JP2023113417A - 廃糖蜜等の脱色方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、簡便かつ効率的な廃糖蜜等の脱色方法の開発を課題とする。【解決手段】本発明は、骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させる工程、を含む、糖蜜または廃糖蜜の脱色方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、廃糖蜜等の脱色方法等に関する。
砂糖の製糖工程では廃糖蜜と呼ばれる黒褐色の着色された糖液が多量に副生される。現在、廃糖蜜は、飼料の他、エタノール、アミノ酸、イースト製造用等の発酵原料として利用されている。しかしながら、廃糖蜜発酵後の廃液の脱色は困難な為、環境面での負荷が大きく、廃糖蜜の発酵原料としての利用価値は軽視されてきた。ところが、近年SDGsへの取組みが国内外問わず加速しており、廃糖蜜の利用価値が見直されつつある。
廃糖蜜の脱色方法としては、限外濾過膜もしくは逆浸透膜で、廃糖蜜およびその含有物をインベルターゼで処理したものを濾過することを特徴とする廃糖蜜の脱色方法(特許文献1)や、廃糖蜜を希釈してpH変化により固形物を自然沈降させて上澄み液を分離する廃糖蜜の処理法(特許文献2)が知られている。
しかし、前者の方法では、事前にインベルターゼ酵素処理や50~70℃への加温を行う必要があり、着色物質等の不純物による膜の目詰まりのため膜の寿命が短く、膜交換に要するランニングコストが大きいという問題点を有していた。また、後者に示される方法では、廃糖蜜の着色物質との分離が十分でなく、分離効率は実用上満足できるレベルではなかった。
特開昭63-207400号 特開平4-131100号
前述のような酵素処理や加温のようなコストのかかる処理方法を用いずに、かつ廃糖蜜等に含まれる着色物質の分離効率を高めて、発酵産業に有効に活用できる方法の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、骨炭を用いて廃糖蜜を処理することにより、廃糖蜜中の着色物質を効果的に分離でき、廃糖蜜を脱色できることを知見した。このような知見に基づき、本発明は完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨は以下に関する。
[1] 骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程、
を含む、糖蜜または廃糖蜜の脱色方法。
[2] pH6未満に調整された骨炭を用いる、[1]に記載の脱色方法。
[3] 骨炭の粒度が、16メッシュ以上である、[1]または[2]に記載の脱色方法。[4] 骨炭が、牛骨炭である、[1]~[3]のいずれかに記載の脱色方法。
[5] 骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程、
を含む、着色物質の含有量が低減された糖蜜または廃糖蜜の製造方法。
[6] 骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程、および、
骨炭に吸着した着色物質を分離する工程、
を含む、着色物質の回収方法。
[7] 骨炭からなる、糖蜜または廃糖蜜の脱色剤。
本発明の脱色方法によれば、廃糖蜜等を効果的に脱色することができる。
図1は、実施例で行った実験の概略図である。 図2は、実施例による廃糖蜜からの色度除去率とpHとの関係を示すグラフである。
以下、本発明について説明する。
<糖蜜または廃糖蜜の脱色方法>
本発明の一態様は、骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程、を含む、糖蜜または廃糖蜜の脱色方法(以下、「本発明の脱色方法」ということがある。)に関する。
本発明の脱色方法は、骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程、を含むことを特徴とする。
なお、本発明の脱色方法は、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離した発酵原料に精製する方法、と換言することもできる。
≪糖蜜および廃糖蜜≫
