JP2023108306A - 培地、養液栽培装置、養液栽培方法及び養液栽培用の培地の製造方法 - Google Patents

培地、養液栽培装置、養液栽培方法及び養液栽培用の培地の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マイクロプラスチックの発生抑制及び環境負荷抑制に優れた培地、養液栽培装置、養液栽培方法及び養液栽培用の培地の製造方法を提供する。【解決手段】糸状の藻体110を形成する糸状藻類ALを有し、少なくとも一部の前記藻体を絡み合わせた藻体群11が形成されており、且つ、前記藻体の少なくとも一部が生きている養液栽培用の培地10。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年2月28日に第10回サイエンス・インカレ 発表会・表彰式にて公開 令和3年2月28日にアドレスhttps://youtu.be/5TMy_CyT7Qcのウェブサイトで公開
本発明は、培地、養液栽培装置、養液栽培方法及び養液栽培用の培地の製造方法に関する。
養液栽培では、栽培される植物を支持するための培地が用いられる。培地としては、プラスチックフィルム等のほか、特許文献1に示すようなウレタン製の播種用マットが広く用いられている。
特開2016-192911号公報
特許文献1に記載されたような播種用マットが培地として用いられた場合、ウレタンから生じるマイクロプラスチックの流出の抑制が要請される。また、環境負荷を抑えつつ使用後の培地を処分することが要請される。したがって、特許文献1に記載された技術では、マイクロプラスチックの発生抑制と使用後の培地を処分する際の環境負荷抑制の観点で改善の余地がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、上記したようなマイクロプラスチックの発生抑制及び環境負荷抑制に優れた培地、養液栽培装置、養液栽培方法及び養液栽培用の培地の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、次に示す(1)から(8)を要旨とする。
(1)養液栽培に用いられ、
糸状の藻体を形成した糸状藻類を有し、
少なくとも一部の前記藻体を絡み合わせた藻体群が形成されており、且つ、
前記藻体の少なくとも一部が生きた状態である、
培地。
(2)前記藻体群に接する壁材を有し、
前記藻体群を形成する少なくとも一部の前記藻体が、前記壁材に付着している
上記(1)に記載の培地。
(3)少なくとも一部の生きた状態の前記藻体が、気泡を生じ、
前記藻体群に、前記気泡の少なくとも一部が付着する、
上記(1)又は(2)に記載の培地。
(4)前記糸状藻類は、サヤミドロである、
上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の培地。
(5)養液を収めた容器と、
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の培地と、備え、
前記培地が、前記容器の前記養液の上面に浮かんでいる、
養液栽培装置。
(6)前記容器の外側に照明装置が設けられている、
上記(4)に記載の養液栽培装置。
(7)上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の培地を、養液を有する容器における養液の上面に浮かべる工程と、
前記培地に植物の苗又は前記植物の種を配置する工程と、
前記植物が生長するまで前記培地に気泡を生じさせる工程と、を含む、
養液栽培方法。
(8)養液を有する容器に、糸状の藻体を形成する糸状藻類を配置する工程と、
糸状藻類に光を照射して、少なくとも一部の前記藻体を絡み合わせた藻体群を生長させ、且つ、前記藻体群に気泡を付着させる工程と、を含む、
養液栽培用の培地の製造方法。
本発明によれば、マイクロプラスチックの発生抑制及び環境負荷抑制に優れた培地、養液栽培装置、養液栽培方法及び養液栽培用の培地の製造方法を提供することができる。
図1Aは、本発明の培地の一実施例を模式的に示す平面図である。図1Bは、図1Aの破線領域DA1を拡大した状態を模式的に示す拡大平面図である。 図2Aは、図1AのA-A線縦断面の状態を示す図であり、本発明の培地の一実施例を模式的に示す断面図である。図2Bは、図2Aの破線領域DA2を拡大した状態を模式的に示す拡大断面図である。図2Cは、図2Aの破線領域DA3を拡大した状態を模式的に示す拡大断面図である 図3A、図3Bは、本発明の培地の使用状態を模式的に示す要部断面図である。 図4Aは、本発明の養液栽培装置の一実施例を模式的に示す断面図である。図4Bは、図4Aの破線領域DA4を拡大した状態を模式的に示す拡大断面図である 図5は、本発明の養液栽培装置の変型例1の一実施例を模式的に示す断面図である。 図6は、本発明の養液栽培装置の変型例2の一実施例を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明の養液栽培方法を説明するためのフローチャート図である。 図8は、実施例2、および比較例2から比較例4において養液温度の測定結果を示すグラフである。 図9は、実施例2、および比較例2から比較例4において養液の溶存酸素濃度の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明にかかる一実施例等について図面を参照しながら説明する。なお、説明は1.培地、2.養液栽培装置、3.養液栽培方法の順序で行う。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。以下の説明は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容は、説明される実施の形態や実施例等に限定されるものではない。また、以下の説明において、説明の便宜を考慮して前後、左右、上下等の方向を示すことがあるが、本発明の内容はこれらの方向に限定されるものではない。図1、図2Aの例では、Z軸方向を上下方向(上側が+Z方向、下側が-Z方向)、X軸方向を左右方向(右側が+X方向、左側が-X方向)、Y軸方向を前後方向(後ろ側が+Y方向、前側が-Y方向)であるものとし、これに基づき説明を行う。これは、図3から図6についても同様である。各図に示す各領域の大きさや各部材の大きさや厚みの相対的な大小比率は便宜上の記載であり、実際の大小比率を限定するものではない。
