JP2023111414A - クラッチアクチュエータ - Google Patents

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亮 石橋
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章 高木
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Abstract

【課題】転動体カムの焼き付きを継続的に抑制可能なクラッチアクチュエータを提供する。【解決手段】駆動カム40は、駆動カム本体41、および、駆動カム本体41の一方の端面に形成された複数の駆動カム溝400を有し、電動モータ20からのトルクが入力されるとハウジング12に対し相対回転する。従動カム50は、従動カム本体51、および、従動カム本体51の一方の端面に形成された複数の従動カム溝500を有し、駆動カム40がハウジング12に対し相対回転するとハウジング12に対し軸方向に相対移動する。カムボール3は、駆動カム溝400と従動カム溝500との間で転動可能に設けられている。トルクカム2は、クラッチの状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。ハウジング12は、駆動カム溝400または従動カム溝500に潤滑油を供給可能な潤滑油供給穴部911を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、クラッチアクチュエータに関する。
従来、相対回転可能な第1伝達部と第2伝達部との間に設けられ、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を許容する係合状態と、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を遮断する非係合状態とに状態が変化するクラッチの状態を変更可能なクラッチアクチュエータが知られている。
例えば、特許文献1のクラッチアクチュエータでは、電動モータからのトルクが入力されるとハウジングに対し相対回転する駆動カム、駆動カムがハウジングに対し相対回転するとハウジングに対し軸方向に相対移動する従動カムを有し、クラッチの状態を係合状態または非係合状態に変更可能な転動体カムを備えている。転動体カムは、駆動カムに形成された駆動カム溝と従動カムに形成された従動カム溝との間で転動可能に設けられた転動体を有している。
国際公開第2021/020312号
特許文献1には、クラッチアクチュエータが転動体カムを備えることについての開示はあるものの、駆動カム溝、従動カム溝、転動体への潤滑に関する構成については何ら開示されていない。そのため、特許文献1のクラッチアクチュエータでは、作動中に駆動カム溝、従動カム溝、転動体の焼き付きが生じるおそれがある。また、仮に使用開始前等、初期の段階で駆動カム溝、従動カム溝、転動体にATF、グリス等の潤滑剤を塗布したとしても、作動を継続するうちに潤滑不足になり、焼き付きが生じるおそれがある。
本発明の目的は、転動体カムの焼き付きを継続的に抑制可能なクラッチアクチュエータを提供することにある。
本発明は、相対回転可能な第1伝達部(61)と第2伝達部(62)との間において、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を許容する係合状態と、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を遮断する非係合状態とに状態が変化するクラッチ(70)を備えるクラッチ装置(1)に用いられるクラッチアクチュエータであって、ハウジング(12)と電動モータ(20)と転動体カム(2)とを備える。
電動モータは、ハウジングに設けられ、通電によりトルクを出力可能である。転動体カムは、駆動カム(40)、従動カム(50)、転動体(3)を有している。駆動カムは、駆動カム本体(41)、および、駆動カム本体の一方の端面(411)に形成された複数の駆動カム溝(400)を有し、電動モータからのトルクが入力されるとハウジングに対し相対回転する。従動カムは、従動カム本体(51)、および、従動カム本体の一方の端面(511)に形成された複数の従動カム溝(500)を有し、駆動カムがハウジングに対し相対回転するとハウジングに対し軸方向に相対移動する。
転動体は、駆動カム溝と従動カム溝との間で転動可能に設けられている。転動体カムは、クラッチの状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。ハウジングは、駆動カム溝または従動カム溝に潤滑油を供給可能な潤滑油供給穴部(911、912、922)を有する。
そのため、クラッチアクチュエータの作動中、駆動カム溝または従動カム溝に潤滑油を継続的に供給できる。したがって、転動体カムの駆動カム溝、従動カム溝、転動体の焼き付きを継続的に抑制可能である。
第1実施形態によるクラッチアクチュエータおよびそれを適用したクラッチ装置を示す断面図。 第1実施形態によるクラッチアクチュエータおよびクラッチ装置の一部を示す断面図。 第1実施形態によるクラッチアクチュエータの一部を示す断面図。 第1実施形態によるクラッチアクチュエータの駆動カム本体を示す図。 第1実施形態によるクラッチアクチュエータの従動カム本体を示す図。 第1実施形態によるクラッチアクチュエータのハウジングの一部、駆動カム本体、従動カム本体、転動体を示す図。 図6のVII-VII線断面図。 第2実施形態によるクラッチアクチュエータのハウジングの一部、駆動カム本体、従動カム本体、転動体を示す図。 図8のIX-IX線断面図。 第3実施形態によるクラッチアクチュエータのハウジングの一部、駆動カム本体、従動カム本体、転動体を示す図。 第4実施形態によるクラッチアクチュエータの一部を示す断面図。 第5実施形態によるクラッチアクチュエータの一部を示す断面図。
以下、複数の実施形態によるクラッチアクチュエータを図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態によるクラッチアクチュエータを適用したクラッチ装置を図1、2に示す。クラッチ装置1は、例えば車両の内燃機関と変速機との間に設けられ、内燃機関と変速機との間のトルクの伝達を許容または遮断するのに用いられる。
クラッチ装置1は、クラッチアクチュエータ10、クラッチ70、「制御部」としての電子制御ユニット(以下、「ECU」という)100、「第1伝達部」としての入力軸61、「第2伝達部」としての出力軸62等を備えている。
クラッチアクチュエータ10は、ハウジング12、「原動機」としての電動モータ20、ロータベアリング15、減速機30、「回転並進部」または「転動体カム」としてのトルクカム2、スラストベアリング16、状態変更部80等を備えている。
ECU100は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROM、RAM等、入出力手段としてのI/O等を有する小型のコンピュータである。ECU100は、車両の各部に設けられた各種センサからの信号等の情報に基づき、ROM等に格納されたプログラムに従い演算を実行し、車両の各種装置および機器の作動を制御する。このように、ECU100は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行する。このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。
ECU100は、各種センサからの信号等の情報に基づき、内燃機関等の作動を制御可能である。また、ECU100は、後述する電動モータ20の作動を制御可能である。
入力軸61は、例えば、図示しない内燃機関の駆動軸に接続され、駆動軸とともに回転可能である。つまり、入力軸61には、駆動軸からトルクが入力される。
内燃機関を搭載する車両には、固定体11が設けられる(図2参照)。固定体11は、例えば筒状に形成され、車両のエンジンルームに固定される。固定体11の内周壁と入力軸61の外周壁との間には、ボールベアリング141が設けられる。これにより、入力軸61は、ボールベアリング141を介して固定体11により軸受けされる。
ハウジング12は、固定体11の内周壁と入力軸61の外周壁との間に設けられる。ハウジング12は、「ハウジング筒部」としてのハウジング内筒部121、ハウジング板部122、ハウジング外筒部123、シール溝部124、ハウジング段差面125、ハウジング側スプライン溝部127等を有している。
