JP2023109711A - イオンの移動測定装置および移動測定方法 - Google Patents

イオンの移動測定装置および移動測定方法 Download PDF

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Hideki Sakai
洋 酒井
Hiroshi Sakai
敦 櫻井
Atsushi Sakurai
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Abstract

Figure 2023109711000001
【課題】精度良く、狙った電圧印加時点での第2原子イオンの移動状態や、拡散による第2原子イオンの移動状態を、を検出できるようにする。
【解決手段】
イオンの移動測定装置は、試験体と検出装置とを有する。試験体は、第1電極および第2電極と、第1電極と第2電極との間に配された電解質と、を有する。第1電極と第2電極とは、互いに同じ元素の層を有し、試験体に外部から電圧が印加されていない状態において、互いに同じ電位である。少なくとも第1電極は、当該元素において天然存在比が最も高い第1原子と同位体の第2原子を、当該第2原子の天然存在比よりも高い存在比で含有する。検出装置は、電解質から放出される第1原子および第2原子のイオンを検出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解質内を移動するイオンの測定装置および測定方法に関する。
近年は、二酸化炭素の排出を低減して地球環境上の悪影響を低減する等の観点から、EVやHEV等の電動車両の普及が進んでいる。そのことから、高性能の電池の開発が急がれている。
特開2021-144859号公報
電池の開発においては、出力特性等を左右するイオン伝導性を正確に測定することが重要である。しかしながら、例えば、正極と負極と間に電解質を有する、リチウムイオン電池の試験体において、電解質内を移動している特定のリチウム原子イオンを、他のリチウム原子イオンから区別して観測することは困難である。そのため、本発明者らは、正極における電解質に当接する部分を、リチウム原子の中で最も天然存在比が高い7リチウム原子の同位体である6リチウム原子を主体に形成すると共に、電流を正極から電解質を通過させて負極に流すことにより、電解質内を移動している6リチウム原子イオンを観測することを考えた。
この方法によれば、6リチウム原子イオンを、質量の違いから7リチウム原子イオンと区別して観測できるが、本発明者らは、次に示す問題に着目した。すなわち、正極のベース部分を、電池本来の正極材料で形成し、負極のベース部分を、電池本来の負極材料で形成した場合等には、それらの材料の違いに起因する電位差により、電解質の端子間に意図しない電圧が印加されてしまう。それにより、狙った電圧印加時点での6リチウム原子イオンの移動状態を検出できなくなってしまう。また、電圧を印加せずに試験体を放置する6リチウム原子イオンの拡散試験においては、当該意図しない電圧によって、拡散のみによる6リチウム原子イオンの移動状態を精度良く検出することができなくなってしまう。
なお、以上では、リチウムにおいて、6リチウム原子イオンを、7リチウム原子イオンから区別して観測する場合を示したが、他の元素において、第2原子イオンを、第1原子イオンから区別して観測するようにしてもよい。ただし、この場合においても、同様の問題が発生し得る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、精度良く、狙った電圧印加時点での6リチウム原子イオン等の第2原子イオンの移動状態や、拡散による第2原子イオンの移動状態を、検出できるようにすることを、目的とする。
本発明者らは、第2原子を天然存在比よりも高い存在比で含有する第1電極と、第1電極と同電位の第2電極とにより電解質を挟むと共に、両電極間に外部から電圧を印加するようにすれば、狙った電圧印加時点での第2原子イオンの移動状態を精度良く検出できることを見出して、本発明に至った。本発明は、次の(1)~(4)のイオンの移動測定装置、および(5)~(10)のイオンの移動測定方法である。
(1)第1電極および第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配された電解質と、を有する試験体であって、
前記第1電極と前記第2電極とは、互いに同じ元素の層を有し、前記試験体の外部から電圧が印加されていない状態において、互いに同じ電位であり、
且つ、少なくとも前記第1電極は、前記元素において天然存在比が最も高い第1原子と同位体の第2原子を、当該第2原子の天然存在比よりも高い存在比で含有する、試験体と、
前記電解質から放出される前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出する検出装置と、
を有するイオンの移動測定装置。
なお、試験体の外部から電圧が印加されていない状態において、第1電極と第2電極とが互いに同じ電位であることについては、例えば、第1電極と第2電極とが、前記同じ元素の層のみで形成されることにより、なされていてもよいし、第1電極と第2電極とが、互いに同じ材質のベース部材に前記同じ元素の層が積層されることにより、なされていてもよい。
本構成によれば、第2原子のイオンを、質量差に基づいて第1原子のイオンから区別して観測できる。しかも、試験体の外部から第1電極と第2電極との間に電圧を印加することにより、電解質の端子間に電圧を狙った時間だけ印加できる。しかも、第1電極と第2電極とは、同元素であり、試験体に外部から電圧が印加されていない状態において同電位であるため、電解質の端子間に意図しない電圧が印加されてしまう心配もない。そのため、試験体に外部から電圧を印加する場合には、精度良く、狙った電圧印加時点での第2原子イオンの移動状態を検出できる。また、試験体に外部から電圧を印加せずに試験体を放置する場合には、意図しない電圧による影響なしに、第2原子イオンの拡散による移動状態を精度良く検出することができる。
(2)前記第1電極と前記第2電極との間に、前記第1電極側の方が高電位になるように電圧を印加することにより、前記第1原子および前記第2原子のイオンを、前記試験体内において、前記第1電極側から前記第2電極側に移動させる移動装置を、
