JP2023109105A - 列車監視システム及び列車監視方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カメラ映像の視認性の低下による監視業務への影響を抑えることが可能な列車監視システムを提供する。【解決手段】本例の列車監視システムは、列車の車体側面に取り付けられ、同じ監視領域をそれぞれ異なる方向から撮影するカメラ11(A),11(B)と、これらカメラによる複数のカメラ映像の各々に対して、監視領域に存在する物体を検知するための物体検知処理を実行する画像解析装置17と、複数のカメラ映像のうちのいずれかのカメラ映像を表示するモニタ13とを備え、モニタ13に表示されるカメラ映像には、複数のカメラ映像の各々に対する物体検知処理によって検知された物体の位置を示す標示体22が重畳される。【選択図】図1
Description
本発明は、列車をカメラの映像により監視する列車監視システムに関する。
鉄道車両の運行において、利用客が少なく、運行する車両編成が短い路線には、運転士一人によるワンマン運転が採用されている。労働人口の減少に伴う人口動態から鉄道員自体も減少するトレンドの中で、各鉄道事業者はワンマン運転を適用する路線や編成車両数を増やす方針を採っている。しかしながら、編成車両数を増やすと運転士一人による安全確認作業の負担が重くなり、見落としによる事故が発生しやすくなることが懸念される。
従来、ワンマン運転を支援するために、各駅のプラットホームに設置したカメラ及びモニタ、あるいはミラーを用いて、乗客の乗降状況を確認するシステムが利用されている。また、列車側にカメラ及びモニタを設置する車側カメラシステムもあり、インフラ設備に対する保守が不要なことから近年広まってきている。
本発明に係る技術分野の従来技術としては、以下のようなものがある。例えば、特許文献1には、モニタのディスプレイ領域を複数のエリアに分割し、各車両のカメラによって撮影された複数のカメラ映像を各エリアにそれぞれ割り当てて表示させる列車監視システムが開示されている。
近年、列車の各車両に取り付けられたカメラで列車の周辺(主にドア付近)を撮影し、列車の運転室にあるモニタに表示する列車監視システムに関し、更なる開発が進んでいる。例えば、カメラ映像を解析して物体(人物を含む)を検知し、検知結果をモニタのカメラ映像に重畳するシステムが開発されている。
しかしながら、カメラ映像の解析による物体検知を列車監視システムに適用する場合には、下記(1)、(2)のような問題がある。
(1)ディープラーニングを含め、画像から特定の物体を検知する画像解析では、100%の検知率を達成することは不可能である。また、列車監視システムの仕様条件は屋外であることから、(a)被写体への照明条件がまばら、(b)対象となる被写体は多種多様、(c)停車駅によって背景が異なる、(d)車両走行時はシャッタースピードが遅いと画像にぶれが生じるなどの理由により、画像解析に適したカメラ映像を得ることが困難である。
(1)ディープラーニングを含め、画像から特定の物体を検知する画像解析では、100%の検知率を達成することは不可能である。また、列車監視システムの仕様条件は屋外であることから、(a)被写体への照明条件がまばら、(b)対象となる被写体は多種多様、(c)停車駅によって背景が異なる、(d)車両走行時はシャッタースピードが遅いと画像にぶれが生じるなどの理由により、画像解析に適したカメラ映像を得ることが困難である。
(2)車側カメラにおいて、厳しい条件の一つが西日などの太陽光の照射である。強い光が特定の角度から入射する場合、カメラ撮像部にて鮮明な映像を生成できないことがある。また、雨、雪、汚れなどがカメラ前面部に付着している状態で太陽光が入射すると、更に視認性の低下を招く。これによって、画像解析による検知率の低下を招くだけでなく、乗務員・運転士の目視による判断も難しくなる。
