[遊技機の概要]
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1(封入球式遊技機)は、ホール(パチンコ遊技場)における現状の島設備に設置可能となっており、遊技内容は周知のパチンコ遊技機と同様である。しかし、島設備の球供給機構や球排出機構を用いることがない遊技機となっている。即ち本実施形態に係る封入球式パチンコ遊技機1では、遊技機に非磁性体(例えば、ステンレス)により形成された所定数の遊技球を収容し、該所定数の遊技球を発射装置によって遊技領域に発射して遊技を行い、遊技を終えた遊技球を回収し、前記発射装置に導き前記遊技球を循環して使用するように、遊技機内に予め封入された遊技球を用いて遊技を行うようになっている。そして、精算システム等を介してカード等の記憶媒体から入力された貸球数のデータに基づく遊技球の数(持球数のデータ)に対応して遊技球が発射可能となり、遊技球を発射すると、発射された遊技球の数に対応して持球数のデータが減算される。
また、発射された遊技球が遊技領域内の入賞口に入賞して賞球(遊技球)が発生した場合、実際の遊技球を払い出すことはなく、持球数のデータに賞球の数が加算される。また、持球数のデータが「0」になると、遊技球の発射ができない状態となる。この状態でカード等の記憶媒体に記憶された金額のデータや貯球のデータ等に基づいて、持球数のデータに数値(貸球数)が加算されると、再び遊技球の発射が可能となる。また、発射された遊技球は、遊技機内で回収されて再び発射位置に送られ遊技機内で循環するようになっている。即ち、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、遊技領域に発射された遊技球を回収して、再び遊技に供給する封入球式遊技機である。
先ず、図1乃至図4を参照して実施例1のパチンコ遊技機1を構成する本体枠2(図3)と扉枠3(図1)について説明する。尚、図1のパチンコ遊技機1には外部装置としての精算機4が併設されている。
パチンコ遊技機1は、矩形枠状に構成されてホール側の島設備に設置される外枠1a(図12)と、該外枠1aに開閉自在に軸支され且つ遊技盤5(図2)を装着し得る本体枠2と、該本体枠2に開閉自在に軸支される扉枠3と、を備えて構成されている。
本体枠2及び扉枠3よりも下側の位置において、外枠1aの前面に装飾カバー6が取付けられており、扉枠3及び装飾カバー6によって外枠1aの前面が完全に閉鎖されるようになっている。また、外枠1a、本体枠2及び扉枠3は、上端が略揃うようにそれぞれが配置されると共に、外枠1aの左辺に設けたヒンジ7(図3)で本体枠2が回転可能に軸支されており、外枠1aに対して本体枠2の右辺を前側へ移動することで本体枠2が開状態となるようになっている。扉枠3は本体枠2に対してピンで回転可能に取り付けられており、扉枠3の右辺を前側へ移動することで開状態となるようになっている。
[扉枠3]
扉枠3は、遊技盤5の遊技球が打ち込まれる遊技領域8を遊技者が視認し得る遊技窓9と、該遊技窓9の下方に配置され且つ遊技者の操作に基づいて遊技領域8に遊技球の打ち込みを行う打球ハンドル10を有する。遊技窓9には、本体枠2に対して扉枠3を閉塞した状態で、本体枠2側に装着される遊技盤5の前面(遊技領域8)を視認可能に被覆する透明板11が取り付けられている。打球ハンドル10は、遊技者の回動操作に基づいて、本体枠2の左上方に取り付けられた打球発射装置(上部発射装置12という)の発射ソレノイド13(図5参照)を駆動することで、遊技領域8への遊技球の打ち込みを行うようになっている。なお、打球ハンドル10は、回動操作するとONとなるマイクロスイッチ(図示しない)と、該マイクロスイッチがONとなっている状態で押圧操作するとマイクロスイッチがOFF状態となる発射停止スイッチと打球ハンドル10の外周表面に施された導電性のメッキを介して遊技者の打球ハンドル10への接触を検知するタッチスイッチを備えている。上部発射装置12については後述する。
なお、扉枠3と本体枠2とは扉枠3の右下隅部に配置された鍵装置に鍵を差し込んで一方に回動することにより、扉枠3を本体枠2に対して開放することができるようになっている。
[タッチパネル部14]
扉枠3には、遊技窓9の下方部分(非封入球式となる周知のパチンコ遊技機の上皿に相当する部分)に横長に形成されたタッチパネル部14が設けられている。タッチパネル部14には、残度数、遊技機持球数、端球数が表示される。
ここで、残度数とは、精算機4で利用するカードに記憶された金額に相当する値のことであり、遊技者持球数とは、球貸を行ったことにより遊技者に貸し出された球数と遊技を行った結果として遊技者が獲得した賞球数との合計のことである。
タッチパネル部14には、遊技者により操作可能とされた球貸指令入力手段としての球貸ボタンと、遊技者により操作可能とされた精算指令入力手段としての精算ボタンとが表示される。球貸ボタンは、遊技を行うための持球の貸し出しを指示するものである。また、精算ボタンは、パチンコ遊技を終了して精算を指示するものである。
また、タッチパネル部14には更に遊技者により操作可能とされた端球数表示指令入力手段としての端球数表示ボタンが表示される。ここで端球数とは、遊技者持球数を景品交換の際に特殊景品1つに相当する球数で除した場合の余り球数のことである。タッチパネル部14は、端球数表示ボタンにより端球数の表示を指示した際に、例えば、「端球だけを打ち込みますか」等のメッセージ表示も行える。端球数表示ボタンと共に対話質問形式のメッセージが表示され、また、遊技者がはい・いいえのいずれかを応答するための選択入力を行うためのYESボタンとNOボタンとがそれぞれ表示される。
[本体枠2]
本体枠2は、矩形枠状の外枠1a内に丁度収まるように、額縁状の嵌合枠15と、周壁部16とを有する箱状である(図3、図4)。嵌合枠15はその前面側に遊技盤5を嵌め込んで収容するための方形状の収容開口部17を有する。収容開口部17の奥には内側に張り出す張出壁18が一体に形成されている(図3、図12)。背面は裏カバーで閉じられる。本体枠2に対して扉枠3を閉塞すると、本体枠2に収容された遊技盤5の前面(遊技領域8)が扉枠3の遊技窓9を通して見える。
収容開口部17の下方には異形球・磁性球排出ユニット収容部19が形成されており、該異形球・磁性球排出ユニット収容部19に異形球・磁性球排出ユニット20が配設されている。そして、後述して説明するように、異形球・磁性球排出ユニット20から排出された正規の遊技球に比べて径の小さい異形球や磁性球を収容する排出球受箱234は、遊技機の前方方向から着脱することができる。
また、図23は上部発射装置と球供給経路部材と球揚送装置とを示すように本体枠を縦方向に破断した断面図である。本体枠2には図3、図5、図6、図23に見られるように、上部発射装置12、球集合部21、球揚送装置22及び球供給経路部材24が設けられている。上部発射装置12は本体枠2の左上箇所に固定具49で取り付けられている。球集合部21は異形球・磁性球排出ユニット20を通過した遊技球を受け、球揚送装置22の基部に誘導する部分であって(図5)、球磨き装置等を備えている。
遊技球を遊技領域8に向けて発射するための打球発射装置29は、本体枠2の前部かつ上部の一側部(左側部)に配置されている(図3、図23)。また、誘導通路(後述の球送り誘導樋69、図11参照)内に配列貯留された遊技球を1球ずつ打球発射装置29の発射位置に送り込むための球送り装置28は、打球発射装置29の後方に前後方向において重なるように配置されている(図6、図23)。本実施形態では、打球発射装置29と球送り装置28とで上部発射ユニットとしての上部発射装置12が形成されている。
球揚送装置22は、この実施形態において球揚送モータ150(図24参照)によって駆動されるスクリュー25を用いており、基部に到達した遊技球がスクリュー25の回転によって遊技球同士の間隔を開けて下方から本体枠2の上部に揚送される。球揚送装置22は、上部発射装置12の後方において、本体枠2の後面に取り付けられ、球揚送装置22の上端部は球送り装置28よりも上方に配置されている(図3、図4、図23)。
球揚送装置22の上端部と上部発射装置12の上部との間には、球揚送装置22で揚送された遊技球を上方から球送り装置28へ送り込むための前後方向に亘る球供給経路部材24が設けられている(図3、図4、図23)。また、球供給経路部材24は、本実施形態では、球揚送装置22の上端部に形成されると共に、前方に向けて緩い下り傾斜が掛けられ、揚送された遊技球を上方から前方に送り出す球送出樋23と、上部発射装置12の後部上部に形成され、球送出樋23と連結され、前方に向けて緩い下り傾斜が掛けられた揚送連通樋65と、により構成されている。球送出樋23と揚送連通樋65とで内部に遊技球供給通路が形成される。なお、球揚送装置22で揚送された遊技球が球送出樋23に送り出される。球供給経路部材24の球送出樋23には、球送出樋23を流下する遊技球の有無を検出する発射待機球検出スイッチ26が設けられている(図6参照)。
[上部発射装置]
図8は、上部発射装置を示す正面図であり、図9は上部発射装置を正面左方から眺めて示す斜視図である。図10は上部発射装置を後方左方から眺めて示す斜視図であり、図11は球送りユニットカバーを取り除いて上部発射装置を後方左方から眺めて示す斜視図である。
また、図12は扉枠を外して示す遊技機における上部発射装置であって、本体枠2から取り外した状態を示す図であり、図13は、扉枠を外して示す遊技機の縦断面を示す右側図である。図14は、図2のA-Aに沿った断面見通し図の一部を概略で示す図である。図15は、上部発射装置におけるベースプレートとの接合部と、遊技盤におけるパネルホルダの迫出し部が当接している状態を示した斜視図である。
上部発射装置12は、本体枠2に対して上部発射装置12を取付固定するための金属板状のベースプレート39と、球供給経路部材24から到達する遊技球を受け入れ、打球発射装置29の発射用ハンマー30(図8)の打球発射位置へ球送りソレノイド31(図11)と球送り部材32で遊技球を1球ずつ確実に送り出す球送り装置28と、遊技領域8に向けて遊技球を発射する打球発射装置29とを備えている(図8~図11参照)。
球送り装置28は、球供給経路部材24(図6)から到達する遊技球を受け入れ、打球発射装置29の発射用ハンマー30(図8)の発射位置へ球送り部材32で遊技球を1球ずつ確実に送り出すための装置である。
打球発射装置29は、図9に示すように発射用ハンマー30、発射ソレノイド13、レール部材33、発射時ストッパ34、戻り時ストッパ35、発射球確認スイッチ36、上部発射装置用ヒンジ37及び発射口38を有する。これらの部材はベースプレート39(この実施例において金属板)を基板としてこれに取り付けられている。発射口38は、発射用ハンマー30の先端部に対向して形成されており、この部分にレール部材33が取り付けられている。レール部材33は球送り部材32によって発射位置(打球位置)に送り出された1個の遊技球をレール部332により保持する部材である。発射用ハンマー30により打ち出された遊技球は発射口38から遊技領域8へ発射される。
発射球確認スイッチ36は、レール部材33のレール部332に対して配置され、発射用ハンマー30によって打ち込まれる遊技球の有無を検出すると共に、発射球確認スイッチ36による遊技球の検出が非検出に切り換わることで、遊技球1個が発射用ハンマー30によって発射されたことを検出するようになっている。
図5に示すように遊技球の循環経路は、前記の異形球・磁性球排出ユニット20、球集合部21、球揚送装置22、球供給経路部材24、上部発射装置12、遊技領域8を経由するものである。上部発射装置12から遊技領域8の発射領域40(図7)に発射された遊技球は遊技領域を上方から下方へ流下し、入賞口41あるいはアウト口42を経て異形球・磁性球排出ユニット20に戻る。
[遊技盤]
本体枠2の嵌合枠15には遊技盤5が装着される。この実施例において遊技盤5はパネルホルダ43に透明パネル板44を取り付け、その前面に前構成部材45を取り付けて透明パネル板44を固定した構造となっている(図12)。この遊技盤5に従来の内レールに相当するものは無く、前構成部材45の内周面上部を遊技球走行面46(図7)としている。
遊技盤5の本体枠2への電気的接続を、図99を用いて説明する。遊技盤5と本体枠2との機械的及び電気的接続は、ドロワコネクタによる接続で行われる。遊技盤5には、遊技盤側主ドロワコネクタと、遊技盤側副ドロワコネクタとが設けられ、本体枠2には、本体枠側主ドロワコネクタと、本体枠側副ドロワコネクタとが設けられている。遊技盤5を本体枠2に対して嵌め込むことで、遊技盤側主ドロワコネクタと本体枠側主ドロワコネクタ、遊技盤側副ドロワコネクタと本体枠側副ドロワコネクタとが接続され、遊技盤5と本体枠2とが機械的に接続されると同時に電気的に接続される。これにより、遊技盤5と本体枠2とで電気的通信を行うことが可能となる。
遊技盤5の左上隅部は前記上部発射装置12の形態に合わせて切欠き47(図12)が形成されている。切欠き47は前構成部材45から遊技領域8の透明パネル板44の一部に達している。透明パネル板44が切り欠かれた箇所には上部発射装置12の前記発射口38が臨んでおり、図7に示すように発射口38から上方の遊技球走行面46に沿った発射口38近辺の遊技領域8が発射領域40である。したがって上部発射装置12の発射用ハンマー30によって打ち出された遊技球は、発射領域40では前構成部材45の遊技球走行面46に案内される。
本実施形態の遊技領域8には、多数の障害釘(図示しない)と、入賞口等の各種入賞口等が設けられ、各種入賞口への入賞に応じて所定数の賞球が付与されるようになっている。なお、この実施例は封入球式遊技機なので、遊技球1個の打ち込みに応じて持球数のデータから「1」が減算される一方、各種入賞口への入賞に応じた賞球の数が持球数のデータに加算されて、これに対応する持球数がタッチパネル部14上に表示される。
また、封入球式パチンコ遊技機なので賞球の払い出しは行われず、出球数、入球数、差球数、持球数等は、実際の遊技球の個数ではなく、データ上の数値となる。即ち、実際に使用される遊技球は、循環使用される限られた所定数(例えば、50個もしくは75個)しかなく、持球数は、例えば、遊技領域8に発射される遊技球を検知してカウントした発射球数、遊技領域8に発射されて回収された遊技球を検知してカウントした回収球数、入賞した場合の賞球数、ホール側から借りた貸球数等の数値から入球数、出球数、差球数、持球数が得られる。
即ち、扉枠3を開放して遊技球が外に出てしまう等のトラブルがない限り、発射球数=回収球数となる。そして、入球数=回収球数=発射球数、出球数=賞球数(積算値)=入球数-貸球数(再プレイ球数)+持球数となり、持球数=貸球数(もしくは再プレイ持球数)+出球数-入球数、出球数-入球数=差球数、持球数=貸球数(もしくは再プレイ持球数)+差球数となる。このようにパチンコ遊技機1による遊技は、完全にデータ上の数値として行われることになり、遊技球をこぼしたり、遊技球を下皿や上皿に残したりすることによる誤差が生じることがなく、整数単位で確実に管理可能となる。尚、後述する上部発射装置12の構造では基本的にファール球は生じない。
さらに、上記実施例では前構成部材45とパネルホルダ及び透明パネル板44は別部材で構成しているが、これらを例えば接着によって一体化するか、或いは一体成形して、一つの部材として構成することもできる。このように、透明パネル板44に前構成部材45やパネルホルダ43等を一体に形成すると、遊技盤5に切欠き47を設けたことによって、前構成部材45やパネルホルダ43が有していた枠構造(四辺がつながっている)が切断されてしまうことによるこれら部材の構造的な弱体化を抑止することができる。
図16は上部発射装置を正面右方から眺めて示す斜視図であり、図17は上部発射装置を示す正面図であり(発射用ハンマー待機位置)、図18は上部発射装置を示す右側面図である。
[打球発射装置29]
打球発射装置29は、球送り装置28から供給された遊技球を、打球ハンドル10の回転操作に応じた強さで遊技盤5の遊技領域8内へ打ち込むことができるものである。打球発射装置29は、ベースプレート39の上部後面に前側へ回転駆動軸60が突出するように取付けられる発射ソレノイド13と、発射ソレノイド13の回転駆動軸60に一体回転可能に固定される発射用ハンマー30と、発射用ハンマー30の先端に固定される槌先61と、槌先61の移動軌跡上における所定位置を発射位置としてベースプレート39の前面に取付けられるレール部材33と、レール部材33により発射位置に停留された遊技球を打球可能な打球位置よりも槌先61が反時計方向に回動するのを規制する発射時ストッパ34と、発射用ハンマー30をその回動動作における待機位置(初期位置)に規制する戻り時ストッパ35と、発射位置に停留している遊技球の有無を検出するための発射球確認スイッチ36と、上部発射装置用ヒンジ37と、遊技領域8を臨んで開口された発射口38と、を備えている(図8、図9、図16、図18参照)。
打球発射装置29における発射ソレノイド13は、詳細な図示は省略するが、回転駆動軸60が打球ハンドル10の回転操作角度に応じた強さ(速さ)で往復回動するようになっている。打球発射装置29の発射用ハンマー30は、発射ソレノイド13の回転駆動軸60に固定される固定部301と、固定部301から緩やかな円弧状に延出し、先端が回転駆動軸60の軸心に対して法線方向を向き、先端に槌先61が固定される棹部302と、棹部302に対して固定部301を挟んで反対側へ延出し、発射時ストッパ34と当接可能なストッパ当接部303と、を備えている。発射用ハンマー30のストッパ当接部303が発射時ストッパ34と当接することで、正面視で反時計周りの方向へ回動するのが規制されるようになっている(図8参照)。
また、打球発射装置29のレール部材33の直上には、球送り装置28の球送りユニットベース(後述)に形成された球供給口63が配置されている。レール部材33は、後述の球送り装置28の球送り部材32の球送り動作によって球供給口63から送り出された1個の遊技球を発射位置に停留する。
レール部材33は、金属板を屈曲成形することで形成されているもので、ベースプレート39に取付固定される取付板部331と、取付板部331から前方に向けて折曲形成されたレール部332とを備えている(図8参照)。発射位置を設定するためのレール部332は、正面視において、左方斜めに45度傾けた略L字状をなし、レール部332の左側を形成する左レール板333と、レール部332の右側を形成する右レール板334とにより構成されている(図8参照)。左レール板333には、発射用ハンマー30の打球動作時に槌先61が通過する通孔335が形成されている(図9、図21参照)。
図7及び図8に示すように、正面方向から眺めて、上部発射装置12の打球発射装置29の右側部の上下方向の中央から下端に亘る部分が遊技領域8に臨んで露出して配置されている。図8、図16に示すように、ベースプレート39の前面右側部には、発射口飾り部材64が配設され、該発射口飾り部材64はベースプレート39と後述の球送りユニットベース67とに取り付けられている。
図7、図8及び図16に示すように、発射口飾り部材64は、右側面部及び下部側面部が遊技領域8に臨んで露出して配置されており、このため発射口飾り部材64の右側面部及び下部側面部が遊技領域8に打ち出された遊技球が打球発射装置29の内部に進入するのを防止する球進入防止壁51に形成されている。発射口38は、発射口飾り部材64の右側面部の球進入防止壁51に形成されており、球進入防止壁51は、発射口38を囲むようにして、遊技領域8の後端面と略同一面から前方に向けて立ち上がるアーチ形状をなすようになっている。
発射口38は、図8及び図16を参照すると理解されるように、レール部332に対して、正面視において斜め右方上方に位置している。図8及び図17から理解されるように、レール部332(発射位置)と発射口38との距離は短く(遊技球Pの直径の2倍程度)、このため、打ち出し距離が短いことにより、ファール球を発生させることがなく、発射された遊技球を確実に遊技領域8に打ち込むことが可能となっている。
発射球確認スイッチ36は、発射位置に停留されている遊技球の有無を検出すると共に、発射位置にある遊技球が発射用ハンマー30によって打ち込まれて発射されることによって遊技球の検出が非検出に切り換わることで、遊技球1個が発射用ハンマー30によって発射されたことを検出するようになっている。
発射球確認スイッチ36は、透過形フォトセンサよりなり、発射位置を設定しているレール部332を前後に跨ぐようにして、投光部と受光部とが配置されている。発射球確認スイッチ36は、フォトブラケット361に支持されることで発射位置に対して配置されており、フォトブラケット361はベースプレート39の前面下部に取付固定されている。
打球発射装置29は、発射用ハンマー30における打球位置側への回動端を規制可能な発射時ストッパ34の前面を被覆するストッパカバー62と、発射用ハンマー30における打球位置とは離れた位置の回動端(正面視で時計回りの方向の回動端)を規制する戻り時ストッパ35とを備えている。ストッパ34,35の表面がゴムで覆われており、発射用ハンマー30が当接した時の衝撃を吸収することができると共に、当接による騒音の発生を抑制することができるようになっている。
また、打球発射装置29は、発射ソレノイド13が、後述の球情報制御部により打球ハンドル10の回転操作に応じた駆動強さで駆動させられるようになっていると共に、球送り装置28の球送りソレノイド31の駆動タイミングに対して、後述の駆動タイミングにより、打球動作するように駆動させられるようになっている(図24参照)。具体的には、打球発射装置29へ遊技球を供給する球送り装置28では、球送りソレノイド31が駆動(ON)すると球送り部材32が受入れた遊技球を打球発射装置29へ送り、その状態から球送りソレノイド31の駆動が解除(OFF)されると球送り部材32が遊技球を受入れるようになっている。
打球発射装置29では、打球ハンドル10が発射操作されると、その操作量に応じた電圧で発射ソレノイド13への通電・断電が繰り返される。これによる発射ソレノイド13の励磁・非励磁により、図8、図17に示すように、発射用ハンマー30が、初期位置(図17)から発射方向(反時計方向)に回動して発射位置に停留された遊技球を槌先61で打ち出した後(図8)、時計方向に回動して初期位置に戻る発射動作を繰り返す。
[球送り装置28]
次に、球送り装置28について説明する。球送り装置28は、図10及び図11に示すように、主としてユニットとして構成され、図6に示す球供給経路部材24の球送出樋23の前端に連結された球入口66を有する揚送連通樋65と、揚送連通樋65に接続されると共に、揚送連通樋65から進入した遊技球を打球発射装置29に供給するための球供給口63を有し、後方が開放された球送りユニットベース67と、球送りユニットベース67の後端を塞ぐと共に前方が開放された球送りユニットカバー68と、球送りユニットベース67の下部に配設された球送りソレノイド31と、球送りソレノイド31の駆動によって球送り動作と後述の戻り球阻止動作とを同時に実現する球送り部材32と、を備えている。
揚送連通樋65は、球入口66が形成された後端から前端に向けて緩やかに下り傾斜がかけられている。球送りユニットベース67は、ベースプレート39の後面左側部に取付られ、上部の右側部に揚送連通樋65の前端が接続されると共に、背面視において、揚送連通樋65の前端に接続される上部の右側部から上下方向中央にかけて、左右方向の左方に向けて緩やかな下り傾斜がかけられ、中途で下方に向けて屈曲形成された球送り誘導樋69と、球送り誘導樋69の下端に、前後方向に貫通した球供給口63とを有している(図11参照)。
また、球送り誘導樋69の屈曲部分よりも下側で球供給口63よりも上側部分に対向する球送りユニットカバー68の後面には、球送り誘導樋69内に待機している遊技球の有無を検出する発射待機球検出スイッチ70が設けられている(図10参照)。発射待機球検出スイッチ70は、それぞれ高周波発振回路の検出コイルのインピーダンスの変化によって金属体としての遊技球を検出するフラット型式の近接スイッチから構成される。
本実施形態の球送りソレノイド31は、電磁石で構成されており、励磁により吸引機能を発揮する吸引部分を下方に向けた姿勢で、球送りユニットベース67の下部に配設されている。また、球送り部材32は、球送りソレノイド31の左方に隣接して球送りユニットベース67の下部に配置されている。本実施形態における球送り部材32は、球送りソレノイド31の励磁・非励磁により、打球発射装置29の打球動作により発射位置から発射された打球に干渉することなく、打球の通過を許容する許容位置と、遊技領域8から発射口38に戻って来る戻り球の進入を阻止する戻り球阻止位置との間で移動可能とされた戻り球阻止部を一体に備えたものとなっている。
[球送り部材32]
以下、球送り部材32について説明する。図18は、上部発射装置12を示す右側面図であり(球送りソレノイド31は非励磁、球送り部材32が保持位置及び戻り球阻止位置をとる)、図19は、図10の矢視B-B線で破断して示す上部発射装置12の断面図であり(球送りソレノイド31は非励磁、球送り部材32が保持位置及び戻り球阻止位置をとる)、図20は、球送り装置28における球送り部材32と球送りシャフトと球送り板金を斜め後方から示す斜視図である。
また、図21は、上部発射装置12を示す右側面図であり(球送りソレノイド31は励磁、球送り部材が供給位置及び許容位置をとる)、図22は、図10の矢視B-B線で破断して示す上部発射装置の断面図である(球送りソレノイド31は励磁、球送り部材32が供給位置及び許容位置をとる)。
図20に示すように、球送り部材32の上下方向の中間には、左右方向に向けて軸孔75が形成されている。軸孔75には、球送りシャフト76が両端を突出させて挿通され、球送りシャフト76の左右方向の両端は、球送りユニットベース67に支持されている。これにより、球送り部材32が球送りシャフト76を回動中心として前後方向に回動可能に支持されている。
また、球送り部材32の中間には、後方に向けてアーム部77が延伸形成され、アーム部77の下端には、図11に示すように、球送りソレノイド31の下方に向って延伸した作動杆部72が形成され、作動杆部72には板金収容部73が形成され、板金収容部73に磁石により吸引される金属材料よりなる球送り板金71が収納されている。
板金収容部73の直下には、後方に向けて突出して球送り板金71の脱落を防止するための板金係止爪78が形成されており、これにより、球送り部材32の動作時、不測に球送り板金71が板金収容部73から脱落するのを防止している。
図20に示すように、作動杆部72の端部には掛止突起79が形成され、該掛止突起79には図19に示す引張バネ52の一端が掛止されている。また、引張バネ52の他端は、図19に示すように、球送りユニットベース67の下部底面に形成されたバネ係止部53に掛止されている。
また、図20に示すように、球送り部材32の軸孔75の上方には、球送り部材32と一体に球供給口63の下縁に向って屋根形状の球送り部74が形成されている。球送り部74は、上面中央が上方に高くなる山型状に形成されており、中央から前方に向って、即ち、図19において球送り誘導樋69の下端に形成された球供給口63の下縁に向って下がる傾斜がかけられた球送り誘導面80と、中央から後方に向って、即ち、図19において球送り誘導樋69の後端を塞ぐ球送りユニットカバー68に向って円弧凸状に下がる傾斜がかけられた球保持面81と、を備えている。また、球送り部74の球保持面81の後端には、下方に向って垂下した垂下片82が形成されている。
また、球送り部材32の上下方向の上部は、前方に向けて球送りユニットベース67を貫通すると共に、図18、図20及び図21に示すように、側面視においてレール部332(発射位置)からの打球経路に向って延伸形成された矩形枠状の戻り球阻止部83が形成され、戻り球阻止部83の中央には矩形状に開口された打球通過口85が形成されている。
図16乃至図17に示すように、球送り部材32と一体に形成された枠状の戻り球阻止部83は、発射口38に対して発射位置方向に隣接して配置されている。また、戻り球阻止部83の枠の前側に位置する部分の発射位置方向側には、レール部332に向けて底辺部分が水平で三角形状に張り出した球止め部84が形成されている。球止め部84は、球送り部74の前方で、かつ発射位置の上方に間隔おいて球送り部74に対向して配置されている。
また、球送りユニットカバー68には、球供給口63の後方において、球供給口63に対面する位置に、前方に向けて縦断面が「く」字状をなした球ガイド突部54が形成され、前方に向いた球ガイド突部54の上部には、球供給口63に対面して円弧凹状をなした前方誘導面55が形成されている。球ガイド突部54の下部は、後方に向けて凸に湾曲形成され、球ガイド突部54の下部よりも下方の空間に、球送りシャフト76を回動中心とした球送り部材32の前後方向に回動動作において、球送り部74が後退可能となっている。また、球ガイド突部54の下端には、前方に向けてストッパ片56が突出して形成されている。
[球送り部材32の球送り動作と戻り球阻止動作]
以上のように構成された球送り装置28の球送り部材32による球送り動作と戻り球阻止動作とについて説明する。球送りソレノイド31が非励磁状態のときには、球送り部材32の作動杆部72の端部の掛止突起79と、球送りユニットベース67の下部底面に形成されたバネ係止部53とに掛止された引張バネ52の引張力により、球送り部材32の下端部が球送りユニットベース67に向けて引き寄せられた姿勢となる。
図18に示すように、球送り部材32は、常態においては(球送りソレノイド31が非励磁状態のときには)、球送りシャフト76を回動中心とした回動姿勢において、矩形枠状の戻り球阻止部83が後方に向けて傾いた姿勢をとり、遊技領域8から見た側方視において、即ち、打球発射装置29の発射位置から発射口38に至る打球経路における、発射口38の直ぐ発射位置方向側の位置において、戻り球阻止部83の枠の前に位置する部分が発射口38に対して交差した姿勢となっており、また、打球経路において発射口38に対して打球通過口85が後方にずれた位置となっており、打球経路において打球通過口85への球の通過が不可能となっている。即ち、戻り球阻止部83がこの姿勢において遊技領域8から発射口38に戻って来る戻り球の進入を阻止する戻り球阻止位置を取る。
打球の発射後、戻り球阻止部83が戻り球阻止位置を取ることにより、遊技領域8に発射された遊技球が戻り球となって発射口38に入るのを戻り球阻止部83によりブロックし、戻り球を阻止できるので、戻り球によって遊技に対する興趣が低下するのを抑止することができる。
また、図19に示すように、球送り部材32は、常態においては(球送りソレノイド31が非励磁状態のときには)、球送り部74の球保持面81が球送りユニットカバー68の球ガイド突部54の下方の空間に後退し、球送り部74の下端に形成された垂下片82がストッパ片56に当接し、球送り部材32の球送りシャフト76を回動中心とした回動姿勢において、球送り動作における保持位置に規制される。
保持位置では、球送り部74の球送り誘導面80が球ガイド突部54の前方誘導面55の下端の前方に位置し、前方誘導面55の接線方向において延長線上に位置する。また、球止め部84が球供給口63に向けて接近し、球供給口63の下端部と球止め部84との間の隙間に遊技球P1が嵌り込んで、遊技球P1が留まった状態となる。
[球送りソレノイド31の励磁]
球送りソレノイド31を通電することにより励磁すると、電磁石機能により球送り板金71が上方に吸引され、引張バネ52の引張力に抗して球送り部材32の作動杆部72が上方に移動し、球送り部材32が球送りシャフト76を回動中心として図19の反時計方向に回動し、図21及び図22に示すように、球送り部材32が球送り動作における供給位置及び打球の通過を許容する許容位置に移動する。
これにより、球止め部84が球供給口63に接近した位置から前方に移動すると同時に、球送り部74が前方に移動し、保持位置に留まっていた遊技球P1を発射位置に送り出す(図22参照)。
図21に示すように、球送りソレノイド31が励磁状態のときには、球送りシャフト76を回動中心とした回動姿勢において、矩形枠状の戻り球阻止部83が正立姿勢をとり、遊技領域8から見た側方視において、即ち、打球発射装置29の発射位置から発射口38に至る打球経路における、発射口38の直ぐ発射位置方向側の位置において、打球経路において発射口38に対して打球通過口85が一致した位置となっており、打球経路において打球通過口85への球の通過を許容する位置となっている。即ち、戻り球阻止部83がこの姿勢において、発射位置から発射された打球に干渉することなく、打球の通過を許容する許容位置を取る。
図22に示すように、球送りソレノイド31が励磁状態のときには、球送り動作における供給位置では、球送り部74の球保持面81が球送りユニットカバー68の球ガイド突部54の前方に位置し、球供給口63の上端部と球送り部74の球保持面81との間の隙間に後続の遊技球P2が嵌り込んで、後続の遊技球P2が留まった状態となる。以上に説明した球送り動作により、球送り部材32は、球送り誘導樋69内に整列貯留された遊技球を1個ずつ打球発射装置29の発射位置に送り込む。
また、図24は、球送りソレノイド31と発射ソレノイド13との駆動タイミングを示すタイムチャートである。球送りソレノイド31をオンした時点から、期間Aだけ経過した時点で発射ソレノイド13をオンし、発射ソレノイド13をオンした時点から、期間Bだけ経過した時点で球送りソレノイド31をオフし、球送りソレノイド31をオフした時点から期間Cだけ経過した時点で発射ソレノイド13をオフする。
本実施形態では、期間Aを300ms、期間Bを30ms、期間Cを50msとしている。球送りソレノイド31をオンすると、球送り部材32により発射位置(レール部332)に発射球が送り込まれた状態となる。即ち、発射球確認スイッチ36により発射球が検出される。本実施形態では、予め定められた規定時間に亘って(期間Dとして30msとしている)、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定する。
このように、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が予め定められた規定時間に亘って検出された場合に、発射球ありと判定するようにしているので、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができる。
