JP2023113980A - 楕円検出方法、カメラ校正方法、楕円検出装置、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】画像中の楕円の中心座標の検出精度を向上することが可能な技術を提供する。【解決手段】楕円検出装置は、楕円を含む画像を取得し、前記画像内における前記楕円の位置情報を取得し、前記画像と、前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出する。前記楕円モデルは、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルである。【選択図】図1
Description
本開示は、画像内に含まれている楕円の中心座標を検出する楕円検出方法、楕円検出装置、及びプログラム、並びに、それを用いたカメラ校正方法に関する。
下記特許文献1~3には、カメラによって撮像された画像中の楕円を検出する技術が開示されている。
上記特許文献1~3に開示された技術では、画像中の楕円の検出精度が不十分であり、さらなる改善が望まれる。
本開示は、画像中の楕円の検出精度を向上することが可能な技術を提供する。
本開示の一態様に係る楕円検出方法は、情報処理装置が、楕円を含む画像を取得し、前記画像内における前記楕円の位置情報を取得し、前記画像と、前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出し、前記楕円モデルは、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルである。
本開示の一態様に係る楕円検出方法は、情報処理装置が、楕円を含む画像を取得し、前記画像内における前記楕円の位置情報を取得し、前記画像と、前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出し、前記楕円モデルは、前記画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現し、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて当該画素の画素値を算出する数値モデルである。
本開示によれば、画像中の楕円の検出精度を向上することが可能となる。
(本開示の基礎となった知見)
ステレオカメラ又は多眼カメラ等のセンシングカメラのカメラパラメータを校正(キャリブレーション)するためには、カメラによって撮像された画像中の二次元座標(画像座標とも呼ばれる)を、三次元空間中の三次元座標(世界座標とも呼ばれる)に対応付ける必要がある。そのために、円の位置及び形状が既知である繰り返し円パターンが内面に描かれた直方体の内部をカメラによって撮像し、各円の中心位置に関して画像座標と世界座標との対応付けが行われる。センシングカメラの小型化によって基線長又はカメラ間隔が短くなると、それに伴って測距精度が低下するため、キャリブレーションの精度を高めることが重要となってくる。
ステレオカメラ又は多眼カメラ等のセンシングカメラのカメラパラメータを校正(キャリブレーション)するためには、カメラによって撮像された画像中の二次元座標(画像座標とも呼ばれる)を、三次元空間中の三次元座標(世界座標とも呼ばれる)に対応付ける必要がある。そのために、円の位置及び形状が既知である繰り返し円パターンが内面に描かれた直方体の内部をカメラによって撮像し、各円の中心位置に関して画像座標と世界座標との対応付けが行われる。センシングカメラの小型化によって基線長又はカメラ間隔が短くなると、それに伴って測距精度が低下するため、キャリブレーションの精度を高めることが重要となってくる。
センシングカメラにおいては、対象エリアを広く撮像すべく、魚眼レンズ又は超広角レンズ等の、画像の歪みが大きいレンズが使用されることが多い。そのため、繰り返し円パターンを撮像した撮像画像では、特にその周縁部において、円が歪んで楕円となる。また、エイリアシング(折り返し雑音)の影響によって、楕円のエッジが、滑らかではなく階段状になる。従って、センシングカメラのキャリブレーションの精度を高めるためには、エイリアシングが発生している楕円を対象として、その中心座標を正確に検出することが要求される。
上記特許文献1には、画像中のエッジ画像を抽出し、そのエッジ画像を二次元のベクトル場とみなしてハフ変換を適用することによって、画像中の楕円を検出する技術が開示されている。
上記特許文献2には、画像中のエッジを連続成分に分割し、エッジの各連続成分に優先度をつけ、優先度順に連続成分を選択し、選択された連続成分内のエッジの組から楕円のパラメータを計算することによって、画像中の楕円を検出する技術が開示されている。
上記特許文献3には、入力画像を二値化し、楕円の中心座標の候補を抽出し、抽出した中心座標の候補に対応する長径及び短径を決定し、周回積分を用いて楕円の中心座標を決定することによって、画像中の楕円を検出する技術が開示されている。
しかし、上記特許文献1~3に開示された技術ではいずれも、楕円のエッジに発生するエイリアシングの影響が考慮されていない等の理由により、検出精度が低く、楕円の中心座標を正確に検出することができない。
このような課題を解決するために、本発明者は、任意の楕円形状を立体的に表現できる好適な楕円モデルを構築することによって、撮像画像中の楕円の中心座標を正確に検出できるとの知見を得て、本開示を想到するに至った。
次に、本開示の各態様について説明する。
本開示の一態様に係る楕円検出方法は、情報処理装置が、楕円を含む画像を取得し、前記画像内における前記楕円の位置情報を取得し、前記画像と、前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出し、前記楕円モデルは、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルである。
この態様によれば、情報処理装置は、画像内における楕円の中心座標を検出するための楕円モデルとして、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルを使用する。極限値の一方を楕円の内側領域の画素値に対応させ、極限値の他方を楕円の外側領域の画素値に対応させることにより、撮像画像中の楕円を、当該関数モデルで規定される立体形状によって正確に表現することができる。その結果、撮像画像中の楕円の中心座標を高精度に検出することが可能となる。また、当該関数モデルは微分可能であるため、当該関数モデルに含まれるパラメータを最適化するにあたり、最急降下法等の勾配法を使用することができる。その結果、情報処理装置の処理負荷の軽減及び処理速度の向上を図ることが可能となる。