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、カメラ映像の視認性の低下による監視業務への影響を抑えることが可能な列車監視システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の一態様に係る列車監視システムは、以下のように構成される。すなわち、本発明に係る列車監視システムは、列車の車体側面に取り付けられ、同じ監視領域をそれぞれ異なる方向から撮影する複数のカメラと、複数のカメラによる複数のカメラ映像の各々に対して、監視領域に存在する物体を検知するための物体検知処理を実行する解析装置と、複数のカメラ映像のうちのいずれかのカメラ映像を表示するモニタとを備え、モニタに表示されるカメラ映像には、複数のカメラ映像の各々に対する物体検知処理によって検知された物体の位置を示す標示体が重畳されることを特徴とする。
ここで、本発明に係る列車監視システムでは、モニタに表示されるカメラ映像に標示体を重畳する位置は、物体検知処理によって物体が検知されたカメラ映像の座標系における当該物体の位置を、モニタに表示されるカメラ映像の座標系に変換した結果に基づいて、決定され得る。
また、本発明に係る列車監視システムでは、物体検知処理によって物体が検知されたカメラ映像とモニタに表示されるカメラ映像を撮影した2つのカメラの駅プラットホームに対する高さと、2つのカメラの間の距離と、2つのカメラの垂直方向及び水平方向の画角とを用いて、座標系の変換が実行され得る。
また、本発明に係る列車監視システムでは、複数のカメラの中に太陽光に対して逆光となるカメラが存在する場合には、逆光となるカメラ以外のカメラによるカメラ映像がモニタに表示され得る。
また、本発明に係る列車監視システムでは、各カメラの水平方向の撮影範囲と、列車の軌道方向の角度と、太陽光の入射角度とを用いて、逆光となるカメラが特定され得る。
また、本発明に係る列車監視システムでは、列車が駅プラットホームに進入したタイミングの列車の位置情報と、列車が駅プラットホームに停車したタイミングの列車の位置情報とに基づいて、列車の進行方向の角度が算出され得る。
また、本発明の別の態様に係る列車監視方法は、以下のように構成される。すなわち、列車の車体側面に取り付けられた複数のカメラが、同じ監視領域をそれぞれ異なる方向から撮影し、解析装置が、複数のカメラによる複数のカメラ映像の各々に対して、監視領域に存在する物体を検知するための物体検知処理を実行し、モニタが、複数のカメラ映像のうちのいずれかのカメラ映像を表示し、モニタに表示されるカメラ映像には、複数のカメラ映像の各々に対する物体検知処理によって検知された物体の位置を示す標示体が重畳されることを特徴とする。
本発明によれば、カメラ映像の視認性の低下による監視業務への影響を抑えることが可能な列車監視システムを提供することができる。
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る列車監視システムの構成例を示してある。ここでは、3両編成の列車を例にして説明するが、列車を編成する車両数は任意である。
図1において、列車の各車両10-1~10-3は、それぞれ、列車進行方向を向いたカメラ11(A)と、これとは逆方向を向いたカメラ11(B)とを車体側面の両側に有すると共に、列車内にIPネットワークを構築するための中継装置であるネットワークスイッチ12を備えている。同じ車両の同じ側面に設置されたカメラ11(A)とカメラ11(B)は、同じ監視領域をそれぞれ異なる方向から撮影するように配置される。本例では、車両の後方側に設置したカメラ11(A)で、監視領域(主にドア付近)を列車進行方向の視点で撮影し、車両の前方側に設置してカメラ11(B)で、同じ監視領域を列車進行方向とは逆方向の視点で撮影する。
列車両端の車両10-1,10-3にある運転室には、2台のモニタ13(A),13(B)が設置されている。モニタ13は、ドア開扉などの特定のイベント時に、各車両のドア開扉側の2つのカメラ11(A),11(B)のうちの一方のカメラ映像を表示する。具体的には、モニタ13のディスプレイ領域を複数のエリアに分割し、各車両のカメラによって撮影された複数のカメラ映像(各車両1台ずつのカメラ映像)を各エリアにそれぞれ割り当てて表示する分割表示を行う。
