JP2023110869A - 塩素含有ポリエーテルポリオール組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械物性及び熱安定性、成形性、難燃性に優れたポリウレタンを製造する原料となる、塩素含有ポリエーテルポリオールを提供する。【解決手段】分子量が400~5000の塩素含有ポリエーテルポリオール100重量部に対して、エポキシ化合物が0.5~20重量部含有することを特徴とする塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。【選択図】 なし

Description

本開示は、機械物性及び難燃性に優れるポリウレタンの原料となる、熱安定性及び成形性良好な塩素含有ポリエーテルポリオールに関する。
ポリウレタンは、ポリオールとイソシアネート化合物とを混合させることにより製造されている。
従来、ポリウレタンフォームを難燃化するためには、難燃剤が添加使用されてきた。難燃剤としては、リン酸エステルモノマーに代表される常温で液状の難燃剤が主に使用されてきた。
一般に常温で液状のリン酸エステルモノマーをポリウレタンフォームの難燃剤として使用した場合、可塑化作用があるため、難燃剤の使用量の増大に伴い、ポリウレタンの成形性の低下を引き起こしやすいという問題があった。
上記問題を解決するため、3,4-ジクロロ-1,2-エポキシブタンを開環重合して得られる塩素化ポリエーテルポリオールを用いる方法が提案されている(特許文献1)。
特開平2-202573号公報
しかしながら、このような塩素化ポリエーテルポリオールは、熱に不安定な塩素基が含まれるため、熱安定性が不十分であった。また、ポリウレタンの原料として用いる際、熱分解により発生した塩酸がポリウレタン化触媒の活性を下げるため、成形性に課題があり、生成したポリウレタンは機械物性に劣るものであった。
本発明の各態様は以下に示す[1]~[6]である。
[1]
分子量が400~5000の塩素含有ポリエーテルポリオール100重量部に対して、エポキシ化合物を0.5~20重量部含有する、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。
[2]
塩素含有ポリエーテルポリオールが下記式(1)に示される化合物である、[1]に記載の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。
(上記式(1)中、Rは分子量が100以上2500以下のヒドロキシ化合物残基を表し、nは1以上25未満の整数、mは2又は3を表す。)
[3]
エポキシ化合物が、エポキシ当量100~1,000の液状エポキシ化合物である、[1]または[2]に記載の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。
[4]
さらにアルミニウム化合物を1~100ppm含有する、[1]乃至[3]のいずれかに記載の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。
[5]
アルミニウム化合物が水酸化アルミニウムである、[4]に記載の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。
[6]
[1]乃至[5]のいずれかに記載の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物とイソシアネート化合物との反応生成物である、ポリウレタン。
本発明の一態様である塩素含有ポリエーテルポリオール組成物は、機械物性及び熱安定性、成形性、難燃性に優れるポリウレタンの原料となる。
以下に本発明を実施するための例示的な態様を詳細に説明する。
<塩素含有ポリエーテルポリオール組成物>
本発明の一態様にかかる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物は、分子量が400~5000の塩素含有ポリエーテルポリオール100重量部に対して、エポキシ化合物を0.5~20重量部含有するものである。
<塩素含有ポリエーテルポリオール>
本発明の一態様にかかる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物に含まれる塩素含有ポリエーテルポリオールは、分子量が400~5,000であり、好ましくは400~3000である。分子量が400未満であると、十分な機械物性向上効果が発現せず5000を超えると粘度が高くなるため取り扱いが悪化するとともに、エポキシ化合物との相溶性が悪くなり塩素含有ポリエーテルポリオール組成物とした際に白濁する。
塩素含有ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、上記式(1)で示された構造が挙げられる。
上記式(1)中、Rは分子量が100以上2500以下のヒドロキシ化合物残基を表す。Rで表されるヒドロキシ化合物残基としては、特に限定されるものではないが例えば、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、2-ナフトール、ビスフェノール、水酸基を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等の残基が挙げられる。
これらのヒドロキシ化合物残基のうち、塩素含有ポリエーテルポリオールを効率よく製造することが可能となることから、トリプロピレングリコール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、分子量200以上1,000以下のポリエーテルポリオール、分子量500以上1,000以下のポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオールの残基が好ましく、トリプロピレングリコール、分子量が200以上1,000以下のポリエーテルポリオール、分子量500以上1,000以下のポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオールの残基が特に好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、プロピレンオキシド‐エチレンオキシド共重合体が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、特に限定されないが、芳香族系又は/及び脂肪族系多塩基酸、酸無水物又はメチルエステルと、2又は3個のヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)とを公知の方法によってエステル化反応させることにより製造されたもの、又は、2又は3個のヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)を開始剤としてε―カプロラクトンを開環重合することにより製造されたものが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されないが、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル‐1,5-ペンタンジオールなどのアルカンジオールと、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネートなどの炭酸時エステルを原料とし、公知の方法によって反応させることにより製造されたものが挙げられる。
