JP2023109690A - 欠陥観察方法、装置、およびプログラム - Google Patents

欠陥観察方法、装置、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】試料の外周部・ベベル部の欠陥を観察・検出する際に高精度を実現する欠陥観察方法及びプログラムを提供する。【解決手段】コンピュータシステムが行う欠陥観察方法であって、顕微鏡又は撮像装置を用いてベベル部における欠陥候補座標を撮像位置として撮像された画像をベベル画像として取得する第1ステップS1と、ベベル画像中の欠陥を検出する第2ステップS2と、を備える。第2ステップS2は、ベベル画像中のウェハエッジ、ウェハノッチ及びオリエンテーションフラットのうちの少なくとも1つの部位の有無を判定するステップS606と、判定結果に基づいて、ベベル画像中から欠陥を検出するための欠陥検出方式を、候補となる複数の方式から切り替えて選択適用するステップS607と、切り替えられた方式でベベル画像中から欠陥を検出する処理を行うステップS608と、を有する。【選択図】図6

Description

本発明は、試料や欠陥の観察技術に関し、例えば半導体ウェハの外周部における欠陥を観察する欠陥観察装置などの技術に関する。
半導体ウェハの製造では、製造プロセスを迅速に立ち上げ、高歩留まりの量産体制に早期に移行させることが、収益確保のために重要である。この目的のために、製造ラインには、各種の検査装置、観察装置、計測装置等が導入されている。試料である半導体ウェハは、例えば検査装置において欠陥(異物や欠陥等の総称として欠陥と記載する)の検査が行われる。検査装置は、試料における欠陥の位置・部位を示す座標情報を、欠陥候補座標として出力する。出力された欠陥候補座標は、欠陥を観察する観察装置である欠陥観察装置に供給される。
欠陥観察装置は、欠陥候補座標に基づいて、ウェハ面における欠陥候補を高解像度で撮像し、撮像画像を出力する。欠陥観察装置としては、光学式顕微鏡を用いた観察装置や、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いた観察装置が広く使われている。
観察装置を用いた観察作業は、半導体ウェハの量産ラインでは自動化が望まれている。量産ラインでの自動化のために、観察装置は、試料内の欠陥位置における画像を自動で収集する欠陥画像自動収集、言い換えると自動欠陥レビュー(Automatic Defect Review:ADR)を行う機能と、収集した欠陥画像を自動で分類する欠陥画像自動分類、言い換えると自動欠陥分類(Automatic Defect Classification:ADC)を行う機能とを備える場合がある。これらの機能により、分類された欠陥画像を自動で得ることが可能である。
検査装置が出力した欠陥候補座標には、誤差が含まれている。検査装置での欠陥候補座標の座標系と観察装置での座標系とには違いがあるため、その違いによるズレから、観察装置で欠陥候補座標を撮像しても欠陥候補が見当たらない場合がある。そのため、観察装置は、ADRにおいて、欠陥候補座標を中心として視野広く撮像を行い、この撮像により得られた画像から欠陥候補部位を検出する。観察装置は、これにより得られた欠陥候補部位を、高倍率・高解像度で撮像し、撮像された画像を観察画像として出力する。
半導体ウェハの外周部・ベベル部における欠陥の検出等に係わる先行技術例として、国際公開第2021/075170号(特許文献1)が挙げられる。特許文献1は、検査システム等として、ベベル上の欠陥の検出のために機械学習を用いる手法が記載されている。
国際公開第2021/075170号
試料である半導体ウェハの面では、外周部、言い換えるとベベル部においても、欠陥が発生する場合がある。ここで、本明細書において、ベベル部とは、半導体ウェハ外周部として、ウェハの円形の上面(言い換えると表面)の外周付近のリング状領域やウェハ側面部分を含む外周部において、一般的に存在する様々な3次元的な形状や構造の部位、例えば狭義のベベル(すなわち面取り部、斜面)、ウェハエッジ、ウェハノッチ、およびオリエンテーション・フラット(略称としてオリフラ)等を含む総称とする。ウェハエッジは、言い換えるとウェハ領域と外部領域との境界線である。ウェハノッチ(単にノッチと記載する場合もある)は、ウェハの結晶方位を表すために形成された、例えばV字形状にカットされた溝の部分である。オリフラは、ウェハの結晶方位を表すために形成された、例えば直線または平面形状にカットされた部分である。
このような外周部・ベベル部で発生した欠陥は、製造工程途中でウェハ内部(言い換えるとウェハ上面内)に移動する場合もある。この場合、致命欠陥となる事例も発生する。このことから、試料の外周部・ベベル部に発生した欠陥を観察することも必要である。
半導体製造において、例えば欠陥観察装置は、試料である半導体ウェハの外周部・ベベル部に発生した欠陥を観察する。しかし、ベベル部は、狭義のベベル、ウェハエッジ、ウェハノッチ、オリフラ等の写り込みの有無や、画像内でのウェハエッジの配置の方向・角度が、検査画像としての観察画像を撮像する位置によって異なる。そのため、単一の欠陥観察・検出方式では、高精度な欠陥観察・検出は困難である。
本発明の目的は、試料の外周部・ベベル部の欠陥を観察・検出する技術に関して、高精度を実現できる技術を提供することである。
本開示のうち代表的な実施の形態は以下に示す構成を有する。実施の形態の欠陥観察方法は、プロセッサおよびメモリ資源を有するコンピュータシステムを用いて、試料である半導体ウェハのベベル部における欠陥を観察する欠陥観察方法であって、前記コンピュータシステムが行うステップとして、顕微鏡または撮像装置を用いて前記ベベル部における欠陥候補座標を撮像位置として撮像された画像をベベル画像として取得する第1ステップと、前記ベベル画像中の欠陥を検出する第2ステップと、を備え、前記第2ステップは、前記ベベル画像中のウェハエッジ、ウェハノッチ、およびオリエンテーションフラットのうちの少なくとも1つの部位の有無を判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記ベベル画像中から欠陥を検出するための欠陥検出方式を、候補となる複数の方式から切り替えて選択適用する方式切替ステップと、前記方式切替ステップで切り替えられた方式で前記ベベル画像中から欠陥を検出する処理を行う欠陥検出ステップと、を有する。
本開示のうち代表的な実施の形態によれば、試料の外周部・ベベル部の欠陥を観察・検出する技術に関して、高精度を実現できる。上記した以外の課題、構成および効果等については、発明を実施するための形態において示される。
半導体ウェハのベベル部の画像の例についての模式説明図である。 実施の形態1の欠陥観察装置の構成を示す。 実施の形態1の欠陥観察装置におけるSEMの検出器の構成例を示す斜視図である。 半導体ウェハの上面における欠陥候補座標などの例を示す説明図である。 SEMの検出器による画像における凹凸の欠陥の見え方の違いを示す説明図である。 実施の形態1の欠陥観察装置で実施される実施の形態1の欠陥観察方法における、全体的な処理・動作を示すフロー図である。 実施の形態1で、判定ステップおよび方式切替ステップについて説明するための、ベベル画像の分類図を示す。 実施の形態1で、参照画像撮像方式に関して、ベベル画像の参照画像を撮像する対称・回転位置についての模式説明図である。 実施の形態1で、参照画像撮像方式に関して、ベベル画像の参照画像の作成の際の回転・入れ替えについての模式説明図である。 実施の形態1で、参照画像撮像方式に関して、処理例を示す図である。 実施の形態1で、参照画像撮像方式に関して、複数の画像の撮像順序についての説明図である。 図11に対する比較例の方法での撮像順序についての説明図である。 実施の形態1で、参照画像推定方式に関して、処理例を示す図である。 実施の形態1で、参照画像推定方式の詳細に関して、処理例を示す図である。 実施の形態1で、類似データ比較方式に関して、処理例を示す図である。 実施の形態1で、欠陥検出に関するGUIを含む画面の表示例を示す。 実施の形態2で、半導体ウェハのベベル部の例を示す図である。 実施の形態2で、ベベル部の画像の例を示す図である。 実施の形態2の欠陥観察方法における全体的な処理を示すフロー図である。 実施の形態2で、判定ステップおよび方式切替ステップについて説明するための、ベベル画像の分類図を示す。 実施の形態2で、判定ステップにおける処理を示すフロー図である。 実施の形態2で、ノッチ/オリフラの有無の判定に関する説明図である。 実施の形態2で、領域境界の直線と曲線に関する説明図である。 実施の形態2で、第1の欠陥検出方式における処理を示すフロー図である。 実施の形態2で、第1の欠陥検出方式における生成用画素群の生成の例を示す図である。 実施の形態2で、第2の欠陥検出方式における処理を示すフロー図である。 実施の形態2で、第2の欠陥検出方式における生成用画素群の生成の例を示す図である。 実施の形態2の比較例における、領域境界の方向などの説明図である。 実施の形態2で、第3の欠陥検出方式における処理を示すフロー図である。 実施の形態2で、第3の欠陥検出方式における領域境界からの距離の例を示す説明図である。 実施の形態2で、第3の欠陥検出方式における生成用画素群の生成の例を示す図である。 実施の形態2で、第3の欠陥検出方式における生成用画素群の生成に関する他の処理例を示す図である。 実施の形態2で、生成用画素群に含まれる最大画素数を設定するGUIを含む画面の表示例を示す図である。 実施の形態2の変形例1における、画素ごとに感度を設定する処理を示すフロー図である。
以下、図面を参照しながら本開示の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一部には原則として同一符号を付し、繰り返しの説明を省略する。図面において、構成要素の表現は、発明の理解を容易にするために、実際の位置、大きさ、形状、および範囲等を表していない場合がある。
説明上、プログラムによる処理について説明する場合に、プログラムや機能や処理部等を主体として説明する場合があるが、それらについてのハードウェアとしての主体は、プロセッサ、あるいはそのプロセッサ等で構成されるコントローラ、装置、計算機、システム等である。計算機は、プロセッサによって、適宜にメモリや通信インタフェース等の資源を用いながら、メモリ上に読み出されたプログラムに従った処理を実行する。これにより、所定の機能や処理部等が実現される。プロセッサは、例えばCPUやGPU等の半導体デバイス等で構成される。プロセッサは、所定の演算が可能な装置や回路で構成される。処理は、ソフトウェアプログラム処理に限らず、専用回路でも実装可能である。専用回路は、FPGA、ASIC、CPLD等が適用可能である。
プログラムは、対象計算機に予めデータとしてインストールされていてもよいし、プログラムソースから対象計算機にデータとして配布されてもよい。プログラムソースは、通信網上のプログラム配布サーバでもよいし、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えばメモリカード)でもよい。プログラムは、複数のモジュールから構成されてもよい。コンピュータシステムは、複数台の装置によって構成されてもよい。コンピュータシステムは、クラウドコンピューティングシステムやIoTシステム等で構成されてもよい。各種のデータや情報は、例えばテーブルやリスト等の構造で構成されるが、これに限定されない。識別情報、識別子、ID、名、番号等の表現は互いに置換可能である。
<実施の形態1>
図1~図16を用いて、本開示の実施の形態1の欠陥観察装置および方法について説明する。実施の形態1の欠陥観察方法は、実施の形態1の欠陥観察装置により実行されるステップを有する方法である。図2等に示す実施の形態1の欠陥観察装置1は、試料10である半導体ウェハの外周部・ベベル部の欠陥を観察する機能を有する装置である。図6等に示す実施の形態1の欠陥観察方法は、試料10である半導体ウェハの外周部・ベベル部の欠陥を観察するステップを有する方法である。
実施の形態1の欠陥観察装置1は、顕微鏡ないし撮像装置として、光学式顕微鏡またはSEM2等を用いて、ウェハの外周部・ベベル部において複数のチャネル(後述)の画像をベベル画像として撮像する撮像部と、ベベル画像中の欠陥部位を検出する欠陥検出部と、を有する。実施の形態1の欠陥観察方法は、SEM2等を用いて、ウェハの外周部・ベベル部において複数のチャネルの画像をベベル画像として撮像する第1ステップS1と、ベベル画像中の欠陥部位を検出する第2ステップS2と、を有する。
実施の形態1の欠陥観察方法では、第2ステップS2は、判定ステップS606と、方式切替ステップS607と、欠陥観察・検出ステップS608とを有する。判定ステップS606は、ベベル画像と、撮像情報(撮像位置、撮像倍率、および撮像視野の少なくとも1つの情報)を用いて、ベベル画像中の、ウェハエッジ、ウェハノッチ、およびオリフラのうち少なくとも1つの部位の有無を判定するステップである。方式切替ステップS607は、判定ステップS606の判定結果、および第1ステップS1の撮像で使用した顕微鏡/撮像装置の種類に基づいて、欠陥を観察・検出する方式(欠陥検出方式と記載する場合がある)を切り替えて選択適用するステップである。
複数のチャネルのベベル画像とは、例えば以下のような画像である。顕微鏡/撮像装置として例えばSEMを用いる場合に、複数のチャネルの画像を撮像する機能を有するSEM2(図2)を用いることができる。SEM2での複数のチャネルの画像は、SEM2に備える複数の検出器111により取得・撮像することができる、陰影が異なる複数の種類の画像である。
以下の実施の形態1では、欠陥観察装置1および方法として、半導体ウェハを試料とし、少なくとも半導体ウェハのベベル部を対象として欠陥を観察・検出する場合を例に説明する。また、実施の形態1では、欠陥観察装置1が用いる顕微鏡または撮像装置として、SEM2(図2)を用いる例を説明する。これに限定されず、顕微鏡または撮像装置としては、光学式顕微鏡や、例えばイオンなどの荷電粒子を用いた荷電粒子ビーム装置などの、他の種類の顕微鏡や撮像装置も適用可能である。欠陥観察装置1を含むシステムでの処理は、使用する顕微鏡/撮像装置の種類や、その顕微鏡/撮像装置での撮像情報(撮像位置、撮像倍率、撮像視野などの情報)に合わせた、適切な画像、例えば適切なサイズや解像度などの画像を用いて行われる。
また、実施の形態1では、欠陥観察装置1が用いる顕微鏡/撮像装置(例えばSEM2)による撮像画像としては、基本的に撮像方向としてウェハ上面に対し垂直な方向から撮像する画像(言い換えるとトップビュー画像)を用いる例を説明する。これに限定されず、この画像としては、ウェハ上面の垂直方向に対し斜め方向(言い換えるとチルト方向など)から撮像する画像も、同様に適用可能である。
また、実施の形態1では、欠陥観察装置1は、外部の欠陥検査装置5(図2)で生成され出力された欠陥検出情報8(前述の欠陥候補座標を含む)を参照し、その欠陥候補座標を撮像位置としてベベル画像などを撮像する場合を説明する。
[半導体ウェハのベベル部の画像]
図1は、前提技術に関する説明図として、半導体ウェハのベベル部の画像の例を示し、特に、ウェハエッジ、ノッチ、およびオリフラの例を示す模式説明図である。図1の左側には、ウェハの円形の上面(言い換えると表面)を示しており、図1の右側には、ウェハ上面のうち、ベベル部100にある一部の矩形の領域を対象に撮像された画像の例を示している。ベベル部100は、破線でリング状の領域として概略的に図示している。外周部であるベベル部100の内側は、内周部と記載する場合もある。
図1の左側で、(a1)で示す、上から1つ目のウェハW1は、外周部であるベベル部100においてノッチ121を有する例であり、ウェハ上面の円形の内側において複数の矩形の領域が区画して設定された場合を示す。この領域は、チップ領域、あるいは撮像領域に対応する。(a2)で示す、上から2つ目のウェハW1は、(a1)と同じウェハW1のベベル部100において、撮像領域が設定された例を示す。その撮像領域を例えば領域r1、領域r2として示す。(a3)で示す、上から3つ目のウェハW2は、(a1)とは別のウェハW2としてベベル部100にオリフラ122を有する例であり、ベベル部100において、撮像領域が設定された例を示す。その撮像領域を例えば領域r3として示す。
図1の右側で、3つの画像は、上から、(b1)で示す、領域r1に対応した画像として、ウェハエッジ131が写った画像g1と、(b2)で示す、領域r2に対応した画像として、ウェハエッジ132およびウェハノッチ133が写った画像g2と、(b3)で示す、領域r3に対応した画像として、ウェハエッジ134およびオリフラ135が写った画像g3とを示す。なお、図1等の例での撮像画像は、実際には多値の色や輝度を有するが、図面では、白、グレー、黒などの少ない値、あるいはドットパターン領域などに単純化して模式で図示している。
領域r1の画像g1において、領域g11はウェハの上面の領域である。領域g12は、狭義のベベルとして面取り部、斜面が形成されている領域である。領域g13は、ウェハ外部として例えば背景にあるステージ(図2でのステージ109)の一部が暗く写っている領域である。領域g14は、ベベル部100に発生する欠陥の例を示す。本例では特に、ウェハエッジ131の一箇所に欠陥の領域g14が発生している。ウェハエッジ131は、画像g1内において、ウェハ領域、特にベベルの領域g12と、外部の領域g13との境界線に相当する。ウェハエッジ131は、円弧の曲線であるが、画像g1内では概略的に直線に見えている。本例では、ウェハエッジ131の線は、画像g1内で、矩形の領域の縦横線(例えば上辺)に対し-45度程度で概略的に斜線として配置されている。
領域r2の画像g2において、ノッチ121の一部が写っている。領域g21は、ウェハ上面の領域である。領域g22は、狭義のベベルの領域である。領域g23は、ウェハ外部の領域である。領域g24は、ベベル部100、特にウェハエッジ132上に発生する欠陥の例を示す。ウェハノッチ133は、本例では画像g2内でベベルの領域g22およびウェハエッジ132から連続して左部に写っている。このウェハノッチ133の形状は、一例として、ウェハ上面に垂直な断面ではなく斜面として形成されている。
領域r3の画像g3において、オリフラ122の一部が写っている。領域g31は、ウェハ上面の領域である。領域g32は、狭義のベベルの領域である。領域g33は、ウェハ外部の領域である。領域g34は、ベベル部100、特にウェハエッジ134に発生する欠陥の例を示す。オリフラ135は、本例では画像g3内でベベルの領域g32およびウェハエッジ134から連続して左部に写っている。このオリフラ135の形状は、一例として、ウェハ上面に垂直な断面として形成されている。
以下では、説明上、ウェハエッジ131,132等のようなウェハエッジの方向・角度を用いる場合がある。このウェハエッジの方向・角度とは、図示のように撮像画像内において写っているウェハエッジ131等の線の配置の方向や角度を指す。
図1の例のようなベベル部100内の撮像領域は、欠陥検査装置5(図2)からの欠陥検出情報8の欠陥候補座標に基づいて設定される。なお、図1の例に限らず、変形例では、ウェハ上面において、外周部であるベベル部100のすべてを網羅するように、複数の矩形の撮像領域が設定されてもよい。
実施の形態1では、例えばSEM2(図2)は、図1の例のようなベベル部100での撮像領域を対象に撮像してベベル画像として得る。各撮像領域は、欠陥候補座標に対応させたSEM2での2次元座標(X,Y)を含むように、撮像位置、撮像視野が設定される。また、変形例では、SEM2は、ベベル部100の同じ領域(例えばノッチ121やオリフラ122)を対象に、複数の画像を撮像してもよいし、同じ領域を対象に、少量ずつ位置や角度を変えながら複数の画像を撮像してもよい。
なお、説明上で登場する座標や位置は、座標系を限定するものではなく、例えばウェハを基準としたウェハ座標系での2次元座標(X,Y)としてもよいし、ウェハを載置するステージ109(図2)を基準としたステージ座標系での2次元座標(X,Y)としてもよい。あるいは、顕微鏡や撮像装置が撮像座標系を持つ場合にはその撮像座標系での座標としてもよい。いずれであっても、座標や位置は、各座標系の関係に基づいて適宜に変換される。
上記例のように、ウェハ上面に対し垂直な方向からベベル部100を撮像したトップビューのベベル画像では、ウェハ内領域とウェハ外領域との境界であるウェハエッジ131等や、ウェハノッチ121またはオリフラ122が写っている場合がある。画像g1の例では、ウェハノッチ121等は写っておらず、ウェハエッジ131のみが写っている。画像g2の例では、ウェハエッジ132とウェハノッチ133との両方が写っている。画像g3の例では、ウェハエッジ134とオリフラ135との両方が写っている。このように、対象試料や、SEM2等の撮像位置(例えば領域r1の中心点)に応じて、ウェハエッジやウェハノッチやオリフラの有無や、画像内でのウェハエッジの方向・角度が異なる。
そのため、従来の単一の欠陥観察・検出方式によって、これらの全てのベベル画像における欠陥を高精度に検出することは困難である。
[欠陥観察装置]
