JP2023115902A - 近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物、樹脂被覆近赤外線吸収ガラス、近赤外線カットフィルターおよび撮像装置 - Google Patents

近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物、樹脂被覆近赤外線吸収ガラス、近赤外線カットフィルターおよび撮像装置 Download PDF

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欣彦 井上
Yoshihiko Inoue
敬造 宇田川
Keizo Udagawa
優斗 白崎
Yuto Shirosaki
将秀 妹尾
Masahide Senoo
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Abstract

【課題】赤外線吸収ガラスに対して優れた密着性を有し、硬化膜を形成することで赤外線吸収ガラスの信頼性および強度向上を可能とする、透明樹脂組成物を提供すること。【解決手段】少なくとも(A)シロキサン樹脂および(B)反応性モノマを含有し、かつ前記(A)シロキサン樹脂が(a)芳香環を有する基を、(A)シロキサン樹脂中のSi原子100モル%に対して20~70モル%含有することを特徴とする近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、特定のシロキサン樹脂を含有する近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物、および近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物からなる樹脂硬化膜を有する樹脂被覆近赤外線吸収ガラス、近赤外線カットフィルターおよびそれを具備した固体撮像装置に関する。
近年、様々な用途において、可視波長領域の光は十分に透過するが、近赤外線波長領域の光は遮蔽する、赤外線カットフィルターが使用されている。
例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオ等の撮像装置には固体撮像素子(CCD、CMOS等)が使用されている。この固体撮像素子は、近紫外域から波長が1200nm近傍の近赤外域において分光感度を有しているため、そのまま撮像した場合には、良好な色再現性のある画像を得ることができない。このため、固体撮像素子を使用する場合には、感度を人間の視感度に近づけるために、可視光を透過し、紫外線および近赤外線光を遮蔽する赤外線カットフィルター(IR-CF)と呼ばれるものが使用されている。(例えば、特許文献1)
このような、近赤外線カットフィルターとしては、例えば、リン酸塩ガラスやフツリン酸塩ガラスにCuO等が添加されたものが知られている(例えば、特許文献2)。この光吸収型のガラスフィルタについては、近赤外線領域の波長の光を遮蔽性向上や、暗部をより明るく撮影するために求められる波長帯(630~700nm)の透過性を向上させるために様々な検討がなされている。例えば、ガラス基板上に屈折率の異なる無機層を交互に積層し、光の干渉によって近赤外線波長領域の光を反射して遮蔽する反射型の干渉フィルター、透明樹脂中に近赤外線波長領域の光を吸収する色素を含有させたフィルム等が開発されている(例えば、特許文献3)。また、これらを組み合わせた近赤外線を吸収する色素を含有する樹脂層と近赤外線を反射する層とを積層した光学フィルターも開発されている(例えば、特許文献4)。
一方、リン酸塩系ガラスは耐候性が不十分という課題があり、とりわけ、フッ化物を含有しないリン酸塩系ガラスは水や湿気に弱く、光学特性が低下する課題があった。そこで、ガラスに透明な樹脂保護膜を形成する技術(例えば、特許文献7)、水分共存下においても高い密着性を有する接合層を介して樹脂膜を形成する技術(例えば、特許文献5)が検討されている。また、耐候性が比較的優れるフツリン酸塩系ガラスは強度が低く、薄型化および大面積化すると強度が不足するという課題もあり、ガラスを薄くした後に、酸やアルカリにより表面をエッチング処理する方法が検討されている(例えば、特許文献6)。
特開2014-148567号公報 特許第4169545号公報 特開2008-181028号公報 特開2008-051985号公報 特開2019-211773号公報 特開2019-199391号公報 特開2014-208577号公報
近年、固体撮像素子が搭載される電子デバイスの薄型化の要求に伴い各種構成部品も小型化、低背化しており、固体撮像素子デバイスを構成する赤外線吸収ガラスフィルタにおいてもより一層の薄型化が求められている。また、撮像画像の高画質化のため、デバイの大面積化も進んでいる。しかしながら、ガラス板の厚みを薄くする、およびガラス面積を大きくすることで、ガラス板がより割れやすくなる課題があった。また、固体撮像素子は車載用途にも展開が進んでおり、更なる耐候性等の信頼性の向上が必要であった。
そこで、本発明は、近赤外線吸収ガラスの強度および湿熱耐性を向上させることが可能な近赤外線吸収ガラス被覆用透明透明樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、リン酸塩系ガラスまたはフツリン酸塩系ガラスからなる近赤外線吸収ガラス基板に対して、特定のシロキサン樹脂および反応性モノマを含有する近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物を塗布、硬化させて被覆することにより、本発明の課題を解決できることを見いだした。
すなわち、本発明の目的は以下の構成により達成される。
少なくとも(A)シロキサン樹脂をおよび(B)反応性モノマ含有し、かつ(A)シロキサン樹脂が、芳香環を有する基を、(A)シロキサン樹脂中の全Si原子100モル%に対して20~70モル%含有することを特徴とする近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物によれば、ガラス強度および湿熱耐性の高い近赤外線吸収ガラス基板を提供することができる。
スマートフォン等に搭載されるコンパクトデジタルカメラに係るカメラモジュールの概略説明図である。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、(A)シロキサン樹脂および(B)反応性モノマを含有し、前記(A)シロキサン樹脂が芳香環を有する基を、(A)シロキサン樹脂中の全Si原子100モル%に対して20~70モル%含有していることであることが重要である。本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物からなる樹脂被膜を、近赤外線吸収ガラス基板の少なくとも片面に、膜厚が1.0μm以上10μm以下となるように形成することで、ガラス強度および信頼性の高い近赤外線吸収ガラス基板を得ることができる。
シロキサン樹脂は、透明性が高く、加熱による着色も少ないことから、架橋により高い透過率を有する硬化膜を形成することができる。また、シラノール基を有することから、近赤外線吸収ガラス基板との相互作用により、ガラス基板に対して高い密着性を有するのに加え、近赤外線吸収ガラス基板の表面および端部に存在するマイクロクラックに樹脂組成物が埋め込まれやすく、ガラス強度を向上させることができる。
(A)シロキサン樹脂における芳香環を有する基の含有率が、(A)シロキサン樹脂中の全Si原子100モル%に対して20~70モル%となる(A)シロキサン樹脂を用いることにより、硬化膜が高い疎水性を発現すると共に、立体障害により膜応力が緩和されることで1.0μm以上と厚く膜を形成してもクラックが発生しない、信頼性に優れた硬化膜を形成することができる。また、反応性モノマを含有させることで、架橋密度の高い硬化膜を得ることができ、近赤外線吸収ガラスが劣化する要因となる水および湿気が硬化膜を透過することを抑制することができる。
本発明における近赤外線吸収ガラス基板とは、リン酸塩系ガラスまたはフツリン酸塩系ガラスからなるガラス基板をさす。本発明におけるリン酸塩系ガラスとは、必須成分としてのP、Oと、他の任意成分とを含むガラスであり、CuOを含むものが特に好ましい。リン酸塩系ガラスがCuOを含むことにより、近赤外光をより効果的に吸収することができる。リン酸塩系ガラスの他の任意成分としては例えば、Al、Ca、Mg、Sr、Ba、Li、Na、K、Csなどが挙げられる。本発明におけるフツリン酸塩系ガラスとは、必須成分としてのP、O、Fと、他の任意成分とを含むガラスであり、CuOを含むものが特に好ましい。フツリン酸塩系ガラスがCuOを含むことにより、近赤外光をより効果的に吸収することができる。フツリン酸塩系ガラスの他の任意成分としては例えば、Al、Ca、Mg、Sr、Ba、Li、Na、K、Csなどが挙げられる。なお、リン酸塩系ガラスおよびフツリン酸塩系ガラスには、ガラスの骨格の一部がSiOで構成されるケイリン酸塩ガラスも含むものとする。
上記リン酸塩系ガラスとしては、Pを1質量%以上70質量%以下、Alを1質量%以上40質量%以下、RO(ただしRは、Ca、Mg、Sr、Ba、Li、Na、K、CsおよびZnからなる群より選択される少なくとも1種)を1質量%以上40質量%以下、CuOを1質量%以上40質量%以下含有することが好ましい。更には、Pを20質量%以上60質量%以下、Alを1質量%以上10質量%以下、ROを1質量%以上10質量%以下、CuOを1質量%以上10質量%以下含有することがより好ましい。
上記フツリン酸塩系ガラスとしては、Pを1質量%以上70質量%以下、AlO3を1質量%以上40質量%以下、ROを1質量%以上40質量%以下、CuOを1質量%以上40質量%以下、フッ化物を1質量%以上40質量%以下含有することが好ましい。更には、Pを20質量%以上60質量%以下、Alを1質量%以上10質量%以下、RO(ただしRは、Ca、Mg、Sr、Ba、Li、Na、K、CsおよびZnからなる群より選択される少なくとも1種)を1質量%以上10質量%以下、CuOを1質量%以上10質量%以下、フッ化物を1質量%以上30質量%以下含有することがより好ましい。なお、上記フッ化物としては、MgF、CaF、SrF等から選ばれる一種以上が挙げられる。
は、ガラス骨格を形成する成分であり、Pの含有量が少なすぎると、ガラス化が不安定になる場合がある。一方、Pの含有量が多すぎると、耐候性が低下しやすくなることがある。
Alは、耐候性をより一層向上させる成分であり、Alの含有量が少なすぎると、耐候性が十分でないことがある。一方、Alの含有量が多すぎると、溶融性が低下して溶融温度が上昇する場合がある。なお、溶融温度が上昇すると、Cuイオンが還元されてCu2+からCuにシフトしやすくなるため、所望の光学特性が得られにくくなる場合がある。具体的には、近紫外~可視域における光透過率が低下したり、赤外線吸収特性が低下し易くなったりすることがある。
RO(ただしRは、Ca、Mg、Sr、Ba、Li、Na、K、CsおよびZnからなる群より選択される少なくとも1種)は、耐候性を改善するとともに、溶融性を向上させる成分である。RO(ただしRは、Ca、Mg、Sr、Ba、Li、Na、K、CsおよびZnからなる群より選択される少なくとも1種)の含有量が少なすぎると、耐候性及び溶融性が十分でない場合がある。一方、ROの含有量が多すぎると、ガラスの安定性が低下し易く、RO(ただしRは、Ca、Mg、Sr、Ba、Li、Na、K、CsおよびZnからなる群より選択される少なくとも1種)成分起因の結晶が析出しやすくなることがある。
CuOは、近赤外線を吸収するための成分である。CuOの含有量は、質量%で、好ましくは0.3~20%であり、より好ましくは0.3~15%であり、更に好ましくは0.4~13である。CuOの含有量が少なすぎると、所望の近赤外線吸収特性が得られない場合がある。一方、CuOの含有量が多すぎると、紫外~可視域の光透過率が低下しやすくなることがある。また、ガラス化が不安定になる場合がある。なお、所望の光学特性を得るためCuOの含有量は、板厚によって適宜調整することが好ましい。
また、上記成分以外にも更に金属酸化物を含有しても良く、具体的には、B、Nb、Y、La、Ta、Fe、MoO、WO、CeO、Sb、V等が挙げられる。
本発明における近赤外線吸収ガラスとしては、例えば、以下の組成のものが挙げられる。
(1)質量%表示で、P 46~70%、AlF 0.2~20%、LiF+NaF+KF0~25%、MgF+CaF+SrF+BaF+PbF 1~50%、ただし、F 0.5~32%、O 26~54%を含む基礎ガラス100質量部に対し、外割でCuO:0.5~7質量部を含むガラス。
(2)質量%表示で、P 25~60%、AlOF 1~13%、MgO 1~10%、CaO 1~16%、BaO 1~26%、SrO 0~16%、ZnO 0~16%、LiO 0~13%、NaO 0~10%、KO 0~11%、CuO 1~7%、ΣRO(R=Mg、Ca、SrまたはBa) 15~40%、ΣR’O(R’=Li、NaまたはK) 3~18%(ただし、39%モル量までのO-イオンがF-イオンで置換されている)からなるガラス。
(3)質量%表示で、P 5~45%、AlF 1~35%、RF(RはLi、NaまたはKである) 0~40%、R’F(R’はMg、Ca、Sr、Ba、PbまたはZnである) 10~75%、R”Fm(R”はLa、Y、Cd、Si、B、ZrまたはTaであり、mはR”の原子価に相当する数) 0~15%(ただし、フッ化物総合計量の70%までを酸化物に置換可能)、およびCuO 0.2~15%を含むガラス。
(4)カチオン%表示で、P5+ 11~43%、Al3+ 1~29%、Rカチオン(Mg、Ca、Sr、Ba、PbおよびZnイオンの合計量) 14~50%、R’カチオン(Li、NaおよびKイオンの合計量) 0~43%、R”カチオン(La、Y、Gd、Si、B、ZrおよびTaイオンの合計量) 0~8%、およびCu2+ 0.5~13%を含み、更にアニオン%でF- 17~80%を含有するガラス。
(5)カチオン%表示で、P5+ 23~41%、Al3+ 4~16%、Li 11~40%、Na 3~13%、R2+(Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+の合計量) 12~53%、およびCu2+ 2.6~4.7%を含み、更にアニオン%でF 25~48%、およびO2- 52~75%を含むガラス。