塩素含有ポリエーテルポリオールの不飽和度は0.02meq/g以下であることが好ましく、得られるポリウレタンのヒステリシスロス、圧縮残留歪率等の物性が向上するため、0.01meq/g以下が特に好ましい。
塩素含有ポリエーテルポリオールのMw/Mnは、ポリウレタン樹脂とする際の成形性が向上するため、2.00以下が好ましく、1.80以下であることがより好ましい(ただし、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミテーションクロマトグラフィー測定から求めた数平均分子量をMn、重量平均分子量をMwとする)。
塩素含有ポリエーテルにおける末端水酸基の1級化率は、特に限定しないが、反応性のバラツキが小さく、均一に反応し、得られるポリウレタンの分子量分布や組成が均一になりやすいため、10%未満であることが好ましい。
塩素含有ポリエーテルポリオール1分子あたりに含有するヒドロキシ基の数(官能基数)は、特に限定されないが、機械物性良好なポリウレタンとなることから2~8個であることが好ましく、2~3個であることが特に好ましい。
塩素含有ポリエーテルポリオールの製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の製造方法で製造することができる。例えば、2官能以上のヒドロキシ化合物にルイス酸触媒または複合金属シアン化物錯体触媒を用いて所定の分子量まで塩素含有アルキレンオキシドを付加する方法や、2官能以上のヒドロキシ化合物と、ホスファゼニウム塩又はアンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩触媒と、ルイス酸触媒の存在下に、塩素含有アルキレンオキシドの開環重合を行う方法が挙げられる。
塩素含有アルキレンオキシドとしては、例えば、エピクロロヒドリンを挙げることができる。
塩素含有ポリエーテルポリオールを製造する際の重合温度としては、特に限定されるものではないが、ポリアルキレンオキシドが分解して分子量分布が広がりにくく触媒活性を発現しやすいため、150℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは70~110℃の範囲である。
塩素含有ポリエーテルポリオールの製造方法において、重合反応は無溶媒で行うことが好ましいが、溶媒中で行うこともできる。使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。
<エポキシ化合物>
本発明の一態様にかかる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物に含まれるエポキシ化合物としては、特に限定されないが、例えば、アマニ油、大豆油、ヤシ油、サフラワー油、サンフラワー油、綿実油、ヒマワリ油等をエポキシ化したエポキシ化植物油;エポキシ化ステアリン酸オクチルに代表されるエポキシ化脂肪酸モノエステル;不飽和脂肪酸のグリコールエステルをエポキシ化して得られるエポキシ化脂肪酸ジエステル;エポキシ化ヘキサヒドロフタル酸エステルに代表される脂環系エポキシド;エポキシ化ポリブタジエンに代表されるエポキシ化不飽和炭化水素;ビスフェノールAジグリシジルエーテルに代表されるエポキシ樹脂;等が挙げられる。これらの中でも、汎用性や取り扱い性が良好であることから、特にエポキシ化植物油脂やビスフェノールAジグリシジルエーテルであることが好ましい。
エポキシ化合物は、特に限定されないが、塩素含有ポリエーテルポリオールの熱分解により発生する塩化水素の捕捉による安定化作用が効率よく進行し、取り扱い性良好であることから液状エポキシ化合物であることが好ましい。
エポキシ化合物のエポキシ当量は、特に限定されないが、効率よく熱安定性が付与できることから、100~1000g/eqであることが好ましく、150~800g/eqであることが特に好ましい。
エポキシ化合物の配合量は、塩素含有ポリエーテルポリオール100重量部に対して0.5~20重量部であり、塩素含有ポリエーテルポリオールと組み合わせることでより良好な難燃性を発現することから0.5~15重量部であることが好ましく、0.5~10重量部であることが特に好ましい。配合量が少なすぎると十分な熱安定性、難燃性が得られず、多すぎるとポリウレタン製造時の成形性が損なわれるなどの問題点がある。
<アルミニウム化合物>
本発明の一態様にかかる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物は、アルミニウム化合物を含有してもよい。アルミニウム化合物としては特に限定されないが、イソシアネート化合物と反応して製造されるポリウレタンの機械物性が向上することから、例えば、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムアルコラート等が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタンとした際の機械物性が良好となることから水酸化アルミニウムであることが好ましい。
アルミニウム化合物の含有量は、特に限定されないが、1~100ppmであることが好ましく、1ppm~50ppmであることが特に好ましい。この含有量の範囲であれば、機械物性が向上し、ポリウレタン製造時の成形性が損なわれず、物性低下が起こらない。
<ポリウレタン>
本発明の一態様にかかるポリウレタンは、上記塩素含有ポリエーテルポリオール組成物とイソシアネート化合物との反応生成物である。
ポリウレタンの構造は、本発明の一態様にかかる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物に含まれる塩素含有ポリエーテルポリオールの残基を分子構造中に含有していれば特に制限はなく、架橋体でも良いし、直鎖状でも分岐状でも良い。
また、上記ポリウレタンの製造方法は特に限定されないが、本発明の一態様にかかる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物とイソシアネート化合物とを反応させることが挙げられる。
ここで、イソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、芳香族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物、及びこれらのポリイソシアネート誘導体等が挙げられる。
これらの中で、芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4-若しくは2,6-トリレンジイソシアネ-ト、又はそれらの混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m-若しくはp-フェニレンジイソシアネート、又はそれらその混合物)、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-、2,4’-若しくは2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、又はそれらの混合物)(MDI)、4,4’-トルイジンイソシアネート(TODI)、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(1,3-若しくは1,4-キシリレンジイソシアネート、又はそれらの混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3-若しくは1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、又はそれらの混合物)(TMXDI)、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、ナフタレンジイソシアネート(1,5-、1,4-若しくは1,8-ナフタレンジイソシアネート、又はそれらの混合物)(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネ-ト、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプエート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