図24に示す球送りソレノイド31と発射ソレノイド13との駆動タイミングに従って、後述の球情報制御部118の球情報制御MPU111により、動作制御が行われる。即ち、球送り部材32の戻り球阻止部83が許容位置にあるときに、打球発射装置29を作動して発射用ハンマー30による打球動作を行わせ、打球発射装置29の作動時から予め定められた規定時間経過後(30ms経過後)に、球送りソレノイド31の励磁を解除して戻り球阻止部83を戻り球阻止位置に移動することで、戻り球を戻り球阻止部83によりブロックするように制御するのである。
これによれば、戻り球阻止部83が許容位置を取るときに、発射位置から発射された打球に干渉することなく打球の通過が許容されるため、発射球に干渉することがないので、遊技球を狙った位置に打ち込むことに対して不信感を抱いてしまうのを防止することができ、遊技に対する興趣が低下するのを抑止することができる。
打球の発射後、戻り球阻止部83が戻り球阻止位置を取ることにより、遊技領域8に発射された遊技球が戻り球となって発射口38に入るのを戻り球阻止部83によりブロックし、戻り球を阻止できるので、戻り球によって遊技に対する興趣が低下するのを抑止することができる。
本実施形態では、戻り球阻止部83は、球送り部材32と一体に形成されているので、1つの電気的駆動源(球送りソレノイド31)の励磁・非励磁により、発射位置への球送りと戻り球防止とを同時に実現できる。即ち、球送り部材32は、供給位置を取るときに、発射位置から発射された遊技球が通過する打球経路上に打球通過口85が位置する一方、保持位置を取るときに、打球経路から外れた退避位置に打球通過口85が位置するように形成された枠状の戻り球阻止部83を備えている。
球送り部材32が供給位置を取るときに、戻り球阻止部83が許容位置を取り、発射位置から発射された打球に干渉することがないので、遊技球を狙った位置に打ち込むことに対して不信感を抱いてしまうのを防止することができ、遊技に対する興趣が低下するのを抑止することができる。
また、球送り部材32が保持位置に移動すると、同時に戻り球阻止部83が戻り球阻止位置に移動することで、遊技領域8に発射された遊技球が戻り球となって発射口38に入るのをブロックし、戻り球を阻止できるので、戻り球によって遊技に対する興趣が低下するのを抑止することができる。
また、先に挙げた特許文献1に記載の遊技機は、発射口を塞いでいる戻り球防止弁を発射球で強制的にこじ開けて遊技領域に打ち出すまたは押し出す構造としている。このため、打球動作を行わせるための電気的駆動源をそれに見合うだけの大きさとパワーのあるものを要し、打球力を得るために大きな電流を供給する必要があり、消費電力が大きいものである。
これに対し、本例の上部発射装置12は、発射用ハンマー30が打球動作を行う時には、球送り部材32の戻り球阻止部83が発射球の通過を許容する許容位置(打球通過口85と発射口38とが共に打球経路上に一致している状態)にあって、発射球に干渉することがないので、遊技領域8に打球を打ち出すだけの打球力を提供できればよいから、パワーの小さい電気的駆動源を採用することで十分対応できる。このため、電気的駆動源を小型化、薄型化することができ、その駆動に必要な消費電力も低く抑えることができるのである。
また、図24に示すように、発射ソレノイド13をオンした時点から期間Cだけ発射ソレノイド13が励磁されて槌先61がレール部332の通孔335を貫通して突出した状態(図9)となっているので、遊技球がレール部332に停留されないようにでき、戻り球の防止と共に発射球の誤りカウントをより確実なものとすることができる。
本実施形態の戻り球阻止部83は、矩形枠状をなして中央に打球通過口85を備えたものを示したが、戻り球阻止部83の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、片状、竿状であってもよく、また、打球通過口85を備えていなくともよい。即ち、発射位置から発射口38に至る打球経路上において、発射口38の発射位置方向に隣接して設けられ、発射位置から発射された打球に干渉することなく、打球の通過を許容する許容位置と、遊技領域8から発射口38に戻って来る戻り球の進入を阻止する戻り球阻止位置との間で移動可能であればよい。
以上に説明した本実施形態の封入球式遊技機は、球揚送装置22は、本体枠2の前部かつ上部の一側部に配置された上部発射装置12の後方において、本体枠2の後面に取り付けられ、球揚送装置22の上端部は球送り装置28よりも上方に配置され、球揚送装置22の上端部と上部発射装置12の上部との間に、球揚送装置22で揚送された遊技球を上方から球送り装置28へ送り込むための前後方向に亘る球供給経路部材24が設けられている構成となっている。
上述の構成となっているので、球供給経路部材24が遊技盤5の後部に取り付けられている種々の各部材(可動体、可動体駆動のための動力伝達機構(例えば、ギア列)、左右方向に案内するためのスライドレール、駆動源としての駆動モータ、可動体の位置を検出するための位置検出センサ、LED基板、中継基板等)の障害になることがなく、遊技機の後部において球揚送装置22によって本体枠2の上部に揚送された遊技球を上部発射装置12に対してスムーズに送り込むことができる。
また、球供給経路部材が遊技盤の後部に取り付けられている種々の各部材の障害になることがないから、上部発射装置12の後方に形成された空間を遊技盤5の後部に取りけられている各部材の配置スペースにあてることができる。
また、図23に示す上部発射装置12は、先述の理由により、従来のものに比べて小型化・薄型化した電気的駆動源を採用したものである。図23に示すように、打球発射装置の電気的駆動源(発射ソレノイド13)を小型化、薄型化することができるので、上部発射装置12の後方に電気的駆動源が張り出すことがないため、その分、遊技盤5の後部に取り付けられている各部材の配置スペース57を広く確保することができる。
また、本実施形態の上部発射装置12は、上部発射装置用ヒンジ37により本体枠2に支持されていて固定具49を外して回動させると本体枠2から取り外すことができる(図12)ので、本体枠に対する着脱操作が容易である。
この場合、本体枠2から上部発射装置12を取り外したとき、球送出樋23内に遊技球が残っている状態であっても遊技球がこぼれてしまわないように、球送出樋23と揚送連通樋65とによる前記の遊技球供給通路を遮蔽するこぼれ球防止手段を設ける。
以下、こぼれ球防止手段(球出口開閉ユニット)の一実施形態について説明する。図25は球出口開閉ユニットの正面斜視図であり、図26は球出口開閉ユニットの背面斜視図である。また、図27は上部発射ユニットと球出口開閉ユニットとの関係を示す斜視図である。
図6及び図23に示すように、球供給経路部材24は、球揚送装置22の上端部に形成され、揚送された遊技球を上方から前方に送り出す球送出樋23と、上部発射ユニット12の後部上部に形成され、球送出樋23と連結される揚送連通樋65と、により構成され、前記のように内部が遊技球供給通路となっている。上部発射ユニット12を本体枠2に対して固定した状態では、球送出樋23の前端の球出口58を開放させることで、球出口58と揚送連通樋65の後端の球入口66とを連通させ、球出口58から球入口66に遊技球を供給可能とする。
上部発射装置12の球送り装置は、球送りユニットカバーの右側部に球出口開閉ユニット410の開閉シャッター412を作動させるための開閉作動片426を備えている(図27)。この開閉作動片426は、上部発射装置12を本体枠2に対して固定のために前方から装着したとき、球出口開閉ユニット410における開閉クランク413の球状の当接部424と当接することで、開閉クランク413を回転させて開閉シャッター412を開状態とし、遊技球供給通路を開通させる。
[球出口開閉ユニット]
本実施形態の本体枠2における球出口開閉ユニット410は、球揚送装置22の球送出樋23の下面に取り付けられた取付用部材407に取付けられるものであり、本体枠2から上部発射装置12を取り外すと、球揚送装置22における球送出樋23の前端の球出口58を閉鎖して前記の遊技球供給通路を遮蔽し、球揚送装置22から上部発射装置12の球送り装置28への遊技球の流れを遮断することができるものである。
さらに具体的に述べると、球出口開閉ユニット410は、取付用部材407の上下方向に向いた垂下壁408に取付けられるシャッターベース411と、シャッターベース411に上下方向へスライド可能に保持される板状の開閉シャッター412と、開閉シャッター412を上下方向へスライドさせる開閉クランク413と、開閉クランク413を介して開閉シャッター412が上昇するように付勢する開閉バネ414と、を備えている。
球出口開閉ユニット410のシャッターベース411は、開閉シャッター412がシャッターベース411の上端よりも上方へ突出するように上下方向へスライド可能に保持するための上下方向へ延びた一対のスライド溝415と、一対のスライド溝415の間で前後方向に貫通した矩形状の開口部416と、正面視で左側端部前面に配置され開閉クランク413を前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持するクランク支持部417と、開閉バネ414の一端(上端)を係止するバネ係止部418と、を備えている。シャッターベース411のクランク支持部417は、開口部416の正面視左側に配置されていると共に、バネ係止部418は、正面視で左右方向中央から左寄りの上部付近に配置されている。
また、球出口開閉ユニット410の開閉シャッター412は、平板状のシャッター本体419と、シャッター本体419の前面から突出しシャッターベース411のスライド溝415内を摺動する一対の摺動突部(図示は省略)と、一対の摺動突部の間でシャッターベース411の開口部416から臨む位置に配置され、前後方向へ貫通した横長矩形状の駆動孔420と、を備えている。
球出口開閉ユニット410の開閉クランク413は、シャッターベース411のクランク支持部417により前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持される軸部421と、軸部421の正面視右側外周から右外方へ延出し、先端が開口部416の左右方向中央付近まで延出した駆動棹422と、駆動棹422の先端から後方へ突出し、開閉シャッター412の駆動孔412b内に摺動可能に挿入される駆動ピン423と、軸部421の正面視下側外周から下方へ延出し、先端が球形状とされた当接部424と、駆動棹422の途中上面に形成され、開閉バネ414の他端(下端)を係止するバネ係止部425と、を備えている。
球出口開閉ユニット410は、開閉クランク413が前後方向へ延びた軸回りに回動することで、開閉クランク413の駆動ピン423が円弧状に上下方向へ回動すると同時に、駆動ピン423が挿入された駆動孔420を介して開閉シャッター412が上下方向へスライドするようになっている。
この状態から本体枠2に対して上部発射装置12を取り外すと、開閉クランク413の当接部424と、上部発射装置12における開閉作動片426との当接が解除され、開閉クランク413が開閉バネ414の付勢力によって正面視反時計周りの方向へ回動すると同時に、開閉シャッター412が上昇して、球送出樋23の前端の球出口58を閉鎖することができるようになっている(図27)。
このように、本体枠2に対する上部発射装置12の着脱に応じて、球出口開閉ユニット410により球揚送装置22における球送出樋23の前端の球出口58を自動的に開閉させることができるので、球送出樋23内に遊技球が残っている状態で上部発射装置12を開いても、球出口58から遊技球がこぼれてしまうのを防止することができるようになっている。
なお、前記のこぼれ防止手段は、送出樋23と揚送連通樋65とによる前記の遊技球供給通路を遮蔽するためのものであるが、遊技球供給通路を遮蔽するためこぼれ球防止手段は例えば、この箇所に限らず、異形球・磁性球排出ユニット20と球集合部21との連結部分である遊技球供給通路のように、パチンコ遊技機中の2部品から構成される箇所に配置することができる。特に、点検や修理などの場合に前記2部品を分離する必要がある個所に有用である。
ここで、前記の球送出樋23の球送出口23aと揚送連通樋65の球入口66が接続される箇所では、図96で模式的に示すように、球送出口23aの幅(d1)に対して球入口66の幅(d2)を充分に大きく、球入口66が球送出口23aを呑み込むように、かつ、球送出樋23側を高く、揚送連通樋65側が低くなるように配置することが好ましい。球揚送装置22により送り揚あげられた遊技球は、球送出樋23を通過して、スムーズに揚送連通樋65側に移動する。
球送出口23aと球入口66の境界箇所における段差は遊技球供給路の傾斜が低くなる側が低くなるので、この箇所に段差があるために遊技球の移動が阻害されるということがない。そして、簡単な構成であるが、上部発射装置12が点検などの後再び本体枠2へ取り付けられるとき、球送出樋23と揚送連通樋65との接続を確実なものとできる。
球送出樋23の球送出口23aと揚送連通樋65の球入口66が接続される箇所を例に取り上げたが、この構造は、異形球・磁性球排出ユニット20と球集合部21との接続部や球集合部21と球揚送装置22との接続箇所など、広く遊技球が通過する接続箇所に適用して、部品組み付け時の作業を平易なものにすることができる。
[異形球・磁性球排出ユニット]
図28は異形球・磁性球排出ユニットを説明する図である。図29は図28において磁性球排出部カバーを分離し裏返して説明する図である。図30は異形球・磁性球排出ユニットの平面図である。図31は異形球・磁性球排出ユニットの背面図である。図32は異形球・磁性球排出ユニットのベース板を説明する図である。図33は異形球・磁性球排出ユニットを異形球排出ユニットと磁性球排出ユニットとに分離して説明する図である。図34は異形球・磁性球排出ユニットにおいて異形球と磁性球とが排出される経路を説明する図である。図35は磁性球が循環経路から分離され排出される状況を説明する図である。図36は磁性球が磁性球排出傾斜面に到達した状態を説明する図である。
図28に示されるように、異形球・磁性球排出ユニット20は、異形球排出機能と磁性球排出機能を備えている。なお、異形球は正規の遊技球より直径の小さいベアリングなどの球状物体である。異形球・磁性球排出ユニット20は透明な樹脂成形品であり、遊技機本体の下部(異形球・磁性球排出ユニット収容部19)に配設され、前側を前面板(図示せず)、後側を後面板(球受樋ベース201)で覆われる構成を有する。上部には各種の入賞口(特別変動入賞装置、一般入賞口、普通変動入賞装置)に入賞することなく流下したアウト球および各種の入賞口に入賞し、セーフ球排出経路を流下したセーフ球としての遊技球を回収する回収口202が設けられている。アウト球はアウト口42(図2,図3,図5を参照)を介して回収口202に流入する。セーフ球は入賞口41(図5参照)を介して回収口202に流入する。
回収口202に連通する異形球・磁性球排出ユニット20内の循環経路は、異形球・磁性球排出ユニット20内を左右に蛇行して上下に折り重なって形成され、該循環経路の途中に回収球検出スイッチ203、異形球排出部204、磁性球排出部205、球経路満タン検出スイッチ206、および、球適正量検出スイッチ207を備えている。回収口202に流入した遊技球は1列になって異形球・磁性球排出ユニット20内の循環経路を移動し、異形球・磁性球排出ユニット20に接続された球集合部21に至る。ただし、異形球および磁性球は球集合部21に移動しないように、異形球・磁性球排出ユニット20内の正規の遊技球の循環経路から分離され異形球・磁性球排出ユニット20外に排出される。
次に、回収口202に回収された遊技球の異形球・磁性球排出ユニット20内での移動を、順を追って説明する。回収口202に回収された遊技球の数は、回収球検出スイッチ203によって1個ずつ計数される。回収球検出スイッチ203を通過した遊技球は異形球排出部204に至る。回収球検出スイッチ203と発射球検出手段で検出される遊技球の数の差が増大した場合、遊技機に異常が発生したことを検知できる。
異形球排出部204は、球受樋ベース201に設けられた異形球排出部ベース装着部212に固定された、異形球排出部ベース208と該異形球排出部ベース208に固定された2本の異形球分離シャフト209,210から構成される。
図31,図32に示されるように、異形球排出部ベース装着部212は球受樋ベース201に設けられた長方形状の開口部である。異形球排出部ベース装着部212には、図28に示されるように、回収口202側の辺が高くなるように球受樋ベース201に傾斜して設けられている。これによって、異形球分離シャフト209,210が傾斜して配置されるので、遊技球は上流側213(図30参照)から下流側214に向かって、遊技球が移動できる。
図33は異形球・磁性球排出ユニットを異形球排出ユニットと磁性球排出ユニットとに分離して説明する図である。図33(a)には異形球排出部204が図示されている。図33(b)には磁性球排出部205が図示されている。
異形球排出部204は、正規な遊技球と不正球との径の差を利用して、正規な遊技球より小さい径の不正球を異形球・磁性球排出ユニット20内の循環経路から排除する。図30に示されるように、異形球排出部204は、循環経路の上流側213から下流側214に向かって並設された2本の断面円形の異形球分離シャフト209,210を備えている。異形球つまり正規の遊技球より直径が小さい不性球を正規の遊技球が循環する循環経路から排除するために、2本の異形球分離シャフト209,210間の間隙距離が、上流側213では正規の遊技球の直径より狭く、下流側214では正規の遊技球の直径より広くなるように、つまり、両異形球分離シャフト209,210間の距離が徐々に長くなるように、異形球分離シャフト209,210が異形球排出部ベース208に固定されている。
回収口202、回収球検出スイッチ203を経由して異形球排出部204に1個ずつ流下してくる遊技球は、2本の異形球分離シャフト209,210に跨るようにして転動しながら流下する。上流側では正規の遊技球の直径より2本の異形球分離シャフト209,210の間隙距離は狭いので、正規の遊技球は異形球分離シャフト209,210の間から落下しない。
一方、正規の遊技球より直径の小さな異形球である不正球は、2本の異形球分離シャフト209,210の間から落下する。落下した異形球は、図33(a)に示されるように異形球排出経路215を経て異形球排出口216から異形球・磁性球排出ユニット20の外部に排出される。異形球排出経路215は、球受樋ベース201の前側であって異形球排出部ベース208の下側に取り付けられた異形球排出経路形成部材217によって形成される。なお、異形球排出経路形成部材217には、正規の遊技球と同じ直径を有する球を、磁性球排出部205に導く連絡路218も一体的に設けられている。
2本の異形球分離シャフト209,210を転動して流下する正規の大きさの遊技球は、下流側214で2本の異形球分離シャフト209,210の間から落下し、連絡路218を経て磁性球排出部205に形成される循環経路219に至る。
磁性球排出部205は、図28に示されるように球受樋ベース201に固定される。図33は球受樋ベース201から磁性球排出部205を取り外した状態を示している。磁性球排出部205には、連絡路218に接続した傾斜面220が形成されており、傾斜面220の下流側は急峻に下降する落下面221が接続され、傾斜面220を延長した箇所には、磁性球排出傾斜面222が形成されている。傾斜面220と磁性球排出傾斜面222とが連続しないように、不連続部分223の間隙が設けられている。磁性球排出部205において、側壁224または天井壁225の少なくとも一方には、その表面、その裏面、または内部の少なくともいずれかの箇所に磁石が取り付けられている。
図35は天井壁225の裏面の磁石収容空間230に磁石229を装着した例を示している。磁石収容空間230は天井壁225の裏面側に沿って配置された断面が長方形状の空間として形成されている。磁石229は平板状の磁石であって、一側面がN極またはS極、他側面がS極またはN極を有する永久磁石である。磁石の磁力は、磁性体からなる遊技球(磁性球232)が吸着されて転動が阻害されるほど強力なものではなく、傾斜面220の領域を流下し、不連続部分223から落下することなく、磁性球排出傾斜面222に到達できる程度であればよい。なお、取り付けられる磁石は永久磁石であってもよいし電磁石であってもよい。
連絡路218から流れてきた正規の遊技球233は傾斜面220を転動して下り、傾斜面220から落下面221を転動しつつ流下する。非磁性の正規の遊技球233は不連続部分223を落下し循環経路219を経て、異形球・磁性球排出ユニット20に接続された球集合部21に至る。
一方、磁性体からなる不正球(磁性球232)は、磁石収容空間230に収容された磁石229の引力によって天井壁225の内壁面に張り付いた状態で、循環経路219を傾斜面220の上流側から下流側に重力の作用により転動しながら流下する。そして、図35に示されるように、磁性球232は、不連続部分223から落下することなく、図36に示されるように磁性球排出傾斜面222(図28参照)の領域に到達する。磁性球排出傾斜面222の領域に到達した磁性体からなる不正球は、磁性球排出経路226を経て磁性球排出口227から異形球・磁性球排出ユニット20の外部に排出される(図34参照)。
磁性球排出傾斜面222の上側の天井壁225の部分は磁力調整部231として構成されている。磁力調整部231は磁性球排出経路226の下流に向かうに従って、磁石収容空間230と磁性球排出経路226の間の間隔が離れるように形成されている。図35では、磁性球排出経路226が曲線部分を有しており、この曲線部分が磁力調整部231として機能する。これによって、磁性球232と磁石229の間隔距離が磁性球排出経路226の下流に向かうに従って長くなる。そうすると、磁性球232に作用する磁石229の磁力(引力)が徐々に小さくなる。このため、天井壁225の壁面に張り付いて下流方向へ移動していた磁性球232は天井壁225の壁面から離れ、磁性球排出傾斜面222に落下する。そして、磁性球排出経路226を介して磁性球排出口227から排出される。
異形球と磁性体の不正球はそれぞれ異形球排出口216、磁性球排出口227から異形球・磁性球排出ユニット20の外部に排出される(図34)。異形球・磁性球排出ユニット20から排出された異形球または磁性球は、排出球受箱234に回収される(図2,図3,図5参照)。このように、異形球・磁性球排出ユニット20を使って、異形球と磁性体からなる不正球を、正規の遊技球の循環経路219から排除することができる。本実施形態では、異形球および磁性球の異形球・磁性球排出ユニット20の外部への排出に重力を利用することで構成を簡略化できる。異形球排出経路215は、磁性球排出部205の側面に沿って配置されており、異形球・磁性球排出ユニット20をコンパクトに構成できる。
異形球・磁性球排出ユニット20は、異形球あるいは磁性体からなる不正球を、遊技を停止することなく、正規の遊技球の循環経路219から排除することができ、遊技者の興趣の低下を防止でき、一方、遊技ホールの従業員が不正球の処理のために各遊技機に呼ばれ、遊技機の不具合に対処する機会を低減することができる。なお、異形球排出部204と磁性球排出部205とをそれぞれ単独の構成としてもよい。つまり、異形球の排出を遊技機内の他の構成要素で実行する場合は、磁性球排出部205を単独で構成してもよい。
そして、本発明の封入球式遊技機の一実施形態は、遊技領域が区画形成された遊技盤と、前記遊技盤が嵌め込まれて収容される本体枠と、前記本体枠の上部に配置され、前記遊技領域に向けて遊技球を発射する打球発射装置と、前記打球発射装置によって発射された遊技球を前記遊技盤の裏面側に封入球として回収し、不正球を排除し再び前記打球発射装置に供給するため、異形球・磁性球排出手段を含む循環経路と、電気的駆動源の駆動に基づいて前記循環経路の一部に形成された配列通路内に配列貯留された前記封入球を1個ずつ前記打球発射装置の発射位置に送り込む球送り装置と、パチンコ遊技に関わる遊技制御処理を行う主制御基板と、前記主制御基板と双方向のデータ通信が可能に接続され、前記遊技制御処理において前記主制御基板から送信される賞球コマンドと、前記打球発射装置によって発射された発射球の球数情報と、に基づく持球数の増減制御と、前記打球発射装置による遊技球の発射制御と、前記球送り装置による遊技球の前記発射位置への送り込み制御と、を行う球情報制御基板と、を備え、遊技球の払い出しを行うことなく、所定数量の遊技球を閉鎖的に循環させて遊技を行うようにしたものであって、前記打球発射装置は、前記発射位置に遊技球を停留させるための発射レールと、電気的駆動源の駆動に基づいて打球動作を行い、前記発射位置に停留された遊技球を発射させる発射用部材と、前記発射位置に停留されている遊技球を検出する発射球確認手段と、を備え、前記球情報制御基板は、予め定められた規定時間に亘って、前記発射球確認手段によって前記発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定する発射球検出判定手段と、前記発射球検出判定手段が発射球ありと判定したことを条件として、前記発射球確認手段によって遊技球が検出されない場合に、前記発射位置に停留されていた遊技球が発射されたと判定し、前記持球数を1つ減じる持球数減算手段と、を備えて構成される。
上記実施形態によれば、予め定められた規定時間に亘って、発射球確認手段によって発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定する発射球検出判定手段と、発射球検出判定手段が発射球ありと判定したことを条件として、発射球確認手段によって遊技球が検出されない場合に、発射位置に停留されていた遊技球が発射されたと判定し、持球数を1つ減じるようにしたので、発射球確認手段にノイズが入り込んだ場合、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができ、異形球や磁性球を正規の遊技球が循環する循環経路から排除することができる。
[球集合部21]
図37は球集合部及び球揚送装置の正面左斜視図であり、図38は球集合部及び球揚送装置の正面図であり、図39は球集合部における球磨きカートリッジを外した状態を示す正面図である。また、図40は球集合部のケースと、球揚送装置のカバーを除去した状態を示す背面斜視図であり、図41は図40における球集合部を拡大した背面斜視図であり、図42は図41をさらに拡大した図であり、図43は球集合部のケースを除去した平面図である。
球集合部21(図41)は、球送り通路275と、球磨きカートリッジ251と、球磨きカートリッジ装着部273(図39)と、揚送入口スイッチ156とを有する。球送り通路275は、球集合部21全体の下部に配置された両側に壁を有する溝構造であり、異形球・磁性球排出ユニット20の球出口(図示せず)につながる球受け口275aと、球送り回転体350(後述)に開口する球送り口275bを有する(図41、図42、図43)。
球磨きカートリッジ装着部273は、後述する球磨きカートリッジ251を脱着する為に球集合部21に設けられている開口部である(図39)。球磨きカートリッジ251は、前記球磨きカートリッジ装着部273に遊技機正面側から脱着可能なものであり、球磨きカートリッジ251の、後述する球揚送装置22と対向する部分においては球磨き布263が配置されている(図41)。揚送入口スイッチ156は、球送り通路275を構成する一方の壁の外側に設けられ、球送り通路275内を通過する遊技球の有無を検出する(図41)。
[球揚送装置22]
図44は上部ギアボックスと、下部ギアボックスと、を除去した状態を示す背面斜視図である。図45は球揚送装置のカバーを除去した状態を示す右側面図であり、図46は図45における(A)部の拡大図である。また、図47はスクリューを分解した状態を表す図であり、図48は球揚送装置の上部を示す斜視図であり、図49はスクリューと嵌合部材の、嵌合・非嵌合状態を示す図である。
球揚送装置22は、スクリュー25(図40)と、球揚送モータ150(図38、図48)と、揚送ガイドレール282(図40、図44)と、上部ギアボックス356(図37、図40)と、下部ギアボックス357(図37、図40)と、球送り回転体350(図40)と、球送り傾斜部351と(図40、図41)、揚送部カバー353(図37)と、螺旋ベースカバー352(図37)と、揚送斜面部材354(図46)と、球送出樋23(図44、図46、図48)とを有する。
螺旋ベースカバー352と、揚送部カバー353とは、スクリュー25の周りを囲うように配置されるカバー部材368であり透明な樹脂製(アクリル樹脂)で形成されている。螺旋ベースカバー352は、前記球集合部21における球磨きカートリッジ251と対抗する部分において、開口部281が斜めに設けられている(図39)。
また、前記カバー部材368の上面は、後述する上部ギアボックス356の下面を設置する突起が形成されている(図69)。
スクリュー25は角筒状のカバー部材368の内部に球揚送装置22の基部から上端にかけて垂直に配置されている。前記カバー部材368は、螺旋ベースカバー352と、揚送部カバー353とを組み付けてスクリュー25の周りを囲うように配置されている。そして、スクリュー25は、スクリュー軸25aと、上下に位置する2個の小ピッチ突条部材25bと、中央部に位置する4個の大ピッチ突条部材25cとで構成されている(図45)。これらはスクリュー軸25aに嵌め込まれている。
小ピッチ突条部材25bは、円筒部25eと螺旋突条25dで構成される(図45)。図47に示すように、小ピッチ突条部材25bは、全体がスクリュー軸25aを含む垂直な面で2分した半割り体25bRと、半割り体25bLとをスクリュー軸25aを挟んで組み付けることにより一体とされている。前記円筒部25eの半割りとされた切断面には、両側の半割り体25bR、25bLを組み付けるための凹部25gと凸部25hの対が上下に形成されており、これらにより一体とすることができる。
また、前記半割り体25bR、25bLの上縁25iには上方に開口した上縁凹部25jが形成され、下縁25kには下方に突出した下縁凸部25mが形成されている。これらの上縁凹部25jと下縁凸部25mは小ピッチ突条部材25bと大ピッチ突条部材25cとを上下方向に結合し、相互に回転を伝達するためのものである。
大ピッチ突条部材25cについても同様であり、同じ符号を付し、具体的説明を省略するが、小ピッチ突条部材25bと比べて螺旋突条25dのピッチは大きくなっている。そして、小ピッチ突条部材25bの螺旋突条25dと、大ピッチ突条部材25cの螺旋突条25dとが連続する部分はピッチが変化するが、滑らかに連続されている。大ピッチ突条部材25cは、半割り体25cRと、半割り体25cLとで構成されている。
なお、ピッチとは直線に沿った螺旋突条25dの間隔である。小ピッチ突条部材25bの螺旋突条25dのピッチは大ピッチ突条部材25cの螺旋突条25dより小さい。例えば、小ピッチ突条部材25bのピッチは25mm、大ピッチ突条部材25cのピッチは43.2mmである。
なお、図47に示すスクリュー軸25aはスクリュー25の回転軸であり、図44に示すように、上端部に上部揚送ギア360(平歯車)が固定され、下端部に下部揚送ギア362(平歯車)が固定されている。
また、図49に示すように、スクリュー25の下部の小ピッチ突条部材25bは、下縁凸部25mが、下部揚送ギア362に一体形成されている嵌合部材366の嵌合凹部366aと凹凸嵌合を用いて嵌合され、スクリュー軸25a及び下部揚送ギア362と一体に駆動回転されるようになっている。
球揚送モータ150は、前記スクリュー25を駆動するモータであり、球揚送装置22における上部ギアボックス356の下面に取り付けられている(図38、図48)。
上部ギアボックス356は、球揚送装置22の上端に配置され、球揚送モータギア358と、アイドルギア359と、上部揚送ギア360とを収納し軸支している(図40、図44)。球揚送モータギア358は、球揚送モータ150の駆動軸に固定され、アイドルギア359と噛合っている。アイドルギア359は歯数の多い上段ギアと、その下面の歯数が少ない下段ギアとを一体にした2段ギアとなっており、球揚送モータギア358と上段ギアで噛合い、下段のギアで上部揚送ギア360と噛合っている。これらのギアは平歯車で上部ギアボックスの上下方向寸法が低くなっている。上部揚送ギア360はスクリュー軸25aの上端に固定されている。これらのギア構成により、球揚送モータ150によって前記スクリュー25が駆動回転される。
下部ギアボックス357は、球揚送装置22の下端から前記球集合部21の下端にかけて配置されており、下部揚送ギア362と、球送り回転体ギア363を収納し軸支している(図44)。下部揚送ギア362は、前記スクリュー軸25aの下端に固定され、球送り回転体ギア363と噛合っている。球送り回転体ギア363と下部揚送ギア362のギア比は2:1である。
球送り回転体ギア363のギア軸363aには、球送り回転体350が固定され、球送り回転体ギア363により球送り回転体350が駆動回転される。球送り回転体350は、前記球集合部21における球送り通路275の球送り口275bに対応して配置され、低い円柱状の部材であり周縁部に、この実施例において、180度間隔で遊技球を収容する球係合凹部350aが設けられている。球係合凹部350aは、遊技球の約半分を収容する深さを有する(図43)。
球送り傾斜部351(図42)は、前記球送り回転体350の周囲に形成され、遊技球を持ち上げるための斜面を有した部材である。前記球送り傾斜部351が存在する範囲は、球送り回転体350の回転方向に関して球送り通路275の球送り回転体側出口である球送り口275bの位置から球送り回転体350が遊技球をスクリュー25への受け渡し位置までの範囲である。
この球送り傾斜部351は前記のように球送り口275bから受け渡し位置まで球送り回転体350の外周に沿った円弧状であると共に、球送り口275bの位置から上方へ7mm(5~8mm程度)高い受け渡し位置まで上昇する傾斜面351aと、その頂上から前記スクリュー25方向へ突出し、下方へ傾斜する頂上傾斜部351bとを有する。傾斜面351aの幅は4mm(3~5mm程度)であり、頂上傾斜面351bは球送り回転体350の回転方向に関して受け渡し位置の前後に渡り遊技球の直径よりも大きな範囲に形成されている。
球送り回転体350とスクリュー25の平面視における位置関係は、前記頂上傾斜面351bから落下した遊技球を螺旋突条25dのピッチ間に受け入れることができる位置関係である。なお、球送り傾斜部351の外周に沿ってカバー部材368(図示していない)が受け渡し位置の付近まで配置されており、遊技球が傾斜面351aから落下するのを防止する。