このように、各車両1台ずつのカメラ映像を分割表示することで、列車の編成長分のプラットホームのエリアを全体的にモニタ13に表示することができ、ドア閉操作や車両起動前にドア開扉側のプラットホームの安全確認を網羅的に実施することができる。なお、各車両2台以上のカメラ映像を分割表示してしまうと、カメラ映像の解像度が下がって運転士が物体を視認しにくくなり、また、モニタ13のディスプレイサイズには限度があることから、各車両につき1台分のカメラ映像を表示している。本例では、列車進行方向の先頭の車両(例えば、車両10-1)のモニタ13のみを稼働させる運用を想定しているが、最後尾の車両10-3のモニタ13も追加で稼働させても構わない。
また、列車両端の車両10-1,10-3にある運転室には、車両側又は上位システムから得られる車両情報15に基づいてモニタ13の表示ON/OFFなどを制御する制御装置14も搭載されている。車両情報15としては、ドア開扉信号や速度検知信号などが挙げられる。ドア開扉信号は、ドアが開扉されたことを示す信号であり、開扉された側(本明細書では、列車進行方向に対して左側を「山側」とし、右側を「海側」とする)の情報も含まれる。速度検知信号は、列車の速度が所定値(例えば、時速5km)以上であることを示す信号である。また、制御装置14は、列車に搭載されたGPS(Global Positioning System)アンテナ16から位置情報(具体的には、緯度経度情報)や時刻情報を取得するインターフェースも有している。
制御装置14は、駅に列車が停車している間はモニタ13の表示がONとなり、列車が走行の開始に伴ってモニタ13の表示がOFFとなるように、モニタ13の動作を制御する。これにより、列車の走行中はモニタ13にカメラ映像が表示されないので、運転士は列車の運転に集中することが可能となる。本例では、列車が完全に停車している状態のみならず、走行中とは認められない程度の速度の状態でもモニタ13の表示が継続される。そして、列車の速度が所定値(例えば、時速5km)に達した時点で、モニタ13の表示が停止される。
更に、本例の監視システムでは、車両10-1~10-3の各々に、その車両のカメラ映像を解析する画像解析装置17が搭載されている。画像解析装置17は、モニタ13によるカメラ映像の表示期間中に、ドア開扉側の2つのカメラ11(A)、11(B)からカメラ映像を取得し、監視領域(主にドア付近)に存在する検知対象の物体(人物を含む)を検知するための物体検知処理を実行する。
物体検知処理は、例えば、ディープラーニングの技術を用いて実現される。一例として、物体検知処理は、一般に知られる検出モデルであるYolo等を活用することにより、画像1枚単位で処理を行うことができ、画像内の物体の位置及びその物体の種別を識別することが可能である。物体検知処理により物体が検知された場合、画像解析装置17は、物体の座標及び種別情報を含む解析結果通知をモニタ13へ送信する。
モニタ13は、解析結果通知を受信すると、物体が検知されたカメラ映像を強調表示する。強調表示は、図2Aに示すように、該当するカメラ映像を所定色(例えば、赤)の枠21で囲んだり、図2Bに示すように、検知した物体を取り囲む枠22をカメラ映像に重畳(オーバーレイ)したりすることで実現される。また、検知した物体を指し示すマーカや矢印等の他の形態の標示体をカメラ映像に重畳してもよい。これにより、運転士は、駅のプラットホームにおける危険事象を認知し易くなる。
ここで、画像解析装置17の検知結果には、物体を正しく検知した場合の「正検知」、物体が存在するにも関わらず検知できなかった「未検知」、物体がないにも関わらず存在すると判定する「誤検知」がある。運転士などの人がプラットホームの安全を最終判断する運用において、未検知の削減が重要課題である。この未検知を削減する方法の一つとして、同じ監視領域を撮影する複数のカメラを用いて検知結果を通知する方法がある。
本例では、同じ車両の対向する2台のカメラ11(A),11(B)は同じ監視領域を異なる方向から撮影している。図3Aは、監視領域をカメラ11(A)で撮影したカメラ映像の例であり、図3Bは、同じ監視領域をカメラ11(B)で撮影したカメラ映像の例である。これら2台のカメラが撮影したカメラ映像の両方に対して物体検知処理を実行し、その結果をOR論理でアラーム報知する。これにより、一方のカメラ映像で未検知が発生した場合でも、他方のカメラ映像で物体が検知されれば、システム全体として未検知を削減することが可能である。