単環式脂環族イソシアネート化合物としては、例えば、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4-シクロヘキサンジイソシアネ-ト、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート)、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート(4,4’-、2,4’-若しくは2,2’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、又はそれらの混合物)(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシネートメチル)シクロヘキサン(1,3-若しくは1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、又はそれらの混合物)(水添XDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート(水添TDI)、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート(水添TMXDI)等が挙げられる。
架橋環式脂環族イソシアネート化合物としては、例えば、ノルボルネンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートメチル、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シイソシアナートメチルビシクロヘプタン、ジ(ジイソシアナートメチル)トリシクロデカン等が挙げられる。
また、これらのイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記イソシアネート化合物の多量体(2量体、3量体、5量体、7量体、ウレチジンジオン、ウレイトンイミン、イソシヌレート変性体、ポリカルボジイミド等)、ウレタン変性体(例えば、上記イソシアネート化合物又は多量体におけるイソシアネート基の一部を、モノオール又はポリオールで変性又は反応したウレタン変性体等)、ビウレット変性体(例えば、上記イソシアネート化合物と水との反応により生成するビウレット変性体等)、アロファネート変性体(例えば、上記イソシアネート化合物とモノオール又はポリオール成分との反応により生成するアロファネート変性体等)、ウレア変性体(例えば、上記イソシアネート化合物とジアミンとの反応により生成するウレア変性体等)、オキサジアジントリオン(例えば、上記イソシアネート化合物と炭酸ガス等との反応により生成するオキサジアジントリオン等)等を挙げることができる。
上記のイソシアネート化合物又はその誘導体は単独で用いてもよいし、2種以上で用いてもよい。
塩素含有ポリエーテルポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させポリウレタンを得る場合は、例えば、200℃を上限に組成物を加温したり、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、スタナスオクトエート、ジブチルスズジ-2-エチルヘキサノエ-ト、ナトリウム o-フェニルフェネート、カリウムオレート、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネ-ト、塩化第二スズ、塩化第二鉄、三塩化アンチモン等の触媒を加えたりすると、塩素含有ポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物の反応が加速され、短時間でポリウレタンを得ることができる。
本発明の一態様にかかるポリウレタンを製造する際、本発明の一態様にかかる塩素含有ポリエーテルポリオールに、必要に応じて、公知の他のポリオール、安定剤、酸化防止剤、整泡剤、架橋剤、発泡剤、連通化剤等を配合しても良い。
本発明の一態様にかかるポリウレタンとしては、硬質フォーム又は軟質フォームのようなウレタンフォーム用途に用いることができる。また、コーテイング剤・塗料(Coatings)、粘着剤・接着剤(Adhesives)、シーリング材(Sealants)、熱可塑性又は熱硬化性のエラストマー(Elastomers)等、皮革、スパンデックス、各種インキ等に用いることができる。
ポリウレタン系のフォームは、軟質系と硬質系に大別されるが、本発明の一態様にかかる塩素含有ポリエーテルポリオールを用いて、ポリウレタンフォームを得ようとすると、軟質、硬質いずれにおいても、従来公知の製造方法が適用できる。
例えば、本発明の一態様にかかる塩素含有ポリエーテルポリオールに、必要に応じて、公知の他のポリオール、安定剤、酸化防止剤、触媒、整泡剤、架橋剤、発泡剤、連通化剤等を配合した室温液状の混合液を撹拌混合した後に、ポリイソシアネート化合物と攪拌混合し、適当な金型内に注入し、発泡硬化させる方法が挙げられる。
また、本発明の一態様にかかる塩素含有ポリエーテルポリオールに、公知の他のポリオール、触媒、整泡剤、発泡剤及びポリイソシアネート化合物を公知の撹拌混合機により混合して、発泡性の混合物を調製し、これを天面開放状態のモールド内に注入して自由発泡させ、スラブとして硬化成形する方法が挙げられる。
ポリウレタンフォームの発泡倍率は、特に限定しないが、取り扱い性が良好となるため、1.2倍以上、100倍以下であることが好ましく、10倍以上、80倍以下であることが特に好ましい。
ポリウレタンフォームは、利用される用途に特別な制限が加わるものでなく、本発明の一態様にかかる組成物の反応生成物からなるポリウレタンフォームの特徴から、自動車・車両用の天井材やシート、枕、家具・インテリア、寝装具、シューソール、スポンジ、各種クッション、テニスボール、着地マット等、軟質系のポリウレタンフォームが適用される用途に用いることができる。また、本発明の一態様にかかるポリウレタンフォームは、断熱・保冷材、防振・吸音材、緩衝材、浮力材等の硬質系のポリウレタンフォームが適用される用途に用いることができる。例えば、漁船・大型船・冷凍貨物船・LNG船、LPG船、液化ガス船、コンテナーの断熱材やFRPボートの芯材、大型船舶・救命艇・ブイ・浮き類の浮力材として船舶用に、冷凍車・保冷車・鉄道のコンテナー、タンクローリーの断熱材、車両・トラックの天井の断熱材としての車両用に、化学工業設備タンク・配管の断熱材、重油タンク・配管等の保温材、LPG・LNG低温液化ガス保冷・配管の断熱材、断熱カバー、タンク蓋用としてプラント用に、冷蔵庫・冷凍機の断熱材、エアコンの断熱部材、ショーケース・ストッカー・自動販売機・温水器・貯湯槽等の各種断熱機器の断熱材用に、さらに、住宅・オフィスビルの断熱材(壁、床下、天井、屋根下等)、断熱建材(ラミネートボード、複合パネル、サイデイング材等)、浴槽(ステンレス・FRP・ほうろう)の断熱材、冷凍倉庫・冷蔵倉庫・農業倉庫・畜舎等の断熱材、ボイド充填(断熱サッシ)、恒温室・地域集中冷暖房の断熱材としての建築・建材用に、道路床の断熱材や振動防止材としての土木用に、その他として、椅子芯材、ドアーパネル、装飾工芸品、娯楽用具(クーラーボックス・水筒)、教材(立体地図等)、型材・治具関係、サーフィンの芯材、RIM方式製品(スキー芯材・ラケット芯材・ハウジング類)、梱包材等が挙げられる。
