JP2023103208A - 活性薬剤肺送達のための方法、装置及びシステム - Google Patents

活性薬剤肺送達のための方法、装置及びシステム Download PDF

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【課題】植物性素材中に存在する少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達する方法を提供する。【解決手段】植物性素材を制御可能に加熱して所定気化量の薬剤を気化させることによって気化を実行し、植物性素材中の少なくとも1種の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するための定量吸入装置を備えるシステムを提供し、システムは更に、被験体において当該薬剤が誘導する少なくとも1種の薬力学的効果を示すデータに基づいて所定気化量を制御するように構成された吸入装置と通信するコントローラを備える。【選択図】図9

Description

本発明は、そのいくつかの実施形態において薬理学に関するものであり、より詳細には、活性薬剤の制御された肺送達のための方法、装置及びシステムに関するが、これらに限定されるものではない。
植物性素材などの天然物質は、広範囲の治療効果及び他の有益な効果を提供することが可能な多数の薬学的活性薬剤を提供する;しかし、直接的な薬理学的目的のために多くのこのような物質を使用することは技術的及び文化的理由によって制限されてきた。なぜなら主に、含まれる活性薬剤の定量は困難であり、よって制御可能に投与することが難しいことから、これらの物質の有益な効果を認識している医師及び薬理学者が天然物質を処方することを嫌うためである。
最も使用され、研究されている天然物質の1つには大麻があり、これは悪心及び嘔吐、多発性硬化症及び他の神経学的状態、癌及びAIDSにおける食欲及び体重の減少、神経学的疼痛、不眠、不安及び抑鬱、てんかん及び他の発作、喘息、オピオイド離脱、原発性腫瘍増殖の阻害の治療において有益な効果を有し、また、解熱及び抗炎症用途、駆虫用途、抗片頭痛及び分娩促進用途に有効であることが示されている。
にもかかわらず、「主流」の医薬品としての大麻は、薬物処方の典型的な医療モデルに従ってそれを投与する場合には困難であることから、何年もにわたり論争の対象となっている。
正確かつ精密に投与をできないことは、例えば疼痛管理に利用可能な薬物の装備一式において主要な役割を担う大麻の添加において主要な障害の1つである。更に、医薬品の形式で大麻を投与する方法が欠如しているために、医師による処方及び治療のモニタリングが困難であり、更に医療用途と保養用途との間の線引きが曖昧になっている。従って、多くの国の担当局は医療用途に対する大麻の承認を控えてしまう。実際、現在まで、大麻は安全な物質として公衆に認識されておらず、世界中のほとんどの国では主に違法な物質として扱われている。
大麻などの天然物質が「主流」医薬品として使用されるために、その活性薬剤の使用が投与及びレジメンに関する慣習的な医薬品基準及び慣行に従うことができるような方法で、これらの天然物質を利用可能にする必要がある。
天然物質としての大麻の使用に関連する問題は、31カ国からの953人の参加者が行った大麻の医薬用途のパターン及び有病率に関する最近の調査によって例示できる。この調査から、大麻の肺送達が、参加者の86.6%(喫煙では62.9%、気化では23.7%)で利用される最も好ましい投与経路であることが示された。食用での大麻の経口送達は、参加者の10.3%で利用され、これに対し、わすか2.3%の参加者がタブレットの形態で経口送達される口腔粘膜経路(Sativex(登録商標))又は合成カンナビノイド(Marinol(登録商標)及びNabilone(登録商標))によって送達されるいずれかの大麻エキスを使用していた。これは経口投与によるカンナビノイドの緩徐で不規則な吸収に部分的に起因しており、発現の遅延を招き、痛覚脱失の程度が不十分になることも多い。大麻の口腔粘膜投与に関する、無作為化された制御、二重盲検、二重ダミー試験によって、経口使用と同様の薬物動態学的パターンが明らかになった。
大麻植物の喫煙製品はカンナビノイド送達の迅速かつ効率的な方法の根拠となる。大麻製品の喫煙中、THC血漿レベルは急速に上昇するが、通常1~3分でピーク濃度になり、結果として約7分後には効果の第1発現が現れる。しかし、吸入度、吸煙時間及び呼吸保持時間が多様であること、ならびにTHC用量の約30%が喫煙中の熱分解によって破壊されると推測されることは、喫煙経路に従う生物学的利用能が2~56%という不均一なものになることにつながる。多様な生物学的利用能に加えて、様々な疾患を引き起こし得る喫煙関連熱分解副生成物によって、喫煙はカンナビノイドの望ましくない送達方法となる。
喫煙の呼吸危険性を避けながら、吸入したカンナビノイドの送達を目的とする大麻気化技術を開発することによって一歩前進している。燃焼する煙草の中心部の温度は750~800℃であるが、大麻の気化は170~190℃で行うことが可能である。このような温度範囲では、活性カンナビノイドならびにフラボノイド及びテルペノイド蒸気は燃焼点(230~235℃)未満で形成され、そこで熱分解性毒性化合物が生成される。気化技術は、一酸化炭素ならびに多核芳香族炭化水素(PAH)、ベンゼン及びタールなどの発癌性の高い化合物の形成を減少させることが示されている。
様々な病因の慢性神経障害性疼痛を患っている患者集団を登録した最近の臨床試験では、低用量のΔ9‐THCが好適な危険度‐受益度比を有すると指摘されている。Wareら[非特許文献1]から、プラセボと比較して、9.4%のΔ9‐THC(利用可能な総Δ9‐THCに基づく2.35mgの推定用量)を含む25±1mgの大麻の単回煙吸入を1日3回5日間行うと、それに伴い平均Cmaxは45ng/mlになり、1日の平均疼痛強度は11.4%減少することが報告された。別の臨床試験では、Wilseyら[非特許文献2]から、10.3mgの気化した利用可能総Δ9‐THCを2時間間隔で2回に分けて吸入させると、それに伴い3時間目、5時間目で疼痛強度はそれぞれ31%及び25%減少することが報告された。THC用量を28.2mgに増加すると等鎮痛応答が生じ、これらの時点で安定したままであった。第2の臨床試験では、Wilseyら[非特許文献3]から、19mg(中程度用量)又は34mg(高用量)のいずれかの利用可能総Δ9‐THCを3回に分けて喫煙させることによって、各累積用量レベルで同一レベルの鎮痛が現れ、神経障害性疼痛の45%低下でプラトー又は「天井効果」に達したことが報告された。
しかし、現在知られている無煙気化装置はいずれも、一般的な医薬品基準及び実践で大麻を投与するためには利用できないものである。蒸気相でのカンナビノイドの肺送達は、ユーザが装填した投与量の主観的な目測、同一の装填用量で異なる時間での吸入の反復、一貫性のない吸入動態、及び装置内面での蒸気の時間依存的濃縮によって、用量の範囲内で、また用量間で変動する。その後、今日使用されている気化器は、適切な医薬品投与及び医療レジメンモニタリングを非現実的又は非実践的なものにしている。
精度及び一貫性の点で天然植物性素材由来薬学的活性薬剤の気化量制御の実現能に加え、このような薬剤を肺送達するための現在の方法に関連する投与及びレジメンの問題は、薬物動態学的パラメータ及び薬力学パラメータの測定がほとんどのユーザにとって力の及ばないことであるから、通常、ユーザの主観的知覚に基づく試行錯誤によって解決される。
本譲受人らによる特許文献1は、加熱による植物性素材由来活性薬剤の抽出/気化を制御するための吸入装置を開示しており、ここでは植物性素材はカートリッジとして構築され、装置は再現性の高い方式で正確な量の薬剤を気化させるように構成されている。吸入器には、事前に装填及び計量された植物性素材分が入っており、その各々は、植物性素材物質を加熱し、それによって植物性素材から1種以上の活性物質を気化させるように設計された専用の加熱要素と関連付けられている。背景技術の図1は、そのような装置の一例を示す写真である。
更なる背景技術には、気流内の物質を取り込む装置及び方法を開示する特許文献2;及び物質を気化させる気化器を開示する特許文献3、更に特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、ならびに特許文献10が挙げられる。
国際公開第2012/085919号明細書 米国特許出願公開第2005/0268911号明細書 米国特許出願公開第2011/0192399号明細書 米国特許出願公開第2005/0087189号明細書 米国特許出願公開第2007/0240712号明細書 米国特許第6,622,723号明細書 米国特許第6,830,046号明細書 米国特許第8,204,729号明細書 米国特許第8,333,197号明細書 米国特許第8,474,453号明細書 米国特許出願第13/997,302号明細書 国際公開第2009/063463号明細書 国際公開第2010/134068号明細書
Ware et al.[in Canadian Medical Association CMAJ. 2010; 182(14):E694-701] Wilsey et al. [in J Pain. 2013; 14(2):136-48] Wilsey et al. [in J Pain. 2008; 9(6):506-21] Zuurman, L. et al. [British Journal of Clinical Pharmacology, 2009, 67(1), pp. 5-21] Ashraf, A.B. et al., Image and Vision Computing, 2009, 27 (12), p. 1788-1796 Hu, Y. et al., Conference: IEEE International Conference on Automatic Face and Gesture Recognition - FGR, 2008, p. 1-6 Yamaguchi, T. et al., Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod., 2007 104(5), p. e22-7 Rowland M, Tozer TN. "Clinical Pharmacokinetics: Concepts and Applications". 3th ed., Williams and Wilkins, Media, PA, 1995 Ohlsson, et al. Clin PharmacolTher. 1980; 28 (2): 409-16 D'Souza et al., Neuropsychopharmacology, 2004; 29(8):1558-72 Abrams et al. Clin Pharmacol Ther. 2007; 82(5):572-8; Abrams et al., Clin Pharmacol Ther. 2011; 90(6):844-51 Abrams et al., Clin Pharmacol Ther. 2011; 90(6):844-51 Hunault et al. Psychopharmacology (Berl). 2008;201(2):171-81 Hunault et al., Toxicol Appl Pharmacol. 2010;246(3):148-53 Huestis et al., Clin Pharmacol Ther. 1992 Jul;52(1):31-41 Karschner et al., Clin Chem. 2011; 57(1):66-75 Lile et al., J Clin Pharmacol. 2013; 53(7):680-90
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、植物性素材中に存在する少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達する方法が提供され、当該方法には、植物性素材を制御可能に加熱した際に少なくとも1種の所定気化量の薬剤を気化するように構成された定量吸入装置を用いて被験体に薬剤を肺送達する工程が含まれ、当該方法では、被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種の所定薬物動態学的(PK)効果及び/又は少なくとも1種の所定薬力学的(PD)効果を達成するために、薬剤の少なくとも1種の所定気化量を選択する。
いくつかの実施形態によれば、所定の気化量は、母集団に関する少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果に基づいて決定する。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には更に、被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果を示すデータに基づいた所定のPK効果及び/又は所定のPD効果を達成するために、所定の気化量を調整する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には更に、被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果をモニタリングすることによってデータを生成する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には、所定のレジメンに従って少なくとも2種の所定気化量で肺送達する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には、被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果に基づいた所定のPK効果及び/又は所定のPD効果を達成するために、レジメンを調整する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には更に、被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果をモニタリングすることによってデータを作成する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、PK効果及び/又はPD効果のモニタリングには、吸入装置と連絡するコントローラと通信している少なくとも1つのセンサから被験体における少なくとも1種のPD効果を示すデータを受信する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、所定の気化量及び/又はレジメンの調整はユーザインターフェース装置を介して受信されたデータに基づく。
いくつかの実施形態によれば、所定の気化量及び/又はレジメンの調整は実時間で実行する。
いくつかの実施形態によれば、被験体において当該薬剤が誘導する、PK効果及び/又はPD効果のモニタリングは肺送達の前、送達中及び/又は送達後に所定の時間間隔で実行する。
いくつかの実施形態によれば、PK効果としては、体液の所与の体積中の薬剤濃度、及び体組織の所与の質量中の薬剤濃度が挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、PD効果としては、望ましい効果、望ましくない効果、治療効果、有害効果及びバイオマーカーレベルが挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には、ユーザインターフェース装置を介して受信したデータに基づいて、所定のPK効果及び/又は所定のPD効果のうち少なくとも1種を調整する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、所定のPD効果は、望ましい効果の最小レベルと望ましくない効果のレベルとの間の範囲内にある所定のPDプロファイルに関連している。
本発明のいくつかの実施形態によれば、所定のPDプロファイルは、望ましい効果の最小レベルと望ましくない効果の最小レベルとの間の範囲にある。
いくつかの実施形態によれば、所定のPDプロファイルは、望ましい効果の最小レベルと望ましくない効果の最小レベルよりも高いレベルとの間の範囲にある。
いくつかの実施形態によれば、望ましい効果及び/又は望ましくない効果のうち少なくとも1種を定める工程には、被験体からの指示を受信する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、バイオマーカーには侵襲的に検出されるバイオマーカー及び非侵襲的に検出されるバイオマーカーが含まれる。
いくつかの実施形態によれば、非侵襲的に検出されるバイオマーカーには、心拍数、酸素化レベル(SpO2)、血圧、呼吸数、体温、吸入量、表情、筋収縮、痙攣、攣縮、発汗、手と視覚の協調、眼球血管拡張、結膜及び/又は強膜の発赤、眼内圧の変動、運動能力、運動失調、洞性頻拍、振戦、心臓不整脈、皮膚コンダクタンス/インピーダンスレベル、発作、筋電図検査(EMG)、心電図(ECG)、光電式指尖容積脈波(PPG)、ガルバニック皮膚反応(GSR)、青‐褐色視覚阻害、H‐マスク視覚阻害、聴覚潜在的阻害、視覚潜在的阻害、ストロープカラーワード、単純反応(葛藤タスク)、認知セット切替え、論理的推論、意思決定時間、迅速情報処理、知覚迷路、模擬運転、視覚探索、時間推定、時間知覚、視覚探索、注意探索、記号複写、文字取り消し、アルファベット削除、D2取り消し、ブリッケンカンプD2、数字複写テスト(DDCT)、記号数字置換(SDST)、数字記号置換テスト(DSST)、数字警戒、警戒、聴覚警戒テスト、ウェスネス/ウォーバートン(Wesnes/Warburton)警戒タスク、迅速情報処理、CRT+追跡分割注意、選択注意、集中注意タスク、感情的注意タスク、聴覚粗動融合、閃光融合、臨界フリッカー融合(CFF)、注意継続、対連合学習、ワードリスト学習、15ワードテスト、導入調整、遅延ワード想起、遅延ワード認識、遅延絵柄認識、ワード提示、ワード認識、数値作業記憶、数値記憶、記憶走査、聴覚ブラウン/ピーターソン(Brown/Peterson)、視覚ブラウン/ピーターソン、視覚空間記憶、断片絵柄テスト、パウリテスト、ブロックスパン、数字スパン、数字スパン(前方)、数字スパン(後方)、WAIS語彙、WAIS類似性、ワード流暢性、言語流暢性、パフォーマンス時間(遅延ワード認識)、パフォーマンス時間(数値作業記憶)、パフォーマンス時間(数字警戒)、パフォーマンス時間(迅速情報処理)、パフォーマンス時間(遅延絵柄認識)、パフォーマンス時間(視覚情報処理)、簡易反応時間CRT、複合RTビジュアル、視覚選択RT、VRT、視覚応答速度、ART、聴覚RT、ワイヤー迷路トレーシング、アルキメデスらせん、危機追跡タスク、軌跡作成、追跡複合、追跡ウィーナー装置、閉合の柔軟性、WAISブロック計画、WAIS絵柄比較、数字複写、操作運動、微細運動、筆跡分析、タッピング、手腕の側部到達整合、視覚的な腕の無作為到達、運動制御及び整合、運動挙動が挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、望ましい効果は疼痛、片頭痛、抑鬱、認知機能欠陥、注意欠陥、多動、不安障害、下痢、悪心、嘔吐、不眠、せん妄、食欲変化、性機能不全、痙縮、眼内圧上昇、膀胱機能不全、チック、トゥーレット症状、心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状、炎症性腸疾患(IBD)症状、過敏性腸症候群(IBS)症状、過度の緊張、出血症状、敗血症及び心原性ショック、薬物依存及び切望、禁断症状、振戦ならびに他の運動障害などの症状に対応する。
いくつかの実施形態によれば、PD効果は精神作用性効果及び/又は身体的効果である。
いくつかの実施形態によれば、精神作用性効果は、偏執症、不安、パニック発作、多幸感、擬似幻覚、運動失調、鎮静、意識的知覚変化、快活、メタ認知及び内省、促進された回想(エピソード記憶)、記憶喪失、官能的な変化、感覚の意識変化及び性欲変化、めまい、運動失調、多幸感、知覚の変化、時間的歪み、通常の感覚体験の激化、短期記憶、注意力、反応の障害、熟練活動、発話流暢性、依存症及び抑鬱などの症状に応答する。
いくつかの実施形態によれば、身体的効果は、悪心、筋収縮、筋弛緩、痙攣、攣縮、発汗、運動失調、運動活動の変化、口渇ならびに手足の冷感及び熱感、心拍数増加、脳血流増加、気管支拡張、血管拡張、目の充血及び瞳孔拡張、口渇、喉の渇き、飢餓又は食物渇望などの症状に応答する。
いくつかの実施形態によれば、本明細書に提示された方法は、少なくとも第1の薬理学的活性薬剤及び第2の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するための方法であり、これらのうち少なくとも1つは少なくとも1種の植物性素材中に存在し、当該方法には少なくとも第1の所定気化量の第1薬剤及び少なくとも第2の所定気化量の第2薬剤を気化させるように構成された装置を用いて被験体に薬剤を別々に送達する工程が含まれ、ここでは第1所定気化量を第2所定気化量と連続的に、同時に、及び/又は少なくとも部分的に重複させて被験体に送達するように加熱を実行する。
いくつかの実施形態によれば、植物には、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)、アカシア属(Acacia spp.)、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、ヤヘー(Yage)、ベラドンナ(Atropa belladonna)、ビンロウ(Areca catechu)、ブルグマンシア属(Brugmansia spp.)、ニオイバンマツリ(Brunfelsia latifolia)、ハイクサネム(Desmanthus illinoensis)、バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi)、トリコケレウス属(Trichocereus spp.)、カカオ(Theobroma cacao)、トウガラシ属(Capsicum spp.)、ケストルム属(Cestrum spp.)、コカノキ(Erythroxylum coca)、コリウス(Solenostemon scutellarioides)、ダンチク(Arundo donax)、コーヒーノキ(Coffea arabica)、チョウセンアサガオ属(Datura spp.)、デスフォンタイニア属(Desfontainia spp.)、ディプロプテリス・カブレラナ(Diplopterys cabrerana)、シナマオウ(Ephedra sinica)、バッカクキン(Claviceps purpurea)、ガラナ(Paullinia cupana)、オオバアサガオ(Argyreia nervosa)、ヒヨス(Hyoscyamus niger)、イボガ(Tabernanthe iboga)、ラゴキルス・イネブリアンス(Lagochilus inebriens)、ジャスティシア・ペクトラリ(Justicia pectoralis)、セレチウム・トルツオスム(Sceletium tortuosum)、カワカワ(Piper methysticum)、アラビアチャノキ(Catha edulis)、アヘンボク(Mitragyna speciosa)、カエンキセワタ(Leonotis leonurus)、スイレン属(Nymphaea spp.)、ハス属(Nelumbo spp.)、テキサスマウンテンローレル(Sophora secundiflora)、黎豆(Mucuna pruriens)、マンドラゴラ(Mandragora officinarum)、ミモザ・テヌイフローラ(Mimosa tenuiflora)、キバナハマヒルガオ(Ipomoea violacea)、シビレタケ属(Psilocybe spp.)、ワライタケ(Panaeolus spp.)、ニクズク(Myristica fragrans)、タービナ・コリボサ(Turbina corymbosa)、チャボトケイソウ(Passiflora incarnata)、ウバタマ(Lophophora williamsii)、クサヨシ属(Phalaris spp.)、ピチュリ(Duboisia hopwoodii)、罌粟(Papaver somniferum)、サイコトリア・ビリディス種(Psychotria viridis spp.)、サルビア・ディビノラム(Salvia divinorum)、サケーナー(Combretum quadrangulare)、トリコケレウス・パチャノイ(Trichocereus pachanoi)、シニクイチ(Heimia salicifolia)、スリーピーグラス(Stipa robusta)、ソランドラ属(Solandra spp.)、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)、ハルマラ(Peganum harmala)、サンユウカ属(Tabernaemontana spp.)、チャノキ(Camellia sinensis)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)、ルスティクム(rusticum)、ビロラ・セイドラ(Virola theidora)、ボアカンガ・アフリカーナ(Voacanga africana)、ワイルドレタス(Lactuca virosa)、ニガヨモギ(Artemisia absinthium)、マテ(Ilex paraguariensis)、アナデナンテラ種(Anadenanthera spp.)、ヨヒンベ(Corynanthe yohimbe)、カレア(Calea zacatechichi)、コーヒーノキ属(Coffea spp.)(アカネ科)、ムクロジ科(Sapindaceae)、ツバキ属(Camellia spp.)、アオイ科(Malvaceae spp.)、モチノキ科(Aquifoliaceae spp.)、フーディア属(Hoodia spp.)、ジャーマンカモミール(Chamomilla recutita)、パッシフローラ・インカルナテ(Passiflora incarnate)、チャノキ(Camellia sinensis)、ペパーミント(Mentha piperita)、スペアミント(Mentha spicata)、ヨーロッパキイチゴ(Rubus idaeus)、ユーカリノキ(Eucalyptus globulus)、ラベンダー(Lavandula officinalis)、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)、レモンバーム(Melissa officinalis)、アロエベラ(Aloe Vera)、アンジェリカ、アニス、アヤフアスカ(バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi))、メギ、ブラックニガハッカ、ブルーロータス、ゴボウ、カモミール、キャラウェイ、キャッツクロー、クローブ、コンフリー、トウモロコシの毛、シバムギ、ダミアナ、ダミアナ、タンポポ、エフェドラ、ユーカリプタス、月見草、フェンネル、ナツシロギク、アメリカヒトツバタゴ、ニンニク、ショウガ、イチョウ、高麗人参、アキノキリンソウ、ヒドラスチス、壷草、緑茶、ガラナ、サンザシ、ホップ、トクサ、ヒソップ、コーラナッツ、クラトン、ラベンダー、レモンバーム、甘草、ライオンテール(野生ダガ)、マカ球根、ウスベニタチアオイ、シモツケソウ、オオアザミ、メハジキ、パッションフラワー、トケイソウ、ペパーミント、アザミゲシ、スベリヒユ、ラズベリー葉、コクリコ、セージ、ノコギリヤシ、マルバキンゴジカ(Sida cordifolia)、シニクイチ(マヤ・サンオープナー)、スペアミント、ショウブ、シリアンルー(ペガヌム・ハルマラ(Peganum harmala))、タイム、ターメリック、カノコソウ、野生ヤマノイモ、ニガヨモギ、ノコギリソウ、マテ、ヨヒンベ、ならびにこれらの任意の一部及び任意の組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、植物にはカンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ及びカンナビス・ルデラリスが挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、薬理学的活性薬剤には、Δ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビディバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びカンナビトリオール(CBT)が挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、薬理学的活性薬剤には、Δ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)が挙げられる。
本開示の実施形態の一態様によれば、植物性素材中に存在する少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するためのシステムが提供され、当該システムは:
植物性素材を制御可能に加熱した際に、少なくとも1種の所定気化量の薬剤を気化させるように構成された定量吸入装置;及び
被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種の所定PK効果及び/又は少なくとも1種の所定PD効果を達成するために、薬剤の少なくとも1種の所定気化量を選択するように構成された上記吸入装置と通信するコントローラ
を備える。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも第1の薬理学的活性薬剤及び第2の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達する方法が提供され、これら薬剤のうち少なくとも1つは少なくとも1種の植物性素材中に存在し、当該方法には、植物性素材を制御可能に加熱した際に少なくとも第1の所定気化量の第1薬剤及び少なくとも第2の所定気化量の第2薬剤を気化するように構成された定量吸入装置を使用して被験体に薬剤を別々に送達する工程が含まれ、当該方法では、第1所定気化量を第2所定気化量と連続的に、同時に、ならびに/あるいは少なくとも部分的に重複させて被験体に送達するように加熱を行い、被験体において各所定気化量の当該薬剤の各々は少なくとも1種の所定薬物動態学的(PK)効果及び/又は少なくとも1種の所定薬力学的(PD)効果を別々に誘導する。
いくつかの実施形態によれば、第1薬剤の送達と第2薬剤の送達との間の時間間隔は0~30分の範囲である。
いくつかの実施形態によれば、PD効果としては、望ましい効果、望ましくない効果、治療効果、有害効果及びバイオマーカーのレベルが挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、所定気化量の第1薬剤は、第2薬剤が誘導するPD効果のレベルに影響する。
いくつかの実施形態によれば、所定気化量の第1薬剤は、第2薬剤が誘導する望ましい効果のレベルを増加させる。
いくつかの実施形態によれば、所定気化量の第1薬剤は、第2薬剤が誘導する望ましくない効果のレベルを低下させる。
いくつかの実施形態によれば、第1薬剤及び第2薬剤は望ましい効果を相乗的に誘導する。
いくつかの実施形態によれば、当該薬剤各々の各所定気化量は、被験体において薬剤の各々が別々に誘導する、少なくとも1種の所定のPK効果及び/又は少なくとも1種の所定のPD効果を達成するように選択する。
いくつかの実施形態によれば、当該薬剤各々の各所定気化量は、集団に関する少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果に基づいて決定する。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には更に、被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果を示すデータに基づいた所定のPK効果及び/又は所定のPD効果を達成するように、第1所定気化量及び第2所定気化量のうち少なくとも1つを調整する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には更に、被験体において第1薬剤及び第2薬剤のうち少なくとも1つが誘導する、少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果をモニタリングすることによってデータを作成する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には更に、所定のレジメンに従って少なくとも2種の所定気化量の第1薬剤及び第2薬剤のうち少なくとも1つを肺送達する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には更に、被験体において第1薬剤及び第2薬剤のうち少なくとも1つが誘導する、少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果に基づいた所定のPK効果及び/又は所定のPD効果を達成するために、レジメンを調整する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には更に、被験体において第1薬剤及び第2薬剤のうち少なくとも1つが誘導する、少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果をモニタリングすることによってデータを作成する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、PK効果及び/又はPD効果のモニタリングは、肺送達の前、送達中及び/又は送達後に所定の時間間隔で実行する。
いくつかの実施形態によれば、モニタリングには、吸入装置を伴ったコントローラと通信する少なくとも1つのセンサから被験体における少なくとも1種のPD効果を示すデータを受信する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、調整工程はユーザインターフェース装置を介して受信されたデータに基づいている。
いくつかの実施形態によれば、調整工程は実時間で実行する。
いくつかの実施形態によれば、被験体において第1薬剤及び第2薬剤のうち少なくとも1つが誘導する、PK効果及び/又はPD効果のモニタリングは肺送達の前、送達中及び/又は送達後に所定の時間間隔で実行する。
いくつかの実施形態によれば、PK効果としては、体液の所与の体積中の各薬剤濃度、及び体組織の所与の質量中の各薬剤濃度が挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、PD効果は、望ましい効果の最小レベルと望ましくない効果のレベルとの間の範囲内にある所定のPDプロファイルに関連している。
いくつかの実施形態によれば、所定のPDプロファイルは、望ましい効果の最小レベルと望ましくない効果の最小レベルとの間の範囲にある。
いくつかの実施形態によれば、所定のPDプロファイルは、望ましい効果の最小レベルと望ましくない効果の最小レベルよりも高いレベルとの間の範囲にある。
いくつかの実施形態によれば、望ましい効果及び/又は望ましくない効果のうち少なくとも1種を定める工程には、被験体からの指示を受信する工程が含まれる。
いくつかの実施形態によれば、バイオマーカーには侵襲的に検出されたバイオマーカー及び非侵襲的に検出されたバイオマーカーが含まれる。
いくつかの実施形態によれば、非侵襲的に検出されたバイオマーカーには、心拍数、酸素化レベル(SpO2)、血圧、呼吸数、体温、吸入量、表情、筋収縮、痙攣、攣縮、発汗、手と視覚の協調、眼球血管拡張、結膜及び/又は強膜の発赤、眼内圧の変動、運動能力、運動失調、洞性頻拍、振戦、心臓不整脈、皮膚コンダクタンス/インピーダンスレベル、発作、筋電図検査(EMG)、心電図(ECG)、光電式指尖容積脈波(PPG)、ガルバニック皮膚反応(GSR)、青‐褐色視覚阻害、H‐マスク視覚阻害、聴覚潜在的阻害、視覚潜在的阻害、ストロープカラーワード、単純反応(葛藤タスク)、認知セット切替え、論理的推論、意思決定時間、迅速情報処理、知覚迷路、模擬運転、視覚探索、時間推定、時間知覚、視覚探索、注意探索、記号複写、文字取り消し、アルファベット削除、D2取り消し、ブリッケンカンプD2、数字複写テスト(DDCT)、記号数字置換(SDST)、数字記号置換テスト(DSST)、数字警戒、警戒、聴覚警戒テスト、ウェスネス/ウォーバートン警戒タスク、迅速情報処理、CRT+追跡分割注意、選択注意、集中注意タスク、感情的注意タスク、聴覚粗動融合、閃光融合、臨界フリッカー融合(CFF)、注意継続、対連合学習、ワードリスト学習、15ワードテスト、導入調整、遅延ワード想起、遅延ワード認識、遅延絵柄認識、ワード提示、ワード認識、数値作業記憶、数値記憶、記憶走査、聴覚ブラウン/ピーターソン、視覚ブラウン/ピーターソン、視覚空間記憶、断片絵柄テスト、パウリテスト、ブロックスパン、数字スパン、数字スパン(前方)、数字スパン(後方)、WAIS語彙、WAIS類似性、ワード流暢性、言語流暢性、パフォーマンス時間(遅延ワード認識)、パフォーマンス時間(数値作業記憶)、パフォーマンス時間(数字警戒)、パフォーマンス時間(迅速情報処理)、パフォーマンス時間(遅延絵柄認識)、パフォーマンス時間(視覚情報処理)、簡易反応時間CRT、複合RTビジュアル、視覚選択RT、VRT、視覚応答速度、ART、聴覚RT、ワイヤー迷路トレーシング、アルキメデスらせん、危機追跡タスク、軌跡作成、追跡複合、追跡ウィーナー装置、閉合の柔軟性、WAISブロック計画、WAIS絵柄比較、数字複写、操作運動、微細運動、筆跡分析、タッピング、手腕の側部到達整合、視覚的な腕の無作為到達、運動制御及び整合、運動挙動が挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、望ましい効果は疼痛、片頭痛、抑鬱、認知機能欠陥、注意欠陥、多動、不安障害、下痢、悪心、嘔吐、不眠、せん妄、食欲変化、性機能不全、痙縮、眼内圧上昇、膀胱機能不全、チック、トゥーレット症状、心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状、炎症性腸疾患(IBD)症状、過敏性腸症候群(IBS)症状、過度の緊張、出血症状、敗血症及び心原性ショック、薬物依存及び切望、禁断症状、振戦ならびに他の運動障害などの症状に応答する。
いくつかの実施形態によれば、PD効果は精神作用性効果及び/又は身体的効果である。
いくつかの実施形態によれば、精神作用性効果は、偏執症、不安、パニック発作、多幸感、擬似幻覚、運動失調、鎮静、意識的知覚変化、快活、メタ認知及び内省、促進された回想(エピソード記憶)、記憶喪失、官能的な変化、感覚の意識変化及び性欲変化、めまい、運動失調、多幸感、知覚の変化、時間的歪み、通常の感覚体験の激化、短期記憶、注意力、反応の障害、熟練活動、発話流暢性、依存症及び抑鬱などの症状に応答する。
いくつかの実施形態によれば、身体的効果は、悪心、筋収縮、筋弛緩、痙攣、攣縮、発汗、運動失調、運動活動の変化、口渇ならびに手足の冷感及び熱感、心拍数増加、脳血流増加、気管支拡張、血管拡張、目の充血及び瞳孔拡張、口渇、喉の渇き、飢餓又は食物渇望などの症状に応答する。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1種の植物には、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、カンナビス・ルデラリス、アカシア属、ベニテングダケ、ヤヘー、ベラドンナ、ビンロウ、ブルグマンシア属、ニオイバンマツリ、ハイクサネム、バニステリオプシス・カーピ、トリコケレウス属、カカオ、トウガラシ属、ケストルム属、コカノキ、コリウス、ダンチク、コーヒーノキ、チョウセンアサガオ属、デスフォンタイニア属、ディプロプテリス・カブレラナ、シナマオウ、バッカクキン、ガラナ、オオバアサガオ、ヒヨス、イボガ、ラゴキルス・イネブリアンス、ジャスティシア・ペクトラリ、セレチウム・トルツオスム、カワカワ、アラビアチャノキ、アヘンボク、カエンキセワタ、スイレン属、ハス属、テキサスマウンテンローレル、黎豆、マンドラゴラ、ミモザ・テヌイフローラ、キバナハマヒルガオ、シビレタケ属、ワライタケ、ニクズク、タービナ・コリボサ、チャボトケイソウ、ウバタマ、クサヨシ属、ピチュリ、罌粟(ケシ)、サイコトリア・ビリディス種、サルビア・ディビノラム、サケーナー、トリコケレウス・パチャノイ、シニクイチ、スリーピーグラス、ソランドラ属、セイヨウオトギリソウ、ハルマラ、サンユウカ属、チャノキ、ニコチアナ・タバカム、ルスティクム、ビロラ・セイドラ、ボアカンガ・アフリカーナ、ワイルドレタス、ニガヨモギ、マテ、アナデナンテラ種、ヨヒンベ、カレア、コーヒーノキ属(アカネ科)、ムクロジ科、ツバキ属、アオイ科、モチノキ科、フーディア属、ジャーマンカモミール、パッシフローラ・インカルナテ、チャノキ、ペパーミント、スペアミント、ヨーロッパキイチゴ、ユーカリノキ、ラベンダー、タチジャコウソウ、レモンバーム、アロエベラ、アンジェリカ、アニス、アヤフアスカ(バニステリオプシス・カーピ)、メギ、ブラックニガハッカ、ブルーロータス、ゴボウ、カモミール、キャラウェイ、キャッツクロー、クローブ、コンフリー、トウモロコシの毛、シバムギ、ダミアナ、ダミアナ、タンポポ、エフェドラ、ユーカリプタス、月見草、フェンネル、ナツシロギク、アメリカヒトツバタゴ、ニンニク、ショウガ、イチョウ、高麗人参、アキノキリンソウ、ヒドラスチス、壷草、緑茶、ガラナ、サンザシ、ホップ、トクサ、ヒソップ、コーラナッツ、クラトン、ラベンダー、レモンバーム、甘草、ライオンテール(野生ダガ)、マカ球根、ウスベニタチアオイ、シモツケソウ、オオアザミ、メハジキ、パッションフラワー、トケイソウ、ペパーミント、アザミゲシ、スベリヒユ、ラズベリー葉、コクリコ、セージ、ノコギリヤシ、マルバキンゴジカ、シニクイチ(マヤ・サンオープナー)、スペアミント、ショウブ、シリアンルー(ペガヌム・ハルマラ)、タイム、ターメリック、カノコソウ、野生ヤマノイモ、ニガヨモギ、ノコギリソウ、マテ、ヨヒンベ、ならびにこれらの任意の一部及び任意の組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1種の植物には、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ及びカンナビス・ルデラリスが挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、第1の薬理学的活性薬剤及び第2の薬理学的活性薬剤のうち少なくとも1つには、Δ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビディバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びカンナビトリオール(CBT)が挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、第1の薬理学的活性薬剤及び第2の薬理学的活性薬剤のうち少なくとも1つには、Δ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)が挙げられる。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも第1の薬理学的活性薬剤及び第2の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するシステムが提供され、これら薬剤の少なくとも1つは少なくとも1種の植物性素材中に存在し、当該システムは:
少なくとも1種の植物性素材を加熱して少なくとも第1所定気化量の第1薬剤及び少なくとも第2所定気化量の第2薬剤を気化させることによって、別々に薬剤を被験体に送達するように構成された定量吸入装置;及び
第2所定気化量と連続的に、同時に、ならびに/あるいは少なくとも部分的に重複させた第1所定気化量の加熱を実行するように構成された吸入装置と通信するコントローラ
を備え、
当該薬剤各々の各所定気化量は、被験体において少なくとも1種のPK効果及び/又は少なくとも1種のPD効果を別々に誘導するように選択する。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、システムが提供され、当該システムは:
植物性素材を制御可能に加熱して少なくとも1種の所定気化量の薬剤を気化させることによって、植物性素材中の少なくとも1種の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するための定量吸入装置;及び
被験体において当該薬剤が誘導する少なくとも1種の薬力学的効果を示すデータに基づいて所定気化量を制御するように構成された吸入装置と通信するコントローラ
を備える。