(6)質量%表示で、P 70~85%、Al 8~17%、B 1~10%、LiO 0~3%、NaO 0~5%、KO 0~5%、ただし、LiO+NaO+KO 0.1~5%、SiO 0~3%からなる基礎ガラス100質量部に対し、外割でCuOを0.1~5質量部含むガラス。
市販品を例示すると、例えば、(1)のガラスとしては、NF50-E、NF50-EX(旭硝子社製、商品名)等、(2)のガラスとしては、BG-60、BG-61(以上、ショット社製、商品名)等、(5)のガラスとしては、CD5000(HOYA社製、商品名)等が挙げられる。
また、上記した近赤外線吸収ガラスは、金属酸化物を更に含有してもよい。金属酸化物として、例えば、Fe、MoO、WO、CeO、Sb、V等の1種または2種以上を含有すると、近赤外線吸収ガラスは紫外線吸収特性を有する。該金属酸化物の含有量は、上記近赤外線吸収ガラス100質量部に対して、Fe2O3、MoO3、WOおよびCeOからなる群から選択される少なくとも1種を、Fe 0.6~5質量部、MoO 0.5~5質量部、WO 1~6質量部、CeO 2.5~6質量部、またはFeとSbの2種をFe 0.6~5質量部+Sb 0.1~5質量部、もしくはVとCeOの2種をV 0.01~0.5質量部+CeO 1~6質量部とすることが好ましい。
近赤外線吸収ガラス基板の厚みは、0.05mm~0.5mmであり、0.10mm~0.3mmがより好ましい。近赤外線吸収ガラス基板の厚みが0.05mm未満では、ガラス強度が非常に弱く、取り扱いの際に容易に基板割れが生じる。一方、近赤外線吸収ガラス基板の厚みを0.5mm以下とすることにより、小片化のための切断を容易に行うことができる。また、近赤外線吸収ガラス基板を軽量化することができる。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は少なくとも(A)シロキサン樹脂を含有することが重要であり、以下に本発明の(A)シロキサン樹脂について詳述する。
(A)シロキサン樹脂とは、シロキサン骨格を有する繰り返し単位を有するポリマーを言い、下記一般式(1)で表される構造を有するオルガノシラン化合物の加水分解縮合物が好ましい。
SiX 4-n (1)
一般式(1)中、Rは水素原子、炭素原子数1~20の1価の有機基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Xは加水分解性基を表し、複数のXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。nは0から3の整数を表す。
加水分解性基Xとしては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン基、アセトキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基等が挙げられる。これらの中でも、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の液状安定性や塗布性の観点から、アルコキシ基が好ましい。
本発明の(A)シロキサン樹脂は芳香環を有する基を、(A)シロキサン樹脂中の全Si原子100モル%に対して20~70モル%含有することを特徴としており、40~70モル%含有することが好ましく、40~60モル%含有することがより好ましい。(A)シロキサン樹脂中の全Si原子100モル%に対する芳香環を有する基の含有率が20モル%以下の場合、硬化膜の疎水性が低下することで、樹脂被覆近赤外線吸収ガラス基板を高温高湿環境下に暴露した際に、硬化膜を介して水分が浸透しリン酸塩系ガラスまたはフツリン酸塩系ガラスが劣化する課題が生じる。さらには、シロキサンモノマー間の立体障害が少ないことで、硬化膜の架橋密度が上昇する一方、硬化膜の膜応力が上昇し、基材との密着性が低下する不具合が生じる。一方、芳香環を有する基のSi原子に対する含有率が70モル%以上の場合、硬化膜の疎水性は高くなる一方、硬化膜の架橋密度が低下することで湿熱耐性が低下する。
(A)シロキサン樹脂中の全Si原子100モル%に対して芳香環を有する基を20~70モル%含有する(A)シロキサン樹脂は、加水分解縮合するオルガノシラン化合物として、芳香環を有する基を含有するオルガノシラン化合物を(A)シロキサン樹脂の合成する際の全オルガノシラン化合物100モル%に対して、20~70モル%用いることにより得ることができる。なお、芳香環を有する基としては、フェニル基、ビフェニル基および縮合多環式芳香族基からなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。
芳香環を有する基としては、例えば、フェニル基、p-メチルフェニル基、p-ヒドロキシフェニル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチル基、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基などが挙げられる。
芳香環を有する基を含有するオルガノシラン化合物としては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルシランジオール、p-メチルフェニルトリメトキシシラン、p-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1-フェニルエチルトリメトキシシラン、2-フェニルエチルトリメトキシシラン、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビフェニルトリメトキシシラン、ビフェニルトリエトキシシラン、ビフェニルメチルジメトキシシラン、ビフェニルメチルジエトキシシラン、4-メチルビフェニルトリメトキシシラン、4-メチルビフェニルトリエトキシシラン、4-メトキシビフェニルトリメトキシシラン、4-メトキシビフェニルトリエトキシシラン、1-ナフチルトリメトキシシラン、1-ナフチルトリエトキシシラン、1-ナフチルトリ-n-プロポキシシラン、2-ナフチルトリメトキシシラン、1-アントラセニルトリメトキシシラン、9-アントラセニルトリメトキシシラン、9-フェナントレニルトリメトキシシラン、9-フルオレニルトリメトキシシラン、2-フルオレニルトリメトキシシラン、2-フルオレノンイルトリメトシキシラン、1-ピレニルトリメトキシシラン、2-インデニルトリメトキシシラン、5-アセナフテニルトリメトキシシラン、ジ(1-ナフチル)ジメトキシシラン、ジ(1-ナフチル)ジエトキシシラン、ジ(1-ナフチル)ジ-n-プロポキシシラン、ジ(1-ナフチル)ジ-n-ブトキシシラン、ジ(2-ナフチル)ジメトキシシラン、1-ナフチルメチルジメトキシシラン、1-ナフチルエチルジメトキシシラン、ジ(1-アントラセニル)ジメトキシシラン、ジ(9-アントラセニル)ジメトキシシラン等が挙げられる。これらのオルガノシラン化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)シロキサン樹脂は、更にラジカル重合性基を有することが好ましい。ラジカル重合性基を有することにより、塗膜の架橋性を高め、膜の透湿性を抑制させることができる。ラジカル重合性基の含有率に特に制限は無いが、(A)シロキサン樹脂中の全Si原子100モルに対して20~60モル%含有することが好ましく、30~60モル%含有することがより好ましい。ラジカル重合性基を有する基の(A)シロキサン樹脂中の全Si原子100モルに対する含有率が20モル%以下の場合、硬化膜の架橋性が低下することで、樹脂被覆近赤外線吸収ガラス基板を高温高湿環境下に暴露した際に、硬化膜を介して水分が浸透しリン酸塩系ガラスまたはフツリン酸塩系ガラスが劣化する課題が生じやすくなる。
一方、ラジカル重合性基を有する基の(A)シロキサン樹脂中の全Si原子100モル%に対する含有率が60モル%以上の場合、硬化膜の架橋密度が上昇する一方、硬化膜の膜応力が上昇し、基材との密着性が低下しやすくなる。さらには、相対的に芳香環を有する基の含有率が低下することとなり、硬化膜の疎水性が低下することで、樹脂被覆近赤外線吸収ガラス基板を高温高湿環境下に暴露した際に、硬化膜を介して水分が浸透しリン酸塩系ガラスまたはフツリン酸塩系ガラスが劣化しやすくなる。
(A)シロキサン樹脂へのラジカル重合性基の導入は、加水分解縮合するオルガノシラン化合物として、芳香環を有する基を含有するオルガノシラン化合物に、ラジカル重合性基を有するオルガノシラン化合物を混合して用いることにより達成できる。
ラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、α-メチルビニル基、アリル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。透明被膜の硬度、湿熱性耐性および耐薬品性をより向上させる観点から、(メタ)アクリロイル基、スチリル基が好ましい。
ラジカル重合性基を有するオルガノシラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシラン、p-スチリルメチルジメトキシシラン、p-スチリルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。これらのオルガノシラン化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらを2種以上用いてもよい。
これらのうち、硬化膜の硬度、湿熱耐性をより向上させる観点から、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
(A)シロキサン樹脂は、芳香環を有する基を含有するオルガノシラン化合物とラジカル重合性基を有するオルガノシラン化合物のみを加水分解縮合して合成してもよいが、芳香環を有する基やラジカル重合性基を含有しない、その他のオルガノシラン化合物を混合、反応させることによって合成してもよい。
その他のオルガノシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、n-デシルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物などが挙げられる。これらのオルガノシラン化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)シロキサン樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィ)で測定されるポリスチレン換算で、Mwは1,000~50,000以下が好ましく、2,000~10,000以下がより好ましい。なお、展開溶媒としてはテトラヒドロフランを用いたものとする。近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物とした際の流動性を抑え膜厚が均一性な塗膜を得るという観点からはMwは1,000以上が好ましく、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物とした際の相溶性の観点からは50,000以下が好ましい。
(A)シロキサン樹脂は、オルガノシラン化合物を加水分解および部分縮合させることにより得ることができる。加水分解および部分縮合には、一般的な方法を用いることができる。例えば、オルガノシラン化合物の混合物に必要に応じて有機溶媒を添加した後、水と必要に応じて触媒を添加し、50~150℃で0.5~100時間程度加熱攪拌する。なお、攪拌中、必要に応じて、蒸留によって加水分解の副生成物(メタノールなど)や部分縮合の副生成物である水の留去を行ってもよい。
有機溶媒は添加しない無溶媒でもよいが、添加する場合の添加量はオルガノシラン化合物の混合物100質量部に対して10~1000質量部が好ましい。有機溶媒としては特に制限は無いが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メチル-3-メトキシ-1-ブタノール、1-t-ブトキシ-2-プロパノール、ダイアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。
加水分解および部分縮合の反応性や、反応後の(A)シロキサン樹脂の貯蔵安定性などの点から、ダイアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、γ-ブチロラクトンなどが好ましく用いられる。
加水分解に用いる水としては、イオン交換水が好ましい。水の添加量は、加水分解性基1モルに対して0.5~2モルが好ましい。
必要に応じて添加される触媒としては特に制限は無いが、酸触媒、塩基触媒が好ましく用いられる。酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸ピリジニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸ピリジニウム塩、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム塩などが挙げられる。塩基触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。触媒の添加量は、オルガノシラン化合物100質量部に対して0.01~10質量部が好ましい。
また、(A)シロキサン樹脂の貯蔵安定性の点から、加水分解および部分縮合後のシロキサン樹脂溶液には触媒が含まれないことが好ましく、必要に応じて触媒の除去を行うことができる。除去方法としては特に制限は無いが、好ましくは水洗浄、および/またはイオン交換樹脂の処理が挙げられる。水洗浄とは、ポリシロキサン溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄して得られた有機層をエバポレーターで濃縮する方法である。イオン交換樹脂での処理とは、ポリシロキサン溶液を適当なイオン交換樹脂に接触させる方法である。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は(B)反応性モノマを必須成分とするが、(B)反応性モノマとしては、単官能または多官能のアクリルモノマやアクリルオリゴマなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2,2-[9H-フルオレン-9,9-ジイルビス(1,4-フェニレン)ビスオキシ]ジエタノールジ(メタ)アクリレート(以下、「MM-1」)、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-メチル-4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[3-クロロ-4-(3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジメタアクリレート、ビスクレゾールフルオレンジアクリレート又はビスクレゾールフルオレンジメタアクリレートなどが挙げられる。