[1 培地]
[1-1 培地の構成]
本明細書において、培地は、養液栽培に用いられ、植物の根元で植物を支持するものを示す。なお、本明細書において、養液栽培は、水耕栽培を含む概念であるものとする。養液栽培では、植物を栽培するための容器に培地が配置されており、培地で支持されながら植物が生育される。生育とは、植物の苗又は種の状態から、体積や重さ等を増やして大きくなることを示すものとする。また、本発明の培地は、養液栽培において植物を種から生育する場合には、種を蒔くための播種用マットとして用いることができるものでもある。
(糸状藻類)
培地10は、糸状藻類ALを有する。図1A、図1Bに示す例では、培地10は、糸状藻類ALを形成する複数の藻体110を有する藻体群11を備える。図1Aでは、藻体群11の広がる領域は、ハッチングを付した部分で示されている。糸状藻類ALは、分岐構造を有するもの、非分岐構造のものいずれも含まれる。
(糸状藻類の種類)
本発明において、糸状藻類ALは、藻体110を形成する緑藻類を示すものとする。藻体110は、単細胞が連結して繊維状に形成されたものである。糸状藻類ALは、非分岐構造であるもの及び分岐構造を有するもののいずれも含まれる。糸状藻類ALとしては、サヤミドロ科、ホシミドロ科、シオグサ科等に属する藻類を例示することができる。なお、例えばサヤミドロ科に属する藻類には、非分岐構造であるものが存在しており、また例えばシオグサ科に属する藻類には、分岐構造を有する藻類が存在している。水質の変化に比較的強いこと、藻体に気泡の付着させた状態を形成しやすい観点からは、培地10を形成する糸状藻類ALとしては、サヤミドロ科に属する藻類が用いられることが好ましく、なかでも、サヤミドロが用いられることが好ましい。
(藻体)
培地10には、図1B等に示すように、複数本の藻体110が含まれる。1つの藻体110は太さ(長径)がおおよそ10μmから100μm程度であることが多く、1つの藻体110の長さは、長いもので数センチメートルの長さまで生長することがあるとされている。
(藻体群)
培地10には、上記したように、藻体群11を備える。藻体群11は、複数の藻体110のうちの少なくとも一部の藻体110を絡み合わせた交絡構造を有する。藻体群11は、1つの藻体110内で絡み合っている構造と複数本の藻体110を相互に絡み合わせた構造のいずれかを有するものでもよいし、それらをみ合わせた構造を有するものでもよい。藻体110の絡み合いの程度については、特に限定されないが、藻体群11が個々の藻体110に分離されてしまわない程度に藻体110が絡み合っていればよい。
(生きた状態)
培地10においては、藻体110の少なくとも一部が生きた状態である。藻体110の少なくとも一部が生きた状態であるとは、多数本の藻体110の個体のうちの1本以上が生きた状態であることを示す。培地10においては、少なくとも一部の藻体110が生きた状態であれば、一部に生きた状態ではない藻体110が含まれていてもよい。
(藻体群の質量)
養液栽培の用途で培地10の機能をより確実に発揮しやすくする観点からは、培地10に含まれる藻体群11の質量が、培地10の平面視上における縦10cm×横10の矩形状の区画(単位区画)に、新鮮質量で1g以上3g以下であることが好ましい。培地10に含まれる藻体群11の質量は、単位区画に、乾燥質量で0.1g以上0.3g以下であることが好ましい。なお、藻体群11の質量について、新鮮質量とは、藻体110が水分を含んだ状態となっている場合の質量を示すものとする。乾燥質量とは、水分を除いた藻体110の質量を示すものとする。藻体群11の質量が上記新鮮質量で1g以上3g以下であることで、培地10が養液栽培に用いられた場合に、培地10で植物をより確実に支持することができ、また、エアレーションを行う装置として培地10を機能させるために十分な量の気泡を生産することが容易となる。
本明細書において、藻体110が生きた状態であるとは、藻体110を形成する細胞の少なくとも1つが光合成活性を有し及び原形質流動する状態を保有している状態を示すものとする。なお、藻体110が生きた状態である場合、藻体110を形成する細胞は増殖しうるため、養液栽培が行われる中で、藻体110も生長しうる。
(光合成活性の確認)
培地10における光合成活性については、水を収めた容器に水に接触させた状態となるように培地を配置し、さらに容器に向けて光を照射し、水中の溶存酸素(Dissolved Oxygen;DO)の濃度(mg/L)を測定することで確認することができる。例えば、培地で植物を栽培していない状態を想定すると、糸状藻類ALが生きた状態で培地に含まれる場合、糸状藻類ALに光が照射されていることにより、容器内に収められた水の溶存酸素の濃度(DO)は、ある程度上昇する。糸状藻類ALに対する光の照射を停止すると、溶存酸素の濃度は減少し、そして、通常は所定の値で安定化する。糸状藻類ALが生きていない状態で培地に含まれる場合、糸状藻類ALに光が照射されているか否かによる溶存酸素の濃度の変化は生じにくい。培地10で植物を栽培している状態を想定すると、通常、植物の呼吸に伴い、容器内に収められた水の溶存酸素の濃度(DO)は、減少するとされている。したがって、培地10が養液栽培で用いられていると、糸状藻類ALが生きた状態である場合に植物の呼吸に伴って減少する溶存酸素の少なくとも一部を補うことが可能となる。