いくつかの実施形態によれば、データは、薬力学的効果をモニタリングするように構成された少なくとも1つのセンサを介して、及び/又は薬力学的効果をモニタリングするための少なくとも1つのセンサから得られるデータを入力するように構成されたユーザインターフェース装置を介して得られる。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは遠隔制御装置から所定気化量に関する操作設定データを受信するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、コントローラはセンサ及び/又はユーザインターフェース装置からデータを受信するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、コントローラはセンサ及び/又はインターフェース装置と直接及び/又は間接的に通信する。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは気流、加熱温度、加熱速度、加熱パターン、加熱時間及びこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを制御することによって所定気化量を制御するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは肺送達のタイミングを制御することによって所定気化量を制御するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、制御工程は実時間で実行する。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは薬力学的効果に基づいて所定の薬物動態学的効果及び/又は所定の薬力学効果を達成するために所定気化量を調整するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは実時間で所定気化量の調整を実行するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは少なくとも2種の所定気化量の送達を含む所定レジメンを実行するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは薬力学的効果に基づいて所定の薬物動態学的効果及び/又は所定の薬力学効果を達成するためにレジメンを調整するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは実時間でのレジメンの調整を実行するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、システムは薬力学的効果をモニタリングするように構成された少なくとも1つのセンサを備える。
いくつかの実施形態によれば、システムはユーザインターフェース装置を備える。
いくつかの実施形態によれば、ユーザインターフェース装置は被験体、医師、メモリユニット及び遠隔装置の少なくとも1つに情報を提供する出力装置を備える。
いくつかの実施形態によれば、ユーザインターフェース装置はスマートフォン装置を備える。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは、ユーザインターフェース装置を介して受信したデータに基づいて、少なくとも1種の所定薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の所定薬力学効果のうち少なくとも1つをモニタリングするように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは、実時間で所定気化量の調整を実行するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、センサはタッチスクリーン、加速度計、近接センサ、赤外線センサ、カメラ、磁力計、ユーザの位置及び配向センサ、ジャイロスコープ、コンパス、マイクロフォン、温度計、湿度センサ、心拍センサ、血圧センサ、皮膚コンダクタンス/インピーダンスセンサ、血液酸素化レベル(SpO2)、吸入量センサならびに気流センサを備える。
いくつかの実施形態によれば、システムは少なくとも1つの用量ユニットを備え、当該用量ユニットは植物性素材を収容する。
いくつかの実施形態によれば、システムは複数の用量ユニットを備え、吸入装置は用量ユニットの少なくとも1つを使用するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、用量ユニットの各々は少なくとも1種の薬理学的活性薬剤の異なる組成を有する植物性素材を収容する。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは、少なくとも1種の薬理学的活性薬剤の組成に従って少なくとも1種の用量ユニットを選択することによって所定気化量を制御するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、吸入装置は少なくとも第1の薬理学的活性薬剤及び第2の薬理学的活性薬剤をコントローラによって被験体に肺送達するように構成され、これら薬剤のうち少なくとも1つは少なくとも1種の植物性素材中に存在し、当該装置は少なくとも第1所定気化量の第1薬剤及び少なくとも第2所定気化量の第2薬剤を気化するように構成され、ここでは第1所定気化量を第2所定気化量と連続的に、同時に、ならびに/あるいは少なくとも部分的に重複させて被験体に送達するように加熱を実行する。
いくつかの実施形態によれば、植物には、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、カンナビス・ルデラリス、アカシア属、ベニテングダケ、ヤヘー、ベラドンナ、ビンロウ、ブルグマンシア属、ニオイバンマツリ、ハイクサネム、バニステリオプシス・カーピ、トリコケレウス属、カカオ、トウガラシ属、ケストルム属、コカノキ、コリウス、ダンチク、コーヒーノキ、チョウセンアサガオ属、デスフォンタイニア属、ディプロプテリス・カブレラナ、シナマオウ、バッカクキン、ガラナ、オオバアサガオ、ヒヨス、イボガ、ラゴキルス・イネブリアンス、ジャスティシア・ペクトラリ、セレチウム・トルツオスム、カワカワ、アラビアチャノキ、アヘンボク、カエンキセワタ、スイレン属、ハス属、テキサスマウンテンローレル、黎豆、マンドラゴラ、ミモザ・テヌイフローラ、キバナハマヒルガオ、シビレタケ属、ワライタケ、ニクズク、タービナ・コリボサ、チャボトケイソウ、ウバタマ、クサヨシ属、ピチュリ、罌粟(ケシ)、サイコトリア・ビリディス種、サルビア・ディビノラム、サケーナー、トリコケレウス・パチャノイ、シニクイチ、スリーピーグラス、ソランドラ属、セイヨウオトギリソウ、ハルマラ、サンユウカ属、チャノキ、ニコチアナ・タバカム、ルスティクム、ビロラ・セイドラ、ボアカンガ・アフリカーナ、ワイルドレタス、ニガヨモギ、マテ、アナデナンテラ種、ヨヒンベ、カレア、コーヒーノキ属(アカネ科)、ムクロジ科、ツバキ属、アオイ科、モチノキ科、フーディア属、ジャーマンカモミール、パッシフローラ・インカルナテ、チャノキ、ペパーミント、スペアミント、ヨーロッパキイチゴ、ユーカリノキ、ラベンダー、タチジャコウソウ、レモンバーム、アロエベラ、アンジェリカ、アニス、アヤフアスカ(バニステリオプシス・カーピ)、メギ、ブラックニガハッカ、ブルーロータス、ゴボウ、カモミール、キャラウェイ、キャッツクロー、クローブ、コンフリー、トウモロコシの毛、シバムギ、ダミアナ、ダミアナ、タンポポ、エフェドラ、ユーカリプタス、月見草、フェンネル、ナツシロギク、アメリカヒトツバタゴ、ニンニク、ショウガ、イチョウ、高麗人参、アキノキリンソウ、ヒドラスチス、壷草、緑茶、ガラナ、サンザシ、ホップ、トクサ、ヒソップ、コーラナッツ、クラトン、ラベンダー、レモンバーム、甘草、ライオンテール(野生ダガ)、マカ球根、ウスベニタチアオイ、シモツケソウ、オオアザミ、メハジキ、パッションフラワー、トケイソウ、ペパーミント、アザミゲシ、スベリヒユ、ラズベリー葉、コクリコ、セージ、ノコギリヤシ、マルバキンゴジカ、シニクイチ(マヤ・サンオープナー)、スペアミント、ショウブ、シリアンルー(ペガヌム・ハルマラ)、タイム、ターメリック、カノコソウ、野生ヤマノイモ、ニガヨモギ、ノコギリソウ、マテ、ヨヒンベ、ならびにこれらの任意の一部及び任意の組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、植物には、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ及びカンナビス・ルデラリスが挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、薬理学的活性薬剤には、Δ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビディバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びカンナビトリオール(CBT)が挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、薬理学的活性薬剤には、Δ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)が挙げられる。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、植物性素材中に存在する少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達する方法が提供され;当該方法には;
植物性素材を制御可能に加熱した際に少なくとも1種の所定気化量の薬剤を気化させるように構成された定量吸入装置から被験体に薬剤を肺送達する工程;
被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果をモニタリングする工程;
モニタリングを経て作成したデータに基づいて少なくとも1種の所定薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の所定薬力学的効果を達成するために少なくとも1種の所定気化量を調整する工程が含まれる。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、植物性素材中に存在する少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達することによって誘導した少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果を記録する方法が提供され;当該方法には;
植物性素材を制御可能に加熱した際に所定気化量の薬剤を気化させるように構成された定量吸入装置から、被験体に所定気化量の薬剤を肺送達する工程;
必要に応じて、被験体において肺送達の前、送達中及び/又は送達後に所定の時間間隔で少なくとも1種の薬物動態学的効果を決定する工程;
被験体において肺送達の前、送達中及び/又は送達後に所定の時間間隔で少なくとも1種の薬力学的効果を決定する工程;が含まれ;
薬力学的効果としては、望ましい効果、望ましくない効果、治療効果、有害効果及びバイオマーカーのレベルが挙げられる。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を患者(本明細書では被験ユーザと互換的に同じ意味で称される)に肺送達する方法が提供され、当該方法には、当該薬剤を含む固形物質を制御可能に加熱した際に少なくとも1種の所定気化量の薬剤を放出するように構成された定量吸入装置から患者に薬剤を肺送達する工程が含まれ、当該方法では、患者において、薬剤の少なくとも1種の事前選択した薬物動態学的プロファイル及び/又は少なくとも1種の事前選択した薬力学的プロファイルを示すように、薬剤の少なくとも1種の所定気化量を選択する。
いくつかの実施形態によれば、当該方法には更に:
当該装置から患者に当該薬剤を肺送達することによって誘導する少なくとも1種の薬物動態学的パラメータ及び/又は少なくとも1種の薬物動態学的可変要素及び/又は少なくとも1種の薬力学的パラメータを決定する工程;
上記薬物動態学的パラメータ及び/又は薬物動態学的可変要素及び/又は薬力学的パラメータに基づいて、患者において当該薬剤の事前選択した薬物動態学的プロファイル及び/又は事前選択した薬力学的プロファイルを示す所定気化量を決定する工程;ならびに
少なくとも1種の所定気化量の薬剤を送達するように装置を構成する工程が含まれる。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、患者に対して所定気化量が個人的に決定されるように、薬物動態学的パラメータ及び/又は薬物動態学的可変要素及び/又は薬力学的パラメータの各々を個別の患者について決定する。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、肺送達には:
少なくとも1種の所定気化量の薬剤の肺送達が、個別の患者において事前選択した薬力学的及び/又は事前選択した薬物動態学的プロファイルを示すか否かを判定するために、上記個別の患者において少なくとも1種の個人の薬力学的及び/又は少なくとも1種の個人の薬物動態学的パラメータを決定する工程;
少なくとも1種の所定気化量の薬剤の肺送達が上記個別の患者において事前選択した薬力学的及び/又は薬物動態学的プロファイルを示さなければ、上記個別の患者において事前選択した薬力学的及び/又は薬物動態学的プロファイルを示す薬剤の調整気化量を決定する工程;ならびに
上記調整気化量を送達する装置を再構成する工程が含まれ、
それにより、再構成において調整気化量は所定気化量となる。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、個人の薬力学的パラメータは、個人が知覚した治療効果、個人が知覚した有害効果及びバイオマーカー(の存否)から成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、バイオマーカーは、侵襲的に検出されたバイオマーカー及び非侵襲的に検出されたバイオマーカーから成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、非侵襲的に検出されたバイオマーカーは、心拍数、酸素化レベル(SpO2)、血圧、呼吸数、体温、吸入量、表情、筋収縮、痙攣、攣縮、発汗、手と視覚の協調、眼球血管拡張、結膜及び/又は強膜の発赤、眼内圧の変動、運動能力、運動失調、洞性頻拍、振戦、心臓不整脈、皮膚コンダクタンス/インピーダンスレベル、発作、筋電図検査(EMG)、心電図(ECG)、光電式指尖容積脈波(PPG)、ガルバニック皮膚反応(GSR)、青‐褐色視覚阻害、H‐マスク視覚阻害、聴覚潜在的阻害、視覚潜在的阻害、ストロープカラーワード、単純反応(葛藤タスク)、認知セット切替え、論理的推論、意思決定時間、迅速情報処理、知覚迷路、模擬運転、視覚探索、時間推定、時間知覚、視覚探索、注意探索、記号複写、文字取り消し、アルファベット削除、D2取り消し、ブリッケンカンプD2、数字複写テスト(DDCT)、記号数字置換(SDST)、数字記号置換テスト(DSST)、数字警戒、警戒、聴覚警戒テスト、ウェスネス/ウォーバートン警戒タスク、迅速情報処理、CRT+追跡分割注意、選択注意、集中注意タスク、感情的注意タスク、聴覚粗動融合、閃光融合、臨界フリッカー融合(CFF)、注意継続、対連合学習、ワードリスト学習、15ワードテスト、導入調整、遅延ワード想起、遅延ワード認識、遅延絵柄認識、ワード提示、ワード認識、数値作業記憶、数値記憶、記憶走査、聴覚ブラウン/ピーターソン、視覚ブラウン/ピーターソン、視覚空間記憶、断片絵柄テスト、パウリテスト、ブロックスパン、数字スパン、数字スパン(前方)、数字スパン(後方)、WAIS語彙、WAIS類似性、ワード流暢性、言語流暢性、パフォーマンス時間(遅延ワード認識)、パフォーマンス時間(数値作業記憶)、パフォーマンス時間(数字警戒)、パフォーマンス時間(迅速情報処理)、パフォーマンス時間(遅延絵柄認識)、パフォーマンス時間(視覚情報処理)、簡易反応時間CRT、複合RTビジュアル、視覚選択RT、VRT、視覚応答速度、ART、聴覚RT、ワイヤー迷路トレーシング、アルキメデスらせん、危機追跡タスク、軌跡作成、追跡複合、追跡ウィーナー装置、閉合の柔軟性、WAISブロック計画、WAIS絵柄比較、数字複写、操作運動、微細運動、筆跡分析、タッピング、手腕の側部到達整合、視覚的な腕の無作為到達、運動制御及び整合、運動挙動から成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、個人が知覚した治療効果は疼痛、片頭痛、抑鬱、認知機能欠陥、注意欠陥、多動、不安障害、下痢、悪心、嘔吐、不眠、せん妄、食欲変化、性機能不全、痙縮、眼内圧上昇、膀胱機能不全、チック、トゥーレット症状、心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状、炎症性腸疾患(IBD)症状、過敏性腸症候群(IBS)症状、過度の緊張、出血症状、敗血症及び心原性ショック、薬物依存及び切望、禁断症状、振戦ならびに他の運動障害から成る群から選択される症状に応答する。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、個人が知覚する有害効果は精神作用性有害効果及び/又は身体的有害効果である。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、精神作用性有害効果は、偏執症、不安、パニック発作、多幸感、擬似幻覚、運動失調、鎮静、意識的知覚変化、快活、メタ認知及び内省、促進された回想(エピソード記憶)、記憶喪失、官能的な変化、感覚の意識変化及び性欲変化、めまい、運動失調、多幸感、知覚の変化、時間的歪み、通常の感覚体験の激化、短期記憶、注意力、反応の障害、熟練活動、発話流暢性、依存症及び抑鬱から成る群から選択される症状に応答する。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、身体的有害効果は、悪心、筋収縮、筋弛緩、痙攣、攣縮、発汗、運動失調、運動活動の変化、口渇ならびに手足の冷感及び熱感、心拍数増加、脳血流増加、気管支拡張、血管拡張、目の充血及び瞳孔拡張、口渇、喉の渇き、飢餓又は食物渇望から成る群から選択される症状に応答する。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、肺送達は更に:
調整気化量の薬剤を送達する装置を構成する工程を含み、その調整気化量は患者において薬剤の再選択した薬力学的プロファイルを示すように選択し、
それによって、当該構成では、調整気化量は所定気化量であり、再選択した薬力学的プロファイルは事前選択した薬力学的プロファイルである。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、装置は、当該薬剤の所定気化量からの薬剤の実際の気化量の偏差が所定気化量の20%未満となるように所定気化量を送達するように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、事前選択した薬物動態学的プロファイルからの実際の薬物動態学的プロファイルの偏差は事前選択した薬物動態学的プロファイルの40%未満である。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、少なくとも1時点における事前選択した薬力学的プロファイルからの知覚薬力学的プロファイルの偏差は事前選択した薬力学的プロファイルの25%未満である。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、事前選択した薬力学的プロファイルは:
治療効果の最小レベルよりも低いレベルの範囲にある薬力学的プロファイル、
有害効果が示されないか、又は知覚されない治療効果の最小レベルから治療効果の最大レベルの範囲内にある薬力学的プロファイル、及び
有害効果の最小レベルよりも高いレベルの範囲にある薬力学的プロファイルから成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、薬力学的プロファイルは、有害効果が示されないか、又は知覚されない治療効果の最小レベルから治療効果の最大レベルの範囲内(治療ウインドウ内)にある。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、少なくとも1時点における事前選択した薬力学的プロファイルからの知覚薬力学的プロファイルの偏差は事前選択した薬力学的プロファイルの25%未満である。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、薬物動態学的可変要素は、体重、身長、性別、年齢、肥満度指数及び除脂肪体重から成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、薬物動態学的パラメータは、最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度に達する時間(Tmax)及び経時的総曝露量(AUC0→∞)から成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、薬物動態学的パラメータ及び/又は薬力学的パラメータは、以下から成る群から選択される少なくとも1種の追加的パラメータをモニタリングしながら決定する:
心拍数、酸素化レベル(SpO2)、血圧、呼吸数及び体温から成る群から選択されるバイタルサイン;
努力呼気肺活量(FEV1)、最大呼気中間流量(MMEF)、一酸化炭素肺拡散能(DLCO)、努力肺活量(FVC)、全肺気量(TLC)及び残気量(RV)から成る群から選択される肺機能;
ヘモグロビンレベル、ヘマトクリット比、赤血球数、白血球数、白血球分画及び血小板数から成る群から選択される血液学的マーカー;
プロトロンビン時間(PT)、プロトロンビン比(PR)及び国際標準化比(INR)から成る群から選択される凝固パラメータ;
クレアチニンクリアランス(CCr)、血中尿素窒素レベル(BUN)及び糸球体濾過率(GFR)から成る群から選択される腎機能マーカー;ならびに
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベル、血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)レベル、アルカリホスファターゼレベル及びガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)レベルから成る群から選択される肝機能マーカー。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の方法は、少なくとも2種の薬理学的活性薬剤を患者に肺送達するためのものであり、当該装置は、所定気化量の少なくとも2種の薬理学的活性薬剤各々を別々に送達するように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該方法は、所定の時間間隔で少なくとも2種の薬理学的活性薬剤を送達するためのものである。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該方法は少なくとも2種の薬理学的活性薬剤各々を所定気化量で別々に送達するためのものであり、当該物質は少なくとも2種の薬理学的活性薬剤を含む。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該方法は複数の所定気化量の薬理学的活性薬剤を送達するためのものであり、当該複数の所定気化量は、互いに同一であるか又は異なっている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、複数の所定気化量は、同一であるか又は異なる所定時間間隔で装置から送達する。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該装置は患者インターフェース回路と通信する。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、当該薬剤を含む固形物質を制御可能に加熱した際に所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を患者に肺送達するように構成された定量吸入装置を提供し、当該装置では:
所定気化量は患者において事前選択した薬物動態学的プロファイル及び/又は事前選択した薬力学的プロファイルを示す量であり;また、
当該薬剤の所定気化量は、装置から患者への薬剤の肺送達によって誘導する少なくとも1種の薬物動態学的パラメータ及び/又は少なくとも1種の薬物動態学的可変要素及び/又は少なくとも1種の薬力学的パラメータを決定することによって決定する。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該装置は患者インターフェース回路と通信して使用するように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該装置は、薬剤の所定気化量からの薬剤の実際の気化量の偏差が所定気化量の20%未満となるように、所定気化量を放出することが可能である。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該装置は、事前選択した薬物動態学的プロファイルからの実際の薬物動態学的プロファイルの偏差が事前選択した薬物動態学的プロファイルの40%未満となるように、所定気化量を放出することが可能である。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該装置は、少なくとも1時点における事前選択した薬力学的プロファイルからの知覚薬力学的プロファイルの偏差が事前選択した薬力学的プロファイルの25%未満となるように、所定気化量を放出することが可能である。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、肺送達、薬剤、所定気化量、患者における薬剤の事前選択薬物動態学的プロファイル及び/又は事前選択薬力学的プロファイル、少なくとも1種の薬物動態学的パラメータ及び/又は少なくとも1種の薬物動態学的可変要素及び/又は少なくとも1種の薬力学的パラメータ、再選択した薬力学的プロファイル、調整気化量、ならびに上記いずれかの決定は、個々の実施形態のいずれか1つに記載されているとおりである。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、定量吸入装置と共に使用する患者インターフェース回路が提供され、当該装置は複数の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を患者に肺送達するように構成されており、当該患者インターフェース回路は:
コントローラ;
入力部;
通信モジュール;を備え:
複数の所定気化量は所定の時間間隔で装置から送達され、その量及び/又は時間間隔は同一又は異なっており;
複数の所定気化量及び所定時間間隔は用量、投薬様式及び/又はレジメンを含み、入力部は用量及び/又はレジメンを受信するように構成され、
入力部は患者からフィードバックを取得するために薬剤肺送達中に実時間で患者と相互作用するように構成され;
コントローラは、フィードバックに従って用量及び/又はレジメンを反復的に部分変更し、それによって調整所定気化量及び調整時間間隔を含む調整用量及び/又はレジメンを導出するように構成され;また
通信モジュールは、調整用量、調整投薬様式及び/又は調整レジメンをMDI装置に通信するように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、用量及び/又はレジメンは、患者において薬剤の少なくとも1種の事前選択した薬物動態学的プロファイル及び/又は少なくとも1種の事前選択した薬力学的プロファイルを示すように選択する。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、患者インターフェース回路は、パーソナルポータブル装置、携帯型装置、ウェアラブル装置、リスト装置又は一体型アイウェア装置上に構成する。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、個人用ポータブル装置は、スマートフォン、携帯型装置、ウェアラブル装置、リスト装置又は一体型アイウェア装置から成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、患者インターフェース回路はコントローラと通信するメモリを備え、メモリは患者の用量及び/又はレジメンならびに使用データを記憶するように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、コントローラは、使用データに応じて用量及び/又はレジメンを部分変更するように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、患者インターフェース回路は、患者の少なくとも1種の個人薬力学的パラメータ及び/又は少なくとも1種の個人薬物動態学的パラメータを得るためのツールセットを提供するように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、個人の薬力学的パラメータは、個人が知覚した治療効果、個人が知覚した有害効果及びバイオマーカーから成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、ツールセットは、個人が知覚した少なくとも1種の治療効果のレベル及び/又は個人が知覚した有害効果のレベル及び/又はバイオマーカーのレベルを結び付ける際に患者を補助するための少なくとも1種の対話型アプリケーションを備える。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、対話型アプリケーションは、患者インターフェースが構成されているスマートフォンにインストールされたゲームウェアである。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、システムが提供され、当該システムは:
少なくとも1種の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を患者に肺送達するための定量吸入装置;及び
当該装置と通信する患者インターフェース回路を備え、
患者インターフェース回路及び装置の少なくとも1つは、当該装置を用いて患者から実時間で受信された少なくとも1種の直接的及び間接的入力情報に従って操作設定を部分変更するように構成されており、当該操作設定には患者に薬剤を肺送達するための用量及び/又はレジメンが含まれる。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該システムは、患者への害が防止される患者ごとに定められた個人用の安全範囲内に用量及び/又はレジメンを維持しながら操作設定を調整するように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、操作設定には更に、システム部品間での用量及び/又はレジメン及び/又は使用データの転送を時間調整するための1種以上のプロトコルが含まれる。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、操作設定は、患者に装置を使用するよう促すための患者インターフェース回路の時間調整スケジュールを定める。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該システムは、患者において少なくとも1種の個人の薬力学的パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサを備える。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、患者インターフェースは個人のスマートフォン上に構成され、センサはスマートフォンの標準部品である。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、センサはタッチスクリーン、カメラ、加速度計及びマイクロフォンから成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、センサは装置内に備えられる流量センサであり、当該センサは、吸入量と個人の薬力学的パラメータとの相関に基づいて患者において少なくとも1種の個人の薬力学的パラメータを評価するために患者の吸入量を検出するように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、吸入量と相関する個人の薬力学的パラメータは疼痛レベルである。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、直接的入力情報には患者インターフェース回路を使用して患者が提供する意図的な指示が含まれる。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、間接的入力情報には患者から患者インターフェース回路によって得られた、個人が知覚した治療効果及び/又は個人が知覚した有害効果が含まれる。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該システムは更に、患者インターフェース回路及び装置と通信する医師インターフェースを備え、当該医師インターフェースは医師によって操作設定が選択されるように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該システムは更に、装置、医師インターフェース及び患者インターフェース回路の少なくとも1つと通信するデータベースサーバを備える。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、医師インターフェースは患者の用量及び/又はレジメンを作成するためにデータベースサーバと通信するように構成され、操作設定には用量及び/又はレジメンが含まれる。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、操作設定は患者の使用データに従って部分変更する。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該装置は薬剤を提供するように構成された物質ディスペンサ、及び患者への気化薬剤の肺送達のためにディスペンサを起動するコントローラを備える。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、患者に少なくとも1種の薬学的活性薬剤を肺送達するように構成された定量吸入装置を操作する方法が提供され、当該方法には:
当該装置を用いて薬剤を患者に肺送達するための用量及び/又はレジメンを選択する工程;
薬剤の肺送達中に実時間で、患者の少なくとも1種の個人の薬力学的効果及び/又は少なくとも1種の個人の薬物動態学的効果に関する指示を得る工程;その指示に従って用量及び/又はレジメンを自動的に調整する工程が含まれる。本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、個人の薬力学的パラメータは個人が知覚した治療効果、個人が知覚した有害効果及びバイオマーカー(の存在及び/又はレベル)から成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、個人が知覚した治療効果は症状のレベルの低下であり、個人が知覚した有害効果は精神作用性効果及び/又は身体的有害効果である。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、用量及び/又はレジメンは、患者において薬剤の初期蓄積が示されるように、ならびに/あるいは患者において薬物の事前選択薬物動態学的プロファイル及び/又は事前選択薬力学的プロファイルが少なくとも薬剤肺送達時間と同じ長さの期間維持されるように事前選択する。
本明細書に記載された実施形態いずれかの(方法、装置、回路又はシステムの)いくつかの実施形態によれば、当該装置は、当該薬剤を含む固形物質を制御可能に加熱した際に少なくとも1種の所定気化量の薬剤を送達するように構成されている。
本明細書に記載された実施形態いずれかの(方法、装置、回路又はシステムの)いくつかの実施形態によれば、当該物質は植物性素材である。
本明細書に記載された実施形態いずれかの(方法、装置、回路又はシステムの)いくつかの実施形態によれば、当該植物はカンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、カンナビス・ルデラリス、アカシア属、ベニテングダケ、ヤヘー、ベラドンナ、ビンロウ、ブルグマンシア属、ニオイバンマツリ、ハイクサネム、バニステリオプシス・カーピ、トリコケレウス属、カカオ、トウガラシ属、ケストルム属、コカノキ、コリウス、ダンチク、コーヒーノキ、チョウセンアサガオ属、デスフォンタイニア属、ディプロプテリス・カブレラナ、シナマオウ、バッカクキン、ガラナ、オオバアサガオ、ヒヨス、イボガ、ラゴキルス・イネブリアンス、ジャスティシア・ペクトラリ、セレチウム・トルツオスム、カワカワ、アラビアチャノキ、アヘンボク、カエンキセワタ、スイレン属、ハス属、テキサスマウンテンローレル、黎豆、マンドラゴラ、ミモザ・テヌイフローラ、キバナハマヒルガオ、シビレタケ属、ワライタケ、ニクズク、タービナ・コリボサ、チャボトケイソウ、ウバタマ、クサヨシ属、ピチュリ、罌粟(ケシ)、サイコトリア・ビリディス種、サルビア・ディビノラム、サケーナー、トリコケレウス・パチャノイ、シニクイチ、スリーピーグラス、ソランドラ属、セイヨウオトギリソウ、ハルマラ、サンユウカ属、チャノキ、ニコチアナ・タバカム、ルスティクム、ビロラ・セイドラ、ボアカンガ・アフリカーナ、ワイルドレタス、ニガヨモギ、マテ、アナデナンテラ種、ヨヒンベ、カレア、コーヒーノキ属(アカネ科)、ムクロジ科、ツバキ属、アオイ科、モチノキ科、フーディア属、ジャーマンカモミール、パッシフローラ・インカルナテ、チャノキ、ペパーミント、スペアミント、ヨーロッパキイチゴ、ユーカリノキ、ラベンダー、タチジャコウソウ、レモンバーム、アロエベラ、アンジェリカ、アニス、アヤフアスカ(バニステリオプシス・カーピ)、メギ、ブラックニガハッカ、ブルーロータス、ゴボウ、カモミール、キャラウェイ、キャッツクロー、クローブ、コンフリー、トウモロコシの毛、シバムギ、ダミアナ、ダミアナ、タンポポ、エフェドラ、ユーカリプタス、月見草、フェンネル、ナツシロギク、アメリカヒトツバタゴ、ニンニク、ショウガ、イチョウ、高麗人参、アキノキリンソウ、ヒドラスチス、壷草、緑茶、ガラナ、サンザシ、ホップ、トクサ、ヒソップ、コーラナッツ、クラトン、ラベンダー、レモンバーム、甘草、ライオンテール(野生ダガ)、マカ球根、ウスベニタチアオイ、シモツケソウ、オオアザミ、メハジキ、パッションフラワー、トケイソウ、ペパーミント、アザミゲシ、スベリヒユ、ラズベリー葉、コクリコ、セージ、ノコギリヤシ、マルバキンゴジカ、シニクイチ(マヤ・サンオープナー)、スペアミント、ショウブ、シリアンルー(ペガヌム・ハルマラ)、タイム、ターメリック、カノコソウ、野生ヤマノイモ、ニガヨモギ、ノコギリソウ、マテ、ヨヒンベ、ならびにこれらの任意の一部及び任意の組み合わせから成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかの(方法、装置、回路又はシステムの)いくつかの実施形態によれば、植物はカンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ及びカンナビス・ルデラリスから成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかの(方法、装置、回路又はシステムの)いくつかの実施形態によれば、薬理学的活性薬剤はΔ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビディバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びカンナビトリオール(CBT)から成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかの(方法、装置、回路又はシステムの)いくつかの実施形態によれば、薬理学的活性薬剤は、Δ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)から成る群から選択される。
本明細書に記載された実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の方法、装置、回路又はシステムのうちいずれかは、それを必要とする被験体の医学的状態を治療する際に使用するためのものである。
本明細書に記載された実施形態いずれかの(方法、装置、回路又はシステムの)いくつかの実施形態によれば、医学的状態又はそれに付随する症状は少なくとも1種の薬学的活性薬剤の肺送達によって改善される。
特段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は学名は、本開示が関係する1人の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料は本開示の実施形態の実施又は試験で使用可能であるが、いくつかの方法及び/又は材料を以下に説明する。係争が発生した場合、定義を含む本特許明細書が支配する。また、材料、方法及び例示は一例に過ぎず、必ずしも限定を意図したものではない。
本特許又は添付ファイルはカラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。
本発明のいくつかの実施形態は、添付図面を参照して単なる例示として本明細書で説明する。ここで詳細な図面を具体的に参照し、示された事項は例示としてのものであり、本発明の実施形態についての説明的考察が目的であることを強調しておく。この点では、図面を用いてなされた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者には明らかである。