硬化膜の疎水性を高めるという観点から、前記(B)反応性モノマは縮合多環式芳香族基を有することが好ましく、縮合多環式芳香族基を有する多官能アクリレートを含むことがより好ましい。縮合多環式芳香族基は、芳香族環が2個以上縮合した炭化水素基を示し、縮合多環式芳香族炭化水素化合物やその置換体の好ましい例として、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ベンズ(a)アントラセン、ベンゾ(c)フェナントレン、ペンタセン、ピレン、フルオレン、フルオレノン、インデン、アズレン、アセナフテン、アセナフチレン、カルバゾール等が挙げられる。フルオレン基を有する多官能アクリレートを用いることがより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物における(B)反応性モノマの含有量は、(A)シロキサン樹脂および反応性モノマの合計含有量100質量部に対して、10~90質量部が好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物からなる樹脂被膜をガラス基材に形成するため、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物を適宜有機溶媒に希釈して、基材に塗布することが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、アルコール類などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。各成分を均一に溶解し、得られる塗布膜の透明性を向上させる観点から、アルコール性水酸基を有する化合物、カルボニル基を有する環状化合物が好ましい。
アルコール性水酸基を有する化合物としては、例えば、アセトール、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン、4-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン、5-ヒドロキシ-2-ペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ダイアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メチル-3-メトキシ-1-ブタノールなどが挙げられる。これらの中でも、保存安定性の観点から、ダイアセトンアルコール、3-メチル-3-メトキシ-1-ブタノールが好ましい。
カルボニル基を有する環状化合物の具体例としては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、炭酸プロピレン、N-メチルピロリドン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどが挙げられる。これらの中でも、γ-ブチロラクトンが特に好ましく用いられる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、キシレン、エチルベンゼン、ソルベントナフサなどが挙げられる。
カルボン酸エステルとしては、例えば、ベンジルアセテート、エチルベンゾエート、γ-ブチロラクトン、メチルベンゾエート、マロン酸ジエチル、2-エチルヘキシルアセテート、2-ブトキシエチルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート、シュウ酸ジエチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキシルアセテート、3-メトキシ-ブチルアセテート、アセト酢酸メチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、2-エチルブチルアセテート、イソペンチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
ケトンとしては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
エーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのプロピレングリコール誘導体などの脂肪族エーテル類などが挙げられる。
スプレー塗布またはインクジェット塗布によりガラス基材に塗布する際の揮発性および乾燥特性を適度に調整し、塗布性をより向上させる観点から、大気圧下における沸点が150℃以上250℃以下の有機溶剤と、大気圧下における沸点が150℃未満の有機溶剤を含有することが好ましい。ノズルにおける塗液の乾燥に起因する(A)シロキサン樹脂の固化を抑制する観点から、有機溶媒の合計100質量部に対して、大気圧下における沸点が150℃以上250℃以下の有機溶剤を10質量部以上含有することが好ましい。一方、ガラス上における塗液の流動性を抑制して膜厚をより均一にする観点から、有機溶剤の合計100質量部に対して、大気圧下における沸点が150℃以上250℃以下の有機溶剤を75質量部以下含有することが好ましい。大気圧下における沸点が150℃以上250℃以下の有機溶剤の沸点は、150℃以上200℃以下がより好ましい。
大気圧下における沸点が150℃以上250℃以下の有機溶剤としては、例えば、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ダイアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メチル-3-メトキシ-1-ブタノール、ベンジルアセテート、エチルベンゾエート、メチルベンゾエート、マロン酸ジエチル、2-エチルヘキシルアセテート、2-ブトキシエチルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート、シュウ酸ジエチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキシルアセテート、3-メトキシ-ブチルアセテート、アセト酢酸メチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、イソペンチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、炭酸プロピレン、N-メチルピロリドン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどが挙げられる。これらの中でも、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ダイアセトンアルコール)、3-メチル-3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート、3-メトキシ-ブチルアセテート、γ-ブチロラクトンが特に好ましく用いられる。
大気圧下における沸点が150℃未満の有機溶剤としては、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n-プロピルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ブタノール、イソブタノール、n-プロピルアルコール、酢酸エチルなどが挙げられる。これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましく用いられる。
本発明の樹脂硬化膜を形成するための近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物としては、感光性を有することが好ましく、熱硬化に加えて光硬化により塗膜を硬化させることにより樹脂被膜のストレスを低減し、ガラス基材との密着性をより向上させることができる。近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物に感光性を付与するために、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、更に光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤、ベンゾフェノン系光ラジカル重合開始剤、オキサントン系光ラジカル重合開始剤、イミダゾール系光ラジカル重合開始剤、ベンゾチアゾール系光ラジカル重合開始剤、ベンゾオキサゾール系光ラジカル重合開始剤、カルバゾール系光ラジカル重合開始剤、トリアジン系光ラジカル重合開始剤、安息香酸エステル系光ラジカル重合開始剤、リン系光ラジカル重合開始剤、チタネート等の無機系光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、α-アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。これらのうち、透明被膜の硬度を向上させる観点から、α-アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤、アミノ基を有するベンゾフェノン系光ラジカル重合開始剤、アミノ基を有する安息香酸エステル系光ラジカル重合開始剤が好ましい。これらの化合物は、ラジカル重合性基の架橋反応のみならず、光照射および熱硬化の際に塩基または酸として(A)シロキサン樹脂の架橋にも関与することから、樹脂硬化膜の硬度がより向上する。
α-アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1などが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(2,4,4-トリメチルペンチル)-フォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、1-フェニル-1,2-ブタジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)などが挙げられる。
アミノ基を有するベンゾフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。アミノ基を有する安息香酸エステル系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、2-エチルヘキシル-p-ジメチルアミノベンゾエート、p-ジエチルアミノ安息香酸エチルなどが挙げられる。
近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物における光ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル硬化を十分に進める観点から、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の全固形分中0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。なお、全固形分とは透明樹脂組成物の全成分より溶媒を除いたものとする。一方、光ラジカル重合開始剤の残留を抑制し、耐溶剤性を向上させる観点から、光ラジカル重合開始剤の含有量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、硬化させた樹脂膜の架橋性を更に向上させるため、エポキシ化合物を有しても構わない。エポキシ化合物を有することにより、樹脂硬化膜架橋密度が高まり、樹脂被覆されたガラス基材の湿熱処理への耐性が向上する。
エポキシ化合物としては、例えば、グリシジルエーテル類、グリシジルアミン類、エポキシ樹脂などが挙げられる。より具体的には、グリシジルエーテル類としては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどが挙げられる。
グリシジルアミン類としては、例えば、tert-ブチルグリシジルアミンなどが挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
硬化膜の疎水性を向上させるという観点から、フルオレン基を有するエポキシ化合物がより好ましい。樹脂硬化膜の架橋密度を高めて、ガラス基材の湿熱耐性をより向上させる観点から、全固形分中0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。一方、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の保存安定性の観点からは25質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、オキセタニル基を有するシロキサン化合物を含有してもよい。オキセタニル基を有するシロキサン化合物を含有することにより、オキセタン環の開環反応により樹脂硬化膜の応力が緩和され、ガラス基材と樹脂硬化膜との密着性を向上させることができる。
オキセタニル基を有するシロキサン化合物としては、例えば下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2023115902000001
上記一般式(2)中、R~Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基または下記一般式(3)で表される基を表す。ただし、R~Rの少なくとも1つは下記一般式(3)で表される基である。wは1~10の整数を表す。反応性の観点から、アルキル基の炭素数は1~6が好ましく、シクロアルキル基の炭素数は3~6が好ましい。
Figure 2023115902000002
上記一般式(3)中、R~Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基または炭素数1~4のパーフルオロアルキル基を表す。pは1~6の整数を表す。
前記一般式(2)で示されるシロキサン化合物は、オキセタニル基を有するアルコキシシラン化合物を、必要に応じてオキセタニル基を有しないアルコキシシラン化合物とともに加水分解することにより得ることができる。