ハウジング内筒部121は、略円筒状に形成されている。ハウジング板部122は、ハウジング内筒部121の端部から径方向外側へ延びるよう環状の板状に形成されている。ハウジング外筒部123は、ハウジング板部122の外縁部からハウジング内筒部121と同じ側へ延びるよう略円筒状に形成されている。ここで、ハウジング内筒部121とハウジング板部122とハウジング外筒部123とは、例えば金属により一体に形成されている。
上述のように、ハウジング12は、全体としては、中空、かつ、扁平形状に形成されている。
シール溝部124は、ハウジング内筒部121の外周壁から径方向内側へ凹むよう環状に形成されている。ハウジング段差面125は、シール溝部124とハウジング板部122との間において、ハウジング板部122とは反対側を向くよう円環の平面状に形成されている。
ハウジング側スプライン溝部127は、ハウジング内筒部121の軸方向に延びるようハウジング内筒部121の外周壁に形成されている。ハウジング側スプライン溝部127は、ハウジング内筒部121の周方向に複数形成されている。
ハウジング12は、外壁の一部が固定体11の壁面の一部に当接するよう固定体11に固定される(図2参照)。ハウジング12は、図示しないボルト等により固定体11に固定される。ここで、ハウジング12は、固定体11および入力軸61に対し同軸に設けられる。ここで、「同軸」とは、2つの軸が厳密に一致する同軸の状態に限らず、僅かに偏心している状態または傾いている状態を含むものとする(以下、同じ)。また、ハウジング内筒部121の内周壁と入力軸61の外周壁との間には、略円筒状の空間が形成される。
ハウジング12は、「空間」としての収容空間120を有している。収容空間120は、ハウジング内筒部121とハウジング板部122とハウジング外筒部123との間に形成されている。
電動モータ20は、収容空間120に収容されている。電動モータ20は、ステータ21、コイル22、ロータ23、「永久磁石」としてのマグネット230、マグネットカバー24等を有している。
ステータ21は、ステータヨーク211、ステータティース212を有している。ステータ21は、例えば積層鋼板により形成されている。ステータヨーク211は、略円筒状に形成されている。ステータティース212は、ステータヨーク211の内周壁から径方向内側へ突出するようステータヨーク211と一体に形成されている。ステータティース212は、ステータヨーク211の周方向に等間隔で複数形成されている。コイル22は、複数のステータティース212のそれぞれに設けられている。ステータ21は、ステータヨーク211の外周壁がハウジング外筒部123の内周壁に嵌合するようハウジング12に固定されている。
ロータ23は、例えば鉄系の金属により形成されている。ロータ23は、ロータ本体231、ロータ筒部232を有している。ロータ本体231は、略円環状に形成されている。ロータ筒部232は、ロータ本体231の外縁部から筒状に延びるよう形成されている。
マグネット230は、ロータ23の外周壁に設けられている。マグネット230は、磁極が交互になるようロータ23の周方向に等間隔で複数設けられている。
マグネットカバー24は、マグネット230のロータ23の径方向外側の面を覆うようロータ23に設けられている。より詳細には、マグネットカバー24は、例えば非磁性の金属により形成されている。
クラッチアクチュエータ10は、ロータベアリング15を備えている。ロータベアリング15は、ハウジング段差面125に対しハウジング板部122側において、ハウジング内筒部121の径方向外側に設けられている。
ロータベアリング15は、内輪の内周壁がハウジング内筒部121の外周壁に当接した状態でハウジング内筒部121に設けられている。ロータ23は、ロータ本体231の内周壁がロータベアリング15の外輪の外周壁に嵌合するよう設けられている。これにより、ロータベアリング15は、ロータ23をハウジング12に対し相対回転可能に支持している。
ECU100は、コイル22に供給する電力を制御することにより、電動モータ20の作動を制御可能である。コイル22に電力が供給されると、ステータ21に回転磁界が生じ、ロータ23が回転する。これにより、ロータ23からトルクが出力される。このように、電動モータ20は、ステータ21、および、ステータ21に対し相対回転可能に設けられたロータ23を有し、電力の供給によりロータ23からトルクを出力可能である。
ここで、ロータ23は、ステータ21の径方向内側において、ステータ21に対し相対回転可能に設けられている。電動モータ20は、インナロータタイプのブラシレス直流モータである。
本実施形態では、クラッチアクチュエータ10は、回転角センサ104を備えている。回転角センサ104は、コイル22に対しハウジング板部122側に位置するよう電動モータ20に設けられている。
回転角センサ104は、ロータ23と一体に回転するセンサマグネットから発生する磁束を検出し、検出した磁束に応じた信号をECU100に出力する。これにより、ECU100は、回転角センサ104からの信号に基づき、ロータ23の回転角および回転数等を検出することができる。また、ECU100は、ロータ23の回転角および回転数等に基づき、ハウジング12および後述する従動カム50に対する駆動カム40の相対回転角度、ハウジング12および駆動カム40に対する従動カム50および状態変更部80の軸方向の相対位置等を算出することができる。
図3に示すように、減速機30は、サンギヤ31、プラネタリギヤ32、キャリア33、第1リングギヤ34、第2リングギヤ35等を有している。
サンギヤ31は、ロータ23と同軸かつ一体回転可能に設けられている。つまり、ロータ23とサンギヤ31とは、異なる材料により別体に形成され、一体に回転可能なよう同軸に配置されている。
より詳細には、サンギヤ31は、サンギヤ基部310、「歯部」および「外歯」としてのサンギヤ歯部311、サンギヤ筒部312を有している。サンギヤ基部310は、例えば金属により略円環状に形成されている。サンギヤ筒部312は、サンギヤ基部310の外縁部から筒状に延びるようサンギヤ基部310と一体に形成されている。サンギヤ歯部311は、サンギヤ筒部312のサンギヤ基部310とは反対側の端部の外周壁に形成されている。
サンギヤ31は、サンギヤ基部310の外周壁がロータ筒部232の内周壁に嵌合するよう設けられている。これにより、サンギヤ31は、ロータベアリング15により、ロータ23とともに、ハウジング12に対し相対回転可能に支持されている。
ロータ23と一体回転するサンギヤ31には、電動モータ20のトルクが入力される。ここで、サンギヤ31は、減速機30の「入力部」に対応する。
プラネタリギヤ32は、サンギヤ31の周方向に沿って複数設けられ、サンギヤ31に噛み合いつつ自転しながらサンギヤ31の周方向に公転可能である。より詳細には、プラネタリギヤ32は、例えば金属により略円筒状に形成され、サンギヤ31の径方向外側においてサンギヤ31の周方向に等間隔で複数設けられている。プラネタリギヤ32は、「歯部」および「外歯」としてのプラネタリギヤ歯部321を有している。プラネタリギヤ歯部321は、サンギヤ歯部311に噛み合い可能なようプラネタリギヤ32の外周壁に形成されている。
キャリア33は、プラネタリギヤ32を回転可能に支持し、サンギヤ31に対し相対回転可能である。
より詳細には、キャリア33は、キャリア本体331、ピン335を有している。キャリア本体331は、例えば金属により略円環の板状に形成されている。キャリア本体331は、軸方向においてはコイル22とプラネタリギヤ32との間に位置している。
ピン335は、例えば金属により略円柱状に形成されている。ピン335は、軸方向の端部がキャリア本体331に固定されるようにして設けられている。
減速機30は、プラネタリギヤベアリング36を有している。プラネタリギヤベアリング36は、ピン335の外周壁とプラネタリギヤ32の内周壁との間に設けられている。これにより、プラネタリギヤ32は、プラネタリギヤベアリング36を介してピン335により回転可能に支持されている。すなわち、ピン335は、プラネタリギヤ32の回転中心に設けられ、プラネタリギヤ32を回転可能に支持している。また、プラネタリギヤ32とピン335とは、プラネタリギヤベアリング36を介して所定の範囲で軸方向に相対移動可能である。言い換えると、プラネタリギヤ32とピン335とは、プラネタリギヤベアリング36により、軸方向の相対移動可能範囲が所定の範囲に規制されている。