また、本発明の一態様にかかるポリウレタンの特徴から、接着剤としては、例えば、軟包装材用のラミネート張り合わせ、すなわち、スナック類、ボイル用、レトルト用の食品用ラミネート袋、洗剤等の非食品用ラミネート袋の接着に、建築分野では、ラッピング、床暖フロアー、フローリング用の接着に、エレクトロニクスの分野では太陽電池のバックシート、液晶テレビ、その他電池回りの接着等に用いることができる。
また、本発明の一態様にかかるポリウレタンの特徴から、シーリング材の用途では、建築外装、例えば、ALCパネルやサッシのシーリングや、RC壁の打ち継ぎ、タイル下の躯体や窓外枠用のシーリング、建築内装では水回りや石膏ボードのシーリング、さらには防水下地や屋根等に代表される建築建材用のシーリングに、また、保冷車等の特殊車両や自動車窓枠のシーリング、さらには、電気・電子機器、通信機器、特にハードディスク装置におけるガスケット等に用いることができる。
さらに、本発明の一態様にかかるポリウレタンの特徴から、エラストマーの用途では、熱可塑性のエラストマーとして、高圧ホース、消防ホース、農薬用ホース、塗装用ホース等のホース類、空圧チューブ、油圧チューブ、燃料チューブ、透析用チューブ、動脈・静脈・心臓用チューブ等のチューブ類、自動車用傷つき防止フィルム・シート、インパネ表皮材ソファ用傷つき防止フィルム、エアマット、看護用ベットシート、ダイヤフラム、キーボードシート、ラバースクリーン、コンベアベルト、ガスケット、合成皮革、伸縮シート、柔軟フィルム、ターポリン、衣料、ライフジャケット、ウエットスーツ、ホットメルト、おむつ用品、梱包の緩衝フィルム、医療用サージカルフィルム等のフィルム・シート類、各種ギア類、各種グリップ類、ソリッドタイヤ、キャスター、ローラー、防振・防音部品、ピッカー、ブッシュ、軸受、スリップ止め、建材、パッキン、キャップ、時計ベルト、コネクター、ラバースクリーン、印字ドラム、グリスカバー、ハンマー、ダストカバー、フルイ部品、ボールジョイント等の工業部品類、インパネ表皮、ギアノブ表皮、コンソールボックス表皮、レザーシート、バンパー・サイドモール、テールランプシール、スノーチェーン、ブッシュ、ダストカバー、ギア、軸受、キャップ、ボールジョイント、ペダルストッパー、ドアロックストライカー、スプリングカバー、防振部品等の自動車部品類、コンベアベルト、タイミングベルト、丸ベルト、Vベルト、平ベルト等のベルト類、電力・通信ケーブル、自動車用ABSセンサーケーブル、ロボットケーブル、産業用ケーブル、コンピュータ配線等の電線類に使用でき、その他として、スポーツシューズ、登山靴、スキー靴、スキー板、スノーボード、モトクロスブーツ、安全靴、ハイヒール、シュノーケル、足ヒレ、ゴルフボールカバー、階段滑り止め、道路のポールコーン、ローラースケートホイール、各種タグ、セールボード用品、スキー部品、各種ロープ、バインダー、医療用ドレッシング材、カテーテル、医療用ロープ、絆創膏等、広範な用途に、また、熱硬化性のエラストマーとしては、製紙、鉄板圧延ロール、印刷、事務機器用小物ロール、プラテンロール、スケートローラー等のロール類、ソリッドタイヤ、キャスター、バッテリーフォークリフト、作業運搬車用(パレッドリフト等)、工業用トラックホイール等の車輪類、コンベアベルトのアイドラー、ケーブルやベルトのガイドロールやプレーリースプリング、ベルト緩衝材、オイルシール等のベルト類、エレクトロニクス機器部品や複写機用クリーニンググレード等のOA機器類、丸棒、パイプ、角柱、板、シート等の2次加工用素材に使用でき、その他として、各種ギア類、コネクションリング・ライナー、ポンプライニング、インペラサイクロンコーン、サイクロンライナー、研磨パッド等、広範な用途に用いることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本実施例は何ら本発明を制限するものではない。まず、塩素含有ポリエーテルポリオールの製造に用いる原料の詳細と、塩素含有ポリエーテルポリオールの分析方法及び製造方法について説明する。
(塩素含有ポリエーテルポリオールの分析方法)
(1)塩素含有ポリエーテルポリオールの分子量(単位:g/mol)
JIS K-1557記載の方法により、塩素含有ポリエーテルポリオールの水酸基価d(単位:mgKOH/g)を測定した。得られる塩素含有ポリエーテルポリオールの官能基数をeとし、次式により塩素含有ポリエーテルポリオールの分子量を算出した。
分子量=(56100/d)×e
(2)塩素含有ポリエーテルポリオールの分子量分布(単位:無し)
ゲル・パーミェション・クロマトグラフ(GPC)(東ソー社製、HLC8020)を用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃で測定を行い、標準物質としてポリスチレンを用い、塩素含有ポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)とした。
上記方法で算出したMn、Mwから、塩素含有ポリエーテルポリオールの分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
(3)塩素含有ポリエーテルポリオールの不飽和度(単位:meq/g)
JIS K-1557記載の方法により、塩素含有ポリエーテルポリオールの不飽和度
を算出した。
(4)塩素含有ポリエーテルポリオール組成物中のアルミニウム濃度(単位:ppm)
塩素含有ポリエーテルポリオール組成物を灰化したのち酸溶解を行い溶液化したものを、ICP-AES Optima 8300(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。
(5)熱安定性:酸価上昇(単位:ΔmgKOH/g)
塩素含有ポリエーテルポリオール組成物を150℃に昇温したギヤ―オーブン中に30時間保持することで熱安定性試験を実施し、試験前後の酸価をJIS K-1557記載の方法により算出した。
上記方法で算出した熱安定性試験後の酸価から熱安定性試験前の酸価を引くことで、酸化上昇を算出した。
A(合格):0.1mgKOH/g未満
B(合格):0.1mgKOH/g以上、0.5mgKOH/g未満
C(不合格):0.5mgKOH/g以上
(6)熱安定性:粘度保持率(単位:%)
塩素含有ポリエーテルポリオール組成物を150℃に昇温したギヤ―オーブン中に30時間保持することで熱安定性試験を実施し、試験前後の粘度を、B型粘度計を用いて測定した。
上記方法で測定した粘度の値を用いて、次式にて粘度保持率を算出した。
熱安定性試験後の粘度/熱安定性試験前の粘度×100
A(合格):95%以上
B(合格):90%以上、95%未満
C(不合格):90%未満
(7)熱安定性:外観(単位:なし)
塩素含有ポリエーテルポリオール組成物を150℃に昇温したギヤ―オーブン中に30時間保持することで熱安定性試験を実施し、試験後の色を目視した。
A(合格):淡黄色
B(合格):濃黄色
C(不合格):褐色~黒
実施例1.