オキセタニル基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、(オキセタン-3-イル)メチルトリメトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルトリエトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルトリ-n-プロピルオキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルトリ-i-プロピルオキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルトリアセトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルメチルジメトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルメチルジエトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルメチルジ-n-プロピルオキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルメチルジ-i-プロピルオキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルメチルジアセトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルエチルジメトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルエチルジエトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルエチルジ-n-プロピルオキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルエチルジ-i-プロピルオキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルエチルジアセトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルフェニルジメトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルフェニルジエトキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルフェニルジ-n-プロピルオキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルフェニルジ-i-プロピルオキシシラン、(オキセタン-3-イル)メチルフェニルジアセトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルジメトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルジエトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルジ-n-プロピルオキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルジ-i-プロピルオキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルジアセトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルメチルメトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルメチルエトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルメチル-n-プロピルオキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルメチル-i-プロピルオキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルメチルアセトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルエチルメトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルエチルエトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルエチル-n-プロピルオキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルエチル-i-プロピルオキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルエチルアセトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルフェニルメトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルフェニルエトキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルフェニル-n-プロピルオキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルフェニル-i-プロピルオキシシラン、ジ(オキセタン-3-イル)メチルフェニルアセトキシシラン、トリ(オキセタン-3-イル)メチルメトキシシラン、トリ(オキセタン-3-イル)メチルエトキシシラン、トリ(オキセタン-3-イル)メチル-n-プロピルオキシシラン、トリ(オキセタン-3-イル)メチル-i-プロピルオキシシラン、トリ(オキセタン-3-イル)メチルアセトキシシランなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
また、オキセタニル基を有しないアルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリプロピルシラノール、トリブチルシラノール、トリフェニルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリメチルシリルアセテート、トリメチルシリルベンゾエート、トリエチルシリルアセテート、トリエチルシリルベンゾエート、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメトキシメチルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、アセチルトリフェニルシラン、エトキシトリフェニルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジメチルジシロキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、1,3-ジブチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジメチル-1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
オキセタニル基を有するシロキサン化合物としては、例えば、“アロンオキセタン(登録商標)”OXT-191(商品名、東亞合成(株)製)(一般式(2)におけるR~Rが(3-エチル-3-オキセタニル)メチル基、wが平均5)や、下記一般式(4)または(7)で示される化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
Figure 2023115902000003
前記一般式(4)中、R10およびR12は水素原子、フッ素原子、炭素数1~6個のアルキル基、炭素数1~6個のフルオロアルキル基、炭素数6~18のアリール基、フリル基またはチエニル基を表す。R11は下記一般式(5)で示される基を表す。dは0~3の整数を表す。炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。炭素数1~6のフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基などが挙げられる。炭素数6~18のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
Figure 2023115902000004
上記一般式(5)中、R13、R15、R16およびR18は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数6~18のアリール基を表し、R14およびR17は炭素数1~4のアルキル基、炭素数6~18のアリール基または下記一般式(6)で表される基を表す。uは、0~200の整数を表す。uが2以上の場合、複数のR14およびR17は、同じでも異なってもよい。
Figure 2023115902000005
上記一般式(6)中、R19~R23は、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~18のアリール基を表す。Zは、0~100の整数を表す。zが2以上の場合、複数のR19およびR23は、同じでも異なってもよい。
Figure 2023115902000006
前記一般式(7)中、R24は水素原子、フッ素原子、炭素数1~6個のアルキル基、炭素数1~6個のフルオロアルキル基、炭素数6~18のアリール基、フリル基またはチエニル基を表し、R25は、3~10価の有機基を表す。例えば、下記一般式(8)~(10)のいずれかで表される線状、分枝状またはかご状ポリシロキサン含有基等が挙げられる。一般式(7)中、jは、R25の価数に等しい3~10の整数を表す。
Figure 2023115902000007
前記一般式(10)で表されるかご状のオキセタニル基を有するシロキサン化合物としては、例えば、シルセスキオキサン誘導体OX-SQ TX-100、OX-SQ SI-20(以上、商品名、東亞合成(株)製)などが挙げられる。
これらの中でも、オキセタニル基を複数有するものが好ましい。オキセタニル基を複数有することにより、オキセタン環の開環反応による樹脂硬化膜の応力緩和効果が向上し、ガラス基材との密着性をより向上させることができる。
近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物におけるオキセタニル基を有するシロキサン化合物の含有量は、樹脂硬化膜の応力をより緩和して密着性をより向上させる観点から、近赤外線吸収ガラス被覆用透明の全固形分中0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。一方、オキセタニル基を有するシロキサン化合物の含有量は、樹脂硬化膜の架橋密度を高めて湿熱耐性を向上させるという観点からは、全固形分中10質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、下記一般式(11)で表される金属キレート化合物を含有してもよい。金属キレート化合物がシロキサン樹脂のシラノール縮合反応の触媒として働くことから、樹脂硬化膜の架橋度が高くなり、湿熱耐性をより向上させることができる。
Figure 2023115902000008
上記一般式(11)中、Mは金属原子を表す、R26は水素原子、アルキル基、アリール基またはアルケニル基を表し、R27およびR28はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基またはアルコキシ基を表す。ただし、アルキル基、アリール基、アルケニル基またはアルコキシ基は、置換基により置換されていてもよい。eは金属原子Mの原子価を表し、fは0~eの整数を表す。反応性の観点から、e-fは0が好ましい。
金属原子Mとしては樹脂硬化膜の透明性の観点から、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、コバルト、モリブデン、ランタン、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム、カルシウムが好ましく、ジルコニウム、アルミニウムがより好ましい。
26としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-オクタデシル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、オレイル基などが挙げられる。
27およびR28としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、フェニル基、ビニル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-オクタデシル基、ベンジルオキシ基などが挙げられる。
金属原子Mがジルコニウムであるジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラn-プロポキシド、ジルコニウムテトラn-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-sec-ブトキシド、ジルコニウムテトラフェノキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラ(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)、ジルコニウムテトラメチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラメチルマロネート、ジルコニウムテトラエチルマロネート、ジルコニウムテトラベンゾイルアセトネート、ジルコニウムテトラジベンゾイルメタネート、ジルコニウムモノn-ブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムモノn-ブトキシエチルアセトアセテートビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムモノn-ブトキシトリス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムモノn-ブトキシトリス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジ(n-ブトキシ)ビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジ(n-ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジ(n-ブトキシ)ビス(エチルマロネート)、ジルコニウムジ(n-ブトキシ)ビス(ベンゾイルアセトネート)、ジルコニウムジ(n-ブトキシ)ビス(ジベンゾイルメタネート)などが挙げられる。
金属原子Mがアルミニウムであるアルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムトリスイソプロポキシド、アルミニウムトリスn-プロポキサイド、アルミニウムトリスsec-ブトキシド、アルミニウムトリスn-ブトキシド、アルミニウムトリスフェノキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスメチルアセトアセテート、アルミニウムトリスメチルマロネート、アルミニウムトリスエチルマロネート、アルミニウムエチルアセテートジ(イソプロポキシド)、アルミニウムアセチルアセトネート)ジ(イソプロポキシド)、アルミニウムメチルアセトアセテートジ(イソプロポキシド)、アルミニウムオクタデシルアセトアセテートジ(イソプロピレート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの中でも、各種溶媒への溶解性や化合物の安定性の観点から、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラフェノキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラ(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)、ジルコニウムテトラメチルマロネート、ジルコニウムテトラエチルマロネート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセテート、ジルコニウムジノルマルブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムモノノルマルブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスメチルアセトアセテート、アルミニウムトリスメチルマロネート、アルミニウムトリスエチルマロネート、アルミニウムエチルアセテートジ(イソプロポキシド)、アルミニウムアセチルアセトネート)ジ(イソプロポキシド)、アルミニウムメチルアセトアセテートジ(イソプロポキシド)、アルミニウムオクタデシルアセトアセテートジ(イソプロピレート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物における金属キレート化合物の含有量は、樹脂硬化膜の架橋度をより向上させて湿熱耐性をより向上させる観点から、全固形分中0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。一方、金属キレート化合物の含有量は、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の経時安定性の観点から、全固形分中10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、密着改良剤を含有してもよい。密着改良剤を含有することにより、樹脂硬化膜とガラス基材との密着性をより向上させることができる。
密着改良剤としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、(メタ)アクリロキシ基、アミノ基等の官能基を有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p-スリチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、p-スリチルトリメトキシシランなどが好ましい。
樹脂硬化膜とガラス基材との密着性をより向上させるという観点から、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、ラジカル重合性基を有するシランカップリング剤を含有することが好ましく、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、p-スリチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよび3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される1種以上を含有することがより好ましい。
近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物における密着改良剤の含有量は、樹脂硬化膜とガラス基材との密着性をより向上させる観点から、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の全固形分中0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。一方、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の経時安定性の観点から、全固形分中10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、各種の架橋剤を含有してもよく、架橋を促進または容易にすることができる。架橋剤としては、例えば、窒素含有有機物、シリコーン樹脂架橋剤、イソシアネート化合物やその重合体、メチロール化メラミン誘導体、メチロール化尿素誘導体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。なかでも、架橋性と経時安定性の観点から、メチロール化メラミン誘導体、メチロール化尿素誘導体が好ましく用いられる。
シロキサン樹脂は酸により硬化が促進されるので、本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物に熱酸発生剤や光酸発生剤などの硬化触媒を含有してもよい。熱酸発生剤としては、例えば、SI-60、SI-80、SI-100、SI-110、SI-145、SI-150、SI-60L、SI-80L、SI-100L、SI-110L、SI-145L、SI-150L、SI-160L、SI-180L(以上、三新化学工業(株)製)、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、2-メチルベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4-アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4-メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジル-4-メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナートなどが挙げられる。
光酸発生剤としては、例えば、SI-100、SI-101、SI-105、SI-106、SI-109、PI-105、PI-106、PI-109、NAI-100、NAI-1002、NAI-1003、NAI-1004、NAI-101、NAI-105、NAI-106、NAI-109、NDI-101、NDI-105、NDI-106、NDI-109、PAI-01、PAI-101、PAI-106、PAI-1001(以上、みどり化学(株)製)、SP-077、SP-082(以上、(株)ADEKA製)、TPS-PFBS(以上、東洋合成工業(株)製)、MDT(以上、ヘレウス社製)、WPAG-281、WPAG-336、WPAG-339、WPAG-342、WPAG-344、WPAG-350、WPAG-370、WPAG-372、WPAG-449、WPAG-469、WPAG-505、WPAG-506(以上、和光純薬工業(株)製)などが挙げられる。
近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物における熱酸発生剤や光酸発生剤などの硬化触媒の含有量は、樹脂硬化膜の架橋度を向上させて湿熱耐性をより向上させる観点から、全固形分中0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。一方、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物を含有する組成物の経時安定性の観点から、熱酸発生剤や光酸発生剤などの硬化触媒の含有量は、全固形分中5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤を含有することにより、経時安定性を向上させることができる。重合禁止剤としては、例えば、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、4-t-ブチルカテコール、2,6-ジ(t-ブチル)-p-クレゾール、フェノチアジン、4-メトキシフェノールなどが挙げられる。
近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物における重合禁止剤の含有量は、全固形分中0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。一方、樹脂硬化膜の架橋を阻害しない観点から、全固形分中5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤を含有することにより、樹脂硬化膜の耐光性を向上させることができる。紫外線吸収剤としては、透明性、非着色性の面から、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物が好ましく用いられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2-(2Hベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-t-ペンチルフェノール、2-(2Hベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
トリアジン系化合物としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノールなどが挙げられる。
近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物における紫外線吸収剤の含有量は、樹脂硬化膜と支持体との密着性を向上させる観点から、全固形分中10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤を含有することにより、ガラス基材に塗布した際の膜厚均一性を向上させることができる。界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;含フッ素熱分解性界面活性剤;ポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤;ポリアルキレンオキシド系界面活性剤;ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤;ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤;ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
これらの中でも、はじき等の塗布性不良を抑制するとともに、表面張力を低減し樹脂膜4の乾燥時のムラを抑制する観点から、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、含フッ素熱分解性界面活性剤、ポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤が好ましく、含フッ素熱分解性界面活性剤がより好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、“メガファック(登録商標)”F142D、同F172、同F173、同F183、同F445、同F470、同F475、同F477(以上、DIC(株)製)、NBX-15、FTX-218((株)ネオス製)などが挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、“BYK(登録商標)”-333、BYK-301、BYK-331、BYK-345、BYK-307(ビックケミー・ジャパン(株)製)などが挙げられる。含フッ素熱分解性界面活性剤の市販品としては、例えば、“メガファック(登録商標)”DS-21(DIC(株)製)などが挙げられる。ポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤の市販品としては、例えば、“BYK(登録商標)”-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、“シルフェイス(登録商標)”SAG002、同SAG005、同SAG0503A、同SAG008(以上、日信化学工業(株)製)などが挙げられる。界面活性剤を含有する場合、その含有量は、具体的には、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物中300ppm以下が好ましく、200ppm以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物としては、無機粒子を含有してもよく、透明被膜の硬度を向上させ、透明被膜の屈折率を適度に調整することができる。無機粒子としては、シリコン化合物粒子、アルミニウム化合物粒子、スズ化合物粒子、チタン化合物粒子、ジルコニウム化合物粒子、バリウム化合物粒子などが挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。屈折率の調整をより容易なものとするためには、シリカ粒子、酸化ジルコニア粒子、酸化チタン粒子が好ましく、シリカ粒子を含有することにより、シロキサン樹脂とシリカ粒子とのシラノール縮合反応により硬化膜の架橋度を高め、湿熱耐性を向上させることができることからより好ましい。