また、カメラ11(A),11(B)は対向した向きに艤装されているため、一方のカメラに太陽光が入射している場合、つまり、逆光の照明条件の場合には、他方のカメラは順光の照明条件となる。順光の照明条件ではカメラ映像の視認性が高いことから、太陽光の向きに応じて物体検知対象及び表示対象のカメラを動的に変化させることが、太陽光の逆光対策となる。本例の列車監視システムにはGPSアンテナ16が搭載されており、時刻情報や位置情報を取得できるため、これらの情報を用いて対象カメラの切り替えを制御することとする。
以下、(1)2台のカメラを用いて検知結果を通知する方法、(2)順光・逆光条件を判別する方法について説明する。
(1)2台のカメラを用いて検知結果を通知する方法について
ディープラーニングを用いた検出モデルであるYolo等を使用した物体認識では、画像上の物体の座標情報が分かる。この座標情報を用いることで、図2Bに示すように、検出した物体を示す標示体(枠22)を、その物体が検知されたカメラ映像に重畳して表示することができる。
ディープラーニングを用いた検出モデルであるYolo等を使用した物体認識では、画像上の物体の座標情報が分かる。この座標情報を用いることで、図2Bに示すように、検出した物体を示す標示体(枠22)を、その物体が検知されたカメラ映像に重畳して表示することができる。
ここで、例えば、カメラ11(B)のカメラ映像の表示中に、カメラ11(B)に係る物体検知処理では未検知だったが、カメラ11(A)に係る物体検知処理にて物体が検知されたとする。この場合、カメラ11(B)に係る物体検知処理では物体の座標情報が得られないので、そのままでは、カメラ11(B)のカメラ映像に対して標示体の重畳表示ができない。したがって、カメラ11(A)に係る物体検知処理でのみ物体が検知された場合には、その物体を示す標示体をカメラ11(B)のカメラ映像に重畳表示できるように工夫する必要がある。そこで、カメラ11(A)に係る物体検知処理で得られた物体の座標情報、つまり、カメラ11(A)のカメラ映像の座標系における物体の位置情報を、カメラ11(B)のカメラ映像の座標系に変換する。
ここでは、図4及び図5に示す条件で、近似的な座標変換方法について説明する。カメラ11(A)とカメラ11(B)の取り付け位置は、プラットホーム面から高さHの位置であるとする。また、カメラ11(A)から枕木方向にd、レール方向にlA 離れた位置のプラットホーム面に、検知された物体P(被写体)が存在すると仮定する。ここで、高さ方向をY方向とし、「レール方向」(つまり、列車の軌道方向)をZ方向とし、「枕木方向」(つまり、列車進行方向に直交する水平方向)をX方向とする。
この場合、カメラ11(A)とカメラ11(B)の距離を既知の値Lとすると、レール方向におけるカメラ11(A)から物体Pまでの距離lB は、下記(式1)で表すことができる。
lB =L-lA …(式1)
lB =L-lA …(式1)
まず、図4を参照して、カメラ映像における垂直方向(Y方向)の座標変換について説明する。ここで、カメラ11(A)と物体Pを結ぶ直線における垂直成分の角度eA は、下記(式2)で近似的に表すことができる。
eA =tan-1(lA /H) …(式2)
eA =tan-1(lA /H) …(式2)
また、カメラ11(A)の垂直方向の画角をφとした場合、画角の上面の境界線を水平と仮定すると、画角の下面の境界線と、カメラ11(A)と物体Pを結ぶ直線との間の角度φA は、下記(式3)で近似的に表すことができる。
φA =eA -(π/2-φ) …(式3)
φA =eA -(π/2-φ) …(式3)
ここで、カメラ映像の解像度をVGA(640×480)とする。また、図6Aに示すように、カメラ11(A)のカメラ映像における物体Pの座標を(xA ,yA )とし、図6Bに示すように、カメラ11(B)のカメラ映像における物体Pの座標を(xB ,yB )とする。これら座標値は、画像左上からのピクセル単位の位置とする。