本発明の脱色方法の対象物質となる「糖蜜」は、主としてサトウキビやビートからの砂糖の製造過程で結晶化した糖を回収した後に残ったものである。また、「廃糖蜜」は、主としてサトウキビやビートからの砂糖の製造工程で発生する最終の糖蜜(サトウキビでは六番蜜、ビートでは三番蜜を一般に指す)から砂糖を回収した後に残ったものであって、従来では殆どが産業廃棄物として扱われていたものである。ここで、限定されないが、「糖蜜」および「廃糖蜜」は、好ましくはサトウキビ由来のものである。本発明で使用される糖蜜または廃糖蜜は、一番蜜、二番蜜、三番蜜、四番蜜、五番蜜および六番蜜からなる群より選ばれた1種または2種以上の糖蜜が挙げられる。上記種類の糖蜜であれば、残存する糖分と着色物質とを別々に分離回収することができ、糖蜜および廃糖蜜の脱色が可能である。このうち、着色物質の含有割合が高い五番蜜や六番蜜の使用が特に好ましい。なお、本明細書においては、糖蜜および廃糖蜜を合わせて、「廃糖蜜等」と称することがある。
本発明の脱色方法では、まず、前述した糖蜜または廃糖蜜を水で希釈して廃糖蜜等の希釈液を調製する。ここで廃糖蜜等の希釈液を調製するのは、後に続く工程での取扱いを容易にするためである。糖蜜や廃糖蜜は、水による希釈が任意の割合で可能である。希釈率は、糖蜜や廃糖蜜の全重量に対し、2倍以上、更には3~10倍の水希釈が一般的な条件として考慮される。希釈率が低いほど廃糖蜜等の脱色コストが下がるため好ましいが、希釈率が低すぎる、例えば2倍未満の希釈率の場合では、粘性が高く、効率的な廃糖蜜等の脱色が難しくなる。
≪骨炭≫
本発明の脱色方法では、廃糖蜜等を骨炭と接触させることを特徴とする。これにより、廃糖蜜等中の着色物質を骨炭に吸着させて、廃糖蜜等から着色物質を分離することができ、廃糖蜜等を脱色することができる。
ここで「骨炭」とは、生物の骨を、通常800℃以上の温度で8時間以上蒸し焼きにして、完全に有機物を炭化させて作った多孔質の黒い粒状物である。骨炭の主成分はハイドロキシアパタイトで、その表面は炭素によって被覆されている。骨炭は、このような公知のものを、特に限定されず用いることができる。骨炭は、市販もされており、限定されないが、例えば、株式会社エヌ・シー・コーポレーション製のC-1、F-1、C-3等を用いることができる。
骨炭の由来となる生物種としては、特に限定されず、例えば、牛、豚等の哺乳類、鳥類、魚類等由来の骨炭を用いることができるが、哺乳類由来の骨炭を好ましく用いることができ、牛由来の骨炭(牛骨炭)をより好ましく用いることができる。
骨炭の粒度は、特に限定されないが、骨炭の粒度が小さい方がより色度除去率が高くなるため、効率的な廃糖蜜等の脱色の観点から、例えば、16メッシュ以上であることが好ましい。ここで、粒度とは、50質量%以上の粒子が通過したふるいの最大メッシュを意味する。骨炭の粒度は、より好ましくは20メッシュ以上、さらに好ましくは24メッシュ以上、よりさらに好ましくは28メッシュ以上である。また、好ましくは35メッシュ以下、より好ましくは32メッシュ以下である。また、これらの矛盾しない上限と下限の組み合わせであってよい。より具体的には、例えば、16~32メッシュ、20~32メッシュ、24~32メッシュ、または28~32メッシュであってよい。
なお、メッシュと目開きとの関係は、JIS Z 8801-1:2006に準拠して求められ、16メッシュは目開き1 mm、32メッシュは目開き500 μmに相当する。
≪着色物質≫
糖蜜や廃糖蜜は着色物質として、糖とアミノ酸等のアミノ化合物のアミノカルボニル反応(メイラード反応ともいう)により生成する褐色色素物質であるメラノイジン、熱処理された糖が脱水縮合することにより生成するカラメル色素、ヘキソース・アルカリ分解産物等を含有する。糖蜜や廃糖蜜中に含まれる着色物質の記述は、以降の説明では上記着色物質を一括りしたメラノイジン類似生成物(melanoidin-like products; MLP)の呼称を用いる。本発明の脱色方法は、好ましくは、廃糖蜜等中のMLPを骨炭に吸着させて、廃糖蜜等からMLPを分離することにより、廃糖蜜等を脱色するものである。
≪pHの調整≫