(原形質流動の確認)
藻体110を形成する細胞の原形質流動は、光学顕微鏡での観察により確認することができる。藻体110を形成する細胞が生きた状態である場合には細胞の原形質流動が認められ、藻体を形成する細胞が生きた状態でない場合には細胞の原形質流動が認めらない。
(気泡)
培地10を形成する少なくとも一部の生きた状態の糸状藻類ALは、図1B、図2B、図2Cに示すように、気泡12を生じる。培地10において、生きた糸状藻類ALは、上記したように光合成活性を有している。気泡12は、糸状藻類ALの光合成に伴う酸素を含むものである。気泡12は、酸素のみが含まれたものでもよいし、酸素以外の成分を含むものであってもよい。
また、糸状藻類ALの藻体110で生じた気泡12は、その少なくとも一部について、培地10を形成する藻体群11に付着されることが好ましい。なお、気泡12は藻体群11に付着した状態で保持されてもよいし、気泡12は藻体群11に付着した後において消滅してもよい。
培地10の藻体群11は、図3A、図3Bに示すように、後述する養液栽培に用いられた状態では養液22に接触するため、藻体群11は水分を保有しており、藻体110で水分中(藻体群11に保有された養液22中)に気泡12を生じる、このとき、藻体群11に気泡12が付着されると、気泡12による浮力の作用で藻体群11が全体的に養液22の液面22A側に浮きやすくなる。この観点からは、培地10の藻体群11にはより多数の気泡12が付着されることが好ましい。図3A、図3Bは、培地10を養液栽培に用いた場合における培地10の一要部を示す断面図である。図3A、図3Bでは、図2Aにおいて符号DA3を用いて破線で囲まれた領域(破線領域DA3)に対応する部分が示されている。図3Aは、養液栽培の開始時点の藻体群11の一例を示す要部拡大図である。図3Bは、養液栽培の開始から所定時間経過後の藻体群11の一例を示す要部拡大図である。図3A、図3Bにおいて、符号21、符号22は、後述する養液栽培装置20の説明で述べるように、それぞれ容器、養液を示す。
培地10では藻体群11に包含された気泡12の総体積について、図3A、図3Bに示すように、養液栽培の開始時点の総体積よりも栽培開始後の総体積のほうが大きいことが、植物の支持力を高める観点からは好適である。図3Aの例では、培地10を形成する藻体群11には、養液22に沈み込まない程度に気泡12が含まれていればよい。図3Bの例では、藻体群11の生長とともに養液栽培の開始後に藻体110から生じた気泡12を保有して、養液栽培の開始時点よりも気泡12が多く保有されている。ただし、これは一例であり、養液栽培の開始時点でもより多くの気泡12が藻体群11に保有されている状態が形成されていることを禁止するものではない。
藻体群11が養液22の液面22A側に浮かんだ状態とは、藻体群11の上面11Aの一部又は全部が養液22の液面22Aから外部に出ている状態のほか、藻体群11の上面11Aの一部又は全部が養液22の液面22Aに位置している状態が含まれる。また、藻体群11の上面11Aの一部が液面22Aから外部に出ている状態又は液面22Aに位置している状態である場合には、藻体群11の上面11Aのその他の部分(前記一部の部分を除く他の部分)が養液22の液面22Aよりもやや下方に位置している状態が含まれる。
(壁材)
培地は、図1、図2等に示すように、藻体群11に接触し、藻体群11の拡張を規制する壁材13を備えられていることが好ましい。この場合、糸状藻類ALの藻体群11を形成する少なくとも一部の藻体110が、壁材13に付着していることが好ましい。なお、付着とは、壁材を養液の液面方向に移動させた場合に藻体群が壁材に一体的に移動する程度に藻体群と壁材とが引き付けあっている状態を示すものとする。糸状藻類ALの藻体110が壁材13に付着している場合、藻体群11が全体的に壁材13に固定された状態となりやすくなる。藻体群11の全体が壁材13に固定されていると、植物の種や苗の位置が安定するため、培地10で種や苗を安定的に支持することができ、さらに種や苗により安定的に養液を付与することができるようになる。
壁材13の材質は、糸状藻類ALの藻体110を付着させることができるものであれば特に限定されず、例えば、金属、陶器、ガラス、プラスチック、木、紙、石、布等を例示することができる。
壁材13は、面状に形成された面材に限定されず、網目状に形成された網材等であってもよい。壁材13の寸法は特に限定されるものではないが、その高さH(図2Aでは、Z軸方向に沿った壁材13の大きさ)がおおむね5mm程度以上であることが藻体110と壁材13との付着強度を高める観点からは好ましい。
壁材13は、藻体群11に対して一方向から藻体群11に接してもよいし、二方向以上から藻体群11に接してもよい。図1の例では、+X方向、-X方向、+Y方向及び-Y方向の四方向から藻体群に接している。
また、壁材13は、1つでもよいし複数個設けられていてもよい。壁材13が複数設けられている場合には、互いに繋がっていてもよいし、個々に分離されていてもよい。図1の例では、複数の壁材13が枠状に繋がって1つの枠体14を形成している。
壁材13が枠体14を形成している場合においては、養液栽培において培地10を養液22に浮べるように配置した後、藻体群11を構成する藻体110の細胞が増殖して、養液22の液面22A方向に沿って藻体110が伸び広がったとしても、藻体群11をおおむね枠体14内に収めることができる。また、枠体14が藻体群11を四方から囲むことで藻体群11の位置が安定化する。