この場合、カメラ11(A)のカメラ映像における物体Pの垂直方向の位置yA は、下記(式4)で表すことができる。
yA =480×(φ-φA )/φ …(式4)
また、(式2)、(式3)を用いることで、位置yA は、下記(式5)で表すことができる。
yA =480×{φ-(tan-1(lA /H)-(π/2-φ))}/φ …(式5)
yA =480×(φ-φA )/φ …(式4)
また、(式2)、(式3)を用いることで、位置yA は、下記(式5)で表すことができる。
yA =480×{φ-(tan-1(lA /H)-(π/2-φ))}/φ …(式5)
同様に、カメラ11(B)のカメラ映像における物体Pの垂直方向の位置yB は、下記(式6)、(式7)で表すことができる。ここで、fb は、カメラ11(B)の画角の下面の境界線と、カメラ11(B)と物体Pを結ぶ直線との間の角度である。
yB =480×(φ-φB )/V …(式6)
yB =480×{φ-(tan-1(lB /H)-(π/2-φ))}/φ …(式7)
従って、(式1)、(式5)、(式7)により、yB は、yA を用いて表すことができる。
yB =480×(φ-φB )/V …(式6)
yB =480×{φ-(tan-1(lB /H)-(π/2-φ))}/φ …(式7)
従って、(式1)、(式5)、(式7)により、yB は、yA を用いて表すことができる。
次に、図5を参照して、カメラ映像における水平方向(X方向)の座標変換について説明する。ここで、カメラ11(A)の水平方向の画角をθとし、そのうち車両が入る画角範囲をθt 、車両の側面と物体Pとの間の角度をθA とする。この場合、θA は、車両の側面から物体PまでのX方向の距離dを用いて、下記(式8)で表すことができる。なお、θt は、車両へのカメラ取付方法に依存するが既知のものとする。
θA =tan-1(d/lA ) …(式8)
θA =tan-1(d/lA ) …(式8)
また、カメラ映像における物体Pの水平方向の位置xA は、下記(式9)で表すことができる。
xA =640×(θA +θt )/θ …(式9)
これに(式8)を代入することで、位置xA は、下記(式10)で表すことができる。
xA =640×{tan-1(d/lA )+θt }/θ …(式10)
xA =640×(θA +θt )/θ …(式9)
これに(式8)を代入することで、位置xA は、下記(式10)で表すことができる。
xA =640×{tan-1(d/lA )+θt }/θ …(式10)
同様に、カメラ11(B)のカメラ映像における物体Pの水平方向の位置xB は、下記(式11)、(式12)で表すことができる。
xB =640×(θB +θt )/θ …(式11)
xB =640×{tan-1(d/lB )+θt }/θ …(式12)
従って、(式1)、(式10)、(式12)により、xB は、xA を用いて表すことができる。
xB =640×(θB +θt )/θ …(式11)
xB =640×{tan-1(d/lB )+θt }/θ …(式12)
従って、(式1)、(式10)、(式12)により、xB は、xA を用いて表すことができる。
上記のようにして、カメラ11(A)のカメラ映像の座標系における物体Pの位置情報(xA ,yA )を、カメラ11(B)のカメラ映像の座標系の位置情報(xB ,yB )に変換することができる。これを利用して、カメラ11(B)のカメラ映像に対して、カメラ11(A)のカメラ映像から検出された物体Pを示す標示体22B を重畳することが可能となる。