本開示のいくつかの実施形態に従った定量吸入装置(Syqe Inhaler Exo(商標))の写真である(背景技術)。 本開示のいくつかの実施形態に従った定量吸入装置を用いて、3.08±0.02mgのΔ9‐THCを含有する15.1±0.1mgの粉砕大麻花を単回吸入した後のΔ9‐THC血漿レベルを示す比較プロットである。 3.08±0.02mgのΔ9‐THCを含有する15.1±0.1mgの粉砕大麻花を単回吸入した後の視覚的アナログスケール(VAS)疼痛強度を示すグラフである。 3.08±0.02mgのΔ9‐THCを含む15.1±0.1mgの粉砕大麻花を単回吸入した後の血圧及び心拍数を示すグラフである。 喫煙用大麻花と比較した、粉砕大麻花の吸入の満足度スコアを示すグラフである。 本開示のいくつかの実施形態に従った装置を用いた吸入によって得られたΔ9‐THC血漿Cmaxと比較した、静脈内、気化及び喫煙様式の送達(背景技術、下記実施例2参照)で投与されたΔ9‐THCの1mg当たりの血漿Cmaxレベルの平均及び95%信頼限界を示す棒グラフである。括弧内の数字は下記実施例2に示される関連参考文献である。 本開示のいくつかの実施形態に従った装置を用いた吸入によって得られたΔ9‐THC血漿Cmaxと比較した、気化、喫煙、経口及び経口腔粘膜法の送達(背景技術、下記実施例2参照)によって得られたΔ9‐THC血漿Cmaxの個人間変動(変動係数、CV(%))を示す棒グラフである。括弧内の数字は下記実施例2に示される関連参考文献である。 患者Xについて測定した3時間にわたる3種の所定気化量(計算した投薬量)の肺送達の代表的な例である。 本開示のいくつかの実施形態に従った吸入装置、医師インターフェース及び/又は患者インターフェースを備えるシステムの概略図である。 本開示のいくつかの実施形態に従った個人用レジメンを患者に処方する方法のフローチャートである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、患者に対してレジメンを選択して処方するための医師インターフェースの概略図である。 本開示のいくつかの実施形態に従った、患者に対してレジメンを選択して処方するための医師インターフェースのプリントスクリーンである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、患者に対してレジメンを選択して処方するための医師インターフェースのプリントスクリーンである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、患者に対してレジメンを選択して処方するための医師インターフェースのプリントスクリーンである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、患者から個人の薬力学的(PD)パラメータを取得し、それに応じてレジメンを部分変更する方法のフローチャートである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、患者インターフェースのプリントスクリーンである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、個人のPD効果を得た前後の患者の予測された薬力学的及び薬物動態学的プロファイルのグラフ表示である。 本開示のいくつかの実施形態に従った、患者インターフェースのプリントスクリーンである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、個人のPD効果を得た前後の患者の予測された薬力学的及び薬物動態学的プロファイルのグラフ表示である。 本開示のいくつかの実施形態に従った、患者インターフェースのプリントスクリーンである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、パーソナルポータブル装置及び/又は吸入装置を使用して1種以上のバイオマーカーを取得し、それに応じて用量及び/又はレジメンを必要に応じて部分変更する方法のフローチャートである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、バイオマーカーを取得するための、ならびに/あるいは知覚された治療効果及び/又は有害効果を判定する際に患者を補助するための様々なアプリケーションを備える患者インターフェースのプリントスクリーンである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、1種以上の活性薬剤の肺送達を自動化し、制御するように構成された定量吸入装置の概略図である。 本開示のいくつかの実施形態に従った、吸入装置の構成の概略図である。 本開示のいくつかの実施形態に従った、本明細書では「用量ユニット」又は「用量カートリッジ」と同義であり、必要に応じて個別用量を収容する吸入装置のカートリッジである。 本開示のいくつかの実施形態に従った、カートリッジの他の自由選択的形状である。 本開示のいくつかの実施形態に従った、カートリッジの他の自由選択的形状である。 本開示のいくつかの実施形態に従った、個人化した治療ウインドウ内に患者を維持しながら図9に従ったシステムを使用して個々の患者を治療する方法のフローチャートである。 ヒト被験体における神経学的疼痛を治療するための個人の投薬量及び/又はレジメンを決定及び投与するための手順のフローチャートである。 活性薬剤の肺送達により疼痛及び不眠を治療するためのレジメンのグラフ表示である。赤線は疼痛レベルを、緑線は活性薬剤の血中レベルを表し、活性薬剤は痛疼痛緩和及び鎮静作用を有する。 2種の活性薬剤THC及びCBDの組み合わせの肺送達による疼痛治療のためのレジメンのグラフ表示である。破線は有害(精神作用性)効果のレベルを、実線は疼痛レベルを表し、THCは0.5mg(白色の三角形)、1.2mg(灰色の三角形)及び2.4mg(黒色の三角形)の用量ユニットを使用して吸入し、CBDは25mg(白色の菱形)の用量ユニットを使用して吸入する。
本発明は、そのいくつかの実施形態において薬理学に関するが、より詳細には、限定するものではないが、活性薬剤の制御された肺送達のための方法、装置及びシステムに関する。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、当然のことながら、本発明はその適用において、以下の説明に記載されるか、又は実施例で例示される詳細事項に必ずしも限定されるものではない。
先に述べているように、許容された薬理学的実践によれば、天然物質由来薬学的活性薬剤の送達の制御が困難であることによって、植物及びハーブに見られる活性物質などの臨床的に評価された数種の天然物質の医薬用途が制限され、その最も顕著な例は大麻である。正確かつ精密な用量の決定及び制御ができないことは、多くの医学的状態の治療に利用可能な医薬品の装備一式において主要な役割を担う天然物質を添加する際に主な障害の1つとなる。更に、標準的で承認された製薬プロトコルに従った天然物質由来活性薬剤の投与法がなければ、医師がプロトコル基づいて治療を処方することは不可能である。
薬学的活性薬剤を使用する医学的状態の治療は治療効果と有害効果との間のバランスを維持することに努力しながら治療有効的レジメンに従って投与する治療有効量に基づいていなければならないことを、標準的な薬理学的規則は規定している。
更に上述しているように、大麻由来カンナビノイドなどの植物由来活性薬剤を正確かつ一定に送達することが可能な定量吸入(MDI)装置が特許文献1に開示されている。図1はこのような吸入装置の代表例である。本開示を着想する一方で、このようなMDI装置は、有望な薬学的活性薬剤を含む天然物質の使用と、任意の医学的状態を治療する際に任意の薬学的活性薬剤の使用するための標準的で厳格でもある薬理学的規制との間の隔たりを埋めるものであると推定されている。
本発明を実施に移すにあたり、本発明者らはヒト被験体への大麻由来カンナビノイドの肺送達(吸入)の薬物動態学的(「PK」)及び薬力学的(「PD」)試験(「PK/PD試験」)を、良好に認められた薬理学プロトコルに従って行い、正確で精密なMDI装置を使用して大麻由来の少なくとも1種のカンナビノイドが投与可能になることを実証した。また本研究から、本発明で使用されるMDI装置は、他の公知の方法及び当該技術分野で公知の装置と比較して、大麻由来の気化した薬学的活性薬剤(単数又は複数)の正確で再現可能な用量での放出がさらにもっと有効で効率的であることが実証された。本明細書で使用されているように、用語「薬物動態学的/薬力学的」及び「PK/PD」は薬物動態学的及び/又は薬力学を意味する。
本研究の結果は、広く認められている薬務及び規制の下で、上記の精密なMDI装置を用いて広範な天然植物性素材を肺送達する道を切り開いている。このような肺送達は、上記天然植物性素材中の揮発性薬剤が医学的状態の治療及び/又は病態の症状の改善に有益である広範な医学的状態の治療に使用してもよい。
このPK/PD試験は、ヒト被験体の神経学的疼痛を治療するために治療効果的な用量及び/又はレジメンの決定及び個人化に分析手段が提供可能であることを実証している。このような用量及び/又はレジメンは、ヒト被験体においてTHCの治療ウインドウの限度内で治療を維持することが可能であり、すなわち用量及び/又はレジメンは、それを必要とする被験体におけるTHCの事前選択又は所定の薬力学的プロファイルを提供する正確及び/又は再現可能な薬物動態学的プロファイルを提供することが可能である。
本明細書で使用されているように、用語「治療ウインドウ」及び「薬学ウインドウ」は同じ意味であり、1種以上の薬学的活性薬剤の用量範囲によって誘導される薬力学的効果の範囲を指し、これにより1種以上の望ましい(ポジティブ)効果(単数又は複数)と1種以上の有害(ネガティブ)効果(単数又は複数)との均衡が保たれる。いくつかの実施形態によれば、医薬/治療ウインドウは薬力学的プロファイルと称される。ウインドウは所与の時点に関連付けてもよく、あるいは例えば分、時間、日数、又はそれ以上長い期間、もしくはそれ以上短い期間、もしくは任意の中間期間などの任意の長さの期間の範囲内にある。効果の望ましさの程度は様々な基準に基づいて定めることが可能であり、その程度には医療行為、規則及び規制、文化及び人口統計学的水準、遺伝的要因及び個人的嗜好ならびに許容性が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、効果の望ましさの程度は治療の目的及び一般的に許容される数値に基づいて定めることが可能であり、必要に応じて、患者の嗜好、能力及び活動などの他のパラメータを考慮に入れる場合もある。ある効果が望ましいと見なされる場合もあるが、望ましくないと見なされる場合もあり、その逆もまたあり得ることに留意されたい。
本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書で提供される方法、装置及びシステムは、所与の被験体又は被験体集団において、1種以上の所定の薬力学的効果を誘発する所定気化量の活性薬剤を気化させることが可能であり、所定の薬力学的効果は、望ましい効果の最小レベルと望ましくない効果の任意レベルとの間を変動し得る所定の薬力学的プロファイルに関連している。
いくつかの実施形態では、この薬学ウインドウは、医学的状態の有効な治療の最低レベル(治療効果;例えば疼痛緩和)から耐容可能な有害効果の最大レベル(例えば、本明細書に記載の耐容可能な精神作用性効果)までの薬力学的効果の範囲内にある。必要に応じて、治療ウインドウは治療効果と有害効果との間の選択された均衡と相関させてもよい。例えば、望ましくない効果が十分に耐容可能又は更に最小限になる一方で、望ましい効果が少なくとも最小許容レベル又は最小必須レベル(例えば、ユーザの救命、又は器官もしくは組織の機能の保存)に達する。必要に応じて、被験体の嗜好や健康に重篤な又は回復不可能な損傷が与えられる可能性に応じて、有害効果を限定してもよい。しかし、いくつかの代替的な均衡を取ることも可能であり、ユーザの嗜好に基づいて選択的な治療ウインドウの間で効果を選択してもよい。
本明細書全体を通じて、用語「患者」は、本明細書で提供された装置及びシステムのいずれかを使用し、本明細書で提供された方法のいずれかの被験体である存在を指す用語「被験体」、「ユーザ」及び「それを必要とする個人」と同じ意味で使用される。
治療ウインドウは、薬物動態学的プロファイルを介して、1種以上の薬学的活性薬剤のある範囲の量と相関させることが可能である。例えば治療ウインドウは、望ましい効果(治療効果、この場合、その量は治療有効量又は治療用量である)を付与する量から望ましくない効果(例えば有害効果)の許容可能又は耐容可能レベルを超える量に及ぶ1種以上の薬学的活性薬剤の量の範囲として定めてもよい。従って、例えば、治療ウインドウが狭い薬学的活性薬剤は、治療有効量と有害効果を引き起こす量との間に留まるように細心の注意を払って投与し、制御する必要がある。
治療指数は、有効用量(ED)に対する毒性量(TD)又は致死量(LD)の比である治療可能比(TR)の観点から表すことが可能である。TRが高いほど、薬物はより安全である。例えば、テトラヒドロカンナビノール(THC)の治療指数は1000であり、従って安全な活性薬剤であると考えられ、一方、強心配糖体であるジゴキシンの治療指数は約2:1であり、これは薬物に高レベルの薬物モニタリングが必要であることを意味する。従って、いくつかの実施形態では、治療ウインドウは1種以上の薬学的活性薬剤及びそれらの組み合わせの治療指数に影響を受ける。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、計量吸入装置を使用して薬剤を患者に肺送達することによって実行される、少なくとも1種の薬理学的活性薬剤の患者への肺送達方法が提供され、当該装置は薬剤を含有する物質を制御可能に加熱した際に少なくとも1種の所定気化量の薬剤を放出するように構成され、その量は、所定の薬力学的効果などの被験体における少なくとも1種の所定の効果を達成するように設定する。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、植物性素材中に存在し、患者への肺送達に好適な少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を気化させる方法が提供され、当該方法は定量吸入装置を用いて実行され、当該装置は植物性素材を制御可能に加熱した際に少なくとも1種の所定気化量の薬剤を放出するように構成され、その量は、薬剤を患者に肺送達すると少なくとも1種の所定薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の所定薬力学的効果が被験体において上記薬剤によって達成されるように設定する。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、患者への肺送達に適した植物性素材中に存在する少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を気化させるための定量吸入装置の使用が提供され、当該装置は、植物性素材を制御可能に加熱した際に少なくとも1種の所定気化量の薬剤を放出するように構成され、その量は、薬剤を患者に肺送達すると、被験体における当該薬剤によって少なくとも1種の所定薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の所定薬力学的効果が達成されるように設定する。
当然のことながら、薬学的活性薬剤は固体又は液体の形態とすることが可能であり;また薬剤は本明細書に記載の固形物質に含有されていることに更に留意されたい。本開示のいくつかの実施形態によれば、薬学的活性薬剤は、熱によって気化可能であり、それによって熱誘導気化によって物質から放出可能である。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1種の揮発性活性薬剤を含む物質は、例えば植物性素材である。いくつかの実施形態では、活性薬剤は天然に存在する薬剤であり、すなわち当該薬剤は植物中に天然に発生する(生成される)。あるいは当該物質は、例えば1種以上の天然植物性素材を含むか、もしくは天然植物性素材のみから成る有機材料、又は少なくとも1種の揮発性活性薬剤を含み得る合成材料である。いくつかの実施形態では、固形物質は植物、真菌、細菌等の天然又は有機原料から誘導又は抽出した複数の揮発性活性薬剤を含む。
いくつかの実施形態では、物質は天然植物性素材である。本開示の一実施形態では、植物性素材は植物性素材中の揮発性活性薬剤を損傷することなく処理される。必要に応じて、植物性素材は巨視的な植物構造を保持する。
MDI装置に使用される物質の量は、そこに含まれる揮発性薬剤の内容量、及び装置から放出されることが要求される所定気化量に基づいて決定してもよい。MDI装置に使用される物質の量は、20~500mg、10~200mg、9~150mg、8~100mg、7~50mg、5~20mg、1~10mg、10~70mg、10~60mg、12~50mg、12~40mg、15~40mg、12~30mg又は12~25mgの範囲であってもよい。
用語「薬学的活性薬剤」、「生物学的活性薬剤」、「活性薬剤」及び「薬剤」は本明細書では同じ意味で使用され、被験体に投与されたときに生理学的又は心理学的効果を示す化合物、ポリマー、複合体もしくは錯体、又はこれらの任意の組み合わせを指す。通常、薬学的活性薬剤又は生物学的活性物質は、全身経路(例えば血液、リンパ)を介してそれを標的器官に肺送達すると望ましい生理学的又は心理学的効果を発揮する。薬剤は、天然由来でも合成であってもよい。活性薬剤の非限定的な例にはCNS活性薬剤、化学療法剤、鎮静剤又は鎮痛剤及び向精神薬が挙げられる。本開示の実施形態の文脈では、薬学的活性薬剤は、天然に存在する物質(例えば、本明細書に記載の天然植物物質)又はその代謝産物に見られる天然に存在する薬剤である。これらの用語は、特段の指示がない限り、2種以上の薬剤も包含する。
本開示のいくつかの実施形態によれば、当該方法は、固形の物質を加熱することによって、ある量の少なくとも1種の揮発性薬剤を再現可能かつ正確に送達することが可能なMDIを使用して実施する。このようなMDIの要件は、非限定的な例として特許文献11又は特許文献1に開示されているようなMDIによって満たされ、その両方は本明細書に完全に示されている程度に、参照によってその全体が本明細書に援用される。
本開示のいくつかの実施形態によれば、MDI装置は特許文献1に記載された装置であり、これには当該文献に記載された実施形態及びそれらの任意の組み合わせのうちいずれか1つが含まれる。
本明細書で使用される用語「気化量」は、蒸気形態の薬剤の量を指し、一方、蒸気形態/量はMDI装置内の加熱要素を用いて得られる。本明細書では、いくつかの実施形態において、本開示の文脈上の気化薬剤量は推定量ではなくむしろ上記加熱で蒸発した実際量を表すものであることに留意されたい。
用語「所定気化量」は、MDI装置から意図的に又は故意に放出される量を指し、その規模は本明細書に記載されているような用量及び/又はレジメンプロトコルの選択又は設計によって決定する。いくつかの実施形態の文脈では、用語「用量」は所定気化量を表す。所定気化量は、当該装置に存在する利用可能な量と相関しており、装置に存在する利用可能な量を事前に測定し、又は装置に存在する利用可能な量を投与イベントに合わせて測定することによって、それに応じて所定気化量を事前設定、再設定、調整及び/又は再調整することが可能となることに留意されたい。
初期用量決定及び装置較正:
いくつかの実施形態によれば、患者において当該薬剤の事前選択した(本明細書では「所定の」ともいう)薬物動態学的プロファイル、及び/又は事前選択したもしくは所定の薬力学的プロファイルが現れるように所定の気化量を選択/制御するような方法を実行する。
いくつかの実施形態では、所定気化量は任意に選択/決定するものであり、MDI装置は活性薬剤の任意の原料(物質:植物性素材、植物性素材と他の材料との組み合わせ等)を使用して任意の回数の使用及び吸入を経て、この量を一定かつ正確に気化及び送達するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、所定気化量の薬剤は、薬剤を気化させる物質の単位質量当たりの薬剤の量の測定に基づいて決定することが可能である。このような測定は標準的な手順で行うことが可能であり;それによって、物質の単位質量当たりの薬剤の相対量に従って物質の様々なバッチ及び原料を標準化することが可能となる。
本明細書では、本開示のいくつかの実施形態によれば、事前選択した薬物動態学的及び/又は薬力学的プロファイルが示されたということは、当該薬剤を含む固体物質を加熱した際に一定かつ正確な気化量の薬剤を放出するように構成されたMDI装置を使用して薬剤を肺送達することによって少なくとも1人の被験体で行った薬物動態学的/薬力学的(PK/PD)試験に基づいて薬剤の気化量が事前に決定されていることを意味する点に留意されたい。また本明細書では、本開示のいくつかの実施形態によれば、事前選択した薬物動態学的プロファイルが示されたということは、少なくとも1種の望ましい薬物動態学的プロファイルが同定されており、また薬剤の少なくとも1種の所定気化量が被験体においてその望ましい薬物動態学的プロファイルに有効であると示されたことを意味する点にも留意されたい。また本明細書では、本開示のいくつかの実施形態によれば、事前選択した薬力学的プロファイルが示されたということは、少なくとも1種の望ましい薬力学的プロファイルが同定されており、また薬剤の少なくとも1種の所定気化量が被験体においてその望ましい薬力学的プロファイルに有効であると示されたことを意味する点にも留意されたい。
本開示のいくつかの実施形態では、用語「事前選択した」及び「所定の」は、用語「意図された」、「望ましい」もしくは「好ましい」、又は用語「有効な」、「必要な」及び「治療的な」を指すか、あるいはこれらと同じ意味で使用している。
また本明細書では、望ましい薬物動態学的プロファイル及び/又は望ましい薬力学的プロファイルの同定は通常、特定の被験体又はその一群において特定の薬学的活性薬剤のPK/PD試験を行うことによって実施できるという点にも留意されたい。また本明細書では、特定の被験体又はその一群において、ある物質の固体試料の加熱によって気化量の薬剤が制御可能かつ再現可能に放出されるときに吸入(肺送達)によって送達される薬学的活性薬剤について標準的かつ広範に認可されたPK/PD試験を実行できる可能性は、例えば活性薬剤(単数又は複数)の原料として植物性素材を使用することができる特許文献1に開示されているようなMDI装置によって可能になる。
いくつかの実施形態では、用語「所定気化量」はまた、1人以上の患者における当該薬剤の薬物動態学的/薬力学的(PK/PD)データに基づいて決定した薬剤の量、すなわちPK/PD効果(パラメータ)を決定することによって決定した気化量を説明するために本明細書でも使用される。
いくつかの実施形態では、本明細書で定めた所定量を放出するようにMDI装置を構成することは、いくつかの実施形態では、事前選択したPK及び/又は事前選択したPDプロファイルを示すように装置を較正することを意味する。
本開示の実施形態のうち任意のいくつかの実施形態によれば、当該方法は、被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果を示すデータに基づいて所定の薬物動態学的効果及び/又は所定の薬力学的効果を達成するために、所定気化量を調整することによって実施する。
いくつかの実施形態では、当該方法には、被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果をモニタリングすることによって指標データを作成する工程が更に含まれる。
本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該方法は、用語が本明細書において定義されているように、少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬物動態学的可変要素及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果をモニタリング及び/又は決定することによって実施し、これらの効果及び可変要素は、MDI装置を用いて薬学的活性薬剤を患者に肺送達すること;
当該薬物動態学的効果及び/又は薬物動態学的可変要素及び/又は薬力学的効果に基づいて、患者において当該薬剤の事前選択した薬物動態学的プロファイル及び/又は事前選択した薬力学的プロファイルを示す所定気化量を決定すること;ならびに
薬剤の所定の気化量を送達するようにMDI装置を調整することによって誘導される。
本明細書で使用されているように、語句「薬物動態学的プロファイル」は薬学的活性薬剤又はその代謝産物(例えば活性代謝物)の体内濃度、すなわち化合物を投与された生体(全身、血液、血漿、リンパ、組織、器官等)の生理系における薬剤又はその代謝物の時間関数としての濃度を意味する。通常、薬物動態学的(PK)プロファイルは、化合物の投与の時点から、化合物が生体において検出できなくなった時点まで、又は化合物の投与と化合物が生体において検出できなくなった時点(例えば、排泄のため)との間の時間の任意の中間期間までと考えられ;従って、PKプロファイルは、化合物の遊離、吸収、分布、代謝及び排泄/分泌の機序に影響されるような投与と消失との間の特定化合物の特定生理系における体内濃度を説明するものである。各生体、及び生体属内の個々の各生体は薬剤投与に対して異なる反応を示すことから、PKプロファイルは異なる場合があり、被験体間でかなり多様性がある場合もあり、また現時点での生理学的状態、医学的状態、環境状態、更には時間帯によって個々の一被験体の中でも差異がある場合もある。
本開示のいくつかの実施形態によれば、薬物動態学的プロファイルは被験体に以下の1つ以上を提供することによって達成される:
用量‐被験体に投与する化合物又は薬剤の単回量;及び/又は
レジメン‐量は異なるようにしても類似させることも可能であり、持続時間は異なるようにしても類似させることも可能である様々な時間間隔で提供される複数種の所定用量。いくつかの実施形態では、レジメンはまた、送達期間(例えば、薬剤投与期間又は治療期間)も包含する。
あるいは、レジメンは所定の時間間隔で与えられた複数の所定気化量である。
PKプロファイルは、時間の関数としてのPK効果(パラメータ)、又は時間の関数としてのPK効果の組み合わせの変化に従って決定可能であることに留意されたい。
PKプロファイルは通常、直接及び/又は間接的に測定したPK効果を利用して時間スケールに対する濃度で評価する。例えば、PKプロファイルは、時間の関数としての被験体における投与された薬学的活性薬剤の血漿濃度としてもよい。
本明細書で使用される用語「事前選択した薬物動態学的プロファイル」は、望ましいものとして選択したPKプロファイルを指す。それぞれの実施形態のいずれか1つに記載されているように(例えば、被験体を本明細書に記載されているような治療ウインドウ内に維持するために)、被験体において望ましい薬力学的効果を達成するのに有効であることが分かっていることから、事前選択したPKプロファイルを選択してもよい。
本明細書において同じ意味で使用される用語「薬物動態学的パラメータ」、「薬物動態学的効果」は被験体における測定可能かつ定量可能な生理学的効果を指し、これは被験体における薬学的活性薬剤の存在に関連している。PK効果は、被験体における薬学的活性薬剤の吸収、分布、代謝及び排泄(ADME)を含む一群の生理学的プロセスの直接的又は間接的発現である。
限定するものではないが、通常、PK効果には以下のものが挙げられる:
t:ある用量又はあるレジメンで被験体へ投与(送達、例えば肺送達)した後に、特定の生理系(例えば、血漿中)で判定、測定又は評価される薬剤の濃度である;
max:被験体への投与後に、特定の生理系(通常は血漿中)で判定、測定又は評価される薬剤のピーク濃度である;
max:投与とCmax到達との間の経過時間である;
曲線下面積(AUC0→∞;ゼロ~無限大)、これは通常、単回投与後、又は定常状態での時間の関数としての濃度曲線の積分である;
min:次の投与前の生体における薬剤の最低濃度である;
min:Cminが検出されるまで、又は次の用量が投与されるまでに経過した時間である;
last:最終的に観察された定量可能な濃度である;
λz、終末期速度定数である;
排出半減期(t1/2):薬剤濃度が任意に選択した数値の2分に1に達するまでに必要な時間である;
排出速度定数(kE):生体から薬剤が除去される速度である;
投与速度(kin):排出の均衡を保つために必要な投与速度である;
クリアランス:単位時間当たりの薬剤から排出された血漿の量である;
生物学的利用能:薬剤における全身利用可能な割合である;
変動:定常状態での1種の用量又は1種の投薬間隔の範囲内でのピーク・トラフ変動である。
類似した個々の被験体(生物学的意味合いはヒト群と同様)の集団(被験体)の構成員においてPKプロファイルを評価するためのツールとして、その集団の中の小集団においてPKプロファイルに相関することが見出されたPK可変要素は、集団全体を含む個体各々のPKプロファイルを一般化する(外挿する)ために使用してもよい。
本明細書で使用される用語「薬物動態学的可変要素」は、薬学的活性薬剤、又は被験体に薬学的活性薬剤を送達する方法に必ずしも依存していない被験体の特性を指し、被験体における活性薬剤の薬物動態学的及び薬力学的プロファイルに影響する要素と関連する情報を提供する。
薬物動態学的可変要素には通常、体重、身長、肥満度指数(BMI)、ウエスト・ヒップ比、除脂肪体重(LBM)、年齢及び性別、人種、背景疾患、患者歴(例えば当該薬剤又は他の薬剤への過去の曝露)ならびに併用薬物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当然のことながら、PK可変要素は、個々の被験体各々の遺伝的及び後成的組成に依存するため、個々の各個体におけるPK/PDプロファイルをある精度まで予測するために使用することが可能である。しかし、薬学的活性薬剤の投与に基づく治療の個人化/個別化は通常、個々の被験体の用量及びレジメンを決定するために使用する個人のPK/PD効果/パラメータデータの取得に基づく。一般的に、広範な母集団で設定した平均パラメータからの個別パラメータの偏差は著しく小さい。
本開示のいくつかの実施形態の文脈において、用語「治療」は:所与の用量での薬剤の単回肺投与;同一もしくは異なる用量で、同一もしくは異なる投与間隔(レジメン)で与えた薬剤の定着及び限定した一連の肺投与;限定した一連の投与であるが治療の計画的終了がない(連続的治療)長期治療;及び/又はこれらの任意の組み合わせのうちいずれか1つを指す。通常、所定の間隔で与える一連の所定用量は、本明細書では治療レジメン又はレジメンと称される。
本明細書で提示された方法のいくつかの実施形態によれば、薬剤の肺送達には、単回吸入セッションにおいてMDI装置によって放出される1種の所定気化量として送達される単回用量、又は数回の併用吸入として患者に投与され得る用量が含まれる。あるいは、各々が1種以上の所定気化量で投与され、所定の時間間隔で投与される一連の用量は本明細書ではレジメンと称される。従って、レジメンは、所定の時間間隔で1種以上の所定の気化量で投与される1種以上の用量によって定められ、ここでは所定気化量、用量及び時間間隔の各々は、同一であることも異なることも可能である。
本開示の実施形態の文脈において、所与の薬学的活性薬剤のPKプロファイルは薬剤を患者に投与することを可能にする用量及び/又はレジメンの結果であるか、あるいはいくつかの実施形態によれば、PKプロファイルは、患者における薬剤の特定の事前選択した薬力学的プロファイル、又はそうでなければ望ましい薬力学的プロファイルを提供するための平均値である。
本明細書中で使用されているように、用語「薬力学的プロファイル」は、時間の関数としての、被験体における薬学的活性薬剤の効果を指す。従って、用語「薬力学的プロファイル」は、薬学的活性薬剤を投与した際の時間の関数としての生体における全ての生物学的発現及び反応の総和を指す。薬力学的プロファイルは通常、任意の所与の時点での薬物動態学的効果(単数又は複数)、又は任意の所与の期間にわたる患者における薬剤の薬物動態学的プロファイルの直接的又は間接的結果である。
薬力学的プロファイルは時間の関数として直接及び/又は間接的に決定した薬力学的効果(単数又は複数)の変化/変動である。
本明細書では同じ意味で使用される用語「薬力学的パラメータ」、「薬力学的効果」は被験体及び薬学的活性薬剤に関連する効果の群を指し、これらは被験体に薬剤を投与する際に被験体に現れる。通常、薬力学的パラメータは被験体のPK可変要素及び被験体のPK効果に依存する。
限定するものではないが、薬力学的パラメータは通常、治療(望ましい)効果(例えば、個人が知覚した治療効果)、有害(望ましくない)効果(例えば、個人が知覚した有害効果)により、(治療効果及び/又は有害効果を示す)バイオマーカーのレベルを決定することにより、これらの用語が下記に説明されているように、決定することが可能である。本開示のいくつかの実施形態に従った事前選択した(望ましい)薬力学的プロファイルとなり得る薬力学的プロファイルは、用語として本明細書に定義されているように、所与の被験体における所与の薬剤の治療ウインドウにより定める。
薬力学的(PD)プロファイルは典型的には、無応答から始まり、望ましい治療効果の開始(治療効果閾値未満)を経て、治療ウインドウを通過し、有害効果の開始(有害効果の閾値を超える)を経て、毒性効果に至るまでのスケールに関する時間依存的評価及び/又は測定である。
本開示のいくつかの実施形態によれば、肺送達及び/又はPK/PD試験(任意の薬物動態学的及び/又は薬力学的パラメータの測定)は必要に応じて、以下から成る群から選択される少なくとも1種の追加の生理学的パラメータをモニタリングしながら行う:
心拍数、酸素化レベル(SpO2)、血圧、呼吸数及び体温から成る群から選択されるバイタルサイン;
努力呼気肺活量(FEV1)、最大呼気中間流量(MMEF)、一酸化炭素肺拡散能(DLCO)、努力肺活量(FVC)、全肺気量(TLC)及び残気量(RV)から成る群から選択される肺機能;
ヘモグロビンレベル、ヘマトクリット比、赤血球数、白血球数、白血球分画及び血小板数から成る群から選択される血液学的マーカー;
プロトロンビン時間(PT)、プロトロンビン比(PR)及び国際標準化比(INR)から成る群から選択される凝固パラメータ;
クレアチニンクリアランス(CCr)、血中尿素窒素レベル(BUN)及び糸球体濾過率(GFR)から成る群から選択される腎機能マーカー;ならびに
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベル、血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)レベル、アルカリホスファターゼレベル及びガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)レベルから成る群から選択される肝機能マーカー。
従って、1人以上の被験体について行われたこのようなPK/PD試験の結果は、肺送達するように構成されたMDI装置によって投与されると特定の患者において薬剤の初期事前選択薬物動態学的プロファイル及び/又は初期事前選択薬力学的プロファイルを示す少なくとも1種の薬理学的活性薬剤の初期所定気化量を決定するために利用することが可能であり、更に当該結果は、初期所定気化量を送達して類似の一貫した初期結果を達成するために、類似のMDI装置を較正及び事前設定するために利用することが可能である。
年齢や体重等の1種以上の特定の基準及び可変要素を必要に応じて考慮すると、1人の被験体において所与の活性薬剤が誘導するPD効果によって別の被験体における薬剤のPD効果を推測することができる近似値に基づいて、PD効果及びプロファイルはまた、この用語がPK効果の文脈上で本明細書において上述されているように、集団に関する統計データに基づいて決定又は推定することが可能である。
本明細書に示されるように、所定気化量として少なくとも1種の活性薬剤を気化させて送達する際の吸入装置に精度及び一貫性があると、その装置を使用して1人以上の被験体においてPK/PD試験を行うことが可能になる。このような試験はPK/PD効果を正確に一貫して記録することが可能であることに基づいている。
従って、植物性素材中に存在する少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達することによって誘導した少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果を記録する方法が提供され;当該方法は;
植物性素材を制御可能に加熱した際に所定気化量の薬剤を気化させるように構成された定量吸入装置から、被験体に所定気化量の薬剤を肺送達すること;
必要に応じて、被験体において肺送達の前、送達中及び/又は送達後に所定の時間間隔で少なくとも1種の薬物動態学的効果を決定すること;
被験体において肺送達の前、送達中及び/又は送達後に所定の時間間隔で少なくとも1種の薬力学的効果を決定すること;によって実行し;
薬力学的効果は望ましい効果、望ましくない効果、治療効果、有害効果及びバイオマーカーのレベルから成る群から選択される。
個人化:
先に述べたように、いくつかのPK/PD試験又はその一部は、平均又は標準化用量及び/又はレジメンデータを生成する集団パラメータ及びコホートに基づいており、一方、実際にはPK/PDプロファイルは患者間で多様であり、また個々の一患者の中でさえ、現時点の生理学的状態、精神状態、医学的状態及び環境状態に応じて多様である。従って、所与の時間での特定の個体、及び個々の理由によっては、所定気化量の薬剤(事前設定した用量及び/又はレジメン)は不十分であると見なす場合もある。従って、本明細書に提示した方法のいずれかにおいて所与の個体に最適化した治療を提供するため、個々の患者について薬物動態学的及び/又は薬力学的パラメータ及び/又は可変要素の各々を更に決定してもよく、それにより所定気化量が患者に対して個別に誘導される。
本開示のいくつかの実施形態によれば、患者は患者の個人的/個別のパラメータ及び可変要素に基づいて決定していない初期の所定気化量を使用して肺送達を開始してもよいが、当該方法には、患者の個人的パラメータ及び可変要素が所定気化量の決定において考慮される選択的工程も含まれることに留意されたい。従って、本開示の実施形態のいずれかのいくつかの実施形態によれば、当該方法には事前選択したPK/PDプロファイルを提供する所定気化量の個人化が含まれてもよい。以下に提示した個人化工程はMDI装置の事前較正と置き換えることが可能であり;あるいはMDI装置の較正後の補完的な工程として行うことも可能である。
従って、薬物動態学的効果(単数又は複数)及び/又は薬物動態学的可変要素(単数又は複数)及び/又は薬力学的効果(単数又は複数)は個々の患者について別々に決定し、それにより所定気化量がその患者について個人的に決定される。本明細書では、個人の薬物動態学的パラメータは、患者の薬剤濃度を(例えば血液試料及び/又は他の手段を用いて)モニタリングして患者においてPK試験を行うことによって、又はその患者の個人的PK可変要素及びPK/PDプロファイルに影響を与える可能性のある他の個人的可変要素に基づいて計算を適用することによって、個人の薬物動態学的パラメータが直接得られることに留意されたい。
あるいは、本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、初期の所定気化量の薬剤の肺送達が事前選択した(望ましい)薬力学的及び/又は薬物動態学的プロファイルを示すか否かを判定するために、当該方法には、個々の被験体において少なくとも1種の個人薬力学的効果及び/又は薬物動態学的効果を収集し、観察し、又はモニタリングし、決定する工程;
所定気化量の薬剤の肺送達が事前選択/所定薬力学的及び/又は薬物動態学的プロファイルを示さなければ、事前選択した薬力学的及び/又は薬物動態学的プロファイルを示す薬剤の調整気化量を決定する工程;
装置を調整し、再設定し、再較正し、又は再構成して調整気化量を送達する工程、が含まれ、それによって、MDI装置を再構成する際、調整気化量がその時点では所定気化量となる。
本開示のいくつかの実施形態によれば、肺送達及び/又はPK/PD試験の個人化は、本明細書に記載されているように、少なくとも1種の追加の生理学的パラメータをモニタリングしながら任意に行ってもよい。必要に応じて、被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果のモニタリングは、肺送達前、送達中及び/又は送達後の所定の時間間隔で実施する。
いくつかの実施形態によれば、薬物動態学的効果及び/又は薬力学的効果のモニタリングは、これらの用語が後述されているとおり、本明細書で提示された吸入装置に関連付けられるコントローラと通信する少なくとも1つのセンサから、被験体においてこれらの効果を示すデータを受信することによって実行する。
個人の薬力学的パラメータは個人が知覚した治療効果、個人が知覚した有害効果、ならびに個々の患者において取得及び/又は測定したバイオマーカー(のレベル又は存在)となり得ることに留意されたい。いくつかの実施形態によれば、個人が知覚した治療効果、個人が知覚した有害効果及び/又はバイオマーカーの取得/判定は患者によって自発的に、又は自動手段によって無意識に行ってもよい。当該方法は、そのいくつかの実施形態によれば、その後、個人の薬力学的パラメータに基づいて薬剤の調整気化量を決定し、調整気化量を送達するように装置を構成することによって実行し;それによって調整気化量は所定気化量となる。言い換えれば、調整気化量は、集団PK可変要素を使用して一般集団について決定した所定気化量の投与後に個々の患者で得られた個人の薬力学的パラメータに基づく個人化された所定気化量である。あるいは、予測される応答はユーザの個人識別情報を確認するためのパラメータとして使用可能である。例えば、ユーザは、投与前及び/又は投与後の所与の時間にタスクを実行するように指示され、その測定値は、場合によっては同様の状況下の同一のユーザについて記録された比較可能な期待値と比較する。
個人が知覚した効果:
「個人が知覚した効果」は、患者の身体において与えられた薬剤又は治療の効果に関連する患者の主観的評価である。個人が知覚した効果には、個人が知覚した治療効果又は個人が知覚した有害効果のうち1種以上が挙げられる。
精神作用性効果は場合により、患者が知覚できる症状に相当する。精神作用性効果が患者に正確に知覚されない場合もあることに留意されたい。精神作用性症状の例には、偏執症、不安、パニック発作、多幸感、擬似幻覚、鎮静、意識的知覚変化、快活、メタ認知及び内省、促進された回想(エピソード記憶)、記憶喪失、官能的な変化、感覚の意識変化及び性欲変化、めまい、運動失調、多幸感、知覚の変化、時間的歪み、通常の感覚体験の激化、短期記憶、注意力、反応の障害、熟練活動、発話流暢性、依存症、憂鬱及び抑鬱が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
身体的効果は患者が知覚できるか、又は患者が評価できる症状に相当する場合もある。身体的症状の例には、疼痛、片頭痛、悪心、口渇ならびに手足の冷感及び熱感、心拍数増加、脳血流増加(例えば片頭痛症状、「頭部圧力」)、気管支拡張(咳及び呼吸困難)、血管拡張(例えば、震え、皮膚発赤、紅潮)、目の充血及び瞳孔拡張、口渇、のどの渇き、飢餓又は食物渇望が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
望ましい効果‐治療効果:
「個人が知覚した治療効果」は、患者の身体において与えられた薬剤の有益な(望ましい)効果に関連する患者の主観的評価である。いくつかの実施形態では、望ましい効果には症状の緩和及び/又は医学的状態の原因の軽減が挙げられる。例えば、望ましい治療効果が疼痛の軽減と定義する場合、患者は疼痛スケール評価プロトコルによって疼痛レベルを報告してもよい。疼痛スケールプロトコルは患者の疼痛強度及び/又は他の特徴を測定する。本開示の実施形態の文脈では、疼痛スケールプロトコルは患者が提供する自己報告(主観的)、観察的及び/又は行動的データに基づき、一方、生理学的データはバイオマーカーの定義、すなわち客観的データに該当する。概して、患者による個人的知覚(主観的)評価は全て、治療の自己タイトレーション及び個人化のためのフィードバックとして使用可能である。
個人が知覚した治療効果は患者が治療されている医学的状態の症状に直接的又は間接的に関連するか、又はそれに相当する場合もある。場合によって、患者は症状の知覚レベルが変化したことを知覚することもあり、医学的状態の症状が軽減すると(症状レベルの低下)、その患者はこの変化を、治療中に送達された薬剤の治療効果と考える。従って、実施形態によれば、個人が知覚した治療効果は、限定するものではないが、疼痛、片頭痛、抑鬱、認知機能欠陥、注意欠陥、多動、不安障害、下痢、悪心、嘔吐、不眠、せん妄、食欲変化、性機能不全、痙縮、眼内圧上昇、膀胱機能不全、チック、トゥーレット症状、心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状、炎症性腸疾患(IBD)症状、過敏性腸症候群(IBS)症状、過度の緊張、出血症状、敗血症及び心原性ショック、薬物依存及び切望、禁断症状、振戦ならびに他の運動障害症状などの症状のレベル低下に相当する。
いくつかの実施形態では、個人が知覚した治療効果には、患者が治療を受けている医学的状態の症状に直接的又は間接的に関連していないか、又はそれに相当していないにも関わらず患者が経験するそのような症状に有益である効果が含まれる場合もある。例えば、症状が不快感(例えば、疼痛又は悪心)の形態を含むときに、患者は、不快感があまり目立たないか、又はより耐容可能になり得る精神活性状態から利益を得る可能がある。そのような望ましい効果の一例としては、疼痛時に一時的に中程度の知覚麻痺が生じることが挙げられる。いくつかの実施形態では、その程度及び/又はそのタイミング及び/又は他の状況に応じて、同じ効果が治療的になる場合も有害になる場合もある。
望ましくない効果‐有害効果:
「個人が知覚した有害効果」は、患者に送達される薬学的活性薬剤の薬物動態学的パラメータによって直接的又は間接的に引き起こされるため、治療される医学的状態に必ずしも関連しない望ましくない症状の出現及び/又はレベル上昇が伴う。
いくつかの実施形態によれば、個人が知覚した望ましくない効果は、精神的効果、精神作用性効果及び/又は身体的効果となる可能性もあり、ここでは精神的及び/又は精神作用性効果は主に知覚、意識、認知及び行動効果を包含するCNS活性に関連しており、身体的効果は他のすべての身体系に関連し、胃腸作用、神経筋作用、心血管作用、痙攣作用、内分泌作用等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
個人が知覚した有害効果は、患者の身体にいて投与した薬剤の有害効果に関連する患者の主観的評価である。概して、個人が知覚した(主観的)有害効果の患者による評価は全て、治療の個人化及び自己タイトレーションのためのフィードバックとして使用可能である。
バイオマーカー:
効果の知覚は効果の主観的評価であり、通常は定量が複雑ではあるが、バイオマーカーはより客観的であり、通常は効果の測定可能な定量的評価である。従って、本明細書で使用する用語「バイオマーカー」は、所与の時点でのPDプロファイルの測定可能な指標であり、通常は治療効果及び/又は有害効果の直接的及び/又は間接的な身体的、生物学的及び/又は化学的発現から構成される。言い換えれば、バイオマーカーは、医学的状態の状況、医学的状態の状況に対する特定の薬剤の効果、又は生体の別の生理状態の指標として使用できる客観的に測定可能な数量であればどのようなものでもよい。治療効果/有害効果のいくつかは定性的にのみ評価することが可能であり、一部は、例えば性能試験を適用して障害のある反応を測定することによって間接的に評価できることに留意されたい。