図2は、実施の形態1の欠陥観察装置1の構成を示す。欠陥観察装置1は、大別して、顕微鏡または撮像装置であるSEM2(走査電子顕微鏡)と、SEM2の上位制御装置であるコンピュータシステム3とを有して構成されている。欠陥観察装置1は、具体例としては、前述のADR機能を有する試料観察装置としてのレビューSEMである。SEM2には、接続線(言い換えると信号線、通信線)などを通じて、コンピュータシステム3が結合されている。コンピュータシステム3は、SEM2を制御する機能などを有する装置であり、言い換えるとコントローラである。コントローラは、1以上の計算機でもよい。欠陥観察装置1は、SEM2を制御してSEM2により撮像した画像を取得する機能と、その撮像画像に基づいて欠陥を観察・検出する機能とを少なくとも有する。欠陥観察装置1は、特に前述のADR機能を有する。
欠陥観察装置1は、必要な機能ブロックや各種のデバイスを備えているが、図面では必須要素を含む一部を図示している。図2の欠陥観察装置1を含む全体は、言い換えると欠陥検査システムとして構成されている。
通信網9(例えばLAN)には、欠陥観察装置1に対する外部装置として、例えば欠陥検査装置5や、欠陥分類装置6などが接続されている。
本例では、予め、外部の欠陥検査装置5において、試料10である半導体ウェハを対象として検査した結果として、欠陥検出情報8が作成されている。欠陥検出情報8は、欠陥候補座標を含む情報である。欠陥検査装置5から出力された欠陥検出情報8は、例えば予め外部記憶デバイス4に格納されている。これに限らず、欠陥検出情報8は、通信網9上のサーバなどのデータベースなどに格納されてもよい。コンピュータシステム3は、欠陥観察の際には、外部記憶デバイス4から、その欠陥検出情報8を読み出して参照する。
欠陥分類装置6は、前述のADC機能を有する装置またはシステムである。欠陥分類装置6は、欠陥観察装置1でのADR機能による欠陥観察の処理結果のデータ・情報に基づいて、ADC処理を行い、欠陥および欠陥画像を分類した結果を得る。なお、図1の構成例に限らず、欠陥観察装置1に欠陥分類装置6が併合された形態も可能である。
なお、図2では、上位制御装置が1つのコンピュータシステム3で構成される場合を示しているが、上位制御装置が複数のコンピュータシステム、例えば複数のサーバ装置等で構成されてもよい。
コンピュータシステム3は、制御部102、記憶部103、演算部104、入出力インタフェース105、通信インタフェース107、ユーザインタフェース制御部106等を備える。それらの構成要素は、バス114に接続されており、相互に通信や入出力が可能である。
制御部102は、全体を制御するコントローラに相当する。制御部102は、例えば、ハードウェア回路、もしくは、CPUまたはMPU、またはGPU等のプロセッサを有して構成されている。制御部102は、CPU等のプロセッサを有する場合、プロセッサが記憶部103から読み出されたプログラムに従った処理を実行する。制御部102は、例えばプログラム処理に基づいて各種の機能を実現する。演算部104は、例えば、CPUまたはMPU、またはGPU等と、ROMやRAM等のメモリとを有して構成されている。演算部104は、プロセッサが記憶部103から読み出されたプログラムに従って演算を行う。なお、制御部102と演算部104とが一体の構成でもよい。
記憶部103は、プログラムを含む各種の情報やデータを記憶するデバイスで構成され、例えば磁気ディスクや半導体メモリ等を備える記憶媒体装置で構成できる。記憶部103には、外部記憶デバイス4または通信網9から読み込まれたプログラム等のデータが格納されてもよい。記憶部103には、外部記憶デバイス4等から読み込まれた欠陥検出情報8などが格納されてもよい。記憶部103には、SEM2から取得された画像データが格納されてもよい。
入出力インタフェース105は、入力デバイス、出力デバイス、および外部記憶デバイス4とのインタフェースが実装されたデバイスであり、それらのデバイスとの間でデータや情報の入出力を行う。コンピュータシステム3には、入出力インタフェース105を通じて、例えば外部記憶デバイス4が接続されている。外部記憶デバイス4には、各種のプログラムやデータが格納されていてもよい。外部記憶デバイス4には、画像データや処理結果情報が格納されてもよい。
通信インタフェース107は、LANなどの通信網9に対応した通信インタフェースが実装されたデバイスであり、通信網9に対してデータや情報を送受信する。コンピュータシステム3は、通信インタフェース107を通じて、通信網9と接続される。コンピュータシステム3は、通信網9を介して、外部のシステムや装置と接続され通信可能である。例えば、通信網9には、欠陥検査装置5や欠陥分類装置6が接続されている。外部装置の他の例としては、データベースサーバ、製造実行システム(MES)等が挙げられる。コンピュータシステム3は、外部装置から、試料の設計データや、製造プロセスの情報を参照してもよい。製造プロセスの例としては、エッチングなどが挙げられる。
ユーザインタフェース制御部106は、ユーザ、言い換えるとオペレータとの間で情報・データの入出力を行うためのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を含むユーザインタフェースを提供・制御する部分である。コンピュータシステム3には、ユーザインタフェース制御部106を通じて、入出力端末としてユーザ端末7(言い換えるとクライアント端末)が接続されてもよい。ユーザ端末7は、通信網9に接続された装置としてもよい。ユーザ端末7や他の入出力デバイスは、コンピュータシステム3に一体として内蔵された部分としてもよい。ユーザインタフェース制御部106は、ユーザ端末7に対し、GUIに対応した画面(例えばWebページ)のデータを提供する。入出力インタフェース105またはユーザインタフェース制御部106には、他の入出力デバイス、例えば表示デバイスや音声出力デバイス、操作デバイスなどが接続されてもよい。
ユーザは、ユーザ端末7あるいは他の入出力デバイスを操作して、欠陥観察装置1、特にコンピュータシステム3に対し、例えば指示や設定の情報を入力し、また、例えば画面で出力された情報を確認する。ユーザ端末7は、例えば一般的なPCを適用してもよい。ユーザ端末7には、キーボード、マウス、ディスプレイ等が内蔵されてもよいし、外部接続されてもよい。ユーザ端末7は、インターネットなどの通信網9上に接続されたリモート端末としてもよい。ユーザインタフェース制御部106は、GUIを有する画面のデータを作成して通信でユーザ端末7に提供し、ユーザ端末7は、ディスプレイにその画面を表示する。
欠陥観察装置1を含むシステムは、以下のような形態としてもよい。コンピュータシステム3は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム、またはIoTシステム等におけるサーバとして構成されてもよい。ユーザ端末7は、このサーバに対するクライアントコンピュータとして構成されてもよい。また、例えば、コンピュータシステム3または外部装置は、機械学習を行ってもよい。機械学習には、多くのコンピュータ資源が要求される場合がある。この場合、クラウドコンピューティングシステム等のサーバ群において、機械学習に係わる処理を行わせてもよい。また、サーバ群とクライアントコンピュータとの間で機能を分担してもよい。
ユーザは、例えばクライアントコンピュータであるユーザ端末7を操作し、ユーザ端末7は、サーバであるコンピュータシステム3に対し要求を送信する。サーバは、要求を受信し、要求に応じた処理(例えば撮像や欠陥観察処理)を行う。例えば、サーバは、要求された画面(例えばWebページ)のデータを、応答としてユーザ端末7に送信する。ユーザ端末7は、その応答のデータを受信し、ディスプレイにその画面(例えばWebページ)を表示する。
[撮像装置]
図2で、撮像装置であるSEM2は、筐体101内に、ステージ109、電子銃110、図示しない電子レンズ、偏向器112、および検出器111等を備えている。ステージ109は、言い換えると試料台であり、試料10である半導体ウェハが載置・保持され、少なくとも水平方向(図示のX,Y方向)に移動可能である。電子銃110は、ステージ109上の試料10に対し電子ビームを照射するための電子銃である。図示しない電子レンズは、電子ビームを試料10の面上に収束させる。偏向器112は、電子ビームを試料10の面上で走査するための偏向器である。検出器111は、電子ビームの照射によって試料10から発生した二次電子や反射電子等の電子・粒子を検出する。言い換えると、検出器111は、試料10の面の状態を画像として検出する。本例では、検出器111は、図示のように、複数の検出器として有する。
本例では、上位制御装置であるコンピュータシステム3は、SEM2のステージ109、電子銃110、偏向器112、および検出器111等の要素を制御する。なお、ステージ109等の機構の駆動のための駆動回路等の要素については図示を省略している。
SEM2の検出器111によって検出された情報、言い換えると画像信号または画像データは、接続線を通じて、コンピュータシステム3に供給される。なお、検出器111の内部または後段には、アナログ・デジタル変換回路等の回路を有してもよい。コンピュータシステム3は、SEM2の検出器111から供給された画像信号を、制御部102または演算部104等によって処理し、処理したデータ・情報を、記憶部103等に格納する。
SEM2は、コンピュータシステム3からの制御等に基づいて、設定された撮像条件に従って、試料10である半導体ウェハの画像を撮像する。コンピュータシステム3は、SEM2で撮像された画像である検出器111からの画像信号を処理することで、試料10に対する欠陥観察処理を実現する。欠陥観察装置1は、SEM2を用いて、試料10であるウェハの外周部・ベベル部を撮像してベベル画像を取得し、ベベル画像から欠陥を観察・検出する。
図2の欠陥観察装置1は、欠陥検査装置5からの欠陥候補座標に基づいて試料10を撮像する顕微鏡または撮像装置としてSEM2を備えている。もしくは、欠陥観察装置1は、外部の顕微鏡または撮像装置を用いて、同様の動作をしてもよい。欠陥観察装置1の特にコンピュータシステム3は、その外部の顕微鏡または撮像装置を制御したり、その外部の顕微鏡または撮像装置から撮像画像を取得したりしてもよい。言い換えると、単一の欠陥観察装置1に限定されず、欠陥観察装置と顕微鏡/撮像装置とを備えるシステムとしてもよい。
変形例として、欠陥観察装置1が用いる顕微鏡/撮像装置は、SEMと光学式顕微鏡との両方を備え、それらを使い分けるものとしてもよい。
[SEMの検出器の構成例]
図3は、欠陥観察で使用するSEM2における検出器111の構成例を示す。図3では、複数の検出器111の配置の概要についての斜視図を示す。本例では、SEM2は、複数の検出器111として、5つの検出器201~205を有する。検出器111の数は、これに限定されない。図示のx軸およびy軸は、水平面において直交する2つの水平方向であり、z軸は、x軸およびy軸に対し垂直な鉛直方向である。
検出器201および検出器202は、y軸に沿った位置P1および位置P2に配置されている。検出器203および検出器204は、x軸に沿った位置P3および位置P4に配置されている。これらの4個の検出器201~204は、ステージ109上の試料10(図3では半導体ウェハ210として円形で示す)の面に対し、z軸において上方に同一の高さ位置の平面内に配置されている。水平面でz軸の位置に試料10の中心が配置されているとする。その場合に、4個の検出器201~204は、そのz軸を基準として、同一の高さ位置の平面内で、y軸の正負の位置とx軸の正負の位置との合計4個の位置に配置されている。位置P1は、中心のz軸からy軸での正方向に所定の距離の位置である。位置P2は、中心のz軸からy軸での負方向に同じく所定の距離の位置である。位置P3は、中心のz軸からx軸での負方向に所定の距離の位置である。位置P4は、中心のz軸からx軸での正方向に同じく所定の距離の位置である。
4個の検出器201~204は、ウェハ面からの特定の放出角度(仰角および方位角で表される)を持つ電子を選択的に検出できるように配置されている。すなわち、例えば検出器201は、半導体ウェハ210の上面から、y軸の正方向(図示の矢じりの方向)に沿って放出された電子を効率的に検出可能である。また、例えば検出器204は、x軸の正方向に沿って放出された電子を効率的に検出可能である。
これらの4個の検出器201~204によれば、あたかもそれぞれの検出器に対して対向方向から光を照射したかのようなコントラストのついた画像、言い換えると陰影を持つ画像を取得可能である。言い換えると、試料10の上面に対し、垂直なz軸を基準として、x軸やy軸で傾いた斜め方向から光を照射したかのようなコントラストのついた画像を取得可能である。
また、検出器205は、z軸に沿って、4個の検出器201~204が配置されたz軸の平面よりも上方に離れた所定の位置P5に配置されている。位置P5は、z軸上の位置としてもよいし、図示のように、中心のz軸から水平方向に所定の距離を置いた位置としてもよい。位置P5は、位置P1~P4よりも中心のz軸に近い位置にある。検出器205は、主に半導体ウェハ210の面からz軸に沿って上方に放出された電子を効率的に検出可能である。
このように、複数の検出器111が異なる軸に沿って異なる位置に配置された構成により、それぞれコントラストのついた画像、言い換えると陰影が異なる複数のチャネルの画像を取得可能であり、より詳細な欠陥観察・検出が可能となる。これに限定されず、複数の検出器111は、図3の構成例とは異なる数や配置としてもよく、5個の検出器201~205の配置の詳細は特に制限されない。
[欠陥候補座標]
図4は、試料10である半導体ウェハ210の上面における、欠陥検査装置5から出力された欠陥検出情報8(図2)で示される欠陥候補座標の例を示す説明図である。図4では、x-y面において、半導体ウェハ210の円形の上面における欠陥候補座標を、×印の点で図示している。欠陥観察装置1からみると、この欠陥候補座標は、観察や検査の対象位置である。格子状に配置された矩形の領域211は、半導体ウェハ210の上面の領域内に形成されている複数のチップ(言い換えるとダイ)の領域を示している。
また、破線で示すリング状の領域212は、ウェハの外周部であるベベル部100(図1)に対応した領域を示す。このベベル部の領域212には、前述のように、狭義のベベル、ノッチ、オリフラ等が形成されている場合がある。また、欠陥検査装置5は、このようなベベル部の領域212も対象として、欠陥候補を判定・検出していてもよい。その場合、欠陥検出情報8には、ベベル部の領域212での欠陥候補座標も含まれている。例えば、欠陥候補座標213は、ベベル部の領域212内にある欠陥候補の例である。
実施の形態1の欠陥観察装置1は、このような欠陥検出情報8の欠陥候補座標に基づいて、SEM2を用いて、半導体ウェハ210の上面における内周部および外周部を含む領域を撮像する。欠陥観察装置1は、例えば欠陥候補座標(x,y)を中心撮像位置として、撮像領域を設定する。例えば撮像領域214は、欠陥候補座標(x,y)を中心撮像位置として設定した撮像領域の例である。撮像領域214の大きさは、チップ等の領域と同じサイズとしてもよいし、それとは異なるサイズとしてもよい。SEM2は、そのような各撮像領域214を対象に、複数の検出器111を用いて、1つ以上の画像を撮像する。ベベル部の領域212を対象に撮像された画像は、ベベル画像として得られる。
[顕微鏡/撮像装置の種類の情報]
欠陥観察で使用する顕微鏡/撮像装置の種類の情報(後述の図6での情報604)とは、上記のようなベベル画像の撮像において、どのような種類の顕微鏡/撮像装置を使用したかを表す情報である。例えば、欠陥観察装置1を含むシステムが、SEM2と光学式顕微鏡との両方を備える場合には、それらのどちらを使用したかを表す情報である。また、複数の種類または個数のSEMや光学式顕微鏡があってもよく、その場合には、顕微鏡/撮像装置の種類の情報とは、それらのうちどの1つの顕微鏡/撮像装置を使用したかを表す情報である。
顕微鏡/撮像装置の種類の情報は、撮像された画像などと関連付けられて、管理および記憶される。例えば、コンピュータシステム3は、顕微鏡/撮像装置の種類の情報を、画像と共に、記憶部103あるいは他のデータベースなどに記憶する。例えば、記憶部103などに、管理用のテーブルを有してもよい。また、画像の属性情報の1つとして、顕微鏡/撮像装置の種類の情報を有してもよい。画像ファイルのヘッダやメタデータとして、属性情報が記述されてもよい。
[欠陥の見え方]
次に、図5を用いて、試料10であるウェハの面に存在する凸形状の欠陥と凹形状の欠陥とを撮像した場合の、画像における欠陥の見え方の違いについて説明する。図5は、欠陥観察装置1のSEM2の検出器111(図3)による画像における、凹凸形状の欠陥の見え方の違いを示す説明図である。図5での中央部には、縦断面であるx-z面で、試料10の凸形状の欠陥501、および凹形状の欠陥504を模式で図示している。凸形状の欠陥501は、試料10の上面から上側に半球状に出ている。凹形状の欠陥504は、試料10の上面から下側に半球状に欠けている。また、図5の中央部では、複数の検出器111のうち、x軸で正負の位置にある検出器203および検出器204のみを図示している。
画像502は、凸形状の欠陥501を対象に、検出器203を用いて生成された画像を、画像503は、検出器204を用いて生成された画像を、模式的に表している。前述のように、各検出器111の画像は、あたかも検出器111の位置から光を当てたかのようなコントラストないし陰影がついた画像として取得される。そのため、画像502は、欠陥501に対し検出器203がある図示の左側上方から光を当てたような画像として得られる。すなわち、画像502では、欠陥501の凸部の左側は、矢印で示すように光が当たって相対的に明るく、凸部の右側は、影がついて相対的に暗くなったかの様な画像が得られる。画像503においても同様であり、画像502とはx軸の正負で明暗の付き方が逆転する。
画像505は、凹形状の欠陥504を対象に、検出器203を用いて生成された画像を、画像506は、検出器204を用いて生成された画像を、模式的に表している。画像505は、欠陥504に対し、検出器203がある図示の左側上方から光を当てたような画像として取得される。すなわち、画像505では、欠陥504の凹部の右側は、矢印で示すように光が当たって相対的に明るく、凹部の左側は影がついて相対的に暗くなったかの様な画像として得られる。画像506においても同様であり、画像505とはx軸の正負で明暗の付き方が逆転する。
上記例のように、SEM2は、複数の検出器111を用いた複数のチャネルの画像として、陰影が異なる複数の種類の画像を撮像・取得できる。なお、検出器203および検出器204の画像を例に説明したが、y軸での検出器201および検出器202の画像についても同様となる。
[欠陥観察およびフロー]
次に、図6等を用いて、実施の形態1の欠陥観察装置1で実施される実施の形態1の欠陥観察方法について説明する。図6は、実施の形態1の欠陥観察装置1で実施される実施の形態1の欠陥観察方法における、全体的な処理・動作を示すフロー図である。実施の形態1の欠陥観察方法は、欠陥観察装置1がSEM2を用いて試料10のベベル部において複数のチャネルの画像をベベル画像として撮像する画像撮像ステップである第1ステップS1と、撮像されたベベル画像中の欠陥を検出する欠陥検出ステップである第2ステップS2とを備える。第2ステップS2は、判定ステップS606と、方式切替ステップS607と、欠陥を検出するステップS608とを備える。
判定ステップS606は、ベベル画像605、および、撮像情報603(撮像位置、撮像倍率、撮像視野などの少なくとも1つを含む情報)を用いて、ベベル画像605中における、ウェハエッジ、ウェハノッチ、およびオリフラのうち少なくとも1つの部位の写り込みの有無を判定するステップである。方式切替ステップS607は、判定ステップS606の判定結果、および撮像ステップS602で使用した顕微鏡/撮像装置の種類の情報603に基づいて、候補となる複数の方式のうちで、欠陥を検出する方式である欠陥検出方式を切り替えて選択適用するステップである。ステップS608は、切り替えられた方式に基づいてベベル画像605中から欠陥を検出するステップである。
半導体ウェハの外周部・ベベル部の欠陥観察についての、従来の課題として、図1のように、ベベル画像の撮像位置によって、画像中のウェハエッジ、ウェハノッチ、オリフラ等の有無や、画像内でのウェハエッジの方向・角度が異なるため、単一の欠陥検出方式による欠陥検出は困難なことがあった。
この課題に対し、解決策として、実施の形態1では、ベベル画像、撮像情報、顕微鏡/撮像装置の種類の情報を用いて、ベベル部の対象に適した欠陥検出方式を切り替えて選択適用する。これにより、従来よりも、欠陥検出の精度が向上する。なお、ここでの方式とは、必要なソフトウェアやハードウェア、必要なステップやプログラム等を含む、方法、装置、プログラムなどの総称である。
図6で、欠陥観察装置1による欠陥観察では、入力として、検査対象の半導体ウェハ601(実物および試料情報など)と、欠陥検査装置5から送られた欠陥検出情報8の欠陥候補座標602とを用いる。本フローの概要としては、欠陥観察装置1は、各欠陥候補座標に対し、画像撮像ステップS1、および欠陥検出ステップS2を実行して、欠陥座標608を取得し、得られた欠陥座標608を用いて観察画像撮像ステップS609を実行して観察画像609を取得する。欠陥観察装置1は、この一連の処理を、全ての欠陥候補座標に対し同様に繰り返して実行し、全ての欠陥候補座標の観察画像609を取得して、欠陥観察を終了する。