無機粒子の平均粒子径は、1~200nmが好ましく、透明被膜の透明性をより向上させる観点から、1~70nmがより好ましい。動的光散乱法によって求めることができる。具体的には、無機粒子濃度10~30質量%の分散液に対して、半導体レーザーにより波長780nmの光を照射し、散乱光を測定した後、FFT-ヘテロダイン法によって周波数解析することにより、平均粒子径を求めることができる。
無機粒子は、例えば、適当なナノ粒子粉体を調達し、ビーズミル等の分散機を用いて粉砕又は分散する方法や、ゾルゲル法により製造したナノ粒子分散液の溶媒を置換する方法により得ることができる。市販品のナノ粒子粉体としては、例えば、sicastar(シリカ粒子:コアフロント(株)製)、レオロシール(シリカ粒子;(株)トクヤマ製)、UEP-100(酸化ジルコニウム粒子;第一稀元素化学工業(株)製)、STR-100N(酸化チタン粒子;堺化学工業(株)製)などが挙げられる。調達可能な無機粒子の分散液としては、例えば、IPA-ST、MIBK-ST、IPA-ST-L、IPA-ST-ZL、PGM-STもしくはPMA-ST(以上シリカ粒子、いずれも日産化学工業(株)製)、“オスカル”101、“オスカル”105、“オスカル”106、“カタロイド”-S(以上シリカ粒子;いずれも触媒化成工業(株)製)、“クォートロン”PL-1-IPA、PL-1-TOL,PL-2L-PGME、PL-2L-MEK,PL-2L、GP-2L(以上シリカ粒子、いずれも扶桑化学工業(株)製)、“オプトレイク”(登録商標)TR-502、“オプトレイク”TR-503、“オプトレイク”TR-504、“オプトレイク”TR-513、“オプトレイク”TR-520、“オプトレイク”TR-527、“オプトレイク”TR-528、“オプトレイク”TR-529、“オプトレイク”TR-544、“オプトレイク”TR-550(以上酸化チタン粒子;いずれも日揮触媒化成(株)製)、“バイラール”Zr-C20(酸化チタン粒子;平均粒径=20nm;多木化学(株)製)、ZSL-10A(酸化チタン粒子;平均粒径=60-100nm;第一稀元素化学工業(株)製)、ナノユースOZ-30M(酸化チタン粒子;平均粒径=7nm;日産化学工業(株)製)、SZR-M、SZR-K(以上酸化ジルコニウム粒子;いずれも堺化学(株)製)、HXU-120JC(酸化ジルコニア粒子;住友大阪セメント(株)製)、ZR-010(酸化ジルコニア粒子;(株)ソーラー製)、ZRPMA(ジルコニア粒子;シーアイ化成(株)製)などが挙げられる。
無機粒子の含有量は、透明被膜の膜硬度を向上させ、屈折率をより容易に調整する観点から、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の全固形分中10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の全固形分濃度は、生産性の観点から、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の全固形分濃度は、保存安定性の観点から、60質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物は、更に紫外光および/または近赤外光を吸収する色素を含有することが好ましい。紫外光および/または近赤外光を吸収する色素としては、波長600~800nmの領域に吸収極大があれば特に限定されないが、シアニン系色素、ポリメチン系色素、スクアリリウム系色素、ポルフィリン系色素、金属ジチオール錯体系色素、フタロシアニン系色素、ジイモニウム系色素および無機酸化物粒子から選ばれる一種以上の色素または粒子であることが好ましく、特にシアニン系色素、スクアリリウム系色素およびフタロシアニン系色素が好ましい。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物からなる樹脂硬化膜の550nmにおける屈折率は、1.46以上が好ましく、1.48以上がより好ましい。一方、屈折率は、1.60以下が好ましく、1.58以下より好ましい。ガラス基板の屈折率(1.48~1.58)と透明被膜の屈折率差を小さくすることにより、特命被膜の膜厚さに起因するムラを視認しし難くして外観をより向上させることができる。なお、本発明における屈折率は、プリズムカプラー法により測定することができる。
次に、本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の製造方法について、以下に説明する。
近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の製造方法としては、(A)シロキサン樹脂および(B)反応性モノマ、必要に応じて、光ラジカル重合開始剤、溶媒、無機粒子、硬化剤などのその他原料を所定量混合し、撹拌する方法が一般的である。
次に、本発明の樹脂被覆近赤外線吸収ガラスについて説明する。
本発明の樹脂被覆近赤外線吸収ガラスは、厚み0.05mm以上0.5mm以下のリン酸塩系ガラスまたはフツリン酸塩系ガラスの少なくとも片面に、前記近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物からなる膜厚1.0μm以上5.0μm以下の硬化膜を有することが好ましい。
本発明の樹脂被覆近赤外線吸収ガラスの波長400~650nmにおける平均透過率は、好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは65%以上である。このような透過特性を有する樹脂被覆近赤外線吸収ガラスを用いると、固体撮像装置用途や環境光センサーとして必要な波長帯域において高い光線透過特性を有する光学フィルターを得ることができ、固体撮像装置用途として使用した場合、良好な画像を得ることができ、環境光センサーとして使用した場合、高感度なセンサー機能を達成することができる。
また、本発明の樹脂被覆近赤外線吸収ガラスの波長800~1200nmにおける平均透過率は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは18%以下、特に好ましくは15%以下である。このような吸収特性を有する樹脂被覆近赤外線吸収ガラスを用いると、特定の反射特性を有する誘電体多層膜と組み合わせることで入射角度によらず優れた近赤外線カット特性を有する光学フィルターを得ることができ、固体撮像装置用光学フィルターや環境光センサー用途として好適に使用することができる。
次に、ガラス基材に近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物からなる樹脂硬化膜の製造方法について、以下に説明する。
近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物をガラス基板上に塗布する方法としては、例えば、スピナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ダイコーティング、ロールコーティングなどが挙げられるが、本発明においては、スプレー塗布、インクジェット塗布が好ましい。塗膜の膜厚は、塗布方法等によって適宜選択することができる。乾燥後の膜厚を1~150μmとすることが一般的である。
得られた塗膜を乾燥して、乾燥膜を得る。乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥、風乾、減圧乾燥、赤外線照射等が挙げられる。加熱乾燥装置としては、例えば、オーブン、ホットプレートなどが挙げられる。乾燥温度は50~150℃が好ましく、乾燥時間は1分間~数時間が好ましい。
得られた乾燥膜に、所望のパターンを有するマスクを介して化学線を照射しして、露光膜を得る。照射する化学線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線などが挙げられる。本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物に対しては、水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を照射することが好ましい。
乾燥膜全面を露光し、透明被膜を光硬化させた後に加熱処理することが好ましい。加熱処理前に光硬化することにより、加熱処理における急激な膜収縮を抑制することができ、透明被膜とガラス基板との密着性をより向上させることができる。
加熱処理は、空気中、窒素雰囲気下、真空状態のいずれで行ってもよい。加熱温度は150~300℃が好ましく、加熱時間は0.25~5時間が好ましい。加熱温度を連続的に変化させてもよいし、段階的に変化させてもよい。
次に、本発明の近赤外線カットフィルターについて説明する。
本発明の近赤外線カットフィルターは、前記樹脂被覆近赤外線吸収ガラスと、反射膜および反射防止膜を有することを特徴とする。
本発明の赤外線カットフィルターは、前記樹脂被覆近赤外線吸収ガラスの少なくとも一方の面に反射膜および反射防止膜を有することが好ましい。反射膜を設けることにより、可視光領域の光を選択的に透過させる一方、近赤外領域の光を反射させることで、撮像画像の品質を向上させることができる。反射射防止層を設けることにより、入射光の再反射を防止でき、撮像画像の品質を向上させることができる。反射膜および反射防止層は従来公知の方法で形成してよく、低屈折率の誘電体膜と高屈折率の誘電体膜とを交互に積層した誘電体多層膜によって構成されることが好ましい。それぞれ、厚さ500nm以下の誘電体多層膜によって構成されていることが好ましい。また、この場合、誘電体多層膜が、10層以下であることが好ましい。また、誘電体多層膜は、屈折率1.1~1.5の材料から構成される低屈折誘電体膜と、屈折率2.0~2.5の材料から構成される高屈折誘電体膜と、が交互に積層されて形成されていることが好ましい。なお、近赤外線を反射膜および反射防止膜は基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、反りやねじれが生じにくい光学フィルターを得ることができる。
具体的には、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物からなる、被膜を有する近赤外線吸収ガラス基板を用い、更に、光入射面側に反射膜(UVIR膜)および光出射面側に反射防止膜(AR膜)を形成することで信頼性および強度に優れた近赤外線カットフィルターを得ることができる。反射膜としては、酸化シリコン(SiO)層と酸化チタン(TiO)層とを交互に積層し、光の干渉によって近赤外線波長領域の光を反射して遮蔽する多層膜が好適に用いられる。
また、本発明の樹脂被覆近赤外線吸収ガラス基板と多層膜からなる反射膜および/または反射防止膜との間に、近赤外線および/または紫外線を吸収する色素を含有させた樹脂層を形成することで、より光学特性に優れた近赤外線カットフィルターを得ることができる。
次に、本発明の撮像装置は、固体撮像素子と、撮像レンズと、前記近赤外線カットフィルターを有することを特徴とする。
固体撮像素子としては、CCD(Charge-Coupled Device)セン
サやCMOS(Complementary Metal Oxide Semicond
uctor)センサ等のイメージセンサーを挙げることができる。
本発明の撮像装置の構成例としては、図1に例示するカメラモジュールを挙げることができる。
図1は、スマートフォン等に搭載されるコンパクトデジタルカメラに係るカメラモジュールの概略説明図であり、図1に示すカメラモジュールは、1(または1以上の整数n)枚の撮像レンズL(またはレンズL1…Ln)、本発明の近赤外線カットフィルタ1およびイメージセンサICを有している。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
「粘度」
各実施例および比較例により得られた近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物について、温度を25.0±0.2℃に設定した粘度計(東機産業(株)製RE105L)を使用して、50rpmにおける粘度を測定した。
「屈折率」
各実施例および比較例により得られた近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物を、リン酸塩ガラス基板のかわりに4インチシリコンウェハーに塗布したこと以外は各実施例および比較例と同様にして、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の硬化物からなる樹脂被膜を作製した。得られた4インチシリコン上の樹脂被膜について、プリズムカプラー(メトリコン製、PC-2000)を用い、室温23℃において、波長633nmにおける屈折率を測定した。
「透過率」
各実施例および比較例により得られた近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物を、リン酸塩ガラス基板のかわりに5cm角のテンパックスガラス基板に塗布したこと以外は各実施例および比較例と同様にして、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の硬化物からなる樹脂被覆ガラスを作製した。得られたテンパックスガラス基板上の樹脂被膜について、紫外-可視分光光度計UV-2600((株)島津製作所製)を用いて、膜厚2.0μm、測定波長400nmにおける透過率を測定した。
「鉛筆硬度」
各実施例および比較例により得られた近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物を、リン酸塩ガラス基板のかわりに5cm角のテンパックスガラス基板に塗布したこと以外は各実施例および比較例と同様にして、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の硬化物からなる樹脂膜基板を作製した。得られたテンパックスガラス基板上の樹脂被膜について、鉛筆硬度試験器を用いて、所定硬度の鉛筆により、硬化膜を荷重750g、角度45度でなぞり、傷の有無を観察することにより、鉛筆硬度を測定した。
「ガラス面強度」
