JP2023097613A - 極細繊維からなるメルトブロー不織布 - Google Patents

極細繊維からなるメルトブロー不織布 Download PDF

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智彦 田村
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実紀 河井
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Abstract

【課題】平均繊維径が小さく、かつショットが低減された、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂を原料とするメルトブロー不織布を提供すること。【解決手段】融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる繊維と、メルトブロー不織布全重量に対して0.1重量%以上20重量%以下の添加剤とを含むメルトブロー不織布であって、平均繊維径が0.1μm以上、1.5μm以下であり、繊維径の標準偏差の平均繊維径に対する比である繊維径変動率が0.45以上、1.3以下であるメルトブロー不織布。【選択図】なし

Description

本発明は、極細繊維からなるメルトブロー不織布に関する。
極細繊維メルトブロー不織布の開発が進んでおり、ポリプロピレン(PP)樹脂を、メルトブロー不織布の構成ポリマーとして使用した場合には、1μm以下の極細繊維を安定的にメルトブロー化できるようになってきている。ポリプロピレンはメルトブロー専用の低粘度タイプのグレードがあり、また加熱によって比較的容易に粘度調整が可能であるため、細繊維化しやすい。例えば特許文献1は数平均繊維径が1μm以下で、繊維径分布(重量平均繊維径/数平均繊維径)が1.3以下で、繊維径変動率が55%以下の極細繊維からなるメルトブロー不織布を製造する方法について開示している。
しかしながら、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミドなどの、高融点かつ高極性の熱可塑性樹脂では、下記の特許文献2及び3のような技術を除くと、極細技術をほとんど確立できていなかった。ポリブチレンテレフタレートやポリアミド樹脂は、メルトブロー専用グレードはなく、粘度調整も容易ではないため、効果的に細繊維化できず、不織布表面に観察される樹脂の粒状生成物であるショットが増加するためである。
特許文献2は、ポリアミドナノファイバーを含むナノファイバー不織布製品であって、前記ナノファイバーの前記ポリアミドが、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11、N12、又はこれらの組み合わせの少なくとも一つを含み、ここで「N」はナイロンを意味する。前記ナノファイバーの前記ポリアミドは4~330の相対粘度を有し、前記ナノファイバーは100~950ナノメートルの平均径を有し、前記ナノファイバーの1~20%は700ナノメートルより大きい繊維径を有する上記ナノファイバー不織布製品について開示している。特許文献2では、特定のポリアミドを用いることで、上記特徴を有するナノファイバー不織布製品を形成している。
特許文献3は、平均繊維径が0.1μm以上0.5μm未満であり、かつ、繊維径のCV値が20%以上65%未満であるポリアミド系樹脂繊維から構成され、かつ、目付量が10g/m以上であることを特徴とする不織布について開示している。特許文献3では、紡糸ガス圧力や、紡口ノズルから捕集支持体までの距離(ディスタンス)の空気流れを整流して繊維同士の絡み合いを抑制することにより、繊維の極細化を実現している。
特許第5905400号 特許第6901594号 特開2020-190057
本発明が解決すべき課題は、融点が200℃以上の高融点の熱可塑性樹脂を原料とするメルトブロー不織布であって、平均繊維径が小さく、かつショットが低減されたメルトブロー不織布を提供することにある。
これまで本発明者らは、主に低粘度タイプの樹脂を探し、細繊維化の試作を行ってきたが、樹脂選択の方策では不織布中の平均繊維径を1μm前後にはできるが、それよりも平均繊維径を小さくすると繊維が切れて不織布を安定して製造できないため、大幅な極細化は困難であった。そこで、本発明者らは、上記の課題解決のため鋭意検討した結果、特定の添加剤により、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂を含む溶融ポリマーの押出圧力を低下でき、これによりショットの発生を抑制しつつ細繊維化が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
項1.融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる繊維と、メルトブロー不織布全重量に対して0.1重量%以上20重量%以下の添加剤とを含むメルトブロー不織布であって、平均繊維径が0.1μm以上、1.5μm以下であり、繊維径の標準偏差の平均繊維径に対する比である繊維径変動率が0.45以上、1.3以下であるメルトブロー不織布。
項2.前記添加剤が、溶融状態にある前記熱可塑性樹脂のポリマー鎖間の分子間力を緩和するための添加剤である項1に記載のメルトブロー不織布。
項3.以下の式(1)の値が0.1以上である項1に記載のメルトブロー不織布。
メルトブロー不織布のMD強度[N]/目付[g/m] ≧ 0.1 (1)
式中、MD強度は、不織布の流れ方向に長さ200mm、それと垂直の方向に50mmの大きさで切り取った不織布の両端を100mm間隔のチャックで挟み、速度300mm/分で引っ張った時の最大強度である。
項4.以下の式(2)の値が0.2以上である項1に記載のメルトブロー不織布。