第1ステップS1である画像撮像ステップは、欠陥観察装置1が、対象とする欠陥候補座標602に基づいて、SEM2を用いて半導体ウェハ601のベベル部のベベル画像605を撮像して取得するステップである。第1ステップS1は、詳しくは、ステップS601、ステップS602を有する。ステップS601は、欠陥候補座標毎に同様に繰り返しであり、着目する欠陥候補座標をiとし、処理すべき欠陥候補座標を1~Lとし、iごとに同様に繰り返しである。ステップS602では、コンピュータシステム3が、SEM2を制御して、SEM2により撮像した画像を、ベベル画像605として取得する。
第2ステップである欠陥検出ステップS2は、大別して、判定ステップS606、方式切替ステップS607、および欠陥検出ステップS608の3つの処理ステップに分かれている。
判定ステップS606では、入力として、画像撮像ステップS601で撮像されたベベル画像605と、撮像情報603とを用いる。入力として少なくともベベル画像605が用いられる。撮像情報603は、使用されたSEM2によりベベル画像605を撮像した際の関連する各種の情報である。撮像情報603としては、ベベル画像605の撮像位置、撮像倍率、および撮像視野などの情報が使用される。判定ステップS606では、欠陥観察装置1のコンピュータシステム3が、入力されたベベル画像605および撮像情報603に基づいて、ベベル画像605中における、ウェハエッジ、ウェハノッチ、およびオリフラのうち少なくとも1つの部位についての写り込みの有無を判定する。判定ステップS606の結果・出力として、判定結果606が得られる。
判定ステップS606の判定処理では、例えば、ベベル画像605の撮像情報603における撮像位置、撮像倍率、および撮像視野などの情報を用いて、ベベル画像605内での輝度や領域形状などを判断することで、ウェハエッジやウェハノッチ等の有無が判定される。この判定処理では、公知の各種の画像処理技術を用いてもよい。
方式切替ステップS607は、欠陥観察装置1のコンピュータシステム3が、判定ステップS606が出力する判定結果606と、第1ステップS1中の撮像ステップS602で使用した顕微鏡/撮像装置の種類の情報604とに基づいて、欠陥検出方式の切り替えを実行するステップである。この切り替えの詳細については図7で後述する。顕微鏡/撮像装置の種類の情報604は、実施の形態1ではSEM2を表す情報である。
実施の形態1で候補として用いる複数の欠陥検出方式の例としては、図示する4つの方式がある。すなわち、複数の方式は、(A)統計画像比較方式611と、(B)参照画像撮像方式612と、(C)参照画像推定方式613と、(D)類似データ比較方式614との4つを有する。実施の形態1では、対象であるベベル画像ごとに、これらの4つの方式から選択された1つの方式が適用される。なお、用いる方式は、これらの4つの方式に限定するものではなく、他の欠陥検出方式を用いてもよい。各欠陥検出方式の詳細については後述する。
第2ステップS2では、最後に、欠陥検出ステップS608で、欠陥観察装置1のコンピュータシステム3が、方式切替ステップS607によって選択された欠陥検出方式を用いて、ベベル画像605から、欠陥部位を検出する。欠陥検出ステップS608の結果・出力として、検出された欠陥の位置を表す欠陥座標608が得られる。
最後に、観察画像撮像ステップS609では、欠陥観察装置1のコンピュータシステム3が、欠陥座標608に基づいて、例えばSEM2により、欠陥座標608を含んだ、欠陥観察のための高画質による画像を撮像し、この結果として、観察画像609が得られる。なお、観察画像撮像ステップS609以降は、任意の技術を適用でき、適用する技術を限定するものではない。一例としては、SEM2以外の荷電粒子ビーム装置などの撮像装置を用いて、観察画像609を撮像してもよい。
[欠陥検出方式の切り替え]
図7は、実施の形態1での、上記判定ステップS606および方式切替ステップS607についての説明図として、ベベル画像の分類、および欠陥検出方式の選択適用の例を示す。図7の(A)では、欠陥候補が含まれているベベル画像の事例を示す。一般に、半導体ウェハ(例えば図1や図4)において、結晶方位を示すウェハノッチとオリフラは、それらのどちらか片方が使用されるため、同一ウェハ上にそれらが同時に存在することは無い。そのため、ウェハエッジ、ウェハノッチ、およびオリフラの3種類の形状・構造に関しての有無は、図7の(A)のような6つの事例が想定できる。図7では、6つの事例を、第1事例~第6事例として示している。
図7の(A)の表において、2行は、ベベル画像内にウェハエッジの写り込みが無い場合とウェハエッジの写り込みが有る場合とに対応しており、3列は、ウェハノッチおよびオリフラの映り込みに関する3つの場合に対応している。それらのウェハエッジ、ウェハノッチおよびオリフラの映り込みの有無に関する組合せとして、図示する6つの項目の第1事例~第6事例がある。各項目には各事例のベベル画像の例を図示している。
また、図7の(B)の表には、(A)と対応させて、項目ごとに、各事例に対し選択適用可能な候補となる欠陥検出方式、および特に実施の形態1で選択適用する方式の例、をまとめたものを図示している。
第1事例のベベル画像701は、ウェハエッジの写り込みが無し、かつ、ウェハノッチおよびオリフラの写り込みが無しである。なお、ベベル画像701中、領域a1は、欠陥候補を示し、線a2は、ウェハ上面における狭義のベベルの一方端を示している。このようなベベル画像701に対しては、欠陥検出方式として、図6の(A)の統計画像比較方式611、(B)の参照画像撮像方式612、(C)の参照画像推定方式613、および(D)の類似データ比較方式614のいずれの方式も使用可能である。実施の形態1の例では、特に(A)の統計画像比較方式611を用いることが有効であるため、この方式を適用する。統計画像比較方式611は、外れ値検出の手法に基づいて欠陥部位を検出する方式である。
第2事例のベベル画像702は、ウェハエッジの写り込みが有り、かつ、ウェハノッチおよびオリフラの写り込みが無しである。なお、ベベル画像702中、領域a3は、ウェハ上面に対し外部にある背景領域である。領域a4は、狭義のベベルが写っている領域である。ウェハエッジ721は、狭義のベベルの領域a4と背景の領域a3との境界線である。本例ではウェハエッジ721上に欠陥候補の領域a5がある。
このようなベベル画像702に対しては、欠陥検出方式として、(B)の参照画像撮像方式612、(C)の参照画像推定方式613、(D)の類似データ比較方式614が使用可能である。このベベル画像702では、ウェハと背景との境界であるウェハエッジ721の方向・角度が、当該画像中で略一定となっている。本例では、ベベル画像702中でのウェハエッジ721は略直線となっており、当該ウェハエッジ721の配置の方向・角度は、例えば当該画像の矩形の上辺(言い換えると横軸であるx軸)に対して-45度程度で傾いた角度である。そのため、第1ステップS1で使用する顕微鏡/撮像装置の種類の情報604も用いて、実施の形態1の例では、(C)の参照画像推定方式613、または(B)の参照画像撮像方式612を使用することが有効であるため、それらのうち一方の方式、例えば(C)の方式を適用する。
第3事例のベベル画像703は、ウェハエッジの写り込みが無し、かつ、ウェハノッチの写り込みが有りである。なお、ベベル画像703中、領域a6は、ウェハ領域(非ウェハノッチの領域、例えば狭義のベベルの領域)である。領域a7は、ウェハノッチの領域である。線a8は、ウェハ領域a6とウェハノッチの領域a7との境界線である。ウェハノッチの線a8はウェハエッジとは区別される。領域a9は、ウェハ領域での欠陥候補の例である。
第4事例のベベル画像704は、ウェハエッジの写り込みが無し、かつ、オリフラの写り込みが有りである。なお、ベベル画像704中、領域a10はウェハ領域、領域a11は背景領域である。線a12は、オリフラを構成する直線であり、ウェハ領域a10と背景領域a11との境界線である。オリフラの線a12はウェハエッジとは区別される。領域a13は、オリフラの線a12上の欠陥候補の例である。
このようなベベル画像703およびベベル画像704に対しては、欠陥検出方式として、(B)の参照画像撮像方式612、(C)の参照画像推定方式613、および(D)の類似データ比較方式614が使用可能である。ウェハノッチまたはオリフラは、ウェハのベベル部の限定的な領域に作り込まれているため、同ウェハ内にはそのウェハノッチまたはオリフラと外観が類似する領域が無い。そのため、ベベル画像703およびベベル画像704のような事例では、(D)の類似データ比較方式614が有効であり、実施の形態1の例では、特に(D)の方式を適用する。
第5事例のベベル画像705は、ウェハエッジの写り込みが有り、かつ、ウェハノッチの写り込みが有りである。なお、ベベル画像705中、領域a14はウェハ領域、領域a15は背景領域である。領域a16は、ウェハノッチの領域である。線a17は、ウェハエッジであり、領域a14と領域a15との境界線である。線a18は、ウェハノッチを構成する線であり、ウェハノッチの領域a16と背景領域a15との境界線である。領域a19は、ウェハエッジ上の欠陥候補の例である。
第6事例のベベル画像706は、ウェハエッジの写り込みが有り、かつ、オリフラの写り込みが有りである。なお、ベベル画像706中、領域a20はウェハ領域、領域a21は背景領域である。線a22は、ウェハエッジであり、領域a20と領域a21との境界線である。線a23は、オリフラを構成する直線であり、ウェハ領域a20と背景領域a21との境界線である。オリフラの線a23はウェハエッジとは区別される。領域a24は、領域a20(狭義のベベル)内の欠陥候補の例である。
このようなベベル画像705およびベベル画像706に対しては、欠陥検出方式として、(B)の参照画像撮像方式612、(C)の参照画像推定方式613、(D)の類似データ比較方式614が使用可能である。ベベル画像705およびベベル画像706は、ウェハと背景との境界線の配置の方向・角度が、当該画像内で急激に変化している。例えば、ベベル画像705内では、ある角度のウェハエッジの線a17から、別のある角度のウェハノッチの線a18につながっている。これらの線間での角度の変化(言い換えると差)は、例えば135度程度である。また、ベベル画像706内では、ある角度のウェハエッジの線a22から、別のある角度のオリフラの線a23につながっている。これらの線間での角度の変化は、例えば170度程度である。また、これらの事例では、ベベル画像703およびベベル画像704の事例と同様に、同ウェハ内には外観が類似する領域が無い。そのため、これらの事例では、(D)の類似データ比較方式614が有効であり、実施の形態1では、特に(D)の方式を適用する。
[(A)統計画像比較方式]
図6の(A)の統計画像比較方式611は、画像全体での輝度の平均値などを計算して、その平均値などによる一様画像(言い換えると統計画像)を作成し、その画像を参照画像とし、対象画像と参照画像との比較で欠陥を判定・検出する方式である。統計画像比較方式611は、公知技術を適用可能であるため、詳細説明を省略する。
[(B)参照画像撮像方式]
実施の形態1では、特徴の1つとして、候補となる欠陥検出方式は、図6の(B)の参照画像撮像方式612を含む。参照画像撮像方式612は、ベベル画像(言い換えると対象画像)に対応する参照画像を撮像し、ベベル画像と撮像した参照画像とを用いて欠陥部位を検出する方式である。
従来の課題の1つとしては、ベベル部において参照画像の取得が困難なことがあった。半導体ウェハにおいては、図1や図4の例のように、同様の回路パターンが形成されるように設計された複数のチップがウェハ面に配置されている。そのため、半導体チップ内の欠陥検出に関しては、対象画像の座標に対し1チップ分ずらした座標で参照画像を取得すればよい。しかし、ベベル部は、画像内でのウェハエッジの方向・角度が異なる等、ウェハ内でユニークなパターンを有するため、参照画像の取得が難しい。
この課題に対し、解決策として、実施の形態1では、参照画像撮像方式612を用いる場合に、ベベル画像の撮像位置に対してウェハの形状の対称性などを利用して、参照画像の撮像位置を決定し、撮像した参照画像に適切な回転・反転などの処理を加える。これにより、処理後の参照画像は、対象のベベル画像と同様の画像内容となるため、ベベル画像と参照画像との比較が可能となり、ベベル画像中の欠陥部位を検出可能となる。
図8は、参照画像撮像方式612に関する説明図として、ベベル画像の参照画像を撮像する対称・回転の位置についての模式説明図である。図8の(A)~(C)では、試料10であるウェハの円形の面において、ベベル画像に対する対称的な位置を撮像することで取得できる参照画像(言い換えると参照画像候補画像)の例を示している。実施の形態1では、試料10であるウェハの中心を原点(図示のx-y面での点(0,0))として設定し、第1水平方向をx軸とし、第1水平方向に対し垂直な第2水平方向をy軸として設定する。対象画像であるベベル画像の撮像位置P1を(x,y)とする。撮像位置P1(x,y)を中心とした矩形の撮像領域に対応した撮像画像の例がベベル画像801である。本例では、ベベル画像801内でウェハエッジ上に欠陥候補801aが写っている。
図8の(A)で、撮像位置P1(x,y)に対し、原点に関して点対称の位置P2(-x,-y)の画像を画像802で示す。撮像位置P1(x,y)に対し、x軸に対称な位置P3(x,-y)の画像を画像803で示す。撮像位置P1(x,y)に対し、y軸に対称な位置P4(-x,y)の画像を画像804で示す。
また、図8の(B)で、撮像位置P1(x,y)に対し、原点を中心として+90度回転させた位置P5(-y,x)の画像を画像805で示す。撮像位置P1(x,y)に対し、原点を中心として-90度回転させた位置P6(y,-x)の画像を画像806で示す。
また、図8の(C)で、撮像位置P1(x,y)に対し、x軸から+45度傾けた直線に線対称な位置P7(y,x)の画像を画像807で示す。撮像位置P1(x,y)に対し、x軸から-45度傾けた直線に線対称な位置P8(-y,-x)の画像を画像808で示す。
参照画像撮像方式612では、これらの対称および回転の操作・処理で得られる位置P2~P8で撮像した画像802~808(言い換えると参照画像候補画像)のうち、少なくともいずれか1つの画像を、参照画像のために使用する。これらの画像802~808は、さらに、適切な画像回転・反転処理を加えることによって、好適な参照画像として使用できる。例えば、画像802を180度回転した画像が画像802bである。画像802bは、ベベル画像801と同様または類似の画像内容となるので、ベベル画像801に対する参照画像として使用できる。
さらに、これらの画像802~808(言い換えると参照画像候補画像)は、適切な画像回転・反転処理と、前述のSEM2の各検出器111で得られる画像の対応関係の入れ替えとによって、図5で説明した検出器111から出力される画像の陰影を略一致させることが可能となる。例えば、ベベル画像801の参照画像として、原点に関して点対称の位置P2で撮像した画像802を参照画像として使用するとする。この場合、まず画像802をx-y面内で180度回転させることで、画像802bとなり、画像802bとベベル画像801とでは、当該画像内でのウェハエッジの方向・角度が略一致する。
そして、各検出器111から出力される画像の陰影を一致させるために、図3のy軸上の検出器201と検出器202とから出力される画像同士が入れ替えられ、また、x軸上の検出器203と検出器204とから出力される画像同士が入れ替えられる。言い換えると、x軸の正負での入れ替え、およびy軸の正負での入れ替えがされる。
参照画像撮像方式612は、欠陥検出時のベベル画像と参照画像との差分計算では、上記画像回転・反転処理によって画像内のウェハエッジの方向と陰影が略一致した参照画像を用いる。
図9は、上記画像の陰影を一致させるための、検出器111から出力された画像の入れ替えに関する説明図である。図9では、図5と同様に、試料10のx-z断面を模式で示し、x軸上の検出器203および検出器204、およびそれらの検出器による画像の例を示している。本例では、説明の容易化のために、試料901としては、欠陥が無い場合を示す。試料901は、ウェハ上面の外周部・ベベル部において、狭義のベベル901aとしての斜面を有する場合を示す。上側の試料901は、図8の画像801の撮像位置(言い換えると撮像点)の付近のウェハ断面に相当する。下側の試料904は、図8の画像802の撮像位置の付近のウェハ断面に相当する。上側の試料901では、狭義のベベル901aがx軸で正側にあり、下側の試料904では、狭義のベベル904aがx軸で負側にある。
図9の例では、試料901,904のベベル部において、ウェハ上面(x-y面)に対し狭義のベベル901a,904aによる傾斜がある。狭義のベベル901aの傾斜面に対し、光・電子が入射し反射して検出器111の方へ出射する。この際、検出器111に出射する光・電子の方向・角度(例えば出射角)は、検出器204の方が検出器203よりも小さい。そのため、図示のように、試料901では、検出器204が出力する画像903の方が、検出器203が出力する画像902よりも明るくなる。例えば、画像902中の狭義のベベル901aの領域a92と、画像903中の狭義のベベル901aの領域a93とでは、領域a93の方が領域a92よりも輝度が大きい。同様に、試料904では、検出器203が出力する画像905の方が相対的に明るくなる。
そのため、欠陥観察装置1は、各画像で陰影を略一致させるための処理として、試料904で、検出器203の出力する画像905と検出器204の出力する画像906とを入れ替える。これにより、入れ替え後の画像と、試料901での検出器203の出力する画像902および検出器204の出力する画像903とで、画像内の陰影を概略的に合わせることが可能となる。
図9の例では、試料904での検出器203の画像905および検出器204の画像906との2つの画像が、まず180度回転されている。180度回転後の画像905bおよび画像906bが、入れ替えられる。入れ替え後の2つの画像が、画像906cおよび画像905cである。なお入れ替えの後に回転でもよい。例えば画像903と画像905cとでは、画像内でのウェハエッジ(ウェハエッジ903a、ウェハエッジ905ca)の方向・角度が略一致しており、かつ、陰影(各領域の明るさ)も略一致している。そのため、画像903が対象のベベル画像である場合に、好適な参照画像として画像905cを使用できる。
上記のように、欠陥観察装置1(特にコンピュータシステム3)は、ベベル画像に対する対称・回転の操作・処理で得た複数の参照画像候補画像に基づいて、ベベル画像に対し画像内でのウェハエッジの方向と陰影が略一致した参照画像を生成する。参照画像撮像方式612は、言い換えると、選択された撮像位置で撮像された、陰影が異なる複数の画像のうち、ベベル画像の陰影と最も近い画像を選択して参照画像とする方式である。ベベル画像とこの好適な参照画像との比較で、好適な欠陥検出が可能である。
なお、変形例としては、さらに、欠陥観察装置1は、画像内でのウェハエッジの位置も略一致させた参照画像を生成してもよい。画像内でのウェハエッジの位置を一致させるための処理としては、画像内容の平行移動などが挙げられる。
図10は、参照画像撮像方式612での処理例を示す。コンピュータシステム3のプロセッサは、ステップS1001、ステップS1002のような処理を行う。プロセッサは、ステップS1001で、図8や図9の処理に基づいて、検査対象(言い換えると欠陥観察対象)のベベル画像1001に対応させる参照画像1002を作成する。この際、プロセッサは、対象のベベル画像1001に対し、SEM2での撮像を用いて、図8のような参照画像候補画像を取得し、参照画像候補画像から図9のように回転や入れ替えの処理によって、参照画像1002を作成する。このような処理は、各位置のベベル画像ごとに同様に行われる。
そして、プロセッサは、ステップS1002で、ベベル画像1001と、作成された参照画像1002との差分計算を行う。この差分計算の結果として、欠陥検出結果1003が記憶・出力される。欠陥検出結果1003は、検出された欠陥位置を含む情報である。この情報は、例えば、ベベル画像1001に対応したウェハ座標系での欠陥箇所の中心点の位置座標1003aである。
[画像の撮像順序]
実施の形態1では、参照画像撮像方式612は、特徴の1つとして以下も有する。すなわち、この方式では、欠陥候補座標に基づいて、ウェハ外周部を事前に設定した数に領域分割し、例えば第1領域で、第1領域以外に属する複数のベベル画像に対応させる複数の参照画像をまとめて撮像し、第1領域以外のいずれかで、第1領域に属するベベル画像に対応させる参照画像を撮像する。
従来の参照画像撮像方式での課題の1つとして、観察対象のベベル画像および参照画像の撮像に比較的長く時間がかかる点があった。従来の方法では、複数の画像の撮像の順序として、ある観察対象のベベル画像(例えばベベル画像#1とする)に対する参照画像(例えば参照画像#1とする)が撮影され、その後に、その観察対象とするベベル画像(ベベル画像#1)が撮像される。次に、別の観察対象のベベル画像(例えばベベル画像#2とする)に対する参照画像(例えば参照画像#2とする)が撮像され、その後に、その観察対象とするベベル画像(ベベル画像#2)が撮像される。このように、参照画像と観察対象のベベル画像とが交互に繰り返して順次に撮像される。