前記下部ギアボックスの357の上面にはスクリュー25の下部前面側に近接してガイドブロック365(図42、図43)が配置されている。ガイドブロック365はスクリュー25の螺旋突条25dに近接する円弧状の球ガイド面と365aと、これに続くストッパ面365bを有する。球ガイド面365aは頂上傾斜面351bの近傍から螺旋ベースカバー352に設けた前記開口部281のまで形成され、その先がストッパ面365bとなっている(図43)。
揚送ガイドレール282は、スクリュー25と平行に、隣接して2本配置されており、スクリュー25によって揚送される遊技球を直線的に上方へ誘導するガイドの役割を持つ、直径5ミリ程度の丸棒状のガイド部材である。揚送ガイドレール282は、スクリュー25の回転方向に関して球送り回転体350とほぼ反対側に位置し、前記螺旋ベースカバー352に斜めに設けられた開口部281(図39)の上端部相当位置から上方へ垂直に配置され、上端が上部ギアボックス356の下面に固定されている。隣接した2本の揚送ガイドレール282の間隔は、遊技球(直径11mm)が通過できない幅(揚送ガイドレール282の内側間隔で5~8mm)である。
また、遊技球は揚送される際、ガイドレール282と当接しながら揚送されるため、揚送ガイドレール282は、摩擦係数が低い、且つ、スクリュー25が回転することにより生じる遊技球からガイドレール282への押圧力によって変形しない程度の剛性を備えたものとする。素材としてステンレスを用いるのが好ましい。
支持部材367は、揚送ガイドレール282の変形を防止し、遊技球と揚送ガイドレール282との間、及び上部発射装置12に伝達される振動を吸収するクッション部材であり、揚送ガイドレール282を本来の位置に維持する部分を備えており、前記螺旋ベースカバー352と前記揚送部カバー353とからなるカバー部材368と前記揚送ガイドレール282との間に入る程度の厚みを持った板状のブロック部材であって、前記カバー部材368と接する側を平面とし、前記揚送ガイドレール282を支持する側に凹部を有する。
前記揚送ガイドレール282は、スクリュー25が回転することにより生じる遊技球からガイドレール282への押圧力によって変形しない程度の剛性を備えているが、長期間にかけて遊技球からの押圧力が加えられると、次第に押圧方向に揚送ガイドレール282が変形し、遊技球が揚送ガイドレール282による誘導から外れてしまうおそれがあるため、その変形を規制する。
さらに、スクリュー25や揚送ガイドレール282など、主に遊技球が通過する部分においてはクリアランスをとって設計が為されているため、例えば球揚送モータ150が駆動することにより発生する振動がスクリュー25や揚送ガイドレール282へ伝導し、揚送ガイドレール282と遊技球間で異音が発生するおそれがある、さらに、球揚送装置22はカバー部材368でスクリュー25と揚送ガイドレール282などが囲われているため、球揚送装置22内で異音が発生すると共鳴して音が大きくなってしまう。しかし、支持部材367を配置することで遊技機において発生する振動を吸収し、異音の発生を抑制することができる。
なお、支持部材367は、カバー部材368と前記揚送ガイドレール282との間で、ガイドレール282の変形を規制できると共に、振動による異音が発生しない程度の個数を配置する。
図46に示す揚送斜面部材354は、スクリュー25の上端に対向し前記上部ギアボックス356の下面に形成された斜面を有したブロック部材であり、斜面は遊技球が送り上げられる経路と交差して配置され、スクリュー25によって垂直に揚送される遊技球の移動方向を水平方向に転向させて球送出樋23へ誘導する。
球送出樋23は、前記螺旋ベースカバー352の上端に設けられ、前記揚送斜面部材354から誘導された遊技球を上部発射装置12に送り込む為の傾斜を有した通路である。また、球送出樋23の側面には、遊技機内部にある遊技球を、遊技機外へ排出する球抜き部材355が備えられている(図44、図48)。球抜き部材355は、取り外しが可能な蓋部材であり、下部のツマミを操作して球送出樋23の側壁から外し、側壁に設けた開口を開放することができる。球送出樋23は斜行部を備え斜行部の先端側の壁に球抜き部材355が配置されている(図44)。
さらに、前記球送出樋23の外側面には遊技球の有無を検出する発射球待機球検出スイッチ26が配置されている(図45)。発射待機球検出スイッチ26が遊技球を検出しない時、スクリュー25が駆動され球揚送装置22から新たな遊技球が1球ずつ上部発射装置12に供給される。
[球集合部21及び球揚送装置22の作動]
循環経路の一部を構成する異形球・磁性球排出ユニット20から送られた遊技球は、球集合部21の球送り通路275を通って、球揚送装置22における球送り回転体350へ送られる。一方、球揚送モータ150の駆動によりギア列358、359、360を介してスクリュー25が回転され、スクリュー軸25a、下部のギア列362、363を介して球送り回転体350が回転される。下部揚送ギア362と球送り回転体ギア363のギア比は2:1であるので、スクリュー25の2回転で、球送り回転体350が1回転する。球送り回転体350は球送り通路275から球係合凹部350aに1球ずつ遊技球を受け取り反時計方向に回転する(図43)。
その後、球送り回転体350の回転によって遊技球は、球係合凹部350aに係合されて移動すると共に残りの外側半分が球送り傾斜部351の傾斜面351aに沿って移動し、頂上傾斜面351bに到達する。そして、頂上傾斜面351bは下方に傾斜しているので、遊技球はその位置から小ピッチ突条部材25bの螺旋突条25dに送り込まれる。この時少し高くなっている頂上傾斜面351bから送り込まれる遊技球は後続の遊技球との間隔が大きくなり、1球ずつ確実に分離される。
なお、安定した遊技球の送り込みを実施するために、頂上傾斜面351bの終端部と、小ピッチ突条部材25bの遊技球の受け渡し位置を略同じ高さにすることが考えられる。
また、頂上傾斜面351bから小ピッチ突条部材25dに遊技球を送り込む際、下り傾斜を用いることに限らず、例えば、レールを使って遊技球を小ピッチ突条部材25dまでガイドする構成でも良い。
また、傾斜面351aの終端と、遊技球を受けるスクリュー25下部の小ピッチ突条部材25dとの段差が小さい場合は、遊技球を傾斜面351aから小ピッチ突条部材25dへ直接落下させることも可能である。
次いで、遊技球は小ピッチ突条部材25bの回転に伴ってガイドブロック365の球ガイド面365aに沿って移動しストッパ面365bに衝突する。この間遊技球はスクリュー25の回転に伴い上昇し、そして螺旋ベースカバー352に設けられた開口部281の下端に到達する。この場合、球送り回転体350は前述したように180度毎に球係合凹部350aを備えており、スクリュー25に対して2分の1の速度で回転する為、半回転毎に1球ずつ遊技球をスクリュー25に供給することになる。球送り回転体の2分1回転は、前記小ピッチ突条部材25bの1ピッチに相当するので、球送り回転体350から送り込まれる遊技球は常に小ピッチ突条部材25bのピッチ間へ1球ずつ且つ連続して送り込まれる。(図41)。
つまり、球揚送装置22内で遊技球が数珠繋ぎになることが防止される。
前記開口部281を通して球磨きカートリッジ251の球磨き布263と接触するようになっている。即ち、球揚送装置22のスクリュー25による遊技球の揚送に伴って開口部281を介し遊技球が球磨き布263にこすりつけられ、遊技球のクリーニング及び球磨きが行われる(図39)。そして、斜め上方向にガイドされることによって、前記球磨き布263の面積を有効に活用できる。
開口部281の通過後、遊技球はスクリュー25の回転に伴い球揚送装置22の上端まで揚送されることになるが、その際遊技球は平行に配置された前記揚送ガイドレール282に案内され直線状に移動する。ガイドレール282は、スクリュー25によって揚送される遊技球の上下方向の移動を許容し、左右方向への移動を規制する。この間遊技球の揚送は、下部の小ピッチ突条部材25a箇所ではピッチが小さいことにより遊技球の移動を比較的遅くして、球送り回転体350からの球受けに支障がないようにしている。また、上部の小ピッチ突条部材25bの箇所でもピッチが小さいことにより遊技球の移動を比較的遅くして、上部発射装置12への球送りだしに支障がないようにしている。
一方、スクリュー25の中間部では遊技球の揚送速度を速くしても格別な支障はないのでピッチの大きな大ピッチ突条部材としている。球揚送装置22内で循環させる遊技球数を少なくすることができる。更に、これによりスクリュー25に掛かる遊技球の重みによる負担を少なくすることができる(図45)。
また、本実施例における揚送とは、遊技機の下部から上部へ継続的に遊技球を運び上げる意味として用いる。
球揚送装置22の上端に到達した遊技球は、前記揚送斜面部材354の斜面に下方から当接することで、スクリュー25によって揚送された遊技球の移動方向が垂直方向から略水平方向へ転向され、前記球揚送装置22から前記球送出樋23へ遊技球が滑らかに送り込まれる。そして、前記球送出樋23に送り込まれた遊技球は、前記球送出樋23の緩やかな斜面を転動し、上部発射装置12へ送り込まれる(図46)。
この場合、揚送された遊技球が前記揚送斜面部材354の斜面部分に当接すると、揚送ガイドレール282のガイドを外れて前記球送出樋23の床面に自然流下する構成であるため、揚送ガイドレール282やスクリュー25へ球圧がかかることがなく、滑らかに送り込むことが可能となる。
循環する遊技球をメンテナンス等の際に遊技機から取り出す必要があるときは、球送出樋23の外側面に設けた球抜き部材355を操作して簡単に遊技機外へ排出することができる(図37、図48)。
本実施例では、螺旋ベースカバー352及び揚送部カバー353は、透明な樹脂製(アクリル樹脂)で構成されており、このように透明な樹脂を用いることで、球揚送装置22内の状態を、分解することなく目視で容易に確認できるので好ましいが、本発明はこれに限ることなく、螺旋ベースカバー352及び揚送部カバー353を不透明な樹脂や金属等で構成しても良い。
また、小ピッチ突条部材25bと大ピッチ突条部材25cは、半割りとしたものを接合する構成としているが、当初から一体に成形した筒状のものであっても良い。更に、合成樹脂の成形技術を駆使すればスクリュー軸25aを除くスクリュー25全体を一体成形することができる。
また、スクリュー25及び揚送ガイドレール282はすべりの良い、且つ、スクリュー25が回転することにより生じる遊技球から揚送ガイドレール282への押圧力によって変形しない程度の剛性を備えた素材のものが好ましく、アルミ等の金属や、合成樹脂であっても良い。また、螺旋突条25dは、少なくとも球送り回転体350から遊技球を受ける部分において、固めのシリコン素材等を用いることが考えられる。これにより、螺旋突条25dに遊技球が落ちる際に生じる衝撃を吸収することができる。
そして、本実施例における揚送ガイドレール282は2本のレールで遊技球を垂直方向にガイドしているが、2本のレールに限らず、例えば揚送ガイドレール282を1本とし、もう1方のガイドを、カバー部材368の内壁を揚送ガイドレール282と平行に隣り合うように延出させて遊技球をガイドする構成にしても良い。
また、支持部材367は、螺旋ベースカバー352と前記揚送部カバー353とからなるカバー部材368と前記揚送ガイドレール282との間に配置したが、振動を吸収することに限れば、前記カバー部材368に限らず、例えば図70に示すように揚送ガイドレール282の両端部に支持部材367をかぶせるように配置しても良い。これにより、遊技盤に配置されている可動役物(図示しない)やモータなどの電気的駆動源が稼働することにより発生する振動や、扉枠3に配置されたタッチパネル部14を遊技者が操作する際に発生する衝撃による振動など遊技機において発生する様々な振動が吸収されるため、遊技球がガイドレールのガイドから外れて揚送を行えない事態が生じたり、遊技球の発射が振動によって不安定になったりすることを抑制することができる。
また、本実施例ではスクリュー25の全長に亘って螺旋突条25dの1ピッチに1球ずつ連続して遊技球を送り出して揚送をしているが、スクリュー25全てのピッチで遊技球を揚送しなくとも、連続して遊技球を揚送する構成であれば、これに限定するものではない。
なお、揚送斜面部材354はスクリュー25と揚送ガイドレール282によって垂直に揚送される遊技球を、球送出樋23へ滑らかに送り込める構造であれば良く、上部ギアボックス356と一体に成形したものや、図67、図68に示すように球送出路23の上面を遊技球の揚送経路上まで延出させて、延出した部分の下面に斜面を形成しても良い。
また、本発明の球揚送装置22は、スクリュー25を用いて遊技球を揚送する構成であるが、遊技球を垂直にガイドして運び送るように揚送するものであれば、スクリューに限らず、継続的に遊技球を運び上げることができるベルトコンベアなど、種々の方法を選択することができる。
[球磨き装置]
次に、遊技機内に封入された遊技球のクリーニング及び球磨きを行う球磨き装置について説明する。先に説明した図38は、球磨き装置については、球磨きカートリッジが装着された状態を示す正面図であり、また、先に説明した図39は、球磨き装置については、球磨きカートリッジを外した状態を示す正面図である。
また、図50は球磨きカートリッジが装着された状態を示す左側面図、図51は球磨きカートリッジを固定する機構を説明する斜視図である。図52は球磨きカートリッジを装着する途中時点の状態を示す斜視図である。
図53と図54は、遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す図であり、図53は遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す斜視図、図54は遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す左側面図であり、図55は、図54において、球磨きカートリッジの左サイドカバーを除去した状態を示す左側面図である。また、図56は図55において、球磨きカートリッジ付近を拡大した図である。
次に、図57は球磨きカートリッジが装着された状態を示す斜視図であり、図58は、図57において、右サイドカバーの内部の説明のために右外サイドカバーを外した状態を示す斜視図、図59は、図58において、右サイドカバーを開いた状態を示す上斜視図である。図60は球磨きカートリッジの斜視図、図61は同正面図、図62は同側面図であり、図63は、図62において、左サイドカバーを外した状態を示す側面図である。
図38及び図50に示されるように、球揚送装置22の下部には、球集合部21が設けられており、球集合部21の一部の球磨きカートリッジ装着部270に球磨きカートリッジ251が装着可能とされている。ここで、球揚送装置22の外側は透明なプラスチック部材で形成されており、仮に球揚送装置22内において遊技球の詰まりが発生した場合などにも、詰まりの発生場所を容易に視認できるようになっている。球磨きカートリッジ装着部270に装着された球磨きカートリッジ251は、図51に示されているように、球磨きカートリッジ装着部270に設けられた、一端が軸上に支持されて他端を回動可能とした球磨きカートリッジ固定レバー271の他端部を、同じく球集合部21に設けられた球磨きカートリッジ固定止め具272に掛けることによって、球磨きカートリッジ251を奥方向及び左方向に押さえつけるような構造となっている。なお、図51においては、球磨きカートリッジ固定レバー271の移動態様をわかりやすくするために、球磨きカートリッジ固定レバー271を開いた状態と閉じた状態の両方を合わせて記載している。
図39は、球磨きカートリッジ251を外した状態を示す正面図である。図39に示されているように、球磨きカートリッジ装着部270には、球磨きカートリッジ251を装着可能とするような空洞部からなる球磨きカートリッジ装着口273を有している。なお、図39においては、見やすくするために球磨きカートリッジ固定レバー271、及び球磨きカートリッジ装着部270の内部に設けられ、球磨きカートリッジ装着口273から視認可能となる装着センサ291、駆動軸290の記載を省略している。
図66は、図39の球磨きカートリッジ装着口273付近を拡大した拡大図である。球磨きカートリッジ装着部270の内部の球磨きカートリッジ装着口273の奥の、向かって右側の面の下方に、図59に示されている第2駆動ギア257と同軸で、球磨きカートリッジ251の第1のギア軸261にはまり込む駆動軸290が備えられており、向かって右側の面の上方に、押し込み可能なボタン292を備えた装着センサ291が備えられている。球磨きカートリッジ251の一連の装着動作によって、装着センサ291のボタン292が押し込まれることによって、球磨きカートリッジ251の装着が検知される。装着動作の具体的な態様については後述する。
また、球磨きカートリッジ装着部270のもっとも奥の部分の球揚送装置22と対向する部分において、球揚送装置22には、その長辺が後述する球磨きカートリッジ251の球磨き布263の進行方向と異なった角度を有する開口部281が設けられている。これにより、遊技球の揚送方向と、球磨き布263の進行方向にずれが生じるため、所定の幅を有する球磨き布263の幅方向の一部分のみを使用するといったことがなく、球磨き布263の幅を有効に活用して遊技球のクリーニング及び球磨きを行うことが可能となる。
さらに、開口部281の長辺同士の幅は、球揚送装置22によって揚送される遊技球の周縁部の少なくとも一部が、開口部位置において球揚送装置22の外部に突出可能となる幅で、かつ、遊技球の直径よりも小さくなるように構成されており、本実施例では、遊技球の直径11mmに対して、開口部281の長辺同士の幅を8.4mmに設定して、開口部281から球磨き布263側に約1.5mm遊技球が突出する構成となっている。
これによって、遊技期間中においては、球揚送装置22内を揚送される遊技球が、開口部281の位置において周縁部の一部が、球揚送装置22の外部に突出して、球磨きカートリッジ251の球磨き布263と遊技球とが接触することが可能となる。特に、球磨きカートリッジ251内に弾性部材を有し、球磨き布263を遊技球に押しつけるような構成とした場合には、より確実に球磨き布263を遊技球と接触させることができ、より確実な球磨きが可能となる。
また、遊技期間外の時間帯で、球揚送装置22内に遊技球が残った状態で、球磨きカートリッジ251を取外したとしても、開口部281の幅が遊技球の直径よりも小さくなるように構成されていることによって、球揚送装置22内に残った遊技球が球磨きカートリッジ251の球磨きカートリッジ装着部273側にこぼれ落ちたりすることがない。
図52は、図39の状態から、球磨きカートリッジ251を装着する途中時点の状態を示す斜視図である。図39と図52からわかるように、本実施例においては、球磨きカートリッジ251は本体枠2の前方から挿入、装着する構成となっている。
図60は球磨きカートリッジ251の斜視図、図61は同正面図、図62は同側面図であり、図63は、図62において、左サイドカバーを外した状態を示す側面図である。ここで、259は巻き取りローラ、260は従動ローラ、261は第1のギア軸、262は第2のギア軸であり、それぞれ、第1のギア軸261は巻き取りローラ259、後述する第2駆動ギア257と同軸になるように構成されており、第2のギア軸262は従動ローラ260と同軸になるように構成されている。また、268は遊技球接触跡であり、図39に示されているように、球揚送装置22による遊技球の揚送方向と、球磨きカートリッジ251の球磨き布263の巻き取り方向が、鉛直方向に対して異なる角度となっているため、遊技球接触跡268は、球磨き布263の長辺方向に対して傾きをもって形成されることとなる。
図53と図54は、遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す図であり、図53は遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す斜視図、図54は遊技球と球磨きカートリッジの球磨き布が押し当てられている状態を示す左側面図である。
図53及び図54に示されているように、球揚送装置22に設けられたスクリュー25によって遊技球は揚送されており、球揚送装置22と球磨きカートリッジ251の球磨き布263が対向する箇所において、遊技球は球揚送装置22の開口部281を通して球磨きカートリッジ251の球磨き布263と接触するようになっており、球揚送装置22のスクリュー25による遊技球の揚送により、球磨き布263とこすりつけられ、遊技球のクリーニング及び球磨きが行われるようになっている。
また、図53及び図54に示されているように、球揚送装置22におけるスクリュー25は、上部及び下部と、中間部においてその形状が異なっている。上部及び下部においては、スクリュー25のスパイラル(図47の螺旋突条25d)の傾斜角度を小さくしてピッチも狭くし、それに対して中間部においては、スクリューのスパイラルの傾斜角度を大きくしてピッチも広くしている。中間部においては、揚送に時間をかける必要がないため、スパイラルの傾斜角度を大きくして揚送速度を上げることで、短時間に遊技球を揚送することができ、また、該中間部分に含まれる遊技球の個数を減少させることが可能となり、遊技機内部に封入する遊技球の個数を減少させることができる。
また、下部におけるピッチの間隔を狭くすることにより、遊技球が球磨きカートリッジ251の球磨き布263と対向する部分における、遊技球の揚送速度を低下させることで、遊技球と球磨き布263との接触時間を長くして、確実に遊技球のクリーニング及び球磨きを行うことができる。さらに、上部におけるピッチの間隔を狭くすることにより、球揚送装置22の揚送終端部における遊技球の揚送速度を低下させることができ、球揚送装置22から球送出樋23へ球を受け渡しする際の球噛みといったトラブルの発生をなくし、スムーズに球送出樋23に遊技球を送り込むことができる。
また、図54に示されているように、球揚送装置22には、遊技球の揚送をガイドする2本のガイドレール282が備えられている。両ガイドレール間の間隔は、遊技球の直径と同程度に設定されているが、揚送される遊技球の挙動が激しくなる可能性のある箇所についてはいくぶん狭くして安定させるといった調整も行うことができる。こうして、両ガイドレールに両側を支えられるようにして、遊技球は球揚送装置22内を揚送される。
図55は、図54において、球磨きカートリッジの左サイドカバーを除去した状態を示す左側面図である。また、図56は図55において、球磨きカートリッジ付近を拡大した図である。ここで、259は巻き取りローラ、260は従動ローラであり、後述する球磨きリボン送りモータ155からの駆動力が伝達される。巻き取りローラ259と同軸になるように構成されている第2駆動ギア257の回転により、巻き取りローラ259は回転され、巻き取りローラ259と従動ローラ260との間の摩擦力により、球磨き布263が巻き取られる。
また、球磨きカートリッジ251の、球揚送装置22と対向する部分においては球磨き布263が配置されており、球磨き布263の背後には球磨き布263を押さえつける働きを有するテンショナー267が設けられ、テンショナー267の背後には、テンショナー267と球磨き布263を遊技球に押さえつける働きを有する2本のコイル状の球磨き布押さえバネ264が設けられている。さらに、球磨き布押さえバネ264の背後には、球磨き布押さえバネ264を支持するバネ押さえ266が設けられている。また、球磨きカートリッジの上部には板バネ265が設けられており、該板バネ265によって、球磨き布263を軽く押さえつけて整列させ、球磨き布263を球揚送装置22と対向する部分に送り込む前に整列させる役割を果たしている。
なお、巻き取りローラ259及び従動ローラ260によって巻き取られた球磨き布263は、球磨きカートリッジ251内に収納されていくが、図55及び図56においては、巻き取りローラ259及び従動ローラ260によって巻き取られた後の球磨きカートリッジ内部の球磨き布263の記載を省略している。
図57は球磨きカートリッジが装着された状態を示す斜視図であり、253は右サイドカバーであり、右外サイドカバー253aと右内サイドカバー253bとから構成されており一体化されている。258は後述する第2駆動ギア257を覆う第2駆動ギアケースである。図58は、図57において、説明のために右サイドカバー253のうち、右外サイドカバー253aのみを外した状態を示す斜視図であり、253bは右内サイドカバーであり、155は球磨きリボン送りモータであり、球磨きカートリッジ251において、球磨き布263の巻き取りの駆動源となる。また、右サイドカバー253の奥側端部にはヒンジ受け部254に係合するヒンジ255を備えており、右サイドカバー253はヒンジ255を支点として回動可能となっている。本実施例においては、球磨きリボン送りモータ155はステッピングモータからなる。球磨きリボン送りモータ155の具体的な駆動態様については後述する。
図59は、図58において、右サイドカバー253を開いた状態を示す上斜視図であり、ヒンジ受け部254に係合するヒンジ255を支点として、右サイドカバー253が回動可能とされている。右サイドカバー253の右外サイドカバー253aと右内サイドカバー253bとの間には、球磨きリボン送りモータ155の回転軸と同軸で球磨きリボン送りモータ155の駆動により回転される図示しない第1駆動ギアが設けられており、本実施例では歯数16のギアを使用している。また、同じく右外サイドカバー253aと右内サイドカバー253bとの間には、駆動軸290と同軸で、第1駆動ギアとかみ合う第2駆動ギアも設けられており、本実施例では歯数32のギアを使用している。
次に、球磨きカートリッジ251の装着動作と装着検知について説明する。図64は、球磨きカートリッジ装着部270の斜視図であり、図65は、球磨きカートリッジ251と球磨きカートリッジ装着部270との関係を示す斜視図である。球磨きカートリッジ装着部270は、右サイドカバー253がヒンジ255を支点として回動されることによって、球磨きカートリッジ装着口273がヒンジ部を支点として広がるように(図64のA方向)構成されている。
その状態で、図65に示されているように、正面方向から球磨きカートリッジ装着口273に球磨きカートリッジ251を挿入する。挿入の際には、右サイドカバー253の回動により、球磨きカートリッジ装着口273が広がっているため、駆動軸290や、装着センサ291が挿入の邪魔になることはない。球磨きカートリッジ251を挿入した後に、球磨きカートリッジ251を図64のAとは逆の方向に回動させて球磨きカートリッジ装着口273をもとの幅に戻すようにし、その後球磨きカートリッジ固定レバー271を球磨きカートリッジ固定止め具272に係合させることによって、駆動軸290は、球磨きカートリッジ251の第1のギア軸261にかみ合い、装着センサ291のボタン292が押し込まれ、球磨きカートリッジ251が装着されたことが検知される。
遊技機の電源投入中において、装着センサ291のボタン292が押し込まれている状態の時は、球磨きカートリッジ251が正常に装着されていると検知して報知は行わないが、電源投入時であるにもかかわらず装着センサ291のボタン292が押し込まれていない状態の時は、球磨きカートリッジ251が正常に装着されていない状態として報知を行う。報知の態様としては、遊技機が通常備えており遊技の態様に応じた演出表示を行う図示しない表示装置において、球磨きカートリッジ251が装着されていない旨の表示をすることによって報知することができる。また、別の報知の態様として、演出のための装飾ランプや、球磨きカートリッジ251の装着状態を示す専用のランプを所定の態様で点灯又は点滅させることによって報知することもできる。
また、本実施の形態のような封入球式の遊技機においては、遊技機内に封入された遊技球を循環させて遊技を行うため、遊技球のクリーニングを行うことなく、あまりに長時間遊技を継続すると、遊技球への汚れがたまって、遊技球の転がりが悪くなったりするおそれもあるため、遊技球の循環経路の途中のいずれかにおいて、球磨き装置によって遊技球のクリーニングを行うことが好ましいが、球磨き装置なしに遊技を行えないわけではないため、球磨きカートリッジが装着されていないことを検知しても、表示装置やランプによって報知を行うのみで、遊技は継続して行うことができる。
また、遊技者による遊技時間はハンドルに設けられたタッチスイッチ87による検知によって、図示しない計測手段によって累積して計測している。本実施例においては、計測手段による累積計測時間が1分間になるごとに、球磨きリボン送りモータ155が1ステップ送られる。本実施例においては、巻き取りローラ259の直径が25mmで構成されているため、円周長が約78.5mm(=25×3.14)、第1駆動ギア256と第2駆動ギア257とのギア比が1/2であることを考慮すると、1ステップあたりの球磨き布263の送り量は0.11mm(=78.5/360/2)となる。
なお、本実施例においては、レバーを止め具に掛けることによって、球磨きカートリッジ251を押さえつけて固定する方法としているが、固定の方法については、この方法に限られたものではなく、他の固定方法を用いることもできる。
また、本実施例においては、球磨き布263を遊技球に押さえつける手段として、コイル状の球磨き布押さえバネ264を用いているが、押さえ手段としてはこれに限られたものではなく、他の形状のバネや、その他の弾性部材等を用いることもできる。
なお、本実施例においては、球磨きカートリッジ251を遊技機の最下部に配置しているが、球磨きカートリッジ251の配置位置はこの位置に限ったものではなく、遊技機の中間部や上部に配置することもできる。その場合には、球揚送装置22における球磨きカートリッジ251と対向する部分に設ける開口部についても、球磨きカートリッジ251の配置位置に対応する箇所に変更すればよい。
また、本実施例においては、球揚送装置22による遊技球の揚送方向と、球磨きカートリッジ251の球磨き布263の巻き取り方向を異ならせる手法として、球磨きカートリッジ251の球磨き布263を鉛直方向に搬送し、球磨き布263と対向する部分の球揚送装置22の遊技球の揚送方向を、鉛直方向から傾けた方向に搬送するようにしているが、方法としてはこれに限ったものではなく、球揚送装置22の遊技球の搬送方向を鉛直方向にして、球磨きカートリッジ251の球磨き布263の搬送方向を鉛直方向から傾けた方向としたり、両者いずれも傾けた方向とするなど、種々の方法を選択することができる。
また、本実施例においては、球磨きカートリッジ251の装着センサ291として、押し込み可能なボタン292を有し、球磨きカートリッジ251の装着動作によってボタン292が押し込まれることによって、球磨きカートリッジ251の装着を検知したが、装着センサ291の態様としては、これらのセンサに限ったものではなく、光学センサや磁気センサなど、他の形態のセンサを用いることもできる。
さらに、本実施例においては、装着センサ291によって、球磨きカートリッジ251が正確に装着されていないことが検知されても、報知を行うのみで遊技は継続して行うことができるものとしたが、球磨きカートリッジ251が正確に装着されていないことを検知した場合には、遊技が行えないようにすることもできる。
[遊技球の封入動作]
次に、封入球式遊技機を新規に設置したときや、汚れの発生した遊技球をいったん取り出してクリーニングしたときなどに、封入球式遊技機内に所定数の遊技球を封入する封入動作について説明する。封入動作は、封入球式遊技機に電源を投入していない状態で行う。そのため、封入球式遊技機内の球揚送装置22や、各種センサは作動していない。
封入球式遊技機においては、遊技球は発射装置によって遊技領域に発射され、その後遊技領域を転動した後に、入賞装置に入賞するか、アウト口42から回収され、回収された遊技球は、再び発射装置に搬送されて、発射装置において再度遊技領域に発射されて遊技が行われる。すなわち、全体として遊技球の循環経路が形成されている。
封入動作における遊技球の導入は、この循環経路内に遊技球を入れればよく、本実施例においては、アウト口42から遊技球を導入している。これにより、封入球式遊技機へ遊技球を封入するための封入口を別途設ける必要がなく、封入球式遊技機の構成を簡素化することができる。また、アウト口42に代えて、入賞装置の入賞口41から遊技球を導入するようにしてもよい。入賞装置の入賞口41に入った遊技球についても、アウト口42に入った遊技球と合流して、その後発射装置に搬送される構成となっているため、入賞装置の入賞口41から遊技球を導入しても、アウト口42に遊技球を導入した場合と同様に、遊技球を循環経路内に入れることができる。いずれの場合も、遊技球を導入する際に、遊技球や手、その他が釘に当たらないよう注意を要する。アウト口42に遊技球を導入する場合は、後述する遊技球導入部材427を備えることにより、投入の際に遊技球が釘にあたってしまうことを防ぐことができる。なお、アウト口42と入賞口41は、遊技球回収口に相当する。
図71は、封入球式遊技機へ遊技球を封入する際に、遊技球が所定数に満たない状態を示す概略図である。前記のとおり、遊技球の封入動作時には、まだ封入球式遊技機に電源が投入されていないため、球揚送装置22が駆動していない。そのため、アウト口42や入賞口41から投入された遊技球は、回収口202から入り、異形球・磁性球排出ユニット20内を通過した後に、球揚送装置22の手前を先頭として整列する。
図72は、図71の状態からさらに遊技球を投入して、所定数の遊技球数に達した状態を示している。図72に示されているように、所定数の遊技球を封入したときには、最後に投入した遊技球233は、磁性球排出経路226と正規の遊技球の経路が分岐する箇所の不連続部分223に位置して、不連続部分223を封鎖するように構成されている。
図73は、図72の状態からさらに遊技球を投入して、所定数を超えた遊技球が投入された状態を示している。前記のとおり、所定数の遊技球が封入されたときに、最後に投入した遊技球233が、不連続部分223を封鎖するように構成されているため、さらに投入された遊技球は、所定数を超えた遊技球235となり、不連続部分223から正規の遊技球233の経路に入ることができずに、磁性球排出経路226から磁性球排出栗227に導かれて回収される。
なお、本実施例においては、磁性球排出部において、所定数の遊技球を封入したときに正規の遊技球233が導かれる不連続部分223を封鎖して、所定数以上の遊技球を磁性球排出部において回収する構成としているが、異形球排出経路においても同様に、所定数の遊技球を封入したときに正規の遊技球233が導かれる経路を封鎖して、異形球排出部において回収するようにすることもできる。