壁材13については、図4Aを参照しながら後述する養液栽培装置20に示すように、養液栽培装置20に用いられる容器21の側壁部21Bが壁材13を兼ねてもよい。また、養液栽培装置20において容器21の内側に壁材13がさらに配置されてもよい。これは、容器21の内側(内部空間側)に壁材13としての枠体14を養液22に浮かべるように配置し枠体14の内側に藻体群11を配置することで具体的に実現することができる。
[1-2 作用及び効果]
養液栽培において、ウレタン等を培地として用いられる場合、マイクロプラスチックの流出が課題となっていた。本発明の培地においては、ウレタン等を用いる必要性を抑制することができるためマイクロプラスチックの流失の問題を無くすることが可能となる。また、糸状藻類ALは、それ自体、繊維資源等としての活用を期待されており、様々なものの原材料としての利用価値の期待が持たれている。したがって、培地として使用された糸状藻類ALは、培地とした使用された後にも様々な原材料として再利用することが期待でき、使用後の培地の処理における環境負荷を抑制が期待される。
養液栽培では、養液中に酸素を補給するためにエアレーション(空気を吹き込むこと)を行うための装置を設けること、及び養液を対流させる装置を設けること、が要請される。後述する図4に示すような閉鎖系の養液栽培装置による養液栽培では特に強く要請される。本発明の培地においては、生きた状態の糸状藻類ALが用いられているため、糸状藻類ALの光合成で酸素を生じさせることができる。このため、本発明の培地を用いた養液栽培では、糸状藻類ALにエアレーションを行うための装置の役割を兼ねさせることができる。また、糸状藻類ALが生きた状態であることで生育させる植物とともに糸状藻類ALを形成する細胞も増殖することによって、養液の汚れが生じにくくなり、養液を対流させる頻度を減じることが可能となり、さらには養液を対流させる必要も無くすることも可能となりうる。
[1-3 培地の製造方法]
上記した培地10の製造方法について述べる。上記した培地10は、養液栽培用の培地として用いることができるため、次に述べる方法は、養液栽培用の培地の製造方法である。
養液を有する容器を準備する。この容器は、養液栽培を行うための容器でもよいし、培地を製造する目的で準備されたものでもよい。この容器に、糸状の藻体110を形成する糸状藻類ALを配置する。そして、糸状藻類ALに光を照射して、少なくとも一部の藻体110を絡み合わせた藻体群11を生長させる。このとき、藻体110で光合成が行われ、藻体群11に気泡12が付着する。藻体群11が所定の条件を満たすことで培地10が得られる。条件としては、藻体群11の質量が所定値以上となること、藻体群11が所定量の気泡12を付着した状態となること等を挙げることができる。具体的には、培地10の面積100cmあたりにおける藻体群11の質量が、乾燥質量で1グラム以上、3グラム以下の範囲であることが好適である。なお、培地10を製造する際、枠体14等の壁材13が用いられてもよい。この場合、少なくとも壁材13に藻体群11を形成する藻体110が付着するまで藻体群11を生長させることが好適である。
次に、本発明の培地を用いた養液栽培装置について述べる。
[2 養液栽培装置]
[2-1 養液栽培装置の構成]
養液栽培装置20は、図4、図4Bに示すように、養液22と、養液22を有する容器21と、培地10を備える。図4Aは、養液栽培装置20の一実施例を模式的に示す。図4Bは、図4Aの破線領域DA4の拡大断面図である。図4Aでは、養液栽培装置20が1つの容器21内に1つの培地10を設けている場合の一実施例が模式的に示される。なお、図4の例は、閉鎖系の養液栽培装置の一実施例である。閉鎖系とは、容器21に収められた養液を容器内で滞留させる方式を示すものとする。養液を滞留させる場合とは、例えば、外部から養液22を循環させる方式(循環式)や外部から連続的に養液22を流し続ける方式(かけ流し式)等を設けていない場合を示すものとする。なお、図4Aでは、説明の便宜上、植物Pを記載しているが、植物Pは養液栽培装置20を用いて栽培される栽培対象である。このことは、図5、図6についても同様である。
(容器)
容器21は、上方側を開口部21Aとした、容器21の内部空間に養液22を収めることができるものであれば特に限定されない。容器21は、平面視上、上方側を開口した矩形状に形成されている(図示しない)。容器21が開口部21Aを有していることで、栽培対象となる植物Pが生育できるスペースを確保できるだけでなく、培地10に光を照射することができる。
また、図4に示す養液栽培装置20では、容器21の側壁部21Bが、培地10を構成する糸状藻類ALの藻体110を付着させる壁材13を兼ねている。側壁部21Bが、糸状藻類ALで形成される藻体群11に対して四方向から接触している。ただし、このことは、養液栽培装置20が容器21とは別に壁材13を形成する部材を容器21内に配置される場合を規制するものではない。
容器21の材質は特に限定されず、上記した壁材13と同様の材質を用いられてよい。ただし、糸状藻類ALや栽培対象となる植物Pに対してより効率的に光を照射する観点からは、容器21は光透過性を有することが好ましく、透明であることがより好ましい。この観点では、容器21の材質は、プラスチック又はガラスであることが好ましい。容器21が透明な材質で形成されている場合、容器21に対して光が上面側や斜め上方向から照射されるのみならず、横方向から照射されてもよい。
(養液)