攪拌翼を付した2リットルの四口フラスコに、分子量400のポリプロピレングリコール(三洋化成工業社製、商品名:サンニックスPP-400)を283.2g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(富士フイルム和光純薬社製)3.42gを加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソプロポキシアルミニウム(川研ファインケミカル社製、PADM)を6.51g加え、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行い開始剤組成物を得た。得られた開始剤組成物を98℃に昇温し、エピクロロヒドリン(ECH、富士フイルム和光純薬社製)960mLを連続的に4時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後、内温90~100℃の範囲で2時間エージングを行った後、100℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去をおこない粗塩素含有ポリオールを1415g得た。その後、80℃まで降温し、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとしてエポミックR-140(三井化学社製、液状エポキシ化合物、エポキシ当量188g/eq)を42.5g添加し、淡黄色の粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-1]を得た。得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオール[A-1]の分子量は2010g/mol、不飽和度は0.0045meq/g、Mw/Mnは1.55、一級化率は4%だった。粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-1]と結合したアルミニウムアルコラートが残存しており、アルミニウム濃度は602ppmだった。また、上記熱安定性試験の方法に従い評価を行ったところ、外観は濃い黄色であり酸価上昇や粘度低減が少なく、熱安定性に優れる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物だった。
実施例2.
実施例1にて得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-1]100重量部に対して、1重量部に相当する珪藻土(昭和化学工業社製、ラヂオライト#3000)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、80℃で2時間攪拌した。
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして、アドバンテック東洋社製タンク付きステンレスホルダーKST-142を用いて90℃、0.3MPaで加圧濾過を実施し(ろ材:ステンレスメッシュ、120メッシュ)、淡黄色の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-2]を得た。得られた塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-2]中には水酸化アルミニウムが含有されており、アルミニウム濃度は6ppmだった。また、上記熱安定性試験の方法に従い評価を行ったところ、外観は淡黄色であり酸価上昇や粘度低減が少なく、熱安定性に優れる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物だった。
実施例3.
実施例1にて得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-1]100重量部に対して、1重量部に相当する珪藻土(昭和化学工業社製、ラヂオライト#3000)、5重量部に相当する水(イオン交換水)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして、アドバンテック東洋社製タンク付きステンレスホルダーKST-142を用いて90℃、0.3MPaで加圧濾過を2回実施し(ろ材:アドバンテック東洋社製定量濾紙No.5A)、淡黄色の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-3]を得た。得られた塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-3]中のアルミニウム濃度は1ppm未満だった。また、上記熱安定性試験の方法に従い評価を行ったところ、外観は淡黄色であり酸価上昇や粘度低減が少なく、熱安定性に優れる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物だった。
実施例4.
攪拌翼を付した2リットルの四口フラスコに、分子量400のポリプロピレングリコール(三洋化成工業社製、商品名:サンニックスPP-400)を283.2g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(富士フイルム和光純薬社製)3.42gを加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソプロポキシアルミニウム(川研ファインケミカル社製、PADM)を6.51g加え、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行い開始剤組成物を得た。得られた開始剤組成物を98℃に昇温し、エピクロロヒドリン(ECH、富士フイルム和光純薬社製)960mLを連続的に4時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後、内温90~100℃の範囲で2時間エージングを行った後、100℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去をおこない粗塩素含有ポリオールを1415g得た。その後、80℃まで降温し、エピクロン4050(DIC社製、固形エポキシ化合物、エポキシ当量920g/eq)を42.5g添加し、淡黄色の粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物を得た。得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオールの分子量は1980g/mol、不飽和度は0.0044meq/g、Mw/Mnは1.62、一級化率は3%だった。
得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物100重量部に対して、1重量部に相当する珪藻土(昭和化学工業社製、ラヂオライト#3000)、5重量部に相当する水(イオン交換水)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして、アドバンテック東洋社製タンク付きステンレスホルダーKST-142を用いて90℃、0.3MPaで加圧濾過を実施し(ろ材:ステンレスメッシュ、120メッシュ)、淡黄色の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-4]を得た。得られた塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-4]中には水酸化アルミニウムが含有されており、アルミニウム濃度は7ppmだった。また、上記熱安定性試験の方法に従い評価を行ったところ、外観は濃い黄色であり酸価上昇や粘度低減が少なく、熱安定性に優れる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物だった。
実施例5.