また、アウト口42へ遊技球を投入する際の効率化を図る為、アウト口42の下縁に位置する前構成部材45のレール部に遊技球導入部材427を備えている(図74、図75)。遊技球導入部材427の上面に遊技球を乗せるとアウト口42に向かって遊技球が流し込まれる構造のため、効率的に遊技球を封入することができる。また、付近の釘に当てることなく遊技球を投入することができる。
図74は、遊技球導入部材427を突出させた状態を示す斜視図である。遊技球導入部材427は、扉枠3を開放し、手前にスライドすることで突出させることができる。
図75は、遊技球導入部材427を収納した状態を示す斜視図である。図74の状態から、遊技球導入部材427を奥へ押し込むことで収納可能となるため、遊技を阻害することはない。
なお、本実施例においては、遊技球導入部材427は手動でスライドすることにより進退可能な構造になっているが、上記の方法に限らず、スプリングバネなどの付勢部材を用いて、扉枠3の開閉することにより自動的に進退自在にする等、種々の方法を選択することができる。
本実施形態において上部発射装置12は本体枠2の上部左方に取り付け固定されている。
そのため、新台設置などで遊技盤5を本体枠2に嵌め込む際に、上部発射装置12を避けて嵌め込まなければならない。しかし、遊技盤5が嵌め込まれる同一面上に上部発射装置12が配置されている為、遊技盤5を嵌め込む際の取り回し難度が高く、遊技盤5を嵌め込む際に誤って遊技盤5を上部発射装置12に衝突させて、上部発射装置12及び遊技盤5を破損させてしまったりする問題が生じる可能性がある。このような問題を起こさないために、遊技盤5を本体枠2に嵌め込む際の位置決めの役割を果たす位置決めガイド部材450が、本体枠2に配置されている。
次に、位置決めガイド部材の説明をする。図97に示すように、本体枠2の左側板の内壁に、位置決めガイド部材が配置されている。この部材は、遊技盤5を本体枠2に嵌め込む際の位置決め及びガイドを行う部材であって、ヒンジによって回動自在に軸支されており、約90度の回動が可能となっている。また、バネ等の付勢部材によって付勢されているため、遊技盤5が本体枠2に嵌め込まれてないときは、遊技盤5の左側面下端部と前面左下端部とを合わせる箇所が正面側に向いている。また、遊技盤5の下面左端を合わせるための床面が形成されている。また、嵌め込みの際の安定化を図るために、床面が形成されていない位置決めガイド部材450を、床面が形成されている位置決めガイド部材450の上方に配置しても良い。
本体枠2に対する遊技盤5の嵌め込みは、図98(A)に示すように、遊技盤5の前面左下端部、側面下端部及び下面左端部を夫々位置決めガイド部材450に合わせ、位置決めを行う。その後、図98(B)に示すように位置決めガイド部材を支点にして、本体枠2側に遊技盤5を回動させて、図98(C)に示すように本体枠2に対して嵌め込みを行う。こうすることで、嵌め込んだ際に遊技盤5の前面左下端部を位置決めガイド部材450が本体枠2側へ抑え込むので、遊技盤5と本体枠2との位置関係がガタなく一定に定まる他、上部発射装置12の発射口38と、遊技盤5の発射領域40とが面一になるように固定され、発射口38と遊技領域8との間に遊技球が走行する際の障害となる段差等が生じず、安定した発射を行うことができる。
また、本体枠2の内側側壁に備えた位置決めガイド部材450に遊技盤5を合わせることで遊技盤5が本体枠2に位置決めされる。その後、遊技盤5を本体枠2に嵌め込むことで、位置決めガイド部材450が遊技盤5の嵌め込み動作に合わせて回動するので、本体枠2の嵌め込み位置に遊技盤5を引き込むガイドとなり、遊技盤5を上部発射装置12に誤って衝突させることなく本体枠2に嵌め込むことができるため、上部発射装置12及び遊技盤5とを衝突によって破損させてしまう可能性を可及的に少なくすることができる。
[パチンコ遊技機の粉じん対策]
パチンコ遊技機1は、前記のように、矩形枠状に構成されてホール側の島設備に設置される外枠1a(図12)と、該外枠1aに開閉自在に軸支され且つ遊技盤5(図2)を装着し得る本体枠2と、該本体枠2に開閉自在に軸支される扉枠3と、を備えて構成されている。本体枠2の背面側は従来、開閉できる後カバー体で覆われるが、密閉する構造ではなく、遊技盤5の後面に装着された主制御基板100や周辺制御基板130の背面側を保護することを主目的としたものである。このため、本体枠2の内側にはパチンコ遊技機1の背面側から外気が流通し、ホール内の粉じんやたばこの煙など(以下、粉じん)が侵入する。
粉じんは本体枠2に取付けた遊技盤5の遊技パネル(透明パネル板44)に設けた演出用の液晶画面を見せるための開口部や入賞口41、アウト口42を通じて遊技パネルの前面側に回り込み、扉枠3を閉じてあっても遊技球や遊技パネルの前面に付着する。このため、遊技球の通路にわずかではあるが軌跡が現れたりする。封入式のパチンコ遊技機では、遊技球のクリーニングが島設備の場合と同等にはいかず、また、封入された遊技球は一定期間入れ替わりがないので、粉じんによる汚染が目立ちやすい。その他、パネル前面の装飾部材や背面の制御基板を納めている収納ボックスなどに粉じんが滞留する。前記の収納ボックスでは放熱のためにボックス内にエアを取り入れて排出しているので、粉じんが蓄積されやすい。
図100は、粉じん対策を施した封入式パチンコ遊技機1の例である。
このパチンコ遊技機1は先に説明したパチンコ遊技機1と同様に、外枠1a、本体枠2、扉枠3および遊技盤5を備える。これらの形態や構造は先に説明したものと同様であるが、本体枠2は背面側も含めて通孔のない容器型であり、前面側の本体枠ベース2a(図2,3)の箇所だけで開口している。そして、本体枠ベース2aの前面側、すなわち、同一平面上にあって開口を四角形に区画する縁枠部分の前面に気密のための合成ゴム製タイト材2b(図100)が取り付けられている。このため、扉枠3が閉じられると本体枠2の内部がほぼ気密に維持される構造となっている。
一方、外枠1aは下部が横方向の補強金具812で区画され本体枠2が嵌めこまれる上部と下部の装飾カバー6(図2)で覆われる下部空間800とに分割されている。下部空間800は本体枠に対する遊技盤5の交換作業や扉枠3の開閉作業あるいはパチンコ遊技機背面側での遊技球処理のために設けられているものであるが、この実施例では下部空間800に吸気装置801と排気装置802を配置している。特に、遊技球を遊技機単位で循環させるいわゆる封入機では装飾化粧カバー6の背面側が空間(下部空間800)として利用できることが多い。
吸気装置801は、パチンコ遊技機の内部へ外気を取り込むためのもので、モーター803で駆動されるファン804とその下流側にフィルター805と簡単なアキュムレータ806(蓄圧部)を備える。排気装置802は、導出通路807と外開き弁808とで構成され、密閉された本体枠2の内部と遊技機外とを連通するものである。
そして、吸気装置801はアキュムレーター806から細い樹脂製のメインチューブ809を通じて本体枠2の内部に入り、本体枠2の密閉空間内で図のように種々に分岐し、それぞれの分岐チューブ810の先端は、本体枠内に構成される各部材、例えば、異形球・磁性球排出ユニット20を構成する部材、球集合部21を構成する部材、球揚送装置22を構成する部材及び上部発射装置12を構成する部材の中空部に接続される。そして、それぞれの中空部には本体枠2の密閉空間に開放された開口811を設けてある。開口811は多数設けることになるが、その配置は球揚送装置22から上部発射装置12への球供給経路部材24のように、球送出樋23の球送出口23a付近と揚送連通樋65の球入口66付近のように、部材どうしの接合箇所とか、段差が生じている箇所あるいは内部空間として屈曲部を有している箇所近くに前記の分岐チューブ810の先端を接続し、また、開口811を配置する。つまり、球供給通路など内部に空間を有する部材の内部要所に前記アキュムレーターからのエアを供給して内部の要所周辺に空気流を作って粉じんが付着しないようにしている。
多数の開口811から本体枠2の密閉された空間に吹き出したエアは本体枠2内の気圧を高め、本体枠2の内部を循環した後、排気装置802の導出通路807を経て外部に排出される。導出路807の外開き弁808は外部の空気が逆流してパチンコ遊技機内部に入り込むのを防止する。
このような機構により、吸気装置801から取り込まれ、フィルター805を得た清浄エアはメインチューブ809、分岐チューブ810を通じて直接、粉じんの付着が生じやすい箇所へ送り込まれ、その後本体枠2の内部空間に放出される。この結果、本体枠2の内部気圧は常時外部よりも高く、外部の粉じんはパチンコ遊技機1の内部に入りこまない。
なお、アキュムレーター806内部の蓄圧は分岐チューブ810の先端で外気圧よりも高くなる程度でよく、それほど高くする必要はない。ファン104による風圧によって達成することもできる。
また、この実施例では本体枠2の内部を扉枠3で密閉する構造とし、そのために本体枠2の縁枠部分にタイト材2bを取り付けているが、アキュムレーター806内部の圧力を高め、本体枠2内部の気圧が常時外気圧よりも大きくなるようにしておけば、このような密閉構造は必要がなく、通常の閉鎖程度もよい。すなわち、本体枠2の構造そのものに内部エアが外に漏れる間隙があってもあるいは本体枠2と扉枠3との間に内部エアが漏れるような間隙が存在するとしても、内部気圧が外気圧より高いので、これらの間隙から粉じんが入り込むことはない。
次に、パチンコ遊技機1及びその一側に隣接して配置される外部装置としての精算機4の制御の概要について説明する。図76は、封入球式パチンコ遊技機に配備され、RTCを備えた主制御基板の実施形態における要部を示すブロック図である。パチンコ遊技機1の制御は、大きく分けて主基板グループと周辺基板グループとで分担されており、このうち主基板グループが遊技動作を制御しており、周辺基板グループが演出動作(液晶表示パネル、ランプ、本体枠ランプ、扉枠ランプ、音)を制御している。主基板グループは、主制御基板100と球情報制御基板110とから構成されており、周辺基板グループは、周辺制御基板130から構成されている。
[主制御基板100]
主制御基板100は、パチンコ遊技の制御を行うものである。主制御基板100と後述の球情報制御基板110とは双方向のデータ通信が可能に接続されている。遊技の進行を制御する主制御基板100は、図76に示すように、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである主制御MPU101と、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート102と、各種検出スイッチからの検出信号が入力される主制御入力回路103と、各種ソレノイドを駆動するための主制御ソレノイド駆動回路104と、主制御MPU101に内蔵されているRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する)に記憶された情報を完全に消去するためのRAMクリアスイッチ105と、を備えている。
主制御MPU101は、その内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)や主制御内蔵RAMのほかに、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。また、主制御MPU101は不揮発性のメモリが内蔵されており、この不揮発性のRAMには、主制御MPU101を製造したメーカによって個体を識別するためのユニークな符号(世界で1つしか存在しない符号)が付された固有のIDコードが予め記憶されている。この一度付されたIDコードは、不揮発性のRAMに記憶されるため、外部装置を用いても書き換えられない。主制御MPU101は、不揮発性のRAMからIDコードを取り出して参照することができる。
[RTC制御部]
また、実施形態の主制御MPU101は、時刻情報取得手段として時刻情報を取得することが可能な外付けのリアルタイムクロック(以下、「RTC」という)107を備えている。図示していないが、RTC107は、レジスタ回路、クロック入力回路、クロック出力回路、割り込み出力回路、データ入出力回路、および、制御回路を含む。
RTC107は、時計・カレンダー機能を備える。時計・カレンダー機能は、年,月,日,時,分,秒をカウントする計時を行う機能である。また、必要に応じて、曜日までカウントするものを用いてもよい。RTC制御部106は、RTC107およびRTC107を駆動するための電池108が設けられている。電池108を備えることによって、電源基板(図示せず)の電源遮断時においてもRTC107は計時、および、カレンダー機能を中断することがない。
電池108としては一次電池(例えばボタン電池)であってもよいし、充電可能な二次電池、これによって、バックアップ電源を配置する必要がなく主制御基板100の構成が複雑化するのを避けることができる。なお、電池108は、RAM109のバックアップ電源としても用いられる。
主制御MPU101は、RTC107を備えることによって、年・月・日・時・分・秒(カレンダー情報と時刻情報)を特定する機能を備える。主制御基板100の主制御MPU101は、遊技機の電源投入時に、RTC107から時刻情報(時・分・秒)を取得する。
遊技盤5の遊技領域8に配された上始動口(図示せず)に入賞した遊技球を検出する上始動口検出スイッチ90、下始動口(図示せず)に入賞した遊技球を検出する下始動口検出スイッチ91、及び一般入賞口(図示せず)に入賞した遊技球を検出する一般入賞口検出スイッチ93からの検出信号は、まず主制御入力回路103に入力され、主制御I/Oポート102を介して主制御MPU101に入力されている。
また、ゲート部(図示せず)を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ92、一般入賞口(図示せず)に入賞した遊技球を検出する一般入賞口検出スイッチ94、大入賞口(図示せず)に入賞した遊技球を検出するカウントスイッチ98からの検出信号は、まず遊技盤5に取付けられたパネル中継端子板140を介して主制御入力回路103に入力され、主制御I/Oポート102を介して主制御MPU101に入力されている。
主制御MPU101は、これらの検出信号に基づいて、主制御I/Oポート102から主制御ソレノイド駆動回路104に制御信号を出力することにより、パネル中継端子板140を介して始動口ソレノイド96及び大入賞口ソレノイド97に駆動信号を出力したり、主制御I/Oポート102からパネル中継端子板140、そして機能表示基板141を介して上特別図柄表示器142、下特別図柄表示器143、上特別図柄記憶表示器144、下特別図柄記憶表示器145、普通図柄表示器146、普通図柄記憶表示器147、遊技状態表示器148、ラウンド表示器149に駆動信号を出力したりする。
また、主制御MPU101は、遊技に関する各種情報(遊技情報)及び入賞に応じた賞球に関する各種コマンド等を球情報制御基板110にシリアル方式で送信したり、この球情報制御基板110からのパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンド等をシリアル方式で受信したりする。また、主制御MPU101は、遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドを周辺制御基板130に送信する。周辺制御基板130は、主制御基板100から送信された制御コマンドを受信すると、受信した制御コマンドに応じて各種演出(例えば、液晶表示装置1400の表示パネルにおいて当否判定結果を報知するための装飾図柄列の変動表示や、これに伴った演出表示、ランプ、音、演出用の可動装飾役物の動作等)に関わる制御を行う。
[球情報制御基板110]
図77は、主として封入球式パチンコ遊技機に配備された球情報制御基板110の要部を示すブロック図である。球情報制御基板110は、持球の管理や球揚送装置22、発射ソレノイド13、球送りソレノイド31、球磨きリボン送りモータ155等に関する各種制御を行う球情報制御部118を備えている。また、主制御基板100と球情報制御基板110とは双方向のデータ通信が可能に接続されている。
[球情報制御部118]
球情報制御部118は、図77に示すように、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである球情報制御MPU111と、I/Oデバイスとしての球情報制御I/Oポート112と、球情報制御MPU111が正常に動作しているか否かを監視するための外部ウォッチドックタイマ116(以下、「外部WDT116」と記載する。)と、球揚送を行う球揚送装置22の球揚送モータ150に駆動信号を出力するための球揚送モータ駆動回路114と、各種検出スイッチからの検出信号が入力される球情報制御入力回路113と、精算機4との各種信号をやり取りするためのCRユニット入出力回路115と、球磨きリボン送りモータ155に駆動信号を出力するための球磨きリボン送りモータ駆動回路119と、後述の球停留ストッパソレノイド244に駆動信号を出力するための球停留ストッパソレノイド駆動回路245を備えている。球情報制御MPU111には、その内蔵されたROM(以下、「球情報制御内蔵ROM」と記載する。)やRAM(以下、「球情報制御内蔵RAM」と記載する。)のほかに、不正を防止するため機能等も内蔵されている。
球情報制御MPU111は、主制御基板100からの遊技に関する各種情報(遊技情報)及び賞球に関する各種コマンドを球情報制御I/Oポート112を介してシリアル方式で受信したり、主制御基板100からのRAMクリアスイッチ105の操作信号(検出信号)が球情報制御I/Oポート112を介して入力されたりする。
本体枠2に対する扉枠3の開放を検出する扉枠開放スイッチ131、及び外枠に対する本体枠2の開放を検出する本体枠開放スイッチ132からの検出信号は、まず球情報制御入力回路113に入力され、球情報制御I/Oポート112を介して球情報制御MPU111に入力されている。さらに、打球ハンドル10に手のひらや指が触れているか否かを検出するタッチスイッチ87によるタッチ検出信号(オン信号)が、ハンドル中継端子板123を介して球情報制御基板110に入力され、さらにタッチ検出信号は球情報制御I/Oポート112を介して球情報制御MPU111に入力されている。
また、球情報制御MPU111は、発射ソレノイド駆動回路120を通じて発射ソレノイド13に接続され、球送りソレノイド駆動回路122を通じて球送りソレノイド31に接続され、球情報制御MPU111からの制御出力に応じて発射ソレノイド13及び球送りソレノイド31が駆動されるようになっている。また、発射待機球検出スイッチ26、70、発射球確認スイッチ36、回収球検出スイッチ203、球経路満タン検出スイッチ206、球適正量検出スイッチ207、球揚送装置22に供給する遊技球の有無を検出するための揚送入口スイッチ156、球揚送モータ150の回転数を検知するための揚送モータセンサ(フォトセンサ)157、球磨き布リボンを収納した球磨きカートリッジが装着されていることを検知するためのカセット検出スイッチ158からの検出信号がセンサー中継基板124を介して球情報制御入力回路113に入力され、球情報制御I/Oポート112を介して球情報制御MPU111に入力されている。球情報制御MPU111は、球揚送モータ150、球磨きリボン送りモータ155、後述する球停留ストッパソレノイド244、発射ソレノイド13及び球送りソレノイド31を駆動するための駆動信号を、球情報制御I/Oポート112を介して各駆動要素に出力する。
また、球情報制御MPU111には、タッチパネル部14が球情報制御I/Oポート112からの制御出力により表示可能に接続されている。なお、球情報制御基板110は、主制御基板100と外部端子板133との基板間の電気的な接続を中継するほかに、扉枠開放スイッチ131及び本体枠開放スイッチ132と外部端子板133との間の電気的な接続を中継している。なお、外部端子板133は、遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと電気的に接続されている。
打球ハンドル10に手のひらや指が触れているか否かを検出するタッチスイッチ87、及び遊技者の意志によって遊技球の打ち出しを強制的に停止するか否かを検出する発射停止スイッチ86からの検出信号は、まずハンドル中継端子板123を介して球情報制御入力回路113に入力されている。また、精算機4と球情報制御基板110が電気的に接続されると、CR接続信号としてCRユニット入出力回路115に入力されるようになっている。
なお、電源基板(図示せず)から球情報制御基板110に直流電源+24V、+12V、+5.2Vが供給されている。また、球情報制御基板110を介して直流電源+24V、+12V、+5.2Vが主制御基板100に供給されている。
停電監視回路117は、+24Vに基づく電圧V1と基準電圧、+12Vに基づく電圧V2と基準電圧とをそれぞれ比較監視しており、停電又は瞬停の兆候を検知すると、即ち、電圧V1またはV2が基準電圧よりも小さくなると、停電予告として停電予告信号を出力する。停電監視回路117から出力された停電予告信号は、球情報制御基板110の球情報制御MPU111に供給されるほかに、主制御MPU101に供給される。また、図示していないが、停電予告信号は、周辺制御基板130にも入力される。
[精算機4]
図78は、主として精算機4に接続された各要素を示すブロック図である。精算機4と球情報制御基板110とは双方向にデータ通信が可能に接続されている。精算機4の制御部は、図示していないが、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、通信インタフェース等を備えている。
精算機4には、封入球式遊技機1のタッチパネル部14に配設された球貸ボタン及び精算ボタンの各操作入力信号が、例えば、インタフェースを通じて入力可能に接続されている。また、封入球式パチンコ遊技機1のタッチパネル部14に配設された残度数表示部及び操作可能報知ランプが精算機4からの制御出力により表示可能に接続されている。また、精算機4には、図1のカード挿入口の奥方にカード処理機402が設けられている。
[カード403]
実施形態において使用されるカード403は、例えば、磁気カード或いはICカード等で構成され、遊技者が所定の金額を支払うことにより、図示しないカード発行機により発行されて遊技者に提供される。図78において、カード403に記憶されているデータ構成を示している。
カード403には、カード403に対して個別に付与された識別情報としてのID番号(以下、単にIDという)が記憶されたID記憶部404、カード403を購入する際に支払われた金額に相当する有価価値情報としての残度数が記憶された残度数記憶部305、遊技を行った遊技結果として遊技者が獲得した持球数(遊技機持球数)が記憶される持球数記憶部406が設定されている。なお、カード403の発行時は、ID記憶部404にIDが記憶され、残度数記憶部405にカード403を購入する際に支払われた金額に相当する残度数(例えば、支払った金額が5000円ならば残度数として「5000」)が記憶されているが、持球数記憶部406には持球数の初期値として「0」が記憶されている。
カード処理機402は、従来周知のものであり、カード403を検知するカードセンサ、カード403に記憶されたデータの読み取り及びカード403へのデータの書き込みを行うカードリーダ・ライタ、カード403のデータ読取書込位置への送り込み並びにカード403のカード挿入口への排出を行うカード搬送手段を備えている。カード処理機402は、カード挿入口にカード403が差し込まれると、所定のデータ読取書込位置にカード403を送り、カードリーダ・ライタにより、記憶されているデータ、即ち、ID、残度数及び持球数を読み取って精算機4に出力する。また、精算機4よりの書込指令に応じて、ID、残度数及び持球数を前述の各記憶部に書き込む(記憶する)。
精算機4は、カード処理機402を通じてカード403から読み取ったID、残度数及び持球数をRAMに記憶する。
[カード403による球貸]
精算機4は、カード403のデータの読み取りを行うと、RAMに記憶した残度数を残度数表示部に表示する。カード403の使用が可能である場合、精算機4は、球貸ボタンの操作に応じて球貸を行う。この球貸は、球貸ボタンの1回操作につき、例えば、球貸数125(球単価が4円)を球貸するものとする。なお、球貸において、持球数がある場合であって、持球数が125に満たない場合には全持球数を貸球数として球貸する。精算機4は、球情報制御基板110に貸球数を送信する。また、精算機4は、設定されている球単価に貸球数を乗じることで球貸に対する対価を求め、求めた対価(球貸に対応する対価を残度数)を現在の残度数から減じる。なお、持球数がある場合であって持球数から球貸を行った場合には、現在の持球数から貸球数を減じる。精算機4は、この結果を、残度数表示部に表示する。また、カード403の残度数記憶部405に残度数を書き込む。
[遊技開始]
球情報制御基板110の球情報制御MPU111は、精算機4から送信された貸球数を受けると遊技機持球数に加算し、加算結果をタッチパネル部14に表示する。上部発射装置12を発射可能とし遊技可能状態となる。
[遊技中]
遊技者が打球ハンドル10を操作することで打球発射装置29が作動し、発射用ハンマー30によって球発射位置にある遊技球が遊技領域8に打ち出されると、これが発射球確認スイッチ36の球検出に基づいて遊技球1個ずつの遊技領域8内への打ち込みが検知される。そして、球情報制御基板110の球情報制御MPU111は、このような遊技球1個ずつの打ち込み検知に応じて、遊技機持球数記憶領域に記憶した遊技機持球数データから逐次「1」を減算していくと共に持球数をタッチパネル部14に表示する。
一方、主制御基板100の主制御MPU101は、遊技盤5面において遊技球の入球通過を可能とされたゲート(図示せず)に配されたゲートスイッチ92、普通入賞口(図示せず)に対して配された一般入賞口検出スイッチ93、94、大入賞口(図示せず)に対して配されたカウントスイッチ98、上始動口とした始動口(図示せず)に対して配された上,下始動口検出スイッチ90,91からの検出信号に基づいて、遊技に関わる処理を行い、処理結果としてのコマンドや信号を球情報制御基板110、周辺制御基板130、上、下特別図柄表示器142、143、上、下特別図柄記憶表示器144、145、普通図柄表示器146、普通図柄記憶表示器147、始動口ソレノイド96、大入賞口ソレノイド97等に出力する。
上部発射装置12によって打ち出された遊技球が遊技領域8内の各種入賞口(始動入賞口や大入賞口等)に入賞した場合、当該遊技球は、入賞口毎に設けられた各種入賞検出スイッチ(上始動口検出スイッチ90、下始動口検出スイッチ91、一般入賞口検出スイッチ93、一般入賞口検出スイッチ94、カウントスイッチ98)によって検出される。
主制御MPU101は、各入賞口に対して設けられた検出スイッチ(一般入賞口検出スイッチ93、94、カウントスイッチ98、上,下始動口検出スイッチ90,91が該当する)の検出信号に応じて、遊技球が入賞した入賞口に応じて設定された賞球数を指示する賞球コマンドを必要に応じて球情報制御基板110に出力する。
さらに、主制御MPU101は、現在の遊技状態の種別を示す遊技状態信号(ステータス)を定期的に周辺制御基板130に出力する。前記遊技状態とは、例えば、始動口と始動口への入賞に起因して当り外れの抽選を行うと共に抽選結果に基づいて特別図柄の可変表示を行って図柄を停止し、前記抽選結果が当りの場合に特別遊技状態(大当り遊技状態)に移行する第1種のパチンコ遊技機の場合では、通常遊技状態(抽選により当る確率が通常確率、かつ普通図柄の可変表示の時間が通常)、時短遊技状態(普通図柄の可変表示の時間が通常よりも短縮されている状態、時短中情報出力信号)、大当り遊技状態(15ラウンド大当り情報出力信号、または2ラウンド大当り情報出力信号)、高確率遊技状態(抽選により当る確率が通常よりも高い確率となっている状態、確率変動中情報出力信号)、特別図柄変動中(特別図柄表示情報出力信号)、始動口入賞に基づく保留がある状態(始動口入賞情報出力信号)等がある。
なお、周辺制御基板130は、主制御基板100から出力されるコマンドに基づいて、液晶表示パネル(図示せず)役物装飾基板(図示せず)、盤装飾基板(図示せず)及び枠装飾基板(図示せず)に制御信号を出力することで、各種の装飾用LEDの点灯表示を制御し、スピーカ(図示せず)から出力する音(音声、音、効果音等)を制御する共に、液晶表示パネル(図示せず)で演出表示する図柄を制御する。
球情報制御基板110の球情報制御MPU111は、各種の入力信号に基づいて、発射ソレノイド13、球送りソレノイド31、球揚送モータ150、球磨きリボン送りモータ155、タッチパネル部14の持球数表示及び精算機4に対して信号を出力する。
球情報制御基板110の球情報制御MPU111には、主制御基板100から出力される遊技状態信号及び賞球コマンドが入力される。
球情報制御MPU111は、このような賞球コマンドを受信することに応じて、遊技機球数記憶領域に記憶した遊技機持球数データに各種入賞口毎で予め設定された賞球数の値を加算していくと共にこれをタッチパネル部14に表示する。
[遊技終了、精算]
その後は、遊技を終了すべく遊技者によって精算ボタンが操作されると、精算機4は、球情報制御基板110の球情報制御MPU111に対して遊技終了指令を送信する。
精算ボタンの操作に応じて精算機4が遊技終了指令を球情報制御MPU111に送信することにより、球情報制御MPU111は精算機4から送られた遊技終了指令を受信することになり、球情報制御MPU111は、「終了可」を精算機4に送信する。次いで、球情報制御MPU111は、発射ソレノイド13並びに球送りソレノイド31を停止して遊技を停止する。遊技機持球数記憶領域に記憶されている現在の遊技機持球数を精算機4に送信する。
そして、球情報制御MPU111から送信された遊技機持球数に対応する精算機4の処理が終了すると、精算機4が処理終了を送信するので、球情報制御MPU111は処理終了を受信することになり、RAMの遊技機持球数記憶領域を0クリアし、処理終了となる。
一方、精算機4は、遊技終了指令に対する終了状態についての回答として「終了可」を受信した後、球情報制御MPU111が遊技機持球数を精算機4に送信するので、精算機4は遊技機持球数を受信すると、カード挿入時にRAMに記憶した精算機持球数に受信した遊技機持球数を加算して加算結果を精算機持球数として記憶する。これにより、遊技者が遊技を行った遊技結果としての持球数の全てが精算機持球数として記憶される。そして、球情報制御MPU111に処理終了を送信し、カード403の持球数記憶部406に精算機持球数を書き込み、カード403をカード挿入口から排出し、処理を終了する。これにより、遊技結果としての遊技機持球数が加算されて書き替えられたカード403が遊技者に返却される。
[主制御基板の各種制御処理]
まず、パチンコ遊技機1の遊技の進行に応じて、図76に示した主制御基板100が行う各種制御処理について、図79~図81を参照して説明する。図79は主制御基板100の主制御MPU101が実行する主制御側電源投入時処理を示すフローチャートであり、図80は図79の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図81は主制御MPU101が実行する主制御側タイマ割り込み処理を示すフローチャートである。
[主制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、主制御基板100の主制御MPU101(以下、単に主制御MPUという)は、図79及び図80に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。この主制御側電源投入時処理が開始されると、主制御MPUは、スタックポインタの設定を行う(ステップS10)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS10では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。
そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS10に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS12)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS14)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、球情報制御基板110の停電監視回路117から停電予告として停電予告信号が出力されて主制御MPUに入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると、球情報制御基板110の停電監視回路117から停電予告信号が入力される。
そこで、ステップS12のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS14の判定では、球情報制御基板110の停電監視回路117からの停電予告信号に基づいて行う。電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定すると、停電監視回路117からの停電予告信号が出力なしとなり、主制御MPUはステップS16に進む。
ステップS16に進むと、主制御MPUは、RAMクリアスイッチ105(図76)が操作されているか否かを判定する(ステップS16)。この判定は、主制御基板100のRAMクリアスイッチ105が操作され、その操作信号(検出信号)が主制御MPUに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ105が操作されていると判定する一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ105が操作されていないと判定する。
ステップS16でRAMクリアスイッチ105が操作されていると判定したときには、RAMクリア報知フラグRCL-FLGに値1をセットし(ステップS18)、ステップS30に移行する一方、ステップS16でRAMクリアスイッチ105が操作されていないと判定したときには、RAMクリア報知フラグRCL-FLGに値0をセットし(ステップS19)、ステップS30に移行する。
このRAMクリア報知フラグRCL-FLGは、主制御MPU101に内蔵されたRAM(以下、「主制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS18及びステップS19でセットされたRAMクリア報知フラグRCL-FLGの値は、主制御MPUの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