しかし、このような方法では、ウェハ面上の外周部・ベベル部において、観察対象のベベル画像に対し対称な位置にある領域を参照画像として撮像する場合に、ある撮像位置から対称の撮像位置へSEM等のステージを移動させる必要がある。図8の例でいえば、ベベル画像801の位置P1と、それに対称である、画像802の位置P2との間で、SEM2(図2)のステージ109を機械的に移動させる必要がある。そのため、複数の位置の複数のベベル画像および参照画像の処理のためには、総合的な移動距離および所要時間が増大し、スループットが低下する。
この課題に対し、解決策として、実施の形態1での参照画像撮像方式612では、以下のように、外周部・ベベル部を事前に設定した数に領域分割し、分割された複数の領域のうち、第1領域で、第1領域以外に属する複数のベベル画像に対応させる複数の参照画像の撮像位置をまとめるように、各撮像位置を選定する。参照画像の撮像位置の選定には、図8のような対称・回転の関係が用いられる。欠陥観察装置1は、図8のような対称・回転の操作・処理に基づいた撮像位置での参照画像候補画像の撮像と、図9のような回転・反転操作、ならびに複数のチャネルの画像の入れ替え操作に基づいた参照画像の作成とを行う。
これにより、第1領域以外の複数のベベル画像に対応させる複数の参照画像は、第1領域内でまとめて撮像して取得可能となり、第1領域内のベベル画像に対応させる参照画像は、第1領域以外で撮像して取得可能となる。第1領域内の複数の撮像位置の複数の参照画像を周方向に沿って順次に撮像するようにすれば、総合的なステージ移動距離を短縮でき、スループットを向上できる。
言い換えると、欠陥観察装置1は、ウェハのベベル部において、複数の領域にまたがって複数のベベル画像の複数の撮像位置がある場合に、それらに対応させる複数の参照画像の複数の撮像位置を、ある1つの領域(例えば第1領域)に集中させるように、その複数の撮像位置を選定する。
図11を用いて、参照画像撮像方式612での処理例を説明する。図11は、参照画像撮像方式612での領域分割における複数の画像(複数のベベル画像および複数の参照画像候補画像)の撮像の順序についての説明図である。図11の上側には、x-y面において試料10であるウェハ面(特にベベル部1100)を示し、このウェハ面(特にベベル部1100)は、所定の4つの領域として4象限に分割されている。本例では、図示のように、4つの領域として、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4を有する。この領域分割は、分割数4に限定されずに可能である。
また、図11の下側では、ベベル部1100の円形の周1100a(ウェハエッジと対応する)の上で、ベベル画像の撮像位置を、撮像点1101(Ai)のように白丸印で表しており、また、参照画像の撮像位置を、撮像点1111(Bi)のように黒丸印で表している。複数のベベル画像(例えばベベル画像#1~#4)の撮像位置を、Ai,Ai+1,Ai+2,Ai+3といった点で示している。複数の参照画像(例えば参照画像#1~#4)の撮像位置を、Bi,Bi+1,Bi+2,Bi+3といった点で示している。あるベベル画像とそれに対応させる参照画像とは、同じ符合iの値を持つとする。例えば、破線矢印で対応関係を示すように、ベベル画像#1の撮像点1101(Ai)と、参照画像#1の撮像点1111(Bi)とが対応し、ベベル画像#2の撮像点1102(Ai+1)と、参照画像#2の撮像点1112(Bi+1)とが対応する。
本例では、4つのベベル画像(ベベル画像#1~#4)とそれに対応する4つの参照画像(参照画像#1~#4)との合計8個の画像を撮像する場合を考える。欠陥観察装置1は、この場合の複数の画像の撮像位置および順序について、ステージ移動量が少ない効率的な順序となるように決定する。
欠陥観察装置1(特にコンピュータシステム3)は、ベベル部での欠陥候補座標に基づいて、複数のベベル画像の撮像位置が得られた際に、それらに対応させる複数の参照画像の撮像位置を選定する。その際に、コンピュータシステム3は、複数のベベル画像の撮像位置が、2つ以上の分割領域にわたって広く分布している場合には、対応させる複数の参照画像の撮像位置を、なるべく1つの領域(例えば第1領域R1)内にまとめるように選定する。その撮像位置の選定の際に、図8のような対称・回転などの関係が用いられる。
本例では、第3領域R3内のベベル画像#1の撮像点1101(Ai)に対しては、原点に関して点対称な位置として、第1領域R1内の撮像点1111(Bi)が、参照画像#1の撮像位置として設定されている。また、第3領域R3内のベベル画像#2の撮像点1102(Ai+1)に対しては、原点に関して点対称な位置として、第1領域R1内の撮像点1112(Bi+1)が、参照画像#2の撮像位置として設定されている。また、第4領域R4内のベベル画像#3の撮像点1103(Ai+2)に対しては、y軸に関して線対称な位置として、第1領域R1内の撮像点1113(Bi+2)が、参照画像#3の撮像位置として設定されている。なお、撮像点1112(Bi+1)と撮像点1113(Bi+2)とは、近くの位置になるため、図11ではわかりやすいようにずらした位置として図示している。これにより、第1領域R1内で、参照画像#1~#3という3つの全ての参照画像の撮像が可能となる。
また、例えば、第1領域R1内のベベル画像#4の撮像点1104(Ai+3)に対しては、第1領域R1以外の領域となるように、y軸に線対称な位置として、第4領域R4内の撮像点1114(Bi+3)が、参照画像#4の撮像位置として設定されている。これにより、第1領域R1内のベベル画像に関しては、第1領域R1以外の領域で参照画像が撮像される。
上記例のようにして、複数のベベル画像および複数の参照画像の撮像位置が設定される。例えば第1領域R1内に複数の参照画像の撮像位置が設定される。そして、欠陥観察装置1は、ウェハのベベル部の全体で設定された複数の撮像位置(例えば撮像点1101~1104ならびに撮像点1111~1114)について、効率的な撮像順序を決定する。すなわち、効率的な撮像順序は、ベベル部1100の周1100aの上で、実線矢印で例示するように、ある撮像点から、ある周方向に沿って、出現する撮像点を順次に選択するものである。これにより、例えば第1領域R1内の複数の撮像点については、撮像の順序は、例えば撮像点1104(Ai+3)、撮像点1111(Bi)、撮像点1113(Bi+2)、撮像点1112(Bi+1)といったようになる。
本例は、4個の欠陥候補座標に対応した4個のベベル画像があり、それに対応して4個の参照画像(詳しくは参照画像候補画像)を撮像する場合に、第1領域R1内に複数の参照画像の撮像位置をまとめるように選定する場合を示した。これに限らず、ウェハ面のベベル部において多数のベベル画像および参照画像を撮像する場合にも、複数の分割領域を用いて、各分割領域内に複数の画像の撮像位置をなるべくまとめるように選定すればよい。
図12は、図11に対しての比較例を示している。この方法は、前述のように、ベベル画像と参照画像とですべて点対称の関係に従って撮像位置(例えばAi~Ai+3、Bi~Bi+3)を設定し、複数のベベル画像(例えば#1~#4)および複数の参照画像(例えば#1~#4)について、ベベル画像と参照画像を交互に繰り返して撮像する場合である。この方法では、実線矢印で示すように、総合的なステージ移動距離が長くなり、効率が良くない。図11での撮像順序は、図12での撮像順序よりも効率的になっている。
[(C)参照画像推定方式]
実施の形態1では、特徴の1つとして、欠陥検出方式は、図6の(C)の参照画像推定方式613を含む。参照画像推定方式613は、ベベル画像を入力とし、欠陥を含まない参照画像を推定し、ベベル画像と推定した参照画像とを用いて欠陥部位を検出する方式である。
従来の課題としては、参照画像を撮像することで、欠陥観察に必要な時間が増加し、スループットが低下することがあった。この課題に対し、解決策として、実施の形態1での参照画像推定方式613は、ベベル画像を入力として、欠陥を含まない参照画像を推定し、ベベル画像と参照画像とを比較して、ベベル画像中の欠陥部位を検出する。
図13は、参照画像推定方式613での処理例を示す。欠陥観察装置1のコンピュータシステム3は、入力として与えられたベベル画像1301を得る。ベベル画像1301内には、欠陥候補座標で示される位置に欠陥候補1301aが含まれている。本例ではウェハエッジ上に欠陥候補1301aがある。コンピュータシステム3のプロセッサは、入力として与えられたベベル画像1301に対し、ステップS1301で、参照画像推定処理を行うことで、欠陥(欠陥に対応する画像部分)の存在しない参照画像1302を推定して得る。そして、プロセッサは、ステップS1302で、ベベル画像1301と、推定して得た参照画像1302との差分計算を行う。これにより、差分計算の結果として、欠陥検出結果1303が記憶・出力される。欠陥検出結果1303は、欠陥位置情報1303aを含んでいる。
実施の形態1では、特徴の1つとして、参照画像推定方式613では、詳細な処理例として、プロセッサは、画像内のウェハエッジの方向を算出し、ウェハエッジ方向に従って、ベベル画像の平均画像を計算することで、参照画像を推定して得る。
従来の課題としては、ベベル画像の参照画像の推定が困難なことがあった。ベベル部を撮像したベベル画像中には、ウェハ(特に内周部)だけではなく、ウェハ外の背景領域も写り込んでいる場合があるため、単に画像内の平均を計算するだけでは、欠陥が含まれていない参照画像を推定することができなかった。
この課題に対し、解決策として、実施の形態1での参照画像推定方式613の詳細処理例では、プロセッサは、ベベル画像中のウェハエッジの方向を算出し、ウェハエッジ方向に従って、ベベル画像の平均画像を計算することで、参照画像を推定して得る。そして、推定された画像が、参照画像として、比較検査で用いられる。
図14は、上記参照画像推定方式613(特に参照画像の推定)での詳細処理例を示す。プロセッサは、入力としてベベル画像1401を得る。本例では、ベベル画像1401中、ウェハエッジ1401b上に欠陥候補1401aが含まれている。まず、ベベル画像1401中のウェハエッジ方向について、プロセッサは、ステップS1401で、ベベル画像1401と、ベベル画像1401の撮像位置1402の情報とを入力として、ウェハエッジ方向算出処理を行う。この結果、出力として、ベベル画像1401中のウェハエッジ方向の情報1403が取得できる。ウェハエッジ方向の情報1403は、例えば画像内でのウェハエッジ1401bの方向・角度を表す情報である。例としては、ベベル画像1401内で、矩形の上辺(x軸)を基準とすると、ウェハエッジ1401bの方向は、-45度程度の角度で表される方向である。
次に、プロセッサは、ステップS1402で、算出されたウェハエッジ方向に沿って、ベベル画像1401に対しての平均画像1404を計算する。この結果の平均画像1404により、欠陥の存在しない参照画像1405が得られる。例えば、参照画像1405内では、ウェハエッジ1405b上で、輝度が一定であり、欠陥領域は無い。
この参照画像を推定するための平均画像1404の計算の処理例としては、プロセッサは、画像内のウェハエッジ方向の線を単位として、その線上の画素値を平均化する。同様に、プロセッサは、当該画像内で、同じ方向の複数の線のそれぞれで、画素値を平均化する。これにより、平均画像1404による、欠陥を含まない参照画像1405が得られる。
そして、プロセッサは、ステップS1403で、ベベル画像1401と、取得した参照画像1405との差分計算を行う。この差分計算の結果として、欠陥検出結果1406が記憶・出力される。欠陥検出結果1406は、欠陥位置情報1406aが含まれている。
[類似データ比較方式]
実施の形態1では、特徴の1つとして、欠陥検出方式は、図6の(D)の類似データ比較方式614を含む。類似データ比較方式614は、あるウェハの検査対象のベベル画像に対し、画像撮像ステップS1で撮像した別ウェハのベベル画像から、検査対象のベベル画像と類似する画像を探索し、探索された類似する画像を参照画像として用いる方式である。
従来の課題としては、検査対象のベベル画像の参照画像を推定や撮像できない場合があることがあった。参照画像の推定ができない事例としては、ウェハノッチまたはオリフラとウェハエッジとが画像内に同時に写り込んでいた場合に、画像内でウェハと背景との境界の方向・角度が急激に変化するため、推定が困難となることが挙げられる。また、参照画像の撮像ができない事例としては、ウェハノッチまたはオリフラがベベル部の限定的な領域に作り込まれているため、同ウェハ内に外観が類似する領域が無いことが挙げられる。
この課題に対し、解決策として、実施の形態1では、類似データ比較方式614で、あるウェハの検査対象のベベル画像に対し、別ウェハで撮像された画像から、検査対象のベベル画像と類似する画像を探索し、探索された類似する画像を参照画像として、比較検査で用いる。
図15は、類似データ比較方式614での処理例を示す。コンピュータシステム3のプロセッサは、まず、事前に別ウェハで撮像位置を変えながらベベル部の複数の画像を撮像して蓄積した結果としての蓄積画像1501を取得する。そして、プロセッサは、欠陥検出では、ステップS1501で、あるウェハでの検査対象のベベル画像1502の入力に対し、そのベベル画像1502と類似する画像を、蓄積画像1501の中から探索する。探索の結果、類似画像1503が得られる。プロセッサは、探索された類似画像1503を、参照画像1504として使用する。そして、プロセッサは、ステップS1502で、ベベル画像1502と、類似画像1503による参照画像1504との差分計算を行う。その差分計算の結果として、欠陥検出結果1505が記憶および出力される。欠陥検出結果1505には、欠陥位置情報1505aが含まれている。
以上のように、実施の形態1の方法および装置は、撮像画像でのウェハエッジやウェハノッチ等の有無に応じて、好適な欠陥検出方式を使い分ける。
[ユーザによる操作]
図16は、実施の形態1の欠陥観察装置および方法におけるGUIを含む画面の表示例を示す。図16の画面において、「検査画像リスト」のインタフェース領域1601には、画像取得が完了した各ベベル画像のIDがリストで表示される。ユーザは、このリストで検査対象、言い換えると欠陥観察対象のベベル画像を選択操作する。このリストで選択されたIDのベベル画像は、「ベベル画像」のインタフェース領域1602に表示される。また、インタフェース領域1607では、画像撮像に使用する顕微鏡/撮像装置の種類や、使用する検出器(言い換えるとチャネル)などを、ユーザが設定できる。
「欠陥検出」のインタフェース領域1603のボタンをユーザが選択操作した場合には、選択されているベベル画像を対象として、欠陥観察装置1(特にコンピュータシステム3)により欠陥検出(図6での欠陥観察のフロー)が自動的に実行される。コンピュータシステム3は、適用する欠陥検出方式を自動的に切り替えて欠陥検出処理を行い、結果を作成する。その実行の結果、インタフェース領域1604には、図6での判定ステップS606による判定結果606の情報が表示される。判定結果606の情報は、ベベル画像中における、ウェハエッジの写り込みの有無、ウェハノッチの写り込みの有無、オリフラの写り込みの有無を含む。
また、「欠陥検出方式」のインタフェース領域1605には、図6の方式切替ステップS607で選択された欠陥検出方式を表す情報が自動的に表示される。また、変形例、追加的な機能として、このインタフェース領域1605では、図示のように、リストボックス等のGUI部品により、ユーザが自分で欠陥検出方式を選択適用する操作を可能としてもよい。この場合、ユーザは、例えば、システムが選択した方式とは別の方式での処理結果を表示させて確認することができる。また、変形例としては、複数の方式での複数の処理結果を画面内に並列で対比表示させてもよい。
また、方式切替ステップS607で選択された欠陥検出方式が、参照画像を用いる方式である場合には、「参照画像」のインタフェース領域1606に、その方式で得られた参照画像が表示される。ユーザは、インタフェース領域1602のベベル画像と、インタフェース領域1606の参照画像とを見比べることができる。
欠陥検出処理の結果、対象ベベル画像内に欠陥が検出された場合、インタフェース領域1602の対象ベベル画像に、その検出された欠陥を表すGUI情報も表示される。本例では、インタフェース領域1602の対象ベベル画像において、検出された欠陥1602aを表す欠陥情報1608として、その欠陥1602aを囲むような破線枠画像が所定の色で表示される。コンピュータシステム3は、上記のような画面のGUIを通じた欠陥観察の処理過程および処理結果のデータ・情報を、バックグラウンドで自動的に記憶資源に保存する。上記のような画面を通じて、ユーザは、効率的な欠陥観察作業が可能である。
[効果等]
以上説明したように、実施の形態1の欠陥観察方法および装置によれば、半導体ウェハのベベル部の撮像対象に適した欠陥観察・検出方式を適用して欠陥観察・検出を実施できるため、従来の単一の方式による欠陥観察・検出に比べて、欠陥観察・検出の精度を向上することができる。
<実施の形態2>
図17以降を用いて、実施の形態2の欠陥観察装置および方法について説明する。図19等に示す実施の形態2の欠陥観察方法は、実施の形態2の欠陥観察装置により実行されるステップを有する方法である。実施の形態2における基本的な構成は実施の形態1と同様・共通であり、以下では実施の形態2における実施の形態1とは異なる構成部分について主に説明する。実施の形態2は、ベベル画像の判定の結果に基づいて欠陥検出方式を切り替えて適用する点は実施の形態1と同様・共通である。実施の形態2は、実施の形態1に対し主に異なる点として、ベベル画像の判定の処理内容と、判定結果に応じて選択適用する各欠陥検出方式とがある。
前述の実施の形態1では、ベベル画像と撮像情報などを用いてベベル画像中におけるノッチ等の構造の部位の写り込みの有無を判定し、判定結果に基づいて欠陥検出方式を切り替える方法などを説明した。実施の形態1では、特に、欠陥検出方式の例として、図6の(A)統計画像比較方式、(B)参照画像撮像方式、(C)参照画像推定方式、および(D)類似データ比較方式を用いる場合について説明した。
ここで、前述の撮像情報(撮像位置、撮像倍率、および撮像視野の少なくとも1つの情報)を用いる場合に、ベベル画像中の構造の部位の写り込みを正しく判定できないこともある。例えば、特に撮像位置に誤差が含まれる場合に、その撮像位置の画像を参照しても、部位の写り込みを正しく判定できないことがある。すなわち、欠陥観察装置は、外部から与えられた撮像位置などの撮像情報に頼りすぎても、好適な判定ができない場合がある。
また、例えば(B)の参照画像撮像方式では、同一ウェハでの参照画像の撮像が必要であり、(D)の類似データ比較方式では、別ウェハでの画像の撮像や類似画像の探索が必要となる。そのため、それらの動作によって、欠陥観察のスループットが低下するおそれがある。
そこで、実施の形態2では、撮像情報などを用いずに、各撮像位置のベベル画像内の半導体ウェハの構造・特徴を判定し、ベベル画像以外の撮像や類似画像の探索を行う必要無く、ベベル画像のみを用いて欠陥を検出できる欠陥観察方法などを示す。実施の形態2では、撮像情報を参照せずとも、ベベル画像自体の解析によって、ベベル部の構造の部位の写り込みを正しく判定できる技術を示す。実施の形態2では、ベベル画像自体から好適な参照画像を生成できる技術を示す。
実施の形態2の欠陥観察方法および装置は、撮像情報を用いずに、与えられたベベル画像内の輝度などを解析して、ベベル画像中の各種の領域の境界を領域境界として判定・検出する。実施の形態2の方法および装置は、領域境界の有無などの態様に応じて、ベベル部の構造・特徴をいくつかに分類する。そして、実施の形態2の方法および装置は、判定結果での分類に応じて、適用する欠陥検出方式を切り替える。
実施の形態2では、ベベル画像の判定(図6でのステップS606)の処理内容の違いとして、ベベル画像内の各種の領域の境界を領域境界として判定・検出する。実施の形態2の装置および方法は、ベベル画像内の領域境界の有無、数、方向・角度などに応じて、ベベル部の構造・特徴をいくつかに分類する。
また、実際のベベル画像内には輝度ムラが生じ得る。例えば、狭義のベベルに対応した斜面領域内でも、輝度ムラが生じ得る。この輝度ムラについて、従来技術では対応が難しい場合がある。それに対し、実施の形態2では、ベベル画像内に輝度ムラがある場合にも、好適な判定、および好適な欠陥検出方式での対応を可能とする。
実施の形態2では、ベベル画像の内容に関して、主に輝度(言い換えると輝度に対応する画素値)について解析することで、領域境界を判定・検出する。すなわち、領域境界によって分けられる各種の領域は、輝度が比較的大きく異なる領域である。
[欠陥観察装置]
実施の形態2の欠陥観察装置の構成は図2と同様である。実施の形態2でのコンピュータシステム3は、実施の形態2の欠陥観察方法に対応した機能が実装されており、実施の形態2の欠陥観察方法に対応したコンピュータプログラムの実装を含む。そのコンピュータプログラムは、例えば記憶部103または外部記憶デバイス4などに格納されている。コンピュータシステム3のプロセッサは、そのコンピュータプログラムに従った処理を実行することで、実施の形態2での機能を実現する。