本開示の実施形態の文脈において、バイオマーカーは侵襲的に検出されるバイオマーカーの群及び非侵襲的に検出されるバイオマーカーの群に分けられる。概して、任意の平均的な測定、センサ測定等によって患者において収集されたバイオマーカーデータ(客観的)全ては、治療の個人化及び自己タイトレーションのフィードバックとして使用可能である。いくつかの侵襲的に検出されるバイオマーカーは非侵襲的に検出及び測定することが可能であり、その逆もまたあり得ることに留意されたい。
非侵襲的に検出されるバイオマーカーの例には、心拍数、酸素化レベル(SpO2)、血圧、呼吸数、体温、吸入量、表情、不随意、骨格筋応答(運動失調、震え、筋収縮、痙攣、攣縮等)、随意運動技能、発汗、手と視覚の協調、眼球血管拡張、結膜及び/又は強膜の発赤、眼内圧の変動、洞性頻拍、心臓不整脈、皮膚コンダクタンス/インピーダンスレベル、発作、筋電図検査(EMG)、心電図(ECG)、光電式指尖容積脈波(PPG)、ガルバニック皮膚反応(GSR)、青‐褐色視覚阻害、H‐マスク視覚阻害、聴覚潜在的阻害、視覚潜在的阻害、ストロープカラーワード、単純反応(葛藤タスク)、認知セット切替え、論理的推論、意思決定時間、迅速情報処理、知覚迷路、模擬運転、視覚探索、時間推定、時間知覚、視覚探索、注意探索、記号複写、文字取り消し、アルファベット削除、D2取り消し、ブリッケンカンプD2、数字複写テスト(DDCT)、記号数字置換(SDST)、数字記号置換テスト(DSST)、数字警戒、警戒、聴覚警戒テスト、ウェスネス/ウォーバートン警戒タスク、迅速情報処理、CRT+追跡分割注意、選択注意、集中注意タスク、感情的注意タスク、聴覚粗動融合、閃光融合、臨界フリッカー融合(CFF)、注意継続、対連合学習、ワードリスト学習、15ワードテスト、導入調整、遅延ワード想起、遅延ワード認識、遅延絵柄認識、ワード提示、ワード認識、数値作業記憶、数値記憶、記憶走査、聴覚ブラウン/ピーターソン、視覚ブラウン/ピーターソン、視覚空間記憶、断片絵柄テスト、パウリテスト、ブロックスパン、数字スパン、数字スパン(前方)、数字スパン(後方)、WAIS語彙、WAIS類似性、ワード流暢性、言語流暢性、パフォーマンス時間(遅延ワード認識)、パフォーマンス時間(数値作業記憶)、パフォーマンス時間(数字警戒)、パフォーマンス時間(迅速情報処理)、パフォーマンス時間(遅延絵柄認識)、パフォーマンス時間(視覚情報処理)、簡易反応時間CRT、複合RTビジュアル、視覚選択RT、VRT、視覚応答速度、ART、聴覚RT、ワイヤー迷路トレーシング、アルキメデスらせん、危機追跡タスク、軌跡作成、追跡複合、追跡ウィーナー装置、閉合の柔軟性、WAISブロック計画、WAIS絵柄比較、数字複写、操作運動、微細運動、筆跡分析、タッピング、手腕の側部到達整合、視覚的な腕の無作為到達、運動制御及び整合、運動挙動ならびにEEGが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
大麻由来の薬学的活性薬剤の文脈では、非侵襲的に検出されるバイオマーカーの包括的記述には、限定するものではないが非特許文献4が挙げられ、その全体が本明細書に完全に示されている程度に、参照によって本明細書に援用される。
本開示のいくつかの実施形態の文脈において、初期較正中に所定気化量を規定するために、及び/又は治療に使用する装置の自己タイトレーションもしくは個人化中にその量を調整するためにPD効果のモニタリングを行う目的で、個人が知覚した望ましい/治療効果及び/又は個人が知覚した望ましくない/有害効果の評価、観察又は記録は、非侵襲的バイオマーカーが患者又は医師に利用できない場合にいつでも利用可能である。あるいは、ユーザ又は医師は、何らかの理由で非侵襲的バイオマーカーを使用しないことを選択してもよい。必要に応じて、侵襲的バイオマーカー測定装置は、特に患者の体内又は体表上に既に設置されている場合、患者において当該薬剤が誘導する少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果の量をモニタリングするために使用してもよい。いくつかの実施形態では、知覚効果、非侵襲的バイオマーカー及び侵襲的バイオマーカーのうち少なくとも2つを使用し、ユーザにおいて1種以上の薬学的活性薬剤が誘導する同一又は異なるPD効果を測定及び/又は推定する。PD効果をモニタリングするためのセンサは、オフライン又は実時間で薬剤の所定気化量を決定及び/又は調整するための手動及び/又は自動フィードバックプロセスの一部として使用してもよい点に留意されたい。
本明細書で使用されているように、用語「実時間」は1つのイベント又は一連のイベントに対する参照(記録、検出、測定、報告、描写、反応等)を指し、参照は当該イベント(単数又は複数)と基本的に同時及び/又は同速度で行うことである。「基本的に同時及び/又は同頻度で」とは、単一のイベントとその対応する参照の時間的な開きが、応答時間でゼロ~30分(0~30分)、0~20分、0~10分、0~5分、0~1分、0~45秒、0~30秒、0~20秒、0~10秒、0~5秒、0~1秒、0~750ミリ秒、0~500ミリ秒、0~250ミリ秒、0~100ミリ秒、0~50ミリ秒、0~10ミリ秒又は0~1ミリ秒の範囲であることを意味する。
必要に応じて、「実時間」は1つのイベント又は一連のイベントに対する参照(記録、検出、測定、報告、描写、反応等)を指し、参照は基本的に、活性薬剤の投与から、投与薬剤が被験体に誘導する少なくとも1種の薬力学的効果の消失までの間に行うことである。いくつかの実施形態では、「実時間」は1つのイベント又は一連のイベントに対する参照を指し、この参照は活性薬剤の投与から、投与薬剤が被験体に誘導する少なくとも1種の薬力学的効果の消失までの間に行うように計画した2つの薬物送達吸入イベントの間に行う。必要に応じて、「実時間」イベント又は一連のイベントには、早期の薬物送達吸入イベントの1種以上の効果(単数又は複数)を示すデータに従って、後期の薬物送達吸入イベントのタイミング及び/又は量を調整する工程が含まれる。いくつかの実施形態では、そのような消失とは、効果が、場合によっては所与のセンサ及び/又はユーザによる知覚での検出を下回る程度に達したことを意味する。
本発明の実施形態の文脈において、用語「実時間測定」は、センサと通信する被験体において起こるイベントに応答してセンサで行われる参照を指す。いくつかの実施形態では、実時間測定は、被験体と通信する指定されたセンサによる薬力学的効果の連続的、散発的、規則的又は系統的なモニタリング、報告、記録、分析、処理、提示、表示及び送信である。
自己申告した症状のレベルなど、いくつかのPD効果は基本的に主観的であるが、疼痛レベルの変化がPD効果であると考えられている疼痛スケールの場合のように、客観性を付与するように、あるいは少なくとも被験体集団全体にわたって一般化し得る比較スケールを提供するように、いくつかのPD効果の判定は標準化されている。
疼痛スケールプロトコルは様々な形で入手され、新生児、幼児、小児、青少年、成人、高齢者、及びコミュニケーションに障害のある人に利用可能である。疼痛スケールプロトコルの例には、オルダー・ヘイ(Alder Hey)トリアージ疼痛スコア、行動疼痛スケール(BPS)、簡易疼痛調査票(BPI)、非言語疼痛指標のチェックリスト(CNPI)、救命救急疼痛観察ツール(CPOT)、慰安スケール、ダラス(Dallas)疼痛質問票、記述式識別スケール(DDS)、痛覚計疼痛指数(DPI)、エドモントン症状評価システム、フェイス疼痛スケール改良型(FPS‐R)、フェイス・脚・活動性・泣き声・機嫌スケール、ルケーン痛覚機能(Lequesne algofunctional)指数、マギル(McGill)疼痛質問票(MPQ)、頸部疼痛及び障害スケール(NPAD)、数値11ポイントボックス(Numerical 11 point box)(BS‐11)、数値レーティングスケール(NRS‐11)、オスウェストリー(Oswestry)障害指数(ODI)、緩和ケア成果スケール(PCOS)、ローランド・モリス・バック(Roland-Morris Back)疼痛障害質問票(RMDQ)、サポートチーム評価スケジュール(STAS)、ウォン・ベーカー(Wong-Baker)フェイス・ペインレーティングスケール、ヴィジュアルアナログスケール(VAS)、疾患特異性疼痛スケール(DSPI)、小児疼痛質問票(PPQ)、未熟児疼痛プロファイル(PIPP)、シュミット・スティング(Schmidt Sting)疼痛指数、スタール・スティング(Starr Sting)疼痛スケール、疼痛自己効力感質問票(PSEQ)、患者特異的機能スケール(PSFS)、コロラド行動数値疼痛スケール(鎮静患者の場合)、AUSCAN:疾患特異的であり変形性手関節炎の結果の評価、WOMAC:疾患特異的であり変形性膝関節炎の結果の評価、国際変形性関節症研究学会‐関節リウマチ臨床試験の結果測定(Osteoarthritis Research Society International-Outcome Measures in Rheumatoid Arthritis Clinical Trials)(OARSI‐OMERACT)イニシアチブ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
非限定的な例として、数値レーティングスケール(NRS‐11)は、10歳以上の成人及び小児の疼痛について患者が自己申告するための11ポイントのスケールであり、これは、数値で表す疼痛レベルを提供するものである:0は疼痛なし;1~3は軽度の疼痛(不安、苛立ち、ADLに多少支障がある);4~6は中等度の疼痛(日常生活活動又はADLに著しく支障がある);7~10は重度の疼痛(身体障害;ADL不能)。
別の非限定的な例では、ヴィジュアルアナログ的(analogue)スケール又はヴィジュアルアナログ(analog)スケール(VAS)は質問票又は対話型患者インターフェースで使用できる心理測定応答スケールであり;そのスケールは機械的、化学的又は物理的に測定することができない主観的特性又は姿勢に関する測定器である。VASの質問に回答する場合、回答者は2つのエンドポイント間の連続線に沿ったある位置を示すことによって、記述に対する自らの一致レベルを指定する。スケールのこの連続的(又は「アナログ的」)側面は、スケールをリッカート(Likert)スケールなどの不連続スケールとは異なるものにしている。ヴィジュアルアナログ的スケールが不連続スケールよりも優れた計測特性を持つことを示す証拠があることから、より広範な統計的方法を測定に適用することが可能である。VASはリッカートスケールやボルグ(Borg)スケールなどの他の直線型スケールと比較して関連付けることが可能であるが、結果の感度と再現性は非常に似通っている。しかしVASは他のスケールよりも実用的かつ有用な場合もある。
疼痛を客観的に測定することを可能にし、かつ上述のバイオマーカーのいくつかを組み合わせる技術は例えば、特許文献12及び特許文献13に提供されており、これらは本明細書に完全に示されている程度に、参照によって本明細書に援用される。この技術は、反応性が良好で、覚醒、半覚醒しているか、又は鎮静されている被験体において疼痛分類及びモニタリングするために設計している。
疼痛レベルの評価のための自動表情認識システム[非特許文献5;非特許文献6]及び疼痛や他のバイオマーカーの評価のための超小型コードレスEMG測定システム[非特許文献7]などの他の非侵襲的バイオマーカーレベル判定技術は、以下に示すように、インターフェース及びシステムを介して本明細書に提示された方法に統合することが可能である。
侵襲的に検出されるバイオマーカーには、皮膚貫入など患者の体内に配置するセンサを必要とする指標、又は指標を定量化するために患者の体内から採取する試料を必要とする指標が挙げられる。例えば、任意の指標又は因子(バイオマーカー)の濃度を測定するための、針の使用又は皮膚穿刺を介した患者静脈からの血液抽出は侵襲的測定と見なされ、従ってこれらのバイオマーカーは侵襲的に検出されたバイオマーカーと見なされる。
自己タイトレーション:
患者が何らかの理由で、事前設定した用量及び/又はレジメンが不十分であると感じる場合、薬剤の所定気化量(事前設定した用量及び/又はレジメン)がその患者に個別に誘導されているか否かに関わらず、その患者は、現時点の生理学的状態、精神状態に従って、又は他の何らかの理由で、薬剤の所定気化量(用量及び/又はレジメン)を再調整したいと思ってもよい。この選択肢は薬剤の自己タイトレーションであり、薬剤の所定気化量を決定するための手動フィードバックプロセスの一部であると考えられている。
従って、PDプロファイルが再選択を必要とする場合、MDI装置からの活性薬剤の肺送達には更に、患者が所定気化量を自己タイトレーションすることを可能にする工程、又は医師が必要に応じて薬剤の所定気化量を変更して再調整することを可能にする工程が含まれる。
本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、薬学的活性薬剤の肺送達には更に、調整気化量の薬剤を送達するように装置を構成する工程が含まれるが、調整気化量は、患者において薬剤の再選択された薬力学的プロファイルが示されるように選択し、それによって構成時に、調整気化量は所定気化量となり、再選択した薬力学的プロファイルは事前選択した薬力学的プロファイルと見なされる。
いくつかの実施形態では、再調整は、患者におけるPK及び/又はPD効果を再決定することなく実行する。
自動フィードバック:
いくつかの実施形態によれば、薬剤の所定気化量(薬剤の用量及びレジメン)の調整又は再調整には、個人の薬力学的パラメータデータに基づく自動フィードバックプロセスが含まれる。
個人の薬力学的パラメータデータには、少なくとも1種の個人が知覚した治療効果及び少なくとも1種の個人が知覚した有害効果が場合により含まれ;更に少なくとも1種のバイオマーカーレベルデータが含まれてもよい。
先に述べたように、自動的に得られるバイオマーカーレベルは侵襲的検出バイオマーカーでも非侵襲的検出バイオマーカーでもよい。本開示の実施形態によれば、自動的に得られるバイオマーカーレベルは、非侵襲的検出バイオマーカーのレベルである。
従って、本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態では、当該方法には更に:
本明細書で個人の薬力学的フィードバックデータ又は情報と集合的に称する知覚した治療効果及び/又は知覚した有害効果及び/又は少なくとも1種のバイオマーカーのレベルの形態で患者において少なくとも1種の個人薬力学的パラメータを自動的に測定、取得又は決定する工程;
自動的に取得した個人の薬力学的フィードバックデータに基づいて薬剤の調整気化量を自動的に再決定するか、又は一般的に、取得した個人の薬力学的フィードバックデータに従って用量及びレジメンを調整する工程;
調整気化量を送達し、それゆえ患者において事前選択又は再選択したPK及び/又はPDプロファイルが示されるように装置を自動的に構成する工程が含まれ;
それによって、その特定の個人では、調整気化量が薬学的活性薬剤の所定気化量になり、再選択したPK及び/又はPDプロファイルが事前選択したPK及び/又はPDプロファイルになる。
本明細書では、任意のPD効果の自動決定、又は薬学的活性薬剤の気化量の自動決定は本開示のいずれかの実施形態において完全に又は部分的に適用可能であり、これらにはMDI装置の初期較正、個人化プロセス中の装置の再構成、及び/又は自己タイトレーションプロセスが含まれることに留意されたい。
共投与(同時投与):
本明細書では、本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該方法及び/又は装置は複数の薬理学的活性薬剤の患者への肺送達に適しており、当該装置は各薬剤の所定気化量を別々に、制御可能に、正確で再現可能に送達するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、治療的(望ましい;ポジティブな;必要とされる)効果及び有害な(望ましくない;ネガティブな;必要としない)効果との間で望ましい均衡を達成するため、複数の活性薬剤の共投与を実施する。そのような均衡は、例えば、直接的治療効果をいくらか示すか又は全く示さずに他の共投与された活性薬剤に起因する有害効果は低下させるという能力を1種の活性薬剤が有する場合に、達成可能となる。別の例では、異なる活性薬剤は、類似し累積している望ましい効果、及び異なっており累積していない望ましくない効果を誘導する;その場合、このような2つの薬剤を共投与すると、個々に投与されたそれぞれの2倍の用量と比較して、望ましい効果は累積して(例えば2倍で)誘導され、望ましくない効果は実質的に低く(例えば単一で)誘導されることが可能になる。必要に応じて、第2薬剤は、第1薬剤の有害効果の性質を低減及び/又は変化させる効果を有する。そのような場合、第1薬剤の量(及び望ましい効果自体)を増加させて、その望ましくない効果を増加させることなく、場合により減少させることも可能である。このアプローチによって、有害効果を低レベルに維持しながら、治療において望ましい効果を達成するための高用量が可能となる。
いくつかの実施形態によれば、これら2種以上の薬剤は同一物質又は複数の物質中に含有させることが可能である。いくつかの実施形態では、薬剤の少なくとも1種は少なくとも1種の植物性素材中に存在する。従って、いくつかの実施形態によれば、本明細書中に提示された装置及び方法は、少なくとも2種の薬理学的活性薬剤の各々を所定気化量で別々に送達するように構成され、当該装置内で加熱する物質はこれらの薬理学的活性薬剤の2種又は全てを含む。あるいは当該装置が薬理学的活性薬剤を含む複数の物質を収容する。
いくつかの実施形態では、少なくとも第1薬理学的活性薬剤及び第2薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達する方法が提供され、当該薬剤の少なくとも1種は少なくとも1種の植物性素材中に存在し;当該方法は、植物性素材を制御可能に加熱した際に、少なくとも第1所定気化量の第1薬剤及び少なくとも第2所定気化量の第2薬剤を気化するように構成された定量吸入装置を用いて被験体に薬剤を別々に送達することによって実行し、第1所定気化量が第2所的気化量と連続的に、同時に、及び/又は少なくとも部分的に重複させて送達されるように加熱を行い、被験体において各所定気化量の薬剤各々は、少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果を別々に誘導する。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも第1薬理学的活性薬剤及び第2薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達する方法が提供され、これら活性薬剤のうち少なくとも1つは少なくとも1種の植物性素材中に存在し;当該方法は:
少なくとも1種の植物性素材を制御可能に加熱した際に少なくとも第1所定気化量の第1薬剤及び少なくとも第2所定気化量の第2薬剤を気化するように構成された定量吸入装置を用いて被験体に薬剤を別々に送達することによって実施され、
当該方法では、第1所定気化量を第2所定気化量と連続的に、同時に、及び/又は少なくとも部分的に重複させて被験体に送達するように加熱を行い、各所定気化量の当該薬剤の各々は被験体において少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果を別々に誘導する。
被験体(患者)への複数の活性薬剤の肺送達は一般的に当技術分野では共投与として知られている。本明細書中で使用される用語「共投与」は被験体への複数の活性薬剤の同時投与を指すが、本明細書で提示された実施形態の文脈では、用語「同時」とは、共投与した活性薬剤が、類似した時間、同一時間、又は部分的に重複している時間に被験体内に存在し(PK)、あるいは効果を誘導する(PD)ことを意味する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の薬剤(第1)の送達、および少なくとも1種の他の薬剤(第2)の送達間の時間間隔は0分~30分の範囲である。
複数の活性薬剤の同時投与の文脈では、用語「実質的に同時」及び「間断ない(矢継ぎ早)」は、本明細書で使用する用語「同時」及び「部分的に重複する」に対応し、すなわち第1薬剤の吸入と第2薬剤の吸入との間の時間が単回吸入とみなすに十分な短さであることを意味する。必要に応じて、5~30分以内に多数回の吸入が行われる。必要に応じて、このような「間断ない」各吸入では異なる量又は組成の1種以上の薬学的活性薬剤をユーザに送達する。必要に応じて、2回以上の吸入で、同一の組成及び量の1種以上の薬学的活性薬剤を提供する。いくつかの実施形態では、第2薬剤の吸入は、以前に吸入された第1活性薬剤が被験体において依然として少なくとも1種のPD効果を誘発するようなタイミングで行う。いくつかの実施形態では、複数の活性薬剤の間断ない送達によって同時投与することは、吸入された薬剤が単回吸入で吸入された場合と基本的に同じ効果を示すことを意味する。
いくつかの実施形態によれば、第1薬剤の送達と第2薬剤の送達との間の時間間隔は0分~30分の範囲である。
いくつかの実施形態によれば、これらの薬剤の各々は所定の気化量で送達することが可能である。従って、本明細書に提示された装置及び方法は、複数の所定気化量を送達することが可能であり、またそのように設計されており、ここではこれらの気化量は同一であっても異なっていてもよい。
いくつかの実施形態によれば、これら薬剤の各々は所定の時間間隔で送達することが可能である。そのように、本明細書に提示された装置及び方法は、複数の所定気化量を所定時間間隔で送達することが可能であり、またそのように設計されており、ここではこれらの時間間隔は同一であっても異なっていてもよい。
いくつかの実施形態によれば、本明細書に提示された装置及び方法は、複数の所定気化量の薬理学的活性薬剤の各々を送達することが可能であり、またそのように設計されており、ここでは所定気化量及び所定時間間隔はそれぞれ同一であっても、互いに異なっていてもよい。
いくつかの実施形態では、同時投与は個々の薬剤が誘導する1種以上のPD効果間の相互依存性に基づいており、すなわち、1種の薬剤のPD効果は他の薬剤が誘導するPD効果のレベルに影響する。例えば、いくつかの実施形態では、第1薬剤の所定気化量は第2薬剤が誘導する薬力学的効果のレベルに影響する。必要に応じて、所定気化量の第1薬剤は第2薬剤が誘導する望ましい効果のレベルを高める(増強)。必要に応じて、所定の気化量の第1薬剤は第2薬剤が誘導する望ましくない効果のレベルを低下させる。場合により、第1薬剤及び第2薬剤は相乗的に望ましい効果を誘導する。
いくつかの実施形態では、上記で提示された複数の活性薬剤を肺送達する方法には更に:
被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果を示すデータに基づいて所定の薬物動態学的効果及び/又は所定の薬力学的効果を達成するように、第1所定気化量及び第2所定気化量の少なくとも1つを調整する工程が含まれる。
いくつかの実施形態では、当該方法には更に、第1薬剤及び第2薬剤の少なくとも1つが被験体に誘導する少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果をモニタリングすることによって指標データを作成する工程が含まれる。
非限定的な例として、THCとCBDとの同時投与は、本明細書で提供された装置及び方法を用いて実施することが可能である。この例では、疼痛管理レジメンは5mgの所定気化量の用量でTHCを1日6回吸入して実行する。これは、炎症を治療するために300mgのCBDの1日3回の吸入と組み合わせる。2種の薬理学的活性薬剤を同時又は連続的に、すなわち6~9回の吸入セッションで投与してもよい。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも第1薬理学的活性薬剤及び第2薬理学的活性薬剤を気化する方法が提供され、これら薬剤のうち少なくとも1つは少なくとも1種の植物性素材に存在し、患者への肺送達に好適であり、当該方法は、少なくとも第1の所定気化量の第1薬剤及び少なくとも第2の所定気化量の第2薬剤を気化させるように構成された定量吸入装置を用いて実施し、当該薬剤の被験体への肺送達の際は、第1の所定気化量が第2の所定気化量と連続的に、同時に、及び/又は少なくとも部分的に重複して被験体に送達されるように加熱を行い、当該薬剤の被験体への肺送達の際は、各所定気化量の薬剤の各々は、被験体において少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果を別々に誘導する。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも第1薬理学的活性薬剤及び第2薬理学的活性薬剤を気化させる定量吸入装置の使用が提供され、これら薬剤のうち少なくとも1つは少なくとも1種の植物性素材に存在し、患者への肺送達に好適であり、当該装置は、植物性素材を制御可能に加熱した際に少なくとも第1の所定気化量の第1薬剤及び少なくとも第2の所定気化量の第2薬剤を気化するように構成され、当該薬剤の被験体への肺送達の際は、第1の所定気化量が第2の所定気化量と連続的に、同時に、及び/又は少なくとも部分的に重複して被験体に送達されるように加熱を行い、当該薬剤の被験体への肺送達の際は、各所定気化量の薬剤の各々は、被験体において少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果を別々に誘導する。
治療方法
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、揮発性の薬学的活性薬剤の肺送達によって治療可能な医学的状態に罹患している患者を治療する方法が提供される。本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態に従った方法は、当該薬剤を含む固形物質を制御可能に加熱した際に少なくとも1種の所定気化量の薬剤を放出するように構成された定量吸入装置から薬剤を患者に肺送達することによって実施する。いくつかの実施形態によれば、薬剤の所定気化量は、患者において薬剤の少なくとも1種の事前選択した薬物動態学的プロファイル及び/又は少なくとも1種の事前選択した薬力学プロファイルを示すように選択する。
揮発性の薬学的活性薬剤の肺送達によって治療可能な非限定的で代表的な医学的状態としては、神経障害性疼痛、幻肢痛、侵害受容性疼痛、心障害性疼痛(精神痛又は身体表現性疼痛)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、クローン病、多発性硬化症(MS)、熱性けいれんプラス全身性てんかん(GEFS+)、痙縮、ドラベ症候群、発作、てんかん、精神障害、不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不眠、せん妄、眼内圧上昇、膀胱機能不全、チック、トゥーレット症状、欲求多様性、性機能不全、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、過度の緊張、敗血症及び心原性ショック、薬物依存及び薬物に対する切望、振戦ならびに他の運動障害が挙げられる。
本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該方法は、当該薬剤の所定気化量からの薬剤の実際の気化量の偏差が所定気化量の20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下となるように所定気化量を放出するように構成されたMDI装置を用いて実施する。
本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該方法は、事前選択した薬物動態学的プロファイルからの実際の薬物動態学的プロファイルの偏差が事前選択した薬物動態学的プロファイルの40%以下となるように実施する。あるいは、当該偏差は35%以下、30%以下、25%以下、又は20%以下である。偏差は薬物動態学的プロファイル、又は例えばCtもしくはCmaxなどのプロファイルを含む1種以上の薬力学的パラメータに含まれ得ることに留意されたい。そのような偏差は、正確で一貫性のある精密なMDI装置を使用したときに得られるPK効果の相互変動が低いために低いと予想される。
本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該方法は、所与の時点における知覚したPDプロファイルと事前に選択したPDプロファイルとの間の偏差が25%以下、20%以下、15%以下、10%以下又は5%以下になるように実施する。所与の時点における知覚したPDプロファイルと事前に選択したPDプロファイルとの間の偏差は、先に述べたようにPD効果を決定することによって評価可能となる。当該偏差は、先に述べたPK効果の相互変動が低いために低いと予想される。
当該装置は、患者において事前選択したPD効果又は所定のPD効果が現れるように任意の正確な量を一貫して送達するように構成することが可能であることから、本明細書に提示された装置及び方法によって事前選択したPDプロファイル又は所定のPDプロファイルが実施可能になり、当該プロファイルは以下のようにきめ細かく制御することが可能である:
望ましい効果の最小レベルよりも低いレベルの範囲内(例えば、治療ウインドウを下回る;図8参照、下側の水平破線よりも下の領域);
上記望ましい効果の最小レベルから上記望ましい効果の最大レベルの範囲内であり、望ましくない効果が耐容可能及び/又は許容可能であり、すなわち実質的に低いか、現れていないか、又は知覚されていない範囲(例えば、治療ウインドウ内;図8参照、上下の水平破線の間の領域);ならびに
望ましくない効果の最小レベルよりも高いレベルの範囲内(例えば、治療ウインドウを上回る;図8参照、下側の水平破線よりも上の領域)。
いくつかの実施形態では、有害効果の最小レベルは、有害効果が検出又は知覚されない治療効果の最大レベルに相当する。
いくつかの実施形態では、有害効果の最小レベルよりも高い薬力学的プロファイルのレベルは、有害効果の高めのレベルが有害効果の許容レベルとなっているレベルである。個人の治療的及び法的要素のいずれか1要素が、例えば、個人的嗜好、習慣及び持久力、薬学的及び専門的な安全配慮ならびに法的及び社会的配慮など、有害効果のレベルの許容性を決定する可能性がある。
いくつかの実施形態では、「最小レベルの治療効果」は、最小限の検出可能な治療効果を意味する。場合により、そのような最小レベルは少なくとも、1種以上の物質の所与の用量及び/又はレジメンで個人を治療することに妥当性を持たせるには十分である。このような妥当化は、例えば有害効果のタイプ及び重症度、ならびに治療が患者の健康に最小レベルで及ぼし得る効果に基づいている場合もある。場合により、最小の治療効果は、治療される個人が知覚する最小の効果を意味する。場合により、治療ウインドウを下回るPK/PD効果を目的とした用量及び/又はレジメンを投与する場合の妥当性は、予防的治療を達成し、もしくは急性疼痛(突出痛)の結果を軽減し、及び/又は治療への耐性の出現を防止することであると考えられる。
上述したように、本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、事前に選択したPDプロファイルは患者における薬剤の治療ウインドウに相当し、すなわち、治療効果の最小レベルから有害効果が許容可能な治療効果の最大レベルまでの範囲内にあるということである。
任意の事前選択したPDプロファイルにおいて、当該方法及び装置は、高精度及び再現性を提供し;従って、本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、所与の時点での、事前選択した薬力学的プロファイルからの知覚した薬力学的プロファイルの偏差は、事前選択したPDプロファイルよりも25%以下、20%以下、10%以下、もしくは5%以下下回り、及び/又は上記の事前選択したPDプロファイルよりも25%以下、20%以下、10%以下、もしくは5%以下上回る。
揮発性の薬学的活性薬剤を肺送達することによって耐容可能になる医学的状態の非限定的例としては、大麻から気化したTHCによって治療できる疼痛が挙げられる。
定量吸入(MDI)装置:
本開示のいくつかの実施形態の別の態様によれば、所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を患者へ肺送達するために構成された定量吸入(MDI)装置が提供され、ここでは:
装置は、上記薬剤を含む固形物質を制御可能に加熱した際に上記所定気化量の上記薬剤を送達するように構成され;
所定気化量は、患者において薬剤の事前選択した薬物動態学的プロファイル及び/又は事前選択した薬力学的プロファイルを提供するように選択し;また
所定気化量は、患者においてMDI装置から薬剤を肺送達することによって誘導した少なくとも1種の薬物動態学的パラメータ及び/又は少なくとも1種の薬力学的パラメータを測定することによって導出する(PK/PD試験)。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、定量吸入器を制御する方法が提供され、当該方法は:
植物性素材中に存在する少なくとも1種の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を気化させるように植物性素材を加熱すること;及び
被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種の薬力学的効果を示すデータに基づいて所定気化量を制御することによって実行する。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、植物性素材中に存在する少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するためのMDI操作方法が提供され;当該方法は:
被験体において薬剤が誘導する、少なくとも1種の所定薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の所定薬力学的効果を達成するように、薬剤の少なくとも1種の所定気化量を選択すること;ならびに
植物性素材を制御可能に加熱するために定量吸入装置を使用して少なくとも1種の所定気化量の薬剤を気化させることによって実行する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、MDI装置は更に、患者インターフェース回路と通信するように構成され、以下に詳細に説明するように、患者及び/又は医師によるPK/PDデータ取得及び入力、患者記録の保存、自動又は手動較正、調整、装置の初期事前設定の再設定及び再決定が可能になるように設計されたシステムに統合されている。
上記で述べられ、下記実施例の項で提示されたPK/PD試験で実証されているように、研究のコホート間のPK/PDの相互変動は著しく低く、本開示の実施形態に従った正確で一貫性のあるMDI装置の使用によって可能になった。
本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、本明細書に提示された方法及び装置はまた、高い正確性、一貫性、精度及び再現性が特長であり、これらは患者によって吸入された薬剤の実際の気化量と薬剤の所定気化量との間の偏差が最小であることによって発現する。
本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、加熱によって少なくとも1種類の物質から少なくとも1種の活性的な薬学的活性薬剤を制御しながら気化するためのMDI装置は:
少なくとも1種の活性的な薬学的活性薬剤を含む物質を収容する少なくとも1つのカートリッジ(本明細書では「用量ユニット」とも称される);
当該物質を加熱し、薬学的活性薬剤を気化させるように適合した加熱要素;ならびに
加熱要素に電力供給するためにコントローラに対してカートリッジを移動させるのに適合した機構を備える。
本発明の一実施形態では、当該装置は更に、テープ、DAISY又はマガジンに配置された複数のカートリッジとして構成された物質を収容し、当該物質は活性的な薬学的活性薬剤を含む。必要に応じて、活性的な薬学的活性薬剤は制限された薬学的活性薬剤である。必要に応じて、又は更に、活性的な薬学的活性薬剤は:テトラヒドロカンナビノール(THC)、サルビノリンA、ベンゾイルメチルエクゴニン、ジメチルトリプタミン、サイロシビンから成る群から選択される。必要に応じて、又は更に、当該物質は、テープ、DAISY又はマガジン内にある各カートリッジの単位面積当たりの所定の量の活性的な薬学的活性薬剤で構成される。必要に応じて、又は更に、カートリッジの厚さは約0.2mm~約2.0mmの範囲である。必要に応じて、又は更に、テープ、DAISY又はマガジンは当該物質を約5グラム~約100グラム収容する。必要に応じて、又は更に、テープ、DAISY又はマガジンは、少なくとも2回の治療で十分な量の活性的な薬学的活性薬剤を収容する。必要に応じて、又は更に、カートリッジは物質に接触する第1材料層を備え、当該第1層はガスを逃がすために十分に大きく、加熱物質の残留物を保持するために十分に小さい穴を備える。必要に応じて、又は更に、穴の直径は25μm~500μmの範囲である。必要に応じて、又は更に、カートリッジは物質に接続する第2材料層を備え、当該第2層は第2層全体に大幅に熱を送らずに物質に熱を伝導するように構成する。必要に応じて、又は更に、加熱要素及び物質は第1及び第2層の間に保持する。
本発明の一実施形態では、装置は吸入ユニットを更に備え、当該吸入ユニットは薬学的活性薬剤を吸入するためのマウスピースを備え、当該マウスピースは装置の蒸気チャンバと流体連通し、当該蒸気チャンバは気化した活性的な薬学的活性薬剤を含む。
必要に応じて、マウスピースは蒸気チャンバから出た流体の流量を制御する一方向弁を備える。必要に応じて、又はその上、当該装置は更にマウスピースと流体連通するセンサを備え、当該センサは空気流速を推定してコントローラに信号を送るように適合し、当該コントローラは空気流速に従って薬学的活性薬剤を気化するように適合する。
本発明の一実施形態では、装置は更に、加熱とカートリッジの動作及び/又は吸入による空気流速とを同期させるように構成されたコントローラを備える。
本発明の一実施形態では、装置は更に、加熱要素の起動を制御するための回路(コントローラ)を備える。
本発明の一実施形態では、装置は更に、1つ以上の外部コンピュータ及び/もしくはシステムならびに/又は患者/医師インターフェースと通信するための通信インターフェースを備える。
本発明の一実施形態では、装置は更に、薬学的活性薬剤の気化を視覚的に出力するための用量表示計を備える。
本発明の一実施形態では、装置はポータブル型であり、重量は300グラム以下である。
本発明の一実施形態では、装置は更に、処方データ及び使用データの少なくとも1つを保持するように構成されたメモリを備え、当該メモリはコントローラに接続し、当該コントローラは用量及び/又はレジメンデータに従って加熱要素及び機構の少なくとも1つを制御するように適合している。
本発明の一実施形態では、装置は更に、関連する患者による装置利用を追跡できるように適合した固有のIDを有する。
本発明の一実施形態では、装置は更に、装置の物理的破損を検出するように適合したセンサを備える。
物質から活性的な薬学的活性薬剤を制御しながら気化させる方法が本発明の一実施形態に従って提供され、当該物質はカートリッジとして構成され、当該方法には;
所定量の活性的な薬学的活性薬剤を気化させるためにカートリッジの領域を加熱する工程;及びカートリッジを熱源に対して移動する工程が含まれる。
あるいは、加熱要素はカートリッジ内に備えられ、カートリッジは加熱要素に電力供給するために電気接点に対して移動する。
本発明の一実施形態では、当該方法には更に、送達プロファイルに従って活性的な薬学的活性薬剤を気化させるための移動のタイミング及び速度の少なくとも1つを調整する工程が含まれる。必要に応じて、当該物質は巨視的な植物構造を含む。
本発明の一実施形態では、気化には肺送達中の気化も含まれる。
本発明の一実施形態では、加熱には開始信号から500ミリ秒未満で目標温度に到達させる加熱が含まれる。
加熱によって少なくとも1種類の物質から少なくとも1種の活性的な薬学的活性薬剤を制御しながら気化させる方法が本発明の一実施形態に従って提供され、当該方法には:
1つのユーザトリガーと共に1つ以上のカートリッジとして構築した物質の複数の領域を加熱し、少なくとも1種の活性的な薬学的活性薬剤を放出させる工程が含まれる。
必要に応じて、上記領域は異なる複数の活性的な薬学的活性薬剤を含む。
活性的な薬学的活性薬剤を含む物質のカートリッジを製造する方法が本発明の一実施形態に従って提供され、当該カートリッジは薬学的活性薬剤を気化させるために自動的に局部加熱するための装置と共に使用するように適合され、当該方法には:
活性的な薬学的活性薬剤を大幅に物理的に損傷させることなく物質を粉砕する工程;
小粒子を単離するために粉砕物質を篩い分ける工程;
小粒子である活性的な薬学的活性薬剤の濃度を測定する工程;及び
小粒子をカートリッジに押し込む工程が含まれる。
本発明の一実施形態では、異なるサイズの粒子を単離するために篩い分けを複数回行う。
本発明の一実施形態では、粒子のサイズは約100μm~約700μmの範囲である。
本発明の一実施形態では、小粒子のサイズよりも小さいサイズの穴を有する材料に対して押圧を実施する。
本発明の一実施形態では、当該方法には更に、活性的な薬学的活性薬剤の濃度をカートリッジに記入する工程が含まれる。
活性的な薬学的活性薬剤を含む物質を収容する治療薬物送達のためのカートリッジが本発明の一実施形態に従って提供され、上記物質は上記テープ(カートリッジ)の単位面積当たりの所定量の活性的な薬学的活性薬剤と共に構築し、加熱要素はカートリッジ内に備えられる。
本発明の一実施形態では、複数のカートリッジはテープロール、DAISY又はマガジンとして構築する。
例証的な用途:
本開示のいくつかの実施形態及び態様によれば、本明細書中に提示された各々の任意の方法、装置、インターフェース、システム又はサブシステムは、固体物質から気化可能な薬理学的活性薬剤により治療可能な医学的状態を治療するために使用することが可能である。本開示のいくつかの実施形態では、当該物質は植物性素材である。
本開示の文脈で使用可能な数種の植物には、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、カンナビス・ルデラリス、アカシア属、ベニテングダケ、ヤヘー、ベラドンナ、ビンロウ、ブルグマンシア属、ニオイバンマツリ、ハイクサネム、バニステリオプシス・カーピ、トリコケレウス属、カカオ、トウガラシ属、ケストルム属、コカノキ、コリウス、ダンチク、コーヒーノキ、チョウセンアサガオ属、デスフォンタイニア属、ディプロプテリス・カブレラナ、シナマオウ、バッカクキン、ガラナ、オオバアサガオ、ヒヨス、イボガ、ラゴキルス・イネブリアンス、ジャスティシア・ペクトラリ、セレチウム・トルツオスム、カワカワ、アラビアチャノキ、アヘンボク、カエンキセワタ、スイレン属、ハス属、テキサスマウンテンローレル、黎豆、マンドラゴラ、ミモザ・テヌイフローラ、キバナハマヒルガオ、シビレタケ属、ワライタケ、ニクズク、タービナ・コリボサ、チャボトケイソウ、ウバタマ、クサヨシ属、ピチュリ、罌粟(ケシ)、サイコトリア・ビリディス種、サルビア・ディビノラム、サケーナー、トリコケレウス・パチャノイ、シニクイチ、スリーピーグラス、ソランドラ属、セイヨウオトギリソウ、ハルマラ、サンユウカ属、チャノキ、ニコチアナ・タバカム、ルスティクム、ビロラ・セイドラ、ボアカンガ・アフリカーナ、ワイルドレタス、ニガヨモギ、マテ、アナデナンテラ種、ヨヒンベ、カレア、コーヒーノキ属(アカネ科)、ムクロジ科、ツバキ属、アオイ科、モチノキ科、フーディア属、ジャーマンカモミール、パッシフローラ・インカルナテ、チャノキ、ペパーミント、スペアミント、ヨーロッパキイチゴ、ユーカリノキ、ラベンダー、タチジャコウソウ、レモンバーム、これらの任意の一部及び任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本開示の実施形態の文脈で、少なくとも1種の薬学的活性薬剤を気化させるために有益に使用できる他の植物及び植物性素材には、アロエベラ、アンジェリカ、アニス、アヤフアスカ(バニステリオプシス・カーピ)、メギ、ブラックニガハッカ、ブルーロータス、ゴボウ、カモミール、キャラウェイ、キャッツクロー、クローブ、コンフリー、トウモロコシの毛、シバムギ、ダミアナ、ダミアナ、タンポポ、エフェドラ、ユーカリプタス、月見草、フェンネル、ナツシロギク、アメリカヒトツバタゴ、ニンニク、ショウガ、イチョウ、高麗人参、アキノキリンソウ、ヒドラスチス、壷草、緑茶、ガラナ、サンザシ、ホップ、トクサ、ヒソップ、コーラナッツ、クラトン、ラベンダー、レモンバーム、甘草、ライオンテール(野生ダガ)、マカ球根、ウスベニタチアオイ、シモツケソウ、オオアザミ、メハジキ、パッションフラワー、トケイソウ、ペパーミント、アザミゲシ、スベリヒユ、ラズベリー葉、コクリコ、セージ、ノコギリヤシ、マルバキンゴジカ、シニクイチ(マヤ・サンオープナー)、スペアミント、ショウブ、シリアンルー(ペガヌム・ハルマラ)、タイム、ターメリック、カノコソウ、野生ヤマノイモ、ニガヨモギ、ノコギリソウ、マテ、ヨヒンベ、ならびにこれらの任意の一部及び任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、活性薬剤はテルペノイド、アルカロイド又はカンナビノイドである。例えば、いくつかの実施形態では、活性薬剤はサルビア由来のサルビノリンAなどのジテルペノイドである。他の実施形態では、活性薬剤は、限定するものではないが、コカ植物由来のベンゾイルメチルエクゴニンなどのアルカロイドであり、又は活性薬剤はマッシュルーム由来のプシロシビン(サイロシビン)などのトリプタミンである。代替的な実施形態では、活性物質は多様な植物由来のジメチルトリプタミン(DMT)である。更なる実施形態では、活性物質はタバコ由来のニコチンである。更なる実施形態では、活性物質は様々な植物形態で存在するテルペノイド、例えば、リモネン、α‐ピネン、β‐ミルセン、リナロール、β‐カリオフィレン、カリオフィレン、ネロリドール又はフィトールである。