上記態様において、前記情報処理装置は、取得した前記画像に対して、各画素を複数のサブピクセルに分割し、平滑化フィルタによって各サブピクセルの画素値を周辺の複数のサブピクセルの画素値を用いて平滑化し、これらの処理が実行された前記画像に対して前記楕円モデルを適用する。
この態様によれば、サブピクセル精度で楕円の中心座標を検出できるため、検出精度を向上することが可能となる。また、平滑化フィルタによって各サブピクセルの画素値を平滑化することにより、楕円のエッジの近傍領域において画素値の変化がなだらかとなるため、微分可能な関数モデルの適用が容易となる。
本開示の一態様に係る楕円検出方法は、情報処理装置が、楕円を含む画像を取得し、前記画像内における前記楕円の位置情報を取得し、前記画像と、前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出し、前記楕円モデルは、前記画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現し、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて当該画素の画素値を算出する数値モデルである。
この態様によれば、情報処理装置は、画像内における楕円の中心座標を検出するための楕円モデルとして、画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現する数値モデルを使用する。これにより、撮像画像中の楕円のエッジに発生しているエイリアシングを当該数値モデルによって再現できるため、撮像画像中の楕円を、当該数値モデルで規定される立体形状によって正確に表現することができる。また、当該数値モデルでは、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて、当該画素の画素値が算出される。これにより、ステップエッジ(二値エッジ)を撮影した際に当該エッジを含む画素に発生する積分効果を、当該数値モデルによって再現することができる。その結果、撮像画像中の楕円の中心座標を高精度に検出することが可能となる。
上記態様において、前記情報処理装置は、取得した前記画像に含まれる前記楕円と、前記楕円モデルによって表現される前記楕円形状との類似度がより高くなるように、前記楕円モデルに含まれるパラメータを反復的に変更する。
この態様によれば、画像中の楕円と楕円モデルの楕円形状との類似度がより高くなるように楕円モデルに含まれるパラメータを反復的に変更することにより、楕円の中心座標の検出精度をより向上することが可能となる。
上記態様において、前記パラメータは、少なくとも前記楕円形状の中心座標、長軸長さ、短軸長さ、及び傾き角度を含む。
この態様によれば、反復的に変更されるパラメータに、少なくとも楕円形状の中心座標、長軸長さ、短軸長さ、及び傾き角度を含めることにより、撮像画像に含まれている、位置、形状、及び傾きが異なる任意の楕円を、楕円モデルによって適切に表現することが可能となる。
上記態様において、前記情報処理装置は、前記画像内の任意の位置を前記位置情報として取得し、前記任意の位置が前記楕円内に含まれると仮定して前記楕円モデルを適用し、その結果、当該楕円と、前記楕円モデルによって表現される前記楕円形状との類似度が閾値以上となった場合には、前記任意の位置は前記楕円内に含まれていると判定し、当該類似度が当該閾値未満となった場合には、前記任意の位置は前記楕円内に含まれていないと判定する。
この態様によれば、情報処理装置は、撮像画像内の任意の位置に関して楕円を探索し、類似度が閾値以上となった場合にはその位置に楕円が存在するとして処理を続行し、類似度が閾値未満となった場合にはその位置には楕円が存在しないとして次の位置に関する探索を行うことができる。このように、画像内の任意の位置に関して情報処理装置が楕円の探索を行うことにより、画像内の楕円の位置情報をオペレータが情報処理装置に入力するという煩雑な作業を、省略することができる。
上記態様において、前記情報処理装置は、関数モデルを使用する楕円検出方法によって検出された前記中心座標を、前記位置情報として取得することにより、数値モデルを使用する楕円検出方法を実行する。
この態様によれば、まず、処理速度が高速な関数モデルを使用する方法によって粗い探索を行い、次に、検出精度が高い数値モデルを使用する方法によって細密な探索を行うことにより、処理速度の高速化と検出精度の向上とを両立することが可能となる。
本開示の一態様に係るカメラ校正方法(又はカメラパラメータの校正方法)は、校正対象のカメラによって撮像された、三次元の中心座標が既知の円を含む被写体の撮像画像を、楕円を含む画像として情報処理装置に入力し、上記態様に係る楕円検出方法によって、当該楕円に関する、当該画像内の二次元の中心座標を検出し、前記三次元の中心座標と前記二次元の中心座標とに基づいて、前記カメラのパラメータを校正する。
この態様によれば、撮像画像内に含まれる楕円に関する二次元の中心座標を高精度に検出できるため、カメラのパラメータを高精度に校正することが可能となる。
本開示の一態様に係る楕円検出装置は、楕円を含む画像を取得する画像取得部と、前記画像内における前記楕円の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記画像取得部が取得した前記画像と、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出する中心座標検出部と、を備え、前記楕円モデルは、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルである。
この態様によれば、中心座標検出部は、画像内における楕円の中心座標を検出するための楕円モデルとして、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルを使用する。極限値の一方を楕円の内側領域の画素値に対応させ、極限値の他方を楕円の外側領域の画素値に対応させることにより、撮像画像中の楕円を、当該関数モデルで規定される立体形状によって正確に表現することができる。その結果、撮像画像中の楕円の中心座標を高精度に検出することが可能となる。また、当該関数モデルは微分可能であるため、当該関数モデルに含まれるパラメータを最適化するにあたり、最急降下法等の勾配法を使用することができる。その結果、楕円検出装置の処理負荷の軽減及び処理速度の向上を図ることが可能となる。