[半導体ウェハのベベル部の画像]
図17は、実施の形態2に関する説明図として、試料10である半導体ウェハのベベル部を撮像したベベル画像の例を示す。図17の(A)は、半導体ウェハ1700の表面のトップビューとしてX-Y平面図を示す。この半導体ウェハ1700は、表面において、チップ1701、およびノッチ1702を有している。ベベル部1703以外の内周部には複数のチップ1701が形成されている。半導体ウェハ1700のベベル部1703は、破線でリング状の領域として概略的に図示している。本例では、ベベル部1703の一箇所にノッチ1702を有する。
図17の(B)は、ベベル部1703について、(A)の破線で示す領域1704における垂直な断面図(X-Z面)の例を示す。(B)の断面図において、半導体ウェハ1700の表面には、径方向であるX軸方向において、内周側から外周側へ向かって順に、ウェハ上面領域1705、ウェハ斜面領域1706、およびApex領域1707(Apex:アペックス、先端)を有する。これらの領域は、図示のようにZ軸を含む断面内において傾きが異なっている。
また、これらのウェハ面での領域に対応して、トップビューに対応するZ軸方向からウェハ表面を撮像したベベル画像内でみた場合には、内周側から外周側へ向かって順に、上面領域A、斜面領域B、および背景領域Cを有する。実施の形態2では、ベベル画像内において領域境界の線で分けられる各種の領域として、これらの領域を扱う。なお、本明細書では、説明上、これらの領域を、ウェハ上面領域1705、上面領域A等の名称で定義するが、これに限定されない。
ウェハ上面領域1705は、水平であるX軸およびY軸の方向に平行な面にあり、狭義のベベル以外のウェハ内周部に対応した領域である。ウェハ斜面領域1706は、前述の狭義のベベルに対応した領域であり、X軸およびY軸の方向に対し所定の角度を持つ面の領域である。Apex領域1707は、半導体ウェハ1700の端部に相当する領域であり、ウェハ上面領域1705に対して垂直に切り出された領域であり、外周の側面におけるZ軸方向を含む曲面に対応する領域である。Apex領域1707は、トップビューでみた場合には前述のウェハエッジに相当する。
上面領域Aは、狭義のベベル以外のウェハ内周部に対応した領域である。斜面領域Bは、狭義のベベルに対応した領域である。背景領域Cは、ウェハエッジ(Apex領域1707)の外側にあるウェハ外領域や、前述のノッチやオリフラに対応した領域である。
図18は、図17の半導体ウェハ1700における撮像位置として位置1708~1711でそれぞれ撮像した際の画像であるベベル画像の例を示す。(A)は、位置1708での画像1801である。(B)は、位置1709での画像1802である。(C)は、位置1710での画像1803である。(D)は、位置1711での画像1804である。(E)は、位置1709での別の画像例として画像1805である。(B)の画像1802は、撮像倍率に応じて上面領域Aと斜面領域Bとの境界が略直線として写っている場合であり、(E)の画像1805は、撮像倍率に応じて上面領域Aと斜面領域Bとの境界が曲線として写っている場合である。
本例では、位置1708は、ベベル部1703において内周寄りの位置であり、位置1709は、ベベル部1703において外周寄りの位置であり、位置1710は、ベベル部1703においてノッチ1702付近の位置である。位置1711は、ベベル部1703においてApex領域1707付近の位置である。各画像は、実際はフルカラー画像であり得るが、グレーによって模式で図示している。各種の領域は輝度ムラを有する場合があるが、一様なグレーの領域として模式で図示している。
(A)の画像1801は、図17の(B)の3種類の領域のうち上面領域Aに対応したウェハ上面領域1812のみを含む場合であり、ウェハ上面領域1812内に欠陥1811を含んでいる。なお、図面では、わかりやすいように、上面領域Aに対応した記号A等も付して図示している。
(B)の画像1802は、3種類の領域のうち上面領域Aに対応したウェハ上面領域1815、および斜面領域Bに対応したウェハ斜面領域1816を含む場合であり、ウェハ斜面領域1816内に欠陥1814を含んでいる。領域境界1823は、ウェハ上面領域1815とウェハ斜面領域1816との境界の線である。
(C)の画像1803は、3種類の領域のうち上面領域Aに対応したウェハ上面領域1819、斜面領域Bに対応したウェハ斜面領域1820、および背景領域Cに対応したノッチ一部領域1821を含む場合であり、ウェハ斜面領域1820内に欠陥1818を含んでいる。領域境界1824は、ウェハ上面領域1819とウェハ斜面領域1820との境界の線である。領域境界1825は、ウェハ上面領域1819およびウェハ斜面領域1820とノッチ一部領域1821との境界の線である。背景領域Cには、本例のように、ノッチやオリフラの領域が含まれている場合がある。本例でのノッチは、ウェハ表面に対し垂直な断面を有する場合であるが、実施の形態1での例のようにノッチやオリフラにも面取りの斜面を有する場合もある。
(D)の画像1804は、3種類の領域のうち上面領域Aに対応したウェハ上面領域1841、斜面領域Bに対応したウェハ斜面領域1842、および背景領域Cに対応したウェハ外領域1843を含む場合であり、ウェハ斜面領域1842内に欠陥1846を含んでいる。ウェハ外領域1843は、ノッチもオリフラも含んでいない領域である。領域境界1844は、ウェハ上面領域1841とウェハ斜面領域1842との境界の線である。領域境界1845は、ウェハ斜面領域1842とウェハ外領域1843との境界の線である。
(E)の画像1805は、3種類の領域のうち上面領域Aに対応したウェハ上面領域1851、斜面領域Bに対応したウェハ斜面領域1852を含む場合であり、ウェハ斜面領域1852内に欠陥1853を含んでいる。領域境界1854は、ウェハ上面領域1851とウェハ斜面領域1852との境界の線である。領域境界1854は、特に、曲線として写っている場合であり、わかりやすいように曲がり度合いを誇張して図示している。
上面領域Aは、Z軸方向で上からみた場合に、SEM2(図2)の検出器111との距離が相対的に近いので、画像内での輝度が相対的に高くなる。それに対し、背景領域Cは、ステージ109等に対応し、Z軸方向で上からみた場合に、SEM2(図2)の検出器111との距離が相対的に遠いので、画像内での輝度が相対的に低くなる(図面では黒で図示している)。
実施の形態2では、ベベル画像内のウェハ構造について、一次的には領域境界を扱い、二次的には、領域境界によって分けられる上面領域A、斜面領域B、および背景領域Cといった主に3種類の領域を扱う。ノッチやオリフラを識別・区別する場合には、背景領域Cを、さらに、ウェハ外領域、ノッチ領域、オリフラ領域といった種類に分けてもよい。本明細書では、3種類の領域のうちの2種類の領域の間の境界を、領域境界と記載・定義する。領域境界は、これに限らず、領域境界線などと表現してもよい。領域境界は、図18の例のように、輝度が比較的大きく異なる領域の間にある。
領域境界は、構造物の実態に応じた直線または円弧の曲線である。具体的には、図17の(B)のウェハ上面領域1705とウェハ斜面領域1706との境界の場合、領域境界の実態は(A)に示すように曲線である。同様に、ウェハ斜面領域1706と背景領域Cとの境界(すなわちApex領域1707)の場合、領域境界の実態は曲線である。ウェハ上面領域1705またはウェハ斜面領域1706と、ノッチ領域との境界の場合、領域境界の実態は(A)に示すように直線である。同様に、図1の(a3)のようなオリフラ領域との境界の場合も、領域境界の実態は直線である。
実施の形態2のベベル画像の例(図18での(A)~(D))では、撮像視野が比較的狭いことから、ベベル画像内では、領域境界は、構造物の実態が曲線であっても、殆ど直線に見える。後述するが、領域境界の直線と曲線との違いについては、直線と曲線とを区別して処理する方法を基本とするが、すべてを略直線とみなして処理する方法なども可能である。
図17や図18の例のように、ウェハ上面に対し垂直なZ軸方向からベベル部1703を撮像したトップビューのベベル画像では、撮像位置によって、上面領域A、斜面領域B、および背景領域Cの各種の領域の写り込みの有無や、当該画像内での領域境界の方向・角度が異なる。
図18の例では、(A)の画像1801は、上面領域Aのみが有り、領域境界が無しである。(B)の画像1802は、上面領域Aと斜面領域Bが有り、領域境界が1つ有りである。(C)の画像1803は、上面領域Aと斜面領域Bと背景領域C(特にノッチ領域)とが有り、領域境界が2つ有りであり、2つの領域境界の方向・角度が大きく異なる。(D)の画像1804は、上面領域Aと斜面領域Bと背景領域C(ウェハ外領域)とが有り、領域境界が2つ有りであり、2つの領域境界の方向・角度が概略同じである。(E)の画像1805は、上面領域Aと斜面領域Bが有り、曲線による領域境界が1つ有りである。
各領域境界は、ベベル画像内での方向、言い換えると角度を有する。本明細書では、この方向・角度を、領域境界角度と記載・定義する。ベベル画像ごとに、領域境界角度が様々である。また、実施の形態2では、ベベル画像内に複数の領域境界がある場合に、それらの領域境界の方向・角度が、概略的に同じであるか、十分に大きく異なるかを区別する。例えば、2つの領域境界の角度の差が閾値以上である場合、それらの領域境界の方向・角度は大きく異なると判断される。
ベベル画像での領域境界の位置や角度についての表現やデータ構造は限定しない。一例では、ベベル画像での領域境界の位置や角度を表現するために、例えばベベル画像の左上の画素の座標を原点(0,0)とし、上辺に対応したX軸方向(言い換えると横方向)、および左辺に対応したY軸方向(言い換えると縦方向)を用いる。X軸方向を例えば角度=0度とする。図18の例では、領域境界1823の角度は、-45度程度(あるいは+315度程度)である。領域境界1824の角度は、+15度程度である。領域境界1825の角度は、-75度程度である。
実施の形態2でのコンピュータシステム3は、ベベル画像から、少なくとも、図18の例のような領域境界を検出し、領域境界の角度を算出する。また、背景領域Cには、特にノッチ領域が含まれる場合やオリフラ領域が含まれる場合と、ノッチやオリフラが無いウェハ外領域が含まれる場合とがあるが、それらの領域の判別までは必須ではない。
[欠陥観察の処理シーケンス]
図19を用いて、実施の形態2の欠陥観察装置で実施される欠陥観察方法について説明する。図19は、実施の形態2の欠陥観察方法の処理フローを示し、図2のコンピュータシステム3(特に制御部102のプロセッサ)は、本フローに従った処理を実行する。
実施の形態2の欠陥観察方法は、第1ステップS1として、半導体ウェハのベベル部を撮像したベベル画像1905を取得する画像撮像ステップと、第2ステップS2として、ベベル画像1905中の欠陥部位を検出する欠陥検出ステップとを有する。第1ステップは実施の形態1と同様である。
第2ステップS2である欠陥検出ステップは、詳しくは、判定ステップS1906と、方式切り替えステップS1907と、欠陥検出ステップS1908とを有する。判定ステップS1906は、撮像情報等を用いずに、ベベル画像1905(言い換えると各撮像位置の画像)を用いて、半導体ウェハの構造として領域境界などを判定して判定結果1906を得るステップである。方式切り替えステップS1907は、判定ステップS1906の判定結果1906に基づいて、複数(ここでは第1から第NまでのN個)の候補の欠陥検出方式1911~1914から、当該ベベル画像1905に適用する1つの欠陥検出方式を選択して切り替えるステップである。欠陥検出ステップS1908は、方式切り替えステップS1907で切り替えられた欠陥検出方式で、当該ベベル画像1905から欠陥部位を検出し、欠陥検出結果として欠陥座標1908を得るステップである。その後、ステップS1909の観察画像撮像以降は、実施の形態1と同様である。
半導体ウェハのベベル部の欠陥観察に関して、図18の例のように、ベベル画像では、撮像位置によって、上面領域A、斜面領域B、ノッチ等を含む背景領域Cの写り込みの有無や、ベベル画像内での領域境界の方向・角度が異なる。そのため、課題として、従来の単一の欠陥検出方式による欠陥検出は困難なことがあった。そこで、実施の形態2では、ベベル画像を用いて、半導体ウェハの構造として、領域境界の有無や数、領域境界角度などを判定し、その判定結果に基づいて、複数の欠陥検出方式から、適用する欠陥検出方式を切り替える。これにより、従来よりも欠陥検出の精度が向上する。
図19で、実施の形態2の欠陥観察方法は、欠陥観察対象の半導体ウェハ1901と、欠陥検査装置からの欠陥候補座標1902とを入力として、第1ステップS1で、各欠陥候補座標1902に対し、画像撮像ステップS1902を実行し、各ベベル画像1905を得る。実施の形態2の欠陥観察方法は、各ベベル画像1905に対し、第2ステップS2で、判定ステップS1906、方式切り替えステップS1907、および欠陥検出ステップS1908を実行して、欠陥座標1908を得る。実施の形態2の欠陥観察方法は、得られた欠陥座標1908を用いて、観察画像撮像ステップS1909を実行して、観察画像1909を得る。実施の形態2の欠陥観察装置は、このような一連の処理を、全ての欠陥候補座標1902に対し同様に繰り返して実行し、全ての欠陥候補座標1902の観察画像1909を取得して、欠陥観察を終了する。
[判定ステップ]
図20には、図19の判定ステップS1906で判定する半導体ウェハの構造の例を示す。判定ステップS1906では、コンピュータシステム3は、入力されたベベル画像1905における、領域境界の有無、曲線の領域境界の有無、および、ノッチ/オリフラの有無を判定する。コンピュータシステム3は、これらの判定に応じて、ベベル画像をいくつかに分類する。図20の例では、表の第1行の「画像例」において、第1事例から第4事例までの4個の事例のベベル画像を示している。なお、説明上、実施の形態2での第1事例等は、実施の形態1(図7)での第1事例等とは別とする。表の第2行の「領域境界の有無」は、ベベル画像内で検出される領域境界の有無を記載している。この領域境界は直線でも曲線でもよい。表の第3行の「曲線の領域境界の有無」は、ベベル画像内で検出される領域境界として、特に曲線である領域境界の有無を記載している。表の第4行の「ノッチ/オリフラの有無」は、ベベル画像内で検出される領域境界で分けられる領域に関して、ノッチまたはオリフラの領域の有無を記載している。
第1事例の画像2001は、図18での(A)の画像1801と同様である。第2事例の画像2002は、図18での(B)の画像1802と同様である。第3事例の画像2003は、図18での(C)の画像1803と同様である。第4事例の画像2004は、図18での(E)の画像1805と同様である。第2事例の画像2002は、撮像の視野が比較的狭い場合、言い換えると撮像倍率が比較的高い場合に、領域境界の線が直線として写っている場合の画像例である。第4事例の画像2004は、撮像の視野が比較的広い場合、言い換えると撮像倍率が比較的低い場合に、領域境界の線が曲線として写っている場合の画像例である。
なお、図18での(D)の画像1804は、2つの領域境界が検出された場合であるが、領域境界の数が1つか2つ以上かに依らずに、領域境界の角度の態様に応じて、図20での第2分類とされる。2つ以上の領域境界の角度の差が十分に小さい場合には、図20での第2分類とされ、2つ以上の領域境界の角度の差が十分に大きい場合には、図20での第3分類とされる。
コンピュータシステム3は、例えば画像2001に対しては、「領域境界が無し」と判定する。この場合、曲線の領域境界の有無、およびノッチ/オリフラの有無は、関係なしとなる。コンピュータシステム3は、例えば画像2002に対しては、「領域境界が有り」と判定し、当該画像中の領域境界のうち「曲線の領域境界が無し」と判定し、また、「ノッチ/オリフラが無し」と判定する。コンピュータシステム3は、例えば画像2003に対しては、「領域境界が有り」と判定し、当該画像中の領域境界のうち「曲線の領域境界が無し」と判定し、また、「ノッチ/オリフラが有り」と判定する。コンピュータシステム3は、例えば画像2004に対しては、「領域境界が有り」と判定し、当該画像中の領域境界のうち「曲線の領域境界が有り」と判定し、また、「ノッチ/オリフラが無し」と判定する。
ノッチ/オリフラの有無の判定は、後述するが(図22)、領域境界の数と角度とを用いて可能である。例えば、領域境界の数が2個で、それらの領域境界角度の差が閾値以上である場合、「ノッチまたはオリフラが有り」と判定できる。なお、実施の形態2では、ノッチまたはオリフラが有る場合には、同じ欠陥検出方式を適用できるので、ノッチとオリフラとの区別・識別は必須ではない。
また、実施の形態2(図19)では、基本構成として、領域境界における直線と曲線との区別・識別を行う構成(図21)であるが、これは必須ではない。より簡易化した構成としては、領域境界のすべてを直線に近似して処理する構成でもよい(図23)。直線と曲線とを区別せずに略直線として扱う場合、図20の第2事例と第4事例とは1つの分類(第2分類)に統合できる。
コンピュータシステム3は、上記例のように、ベベル画像内における異なるウェハ構造・特徴に応じて、具体的には領域境界の態様に応じて、ベベル画像をいくつかに分類する。実施の形態2の図20の例では、第1分類から第4分類までの4つに分類される。そして、コンピュータシステム3は、その分類に応じて、当該ベベル画像に適用する適切な欠陥検出方式を選択して切り替える。実施の形態2の例では、第1から第3までの3種類の欠陥検出方式から選択される。
図20の(B)の表は、(A)に対応した判定結果・分類に応じた欠陥検出方式の選択についてまとめたものを示している。第1分類の場合に、適用可能な候補となる欠陥検出方式は、図19の第1の欠陥検出方式1911、第2の欠陥検出方式1912、および第3の欠陥検出方式1913である。第2分類の場合には、第2の欠陥検出方式1912、および第3の欠陥検出方式1913である。第3分類の場合には、第3の欠陥検出方式1913である。第4分類の場合には、第3の欠陥検出方式1913である。また、第1分類の場合に、特に有効な欠陥検出方式は、第1の欠陥検出方式1911である。第2分類の場合に、特に有効な欠陥検出方式は、第2の欠陥検出方式1912である。第3分類の場合に、特に有効な欠陥検出方式は、第3の欠陥検出方式1913である。第4分類の場合に、特に有効な欠陥検出方式は、第3の欠陥検出方式1913である。実施の形態2の例では、それぞれの分類の場合に、特に有効な欠陥検出方式として図示した方式を適用する。第1~第3の欠陥検出方式の詳細については後述する。
図19のステップS1907の方式切り替えの処理例としては以下である。コンピュータシステム3は、判定結果1906で「領域境界が無し」である場合(図20での第1事例)、第1分類とし、第1分類に適した第1の欠陥検出方式に切り替える。また、コンピュータシステム3は、判定結果1906で、「領域境界が有り」、かつ、「曲線の領域境界が無し」、かつ、「ノッチ/オリフラが無し」である場合(図20での第2事例)、第2分類とし、第2分類に適した第2の欠陥検出方式に切り替える。また、コンピュータシステム3は、判定結果1906で、「領域境界が有り」、かつ、「曲線の領域境界が無し」、かつ、「ノッチ/オリフラが有り」である場合(図20での第3事例)、第3分類とし、第3分類に適した第3の欠陥検出方式に切り替える。また、コンピュータシステム3は、判定結果1906で、「領域境界が有り」、かつ、「曲線の領域境界が有り」である場合には、第4分類とし、第4分類に適した第3の欠陥検出方式に切り替える。
[判定ステップの詳細]
図21を用いて、判定ステップS1906の判定処理の詳細について説明する。ステップS2101で、コンピュータシステム3は、ベベル画像1905に対応した入力のベベル画像2101中の領域境界を検出し、検出結果として、領域境界情報(言い換えると領域境界画像)2102を得る。本例では、入力のベベル画像2101が図20の第3事例の画像2003である場合を図示している。ベベル画像2101内の領域境界の検出は、公知の画像処理技術を用いて、ベベル画像2101内の輝度の分布を判断することで可能である。一例としては、図示の破線矢印の方向に輝度を調べた場合に、輝度が十分に大きく変化する箇所が検出できる。このような輝度変化箇所が連続的に直線状に分布している場合、その直線状の箇所は領域境界に該当する。
領域境界情報2102は、データ構造例として画像としているが、これに限定されない。当該領域境界画像2102は、画素毎に、領域境界に該当するかどうかを表す値が格納されている。本例では、領域境界画像2102は、図示する2つの領域境界として、領域境界2103,2104が検出されている。これらは、図18での領域境界1825,1824と対応している。各画素値は、例えば、領域境界に該当しない場合には第1の値、領域境界2103に該当する場合には第2の値、領域境界2104に該当する場合には第3の値が格納されている。なお、コンピュータシステム3は、1つのベベル画像内に複数の領域境界を検出した場合には、各領域境界に、識別情報や位置座標情報などを付与して管理してもよい。