メルトブロー不織布のMD伸度[%]/目付[g/m]/平均繊維径[μm] ≧ 0.2 (2)
式中、MD伸度は、不織布の流れ方向に長さ200mm、それと垂直の方向に50mmの大きさで切り取った不織布の両端を100mm間隔のチャックで挟み、速度300mm/分で引っ張った時の最大伸度である。
項5.前記添加剤は、基本骨格に炭素原子と水素原子とを含む有機化合物であり、かつヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、カルボニル基、カルボキシ基、ホルミル基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、これらのいずれかの誘導体、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む化合物である項1~4のいずれかに記載のメルトブロー不織布。
項6.前記添加剤は、含窒素環を一分子内に複数有する重合体化合物である項1~5のいずれかに記載のメルトブロー不織布。
項7.前記添加剤は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル骨格を分子内に有するヒンダードアミン系光安定剤を含む項6に記載のメルトブロー不織布。
項8.前記添加剤は、フルオレン骨格を有する化合物である項1~5のいずれかに記載のメルトブロー不織布。
項9.項1~8のいずれかに記載のメルトブロー不織布を備えるフィルタ。
本発明によれば、平均繊維径が小さく、かつショットが低減された、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂を原料とするメルトブロー不織布が提供される。
本実施形態のメルトブロー不織布の製造方法のプロセスの概略図である。 (A)実施例5の不織布中の繊維の2000倍の倍率の顕微鏡写真、(B)比較例1の不織布中の繊維の2000倍の倍率の顕微鏡写真。
本発明の実施形態を以下に説明する。
本発明の実施形態のメルトブロー不織布は、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる繊維と、メルトブロー不織布全重量に対して0.1重量%以上20重量%以下の添加剤とを含むメルトブロー不織布であって、平均繊維径が0.1μm以上、1.5μm以下(1.0μm以下)であり、繊維径の標準偏差の平均繊維径に対する比(繊維径の標準偏差/平均繊維径)である繊維径変動率が0.45以上(0.65以上)1.3以下である。
本発明の実施形態のメルトブロー不織布には、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂を用いている。このため、本発明の実施形態のメルトブロー不織布は耐熱性に優れている。融点が200℃以上の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンやポリプロピレン以外のポリオレフィンなどが挙げられる。
ポリアミドとしては、ポリアミド3(ナイロン3、登録商標)、ポリアミド4(ナイロン4、登録商標)、ポリアミド6 (ナイロン6、登録商標)、ポリアミド6-6 (ナイロン6-6、登録商標)等が挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートが好ましい。複数種のポリエステルを混合して使用する場合は、上記ポリエステルのいずれかが熱可塑性樹脂のうちの50重量%以上であるのが好ましく、70重量%以上であるのがより好ましく、90重量%以上であるのが最も好ましい。ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又はポリトリメチレンテレフタレートからなるメルトブロー不織布は、融点が比較的高いため、耐熱性に優れている。
ポリオレフィンとしては、環状オレフィンの単独重合体、2種類以上の環状オレフィンのランダム又はブロック共重合体、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィンの単独重合体、あるいは2種類以上のα-オレフィンのランダム又はブロック共重合体が挙げられる。
熱可塑性樹脂からなる繊維は、メルトブロー不織布の全重量のうち、60重量%以上好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。また、熱可塑性樹脂からなる繊維は、メルトブロー不織布の全重量のうち、99.9重量%以下であり、好ましくは98%以下である。
添加剤は、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる高融点の繊維でも、平均繊維径が小さく、かつショットが低減されたメルトブロー不織布を製造できるようにするために添加される。
一実施形態の添加剤は、溶融状態にある前記熱可塑性樹脂のポリマー鎖間の分子間力を緩和するための添加剤である。つまり、メルトブロー不織布の製造に際しては、熱可塑性樹脂を溶融し、溶融ポリマーを極細繊維状に吐出するが、本実施形態では、溶融状態にある前記熱可塑性樹脂に添加剤を共存させることで、添加剤が有する極性原子又は官能基の働きにより、溶融状態にある熱可塑性樹脂のポリマー鎖間で化学的相互作用により引力が働いている箇所に介入し、ポリマー鎖間の分子間力を緩和する。ポリマー鎖間の分子間力には、典型的には水素結合が含まれるが、その他に双極子相互作用、ファンデルワールス力、ロンドン分散力など熱可塑性樹脂のポリマー鎖間で親和的に働く相互作用であればこれに限定されない。