養液22は、植物Pの生長に必要な栄養分を含む液体を示す。養液22の組成は、植物Pの種類等に応じて定められてよい。本明細書においては特に限定しない限り、養液22の概念に水を含める。養液22は、水でもよいが、養液22には、植物Pの生長に必要な栄養分のほか、糸状藻類ALを構成する藻体110の細胞の増殖に必要な栄養分が含まれることが好ましい。藻体110の細胞が増殖することで藻体群11の嵩と気泡12の包含量を向上させることができ、植物Pの生長に伴って培地10における植物Pの支持力や固定力を向上させることができる。
(植物)
養液栽培される(栽培対象となる)植物Pは、特に限定されるものではないが、藻体群11が養液22の液面22A側に浮かんだ状態で藻体群11に支持できる程度の大きさや重さを有するものであることが好ましい。例えば、植物Pとしては、サニーレタス等の葉物野菜類や、カイワレダイコン、ブロッコリースプラウト、豆苗等のスプラウト類等を例示することができる。なお、図4の例では、説明の便宜上、個体数において複数の植物Pが栽培されているが、培地10には単数個の植物Pが栽培されてよい。また、後述するように1つの培地10を複数の区画に分けた場合に、多数個の植物Pが、それぞれの区画に配置されてもよい。
(培地)
上記で説明した本発明の培地10が、容器21内の空間に備えられている。養液栽培装置20においては、培地10は、藻体群11から生じた気泡12の浮力により容器21内の養液22に浮かんだ状態となっている。図4の例では、藻体群11の上面11Aが、養液22の液面22Aよりも外側に位置しており、すなわち外部空間に露出している。図4に示すように、藻体群11は、下面11B側は養液22に浸っており、藻体群11の全体に水分が含まれている。ところで、養液栽培において種を培地に蒔き培地に発芽させる際には、種が空気に触れている一方で種が水分を十分にとれる状況であるという発芽条件を満たす必要がある。上記したように培地10が容器21に配置されている場合においては、この発芽条件が満たされている。糸状藻類ALがサヤミドロである場合には、養液22において浮上することが容易であるため、より効率的に発芽条件を満たすように培地10が形成されやすい。
また、藻体群11は容器21の側壁部21Bに接触しており、生きている状態の藻体110のうち少なくとも一部の藻体110が側壁部21Bに付着している。
(光照射)
養液栽培装置20では、養液栽培中に培地10に向けて光が照射される。光が培地10に照射されることで、藻体群11の藻体110から気泡を生じ、培地10の藻体群11が養液22の液面22A側に浮かんだ状態を維持することができ、また、養液22中の溶存酸素の濃度を維持し、そして養液22における水質の悪化(劣化)を抑制することができる。光源は、十分な光量を発することができるものであれば特に限定されず、後述する照明装置23でもよいし、太陽光でもよい。
[2-2 作用及び効果]
養液栽培装置20では、本発明の培地10が用いられているため、上記したようにマイクロプラスチックの流失の問題を無くすることができ、使用後の培地の処理における環境負荷を抑制することができる。
従来の養液栽培装置には、養液中に酸素を補給するためにエアレーション(空気を吹き込むこと)を行うための装置を設けること、及び養液を対流させる装置を設けること、が要請されてきた。閉鎖系の養液栽培装置による養液栽培では特に強く要請される。図4に示すような養液栽培装置20においては、本発明の培地10が用いられることから、生きた状態の糸状藻類ALが用いられているため、糸状藻類ALの光合成で酸素を生じさせることができる。このため、養液栽培装置20を用いた養液栽培では、培地10に含まれる糸状藻類ALにエアレーションを行うための装置の役割を兼ねさせることができる。また、養液栽培装置20を用いた養液栽培では、糸状藻類ALが生きた状態で光が照射されることで栽培対象となる植物Pとともに糸状藻類ALを形成する藻体110の細胞も増殖し光合成が継続する。これにより、藻体110から継続的に酸素が養液22に供給され、養液22における水質の悪化(劣化)が生じにくくなり、養液22を対流させる必要性を減じることが可能となり、さらには養液22を対流させる必要も無くすることも可能となりうる。ただし、このことは、養液栽培装置20において、エアレーション装置や養液を対流させる装置を補助的に用いることを禁止するものはない。
次に、本発明の養液栽培装置の変形例について説明する。
[2-3 変形例]
(変形例1)
養液栽培装置20には、図5に示すように、容器21の上方に光源として照明装置23が設けられていてもよい。この形態を養液栽培装置20の変形例1と称する。図5は、養液栽培装置20の変形例1の一実施例を模式的に示す断面図である。図5では、照明装置23から光LWが培地10と植物Pにむかって照射される。変形例1によれば、栽培しようとする植物Pに十分な光LWをあてた状態を形成することができるほか、藻体群11にも十分な光を照射することができる。
照明装置23からの光LWの強さは、特に限定されないが、藻体110を形成する細胞における光合成を適切に促す観点からは、1000ルクス以上であることが好ましく、おおむね1000ルクス以上100000ルクス以下の範囲であることがより好ましい。また、植物Pの光合成を適切に促すとともに藻体を形成する細胞における光合成を適切に促す観点からは、1000ルクス以上であることが好ましく、およそ1500ルクス以上30000ルクス以下の範囲であることがより好ましい。
(変形例2)
養液栽培装置20は、図6に示すように、複数の培地10を1つの容器21に配置されたものであってもよい。図6は、養液栽培装置20の一実施例を示す図である。この場合、容器21の内部空間を仕切り24で複数に区分けして区分空間25を形成し、それぞれの区分空間25に、養液22を収めており、且つ、培地10を配置している。この場合、容器21と仕切り24に対して培地10を構成する藻体群11が付着している。