各実施例および比較例により得られた近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物を、リン酸塩ガラス基板のかわりに厚さ0.21mm、3.85cm角のフツリン酸塩ガラス基板(CDGM社製“QB56”)に塗布したこと以外は各実施例および比較例と同様にして、近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物の硬化物からなる樹脂被覆ガラスを作製した。各実施例および比較例により得られた樹脂被覆ガラスをサポートリング(φ35mm)上に置き、ロードリング(φ17.5mm)を1mm/minの速度で押し込んだ際にガラスが破断する強度を静的試験装置AG-Xplus((株)島津製作所製)により測定し、以下の基準によりガラス面強度を判定した。工業的利用の観点から、AおよびBを合格とした。なお、樹脂被膜のないガラスのみでのガラス面強度は155MPaであった。
A:ガラス面強度が200MPa以上。
B:ガラス面強度が160MPa以上200MPa未満。
C:ガラス面強度が160MPa未満。
「密着性」
各実施例および比較例により得られた樹脂被覆ガラスを、JIS「K5400」8.5.2(1990)碁盤目テープ法に準じて樹脂被膜とガラス基板との密着性を評価した。すなわち、ガラス基板上の樹脂被膜表面に、カッターナイフでガラス板の素地に到達するように、直交する縦横11本ずつの平行な直線を1mm間隔で引いて、1mm×1mmのマス目を100個作製した。切られた樹脂被膜表面にセロハン粘着テープ(幅=18mm、粘着力=3.7N/10mm)を張り付け、消しゴム(JIS S6050合格品)で擦って密着させ、テープの一端を持ち、板に直角に保ち瞬間的に剥離した際のマス目の残存数を目視によって計数した。マス目の剥離面積により以下のように判定した。
また、各実施例および比較例により得られた樹脂被覆ガラスを沸騰した純水に60分間浸漬し、乾燥した後についても同様に密着性評価を行った。
5B:剥離面積=0%
4B:剥離面積=0%を超え5%未満
3B:剥離面積=5%以上15%未満
2B:剥離面積=15%以上35%未満
1B:剥離面積=35%以上65%未満
0B:剥離面積=65%以上100%未満。
「高温高湿試験」
各実施例および比較例により得られた樹脂被覆ガラスを小型環境試験機SH-662(エスペック(株)製)を用い、温度85℃、湿度85の雰囲気下に168時間放置後、密着性評価と外観観察を行った。外観観察は以下のように判定した。
5:皺がガラス外周部から0.5cm以内で発生
4:皺がガラス外周部から0.5cmを超え、1cm以内で発生
3:皺がガラス外周部から1cmを超え、2cm以内で発生
2:皺がガラス外周部から2cmを超え、3cm以内で発生
1:皺がガラス全面で発生。
〔合成例1〕
500mLの三口フラスコにフェニルトリメトキシシランを39.66g(0.30モル)、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35モル)、メチルトリメトキシシランを47.67g(0.35モル)、ダイアセトンアルコール(以下、「DAA」)を180.56g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら、水55.8gにリン酸0.401g(仕込みモノマに対して0.2質量部)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分間かけて添加した。40℃で1時間撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、更にオイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100~110℃)。反応中に副生成物であるメタノール及び水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(P-1)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(以下、「Mw」)をGPCにより測定したところ5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例2〕
フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.50モル)、メチルトリメトキシシランを47.67g(0.15モル)、に変更した以外は合成例1と同様にしてポリシロキサン溶液(P-2)を得た。なお、得られたポリマーのMwは5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例3〕
フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.70モル)、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.20モル)、メチルトリメトキシシランを47.67g(0.05モル)、に変更した以外は合成例1と同様にしてポリシロキサン溶液(P-3)を得た。なお、得られたポリマーのMwは5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例4〕
フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.50モル)、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.45モル)、メチルトリメトキシシランを47.67g(0.05モル)、に変更した以外は合成例1と同様にしてポリシロキサン溶液(P-4)を得た。なお、得られたポリマーのMwは5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例5〕
フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.50モル)、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.50モル)に変更し、メチルトリメトキシシランを使用しなかった以外は合成例1と同様にしてポリシロキサン溶液(P-5)を得た。なお、得られたポリマーのMwは5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例6〕
フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.50モル)、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.45モル)、メチルトリメトキシシランを47.67g(0.05モル)、に変更した以外は合成例1と同様にしてポリシロキサン溶液(P-6)を得た。なお、得られたポリマーのMwは5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例7〕
500mLの三口フラスコにフェニルトリメトキシシランを39.66g(0.50モル)、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35モル)、メチルトリメトキシシランを47.67g(0.05モル)、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.10モル)、DAAを180.56g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら、水55.8gにリン酸0.401g(仕込みモノマに対して0.2質量部)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分間かけて添加した。40℃で1時間撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、更にオイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100~110℃)。反応中に副生成物であるメタノール及び水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(P-7)を得た。得られたポリマーのMwは5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例8〕
500mLの三口フラスコにフェニルトリメトキシシランを39.66g(0.50モル)、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35モル)、メチルトリメトキシシランを47.67g(0.05モル)、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸を26.23g(0.10モル)、DAAを180.56g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら、水55.8gにリン酸0.401g(仕込みモノマに対して0.2質量部)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分間かけて添加した。40℃で1時間撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、更にオイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100~110℃)。反応中に副生成物であるメタノール及び水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40質量%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(P-8)を得た。得られたポリマーのMwは5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例9〕
フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.50モル)、メチルトリメトキシシランを82.04g(0.50モル)に変更し、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシランを使用しなかった以外は合成例1と同様にしてポリシロキサン溶液(P-9)を得た。なお、得られたポリマーのMwは5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例10〕
フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.10モル)、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35モル)、メチルトリメトキシシランを47.67g(0.55モル)、に変更した以外は合成例1と同様にしてポリシロキサン溶液(P-10)を得た。なお、得られたポリマーのMwは5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例11〕
フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.80モル)、γ-アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.15モル)、メチルトリメトキシシランを47.67g(0.05モル)、に変更した以外は合成例1と同様にしてポリシロキサン溶液(P-11)を得た。なお、得られたポリマーのMwは5000(ポリスチレン換算)であった。
〔合成例12〕
特許第3120476号明細書の実施例1に記載の方法により、メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体(質量比30/40/30)を合成した。得られた共重合体100質量部に対し、グリシジルメタクリレート40質量部を付加させ、精製水で再沈し、濾過および乾燥することにより、重量平均分子量15,000、酸価110mgKOH/gのアルカリ可溶性のアクリル樹脂(A-1)を得た。ポリマー濃度が40質量%となるようにPGMEAを加えてアクリルポリマー溶液(A-1)を得た。なお、アクリル樹脂の酸価は、アクリル樹脂1gを中和するのに要した水酸化カリウムの量(mg)とした(単位:mgKOH/g)。
〔実施例1〕
黄色灯下にてオキシムエステル系光ラジカル重合開始剤(商品名「“アデカアークルズ”(登録商標)NCI-930」(株)ADEKA製(以下、NCI-930と記載する。))0.10g、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート(商品名「オルガチックスZC-162」マツモトファインケミカル(株)製(以下、ZC-162と記載する。))1.26gを、DAA(沸点=169℃)11.10g、PGMEA(沸点=146℃)13.80g、3-メチル-3-メトキシ-1-ブタノール(沸点=174℃、(以下MMBと記載する。))13.33gの混合溶媒に溶解させ、ポリシロキサン溶液(PS-1)を19.00g、反応性モノマとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(「“カヤラッド”(登録商標)DPHA」日本化薬(株)製のPGMEA50質量%溶液(以下、DPHAと記載する。))5.70g、および9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンのPGMEA50質量%溶液(大阪ガスケミカル(株)製「“オグソール”(登録商標)EA-0250P」(以下、EA-0250Pと記載する。))1.90gを添加し、更には、オキセタニル基を有するシロキサン化合物(「“アロンオキセタン”(登録商標)OXT-191」(以下、OXT-191と記載する。))0.94g、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM-903」信越化学工業(株)製)(以下、KBM903と記載する。))2.09g、フルオレン系エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル(株)製「“オグソール”(登録商標)PG-100」(以下、PG-100と記載する。))2.50g、シリカ粒子のPGMEA30質量%分散液(商品名「PMA-ST」日産化学(株)製(以下、PMA-STと記載する。))27.89g、シリコン変性アクリル系界面活性剤(商品名「“BYK”(登録商標)-3550」ビックケミージャパン(株)製のPGMEA5質量%溶液(以下、YBK-3550と記載する。))0.10g(濃度50ppmに相当)と含フッ素熱分解性界面活性剤(商品名「DS-21」DIC(株)製のPGMEA5質量%溶液(以下、DS-21と記載する。))(0.30g(濃度150ppmに相当)を加え、撹拌した。次いで1.00μmのフィルターでろ過を行い、全固形分濃度25質量%の樹脂組成物C-1を調製した。