有する前記(1)に記載のイオンの移動測定装置。
本構成によれば、移動装置によって、第1電極と第2電極との間に、所望の電圧を印加することができる。
(3)前記電解質は、固体電解質を有し、
前記同じ元素はリチウムであり、前記第1原子は7リチウム原子であり、前記第2原子は6リチウム原子である、
前記(1)又は(2)に記載のイオンの移動測定装置。
本構成によれば、固体電解質を有するリチウムイオン電池の開発試験に本発明を採用できる。
(4)前記第2電極は、前記第2原子を、当該第2原子の天然存在比よりも高い存在比で含有する、前記(1)又は(2)に記載のイオンの移動測定装置。
本構成によれば、第1電極と第2電極とを同じ材料で製造できる。そのため、試験体の製造が容易になる。
(5)前記第2電極は、前記第1原子を、前記第1電極における当該第1原子の存在比よりも高い存在比で含有すると共に、前記第2原子を、前記第1電極における当該第2原子の存在比よりも低い存在比で含有する、前記(1)又は(2)に記載のイオンの移動測定装置。
本構成によれば、第1電極の方が第2電極よりも第2原子を高い存在比で含有するため、電解質における第2原子イオンの増加を、第1電極側からの第2原子イオンの移動によると断定し易くなる。
(6)前記検出装置は、前記試験体における前記第1電極側から前記第2電極側に向かう方向の複数の点において、前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出し、
さらに、
前記検出装置による検出の結果に基づいて、前記複数の点での前記第1原子又は前記第2原子のイオンの濃度をプロットした実測プロファイルを作成する作成器と、
前記試験体内における前記イオンの拡散係数を含む拡散パラメータを複数通り用いて、前記拡散パラメータごとに、前記濃度について演算した演算プロファイルを算出する算出器と、
算出された複数の前記演算プロファイルのうちの前記実測プロファイルとの乖離が最も小さいと判定される前記演算プロファイルを割り出して、割り出された前記演算プロファイルに対応する前記拡散パラメータを割り出す割出器と、
を有する、前記(1)又は(2)に記載のイオンの移動測定装置。
本構成においても、引用する前記(1)の場合と同様に、第1電極と第2電極とが同じ電位であるため、電解質の端子間に意図しない電圧が印加されてしまう心配がない。この状況下において、検出装置は、試験体における複数の点においてイオンを検出する。そして、作成器は、検出装置による検出の結果に基づいて実測プロファイルを作成する。そのため、イオンの拡散による移動を、意図しない電圧による影響なしに、精度良く検出して、実測プロファイルを精度良く作成することができる。
そして、割出器は、その実測プロファイルとの乖離が最も小さくなると判定される演算プロファイルを割り出すと共に、その演算プロファイルに対応する拡散パラメータを割り出す。そのため、その割り出された拡散パラメータから逆に、放置時間や温度などの条件を変更した場合の演算プロファイルを算出することができる。それによって、当該条件を変更した場合におけるイオンの拡散状態を推定できる。
(7)前記拡散パラメータは、前記電解質から前記第1電極および前記第2電極のうちの一方の電極に拡散する前記イオンの拡散係数と、前記電極から前記電解質に拡散する前記イオンの拡散係数と、を含む、
前記(6)に記載のイオンの移動測定装置。
本構成によれば、拡散パラメータが、試験体における複数の部分でのイオンの拡散係数を含むことによって、より精度良く試験体内におけるイオンの拡散状態を推定できる。
(8)前記試験体の前記電解質は、活物質、導電助剤、バインダーのうち少なくとも1つを有する前記(1)又は(2)に記載のイオンの移動測定装置。
二次電池における正極材料は、活物質、導電助剤、バインダーなどを含むことがある。そのことから、本構成によれば、試験体の電解質として、二次電池における正極材料などを採用することができる。
(9)第1電極および第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配された電解質と、を有する試験体であって、
前記第1電極と前記第2電極とは、互いに同じ元素の層を有し、前記試験体に外部から電圧が印加されていない状態において、互いに同じ電位であり、
且つ、少なくとも前記第1電極は、前記元素において天然存在比が最も高い第1原子と同位体の第2原子を、当該第2原子の天然存在比よりも高い存在比で含有する、試験体、
を用いるイオンの移動測定方法であって、
前記電解質から放出される前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出する検出工程を、有するイオンの移動測定方法。
本方法によれば、前記(1)の装置と同様の効果が得られる。
(10)前記試験体の外部から、前記第1電極と前記第2電極との間に、前記第1電極側の方が高電位になるように電圧を印加することにより、前記第1原子および前記第2原子のイオンを、前記試験体内において、前記第1電極側から前記第2電極側に移動させる移動工程を、有し、
前記検出工程では、前記移動工程の後又は途中において、前記電解質から放出される前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出する、
前記(9)に記載のイオンの移動測定方法。
本構成によれば、前記(2)の装置と同様の効果が得られる。
(11)前記電解質は、固体電解質を有し、
前記同じ元素はリチウムであり、前記第1原子は7リチウム原子であり、前記第2原子は6リチウム原子である、
前記(9)又は(10)に記載のイオンの移動測定方法。
本構成によれば、固体電解質を有するリチウムイオン電池の開発試験に本方法を採用できる。
(12)前記移動工程の後における、前記試験体に外部から電圧が印加されていない状態において、前記検出工程を行う、前記(10)に記載のイオンの移動測定方法。
本構成によれば、外部から試験体に電圧を印加しながら、電解質から放出されるイオンを検出する場合に比べて、簡単に、狙った電圧印加時点でイオンの移動状態を検出できる。
(13)前記移動工程と前記検出工程との間において、前記電解質を解体する解体工程を有し、