いくつかの実施形態によれば、植物性素材は、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ及びカンナビス・ルデラリスから成る群から選択され、またいくつかの実施形態によれば、植物はカンナビス・サティバである。
大麻は、ヒト及び他の動物の細胞に見られるカンナビノイド受容体に作用する多様な化合物のクラスを構成する揮発性カンナビノイドの天然原料である。エンドカンナビノイド(動物で生成される)、フィトカンナビノイド(大麻及び他の数種の植物に見られる)及び合成カンナビノイド(化学的に製造される)などのカンナビノイドは、天然受容体タンパク質に結合し、脳における神経伝達物質の放出を抑制することが知られている。大麻の主な精神活性性化合物はフィトカンナビノイドΔ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)である。
カンナビジオール(CBD)は植物の別の主要構成成分であり、植物樹脂エキス中で最大40%を占める。大麻から単離されるカンナビノイドは少なくとも85種あり、多様な効果を示し、これにはカンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビトリオール(CBT)、カンナビディバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及び他の多岐にわたる種類が挙げられる。
テトラヒドロカンナビノール(デルタ‐9‐テトラヒドロカンナビノール;Δ9‐THC;THC)は大麻植物の主要な精神活性成分である。Δ9‐THC及びΔ8‐THCは哺乳動物において自然に生成される神経伝達物質であるアナンダミドの作用を模倣する。これら2種のTHCは、脳内のCB1及びCB2カンナビノイド受容体に結合することによって大麻に関連する精神活性効果を生み;CB1及びCB2受容体に対してほぼ等しい親和性を示すことが報告されている。THCは中等度の疼痛を緩和し(鎮痛)、神経保護性であることが分かっているが、研究からTHCは神経炎症を軽減し、神経形成を刺激することも示されている。
カンナビジオール(CBD)は精神活性的ではないと考えられ、THCの精神活性に影響しないと考えられていた。しかし、高いCBD/THC比の大麻の喫煙者は統合失調症様症状を経験する可能性が低いことを示す根拠が近年報告されている。これは、静脈内THCをCBDと共に同時投与すると参加者が強い精神病のような影響をあまり受けなくなるという心理テストによって裏付けされる。
カンナビジオールは、THCと比較してCB1及びCB2受容体に対して異なる親和性を有するが(CBDのCB2受容体に対する親和性は、CB1受容体に対する親和性よりももっと強い)、カンナビノイドアゴニストの間接的アンタゴニストとして作用する。カンナビジオールは、尾状核及び果核に発現するGPCRである推定上の新規なカンナビノイド受容体GPR55においてアンタゴニストになることが近年見出された。カンナビジオールはまた、5‐HT1A受容体アゴニストとして作用することが示されており、この作用は抗鬱効果、抗不安効果及び神経保護効果に関与している。CBDはまた、引き付け、炎症、不安及び悪心を緩和することが報告されている。
CBDは哺乳動物におけるTHCに関連する短期記憶喪失の予防において役割を担うことが知られている。CBDは統合失調症の治療における治療薬となることが示唆されている。研究者らは、特に攻撃的なトリプルネガティブ乳癌などの乳癌及び他のタイプの癌の転移の原因となる遺伝子であるID1の活性を「停止させる」CBDの能力を発見した。
従って、本開示のいくつかの実施形態によれば、薬理学的活性薬剤は、Δ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビディバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びカンナビトリオール(CBT)から成る群から選択されるカンナビノイドであり、またいくつかの実施形態によれば、薬理学的活性薬剤はΔ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)から成る群から選択される。
上述のように、喫煙による大麻由来カンナビノイドの肺送達は、大麻を処方された患者の大部分が利用する最も普及している投与経路である。大麻又はその抽出物の送達の実質的に下部経口様式及び/又は下部口腔粘膜経路は、経口投与でのカンナビノイドの吸収が緩徐で不規則であることに部分的に起因し、それにより鎮痛開始が遅れ、しばしば鎮痛の程度が不十分になる。しかし、喫煙はカンナビノイド送達の迅速かつ効率的な方法であり、約7分後には最初の効果が現れ始めることが明らかになっているが、テトラヒドロカンナビノール(THC)の生物学的利用能は不均一で、その範囲は2~56%であり、これは主に吸入の深さの変動、吸煙持続時間、息止め時間、及びTHC用量の約30%が喫煙中の熱分解によって破壊されるという仮定に起因している。
上述のように、有害な熱分解副産物に起因する喫煙関連疾患のリスクを回避しながら吸入によるカンナビノイド投与の効率、精度及び一貫性を改善するために、本開示のいくつかの実施形態は、大麻由来カンナビノイドの肺内投与に最も適していることが示された特許文献1に教示されているような非燃焼かつ無煙MDI装置の利用を基礎としている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺送達方法は、THC、又はより具体的には薬学的活性薬剤としてのΔ9‐THCを利用する。いくつかの実施形態では、THC用量(所定気化量)は約0.1~10mgであり、異なる多様な神経障害性疼痛状態のための有益な鎮痛薬であることが分かっている。このような低いTHC用量は、大麻中で利用可能なΔ9‐THCの総量に応じて5~50mg、6~50mg、7~40mg、8~40mg、8~30mg、9~40mg、9~35mg、10~35mg、11~30mg、12~30mg、12~27mg、又は12~25mgの範囲の量で、天然大麻から正確に一貫して気化させることが可能である。いくつかの好ましい実施形態では、大麻は約20%のΔ9‐THCを含み、各用量で吸入器中に使用する大麻の量は15.0~25.0mgの範囲である。
いくつかの実施形態では、約20%のΔ9‐THCを含む大麻試料中、Δ9‐THCの利用可能総量として単回用量3.08±0.02mgを単回吸入で送達したところ、患者のΔ9‐THCのCmax血漿レベルが38±10ng/mlまで上昇し、疼痛強度が45%低下し、90分以内に元に戻った。
下記の実施例の項で提示するPK/PD試験によって実証されているように、MDIに約15mgの大麻アリコートを装填し、それぞれ約190℃で約3秒未満加熱すると、植物性素材での吸入のための利用可能総量として約52%のΔ9‐THCが生成された。このようなΔ9‐THCの高い収率は、当技術分野で公知の異なるタイプの喫煙手順で測定されたΔ9‐THC収率と比較して顕著である。例えば、喫煙によってもたらされたΔ9‐THCの血漿レベルは大幅に異なり、植物性素材では吸入に利用可能なΔ9‐THC総量のわずか約20~37%と評価され、残りは燃焼(23~30%)及び副流煙(40~50%)を経て失われる。更に、Volcano(登録商標)などの一般的に使用される気化器及び気化技術を適用した場合でさえ、18%のTHCを含む大麻の粗花頂200mgの用量を200℃に加熱したところ、THC送達はわずか22%という結果になった。当技術分野で公知の様々な気化器、MDI装置及び本明細書に記載の方法の間の抽出効率のこの差異は、特に、そのPK/PD較正に必要な精度及び一貫性を可能にするMDIの様々で独自の機械的属性に基づいている。
いくつかの実施形態によれば155~218℃の温度で大麻からカンナビノイドを気化させる工程が含まれる本明細書に提示された方法及び装置の他の有利な特性の中で、多核芳香族炭化水素ならびに一酸化炭素、ベンゼン、トルエン及び粒子状タールレベルが大麻蒸気相において劇的に減少したことが分かった。この知見は、大麻喫煙の際に生成される製品とは鮮明に対照をなしている。燃焼生成物はモニタリングしなかったが、本開示に従って使用したMDI装置からの有害摂取量は、たとえ存在するとしてもごくわずかであると予想される。この予想は以下の観察に基づいている:(1)各用量は少量(約15mg)で高いTHC濃度(約20%)の大麻から構成されていた;(2)灰になる燃焼大麻とは異なり、蒸発後の残留物質の外観は均一な琥珀色になった;(3)上気道の燃えるような感覚は患者から報告されなかった;(4)残留物中、カンナビノール(THC酸化の生成物)の増加は測定されなかった;(5)残留物中、Δ9‐からΔ8‐THCへの変換は検出されなかった。
本発明者らは、精製し、かつそれによって定量したΔ9‐THCを用いて、当技術分野で以前に報告されているものと類似しているΔ9‐THCのPK/PDプロファイルを実証した。以下の実施例の項で実証されるように、本発明者らが採用した吸入方法は、急速吸収が特長的なTHCの肺送達を首尾よく可能にし、次に、経時的血漿濃度の2段階低下:組織へのTHC分布及び大量貯蔵に対応する急速低下段階が続き、その後、脂肪組織から血液への持続的な放出及び排出の段階が続く。
本発明者らは、大麻の様々な送達経路について、本明細書に記載の方法に従って無煙吸入によって得られたΔ9‐THCのピーク血漿濃度(Cmax)を当技術分野で公知のCmaxレベルと比較した。下記の実施例の項で論じるように、本明細書に記載の吸入方法では、使用されるカンナビノイド材料中で利用可能なTHC1mg当たりのCmaxが最大の増加幅を生じることになった‐この平均は、Volcano気化器の6.1~9.0及び通常の喫煙煙草の0.6~4.6と比較して、12.3ng/ml/mgTHCであった。また、本明細書に記載の方法で得たピークTHC濃度の個人間変動は、当技術分野で得られる個体間変動と比較してかなり低く:気化器での47~85%、喫煙煙草での32~115%、経口投与での42~115%及び口腔粘膜送達経路での59~67%に対して25.3%であった。
従って、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の肺送達方法によって、薬学的活性薬剤の量を決定及び制御する際の分析能が高くなる。いくつかの実施形態では、例えばTHCの個々の事前選択した気化量(用量)を、0.1mgずつ増量しながら、0.1~6.0mg、0.3~1.7mg、0.1~2.0mg、0.2~1.9mg、0.2~1.8mg、0.3~1.8mg、0.3~1.6mg、0.4~1.6mg、0.5~2.0mg、0.6~2.0mg又は0.3~0.9mgの範囲で、ならびにこれら範囲の間の任意の部分範囲及び任意の中間値で、(事前に計量した大麻分を加熱することによって)電子的に放出させる。
本明細書で提供された方法の実施形態によれば、予測PK/PDプロトコルは、患者のコホートで各患者についても個別に蓄積された臨床データに基づいて、気化カンナビノイドについて開発され、このプロトコルは上述した個人及び集団パラメータに基づいて投与した用量及びレジメンを説明するものである。これらのプロトコルは、所定用量又は所定レジメンを送達した後に患者のPKプロファイルを正確に模倣し、並行して症状緩和(治療効果)及び精神活性レベル(有害効果)から構成されるPDプロファイルを予測する。一旦、レベル及び有害精神活性レベルがPK及び患者パラメータと相関すると、事前選択した特定の気化量(用量及び/又はレジメン)を自動化することによって、MDI装置が患者において正確に維持できる比較的狭い治療ウインドウが導出される。
患者データを入力することによって、プロトコルは、治療ウインドウ内に特定の期間留まるようにその特定の患者の推奨用量及びレジメンを計算する。
一実施形態では、BMIが22の35歳の男性患者において治療ウインドウ内に3時間留まるように計算された用量及びレジメンは、t=0で1.2mg;t=10分で1.0mg;及びt=60分で0.5mgである(図8参照)。
これらの実施形態によれば、症状を緩和しながらも有害効果を防止するように、当該装置は異なる時間間隔で異なる用量を選択的に投与する。
肺送達のためのシステム:
上述したように、本明細書に提示した方法及び装置は、多様な医学的状態に対する投与及び治療の他の複雑で難しい様式の個人化、自己タイトレーション、機械化及び自動化に非常に適しているが;個人化した治療プロトコルにはいずれも難題があり、天然物質から熱によって気化した活性薬剤の肺送達に基づく治療はこれまで達成されてこなかった課題である。
本明細書に開示されたMDI装置を用いて、一旦、精度、一貫性及び再現性の問題を解決すると;また広く認められているPK/PD実験パラメータに基づいて望ましい治療ウインドウ内に留まるように装置を較正し事前設定する必要性が一旦、生じると、本発明者らは、所与の患者のために実時間で高度に個人化されて効果的な治療を提供するために、多様な情報源から収集した入力情報を用いて装置を制御することが可能な統合システムを着想した。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、システムが提供され、当該システムは:
植物から所定気化量の薬剤を気化させるために植物性素材を制御可能に加熱することによって、植物性素材中に存在する少なくとも1種の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するための定量吸入装置;及び
吸入器装置と関連付けられ、所定気化量を制御するように構成されたコントローラを備える。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、植物性素材中に存在する少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するシステムが提供され、当該システムは:
植物性素材を制御可能に加熱した際に少なくとも1種の所定気化量の薬剤を気化するように構成された定量吸入装置;ならびに
被験体において当該薬剤が誘導する、少なくとも1種の所定薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の所定薬力学的効果を達成するために、薬剤の少なくとも1種の所定気化量を選択するように構成されたコントローラを備える。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも第1薬理学的活性薬剤及び第2薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するためのシステムが提供され、それら薬剤の少なくとも1つは少なくとも1種の植物性素材中に存在し;当該システムは;
少なくとも1種の植物性素材を加熱して少なくとも第1所定気化量の第1薬剤及び少なくとも第2所定気化量の第2薬剤を気化させることによって、別々に薬剤を被験体に送達するように構成された定量吸入装置;ならびに
第2所定気化量と連続的に、同時に、及び/又は少なくとも部分的に重複させて第1所定気化量の加熱を実行するように構成されたコントローラ;を備え、
各所定気化量の薬剤の各々は、被験体において少なくとも1種の薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の薬力学的効果を別々に誘導するように選択する。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、システムが提供され、当該システムは:
植物性素材を制御可能に加熱して植物から所定気化量の薬剤を気化させることによって、植物性素材中の少なくとも1種の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するための定量吸入装置;及び
所定気化量を制御するように構成された吸入装置と関連付けられるコントローラを備え、
当該コントローラは遠隔制御装置から所定気化量に関する操作設定データを受信するように構成されている。いくつかの実施形態では、遠隔制御装置は被験体において薬剤が誘導する少なくとも1種の薬力学的効果を示すデータを受信し、更に所定気化量に関する操作設定データを決定及び送信するように構成されている。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、システムが提供され、当該システムは:
植物性素材を制御可能に加熱して植物から所定気化量の薬剤を気化させることによって、植物性素材中の少なくとも1種の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するための定量吸入装置;及び
吸入装置と関連付けられ、被験体において薬剤が誘導する少なくとも1種の薬力学的効果を示すデータに基づいて所定気化量を制御するように構成されたコントローラを備える。
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも1種の所定量の少なくとも1つの薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するための定量吸入装置を備えるシステムが提供される。当該システムは更に、被験体において薬剤が誘導する少なくとも1種の薬力学的効果、例えば精神活性効果をモニタリングするための少なくとも1つのセンサ;ならびに吸入装置及び上記少なくとも1つのセンサと関連付けられる処理ユニットを備える。いくつかの実施形態では、処理ユニットは、センサから受信したデータに基づいて所定量を決定するように構成されている。決定及び制御される量は単回用量又はレジメンであってもよい。
指標データは、母集団内で薬剤が誘導する、薬力学的効果、ユーザ履歴、嗜好及び習慣、医師の処方等の統計データなどの多様な情報源から取得可能である。いくつかの実施形態では、指標データは、被験体の薬力学的効果をモニタリングするように構成された少なくとも1つのセンサ、及び/又はセンサなどから得られるデータを入力するように構成されたユーザインターフェース装置を介して取得可能である。いくつかの実施形態では、コントローラは、センサ及び/又はユーザインターフェース装置から薬力学的効果に関する指標データを受信するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、コントローラは、センサ及び/又はインターフェース装置と直接及び/又は間接的に通信する。すなわち、コントローラは直接通信を介して指標データ(センサ及び/又はインタフェース装置)の情報源と関連付けることが可能であり、又は遠隔制御装置を介してそれと関連付けることが可能である。
いくつかの実施形態によれば、当該システムは、上述した吸入装置、上述したコントローラ、ならびに上述した少なくとも1つのセンサ及び/又はユーザインターフェースを備え、その各々は、被験体において活性薬剤が誘導する少なくとも1種のPD効果を示すデータをコントローラに提供するように独立して構成されている。
本開示のいくつかの実施形態の一態様によれば、システムが提供され、当該システムは:
植物性素材を制御可能に加熱して植物から所定気化量の薬剤を気化させることによって、植物性素材中に存在する少なくとも1種の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するための定量吸入装置;
被験体において薬剤が誘導する少なくとも1種の薬力学的効果をモニタリングするための少なくとも1種のセンサ、及び/又は被験体において薬剤が誘導する少なくとも1種の薬力学的効果をモニタリングするための少なくとも1つのセンサから得られたデータを入力するためのユーザインターフェース装置;
吸入器装装置及び少なくとも1つのセンサに関連付けられたコントローラを備えるが、これらに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムで使用されるコントローラは、物質(例えば植物性素材)の加熱を制御することによって所定気化量を制御するように構成されている。植物性素材の制御可能な加熱は、例えば、加熱温度、加熱パターン(加熱する植物性素材の一部)、加熱率(植物性素材が加熱される回数)、加熱期間(任意の所与の加熱イベントにおいて植物性素材が加熱される長さ)、及びこれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを制御することによって実施される。
いくつかの実施形態では、コントローラは、吸入装置の空気流を制御することによって、例えば吸入装置のダクト開口部、弁及びシャッタを制御することによって所定の気化量を制御するように構成されている。
いくつかの実施形態では、コントローラは1つ以上の吸入イベントのタイミングを制御することによって所定気化量を制御するように構成されている。例えば、所定気化量は複数回の吸入イベントで送達され、コントローラは指示された時点、指示された時間間隔、及び任意の他のスケジュールで被験体が吸入装置を使用するように少なくとも1種のアラート信号を発信し、被験体への所定気化量の肺送達を完了するように構成されている。
いくつかの実施形態では、吸入装置内の上記加熱パラメータ及び気流パラメータを制御することによって、コントローラを用いて所定気化量を調整し、薬力学的効果に基づく所定薬物動態学的効果及び/又は所定薬力学効果を達成する。いくつかの実施形態では、コントローラは実時間で所定気化量の調整を実行するように構成されている。
一般的に、コントローラは用量及び/又はレジメン、ならびに/あるいは他の用量及びタイミングに関する調整が各々で異なる複数の活性薬剤のレジメンや送達などの、より複雑な治療計画を行うために使用する。いくつかの実施形態では、コントローラは、薬力学的効果に基づいて所定薬物動態学的効果及び/又は所定薬力学効果を達成するためにレジメンを調整するように構成することが可能である。いくつかの実施形態では、コントローラは、少なくとも2種の所定気化量を送達する工程を含む所定レジメンを実行するように構成されている。いくつかの実施形態では、コントローラは、吸入装置の多様な操作設定及び肺送達パラメータを実時間で調整するように構成されている。
いくつかの実施形態によれば、当該システムは更に、コントローラに情報及びデータを入力するために、ならびに/又はコントローラからデータ及び情報を表示、送信、もしくは出力するために使用可能なユーザインターフェース装置を備えるか、あるいはそれと通信してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースは以下の:被験体、医師、メモリユニット及び遠隔装置(サーバ、ディスプレイ、遠隔モニタリングシステム/装置等)の少なくとも1つに情報を提供するための出力装置を備える。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース装置はスマートフォン装置を備える。スマートフォンはタッチスクリーン、マイクロフォン、スピーカ、GPS受信機、加速度計、温度計、光検出器等を備えてもよい。
いくつかの実施形態では、コントローラは、ユーザインターフェース装置を介して受信したデータに基づいて、少なくとも1種の所定薬物動態学的効果及び/又は少なくとも1種の所定薬力学効果の少なくとも1つをモニタリングするように構成されている。そのため、コントローラは実時間で所定気化量を調整するように構成されている。
図9は本発明のいくつかの実施形態に従ったMDI装置(本明細書では「吸入装置」とも称される)、医師インターフェース及び/又は患者インターフェースを備えるシステムの概略図である。
いくつかの実施形態では、MDI装置901は、医師インターフェース903及び/又は患者インターフェース905と通信するように構成されている。いくつかの実施形態では、MDI装置901は、インターフェー903及び/又は905の一方又は両方から入力情報を受信するように構成されている。追加的に、又は代替的に、MDI装置901は、インターフェース903及び/又は907の一方又は両方に出力情報を送信するように構成されている。
いくつかの実施形態では、システム部品間の通信はUSB接続、ケーブル接続、無線接続、ならびに/あるいは任意の好適な有線及び/又は無線通信プロトコルなどの1種以上のデータ転送手段を介して行う。
いくつかの実施形態では、システム部品間の通信は、MDI装置901の通信モジュール907、医師インターフェース903の通信モジュール909、及び/又は患者インターフェース905の通信モジュール911などの1つ以上の通信モジュールを介して行う。
いくつかの実施形態では、MDI装置901は例えば、物質の加熱を活性化してそれによって活性薬剤を気化し、加熱プロファイル及び/又は熱の活性化を制御し、MDI装置のカートリッジ供給機構を制御し、MDI装置901のメモリ919からデータを読み取り、電力使用量及び/又は他の機能を制御するように構成されたコントローラ913を備える。いくつかの実施形態では、コントローラ913はメモリ919と通信する。必要に応じて、メモリ919は、処方データ、個人使用データ、患者の詳細、患者から得た個人のPD効果、用量及び/又はレジメンの部分変更、用量及び/又はレジメンの変更に応じた患者から得たパラメータ、ならびに/あるいは他の数値又は情報を記憶するように構成されている。いくつかの実施形態では、コントローラ913は、メモリ919に記憶された用量及び/又はレジメンデータに従って活性薬剤の肺送達を活性化する。いくつかの実施形態では、メモリ919は、特定の用量及び/又はレジメンに関する、ならびに/あるいは患者における活性薬剤の事前選択した(望ましい)PDプロファイルに関する患者からの使用データ及び/又はフィードバックデータを記憶するように構成されている。
いくつかの実施形態では、例えばコントローラ915、メモリ921及び/又は通信モジュール909のうちの1つ以上を備える医師インターフェース903は、パーソナルコンピュータ(タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等)、スマートフォン、携帯型装置、ウェアラブル装置、リスト装置もしくは一体型アイウェア装置などのモバイル装置、クリニックもしくは病院モニタ、及び/又は任意の他の好適な装置上に構成する。必要に応じて、医師はMDI装置901に遠隔アクセスする手段を備えている。追加的に、又は代替的に、医師はMDI装置901を直接起動する。いくつかの実施形態では、医師は、個々の患者に適した所定気化量(用量及び/又はレジメン)でMDI装置901を事前にプログラムする(事前較正又は事前設定)。いくつかの実施形態では、例えば患者に指示するため、又は事前設定調整を実行するために、医師インターフェース903から患者インターフェース905にデータを送信する。
いくつかの実施形態では、例えば、コントローラ917、メモリ923及び/又は通信モジュール911のうち1つ以上を備える患者インターフェース905は、パーソナルコンピュータ(タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等)、スマートフォンなどのモバイル装置上に、及び/又はMDI装置901自体の上に構成する。
いくつかの実施形態では、患者インターフェース905は入力情報929を受信する。入力情報は、患者、医師インターフェース、データベースサーバ、MDI装置のうち1つ以上から受信してもよい。様々なタイプの入力情報の例としては:医師が定め、医師インターフェースで受信する用量及び/又はレジメン;患者が書き入れる及び/又は患者から取得する患者の現時点での個人PD効果;例えばデータベースサーバ上に及び/又はMDI装置のメモリ上に記録された個人の使用統計値;MDI装置が感知した吸入持続時間及び/又は吸入量の表示;ならびに/あるいは他のタイプの入力情報が挙げられる。
いくつかの実施形態では、患者インターフェース905はディスプレイ927を備える。必要に応じてディスプレイは対話型ディスプレイ、例えばスマートフォン、携帯型装置、ウェアラブル装置、リスト装置又は一体型アイウェア装置のタッチスクリーンである。
場合により、医師へのデータ転送、ユーザ/患者指示などの情報を取得するためのデータベースへのアクセス、及び/又は他の機能などの特定の機能は患者インターフェース905によって可能になるが、一方、それ以外の機能、例えば所定気化量(用量)及び/もしくはレジメン(複数の用量)の部分変更、他の患者のプロトコルの可視化ならびに/又は他の機能は患者インターフェース905では可能にならない。必要に応じて、医師は、個々の患者ごとに患者インターフェースのアクセス定義を設定する。
いくつかの実施形態では、患者インターフェース905及び/又はMDI装置901は肺送達(吸入)が必要になる度に患者に通知するように構成されている。
必要に応じて、通知はメモリに記憶された計画的レジメンに基づいて自動的に提供される。追加的に、又は代替的に、通知は患者が設定する。追加的に、又は代替的に、通知は医師が発行する。
いくつかの実施形態では、1つ以上のシステム部品は、データベースからの入力情報の受信及び/又はデータベースへの情報送信によってデータベースサーバ925と通信する。いくつかの実施形態では、データベースは、例えば患者の病歴、MDI装置901によって送信されたデータ、医師からの入力データ、患者からの入力データ及び/又は他の情報などの患者の個々のデータを含む。必要に応じて、データベースサーバはデータ上での計算を実行するように構成されている。いくつかの実施形態では、データベースサーバ925は、例えば臨床実験結果、他の患者の結果、研究データ及び/又は他のデータの1つ以上を含む集合データを含む。必要に応じて、データベースサーバ925は、様々な患者が使用している複数の治療システムと通信する。患者とMDI装置との間の様々な相互作用から得るデータは、中央データベースに収集され、患者の個々の使用パターンを連続的に学習し、それに応じて用量及び/又はレジメンを推奨する。収集ユーザデータベースを利用することによって、現在及び新規の患者の正確な予測用量及び/又はレジメンの作成が改善され、治療の全体的な治療成功率が改善される。
いくつかの実施形態では、MDI装置901を用いることによって及び/又は患者インターフェース905によって患者から得た個人のフィードバックデータに従って、例えば患者が指示を受けるときに患者がMDI装置を使用しないか、ならびに/あるいは事前設定レジメンと異なるタイミングでMDI装置が使用される状況では、所定気化量(用量及び/又はレジメン)は患者インターフェースのコントローラ917及び/又はMDI装置のコントローラ913によって自動的に改善され、MDI装置の不適切な設定又は誤用を補正する。それに応じて1種以上の行動を取る場合もある。例えば次回の投与の延期、次回の用量(及び/又はその後に続く用量)の増減、及び/又はその他のレジメン変更が挙げられる。
いくつかの実施形態では、MDI装置901を使用する患者は、起こり得る有害効果による患者の日常活動への干渉が最小限になるように自らの用量及び/又はレジメンを計画することを望む場合もある。特定の有害効果は家庭内や特定の時間帯で耐容可能であり、症状軽減との許容可能な相殺事項ではあるが、これらの有害効果は、運転、会議への出席などの活動、及び/又は他の活動に患者が従事する場合には望ましくはない。必要に応じて、患者インターフェース905を使用することによって、ならびに/あるいはMDI装置901を直接起動することによって、患者は患者が計画している活動への干渉が最小限になるように用量及び/又はレジメンを計画する。
追加的に、又は代替的に、MDI装置901及び/又は患者インターフェース905は、例えば患者からの入力情報に基づいて、特定の用量及び/又はレジメンを能動的に課すように構成されている。一例では、患者は患者が計画している毎日の活動及びその活動のタイミングを書き込み、それに応じて用量及び/又はレジメンが自動的に部分変更される。必要に応じて、計画している活動を実行するのに適した状態に患者が置かれることを確実にするため、例えば、運転中に有害効果のレベルが比較的低いか又は知覚されないことを確実なものとするため、用量及び/又はレジメンを自動的に部分変更する。
いくつかの実施形態では、患者は、例えば患者インターフェース905を使用して、自発的に用量及び/又はレジメンを部分変更してもよい。必要に応じて、部分変更の程度は患者が危険にさらされている状態の防止、例えば過剰投与の防止に限定する。
いくつかの実施形態では、特に指示されていなくても患者は簡単にMDI装置901を使用できる。そのような場合、次回の用量及び/又はレジメンはその使用に応じて自動的に部分変更してもよい。必要に応じて、患者は、患者インターフェース905を介して用量及び/又はレジメンの部分変更について通知を受ける。追加的に、又は代替的に、医師は、例えば医師インターフェース903を介してこのような変更について通知を受ける。
図10は、本発明のいくつかの実施形態に従った少なくとも1種の活性薬剤を送達するためのMDI装置を使用して患者にレジメンを処方する方法のフローチャートである。
いくつかの実施形態では、医師は、MDI装置(1001)での1種以上の活性薬剤の肺送達を実行することによって患者を治療することを決定できる。
いくつかの実施形態では、例えばPK可変要素(例えば、年齢、性別、BMI等)、病態生理学的状態、遺伝薬理学的及び/又は薬理ゲノム学的可変要素及び/又は他のパラメータのうち1つ以上などの患者データは例えば医師及び/又は他の医療従事者によってシステム(1003)に書き込まれる。必要に応じて、患者のパラメータ及び個人の可変要素は医師インターフェースを使用して書き込まれる。
いくつかの実施形態では、指示用量及び/又はレジメンを作成する(1005)。必要に応じて、用量及び/又はレジメンは、例えば医師インターフェースのソフトウェアによって自動的に作成する。追加的に、又は代替的に、用量及び/又はレジメンは医師が計画する。いくつかの実施形態では、用量及び/又はレジメンは、データベースからのデータを使用して、又は個人のフィードバックデータに従って、又は例えば索引表に従って、書き込まれた患者データを所定用量及び/又はレジメンに適合させることによって作成する。
いくつかの実施形態では、選択した用量及び/又はレジメンについて患者の予想されるPK/PDプロファイルのシミュレーションを行う(1007)。いくつかの実施形態では、例えば治療効果及び/又は有害効果を含む予測されるPK/PDプロファイルをシミュレーションする。いくつかの実施形態では、薬力学的プロファイル及び/又は薬物動態学的プロファイルと患者の個人データとの間の相関によって治療ウインドウを選択する。必要に応じて、PK/PDプロファイルシミュレーション及び/又は事前選択した治療ウインドウを、例えば医師インターフェースのディスプレイ上で医師にグラフとして表示する。シミュレーションを考慮し、医師は、患者(1009)に良好に適合するように(個人化)用量及び/又はレジメンの部分変更を決定できる。場合により、医師は、用量、投薬様式、レジメン又は総治療時間及び/又は他の治療パラメータの1つ以上などの提案された用量及び/又はレジメンパラメータの変更を決定できる。
場合により、治療には、患者において望ましい治療効果を得るために2種以上の物質を同時に又は連続して投与する工程が含まれる。本開示の実施形態いずれかのいくつかの実施形態によれば、当該システムによって、事前選択したPDプロファイルを示すように任意の割合又は所定気化量で複数の薬学的活性薬剤(1種以上の物質由来)を送達する(例えば、個々の患者を、患者ごとに計算された治療ウインドウ内に維持する)MDIの使用が可能になる。いくつかの実施形態では、症状を緩和しながらも有害効果を防止するために、異なる用量をレジメンに従って選択的に投与する。
いくつかの実施形態では、選択した(そして必要に応じて精密化した)用量及び/又はレジメンを患者に処方する(1011)。
いくつかの実施形態では、経過観察として、患者治療期間(例えば、数時間、1日、1週間、1か月、及び/又はそれらの期間の中間、又はそれらよりも長い期間もしくは短い期間)にわたって、医師は、患者による装置の一般的な使用に関する指標;患者に投与された用量及び/もしくはレジメン、患者が消費した物質、例えば精神活性レベルなどの有害効果の存在に関する1つ以上の患者の個人的PD効果に関する指標;ならびに/又は疼痛レベルなどの症状の程度及び/もしくは1種以上のバイオマーカーレベルに関する指標;ならびに/又は他の指標など、1つ以上の指標を受信する(1013)。必要に応じて、1つ以上の指標が実時間で提供される。追加的に、又は代替的に、薬剤の肺送達の終了時に指標が提供される。追加的に、又は代替的に、医師の要求に応じて指標が提供される。追加的に、又は代替的に、患者はいつ医師に指標を送信するかを決定する。
いくつかの実施形態では、指標は、MDI装置によって、ならびに/あるいは患者インターフェースによって、自動的にならびに/あるいは医師及び/又は患者からの指示に応じて、医師に送信される。必要に応じて、今後の参考のために1つ以上の指標をデータベースに記憶する。
いくつかの実施形態では、提供された指標に基づいて、用量及び/又はレジメンは調整するか、又はその他の方法で部分変更する(1015)。必要に応じて、部分変更は実時間で行う。いくつかの実施形態では、特定の用量及び/又はレジメンは必要に応じて実時間で部分変更する。いくつかの実施形態では、用量及び/又はレジメンは患者ごとに個々に定められたPD効果の上限及び下限を考慮して部分変更する。上限では、用量及び/又はレジメンが、顕著な有害効果が存在する領域の上にあることになる。下限では、用量及び/又はレジメンが、活性薬剤の送達で治療される症状の緩和が不十分である領域の下にあることになる。
図11A、11B、11C及び11Dは、本発明のいくつかの実施形態に従って患者への用量及び/又はレジメンを選択及び処方するための医師インターフェースの概略図(図11A)及びプリントスクリーン(図11B、11C及び11D)である。
図11Aは医師インターフェースの一般的なディスプレイ1107を説明している。いくつかの実施形態では、患者データは、入力1109を介して医師によって書き込まれる。
いくつかの実施形態では、予測及び/又は事前選択した薬物動態学的プロファイル1111ならびに/あるいは予期及び/又は事前選択した薬力学プロファイル1113のグラフ表示が医師に提示される。必要に応じて、1つ以上のプロファイルが、例えば患者が治療される継続時間(例えば1時間単位)などの時系列1115とは別に、又はそれと共に示される。いくつかの実施形態では、治療ウインドウ1117を定義し、上限1119及び下限1121が設定される。
いくつかの実施形態では、用量及び/又はレジメンは予測及び/又は事前選択したPK/PDプロファイルを治療ウインドウ1117の範囲内に収めるように選択する。
いくつかの実施形態では、限界値は例えば図11Aに示すように直線で表される一定値として定義する。あるいは、限界値は可変な数値群を含み、曲線として表してもよい。例えば、下限1121は望ましい治療効果を表し、上限1119は許容可能な有害効果を表し、薬物動態学的プロファイルの高いCmax閾値は、例えば症状緩和を促進するために治療の初期で設定してもよく、またCmax閾値は必要に応じて治療の継続に伴って低下させてもよい。いくつかの実施形態では、用量及び/又はレジメンを選択及び/又は調整し、例えば治療の初期で、患者において活性薬剤の初期蓄積を達成し、次いで患者を定常状態で維持するための継続投与を提供する(維持投与)。一般に、薬剤の初期蓄積は、維持投与で与えられた量と比較して比較的多い薬剤量を基本としている。
いくつかの実施形態では、例えば個々の患者について薬剤の所定気化量(用量及び/又はレジメン)を精密化する場合、医師は限界値1119及び/又は限界値1121の上昇及び/又は下降のうち1つ以上の操作を行い、プロファイル1113及び/又はプロファイル1111のピークを上昇及び/又は下降させ、時間軸に沿って治療期間を延長及び/又は短縮し、ならびに/あるいは他の部分変更を行ってもよい。
なお、明細書では一例としてグラフ表示が示されているが、棒グラフなどの様々なグラフ表示が使用可能であることに留意されたい。いくつかの実施形態では、プロファイル1111及び/又はプロファイル1113は非連続的な方法で、例えば点の集合として提示してもよい。
図11Bは、いくつかの実施形態に従った所定のレジメンに従って送達された所定の気化量を使用した患者の予測される薬物動態学的プロファイルのシミュレーションを示す。医師インターフェース画面のこの例では、医師は患者データ1101(性別、体重、身長、投与された薬物、患者ID及び/又は他のデータなど)を記入し、例えば、経時的に患者において活性薬剤の血漿濃度をシミュレーションしているグラフ1103で示されるような個々の患者の薬物動態学的プロファイルの外挿を取得することも可能である。
同様に、図11Cは個々の患者の予側される薬力学的プロファイルの外挿1105を説明しており、経時的な患者における有害効果レベルを示す。
図11Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った医師インターフェースのプリントスクリーンを示す。シミュレーションした薬物動態学的プロファイルはグラフ1103で表され、シミュレーションした薬力学的プロファイルはグラフ1105で表され、これらは時系列軸1115上に表示され、この例では8時間を表す。患者の薬力学的パラメータスケールは視覚的に複数の区分に分けられ、これら区分は個々の患者1人ごとに定義されるように、例えば「疼痛」状態(治療効果レベルの下)を示し、「最適」状態(治療ウインドウ内)を示し、また例えば「精神活性」状態(有害効果レベルの上)を示し、グラフとしてのシミュレーションPK/PDプロファイルはこれらの区分に関連付けて示されている。このシミュレーションでは、8時に第1投与が提供され、薬力学的及び薬物動態学的パラメータの両方が変化し、「疼痛」区分から「最適」区分に上昇する。11:00に提供した第2投与は患者を「最適」(治療ウインドウ)に維持していることが分かる。
図12は本発明のいくつかの実施形態に従った、患者からフィードバックを取得し、それに応じて用量及び/又はレジメンを部分変更/調整する方法のフローチャートである。
いくつかの実施形態では、患者個人のPD効果が得られる(1201)。
いくつかの実施形態では、PD効果は、精神活性レベルなどの有害効果、疼痛レベルなどの治療効果、及び/又はそれらレベルのいずれかの変化に関連する。PD効果としては、例えば単回用量の送達前、ならびに/あるいは投薬量及び/又はレジメンの送達前に測定したレベルについて評価したレベルの絶対的定量化及び/又はレベルの相対的定量化が挙げられる。PD効果は、単回投与の送達前、送達中、及び/又は送達後に、ならびに/あるいは投薬量及び/又はレジメンの送達前、送達中及び/又は送達後に、ならびに/あるいは治療が患者に提供されている期間全体の前、期間中及び/又は期間後に、得られる場合もある。
いくつかの実施形態では、PD効果は、例えば患者インターフェースを使用して、患者から直接提供される。いくつかの実施形態では、患者はPD効果のレベルの個人的な決定に基づいて、PD効果の視覚的表現を手動で調整することができる。一例では、患者は、例えば携帯電話及び/又は患者インターフェースが構成されている他のパーソナル装置のタッチスクリーン上で、疼痛レベルを表示するグラフ上のバーを上下させてもよい。
いくつかの実施形態では、PD効果のレベルを効果的にまとめられない患者は、例えば本明細書で更に記載されているようなPD効果の現時点のレベルの決定を支援する対話型のツールセットを利用してもよい。
患者が示した意識的かつ個人が知覚されたPD効果に加えて、又はこれに代えて、バイオマーカーなどの個人のPD効果が患者インターフェース及び/又はシステムによって、例えばセンサを使用して得られる。いくつかの実施形態では、患者インターフェースが構成されている携帯電話及び/又はパーソナルコンピュータの1つ以上の標準部品はパラメータを取得するためのセンサとして作用する。患者からPD効果を得るためのセンサとして使用可能ないくつかの部品には以下のものが挙げられる:タッチスクリーンは例えば器用さ、目と手の連携ならびに/又は記憶及び認知状態を評価するために使用し得る;ジャイロスコープ、加速度計、近接センサ及び/又はIRセンサなどの身ぶりセンサは例えば運動技能を評価するために使用し得る;カメラ及び/又は光源は例えば視覚追跡、断続性運動変化、眼血管拡張、瞳孔拡大及び/又は脈動を検出するために使用し得る;RGB照明は例えば環境知覚を評価するために使用し得る;磁力計及び/又はGPSは例えば方位を評価するために使用し得る;スピーカ及び/又はマイクロフォンは例えば聴覚及び/又は発声技術を評価するために使用し得る;温度及び/又は湿度センサは例えば体温を評価するために使用し得る。