ただし、図6の養液栽培装置20は一例であり、その他の例を禁止するものではない。例えば、変形例2においては、培地10として枠体14の内側に藻体群11を設けたものを複数個用い、容器21の内部空間に養液22を収めるとともに、複数の培地10が養液22の液面22A側に浮かぶように配置されてもよい(図示しない)。
次に、養液栽培方法について述べる。
[3 養液栽培方法]
[3-1 構成]
養液栽培方法は、図7に示すように、培地10を用いて養液栽培を行う方法、具体的には、上記した養液栽培装置20を用いて養液栽培を行う方法を例として挙げることができる。養液栽培装置20を用いて養液栽培を行う例に基づき、図4,図5等も合わせて参照しながら、養液栽培方法についての説明を続ける。なお、図7は、養液栽培方法の一実施例を示すフローチャート図である。
養液栽培方法は、本発明の培地10を、養液22を有する容器21における養液22の液面22A側に浮かべる工程(第1の工程)を有する。これは、容器21内に培地10を配置した状態で光を照射することで実現することができる(図7におけるステップS1)。培地10に光が照射されることで、培地10における藻体群11を形成する藻体110の細胞が光合成して気泡12を生じ、この気泡12が藻体群11に付着し、養液22の液面22A側に藻体群11が浮かぶ。第1の工程においては、照射される光について、藻体群11を養液22の液面22A側に浮かぶ程度の気泡12を生じさせる程度の強度が得られればよく、具体的にはおおよそ1000ルクス程度以上の強度を得られればよい。照射される光について、光源は、照明装置23でもよいし太陽光でもよい。
次に、培地に植物の苗又は前記植物の種を配置する工程(第2の工程)(図7においてステップS2)が実施される。第2の工程においては、例えば植物を種から生育させるためには、養液の上面に種が配置される。培地は、養液の上面側に浮かんでおり、培地を形成する藻体群の上面側が外気に触れ、藻体群の下面側が養液に浸っているため、種は、空気と水分の両方を得ることができるため、発芽条件を満たすことが容易となる。
植物が発芽した後においては、培地を養液に浮かべた状態で植物を生長させる工程(第3の工程)が実施される(図7におけるステップS3)。この工程では、さらに培地に気泡を生じさせる。培地を構成する藻体群を形成する藻体は生きている状態であるため、植物を生長させる工程でも引き続き藻体群を形成する細胞を増殖させ、且つ光合成させることが促される。細胞の増殖と光合成の促進は、光の照射等によって具体的に実現することができる。藻体群を形成する細胞が光合成することにより、培地から気泡を生じる。そして、培地に気泡が付着することで、培地の浮力が上昇する。また、藻体群を形成する細胞が増殖すること培地のかさが向上しで、培地による植物の支持力が向上する。したがって、培地を養液に浮かべた状態で植物を培地で支えながら生長させることができる。第3の工程においては、光の照射について、藻体群11を養液22の液面22A側に浮かばせる気泡12を生じさせとともに植物Pの生長を促すことができる程度の強度の光が照射されることが好ましい。この観点では、第3の工程で照射される光の強度は、第1の工程よりも強く、具体的には1500ルクス程度以上であることが好適である。照射される光について、光源は、照明装置23でもよいし太陽光でもよい。
なお、養液栽培方法においては、植物Pは、図4、図5にも示すように、その生長とともに根ROを張る。このとき根ROは、藻体群11の藻体110の間に伸び、また藻体群11の下方にある養液22内に伸びる。そして、根ROが容器21の側壁部21Bや底面部21Cに到達した場合には、容器21と根ROによって植物Pを支持することも可能である。
なお、養液栽培方法は、上記の工程の他に、水又は養液を補充する工程が追加されてもよい。この工程は、例えば、培地10の上側から水又は養液を注ぎ込むことで実現することができる。補充される養液の成分は、栽培対象となる植物Pの栄養分だけでなく藻体110の細胞の栄養分を含むことが好ましい。
養液栽培方法においては、植物Pの生長の後、使用後の培地10を構成する糸状藻類ALが、養液栽培以外の他の用途に用いられてもよい。例えば、糸状藻類ALは、水質浄化用の浄化成分として用いられてもよい。また、糸状藻類ALは、繊維資源やセルロース資源としての活用も期待される。
[3-2 作用及び効果]
養液栽培方法では、本発明の養液栽培装置が用いられるため、上記した養液栽培装置20について説明した作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることができる。
次に、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
実施例1
(培地の準備)
平面視上の面積10cm、高さ8cm(深さ8cm)の容器を準備した。容器内に、糸状藻類の藻体群を投入し、さらに水を注入した。糸状藻類としては、生きたサヤミドロが用いられた。糸状藻類の藻体群の投入量は、新鮮質量でおおむね2グラム程度であった。また、水としては水道水が用いられた。水は、水深が7cmとなるような量を容器に注入された。容器の上側に光源を配置し、光源から光が、おおむね1500ルクスの強度で糸状藻類の藻体群に向けて照射された。光の照射時間は、16時間とした。光照射開始から16時間後の状態では、糸状藻類の藻体群が水面側に浮上した状態が形成されていた。水面側に浮上した藻体群を培地として採用することで、容器内に培地が形成された。
(養液栽培)