前記検出工程では、前記電解質の解体断面から放出される前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出する、
前記(12)に記載のイオンの移動測定方法。
本構成によれば、電解質を解体することなく、例えば電解質の端面のみから放出されるイオンを検出する場合に比べて、精度良くイオンの移動状態を検出できる。
(14)前記解体工程では、前記解体断面が、前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ方向に延在するように、前記電解質を解体する、前記(13)に記載のイオンの移動測定方法。
本構成によれば、電解質におけるイオンの移動方向の各部において、イオンの移動状態を検出できる。
(15)前記検出工程では、前記電解質が解体されていない状態において、前記電解質の端面から放出されるイオンを検出し、
前記移動工程による電圧印加の総時間が互いに異なる複数の時点で、前記検出工程を行う、前記(12)~(14)のいずれか1つに記載のイオンの移動測定方法。
本構成によれば、複数の電圧印加時点において、イオンの移動状態を検出できる。
(16)前記検出工程では、前記試験体における前記第1電極側から前記第2電極側に向かう方向の複数の点において、前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出し、
さらに、
前記検出工程での検出結果に基づいて、前記複数の点での前記第1原子又は前記第2原子のイオンの濃度をプロットした実測プロファイルを作成する作成工程と、
前記試験体内における前記イオンの拡散係数を含む拡散パラメータを複数通り用いて、前記拡散パラメータごとに、前記濃度について演算した演算プロファイルを算出する算出工程と、
算出された複数の前記演算プロファイルのうちの前記実測プロファイルとの乖離が最も小さいと判定される前記演算プロファイルを割り出して、割り出された前記演算プロファイルに対応する前記拡散パラメータを割り出す割出工程と、
を有する、前記(9)又は(10)に記載のイオンの移動測定方法。
本構成によれば、前記(6)の装置と同様の効果が得られる。
(17)前記拡散パラメータは、前記電解質から前記第1電極および前記第2電極のうちの一方の電極に拡散する前記イオンの拡散係数と、前記電極から前記電解質に拡散する前記イオンの拡散係数と、を含む、
前記(16)に記載のイオンの移動測定方法。
本構成によれば、前記(7)の装置と同様の効果が得られる。
(18)前記試験体の前記電解質は、活物質、導電助剤、バインダーのうち少なくとも1つを有する前記(9)又は(10)に記載のイオンの移動測定方法。
本構成によれば、前記(8)の装置と同様の効果が得られる。
以上、前記(1)の装置および前記(9)の方法によれば、精度良く、狙った電圧印加時点での第2原子イオンの移動状態や、拡散による第2原子イオンの移動状態を、検出できる。さらに、前記(1)を引用する前記(2)~(8)の構成、および前記(9)を引用する前記(10)~(18)の構成によれば、それぞれの追加の効果が得られる。
第1実施形態のイオンの移動測定装置を示す図である。 イオンの移動測定方法を示すフローチャートである。 製造工程を示す図である。 移動工程の準備段階を示す図である。 移動工程を示す図である。 移動工程の終了時点を示す図である。 解体工程を示す図である。 検出工程を示す図である。 解析工程における解析のイメージを示す図である。 第2実施形態のイオンの移動測定方法を示すフローチャートである。 第3実施形態の試験体等を示す図である。 第4実施形態のイオンの移動測定装置を示す図である。 イオンの移動測定方法を示すフローチャートである。 実測プロファイルを示すグラフである。 算出工程の詳細を示すフローチャートである。 放置時間が0の時点での演算プロファイルを示すグラフである。 放置時間が所定値の時点での演算プロファイルを示すグラフである。 拡散パラメータごとの演算プロファイルを示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態のイオンの移動測定装置100を示す模式図である。イオンの移動測定装置100は、試験体10と移動装置30と解体装置40と検出装置50と解析装置60とを有する。以下、7リチウム原子、つまり原子量が7のリチウム原子を「7Li」と表記し、7Liのイオンを「7Li+」と表記すると共に、6リチウム原子、つまり原子量が6のリチウム原子を「6Li」と表記し、6Liのイオンを「6Li+」と表記する。なお、リチウムにおいて、最も天然存在比が高い原子は7Liである。
試験体10は、第1電極11および第2電極12と電解質13とを有する。電解質13は、固体電解質であって、第1電極11と第2電極12との間に配されている。より具体的には、試験体10の電解質13は、本実施形態では、二次電池の電解質材料であるが、例えば、二次電池の正極材料であってもよい。その場合、試験体10の電解質13は、例えば、活物質、導電助剤、バインダーのうち少なくとも1つを有していてもよい。
第1電極11および第2電極12のいずれの電極11,12も、リチウムのみからなる。そのため、第1電極11と第2電極12との間には、材質の違いに起因する電位差は発生しない。そのため、第1電極11と第2電極12とは、試験体10の外部から電圧が印加されていない状態において、互いに同じ電位になる。
具体的には、第1電極11と第2電極12のいずれの電極11,12も、6Liを主体に構成された金属リチウムの層である。よって、いずれの電極11,12も、6Liを天然存在比よりも高い存在比で含有すると共に、7Liを天然存在比よりも低い存在比で含有している。より具体的には、いずれの電極11,12も、6Liの存在比が95%程度であり、7Liの存在比が5%程度である。
移動装置30は、スイッチ31と電圧源33とを有する。電圧源33の正極端子は、スイッチ31を介して第1電極11に電気的に接続され、電圧源33の負極端子は、第2スイッチ32を介して第2電極12に電気的に接続される。以下、第1スイッチ31および第2スイッチ32を、まとめて「スイッチ31,32」という。この状態において、スイッチ31,32がONになると、第1電極11と第2電極12との間に、第1電極11側の方が高電位になるように電圧が印加されて、電解質13の端子間に電圧が印加される。それにより、試験体10内において、6Li+および7Li+が、第1電極11側から第2電極12側に移動する。