本発明の脱色方法では、反応系のpHは、特に限定されないが、pHが酸性である方がより色度除去率が高くなるため、効率的な廃糖蜜等の脱色の観点から、骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させる工程における系のpHを酸性に調整することが好ましい。系のpHを酸性に調整する態様としては、骨炭のpHを酸性に調整する態様、廃糖蜜等の希釈液のpHを酸性に調整する態様、あるいは骨炭および廃糖蜜等の希釈液の両方のpHを酸性に調整する態様等が挙げられる。このうち、色度除去率に与える影響の大きさから、好ましくは、少なくとも骨炭のpHを酸性に調整する態様(骨炭のpHを酸性に調整する態様、骨炭および廃糖蜜等の希釈液の両方のpHを酸性に調整する態様)であり、さらに好ましくは骨炭および廃糖蜜等の希釈液の両方のpHを酸性に調整する態様である。
骨炭および/または廃糖蜜等のpHは、例えば、pH6未満であることが好ましい。骨炭および/または廃糖蜜等のpHは、より好ましくはpH5以下、さらに好ましくはpH4以下、よりさらに好ましくはpH3以下、特に好ましくはpH2以下である。また、好ましくはpH1以上である。また、これらの矛盾しない上限と下限の組み合わせであってよい。より具体的には
、例えば、pH1~3、pH1~2またはpH1であってよい。
pH調整に使用する酸は、どのような種類の酸を使用してもよい。例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸を使用することが好ましい。
また、pH調整した廃糖蜜等の希釈液は、濁りを生じているため、骨炭との接触の前に、遠心分離等で処理してもよい。この遠心分離処理によって分離させた固形沈殿成分を除去することで、得られた上澄み液の透明度が高まり、本発明の脱色方法で溶離してくる液が、完全に透明になる等の利点がある。遠心分離条件としては、特に限定されないが、例えば、10,000~20,000 rpmの超遠心分離処理が好ましい。
≪接触方法≫
pH調整した廃糖蜜等の希釈液を骨炭と接触させて希釈液中の着色物質を骨炭に吸着させることにより、廃糖蜜等の希釈液から着色物質を分離する。
骨炭と廃糖蜜等の希釈液との接触方法は、特に限定されないが、例えば、骨炭をカラムに詰め、カラムの下方から廃糖蜜等の希釈液を一定の流量で通液させる方法が、簡便性等の点から好ましく行われる。廃糖蜜等の希釈液をカラムに通液して、カラム中の骨炭と接触させることで、希釈液中の着色物質が骨炭に吸着され、骨炭に吸着されない糖分等はカラムから排出され、回収される。この工程により廃糖蜜等の希釈液中の着色物質が骨炭に高効率で吸着する。カラムに通液した後に素通り画分として回収された糖溶液は、エタノール発酵等の原料として利用してもよい。
着色物質を吸着させる接触処理においては、限定されないが、一般的には次のような条件が好適に採用される。なお、一般にクロマト樹脂の使用方法として、カラムへの送液温度を上げる、またはカラム自体を加温する等行って分離能を上げることがよく試みられるが、本発明の脱色方法では加温しなくても十分な分解能を得ることができるため、加温は特に行わなくてもよい。
廃糖蜜等の希釈液の供給速度:5~8 cm3/cm2・min
廃糖蜜等の希釈液の液温:10~28℃
廃糖蜜等の希釈液の希釈率:2~10倍
骨炭および廃糖蜜等の希釈液のpH:1~3
骨炭1mLあたりの廃糖蜜等の希釈液流量:0.7~1.4 mL
<着色物質の含有量が低減された糖蜜または廃糖蜜の製造方法>
さらなる本発明の一態様は、骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程、を含む、着色物質の含有量が低減された糖蜜または廃糖蜜の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ということがある。)に関する。
上記のとおり、廃糖蜜等を骨炭と接触させることにより、廃糖蜜等中の着色物質を骨炭に吸着させて、廃糖蜜等から着色物質を分離することができ、廃糖蜜等を脱色することができる。本発明の製造方法では、このような工程を経ることにより、着色物質の含有量が低減された糖蜜または廃糖蜜を製造することができる。すなわち、本発明の製造方法における糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程は、上記本発明の脱色方法において説明された条件および手法にて行うことができる。なお、上記本発明の脱色方法の項において説明された事項は、本発明の製造方法の説明に全て適用される。