養液栽培装置としては、図4に示すような構造を有するものが用いられ、上記の(培地の準備)で説明された容器(内部に水を注入され且つその水に培地を浮かべた状態とした容器)が用いられた。栽培対象としては、ブロッコリースプラウトが採用された。栽培対象の種子((株)宇都宮農園より入手)を、5時間程度、水に浸した後、栽培対象の種子が培地の上で目視上おおむね分散した状態となるように養液栽培装置の培地への播種が行われた。播種後、養液栽培装置が暗所にておおむね48時間静置された。静置の後、栽培対象の栽培が継続された。
栽培にあたり、養液、空調(雰囲気条件)、及び光照射の各条件(栽培条件)については、次の表1に示す条件で実施された。なお、表1中、湿度は、相対湿度(RT)である。また、光照射欄中、明期と暗記については、光源からの光照射を行った時間が明期であり、光源からの光照射を行った実施しなかった時間が暗期であるものとする。また、明期:暗記は、1日のうち明期の時間数と暗期の時間数の対比を示すものとする。すなわち、1日(24時間)のうち16時間を明期とし、8時間を暗期とした。光照射は、培地の準備で使用された光源を用い、光源から容器の上面に向けて光を照射することで実施された。
Figure 2023108306000002
養液栽培期間は、播種後7日間とされた。7日後に、複数本のブロッコリースプラウトを収穫した。収穫されたブロッコリースプラウトに基づき、その新鮮質量、地上部の高さ、及び根の長さを測定した。新鮮質量(g)は、収穫した直後(乾燥非実施の状態)におけるそれぞれのブロッコリースプラウト(ブロッコリースプラウト1本)の重さの平均値として定められる。ブロッコリースプラウトの地上部の高さ(cm)は、培地の表面を基準位置とし、基準位置よりも上側に現れているそれぞれブロッコリースプラウトの部分のうち、最も高い位置(上側の位置)に形成された葉の付け根の位置を生育位置とした場合に、それぞれのブロッコリースプラウトについての基準位置から生育位置までの距離の平均値として定められた。根の長さ(cm)は、それぞれのブロッコリースプラウトについての根の長さの平均値として定められた。
新鮮質量(g)及び地上部の高さ(cm)、根の長さ(cm)の測定結果は、表2に示すとおりである。
Figure 2023108306000003
比較例1
比較例1では、実施例1の培地を水耕栽培用のウレタン製スポンジとした他は、実施例1と同様の方法で養液栽培装置を準備し、実施例1と同様の栽培条件で養液栽培が実施された。なお、比較例1では、エアレーションを行うための装置を設けなかった。また、実施例1と同様の方法で、新鮮質量(g)及び地上部の高さ(cm)の測定を行った。測定結果は、表2に示すとおりである。
実施例2
実施例2では、実施例1と同様にして培地と養液栽培装置が準備された。栽培対象としては、サニーレタスが採用され、次に示すように養液栽培が行われた。サニーレタスの種子は、(株)宇都宮農園より入手したものが用いられた。
(養液栽培)
養液栽培では、実施例1と同様にして、播種が実施された。播種後、養液栽培装置が暗所にておおむね24時間静置された。静置の後、光照射を開始し、栽培対象の栽培が継続された。栽培にあたり、養液、空調(雰囲気条件)、及び光照射の各条件(栽培条件)については、次の表3に示す条件で実施された。光照射は、実施例1と同様の方法で実施された。養液としては、最初に発芽した個体が確認された日を基準として6日目までは、水道水が用いられた。7日目以降は、養液としては、表3に示すようにハイポネックス養液(ハイポネックスは登録商標)(ハイポネックス社製、EC値(電気伝導率)は1.5mS/cm)が用いられた。
Figure 2023108306000004
なお、表3中、湿度は、表1と同様に、相対湿度(RT)である。また、光照射欄中、明期と暗記のそれぞれの定義及び、「明期:暗期」の示す数値の内容については、表1と同様であるものとする。なお、明期:暗期の条件については、20日目のみ後述する光照射の影響確認試験に示す通り8時間を明期とし16時間を暗期とした。
養液栽培期間は、播種後21日間とされた。21日後に、複数株のサニーレタスを収穫した。収穫されたサニーレタスの新鮮質量(g)を実施例1と同様の方法で測定した。新鮮質量(g)の測定結果は、表4に示すとおりである。
Figure 2023108306000005
(光照射の影響確認試験)
播種後20日目において、次に示すように養液栽培装置を用いて光照射の影響確認試験が行われた。光照射の影響確認試験では、次に示す光照射条件の下で、養液の温度測定(養液温度の測定)及び養液に含まれる溶存酸素濃度の測定が行われた。
(光照射条件)
播種後20日目の開始時を基準として5時間後までを暗期とし、5時間経過後、8時間を明期(光照射の実施時間)とし、明期の経過後、再び24時間経過するまでを暗期とした。
(養液温度の測定)
播種後20日目の開始時を基準として、養液栽培装置を構成する容器内の養液の温度(℃)を1時間経過するごとに24時間測定した。結果を図8に示す。図8において、横軸のCHは、経過時間(時間)を示しており、縦軸のTは、養液の温度(℃)を示す。図8において、実施例2の結果については、グラフ内に記載しているように、プロットの形状が三角形で記載されている。図8においては、後述する実施例2及び比較例2から4についてのグラフが記載されているが、プロットの形状でそれぞれ区別され、引き出し線で実施例2及び比較例2から4に対応付けられている。これは図9についても同様である。
(溶存酸素濃度の測定)
播種後20日目の開始時を基準として、養液栽培装置を構成する容器内の養液の溶存酸素濃度(mg/L)を1時間ごとに24時間測定した。溶存酸素濃度は、溶存酸素計(YIERYI社製)を用いて測定された。結果を図9に示す。図9において、横軸のCHは、経過時間(時間)を示しており、縦軸のDOは、溶存酸素濃度(mg/L)を示す。
比較例2