本開示の一態様に係る楕円検出装置は、楕円を含む画像を取得する画像取得部と、前記画像内における前記楕円の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記画像取得部が取得した前記画像と、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出する中心座標検出部と、を備え、前記楕円モデルは、前記画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現し、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて当該画素の画素値を算出する数値モデルである。
この態様によれば、中心座標検出部は、画像内における楕円の中心座標を検出するための楕円モデルとして、画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現する数値モデルを使用する。これにより、撮像画像中の楕円のエッジに発生しているエイリアシングを当該数値モデルによって再現できるため、撮像画像中の楕円を、当該数値モデルで規定される立体形状によって正確に表現することができる。また、当該数値モデルでは、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて、当該画素の画素値が算出される。これにより、ステップエッジ(二値エッジ)を撮影した際に当該エッジを含む画素に発生する積分効果を、当該数値モデルによって再現することができる。その結果、撮像画像中の楕円の中心座標を高精度に検出することが可能となる。
本開示一態様に係るプログラムは、楕円検出装置が備える情報処理装置を、楕円を含む画像を取得する画像取得手段と、前記画像内における前記楕円の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記画像取得手段が取得した前記画像と、前記位置情報取得手段が取得した前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出する中心座標検出手段と、前記楕円モデルは、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルである、として機能させる。
この態様によれば、中心座標検出手段は、画像内における楕円の中心座標を検出するための楕円モデルとして、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルを使用する。極限値の一方を楕円の内側領域の画素値に対応させ、極限値の他方を楕円の外側領域の画素値に対応させることにより、撮像画像中の楕円を、当該関数モデルで規定される立体形状によって正確に表現することができる。その結果、撮像画像中の楕円の中心座標を高精度に検出することが可能となる。また、当該関数モデルは微分可能であるため、当該関数モデルに含まれるパラメータを最適化するにあたり、最急降下法等の勾配法を使用することができる。その結果、情報処理装置の処理負荷の軽減及び処理速度の向上を図ることが可能となる。
本開示の一態様に係るプログラムは、楕円検出装置が備える情報処理装置を、楕円を含む画像を取得する画像取得手段と、前記画像内における前記楕円の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記画像取得手段が取得した前記画像と、前記位置情報取得手段が取得した前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出する中心座標検出手段と、前記楕円モデルは、前記画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現し、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて当該画素の画素値を算出する数値モデルである、として機能させる。
この態様によれば、中心座標検出手段は、画像内における楕円の中心座標を検出するための楕円モデルとして、画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現する数値モデルを使用する。これにより、撮像画像中の楕円のエッジに発生しているエイリアシングを当該数値モデルによって再現できるため、撮像画像中の楕円を、当該数値モデルで規定される立体形状によって正確に表現することができる。また、当該数値モデルでは、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて、当該画素の画素値が算出される。これにより、ステップエッジ(二値エッジ)を撮影した際に当該エッジを含む画素に発生する積分効果を、当該数値モデルによって再現することができる。その結果、撮像画像中の楕円の中心座標を高精度に検出することが可能となる。
上述した本開示の包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又はこれらの任意の組合せとして実現することができる。また、このようなコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な不揮発性の記録媒体として流通させ、あるいは、インターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは言うまでもない。
以下で説明する実施形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、全ての実施形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る楕円検出装置1Aの構成を簡略化して示すブロック図である。楕円検出装置1Aは、フレームメモリ11及び楕円検出部12Aを備えている。楕円検出部12Aは、画像取得部121、位置情報取得部122、及び中心座標検出部123を有している。フレームメモリ11は、半導体メモリ等の任意の記憶装置を用いて構成されている。楕円検出部12Aは、図示しないROM等の記録媒体から読み出したコンピュータプログラムをCPU等のプロセッサが実行することによってソフトウェア的に実現されてもよいし、FPGA等の専用回路を用いてハードウェアとして実現されてもよい。
図1は、本開示の第1実施形態に係る楕円検出装置1Aの構成を簡略化して示すブロック図である。楕円検出装置1Aは、フレームメモリ11及び楕円検出部12Aを備えている。楕円検出部12Aは、画像取得部121、位置情報取得部122、及び中心座標検出部123を有している。フレームメモリ11は、半導体メモリ等の任意の記憶装置を用いて構成されている。楕円検出部12Aは、図示しないROM等の記録媒体から読み出したコンピュータプログラムをCPU等のプロセッサが実行することによってソフトウェア的に実現されてもよいし、FPGA等の専用回路を用いてハードウェアとして実現されてもよい。