第1リングギヤ34は、プラネタリギヤ32に噛み合い可能な歯部である第1リングギヤ歯部341を有し、ハウジング12に固定されている。より詳細には、第1リングギヤ34は、例えば金属により略円筒状に形成されている。第1リングギヤ34は、ステータ21に対しハウジング板部122とは反対側において、外縁部がハウジング外筒部123の内周壁に嵌合するようハウジング12に固定されている。そのため、第1リングギヤ34は、ハウジング12に対し相対回転不能である。
ここで、第1リングギヤ34は、ハウジング12、ロータ23、サンギヤ31に対し同軸に設けられている。「歯部」および「内歯」としての第1リングギヤ歯部341は、プラネタリギヤ32のプラネタリギヤ歯部321の軸方向の一方の端部側に噛み合い可能なよう第1リングギヤ34の内周壁に形成されている。
第2リングギヤ35は、プラネタリギヤ32に噛み合い可能な歯部であり第1リングギヤ歯部341とは歯数の異なる第2リングギヤ歯部351を有し、後述する駆動カム40と一体回転可能に設けられている。より詳細には、第2リングギヤ35は、例えば金属により筒状に形成されている。
ここで、第2リングギヤ35は、ハウジング12、ロータ23、サンギヤ31に対し同軸に設けられている。「歯部」および「内歯」としての第2リングギヤ歯部351は、プラネタリギヤ32のプラネタリギヤ歯部321の軸方向の他方の端部側に噛み合い可能なよう第2リングギヤ35の軸方向の第1リングギヤ34側の端部の内周壁に形成されている。本実施形態では、第2リングギヤ歯部351の歯数は、第1リングギヤ歯部341の歯数よりも多い。より詳細には、第2リングギヤ歯部351の歯数は、第1リングギヤ歯部341の歯数よりも、プラネタリギヤ32の個数に整数を乗じた数分だけ多い。
また、プラネタリギヤ32は、同一部位において2つの異なる諸元をもつ第1リングギヤ34および第2リングギヤ35と干渉なく正常に噛み合う必要があるため、第1リングギヤ34および第2リングギヤ35の一方もしくは両方を転位させて各歯車対の中心距離を一定にする設計としている。
上記構成により、電動モータ20のロータ23が回転すると、サンギヤ31が回転し、プラネタリギヤ32のプラネタリギヤ歯部321がサンギヤ歯部311と第1リングギヤ歯部341および第2リングギヤ歯部351とに噛み合いつつ自転しながらサンギヤ31の周方向に公転する。ここで、第2リングギヤ歯部351の歯数が第1リングギヤ歯部341の歯数より多いため、第2リングギヤ35は、第1リングギヤ34に対し相対回転する。そのため、第1リングギヤ34と第2リングギヤ35との間で第1リングギヤ歯部341と第2リングギヤ歯部351との歯数差に応じた微小差回転が第2リングギヤ35の回転として出力される。これにより、電動モータ20からのトルクは、減速機30により減速されて、第2リングギヤ35から出力される。このように、減速機30は、電動モータ20のトルクを減速して出力可能である。本実施形態では、減速機30は、3k型の不思議遊星歯車減速機を構成している。
第2リングギヤ35は、後述する駆動カム40とは別体に形成され、駆動カム40と一体回転可能に設けられている。第2リングギヤ35は、電動モータ20からのトルクを減速して駆動カム40に出力する。ここで、第2リングギヤ35は、減速機30の「出力部」に対応する。
トルクカム2は、「回転部」としての駆動カム40、「並進部」としての従動カム50、「転動体」、「カム転動体」としてのカムボール3を有している。
駆動カム40は、駆動カム本体41、駆動カム特定形状部42、駆動カム板部43、駆動カム外筒部44、駆動カム溝400等を有している。駆動カム本体41は、略円環の板状に形成されている。駆動カム特定形状部42は、駆動カム本体41の外縁部から、駆動カム本体41の軸Ax1に対し傾斜して延びるよう形成されている。駆動カム板部43は、駆動カム特定形状部42の駆動カム本体41とは反対側の端部から径方向外側へ延びるよう略円環の板状に形成されている。駆動カム外筒部44は、駆動カム板部43の外縁部から駆動カム特定形状部42とは反対側へ延びるよう略円筒状に形成されている。ここで、駆動カム本体41と駆動カム特定形状部42と駆動カム板部43と駆動カム外筒部44とは、例えば金属により一体に形成されている。
駆動カム溝400は、駆動カム本体41の駆動カム特定形状部42側の面である一方の端面から他方の端面側へ凹みつつ、駆動カム本体41の周方向に延びるよう形成されている。駆動カム溝400は、駆動カム本体41の周方向において一方の端面からの深さが変化するよう形成されている。駆動カム溝400は、例えば駆動カム本体41の周方向に等間隔で3つ形成されている。
駆動カム40は、駆動カム本体41がハウジング内筒部121の外周壁とサンギヤ31のサンギヤ筒部312の内周壁との間に位置し、駆動カム板部43がプラネタリギヤ32に対しキャリア本体331とは反対側に位置するようハウジング内筒部121とハウジング外筒部123との間に設けられている。駆動カム40は、ハウジング12に対し相対回転可能である。
第2リングギヤ35は、第2リングギヤ歯部351が形成された端部とは反対側の端部の内周壁が駆動カム板部43の外縁部に嵌合するよう駆動カム40と一体に設けられている。第2リングギヤ35は、駆動カム40に対し相対回転不能である。すなわち、第2リングギヤ35は、「回転部」としての駆動カム40と一体回転可能に設けられている。そのため、電動モータ20からのトルクが、減速機30により減速され、第2リングギヤ35から出力されると、駆動カム40は、ハウジング12に対し相対回転する。すなわち、駆動カム40は、減速機30から出力されたトルクが入力されるとハウジング12に対し相対回転する。
従動カム50は、従動カム本体51、従動カム特定形状部52、従動カム板部53、カム側スプライン溝部54、従動カム溝500等を有している。従動カム本体51は、略円環の板状に形成されている。従動カム特定形状部52は、従動カム本体51の外縁部から、従動カム本体51の軸Ax2に対し傾斜して延びるよう形成されている。従動カム板部53は、従動カム特定形状部52の従動カム本体51とは反対側の端部から径方向外側へ延びるよう略円環の板状に形成されている。ここで、従動カム本体51と従動カム特定形状部52と従動カム板部53とは、例えば金属により一体に形成されている。
カム側スプライン溝部54は、従動カム本体51の内周壁において軸方向に延びるよう形成されている。カム側スプライン溝部54は、従動カム本体51の周方向に複数形成されている。
従動カム50は、従動カム本体51が駆動カム本体41に対しロータベアリング15とは反対側、かつ、駆動カム特定形状部42および駆動カム板部43の径方向内側に位置し、カム側スプライン溝部54がハウジング側スプライン溝部127とスプライン結合するよう設けられている。これにより、従動カム50は、ハウジング12に対し、相対回転不能、かつ、軸方向に相対移動可能である。
従動カム溝500は、従動カム本体51の駆動カム本体41側の面である一方の端面から他方の端面側へ凹みつつ、従動カム本体51の周方向に延びるよう形成されている。従動カム溝500は、従動カム本体51の周方向において一方の端面からの深さが変化するよう形成されている。従動カム溝500は、例えば従動カム本体51の周方向に等間隔で3つ形成されている。
なお、駆動カム溝400と従動カム溝500とは、それぞれ、駆動カム本体41の従動カム本体51側の面側、または、従動カム本体51の駆動カム本体41側の面側から見たとき、同一の形状となるよう形成されている。
カムボール3は、例えば金属により球状に形成されている。カムボール3は、3つの駆動カム溝400と3つの従動カム溝500との間のそれぞれにおいて転動可能に設けられている。すなわち、カムボール3は、合計3つ設けられている。
このように、駆動カム40と従動カム50とカムボール3とは、「転動体カム」としてのトルクカム2を構成している。駆動カム40がハウジング12および従動カム50に対し相対回転すると、カムボール3は、駆動カム溝400および従動カム溝500においてそれぞれの溝底に沿って転動する。
上述のように、駆動カム溝400および従動カム溝500は、駆動カム40または従動カム50の周方向において深さが変化するよう形成されている。そのため、減速機30から出力されるトルクにより駆動カム40がハウジング12および従動カム50に対し相対回転すると、カムボール3が駆動カム溝400および従動カム溝500において転動し、従動カム50は、駆動カム40およびハウジング12に対し軸方向に相対移動、すなわち、ストロークする。