ここでは、物体Pの下部がプラットホーム面に接している(つまり、物体Pを示す標示体の下辺がプラットホーム面に存在する)と仮定する。この場合、カメラ11(B)のカメラ映像における標示体22B の下辺の位置は、カメラ11(A)のカメラ映像における標示体22A の下辺の位置を座標変換することで、算出することができる。また、カメラ11(B)のカメラ映像における標示体22B の幅wB (X方向の長さ)は、標示体22B の下辺の両端の位置を座標変換により特定することで、算出することができる。また、カメラ11(B)のカメラ映像における標示体22B の高さhB (Y方向の長さ)は、カメラ11(B)のカメラ映像における標示体22B の幅wB と、カメラ11(A)のカメラ映像における標示体22Aの高さhA と幅wA の比率とに基づいて、算出することができる(つまり、hB =wB×hA /wA )。これにより、カメラ11(B)のカメラ映像の適切な位置に、カメラ11(A)のカメラ映像から検出された物体Pを示す標示体22B を重畳することができる。
(2)順光・逆光条件を判別する方法について
順光・逆光条件は、天気、時間、プラットホームにおける列車の軌道方向などの要因によって決定される。天気情報は、地上設備から送信される天気予報情報を使用することを前提とする。また、各時間帯における太陽光の入射角度は、システム内のデータベースに保存されるものとする。なお、各駅における列車の軌道方向についても、駅単位でデータベース化をすることで解決できるが、ここでは、GPSを使用した汎用的な軌道方向識別方法を使用するものとする。
順光・逆光条件は、天気、時間、プラットホームにおける列車の軌道方向などの要因によって決定される。天気情報は、地上設備から送信される天気予報情報を使用することを前提とする。また、各時間帯における太陽光の入射角度は、システム内のデータベースに保存されるものとする。なお、各駅における列車の軌道方向についても、駅単位でデータベース化をすることで解決できるが、ここでは、GPSを使用した汎用的な軌道方向識別方法を使用するものとする。
図7を参照して、列車の軌道方向の算出方法について説明する。まず、列車がプラットホームに進入したタイミングの列車の位置情報T1 (x1 ,y1 )を測定し、記録しておく。列車がプラットホームに進入したタイミングは、超音波センサ等を使用したプラットホーム検知システムから取得することができる。更に、列車がプラットホームに停車したタイミングの位置情報T2 (x2 ,y2 )を測定し、記録する。列車の位置情報T1 、T2 としては、例えば、GPSアンテナ16を通じて取得可能な緯度経度情報を使用することができる。
これら位置情報T1 、T2 を使用して、方位上の列車の軌道方向を特定することが可能である。すなわち、列車の軌道方向の角度θ1(東方向を基準にした場合の方位上の傾き)は、下記(式13)で表すことができる。
θ1=tan-1{(y1 -y2 )/(x1 -x2 )} …(式13)
θ1=tan-1{(y1 -y2 )/(x1 -x2 )} …(式13)
なお、プラットホームがカーブしている形状の駅もあるが、このような駅では、列車がプラットホームに進入したタイミングと停車したタイミングで位置情報を測定し、列車の軌道方向を計算すると、実際の軌道方向の角度とは異なる結果になる可能性がある。このような駅については、位置情報T1 を測定するタイミングを遅らせることで対処可能である。すなわち、列車がプラットホームに進入したという条件と、列車の速度が時速3km以下という条件との両方(AND条件)を満たしたタイミングで、列車の位置情報T1 を測定する等により、位置情報の測定間隔を小さくすることで、実際の軌道方向の角度に近い角度を算出することが可能となる。
次に、カメラに対する太陽光の入射状況を分析するためには、各時間における太陽光の入射角度を特定する必要がある。ここでは、簡易的に、2次元的な計算のみで太陽光の入射角度を算出する方法について、図8を参照して説明する。条件としては、日の出から日の入りまでの時間をTsとし、現在時刻における日の出からの時間経過をTnとする。日の出タイミングを0°(度)、日の入りのタイミングを180°とした場合、現在時刻における太陽光の入射角度θ2は、下記(式14)で表すことができる。
θ2=(Tn/Ts)×180° …(式14)
θ2=(Tn/Ts)×180° …(式14)
ここで、図9に示すように、カメラ11(B)のプラットホーム側水平方向の撮影範囲の境界線(列車から遠い側)と列車進行方向との角度をθhとする。この場合、太陽光がカメラ11(B)に入射する条件は、下記(式15)の通りとなる。
θ1+θ2<θh …(式15)