ここで、「着色物質の含有量が低減された」とは、限定されないが、脱色前の廃糖蜜等
の着色物質の含有量に比べて、脱色後の廃糖蜜等の着色物質の含有量が低減していればよく、限定されないが、例えば、脱色後の廃糖蜜等の着色物質の含有量が脱色前の廃糖蜜等の着色物質の含有量の50%以下、10%以下、5%以下、または1%以下である。例えば廃糖蜜等の着色物質の含有量が低減したか否かは、下記の実施例に示されたような吸光度分析試験により確認することができる。例えば、廃糖蜜等の着色物質の含有量を反映する波長(例えば、405 nmまたは420 nm)における吸光度を指標にして、脱色前の廃糖蜜等と比較して、脱色後の廃糖蜜等の吸光度が低い場合には、着色物質の含有量が低減していると判断することができる。また、吸光度を指標として、低減の割合も算出することができる。
<着色物質の回収方法>
さらなる本発明の一態様は、骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程、および、骨炭に吸着した着色物質を分離する工程、を含む、着色物質の回収方法(以下、「本発明の回収方法」ということがある。)に関する。
上記のとおり、廃糖蜜等を骨炭と接触させることにより、廃糖蜜等中の着色物質を骨炭に吸着させて、廃糖蜜等から着色物質を分離することができる。さらに、骨炭に吸着した着色物質を分離する工程を経ることにより、廃糖蜜等中の着色物質を回収することができる。すなわち、本発明の回収方法における糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程は、上記本発明の脱色方法において説明された条件および手法にて行うことができる。なお、上記本発明の脱色方法の項において説明された事項は、本発明の回収方法の説明に全て適用される。
≪着色物質の回収≫
着色物質を吸着した骨炭から着色物質を回収する工程では、着色物質を吸着した骨炭にアルカリ水溶液を接触させて、骨炭から着色物質が溶離した液を得る。骨炭とアルカリ水溶液との接触は、前工程での廃糖蜜等の希釈液の通液を終え、水洗した後、カラムにアルカリ水溶液を一定の流量で通液することにより行われる。この工程では骨炭から大方の着色物質が脱離するので、カラム再生が非常に容易である。骨炭からの着色物質の溶離にアルカリ水溶液を用いるのは、疎水性相互作用で吸着していた着色物質をアルカリ条件にして酸性解離基に負電荷を持たせ骨炭との相互作用力を失わせるためである。使用するアルカリ水溶液としては、特に限定されないが、例えば、NaOHやKOH、Ca(OH)2等が挙げられる。アルカリ水溶液は、例えば、0.01~1 Mの濃度で用いることが好適である。水溶液濃度が下限値未満では、上記の理由により着色物質が溶離されないという不具合を生じる。また、溶離する際のアルカリ水溶液の液温は、特に限定されないが、例えば、室温(10~28℃)が好ましい。
以上述べたように、上記工程を経ることで、廃糖蜜等から簡便に残存糖分と着色物質とに分離して、効率良く廃糖蜜等を脱色し、また、着色物質を得ることができる。
なお、得られた着色物質が溶離した液について、着色物質をさらに精製する場合には、例えば、着色物質が溶離した液をイオン交換クロマトグラフィーやゲルろ過クロマトグラフィーなどの各種クロマト技術を行うことにより達成される。
また、得られた着色物質が溶離した液を凍結乾燥してもよい。着色物質が溶離した液を凍結乾燥して着色物質を粉末状態とすることで、運搬や保管などをする際の取扱いが容易になる。着色物質が溶離した液を凍結乾燥した粉末は、雲母のような形状でキラキラと金属光沢を示す。
本発明の回収方法により得られる、主にMLPである着色物質は、その強力なイオン交換
能、長波長域から短波長側にむかって単調に上昇する吸収曲線、そして赤外(IR)吸収スペクトルから、フミン物質の一種であるフルボ酸にその特性が酷似している。ここでいうフミン物質は、一般的には「腐植物質」と呼ばれるものであって、植物などが土壌中の微生物によって複雑に分解、重合されて生成する最終生成物である。このフミン物質は高温高圧などの物理的作用を与えることで、石炭や石油になるといわれている。フミン物質の代表的なものとしてはフミン酸やフルボ酸などが存在する。フミン物質はどのような反応機構を経ることで生成されるか未だ解明されていないため、フミン物質であるフルボ酸に構造および特性が類似しているMLPを研究、解析することによって、フミン物質の誕生過程の解明が期待される。