このように、従動カム50は、駆動カム溝400との間にカムボール3を挟むようにして一方の端面に形成された複数の従動カム溝500を有し、駆動カム40およびカムボール3とともにトルクカム2を構成している。従動カム50は、駆動カム40がハウジング12に対し相対回転すると駆動カム40およびハウジング12に対し軸方向に相対移動する。ここで、従動カム50は、カム側スプライン溝部54がハウジング側スプライン溝部127とスプライン結合しているため、ハウジング12に対し相対回転しない。また、駆動カム40は、ハウジング12に対し相対回転するものの、軸方向には相対移動しない。
トルクカム2は、電動モータ20に対し軸方向の一方側に設けられ、電動モータ20からのトルクによる回転運動を、ハウジング12に対する軸方向の相対移動である並進運動に変換する。
本実施形態では、クラッチアクチュエータ10は、「付勢部材」としてのリターンスプリング55、リターンスプリングリテーナ56を備えている。リターンスプリング55は、例えばコイルスプリングであり、従動カム本体51の駆動カム本体41とは反対側において、ハウジング内筒部121の径方向外側に設けられている。リターンスプリング55は、一端が従動カム本体51の駆動カム本体41とは反対側の面に当接している。
リターンスプリングリテーナ56は、リテーナ内筒部561、リテーナ板部562、リテーナ外筒部563を有している。リテーナ内筒部561は、略円筒状に形成されている。リテーナ板部562は、リテーナ内筒部561の一方の端部から径方向外側に延びるよう環状の板状に形成されている。リテーナ外筒部563は、リテーナ板部562の外縁部からリテーナ内筒部561側へ延びるよう略円筒状に形成されている。リテーナ内筒部561とリテーナ板部562とリテーナ外筒部563とは、例えば金属により一体に形成されている。
リターンスプリングリテーナ56は、リテーナ内筒部561の内周壁がハウジング内筒部121の外周壁に嵌合するようハウジング内筒部121に固定されている。リターンスプリング55の他端は、リテーナ内筒部561とリテーナ外筒部563との間においてリテーナ板部562に当接している。
リターンスプリング55は、軸方向に伸びる力を有している。そのため、従動カム50は、駆動カム40との間にカムボール3を挟んだ状態で、リターンスプリング55により駆動カム本体41側へ付勢されている。
出力軸62は、軸部621、板部622、筒部623、摩擦板624を有している(図2参照)。軸部621は、略円筒状に形成されている。板部622は、軸部621の一端から径方向外側へ環状の板状に延びるよう軸部621と一体に形成されている。筒部623は、板部622の外縁部から軸部621とは反対側へ略円筒状に延びるよう板部622と一体に形成されている。摩擦板624は、略円環の板状に形成され、板部622の筒部623側の端面に設けられている。ここで、摩擦板624は、板部622に対し相対回転不能である。筒部623の内側には、クラッチ空間620が形成されている。
入力軸61の端部は、ハウジング内筒部121の内側を通り、従動カム50に対し駆動カム40とは反対側に位置している。出力軸62は、従動カム50に対し駆動カム40とは反対側において、入力軸61と同軸に設けられる。軸部621の内周壁と入力軸61の端部の外周壁との間には、ボールベアリング142が設けられる。これにより、出力軸62は、ボールベアリング142を介して入力軸61により軸受けされる。入力軸61および出力軸62は、ハウジング12に対し相対回転可能である。
クラッチ70は、クラッチ空間620において入力軸61と出力軸62との間に設けられている。クラッチ70は、内側摩擦板71、外側摩擦板72、係止部701を有している。内側摩擦板71は、略円環の板状に形成され、入力軸61と出力軸62の筒部623との間において、軸方向に並ぶよう複数設けられている。内側摩擦板71は、内縁部が入力軸61の外周壁とスプライン結合するよう設けられている。そのため、内側摩擦板71は、入力軸61に対し相対回転不能、かつ、軸方向に相対移動可能である。
外側摩擦板72は、略円環の板状に形成され、入力軸61と出力軸62の筒部623との間において、軸方向に並ぶよう複数設けられている。ここで、内側摩擦板71と外側摩擦板72とは、入力軸61の軸方向において交互に配置されている。外側摩擦板72は、外縁部が出力軸62の筒部623の内周壁とスプライン結合するよう設けられている。そのため、外側摩擦板72は、出力軸62に対し相対回転不能、かつ、軸方向に相対移動可能である。複数の外側摩擦板72のうち最も摩擦板624側に位置する外側摩擦板72は、摩擦板624に接触可能である。
係止部701は、略円環状に形成され、外縁部が出力軸62の筒部623の内周壁に嵌合するよう設けられる。係止部701は、複数の外側摩擦板72のうち最も従動カム50側に位置する外側摩擦板72の外縁部を係止可能である。そのため、複数の外側摩擦板72、複数の内側摩擦板71は、筒部623の内側からの脱落が抑制される。なお、係止部701と摩擦板624との距離は、複数の外側摩擦板72および複数の内側摩擦板71の板厚の合計よりも大きい。
複数の内側摩擦板71および複数の外側摩擦板72が互いに接触、つまり係合した状態である係合状態では、内側摩擦板71と外側摩擦板72との間に摩擦力が生じ、当該摩擦力の大きさに応じて内側摩擦板71と外側摩擦板72との相対回転が規制される。一方、複数の内側摩擦板71および複数の外側摩擦板72が互いに離間、つまり係合していない状態である非係合状態では、内側摩擦板71と外側摩擦板72との間に摩擦力は生じず、内側摩擦板71と外側摩擦板72との相対回転は規制されない。
クラッチ70が係合状態のとき、入力軸61に入力されたトルクは、クラッチ70を経由して出力軸62に伝達される。一方、クラッチ70が非係合状態のとき、入力軸61に入力されたトルクは、出力軸62に伝達されない。
このように、クラッチ70は、入力軸61と出力軸62との間でトルクを伝達する。クラッチ70は、係合している係合状態のとき、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達を許容し、係合していない非係合状態のとき、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達を遮断する。
本実施形態では、クラッチ装置1は、通常、非係合状態となる、所謂常開式(ノーマリーオープンタイプ)のクラッチ装置である。
状態変更部80は、「弾性変形部」としての皿ばね81、皿ばねリテーナ82、皿ばねスラストベアリング83を有している。皿ばねリテーナ82は、リテーナ筒部821、リテーナフランジ部822を有している。リテーナ筒部821は、略円筒状に形成されている。リテーナフランジ部822は、リテーナ筒部821の一端から径方向外側へ延びるよう環状の板状に形成されている。リテーナ筒部821とリテーナフランジ部822とは、例えば金属により一体に形成されている。皿ばねリテーナ82は、例えばリテーナ筒部821の他端が従動カム板部53の駆動カム40とは反対側の端面に接続するよう従動カム50に設けられている。ここで、リテーナ筒部821と従動カム板部53とは、例えば溶接により接続されている。
皿ばね81は、内縁部がリテーナ筒部821の径方向外側において、従動カム板部53とリテーナフランジ部822との間に位置するよう設けられている。皿ばねスラストベアリング83は、環状に形成され、リテーナ筒部821の径方向外側において、従動カム板部53と皿ばね81の内縁部との間に設けられている。
皿ばねリテーナ82は、リテーナフランジ部822が皿ばね81の軸方向の一端すなわち内縁部を係止可能なよう従動カム50に固定されている。そのため、皿ばね81および皿ばねスラストベアリング83は、リテーナフランジ部822により、皿ばねリテーナ82からの脱落が抑制されている。皿ばね81は、軸方向に弾性変形可能である。
図3は、状態変更部80を取り付けていない状態のクラッチアクチュエータ10を示す断面図である。
図1、2に示すように、カムボール3が、駆動カム本体41の一方の端面から駆動カム溝400の駆動カム本体41の軸方向すなわち深さ方向に最も離れた部位である最深部に対応する位置(原点)、および、従動カム本体51の一方の端面から従動カム溝500の従動カム本体51の軸方向すなわち深さ方向に最も離れた部位である最深部に対応する位置(原点)に位置するとき、駆動カム40と従動カム50との距離は、比較的小さく、皿ばね81の軸方向の他端すなわち外縁部とクラッチ70との間には、隙間Sp1が形成されている(図1参照)。そのため、クラッチ70は非係合状態であり、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達は遮断されている。