解体装置40は、試験体10を解体するため装置であって、試験体10を切断するためのカッター44を有する。
検出装置50は、照射部51と検出部52とを有する。照射部51は、電解質13に、レーザー照射、イオン照射、電子照射等のエネルギー照射Eを行うことにより、電解質13からの6Li+および7Li+の放出を促す。検出部52は、電解質13から放出された6Li+および7Li+を検出する。
解析装置60は、検出部52により検出された6Li+および7Li+に基づいて、試験体10内における6Li+の移動状態を解析する。
図2は、以上のイオンの移動測定装置100を用いて行うイオンの移動測定方法を示すフローチャートである。このイオンの移動測定方法では、順に、準備工程S1、製造工程S2、移動工程S3、解体工程S4、検出工程S5、解析工程S6を行う。
準備工程S1では、電解質13の材料になる硫黄系の固体電解質と、第1電極11および第2電極12の材料になるリチウム箔を用意する。リチウム箔は、6Liを主体に構成されており、厚みは0.1~0.4mm程度である。
図3は、製造工程S2を示す図である。以下に示す製造工程S2、移動工程S3、解体工程S4、検出工程S5は、硫黄系の固体電解質が大気との接触を嫌うため、グローブボックス内で行う。
製造装置20は、第1押圧部21と第2押圧部22と筒状部23とを有する。製造工程S2では、まず、筒状部23の内側に、硫黄系の固体電解質を、リチウム箔で挟み込むように設置する。次に、第1押圧部21により一方のリチウム箔を固体電解質に押圧すると共に、その反対側から、第2押圧部22により他方のリチウム箔を固体電解質に押圧する。なお、第1押圧部21および第2押圧部22の駆動は、例えば、油圧装置等により行う。これにより、筒状部23の内側において、試験体10が形成される。その後、第1押圧部21および第2押圧部22による押圧を解除して、筒状部23から試験体10を取り出す。
図4は、移動工程S3の準備段階を示す図である。当該準備段階では、移動装置30の正極側の端子を第1電極11に接続すると共に、移動装置30の負極側の端子を第2電極12に接続する。
図5は、移動工程S3を示す図である。移動工程S3では、スイッチ31,32をONにすることにより、試験体10に電圧を1回又は複数回印加する。これにより、試験体10内において、6Li+および7Li+を、第1電極11側から第2電極12側に移動させる。以下、第1電極11側から第2電極12側に向かう方向、つまり、6Li+および7Li+の移動方向を、単に「移動方向」という。
図6は、移動工程S3の終了時点を示す図である。スイッチ31,32をOFFにすると、移動装置30から試験体10に対して電圧が印加されなくなり、試験体10内における6Li+および7Li+の移動が止まる。その後、試験体10から移動装置30を外す。
図7は、解体工程S4を示す図である。解体装置40のカッター44により、試験体10を切断することにより、電解質13を解体する。このとき、試験体10の解体断面Dが移動方向に延在する面となるように、電解質13を解体する。その後、冷却イオンミリングにより、解体断面Dを平滑になるように加工する。
図8は、検出工程S5および解析工程S6を示す図である。検出工程S5では、まず、解体断面Dに、前述のイオンミリングによるダメージ除去用のスパッタリングを施す。その後、照射部51により、電解質13の解体断面Dにエネルギー照射Eをして、6Li+および7Li+の放出を促すと共に、放出された6Li+および7Li+を、検出部52により検出する。このとき、例えばレーザアブレーションICP質量分析(LA-ICP-MS)や、TOF-SIMSなど、同位体の質量差を分析できる分析手法を用いて、6Li+と7Li+とを互いに区別する。
解析工程S6では、検出部52により検出された6Li+および7Li+に基づいて、解析装置60が、試験体10内における6Li+の移動状態を解析する。
図9は、解析工程S6における解析のイメージを示すグラフである。グラフの横軸は、電解質13内における、移動方向の位置を示している。他方、縦軸は、当該移動方向の位置において検出された6Li+と7Li+との比を示している。以下、検出された6Li+と7Li+との比を、単に、「6Li+/7Li+」と表記する。
この図9のグラフからは、電解質13内における移動方向の全域で、天然では8%程度の6Li+/7Li+が、50%程度かそれ以上になっていることが分かる。このことから、第1電極11から、電解質13における移動方向の全域に、6Li+が到達していることが分かる。他方、例えば電解質13における移動方向の全域や一部の領域において、6Li+/7Li+が8%程度である場合には、その部分には第1電極11から6Li+が到達していないことが分かる。
以下に、本実施形態の効果をまとめる。本実施形態によれば、第1電極11から電解質13に移動してきた6Li+を、質量差に基づいて7Li+から区別して観測することができる。しかも、移動装置30により試験体10の外部から第1電極11と第2電極12との間に電圧を印加することにより、電解質13の端子間に電圧を狙った時間だけ印加できる。しかも、第1電極11と第2電極12とは、いずれも金属リチウムであり、試験体の外部から電圧が印加されていない状態において同電位であるため、電解質13の端子間に意図しない電圧が印加されてしまう心配もない。そのため、精度良く、狙った電圧印加時点での6Li+の移動状態を検出できる。
しかも、検出工程S5では、試験体10に外部から電圧が印加されていない状態において、電解質13から放出される6Li+および7Li+を検出する。そのため、試験体10に電圧を印加しながら、電解質13から放出される6Li+および7Li+を検出する場合に比べて、簡単に、狙った電圧印加時点で6Li+の移動状態を検出できる。
しかも、解体工程S4では、電解質13を解体し、検出工程S5では、電解質13の解体断面Dから放出される6Li+および7Li+を検出する。そのため、電解質13を解体することなく、例えば電解質13の端面のみから放出されるイオンを検出する場合に比べて、精度よく6Li+の移動状態を検出できる。