攪拌翼を付した2リットルの四口フラスコに、分子量1000のポリカーボネートジオール(東ソー社製、商品名:ニッポラン‐965)を849.6g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(富士フイルム和光純薬社製)6.85gを加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソプロポキシアルミニウム(川研ファインケミカル社製、PADM)を13.02g加え、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行い開始剤組成物を得た。得られた開始剤組成物を98℃に昇温し、エピクロロヒドリン(ECH、富士フイルム和光純薬社製)720mLを連続的に4時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後、内温90~100℃の範囲で2時間エージングを行った後、100℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去をおこない粗塩素含有ポリオールを1700g得た。その後、80℃まで降温し、エポミックR-140(三井化学社製、液状エポキシ化合物、エポキシ当量188g/eq)を51.2g添加し、淡黄色の粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物を得た。得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオールの分子量は2000g/mol、不飽和度は0.0052meq/g、Mw/Mnは1.88、一級化率は6%だった。
得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物100重量部に対して、1重量部に相当する珪藻土(昭和化学工業社製、ラヂオライト#3000)、5重量部に相当する水(イオン交換水)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして、アドバンテック東洋社製タンク付きステンレスホルダーKST-142を用いて90℃、0.3MPaで加圧濾過を実施し(ろ材:ステンレスメッシュ、120メッシュ)、淡黄色の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-5]を得た。得られた塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-5]中には水酸化アルミニウムが含有されており、アルミニウム濃度は8ppmだった。また、上記熱安定性試験の方法に従い評価を行ったところ、外観は淡黄色であり酸価上昇や粘度低減が少なく、熱安定性に優れる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物だった。
実施例6.
攪拌翼を付した2リットルの四口フラスコに、分子量1000のポリカーボネートジオール(東ソー社製、商品名:ニッポラン‐965)を849.6g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(富士フイルム和光純薬社製)6.85gを加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソプロポキシアルミニウム(川研ファインケミカル社製、PADM)を13.02g加え、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行い開始剤組成物を得た。得られた開始剤組成物を98℃に昇温し、エピクロロヒドリン(ECH、富士フイルム和光純薬社製)720mLを連続的に4時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後、内温90~100℃の範囲で2時間エージングを行った後、100℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去をおこない粗塩素含有ポリオールを1698g得た。その後、80℃まで降温し、エポミックR-140(三井化学社製、液状エポキシ化合物、エポキシ当量188g/eq)を271.9g添加し、淡黄色の粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物を得た。得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオールの分子量は2000g/mol、不飽和度は0.0052meq/g、Mw/Mnは1.88、一級化率は6%だった。
得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物100重量部に対して、0.4重量部に相当する珪藻土(昭和化学工業社製、ラヂオライト#3000)、5重量部に相当する水(イオン交換水)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして、アドバンテック東洋社製タンク付きステンレスホルダーKST-142を用いて90℃、0.3MPaで加圧濾過を実施し(ろ材:ステンレスメッシュ、120メッシュ)、淡黄色の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-6]を得た。得られた塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-6]中には水酸化アルミニウムが含有されており、アルミニウム濃度は83ppmだった。また、上記熱安定性試験の方法に従い評価を行ったところ、外観は淡黄色であり酸価上昇や粘度低減が少なく、熱安定性に優れる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物だった。
実施例7.
攪拌翼を付した2リットルの四口フラスコに、分子量1000のポリエステルポリオール(クラレ社製、商品名:クラレポリオールP-1010)を590g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(富士フイルム和光純薬社製)8.07gを加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソプロポキシアルミニウム(川研ファインケミカル社製、PADM)を9.04g加え、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行い開始剤組成物を得た。得られた開始剤組成物を98℃に昇温し、エピクロロヒドリン(ECH、富士フイルム和光純薬社製)500mLを連続的に4時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後、内温90~100℃の範囲で2時間エージングを行った後、100℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去をおこない粗塩素含有ポリオールを1698g得た。その後、80℃まで降温し、エポキシ化植物油脂としてアデカサイザーO-130P(ADEKA社製、液状エポキシ化合物、エポキシ当量184g/eq)を62.11g添加し、淡黄色の粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物を得た。得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオールの分子量は2000g/mol、不飽和度は0.0420meq/g、Mw/Mnは1.79、一級化率は4%だった。
得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオール組成物100重量部に対して、0.4重量部に相当する珪藻土(昭和化学工業社製、ラヂオライト#3000)、5重量部に相当する水(イオン交換水)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして、アドバンテック東洋社製タンク付きステンレスホルダーKST-142を用いて90℃、0.3MPaで加圧濾過を実施し(ろ材:ステンレスメッシュ、120メッシュ)、淡黄色の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-7]を得た。得られた塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-7]中には水酸化アルミニウムが含有されており、アルミニウム濃度は7ppmだった。また、上記熱安定性試験の方法に従い評価を行ったところ、外観は淡黄色であり酸価上昇や粘度低減が少なく、熱安定性に優れる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物だった。
比較例1.