ここで、クラッチ70の状態を変更する通常作動時、ECU100の制御により電動モータ20のコイル22に電力が供給されると、電動モータ20が回転し、減速機30からトルクが出力され、駆動カム40がハウジング12に対し相対回転する。これにより、カムボール3が最深部に対応する位置から駆動カム溝400および従動カム溝500の周方向の一方側へ転動する。これにより、従動カム50は、リターンスプリング55を圧縮しながらハウジング12に対し軸方向に相対移動、すなわち、クラッチ70側へ移動する。これにより、皿ばね81は、クラッチ70側へ移動する。
従動カム50の軸方向の移動により皿ばね81がクラッチ70側へ移動すると、隙間Sp1が小さくなり、皿ばね81の軸方向の他端は、クラッチ70の外側摩擦板72に接触する。皿ばね81がクラッチ70に接触した後さらに従動カム50が軸方向に移動すると、皿ばね81は、軸方向に弾性変形しつつ、外側摩擦板72を摩擦板624側へ押す。これにより、複数の内側摩擦板71および複数の外側摩擦板72が互いに係合し、クラッチ70が係合状態となる。そのため、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達が許容される。
このとき、皿ばね81は、皿ばねスラストベアリング83に軸受けされながら従動カム50および皿ばねリテーナ82に対し相対回転する。このように、皿ばねスラストベアリング83は、皿ばね81からスラスト方向の荷重を受けつつ、皿ばね81を軸受けする。
ECU100は、クラッチ伝達トルクがクラッチ要求トルク容量に達すると、電動モータ20の回転を停止させる。これにより、クラッチ70は、クラッチ伝達トルクがクラッチ要求トルク容量に維持された係合保持状態となる。このように、状態変更部80の皿ばね81は、従動カム50から軸方向の力を受け、ハウジング12および駆動カム40に対する従動カム50の軸方向の相対位置に応じてクラッチ70の状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。
また、トルクカム2は、電動モータ20からのトルクによる回転運動を、ハウジング12に対する軸方向の相対移動である並進運動に変換し、クラッチ70の状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。
出力軸62は、軸部621の板部622とは反対側の端部が、図示しない変速機の入力軸に接続され、当該入力軸とともに回転可能である。つまり、変速機の入力軸には、出力軸62から出力されたトルクが入力される。変速機に入力されたトルクは、変速機で変速され、駆動トルクとして車両の駆動輪に出力される。これにより、車両が走行する。
本実施形態では、クラッチ装置1は、オイル供給部5を備えている(図1、2参照)。オイル供給部5は、一端がクラッチ空間620に露出するよう、出力軸62において通路状に形成されている。オイル供給部5の他端は、図示しないオイル供給源に接続される。これにより、オイル供給部5の一端からクラッチ空間620のクラッチ70にオイルが供給される。当該オイルは、例えば変速機オイル等の潤滑油である。
ECU100は、オイル供給部5からクラッチ70に供給するオイルの量を制御する。クラッチ70に供給されたオイルは、クラッチ70を潤滑および冷却可能である。このように、本実施形態では、クラッチ70は、湿式クラッチであり、オイルにより冷却され得る。
本実施形態では、「回転並進部」としてのトルクカム2は、「回転部」としての駆動カム40および第2リングギヤ35とハウジング12との間に収容空間120を形成している。ここで、収容空間120は、駆動カム40および第2リングギヤ35に対しクラッチ70とは反対側においてハウジング12の内側に形成されている。電動モータ20および減速機30は、収容空間120に設けられている。クラッチ70は、駆動カム40に対し収容空間120とは反対側に位置するクラッチ空間620に設けられている。
スラストベアリング16は、駆動カム本体41とハウジング段差面125との間に設けられ、駆動カム40からスラスト方向すなわち軸方向の荷重を受けつつ駆動カム40を軸受けする。本実施形態では、クラッチ70側からの軸方向の荷重は、皿ばね81、皿ばねスラストベアリング83、従動カム50、カムボール3、駆動カム40を経由してスラストベアリング16に作用する。
本実施形態では、クラッチアクチュエータ10は、「カムシール部材」としての内側シール部材191、外側シール部材192を備えている。内側シール部材191は、例えばゴム等の弾性材料により環状に形成されたオイルシールである。外側シール部材192は、例えばゴム等の弾性材料および金属環等により環状に形成されたオイルシールである。
内側シール部材191は、ハウジング内筒部121に形成されたシール溝部124に設けられている。内側シール部材191は、外縁部が駆動カム本体41の内周壁と摺動可能なようシール溝部124に設けられている。
外側シール部材192は、第2リングギヤ35に対し第1リングギヤ34とは反対側において、ハウジング外筒部123と駆動カム外筒部44との間に設けられている。外側シール部材192は、内縁部のシールリップ部が駆動カム外筒部44の外周壁と摺動可能なようハウジング外筒部123に設けられている。
ここで、外側シール部材192は、内側シール部材191の軸方向から見たとき、内側シール部材191の径方向外側に位置するよう設けられている(図1、2参照)。
上述のように、駆動カム本体41の内周壁は、内側シール部材191と摺動可能である。すなわち、内側シール部材191は、「回転部」としての駆動カム40に接触するよう設けられている。内側シール部材191は、駆動カム本体41とハウジング内筒部121との間を気密または液密にシールしている。
駆動カム外筒部44の外周壁は、外側シール部材192の内縁部であるシールリップ部と摺動可能である。すなわち、外側シール部材192は、「回転部」としての駆動カム40に接触するよう設けられている。外側シール部材192は、駆動カム外筒部44の外周壁とハウジング外筒部123の内周壁との間を気密または液密にシールしている。
上述のように設けられた内側シール部材191、および、外側シール部材192により、電動モータ20および減速機30を収容する収容空間120を気密または液密に保持可能であり、収容空間120と、クラッチ70が設けられたクラッチ空間620との間を気密または液密に保持可能である。これにより、例えばクラッチ70において摩耗粉等の異物が発生したとしても、当該異物がクラッチ空間620から収容空間120へ侵入するのを抑制できる。そのため、異物による電動モータ20または減速機30の作動不良を抑制できる。
以下、本実施形態の各部の構成について、より詳細に説明する。
<1>ハウジング12は、駆動カム溝400または従動カム溝500に潤滑油を供給可能な潤滑油供給穴部911を有する。
より詳細には、図3に示すように、潤滑油供給穴部911は、ハウジング内筒部121の内周壁と外周壁とを接続するよう形成されている。潤滑油供給穴部911は、ハウジング内筒部121の軸方向において、中心軸が駆動カム本体41の一方の端面に対し従動カム本体51側に位置するよう形成されている。
本実施形態では、入力軸61は、筒状に形成されている。入力軸61には、伝達部側潤滑油供給穴部611が形成されている。伝達部側潤滑油供給穴部611は、入力軸61の内周壁と外周壁とを接続するよう形成されている。伝達部側潤滑油供給穴部611は、入力軸61の軸方向において、潤滑油供給穴部911に対応する位置に形成されている。ここで、入力軸61の軸方向において、潤滑油供給穴部911の中心軸の位置と伝達部側潤滑油供給穴部611の中心軸の位置とは略同じである。
本実施形態では、入力軸61の内側に、例えば変速機オイル等の潤滑油が供給される。入力軸61の内側に供給された潤滑油は、伝達部側潤滑油供給穴部611を経由して入力軸61の外側へ流れる。入力軸61の外側へ流れた潤滑油は、潤滑油供給穴部911を経由して駆動カム本体41と従動カム本体51との間の隙間に供給される(図3参照)。これにより、駆動カム本体41の一方の端面に形成された駆動カム溝400、従動カム本体51の一方の端面に形成された従動カム溝500、カムボール3が、潤滑油により潤滑される。