しかも、解体工程S4では、解体断面Dが移動方向に延在するように、電解質13を解体する。そのため、電解質13における移動方向の各部において、6Li+の移動状態を検出できる。
しかも、第2電極12は、6Li+および7Li+を、それぞれ第1電極11と同じ存在比で含有する。そのため、第1電極11と第2電極12とを、同じ材料、つまり同じ金属リチウム箔から製造できる。そのため、試験体10の製造が容易になる。
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。以下の実施形態については、第1実施形態をベースにこれと異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一又は類似の点については、適宜説明を省略する。
図10は、本実施形態のイオンの移動測定方法を示すフローチャートである。本実施形態では、解体工程S4がない点、および、移動工程S3、検出工程S5、解析工程S6を繰り返し行う点で、第1実施形態と相違している。
検出工程S5では、電解質13が解体されていない状態において、照射部51により電解質13の端面に対してエネルギー照射Eを行うと共に、電解質13の端面から放出される6Li+および7Li+を検出する。具体的には、本実施形態では、移動工程S3を一旦終了して、移動装置30から試験体10への電圧印加を解除した状態で、検出工程S5を行う。ただし、これに代えて、移動工程S3と同時に、つまり試験体10に電圧を印加しながら、検出工程S5を行うようにしてもよい。
検出工程S5の後は、第1実施形態の場合と同様に、解析工程S6を行う。解析工程S6の後は、S7において、移動工程S3、検出工程S5、解析工程S6を所定回数行ったか否か判定する。否定判定した場合、S2に戻って、移動工程S3、検出工程S5、解析工程S6を繰り返す。他方、S5で肯定判定した場合、フローを終了する。
本実施形態によれば、移動工程S3、検出工程S5、解析工程S6を繰り返すことにより、移動工程S3による電圧印加の総時間が互いに異なる複数の時点で、検出工程S5を行うことになる。そのため、複数の電圧印加時点において、6Li+の移動状態を検出できる。
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態の試験体10等を示す図である。本実施形態では、第2電極12が、6Liではなく、7Liを主体に構成されている。そのため、第2電極12は、7Liを、第1電極11における当該7Liの存在比よりも高い存在比で含有すると共に、6Liを、第1電極11における当該6Liの存在比よりも低い存在比で含有している。具体的には、例えば第2電極12は、6Liおよび7Liをそれぞれ天然存在比で含有していてもよいし、略7Liのみから構成されていてもよい。
本実施形態によれば、第1電極11の方が第2電極12よりも6Liを高い存在比で含有するため、電解質13における6Li+の増加を、第1電極11側からの6Li+の移動によると断定し易くなる。
[第4実施形態]
図12は、第4実施形態のイオンの移動測定装置100を示す模式図である。本実施形態は、第1実施形態と比較して、イオンの移動測定装置100が、第1実施形態でいう移動装置30を有しない点、および解析装置60が、作成器61と算出器62と割出器63とを有する点で相違している。本実施形態では、一台のコンピュータが、作成器61と算出器62と割出器63とを含んでいる。ただし、これに代えて、例えば、作成器61と算出器62と割出器63とが、それぞれが別々のコンピュータによって構成されていてもよい。
図13は、本実施形態のイオンの移動測定方法を示すフローチャートである。本実施形態のイオンの移動測定方法は、第1実施形態と比較して、以下の点で相違している。まず、移動工程S3の代わりに、放置工程S3a,S3bを有する点で相違している。さらに、解析工程S6の代わりに、作成工程S6aと算出工程S6bと割出工程S6cとを有する点で、相違している。さらに、割出工程S6cの後に、放置時間確認工程S7を有する点で、相違している。
準備工程S1および製造工程S2は、第1実施形態の場合と同様である。放置工程S3aでは、第1電極11と第2電極12との間に電圧を印加することなく、試験体10を、例えば2日、4日などの所定の放置時間t放置する。解体工程S4は、第1実施形態の場合と同様である。
以下、第1電極11側から前記第2電極12側に向かう方向を、つまり第1実施形態でいう移動方向を、「拡散方向X」という。本実施形態の検出工程S5は、第1実施形態の場合と比較して、検出装置50が、電解質13のみならず、第1電極11をも含む拡散方向Xの範囲で、6Li+を検出する点で相違している。
以下、拡散方向Xの複数の点において6Li+の濃度をプロットしたプロファイルを、単に「プロファイル」といい、実測値に基づくプロファイルを「実測プロファイルPa」といい、演算に基づくプロファイルを「演算プロファイルPc」という。
作成工程S6aでは、検出工程S5での検出結果に基づいて、作成器61が実測プロファイルPaを作成する。以下、電解質13から第1電極11に拡散する6Li+の拡散係数を「電極拡散係数DLi」といい、第1電極11から電解質13に拡散する6Li+の拡散係数を「電解質拡散係数Dse」という。また以下では、電極拡散係数DLiと電解質拡散係数Dseとの組み合わせを、「拡散パラメータDLi,Dse」という。
算出工程S6bでは、算出器62が、複数通りの拡散パラメータDLi,Dseを用いて、拡散パラメータDLi,Dseごとに演算プロファイルPcを算出する。その算出手法の詳細については、後述する。
割出工程S6cでは、割出器63が、算出された複数の演算プロファイルPcのうちの実測プロファイルPaとの乖離が最も小さくなると判定される演算プロファイルPcを割り出す。その割り出し手法の詳細については後述する。そして、割出器63は、割り出された演算プロファイルPcに対応する拡散パラメータDLi,Dseを割り出す。