楕円検出装置1Aには、カメラ2、モニタ3、入力部4、及び座標格納部5が接続されている。カメラ2は、所定の対象エリアを撮影するセンシングカメラ等であり、魚眼レンズ又は超広角レンズ等の、画像の歪みが大きいレンズを有する。モニタ3は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。入力部4は、マウス、キーボード、又はタッチパネル等の、オペレータが操作可能な任意の入力装置である。座標格納部5は、半導体メモリ等の任意の記憶装置を用いて構成されている。
画像の歪みが大きいカメラ2を対象として、そのカメラパラメータを校正(キャリブレーション)するためには、カメラ2によって撮像された画像中の二次元座標(画像座標とも称する)を、三次元空間中の三次元座標(世界座標とも称する)に対応付ける必要がある。そのために、円の位置及び形状が既知である繰り返し円パターンが内面に描かれた直方体の内部をカメラ2によって撮像することにより、各円の中心位置に関して画像座標と世界座標との対応付けが行われる。当該直方体は、例えば、幅及び高さがいずれも100cm、奥行きが40cmの中空の箱体であり、直径5cmの複数の真円から成る繰り返し円パターンが箱体の内面に描かれている。円は白色で着色されており、それ以外の領域は黒色で着色されている。箱体の特定の位置に世界座標の原点が定められ、幅(水平方向寸法)、高さ(鉛直方向寸法)、及び奥行きの各方向に沿って直交3軸(X軸、Y軸、及びZ軸)が規定される。これにより、着目円と原点との位置関係(原点からどの方向に何番目の円か)によって、着目円の世界座標系の中心座標(X,Y,Z)を特定することができる。
図2は、上記直方体の内部をカメラ2によって撮像することによって得られた撮像画像20を示す図である。撮像画像20の画像データD1は、カメラ2から楕円検出装置1Aに入力され、フレームメモリ11に格納される。画像データD1は、フレームメモリ11から楕円検出部12Aに入力される。また、画像データD1は、フレームメモリ11からモニタ3に入力される。これにより、撮像画像20がモニタ3上に表示される。上記の通り、カメラ2には画像の歪みが大きいレンズが使用されている。そのため、撮像画像20では、特にその周縁部において、実際には真円である円が歪んで楕円21となっている。
オペレータは、モニタ3上に表示された撮像画像20において、画像の左上角を原点Oとした着目円の画像座標系の中心座標(幅方向のx座標及び高さ方向のy座標)を、ピクセル精度で読み取って入力部4から入力する。着目円は、上記直方体の2面以上に分布する13個以上の楕円21であり、望ましくは全ての楕円21である。各着目円に関する画像座標系の中心座標(x,y)と世界座標系の中心座標(X,Y,Z)とを示す位置情報D2が、入力部4から楕円検出部12Aに入力される。
図3は、楕円検出部12Aによる楕円検出処理の流れを示すフローチャートである。
まずステップS101において画像取得部121は、フレームメモリ11から画像データD1を取得する。画像取得部121は、取得した画像データD1を中心座標検出部123に入力する。
次にステップS102において位置情報取得部122は、撮像画像20内における楕円位置の初期値を示す情報として、入力部4から位置情報D2を取得する。位置情報取得部122は、取得した位置情報D2を中心座標検出部123に入力する。なお、後述する各パラメータa,d,Wx,Wy,b,c,α,β,σの初期値も、ステップS102で楕円検出部12Aに与えられる。
次にステップS103において中心座標検出部123は、画像データD1で示される撮像画像20のうち、位置情報D2で示される着目円の中心座標(x,y)を中心とする矩形画像を切り出す。矩形画像の大きさは、一の着目円に相当する一の着目楕円を包含できる大きさに設定されており、例えば、x方向及びy方向にそれぞれ11画素である。中心座標検出部123は、切り出した矩形画像をオーバーサンプリングすることにより、矩形画像の各画素を複数のサブピクセルに分割する。矩形画像がx方向及びy方向のそれぞれに関してNx倍(例えば10倍)及びNy倍(例えば10倍)にオーバーサンプリングされることにより、矩形画像の1画素はNx×Ny個(例えば100個)のサブピクセルに分割される。Nx,Nyをそれぞれ「2」以上に設定することによって、楕円のエッジに発生しているエイリアシングを再現することができる。
次にステップS104において中心座標検出部123は、オーバーサンプリングされた矩形画像に対してガウシアンフィルタ等の平滑化フィルタを適用することにより、各サブピクセルの画素値を、周辺の複数のサブピクセルの画素値を用いて平滑化する。ガウシアンフィルタは、画像座標を(x,y)、入力の画素値をI(x,y)、フィルタ適用後の画素値をI’(x、y)とすると、下記式で表される。
ここで、*はコンボリューション(畳み込み積分)を表し、σGは像のボケの度合いを表す。なお、本実施形態においてステップS103,S104の処理はオプションで実行され、省略することもできる。
次にステップS105Aにおいて中心座標検出部123は、オーバーサンプリング及び平滑化された矩形画像に対して、所定の楕円モデルを適用する。本実施形態において使用される楕円モデルは、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルである。以下、関数モデルの例について説明する。
第1の例では、図4及び下記式で表されるロジスティック関数を使用する。
この二次元のロジスティック関数を三次元に拡張する。拡張した三次元のロジスティック関数を、図5及び下記式で表す。図5の例では定数r0=5である。
特徴は以下の通りである。x,yの変域は-∞から+∞である。r=√(x2+y2)とすると、rの変域は0~∞であり、r=r0のときz=0.5となる。zは画素値に相当する。rの+∞の極限は定数(標準形の場合は1)に収束する。任意の回数で微分可能である。z軸対称である。
第2の例では、図6及び下記式で表されるarc-tangent関数を使用する。
この二次元のarc-tangent関数を三次元に拡張する。拡張した三次元のarc-tangent関数を、図7及び下記式で表す。図7の例ではr0=5である。
特徴は以下の通りである。x,yの変域は-∞から+∞である。r=√(x2+y2)とすると、rの変域は0~∞であり、r=r0のときz=π/2となる。rの+∞の極限は定数(標準形の場合はπ/2)に収束する。任意の回数で微分可能である。z軸対称である。