比較例2では、実施例2の培地を、比較例1と同様に水耕栽培用のウレタン製スポンジ(JpGdn社製;商品名水耕栽培用スポンジ)とした他は、実施例2と同様の方法で養液栽培装置を準備し、実施例2と同様の栽培条件で養液栽培が実施された。なお、比較例2では、比較例1と同様にエアレーションを行うための装置を設けなかった。比較例2では、実施例2と同様の方法で、新鮮質量(g)の測定を行った。測定結果は、表4に示すとおりである。また、比較例2では、実施例2と同様の方法で、光照射の影響確認試験が行われた。結果は、図8、図9に示すとおりである。
比較例3
比較例3では、エアレーションを行うための装置を設けて、エアレーションを行った他は、比較例2や実施例2と同様の方法で養液栽培が実地された。比較例3では、実施例2と同様の方法で、新鮮質量(g)の測定を行った。測定結果は、表4に示すとおりである。また、比較例3では、実施例2と同様の方法で、光照射の影響確認試験が行われた。結果は、図8、図9に示すとおりである。
比較例4
比較例4では、実施例2の培地に替えて次に示す培地が用いられた他は、実施例2と同様の方法で養液栽培が実施された。比較例4では、養液栽培の期間中に培地が養液内に完全に沈み込んだ状態となり、サニーレタスの収穫ができなかった。また、播種後12日経過ごろから、培地にカビの発生が確認された。さらに比較例4では、実施例2と同様の方法で、光照射の影響確認試験が行われた。結果は、図8、図9に示すとおりである。
(培地の準備)
糸状藻類として、生きていないサヤミドロを用いた他は、実施例1と同様の方法を行った。比較例4では、光照射開始から16時間後の状態では、糸状藻類の藻体群が実施例1の培地よりも水中側に位置した状態が形成されていた。この藻体群を培地として採用した。なお、生きていないサヤミドロとしては、生きているサヤミドロを10分程度煮沸することで得られたものが用いられた。
(実施例1と比較例1の対比)
実施例1では、比較例1に比べて栽培対象の生育が良好であることが確認された。なお、実施例1では、養液栽培の経過とともに培地にブロッコリースプラウトが根付いていることが観察された。比較例1では、培地にブロッコリースプラウトが根付かない、いわゆる根あがりを生じたものが観察された。
(実施例2と比較例2から4の対比)
実施例2では、比較例2,3に比べて良好に生育されたサニーレタスが収穫された。なお、比較例4については上記したように収穫ができなかった。なお、実施例2では、上記実施例1と比較例1の対比で示したことと同様に、養液栽培の経過とともに培地にサニーレタスが根付いていることが観察された。比較例2,3では、培地にサニーレタスが根付かない、いわゆる根あがりを生じたものが観察された。
実施例2、比較例2及び比較例4の光照射の影響確認試験の結果によれば、図8に示すように、比較例3に比べて、明期(図8のグラフの横軸(経過時間CH)の値が5時間から13時間)に温度が上昇することが確認された。また、図9に示すように、実施例2については、暗期では、比較例2と同程度の溶存酸素濃度の値が認められ、明期では、比較例2から4に比べて溶存酸素濃度が上昇することが認められた。
以上、本発明に係る培地、養液栽培用の培地の製造方法、養液栽培装置及び養液栽培方法について詳細に説明したが、上記に説明したものは本発明に係る培地、養液栽培用の培地の製造方法、養液栽培装置及び養液栽培方法を例示したに過ぎず、本発明は、これらに限定されるものではない。したがって、本発明には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更されたものが含まれる。
10 :培地
11 :藻体群
11A :上面
11B :下面
12 :気泡
13 :壁材
14 :枠体
20 :養液栽培装置
21 :容器
21A :開口部
21B :側壁部
21C :底面部
22 :養液
22A :液面
23 :照明装置
24 :仕切り
25 :区分空間
110 :藻体
AL :糸状藻類
LW :光
P :植物
RO :根

Claims (8)

  1. 養液栽培に用いられ、
    糸状の藻体を形成する糸状藻類を有し、
    少なくとも一部の前記藻体を絡み合わせた藻体群が形成されており、且つ、
    前記藻体の少なくとも一部が生きている、
    培地。
  2. 前記藻体群の拡張を規制する壁材を有し、
    前記藻体群を形成する少なくとも一部の前記藻体が、前記壁材に付着している
    請求項1に記載の培地。
  3. 少なくとも一部の生きた状態の前記藻体が、気泡を生じ、
    前記藻体群に、前記気泡の少なくとも一部が付着する、
    請求項1又は2に記載の培地。
  4. 前記糸状藻類は、サヤミドロである、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の培地。
  5. 養液を収めた容器と、
    請求項1から4のいずれか1つに記載の培地と、備え、
    前記培地が、前記容器の前記養液に浮かんでいる、
    養液栽培装置。
  6. 前記容器の外側に照明装置が設けられている、
    請求項5に記載の養液栽培装置。
  7. 請求項1から4のいずれか1項に記載の培地を、養液を有する容器における養液の上面に浮かべる工程と、
    前記培地に植物の苗又は前記植物の種を配置する工程と、
    前記植物が生長するまで前記培地に気泡を生じさせる工程と、を含む、
    養液栽培方法。
  8. 養液を有する容器に、糸状の藻体を形成する糸状藻類を配置する工程と、
    糸状藻類に光を照射して、少なくとも一部の前記藻体を絡み合わせた藻体群を生長させ、且つ、前記藻体群に気泡を付着させる工程と、を含む、
    養液栽培用の培地の製造方法。
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