放置時間確認工程S7では、放置時間tの累積時間が所定時間に到達したか否か判定する。否定判定Nをした場合、放置工程S3aと同様の放置工程S3bを行ってから、検知工程S5に戻る。他方、放置時間確認工程S7において、肯定判定Yをした場合、フローを終了する。
図14は、作成工程S6aで作成した実測プロファイルPaの例を示すブラフである。破線の折れ線は、放置時間tが2日の場合の実測プロファイルPaを示し、実線の折れ線は、放置時間tが4日の場合の実測プロファイルPaを示している。
図15は、図13に示した算出工程S6bの詳細を示すフローチャートである。以下、電極拡散係数DLiについての、現実的になり得る範囲の下限値を「下限値DLiL」といい、現実的になり得る範囲の上限値を「上限値DLiU」という。また、電解質拡散係数Dseについての、現実的になり得る範囲の下限値を「下限値DseL」といい、現実的になり得る範囲の上限値を「上限値DseU」という。
ます、S61において、電極拡散係数DLiを下限値DLiLに設定する。次にS62において、電極拡散係数DLiが上限値DLiU以下であるか否か判定する。肯定判定Yをした場合、S63において、電解質拡散係数Dseを下限値DseLに設定する。
次にS64において、電解質拡散係数Dseが上限値DseU以下であるか否か判定する。肯定判定Yをした場合、S65において、現在の拡散パラメータDLi,Dseに基づいて、演算プロファイルPcを算出する。その算出の詳細については後述する。次に、S66において、算出された演算プロファイルPcの実測プロファイルPaからの乖離を算出する。その算出の詳細についても、後述する。
次に、S67において、電解質拡散係数Dseを所定値増やしてから、S64に戻る。その後、S64において肯定判定Yをする限りは、つまり、電解質拡散係数Dseが上限値DseU以下である限りは、S64~67を繰り返す。
他方、S64において、否定判定Nをした場合、つまり、電解質拡散係数Dseが上限値を超える場合、S68に進み、電極拡散係数DLiを所定値増やしてから、S62に戻る。その後、S62において肯定判定Yをする限りは、つまり、電極拡散係数DLiが上限値DLiU以下である限りは、S62~68を繰り返す。
他方、S62において、否定判定Nをした場合、つまり、電極拡散係数DLiが上限値DLiUを超える場合、割出工程S6cに進む。
次に、図16および図17を参照しつつ、図15に示したS65での演算プロファイルPcの算出について説明する。
図16は、放置時間が「0」の初期状態での演算プロファイルPcを示すグラフである。以下、6Li+および7Li+を含む全リチウムイオンに対する6Li+の割合を「6Li+の濃度」という。このように、初期状態では、第1電極11内の6Li+の濃度は、例えば95%等の所定の初期濃度CLiで一定であり、また、電解質13内の6Li+の濃度は、例えば天然存在比である7.5%等の、所定の初期濃度Cseで一定であると想定する。
この状態から、第1電極11内の6Li+が電極拡散係数DLiに従って電解質13内に拡散すると共に、電解質13内の6Li+が電解質拡散係数Dseに従って第1電極11内に拡散すると想定する。
図17は、放置時間tが2日などの所定状態での演算プロファイルPcを示すグラフである。以下、第1電極11から電解質13への6Li+の拡散に基づくプロファイルを「第1プロファイルPc1」といい、電解質13から第1電極11への6Li+の拡散に基づくプロファイルを「第2プロファイルPc2」という。演算プロファイルPcは、これら第1プロファイルPc1と第2プロファイルPc2との足し算になる。
具体的には、第1プロファイルPc1は、次の式1に基づいて算出することができ、第2プロファイルPc2は、次の式2に基づいて算出することができる。
Figure 2023109711000002
Figure 2023109711000003
これら式1,式2において、「C(x,t)」は、該当する「x」「t」での6Li+の濃度である。「erf」は誤差関数を示している。以下、第1電極11と電解質13との境界を「境界B」という。「x」は、拡散方向Xの位置を示している。「xb」は、境界Bの拡散方向Xの位置を示している。「t」は、放置時間tである。この放置時間tとしては、実測プロファイルPaの場合と同じ放置時間tを採用する。つまり、検出工程で6Li+を検出した時点での放置時間tを採用する。「CLi」は、第1電極11内における6Li+の初期濃度CLiである。「Cse」は、電解質13内における6Li+の初期濃度Cseである。
次に図18を参照しつつ、図15で示したS66での乖離の算出について説明する。図18の3本の曲線は、電極拡散係数DLiおよび電解質拡散係数Dseのいずれもが相対的に大きい場合と、相対的に小さい場合と、それらの中間である場合と、の演算プロファイルPcを、それぞれ例として示している。以下、境界Bとその周辺領域とを含む領域を、「境界領域Rb」という。
S66での乖離の算出は、演算プロファイルPcごとに、境界領域Rbにおいて、最小二乗法を用いて行う。つまり、境界領域Rbにおける拡散方向Xの複数の各点において、演算プロファイルPcにおける6Li+の濃度と、実測プロファイルPaにおける6Li+の濃度との差を算出する。それらの各点での差の平方の合計を、乖離の大きさを示す乖離パラメータとして記憶する。
そして、割出工程S6cでは、前述の乖離パラメータが一番小さい演算プロファイルPcを割り出す。そして、割り出された演算プロファイルPcに対応する拡散パラメータDLi,Dseを割り出す。
図12に示した解析装置60は、割り出された拡散パラメータDLi,Dseを、例えば、ディスプレイに表示したり、解析装置60の少なくとも一部を構成するコンピュータやメモリに入力したり、解析装置60の外部にあるコンピュータやメモリに出力したりする。
次に、割り出された拡散パラメータDLi,Dseの用途について説明する。割り出された電極拡散係数DLiおよび電解質拡散係数Dseと、前述の式1および式2と、所望の放置時間tとに基づいて、当該所望の放置時間tだけ試験体10を放置した状態での6Li+の拡散状態を推定することができる。