実施例1において、エポミックR-140(液状エポキシ化合物)を424.8g用いた以外は同様の操作を行い粗塩素含有ポリオール組成物を得た。
得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオール100重量部に対して、1重量部に相当する珪藻土(昭和化学工業社製、ラヂオライト#3000)、5重量部に相当する水(イオン交換水)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして、アドバンテック東洋社製タンク付きステンレスホルダーKST-142を用いて90℃、0.3MPaで加圧濾過を実施し(ろ材:ステンレスメッシュ、120メッシュ)、淡黄色の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[B-1]を得た。得られた塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[B-1]中には水酸化アルミニウムが含有されており、アルミニウム濃度は3ppmだった。また、上記熱安定性試験の方法に従い評価を行ったところ、外観は淡黄色であり酸価上昇や粘度低減が少なく、熱安定性に優れる塩素含有ポリエーテルポリオール組成物だった。
比較例2.
実施例1において、エポミックR-140を添加しない以外は同様の操作を行い粗塩素含有ポリオール組成物を得た。
得られた粗塩素含有ポリエーテルポリオール100重量部に対して、1重量部に相当する珪藻土(昭和化学工業社製、ラヂオライト#3000)、5重量部に相当する水(イオン交換水)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして、アドバンテック東洋社製タンク付きステンレスホルダーKST-142を用いて90℃、0.3MPaで加圧濾過を実施し(ろ材:ステンレスメッシュ、120メッシュ)、淡黄色の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[B-2]を得た。得られた塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[B-2]中には水酸化アルミニウムが含有されており、アルミニウム濃度は12ppmだった。また、上記熱安定性試験の方法に従い評価を行ったところ、外観は褐色であり酸価上昇や粘度低減が大きく、熱安定性に劣る塩素含有ポリエーテルポリオール組成物だった。
実施例1~7及び、比較例1~2の結果を表1及び表2に併せて示す。
以下、本発明の素含有ポリエーテルポリオール組成物とイソシアネート化合物との反応生成物であるするポリウレタンの評価方法、作製について説明する。
(ポリウレタンの作製方法)
(1)原料
<<市販のPPG>>
いずれの実施例、比較例においても、三洋化成社製のサンニックスGP-3000を使用した。
<発泡剤>
いずれの実施例、比較例においても、発泡剤として、イオン交換水を使用した。
<整泡剤>
いずれの実施例、比較例においても、シリコーン系整泡剤として、ダウ・東レ社製のSZ-1142を使用した。
<触媒>
いずれの実施例、比較例においても、触媒としてトリエチレンジアミンをジプロピレングリコールに33重量% の濃度で溶かした溶液(東ソー社製、TEDA-L33)とオクチル酸錫(日本化学産業社製、ニッカオクチックス錫)を使用した。
<イソシアネート化合物>
いずれの実施例、比較例においても、2,4/2,6異性体の混合比率が80/20のトリレンジイソシアネート(東ソー社製、コロネートT-80)を使用した。
表3及び4に示す配合比で、塩素含有ポリエーテルポリオールと水を混合し、さらに、その混合物に、触媒、整泡剤を混合し、それらの混合物を小型の高速撹拌機(プライミクス社製PRIMIX)を用いて毎分2000回転で20分間撹拌混合し、イソシアネート化合物を除く撹拌混合物(以下、プレミックスと記す)を得た。
<ポリウレタンフォームの作製>
上記のように調整したプレミックスを、イソシアネート基の全量(NCO基)と水に含まれる水酸基(OH基)を含めて当該NCO基と反応しうるイソシアネート基反応性基(NCO反応性基)の比率、すなわちNCO/NCO反応性基=1.0となるように所定量のイソシアネート化合物を加え、小型の高速撹拌機(プライミクス社製PRIMIX)を用いて毎分4000回転で8秒間撹拌混合した後、250mm×250mm×250mmのアクリル水槽に直ちに注入し、ポリウレタンフォームを得た。
(ポリウレタンの物性測定方法)
(1)成形性
作製したポリウレタンフォームを23℃、50Rh%の恒温室で24時間静置させ、外観を目視して成形性とした。
A(合格):フォームの表面が平滑で収縮が見られない
B(合格):若干収縮が見られる(物性への影響は無し)
C(不合格):収縮
(2)引張破断強度:TB(単位:kPa)
作製したポリウレタンフォームを23℃、50Rh%の恒温室で24時間静置させたのち、JIS K―6400に準拠した手法で引張破断強度を測定した。
A(合格):85kPa以上
B(合格):70kPa以上、85kPa未満
C(不合格):70kPa未満
(3)引張破断伸び:EB(単位:%)
作製したポリウレタンフォームを23℃、50Rh%の恒温室で24時間静置させたのち、JIS K―6400に準拠した手法で引張破断伸びを測定した。
A(合格):230%以上
B(合格):210%以上、230%以下
C(不合格):210%以下
(4)難燃性(燃焼距離)
作製したポリウレタンフォームを200mm×100mm×10mmの試験片として水平に保持し、左端から38mm炎を15秒接炎しA標線(左端から38mmの位置)からの燃焼距離を測定。試験回数は10回とし、最大値をその試験片の燃焼距離とした。
A(合格):51mm未満
B(合格):51mm以上、127mm未満
C(不合格):127mm以上
(5)耐熱老化試験:引張破断強度保持率(単位:%)
作製したポリウレタンフォームを150℃、のギヤ―オーブンで72時間保持させたのち、JIS K―6400に準拠した手法で引張破断強度を測定した。
上記方法で測定した引張破断強度の値を用いて、次式にて引張破断強度保持率を算出した。
耐熱性試験後の引張破断強度/耐熱性試験前の引張破断強度×100
A(合格):90%以上
B(合格):70%以上、90%未満
C(不合格):70%未満
(6)耐熱試験:引張破断伸び保持率(単位:%)
作製したポリウレタンフォームを150℃、のギヤ―オーブンで30時間保持させたのち、JIS K―6400に準拠した手法で引張破断伸びを測定した。
上記方法で測定した引張破断伸びの値を用いて、次式にて引張破断伸び保持率を算出した。
耐熱性試験後の引張破断伸び/耐熱性試験前の引張破断伸び×100
A(合格):90%以上
B(合格):70%以上、90%未満
C(不合格):70%未満
(7)耐熱試験:難燃性(燃焼距離)
作製したポリウレタンフォームを150℃、のギヤ―オーブンで30時間保持させたのち、200mm×100mm×10mmの試験片として水平に保持し、左端から38mm炎を15秒接炎しA標線(左端から38mmの位置)からの燃焼距離を測定。試験回数は10回とし、最大値をその試験片の燃焼距離とした。
A(合格):51mm未満
B(合格):51mm以上、127mm未満
C(不合格):127mm以上
実施例8.