主制御MPUは、ステップS30に移行すると、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS30)。このウェイトタイマ処理2では、周辺制御基板130の液晶制御部による液晶表示装置(図示せず)の描画制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。
ステップS30に続いて、RAMクリア報知フラグRCL-FLGが値0である否かを判定する(ステップS32)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL-FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS32においてRAMクリア報知フラグRCL-FLGが値0であると判定した場合、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS34)。このチェックサムは、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS34に続いて、算出したチェックサムの値(サム値)が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致しているか否かを判定する(ステップS36)。一致しているときには、バックアップフラグBK-FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS38)。このバックアップフラグBK-FLGは、遊技情報、チェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK-FLGの値等のバックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS38でバックアップフラグBK-FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS40)。この設定は、バックアップフラグBK-FLGに値0をセットするほか、主制御MPUに内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態、高周波が照射されたことを検出してリセットし、その後に復帰した状態も含める。
ステップS40に続いて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS42)。この電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主制御内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。
一方、ステップS32でRAMクリア報知フラグRCL-FLGが値0でない(値1である)と判定した場合、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS36でチェックサムの値(サム値)が一致していないときには、又はステップS38でバックアップフラグBK-FLGが値1でない(値0である)と判定した場合、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS44)。具体的には、値0を主制御内蔵RAMに書き込むことよって行う(なお、初期値として主制御内蔵ROMから所定値を読み出して、セットしてもよい)。また、大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数は、RAMクリアスイッチ105が操作されて遊技情報を消去するとき、サム値が一致していないとき、又は主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御MPUの不揮発性のRAMに予め記憶された固有のIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この固定値が初期値としてセットされる。
ステップS44に続いて、初期設定として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS46)。この設定は、主制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS46に続いて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS48)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主制御内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を報知するための電源投入に区分される電源投入コマンドを作成するとともに、周辺制御基板130の各種検査を行うためのテスト関連に区分されるテストコマンドを作成して、送信情報として主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域にそれぞれ記憶する。
ステップS42又はステップS48に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS50)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。
ステップS50に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS52)。この設定によりステップS50で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。なお、このステップS10~ステップS52の処理を「主制御側電源投入時処理」という。
ステップS52に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS54)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS54に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS56)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が球情報制御基板110の停電監視回路117から入力される。ステップS56の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS56で停電予告信号の入力がないときには非当落乱数更新処理を行う(ステップS58)。この非当落乱数更新処理では、例えば、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。
ステップS58に続いて、再びステップS54に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS56で停電予告信号の入力があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS58で非当落乱数更新処理を行い、ステップS54~ステップS58を繰り返し行う。なお、このステップS54~ステップS58の処理を「主制御側メインループ処理」という。
一方、ステップS56で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS60)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。
ステップS60に続いて、図76に示した、始動口ソレノイド96、大入賞口ソレノイド97、上特別図柄表示器142、下特別図柄表示器143、上特別図柄記憶表示器144、下特別図柄記憶表示器145、普通図柄表示器146、普通図柄記憶表示器147、遊技状態表示器148、ラウンド表示器149等に出力している駆動信号を停止する(ステップS62)。
ステップS62に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS64)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK-FLGの値の記憶領域を除く、主制御内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS64に続いて、バックアップフラグBK-FLGに値1をセットする(ステップS66)。これにより、バックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS66に続いて、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS68)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS68に続いて、何も実行しない状態を繰り返すというループ処理に入る。なお、ステップS60~ステップS68の処理及びループ処理を「主制御側電源断時処理」という。このループ処理では、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、ウォッチドックタイマがタイムアウトしてタイムアウト信号を出力し、タイムアウト信号によって主制御MPUにリセットがかかり、その後主制御MPUは、この主制御側電源投入時処理を再び最初から行う。
パチンコ遊技機1(主制御MPU101)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS36では主制御内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS38では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主制御内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報を2重にチェックすることによりバックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[主制御側タイマ割り込み処理]
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。この主制御側タイマ割り込み処理は、図79及び図80に示した主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板100の主制御MPUは、図81に示すように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS70)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側メインループ処理のステップS54においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS70に続いて、割り込みフラグのクリアを行う(ステップS72)。この割り込みフラグがクリアされることにより割り込み周期が初期化され、次の割り込み周期がその初期値から計時される。
ステップS72に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御I/Oポート102の入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS74に続いて、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って上特別図柄表示器142及び下特別図柄表示器143が点灯する時間、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って普通図柄表示器146が点灯する時間のほかに、主制御基板100(主制御MPU)が送信した各種コマンドを球情報制御基板110が正常に受信した旨を伝える球情報主ACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の時間管理を行う。具体的には、変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間を正確に計っている。
本実施形態では、ACK信号入力判定時間が100msに設定されている。このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間及びACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、図80に示した主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS58の非当落乱数更新処理で更新される、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。これらの大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。これに対して、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、上述したように、初期値更新型のカウンタであり、最小値から最大値までに亘る予め定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0~最大値として値32767)内において更新され、この最小値から最大値までに亘る範囲を、この主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。大当り判定用初期値決定用乱数から最大値(値32767)に向かってカウントアップし、続いて最小値(値0)から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される。このとき、その更新される値は、主制御MPUがその内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値が初期値としてセットされる仕組みとなっている。つまり、大当り判定用初期値決定用乱数は、初期値導出処理の実行によりIDコードに基づいて導出された同一の固定値が初期値として常に上書き更新されるようになっている。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS78に続いて、賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて球情報制御基板110に送信するための賞球コマンドを作成したり、主制御基板100と球情報制御基板110との基板間の接続状態を確認するためのセルフチェックコマンドを作成したりする。そして作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを主球情報シリアルデータとして球情報制御基板110に送信する。例えば、大入賞口に遊技球が1球、入球すると、賞球数として15球を表す賞球コマンドを作成して球情報制御基板110に送信したり、この賞球コマンドを球情報制御基板110が正常に受信完了した旨を伝える球情報主ACK信号が所定時間内に入力されないときには主制御基板100と球情報制御基板110との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成して球情報制御基板110に送信したりする。
ステップS80に続いて、枠コマンド受信処理を行う(ステップS82)。球情報制御基板110は、状態表示に区分される1バイト(8ビット)の各種コマンドを送信する。ステップS82の枠コマンド受信処理では、この各種コマンドを球情報主シリアルデータとして正常に受信すると、その旨を球情報制御基板110に伝える情報を、出力情報として主制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。また、その正常に球情報主シリアルデータとして受信したコマンドを2バイト(16ビット)のコマンドに整形し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS82に続いて、不正行為検出処理を行う(ステップS84)。この不正行為検出処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、大当り遊技状態でない場合にカウントスイッチ98からの検出信号が入力されているとき(大入賞口に遊技球が入球するとき)等には、異常状態として報知表示に区分される入賞異常表示コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、上述した大当り判定用乱数を更新するカウンタの値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定(大当り遊技状態を発生させるか否かを判定(「特別抽選」という。))したり、大当り図柄用乱数を更新するカウンタの値を取り出して主制御内蔵ROMに予め記憶されている確変当り判定値と一致するか否かを判定(確率変動を発生させるか否かの判定)したりする。ここで、「確率変動」とは、大当りする確率が通常時(低確率)にくらべて高く設定された高確率(確変時)に変化することである。本実施形態では、上述した大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値32668~値32767が設定されており、通常時判定テーブルから読み出されるのに対して、高確率では値32438~値32767が設定されており、確変時判定テーブルから読み出される。このように、ステップS86の特別図柄及び特別電動役物制御処理では、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と、主制御内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と、が一致するか否かを判定するときには、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値が大当り判定範囲に含まれているか否かにより行う。
これらの判定結果が上始動口検出スイッチ90によるものである場合には特図1同調演出関連の各種コマンドを作成する一方、その抽選結果が下始動口検出スイッチ91によるものである場合には特図2同調演出関連の各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した特別図柄の変動表示パターンに従って上特別図柄表示器142又は下特別図柄表示器143を点灯させるよう上特別図柄表示器142又は下特別図柄表示器143への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
また、発生させる遊技状態に応じて、例えば大当り遊技状態となるときには、大当り関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶したり、開閉部材を開閉動作させるよう大入賞口ソレノイド97への駆動信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、大入賞口が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回であるときには、ラウンド表示器149の2ラウンド表示ランプを点灯させるよう2ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、ラウンドが15回であるときには、ラウンド表示器149の15ラウンド表示ランプを点灯させるよう15ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したり、確率変動の発生の有無を所定の色で点灯させるよう遊技状態表示器148への点灯信号の出力を設定し、出力情報として出力情報記憶領域に記憶したりする。
ステップS86に続いて、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいてゲート入賞処理を行う。このゲート入賞処理では、入力情報からゲートスイッチ92からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出してゲート情報として主制御内蔵RAMのゲート情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、主制御I/Oポート102の出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。例えば、出力情報に基づいて主制御I/Oポート102の出力端子から、球情報制御基板110からの各種コマンドを正常に受信完了したときには主球情報ACK信号を球情報制御基板110に出力したり、大当り遊技状態であるときには大入賞口の開閉部材の開閉動作を行う大入賞口ソレノイド97に駆動信号を出力したり、可動片の開閉動作を行う始動口ソレノイド96に駆動信号を出力したりするほかに、15ラウンド大当り情報出力信号、2ラウンド大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力情報、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する各種情報(遊技情報)信号を球情報制御基板110に出力したりする。
ステップS90に続いて、周辺制御基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。この周辺制御基板コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報を主周シリアルデータとして周辺制御基板130に送信する。この送信情報には、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理で作成した、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、報知表示に区分される各種コマンド、状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドが記憶されている。主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されている。
具体的には、主周シリアルデータは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、ステータス及びモードを数値とみなしてその合計を算出したサム値と、から構成されており、このサム値は、送信時に作成されている。なお、ステップS74~ステップS92の処理を「遊技制御処理」ということにする。
ステップS92に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。ステップS94でウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS70においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS94に続いて、レジスタの切替(復帰)を行い(ステップS96)、このルーチンを終了する。ここで、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御MPUは、ハード的に汎用レジスタの内容をスタックに積んで退避する。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS96では、スタックに積んで退避した内容を読み出し、もとのレジスタに書き込む。なお、主制御MPUは、ステップS96による復帰の後に割り込み許可の設定を行う。
[球情報制御基板の各種制御処理]
次に、図77に示した球情報制御基板110が行う各種制御処理について、図81~図86を参照して説明する。図82は球情報制御基板110の球情報制御MPU111が実行する球情報制御側電源投入時処理を示すフローチャートであり、図83は図82の球情報制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図84は図83に続いて球情報制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図85は球情報制御基板110の球情報制御MPU111が実行する球情報制御電源断時処理を示すフローチャートであり、図86は球情報制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
[球情報制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、球情報制御基板110における球情報制御部118の球情報制御MPU111(以下、単に球情報制御MPUという)は、図82~図83に示すように、球情報制御側電源投入時処理を行う。この球情報制御側電源投入時処理が開始されると、球情報制御MPUは、割り込みモードの設定を行う(ステップS500)。この割り込みモードは、球情報制御MPUの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する球情報制御部タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この球情報制御部タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理を行う。
ステップS500に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS502)。このI/Oの入出力設定では、球情報制御MPUのI/Oポートの入出設定等を行う。
ステップS502に続いて、図77に示した停電監視回路117に停電クリア信号の出力を開始する(ステップS504)。この停電監視回路117は、電圧比較回路と、DタイプフリップフロップICと、から構成されている。電圧比較回路は、+24Vとリファレンス電圧との電圧を比較したり、+12Vとリファレンス電圧との電圧を比較したりすることで、その比較結果を出力する。この比較結果は、停電又は瞬停が発生していない場合ではその論理がHIとなってDタイプフリップフロップのプリセット端子であるPR端子に入力される一方、停電又は瞬停が発生した場合ではその論理がLOWとなってDタイプフリップフロップのプリセット端子であるPR端子に入力されるようになっている。ステップS504では、このDタイプフリップフロップのクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を開始する。この停電クリア信号は、球情報制御部118の球情報制御I/Oポート112を介して、その論理がLOWとなってクリア端子に入力される。これにより、球情報制御MPUは、Dタイプフリップフロップのラッチ状態を解除することができ、ラッチ状態をセットするまでの間、Dタイプフリップフロップのプリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する状態とすることができ、その1Q端子からの信号を監視することができる。
ステップS504に続いて、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS506)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS508)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、停電監視回路117から停電予告として停電予告信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると停電監視回路117から停電予告信号が入力される。そこで、ステップS506のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS508の判定でその停電予告信号が入力されているか否かの判定を行っている。この判定では、停電予告信号として、上述したDタイプフリップフロップの出力端子である1Q端子から出力されている信号に基づいて行う。
ステップS508に続いて、Dタイプフリップフロップのクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を停止する(ステップS510)。この停電クリア信号の出力を停止することで、球情報制御I/Oポート112を介して、その論理がHIとなってクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、球情報制御MPUは、Dタイプフリップフロップをラッチ状態にセットすることができる。Dタイプフリップフロップは、そのプリセット端子であるPR端子に論理がLOWとなって入力された状態をラッチすると、出力端子である1Q端子から停電予告信号を出力する。
ステップS510に続いて、RAMクリアスイッチ105が操作されているか否かを判定する(ステップS512)。この判定は、主制御基板100のRAMクリアスイッチ105が操作され、その操作信号(検出信号)が球情報制御MPUに入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ105が操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ105が操作されていないと判定する。
ステップS512でRAMクリアスイッチ105が操作されていると判定した場合には、球情報RAMクリアフラグに値1をセットし(ステップS514)、ステップS518に進む一方、ステップS512でRAMクリアスイッチ105が操作されていないと判定した場合には、球情報RAMクリアに値0をセットし(ステップS516)、ステップS518に進む。
この球情報RAMクリアフラグは、球情報制御MPUに内蔵されたRAM(以下、「球情報制御内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、例えば、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種球情報を消去するか否かを示すフラグであり、球情報を消去するとき値1、球情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS514及びステップS516でセットされた球情報RAMクリアフラグは、球情報制御MPUの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS514又はステップS516に続いて、球情報制御内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS518)。この設定により球情報制御内蔵RAMへのアクセスができ、例えば球情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。
ステップS518に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS520)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。ステップS520では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS520に続いて、球情報制御MPUは、ステップS527に進む。ステップS527では、球情報RAMクリアフラグが値0である否かを判定する(ステップS527)。上述したように、球情報RAMクリアフラグは、球情報を消去するとき値1、球情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS527で球情報RAMクリアフラグが値0であるとき、つまり球情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS528)。このチェックサムは、球情報制御内蔵RAMに記憶されている球情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS528に続いて、算出したチェックサムの値が後述する球情報制御部電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS530)。一致しているときには、球情報バックアップフラグが値1であるか否かを判定する(ステップS532)。この球情報バックアップフラグは、球情報、チェックサムの値等の球情報バックアップ情報を後述する球情報制御部電源断時処理において球情報制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、球情報制御部電源断時処理を正常に終了したとき値1、球情報制御部電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS532で球情報バックアップフラグが値1であるとき、つまり球情報制御部電源断時処理を正常に終了したときには、復電時として球情報制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS534)。この設定は、球情報バックアップフラグに値0をセットするほかに、球情報制御MPUに内蔵されたROM(以下、「球情報制御内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を球情報制御内蔵RAMの作業領域にセットする。これにより、球情報制御内蔵RAMに記憶されている上述した球情報バックアップ情報である、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等に基づいて各種処理に使用する情報が設定される。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態のほかに、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。
一方、ステップS527で球情報RAMクリアフラグが値0でない(値1である)と判定した場合、又はステップS530でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS532で球情報バックアップフラグが値1でない(値0である)と判定したとき、つまり球情報制御部電源断時処理を正常に終了していないときには、球情報制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS536)。これにより、球情報制御内蔵RAMに記憶されている球情報バックアップ情報がクリアされる。