具体的には、割り出された電極拡散係数DLiと、前述の式1と、当該所望の放置時間tとに基づいて、当該所望の放置時間tだけ試験体10を放置した状態での第1プロファイルP1を求めることができる。また、割り出された電解質拡散係数Dseと、前述の式2と、当該所望の放置時間tとに基づいて、、当該所望の放置時間tだけ試験体10を放置した状態での第2プロファイルP2を求めることができる。それら第1プロファイルP1および第2プロファイルP2の和に基づいて、当該所望の放置時間tだけ試験体10を放置した状態での演算プロファイルPcを求める。それによって、当該所望の放置時間tだけ試験体10を放置した状態での6Li+の拡散状態を推定することができる。
さらに、割り出された拡散パラメータDLi,Dseは、次の式3,式4に基づいて、温度補正することができる。
Figure 2023109711000004
Figure 2023109711000005
上記の式3および式4において、「A」は、振動数因子である。「QLi」は、第1電極11内における6Li+の活性化エネルギーQLiであり、「Qse」は、電解質13内における6Li+の活性化エネルギーQseである。「R」は、気体定数である。「T」は、試験体10の絶対温度である。
上記の補正について、詳しくは、以下の通りである。割り出された電極拡散係数DLiと、その割り出しにおいて用いられた実測プロファイルPaおよび演算プロファイルPcに対応する温度Tと、上記の式3とに基づいて、活性化エネルギーQLiを求めることができる。その求められた活性化エネルギーQLiと、上記の式3と、所望の温度Tとから逆に、当該所望の温度Tでの電極拡散係数DLiを求めることができる。これと同様に、当該所望の温度Tでの電解質拡散係数Dseを求めることができる。以上によって、当該所望の温度Tでの拡散パラメータDLi,Dseを推定することができる。つまり、拡散パラメータDLi,Dseを温度補正することができる。
以下に本実施形態の構成および効果をまとめる。
本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、第1電極11と第2電極12とが同じ電位であるため、電解質13の端子間に意図しない電圧が印加されてしまう心配がない。この状況下において、検出工程S5では、試験体10における拡散方向Xの複数の点において、6Li+を検出する。そして、作成工程S6aでは、検出工程S5での検出結果に基づいて実測プロファイルPaを作成する。そのため、6Li+の拡散による移動を、意図しない電圧による影響なしに、精度良く検出して、実測プロファイルPaを精度良く作成することができる。
そして、割出工程S6cでは、その実測プロファイルPaとの乖離が最も小さくなると判定される演算プロファイルPcを割り出すと共に、その演算プロファイルPcに対応する拡散パラメータDLi,Dseを割り出す。そのため、その割り出された拡散パラメータDLi,Dseから逆に、放置時間tや温度Tなどの条件を変更した場合の演算プロファイルPcを算出することができる。それによって、当該条件を変更した場合における6Li+の拡散状態を推定できる。それによって、例えば、所望の条件での特定層でのリチウムイオン濃度、充放電量などの、二次電池の状態を推定できるようになり、ひいては、二次電池の最適設定や最適制御に繋げることができる。
[他の実施形態]
以上の実施形態は、例えば次のように変更して実施できる。電解質13が、液体電解質であってもよいし、固体電解質と液体電解質との両方から構成されていてもよい。
また、第1電極11および第2電極12が、ステンレス等の互いに同じ材質のベース部材に、金属リチウムが積層されることにより、形成されていてもよい。この場合であっても、第1電極11と第2電極12との間に、材質の違いによる電位差が生じないので、試験体10に外部から電圧が印加されていない状態において、第1電極11および第2電極12が互いに同じ電位になる。
また、第1電極11および第2電極12が金属リチウム以外の元素で構成されており、検出工程S5では、当該元素の第1原子イオンと、それと同位体の第2原子イオンとを区別するようにしてもよい。
また、第4実施形態において、6Li+の濃度のプロファイルに代えて、7Li+の濃度のプロファイルを求めるようにしてもよい。また、第4実施形態において、最小二乗法以外の手法によって、乖離パラメータを算出するようにしてもよい。具体的には、例えば、各点での差の絶対値の合計を、乖離パラメータとしてもよい。また、第4実施形態において、演算プロファイルPcの算出は、2種の異なる金属を接合させた場合の相互拡散を表した式1、式2を用いて行っているが、拡散を表す他の式またはモデルを用いて行ってもよい。
6Li+ 第2原子のイオンとしての6リチウム原子イオン
7Li+ 第1原子のイオンとしての7リチウム原子イオン
10 試験体
11 第1電極
12 第2電極
13 電解質
30 移動装置
40 解体装置
50 検出装置
61 作成器
62 算出器
63 割出器
100 イオンの移動測定装置
S3 移動工程
S3a 放置工程
S4 解体工程
S5 検出工程
S6a 作成工程
S6b 算出工程
S6c 割出工程

Claims (18)

  1. 第1電極および第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配された電解質と、を有する試験体であって、
    前記第1電極と前記第2電極とは、互いに同じ元素の層を有し、前記試験体の外部から電圧が印加されていない状態において、互いに同じ電位であり、
    且つ、少なくとも前記第1電極は、前記元素において天然存在比が最も高い第1原子と同位体の第2原子を、当該第2原子の天然存在比よりも高い存在比で含有する、試験体と、
    前記電解質から放出される前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出する検出装置と、
    を有するイオンの移動測定装置。
  2. 前記第1電極と前記第2電極との間に、前記第1電極側の方が高電位になるように電圧を印加することにより、前記第1原子および前記第2原子のイオンを、前記試験体内において、前記第1電極側から前記第2電極側に移動させる移動装置を、
    有する請求項1に記載のイオンの移動測定装置。
  3. 前記電解質は、固体電解質を有し、