厚さ0.11mm、7.7cm角のリン酸塩ガラス(Schott社製“BG57”)膜基板上、スピンコーターで塗布した後、100℃のホットプレートで2分間プリベイクした。その後、大日本スクリーン(株)製露光機“XG-5000”を用い、500mJ/cmで露光し、180℃の熱風オーブンで60分間キュアした。このようにして、厚さ2.0μmの樹脂膜で被覆したガラス基板A-1を作製した。樹脂被覆ガラスA-1について、前述の方法により評価した結果を表3に示す。
〔実施例2〕
シロキサン樹脂P-1をシロキサン樹脂P-2とした以外は実施例1と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-2を調製した。シロキサン樹脂組成物C-2を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-2を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例3〕
シロキサン樹脂P-1をシロキサン樹脂P-3とした以外は実施例1と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-3を調製した。シロキサン樹脂組成物C-3を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-3を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例4〕
シロキサン樹脂P-1をシロキサン樹脂P-4とした以外は実施例1と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-4を調製した。シロキサン樹脂組成物C-4を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-4を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例5〕
シロキサン樹脂P-1をシロキサン樹脂P-5とした以外は実施例1と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-5を調製した。シロキサン樹脂組成物C-5を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-5を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例6〕
シロキサン樹脂P-1をシロキサン樹脂P-6とした以外は実施例1と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-6を調製した。シロキサン樹脂組成物C-6を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-6を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例7〕
反応性モノマーとして、EA-250Pを7.60gとして、DPHAを使用しなかった以外は実施例4と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-7を調製した。シロキサン樹脂組成物C-7を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-7を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例8〕
反応性モノマーとして、DPHAを7.60gとして、EA-250Pを使用しなかった以外は実施例4と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-8を調製した。シロキサン樹脂組成物C-8を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-8を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例9〕
エポキシ化合物として、PG-100の代わりにエポキシ樹脂(三菱化学(株)製「“jER”(登録商標)834」)を使用した以外は実施例4と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-9を調製した。シロキサン樹脂組成物C-9を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-
9を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例10〕
エポキシ化合物を使用しなかった以外は実施例4と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-10を調製した。シロキサン樹脂組成物C-10を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-10を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例11〕
反応性モノマーとして、DPHAを7.60gとして、EA-250Pを使用しなかった以外は実施例10と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-11を調製した。シロキサン樹脂組成物C-11を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-11を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例12〕
シロキサン樹脂P-1をシロキサン樹脂P-7とした以外は実施例1と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-12を調製した。シロキサン樹脂組成物C-12を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-12を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例13〕
シロキサン樹脂P-1をシロキサン樹脂P-8とした以外は実施例1と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-13を調製した。シロキサン樹脂組成物C-13を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-13を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例14〕
シロキサン樹脂P-1をシロキサン樹脂P-9とした以外は実施例1と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-14を調製した。シロキサン樹脂組成物C-14を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-14を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例15〕
シランカップリング剤として、3-アミノプロピルトリメトキシシランの代わりに、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM-503」信越化学工業(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-15を調製した。シロキサン樹脂組成物C-15を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-15を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔実施例16〕
シランカップリング剤として、3-アミノプロピルトリメトキシシランの代わりに3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM-5103」信越化学工業(株)製)以外は実施例1と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-16を調製した。シロキサン樹脂組成物C-16を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-16を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔比較例1〕
シロキサン樹脂P-4をシロキサン樹脂P-10とした以外は実施例11と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-17を調製した。シロキサン樹脂組成物C-17を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-17を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔比較例2〕
シロキサン樹脂P-4をシロキサン樹脂P-11とした以外は実施例11と同様にしてシロキサン樹脂組成物C-18を調製した。シロキサン樹脂組成物C-18を用いて、実施例1と同様にして樹脂被覆ガラスA-18を作製し、評価した結果を表3に示す。
〔比較例3〕
黄色灯下にてNCI-930を0.10g、ZC-162を1.26g、DAAを11.10g、PGMEAを13.80g、MMBを13.33gの混合溶媒に溶解させ、アクリルポリマー溶液(A-1)を19.00g、EA-0250Pを1.90g、DPHAを5.70g、OXT-191を0.94g、KBM-903を2.09gPG-100を2.50g、PMA-STを27.89g、BYK-3550を0.10g(濃度50ppmに相当)とDS-21を0.30g(濃度150ppmに相当)加え、撹拌した。次いで1.00μmのフィルターでろ過を行い、全固形分濃度25質量%の樹脂組成物C-17を調製した。
厚さ0.11mm、7.7cm角のリン酸塩ガラス(Schott社製“BG57”)膜基板上、スピンコーターで塗布した後、100℃のホットプレートで2分間プリベイクした。その後、大日本スクリーン(株)製露光機“XG-5000”を用い、500mJ/cmで露光し、180℃の熱風オーブンで60分間キュアした。このようにして、厚さ2.0μmの樹脂膜で被覆したガラス基板A-17を作製した。樹脂被覆ガラスA-18について、前述の方法により評価した結果を表3に示す。
各実施例および比較例の組成を表1、表2に、評価結果を表3に示す。
Figure 2023115902000009
Figure 2023115902000010
Figure 2023115902000011
実施例において作製した近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物からなる硬化膜は密着性に優れ、当該樹脂被膜を有するガラス基板は、湿熱処理後の皺発生に対しても優れた耐性を有しており、更にはガラス強度も高いことがわかる。
本発明の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物を具備する赤外吸収ガラス基板は、薄膜においても高い面強度を有する赤外線カットフィルターを提供することが可能となる。更に、樹脂層とガラス基板は高い密着性を有しており、信頼性に優れた赤外線カットフィルターをすることが可能となる。
1 :近赤外線カットフィルタ
L :撮像レンズ
IC:イメージセンサ

Claims (12)

  1. 少なくとも(A)シロキサン樹脂および(B)反応性モノマを含有し、かつ前記(A)シロキサン樹脂が(a)芳香環を有する基を、(A)シロキサン樹脂中の全Si原子100モル%に対して20~70モル%含有することを特徴とする近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。
  2. 前記(a)芳香環を有する基がフェニル基、ビフェニル基および縮合多環式芳香族基からなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。
  3. 前記(A)シロキサン樹脂がラジカル重合性基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。
  4. 前記(B)反応性モノマが縮合多環式芳香族基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。
  5. 更に光ラジカル重合開始剤を有することを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。
  6. 更に無機粒子を含有することを特徴とする、請求項1または2に近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。
  7. 更にエポキシ化合物を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。
  8. 更にラジカル重合性基を有するシランカップリング剤を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。
  9. 更に紫外光および/または近赤外光を吸収する色素を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物。
  10. 厚み0.05mm以上0.5mm以下のリン酸塩系ガラスまたはフツリン酸塩系ガラスの少なくとも片面に、請求項1または2に記載の近赤外線吸収ガラス被覆用透明樹脂組成物からなる膜厚1.0μm以上5.0μm以下の硬化膜を有することを特徴とする樹脂被覆近赤外線吸収ガラス。
  11. 請求項10に記載の樹脂被覆近赤外線吸収ガラスと、反射膜および反射防止膜を有する近赤外線カットフィルター。
  12. 固体撮像素子と、撮像レンズと、請求項11に記載の近赤外線カットフィルターを有することを特徴とする撮像装置。
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