ステップS536に続いて、初期設定として球情報制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS538)。この設定は、球情報制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を球情報制御内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS534又はステップS538に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS540)。この設定は、後述する球情報制御部タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では、2msに設定されている。
ステップS540に続いて、割り込み許可設定を行う(ステップS542)。この設定によりステップS540で設定した割り込み周期、つまり2msごとに球情報制御部タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS542に続いて、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS544)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が停電監視回路117から入力される。ステップS540の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS544で停電予告信号の入力がないときには2ms経過フラグHT-FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS546)。この2ms経過フラグHT-FLGは、後述する、2msごとに処理される球情報制御部タイマ割り込み処理で2msを計時するフラグであり、2ms経過したとき値1、2ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS546で2ms経過フラグHT-FLGが値0であると判定した場合には、つまり2ms経過していないときには、ステップS544に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定する。
一方、ステップS546で2ms経過フラグHT-FLGが値1であると判定した場合には、つまり2ms経過したときには、2ms経過フラグHT-FLGに値0をセットし(ステップS547)、ステップS550に進み、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)116に外部WDTクリア信号を出力する(ONする、ステップS550)。この外部WDT116は、球情報制御MPUの動作(システム)を監視するものであり、外部WDTクリア信号がクリア信号解除時間に停止されないときには球情報制御MPU及び球情報制御I/Oポート112にリセット信号を出力してリセットをかける(球情報制御MPUのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS550に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS552)。このポート出力処理では、球情報制御内蔵RAMの出力情報記憶領域から各種情報を読み出してこの各種情報に基づいて各種信号を球情報制御I/Oポート112の出力端子から出力する。
出力情報記憶領域には、例えば、主制御基板100からの賞球に関する各種コマンド(賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を正常に受信した旨を伝える球情報主ACK情報、球揚送装置22への駆動制御を行う駆動情報等の各種情報が記憶されており、この出力情報に基づいて球情報制御I/Oポート112の出力端子から、主制御基板100からの賞球コマンドを正常に受信したときには球情報主ACK信号を主制御基板100に出力したり、発射ソレノイド13に駆動信号を出力したりする。
ステップS552に続いて、ポート入力処理を行う(ステップS554)。このポート入力処理では、球情報制御I/Oポート112の入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として球情報制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば、扉枠開放スイッチ131、本体枠開放スイッチ132、発射待機球検出スイッチ26、70、発射球確認スイッチ36、回収球検出スイッチ203、球経路満タン検出スイッチ206、球適正量検出スイッチ207、揚送入口スイッチ156、揚送モータセンサ(フォトセンサ)157、カセット検出スイッチ158、発射停止スイッチ86、タッチスイッチ87、精算機4からのBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号、後述するコマンド送信処理で送信した各種コマンドを主制御基板100が正常に受信した旨を伝える主制御基板100からの主球情報ACK信号等、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS554に続いて、タイマ更新処理を行う(ステップS556)。なお、各種判定時間は、時間管理情報として球情報制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。タイマ更新処理では、各種タイマのタイマ値がセットされているか否かを判定し、タイマ値がセットされている場合にはタイマ値を1減算する。例えば、タイマに2秒(2000ms)に相当する値として「1000」がセットされた場合、タイマ割り込み周期が2msに設定されているので、2ms周期でタイマ減算処理を行うごとにタイマ値が1ずつ減算され、その減算結果が値0になることでタイムアップとなり、時間を正確に計っている。
ステップS556に続いて、精算機通信処理を行う(ステップS558)。精算機通信処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、精算機4からの各種信号(BRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号)が入力されているか否かを判定する。精算機4からの各種信号に基づいて、球情報制御MPUは、精算機4と各種信号のやり取りを行う。球情報制御MPUは、例えば、精算機4から送信された貸球数を受けると遊技機持球数データに貸球数に加算する。
ステップS558に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS560)。このコマンド受信処理では、主制御基板100からの賞球に関する各種コマンド(賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を受信する。この各種コマンドを正常に受信したときには、その旨を伝える球情報主ACK情報を上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、各種コマンドを正常に受信できなかったときには、主制御基板100と球情報制御基板110との基板間の接続に異常が生じている(各種コマンド信号に異常が生じている)旨を伝える接続異常情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS560に続いて、コマンド解析処理を行う(ステップS562)。このコマンド解析処理では、ステップS562で受信したコマンドの解析を行い、その解析したコマンドを受信コマンド情報として球情報制御内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶する。
ステップS562に続いて、主要動作設定処理を行う(ステップS564)。この主要動作設定処理では、球情報制御MPUは、発射ソレノイド13、球送りソレノイド31、球揚送装置22(球揚送モータ150)、球磨きリボン送りモータ155等の動作設定を行ったりする。また、球情報制御MPUは、発射球確認スイッチ36の球検出に基づく遊技球1個ずつの打ち込み検知に応じて、遊技機持球数記憶領域に記憶した遊技機持球数データから逐次「1」を減算する。さらに、受信コマンド情報記憶領域に賞球コマンドが記憶されている場合に、この賞球コマンドに対応する賞球数を遊技機持球数記憶領域に記憶した遊技機持球数データに加算する。
ステップS564に続いて、LED表示データ作成処理を行う(ステップS566)。このLED表示データ作成処理では、例えば、上述した遊技機持球数記憶領域に記憶した遊技機持球数データを読み出し、持球数をタッチパネル部14に表示するための表示データを作成してLED表示情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS566に続いて、コマンド送信処理を行う(ステップS568)。このコマンド送信処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、この各種情報に基づいて状態表示に区分される各種コマンドを作成して主制御基板100に送信したりする。
ステップS568に続いて、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)116に外部WDTクリア信号の出力を停止する(OFFする、ステップS570)。これにより、外部WDT116をクリアし、球情報制御MPU及び球情報制御I/Oポート112にリセットがかからないようにする。また外部WDT116は、外部WDTクリア信号の出力が停止されると、クリア信号解除時間の計時を開始する。
ステップS570に続いて、再びステップS544に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS546で2ms経過フラグHT-FLGが値1であるか否かを判定し、この2ms経過フラグHT-FLGが値1であるとき、つまり2ms経過したときには、ステップS547で2ms経過フラグHT-FLGに値0をセットし、ステップS550で外部WDT4120cに外部WDTクリア信号を出力(ON)し、ステップS552でポート出力処理を行い、ステップS554でポート入力処理を行い、ステップS556でタイマ更新処理を行い、ステップS558で精算機通信処理を行い、ステップS560でコマンド受信処理を行い、ステップS562でコマンド解析処理を行い、ステップS564で主要動作設定処理を行い、ステップS566でLED表示データ作成処理を行い、ステップS568でコマンド送信処理を行い、ステップS570で外部WDT116に外部WDTクリア信号の出力を停止(OFF)し、ステップS544~ステップS570を繰り返し行う。なお、このステップS544~ステップS570の処理を「球情報制御メイン処理」という。
一方、ステップS544で停電予告信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS572)。この設定により後述する球情報制御部タイマ割り込み処理が行われなくなり、球情報制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、上述した球情報の書き換えを保護している。
ステップS572に続いて、停電クリア信号を、球情報制御I/Oポート112を介して、停電監視回路117のDタイプフリップフロップのクリア端子であるCLR端子に出力する(ステップS574)。これにより、停電クリア信号が出力されることによりDタイプフリップフロップはラッチ状態を解除することができる。
ステップS574に続いて、発射ソレノイド13への駆動信号の出力を停止する(ステップS576)。これにより、遊技球の打ち出しを停止する。ステップS576に続いて、球送りソレノイド31への駆動信号の出力を停止する(ステップS578)。これにより、打球発射装置29側への遊技球の送り込みを停止する。
ステップS578に続いて、外部WDT116に外部WDTクリア信号を出力してその出力を停止する(ON/OFFする、ステップS580)。これにより、外部WDT116をクリアする。ステップS580に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS582)。このチェックサムは、ステップS528で算出したチェックサムの値及び球情報バックアップフラグHBK-FLGの値の記憶領域を除く、球情報制御内蔵RAMの作業領域の球情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS582に続いて、球情報バックアップフラグに値1をセットする(ステップS584)。これにより、球情報バックアップ情報の記憶が完了する。ステップS584に続いて、球情報制御内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS586)。この設定により球情報制御内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、球情報制御内蔵RAMに記憶されている球情報バックアップ情報が保護される。
ステップS586に続いて、何もしない状態を繰り返すというループ処理に入る。このループ処理では、外部WDT116にクリア信号をON/OFFしない。このため、外部WDT116は、球情報制御MPU及び球情報制御I/Oポート112にリセット信号を出力してリセットをかける。その後球情報制御MPUは、この球情報制御側電源投入時処理を再び最初から行う。なお、ステップS572~ステップS586の処理及びループ処理を「球情報制御電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(球情報制御MPU)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により球情報制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS530では球情報制御内蔵RAMに記憶されている球情報バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS532では球情報制御部電源断時処理が正常に終了されたか否かを検査している。このように、球情報制御内蔵RAMに記憶されている球情報バックアップ情報を2重にチェックすることにより球情報バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[球情報制御側タイマ割り込み処理]
次に、球情報制御側タイマ割り込み処理について説明する。この球情報制御側タイマ割り込み処理は、図83に示した球情報制御側電源投入時処理のステップS540において設定された割り込み周期(本実施形態では、2ms)ごとに繰り返し行われる。
球情報制御側タイマ割り込み処理が開始されると、球情報制御基板110における球情報制御部118の球情報制御MPUは、図86に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS590)。ここでは、上述した球情報制御部メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを球情報制御側タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、球情報制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS590に続いて、2ms経過フラグHT-FLGに値1をセットする(ステップS592)。この2ms経過フラグHT-FLGは、この球情報制御部タイマ割り込み処理が行われるごとに、つまり2msごとに2msを計時するフラグであり、2ms経過したとき値1、2ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS592に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS594)。この復帰は、球情報制御側タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタから汎用記憶素子(汎用レジスタ)に切り替える。この汎用レジスタを球情報制御側メイン処理で使用することにより補助レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、球情報制御部タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタの内容の破壊を防いでいる。ステップS594に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS596)、このルーチンを終了する。
[球情報制御メイン処理において実行する各処理]
次に、球情報制御基板110の球情報制御MPUが図84の球情報制御メイン処理において2ms毎に実行する各処理について説明する。まず、貸球処理について説明し、続いて打球可不可判定処理、持球数カウント処理、球送り・発射駆動処理、発射球検出処理、持球数減算処理について説明する。なお、打球可不可判定処理、持球数カウント処理、球送り・発射駆動処理、発射球検出処理、持球数減算処理、揚送駆動処理は、ステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行され、打球可不可判定処理、持球数カウント処理、球送り・発射駆動処理、発射球検出処理、持球数減算処理、揚送駆動処理の順番で実行される。
遊技者により、カード403がカード挿入口に差し込まれると、精算機4においてカード403の挿入が検出され、カード処理機402を通じてカード403に記憶されているデータの読み取りが行われる。即ち、図78のカード403のID記憶部404に記憶されているID、残度数記憶部405に記憶されている残度数、持球数記憶部406に記憶されている持球数を読み取ってRAMの所定の記憶エリア(ID記憶エリア、残度数記憶エリア、持球数記憶エリア)に記憶する。
次に、精算機4は、差し込まれたカード403が使用可能であるか使用不可であるかを判定する。この実施形態では、読み取った残度数が0で、かつ読み取った持球数が0である場合に、カード403は使用不可であると判定し、カード403をカード挿入口から排出する。このため、カード403が使用不可であると判定された場合、以下に説明する持球数カウント処理、球送り・発射駆動処理、持球数減算処理の各処理は実行されない。
一方、読み取った残度数が0でない場合、または読み取った残度数が0であっても読み取った持球数が0でない場合は、精算機4は、カードは使用可能であると判定し、球情報制御基板110にカード使用可能情報を送信する。
遊技を行うために遊技者が球貸ボタンを押下操作すると、球貸ボタンの操作信号が精算機4に入力される。球貸ボタンの操作信号に応じて、精算機4は球貸処理を行い、例えば、規定の貸球数を球情報制御基板110の球情報制御MPUに送信し、この後、球情報制御MPUから送られてくる球貸終了を受信するまで待機する。
[貸球処理]
ここで、球情報制御MPUが実行する貸球処理について説明する。図87は球情報制御MPUが行う貸球処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、貸球処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS558の精算機通信処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、貸球処理を開始すると、精算機4から送信されるカード使用可能情報が受信されるか否かを判定する(ステップS600)。ステップS600にて、精算機4から送信されるカード使用可能情報が受信された場合には、ステップS601に進み、内蔵RAMに設定された記憶領域の一部である持球数カウンタ(遊技機持球数記憶領域)を0クリアし(ステップS601)、ステップS602に進む。一方、ステップS600にて、精算機4から送信されるカード使用可能情報が受信されなければ、直接ステップS602に移行する。なお、持球数カウンタの初期値は、ステップS534のRAM作業領域の復電時設定により、「0」とされている。
球情報制御MPUは、ステップS602に進むと、精算機4から送信される貸球数が受信されるか否かを判定する(ステップS602)。ステップS602にて、精算機4から送信される貸球数が受信された場合には、ステップS603に進み、受信された貸球数を持球数カウンタの値に加算し(ステップS603)、球貸終了を精算機4に送信し(ステップS604)、貸球処理のサブルーチンを抜ける。
一方、ステップS602にて、精算機4から送信される貸球数が受信されなければ、ステップS603及びステップS604には移行せず、直接貸球処理のサブルーチンを抜ける。
このように、精算機4に新規に使用可能なカード303が挿入されたときにのみ、球情報制御基板110に対してカード使用可能情報が送信されてくる。また、カード使用可能情報が受信された後に、精算機4に対して球貸ボタンの操作信号が入力された場合にのみ、球情報制御MPUに対して貸球数が送信されてくる。そして、貸球数が受信されたときに、初めて貸球数が持球数カウンタの値に加算記憶される。
[打球可不可判定処理]
次に、球情報制御MPUが実行する打球可不可判定処理について説明する。図88は球情報制御MPUが行う打球可不可判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、打球可不可判定処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、打球可不可判定処理を開始すると、持球数が0であるか否か、即ち、持球数カウンタの値が0であるか否かを判定する(ステップS710)。ステップS710にて、持球数カウンタの値が0ではないと判定された場合には、即ち、ステップS710をNOと判定した場合はステップS711に移行し、発射待機球検出スイッチ70(図10参照)がオンであるか否か、即ち、球送り装置28に待機球があるか否か、を判定する(ステップS711)。
ステップS711にて、発射待機球検出スイッチ70(図10参照)がオンであると判定された場合には、発射可能フラグに1(発射可)をセットし(ステップS712)、打球可不可判定処理のサブルーチンを抜ける。一方、ステップS710にて、持球数カウンタの値が0であると判定された場合と、ステップS711にて、発射待機球検出スイッチ70がオンでない(オフ)と判定された場合には、発射可能フラグに0(発射不可)をセットし(ステップS713)、打球可不可判定処理のサブルーチンを抜ける。
このように、持球数カウンタの値が0ではなく、球送り装置28に待機球がある場合に、発射ソレノイド13及び球送りソレノイド31が駆動可能であり、実質的に遊技球の遊技領域8への打ち込みが可能な遊技可能状態にある。また、持球数カウンタの値が0である場合、または球送り装置28に待機球がない場合には、発射ソレノイド13は駆動不可であって、実質的に遊技球の遊技領域8への打ち込みができない遊技不可能状態にある。同時に、球送りソレノイド31の駆動も不可にある。
[持球数カウント処理]
次に、遊技が実質的に可能になったものとして遊技中の球情報処理に相当する持球数カウント処理について説明する。図89は球情報制御MPUが行う持球数カウント処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、持球数カウント処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、持球数カウント処理を開始すると、ステップS562のコマンド解析処理において解析された賞球コマンドがあるか否かを判定する(ステップS720)。すなわち、受信コマンド情報記憶領域に賞球コマンドの記憶があるか否かを判定する。賞球コマンドの記憶がある場合、ステップS720をありと判定し、受信コマンド情報記憶領域に記憶されている賞球コマンドに応じた賞球数を持球数カウンタの値に加算記憶し(ステップS722)、持球数カウント処理のサブルーチンを抜ける。一方、賞球コマンドの記憶がない場合、ステップS720をなしと判定し、持球数カウント処理のサブルーチンを抜ける。
例えば、賞球数「4」に設定されている入賞口に入賞が発生した場合には、持球数カウンタの値に賞球数「4」が加算記憶され、例えば、賞球数「15」に設定されている入賞口(大入賞口)に入賞が発生した場合には、持球数カウンタの値に賞球数「15」が加算記憶される。
[球送り・発射駆動処理]
次に、球送り・発射駆動処理について説明する。図90~図91は球情報制御MPUが行う球送り・発射駆動処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、球送り・発射駆動処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
また、図24は、球送りソレノイド31と発射ソレノイド13との駆動タイミングを示すタイムチャートである。球送りソレノイド31をオンした時点から、期間Aだけ経過した時点で発射ソレノイド13をオンし、発射ソレノイド13をオンした時点から、期間Bだけ経過した時点で球送りソレノイド31をオフし、球送りソレノイド31をオフした時点から期間Cだけ経過した時点で発射ソレノイド13をオフする。
本実施形態では、期間Aを300ms、期間Bを30ms、期間Cを50msとしている。球送りソレノイド31をオンすると、球送り部材32により発射位置(レール部332)に発射球が送り込まれた状態となる。即ち、発射球確認スイッチ36により発射球が検出される。本実施形態では、予め定められた規定時間に亘って(期間Dとして30msとしている)、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定する。
このように、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が予め定められた規定時間に亘って検出された場合に、発射球ありと判定するようにしているので、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができる。
そして、発射ソレノイド13がオンすると、発射用ハンマー30によって発射位置に停留されている遊技球が遊技領域8に打ち出され、発射球確認スイッチ36がオフとなる。これにより、持球数を-1する。
球情報制御MPUは、球送り・発射駆動処理を開始すると、まず、発射可能フラグが1(発射可)であるか否かを判定する(ステップS730)。先に説明した打球可不可判定処理において発射可と判定された場合に、発射可能フラグが1(発射可)にセットされる。ステップS730にて、発射可能フラグが1(発射可)でないと判定した場合、即ち、発射可能フラグが0(発射不可)である場合、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。この場合、実質的な球送り・発射駆動処理は実行されない。
一方、ステップS730にて、発射可能フラグが1(発射可)であると判定した場合、ステップS731に移行し、処理フラグが0であるか否かを判定する(ステップS731)。
ここで、処理フラグは、後述の球送り・発射駆動処理において、球情報制御MPUが各処理のいずれかに分岐するのかを識別するためのフラグであり、換言すると、球送り・発射駆動における制御状態を識別するためのフラグであり、「0」で初期設定を意味するものであり、「1」で球送りソレノイド31をオンした後、発射ソレノイド13をオンする迄の期間を規定するものであり、「2」で発射ソレノイド13をオンした後、球送りソレノイド31をオフする迄の期間を規定するものであり、「3」で球送りソレノイド31をオフした後、発射ソレノイド13をオフする迄の期間を規定するものである。
球送り・発射駆動処理を開始した時点では、処理フラグの値は0とされている。従って、ステップS731をYESと判定し、ステップS732に進んでタイマに期間A(図24参照、300ms)に相当するタイマ値をセットし(ステップS732)、球送りソレノイド31をオンし(ステップS733)、処理フラグに1をセットし(ステップS734)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。なお、タイマにセットされたタイマ値は、図82のステップS556のタイマ更新処理にて、2ms周期でタイマ値が1ずつ減算される。
球送り・発射駆動処理の次の処理周期は、2ms後となる。処理フラグに1がセットされた結果、次周期の球送り・発射駆動処理では、ステップS730YESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735に移行する。ステップS735では、処理フラグの値が1であるか否かを判定する(ステップS735)。この場合、処理フラグに1がセットされているため、ステップS735をYESと判定し、ステップS736に進んでタイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS736)。タイマがタイムアップしていなければ、ステップS736をNOと判定し、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
以下、期間Aをセットしたタイマがタイムアップする迄の間、処理フラグの値1に基づいて、ステップS730をYESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735をYESと判定し、ステップS736をNOと判定する処理ルーチンを繰り返す。
そうして、タイマがタイムアップすると、ステップS736をYESと判定し、期間Aが経過したものとして、ステップS737に進んでタイマに期間B(図26参照、30ms)に相当するタイマ値をセットし(ステップS737)、発射ソレノイド13をオンし(ステップS738)、処理フラグに2をセットし(ステップS739)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
処理フラグに2がセットされた結果、次周期の球送り・発射駆動処理では、ステップS730をYESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735をNOと判定し、ステップS740に移行する。ステップS740では、処理フラグの値が2であるか否かを判定する(ステップS740)。この場合、処理フラグに2がセットされているため、ステップS740をYESと判定し、ステップS741に進んでタイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS741)。タイマがタイムアップしていなければ、ステップS741をNOと判定し、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
以下、期間Bをセットしたタイマがタイムアップする迄の間、処理フラグの値2に基づいて、ステップS730をYESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735をNOと判定し、ステップS740をYESと判定し、ステップS741をNOと判定する処理ルーチンを繰り返す。
そうして、タイマがタイムアップすると、ステップS741をYESと判定し、期間Bが経過したものとして、ステップS742に進んでタイマに期間C(図24参照、50ms)に相当するタイマ値をセットし(ステップS742)、球送りソレノイド31をオフし(ステップS743)、処理フラグに3をセットし(ステップS744)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
処理フラグに3がセットされた結果、次周期の球送り・発射駆動処理では、ステップS730をYESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735をNOと判定し、ステップS740をNOと判定し、ステップS745に移行する。ステップS745では、タイマがタイムアップしたか否かを判定する(ステップS745)。タイマがタイムアップしていなければ、ステップS745をNOと判定し、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
以下、期間Cをセットしたタイマがタイムアップする迄の間、処理フラグの値3に基づいて、ステップS730をYESと判定し、ステップS731をNOと判定し、ステップS735をNOと判定し、ステップS740をNOと判定し、ステップS745をNOと判定する処理ルーチンを繰り返す。
そうして、タイマがタイムアップすると、ステップS745をYESと判定し、期間Cが経過したものとして、ステップS746に進み、発射ソレノイド13をオフし(ステップS746)、処理フラグに0をセットして初期値に戻し(ステップS747)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
[発射球検出処理]
次に、発射球検出処理について説明する。図92は球情報制御MPUが行う発射球検出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、発射球検出処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、発射球検出処理を開始すると、まず、発射球確認スイッチ36がオンであるか否かを判定する(ステップS750)。先に述べたように、球送りソレノイド31をオンすると、球送り部材32により発射位置(レール部332)に発射球が送り込まれた状態となる。即ち、発射球確認スイッチ36により発射球が検出される。
発射球確認スイッチ36がオンであると判定した場合、オン状態となっている時間を計時するためのカウンタである計時カウンタの値を+1し(ステップS751)、ステップS753に進む。
一方、発射球確認スイッチ36がオンではないと判定した場合、即ち、発射球確認スイッチ36がオフである場合、計時カウンタに0をセットし(ステップS752)、ステップS753に進む。
ステップS753に進むと、計時カウンタの値が予め定められた規定時間D(本例では、30ms)に達しているか否かを判定する(ステップS753)。計時カウンタの値が予め定められた規定時間Dに達していなければ、ステップS753をNOと判定し、発射球検出処理のサブルーチンを抜ける。