    前記同じ元素はリチウムであり、前記第1原子は7リチウム原子であり、前記第2原子は6リチウム原子である、
    請求項1又は2に記載のイオンの移動測定装置。
  4. 前記第2電極は、前記第2原子を、当該第2原子の天然存在比よりも高い存在比で含有する、請求項1又は2に記載のイオンの移動測定装置。
  5. 前記第2電極は、前記第1原子を、前記第1電極における当該第1原子の存在比よりも高い存在比で含有すると共に、前記第2原子を、前記第1電極における当該第2原子の存在比よりも低い存在比で含有する、請求項1又は2に記載のイオンの移動測定装置。
  6. 前記検出装置は、前記試験体における前記第1電極側から前記第2電極側に向かう方向の複数の点において、前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出し、
    さらに、
    前記検出装置による検出の結果に基づいて、前記複数の点での前記第1原子又は前記第2原子のイオンの濃度をプロットした実測プロファイルを作成する作成器と、
    前記試験体内における前記イオンの拡散係数を含む拡散パラメータを複数通り用いて、前記拡散パラメータごとに、前記濃度について演算した演算プロファイルを算出する算出器と、
    算出された複数の前記演算プロファイルのうちの前記実測プロファイルとの乖離が最も小さいと判定される前記演算プロファイルを割り出して、割り出された前記演算プロファイルに対応する前記拡散パラメータを割り出す割出器と、
    を有する、請求項1又は2に記載のイオンの移動測定装置。
  7. 前記拡散パラメータは、前記電解質から前記第1電極および前記第2電極のうちの一方の電極に拡散する前記イオンの拡散係数と、前記電極から前記電解質に拡散する前記イオンの拡散係数と、を含む、
    請求項6に記載のイオンの移動測定装置。
  8. 前記試験体の前記電解質は、活物質、導電助剤、バインダーのうち少なくとも1つを有する請求項1又は2に記載のイオンの移動測定装置。
  9. 第1電極および第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配された電解質と、を有する試験体であって、
    前記第1電極と前記第2電極とは、互いに同じ元素の層を有し、前記試験体に外部から電圧が印加されていない状態において、互いに同じ電位であり、
    且つ、少なくとも前記第1電極は、前記元素において天然存在比が最も高い第1原子と同位体の第2原子を、当該第2原子の天然存在比よりも高い存在比で含有する、試験体、
    を用いるイオンの移動測定方法であって、
    前記電解質から放出される前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出する検出工程を、有するイオンの移動測定方法。
  10. 前記試験体の外部から、前記第1電極と前記第2電極との間に、前記第1電極側の方が高電位になるように電圧を印加することにより、前記第1原子および前記第2原子のイオンを、前記試験体内において、前記第1電極側から前記第2電極側に移動させる移動工程を、有し、
    前記検出工程では、前記移動工程の後又は途中において、前記電解質から放出される前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出する、
    請求項9に記載のイオンの移動測定方法。
  11. 前記電解質は、固体電解質を有し、
    前記同じ元素はリチウムであり、前記第1原子は7リチウム原子であり、前記第2原子は6リチウム原子である、
    請求項9又は10に記載のイオンの移動測定方法。
  12. 前記移動工程の後における、前記試験体に外部から電圧が印加されていない状態において、前記検出工程を行う、請求項10に記載のイオンの移動測定方法。
  13. 前記移動工程と前記検出工程との間において、前記電解質を解体する解体工程を有し、
    前記検出工程では、前記電解質の解体断面から放出される前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出する、
    請求項12に記載のイオンの移動測定方法。
  14. 前記解体工程では、前記解体断面が、前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ方向に延在するように、前記電解質を解体する、請求項13に記載のイオンの移動測定方法。
  15. 前記検出工程では、前記電解質が解体されていない状態において、前記電解質の端面から放出されるイオンを検出し、
    前記移動工程による電圧印加の総時間が互いに異なる複数の時点で、前記検出工程を行う、請求項12~14のいずれか1つに記載のイオンの移動測定方法。
  16. 前記検出工程では、前記試験体における前記第1電極側から前記第2電極側に向かう方向の複数の点において、前記第1原子および前記第2原子のイオンを検出し、
    さらに、
    前記検出工程での検出結果に基づいて、前記複数の点での前記第1原子又は前記第2原子のイオンの濃度をプロットした実測プロファイルを作成する作成工程と、
    前記試験体内における前記イオンの拡散係数を含む拡散パラメータを複数通り用いて、前記拡散パラメータごとに、前記濃度について演算した演算プロファイルを算出する算出工程と、
    算出された複数の前記演算プロファイルのうちの前記実測プロファイルとの乖離が最も小さいと判定される前記演算プロファイルを割り出して、割り出された前記演算プロファイルに対応する前記拡散パラメータを割り出す割出工程と、
    を有する、請求項9又は10に記載のイオンの移動測定方法。
  17. 前記拡散パラメータは、前記電解質から前記第1電極および前記第2電極のうちの一方の電極に拡散する前記イオンの拡散係数と、前記電極から前記電解質に拡散する前記イオンの拡散係数と、を含む、
    請求項16に記載のイオンの移動測定方法。
  18. 前記試験体の前記電解質は、活物質、導電助剤、バインダーのうち少なくとも1つを有する請求項9又は10に記載のイオンの移動測定方法。

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