第3の例では、図8及び下記式で表される累積標準正規分布関数を使用する。
この二次元の累積標準正規分布関数を三次元に拡張する。拡張した三次元の累積標準正規分布関数を、図9及び下記式で表す。図9の例ではr0=5である。
特徴は以下の通りである。x,yの変域は-∞から+∞である。r=√(x2+y2)とすると、rの変域は0~∞であり、r=r0のときz=1となる。rの+∞の極限は定数(標準形の場合は1)に収束する。任意の回数で微分可能である。z軸対称である。
第1~第3の例で示した関数モデルはいずれも、正の無限大(三次元モデルのr=+∞)及び負の無限大(三次元モデルのr=0)において異なる極限値を持つ微分可能な関数であり、画像内の白色領域及び黒色領域の各画素値に三次元フィッティングするのに適した関数形となっている。
本実施の形態では第1の例を使用する場合について説明する。ロジスティック関数の指数部を、回転した楕円関数に基づいて拡張することにより、任意の楕円形状を立体的に表現可能な関数モデルを得る。この関数モデルによって規定される各画素の画素値M(x,y)を、下記式で表す。
関数モデルのパラメータについて説明する。aは白レベルの画素値を表し、dは黒レベルの画素値を表す。σは像のボケの度合いを表す。bは楕円の中心のx座標を表し、cは楕円の中心のy座標を表す。eは楕円の基準となる円の半径を表し、θは楕円の傾き角度を表す。αはx方向に関する楕円の長さ(長軸及び短軸の一方)を表し、βはy方向に関する楕円の長さ(長軸及び短軸の他方)を表す。α=βのときに楕円は真円となる。
図10は、関数モデルで表現される楕円形状の一例を示す図である。関数モデルのパラメータを様々に変更することによって、任意の楕円形状を立体的に表現することが可能である。
図3のステップS105Aにおいて中心座標検出部123は、矩形画像に含まれる楕円と、関数モデルによって表現される楕円形状との類似度を算出する。類似度としては、下記式で表される、二乗誤差の総和である評価値Jを用いることができる。
ここで、Nは比較を行う画素数(サブピクセル数)であり、Iはk番目に比較する画素座標(xk,yk)の入力画像の画素値を表す。ステップS104でガウシアンフィルタが適用された場合には、画素値I(xk,yk)の代わりに、フィルタ適用後の画素値I’(xk,yk)が使用される。画素値としては、輝度値が使用される。なお、輝度値に代えてRGB値等の色値が使用されてもよい。評価値Jが小さいと類似度は高くなり、評価値Jが大きいと類似度は低くなる。
次にステップS106において中心座標検出部123は、所定の終了条件を満たすか否かを判定する。中心座標検出部123は、ステップS105Aで算出した評価値Jが所定値未満となった場合、又は、ステップS105Aの繰り返し実行回数が所定回数を超えた場合に、終了条件を満たすと判定する。
終了条件を満たさない場合(ステップS106:NO)は、次にステップS107において中心座標検出部123は、関数モデルに含まれるパラメータを変更した後、ステップS105Aの処理を実行する。これにより、評価値Jがより小さくなるように(つまり類似度がより高くなるように)、関数モデルのパラメータが反復的に変更される。変更対象のパラメータには、少なくとも、楕円の位置に関するb,cと、形状に関するα,βと、傾きに関するθとが含まれ、望ましくは全てのパラメータが含まれる。
評価値Jを最小化するa及びdは、下記式で表される連立方程式の解として解析的に求められる。
ここで、Aは下記式で与えられる。
パラメータの初期値は、例えば以下のように設定すればよい。画素値が例えば256階調である場合、aの初期値は「255」、dの初期値は「0」とする。入力された矩形画像のx方向の画素数をWx、y方向の画素数をWyとすると、bの初期値は「Wx/2」、cの初期値は「Wy/2」とする。θの初期値は「0°」とする。α,β,σの初期値はいずれも「1」とする。なお、パラメータの初期値の設定は、この例に限定されない。
上記の通り、本実施形態において使用される楕円モデルは、微分可能な関数モデルである。従って、ステップS107でパラメータを変更するにあたり、中心座標検出部123は、公知技術である最急降下法等の勾配法を使用することができる。
終了条件を満たす場合(ステップS106:YES)は、次にステップS108において中心座標検出部123は、評価値Jが最小となった関数モデルに含まれるパラメータb,cとして表されるx座標及びy座標を、入力された矩形画像に含まれる楕円の中心座標P(x,y)として検出する。中心座標検出部123は、検出した画像座標系の中心座標(x,y)と、入力部4から入力された世界座標系の中心座標(X,Y,Z)とを関連付けて、キャリブレーション用の座標データD3として座標格納部5に格納する。
なお、上記の説明ではロジスティック関数が使用されたが、arc-tangent関数を使用する場合の関数モデルは下記式で表される。
また、arc-tangent関数を使用する場合の評価値Jは下記式で表される。
累積標準正規分布関数を使用する場合の関数モデルは下記式で表される。
また、累積標準正規分布関数を使用する場合の評価値Jは下記式で表される。
本実施形態によれば、楕円検出装置1A(情報処理装置)は、画像内における楕円の中心座標を検出するための楕円モデルとして、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルを使用する。極限値の一方を楕円の内側の白色領域の画素値に対応させ、極限値の他方を楕円の外側の黒色領域の画素値に対応させることにより、撮像画像20中の楕円を、当該関数モデルで規定される立体形状によって正確に表現することができる。その結果、撮像画像20中の楕円の中心座標P(x,y)を高精度に検出することが可能となる。また、当該関数モデルは微分可能であるため、当該関数モデルに含まれるパラメータを最適化するにあたり、最急降下法等の勾配法を使用することができる。その結果、楕円検出装置1Aの処理負荷の軽減及び処理速度の向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態によれば、サブピクセル精度で楕円の中心座標P(x,y)を検出できるため、検出精度を向上することが可能となる。また、平滑化フィルタによって各サブピクセルの画素値を平滑化することにより、楕円のエッジの近傍領域において画素値の変化がなだらかとなるため、微分可能な関数モデルの適用が容易となる。
また、本実施形態によれば、撮像画像20中の楕円と楕円モデルの楕円形状との類似度がより高くなるように、楕円モデルに含まれるパラメータを反復的に変更することによって、楕円の中心座標P(x,y)の検出精度をより向上することが可能となる。