発射球検出処理は2ms毎に実行されるため、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が予め定められた規定時間Dに亘って検出され続けると、2ms毎に計時カウンタの値が1ずつアップしていき、計時カウンタの値が予め定められた規定時間D(本例では、30ms、カウント値15)に達する。この場合、ステップS753をYESと判定し、発射球が検出されたと見做し、発射球検出フラグに1(検出あり)をセットし(ステップS754)、発射球検出処理のサブルーチンを抜ける。
一方、発射球確認スイッチ36にノイズが入り込んだ場合には、発射球確認スイッチ36が瞬間的にオンするものの、その後、発射球確認スイッチ36がオフする。したがって、発射球確認スイッチ36がオフすることに応じて、計時カウンタの値が0にセットされるので、計時カウンタの値が予め定められた規定時間D(本例では、30ms、カウント値15)に達することはない。
このように、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が予め定められた規定時間に亘って検出された場合に、発射球ありと判定するようにしているので、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができる。
[持球数減算処理]
次に、持球数減算処理について説明する。図93は球情報制御MPUが行う持球数減算処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、持球数減算処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、持球数減算処理を開始すると、まず、発射球検出フラグが1(検出あり)であるか否かを判定する(ステップS760)。発射球検出フラグが1(検出あり)ではないと判定した場合は、即ち、ステップS760をNOと判定した場合は、持球数減算処理のサブルーチンを抜ける。この場合には、持球数の減算は行われない。
ステップS760にて、発射球検出フラグが1(検出あり)であると判定した場合、即ち、ステップS760をYESと判定した場合には、ステップS761に進み、発射球確認スイッチ36がオフであるか否かを判定する(ステップS761)。ステップS761において、発射球確認スイッチ36がオフではないと判定した場合、即ち、ステップS761をNOと判定した場合は、持球数減算処理のサブルーチンを抜ける。
先に述べたように、発射ソレノイド13がオンすると、発射用ハンマー30によって発射位置に停留されている遊技球が遊技領域8に打ち出され、発射球確認スイッチ36がオフとなる。これにより、持球数を-1する。ステップS761において、発射球確認スイッチ36がオフであると判定した場合、即ち、ステップS761をYESと判定した場合は、持球数カウンタの値を-1し(ステップS762)、発射球検出フラグに0(検出なし)をセットし(ステップS763)、持球数減算処理のサブルーチンを抜ける。
このように、予め定められた規定時間に亘って、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定し、発射球ありと判定したことを条件として、発射球確認スイッチ36によって遊技球が検出されない場合に、発射位置に停留されていた遊技球が発射されたと判定し、持球数を1つ減じるようにしたので、発射球確認スイッチ36にノイズが入り込んだ場合、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができる。
[球揚送駆動処理]
次に、揚送駆動処理について説明する。図94は球情報制御MPUが行う揚送駆動処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、揚送駆動処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、揚送駆動処理を開始すると、まず、発射待機球検出スイッチ26がオンであるか否かを判定する(ステップS770)。ステップS770において発射待機球検出スイッチ26がオフであると判定した場合、即ち、ステップS770をNOと判定した場合は、ステップS771に進み、揚送入口スイッチ156がオンであるか否かを判定する(ステップS771)。ステップS771において、揚送入り口スイッチ156がオンであると判定された場合、即ち、ステップS771をYESと判定した場合は、球揚送モータ150を駆動し(ステップS772)、揚送駆動処理のサブルーチンを抜ける。
一方、ステップS770において発射待機球検出スイッチ26がオンであると判定された場合、即ち、ステップS770をYESと判定した場合、球揚送モータ150を停止し(ステップS773)、揚送駆動処理のサブルーチンを抜ける。
また、ステップS771において揚送入口スイッチ156がオフであると判定された場合、即ち、ステップS771をNOと判定した場合も、球揚送モータ150を停止し(ステップS773)、揚送駆動処理のサブルーチンを抜ける。
このように、発射待機球検出スイッチ26によって遊技球が検出されない場合に、球供給経路部材24内に必要な遊技球数を満たしていないと判定し、且つ、揚送入口スイッチ156によって球送り通路275内に整列待機している遊技球が検出された場合に、遊技球ありと判定したことを条件として、球揚送モータを駆動し、発射待機球検出スイッチ26によって球供給経路部材24内に整列待機している遊技球が検出されたことを条件として、前記球揚送装置22を駆動停止し、遊技球の揚送を停止するため、球供給経路部材24内に遊技球が揚送過多となって球詰りが発生することを抑止できる。これにより、遊技球を揚送する構成である為、過不足なく遊技球を球供給経路部材24へ送り込むことができる。
また、上部発射ユニット12における打球発射装置29の遊技球の発射周期及び球送り装置28の遊技球の球送り込み周期に比べて、前記球揚送装置22による前記前記球供給経路部材24への遊技球の送り出し周期が短く設定されている。本実施例においては、打球発射装置29の遊技球の発射周期及び球送り装置28の遊技球の球送り込み周期は600ms(1分間に100発発射)、球揚送装置22による前記球供給経路部材24への遊技球の送り出し周期は384msである。
これにより、遊技中において、上部発射ユニット12の稼働によって遊技球の打球発射装置29による遊技領域ヘの打ち出し並びに球送り装置28による発射位置への遊技球の送り込みが行われるが、遊技球の打ち出し並びに発射位置への遊技球の送り込みの周期よりも、球揚送装置22による球供給経路部材24への遊技球の送り出し周期が短いので、揚送入口スイッチ156によって揚送される前に待機している遊技球が充足している状態が保持されている場合においては、遊技球の打ち込みを行っているうちに、発射待機球検出スイッチ26によって球供給経路部材内24の遊技球が検出されなくなると、球揚送装置22が駆動して遊技球の揚送が開始され、遊技球の打ち込みペースよりも速いペースで球供給経路部材24への遊技球の送り出しが行われ、そのうちに発射待機球検出スイッチ26によって球供給経路部材24内に整列待機している遊技球が検出されると、球揚送装置22が駆動停止し、遊技球の揚送が停止される。つまり、遊技中は球揚送装置22の球揚送動作が間歇的に行われることになり、球詰りが発生することを抑止できると共に、効率良く安定して遊技球を揚送することで遊技球を効率良く、上部発射ユニットに安定した球数の遊技球を供給することができる。
尚、本実施例においては、打球発射装置29の遊技球の発射周期及び球送り装置28の遊技球の球送り込み周期は600ms(1分間に100発発射)、球揚送装置22による前記球供給経路部材24への遊技球の送り出し周期を384msとしているが、方法としてはこれに限ったものではなく、遊技球の発射周期及び球送り込み周期と、球供給経路部材24への遊技球の送り出し周期を互いに600msとするなど、種々の方法を選択することができる。
[球詰まり報知処理]
次に、球詰まり報知処理について説明する。図95は球情報制御MPUが行う球詰まり報知処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、球詰まり報知処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。また、球詰まり報知処理は、図88に記載の打球可不可判定処理の次に行われるものである。なお、発射待機球検出スイッチ26が第1の発射待機球検出手段に相当し、発射待機球検出スイッチ70が第2の発射待機球検出手段に相当する。
球情報制御MPU111は、球詰まり報知処理を開始すると、まず、発射待機球検出スイッチ26がオンであるか否かを判定する(ステップS780)。ステップS780において発射待機球検出スイッチ26がオンであると判定した場合、即ち、ステップS780をYESと判定した場合は、球揚送モータ150を停止し(ステップS782)、ステップS786に進み、発射待機球検出スイッチがオンであるか否かを判定する(ステップS786)。ステップS786において、発射待機球検出スイッチ70がオフであると判定された場合、即ち、ステップS786をNOと判定した場合は、異常検出フラグに1をセットし(ステップS788)、報知手段をオンして(ステップS789)球詰まり報知処理のサブルーチンを抜ける。
一方、ステップS786おいて発射待機球検出スイッチ70がオンであると判定された場合、即ち、ステップS786をYESと判定した場合はステップS787に進み、異常検出フラグは1か否かを判定する(ステップS787)。ステップS787において異常検出フラグは1と判定した場合、即ち、ステップS787をYESと判定した場合は異常検出フラグを0クリアし(ステップS790)、異常報知手段をオフし(ステップS792)、復旧報知手段をオンして(ステップS794)球詰まり報知処理のサブルーチンを抜ける。
また、ステップS780において発射待機球検出スイッチ26がオフであると判定された場合、即ち、ステップS780をNOと判定した場合は、球揚送モータ150を駆動し(ステップS784)、異常検出フラグは1か否かを判定する(ステップS787)。ステップS787において異常検出フラグは0と判定した場合、即ち、ステップS787をNOと判定した場合は球詰まり報知処理のサブルーチンを抜ける。
このように、球供給経路部材24と球送り装置28とに遊技球を検知するセンサを備え、球供給経路部材24内の遊技球が検出され、且つ、球送り装置28内の遊技球が検出されないことを条件として球詰まりが起きていることによる異常状態であると判定し、異常報知手段(特に図示しないが、例えばタッチパネル部14に球詰まりである旨を行うこと)によって報知を行う。これにより、例えば遊技ホールの係員に球詰まりが発生していることを確実に報知することができる。
また、本実施形態の上部発射装置12は、固定具49により本体枠2に対して着脱可能であるので(図12)、球詰まりによる報知を受けた係員は扉枠3を開放した後、上部発射装置12を回動させて取り外し、その状態を即座に把握することができ、球詰まりの解消を容易に行うことができる。球詰まりが解消されると異常検出フラグが0クリアされ、異常報知手段が止まる。その後復旧報知手段によって、(例えば、タッチパネル部14に、球詰まり状態から復旧した旨を遊技ホールの係員が認識できる程度表示をして(例えば5秒~10秒))報知を行うため、確実に球詰まりが解消されたことを認識することができる。
また、発射待機球検出スイッチ70の配置位置は、球送り装置28の経路における発射位置付近にある遊技球を検知するよう取り付けられているが、球送り装置28の経路を通過する遊技球を検知することができる配置であれば、種々の配置位置を選択することができる。
[遊技盤5と本体枠2との電気的接続]
遊技盤5の本体枠2への電気的接続を、図99を用いて説明する。図99はドロワコネクタを用いて接続された遊技盤と本体枠を示したブロック図である。遊技盤5と本体枠2との機械的及び電気的接続は、ドロワコネクタによる接続で行われる。遊技盤5には、遊技盤側主ドロワコネクタと、遊技盤側副ドロワコネクタとが設けられ、本体枠2には、本体枠側主ドロワコネクタと、本体枠側副ドロワコネクタとが設けられている。遊技盤5を本体枠2に対して嵌め込むことで、遊技盤側主ドロワコネクタと本体枠側主ドロワコネクタ、遊技盤側副ドロワコネクタと本体枠側副ドロワコネクタとが接続され、遊技盤5と本体枠2とが機械的に接続されると同時に電気的に接続される。これにより、遊技盤5と本体枠2とで電気的通信を行うことが可能となる。
[主制御基板100と球情報制御基板110の認証]
以上のようにして遊技盤5と本体枠2とで電気的通信を行うことが可能となると、主制御基板100と球情報制御基板110との相互認証が電源投入時に行われる。主制御基板100と球情報制御基板110の認証機能について、図97を用いて説明する。
前述した主制御基板100における主制御MPU101にはIDコードが予め記憶されていると説明したが、球情報制御基板110の球情報制御MPU111にも前述したIDコードが予め記憶されている。以下、主制御MPU101に予め記憶されているIDコードを第1MPU認識番号、球情報制御MPU111に予め記憶されているIDコードを第2MPU認識番号という。
本実施形態における文言の一例を提示する。主制御基板100は第1制御基板に相当し、球情報制御基板110は第2制御基板に相当し、主制御MPU101は第1MPUに相当し、球情報制御MPU111は第2MPUに相当している。
本実施形態における主制御基板100と球情報制御基板110とは、双方向のデータ通信が可能となっており、電源投入時に基板間で認証処理を行うことで、夫々のMPUが正規の物であるか否かを判断可能な構成となっている。以下、詳述する。
主制御基板100は、主制御MPU101を少なくとも備え、主制御MPU101には予め記憶された第1MPU認識番号が格納された第1MPU認識番号格納部101aと、第2MPU認識番号が適正なものであるかの認証処理を行う第1認証部162と、球情報制御MPU111に送信する情報を暗号化し、球情報制御MPU111から送信される情報を復号化する主暗号通信部160と、が備えられており、更に第1認証部162は、第2MPU認識番号を格納する第2MPU認識番号格納部161を備えている。
また、球情報制御基板110は、球情報制御MPU111を少なくとも備え、球情報制御MPU111には、予め記憶された第2MPU認識番号が格納された第2MPU認識番号格納部111aと、第1MPU認識番号が適正なものであるかの認証処理を行う第2認証部167と、主制御MPU101に送信する情報を暗号化し、主制御MPU101から送信される情報を復号化する球情報暗号通信部165と、が備えられており、更に第2認証部167は、第1MPU認識番号を格納する第1MPU認識番号格納部166を備えている。
遊技機に電源が投入されると、主制御基板100と球情報制御基板110との双方向通信により、第1MPU認識番号格納部101aから第1MPU認識番号が、主暗号通信部160によって暗号化されてから球情報暗号通信部165に送信され、球情報制御MPU111から第2MPU認識番号が、球情報暗号通信部165によって暗号化されてから主暗号通信部160に、送信される。
次に、主制御MPU101は、球情報制御MPU111からの球情報暗号通信部165から送信された第2MPU認識番号を、主暗号通信部160を用いて復号化した後に第1認証部162内の第2MPU認識番号格納部161に格納し、球情報制御MPU111は、主制御MPU101から送信された第1MPU認識番号を、球情報暗号通信部165を用いて復号化した後に第2認証部167内の第1MPU認識番号格納部166に格納する。
次いで、主制御MPU101は、第2MPU認識番号格納部161に格納された第2MPU認識番号に基づいて、第1認証部162で認証処理を行い、第2MPU認識番号が適正なものであるかを判断する。
また一方で、球情報制御MPU111は、第1MPU認識番号格納部166に格納された第1MPU認識番号に基づいて、第2認証部167で認証処理を行い、第1MPU認識番号が適正なものであるかを判断する。
第1認証部162及び第2認証部167それぞれで認証した結果に基づいて、主制御MPU101と球制御MPU111とが適正なものであると判断された場合は、図79の主制御側電源投入時処理及び図82の球情報制御側電源投入時処理の開始が許可され遊技を開始することが可能となり、一方、適正なものでないと判断された場合は、主制御側電源投入時処理及び球情報制御側電源投入時処理の開始が許可されず、遊技を行うことが不可能となる。
これらの構成により、主制御MPU101と球情報制御MPU111との間で相互に認証処理を行わせるようにし、かかる認証処理が適切に行われない場合には遊技が行われないようにすることにより、主制御MPU101や球情報制御MPU111が偽造チップと差し替えられる等の不正行為を有効に抑止することが可能となる。
上述のように、主制御MPU101と球情報制御MPU111との間で相互に行われた認証処理において相互の認証結果が適正である判断された場合、図79の主制御側電源投入時処理及び図82の球情報制御側電源投入時処理の開始が許可される。つまり、主制御MPU101と球情報制御MPU111との間で相互に行われた認証処理において相互の認証結果が適正である判断されたことを条件に、正規に遊技盤5が本体枠2に装着されたことが担保され、遊技盤5が存在することが保証される。
[封入された全ての遊技球について]
以上の実施形態において説明した封入球式遊技機は、循環使用される全封入球を一括して収納する収納ユニットを備えていないタイプのものである。斯かるタイプの封入球式遊技機では、遊技機本体内に封入した全ての遊技球の数を正確に検出して管理することは容易ではない。例えば、遊技機内に封入された遊技球は、本体枠2の上部に配置された打球発射装置29の上流側の球送り経路[例えば、球送り誘導樋69や揚送連通樋65(図11)]内に待機整列されていたり、遊技領域8に設けられたアウト口42や入賞口41を経由して遊技盤5の裏面側に回収されて球揚送装置21に送り込まれるまでの異形球・磁性球排出ユニット20の内部や球集合部21の内部において待機状態であったり、遊技球を上方に揚送する球揚送装置21の内部に存在したり、というように、遊技球の循環経路の数か所に分かれて存在している。
遊技機本体内に封入された全ての遊技球の数が適量(一例として30球)でない場合、例えば、封入した全ての遊技球の数が適量よりも多い場合(遊技球過多という)、循環経路の何処かにおいて球詰りを起こしやすくなる。また、例えば、封入した全ての遊技球の数が適量よりも少ない場合(遊技球不足という)、遊技中に発射球不足となることが懸念される。特に、大当り遊技の際に発射球不足が発生してしまうと、遊技領域に球を打ち込むことができないため、遊技者に多大な迷惑がかかる、という深刻な事態が発生する虞がある。
また、遊技機本体内に封入された全ての遊技球の数が適量でない場合、同一の機種同士で比較すると、使用できる遊技球数に不均衡が生じることになり、遊技者に与えられている公平性が確保されている、という原則が崩れてしまう、という不具合が生じる。
また、遊技中に遊技領域8に打ち込んだ遊技球が遊技領域8においてゲージを形成している多数の障害釘の間に引っ掛かり、後続して遊技領域8を流下する後続球の流下を妨げることにより、遊技領域8に打ち込んだ多数の遊技球が次々と重なり合って塊を作り出す現象、所謂ブドウ、が発生してしまうことがある。
このようなブドウが発生してしまった場合、呼び出しランプ等によりホールの店員を呼び出し、店員にその旨を伝えると、店員により解消作業が行われる。すなわち、店員がシリンダ錠に鍵を差し込んで一方に回動することにより、扉枠3のフックカバーと本体枠2の扉枠用摺動杆のフック部との係合が外れ、扉枠3を前面側に引くことにより扉枠3を本体枠2に対して開放することができるようになっている。
店員が、遊技領域のブドウが発生している箇所の遊技球を全て取り除いてアウト口42に投入した後、扉枠3を本体枠2に対して閉鎖することで解消作業が完了となるわけであるが、ブドウが発生している箇所の遊技球を取り除こうとしているうちに、誤って遊技球を機外にこぼして紛失させてしまうことがある。このように、扉枠3の開閉に際して、紛失した遊技球を遊技機内に戻せなくなった場合にも、遊技機本体内に封入された全ての遊技球の数が適量でなく、球不足が発生した状態となる。
[封入された全ての遊技球の適量判定]
そこで、本実施形態では、所定数量の遊技球を閉鎖的に循環させて遊技を行うようにした封入球式遊技機にあって、封入された全ての遊技球の数が、適量であるか否か、過不足を判定する(以下、球数適量判定ともいう)封入球数判定制御手段が球情報制御基板110に設けられている。
[球回収装置]
先述のように、図28に示す異形球・磁性球排出ユニット20の上部に開設された回収口202は、入賞口41に入球した遊技球とアウト口42に回収された遊技球とを合わせて回収するもので(図5)、この実施形態においては、異形球・磁性球排出ユニット20が球回収装置として機能するものである。
図101は、本実施形態における球回収装置240の正面図である。球回収装置240の上部には上方に開口された回収口202が形成されている。アウト球はアウト口42(図2,図3,図5を参照)を介して回収口202に流入する。セーフ球は入賞口41(図5参照)を介して回収口202に流入する。
回収口202を形成している球受樋ベース201の縁部に連通して下方の一側に拡張した略ホッパ形状の球停留部241が形成されている。球停留部241の下部には、異形球排出部204に向けて球停留部241内の遊技球の流下が可能な球排出樋242が屈曲形成され、球排出樋242の上部に回収球検出スイッチ203が配設されている。
回収球検出スイッチ203の上方には、球停留部241の下部を開放または遮断する球保留ストッパ部材243が前後方向に開閉自在に設けられている。球保留ストッパ部材243は、球停留部241の下部から後方に退避する開状態において球停留部241における遊技球の流下を許容する一方、球停留部241の下部へと前方に進入する閉状態において遊技球の流下を遮断して球停留部241に遊技球を停留可能とする。
なお、球受樋ベース201の背面には、図示していないが、球停留ストッパ部材243を開閉動作させるための球停留ストッパ駆動手段としての、球停留ストッパソレノイド244が配設されている。球停留ストッパソレノイド244には、図示しないバネ等により後方に向けて付勢されたプランジャが出入自在に挿通され、前記プランジャの先端部には作動杆(図示せず)が係合されており、球停留ストッパ部材243が前記作動杆に係合されている。
これにより、球停留ストッパソレノイド244が非励磁状態の時には、前記バネの付勢によって前記プランジャが伸長した状態をとると共に前記作動杆を後方に向けて移動し、前記作動杆に係合されている球停留ストッパ部材243が後方に移動した位置をとる。すなわち、球保留ストッパ部材243が、球停留部241の下部から後方に退避する開状態とり、球停留部241における遊技球の流下が許容されている。
一方、球停留ストッパソレノイド244が励磁状態の時には、前記バネの付勢に抗して前記プランジャが吸引されると共に前記作動杆が前方に向けて移動し、前記作動杆に係合されている球停留ストッパ部材243が前方に移動した位置をとる。すなわち、球保留ストッパ部材243が、球停留部241の下部に進入する閉状態とり、球停留部241における遊技球の流下が遮断されている。したがって、回収口202に流入した遊技球は、球停留部241に停留される。
[球数適量判定を行う封入球数判定制御手段]
次に、球情報制御基板110の球情報制御MPU111が実行する封入球数判定制御処理(封入球数判定制御手段)について説明する。本実施形態において、封入球数判定制御処理は、概略として、球停留ストッパ駆動手段(球停留ストッパソレノイド244)を作動して球停留ストッパ部材243を閉状態にすることで、入賞口41又はアウト口42を経由して球回収装置240の回収口202に回収された遊技球を球回収装置240の球停留部241に停留させる球停留制御処理と、打球発射装置29(発射ソレノイド13)、球搬送装置(球送り回転体350および球揚送装置22を駆動する球揚送モータ150)および球送り装置28(球送りソレノイド31)を作動することにより、封入された全ての遊技球を遊技領域8に発射する遊技球発射制御処理と、遊技球発射制御処理の実行により遊技球が発射されているときに、発射球確認手段(発射球確認36)の検出信号に基づいて、発射された遊技球数を計数する遊技球数計数処理と、予め定められた終了条件が成立したか否かを判定し、終了条件が成立したと判定すると、遊技球数計数処理による遊技球数の計数を終了し、遊技球数計数処理によって計数された遊技球数を封入された全ての遊技球数とし、前記全ての遊技球数と予め定められた適量数とを比較し、前記全ての遊技球数が適量か否か、過不足を判定する遊技球数適量判定処理と、を含む。
また、本実施形態では、球情報制御基板110の球情報制御MPU111は、電源投入時または本体枠2に対して扉枠3が開閉されたときに、封入球数判定制御処理を実行するようにしている。
実施形態の封入球式遊技機は、少なくとも遊技球数の適否を報知するための報知手段を備えている。本例では、例えば、タッチパネル14を報知手段としている。また、遊技球数適量判定処理において過不足と判定した場合、過不足である旨をタッチパネル14に出力する。
本実施形態では、本体枠2に対する扉枠3の開放を検出する扉枠開放スイッチ131(図77参照)を有し、球情報制御基板110の球情報制御MPU111は、扉枠開放スイッチ131の検出信号に基づいて、扉枠3が本体枠2に対して開放されている状態から扉枠3が本体枠2に対して閉鎖されている状態に移行したことを意味する扉枠3の開閉が行われたか否かを判定する扉枠開閉判定処理を実行し、扉枠開閉判定処理において扉枠3の開閉が行われたと判定すると、封入球数判定制御処理を実行する。
[封入球数判定制御処理]
図102は球情報制御MPU111(以下、単に球情報制御MPUという)が行う封入球数判定制御処理のサブルーチンの第1実施形態を示すフローチャートである。球情報制御MPUは、封入球数判定制御処理を開始すると、まず、遊技機内に封入された全ての遊技球を計数(カウント)するための球数カウンタに初期値0をセットする(ステップS900)。次に、入賞口41又はアウト口42を経由して球回収装置240の回収口202に回収された遊技球を球回収装置240の球停留部241に停留させるために、球停留ストッパソレノイド244をオンする(ステップS902)。
ステップS902により、球停留ストッパ部材243が前方に移動した位置をとり、球保留ストッパ部材243が、球停留部241の下部に進入する閉状態とり、球停留部241における遊技球の流下が遮断される。したがって、封入された遊技球の循環経路について、球保留ストッパ部材243より下流に存在する遊技球は、球集合部21における図41に示される球送り回転体350と、球揚送装置22とによる球搬送動作により上方に配置された球送り装置28に向けて搬送される。
次いで、球情報制御MPUは、球保留ストッパ部材243より下流に存在する遊技球を球送り装置28に向けて搬送するために、球揚送モータ150(図44)を駆動する(ステップS904)。なお、ステップS905の処理については後述する。
そして、ステップS908の球送り・発射駆動処理に関わる処理フラグに初期値0をセットし(ステップS906)、球送り・発射駆動処理に進む(ステップS908)。なお、処理フラグについては後述する。
ステップS908の球送り・発射駆動処理は、基本的には図90~図91に示される球送り・発射駆動処理と同様の処理となるが、図90~図91に示される球送り・発射駆動処理は、2ms毎に実行される球情報制御メイン処理(図84参照)において実行される処理であるため、処理上の時間管理はステップS556のタイマ更新処理で行われている。
これに対して、ステップS908の球送り・発射駆動処理は、封入球数判定制御処理が電源投入時処理における割込許可設定(ステップS542)が行われる前の処理として実行されたり、もしくは扉枠2が開閉されたとき(勿論遊技中に扉枠2が開閉されたときを含む)、割込を禁止した上の処理として実行されるため、処理上の時間管理をタイマ更新処理で行うことができないことになる。このため、処理上の時間管理は、図77における外部WDT116のタイマ値を読み込むことで、タイマ値に基づいて行っている点が異なっている。
ステップS908の球送り・発射駆動処理は、図24のタイムチャートで示される駆動タイミングで球送りソレノイド31と発射ソレノイド13とをオン・オフする処理である。なお、ステップS908の球送り・発射駆動処理については後述する。
球情報制御MPUは、ステップS908の球送り・発射駆動処理に次いで、発射球検出処理(ステップS910)と、球数計数処理(ステップS912)とを順次行う。発射球検出処理はレール部332上(発射位置)の遊技球を検出する処理であり、球数計数処理は、打球発射装置29の発射用ハンマー30によって発射位置から弾発された遊技球の数を計数する処理である。なお、ステップS910の発射球検出処理およびステップS912の球数計数処理については後述する。
球情報制御MPUは、ステップS912の球数計数処理を抜けると、計数終了条件が成立したか否かを判定する(ステップS914)。なお、終了条件が成立したか否かの判定は、例えば、発射ソレノイド13をオンした回数が規定回数[適量数(例えば、30球)に限らず適量数より多くてもよい)]を超えた場合、もしくは、例えば、球送り・発射駆動処理の開始からの実行時間が所定の終了条件になると、計数終了条件が成立した、と判定する。
なお、上記の規定回数の一例として、以下のことが考えられる。打球発射装置29による1分間に発射可能な球数は、100発打つことが可能とされている。すなわち、時間に換算すると、発射用ハンマー30の打球動作によって1球を打ち出すのに要する時間は0.6秒となる。このことから、封入されている全ての球数を打ち出すために十分に足りうる発射ソレノイド13をオンする回数、即ち、規定回数を100回とする。
また、球送り・発射駆動処理の開始からの実行時間についての終了条件として、例えば1分としてもよい。
また、封入されている全ての球数を遊技領域8に打ち出してしまった場合、発射位置に遊技球を供することができなくなる。この場合、発射ソレノイド13をオンすることによる発射用ハンマー30の打球動作が空振りとなってしまう状態を検知する空振り検知手段と、空振り検知手段による空振り状態の検出回数が所定の終了回数に達した場合に、計数終了条件が成立した、と判定する判定手段とを備えるように構成されていてもよい。
図24のタイムチャートによれば、空振り状態は、球送りソレノイド31がオンして球送りがなされている期間Aにおいて、発射球検出フラグが0(発射球なし)となっており、期間Bに入って、発射球検出フラグが0(発射球なし)のまま発射ソレノイド13をオンすることにより発射用ハンマー30の打球動作が空振りとなる。このような空振りの回数をカウントする。そして、ステップS914においては、カウントした空振りの回数が所定の終了回数に達した場合に、計数終了条件が成立した、と判定する。空振り状態の検出についての処理は、後述する。
球情報制御MPUは、計数終了条件が成立していないと判定した場合(ステップS914をNO)、ステップS908の球送り・発射駆動処理に戻る。以下、計数終了条件が成立したと判定されるまで、ステップS908~ステップS914をループする処理を繰り返す。
封入されている全ての球数を遊技領域8に打ち出してしまった場合、全ての遊技球は、入賞口41又はアウト口42を経由する。一方、球保留ストッパ部材243が、球停留部241の下部に進入する閉状態とり、球停留部241における遊技球の流下が遮断されていることにより、まず先に、球回収装置240の球停留部241に遊技球が停留されていき、球停留部241が遊技球で満杯になると、球回収装置240の回収口202から遊技盤5の裏面に形成されている流下樋(図示せず)に溜り込む。
ステップS914にて、計数終了条件が成立したと判定すると(ステップS914をYES)、球停留ストッパソレノイド244をオフする(ステップS916)。球停留ストッパソレノイド244をオフすることにより、球停留ストッパ部材243が後方に移動した位置をとり、球保留ストッパ部材243が、球停留部241の下部から後方に退避する開状態とり、球停留部241における遊技球の流下が許容される。
球情報制御MPUは、ステップS916についで、球数適量判定処理(ステップS918)を実行し、球数適量判定処理を終えると封入球数判定制御処理を終了する。
[球送り・発射駆動処理]
次に、球送り・発射駆動処理について説明する。図103~図104は球情報制御MPUが行う球送り・発射駆動処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。
また、図24は、球送りソレノイド31と発射ソレノイド13との駆動タイミングを示すタイムチャートである。球送りソレノイド31をオンした時点から、期間Aだけ経過した時点で発射ソレノイド13をオンし、発射ソレノイド13をオンした時点から、期間Bだけ経過した時点で球送りソレノイド31をオフし、球送りソレノイド31をオフした時点から期間Cだけ経過した時点で発射ソレノイド13をオフする。
本実施形態では、期間Aを300ms、期間Bを30ms、期間Cを50msとしている。球送りソレノイド31をオンすると、球送り部材32により発射位置(レール部332)に発射球が送り込まれた状態となる。即ち、発射球確認スイッチ36により発射球が検出される。
また、本実施形態では、予め定められた規定時間に亘って(期間Dとして30msとしている)、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定する。
このように、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が予め定められた規定時間に亘って検出された場合に、発射球ありと判定するようにしているので、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができる。
そして、発射ソレノイド13がオンすると、発射用ハンマー30によって発射位置に停留されている遊技球が遊技領域8に打ち出され、発射球確認スイッチ36がオフとなる。