いくつかの実施形態では、MDI装置は、個人のフィードバックデータを取得するように構成されている。一例では、MDI装置は、流量センサ及び/又は圧力センサを備える。
必要に応じて、患者の呼吸関連指標は、流量及び/又は圧力センサを使用して得られる。いくつかの実施形態では、センサは吸入量を検出するように適合している。いくつかの実施形態では、吸入量と疼痛レベルなどのPD効果との間に相関が存在する可能性があることから、患者におけるPD効果を判定するために流量及び/又は圧力測定を開始する。
ひとたび1種以上の個人のPD効果が得られると、それに応じて用量及び/又はレジメンを部分変更することも可能である(1203)。いくつかの実施形態では、一方で提供された指標に基づいて患者の状態を改善するか、又は他の方法で変更するために、他方では、症状を緩和させる治療効果の下限と有害効果がまだ相当である有害効果の上限との間の治療ウインドウ内での患者の維持など薬力学的プロファイルを事前選択するために、用量及び/又はレジメンを部分変更する。いくつかの実施形態では、治療効果が最小を下回ったときに患者による入力が用量を増加させ、ならびに/あるいはレジメンの頻度及び/又は量を調整するように、MDI装置を構成することが可能である。必要に応じて、最小の治療効果を超えるレベルが得られるように用量及び/又はレジメンを部分変更する。追加的に、又は代替的に、用量及び/又はレジメンは、有害効果の最大レベルが許容できるのと同じ程度に部分変更する。
図13A、13B、13C、13D及び13Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った、患者インターフェースのプリントスクリーン(図13A、図13C及び図13E)、及び患者個人のPD効果の入力前後での患者の予測される薬力学的及び薬物動態学的プロファイルのグラフ表示である。
図13Bは、特定の患者(患者X、35歳、BMI22)について計算された3時間レジメンの例を示す。計算されたレジメンの一例によれば、患者Xを治療ウインドウ内に3時間維持して図13Bの赤色曲線で表されたPKプロファイルに効果をもたらすために、患者Xは、以下の時間及び用量:00分‐1.2mg;10分‐1.0mg;60分‐0.5mgで、本開示のいくつかの実施形態に従った定量MDI装置を使用して活性薬剤の肺送達に供することが必要となる。青色曲線は、指示された用量で計算されたPDプロファイルの例を表している。図のように、計算されたレジメンは、限界レベル、すなわち有害効果レベルを下回るレベル、及び治療効果レベル、すなわち有害な精神活性効果スケールで2.5~7.5の範囲にある治療ウインドウ1303の範囲内に患者Xを維持する。
図13Cでは、治療中及び/又は治療後に、患者Xは例えば、患者インターフェース画面上で精神活性レベルバー1301を上げることによって、有害効果限界の変更を希望することを指示する。バーを上げることによって、患者は有害な精神活性効果の耐容レベルの引き上げを希望していることを示せる。図13Dに示すように、治療ウインドウはその後、患者の入力に基づいて再定義される‐例えば、ウインドウを精神活性スケールで2.5~5の範囲に狭める。現時点で投与された用量及び/又はレジメンはその後、それに応じて部分変更してもよい。例えば、最初の肺送達から例えば60分目の肺送達のために計画した所定気化量は、患者が経験している有害効果(精神活性効果)のレベルを低下させるために0.5mg~0.3mgに低減する。
いくつかの実施形態では、用量及び/又はレジメンは患者の入力に基づいて自動的に部分変更される。追加的に、又は代替的に、患者入力及び/又はシミュレーションしたプロファイルは、自動的に、及び/又は患者の要求に応じて医師に転送され、医師はレジメンを部分変更する。
治療効果及び/又は有害効果に対する患者の感受性は1人の患者で1日を通じて変化する場合があることに留意されたい。例えば、夜に疼痛感受性が高くなり、朝に認知能力が低下することが実証されており、従って夜に治療効果に対する感受性が低いか、又は朝に有害効果に対する感受性が高い。
有害効果レベルに加えて、又はそれに代えて、患者は自分の治療効果レベル及び/又は他の状態を示すことも可能であり、それに応じて用量及び/又はレジメンが部分変更される。
図13Eは、患者によって移動可能な調整可能スライダ1305を備える患者インターフェースアプリケーションを示す。いくつかの実施形態では、当該アプリケーションは以下の1種以上に基づいて計算された現時点の状態の評価を患者に提示する:所定用量及び/もしくはレジメン、例えばバイオマーカー及び/又は他の直接的及び/もしくは間接的な個人PD効果などの患者から得られる過去の入力情報、個々の患者の治療及び効果履歴、患者の使用記録、患者の医学的状態、収集データベースからの情報、ならびに/あるいは他の情報。
治療中及び/又は治療後に、患者はスライダをドラッグし、自分が知覚したPDプロファイルを反映することもできる。例えば、患者が完全な治療効果を経験する(例えば、患者がもはや疼痛状態にない)場合、患者はスライダを「最適」状態に(例えば、「精神活性」状態に)移動させることもできる。
患者から得られた入力情報を使用することによって、患者インターフェースは次回の用量及び/又はレジメンを自動的に部分変更できる。いくつかの実施形態では、部分変更の指示1307が患者に表示され、例えば次回の用量を増量することを患者に通知する。必要に応じて、アプリケーションは用量及び/又はレジメンを変更するために患者から確認1309を要求するように構成されている。
いくつかの実施形態では、患者からの入力情報及び/又は部分変更した設定は医師インターフェースに自動的に転送される。場合により、医師は新たに定められた用量及び/又はレジメンの設定を手動で変更することを決定してもよい。
図14は、本発明のいくつかの実施形態に従ってパーソナルポータブル装置及び/又はMDI装置を使用して1種以上のバイオマーカーを測定し、それに応じて用量及び/又はレジメンを部分変更する方法のフローチャートである。
いくつかの実施形態では、1種以上のバイオマーカーを測定する(1401)。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、治療対象患者における有害効果の存在及び/又は程度を示す。必要に応じて、個々の患者の治療ウインドウを決定するために、ならびに/あるいは用量及び/又はレジメンを制御して患者を治療ウインドウ内に維持するために、バイオマーカー尺度を使用する。
認知障害及び他の精神活性効果などの有害効果は、様々な遺伝的及び生物学的形質を与えられた患者間で異なる場合がある。従って、いくつかの実施形態では、CNSバイオマーカーなどの個々のバイオマーカーは、例えばシステム内の1つ以上のセンサ、及び/又は、例えば上述されているような携帯電話センサなどの患者インターフェース装置内で構成されている1つ以上のセンサを使用して患者から得る。
非侵襲性のバイオマーカー評価方法には、眼球衝動性運動評価(衝動性運動など)、記憶検査、適応トラッキング、指タッピング評価、重心動揺評価、ヴィジュアルアナログスケール適合及び/又は他の評価方法のうちの1種以上が挙げられる。
いくつかの実施形態では、認知タスクなどの当技術分野で公知の多様な非侵襲的バイオマーカー試験を行う。この試験には、例えば、反応時間、注意力、視空間スパン、名前想起、物語想起、人相想起、名前‐顔関連付け、構築、言語流暢性、物体名付け、潜在記憶、論理的推論及び/又は他の認知タスクが挙げられる。
いくつかの実施形態では、バイオマーカー測定値は医師に伝達される(1403)。必要に応じて、PD効果測定値はMDI装置のメモリ及び/又は患者インターフェースのメモリに記憶する。追加的に、又は代替的に、PD効果測定値はデータベースにアップロードする。必要に応じて、PD効果測定値は、例えば個々の患者の過去のPD効果測定値、他の患者のPD効果測定値、文献からのPD効果測定値等を含むデータベースに記憶されたPD効果測定値と比較する。
いくつかの実施形態では、用量及び/又はレジメンはPD効果測定値に従って部分変更する(1405)。
図15A、15B及び15Cは、本発明のいくつかの実施形態に従って薬剤の気化量(用量及び/又はレジメン)を決定する際に、PD効果データを取得し及び/又は患者を補助するための多様なアプリケーションを搭載する患者インターフェースのプリントスクリーンである。
携帯電話及び/又はタブレットコンピュータなどのパーソナルポータブル装置にインストールすることが可能である例示として本明細書に示されたアプリケーションでは、患者は対話形式で1つ以上のタスクを実行し、これらタスクは、タスクに基づいて評価可能な個人のPD効果に基づき、ゲームウェア等の一部として組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、患者の精神活性レベルなどの有害効果レベルはアプリケーションによって自動的に推定される。追加的に、又は代替的に、アプリケーションは、患者が知覚した治療効果及び/又は有害効果を効果的にまとめる際に患者を支援し、これら効果はその後、入力情報としてシステムに提供できる。
本明細書に示されるタスクには例えば、指でのターゲットの追跡(図15A)、ターゲットの視覚的追跡(図15B)、ターゲットの整置(図15C)が挙げられる。
他のアプリケーションには、例えば上述されているような、模擬運転、カード並べ替え、算術スキルテスト、時間推定、記号複写、適応トラッキング、反応時間、絵画及び/又は言い回しスキル、ならびに/あるいは他のアプリケーションなどの当技術分野で公知の活動及び方法を利用する様々な個人PD効果測定が挙げられる。
図16は、本発明のいくつかの実施形態に従った1つ以上の活性薬剤を自動制御で肺送達するように構成された定量MDI装置の概略図である。
いくつかの実施形態では、装置1601は、物質ディスペンサ1603、例えば薬学的活性薬剤を含む物質のためのディスペンサを備え、薬学的活性薬剤をそこから気化させる。いくつかの実施形態では、物質ディスペンサは、例えば本明細書で上述しているような活性薬剤が由来する少なくとも1種の物質の原料、及び送達可能な活性薬剤を得るために物質を処理するための機構を備えるか、又はそれらと連通している。
この物質には、例えば固体原末、固体粒子又は粉末などの様々な形態が含まれてもよい。必要に応じて、物質は、カートリッジ、カプセル及び/又は他の容器内に収容される。いくつかの実施形態では、処理機序には、例えば加熱(例えば気化用)、エアロゾル化、例えば他の材料との混合による化学反応の誘発、カプセルの破壊などによる容器からの物質の放出、圧力推進、可動化、及び/又は他のタイプの処理の1つ以上が挙げられる。あるいは、活性薬剤は既に使用待機形態であり、物質の加熱によってユーザへ送達する前の処理を必要としない。
いくつかの実施形態では、MDI装置1601は入力モジュール1605を備える。必要に応じて、入力モジュール1605は活性薬剤が患者に送達される用量及び/又はレジメンに関係するデータを受信するように構成されている。追加的に、又は代替的に、入力モジュール1605は、装置1601内に備えられ、及び/又は装置1601の外部に構成されたセンサ(図示せず)から1つ以上の指示を受信するように構成されている。
いくつかの実施形態では、MDI装置1601は薬学的活性薬剤の肺送達を開始及び/又は部分変更及び/又は停止するように構成されたコントローラ1607を備える。いくつかの実施形態では、コントローラ1607は、例えば加熱要素による物質の加熱を活性化する物質ディスペンサ1603を操作する。いくつかの実施形態では、コントローラ1607は、入力として受信された用量及び/又はレジメンなどの薬剤の所定気化量の送達を起動する。いくつかの実施形態では、コントローラ1607は、例えば1つ以上の弁を起動することによって、活性薬剤の流量を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラは、現時点での流速に基づいて薬剤を放出するように適合している。
いくつかの実施形態では、MDI装置1601は出力部1609を備える。必要に応じて、出力部1609は患者が作動させるマウスピースとして構成されている。あるいは、マウスピースに対して、出力部1609を、呼吸マスク、乳児用おしゃぶりのようなアタッチメント、及び/又は蒸気の流れを患者に送達するのに適した他の構造体として構成してもよい。
いくつかの実施形態では、物質ディスペンサ及び/又はコントローラ及び/又は他の部品などの装置1601の部品は筐体1611内に収容する。必要に応じて、筐体は携帯型装置として使用される形状及び寸法にする。
いくつかの実施形態では、MDI装置1601はフロー制御機構を備える。
必要に応じて、蒸気の流量は1つ以上の弁を用いて制御する。いくつかの実施形態では、例えばMDI装置に組み込まれたセンサによって指示されて、例えば送達を時間調整し、活性薬剤が患者の吸入中にのみ患者に流れるようにすることによって、流量を個々の患者ごとに選択及び/又は部分変更する。いくつかの実施形態では、装置は、吸入を止める時間、より深く吸入する時間、ならびに/あるいは呼吸リズム及び/又は強度を変更する時間を患者が直感的に特定できるように流量を部分変更するように構成されている。一例では、増加した流量のパルスが装置によって送達され、吸入を止めることを患者に指示する。
いくつかの実施形態では、装置の流出管内にトラップしたままで患者に送達されていない活性薬剤の量を低減するように流量を選択及び/又は部分変更する。場合により、トラップした活性薬剤の量は、流量を制御することによって既知の所定量まで減少させる。
いくつかの実施形態では、流量はコントローラ1607で制御する。必要に応じて、流速は、入力モジュール1605で受信したデータ、センサが取得したデータ及び/又は他の指示に従って制御する。
個々の患者ごとに操作可能な流量制御機構を備える装置の可能性ある利点には、タイミング及び/又は装置によって送達される活性薬剤の所定気化量に関する、患者への送達の精度が改善されること、システム/MDI装置の性能が改善されることが挙げられる。
図17Aは、本発明のいくつかの実施形態に従ったMDI装置1701の構成の概略図である。
この構成では、物質ディスペンサ1703は、物質カートリッジ1705、加熱要素1707、及び加熱要素1707に対して物質カートリッジを移動させる、例えば加熱要素に接触又は近接するように移動させるフィーダ1709を備える。
いくつかの実施形態では、加熱要素は、例えば伝導、対流及び/又は放射によって局部加熱を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、物質は、そこに含まれる揮発性の薬学的活性薬剤の蒸気を形成するのに適した温度まで十分かつ迅速に加熱される。いくつかの実施形態では、物質は、選択的及び/又は局所的に活性化可能な可動要素として構築している。必要に応じて、物質は圧縮形状に構築している。必要に応じて、各形状は所定気化量を表す。
いくつかの実施形態では、物質から放出された蒸気は蒸気チャンバ1711内に集まり、そこから流出管を経て患者へと移動する。
必要に応じて、流速を制御するために、管に沿って弁1713を配置する。
いくつかの実施形態では、装置1701は、吸入に応じて蒸気を患者に送達するマウスピース1715を備える。あるいは、マウスピース1715は、例えば衰弱した患者に送達治療を行うために、他の要素、例えば、必要に応じて酸素を補給したマスク及び/又は鼻カニューレに取り付けることが可能である。必要に応じて、マウスピースは弁1713と流体連通する。
いくつかの実施形態では、装置1701は電源1717、例えばバッテリ、手動巻きスプリング及び/又は壁ソケットプラグを備える。
いくつかの実施形態では、デバイス1701は、例えば本明細書で上述したようなコントローラ1719を備え、このコントローラは弁1713、電源1717及び/又は物質ディスペンサ1703の1つ以上を全体として制御するように、ならびに/あるいは別々に物質ディスペンサの部品を制御するように構成されている。いくつかの実施形態では、コントローラ1719は、物質カートリッジが使用を許可されていることを検証する。
いくつかの実施形態では、コントローラ1719はコントローラに読み取られるか、及び/又はそこに書き込まれることが可能なメモリ1721と通信している。
図17Bは複数の個別の物質カートリッジ1725を備えるカートリッジ1723を示す。各カートリッジ1725は、カートリッジの筐体として機能する加熱要素1729内に封入された気化用の1種以上の物質1727(植物性素材)を収容する。いくつかの実施形態では、加熱要素1729は物質を包むワイヤのケージ状ネットのような形状をとる。いくつかの実施形態では、活性薬剤を気化するため、加熱要素1729に電流を流し、特定の個々のカートリッジ内に含まれる物質を加熱する。
いくつかの実施形態によれば、本明細書で提供されたシステムは、活性薬剤含有植物性素材を含む少なくとも1つの用量ユニットを備える。いくつかの実施形態では、システムは複数の用量ユニットを備え、コントローラは用量ユニットから活性物質を気化させるために用量ユニットの少なくとも1種を使用するように構成されている。
いくつかの実施形態では、システムは複数の用量ユニットを備え、その用量ユニットの各々は、異なる組成の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を有する植物性素材を収容する。いくつかの実施形態では、用量ユニットのサブセットは、基本的に同一の活性薬剤(単数又は複数)組成を有する。いくつかの実施形態では、複数の用量ユニットは同じ薬剤を有するが、異なる量比である。いくつかの実施形態によれば、システムのコントローラは、その活性薬剤組成に基づいて少なくとも1種の用量ユニットを選択するように構成されている。例えば、コントローラを使用して、1種の活性薬剤を含む植物性素材を収容する用量ユニットを選択し、次いで、異なる活性薬剤を気化させる別の用量ユニットを選択することが可能である。また、様々な気化温度に基づいて同じ用量ユニットから異なる薬剤を気化させるため、コントローラを使用して異なる時間で異なる加熱温度を実行することも可能である。いくつかの実施形態では、コントローラは、同じ時間、又は直後に連続させて吸入用の同一又は異なる組成を有する一連の用量ユニットを選択し、それによって、薬剤の組み合わせ、及び/又は単一用量ユニットで送達できる量よりも多い量を提供するように構成されている。
ここで、いくつかの実施形態に従って分解及び組立てを行った用量ユニット2300(投与物質気化カートリッジ)の概略図である図17C~Dを参照する。
図17C~Dはいくつかの実施形態に従った用量ユニット(投与物質気化カートリッジ、又はカートリッジ)の概略図であり、1種以上の活性薬剤を含有する物質2304を収容し、かつ筐体2301の一部を形成するフレーム2308の開口2303に適合する用量ユニット2300(図17C)、及び物質2304の2つの対向する表面と熱的に接触し、その対向する表面を横切って延在する抵抗加熱要素2306(図17D)を示している。いくつかの実施形態では抵抗加熱要素2306が物質2304の一面のみを横切って延在しているが、その2面を超える対向面にわたって延在する実施形態もある。
いくつかの実施形態では、1種以上の活性薬剤を含有する所定量又は既知量の物質は、用量ユニット2300上に、及び/又はその内部に組み立てられる。必要に応じて、用量ユニット2300は:
必要に応じて、急速気化のために、例えば平坦化によって形成した物質2304;
物質2304のための機械的支持体(例えば、必要に応じて枠状にした筐体2301のフレーム2308の開口2303内への封入による支持);
用量ユニット2300(例えば、顎型掛け金(latch mandible)2302)の輸送を容易にするための手段;及び/又は
物質2304を加熱する(気化する)手段(例えば、抵抗加熱要素2306、例えばメッシュ)を備える。
必要に応じて、物質2304の少なくとも一部(又は物質2304の少なくとも加熱部分全体)を含む用量ユニット2300の少なくとも一部は;空気透過性であり、それによって、空気は加熱時に物質を通過し、物質に熱気化剤を運ぶことが可能になる。
必要に応じて、用量ユニットは使い捨てである。使い捨て用量ユニットの可能性ある利点には:使い捨て用活性薬剤残留物の収容;投与装置内の投薬輸送を信頼できるものにするための投薬量支持と輸送との密接な統合;及び/又は経時的に性能を低下させる可能性のある条件に供する投薬システム(気化加熱要素など)の一部を維持及び/又はモニタリングする必要性の低減、が挙げられる。
必要に応じて、用量ユニットは単回吸入で使用するためのものである。単回使用用量ユニットの潜在的利点には、吸入器設定下で生物活性薬剤の気化量を制御する際の精度及び/又は信頼性が向上することが挙げられる。例えば、物質2304中の活性薬剤の濃度及び/又は分散度は、製造中に、ある程度の精度に制御できる。一般的に、装置の出力の変動程度(例えば、気化及び吸入される活性薬剤の量)は、意図した出力の±15%未満の耐容範囲内に維持できる。装置の出力の変動に影響する可能性があるその他の要因には、周囲条件、ユーザの使用習慣、及びユーザの現時点での状態が挙げられる。
いくつかの実施形態では、用量ユニット2300は、開口又は受容チャンバ2303を有する筐体2301を備える。必要に応じて、筐体2301は平坦で細長いストリップを備え、受容チャンバ2303は当該ストリップ(フレーム2308)によって形づくられた開口を備える。用量ユニット2300の調製中に、物質2304を受容チャンバ2303に挿入する。必要に応じて、当該物質は受容チャンバ2303の平坦形状に一致するように、挿入前又は挿入中に受容チャンバ2303に適合する形状をしている。より大き表面積及び/又は均一な厚さによって、気化及び送達中に、より高速な及び/又は均等に分布した加熱及び/又は気流が可能となるので、物質2304を平坦な形態で保持することが利点となる可能性がある。
いくつかの実施形態では、物質2304の寸法は、例えば露出している表面領域全体は約6×10mm、厚さは約1mmである。必要に応じて、物質2304の厚さは約0.1~1.0mmの範囲にあり、又はそれよりも厚いか、それよりも薄いか、もしくは中間の厚さである。必要に応じて、物質2304の表面積は約20~100mm2;例えば、20mm2、40mm2、50mm2、60mm2、80mm2の範囲にあり、又はそれよりも広い、それよりも狭い、もしくは中間の表面積である。物質2304は必要に応じて正方形、又はほぼ正方形の形状(例えば、約8×8×1mm)に形成する;必要に応じて、物質2304は、辺長比が例えば1:2、1:3、1:4、1:10、又はそれよりも大きい、それよりも小さい、もしくは中間の辺長比の長方形である。必要に応じて、物質2304の寸法は例えば約30×2×0.5mmである。いくつかの実施形態では、その形状に相当する物質2304の重量は約15mgである。いくつかの実施形態では、物質2304の重量は、約1~100mgの範囲内から、又はその範囲を含む別の範囲、それよりも重い、それよりも軽い、及び/もしくは中間の範囲から選択する。
機械的安定性を高めるために物質2304をフレーミング筐体2301で取り囲むことは利点となる可能性がある。例えば、物質2304は個別の物質粒子を潜在的に含んでおり、よって物質2304は特に移動又は屈曲した場合に粒子を漏出しやすい。カートリッジフレーム2308内へ封入すると、物質2304は直接そこに応力を加えることなくシステム内で移動できるようになる。いくつかの実施形態では、カートリッジの全長及び幅は約20×10mmであるか、又はそれよりも長い、それよりも短い、もしくは中間のサイズである。製造中、物質の加熱中に放出された揮発性物質を捕捉するために気流用導管を嵌合閉塞させるための正しい寸法の物質試料を形成するには、フレーミング筐体が利点となる可能性がある。
いくつかの実施形態では、活性薬剤の気化には、抵抗加熱要素2306又は他の形態の抵抗加熱要素による加熱が含まれる。抵抗性メッシュは必要に応じて、十分な抵抗加熱を示す材料;例えば、ニクロム(典型的な抵抗率は約1~1.5μΩ・m)、FeCrAl(典型的な低効率は約1.45μΩ・m)、ステンレス鋼(典型的な抵抗率は約10~100μΩ・m)、及び/又は白銅(典型的な抵抗率は約19~50μΩ・m)を含む。材料(例えば金属)の選択に応じて、加熱要素の長さ及び幅、厚さ、開口寸法及び/又は開口パターンなどのパラメータは、抵抗加熱要素全体にわたる全抵抗が例えば約0.05~1Ω、0.5~2Ω、0.1~3Ω、2~4Ωの範囲、又はその範囲を含む別の範囲、それよりも高い、それよりも低い、及び/もしくは中間の範囲になるように調整する。
必要に応じて、組み立て中、抵抗加熱要素2306は、1つ以上の側面で物質2304を覆う位置で筐体2301に取り付けられる。例えば、抵抗加熱要素2306は、背側表面2309Aからフレーム2308の両側に延在して筐体端部2311の周囲を折り込み、かつ腹側表面2309Bに沿って後方に延在する、U字形状である。必要に応じて、チャンバ2303内に収容された物質2304が加熱要素2306に囲まれるように、抵抗加熱要素2306はチャンバ2303の周囲に延在する。いくつかの実施形態では、抵抗加熱要素2306(例えばメッシュ)は複数の別々になったパネルを備え、例えばカートリッジの各側に1つのパネルを備える。必要に応じて、複数のパネルを互いに電気的に接続する。物質2304の両面メッシュ封入の可能性ある利点は加熱要素2306に電流を印加した際に気化の速度上昇及び/又は均一性上昇である。いくつかの実施形態では、加熱要素は全体的に、又は部分的に物質2304内に埋め込む。必要に応じて、加熱要素は部分的に、又は全体的に筐体2301のフレーム2308内に埋め込み;例えば、筐体2301は初めから定位置で加熱要素2306と一体に成形され、ならびに/あるいは加熱要素2306が別の製造段階において高温下、定位置でプレス成形される。
いくつかの実施形態では、抵抗加熱要素2306では、閉鎖部(メッシュ材料)表面積に対する開放部(開口)の比が約1:1(50%)と1:3(33%)の間である。いくつかの実施形態では、この比は、約10~20%、約20~40%、約30~50%、約40~70%、約60~80%、約70~90%の範囲、あるいはその範囲を含む比率の範囲、それよりも高い、それよりも低い、及び/又は中間の範囲である。いくつかの実施形態では、メッシュの穴は、約10μm、約25μm、32μm、50μm、75μm、100μm、200μm、300~750μm、700~1200μmの範囲、又はそれよりも大きい、それよりも小さい、又は中間の範囲である。必要に応じて、少なくとも2つの開口の寸法及び/又は形状は異なっている。いくつかの実施形態では、メッシュは400/0.03 316ステンレス鋼メッシュであり、1平方インチ当たり400個の0.033mmの穴を有し、各穴は約0.033mm(33μm)であり、その厚さは0.03mmである。
いくつかの実施形態では、抵抗加熱要素2306はエッチングした抵抗箔(例えば、連続リボン又は他の形状にエッチングされ、ポリイミド及び/又はシリコーンゴムなどのポリマーに裏打ちされた箔)から成る。必要に応じて、裏打ちされた抵抗箔は裏打ちを通じて穿孔され、投与物質の気化中に空気を流す。いくつかの実施形態では、(十分な時間、加熱要素に適度に高電流を送ることによって)使用後に加熱要素を破壊する方法を提供するために、例えば追加部品及び/又は故意に薄く製造したリボンの領域として、ヒューズを抵抗箔に添加する。
いくつかの実施形態では、メッシュが筐体の材料に埋め込まれるように筐体が溶融及び/又は軟化するのに十分高い温度を利用してメッシュを筐体にプレス成形することによって、抵抗加熱要素2306をカートリッジ筐体2301に固定する。いくつかの実施形態では、筐体は不活性で耐熱性の非導電性材料から成る。いくつかの実施形態では、使用される筐体材料は例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、Ultem、Teflon、Torlon、Amodel、Ryton、Forton、Xydear、Radel、Udel、ポリプロピレン、Propylux、ポリスルホン、又は他のポリマー材料を含む。
LCP及び/又はPEEKの可能性ある利点は、カートリッジに保持された物質を気化させるのに必要な温度よりも高い温度に対して良好な耐性があることである。いくつかの実施形態では、約280℃の温度(あるいはLCPもしくはPEEKを溶融及び/又は軟化させるのに十分高い別の温度)でメッシュと筐体とが接合する。LCP及びPEEKは、より低い温度、例えば約230℃の気化温度で良好な熱安定性を示す利点を与える可能性がある。
個々の用量ユニットごとに抵抗加熱要素2306などの加熱要素を設ける際の可能性ある利点は、使用間の性能が均一になることである。加熱要素が接触する生物活性薬剤の一部は冷却後に加熱要素に付着したままになる可能性がある。この蓄積は気化性能に影響を及ぼす可能性がある。遠隔加熱(例えば、放射及び/又は間接コンダクタンスによる)は、接触電極による直接伝導加熱と比較して比較的高い熱慣性(より大きい加熱電力を必要とする)を有するシステムを生成する可能性がある;接触電極汚染の問題は、単回使用用に設計することによって解消される。加熱の必要性が低下すると、安全性及び/又は装置の寿命が向上する可能性がある。加熱の必要性が低下すると、電力供給の要求も低下し、これによって携帯性が向上し、蓄電寿命が向上し、及び/又は費用が低減する(例えば電池式加熱要素を有するシステムの場合)可能性がある。
いくつかの実施形態では、用量ユニット2300(カートリッジ)は、カートリッジ輸送に使用するための係止部材を備える。係止部材は、例えば顎型掛け金2302を備える。係止は、カートリッジの固定及び/又は移動のための、投与システム輸送機構の1つ以上の適合部材による係合を可能にする。カートリッジのライフサイクルの間、例えば:使用のために配列した複数のカートリッジを含むカートリッジの列にカートリッジを配置するとき、列の中でカートリッジが前進するとき、カートリッジを使用のために選択するとき、使用の位置にカートリッジが移動するとき、カートリッジを実際に使用するとき、及び/又はカートリッジが廃棄されるか、もしくはカートリッジの列の「使用済み」位置にカートリッジを移動するときに、不要な移動に対してカートリッジを移動及び/又は固定する。
生成された蒸気は必要に応じて蒸気チャンバ内に収集し、患者に送達する。
個別に加熱するカートリッジの可能性ある利点は、例えば固定の加熱要素で加熱したカートリッジの可動ストリップと比較して患者に送達される活性薬剤の所定気化量をより正確に制御することである。特定のタイミングで特定のカートリッジを個別に装填及び加熱することによって、MDI装置の精度が向上する可能性がある。
図18は、本発明のいくつかの実施形態に従った治療ウインドウ内に患者を維持しながら、図9に従ったシステムを用いて個々の患者を治療する方法のフローチャートである。
いくつかの実施形態では、MDI装置は所定気化量(用量及び/又はレジメン)でプログラムする(1801)。必要に応じて、用量及び/又はレジメンは、医師が手動で(装置自体のボタンを起動させるなど)、及び/又は医師インターフェースを用いて、吸入装置に設定する。追加的に、又は代替的に、用量及び/又はレジメンは患者インターフェースから送信された指示に従ってMDI装置に設定する。
いくつかの実施形態では、MDI装置は必要に応じて、用量ユニットの内容に基づいて複数の吸入を行う吸入セッション用に少なくとも1種の所定気化量を選択し、装置内の加熱及び気流の少なくとも1つを制御して、ユーザに提供された活性薬剤の所定気化量を制御するように構成されている。言い換えれば、用量ユニットに充填される物質の特性、すなわち気化用にユニット内で利用可能な活性薬剤(単数又は複数)の量に基づいて、装置は、物質中の利用可能な活性薬剤(単数又は複数)の一部又は全部を単回又は複数回の吸入で気化するように構成することが可能である。ここでは、各吸入における気化量に対する制御性は、加熱レベル及び持続時間、ならびに装置における空気流出量及び持続時間の制御によって与えられる。
いくつかの実施形態では、MDI装置を起動し、活性薬剤を患者に送達する(1803)。いくつかの実施形態では、患者からの直接的及び/又は間接的なフィードバックデータを実時間で取得する(1805)。必要に応じて、フィードバックデータは肺送達(吸入セッション)中に取得する。処置は通常、肺送達で開始し、それから5~20分後に、例えば活性薬剤について事前選択した薬力学的プロファイルが完全に現れたときに、及び/又はその以降の時点で、終了してもよい。追加的に、又は代替的に、フィードバックデータは一連の肺送達にわたって、例えば1時間、3時間、5時間、9時間、12時間、又はこれらの中間の期間、それよりも長い期間もしくは短い期間にわたって得る。プロトコルには、連続的な肺送達の間が15~180分の範囲である時間間隔での1日当たり5~10回の肺送達が含まれてもよい。
いくつかの実施形態では、患者から得られるフィードバックデータには、治療効果などの個人のPD効果、例えば症状の強さ、及び/又は有害効果、例えば患者の精神活性状態が含まれる。
いくつかの実施形態では、患者インターフェースは患者と対話し、フィードバックデータを取得する。いくつかの実施形態では、患者の現時点の状態に関する患者への質問が画面上に表示され、患者は質問に回答する。そのような質問は、例えば患者が上下させる疼痛レベルを示すバーの形などで表示してもよい。追加的に、又は代替的に、フィードバックデータは、患者が対話するゲームウェアなどの1つ以上のアプリケーションによって得られる。必要に応じて、ユーザインターフェースと対話するときの患者の入力を分析することによって非侵襲的バイオマーカーレベルを推定する。追加的に、又は代替的に、患者からのフィードバックデータは、例えば非侵襲性のバイオマーカーセンサとして作用するスマートフォン、携帯型装置、ウェアラブル装置、リスト装置又は一体型アイウェア装置の部品を利用し、1つ以上のセンサを用いて様々なバイオマーカーを測定することによって得られる。
いくつかの実施形態では、個人のPD効果は、単回投与及び/又は一連の投与前、投薬量及び/又はレジメンの変更前及び/又は変更後等、要求が生じる度に、例えば半日毎、毎日、毎週、毎月、周期的に得られる。
いくつかの実施形態では、PD効果に応じて用量及び/又はレジメンを部分変更する(1809)。必要に応じて、患者を治療ウインドウ内に維持しながら、望ましい効果を達成するために、例えば患者の疼痛レベルを低下させるために用量及び/又はレジメンを部分変更する。いくつかの実施形態では、用量及び/又はレジメンは患者インターフェースによって繰り返し部分変更する。部分変更は、例えば、1回以上の肺送達中、送達間、もしくは送達後、及び/又は患者が治療される全治療期間(日、週、月、年)にわたって複数回行ってもよい。部分変更は患者を危険にさらす可能性のある用量などの安全カットオフ値によって制限される。
いくつかの実施形態では、患者インターフェース及び/又はMDI装置は患者に1回以上の肺送達を行うことを想起させる(1811)。そのような想起させる物は、視覚的信号(例えば光表示)、音、振動、ポータブル/携帯型装置、例えばスマートフォン、携帯型装置、ウェアラブル装置、リスト装置もしくは一体型アイウェア装置上の通知、又はこれらの組み合わせとして提供してもよい。
いくつかの実施形態では、患者の使用データが記録され、MDI装置メモリ及び/又は患者インターフェースメモリに記憶される。必要に応じて、活性薬剤の送達は使用データに従って実時間で部分変更できる可能性がある。例えば、患者が肺送達を1回以上失念した場合、用量及び/又はレジメンは、例えばその後の1回以上の肺送達における活性薬剤の量を増加させて送達を設定するように自動的に部分変更してもよい。
いくつかの実施形態では、1801~1811に記載された動作のいずれか1つ以上を反復してもよい。好都合にも、患者からの個人のPD効果及び/又は使用データを繰り返し取得すると、用量及び/又はレジメンの調整が継続されることになり、個々の患者に対する実際の治療効果に基づいて、患者に柔軟で精密かつ正確な個人化された治療が提供される。
本明細書に開示された寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳密に限定されたものとして理解されるべきではない。代わりに、特段に指定しない限り、そのような各寸法は、列挙した値とその値の前後の機能的に同等の範囲との両方を意味するように意図している。例えば、「10μm」として開示された寸法は「約10μm」を意味するように意図している。
本明細書中で使用されているように、用語「約」で始まる数値範囲は、列挙した範囲に限定されると考えるべきではない。むしろ、用語「約」で始まる数値範囲は、本開示に従ったマイクロカプセル又は製剤中の所与の要素全てにおいて当業者が受け入れた範囲を含むと理解すべきである。
本明細書で使用される用語「約」は当業者が決定するような特定の値に対する許容誤差範囲内であることを意味し、これは部分的に、値がどのように測定又は決定されるかに、すなわち測定システムの限界に依存している。例えば「約」は、所与の値の最大10%、より好ましくは最大5%、更により好ましくは最大1%の範囲を意味し得る。特定の値が本出願及び特許請求の範囲に記載されている場合、特段に明記しない限り、用語「約」の意味は、特定の値に対する許容誤差範囲内である。
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」及びこれらの組み合わせは「含むがこれらに限定されるものではない」ことを意味する。
用語「から成る(consisting of)」は「~を含んで、それに限定される」ことを意味する。
用語「基本的に~から成る」は、組成、方法、又はマイクロカプセルが追加の成分、工程及び/又は部品を含むことを意味するが、ただし、その追加の成分、工程及び/又は部品が請求の組成、方法又は構造の基本的な特徴及び新規な特徴を実質的に変えない場合に限る。
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は文脈が特段に明示していない限り、複数の参照物を含む。例えば、用語「化合物」又は「少なくとも1種の化合物」は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
本明細書中で使用されるように、用語「方法」は、限定するものではないが、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学分野の実務者に公知の様式、手段、技術及び手技、又は公知の様式、手段、技術及び手技からその実務者によって既に開発されているものを含む所与の課題を達成するための様式、手段、技術及び手技を指す。
当然のことながら、明確にするために個別の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施形態において組み合わせて提供してもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載された本発明の様々な特徴は、別々に、又は任意の適切な部分的組み合わせで、又は本発明の任意の他の記載された実施形態において好適であるように、提供してもよい。様々な実施形態の文脈で記載された特定の特徴は、実施形態がそれらの要素がなくても操作できる限り、その実施形態の本質的な特徴であると考えるべきではない。
上記で詳述され、下記特許請求の範囲の項で請求された本開示の様々な実施形態及び態様は以下の実施例において実験的に支持される。
次に、非限定的な様式で上記の記載と共に本発明のいくつかの実施形態を説明する以下の実施例について述べることとする。
実施例1
薬物動態学的試験
固体物質(大麻由来植物物質)から当該物質を加熱して所定気化量の活性薬剤Δ9‐THCを肺送達するように構成された携帯型定量MDI装置の使用について、吸収段階中のΔ9‐THC血漿レベルの個体間変動性を特徴化するために試験を行った。
本試験を利用して;有害効果、血圧及び心拍数をモニタリングし、MDIを使用して満足度を0~10スケールで評価するために、10cmのヴィジュアルアナログスケール(VAS)疼痛スケール(0は疼痛なし;10は最も重篤である可能性が高い疼痛)を用いてベースラインからの疼痛軽減に対するΔ9‐THCの肺送達の薬力学的効果を更に評価した。
試験コホート:
試験はイスラエルのハイファにあるPain Research Unit of Rambam Health Care Campusで行った。コホート患者は以下の基準を満たした後で試験に登録された:
(a)18歳以上
(b)少なくとも3か月間、何らかの神経障害性疼痛に罹患している
(c)医療用大麻を含む少なくとも60日間の安定的な鎮痛レジメン
(d)正常な肝機能(正常レベルの3倍未満のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼレベルと定義される)、正常腎機能(133μmol/Lよりも低い血清クレアチニンレベルと定義される)、及び正常ヘマトクリット(38%超)
(e)該当する場合、妊娠検査陰性(βヒト絨毛性ゴナドトロピン妊娠検査によって判定する)。
(f)医療用大麻を服用するためのイスラエル保健省からの有効な認可の所有。
排除基準は、重篤な心疾患又は肺疾患の存在、精神障害の病歴、妊娠もしくは母乳育児、又は非神経障害性疼痛の存在とした。
PK/PD試験プロトコル:
PK/PD試験は単回投与非盲検計画プロトコルに基づいて行った。すべての患者の病歴を評価し、試験医師は患者を物理的に検査した。試験全体にわたって定期的な投薬を継続した。患者は、試験前の12時間は大麻の使用を控えるように要求された。
3回の良好な実証的肺送達の後、参加者は15.1±0.1mgの大麻花から気化した単回用量を約3秒吸入した。
Δ9‐THC及びその活性代謝物11‐ヒドロキシΔ9‐THC(11‐OH‐THC)の血漿レベルをモニタリングするために、吸入の直前ならびに吸入後1、2、3、4、5、15、30、60、90及び120分に血液試料を採取した。EDTAを含む13×75mmのpurple-top Vacutainer(登録商標)チューブに全血を回収した。試料は氷上で維持し、30分以内に遠心分離した。血漿を複数の3.6mlのポリプロピレンNunc cryotube(Thomas Scientific)に等分し、-20℃で凍結保存し、6週間以内に分析した。血漿カンナビノイド濃度分析は、多次元ガスクロマトグラフィー/質量分析法によってNMS Labs(米国ペンシルベニア州、ウィローグローブ)で実施した。
ベースライン(吸入前)において、及び大麻由来薬学的活性薬剤の肺送達から20分後及び90分後において、0(疼痛なし)~100(最も重篤である可能性が高い疼痛)の間の100mmヴィジュアルアナログスケール(VAS)で現時点の疼痛強度を示すように参加者に依頼することによって治療効果として疼痛強度低下を評価した。精神作用性症状の形態の有害効果は、肺送達から5、15、30、60及び120分後に、参加者が自発的に報告した効果と共に記録した。有害効果は、重症度、頻度、期間及び試験活性薬剤との関連性に関して規格化された基準に従って評価した。成人の有害な経験の重症度をスコア化するためのNIH Division of AIDS表を使用して有害効果を等級分けした。血圧及び脈拍数も肺送達前、送達中及び送達後に記録した。
現在の使用方法(喫煙)と比較して、蒸気の肺送達の経験からの満足度を、治療0分後の「なし」、及び治療100及び120分後の「非常に満足」を目安にした100mmのVAS定規を使用して評価した。
PK/PD試験薬物:
採用した粗物質は19.9%ドロナビノール(Δ9‐THC)、0.1%カンナビジオール(CBD)及び0.2%カンナビノール(CBN)を含有する医薬品グレードの大麻花(Bedrocan BV、オランダ、フェーンダム)であった。粗物質には農薬及び重金属が含まれていなかった(鉛0.2ppm未満、水銀0.02ppm未満、カドミウム0.02ppm未満)。粗物質から異物(茎、昆虫及び他の害虫)を除去した。微生物学的純度を確認した(総好気性微生物数は10CFU/グラム未満であり、総酵母及びカビ数は10CFU/グラム未満であり、緑膿菌(P. aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)及び胆汁耐性グラム陰性菌は存在していなかった)。
大麻花物質は、全化合物を未加工の形態で保持しながら軽く粉砕し、結果として20.4%の活性Δ9‐THCを含有する物理的に修飾された物質が生じた。粉砕大麻は事前に装填された複数のカートリッジに、それぞれ15.1±0.1mg含まれるように入れた。
MDI装置:
本試験のMDI装置は、複数回の用量の薬学的活性薬剤(単数又は複数)を気化させ、その結果、揮発性活性薬剤(単数又は複数)を肺送達するように設計した電池式で手のひらサイズの携帯型定量MDI(Syqe MDI(商標))であった(背景技術、図1、及び特許文献1参照)。MDIは、マルチカートリッジDAISY、カートリッジカウンタ、表示灯及び電源スイッチから構成されていた。各カートリッジには上記のように調製して事前に計量した15.1±0.1mgの物質(大麻花)を事前に装填し、各カートリッジは物質分析に基づいて約3.08±0.02mgのΔ9‐THCを収容していた。気化及び肺送達プロセスは患者の吸入力によって瞬時に誘発され、約3秒間持続した。次回の肺送達への移行は用量インジケータをスライドさせることによって行った。各カートリッジを約470msで約190℃に加熱し、正確に2530ms間維持した。THC気化プロセスの効率は52.7±2.7%であり(データは示されていない)、このことは肺送達用量間の変動性が低いことを示している。実時間流量制御及び自動化解剖学的死腔排除機構と連動させると装置は1~30L/分の範囲の吸入を可能にし、全ての蒸気が吸入後に確実に気管を通過するようにした。
当該装置によってユーザの要するトレーニングは最小限になった。当該装置は肺送達プロセス全体を電子制御し、記録し、治療データログの記憶及びアップロードを可能にした。MDI装置は更に「単回用量」分析、即時投与を可能にし、しかも前処理や、吸入以外のユーザの介入を全く必要としなかった。
薬物動態学的パラメータデータ及び統計分析:
ピークTHC濃度(Cmax)、及びCmax(Tmax)に達する時間は実験データ(血液試料)から直接得た。血漿THC濃度時間曲線(AUC)下の面積を線形台形非コンパートメント解析(WinNonlin Pro software version 2.0; Pharsight, 米国カリフォルニア州マウンテンビュー)によって求めた。Clast/λzの付加によってAUCを無限大(AUC0→infinity)として外挿した。式中、Clast及びλzはそれぞれ、最終的に測定されたTHC濃度、及びLnスケールでの最終勾配(slop)である。時間ゼロ(C0>0)で残留血漿THCレベルを示した参加者の場合、AUC0→infinityは以下の式:AUC0→infinity=AUC0→last+Clast/λz-C0/λzから得られ、式中、C0/λzは以前の用量から得られた残留AUCである[非特許文献8参照]。
結果は、本明細書では平均値±1標準偏差(±SD)として報告する。測定された効果(VAS疼痛強度、収縮期及び拡張期血圧、心拍数ならびに満足度スコア)のそれぞれについて、異なる時点における平均及び95%信頼区間(CI)をプロットした。吸入前後でのVAS疼痛強度値と満足度スコアとの差異を、両側対応スチューデントt検定によって試験した。一元配置ANOVAによって異なる時点間で血圧及び心拍数値を比較した。P値<0.05は有意であると認めた。すべての統計分析はMinitab Statistical Software, version 16を用いて行った。
当該試験に8人の患者が参加した。患者の人口統計データ及びベースライン特性データを表1に示す。
参加者は、主に男性(62.5%)で、年齢は25~69歳(平均年齢±SD=42±14)であった。平均体重及び体重指数±SDはそれぞれ79±21kg及び27±6であった。全参加者は、神経障害性疼痛に罹患していた:4人は複合性局所疼痛症候群(CRPS)であり、2人は腰仙神経根症であり、1人は骨盤神経障害性疼痛、1人は脊髄損傷に関連する疼痛であった。神経障害性疼痛の診断から試験参加までの期間の中央値は48か月(範囲:30~147)であった。全患者に大麻花を定期的に1日2~3回の喫煙によって吸入させた。
月当たりの用量の中央値は20~30グラム(範囲:2~5グラムから最大で30~40グラム)であった。
表2は、本明細書に記載されたとおりに(上記表1参照)8人の成人患者が自己投与した3.08±0.02mgのΔ9‐THCを含有する大麻花15.1±0.1mgの単回吸入後のΔ9‐THCについて得られた薬物動態学的データを示す。単回吸入時の血漿カンナビノイドレベルにおける個体間の変動性を図2及び下記表2に示す。
2人の患者の残留血漿THCは、ベースラインにおいて定量化の限界を超えていた。残りの6人の患者において、吸入1分後に採取した血液試料中でTHCが最初に検出された。群全体のTHC平均血漿Cmaxは38±10ng/mlであり、3±1分後に到達した。平均THC‐AUC0→infinityは607±200ng・分/mlであった。活性代謝物(11‐OH‐THC)の測定可能な血漿レベルは血液サンプリングの時間枠内(0~120分)ではモニタリングされなかった。平均ベースラインVAS疼痛強度は、7.5±1.4であった。吸入から20分後に有意な鎮痛反応が認められた(3.4ポイントの差、95%CI:[2.1、4.9]、P=0.001)。図3に示すように、投与後90分目に報告されたVAS値はベースラインと実際に同一の結果を示した。
有害効果は最小であり、可逆的であり、耐容性が高かった。吸入後最初の10分間で7人の患者(87.5%)が軽度の頭痛を経験したが、その作用はその後急速に減退した。3人の患者は15分以内に完全に回復し、他の全員は吸入後30分以内に回復した。
図4に示すように、ベースラインと比較して、90分間継続した吸入の30分後に、平均収縮期血圧(BP)がボーダーラインに近い有意な減少を示したことが認められた(吸入から30分後及び90分後にそれぞれ133±13~122±10及び121±11mmHg;P=0.068)。試験期間中、平均拡張期血圧及び心拍数に有意な差は測定されなかった(拡張期BPは:吸入後0分、30分及び90分でそれぞれ82±9、75±10及び81±12mmHg;P=0.410。心拍数は:吸入後0分、30分及び90分でそれぞれ71±12、72±11及び69±13bpm;P=0.873)。
図5に示すように、現時点での患者らの使用様式である喫煙と比較して、全患者がMDI装置を使用する肺送達装置を自分にとって好ましい治療様式として選択した(満足度スコアは5.37±2.61と比較して9.37±0.52、平均差異の95%CI:[1.72,6.28];P=0.004)。
上述のように、大麻から放出され、吸入によって送達される低用量のTHCを含む臨床試験によれば、試験で観察された有害効果は最小であり、可逆的であり、迅速に減退した。耐容性の問題で棄権した参加者はいなかった。
実施例2
比較分析
実施例1に記載の試験で得られたデータを、Δ9‐THCの喫煙、口腔粘膜、経口及び静脈内投与ならびに市販のVolcano(登録商標)気化器を用いた吸入と比較して分析した
Δ9‐THC投与1mg当たりの血漿Cmaxレベル:
本発明者らは本明細書に記載の方法に従って、肺送達を介して得られたTHC収率を、当技術分野(背景技術)で発表されたデータと比較した。比較結果は図6にグラフで示す。
従って、送達の参照様式としてのΔ9‐THC静脈内投与は最も高いΔ9‐THC投与1mg当たりの血漿Cmaxレベルを示した‐43.8(非特許文献9;図6の「Ohlsson(3)」と記述されているカラム)、及び32.8、23.8ngのΔ9‐THC/血漿ml(非特許文献10による報告;図6の「D'Souza (14)」と記述されているカラム)。
Δ9‐THCの代替的な投与様式の中で、使用された大麻物質中で利用可能なΔ9‐THC1mg当たりの血漿Cmax増加は、本明細書に記載の肺送達法で最も高かった‐Volcano(登録商標)気化器の6.1~9.0(「Abrams(9)」及び「Abrams(20)」と記述されているカラム;それぞれ非特許文献11;非特許文献12)、及び通常の煙草の0.6~4.6(「Ohlsson(3)」、「Hunault(15)」、「Hunault(16)」、「Huestis(17)」と記述されたカラム:非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15)と比較して平均12.3ng/ml/mgのΔ9‐THC。
喫煙によるTHCの吸収及び分布の割合によってCmaxがサンプリングプロトコルの不自然な結果になる可能性がある;すなわち、各吸煙後に多数の個々のピーク及び谷で無作為にサンプリングすると、不自然なピーク応答を生じさせる可能性がある。この制約によって研究者は、マリファナ喫煙の吸収段階を特徴化する目的で、迅速に逐次採血するために速度調整が可能な連続採取ポンプを使用することになる。研究者から、1.75%又は3.55%Δ9‐THCの煙草の最初の吸煙後に観察されたΔ9‐THC1mg当たりの平均Cmaxの増加はそれぞれ3.54又は4.28ng/mlであると報告された。喫煙プロトコルは2秒間の吸入、10秒間の保持期間及び72秒間の呼気、ならびに休止期から構成されていた。
本発明者らが得た結果は、Huestisらが得た結果と比較して、2.9~3.5倍高かった:これは、33%長い吸入時間、副流煙の欠如、及びMDI装置における気化プロセス中のTHCの熱分解破壊が最小になることのうち1つ以上を指標としてもよい(図6)。
THCのCmaxにおける個人間の変動性:
図7は、本明細書に記載の方法によって得られたピーク血漿Δ9‐THC濃度における個体間変動性のデータ、及び当技術分野で公知の比較データ(背景技術)を示す。図7に示すように、本開示の実施形態に従ったMDI装置のCmax個体間変動は25.3%であった。
いくつかの研究で、図7に示すように、気化器での47~85%(図7の「Abrams(9)」及び「Abrams(20)」と記述されているカラム)、煙草での32~115%(「Ohlsson(3)、「Hunault(15)」及び「Huestis(17)」と記述されているカラム)、経口投与での42~115%(Ohlsson(3)、Karschner(4)及びLile(21);非特許文献16;非特許文献17)、ならびに経口腔粘膜送達の59~67%(Karschner(4))の変動係数(CV)が報告されている。
図7に示す研究の大部分は制御された投薬及び実験条件下で行った。「実生活」条件では、より高い個体間変動が予想される。
max間の変動性が比較的低い原因は、個々の患者の吸入パターンとは無関係に、気化した薬剤(単数又は複数)の肺への完全で高効率な送達を確実に行う検査MDI装置の特徴に起因する可能性がある。
実施例3
治療ウインドウ決定及びPDプロファイルの個人化
本明細書に記載の個人化肺送達方法に従って、本明細書では「患者X」と称する個々の患者のための所定治療ウインドウ内に3時間治療を維持するために、本開示のいくつかの実施形態に従って用いる定量吸入装置のために特別に開発したアルゴリズムを使用し、用量及びレジメンを計算した。治療ウインドウの計算は、上述のように、患者XのPK変化要素(例えば、BMI、年齢、性別等)と組み合わせた当該分野で公知の血漿及び身体中のTHC濃度(THCのPKプロファイル)を基礎とした。
患者Xについて、投薬量(複数の所定気化量)及びレジメン(投薬間時間)をアルゴリズムによって決定した。このアルゴリズムは、必要に応じてMDI装置について上述のように定義したPK効果と組み合わせて、被験体集団で行った上記のPK試験及び他のPK試験ならびに集団PK変化要素に基づいて患者の薬物動態学的プロファイルをシミュレーションし、更に並行して、発現すると予測される薬力学的プロファイルを、望ましい治療効果レベル及び耐容可能な有害効果レベルを考慮しながらシミュレーションするものである。従って、結果として得られる予測PDプロファイルは、症状治療(疼痛緩和)及び耐容可能な精神作用性活性レベル(CNS関連の有害な精神作用性効果)の両方を患者Xにおいて可能にする治療ウインドウと同等である。
当該アルゴリズムはPK効果及び変化要素に基づいて、望ましいPDプロファイルを達成する望ましい投薬及びレジメンを提供する。
図8は、患者Xについて計算された3時間にわたる3種の所定気化量(計算投薬量)の肺送達の代表的な例を示している。患者XはBMIが22の35歳の男性である。
予測されたPK/PDプロファイルによれば、図8の赤色の曲線に示されるように、THC効果を治療ウインドウ内に3時間維持するために、患者Xは、本開示のいくつかの実施形態に従った上記実施例1及び2で使用した定量MDI装置を用いて大麻から気化したTHCを、以下の時間間隔及び所定気化量(計算した投薬量及びレジメン):00分目‐1.2mg;10分目‐1.0mg;及び60分目‐0.5mgで、吸入する必要があった。青い曲線は指示された投薬量での計算されたPDプロファイルを示す。図示のとおり、計算されたレジメンは、耐容可能な有害CNS活性レベル内、すなわち有害効果レベルの下方及び症状認識の最小レベルの上方(すなわち、最小治療効果の上)に患者Xを維持する。
本明細書に記載されている肺送達方法で使用されるMDI装置及びアルゴリズムは、所定の気化量(単数又は複数)(所定投薬量及びレジメン)で活性薬剤を肺送達するためにこのようなMDI装置を使用することを可能にするもので、ここでは、事前選択した(望ましい)PDプロファイルを得るように選択した望ましい事前選択PKプロファイルを取得し、個々の患者のために選択した所定治療ウインドウ内に薬剤の効果を得るように、PK/PDデータならびに個人のPK変化要素及び/又はデータに基づいてMDI装置を較正及び構成する。
以下は、本開示のいくつかの実施形態に従った吸入装置を使用して肺送達によってヒト被験体を治療するための個人の投薬量及び/又はレジメンを決定及び投与するための手順の例である。当該手順は、図19に示すフローチャート1900に示す。
提供する患者データの提供(図19の1901参照)には、例えば患者の年齢、性別、体重、BMI、推測される活動等の1つ以上を含む患者の特性に関する情報、推奨される投薬量及び/又はレジメン、ならびに/あるいは治療が施される症候群又は適応症が含まれる。必要に応じて、患者データの提供(1901)には、同じ活性薬剤(単数又は複数)に関する、更に可能性として同じ適応症にも関する、吸入器の1回以上の過去の使用から得るPK/PDデータも含まれる。必要に応じて、患者データの提供(1901)には、同一の1種以上の薬学的活性物質の1回以上の過去の送達で記録された期間にわたる患者の用量とPKプロファイル及び/又はPDプロファイルとの間の相関又は一連の相関が含まれる。必要に応じて、患者データの提供(1901)には、複数のユーザ、又は当該ユーザらが属する集団のPK/PDプロファイルから集めたデータが含まれる。
必要に応じて、患者データの提供(1901)には治療の指示及び/又は治療の嗜好が含まれる。治療の指示又は嗜好のいくつかの例には、ある時間ウインドウ内では投与しないこと;全体的に(例えば寝たきりの患者)又はある時間(例えば、初期治療及び/又は夜間及び/又は極度の症状を扱う場合)で催眠が高くなること;ある時間枠で覚醒を必要とすること等が挙げられる。そのような指示には加重値を与えてもよい;例えば患者はいくつかの指示やその後の他の指示にあまり固執しなくてもよく、例えば、患者は夜に眠気が高まることを欲してもよいが、午前10時に検査のために覚醒していなければならないことを指示してもよい。
所定の命令に従うためにのみいくつかの作用はある程度まで許容できるという意味で、指示が相対的な効果を有する場合もある。例えば、疼痛が特定の値を上回らない限り、患者は運転中に覚醒していなければならないことを指示してもよい。
患者データの任意提供(1901)に包含されるものがまだあるとすれば、それは治療期間中の任意の時点で治療指示を提供できることである;例えば治療開始前に、患者は治療指示及び/又は治療の嗜好を提供できる。その後いつでも患者は追加の指示及び/又は嗜好を入力できる。例えば、患者は、今後の(例えば、次回の)用量(又は複数回の用量)に関して指示するために、装置と関連付けられたユーザインターフェースをいつでも使用できる。このような指示には、ある用量を所与の時間ウインドウで投与しないこと、又は所与の時点よりも前に投与しなければならないこと等が含まれ得る。必要に応じて、このような指示には、十分な治療効果及び/又は最大レベル(耐容可能)の有害効果を構成するユーザにとって許容可能な、及び/又は好ましい治療ウインドウの調整が含まれてもよい。
必要に応じて、患者データの提供(1901)は用量が吸入される時間、投与量、及び/又は装置が吸入イベントにおいてどのように作動したか(例えば、吸入が成功したか、あるいは装置の誤作動及び/又は不適当な使用によって失敗した場合)を反映するようにアップデートする。これは、ユーザの状態及び/又は装置の誤作動及び/又は吸入された活性物質の量(効率要素)の指標とみなしてもよい。このようなデータは、レジメンを調整し、ならびに/あるいはユーザ及び/又は医師に通知を発行するために使用してもよい。
必要に応じて、レジメンがある用量を投与するようにユーザに要求する場合、少なくとも1つのユーザインターフェースを介して視覚的及び/又は音声によって、それを行うようにユーザを促してもよい。プロンプトが表示されたら、ユーザは「スヌーズ」オプションを選択することによって延期し、必要に応じて次回に服用したい時に次の時間を設定することができる。これに応じて、装置はレジメン(例えば次の用量サイズ及びタイミング)を再調整し、及び/又はこれが不可能である旨もしくは所与の有害効果を及ぼす可能性がある旨をユーザに通知できる。
必要に応じて、ユーザが所与の用量に割り振られた時間帯を失念した場合、以下のうちの1つ以上を行ってもよい:(a)遅延を補償するようにレジメンを調整する;(b)ユーザに通知を(恐らくアラーム及び/又は振動によって)与える;(c)介護者及び/又は医療従事者に通知を与える。
初期の用量及び/又はレジメンの作成(図19の1902参照)は以下のように実行する:
推奨する投薬量及び/又はレジメン(下記詳細を参照)ならびに患者データ(1901)に基づいて、初期の投薬量及び/又はレジメン(1902)を提案する。初期投薬量及び/又はレジメン(1902)は公知の基準に従って推奨投薬量を含んでもよく、ならびに/あるいは吸入器を使用する患者の以前の治療(単回又は複数回)と治療指示及び/又は嗜好に関するデータを考慮することによって調整してもよい。
推奨する用量及び/又はレジメンを考慮すると、治療指示には、他の指示よりも厳しいいくつかの制約が含まれ場合もある。例えば、ユーザの嗜好に関わらず最大認可用量を超えないようにし、装置は過剰投与できないように構成されていてもよい。同様に、最低必須用量を処方してもよく、それはユーザの嗜好に関わらず避けるべきではなく、また、そのような場合にユーザ及び/又は介護者及び/又は医療スタッフに非服薬遵守警告を出すように装置を構成してもよい。必要に応じて、制約は事前に課してもよく(例えば、1種以上の活性物質の治療指数に基づいて、及び/又は医師が企画又は承認した計画に従って)、及び/又は定期的に、又は継続的に課してもよい(例えば、ユーザが装置を使用することで遭遇する特定のイベントの結果として)。
必要に応じて、初期レジメンの作成(1902)は吸入器及びレジメンが最初に割り当てられたときに患者に対して実行する。このような場合、患者は監視下で(例えば2時間以上)初期用量又は初期の数回の用量を吸入する必要がある。この期間中、患者の症状及びPD効果は、最初の投与前に、場合によりその後の少なくとも監視期間中に観察し、記録し、測定する。追加的に、又は代替的に、1回以上の吸入を血液検査によってモニタリングし、数種のPK効果又は完全なPKプロファイルを抽出する。これには、個人化された初期用量及び/又はレジメンを確立するために、いくつかの異なる用量の投与が含まれてもよい。PK効果を得て分析する場合、第1相関(所定気化量/用量の関数としての経時的な血中濃度)を記録してもよい。この相関は、大幅な体重変化や腎臓及び/又は肝臓機能の変化が生じない限り、1人の所与の患者で同じままである場合もある。広く一般に知られているように、経時的な血中濃度の関数としてのPD効果などの第2相関を使用してもよい。2つの相関に基づいて、個々の初期用量/PDの経時的な相関を患者ごとに決定してもよい。必要に応じて、直接的な相関は、所定気化量/用量の関数としての経時的なPD効果の間で、所与の患者について測定し、使用する。
PKPDフィードバックの受信(図19の1903参照)は、ユーザの半制御(自発的又は非自発的)指示及びユーザの非制御(非自発的)指示など、いくつかのクラスのユーザ指示/情報の少なくとも1つを含むように実行される。
PKPDフィードバックの受信(1903)には、ユーザに制御された指示及び/又は情報の受信が含まれてもよく、ここではユーザは知覚及び/又は感知された効果ならびに/あるいは望ましい範囲の効果に関して入力することも可能である。例えば、装置のユーザインターフェースを介した、及び/又は医師による尋問(例えば疼痛の程度及び/又は精神活性効果の程度の等級分け)に対する1つ以上の回答を入力しながら、ユーザは自らが提供する入力情報を制御している。回答には、スケールの等級分け(例えば1~10の疼痛のスケール)、イエス/ノーの回答(例えば、悪心が解消されたか否か、又は嘔吐せずに食物を食べられたか否か)、及び/又は効果の時間的記述(「疼痛が消え始めたことに気付いたのはいつか」、「吸入から尋問までの間にどのように疼痛が感じられたか」等)が含まれてもよい。尋問は定期的(例えば、1日に1回、又は数時間ごとに、又は吸入時、又は吸入前の必要時に)であっても、治療期間の一部のみに限定してもよい。例えば、尋問は、レジメンを決定するために最初の6、12又は24時間にわたって行い、その後、レジメンの確認及び/又は進行状況の再調整のために周期的に(例えば、1日1回、又は週に1回、又は1か月に1回、又は必要時に)反復してもよい。
PKPDフィードバックの受信(1903)には、ユーザの半制御指示の受信が含まれ、ここではユーザはユーザの状態の測定に参加することができる;一方、これらの指示にはユーザ服薬遵守が必要であり、ユーザは結果についてはほとんど又は全く制御できないか、又は全く制御できない。例えば、装置と通信するセンサを身体に取り付けることや、特性(例えば充血)の感知を可能にすることをユーザに指示してもよい。必要に応じて、又は代替的に、ユーザインターフェースは例えば瞳孔に従うことによって、ならびに/あるいはユーザにタスクを実行するように指示することによって、ユーザを検査することも可能である。タスクの例には以下のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない:目で画面上のマークを追う;壁に触れることなく、あるパターンを通過して画面上のマークをドラッグする;知的作業を完成させる(数学的方程式を解く、又は質問に答えるなど);ゲームによって記憶を検査する;集中力を検査する。
PKPDフィードバックの受信(1903)には、ユーザが制御していない指示の受信が含まれ、ここでは吸入器又は吸入器と関連付けられた装置は、ユーザの1つ以上の特性をユーザの状態の指示として感知し、ユーザに対する吸入用量レジメンの1種以上の効果の指示としてそれを使用してもよい。例えば、ユーザにプロンプトを表示することなく吸入中の口の温度及び/又は瞳孔サイズを感知し、各感知はPD効果を示してPD効果として作用し得ること;振戦又は振戦の変動を感知すること;例えばユーザに装着及び/又は移植されたセンサとの相互作用によって心拍数及び/又は血圧を感知すること。
必要に応じて、また代替的に、装置の気流特性の感知をユーザの状態の指標として使用してもよく、このような気流特性には、吸入イベント中の流速、ならびに/あるいは流速の増加率、ならびに/あるいは流量変動の程度及び/又は割合のうち1種以上が含まれる。例えば、健康の改善もしくは低下(例えば、ユーザの吸入特性/パターンに影響し得る強度及び/又は疼痛によって示される)及び/又は集中力もしくは注意力を示し得る1つ以上のベースライン値からの変化を考慮する。
必要に応じて、調整レジメンの作成(図19の1904参照)を実行し、調整投薬量及び/又はレジメンを作成する。以下の1つ以上が発生した場合に、調整投薬量及び/又はレジメンは必要となる可能性がある:
1.治療された症状の1つ以上が十分には緩和されていない;
2.1種以上の精神活性効果が所与の閾値を超える;
3.治療/有害効果の均衡が所与の閾値未満である;ならびに/あるいは、
4.考慮する必要のある状況が変化する(例えば突出痛又は吸入イベントの失念)。
特に、異なる状況及び異なる被験体において、薬剤の所与の活性は望ましい効果とも望ましくない効果とも見なされる可能性があることに留意されたい。例えば、鎮痛性、鎮静性及び/又は幻覚誘発性を示す活性薬剤では、鎮痛特性が治療効果になり、幻覚特性が有害効果になる可能性がある。鎮静に関しては、ある状況では、これは望ましい治療効果となる一方で、他の場合には望ましくないものとなる可能性がある。
必要に応じて、また代替的に、調整レジメンの作成(1904)では、用量及び/又はレジメンには、薬物の望ましくない副作用を低減するために同時投与される第2の活性薬剤(又は3種以上の薬剤)が含まれる。
神経障害性疼痛、不定期突出痛(BTH)エピソード及び疼痛因性不眠の症状を治療するためのレジメンの例を図20に示す。
図20は、活性薬剤の肺送達による疼痛及び不眠の治療用レジメンのグラフ表示であり、赤線は疼痛レベルを表し、緑線は活性薬剤の血中レベルを表し、活性薬剤は疼痛緩和する上に鎮静性があり、覚醒時に様々な用量を使用して吸入する。
図20から分かるように、午前6時30分の起床から22時30分以降の就寝まで1日わたって所定気化量(計算された投薬量)を肺送達し、ここでは患者は、例えば35歳男性でBMIが22である。患者は、慢性神経障害性疼痛、不定期突出痛(BTH)エピソード(提示した日に1回)及び疼痛因性不眠、特に睡眠導入の困難性に罹患している。上記によれば、活性薬剤(THCなど)の効果を治療ウインドウ内に少なくとも12時間維持するために、PK/PDプロファイルを予測し、初期レジメンを提案する。当該レジメンでは、治療を施さない夜間での疼痛増加を考慮して、例えば初回投与は午前7時に1.2mg投与し、その後、1.5時間ごとに0.5mgを投与した。
この例では、治療効果は、有効な治療効果を知覚するのに必要な最小用量及び最大用量に基づいて決定する最小値を必要とし、この効果は少なくとも1種以上のPK/PD効果に従って、また必要に応じて最小値の関数として決定する。最小値は治療する症状/疾患に従って変化し得る。最大値は例えば時間帯ならびに患者のスケジュール及び嗜好に従って変化し得る。
また図20は、このレジメンによって午前7時前の高い値から、重篤な疼痛のBTHを患者が経験した14時30分頃までウインドウ内に維持された値へと疼痛が減少したことを示す(赤線)。それに応じて治療ウインドウを調整する。この例では高閾値の用量を増加させる。なぜなら重度の疼痛を考慮して、いくらかの過剰な精神作用性効果が許容され、更には望ましいものにさえなるためである。また、疼痛緩和に必要な用量が高くなったため、ウインドウの最低範囲が上昇した。
更に図20から分かるように、2.4mgの吸入を投与してBTHエピソードを処置すると、高い鎮静効果を伴う疼痛の減少が予想される。疼痛が耐容レベルに戻れば、初期治療ウインドウを再確立し、初期レジメンを再開する。この初期レジメンへの復帰及び治療ウインドウの再確立は図示のとおり迅速に、又は徐々に行われてもよい。また、ウインドウの最大値及び最小値は図示のとおり同時に、又は別々の時間に変化してもよい。
更に図20から分かるように、患者が(事前に、又は実時間で)就寝時刻だと指定した時刻に投与を調整する。これは眠気のPD効果が有害効果から治療効果に変化したためである。患者は意図した睡眠時刻の約30分前に2.4mgの用量を服用する。起床前に徐々に又は迅速に用量を調整し、深夜の吸入が朝に過度の影響を及ぼすおそれがないようにする。
実施例4
肺送達プロトコル
以下は、本開示のいくつかの実施形態に従った、本明細書に提示された方法、装置及びシステムの使用例である。
例えば本明細書で図16及び/又は図17に記載されているようなMDI装置には、1種以上の揮発性の薬学的活性薬剤(単数又は複数)を含む物質をそれぞれが収容する複数の事前加重カートリッジが装填されている。MDIは、上記で説明したように、集団で得られたPK/PDデータ及び/又は特定の患者のPK効果に従って所定気化量の薬学的活性薬剤を放出するように事前に較正及び設定する。
例えば図9に上述したようなシステムには、患者に関連する個人情報(例えばPK可変要素)ならびに患者の医学的状態及び既往歴、薬剤の肺送達のための所定気化量及び時間間隔に関するデータ(投薬量及びレジメン)、事前選択した薬物動態学的プロファイル及び/又は事前選択した薬力学的プロファイルに関するデータ、患者について選択又は決定した望ましい治療効果及び耐容可能な有害効果(治療ウインドウ)に関するデータ、様々な条件(毒性、睡眠、覚醒及び運動技能、認知機能、休息等)の安全閾値に関するデータ、ならびに利用可能な場合にはシステムの過去の使用に関連するデータを事前にロードする。
最初の使用において、患者はシステムを用い、様々な個人PD効果の複数の非侵襲的客観的(測定可能なバイオマーカー)及び主観的(報告されたバイオマーカー)データ収集手順を利用して、患者についての一連の初期化試験を行い、活性薬剤への曝露の前にベースライン状態を決定することになっている。これらのベースライン試験は定期的、すなわち毎時間、半日毎、毎日、毎週、毎月、毎必要時、及び用量/レジメンの投与及び変更前に実施する。肺送達に先立って、すなわち任意の薬剤が患者に送達される前に個人のPD効果を取得することが可能であり、従ってそれを個人のPD効果のベースライン値と見なすことに留意されたい。例えば個人のPD効果が疼痛レベルである場合、システムは薬剤の量がゼロの影響下で疼痛レベルを記録する。
次に、所定気化量の薬剤又は複数の所定気化量の薬剤を所定時間間隔(所定投薬量/レジメン)で肺送達した後、客観的及び主観的バイオマーカーの全て又は一部をモニタリングしながら、患者はMDI装置を使用する。
いくつかの実施形態では、モニタリングには個人のPD効果の決定が含まれる。様々なパラメータは例えば患者インターフェースを介して患者が自発的に提供してもよく、他のパラメータはセンサ及び/又は医師インターフェースを介してシステムが別々に収集してもよい。知覚した治療効果(例えば疼痛レベル)及び知覚した有害効果(例えば精神活性レベル)などの個人が知覚したパラメータは、例えば患者が患者インターフェースディスプレイと対話することによってシステムに書き込まれる。個人が知覚したパラメータを取得するためのアプリケーションは、例えば知覚した効果の見解に基づいて患者が部分変更できる棒グラフなどのグラフを患者に視覚的に提示してもよい。
他の個人のPD効果にはバイオマーカーの存在及び/又はレベルが挙げられる。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーの存在及び/又はレベルは、1つ以上のセンサを用いて決定する。必要に応じて、センサは、バイオマーカーを推定できる根拠となる指標を収集するために利用される、スマートフォン、携帯型装置、ウェアラブル装置、リスト装置又は一体型アイウェア装置などのモバイルパーソナル装置の共通部品である。あるいは、バイオマーカーはモバイルパーソナル装置と対になった外部要素を介して検出及び測定される。
患者からパラメータを取得するためのセンサとして使用し得る部品には以下のものが挙げられる:タッチスクリーンは例えば器用さ、目と手の協応ならびに/又は記憶及び認知状態を評価するために使用し得る;ジャイロスコープ、加速度計、近接センサ及び/又はIRセンサなどの身ぶりセンサは例えば運動技能を評価するために使用し得る;カメラ及び/又は光源は例えば視覚追跡、断続性運動変化、眼血管拡張、瞳孔拡大及び/又は脈動を検出するために使用し得る;RGB照明は例えば環境知覚を評価するために使用し得る;磁力計及び/又はGPSは例えば方位を評価するために使用し得る;スピーカ及び/又はマイクロフォンは例えば聴覚及び/又は発声技術を評価するために使用し得る;温度及び/又は湿度センサは例えば体温を評価するために使用し得る。
その他のバイオマーカーは例えば、患者の認知的、精神的、運動的及び/又は身体的状態を検査するように設計された患者インターフェース及び/又はMDI装置上に構成された1種以上のアプリケーションの補助によって決定してもよい。
バイオマーカー評価方法には、眼球衝動性運動評価(衝動性運動など)、記憶検査、適応トラッキング、指タッピング評価、重心動揺評価、ヴィジュアルアナログスケール適合及び/又は他の評価方法のうちの1種以上が挙げられる。いくつかの実施形態では、アプリケーションは、例えば反応時間、注意力、視空間スパン、空間‐時間推論、名前想起、物語想起、人相想起、名前‐顔関連付け、構築、言語流暢性、物体名付け、潜在記憶、論理的推論及び/又は他の認知タスクなどの当技術分野で公知の多様な認知タスクを利用して患者を検査するように設計される。
いくつかの実施形態では、収集したパラメータは例えば図9に記載されているように患者インターフェースのメモリに記憶する。必要に応じて、収集したパラメータは例えば図9に記載されているように医師インターフェースに転送する。場合により、パラメータは、MDI装置の使用中に実時間で転送する。
客観的及び/もしくは主観的尺度に従って、又は他の何らかの理由で、使用中、患者の症状が緩和されず、ならびに/あるいは特定の閾値を超える有害効果が存在すれば、用量及び/又はレジメンを部分変更してもよい。いくつかの実施形態では、患者は、患者インターフェースを介して個人が知覚したPD効果を入力することによって用量/レジメン調節を開始する。そのシステムは、他の客観的及び主観的PD効果に関する一連のデータ収集を行い;患者に入力された個人が知覚したPD効果及び安全カットオフ値に関連付けてデータを分析し;認可、推奨及び/又は処方された用量/レジメンに対して、多少とも、患者に注意を促す;ことが可能である。例えば、システムは用量/レジメンが安全でないこと又は用量/レジメンが有効でないことに対して患者/医師に注意を促し、及び/又は用量/レジメンが処方用量/レジメン又はシステムデータベースに記録されている過去の経験とは異なっていることに対して患者/医師に注意を促し、及び/又は時間帯、活動及び場所ごとの所与の用量/レジメンの逸脱(「時間がが早すぎる」、「家から遠すぎる」「移動車両中」等)を患者に知らせてもよい。用量/レジメンのPDに基づく個人化は、今後の参考のためにモニタリングし、記録し、また再決定した初期気化量及びレジメンに変換してもよい。
その後、患者インターフェースは、安全閾値及び/又は医師が初期に定義した閾値などの他の閾値による調節を制限しながら用量及び/又はレジメンを自動的に部分変更する。追加的に、又は代替的に、医師は、個人のPD効果を受信したときに、例えば患者インターフェースを使用して用量及び/又はレジメンを部分変更し、指示を患者インターフェース及び/又はMDI装置に転送する。必要に応じて、医師は、患者個人のPDプロファイルを再選択し、及び/又は個人の投薬量/レジメンを再選択し、患者の治療ウインドウに合わせる。追加的に、又は代替的に、患者及び/又は医師はMDI装置を手動で(例えば、装置上のボタン又はスイッチを起動することによって)操作し、望ましい用量及び/又はレジメンを設定する。
実施例5
活性薬剤の組み合せを使用する治療
本開示のいくつかの実施形態によれば、活性薬剤併用治療には、相乗効果を与える複数の活性薬剤、同じ効果をを与えるがそれぞれが異なる利点又は欠点を示す複数の活性薬剤、互いに又は他の活性薬剤を増強又は減弱させる複数の活性薬剤(例えば、互いの有効な治療ウインドウ又は治療指数を変える)、例えばTHCがCBDによって中和されるような相反する効果をを与える複数の活性薬剤、及び反作用性ではあるが望ましい効果を有し、離間することを必要とする複数の活性薬剤が挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、例えば、ここに記載の装置を用いて実施される併用治療の可能性ある利点としては、複数の活性薬剤の各々及び各吸入イベントでの投与が正確になること、ならびに活性薬剤間及び/又は吸入イベント間の割合が正確になることが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
例えば、いくつかの実施形態では、複合的なレジメンを送達できるということは、用量及び/又は各薬剤の投与時間間隔が多様になるということである。例えば、当該装置には用量ユニットの収容部又は1つ以上のマガジンが備えられてもよく、少なくともその用量ユニットのいくつかは異なる量の1種以上の活性薬剤及び/又は1種以上の活性薬剤の組み合わせを含んでいる。従って、用量ユニット又は用量ユニットのセットは、望ましい結果又は組み合わせを提供するように選択してもよい。追加的に、又は代替的に、薬剤(例えば植物性素材)を含む物質を加熱する温度及び持続時間に影響されて1つ以上の用量ユニットから気化するように活性薬剤の量を制御することによって、及び/又は物質を通過する気流を制御することによって、併用が可能になる。
ここで提供されている併用治療の他の利点には、服薬遵守の向上及びユーザエラーの低減が少なくとも精密なモニタリングによって実施されること、ならびにエラーを修正し、及び/又は予期せぬイベントに対応するためにレジメン調整が実時間で実行されることが挙げられる。
併用治療に対する制御には、複数の活性薬剤の同時送達又はほぼ同時送達が挙げられ、これは例えば:
i.複数の活性薬剤を収容する用量ユニット;
ii.制御可能に迅速に連続して使用される異なる活性薬剤の組み合わせを収容する複数の用量ユニット;及び/又は
iii.異なる活性薬剤を収容する複数の用量ユニットの同時使用を利用して実施できる。
2種以上の異なる活性薬剤又は活性薬剤組成物の吸入イベント間のタイミングは、それらのPK及び/又はPD効果、ならびに活性薬剤間でのそれら効果の望ましい重複又は欠落に基づいて、必要に応じて同一時間にユーザに存在している場合に1種の活性薬剤が他の薬剤のPK及び/又はPD効果に与える可能性のある影響を考慮して、選択することも可能である。必要に応じて、患者の快適性及び/又は服薬遵守を改善するために吸入回数を減らすように注意を払う。
本開示のいくつかの実施形態に従った同時投与レジメンには、例えば:
i.各活性薬剤はそれ自体の独立したレジメンを有する工程;
ii.活性薬剤は依存様式で送達する工程(例えば、第2活性薬剤は、第1活性薬剤の投与後の所与の時間内に送達する);
iii.突出痛を治療するための、又は精神活性効果を減少させるためのユーザの要求時に、要求に応じて、例えば即時投与で活性薬剤を送達する工程;の1つ以上が含まれ;
2種(又はそれ以上)の活性薬剤の同時送達には:
a.成分中に複数種の天然に存在する活性薬剤を有する植物(例えば大麻)(注記:望ましい活性薬剤の比率を得るために植物種を選択する);
b.異なる薬物の組み合わせを有する複数種の植物性素材の混合物;例えば各植物性素材は異なる活性物質を含むか、又は過剰な第2活性薬剤を含む他の植物性素材と比較して過剰な第1活性薬剤を有する;
c.抽出された活性薬剤の組み合わせ、又は必要に応じて、1種以上の活性薬剤を含む植物性素材に1種以上の活性薬剤を含む1種以上の抽出物の添加;の使用が含まれてもよい。
本開示のいくつかの実施形態に従って、装置内で異なる活性薬剤を含む異なる用量ユニットを提供することによって、及びそれらの相対的な気化のタイミングを制御して各々異なる吸入イベントで異なる活性薬剤又は活性薬剤組成物を選択的に気化させることによって(例えば、望ましい組成を有する用量ユニットを選択することによって、及び/又は複数の用量ユニットを適合させて活性薬剤の望ましい量/組み合わせを提供することによって)、同時投与レジメンが送達可能になる。
本開示の実施形態に従った本明細書に提供された装置及び方法を用いて効果的に送達され得る数種の活性薬剤の組み合わせには、ニコチンとTHC、カフェインとTHC、及びCBDとTHCが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
THC誘発性精神活性を減弱させる併用治療の例としては、THCの吸入前、吸入中もしくは吸入後、又はTHC誘発性精神活性の出現/観察/知覚時に、吸入による用量10~60mgのCBD投与を、最長1分の時間間隔で、最大6回の投与(合計で1日360mgのCBD)で、又は症状の低下まで吸入を繰り返して行うことが挙げられるが、これに限定されるものではない。
THC誘発性精神活性を減弱させる代替的併用治療としては、THCの吸入前、吸入中もしくは吸入後、又はTHC誘発性精神活性の出現/観察/知覚時に、吸入による用量10~40mgのリモネンの投与を、最長1分の時間間隔で、最大6回の投与(合計で1日240mgのリモネン)で、又は症状の低下まで吸入を繰り返して行うことが挙げられるが、これに限定されるものではない。
以下の表3は、本明細書中で提示した装置及び方法を用いてTHC及びCBDの同時投与に応答する障害及び疾患を治療する際に有用な投与レジメンを示す。当該レジメンは平均的な患者サイズのための周期的障害/イベント、一時的及び慢性的(12時間の治療期間)治療を表す。
以下は、THCとCBDとの組み合わせを用いた背痛患者の治療例である。本開示に従った装置を用いて治療を施す。レジメンは、患者を以下の治療ウインドウ内に維持するために行われる。
1.少なくとも患者が目覚めている限り、疼痛を所与の閾値未満に維持すべきである。
2.精神活性効果は、患者の活性及び意識を望ましいレベルにする所与の閾値未満に維持すべきである。
3.突出痛の場合、及び眠気あった方がよい夜間に、精神活性レベルを上昇させてもよい。
図21は2種の活性薬剤THC及びCBDの組み合わせの肺送達による疼痛治療のためのレジメンのグラフ表示であり、破線は有害(精神作用性)効果のレベルを、実線は疼痛レベルを表し、THCは0.5mg(白色の三角形)、1.2mg(灰色の三角形)及び2.4mg(黒色の三角形)の用量ユニットを用いて吸入し、CBDは25mg(白色の菱形)の用量ユニットを用いて吸入する。
図21から分かるように、患者が朝に起床したときから、THCの各投与の約20分前に、25mg用量のCBDを収容する用量ユニットを患者に投与する。初回用量ユニットは1.2mgのTHCを収容する。この用量は、夜間に起こった残留痛の蓄積を除去する必要があるため、通常の用量よりも多い。これに続いて、2時間に約1回、25mgのCBDに0.5mgのTHCがプラスされた一対の用量を収容する用量ユニットを使用する。図21に示すように、精神活性が低レベルに保たれている間は、疼痛レベルは低く、一定のままである。
更に図21から分かるように、患者がCBD前駆体用量を摂取した後、午後2時頃に突出痛が予想外に現れている。このイベントはユーザインターフェースを介して装置システムに入力し、それに応じてユーザは(医師の介入の有無にかかわらず)2.4mgのTHCを服用するよう指示される。精神活性の予測される増加を低減又は防止するために、この大量のTHCに追加的に25mgのCBDを同時投与し、大用量のTHCを投与してから約2時間後に更に別の用量のCBDを投与する。
更に図21から分かるように、突出痛が減少したら25mgCBD+0.5mgTHCの併用投与を再開する。第1の例では、突出痛のために過剰THCを早期に摂取することを考慮して併用投与を行う点に留意されたい。
最後に、図21から分かるように、就寝前には眠気が必要であり、従ってより高いレベルの有害効果でも許容するように精神活性閾値がシフトする。従って最終投与は、CBD前駆体なしで単独で摂取する高用量1.2mgのTHCである。
実施例6
ユーザ/医師インターフェース入力及び出力
以下は、本開示のいくつかの実施形態に従ったユーザインターフェース入力カテゴリの説明である。
一般的に、及び必要に応じて、ユーザインターフェースは、ユーザからのフィードバックを提供することが可能であり、当該フィードバックは:
1.ユーザの個人識別情報;
2.治療/投薬量/レジメンに関する、知覚又は測定された治療効果もしくは有害効果;
3.タイミングならびに/あるいは許容可能及び/又は望ましい治療効果もしくは有害効果に関するユーザからの指示/要求の1つ以上を示す。
ユーザの個人識別情報は、ユーザの応答(パスワード、パターン入力又は他の問題要求)又は生体識別手段(顔及び/又は音声認識、指紋、網膜スキャン)によってモニタリングできる。使用活動(装置保持/把持、吸入、停止)は、熱感知、電荷及び加速度計によってモニタリングできる。
知覚又は測定された治療効果又は有害効果には、治療関連効果(疼痛/悪心/PDレベル)及び/又は副作用(PD)の1つ以上が挙げられ、異なるクラスの適応症で提供され得る:
必要に応じて、定期的に(例えば、1日1回、又は数時間ごと、又は吸入の準備時、又は吸入前の要件として)ユーザに尋問してもよく、また治療期間の一部のみに限定してもよい。例えば、レジメンを決定するために尋問は最初の6、12又は24時間にわたって行ってもよく、その後、レジメンを確認するために、及び/又は進行状況を考慮して再調整するために、周期的に(例えば、1日1回、又は週に1回、又は月に1回、又は必要時に)繰り返してもよい。
必要に応じて、ユーザは随意にインターフェースと対話してもよい。
ユーザインターフェースは指示/情報をユーザが制御するために使用することが可能である。例としては、自発的に、あるいは装置及び/又は開業医による尋問への回答として(例えば、疼痛の程度及び/又は精神活性効果の程度を等級分けする要求への回答)、データ入力することが挙げられる。
ユーザが半制御する指示の例としては、ユーザが自分の状態の測定に参加している点が挙げられる。このような場合、これらの指示にはある程度のユーザの服薬遵守が必要であるが、ユーザは、所定気化量の決定などの装置の出力及び応答で表示されるような結果はほとんど又は全く制御できない。
例としては以下が挙げられる:
ユーザ自らがセンサ(例えば充血又は心拍数センサ)を受け入れること;