上記ポリウレタンフォームの作製方法に従い、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-1]を用いてポリウレタンフォームを作製し、評価を行った。当該ポリウレタンフォームは、引張破断強度、引張破断伸び、難燃性、耐熱性に優れポリウレタンフォームだった。
実施例9.
上記ポリウレタンフォームの作製方法に従い、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-2]を用いてポリウレタンフォームを作製し、評価を行った。当該ポリウレタンフォームは、成形性、引張破断強度、引張破断伸び、難燃性、耐熱性に優れるポリウレタンフォームだった。
実施例10.
上記ポリウレタンフォームの作製方法に従い、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-3]を用いてポリウレタンフォームを作製し、評価を行った。当該ポリウレタンフォームは、成形性、難燃性、耐熱性に優れるポリウレタンフォームだった。
実施例11.
上記ポリウレタンフォームの作製方法に従い、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-4]を用いてポリウレタンフォームを作製し、評価を行った。当該ポリウレタンフォームは、成形性、引張破断強度、引張破断伸び、難燃性に優れるポリウレタンフォームだった。
実施例12.
上記ポリウレタンフォームの作製方法に従い、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-5]を用いてポリウレタンフォームを作製し、評価を行った。当該ポリウレタンフォームは、成形性、難燃性、耐熱性に優れるポリウレタンフォームだった。
実施例13.
上記ポリウレタンフォームの作製方法に従い、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-6]を用いてポリウレタンフォームを作製し、評価を行った。当該ポリウレタンフォームは、引張破断伸び、難燃性、耐熱性に優れるポリウレタンフォームだった。
実施例14.
上記ポリウレタンフォームの作製方法に従い、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[A-7]を用いてポリウレタンフォームを作製し、評価を行った。当該ポリウレタンフォームは、成形性、難燃性、耐熱性に優れるポリウレタンフォームだった。
上記実施例8~14の結果を表3に併せて示す。
比較例3.
上記ポリウレタンフォームの作製方法に従い、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物を用いずにポリウレタンフォームを作製し、評価を行った。当該ポリウレタンフォームは、成形性と耐熱性に優れたものの、引張破断強度、引張破断伸び、難燃性に劣るポリウレタンフォームだった。
比較例4.
比較例3において、汎用PPG100重量部に対して3重量部に相当するエポミックR-140を添加した以外は同様の操作でポリウレタンフォームを作製し、評価を行った。当該ポリウレタンフォームは、成形性と耐熱性に優れたものの、引張破断強度、引張破断伸び、難燃性に劣るポリウレタンフォームだった。
比較例5.
上記ポウレタンフォームの作製方法に従い、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[B-1]を用いてポリウレタンフォームの作製を試みたが、成形性不良のため物性を測定することができなかった。
比較例6.
上記ポウレタンフォームの作製方法に従い、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物[B-2]を用いポリウレタンフォームを作製し、評価を行った。当該ポリウレタンフォームは、成形性と引張破断強度、引張破断伸びに優れたものの、耐熱性に劣るポリウレタンフォームだった。
上記比較例3~6の結果を表4に併せて示す。

Claims (6)

  1. 分子量が400~5000の塩素含有ポリエーテルポリオール100重量部に対して、エポキシ化合物を0.5~20重量部含有する、塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。
  2. 塩素含有ポリエーテルポリオールが下記式(1)に示される化合物である、請求項1に記載の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。
    (上記式(1)中、Rは分子量が100以上2500以下のヒドロキシ化合物残基を表し、nは1以上25未満の整数、mは2又は3を表す。)
  3. エポキシ化合物が、エポキシ当量100~1,000の液状エポキシ化合物である、請求項1に記載の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。
  4. アルミニウム化合物を1~100ppm含有する、請求項1に記載の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。
  5. アルミニウム化合物が水酸化アルミニウムである、請求項4に記載の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物。
  6. 請求項1に記載の塩素含有ポリエーテルポリオール組成物とイソシアネート化合物との反応生成物であることを特徴とするポリウレタン。
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