次に、駆動カム溝400、従動カム溝500のより詳細な構成について説明する。
<3>図4、7に示すように、駆動カム溝400は、第1駆動カム溝401、第2駆動カム溝402を有している。第1駆動カム溝401は、駆動カム40の駆動カム本体41の周方向の特定の位置である駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の一方側へ延び、駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう駆動カム本体41の一方の端面411に対し溝底403が傾斜して形成されている。
第2駆動カム溝402は、駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の他方側へ延び、駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の他方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう駆動カム本体41の一方の端面411に対し溝底403が傾斜して形成され、駆動カム本体41の一方の端面411に対する溝底403の傾斜角が第1駆動カム溝401の溝底403の傾斜角より大きい。なお、駆動カム本体41の周方向において、駆動カム特定位置PSd1と駆動カム溝400の最深部とは一致している。
図5、7に示すように、従動カム溝500は、第1従動カム溝501、第2従動カム溝502を有している。第1従動カム溝501は、従動カム50の従動カム本体51の周方向の特定の位置である従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の一方側へ延び、従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう従動カム本体51の一方の端面511に対し溝底503が傾斜して形成されている。
第2従動カム溝502は、従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の他方側へ延び、従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の他方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう従動カム本体51の一方の端面511に対し溝底503が傾斜して形成され、従動カム本体51の一方の端面511に対する溝底503の傾斜角が第1従動カム溝501の溝底503の傾斜角より大きい。なお、従動カム本体51の周方向において、従動カム特定位置PSv1と従動カム溝500の最深部とは一致している。また、第1駆動カム溝401の溝底403の傾斜角と第1従動カム溝501の溝底503の傾斜角とは同じである。さらに、第2駆動カム溝402の溝底403の傾斜角と第2従動カム溝502の溝底503の傾斜角とは同じである。
図7は、クラッチアクチュエータ10の作動開始前等、電動モータ20に電力が供給されていないとき、すなわち初期位置のときのトルクカム2の状態を示している。このとき、カムボール3は、駆動カム溝400および従動カム溝500の最深部、すなわち、駆動カム特定位置PSd1および従動カム特定位置PSv1に位置している。そのため、このとき、駆動カム40と従動カム50との距離は最小(L1)の状態である。
クラッチ70の状態を変更する通常作動時、電動モータ20に電力が供給され、電動モータ20が回転すると、減速機30からトルクが出力され、駆動カム40がハウジング12に対し、駆動カム本体41の周方向の他方側へ相対回転する。これにより、カムボール3は、第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501を転動する。駆動カム40はハウジング12に対し相対回転可能であるものの、従動カム50はハウジング12に対し相対回転不能のため、カムボール3が第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501を転動すると、従動カム50が駆動カム40から離れる方向、すなわち、軸方向に移動する。これにより、クラッチ70が係合状態になる。
クラッチ70の状態を係合状態から非係合状態に変更するとき、駆動カム40は、ハウジング12に対し駆動カム本体41の周方向の一方側へ相対回転する。これにより、カムボール3は、第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501を駆動カム特定位置PSd1および従動カム特定位置PSv1に向かって転動する。カムボール3が駆動カム特定位置PSd1および従動カム特定位置PSv1に達すると、カムボール3は駆動カム特定位置PSd1および従動カム特定位置PSv1を乗り越え、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502を転動し、駆動カム特定位置PSd1および従動カム特定位置PSv1に戻る。これにより、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502が形成されていない場合と比べ、カムボール3が初期位置に戻ったときに生じ得る衝撃を緩和できる。
図6は、カムボール3が駆動カム特定位置PSd1および従動カム特定位置PSv1に位置しているときの状態、すなわち、駆動カム40と従動カム50との距離が最小の状態を示している。
<3>本実施形態では、潤滑油供給穴部911は、駆動カム40と従動カム50との距離が最小の状態において、ハウジング12の周方向における第1駆動カム溝401の駆動カム特定位置PSd1、および、第1従動カム溝501の従動カム特定位置PSv1に対応する位置に設けられている(図6、7参照)。
より詳細には、駆動カム40と従動カム50との距離が最小の状態のとき、潤滑油供給穴部911の中心軸は、駆動カム特定位置PSd1および従動カム特定位置PSv1を通る。なお、このとき、ハウジング12の周方向において駆動カム特定位置PSd1と従動カム特定位置PSv1との位置が一致していない場合は、潤滑油供給穴部911の中心軸は、駆動カム特定位置PSd1と従動カム特定位置PSv1との間を通る。
<2>潤滑油供給穴部911は、複数の駆動カム溝400毎または複数の従動カム溝500毎に設けられている。
本実施形態では、潤滑油供給穴部911は、3つの駆動カム溝400毎に、計3つ設けられている(図6参照)。
以上説明したように、<1>本実施形態では、ハウジング12は、駆動カム溝400または従動カム溝500に潤滑油を供給可能な潤滑油供給穴部911を有する。
そのため、クラッチアクチュエータ10の作動中、駆動カム溝400または従動カム溝500に潤滑油を継続的に供給できる。したがって、トルクカム2の駆動カム溝400、従動カム溝500、カムボール3の焼き付きを継続的に抑制可能である。
また、<2>本実施形態では、潤滑油供給穴部911は、複数の駆動カム溝400毎または複数の従動カム溝500毎に設けられている。
そのため、トルクカム2の駆動カム溝400、従動カム溝500、カムボール3の焼き付きをより一層効果的に抑制可能である。
また、<3>本実施形態では、駆動カム溝400は、第1駆動カム溝401を有している。第1駆動カム溝401は、駆動カム本体41の周方向の特定の位置である駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の一方側へ延び、駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう駆動カム本体41の一方の端面411に対し溝底403が傾斜して形成されている。
従動カム溝500は、第1従動カム溝501を有している。第1従動カム溝501は、従動カム本体51の周方向の特定の位置である従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の一方側へ延び、従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう従動カム本体51の一方の端面511に対し溝底503が傾斜して形成されている。
潤滑油供給穴部911は、駆動カム40と従動カム50との距離が最小の状態において、ハウジング12の周方向における第1駆動カム溝401の駆動カム特定位置PSd1、および、第1従動カム溝501の従動カム特定位置PSv1に対応する位置に設けられている。