また、本実施形態によれば、反復的に変更されるパラメータに、少なくとも楕円形状の中心座標(b,c)、長軸長さ(α)、短軸長さ(β)、及び傾き角度(θ)を含めることにより、撮像画像20に含まれている、位置、形状、及び傾きが異なる任意の楕円を、楕円モデルによって適切に表現することが可能となる。
(第2実施形態)
図11は、本開示の第2実施形態に係る楕円検出装置1Bの構成を簡略化して示すブロック図である。楕円検出装置1Bは、図1に示した楕円検出部12Aに代えて楕円検出部12Bを備えている。楕円検出部12Bは、楕円検出部12Aと同様に、画像取得部121、位置情報取得部122、及び中心座標検出部123を有している。
図11は、本開示の第2実施形態に係る楕円検出装置1Bの構成を簡略化して示すブロック図である。楕円検出装置1Bは、図1に示した楕円検出部12Aに代えて楕円検出部12Bを備えている。楕円検出部12Bは、楕円検出部12Aと同様に、画像取得部121、位置情報取得部122、及び中心座標検出部123を有している。
図12は、楕円検出部12Bによる楕円検出処理の流れを示すフローチャートである。図3に示したステップS105Aが、ステップS105Bに置き換わっている。なお、本実施形態においては、ステップS103のオーバーサンプリングはオプションではなく必須のステップとなる。
ステップS105Bにおいて中心座標検出部123は、オーバーサンプリング及び平滑化された矩形画像に対して、所定の楕円モデルを適用する。本実施形態において使用される楕円モデルは、画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現し、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて当該画素の画素値を算出する数値モデルである。
図13は、図12に示した類似度算出ステップ(S105B)における処理の流れを具体的に示すフローチャートである。図13の処理は、図12に示した処理をメインルーチンとしたときのサブルーチンとして実行される。
まずステップS201において中心座標検出部123は、矩形画像内に下記式で表される楕円Qを描く。描かれた楕円Qを図14に示す。
次にステップS202において中心座標検出部123は、矩形画像内の各サブピクセルに対して、下記式によって画素値Skを付与する。以下の説明では、各画素の画素値M(x,y)と区別するために、各サブピクセルの画素値を「サブピクセル値」と称する。
上記式で示されるように、中心座標検出部123は、サブピクセルの中心点が楕円Qのエッジ上又はエッジよりも内側にあるサブピクセルに対しては、a+dなるサブピクセル値Skを付与し、サブピクセルの中心点が楕円Qのエッジよりも外側にあるサブピクセルに対しては、dなるサブピクセル値Skを付与する。ここで、kはNx×Ny個に分割された複数のサブピクセルの各々に付与されたインデックス値を示す。
図15は、本実施の形態に係る数値モデルで表現される楕円形状の一例を示す図である。関数モデルと同様に数値モデルのパラメータを様々に変更することによって、任意の楕円形状を立体的に表現することが可能である。
次にステップS203において中心座標検出部123は、ガウシアンフィルタ等の平滑化フィルタを適用することにより、各サブピクセルのサブピクセル値Skを、周辺の複数のサブピクセルのサブピクセル値Skを用いて平滑化する。平滑化フィルタの適用後の各サブピクセルのサブピクセル値は、Sk’となる。
次にステップS204において中心座標検出部123は、下記式に示すように、各画素に含まれている複数のサブピクセルのサブピクセル値Sk’の平均値として、各画素の画素値M(x,y)を算出する。
図16は、画素値M(x,y)の算出例を示す図である。1画素が9個(Nx=Ny=3)のサブピクセルに分割された場合の例が示されている。サブピクセルの中心点(黒丸)が楕円Qのエッジよりも内側にある4個のサブピクセルに対しては、a+dなるサブピクセル値Skが付与されている。サブピクセルの中心点が楕円Qのエッジよりも外側にある5個のサブピクセルに対しては、dなるサブピクセル値Skが付与されている。これら9個のサブピクセル値Skの平均値が算出されることにより、この画素の画素値M(x,y)は(4/9)a+dとなる。
次にステップS205において中心座標検出部123は、矩形画像に含まれる楕円と、数値モデルによって表現される楕円形状との類似度を算出する。類似度としては、下記式で表される、二乗誤差の総和である評価値Jを用いることができる。
中心座標検出部123は、算出した評価値Jをメインルーチンに返す。
次に図12のステップS106において中心座標検出部123は、所定の終了条件を満たすか否かを判定する。
終了条件を満たさない場合(ステップS106:NO)は、次にステップS107において中心座標検出部123は、数値モデルに含まれるパラメータを変更した後、ステップS105Bの処理を実行する。これにより、評価値Jがより小さくなるように(つまり類似度がより高くなるように)、数値モデルのパラメータが反復的に変更される。
上記第1実施形態とは異なり、本実施形態において使用される数値モデルは微分できないため、最急降下法等の勾配法を使用することができない。そのため、中心座標検出部123は、グリッドサーチ等の探索法を用いてパラメータを更新することにより、評価値Jがより小さくなるパラメータを求める。
本実施形態によれば、楕円検出装置1B(情報処理装置)は、画像内における楕円の中心座標を検出するための楕円モデルとして、画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現する数値モデルを使用する。これにより、撮像画像20中の楕円のエッジに発生しているエイリアシングを当該数値モデルによって再現できるため、撮像画像20中の楕円を、当該数値モデルで規定される立体形状によって正確に表現することができる。また、当該数値モデルでは、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数のサブピクセル値Skに基づいて、当該画素の画素値M(x,y)が算出される。これにより、ステップエッジ(二値エッジ)を撮影した際に当該エッジを含む画素に発生する積分効果を、当該数値モデルによって再現することができる。その結果、撮像画像20中の楕円の中心座標P(x,y)を高精度に検出することが可能となる。