ユーザがゲームをプレイするなどのテストを行うこと、あるいは、例えばユーザの瞳孔をモニタリングしながら目で画面上のマークを追う、壁に触れることなくあるパターンを通過して画面上のマークをドラッグするなどユーザがタスクを行うことを指示すること;数学的方程式を解く、又は冗長な質問に答えるなど知的タスクを完成させること;記憶及び/又は集中ゲームをプレイすること;等。
ユーザが制御していない指示は、ユーザの状態の指示を提供するために1種以上のユーザ特性を感知し、その情報を使用して、所定気化量、用量及び/又はレジメンの決定を制御し、それによってユーザにおける1種以上の治療/有害効果を制御することに関連するユーザインターフェースが含まれる。
例としては以下が挙げられる:
高いPD効果を示し得る口の温度又は瞳孔サイズを感知する;
振戦又は振戦の変動を感知する;
例えばユーザに装着及び/又は移植されたセンサとの相互作用によって心拍数及び/又は血圧を感知する;
ユーザが誘導する装置の気流特性を感知する。このような気流特性には、吸入イベント中の、流速、ならびに/あるいは流速の増加率、ならびに/あるいは流量変動の程度及び/又は割合のうちの1種以上が含まれる。例えば、健康の改善又は低下(例えば、ユーザの吸入特性/パターンに影響し得る強度及び/又は疼痛によって示される)を示し得る1つ以上のベースライン値からの変化を考慮する。
必要に応じて、ユーザは、事前に、及び/又は吸入セッション中に、ユーザインターフェースを介して装置に指示/要求を提供することが可能である。
例としては以下が挙げられる:
今後の使用で反復するために保存できるように所与のレジメン/感知効果を定義する工程。例えば、ある精神活性状態は望ましい「既定値」状態としてユーザにより定義することも可能であり、別の精神活性状態は「十分に疼痛のない」と定義することも可能であり、更に別の精神活性状態は「特定のタスク(例えば、運転)での能率が良好である」と定義することも可能である。このような指定は、例えば医師の入力又は一定期間の最大許容投薬量等に基づいて、装置によって課された制約を受ける場合もある。必要に応じて、その後の吸入では、継続的な投与レジメン;
一般的なレジメンの要求(例えば、眠気が望ましい影響となり、もはや望ましくない副作用でなくなる睡眠時間;仕事又は勉強又は運転行為などの特別な認識が必要な時間);を改善するため、この望ましい効果がどの程度うまく達成されたかを示すようにユーザを促してもよい。
必要に応じて、用量の要求又はレジメンの要求又はユーザに提案された投与レジメンは、装置による実施に先立って承認を得るために医師に送信される。必要に応じて、当該要求は、装置が要求を実行すると必ず事前入力された制約が逸脱してしまう場合にのみ送信される。必要に応じて、いくつかの制約は厳格に定め、医師の承認に関わらず逸脱することはできないようにする(例えば致死量);
ユーザインターフェースによってユーザは手動で(例えばタッチスクリーン、又は装置によって捕えられた画像上等で)1日の精神活性状態を作表/計画することが可能になり、それに応じて装置をレジメンに適合させる。ユーザは時間ベースの図表上に精神活性レベルを作図し、1日の望ましい精神活性を示すことも可能である。必要に応じて、ユーザは精神活性状態及び治療状態を定義する。すなわちユーザは治療ウインドウの決定に関与し、装置は、所望のPKPDバランスを達成することが知られているか又は予測される適切なレジメンを計算する。但しそのレジメンが自由選択的に事前に課された任意の制約内に該当する場合に限る;
計画外の変更(例えば、意識の高まりを必要とするタスク、又は他のスケジュールの変更、又は突出痛のような突然の医学的要求を実行することが予想外に必要となる);
装置のスヌーズ、又はセッションの失念。必要に応じて、装置はスヌーズが許可された時間枠に制限を課す;
いくつかの実施形態によれば、装置は、装置及び患者個人の治療情報と通信するセンサに基づいて時間及び場所に依存する治療を提供する。センサは(GPS/WiFi等に基づいて)時間及び位置データを提供し、ならびに/あるいは位置データがユーザインターフェースを介して提供され、特定の治療ウインドウが有効である境界が決定され、それによって時間/場所に依存する用量及び/又はレジメンのみならず特定の時間/場所に依存する一連のアラートが選択される。
例えばGPS又はWiFi又は入力をベースとした地理的位置情報(例えばジオフェンシング)を介した用量/レジメン/装置操作に対して、特定の位置及び/又は時間に依存する制約を設定する。例えば、いくつかの領域では、異なる用量及び/又はレジメンの境界が課される(例えば仕事対家庭)。例えば、既定の自由度は、装置を提供する際に医師から処方される。要求に応じて1種以上の他の自由度を事前に設定し、計算してもよい。これらの自由度は治療の境界(治療ウインドウ)として明示してもよい。必要に応じて、治療ウインドウを位置依存的にしてもよい。例えば、ユーザの職場は、ユーザが特定の精神活性状態にならない領域として指定することも可能であり、一方、ユーザの自宅住所地ならびに必要に応じて深夜及び夜間は自由な精神活性領域と考えることも可能である(他のタイプの場所はあらゆる種類の規定値事前設定のために考慮される)。場合によりユーザインターフェースに提供されたアラートは位置感知型であるため、例えば音や音量が職場で制限されることもあり;また
ユーザのインターフェースはユーザの嗜好、日常的な活動及び場所等に関する情報を記憶、分析及び使用するためのデータベースを備える。
ユーザインターフェース出力には、例えば電子メール又はテキストメッセージによってユーザ、医師の介護者又は医療センターに提供される自動テキストメッセージが含まれてもよい。
出力は全般的に又は個々に個々のユーザに利用可能であってもよい。
以下は対象となるいくつかの具体例である:
患者、介護者又は事前に指定された任意の個人もしくはシステムに対して提供され、比較的高い精神活性状態にあるときのユーザを支援及び/又は保護するように設計された出力及び/又はアラート。有害効果が知覚及び/又は予測された場合、ならびに/あるいは、特定の精神活性レベルに達したときの指定された受領者(例えば、親族又は隣人)へのアラートなどユーザの要求がある場合、以下が実行され得る。
ユーザ個人のスマートフォンや他の装置で「邪魔しないでください」など、有害効果(精神活性)レベルに依存するメッセージを設定する。例えば、ユーザが特定の有害効果レベルを経験すると、事前に選択した発信者からの呼び出しを遮断し、及び/又は自動的にテキストメッセージで応答してユーザが利用可能でないことを示し、それによって治療セッション中の不安を低減できる可能性がある;
急性有害効果が予想されると(例えばレジメンに基づいて、及び/又は治療セッション中に)、「予想アラート」を付与してもよい。このような場合、インターフェースはユーザを安全な環境に誘導し、事前選択した受領者に状況を伝える可能性を提供し、有害効果を緩和するために食品/飲料の準備があることを示唆し、緊急予防措置として装置から解毒剤投与を準備し、ならびに/あるいは介護者及び/又は医師に通知を提供してもよい;
ユーザの有害効果レベルの視覚的実時間表示は例えばグラフ、図表、数字、棒グラフ、線グラフ、又は任意の他の視覚的表現として提供してもよい。
必要に応じて、この表示は、常にユーザ及び/又は医師及び/又は介護者が見ることができる。視覚的表示には、摂取用量に関する吸入器、精神活性PDをシミュレーションするPK/PDアルゴリズム、吸入器使用及びその効果についてのユーザの履歴、ならびに感知された情報の1つ以上から得られたデータが含まれ得る。
医師インターフェースには、例えば医師から提供されたレジメンが含まれてもよい。このレジメンはユーザ、又はユーザの受諾の対象者に課してもよい。必要に応じて、当該レジメンには、医師の介入又は承認なしにユーザ及び/又は装置がレジメンを部分変更できる自由度がある。このような場合、医師には治療セッションの前及び/又は後に通知してもよい。
医師インターフェースはまた、ユーザが特定の有害効果レベル(例えば特定の精神活性レベル)に達したとき、又はユーザが特定の有害効果レベルに近づいているときに一連の特定のアラートを提示するように構成されており、それによって医師は、ユーザがその状態にあるときに使用可能なすべてのパラメータを追跡できるようになる。必要に応じて、ユーザが特定の有害効果レベルに達すると/近づくと、医師は「個人化したメッセージ」をユーザに送信するように設定するできる。
医師はユーザに選択又は要求された投与レジメンを承認/拒否/部分変更できる場合もある。
本開示の実施形態によれば、任意のカテゴリの入力情報を取得するためのユーザ/医師インターフェースには、上記の例(ユーザ制御又はその欠如及び視覚的概略図、音声、テキスト等)を可能にするインターフェースであればどのようなインターフェースも含まれる。センサは吸入装置内に一体化し、あるいはその装置と関連付けられるか、又は通信することが可能である。センサは専用のセンサとすることが可能であるが、又は他の用途(例えば心臓関連特性についてのペースメーカーとの通信)の装置を活用してもよい。
環境センサはユーザのPD及び/又は健康の表示として、ユーザ活動に関する情報を提供できる。例としては心拍センサ、ペース/運動/速度センサ、及びGPS位置が挙げられる。
実施例7
活性薬剤のレジメン
以下は、本開示のいくつかの実施形態に従った大麻植物由来の活性薬剤THCを肺送達するための投薬量及び/又はレジメン及び指示を詳細にする表である。
以下の表4は、治療可能で、及び/又はTHCに治療的に応答する症候群(症状、イベント、障害及び疾患)に従った投薬量及び/又はレジメンを収載している。レジメンの用量、個別単位又は一部はTHCの単一の所定気化量に相当する。
様々な治療には、予防的治療(障害/イベント前治療)、すなわちイベント前の用量が処方され得る時間及び/又は状況に基づいてイベントを予測したときの、本明細書に提示の装置を介したTHCの肺送達;急性又は一時的治療、すなわちエピソードが発生したときの、本明細書に提示の装置を介したTHCの肺送達、及び症状(単数又は複数)の持続時間(症状(単数又は複数)が鎮まるまでの期間);半慢性又は慢性治療、すなわち急性症状の認知に関係なく、又はイベント/症状(単数又は複数)が長期間持続し得る場合の、本明細書に提示の装置を介したTHCの肺送達が挙げられる。
治療は12時間の治療期間での上記の群に基づいた平均患者サイズについての以下の表4に示す。
実施例8
精神活性薬剤(単数又は複数)を含む植物
精神活性薬剤は神経伝達物質(アセチルコリン、セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリンなどの神経系内の化学的メッセンジャ)の放出に影響を及ぼすことによって、又はそれらの作用を模倣することによって様々な方法で中枢神経系に影響を与える。精神活性薬剤は、限定するものではないが鎮静剤、刺激剤、興奮薬、ならびに精神覚醒及び身体活動の興奮薬;疲労軽減薬剤、食欲増強剤/抑制剤、幻覚剤、知覚改変剤、気分改変剤、抑制剤及び刺激薬など、その効果に基づいて分類することが可能である。
以下は、薬理的及び精神活性特性をもたらすための、本開示の実施形態に従った揮発性活性薬剤(単数又は複数)の原料として使用可能な植物のいくつかの例である。
ケシ(罌粟(Papaver somniferum);ケシ科(Papaveraceae))は、哺乳動物における鎮痛、鎮静、催眠及び幻覚作用が知られている。アヘン中の活性薬剤にはアルカロイドが含まれるが、モルヒネ、コデイン、テバイン、パパベリンなど30種類以上のアルカロイドがアヘン中で同定されている。アヘン及び/又はアヘン由来活性薬剤の医薬としての使用には、鎮痛剤、重度疼痛管理(特にモルヒネ)、疼痛又は無痛の併発での不眠(アヘンチンキ)、咳抑制(コデイン)ならびに下痢コントロール及びパレゴリックが挙げられる。
キャバ(カワカワ(Piper methysticum);コショウ科(Piperaceae))は鎮静作用、抑鬱作用及び催眠作用が知られている。キャバの活性薬剤には、カバイン、ヤンゴニン、10‐メトキシヤンゴニン、11‐メトキシヤンゴニン、11‐ヒドロキシヤンゴニン、デスメトキシヤンゴニン、11‐メトキシ‐12‐ヒドロキシデヒドロカバイン、7,8‐ジヒドロヤンゴニン、5‐ヒドロキシカバイン、5,6‐ジヒドロヤンゴニン、7,8‐ジヒドロカバイン、5,6,7,8‐テトラヒドロヤンゴニン、5,6‐デヒドロメチスチシン、メチスチシン及び7,8‐ジヒドロメチスチシンなどのカバラクトンが挙げられる。カバインは、アスピリンの約2倍の中程度鎮痛効果があり、軽度の麻酔剤及び精神安定剤として作用する。様々なカバラクトンは様々な精神活性効果をもたらし、精神安定剤及び睡眠促進剤として有用であることが分かっている。葉、茎及び樹皮は硬直及び筋肉疲労を緩和する筋弛緩剤として使用可能であることが分かっており、植物抽出物は抗不安薬として使用されている。
チョウセンアサガオ属(Datura spp)(チョウセンアサガオ(Datura stramonium)、シロバナヨウシュチョウセンアサガオ(Jimson weed);ナス科(Solanaceae);ナイトシュサデ(Nightshsade)ファミリー)は、哺乳類における媚薬及び幻覚剤効果が知られている。チョウセンアサガオ中の活性薬剤には、アトロピン、ヒヨスチアミン、スコポラミン等のトロパンアルカロイドが含まれる。チョウセンアサガオ(植物全体及びその一部)及び/又はチョウセンアサガオ由来の活性薬剤の使用には、性的興奮の覚醒、刺激及びその後の中枢神経系の抑制ならびに幻覚誘発が挙げられる。
ウバタマ(メキシコセンニンショウ(Lophophora williamsii)サボテン科(cactaceae))は30~40種の異なる強力なアルカロイドを含み、メスカリンはその群で最も活性的な幻覚剤である。ウバタマは通常、性的刺激剤及び幻覚剤として使用する。
アヤフアスカ(魂の蔓(Vine of the Soul)、バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi);ヤヘー(Yage))はヒトにおいて幻覚活性を誘発し、セロトニンと構造的類似性を共有する多くのアルカロイドを含む。これは、抗鬱剤として、また幻覚を誘発するために使用されている。
既知の精神活性特性を有する活性薬剤(単数又は複数)を含む他の植物には、限定するものではないが:
被子植物ファミリーにはナス科(イヌホウズキ(Nightshade))、ベラドンナ(西洋ハシリドコロ)(幻覚剤)、チョウセンアサガオ属(シロバナヨウシュチョウセンアサガオ)(幻覚剤)、マンドラゴラ(マンドレーク)(幻覚剤)、タバコ属(Nicotiana spp.)(タバコ)(刺激剤/抑鬱剤)、アカネ科(coffee)(コーヒー)、ケシ(罌粟)(抑鬱剤)、コカノキ(Erythroxylaceae coca)(コカ)(刺激剤)、ヒルガオ科(Convolvulaceae)(アサガオ)、サボテン科(Cactaceae)、メキシコセンニンショウ(ペイヨーテ)(幻覚剤)、コショウ科(Piperaceae)、カワカワ(キャバ)(抑鬱剤)、マルフィギナセアエ(Malphiginaceae)、ならびにバニステリオプシス属(Banisteriopsis sp.)(アヤフアスカ)(幻覚剤)などがある。
表5は本開示のいくつかの実施形態の文脈で使用可能な活性薬剤を含む数種の植物をまとめたものである。
本発明はその特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替例、変更例及び変形例が当業者に明らかになろうことは明白である。従って、本発明は添付の特許請求の範囲の精神及び広範な範囲内にあるそのような代替例、変更例及び変形例のすべてを包含することを意図している。
個々の刊行物、特許又は特許出願の各々が参照によって本明細書に援用されていることが具体的かつ個別に示されているのと同等に、本明細書中で言及した全ての刊行物、特許及び特許出願は、参照によってその全体が本明細書に援用される。また、本出願における参照全ての引用又は同定については、そのような参照が本開示の先行技術として利用可能であることが認められていると解釈すべきではない。項の見出しが使用される程度まで、その見出しは必ずしも限定的であると解釈すべきではない。
関連出願
本出願は、2014年6月30日付米国特許仮出願第62/019,225号(代理人整理番号第59426号);2014年8月11日付第62/035,588号(代理人整理番号第59871号);2014年12月1日付第62/085,772号(代理人整理番号第59424号);2014年12月2日付第62/086,208号(代理人整理番号第61145号);及び2015年5月21日付第62/164,710(代理人整理番号第60652号)の優先権を主張するものであり、全ての内容は本明細書に完全に示されているように、参照によって本明細書に援用される。
関連出願
本出願は、2014年6月30日付米国特許仮出願第62/019,225号(代理人整理番号第59426号);2014年8月11日付第62/035,588号(代理人整理番号第59871号);2014年12月1日付第62/085,772号(代理人整理番号第59424号);2014年12月2日付第62/086,208号(代理人整理番号第61145号);及び2015年5月21日付第62/164,710(代理人整理番号第60652号)の優先権を主張するものであり、全ての内容は本明細書に完全に示されているように、参照によって本明細書に援用される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 植物性素材を制御可能に加熱して少なくとも1種の所定気化量の薬剤を気化させることによって、植物性素材中の少なくとも1種の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するための定量吸入装置;及び
被験体において前記薬剤が誘導する少なくとも1種の薬力学的効果を示すデータに基づいて前記所定気化量を制御するように構成された前記吸入装置と通信するコントローラを備える、システム。
[2] 前記データは、前記薬力学的効果をモニタリングするように構成された少なくとも1つのセンサ、及び/又は前記薬力学的効果をモニタリングするための少なくとも1つのセンサから得られるデータを入力するように構成されたユーザインターフェース装置を介して得られる、[1]に記載のシステム。
[3] 前記コントローラは遠隔制御装置から前記所定気化量に関する操作設定データを受信するように構成されている、[1]~[2]のいずれか1項に記載のシステム。
[4] 前記コントローラは前記センサ及び/又は前記ユーザインターフェース装置から前記データを受信するように構成されている、[1]~[2]のいずれか1項に記載のシステム。
[5] 前記コントローラは前記センサ及び/又は前記インターフェース装置と直接及び/又は間接的に通信する、[1]~[4]のいずれか1項に記載のシステム。
[6] 前記コントローラは気流、加熱温度、加熱速度、加熱パターン、加熱時間及びこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを制御することによって前記所定気化量を制御するように構成されている、[1]~[5]のいずれか1項に記載のシステム。
[7] 前記コントローラは肺送達のタイミングを制御することによって前記所定気化量を制御するように構成されている、[1]~[6]のいずれか1項に記載のシステム。
[8] 前記制御工程は実時間で実行される、[6]~[7]のいずれか1項に記載のシステム。
[9] 前記コントローラは前記薬力学的効果に基づいて所定の薬物動態学的効果及び/又は所定の薬力学効果を達成するために前記所定気化量を調整するように構成されている、[1]~[8]のいずれか1項に記載のシステム。
[10] 前記コントローラは実時間で前記所定気化量の前記調整を実行するように構成されている、[9]に記載のシステム。
[11] 前記コントローラは少なくとも2種の所定気化量の送達を含む所定レジメンを実行するように構成されている、[1]~[10]のいずれか1項に記載のシステム。
[12] 前記コントローラは前記薬力学的効果に基づいて所定の薬物動態学的効果及び/又は所定の薬力学効果を達成するために前記レジメンを調整するように構成されている、[11]に記載のシステム。
[13] 前記コントローラは実時間での前記レジメンの前記調整を実行するように構成されている、[12]に記載のシステム。
[14] 前記薬力学的効果をモニタリングするように構成された少なくとも1つのセンサを備える、[1]~[13]のいずれか1項に記載のシステム。
[15] ユーザインターフェース装置を備える、[1]~[14]のいずれか1項に記載のシステム。
[16] 前記ユーザインターフェース装置は前記被験体、医師、メモリユニット及び遠隔装置の少なくとも1つに情報を提供する出力装置を備える、[15]に記載のシステム。
[17] 前記ユーザインターフェース装置はスマートフォン装置を備える、[15]~[16]のいずれか1項に記載のシステム。
[18] 前記コントローラは、前記ユーザインターフェース装置を介して受信したデータに基づいて、前記少なくとも1種の所定薬物動態学的効果及び/又は前記少なくとも1種の所定薬力学効果のうち少なくとも1つをモニタリングするように構成されている、[1]~[17]のいずれか1項に記載のシステム。
[19] 前記コントローラは、実時間で前記所定気化量の前記調整を実行するように構成されている、[18]に記載のシステム。
[20] 前記センサはタッチスクリーン、加速度計、近接センサ、赤外線センサ、カメラ、磁力計、ユーザの位置及び配向センサ、ジャイロスコープ、コンパス、マイクロフォン、温度計、湿度センサ、心拍センサ、血圧センサ、皮膚コンダクタンス/インピーダンスセンサ、血液酸素化レベル(SpO 2 )、吸入量センサならびに気流センサから成る群から選択される、[1]~[19]のいずれか1項に記載のシステム。
[21] 少なくとも1つの用量ユニットを備えるシステムであって、前記用量ユニットは前記植物性素材を収容する、[1]~[20]のいずれか1項に記載のシステム。
[22] 複数の前記用量ユニットを備えるシステムであって、前記吸入装置は前記用量ユニットの少なくとも1つを使用するように構成されている、[21]に記載のシステム。
[23] 前記用量ユニットの各々は前記少なくとも1種の薬理学的活性薬剤の異なる組成を有する植物性素材を収容する、[22]に記載のシステム。
[24] 前記コントローラは、前記少なくとも1種の薬理学的活性薬剤の前記組成に従って少なくとも1種の前記用量ユニットを選択することによって前記所定気化量を制御するように構成されている、[23]に記載のシステム。
[25] 前記吸入装置は少なくとも第1の薬理学的活性薬剤及び第2の薬理学的活性薬剤を前記コントローラによって被験体に肺送達するように構成され、これら薬剤のうち少なくとも1つは少なくとも1種の植物性素材中に存在し、前記装置は少なくとも第1所定気化量の前記第1薬剤及び少なくとも第2所定気化量の前記第2薬剤を気化するように構成され、ここでは前記第1所定気化量を前記第2所定気化量と連続的に、同時に、及び/又は少なくとも部分的に重複させて被験体に送達するように前記加熱を実行する、[1]~[20]のいずれか1項に記載のシステム。
[26] 前記植物は、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)、アカシア属(Acacia spp.)、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、ヤヘー(Yage)、ベラドンナ(Atropa belladonna)、ビンロウ(Areca catechu)、ブルグマンシア属(Brugmansia spp.)、ニオイバンマツリ(Brunfelsia latifolia)、ハイクサネム(Desmanthus illinoensis)、バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi)、トリコケレウス属(Trichocereus spp.)、カカオ(Theobroma cacao)、トウガラシ属(Capsicum spp.)、ケストルム属(Cestrum spp.)、コカノキ(Erythroxylum coca)、コリウス(Solenostemon scutellarioides)、ダンチク(Arundo donax)、コーヒーノキ(Coffea arabica)、チョウセンアサガオ属(Datura spp.)、デスフォンタイニア属(Desfontainia spp.)、ディプロプテリス・カブレラナ(Diplopterys cabrerana)、シナマオウ(Ephedra sinica)、バッカクキン(Claviceps purpurea)、ガラナ(Paullinia cupana)、オオバアサガオ(Argyreia nervosa)、ヒヨス(Hyoscyamus niger)、イボガ(Tabernanthe iboga)、ラゴキルス・イネブリアンス(Lagochilus inebriens)、ジャスティシア・ペクトラリ(Justicia pectoralis)、セレチウム・トルツオスム(Sceletium tortuosum)、カワカワ(Piper methysticum)、アラビアチャノキ(Catha edulis)、アヘンボク(Mitragyna speciosa)、カエンキセワタ(Leonotis leonurus)、スイレン属(Nymphaea spp.)、ハス属(Nelumbo spp.)、テキサスマウンテンローレル(Sophora secundiflora)、黎豆(Mucuna pruriens)、マンドラゴラ(Mandragora officinarum)、ミモザ・テヌイフローラ(Mimosa tenuiflora)、キバナハマヒルガオ(Ipomoea violacea)、シビレタケ属(Psilocybe spp.)、ワライタケ(Panaeolus spp.)、ニクズク(Myristica fragrans)、タービナ・コリボサ(Turbina corymbosa)、チャボトケイソウ(Passiflora incarnata)、ウバタマ(Lophophora williamsii)、クサヨシ属(Phalaris spp.)、ピチュリ(Duboisia hopwoodii)、罌粟(Papaver somniferum)、サイコトリア・ビリディス種(Psychotria viridis spp.)、サルビア・ディビノラム(Salvia divinorum)、サケーナー(Combretum quadrangulare)、トリコケレウス・パチャノイ(Trichocereus pachanoi)、シニクイチ(Heimia salicifolia)、スリーピーグラス(Stipa robusta)、ソランドラ属(Solandra spp.)、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)、ハルマラ(Peganum harmala)、サンユウカ属(Tabernaemontana spp.)、チャノキ(Camellia sinensis)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)、ルスティクム(rusticum)、ビロラ・セイドラ(Virola theidora)、ボアカンガ・アフリカーナ(Voacanga africana)、ワイルドレタス(Lactuca virosa)、ニガヨモギ(Artemisia absinthium)、マテ(Ilex paraguariensis)、アナデナンテラ種(Anadenanthera spp.)、ヨヒンベ(Corynanthe yohimbe)、カレア(Calea zacatechichi)、コーヒーノキ属(Coffea spp.)(アカネ科)、ムクロジ科(Sapindaceae)、ツバキ属(Camellia spp.)、アオイ科(Malvaceae spp.)、モチノキ科(Aquifoliaceae spp.)、フーディア属(Hoodia spp.)、ジャーマンカモミール(Chamomilla recutita)、パッシフローラ・インカルナテ(Passiflora incarnate)、チャノキ(Camellia sinensis)、ペパーミント(Mentha piperita)、スペアミント(Mentha spicata)、ヨーロッパキイチゴ(Rubus idaeus)、ユーカリノキ(Eucalyptus globulus)、ラベンダー(Lavandula officinalis)、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)、レモンバーム(Melissa officinalis)、アロエベラ(Aloe Vera)、アンジェリカ、アニス、アヤフアスカ(バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi))、メギ、ブラックニガハッカ、ブルーロータス、ゴボウ、カモミール、キャラウェイ、キャッツクロー、クローブ、コンフリー、トウモロコシの毛、シバムギ、ダミアナ、ダミアナ、タンポポ、エフェドラ、ユーカリプタス、月見草、フェンネル、ナツシロギク、アメリカヒトツバタゴ、ニンニク、ショウガ、イチョウ、高麗人参、アキノキリンソウ、ヒドラスチス、壷草、緑茶、ガラナ、サンザシ、ホップ、トクサ、ヒソップ、コーラナッツ、クラトン、ラベンダー、レモンバーム、甘草、ライオンテール(野生ダガ)、マカ球根、ウスベニタチアオイ、シモツケソウ、オオアザミ、メハジキ、パッションフラワー、トケイソウ、ペパーミント、アザミゲシ、スベリヒユ、ラズベリー葉、コクリコ、セージ、ノコギリヤシ、マルバキンゴジカ(Sida cordifolia)、シニクイチ(マヤ・サンオープナー)、スペアミント、ショウブ、シリアンルー(ペガヌム・ハルマラ(Peganum harmala))、タイム、ターメリック、カノコソウ、野生ヤマノイモ、ニガヨモギ、ノコギリソウ、マテ、ヨヒンベ、ならびにこれらの任意の一部及び任意の組み合わせから成る群から選択される、[1]~[25]のいずれか1項に記載のシステム。
[27] 前記植物はカンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ及びカンナビス・ルデラリスから成る群から選択される、[1]~[26]のいずれか1項に記載のシステム。
[28] 前記薬理学的活性薬剤はΔ 9 ‐テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビディバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びカンナビトリオール(CBT)から成る群から選択される、[27]に記載のシステム。
[29] 前記薬理学的活性薬剤はΔ 9 ‐テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)から成る群から選択される、[28]に記載のシステム。

Claims (29)

  1. 植物性素材を制御可能に加熱して少なくとも1種の所定気化量の薬剤を気化させることによって、植物性素材中の少なくとも1種の所定気化量の少なくとも1種の薬理学的活性薬剤を被験体に肺送達するための定量吸入装置;及び
    被験体において前記薬剤が誘導する少なくとも1種の薬力学的効果を示すデータに基づいて前記所定気化量を制御するように構成された前記吸入装置と通信するコントローラを備える、システム。
  2. 前記データは、前記薬力学的効果をモニタリングするように構成された少なくとも1つのセンサ、及び/又は前記薬力学的効果をモニタリングするための少なくとも1つのセンサから得られるデータを入力するように構成されたユーザインターフェース装置を介して得られる、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記コントローラは遠隔制御装置から前記所定気化量に関する操作設定データを受信するように構成されている、請求項1~2のいずれか1項に記載のシステム。
  4. 前記コントローラは前記センサ及び/又は前記ユーザインターフェース装置から前記データを受信するように構成されている、請求項1~2のいずれか1項に記載のシステム。
  5. 前記コントローラは前記センサ及び/又は前記インターフェース装置と直接及び/又は間接的に通信する、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
  6. 前記コントローラは気流、加熱温度、加熱速度、加熱パターン、加熱時間及びこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを制御することによって前記所定気化量を制御するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
  7. 前記コントローラは肺送達のタイミングを制御することによって前記所定気化量を制御するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
  8. 前記制御工程は実時間で実行される、請求項6~7のいずれか1項に記載のシステム。
  9. 前記コントローラは前記薬力学的効果に基づいて所定の薬物動態学的効果及び/又は所定の薬力学効果を達成するために前記所定気化量を調整するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
  10. 前記コントローラは実時間で前記所定気化量の前記調整を実行するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記コントローラは少なくとも2種の所定気化量の送達を含む所定レジメンを実行するように構成されている、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
  12. 前記コントローラは前記薬力学的効果に基づいて所定の薬物動態学的効果及び/又は所定の薬力学効果を達成するために前記レジメンを調整するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
  13. 前記コントローラは実時間での前記レジメンの前記調整を実行するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
  14. 前記薬力学的効果をモニタリングするように構成された少なくとも1つのセンサを備える、請求項1~13のいずれか1項に記載のシステム。
  15. ユーザインターフェース装置を備える、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
  16. 前記ユーザインターフェース装置は前記被験体、医師、メモリユニット及び遠隔装置の少なくとも1つに情報を提供する出力装置を備える、請求項15に記載のシステム。
  17. 前記ユーザインターフェース装置はスマートフォン装置を備える、請求項15~16のいずれか1項に記載のシステム。
  18. 前記コントローラは、前記ユーザインターフェース装置を介して受信したデータに基づいて、前記少なくとも1種の所定薬物動態学的効果及び/又は前記少なくとも1種の所定薬力学効果のうち少なくとも1つをモニタリングするように構成されている、請求項1~17のいずれか1項に記載のシステム。
  19. 前記コントローラは、実時間で前記所定気化量の前記調整を実行するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
  20. 前記センサはタッチスクリーン、加速度計、近接センサ、赤外線センサ、カメラ、磁力計、ユーザの位置及び配向センサ、ジャイロスコープ、コンパス、マイクロフォン、温度計、湿度センサ、心拍センサ、血圧センサ、皮膚コンダクタンス/インピーダンスセンサ、血液酸素化レベル(SpO2)、吸入量センサならびに気流センサから成る群から選択される、請求項1~19のいずれか1項に記載のシステム。
  21. 少なくとも1つの用量ユニットを備えるシステムであって、前記用量ユニットは前記植物性素材を収容する、請求項1~20のいずれか1項に記載のシステム。
  22. 複数の前記用量ユニットを備えるシステムであって、前記吸入装置は前記用量ユニットの少なくとも1つを使用するように構成されている、請求項21に記載のシステム。
  23. 前記用量ユニットの各々は前記少なくとも1種の薬理学的活性薬剤の異なる組成を有する植物性素材を収容する、請求項22に記載のシステム。
  24. 前記コントローラは、前記少なくとも1種の薬理学的活性薬剤の前記組成に従って少なくとも1種の前記用量ユニットを選択することによって前記所定気化量を制御するように構成されている、請求項23に記載のシステム。
  25. 前記吸入装置は少なくとも第1の薬理学的活性薬剤及び第2の薬理学的活性薬剤を前記コントローラによって被験体に肺送達するように構成され、これら薬剤のうち少なくとも1つは少なくとも1種の植物性素材中に存在し、前記装置は少なくとも第1所定気化量の前記第1薬剤及び少なくとも第2所定気化量の前記第2薬剤を気化するように構成され、ここでは前記第1所定気化量を前記第2所定気化量と連続的に、同時に、及び/又は少なくとも部分的に重複させて被験体に送達するように前記加熱を実行する、請求項1~20のいずれか1項に記載のシステム。
  26. 前記植物は、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)、アカシア属(Acacia spp.)、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、ヤヘー(Yage)、ベラドンナ(Atropa belladonna)、ビンロウ(Areca catechu)、ブルグマンシア属(Brugmansia spp.)、ニオイバンマツリ(Brunfelsia latifolia)、ハイクサネム(Desmanthus illinoensis)、バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi)、トリコケレウス属(Trichocereus spp.)、カカオ(Theobroma cacao)、トウガラシ属(Capsicum spp.)、ケストルム属(Cestrum spp.)、コカノキ(Erythroxylum coca)、コリウス(Solenostemon scutellarioides)、ダンチク(Arundo donax)、コーヒーノキ(Coffea arabica)、チョウセンアサガオ属(Datura spp.)、デスフォンタイニア属(Desfontainia spp.)、ディプロプテリス・カブレラナ(Diplopterys cabrerana)、シナマオウ(Ephedra sinica)、バッカクキン(Claviceps purpurea)、ガラナ(Paullinia cupana)、オオバアサガオ(Argyreia nervosa)、ヒヨス(Hyoscyamus niger)、イボガ(Tabernanthe iboga)、ラゴキルス・イネブリアンス(Lagochilus inebriens)、ジャスティシア・ペクトラリ(Justicia pectoralis)、セレチウム・トルツオスム(Sceletium tortuosum)、カワカワ(Piper methysticum)、アラビアチャノキ(Catha edulis)、アヘンボク(Mitragyna speciosa)、カエンキセワタ(Leonotis leonurus)、スイレン属(Nymphaea spp.)、ハス属(Nelumbo spp.)、テキサスマウンテンローレル(Sophora secundiflora)、黎豆(Mucuna pruriens)、マンドラゴラ(Mandragora officinarum)、ミモザ・テヌイフローラ(Mimosa tenuiflora)、キバナハマヒルガオ(Ipomoea violacea)、シビレタケ属(Psilocybe spp.)、ワライタケ(Panaeolus spp.)、ニクズク(Myristica fragrans)、タービナ・コリボサ(Turbina corymbosa)、チャボトケイソウ(Passiflora incarnata)、ウバタマ(Lophophora williamsii)、クサヨシ属(Phalaris spp.)、ピチュリ(Duboisia hopwoodii)、罌粟(Papaver somniferum)、サイコトリア・ビリディス種(Psychotria viridis spp.)、サルビア・ディビノラム(Salvia divinorum)、サケーナー(Combretum quadrangulare)、トリコケレウス・パチャノイ(Trichocereus pachanoi)、シニクイチ(Heimia salicifolia)、スリーピーグラス(Stipa robusta)、ソランドラ属(Solandra spp.)、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)、ハルマラ(Peganum harmala)、サンユウカ属(Tabernaemontana spp.)、チャノキ(Camellia sinensis)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)、ルスティクム(rusticum)、ビロラ・セイドラ(Virola theidora)、ボアカンガ・アフリカーナ(Voacanga africana)、ワイルドレタス(Lactuca virosa)、ニガヨモギ(Artemisia absinthium)、マテ(Ilex paraguariensis)、アナデナンテラ種(Anadenanthera spp.)、ヨヒンベ(Corynanthe yohimbe)、カレア(Calea zacatechichi)、コーヒーノキ属(Coffea spp.)(アカネ科)、ムクロジ科(Sapindaceae)、ツバキ属(Camellia spp.)、アオイ科(Malvaceae spp.)、モチノキ科(Aquifoliaceae spp.)、フーディア属(Hoodia spp.)、ジャーマンカモミール(Chamomilla recutita)、パッシフローラ・インカルナテ(Passiflora incarnate)、チャノキ(Camellia sinensis)、ペパーミント(Mentha piperita)、スペアミント(Mentha spicata)、ヨーロッパキイチゴ(Rubus idaeus)、ユーカリノキ(Eucalyptus globulus)、ラベンダー(Lavandula officinalis)、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)、レモンバーム(Melissa officinalis)、アロエベラ(Aloe Vera)、アンジェリカ、アニス、アヤフアスカ(バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi))、メギ、ブラックニガハッカ、ブルーロータス、ゴボウ、カモミール、キャラウェイ、キャッツクロー、クローブ、コンフリー、トウモロコシの毛、シバムギ、ダミアナ、ダミアナ、タンポポ、エフェドラ、ユーカリプタス、月見草、フェンネル、ナツシロギク、アメリカヒトツバタゴ、ニンニク、ショウガ、イチョウ、高麗人参、アキノキリンソウ、ヒドラスチス、壷草、緑茶、ガラナ、サンザシ、ホップ、トクサ、ヒソップ、コーラナッツ、クラトン、ラベンダー、レモンバーム、甘草、ライオンテール(野生ダガ)、マカ球根、ウスベニタチアオイ、シモツケソウ、オオアザミ、メハジキ、パッションフラワー、トケイソウ、ペパーミント、アザミゲシ、スベリヒユ、ラズベリー葉、コクリコ、セージ、ノコギリヤシ、マルバキンゴジカ(Sida cordifolia)、シニクイチ(マヤ・サンオープナー)、スペアミント、ショウブ、シリアンルー(ペガヌム・ハルマラ(Peganum harmala))、タイム、ターメリック、カノコソウ、野生ヤマノイモ、ニガヨモギ、ノコギリソウ、マテ、ヨヒンベ、ならびにこれらの任意の一部及び任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項1~25のいずれか1項に記載のシステム。
  27. 前記植物はカンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ及びカンナビス・ルデラリスから成る群から選択される、請求項1~26のいずれか1項に記載のシステム。
  28. 前記薬理学的活性薬剤はΔ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビディバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びカンナビトリオール(CBT)から成る群から選択される、請求項27に記載のシステム。
  29. 前記薬理学的活性薬剤はΔ9‐テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)から成る群から選択される、請求項28に記載のシステム。
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