そのため、クラッチアクチュエータ10が初期位置の状態、すなわち、クラッチ70が解放状態となる非係合状態で長時間維持された後に係合作動を開始する際においても、駆動カム溝400、従動カム溝500、カムボール3間の良好な潤滑が期待できる。
(第2実施形態)
第2実施形態によるクラッチアクチュエータの一部を図8、9に示す。第2実施形態は、潤滑油供給穴部の形成される位置が第1実施形態と異なる。
図9は、クラッチ70が係合状態のときのトルクカム2の状態を示している。このとき、カムボール3は、第1駆動カム溝401の駆動カム特定位置PSd1とは反対側の端部、および、第1従動カム溝501の従動カム特定位置PSv1とは反対側の端部に位置している。そのため、このとき、駆動カム40と従動カム50との距離は最大(L2)の状態である。
<4>本実施形態では、ハウジング12は、潤滑油供給穴部912を有している。潤滑油供給穴部912は、駆動カム40と従動カム50との距離が最大の状態において、ハウジング12の周方向における第1駆動カム溝401の駆動カム特定位置PSd1とは反対側の端部、および、第1従動カム溝501の従動カム特定位置PSv1とは反対側の端部に対応する位置に設けられている(図8、9参照)。
そのため、クラッチ70が係合状態で長時間維持された後に解放作動を開始する際においても、駆動カム溝400、従動カム溝500、カムボール3間の良好な潤滑が期待できる。
(第3実施形態)
第3実施形態によるクラッチアクチュエータの一部を図10に示す。第3実施形態は、潤滑油供給穴部がさらに追加されている点で、第1実施形態と異なる。
<5>本実施形態では、ハウジング12は、潤滑油供給穴部911、潤滑油供給穴部912を有している。
潤滑油供給穴部911は、駆動カム40と従動カム50との距離が最小の状態において、ハウジング12の周方向における第1駆動カム溝401の駆動カム特定位置PSd1、および、第1従動カム溝501の従動カム特定位置PSv1に対応する位置に設けられている(図10参照)。
潤滑油供給穴部912は、駆動カム40と従動カム50との距離が最大の状態において、ハウジング12の周方向における第1駆動カム溝401の駆動カム特定位置PSd1とは反対側の端部、および、第1従動カム溝501の従動カム特定位置PSv1とは反対側の端部に対応する位置に設けられている。
このように、本実施形態は、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせ、ハウジング12に3つの潤滑油供給穴部911および3つの潤滑油供給穴部912を設けた構成ということもできる。
そのため、クラッチアクチュエータ10が初期位置の状態、すなわち、クラッチ70が解放状態となる非係合状態で長時間維持された後に係合作動を開始する際、ならびに、クラッチ70が係合状態で長時間維持された後に解放作動を開始する際においても、駆動カム溝400、従動カム溝500、カムボール3間の良好な潤滑が期待できる。
(第4実施形態)
第4実施形態によるクラッチアクチュエータの一部を図11に示す。第4実施形態は、潤滑油供給穴部がさらに追加されている点で、第2実施形態と異なる。
図11は、クラッチ70が係合状態のときのクラッチアクチュエータ10の状態を示している。このとき、カムボール3は、第1駆動カム溝401の駆動カム特定位置PSd1とは反対側の端部、および、第1従動カム溝501の従動カム特定位置PSv1とは反対側の端部に位置している。そのため、このとき、駆動カム40と従動カム50との距離は最大の状態である。
本実施形態では、ハウジング12は、潤滑油供給穴部912に加え、潤滑油供給穴部922を有している。
<6>潤滑油供給穴部912は、駆動カム40と従動カム50との距離が最小の状態において、ハウジング12の軸方向における駆動カム本体41の一方の端面に対応する位置に設けられている。
より詳細には、駆動カム40と従動カム50との距離が最小の状態において、潤滑油供給穴部912は、ハウジング内筒部121の軸方向において、中心軸が駆動カム本体41の一方の端面に対し従動カム本体51側に位置するよう形成されている。
潤滑油供給穴部922は、駆動カム40と従動カム50との距離が最大の状態において、ハウジング12の軸方向における従動カム本体51の一方の端面に対応する位置に設けられている。
より詳細には、駆動カム40と従動カム50との距離が最大の状態において、潤滑油供給穴部922は、ハウジング内筒部121の軸方向において、中心軸が従動カム本体51の一方の端面に対し駆動カム本体41側に位置するよう形成されている(図11参照)。
本実施形態では、入力軸61には、伝達部側潤滑油供給穴部611に加えて伝達部側潤滑油供給穴部612が形成されている。
伝達部側潤滑油供給穴部611は、入力軸61の軸方向において、潤滑油供給穴部912に対応する位置に形成されている。ここで、入力軸61の軸方向において、潤滑油供給穴部912の中心軸の位置と伝達部側潤滑油供給穴部611の中心軸の位置とは略同じである。
伝達部側潤滑油供給穴部612は、入力軸61の軸方向において、潤滑油供給穴部922に対応する位置に形成されている。ここで、入力軸61の軸方向において、潤滑油供給穴部922の中心軸の位置と伝達部側潤滑油供給穴部612の中心軸の位置とは略同じである。
以上説明したように、<6>本実施形態では、潤滑油供給穴部912、922は、駆動カム40と従動カム50との距離が最小または最大の状態において、ハウジング12の軸方向における駆動カム本体41の一方の端面、および、従動カム本体51の一方の端面に対応する位置に設けられている。
そのため、従動カム50が軸方向に変位し、クラッチ70の状態が長時間非係合状態または係合状態に維持された後に係合作動または解放作動を開始する際においても、駆動カム溝400、従動カム溝500、カムボール3間の良好な潤滑が期待できる。
(第5実施形態)
第5実施形態によるクラッチアクチュエータの一部を図12に示す。第5実施形態は、駆動カム40の構成が第1実施形態と異なる。
<7>本実施形態では、駆動カム40は、傾斜面421、傾斜面431、傾斜面441を有している。
傾斜面421は、駆動カム特定形状部42の従動カム特定形状部52側に形成されている。傾斜面431は、駆動カム板部43の従動カム板部53側に形成されている。傾斜面441は、駆動カム外筒部44の内周壁に形成されている。
傾斜面421、傾斜面431、傾斜面441は、駆動カム本体41の軸Ax1に対し傾斜するよう形成されている。
ここで、駆動カム特定形状部42、駆動カム板部43、駆動カム外筒部44は、駆動カム本体41の径方向外側に設けられた「駆動カム延伸部」に対応する。
以上説明したように、<7>本実施形態では、「駆動カム延伸部」は、駆動カム本体41の軸Ax1に対し傾斜する傾斜面421、傾斜面431、傾斜面441を有する。
そのため、トルクカム2のクラッチ70側の面に付着した潤滑油を、傾斜面441、傾斜面431、傾斜面421を経由して、駆動カム本体41の径方向外側からも、駆動カム溝400および従動カム溝500に供給することができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、潤滑油供給穴部が、複数の駆動カム溝毎または複数の従動カム溝毎に設けられる例を示した。これに対し、他の実施形態では、潤滑油供給穴部は、複数の駆動カム溝毎または複数の従動カム溝毎に設けられていなくてもよい。
また、上述の実施形態では、潤滑油供給穴部が、ハウジングの周方向における第1駆動カム溝の駆動カム特定位置、および、第1従動カム溝の従動カム特定位置に対応する位置、または、ハウジングの周方向における第1駆動カム溝の駆動カム特定位置とは反対側の端部、および、第1従動カム溝の従動カム特定位置とは反対側の端部に対応する位置に設けられる例を示した。これに対し他の実施形態では、潤滑油供給穴部は、ハウジングの周方向における第1駆動カム溝の駆動カム特定位置、および、第1従動カム溝の従動カム特定位置に対応する位置、または、ハウジングの周方向における第1駆動カム溝の駆動カム特定位置とは反対側の端部、および、第1従動カム溝の従動カム特定位置とは反対側の端部に対応する位置に設けられていなくてもよい。つまり、潤滑油供給穴部は、ハウジングの周方向における任意の位置に設けることができる。
また、他の実施形態では、構成上の阻害要因がない限り、上述の実施形態を組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態と第4実施形態とを組み合わせるといった具合である。