図17は、画素の積分効果を説明するための図である。入力画像のうちステップエッジを含む画素については、画素の積分効果によって画素値が決まる。例として、イメージセンサの1画素の半分の領域に、a+dの画素値に相当する光が入射し、残り半分の領域に、dの画素値に相当する光が入射した場合を考える。この場合、イメージセンサの当該画素から出力される画素値は、(1/2)a+dとなる。つまり、受光光量の面積比率に基づいてその画素の画素値が決まる。本実施形態では上記の通り、各画素に含まれている複数のサブピクセルのサブピクセル値Sk’の平均値として、各画素の画素値M(x,y)が求められる。これにより、面積比率に基づいて画素値が決定されるという画素の積分効果が、本実施形態に係る数値モデルによって適切に再現されている。
図18は、第1実施形態及び第2実施形態に関して、楕円中心座標の検出精度を比較した図である。特性K1は、ロジスティック関数の関数モデルを使用した第1実施形態に対応し、特性K2は、数値モデルを使用した第2実施形態に対応する。第2実施形態では、画素の積分効果が適切に再現されることにより、横軸の画素座標(サブピクセル位置)に対して縦軸の画素値が線形比例している。例えば画素値「200」を与える画素座標は、第2実施形態では「0.28」であるのに対して、第1実施形態では「0.13」となっており、この差「0.15」が第1実施形態の誤差となる。
(第3実施形態)
図19は、本開示の第3実施形態に係る楕円検出装置1Cの構成を簡略化して示すブロック図である。楕円検出装置1Cは、図1に示した楕円検出部12Aに代えて楕円検出部12Cを備えている。楕円検出部12Cは、楕円検出部12Aと同様に、画像取得部121、位置情報取得部122、及び中心座標検出部123を有している。
図19は、本開示の第3実施形態に係る楕円検出装置1Cの構成を簡略化して示すブロック図である。楕円検出装置1Cは、図1に示した楕円検出部12Aに代えて楕円検出部12Cを備えている。楕円検出部12Cは、楕円検出部12Aと同様に、画像取得部121、位置情報取得部122、及び中心座標検出部123を有している。
図20は、楕円検出部12Cによる楕円検出処理の流れを示すフローチャートである。
まずステップS301において画像取得部121は、フレームメモリ11から画像データD1を取得する。画像取得部121は、取得した画像データD1を中心座標検出部123に入力する。
次にステップS302において位置情報取得部122は、撮像画像20内における楕円位置の初期値を示す情報として、入力部4から位置情報D2を取得する。位置情報取得部122は、取得した位置情報D2を中心座標検出部123に入力する。また、上述した各パラメータa,d,Wx,Wy,b,c,α,β,σの初期値も、ステップS302で楕円検出部12Cに与えられる。
次にステップS303において中心座標検出部123は、上記第1実施形態で説明した関数モデルを使用した方法によって、楕円の中心座標を検出する。つまり、計算コストの低い高速な方法によって中心座標の粗探索を行う。
次にステップS304において中心座標検出部123は、ステップS303で検出された中心座標を位置情報D2として用いる(つまり楕円検出部12Cが出力した座標データD3を自身へ入力する)ことにより、上記第2実施形態で説明した数値モデルを使用した方法によって、楕円の中心座標を検出する。つまり、ステップS303の粗探索で検出された中心座標の周辺領域のみを対象として、低速ではあるが高精度の方法によって中心座標の細密探索を行う。
本実施形態によれば、まず、処理速度が高速な関数モデルを使用する方法によって粗探索を行い、次に、検出精度が高い数値モデルを使用する方法によって細密探索を行うことにより、処理速度の高速化と検出精度の向上とを両立することが可能となる。
(第4実施形態)
図21は、本開示の第4実施形態に係る楕円検出装置1Dの構成を簡略化して示すブロック図である。楕円検出装置1Dは、図1に示したモニタ3及び入力部4に代えて位置情報設定部31を備えている。また、楕円検出装置1Dは、図1に示した楕円検出部12Aに代えて楕円検出部12Dを備えている。楕円検出部12Dは、楕円検出部12Aと同様に、画像取得部121、位置情報取得部122、及び中心座標検出部123を有している。また、楕円検出部12Dは、判定部32を有している。
図21は、本開示の第4実施形態に係る楕円検出装置1Dの構成を簡略化して示すブロック図である。楕円検出装置1Dは、図1に示したモニタ3及び入力部4に代えて位置情報設定部31を備えている。また、楕円検出装置1Dは、図1に示した楕円検出部12Aに代えて楕円検出部12Dを備えている。楕円検出部12Dは、楕円検出部12Aと同様に、画像取得部121、位置情報取得部122、及び中心座標検出部123を有している。また、楕円検出部12Dは、判定部32を有している。
位置情報設定部31は、適当な所定間隔の複数の縦線及び横線から成る格子を撮像画像20の全面に描き、格子の複数の交差点の各々の座標(画像座標)を、位置情報D2として楕円検出部12Dに入力する。これにより、位置情報取得部122は、撮像画像20内の楕円21の中心座標とは直接的な関係の無い、撮像画像20内の任意の位置の座標を、位置情報D2として取得する。
中心座標検出部123は、格子の複数の交差点の各々に関して、上記第1実施形態と同様の方法によって、楕円の中心座標の検出処理を実行する。但し、上記第2実施形態又は上記第3実施形態と同様の方法が使用されても良い。その際、中心座標検出部123は、上記第1実施形態と同様に、矩形画像に含まれる楕円と関数モデルによって表現される楕円形状との類似度(評価値J)を算出する。判定部32は、中心座標検出部12によって算出された類似度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。判定部32は、類似度が閾値以上である場合には、その交差点は撮像画像20内のいずれかの楕円内に含まれていると判定する。この場合、中心座標検出部123は、その交差点に関して楕円の中心座標の検出処理を続行する。一方、類似度が閾値未満である場合には、判定部32は、その交差点は撮像画像20内のいずれの楕円内にも含まれていないと判定する。この場合、中心座標検出部123は、その交差点に関しては楕円の中心座標の検出処理を中止し、格子の次の交差点に関する探索を行う。
本実施形態によれば、楕円検出装置1Dは、撮像画像20内の任意の位置に関して楕円を探索し、類似度が閾値以上となった場合にはその位置に楕円が存在するとして処理を続行し、類似度が閾値未満となった場合にはその位置には楕円が存在しないとして次の位置に関する探索を行う。このように、撮像画像20内の任意の位置に関して楕円検出装置1Dが楕円の探索を行うことにより、撮像画像20内の楕円の位置情報をオペレータが楕円検出装置1Aに入力するという煩雑な作業を、省略することができる。