θ1+θ2<θh …(式15)
本条件により、列車の位置情報と、月日時刻情報とを変数として、カメラに対する太陽光の直接入射状況を判定できるので、逆光となるカメラの存在を検出することができる。したがって、例えば、逆光となるカメラとしてカメラ11(B)が検出された場合には、それ以外のカメラ、つまり、カメラ11(A)のカメラ映像をモニタ13の表示対象に選択することで、視認性の高いカメラ映像をモニタ13に表示させることが可能となる。
以上のように、本例の列車監視システムは、列車の車体側面に取り付けられ、同じ監視領域をそれぞれ異なる方向から撮影するカメラ11(A),11(B)と、これらカメラによる複数のカメラ映像の各々に対して、監視領域に存在する物体を検知するための物体検知処理を実行する画像解析装置17と、複数のカメラ映像のうちのいずれかのカメラ映像を表示するモニタ13とを備え、モニタ13に表示されるカメラ映像には、複数のカメラ映像の各々に対する物体検知処理によって検知された物体の位置を示す標示体22が重畳されるように構成されている。
したがって、カメラ11(A)又はカメラ11(B)の一方のカメラ映像の視認性が低下した場合でも、他方のカメラ映像に対する物体検知処理により、監視領域に存在する物体を検知してモニタ13のカメラ映像に標示体22を重畳することができる。これにより、カメラ映像の視認性の低下による監視業務への影響を抑えることが可能となる。
また、本例の列車監視システムは、カメラ11(A),11(B)の中に太陽光に対して逆光となるカメラ(例えば、カメラ11(B))が存在する場合には、逆光となるカメラ以外のカメラ(例えば、カメラ11(A))によるカメラ映像がモニタ13に表示されるように構成されている。
したがって、太陽光の逆光によってカメラ11(A)又はカメラ11(B)の一方のカメラ映像の視認性が低下した場合には、視認性の良い他方のカメラ映像をモニタ13に表示することができる。このため、西日等の逆光が懸念される状況下でも、視認性の良いカメラ映像を用いて監視業務を継続することが可能となる。
ここで、上記の説明では、同じ監視領域を2つのカメラ11(A),11(B)で異なる方向から撮影しているが、3つ以上のカメラで撮影するようにしてもよい。これにより、物体の検知漏れをより少なくすることが可能となる。また、より視認性の良いカメラ映像をモニタ表示できるようになる。
また、上記の説明では、物体の検出時に座標変換の計算を随時行っているが、カメラ映像間でプラットホーム面の各座標の対応関係を事前に算出して設定した座標変換テーブルを用意しておき、この座標変換テーブルを用いて座標変換を行うようにしてもよい。
なお、座標変換や順光・逆光条件判別などの処理は、画像解析装置17が実行してもよいし、モニタ13が実行してもよいし、他の装置が実行してもよい。また、これらの処理を実行する装置は、例えば、プロセッサやメモリなどのハードウェア資源を備えたコンピュータが、本発明に係る各機能を実現するためのプログラムをプロセッサにて実行することで実現される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これら実施形態は例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は、その他の様々な実施形態をとることが可能であると共に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等の種々の変形を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
また、本発明は、上記の説明で挙げたような装置や、これら装置で構成されたシステムとして提供することが可能なだけでなく、これら装置により実行される方法、これら装置の機能をプロセッサにより実現させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
本発明は、列車をカメラの映像により監視する列車監視システムに利用することが可能である。