本発明の回収方法により得られる着色物質は、3400 cm-1、1650 cm-1および1050 cm-1にそれぞれ赤外吸収ピークを有する。3400 cm-1の吸収ピークは、水素結合に関与しているO-H振動に、1650 cm-1の吸収ピークは、C=Oと共役している芳香族C=C振動に、1050 cm-1の吸収ピークは、アルコールまたはエステルのC-OH振動にそれぞれ帰属されている。上記赤外吸収ピークは、フルボ酸が有する赤外吸収ピークと一致するものであり、本発明の回収方法により得られる着色物質とフルボ酸の特性が類似することを裏付けるデータの一つとなる。
また、本発明の回収方法により得られる着色物質は、フルボ酸と類似した特性を有するので、フルボ酸と同様に、土壌改良剤、肥料、水質改良剤、凝集剤等として広範囲への応用が期待できる。
<脱色剤>
さらなる本発明の一態様は、骨炭からなる、糖蜜または廃糖蜜の脱色剤(以下、「本発明の脱色剤」ということがある。)に関する。なお、本発明の脱色剤は、廃糖蜜等中の着色物質の除去用吸着剤、と換言することもできる。
本発明の脱色剤を用いて、廃糖蜜等の脱色を実施する方法は、上記本発明の脱色方法において説明された条件および手法にて行うことができる。例えば、骨炭をカラムに詰め、カラムの下方から廃糖蜜等の希釈液を通液させ、カラム中の骨炭と接触させることで、希釈液中の着色物質を骨炭に吸着させ、骨炭に吸着されない糖分等をカラムから回収することで行うことができる。すなわち、上記本発明の脱色方法の項において説明された事項は、本発明の脱色剤の説明に全て適用される。
本発明の脱色剤は、単独で使用してもよいが、必要に応じ、例えば、公知の他の脱色剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等の任意成分と併用してもよい。これらが混合された脱色用組成物を構成する場合、一般的な手法により製造することができる。このような態様も本発明に包含させる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の例示であり、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(材料および方法)
必要体積の骨炭(C-1(16 mesh)およびC-3(32 mesh);株式会社エヌ・シー・コーポレーション)をその倍の量の水に浸して、HClまたはNaOHを用いて設定pHになるまで時間をかけて調整する。ちなみに100 mLの骨炭をpH1に合わせるまでに約三日かかる。
50または100 mL骨炭をそれぞれに合った大きさのカラムに充填して、骨炭の設定pHに合わせたイオン交換水で十分に洗浄しておく。
使用する廃糖蜜は、大日本明治製糖社より提供されたものを使用した。調整に当たっては、まずイオン交換水で三倍希釈して75 mLにして、各設定pHにHClまたはNaOHを用いて調整した。これを冷却遠心機で4℃、12,000 rpm (19320 g)で20 min遠心処理をおこない、上清を各実験で使用する廃糖蜜希釈溶液とした。
<実施例1>骨炭による廃糖蜜の色度除去効果の検討
上記のように調製した骨炭を充填したカラムに上向流で廃糖蜜希釈溶液を通液した。通液は室温条件で、フラクションコレクターを用いて分画した。流速はコレクターにおいて約3秒で1滴落ちるように調整した。希釈溶液を通液し終わった後、カラムを反転して通液をイオン交換水に切り替えた。分画した各フラクションは、分光光度計を用いて420 nmの吸光度、および糖度計を用いてBrix値を測定した(図1)。色度除去率は、Brix値 < 1となったフラクションの直前のフラクションまでの吸光度積分値/通液した廃糖蜜希釈溶液の吸光度積分値の割合として算出した。MLPは、Brix値 < 1のフラクションを確認した後、カラムを水洗後に0.1 N KOHを通液して回収した。