本開示に係る楕円検出方法は、センシングカメラ等のカメラ校正(キャリブレーション)において特に有用である。
図22は、カメラ校正処理の流れを示すフローチャートである。まずステップS401において校正装置は、校正対象のカメラに関するカメラパラメータを取得する。次にステップS402において校正装置は、本開示に係る楕円検出方法によって検出されて座標格納部5に格納された座標データD3を、校正点データとして取得する。次にステップS403において校正装置は、取得した校正点データに基づいて、カメラパラメータを校正する。
1A~1D 楕円検出装置
2 カメラ
5 座標格納部
12A~12D 楕円検出部
20 撮像画像
121 画像取得部
122 位置情報取得部
123 中心座標検出部
2 カメラ
5 座標格納部
12A~12D 楕円検出部
20 撮像画像
121 画像取得部
122 位置情報取得部
123 中心座標検出部
Claims (12)
- 情報処理装置が、
楕円を含む画像を取得し、
前記画像内における前記楕円の位置情報を取得し、
前記画像と、前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出し、
前記楕円モデルは、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルである、楕円検出方法。 - 前記情報処理装置は、取得した前記画像に対して、各画素を複数のサブピクセルに分割し、平滑化フィルタによって各サブピクセルの画素値を周辺の複数のサブピクセルの画素値を用いて平滑化し、これらの処理が実行された前記画像に対して前記楕円モデルを適用する、請求項1に記載の楕円検出方法。
- 情報処理装置が、
楕円を含む画像を取得し、
前記画像内における前記楕円の位置情報を取得し、
前記画像と、前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出し、
前記楕円モデルは、前記画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現し、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて当該画素の画素値を算出する数値モデルである、楕円検出方法。 - 前記情報処理装置は、取得した前記画像に含まれる前記楕円と、前記楕円モデルによって表現される前記楕円形状との類似度がより高くなるように、前記楕円モデルに含まれるパラメータを反復的に変更する、請求項1~3のいずれか一つに記載の楕円検出方法。
- 前記パラメータは、少なくとも前記楕円形状の中心座標、長軸長さ、短軸長さ、及び傾き角度を含む、請求項4に記載の楕円検出方法。
- 前記情報処理装置は、
前記画像内の任意の位置を前記位置情報として取得し、
前記任意の位置が前記楕円内に含まれると仮定して前記楕円モデルを適用し、
その結果、当該楕円と、前記楕円モデルによって表現される前記楕円形状との類似度が閾値以上となった場合には、前記任意の位置は前記楕円内に含まれていると判定し、当該類似度が当該閾値未満となった場合には、前記任意の位置は前記楕円内に含まれていないと判定する、請求項1~5のいずれか一つに記載の楕円検出方法。 - 前記情報処理装置は、請求項1に記載の楕円検出方法によって検出された前記中心座標を、前記位置情報として取得する、請求項3に記載の楕円検出方法。
- 校正対象のカメラによって撮像された、三次元の中心座標が既知の円を含む被写体の撮像画像を、楕円を含む画像として情報処理装置に入力し、
請求項1~7のいずれか一つに記載の楕円検出方法によって、当該楕円に関する、当該画像内の二次元の中心座標を検出し、
前記三次元の中心座標と前記二次元の中心座標とに基づいて、前記カメラのパラメータを校正する、カメラ校正方法。 - 楕円を含む画像を取得する画像取得部と、
前記画像内における前記楕円の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記画像取得部が取得した前記画像と、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出する中心座標検出部と、
を備え、
前記楕円モデルは、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルである、楕円検出装置。 - 楕円を含む画像を取得する画像取得部と、
前記画像内における前記楕円の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記画像取得部が取得した前記画像と、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出する中心座標検出部と、
を備え、
前記楕円モデルは、前記画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現し、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて当該画素の画素値を算出する数値モデルである、楕円検出装置。 - 楕円検出装置が備える情報処理装置を、
楕円を含む画像を取得する画像取得手段と、
前記画像内における前記楕円の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記画像取得手段が取得した前記画像と、前記位置情報取得手段が取得した前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出する中心座標検出手段と、
前記楕円モデルは、正の無限大及び負の無限大において異なる極限値を持つ微分可能な関数を用いて楕円形状を立体的に表現する関数モデルである、
として機能させるためのプログラム。 - 楕円検出装置が備える情報処理装置を、
楕円を含む画像を取得する画像取得手段と、
前記画像内における前記楕円の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記画像取得手段が取得した前記画像と、前記位置情報取得手段が取得した前記位置情報と、所定の楕円モデルとに基づいて、前記画像内における前記楕円の中心座標を検出する中心座標検出手段と、
前記楕円モデルは、前記画像の各画素を複数のサブピクセルに分割し、各サブピクセルに高低二値の画素値のいずれかを付与することによって楕円形状を立体的に表現し、一の画素に含まれる複数のサブピクセルに付与された複数の画素値に基づいて当該画素の画素値を算出する数値モデルである、
として機能させるためのプログラム。
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