次に、コンピュータシステム3は、ステップS2102で、領域境界情報2102における領域境界ごとに、線が直線か曲線かを判定し、判定結果として直線曲線判定結果2105を取得する。直線か曲線かの判定の手法については限定せず、公知の画像処理技術を適用できる。直線曲線判定結果2105は、領域境界ごとに、直線であるか曲線であるかを表す情報が格納されており、領域境界情報2102と関連付けて管理される。例えば、領域境界2103が直線、領域境界2104が直線である。実施の形態2では、このような直線と曲線との区別・識別の判定が行われる。
次に、コンピュータシステム3は、ステップS2103で、領域境界情報2102における領域境界ごとに、線の方向・角度を、領域境界角度として算出する。ステップS2103で算出された結果は、領域境界角度情報2106として得られる。領域境界角度情報2106は、領域境界情報2102および直線曲線判定結果2105と関連付けて管理される。例えば、領域境界2103(言い換えると第1の領域境界)については、領域境界角度として第1の角度(例えば-75度)が得られ、領域境界2104(言い換えると第2の領域境界)については、領域境界角度として第2の角度(例えば+15度)が得られる。
また、コンピュータシステム3は、領域境界角度の算出に限定せずに、例えば、領域境界が曲線である場合には、曲率などを算出してもよい。この場合、曲率などの情報も、領域境界角度情報2105に含めて格納される。ステップS2102で算出された直線曲線判定結果2105や、ステップS2103で算出された領域境界角度情報2106は、のちの処理ステップで利用される。
次に、コンピュータシステム3は、ステップS2104で、上記ベベル画像2101内で検出した領域境界の数を含む領域境界情報2102、角度を含む領域境界角度情報2106、および直線曲線判定結果2105に基づいて、撮像位置のベベル画像2101における半導体ウェハの構造・特徴を判定し、判定結果2108を得る。この構造・特徴とは、図20のように、領域境界の有無や数や角度の態様である。言い換えると、この構造・特徴は、領域境界に応じて分けられた図17の上面領域A、斜面領域B、背景領域Cといった各種の領域についての態様である。図21の例では、ベベル画像2101は、図20での第3分類に該当すると判定される。判定結果2108は、データ構造を限定せず、図20の表のように「領域境界の有無」などを含んだ情報としてもよいし、予め規定された分類(例えば第1分類~第4分類)を表す情報としてもよい。
ベベル画像においては、図17や図18のような上面領域A、斜面領域B、および、ノッチ/オリフラやウェハ外領域を含む背景領域Cのそれぞれの領域において、特徴的なパターンは存在しない。そのため、課題として、従来、撮像情報を用いずに撮像位置におけるベベル画像内の半導体ウェハの構造を判定することは困難であった。そこで、実施の形態2では、ベベル画像において、各種の領域の境界である領域境界では輝度が急激に変化することに着目し、これらの領域境界を検出する。そして、実施の形態2では、領域境界の数や角度によって、半導体ウェハの構造・特徴を分類する。言い換えると、実施の形態2では、図20のように、分類として、領域境界の有無、曲線の領域境界の有無、ノッチ/オリフラの有無といった態様を特定する。これにより、実施の形態2では、誤差が含まれ得る撮像位置等の撮像情報を用いずとも、ベベル画像内の構造・特徴を分類し、分類ごとに適した欠陥検出方式を適用可能となる。
ステップS2101では、コンピュータシステム3は、領域境界の検出の処理例としては、ベベル画像2101に、ソーベルフィルタ等の、輝度変化がある箇所で出力値が大きくなるフィルタを適用し、ハフ変換等によって直線や曲線を検出することで、それぞれの領域境界を検出する。ステップS2101の結果、領域境界ごとに、その領域境界を構成する1つ以上の画素が紐づけられる。
ステップS2102では、コンピュータシステム3は、直線・曲線の判定の処理例としては、ベベル画像2101およびそれに対応する領域境界情報2102における画素ごとに、輝度勾配の方向を算出する。例えば、図示する領域境界2103上のある画素については、破線矢印で示すように、輝度勾配の方向(その方向を表す角度)を算出できる。そして、コンピュータシステム3は、領域境界を構成する画素群における各画素の輝度勾配の方向を比較する。コンピュータシステム3は、各画素の輝度勾配の方向が、所定の範囲内(例えば1度以内)である場合には、当該領域境界の線が直線であると判定し、そうでない場合には、曲線であると判定する。ステップS2102の結果、領域境界ごとに、直線か曲線かという情報が紐づけられる。なお、領域境界の画素ごとに、輝度勾配の方向などの情報も紐づけて保持してもよい。
ステップS2103では、コンピュータシステム3は、領域境界角度の算出の処理例としては、領域境界ごとに、直線と判定された領域境界に対しては、輝度勾配の方向を算出または参照する。また、コンピュータシステム3は、曲線と判定された領域境界に対しては、曲率などを算出してもよい。コンピュータシステム3は、領域境界画像2102から、直線である領域境界の輝度勾配の方向に対し、垂直方向を、その領域境界の延在の方向とし、その延在の方向に対応する領域境界角度を算出する。例えば、ベベル画像の所定の方向(例えばX軸方向)を角度の基準として、領域境界角度を算出する(後述の図23)。領域境界角度の算出の方法は、これに限定されない。
ステップS2104で、ウェハ構造の判定の処理例としては以下である。コンピュータシステム3は、ベベル画像内に領域境界が1つ以上検出された場合には、「領域境界が有り」と判定し、領域境界が検出されなかった場合には「領域境界が無し」と判定する。また、コンピュータシステム3は、「領域境界が有り」の場合に、検出された領域境界のうち、ステップS2102で曲線と判定された領域境界が1つ以上ある場合には、「曲線の領域境界が有り」と判定し、それ以外の場合、すなわち、すべての領域境界が直線である場合には、「曲線の領域境界が無し」と判定する。
また、コンピュータシステム3は、「曲線の領域境界が無し」の場合において、他の領域境界の角度と異なる領域境界が存在するかどうかを判断する。言い換えると、コンピュータシステム3は、ある領域境界の角度に対する他の領域境界の角度の差が、十分に大きいかどうか、例えば、領域境界角度の差分が閾値以上であるかを判断する。例えば、コンピュータシステム3は、領域境界同士の領域境界角度の差分が閾値(例えば10度)以上である場合に、「領域境界角度が異なる」と判定してもよい。コンピュータシステム3は、他の領域境界の角度と異なる領域境界が存在する場合には、「ノッチ/オリフラが有り」と判定し(図20での第3分類)、それ以外の場合には、「ノッチ/オリフラが無し」と判定する。
例えば図18の(D)の画像1804の場合では、領域境界1844の角度と、領域境界1845の角度との差分が十分に小さいので、「ノッチ/オリフラが無し」と判定される。図18の(C)の画像1803の場合では、領域境界1824の角度と、領域境界1825の角度との差分が十分に大きいので、「ノッチ/オリフラが有り」と判定される。
図21の判定処理と図20の分類は、一例を示しており、これに限定するものではない。実施の形態2の欠陥観察方法および装置は、ベベル画像内から領域境界を検出し、領域境界の態様に応じていくつかに分類を行うものである。
[ノッチ/オリフラの有無の判定]
図22は、領域境界角度を用いたノッチ/オリフラの有無の判定についての補足説明図を示す。前述のように、背景領域Cに関しては、詳細には、ウェハ外領域、ノッチ領域、オリフラ領域の3種類の場合がある。コンピュータシステム3は、領域境界角度を用いて、これらの領域の有無を判別できる。(a)の画像2201は、背景領域Cとしてウェハ外領域のみを含む例を示し、ノッチ領域やオリフラ領域を含んでいない。この画像2201は、1つの領域境界2205として直線を有する。この場合、プロセッサは、背景領域Cがウェハ外領域であり、「ノッチ/オリフラが無し」と判定できる。また、プロセッサは、領域境界2205が曲線として写っている場合には、より高精度に、背景領域Cがウェハ外領域であると推定できる。これに限らず、プロセッサは、さらに各領域の輝度などを加味して、各種の領域の有無を判定してもよい。
(b)の画像2202は、背景領域Cとしてノッチ領域が含まれている例を示す。この画像2202は、2つの領域境界として、領域境界2206、領域境界2207を有する。この場合、プロセッサは、領域境界2206の角度と、領域境界2207の角度との差分α1が、閾値以上かを確認し、閾値以上である場合に、ノッチ領域またはオリフラ領域があると判定する。本例では、領域境界2207の角度が領域境界2206の角度に対して十分に大きく、差分α1が閾値以上であるため、「ノッチ/オリフラが有り」と判定される。より詳細には、輝度が低い方の背景領域Cにおいて、領域境界2206に接する領域と、領域境界2207に接する領域とがあり、一方の領域がウェハ外領域に相当し、他方の領域(例えば領域2208)がノッチ領域に相当する。
(c)の画像2203は、(b)と同様であるが、背景領域Cとしてオリフラ領域が含まれている例を示す。この画像2203は、2つの領域境界として、領域境界2209、領域境界2210を有する。この場合、プロセッサは、領域境界2209の角度と、領域境界2210の角度との差分α2が、閾値以上かを確認し、閾値以上である場合に、ノッチ領域またはオリフラ領域があると判定する。本例では、領域境界2210の角度が領域境界2209の角度に対して十分に大きく、差分α2が閾値以上であるため、「ノッチ/オリフラが有り」と判定される。例えば領域2211がオリフラ領域に相当する。
プロセッサは、各領域境界が直線か曲線かの情報を用いる場合には、より高精度に、背景領域Cがウェハ外領域かノッチ/オリフラ領域かを推定できる。
なお、変形例としては、上記領域境界角度の差分に関する閾値を2種類以上用意し、領域境界角度の差分がどの閾値範囲に該当するかによって、ノッチ領域の有無とオリフラ領域の有無とを区別して判定してもよい。
[領域境界の直線と曲線について]
図23は、図20や図21の補足として、領域境界が直線である場合や曲線である場合についての説明図を示す。図23の(a)のベベル画像2301は、領域境界が直線2311として写っている例を示す。図23では輝度に関しては捨象して模式で示している。(a)の画像の場合、直線2311として検出された領域境界の方向・角度は、例えば角度θとして算出できる。
なお、注意事項として、この直線2311は、あくまで画像上の見え方であって、この直線2311に対応する構造物の実態が直線であるか曲線であるかは別の観点である。ウェハ寸法や撮像倍率などに応じて、ベベル画像内での領域境界の線の見え方は異なってくる。実態が曲線(例えば図17のApex領域1707)であっても、撮像倍率が高い場合には、略直線として写り込む。例えば図18の(C)での領域境界1824は、実態としてはウェハ外周付近に存在する、ウェハ上面領域1705とウェハ斜面領域1706との境界であり、撮像倍率が小さい場合には曲線として写るが、撮像倍率が大きい場合には略直線として写る。それに対応する図20の画像2003では、当該領域境界1824が略直線として写っているため、「曲線の領域境界は無し」と判定されている。
図23の(b)の画像2302は、領域境界が曲線2312として写っている例を示す。この曲線2312は、曲がり度合いを誇張して模式で示している。コンピュータシステム3は、画像2302から領域境界としてこのような曲線2312をその形状のまま検出して、領域境界画像2102(図21)として保持しても構わない。(b)の画像2302の場合に、曲線2312である領域境界の角度は、例えば1本の直線に近似することで算出できる。
例えば、(c)の画像2303では、領域境界の曲線2312が、1本の直線2313(言い換えると近似直線)に近似されている。コンピュータシステム3は、例えば前述の輝度勾配の方向等に基づいて、曲線2312の曲がり度合いが一定の度合いまでの場合に、このように1本の直線に近似してもよい。(c)の場合、直線2313による領域境界の角度は、例えば角度θとして算出できる。
また、(d)の画像2304は、(b)の曲線2312を直線に近似する別の例を示している。この例では、曲線2312は、近似直線2314として、複数の直線(言い換えると線分)に近似されている。この近似直線2314は、例えば4個の線分のつながりによって構成されている。(d)の場合、近似直線2314による領域境界の角度は、それぞれの線分ごとの角度として算出してもよい。
また、検出された領域境界が曲線である場合に、コンピュータシステム3は、その曲線の曲がり度合いを表す情報、例えば曲率を算出してもよい。コンピュータシステム3は、曲線上の任意の画素位置で曲率を算出してもよい。例えば、(b)の画像2302の場合で、曲線2312上の概略的に中間付近の画素p0の点をとり、その点での曲率を算出してもよい。また、曲率に限らずに、例えば、(d)の画像2304の場合では、線分に分ける画素の点ごとに、隣接する2つの線分が為す角度を算出してもよい。
[第1の欠陥検出方式(欠陥検出方式A)]
図24以降を用いて、第1の欠陥検出方式1911について説明する。図24は、第1の欠陥検出方式1911での処理フロー等を示す。この第1の欠陥検出方式1911の処理フローは、参照画像生成ステップS2401、欠陥検出ステップS2402を有する。参照画像生成ステップS2401では、コンピュータシステム3は、ベベル画像1905と対応した対象のベベル画像2401を入力し、そのベベル画像2401と比較するための参照画像2403を生成する。欠陥検出ステップS2402では、コンピュータシステム3は、ベベル画像2401と参照画像2403とを用いて、ベベル画像2401中の欠陥部位を検出し、検出結果として、欠陥座標2404を取得する。
参照画像生成ステップS2401では、コンピュータシステム3は、まずステップS2403で、ベベル画像2401の画素ごとに、当該画素および当該画素の周辺の1つ以上の画素を、参照画像2403の画素値の決定に用いるための画素群(生成用画素群とも記載する)2402として算出する(後述の図25)。次に、ステップS2404で、コンピュータシステム3は、生成用画素群2402を用いて、参照画像2403を生成する。
図17での位置1708で撮像した画像(例えば図18の(A)の画像1801)のように、ベベル画像中に、欠陥以外に上面領域Aのみを含む場合に、このようなベベル画像のみを用いて好適に欠陥を検出できる方法が必要である。特に、ベベル画像中で1つの上面領域Aのみであっても大域的に輝度値が変化する場合があり、これは一般的には輝度ムラなどと呼ばれる。この場合に、当該ベベル画像のみを用いて好適に欠陥を検出できる方法が必要である。ベベル画像中に斜面領域Bのみを含む場合も同様である。
そこで、実施の形態2での第1の欠陥検出方式1911は、そのような上面領域Aのみ(または斜面領域Bのみ)を含むベベル画像2401を対象として、ベベル画像2401の画素ごとに、生成用画素群2402を算出し、その生成用画素群2402を用いて参照画像2403を生成する。これにより、領域内の輝度ムラやノイズの影響を低減した上で、好適な参照画像2403を生成できる。そして、欠陥以外に1種類の領域のみを含むベベル画像2401のみを用いて、高精度に欠陥検出ができる。
ステップS2403では、コンピュータシステム3は、生成用画素群の算出の処理例としては、ベベル画像2401の画素ごとに、当該画素(着目画素とも記載する)からの距離が近い画素(例えば10画素以内の画素)を、生成用画素群として算出する。例えば、プロセッサは、所定の距離として10画素を用いた場合、着目画素から10画素以内に該当する周辺画素を、生成用画素群として設定する。
ステップS2404では、コンピュータシステム3は、参照画像の生成の処理例としては、ベベル画像2401の着目画素ごとに、対応する生成用画素群の輝度値の平均値を算出し、その平均値を参照画像2403の対応する位置の画素の輝度値とする。
このように、第1の欠陥検出方式では、着目画素に対し距離の近い画素を生成用画素群として算出することで、領域内の輝度ムラの影響を低減する。また、生成用画素群の輝度値の平均値を参照画像2403の画素の輝度値とすることで、ノイズの影響を低減し、好適な参照画像2403を生成できる。
ステップS2402では、コンピュータシステム3は、欠陥部位の検出の処理例としては、ベベル画像2401と参照画像2403との差分を算出し、差分値が、予め設定された閾値よりも大きな画素を、欠陥部位に該当すると判定し、その画素を欠陥座標2404として取得する。なお、他の手法としては、差分値が閾値よりも大きな複数の画素を、距離等でグルーピングし、グルーピングされた画素領域の中心座標などを、欠陥座標2404として取得してもよい。
図25は、ステップS2403の生成用画素群の算出に関する補足説明図である。左側のベベル画像2501のうち一部の画素領域の拡大を右側に図示している。ある1つの着目画素2501を黒色で示す。プロセッサは、着目画素2501に対し、2次元平面内での周辺に、すなわちX軸方向およびY軸方向を含む各方向に、画素距離として所定の距離を設定し、各方向の画素距離に対応した範囲として算出範囲2502を設定する。本例では、画素距離は、X軸方向およびY軸方向で正負のそれぞれの方向に3画素とする場合を示す。着目画素2501に対し、X軸およびY軸に対する斜め方向などにも、所定の距離に対応した算出範囲が設定される。所定の距離に対応した算出範囲内に該当する周辺画素2503(斜線パターンで示す)が、生成用画素群とされる。なお、画素距離による算出範囲2502の設定は、言い換えると、着目画素2501の周辺における周辺画素2503のマトリクスの設定として捉えてもよい。
なお、実施の形態2での第1の欠陥検出方式は、実施の形態1(図6)での(A)の統計画像比較方式と類似である。実施の形態2での第1の欠陥検出方式は、上記のように着目画素毎に周辺の画素を参照画像の生成用画素とする方式であるため、ベベル画像内に輝度ムラがある場合でも対応可能である。
[第2の欠陥検出方式(欠陥検出方式B)]
図26以降を用いて、第2の欠陥検出方式1912について説明する。第2の欠陥検出方式1912は、参照画像生成ステップS2601、欠陥検出ステップS2602を有する。参照画像生成ステップS2601では、コンピュータシステム3は、対象のベベル画像2601、および領域境界角度情報2106を入力し、対象のベベル画像2601と比較するための参照画像2603を生成する。欠陥検出ステップS2602では、コンピュータシステム3は、ベベル画像2601と参照画像2603とを用いて、ベベル画像2601中の欠陥部位を検出し、欠陥座標2604を取得する。
参照画像生成ステップS2601では、コンピュータシステム3は、まずステップS2603で、ベベル画像2601の画素ごとに、領域境界角度情報2106に基づいて、生成用画素群2602を算出する(後述の図27)。次に、ステップS2604で、コンピュータシステム3は、生成用画素群2602を用いて、参照画像2603を生成する。
図17の位置1709で撮像した画像(図18での(B)の画像1802)のように、ベベル画像中に、欠陥以外に上面領域Aと斜面領域Bとの2種類の領域を含む場合に、当該ベベル画像のみを用いて好適に欠陥を検出できる方法が必要である。そこで、実施の形態2での第2の欠陥検出方式1912は、ベベル画像の画素ごとに、領域境界角度に基づいて、生成用画素群2602を算出し、生成用画素群2602を用いて参照画像2603を生成する。これにより、第2の欠陥検出方式では、欠陥以外に上面領域Aおよび斜面領域Bを含むベベル画像のように、撮像位置に応じて領域境界の方向・角度が異なる場合でも、好適な参照画像2603を生成できる。そして、ベベル画像のみを用いて高精度に欠陥検出ができる。ベベル画像中に他の2種類の領域を含む場合にも同様である。
ステップS2603では、コンピュータシステム3は、生成用画素群の算出の処理例としては、ベベル画像2601の画素ごとに、領域境界角度の方向に存在する画素を、生成用画素群として算出する。プロセッサは、ベベル画像2601の画素ごとに、当該画素からの距離、および領域境界角度に基づいて、生成用画素群を算出する。ステップS2604の参照画像の生成や、ステップS2602の欠陥検出は、図24の第1の欠陥検出方式の場合と同様の処理例が適用できる。
図17のウェハ上面領域1705やウェハ斜面領域1706内に輝度ムラがある場合には、輝度ムラの領域が正常であっても、欠陥として誤検出されることがある。また、実施の形態2でのベベル画像は、SEM2(図2)による画像であり、当該画像の視野が比較的狭い(言い換えると撮像倍率が高い)ことから、領域境界は、ベベル画像内では直線に見えることが多い。これに限らず、当該画像の視野が比較的広い場合には、領域境界は、ベベル画像内でも曲線として見えることがある。
領域境界が曲線である場合において、領域境界角度の方向に存在する画素のすべてを生成用画素群として算出する場合(後述の図28)、輝度値が大きく異なる領域の画素が生成用画素群に含まれることになり、正常部位を欠陥として誤検出することがある。そこで、第2の欠陥検出方式1912では、ベベル画像の画素ごとに、領域境界方向を基準としつつ、当該画素からの距離に基づいて、生成用画素群に含まれる画素を限定する。
