振動する。圧電振動子20が振動した際、その厚さ方向に超音波周期の機械的振動が生じるともに、厚さ方向および厚さ方向に直交する方向に超音波振動が生じる。振動モードに関しては、圧電振動子20単体では径方向共振のモードとなるが、本実施形態では圧電振動子20と振動板40とが一体的に振動してベンディング振動のモードとなる。
スリーブ14は、ケース12の端部12bに設けられており、図2に示すように、端部12bの外周を覆うとともに端部12bから上方に延びている。スリーブ14は、ゴム(一例としてニトリルゴム)やシリコーン、ウレタン樹脂等で構成することができる。スリーブ14は、ケース12の端部12bの外周を覆っている。ケース12とスリーブ14とにより画成された収容空間Sは、防振材50(樹脂体)で充たされている。防振材としては、たとえばウレタン樹脂を採用することができる。
超音波トランスデューサ1においては、圧電振動ユニット18の振動は、音響整合層30においてある程度減衰されるため、ケース12まで到達しにくくなっている。それにより、超音波トランスデューサ1では送受信感度の向上を図ることができる。
また、超音波トランスデューサ1は、振動板40が導体で構成されており、第1配線24Aは圧電振動子20の第1電極層22Aに取り付けられて圧電振動子20と直接的に電気的接続されるとともに、第2配線24Bは振動板40に取り付けられて圧電振動子20の第2電極層22Bと間接的に電気的接続されている。圧電振動子20の第2電極層22Bに第2配線24Bを直接取り付ける場合には、圧電振動子20に取り付け用スペースを設ける必要がある上、第2配線24Bの引き回しが複雑になるため、超音波トランスデューサ1の構造の複雑化が招かれ得る。超音波トランスデューサ1では、第2配線24Bを振動板40に取り付けたシンプルな構成であるため、超音波トランスデューサ1の構造の複雑化が効果的に回避されている。
さらに、超音波トランスデューサ1では、ケース12と音響整合層30とが接着固定されており、接着材60においても振動の減衰が生じ得る。そのため、圧電振動ユニット18の振動がケース12までより到達しにくくなっており、送受信感度のさらなる向上が図られている。
超音波トランスデューサ1では、ケース12の端部12bを覆うスリーブ14を備えており、スリーブ14により残響が減少される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。たとえば、圧電振動子、振動板および音響整合層の形状は適宜変更することができ、円形に限らず、矩形状や楕円形状とすることができる。また、圧電振動子、振動板および音響整合層の形状は、相似の関係であってもよく、相似の関係でなくてもよい。圧電振動ユニットは、必ずしも圧電振動子と振動板とで構成されている必要はなく、圧電振動子のみで構成されていてもよい。
1…超音波トランスデューサ、10…ハウジング、12…ケース、18…圧電振動ユニット、20…圧電振動子、30…音響整合層、40…振動板。
Claims (3)
- 圧電振動ユニットと、
前記圧電振動ユニットが収容される筒状のケースと、
前記ケースの延在方向において対面する第1端面および第2端面を有し、前記第1端面において前記ケースのケース端部の開口を塞ぐ音響整合層と
を備え、
前記ケースの密度が前記音響整合層の密度より高く、
前記圧電振動ユニットの振動が前記音響整合層を介して前記ケースに伝達される、圧電トランスデューサ。 - 前記ケース内が樹脂体で充たされている、請求項1に記載の圧電トランスデューサ。
- 前記ケースと前記音響整合層とが接着固定されている、請求項1または2に記載の圧電トランスデューサ。
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