また、上述の実施形態では、駆動カム溝400が第1駆動カム溝401および第2駆動カム溝402を有し、従動カム溝500が第1従動カム溝501および第2従動カム溝502を有する例を示した。これに対し、他の実施形態では、駆動カム溝400は、第2駆動カム溝402を有していなくてもよい。また、従動カム溝500は、第2従動カム溝502を有していなくてもよい。
また、他の実施形態では、減速機は、不思議遊星歯車以外の遊星歯車を用いた減速機、または、その他の減速機であってもよい。また、減速機を備えず、電動モータのトルクが転動体カムに直接入力される構成でもよい。
また、他の実施形態では、駆動カム溝および従動カム溝は、それぞれ、3つ以上であれば、いくつ形成されていてもよい。また、転動体も、駆動カム溝および従動カム溝の数に合わせ、いくつ設けられていてもよい。
また、本発明は、内燃機関からの駆動トルクによって走行する車両に限らず、モータからの駆動トルクによって走行可能な電気自動車やハイブリッド車等に適用することもできる。
また、他の実施形態では、「第2伝達部」からトルクを入力し、「クラッチ」を経由して「第1伝達部」からトルクを出力することとしてもよい。また、例えば、「第1伝達部」または「第2伝達部」の一方を回転不能に固定した場合、「クラッチ」を係合状態にすることにより、「第1伝達部」または「第2伝達部」の他方の回転を止めることができる。この場合、クラッチ装置をブレーキ装置として用いることができる。
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
1 クラッチ装置、2 トルクカム(転動体カム)、3 カムボール(転動体)、10 クラッチアクチュエータ、12 ハウジング、20 電動モータ、40 駆動カム、41 駆動カム本体、50 従動カム、51 従動カム本体、400 駆動カム溝、500 従動カム溝、61 入力軸(第1伝達部)、62 出力軸(第2伝達部)、70 クラッチ、911、912、922 潤滑油供給穴部

Claims (7)

  1. 相対回転可能な第1伝達部(61)と第2伝達部(62)との間において、前記第1伝達部と前記第2伝達部との間のトルクの伝達を許容する係合状態と、前記第1伝達部と前記第2伝達部との間のトルクの伝達を遮断する非係合状態とに状態が変化するクラッチ(70)を備えるクラッチ装置(1)に用いられるクラッチアクチュエータであって、
    ハウジング(12)と、
    前記ハウジングに設けられ、通電によりトルクを出力可能な電動モータ(20)と、
    駆動カム本体(41)および前記駆動カム本体の一方の端面(411)に形成された複数の駆動カム溝(400)を有し前記電動モータからのトルクが入力されると前記ハウジングに対し相対回転する駆動カム(40)、従動カム本体(51)および前記従動カム本体の一方の端面(511)に形成された複数の従動カム溝(500)を有し前記駆動カムが前記ハウジングに対し相対回転すると前記ハウジングに対し軸方向に相対移動する従動カム(50)、および、前記駆動カム溝と前記従動カム溝との間で転動可能に設けられた転動体(3)を有し、前記クラッチの状態を係合状態または非係合状態に変更可能な転動体カム(2)と、を備え、
    前記ハウジングは、前記駆動カム溝または前記従動カム溝に潤滑油を供給可能な潤滑油供給穴部(911、912、922)を有するクラッチアクチュエータ。
  2. 前記潤滑油供給穴部は、複数の前記駆動カム溝毎または複数の前記従動カム溝毎に設けられている請求項1に記載のクラッチアクチュエータ。
  3. 前記駆動カム溝は、
    前記駆動カム本体の周方向の特定の位置である駆動カム特定位置(PSd1)から前記駆動カム本体の周方向の一方側へ延び、前記駆動カム特定位置から前記駆動カム本体の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう前記駆動カム本体の一方の端面に対し溝底(403)が傾斜して形成された第1駆動カム溝(401)を有し、
    前記従動カム溝は、
    前記従動カム本体の周方向の特定の位置である従動カム特定位置(PSv1)から前記従動カム本体の周方向の一方側へ延び、前記従動カム特定位置から前記従動カム本体の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう前記従動カム本体の一方の端面に対し溝底(503)が傾斜して形成された第1従動カム溝(501)を有し、
    前記潤滑油供給穴部(911)は、前記駆動カムと前記従動カムとの距離が最小の状態において、前記ハウジングの周方向における前記第1駆動カム溝の前記駆動カム特定位置、および、前記第1従動カム溝の前記従動カム特定位置に対応する位置に設けられている請求項1または2に記載のクラッチアクチュエータ。
  4. 前記駆動カム溝は、
    前記駆動カム本体の周方向の特定の位置である駆動カム特定位置(PSd1)から前記駆動カム本体の周方向の一方側へ延び、前記駆動カム特定位置から前記駆動カム本体の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう前記駆動カム本体の一方の端面に対し溝底(403)が傾斜して形成された第1駆動カム溝(401)を有し、
    前記従動カム溝は、
    前記従動カム本体の周方向の特定の位置である従動カム特定位置(PSv1)から前記従動カム本体の周方向の一方側へ延び、前記従動カム特定位置から前記従動カム本体の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう前記従動カム本体の一方の端面に対し溝底(503)が傾斜して形成された第1従動カム溝(501)を有し、
    前記潤滑油供給穴部(912)は、前記駆動カムと前記従動カムとの距離が最大の状態において、前記ハウジングの周方向における前記第1駆動カム溝の前記駆動カム特定位置とは反対側の端部、および、前記第1従動カム溝の前記従動カム特定位置とは反対側の端部に対応する位置に設けられている請求項1または2に記載のクラッチアクチュエータ。
  5. 前記駆動カム溝は、
    前記駆動カム本体の周方向の特定の位置である駆動カム特定位置(PSd1)から前記駆動カム本体の周方向の一方側へ延び、前記駆動カム特定位置から前記駆動カム本体の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう前記駆動カム本体の一方の端面に対し溝底(403)が傾斜して形成された第1駆動カム溝(401)を有し、
    前記従動カム溝は、
    前記従動カム本体の周方向の特定の位置である従動カム特定位置(PSv1)から前記従動カム本体の周方向の一方側へ延び、前記従動カム特定位置から前記従動カム本体の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう前記従動カム本体の一方の端面に対し溝底(503)が傾斜して形成された第1従動カム溝(501)を有し、
    前記潤滑油供給穴部(911、912)は、
    前記駆動カムと前記従動カムとの距離が最小の状態において、前記ハウジングの周方向における前記第1駆動カム溝の前記駆動カム特定位置、および、前記第1従動カム溝の前記従動カム特定位置に対応する位置、ならびに、
    前記駆動カムと前記従動カムとの距離が最大の状態において、前記ハウジングの周方向における前記第1駆動カム溝の前記駆動カム特定位置とは反対側の端部、および、前記第1従動カム溝の前記従動カム特定位置とは反対側の端部に対応する位置に設けられている請求項1または2に記載のクラッチアクチュエータ。
  6. 前記潤滑油供給穴部(912、922)は、前記駆動カムと前記従動カムとの距離が最小または最大の状態において、前記ハウジングの軸方向における前記駆動カム本体の一方の端面、および、前記従動カム本体の一方の端面の少なくとも一方に対応する位置に設けられている請求項1~5のいずれか一項に記載のクラッチアクチュエータ。
  7. 前記駆動カムは、前記駆動カム本体の径方向外側に設けられた駆動カム延伸部(42、43、44)を有し、
    前記駆動カム延伸部は、前記駆動カム本体の軸(Ax1)に対し傾斜する傾斜面(421、431、441)を有する請求項1~6のいずれか一項に記載のクラッチアクチュエータ。
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