まず、骨炭による廃糖蜜の色度除去率のpH依存性を検討した。C-1骨炭および廃糖蜜を各pHに調整し、上記のように(100 mLカラム、420 nmで吸光度を測定した)、廃糖蜜の色度除去効果を検討した。色度除去率の結果を図2に示す。骨炭および廃糖蜜のpHを酸性に調整することでより高い色度除去率を示した。特に、pH<3では約90%以上の高い色度除去率を示した。骨炭および廃糖蜜の一方のpHを固定し、もう一方のpHを変化させた場合も検証した結果、骨炭のpHが色度除去率に大きな影響を与えていることが分かった(表1)。
C-1骨炭、C-3骨炭および廃糖蜜をそれぞれpH7に調整し、廃糖蜜の色度除去効果を検討した。その結果、C-3骨炭の100 mLカラムによる色度除去率は99%、C-3骨炭の50 mLカラムによる色度除去率は96%、C-1骨炭の50 mLカラムによる色度除去率は58%であった。以上の結果より、骨炭による廃糖蜜の色度除去効果が確認された。また、骨炭の粒子径を小さくすることで、より色度除去率が高くなることが示された。
さらに、骨炭による廃糖蜜中の着色物質の吸着容量を検討した。50 mLのC-1骨炭(pH1)またはC-3骨炭(pH1および9)を充填したカラムにpH未調整の廃糖蜜(pH 5.4)の希釈溶液を上向流で通液し、溶出液は分画してプレートリーダを用いて405 nmの吸光度を測定した。カラムからの溶出液の吸光度が通液した希釈溶液のそれより大きくなった画分で実験を停止し、その時の通液量を活性炭のMLP吸着限界量(A405・mL)とした。その結果、C-1骨炭(pH1)では最終通液量は223 mL、MLP吸着限界量は7292(A405・mL)、C-3骨炭(pH1)では最終通液量は444 mL、MLP吸着限界量は16423(A405・mL)、pH未調整のC-3骨炭(pH9)では最終通液量は260 mL、MLP吸着限界量は7797(A405・mL)であった。いずれの条件でも骨炭による廃糖蜜の着色物質の吸着効果が確認されたが、骨炭のpHをより酸性とすること、骨炭の粒子径を小さくすることで、より吸着容量が高くなることが示された。
Figure 2023113417000001
<実施例2>ヤシ殻活性炭との比較検討
さらに、骨炭による廃糖蜜の色度除去効果を、有色物質の分離に一般的に多く使われているヤシ殻活性炭と比較検討した。C-1骨炭およびヤシ殻活性炭(10~32 mesh)を用いて、上記と同様にして(100 mLカラムを用いて405 nmで吸光度を測定した)、色度除去率を検討した。ヤシ殻活性炭との比較においても、骨炭の優位性が示された(表1)。
本発明の方法によれば、廃糖蜜中の着色物質の分離において、非常に高い色度除去率を定量的に調整できる。
従来、砂糖の製糖工程で産出される廃糖蜜の7割程度は飼料として利用され、発酵原料としての利用は約1割程度となっている(他2割は肥料等)。従って、国内廃糖蜜の用途としては、発酵に実質1割程度しか用いられておらず、それも脱色を必要としない用途に限られる。このような状況を鑑みてなされた本発明の脱色方法によれば、廃糖蜜等を効果的に脱色できるため、脱色済みの廃糖蜜等を発酵に用いることで、廃糖蜜等の発酵後の廃液の脱色処理の負担が軽減され、廃糖蜜等の発酵原料としての利用性向上に貢献できると考えられる。すなわち、本発明により、既存廃糖蜜の9割に新たな実用化の可能性をもたらすことができると考えられる。

Claims (7)

  1. 骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程、
    を含む、糖蜜または廃糖蜜の脱色方法。
  2. pH6未満に調整された骨炭を用いる、請求項1に記載の脱色方法。
  3. 骨炭の粒度が、16メッシュ以上である、請求項1または2に記載の脱色方法。
  4. 骨炭が、牛骨炭である、請求項1~3のいずれか1項に記載の脱色方法。
  5. 骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程、
    を含む、着色物質の含有量が低減された糖蜜または廃糖蜜の製造方法。
  6. 骨炭と糖蜜または廃糖蜜とを接触させ、糖蜜または廃糖蜜中の着色物質を骨炭に吸着させて、糖蜜または廃糖蜜から着色物質を分離する工程、および、
    骨炭に吸着した着色物質を分離する工程、
    を含む、着色物質の回収方法。
  7. 骨炭からなる、糖蜜または廃糖蜜の脱色剤。
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