10-1~10-3:車両、 11(A),11(B):カメラ、 12:ネットワークスイッチ、 13(A),13(B):モニタ、 14:制御装置、 15:車両情報、 16:GPSアンテナ、 17:画像解析装置
Claims (7)
- 列車の車体側面に取り付けられ、同じ監視領域をそれぞれ異なる方向から撮影する複数のカメラと、
前記複数のカメラによる複数のカメラ映像の各々に対して、前記監視領域に存在する物体を検知するための物体検知処理を実行する解析装置と、
前記複数のカメラ映像のうちのいずれかのカメラ映像を表示するモニタとを備え、
前記モニタに表示されるカメラ映像には、前記複数のカメラ映像の各々に対する前記物体検知処理によって検知された物体の位置を示す標示体が重畳されることを特徴とする列車監視システム。 - 請求項1に記載の列車監視システムにおいて、
前記モニタに表示されるカメラ映像に前記標示体を重畳する位置は、前記物体検知処理によって物体が検知されたカメラ映像の座標系における当該物体の位置を、前記モニタに表示されるカメラ映像の座標系に変換した結果に基づいて、決定されることを特徴とする列車監視システム。 - 請求項2に記載の列車監視システムにおいて、
前記物体検知処理によって物体が検知されたカメラ映像と前記モニタに表示されるカメラ映像を撮影した2つのカメラの駅プラットホームに対する高さと、前記2つのカメラの間の距離と、前記2つのカメラの垂直方向及び水平方向の画角とを用いて、前記座標系の変換を実行することを特徴とする列車監視システム。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の列車監視システムにおいて、
前記複数のカメラの中に太陽光に対して逆光となるカメラが存在する場合には、前記逆光となるカメラ以外のカメラによるカメラ映像が前記モニタに表示されることを特徴とする列車監視システム。 - 請求項4に記載の列車監視システムにおいて、
各カメラの水平方向の撮影範囲と、前記列車の軌道方向の角度と、太陽光の入射角度とを用いて、前記逆光となるカメラを特定することを特徴とする列車監視システム。 - 請求項5に記載の列車監視システムにおいて、
前記列車が駅プラットホームに進入したタイミングの前記列車の位置情報と、前記列車が駅プラットホームに停車したタイミングの前記列車の位置情報とに基づいて、前記列車の軌道方向の角度を算出することを特徴とする列車監視システム。 - 列車の車体側面に取り付けられた複数のカメラが、同じ監視領域をそれぞれ異なる方向から撮影し、
解析装置が、前記複数のカメラによる複数のカメラ映像の各々に対して、前記監視領域に存在する物体を検知するための物体検知処理を実行し、
モニタが、前記複数のカメラ映像のうちのいずれかのカメラ映像を表示し、
前記モニタに表示されるカメラ映像には、前記複数のカメラ映像の各々に対する前記物体検知処理によって検知された物体の位置を示す標示体が重畳されることを特徴とする列車監視方法。
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---|---|---|---|
JP2022010522A JP2023109105A (ja) | 2022-01-26 | 2022-01-26 | 列車監視システム及び列車監視方法 |
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Family Applications (1)
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JP2022010522A Pending JP2023109105A (ja) | 2022-01-26 | 2022-01-26 | 列車監視システム及び列車監視方法 |
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-
2022
- 2022-01-26 JP JP2022010522A patent/JP2023109105A/ja active Pending
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