図27は、ステップS2603の生成用画素群の算出に関する処理例を示す。この処理例では、プロセッサは、着目画素からの距離(画素距離Dとも記載する)、および領域境界角度に基づいて、生成用画素群を決定する。左側のベベル画像2701は、上面領域Aと斜面領域Bとを含む例であり、領域境界2703を有する。ベベル画像2701のうちの一部の画素領域である局所領域2702の拡大を右側に(a)の第1例として示している。本例では、局所領域2702は、領域境界2703の比較的近くで、斜面領域B内にある画素領域の例である。
黒色で示した画素2704は着目画素の例である。着目画素2704の生成用画素群を算出する際に、プロセッサは、例えば、領域境界2703の領域境界角度の方向、および着目画素2704からの距離(D)によって、算出範囲2706を決定する。本例では、領域境界2703の領域境界角度は、-45度程度であり、領域境界角度の方向は、着目画素2704に対し左上や右下への方向である。
本例では、着目画素2704からの距離(D)を2画素とし、領域境界の方向上の左上や右下へのそれぞれの方向で2画素の距離(D)を設定する場合を示している。破線矢印で示す算出範囲2706は、それらの方向および距離に対応した範囲である。プロセッサは、その算出範囲2706に含まれる、着目画素2704に関する周辺画素2705(斜線パターンで示す)を、生成用画素群として算出する。なお、着目画素2704自体も生成用画素群にカウントされる。本例では、この算出範囲2706に対応した画素ラインは、合計5画素から成り、それらが生成用画素群となる。
算出範囲2706を決定する際の画素距離Dについては、第2の欠陥検出方式1912での設定値としてもよい。また、この画素距離Dについては、後述の生成用画素群の最大画素数Mに応じて決定されてもよい。また、この画素距離Dについては、例えば、領域の輝度ムラの度合いによって決定してもよく、また、検出したい欠陥のサイズによって決定してもよい。また、算出範囲2706は、領域境界角度の方向に対応した平行な方向に限らずに、領域境界角度の方向に対し直交する方向に拡張して設定してもよい。これらの設定については後述のGUI画面でのユーザ設定を可能とする。
(b)の第2例は、領域境界角度の方向に対し直交する方向に拡張して算出範囲2706を設定する例である。本例では、着目画素2704からの距離(D)を3画素として算出範囲2706を設定し、領域境界角度の方向に対応した画素ラインに対し、直交する方向2708(一点鎖線矢印で示す)である右上や左下の方向に、それぞれ隣接している画素ラインも、生成用画素群として設定している。
上記着目画素2704からの距離(画素距離D)は、生成用画素群に関する最大画素数Mが設定されている場合には、その最大画素数Mに応じて自動的に決定できる。例えば、最大画素数Mが5の場合、(a)の第1例のように、着目画素2704からの画素距離Dを2画素とすれば、生成用画素群の数は合計5個となり、最大画素数M以下に収まる。このように、画素毎の生成用画素群の数は、設定された最大画素数M以下の近い値として自動的に決定できる。第2の欠陥検出方式では、画素距離Dおよび最大画素数Mを用いて、生成用画素群の数を限定することで、誤検出を低減できる。
図28は、比較例として、領域境界が曲線である場合において、領域境界角度の方向に存在する画素のすべてを生成用画素群として算出する場合についての説明図である。画像2801は、図18の(E)の画像1805や図20の第4事例の画像2004と同様であり、検出された領域境界として曲線2804を有する。この領域境界は、ウェハ上面領域2802とウェハ斜面領域2803との境界である。ウェハ上面領域2802の輝度に対し、ウェハ斜面領域2803の輝度の方が低い。領域境界である曲線2804についての、領域境界の方向・角度は、例えば図23の(c)のような手法を用いた場合に、方向2806および角度θとして算出されたとする。
比較例では、プロセッサは、着目画素毎に、ベベル画像内の領域境界の方向2806にあるすべての画素を、生成用画素群として算出する。例えば画素p1の場合は、図示する画素ライン2807が生成用画素群となる。しかしながら、例えば画素p2の場合は、画素ライン2810が生成用画素群となる。この画素p2は曲線2804の近くにある。この画素ライン2810は、ウェハ上面領域2802とウェハ斜面領域2803とにまたがっており、それらの領域間では輝度値が大きく異なる。そのため、画素ライン2810上では、それらの大きく異なる輝度値が生成用画素群に含まれることになる。このような生成用画素群を用いて生成された参照画像では、正常部位を欠陥として誤検出することがある。そこで、第2の欠陥検出方式は、図27のように、領域境界の方向において画素距離Dを用いて限定された算出範囲で生成用画素群を算出する方式とした。これにより、画素ごとの生成用画素群には、輝度が大きく異なる画素が含まれにくくなるので、より好適な参照画像が生成できる。
[第3の欠陥検出方式(欠陥検出方式C)]
図29以降を用いて、第3の欠陥検出方式1913について説明する。図29は、第3の欠陥検出方式1913の処理フローを示す。第3の欠陥検出方式は、参照画像生成ステップS2901、欠陥検出ステップS2902を有する。参照画像生成ステップS2901は、対象のベベル画像2901、領域境界情報2102、および領域境界角度情報2106を入力し、対象のベベル画像2901と比較するための参照画像2903を生成するステップである。欠陥検出ステップS2902は、ベベル画像2901と参照画像2903とを用いて、ベベル画像2901中の欠陥部位を検出し、欠陥座標2904を取得するステップである。
参照画像生成ステップS2901では、コンピュータシステム3は、まずステップS2903で、ベベル画像2901の画素ごとに、領域境界情報2102に含まれている領域境界からの距離(領域境界距離Eとする)を算出する(後述の図30)。
ステップS2904では、コンピュータシステム3は、ベベル画像2901の画素ごとに、領域境界距離Eに基づいた近傍の領域境界の領域境界角度(領域境界角度情報2106に含まれている)に基づいて、生成用画素群2902を算出する。そして、ステップS2905で、コンピュータシステム3は、生成用画素群2902を用いて、参照画像2903を生成する。ステップS2906の参照画像の生成やステップS2902の欠陥部位の検出は、第2の欠陥検出方式(図26)の場合と同様である。
図17の位置1710で撮像した画像(図18での(C)の画像1803)のように、ベベル画像中に、欠陥以外に上面領域A、斜面領域B、および背景領域Cを含み、複数の領域境界を含む場合に、このようなベベル画像のみを用いて好適に欠陥を検出できる方法が必要である。そこで、第3の欠陥検出方式では、ベベル画像の画素ごとに、領域境界からの距離(E)を算出し、近傍の領域境界の領域境界角度に基づいて生成用画素群を算出し、その生成用画素群を用いて参照画像を生成する方式とする。これにより、ベベル画像2901のように、ベベル画像中で、方向・角度が大きく異なる複数の領域境界が存在する場合でも、好適な参照画像を生成でき、ベベル画像のみを用いて高精度に欠陥検出ができる。
[領域境界からの距離(E)]
図30を用いて、ステップS2903で算出する領域境界からの距離(E)について説明する。図30の(A)には、ステップS2903で算出した領域境界距離Eについての情報である領域境界距離情報3000を表形式で示す。(B)には、ベベル画像2901における着目画素および領域境界距離Eの例を示す。本例では、ベベル画像2901中、2つの領域境界として、領域境界3007(「領域境界1」)と領域境界3008(「領域境界2」)が検出済みである。着目画素の例として、画素3005、画素3006を示す。
ステップS2903で、コンピュータシステム3は、ベベル画像2901中の各画素3001について、それぞれの領域境界からの距離(E)を算出する。領域境界距離Eは、例えば着目画素から領域境界にひいた垂線の長さである。画素3005については、領域境界3007との距離が領域境界距離E1であり、領域境界3008との距離が領域境界距離E2である。画素3006については、領域境界3007との距離が領域境界距離E3であり、領域境界3008との距離が領域境界距離E4である。これらの距離(E)は、(A)の表では、領域境界1からの距離3002、領域境界2からの距離3003において格納されている。
プロセッサは、算出した領域境界距離Eに基づいて、着目画素ごとに、近傍の領域境界を算出し、表での近傍領域境界3004に格納する。本例では、画素3005については、距離E1が最も小さいので、近傍の領域境界が領域境界3007である。画素3006については、距離E4が最も小さいので、近傍の領域境界が領域境界3008である。
ステップS2904では、コンピュータシステム3は、例えば、ベベル画像の画素ごとに、近傍の領域境界の領域境界角度の方向に存在する画素を、生成用画素群2902として算出する。
(C)には、画素3005についての領域境界角度の方向3009、および画素3006についての領域境界角度の方向3010を示す。領域境界角度の方向で生成用画素群を算出する範囲については、領域境界角度の方向のすべての画素とするのではなく、第2の欠陥検出方式の場合と同様に、着目画素ごとに、当該画素からの距離(D)に基づいて限定するように決定してもよい。
さらに、第3の欠陥検出方式では、参照画像生成ステップS2901で、コンピュータシステム3は、ベベル画像2901の画素ごとに、当該画素から近傍の領域境界の領域境界角度の方向で、かつ、他の領域境界によって遮られるまでの範囲に存在する画素を、生成用画素群として算出する。言い換えると、領域境界角度の方向で生成用画素群を算出する範囲は、他の領域境界に突き当たる画素を最大の限界とする範囲である。
画像2901の例のように、大きく異なる方向・角度の領域境界が存在するベベル画像では、画素ごとに近傍の領域境界の領域境界角度の方向に存在する画素のすべてを生成用画素群として算出すると、輝度値が大きく異なる領域の画素が生成用画素群に含まれる場合がある。この場合には、正常部位を欠陥として誤検出することがある。そこで、第3の欠陥検出方式では、ベベル画像の画素ごとに、当該画素から近傍の領域境界の領域境界角度の方向で、かつ、他の領域境界に遮られるまでの範囲を算出範囲として限定して、その算出範囲内に存在する画素を生成用画素群として算出する。
(C)の例では、画素3005については、領域境界3007の方向3009は、他の領域境界として領域境界3008によって遮られる。よって、方向3009上でその領域境界3008に突き当たる画素までが、算出範囲の最大限とされる。同様に、画素3006については、領域境界3008の方向3010は、他の領域境界として領域境界3007によって遮られる。よって、方向3010上でその領域境界3007に突き当たる画素までが、算出範囲の最大限とされる。
[生成用画素群の算出]
図31は、ステップS2904の生成用画素群を算出する処理例を示す。図31の(A)は、図30のベベル画像2901および着目画素の例と対応した例を示す。(A)では、着目画素ごとに、近傍の領域境界の方向で、他の領域境界までの範囲内で、画素距離Dを用いて生成用画素群を算出する例を示す。(A)では、ベベル画像2901の着目画素を含む一部領域である局所領域3101および局所領域3102の拡大をそれぞれ示す。
まず、局所領域3101の場合で、黒色で示した画素3005についての生成用画素群を算出する際に、コンピュータシステム3は、例えば、近傍の領域境界3007の領域境界角度の方向に沿って、画素3005からの距離(画素距離D)を用いて、算出範囲3107を決定する。そして、プロセッサは、その算出範囲3107に含まれる画素3106を、画素3005についての生成用画素群として算出する。本例では、最大画素数Mを7、画素距離Dを3とした場合を示す。
また、局所領域3102の場合で、黒色で示した画素3006についての生成用画素群を算出する際に、コンピュータシステム3は、例えば、近傍の領域境界3008の領域境界角度の方向に沿って、画素3006からの距離(画素距離D)を用いて、算出範囲3110を決定する。本例では、最大画素数Mを7、画素距離Dを3とした場合を示す。本例では、プロセッサは、画素3006から、ドットパターンで示す近傍の領域境界3008に平行な方向に沿って、左上や右下の斜め方向に周辺画素を探索する。その場合に、右下の方向では、画素距離Dである3画素分の周辺画素を算出できるが、左上の方向では、画素距離Dである3画素分に達する前に、他の領域境界である領域境界3007によって遮られる。よって、プロセッサは、左上の方向では、領域境界3007までの範囲内にある例えば2画素分の周辺画素を算出する。そして、プロセッサは、それらの周辺画素を算出範囲3110として決定し、その算出範囲3110に含まれる周辺画素3109を生成用画像群とする。これにより、画素3006についての生成用画素群は、斜面領域B内のみの輝度が含まれる。
このように、第3の欠陥検出方式では、ベベル画像内の画素ごとに、領域境界を用いて限定された範囲で生成用画素群が設定されるので、生成用画素群は、輝度が大きく異なる領域の画素が混在しないようにでき、好適な参照画像を生成可能である。
図31の(B)は、他の処理例を示す。画像3120は、図18の(E)の画像1805、図20の第4事例の画像2004と同様の画像であり、領域境界3122として曲線を含む場合である。(B)では、ある着目画素である画素3123を含む局所領域3121の拡大を示す。画素3123は、領域境界3122の近くにある。
本処理例は、領域境界が曲線として写っている場合に、直線に近似せずに扱う例である。本処理例では、ステップS2904で、コンピュータシステム3は、ベベル画像2901の画素ごとに、当該画素から近傍の領域境界の曲率(図23)に基づいて、生成用画素群2902を算出する。(B)の例では、黒色で示した画素3123の生成用画素群を算出する際に、プロセッサは、例えば、近傍の領域境界3122の曲率によって、円弧状の算出範囲3125を決定する。この算出範囲3125は、曲線である領域境界3122の方向に沿って、円弧状の範囲として決定される。また、この算出範囲3125は、着目画素からの距離(画素距離D)を用いて限定された範囲として決定される。本例では、画素距離を2とした場合を示す。プロセッサは、その算出範囲3125に含まれる周辺画素3124を、画素3123の生成用画素群として算出する。これにより、この生成用画素群は、曲線の領域境界をまたがずに同じ種類の領域内の輝度を含むようになるので、好適な参照画像を生成できる。
他の処理例としては、領域境界が曲線として写っている場合に、図23の(d)と同様に、曲線を複数の線分で近似し、それぞれの線分を異なる領域境界として扱い、もしくは、それぞれの線分を、領域境界を構成するサブ部分として扱い、図31の(A)と同様の手法で生成用画素群を生成してもよい。
図32の(A)は、上記他の処理例を示す。左側に示すベベル画像3201は、領域境界3202として曲線を有する。画素3203、画素3204は、着目画素の例である。右側には、領域境界3202の曲線を例えば2つの線分に近似した場合を示す。領域境界3202は、線分3202aと線分3202bとに近似されており、これらの線分を例えば第1の領域境界、第2の領域境界として扱ってもよい。画素3203についての生成用画素群を算出する際には、近傍の領域境界3202におけるそれぞれの線分3202a,3202bに対応した方向で、画素距離Dを用いて算出範囲3205が決定される。また、画素3204についての生成用画素群を算出する際には、近傍の線分3202b(第2の領域境界)に対応した方向で、画素距離Dを用いて算出範囲3206が決定される。
他の処理例としては、領域境界が曲線として写っている場合に、近似直線での領域境界角度を算出し、着目画素から領域境界角度の方向に直線状に周辺画素を探索し、その直線上で曲線の領域境界に遮られる場合に、そこまでの範囲に限定して算出範囲を決定してもよい。
図32の(B)は、上記他の処理例を示す。左側に示すベベル画像3201は、(A)の画像と同様であり、領域境界3202として曲線を有する。画素3207は、着目画素の例である。右側には、領域境界3202の曲線を1本の直線3208に近似した場合を示す。本例では直線3208は領域境界3202の曲線に対する接線とした場合を図示している。プロセッサは、直線3208を用いて、領域境界3202の角度θを算出する。プロセッサは、画素3207についての生成用画素群を算出する際には、領域境界3208の角度θに対応した方向で、算出範囲3209を決定する。この算出範囲3209は、領域境界3208の方向上で周辺画素を探索して、領域境界3208の曲線に突き当たった場合に、突き当たった箇所までの周辺画素が算出範囲とされる。
以上のように、第3の欠陥検出方式では、図20の第3分類や第4分類のベベル画像に対し、当該ベベル画像から好適な参照画像を生成して、欠陥検出が可能である。また、上述したように、第3の欠陥検出方式では、いくつかの処理例が可能である。実際にどの処理例を使用するかについては、予め欠陥観察装置のソフトウェアにおいて実装、設定されている。もしくは、欠陥観察装置のソフトウェアにおいて複数の処理例に対応した複数の機能を実装していてもよく、GUI画面でのユーザ設定でどの機能を使用するかが選択されてもよい。
[GUI画面]
図33は、実施の形態2における、GUIを含む画面の表示例を示す。実施の形態2での各欠陥検出方式での参照画像生成ステップ(図24のS2401、図26のS2601、図29のS2901)は、生成用画素群に含まれる画素の最大画素数(Mとする)を設定するための画面を提供する。コンピュータシステム3は、ユーザに対し提供するGUI画面において、実施の形態2での各機能についての指示や設定を受け付け、ベベル画像や欠陥検出結果などを表示する。それとともに、コンピュータシステム3は、図33の例のようなGUI画面で、最大画素数Mの設定に関するGUIを表示する。
前述の第1~第3の欠陥検出方式は、参照画像生成ステップにおいて、ベベル画像内の画素ごとに、生成用画素群を算出する。この際に、生成用画素群に含まれる画素数が多すぎる場合、生成用画素群に、ある画素から距離の遠い画素までが含まれるようになり、領域間の大きな輝度の違いや、領域内の輝度ムラ等の影響を受けて、欠陥検出の精度が低下するおそれがある。そこで、実施の形態2では、各欠陥検出方式に関して、参照画像のための生成用画素群に含まれる画素数を適切に設定するための機能を有し、GUI画面で最大画素数Mの設定を可能とする。これにより、各欠陥検出方式で好適な参照画像を生成でき、欠陥を高精度に検出できる。
コンピュータシステム3は、生成用画素群の算出の処理の際には、欠陥検出方式によって異なる生成用画素群の算出方法に従って、ベベル画像の画素ごとに、最大画素数Mを超えない算出範囲で、着目画素からの距離が近い周辺画素(例えば画素距離D以内の画素)に基づいて、生成用画素群を算出する。この処理は、前述の図27の例では、最大画素数Mの設定値が5である場合に、画素距離Dが2画素とされて、5個の生成用画素群が得られる。
図33のGUI画面は、「生成用画素群の最大画素数」のインタフェース領域3300、「欠陥検出」のインタフェース領域3310を有する。「生成用画素群の最大画素数」のインタフェース領域3300では、第1~第Nの欠陥検出方式のそれぞれの欠陥検出方式ごとに、生成用画素群の最大画素数Mを設定する領域3301~330Nを有する。ユーザは、GUI操作によって、領域3301~330Nで、各方式での最大画素数Mを確認・設定できる。欠陥観察装置のソフトウェアでは、最大画素数Mのデフォルト設定値が設定されており、ユーザが設定値を可変できる。ユーザは、領域3301~330Nに適切な画素数を入力・設定する。
欠陥検出のインタフェース領域3310は、「ベベル画像」のインタフェース領域3311、「欠陥検出結果」のインタフェース領域3312を有する。「ベベル画像」のインタフェース領域3311には、欠陥検出の対象であるベベル画像が1枚以上表示される。「欠陥検出結果」のインタフェース領域3312には、左側のベベル画像に対応した位置に欠陥検出結果の画像が1枚以上表示される。ユーザが上側の欄で最大画素数Mの設定値を変更した場合、コンピュータシステム3は、その変更に合わせて、下側の欄で、左側のベベル画像に対し変更後の最大画素数Mの設定値での欠陥検出処理を適用した欠陥検出結果を表示する。ユーザは、最大画素数Mの変更に応じた欠陥検出結果を見て確認することができる。これにより、ユーザは、効率的に、好適な最大画素数Mを設定できる。
図33の画面例に限らずに、例えば、「欠陥検出」のインタフェース領域3310では、対象のベベル画像ごとに、どの欠陥検出方式が適用されたかを表す情報を表示してもよい。また、対象のベベル画像ごとに、生成された参照画像を表示してもよい。また、対象のベベル画像ごとに、図20の(A)のような判定結果(領域境界の有無などの情報)や分類結果の情報を表示してもよい。
[効果等]
以上説明したように、実施の形態2の欠陥観察方法および装置によれば、実施の形態1と同様に、半導体ウェハのベベル部の撮像対象に適した欠陥観察・検出方式を適用して欠陥観察・検出を実施できるため、従来の単一の方式による欠陥観察・検出に比べて、欠陥観察・検出の精度を向上することができる。
前述の領域境界の直線と曲線との区別に関する処理は、判定ステップS1906内で行うことには限定されず、実施の形態2の変形例としては、各欠陥検出方式の中で必要に応じてその処理を行うようにしてもよい。
[実施の形態2の変形例1]