球情報制御MPUは、球送り・発射駆動処理を開始すると、まず、ステップS930にて、処理フラグが0であるか否かを判定する(ステップS930)。ここで、処理フラグは、後述の球送り・発射駆動処理において、球情報制御MPUが各処理のいずれかに分岐するのかを識別するためのフラグであり、換言すると、球送り・発射駆動における制御状態を識別するためのフラグであり、「0」で初期設定を意味するものであり、「1」で球送りソレノイド31をオンした後、発射ソレノイド13をオンする迄の期間を規定するものであり、「2」で発射ソレノイド13をオンした後、球送りソレノイド31をオフする迄の期間を規定するものであり、「3」で球送りソレノイド31をオフした後、発射ソレノイド13をオフする迄の期間を規定するものである。
球送り・発射駆動処理を開始した時点では、処理フラグの値は0とされている(ステップS906による)。従って、ステップS930をYESと判定し、ステップS932に進み、外部WDT116のタイマ値を読み込んでRAMに設定された記憶エリアX1に記憶し(ステップS931)、球送りソレノイド31をオンし(ステップS932)、処理フラグに1をセットし(ステップS933)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
球送り・発射駆動処理の次の処理周期では、処理フラグに1がセットされた結果、ステップS930をNOと判定し、ステップS934に移行する。ステップS934では、処理フラグの値が1であるか否かを判定する(ステップS934)。この場合、処理フラグに1がセットされている結果、ステップS934をYESと判定し、ステップS935に進み、外部WDT116のタイマ値を読み込んでRAMに設定された記憶エリアX2に記憶し(ステップS935)、記憶エリアX2に記憶したタイマ値から記憶エリアX1に記憶したタイマ値を減じて経過時間を算出し(ステップS936)、ステップS937に進み、算出した経過時間が期間A(図24参照、300ms)に達したか否かを判定する(ステップS937)。算出した経過時間が期間Aに達していなければ、ステップS937をNOと判定し、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
以下、ステップS936によって算出される経過時間が期間Aに達する迄の間、処理フラグの値1に基づいて、ステップS930をNOと判定し、ステップS934をYESと判定し、ステップS935~ステップS936、ステップS937をNOと判定する処理ルーチンを繰り返す。
そうして、ステップS936によって算出される経過時間が期間Aに達すると、ステップS937をYESと判定し、期間Aが経過したものとして、発射用ハンマー30の空振り状態を検出する場合には、ステップS953及びステップS954の処理を行う。また、発射用ハンマー30の空振り状態を検出しない場合には、ステップS938に進む。
ステップS938に進むと、外部WDT116のタイマ値を読み込んでRAMに設定された記憶エリアX1に記憶し(ステップS938)、発射ソレノイド13をオンし(ステップS939)、処理フラグに2をセットし(ステップS940)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
ステップS939により、打球発射装置29が作動して発射位置に載置されている遊技球が遊技領域8に向けて発射されることとなる。なお、遊技球は予め設定された発射強度(予め定められた所定の電圧が発射ソレノイド13に印加されることで)で自動発射される。また、封入球数判定制御処理の終了時に、発射強度は打球ハンドル10り操作量に応じた電圧となるように通常の遊技状態に切り替えられる。
処理フラグに2がセットされた結果、次周期の球送り・発射駆動処理では、ステップS930をNOと判定し、ステップS934をNOと判定し、ステップS941に移行する。ステップS941では、処理フラグの値が2であるか否かを判定する(ステップS941)。この場合、処理フラグに2がセットされている結果、ステップS941をYESと判定し、ステップS942に進み、外部WDT116のタイマ値を読み込んでRAMに設定された記憶エリアX2に記憶し(ステップS942)、記憶エリアX2に記憶したタイマ値から記憶エリアX1に記憶したタイマ値を減じて経過時間を算出し(ステップS943)、ステップS934に進み、算出した経過時間が期間B(図24参照、30ms)に達したか否かを判定する(ステップS944)。算出した経過時間が期間Bに達していなければ、ステップS944をNOと判定し、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
以下、ステップS943によって算出される経過時間が期間Bに達する迄の間、処理フラグの値2に基づいて、ステップS930をNOと判定し、ステップS934をNOと判定し、ステップS941をYESと判定し、ステップS942~ステップS943、ステップS944をNOと判定する処理ルーチンを繰り返す。
そうして、ステップS943によって算出される経過時間が期間Bに達すると、ステップS944をYESと判定し、期間Bが経過したものとして、ステップS945に進む。ステップS945に進むと、外部WDT116のタイマ値を読み込んでRAMに設定された記憶エリアX1に記憶し(ステップS945)、球送りソレノイド31をオフし(ステップS946)、処理フラグに3をセットし(ステップS947)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
処理フラグに3がセットされた結果、次周期の球送り・発射駆動処理では、ステップS930をNOと判定し、ステップS934をNOと判定し、ステップS941をNOと判定し、ステップS948に移行する。ステップS948では、外部WDT116のタイマ値を読み込んでRAMに設定された記憶エリアX2に記憶し(ステップS948)、記憶エリアX2に記憶したタイマ値から記憶エリアX1に記憶したタイマ値を減じて経過時間を算出し(ステップS949)、ステップS950に進み、算出した経過時間が期間C(図24参照、50ms)に達したか否かを判定する(ステップS950)。算出した経過時間が期間Cに達していなければ、ステップS950をNOと判定し、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
以下、ステップS949によって算出される経過時間が期間Cに達する迄の間、処理フラグの値3に基づいて、ステップS930をNOと判定し、ステップS934をNOと判定し、ステップS941をNOと判定し、ステップS948~ステップS949、ステップS950をNOと判定する処理ルーチンを繰り返す。
そうして、ステップS949によって算出される経過時間が期間Cに達すると、ステップS950をYESと判定し、期間Cが経過したものとして、ステップS951に進む。ステップS951に進むと、発射ソレノイド13をオフし(ステップS951)、処理フラグに0をセットして初期値に戻し(ステップS952)、球送り・発射駆動処理のサブルーチンを抜ける。
[発射球検出処理]
次に、発射球検出処理について説明する。図105(A)は球情報制御MPUが行う発射球検出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。球情報制御MPUは、発射球検出処理を開始すると、まず、発射球確認スイッチ36がオンであるか否かを判定する(ステップS955)。先に述べたように、球送りソレノイド31をオンすると、球送り部材32により発射位置(レール部332)に発射球が送り込まれた状態となる。即ち、発射球確認スイッチ36により発射球が検出される。
発射球確認スイッチ36がオンであると判定した場合、オン状態となっている時間を計時するためのカウンタである計時カウンタの値を+1し(ステップS956)、ステップS958に進む。
一方、発射球確認スイッチ36がオンではないと判定した場合、即ち、発射球確認スイッチ36がオフである場合、計時カウンタに0をセットし(ステップS957)、ステップS958に進む。
ステップS958に進むと、計時カウンタの値が予め定められた規定時間D(本例では、30ms)に達しているか否かを判定する(ステップS958)。計時カウンタの値が予め定められた規定時間Dに達していなければ、ステップS958をNOと判定し、発射球検出フラグに0(検出なし)をセットし(ステップS959)、発射球検出処理のサブルーチンを抜ける。
発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が予め定められた規定時間Dに亘って検出され続けると、計時カウンタの値が1ずつアップしていき、計時カウンタの値が予め定められた規定時間D(本例では、30ms)に達する。この場合、ステップS958をYESと判定し、発射球が検出されたと見做し、発射球検出フラグに1(検出あり)をセットし(ステップS960)、発射球検出処理のサブルーチンを抜ける。
一方、例えば、発射球確認スイッチ36にノイズが入り込んだ場合には、発射球確認スイッチ36が瞬間的にオンするものの、その後、発射球確認スイッチ36がオフする。したがって、発射球確認スイッチ36がオフすることに応じて、計時カウンタの値が0にセットされるので、計時カウンタの値が予め定められた規定時間D(本例では、30ms、カウント値15)に達することはない。
このように、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が予め定められた規定時間に亘って検出された場合に、発射球ありと判定するようにしているので、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができる。
[球数計数処理]
次に、球数計数処理について説明する。図105(B)は球情報制御MPUが行う持球数減算処理のサブルーチンを示すフローチャートである。球情報制御MPUは、球数計数処理を開始すると、まず、発射球検出フラグが1(検出あり)であるか否かを判定する(ステップS962)。発射球検出フラグが1(検出あり)ではないと判定した場合は、即ち、ステップS7962をNOと判定した場合は、球数計数処理のサブルーチンを抜ける。
ステップS760にて、発射球検出フラグが1(検出あり)であると判定した場合、即ち、ステップS760をYESと判定した場合には、ステップS761に進み、発射球確認スイッチ36がオフであるか否かを判定する(ステップS761)。ステップS761において、発射球確認スイッチ36がオフではないと判定した場合、即ち、ステップS761をNOと判定した場合は、持球数減算処理のサブルーチンを抜ける。
先に述べたように、発射ソレノイド13がオンすると、発射用ハンマー30によって発射位置に停留されている遊技球が遊技領域8に打ち出され、発射球確認スイッチ36がオフとなる。球情報制御MPUは、ステップS963において、発射球確認スイッチ36がオフであると判定した場合、即ち、ステップS963をYESと判定した場合は、球数カウンタの値を+1して発射した球数をカウントし(ステップS964)、遊技球を発射したことに応じて発射球検出フラグに0(検出なし)をセットして戻し(ステップS965)、球数計数処理のサブルーチンを抜ける。
このように、予め定められた規定時間に亘って、発射球確認スイッチ36によって発射位置に停留されている遊技球が検出された場合に、発射球ありと判定し、発射球ありと判定したことを条件として、発射球確認スイッチ36によって遊技球が検出されない場合に、発射位置に停留されていた遊技球が発射されたと判定し、球数を1つ加算するようにしたので、発射球確認スイッチ36にノイズが入り込んだ場合、ノイズによる発射球の誤球カウントを排除することができ、発射球の検出における確実性を上げることができる。
[球数適量判定処理]
次に、球数適量判定処理について説明する。図106は球情報制御MPUが行う球数適量判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。球情報制御MPUは、球数適量判定処理を開始すると、まず、球数カウンタの値が適量数E(例えば、30球とする)であるか否かを判定する(ステップS970)。
球数カウンタの値が適量数Eに等しいと判定した場合、すなわち、ステップS970をYESと判定した場合は、ステップS971に進み、タッチパネル部14(報知手段の一例)に適量の旨を表示し(ステップS971)、発射許可フラグに「1(作動許可)」をセットし(ステップS972)、球数適量判定処理のサブルーチンを抜ける。
ステップS970において、球数カウンタの値が適量数Eに等しくないと判定した場合、すなわち、ステップS970をNOと判定した場合は、ステップS973に進み、球数カウンタの値が適量数E(例えば、30球とする)に満たないか否かを判定する(ステップS973)。
球数カウンタの値が適量数Eに満たないと判定した場合、すなわち、ステップS973をYESと判定した場合は、ステップS974に進み、適量数Eから球数カウンタの値を減算して不足数を算出し(ステップS974)、タッチパネル部14に球不足の旨、不足数を表示し(ステップS975)、発射許可フラグに「0(作動不許可)」をセットし(ステップS976)、球数適量判定処理のサブルーチンを抜ける。
ステップS973において、球数カウンタの値が適量数Eを満たしていると判定した場合、すなわち、ステップS973をNOと判定した場合は、ステップS977に進む。この場合は、球数カウンタの値が適量数Eに等しくなく、かつ球数カウンタの値が適量数Eを満たしていることになり、球数が適量数Eよりも多い球過多となる。
球情報制御MPUは、球数カウンタの値から適量数Eを減算して過多数を算出し(ステップS977)、タッチパネル部14に球過多の旨、過多数を表示し(ステップS978)、発射許可フラグに「0(作動不許可)」をセットし(ステップS979)、球数適量判定処理のサブルーチンを抜ける。
図107は、タッチパネル部14にて報知される球数適量判定結果の表示例を示す図である。図107(a)では、球数適量判定処理における判定結果として、封入された全ての遊技球の数が適量(例えば、30球)であることを表している。図107(b)では、球数適量判定処理における判定結果として、封入された全ての遊技球の数が球不足であり、不足している球数が3球であることを表している。図107(c)では、球数適量判定処理における判定結果として、封入された全ての遊技球の数が球過多であり、適量数よりも過多している球数が2球であることを表している。
[封入球数判定制御処理を実行するタイミング]
本実施形態では、球情報制御MPU111は、電源投入時または本体枠2に対して扉枠3が開閉されたときに、封入球数判定制御処理を実行するようにしている。
<電源投入時>
図108は、球情報制御MPU111が電源投入時に封入球数判定制御処理を実行する場合の一例を示す電源投入時処理のフローチャートの一部である。球情報制御MPUは図82のステップS520でスタックポインタの設定を行うと、ステップS522に進み、封入球数判定制御処理(ステップS522)を実行する。ステップS522の封入球数判定制御処理を終了すると、ステップS527に進む。
<扉枠3が開閉されたとき>
ここで、扉枠3の開閉とは、扉枠3が本体枠2に対して開放されている状態から扉枠3が本体枠2に対して閉鎖されている状態に移行したことを意味する。本実施形態では、球情報制御MPUは扉枠開放スイッチ131の検出信号に基づいて、扉枠3の開閉が行われたか否かを判定する。扉枠3が本体枠2から開放された状態では、扉枠開放スイッチ131がオンする。一方、扉枠3が本体枠2に閉鎖された状態では、扉枠開放スイッチ131がオフする。
[扉枠開閉判定処理]
次に、扉枠開閉判定処理について説明する。図109は球情報制御MPUが行う扉枠開閉判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、先述のように遊技領域8において所謂ブドウ等が発生した状況で扉枠3の開閉が行われることを考慮すると、少なくとも遊技中に扉枠3の開閉が行われる、と想定される。この理由から、扉枠開閉判定処理は、球情報制御メイン処理(図84参照)において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、扉枠開閉判定処理を開始すると、まず、扉枠開放スイッチ131がオンであるか否かを判定する(ステップS990)。ステップS990にて、扉枠開放スイッチ131がオンではないと判定した場合(ステップS990をNOと判定した場合)、すなわち、扉枠3が本体枠2に対して閉鎖されている場合には、扉枠開閉判定処理のサブルーチンを抜けてリターンする。
一方、ステップS990にて、扉枠開放スイッチ131がオンであると判定した場合(ステップS990をYESと判定した場合)、すなわち、扉枠3が本体枠2に対して開放されていることが検出された場合には、ステップS991に移行し、ウェイトタイマ処理を行い(ステップS991)、扉枠開放スイッチ131がオフであるか否かを判定する(ステップS992)。
ステップS991のウェイトタイマ処理は、扉枠3が本体枠2に対して開放されている状態から扉枠3が本体枠2に対して閉鎖されている状態に移行するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として、例えば、2秒が設定されている。ステップS5992の判定で扉枠開放スイッチ131がオフとなったか否かの判定を行っている。
ステップS992にて、扉枠開放スイッチ131がオフではないと判定した場合(ステップS992をNOと判定した場合)、すなわち、まだ、扉枠3が本体枠2に対して開放されている場合には、ステップS991、ステップS992をNOと判定する処理を繰り返し、扉枠3が本体枠2に対して閉鎖されるまで待機する。
そして、扉枠3が本体枠2に対して閉鎖されると、球情報制御MPUはステップS992をYESと判定し、ステップS993に進む。ステップS993では、割り込み禁止設定を行う(ステップS993)。この設定により前述した球情報制御部タイマ割り込み処理が行われなくなり、球情報制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、上述した球情報の書き換えを保護している。
ステップS993に続いて、封入球数判定制御処理を実行する(ステップS994)。球情報制御MPUはステップS994の封入球数判定制御処理を終了すると、割り込み許可設定を行い(ステップS995)、扉枠開閉判定処理のサブルーチンを抜けてリターンする。この設定により、通常の遊技状態に戻り、ステップS540で設定した割り込み周期、つまり2msごとに球情報制御部タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
[打球発射装置29の発射用ハンマー30の空振り状態の検出]
以下、打球発射装置29の発射用ハンマー30の空振り状態を検出する処理について説明する。発射用ハンマー30の空振り状態を検出する場合には、まず、図102において二点鎖線で図示するように、空振り回数カウンタを0クリアする(ステップS905)。
そうした上で、球送り・発射駆動処理で期間Aが経過したときに、すなわち、発射ソレノイド13をオンして発射用ハンマー30を作動するときに、図103において二点鎖線で図示するように、発射球検出フラグが「0(検出なし)」であるか否かを判定する(ステップS953)。
ステップS953にて、発射球検出フラグが「0(検出なし)」であると判定した場合、空振り回数カウンタの値を+1して(ステップS954)、発射用ハンマー30の空振り動作をカウントし、ステップS938に進む。一方、ステップS953にて、発射球検出フラグが「0(検出なし)」でないと判定した場合、すなわち、発射球検出フラグが「1(検出あり)」の場合は、空振り動作ではないことになり、直接ステップS938に進む。
以上のようにして、発射用ハンマー30の空振り動作の回数がカウントされる。封入されている全ての球数を遊技領域8に打ち出すと、発射位置に遊技球を供することができなくなり、発射ソレノイド13をオンすることによる発射用ハンマー30の打球動作が連続的に空振りとなる。
そして、図102のステップS914の判定処理では、空振り回数カウンタの値が予め定めた終了回数(一例として、5回)に達したか否かを判定し、空振り回数カウンタの値が終了回数に達していると判定した場合、計数終了条件か成立したと見做し、ステップS916に進み、ステップS918の球数適量判定処理に移行する。
[打球可不可判定処理]
図110は、封入球数判定制御手段を採用した(封入球数判定制御処理を実行する)実施形態における球情報制御MPUが行う打球可不可判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、打球可不可判定処理は、球情報制御メイン処理において2ms毎に実行されるステップS564の主要動作設定処理(図84)のうちの一処理として実行される。
球情報制御MPUは、打球可不可判定処理を開始すると、まず、前述の発射許可フラグが「1(作動許可)」であるか否かを判定する(ステップS700)。すなわち、封入された全ての遊技球の数が適量であったか否かを判定することになる。
ステップS700において発射許可フラグが「1(作動許可)」であると判定された場合には、封入された全ての遊技球の数が適量であることになり、ステップS700をYESと判定してステップS710に進む。つまり、封入された全ての遊技球の数が適量であることが確認されたことを条件として、上部発射装置12の作動を許可する。
なお、ステップS710以降の処理は、先に説明した打球可不可判定処理(図88)と同様であり、持球数カウンタの値が0ではなく、発射待機球検出スイッチ70がオンである場合、発射可能フラグに1(発射可)をセットし(ステップS712)、打球可不可判定処理のサブルーチンを抜ける。
このように、封入された全ての遊技球の数が適量であり、持球数カウンタの値が0ではなく、球送り装置28に待機球がある場合には、発射ソレノイド13及び球送りソレノイド31が駆動可能であり、実質的に遊技球の遊技領域8への打ち込みが可能な遊技可能状態にある。
一方、ステップS700において発射許可フラグが「1(作動許可)」ではないと判定された場合には(発射許可フラグが0である場合には)、封入された全ての遊技球の数が適量でないことになり、使用できる遊技球数に不均衡が生じることになり、遊技者に与えられている公平性が確保されている、という原則が崩れてしまう、という理由から、ステップS700をNOと判定してステップS713に進む。ステップS713では、発射可能フラグに0(発射不可)をセットし(ステップS713)、打球可不可判定処理のサブルーチンを抜ける。
つまり、封入された全ての遊技球の数が適量でない場合には、上部発射装置12の作動を許可せず、不可とする。
なお、先に説明した打球可不可判定処理(図88)と同様、ステップS710にて、持球数カウンタの値が0であると判定された場合と、ステップS711にて、発射待機球検出スイッチ70がオンでない(オフ)と判定された場合には、発射可能フラグに0(発射不可)をセットし(ステップS713)、打球可不可判定処理のサブルーチンを抜ける。つまり、持球数カウンタの値が0である場合、または球送り装置28に待機球がない場合には、発射ソレノイド13は駆動不可であって、実質的に遊技球の遊技領域8への打ち込みができない遊技不可能状態にある。同時に、球送りソレノイド31の駆動も不可にある。
[封入球数判定制御処理の第2実施形態]
以上に説明した図102の封入球数判定制御処理は、封入されている全ての遊技球を循環経路にて移動させ、移動途中の遊技球を計数することで、封入された全ての遊技球の数が適量であるか否か、過不足を判定するものであるが、封入球数判定制御処理は、封入されている遊技球を計数することによらずに、封入された全ての遊技球の数が適量であるか否か、過不足を判定するものであってもよい。
例えば、封入された全ての遊技球が循環する循環経路に、遊技球の有無を検知する複数の遊技球検出センサが配置され、複数の遊技球検出センサは、封入された全ての遊技球のうち先頭に位置する遊技球を検出する第1の遊技球検知センサと、封入された全ての遊技球のうち適量数番目に位置する遊技球を検出する第2の遊技球検知センサと、適量数番目の次に位置する遊技球を検出する第3の遊技球検知センサと、を含み、封入球数判定制御手段は、第1、第2及び第3の遊技球検知センサの検出信号に基づいて、封入された全ての遊技球の数が、適量であるか否か、過不足を判定する。
この第2実施形態では、まず、先頭に位置する遊技球を、打球発射装置29の発射位置に載置された遊技球とする。そうして、上記複数の遊技球検出センサは、封入された全ての遊技球のうち先頭に位置する遊技球を検出する第1の遊技球検知センサを発射位置に配置された発射球確認スイッチ36(図8又は図17)とし、封入された全ての遊技球のうち適量数番目(本例では、適量として30球とし、適量数番目としては30番目となる)に位置する遊技球を検出する第2の遊技球検知センサを球適正量検出スイッチ207(図28)とし、適量数番目の次(本例では31番目となる)に位置する遊技球を検出する第3の遊技球検知センサを球経路満タン検出スイッチ206(図28)とする。
そして、発射球確認スイッチ36、球適正量検出スイッチ207及び球経路満タン検出スイッチ206の検出信号に基づいて、封入された全ての遊技球の数が、適量であるか否か、過不足を判定する。
以下、第2実施形態の封入球数判定制御処理について説明する。図111は球情報制御MPUが行う封入球数判定制御処理のサブルーチンの第2実施形態を示すフローチャートである。球情報制御MPUは、封入球数判定制御処理を開始すると、まず、動作カウンタを0クリアする(ステップS1000)。ここで、動作カウンタは球送りソレノイドの動作回数をカウントするためのカウンタである。ステップS1000を行うと、球情報制御MPUは、ステップS1002に進む。
ステップS1002では、発射球確認スイッチ36がオンであるか否かを判定する(ステップS1002)。すなわち、打球発射装置29のレール部332上の発射位置に遊技球が存在しているか否かを判定する。発射球確認スイッチ36がオンであると判定する場合、ステップS1004に進む。
ステップS1004では、球適正量検出スイッチ207がオンであるか否かを判定する(ステップS1004)。すなわち、発射位置に存在する遊技球を先頭とし、循環経路の遊技球の搬送方向に対して逆方向に遡って球回収装置240内に整列待機されている適正数番目、すなわち、30番目に位置する遊技球が検出されるか否かを判定する。球適正量検出スイッチ207がオンであると判定する場合、ステップS1006に進む。
ステップS1006では、球経路満タン検出スイッチ206がオンであるか否かを判定する(ステップS1006)。すなわち、球回収装置240内に整列待機されている適正数番目の次、すなわち、31番目に位置する遊技球が検出されるか否かを判定する。
次に、ステップS1002において、発射球確認スイッチ36がオンであると判定した場合に(ステップS1002をYESと判定した場合に)、すなわち、発射位置に遊技球が存在している場合に、球情報制御MPUによって実行される各処理について説明する。
[封入された全ての遊技球の数が適量である場合]
封入された全ての遊技球の数が適量である場合は、球回収装置240内において設定されている適量数番目の位置に遊技球が存在し、球回収装置240内において設定されている適量数番目の次の位置に遊技球が存在しない。
この場合、ステップS1004にて球適正量検出スイッチ207がオンであると判定し(ステップS1004をYESと判定し)、ステップS1006にて球経路満タン検出スイッチ206がオンでないと判定し(ステップS1006をNOと判定し)、ステップS1008に進み、タッチパネル部14(報知手段の一例)に適量の旨を表示し(例えば、文字による表示)(ステップS1008)、発射許可フラグに「1(作動許可)」をセットし(ステップS1010)、封入球数判定制御処理のサブルーチンを抜ける。
[封入された全ての遊技球の数が適量でなく、球過多である場合]
封入された全ての遊技球の数が球過多である場合は、球回収装置240内において設定されている適量数番目の位置に遊技球が存在し、球回収装置240内において設定されている適量数番目の次の位置にも遊技球が存在する。
この場合には、ステップS1004にて球適正量検出スイッチ207がオンであると判定し(ステップS1004をYESと判定し)、ステップS1006にて球経路満タン検出スイッチ206がオンであると判定し(ステップS1006をYESと判定し)、ステップS1008に進み、タッチパネル部14に球過多の旨を表示し(例えば、文字による表示)(ステップS1012)、発射許可フラグに「0(作動不許可)」をセットし(ステップS1014)、封入球数判定制御処理のサブルーチンを抜ける。
[封入された全ての遊技球の数が適量でなく、球不足である場合]
封入された全ての遊技球の数が球不足である場合は、球回収装置240内において設定されている適量数番目の位置に遊技球が存在しない。
この場合には、ステップS1004にて球適正量検出スイッチ207がオンでないと判定し(ステップS1004をNOと判定し)、ステップS1016に進み、タッチパネル部14に球不足の旨を表示し(例えば、文字による表示)(ステップS1016)、発射許可フラグに「0(作動不許可)」をセットし(ステップS1014)、封入球数判定制御処理のサブルーチンを抜ける。
[その他の処理]
次に、ステップS1002において、発射球確認スイッチ36がオンでないと判定した場合に、すなわち、打球発射装置29のレール部332上の発射位置に遊技球が存在していない場合に(ステップS1002をNOと判定した場合に)、球情報制御MPUによって実行される各処理について説明する。
球情報制御MPUは、ステップS1002をNOと判定した場合にはステップS1018に進み、球送りソレノイド31をオンし(ステップS1018)、ウェイトタイマ処理を行い(ステップS1020)、球送りソレノイド31をオフする(ステップS1022)。
ステップS1020のウェイトタイマ処理は、図24のタイムチャートで示される球送りソレノイド31のオン時間(期間A+期間B)が経過するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として、例えば、300ms+30ms=330msが設定されている。
球情報制御MPUは、ステップS1022を行うと、動作カウンタの値を+1し(ステップS1024)、ステップS1026に進み、動作カウンタの値が予め定められた終了回数(例えば、5回とする)に達したか否かを判定する(ステップS1026)。ステップS1026にて、動作カウンタの値が予め定められた終了回数に達していないと判定した場合には(ステップS1026をNOと判定した場合には)、ステップS1002に戻り、再度、発射球確認スイッチ36がオンであるか否かを判定する(ステップS1002)。
ステップS1018~ステップS1022の処理を実行することにより、球送りソレノイド31がオンして球送り部材32が球送り動作することで(図22参照)、遊技球が1球、打球発射装置29の発射位置に送り込まれる。
なお、球詰り等の何らかの原因で、発射球確認スイッチ36がオフ状態を維持する場合には、ステップS1002をNOと判定、ステップS1018~ステップS1024、ステップS1026をNOと判定する処理ルーチンが、動作カウンタの値と終了回数とが一致する迄繰り返される。
そして、動作カウンタの値と終了回数とが一致すると、球情報制御MPUは、封入球数判定制御処理を終了する。この場合、図95に示す球詰り報知処理のサブルーチンを実行するように構成してもよい。また、球情報制御MPU111がエラーコマンドを主制御MPU101に送信し、主制御MPU101が例えば周辺制御基板130にエラーコマンドを送信し、周辺制御基板130が、例えば、液晶表示装置1400の液晶表示パネル等にエラーを表示することによって報知するように構成されていてもよい。
[実施形態の封入球式遊技機による効果]
以上に説明した球情報制御MPU111が実行する封入球数判定制御処理に係る実施形態の封入球式遊技機によれば、封入された全ての遊技球の数が、適量であるか否か、過不足を判定することができる。
また、球回収装置240の球停留部241において球停留ストッパ部材243により遊技球の流下を遮断した上で、打球発射装置29、球送り回転体350、球揚送装置22および球送り装置28を作動させて封入された全ての遊技球を遊技領域8に発射させ、遊技球が発射されているときに、発射球確認スイッチ36の検出信号に基づいて、発射された遊技球数を計数するようにしたので、遊技領域8に発射された遊技球は、入賞口41又はアウト口42を経由して球回収装置240の回収口202に回収され、球停留ストッパ部材243により流下を遮断された球回収装置240の球停留部241に停留されるため、循環経路において球停留部241より下流に流下しない。
したがって、一度計数(カウント)した遊技球を再度かぶってカウントしてしまうことを防止できる。この結果、封入された全ての遊技球の数を正確に計数することができる。これにより、発射された遊技球を目視により確認しつつ、計数された封入された全ての遊技球の数が適量であるか否か、過不足を正確に判定することができ、判定結果の信頼性を高めることができる。
また、遊技機に電源を投入することで、封入された全ての遊技球の数を計数し、適量であるか否か、過不足を判定することができる。一方、本体枠2に対して扉枠3が開閉されたときに、封入された全ての遊技球の数を計数し、適量であるか否か、過不足を判定することができる。
封入された全ての遊技球の数が過不足と判定した場合に、過不足である旨が報知手段(タッチパネル部14)に出力されるので、封入された遊技球の数が過不足となっていることを識別することができる。
さらに、本体枠2に対する扉枠3の開閉が行われた場合にも、封入された全ての遊技球の数を計数し、適量であるか否か、過不足を判定することができる。また、店員によるブドウ解消作業の際に、誤って遊技球を機外にこぼして紛失させてしまい、紛失した遊技球を遊技機内に戻せなくなってしまうことがあるが、このような場合にも、遊技機本体内に封入された全ての遊技球の数が適量でないと判定でき、過不足である旨が報知手段に出力されるので、封入された遊技球の数が過不足となっていることを識別することができる。
また、封入された全ての遊技球の数が適量であることが確認されたことを条件として、上部発射装置12の作動を許可する。一方、封入された全ての遊技球の数が適量でなく、過不足である場合には、上部発射装置12の作動が許可されず、打球が発射されないから、遊技そのものが行われない。これにより、使用できる遊技球数に不均衡が生じることによって、遊技者に与えられている公平性が確保されているという原則が崩れてしまう、という不具合を回避することができる。