実施の形態2に関して、以下のような変形例も可能である。図34は、実施の形態2の変形例1についての説明図を示す。この変形例1は、実施の形態2の図19のフローに対し、主に異なる構成点としては、ステップS3400が追加されている。また、ステップS1907で切り替えられた後の欠陥検出方式を用いてステップS1908で欠陥検出を行う際の処理の一部が異なる。
前述のステップS1906の判定処理(図21)では、領域境界情報2102(領域境界画像)が算出されている。ステップS3400では、その領域境界情報2102を入力して用いる。ステップS3401で、コンピュータシステム3は、領域境界画像から、画素ごとに、領域境界からの距離(領域境界距離E)を算出する。ステップS3402で、コンピュータシステム3は、画素ごとに、領域境界距離Eに応じて、欠陥検出の感度(Sとする)を設定する。ステップS3402の結果、感度設定情報3403が得られる。感度設定情報3403は、それぞれの欠陥検出方式(特に第2の欠陥検出方式、第3の欠陥検出方式)に入力される。
この感度Sは、ステップS1908で欠陥検出方式を用いて欠陥検出処理を行う際に、画素を欠陥部位として判定や検出する際の感度である。ステップS3402で設定された感度Sは、ステップS1907で選択された欠陥検出方式の中での欠陥検出処理の際に適用される。これにより、変形例1では、ベベル画像内の画素に応じて異なる感度Sで欠陥検出が実行できる。
感度Sを用いた処理例としては、ある欠陥検出方式の中で、ベベル画像の対象画素と参照画像との差分で欠陥を判断する際に、差分値に感度Sに応じた重み付けを行うことが挙げられる。例えば感度Sが高いほど重みが大きくされる。
画素ごとに領域境界距離Eに応じてどのような感度Sを設定するかの詳細については、特に限定せず、対象の半導体ウェハ等に応じて、様々な感度設定が可能である。感度設定についての一例は以下である。
プロセッサは、ベベル画像3401に対応した領域境界画像2102内で、画素Pごとに、領域境界3402からの距離(E)を算出する。プロセッサは、距離(E)の大きさに応じて、画素Pに感度Sを設定する。ここで、ベベル画像3401において、領域境界3402とその周辺は、輝度変化が比較的大きい。そのため、そのような領域境界周辺領域3404は、正常であるにも関わらず欠陥として誤検出してしまう可能性がある。そこで、変形例1における感度設定の一例では、プロセッサは、画素Pごとに、領域境界距離Eが小さいほど感度Sが低くなるように設定する。例えば領域境界距離Eの値に応じて比例などの関係で感度Sが設定される。これにより、画素に応じて、領域境界周辺領域3403に近いほど低い感度Sで欠陥検出が実行できるので、誤検出を抑制できる。
感度設定の他の例では、プロセッサは、ベベル画像内の画素領域をいくつかに区分し、例えば、領域境界周辺領域3403と、それ以外の領域とに区分する。プロセッサは、領域境界周辺領域3403には相対的に低い第1の感度を設定し、それ以外の領域には第1の感度よりも高い第2の感度を設定する。これにより、輝度変化の大きい領域境界周辺領域3403での感度Sが低くなるので、誤検出を抑制できる。
感度設定の他の例では、上記とは逆に、領域境界周辺領域3403での欠陥検出を重点的に行いたい場合に、プロセッサは、領域境界周辺領域3403での感度Sを相対的に高くなるように設定する。
[実施の形態2の変形例2]
実施の形態2では、基本的な処理部分である判定および欠陥検出において、ベベル画像以外に撮像情報を用いないという技術を説明したが、これに限らずに、変形例2としては、ベベル画像以外に撮像情報や試料情報やその他情報を、参考情報として利用してもよい。例えば、撮像位置、撮像倍率、ウェハ寸法などの情報が、参考情報として利用されてもよい。例えば、撮像倍率やウェハ寸法などの情報からは、ベベル画像内に写り込む領域境界の線について、直線となるか曲線となるかが、予めある程度判断可能である。よって、コンピュータシステム3は、撮像倍率などの参考情報を用いて、領域境界が直線となるか曲線となるかを判断してもよい。そして、コンピュータシステム3は、その判断に基づいて、領域境界の直線と曲線との区別に応じて、例えば前述の判定(図20、図21)を行ってもよいし、図23のような処理を選択してもよい。
[実施の形態2の変形例3]
実施の形態2では、ウェハ表面を垂直方向から撮像したトップビュー画像を用いて、領域境界によって分けられる領域の種類として、図17のような上面領域A、斜面領域B、および背景領域Cを扱う場合を説明した。これに限らずに、変形例3としては、ウェハ表面に対し斜め方向(言い換えるとチルト方向)から撮像したベベル画像を用いてもよい。このベベル画像内には、図17のApex領域1707も写り込む場合がある。この場合、領域境界によって分けられる領域の種類の1つとして、そのApex領域1707が追加される。この場合でも、図20のような領域境界を用いた判定・分類が同様に可能である。
[他の変形例]
実施の形態1や実施の形態2の変形例として、ベベル画像を入力とする機械学習を追加で適用してもよい。この変形例の場合、コンピュータシステム3は、学習フェーズでは、学習用のベベル画像と前述の判定(S606やS1906)の判定結果情報とを用いて、学習モデルを訓練する。訓練により、学習モデルのパラメータが調整される。学習モデルは、例えばCNN(畳み込みニューラル・ネットワーク)などが適用できる。コンピュータシステム3は、推定フェーズでは、対象のベベル画像を、訓練済みの学習モデルに入力し、学習モデルによる推定の結果である出力として、判定結果情報(例えばウェハエッジやノッチ/オリフラの有無)を得る。コンピュータシステム3は、前述の判定(S606やS1906)の他に、上記機械学習による判定結果を併用してもよい。
なお、学習フェーズでのモデルの学習・訓練を実施する事業者およびコンピュータシステムと、推定フェーズでの学習済みモデルを用いた推定を実施する事業者およびコンピュータシステムとが、別の主体であってもよい。
以上、本開示の実施の形態を具体的に説明したが、前述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。各実施の形態は、必須構成要素を除き、構成要素の追加・削除・置換などが可能である。特に限定しない場合、各構成要素は、単数でも複数でもよい。各実施の形態を組み合わせた形態も可能である。
1…欠陥観察装置、2…SEM、3…コンピュータシステム、10…試料、S1…第1ステップ、S2…第2ステップ。

Claims (32)

  1. プロセッサおよびメモリ資源を有するコンピュータシステムを用いて、試料である半導体ウェハのベベル部における欠陥を観察する欠陥観察方法であって、
    前記コンピュータシステムが行うステップとして、
    顕微鏡または撮像装置を用いて前記ベベル部における欠陥候補座標を撮像位置として撮像された画像をベベル画像として取得する第1ステップと、
    前記ベベル画像中の欠陥を検出する第2ステップと、
    を備え、
    前記第2ステップは、
    前記ベベル画像中のウェハエッジ、ウェハノッチ、およびオリエンテーションフラットのうちの少なくとも1つの部位の有無を判定する判定ステップと、
    前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記ベベル画像中から欠陥を検出するための欠陥検出方式を、候補となる複数の方式から切り替えて選択適用する方式切替ステップと、
    前記方式切替ステップで切り替えられた方式で前記ベベル画像中から欠陥を検出する処理を行う欠陥検出ステップと、
    を有する、欠陥観察方法。
  2. 請求項1記載の欠陥観察方法において、
    前記方式切替ステップは、前記複数の方式のうちの1つとして参照画像撮像方式を含み、
    前記参照画像撮像方式は、前記ベベル画像に対応させた参照画像を撮像し、前記ベベル画像と撮像された前記参照画像とを用いて前記欠陥を検出する方式である、
    欠陥観察方法。
  3. 請求項2記載の欠陥観察方法において、
    前記参照画像撮像方式は、前記ベベル部において前記ベベル画像の撮像位置に対し、対称または回転の操作によって得られる撮像位置から、1つ以上の撮像位置を選択し、選択された撮像位置で撮像された画像を回転または反転させることで前記参照画像とする方式である、
    欠陥観察方法。
  4. 請求項3記載の欠陥観察方法において、
    前記顕微鏡または撮像装置は、異なる位置に配置された複数の検出器を備え、各検出器により陰影が異なる画像を検出し、
    前記参照画像撮像方式は、前記選択された撮像位置で撮像された、陰影が異なる複数の画像のうち、前記ベベル画像の陰影と最も近い画像を選択して前記参照画像とする方式である、
    欠陥観察方法。
  5. 請求項3記載の欠陥観察方法において、
    前記参照画像撮像方式は、
    前記欠陥候補座標で示す撮像位置に基づいて、前記半導体ウェハの前記ベベル部を少なくとも第1領域と第2領域とを含む複数の領域に分割し、
    前記第1領域以外の領域に属する複数の撮像位置の複数のベベル画像について、それぞれのベベル画像に対応させるそれぞれの参照画像による複数の参照画像についての複数の撮像位置を、前記対称または回転の操作を用いて、前記第1領域内にまとめるように選定する方式である、
    欠陥観察方法。
  6. 請求項5記載の欠陥観察方法において、
    前記参照画像撮像方式は、前記第1領域内の、選定された複数の撮像位置の複数の画像を順次に撮像させる方式である、
    欠陥観察方法。
  7. 請求項2記載の欠陥観察方法において、
    前記方式切替ステップは、前記判定ステップの判定結果として、前記ウェハエッジが有り、かつ前記ウェハノッチおよび前記オリエンテーションフラットが無しである場合に、前記欠陥検出方式を、前記参照画像撮像方式に切り替えるステップである、
    欠陥観察方法。
  8. 請求項1記載の欠陥観察方法において、
    前記方式切替ステップは、前記複数の方式のうちの1つとして参照画像推定方式を含み、
    前記参照画像推定方式は、前記ベベル画像を入力として、欠陥を含まない画像を参照画像として推定し、前記ベベル画像と推定された前記参照画像とを用いて前記欠陥を検出する方式である、
    欠陥観察方法。
  9. 請求項8記載の欠陥観察方法において、
    前記参照画像推定方式は、前記ベベル画像内でのウェハエッジの方向を算出し、前記ウェハエッジの方向に従って、前記ベベル画像の平均画像を計算することにより、前記参照画像を推定する方式である、
    欠陥観察方法。
  10. 請求項8記載の欠陥観察方法において、
    前記方式切替ステップは、前記判定ステップの判定結果として、前記ウェハエッジが有り、かつ前記ウェハノッチおよび前記オリエンテーションフラットが無しである場合に、前記欠陥検出方式を、前記参照画像推定方式に切り替えるステップである、
    欠陥観察方法。
  11. 請求項1記載の欠陥観察方法において、
    前記方式切替ステップは、前記複数の方式のうちの1つとして類似データ比較方式を含み、
    前記類似データ比較方式は、ある半導体ウェハで撮像された対象の前記ベベル画像に対し、別の半導体ウェハで撮像された別のベベル画像に基づいて、対象の前記ベベル画像と類似する画像を探索し、探索された類似する画像を参照画像とし、対象の前記ベベル画像と前記参照画像とを比較して前記欠陥を検出する方式である、
    欠陥観察方法。
  12. 請求項11記載の欠陥観察方法において、
    前記方式切替ステップは、前記判定ステップの判定結果として、前記ウェハノッチが有り、または前記オリエンテーションフラットが有りである場合に、前記欠陥検出方式を、前記類似データ比較方式に切り替えるステップである、
    欠陥観察方法。
  13. 請求項1記載の欠陥観察方法において、
    前記方式切替ステップは、前記複数の方式のうちの1つとして統計画像比較方式を含み、
    前記統計画像比較方式は、撮像された画像全体での輝度の統計値を計算し、前記統計値による一様画像を作成し、前記一様画像を参照画像とし、前記ベベル画像と前記参照画像とを用いて前記欠陥を検出する方式である、
    欠陥観察方法。
  14. 請求項1記載の欠陥観察方法において、
    前記コンピュータシステムが行うステップとして、
    画面に、前記部位の有無の前記判定結果の情報を表示させるステップを有する、
    欠陥観察方法。
  15. プロセッサおよびメモリ資源を有するコンピュータシステムを用いて、試料である半導体ウェハのベベル部における欠陥を観察する欠陥観察方法であって、
    前記コンピュータシステムが行うステップとして、
    顕微鏡または撮像装置を用いて前記ベベル部が撮像された画像をベベル画像として取得する第1ステップと、
    前記ベベル画像中の欠陥を検出する第2ステップと、
    を備え、
    前記第2ステップは、
    前記ベベル画像内における領域境界を判定する判定ステップと、
    前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記ベベル画像中から欠陥を検出するための欠陥検出方式を、候補となる複数の方式から切り替えて選択適用する方式切替ステップと、
    前記方式切替ステップで切り替えられた方式で前記ベベル画像中から欠陥を検出する処理を行う欠陥検出ステップと、
    を有する、欠陥観察方法。
  16. 請求項15記載の欠陥観察方法において、
    前記判定ステップは、前記ベベル画像内における前記領域境界の有無に基づいて、分類を行うステップであり、
    前記方式切替ステップは、前記分類に応じた前記欠陥検出方式を選択するステップである、
    欠陥観察方法。
  17. 請求項15記載の欠陥観察方法において、
    前記判定ステップは、前記ベベル画像内における前記領域境界ごとに、前記領域境界の方向に対応した角度を算出し、前記領域境界の角度に基づいて、分類を行うステップであり、
    前記方式切替ステップは、前記分類に応じた前記欠陥検出方式を選択するステップである、
    欠陥観察方法。
  18. 請求項15記載の欠陥観察方法において、
    前記判定ステップは、前記ベベル画像内における前記領域境界ごとに、直線であるか曲線であるかを判別し、前記曲線である領域境界の有無に基づいて、分類を行うステップであり、
    前記方式切替ステップは、前記分類に応じた前記欠陥検出方式を選択するステップである、
    欠陥観察方法。
  19. 請求項17記載の欠陥観察方法において、
    前記判定ステップは、前記領域境界の数および前記領域境界の角度に基づいて、ウェハノッチまたはオリエンテーションフラットの有無を判定することを含む、
    欠陥観察方法。
  20. 請求項18記載の欠陥観察方法において、
    前記判定ステップは、前記領域境界が曲線である場合に、直線に近似し、近似された前記直線である領域境界の方向に対応した角度を算出し、前記領域境界の角度に基づいて、分類を行うステップである、
    欠陥観察方法。
  21. 請求項16記載の欠陥観察方法において、
    前記複数の方式のうちの1つとして欠陥検出方式Aを含み、
    前記方式切替ステップは、前記ベベル画像内に前記領域境界が無い場合には前記欠陥検出方式Aを選択し、
    前記欠陥検出方式Aは、前記ベベル画像から参照画像を生成し、前記ベベル画像と前記参照画像とを比較して前記欠陥を検出する方式であり、
    前記参照画像の生成は、前記ベベル画像の画素ごとに、当該画素からの所定の距離以内の周辺画素に基づいて生成用画素群を算出し、前記生成用画素群を用いて前記参照画像を生成することを含む、
    欠陥観察方法。
  22. 請求項17記載の欠陥観察方法において、
    前記複数の方式のうちの1つとして欠陥検出方式Bを含み、
    前記方式切替ステップは、前記ベベル画像内に前記領域境界が有る場合には前記欠陥検出方式Bを選択し、
    前記欠陥検出方式Bは、前記ベベル画像から参照画像を生成し、前記ベベル画像と前記参照画像とを比較して前記欠陥を検出する方式であり、
    前記参照画像の生成は、前記ベベル画像の画素ごとに、前記領域境界の角度に対応した方向に、生成用画素群を算出し、前記生成用画素群を用いて前記参照画像を生成することを含む、
    欠陥観察方法。
  23. 請求項22記載の欠陥観察方法において、
    前記欠陥検出方式Bにおける前記参照画像の生成は、前記ベベル画像の画素ごとに、前記領域境界の角度に対応した方向で、当該画素からの所定の距離以内の周辺画素を、前記生成用画素群として算出することを含む、
    欠陥観察方法。
  24. 請求項19記載の欠陥観察方法において、
    前記複数の方式のうちの1つとして欠陥検出方式Cを含み、
    前記方式切替ステップは、前記ベベル画像内に前記領域境界が有り、前記ウェハノッチまたはオリエンテーションフラットが有る場合には、前記欠陥検出方式Cを選択し、
    前記欠陥検出方式Cは、前記ベベル画像から参照画像を生成し、前記ベベル画像と前記参照画像とを比較して前記欠陥を検出する方式であり、
    前記参照画像の生成は、前記ベベル画像の画素ごとに、前記領域境界からの距離を算出し、前記距離に基づいて、近傍の領域境界を判定し、前記近傍の領域境界の角度に対応した方向に、生成用画素群を算出し、前記生成用画素群を用いて前記参照画像を生成することを含む、
    欠陥観察方法。
  25. 請求項24記載の欠陥観察方法において、
    前記欠陥検出方式Cにおける前記参照画像の生成は、前記ベベル画像の画素ごとに、前記近傍の領域境界の角度に対応した方向に、前記近傍の領域境界とは異なる他の領域境界によって遮られるまでの範囲内で、前記生成用画素群を算出することを含む、
    欠陥観察方法。
  26. 請求項18記載の欠陥観察方法において、
    前記複数の方式のうちの1つとして欠陥検出方式Cを含み、
    前記方式切替ステップは、前記ベベル画像内に前記領域境界が有り、前記曲線である前記領域境界が有る場合には、前記欠陥検出方式Cを選択し、
    前記欠陥検出方式Cは、前記ベベル画像から参照画像を生成し、前記ベベル画像と前記参照画像とを比較して前記欠陥を検出する方式であり、
    前記参照画像の生成は、前記ベベル画像の画素ごとに、前記曲線である領域境界の方向に、生成用画素群を算出し、前記生成用画素群を用いて前記参照画像を生成することを含む、
    欠陥観察方法。
  27. 請求項15記載の欠陥観察方法において、
    前記複数の方式のうちの少なくとも1つの欠陥検出方式は、前記ベベル画像から参照画像を生成し、前記ベベル画像と前記参照画像とを比較して前記欠陥を検出する方式であり、
    前記参照画像の生成は、前記ベベル画像の画素ごとに、周辺画素に基づいて、設定された最大画素数の範囲内で、生成用画素群を算出し、前記生成用画素群を用いて前記参照画像を生成することを含み、
    前記コンピュータシステムが行うステップとして、
    画面に、前記欠陥検出方式における前記最大画素数を設定するインタフェースを表示させるステップを有する、
    欠陥観察方法。
  28. 請求項15記載の欠陥観察方法において、
    前記コンピュータシステムが行うステップとして、
    前記ベベル画像内に前記領域境界が有る場合に、前記ベベル画像内の画素ごとに、前記領域境界からの距離を算出し、前記ベベル画像内で前記画素ごとに前記領域境界からの距離に応じて欠陥検出の感度を設定するステップを有し、
    前記欠陥検出ステップは、前記欠陥検出方式での欠陥検出処理の中で、前記画素ごとに前記感度を適用して前記欠陥を検出するステップである、
    欠陥観察方法。
  29. プロセッサおよびメモリ資源を有するコントローラと、顕微鏡と、を備え、試料である半導体ウェハのベベル部における欠陥を観察する欠陥観察装置であって、
    前記コントローラは、
    前記顕微鏡を用いて前記ベベル部における欠陥候補座標を撮像位置として撮像された画像をベベル画像として取得し、
    前記ベベル画像中のウェハエッジ、ウェハノッチ、およびオリエンテーションフラットのうちの少なくとも1つの部位の有無を判定し、
    判定結果に基づいて、前記ベベル画像中から欠陥を検出するための欠陥検出方式を、候補となる複数の方式から切り替えて選択適用し、
    切り替えられた方式で前記ベベル画像中から欠陥を検出する処理を行う、
    欠陥観察装置。
  30. プロセッサおよびメモリ資源を有するコントローラと、顕微鏡と、を備え、試料である半導体ウェハのベベル部における欠陥を観察する欠陥観察装置であって、
    前記コントローラは、
    前記顕微鏡を用いて前記ベベル部が撮像された画像をベベル画像として取得し、
    前記ベベル画像内における領域境界を判定し、
    判定結果に基づいて、前記ベベル画像中から欠陥を検出するための欠陥検出方式を、候補となる複数の方式から切り替えて選択適用し、
    切り替えられた方式で前記ベベル画像中から欠陥を検出する処理を行う、
    欠陥観察装置。
  31. 請求項1に記載の欠陥観察方法に従った処理をコンピュータに実行させるための欠陥観察プログラム。
  32. 請求項15に記載の欠陥観察方法に従った処理をコンピュータに実行させるための欠陥観察プログラム。
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