ポリアミドやポリエステルなどの熱可塑性樹脂は、高極性の熱可塑性樹脂であり、従来、ポリプロピレンと同様の製造条件で紐状化することはできなかった。つまり、ノズルの孔径を小さくする、溶融混練温度を上げる、繊維を延伸するために吹き出す高温高速のエア量を上げることで、若干細繊維化することは可能であるが、それ以上の過酷な製造条件では糸切れが起こりショッ卜が増えるため、平均繊維径が1.5μm以下、特には1μm以下の繊維を安定的に紡糸することができなかった。本発明者らは、高極性高分子の細繊維化が困難である理由は、熱可塑性樹脂のポリマー鎖同士での分子間力が強く働いているためと考えた(例えば、ポリアミドでは水素結合、 PBTでは芳香環のπスタッキングなど)。ポリマー鎖間の分子間力の緩和を主因とする粘度低下でなければ、ショットの発生を抑えた状態で細繊維化できないが、これまでの結果から、これらのポリマー鎖間の相互作用は加熱やノズル孔径の調整では効果的に低減できないと考えられる。
そこで、本実施形態の添加剤を熱可塑性樹脂に添加したところ、ショット数を抑制しつつ細繊維化が可能となった。本出願人は、本発明が特定の仮説や理論によって束縛されることを望むものではないが、本実施形態の添加剤の添加により、高極性の熱可塑性樹脂のポリマー鎖間の相互作用が緩和されることにより、吐出される溶融ポリマーが円滑に細繊維化されたと推測する。
添加剤は、熱可塑性樹脂の品質安定化剤、酸化防止剤、紫外線耐光剤、分散剤、流動性向上剤(高流動化剤)、可塑剤、結晶核剤、及び離型剤からなる群から選択される一つ以上の添加剤であってよい。
一実施形態では、上記添加剤は、基本骨格に炭素原子と水素原子とを含む有機化合物であり、かつ酸素原子及び/又は窒素原子を含んでおり、双極子相互作用及び/又は水素結合に寄与できる分子構造を一つ以上含む化合物である。例えば、上記一つ以上の添加剤は、基本骨格に炭素原子と水素原子とを含む有機化合物であり、かつヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、カルボニル基、カルボキシ基、ホルミル基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、これらのいずれかの誘導体、又はこれらの2つ以上の組み合わせおよびその誘導体を含む化合物が好ましい。そのような添加剤の好ましい例としては、脂肪酸アミド又はアルキレン脂肪酸アミドが挙げられる。脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。アルキレン脂肪酸アミドとしては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
一実施形態では、上記添加剤は、含窒素環を一分子内に複数有する重合体化合物である。含窒素環は、飽和環でも不飽和環でもよい。また、かかる重合体化合物は、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、カルボニル基、カルボキシ基、ホルミル基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、これらのいずれかの誘導体、又はこれらの2つ以上の組み合わせおよびその誘導体をさらに含んでもよい。中でも、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル骨格を分子内に有するヒンダードアミン系光安定剤は、添加剤として好適に使用することができる。
別の実施形態では、上記添加剤は、フルオレン骨格を有する化合物である。そのような化合物の例として、下記式(1)で表される9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物が挙げられる。
Figure 2023097613000001
[式中、環Zは芳香族炭化水素環、R1およびR2は置換基、Xは、基-[(OR3)n-Y](式中、Yは、ヒドロキシル基、メルカプト基、グリシジルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基、R3はアルキレン基、nは0又は1以上の整数を示す。)又はアミノ基、kは0~4の整数、mは0以上の整数、pは1以上の整数を示す。]
式(1)で表される化合物は、特には式(2)で表される以下の化合物である。
Figure 2023097613000002
(式中、Z、R1、R2、k、m、R3、n、pは前記式(1)と同じである。)
環Zは、好ましくはベンゼン環又はナフタレン環、R1がアルキル基、kが0~1、R2がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルコキシ基、mが0~2、R3がC2-4アルキレン基、nが0~20、pが1~3である。
特に好ましい9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物は、9,9-ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(アルキル-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(アリール-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン、9,9-ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(アルキル-ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(アリール-ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン、及びこれらの化合物のアルキレンオキサイド付加体から選択された少なくとも1種である。
融点が200℃以上の高融点の熱可塑性樹脂がポリアミドである場合、添加剤はフルオレン骨格を有する化合物又は含窒素環を一分子内に複数有する重合体化合物であることが好ましく、フルオレン骨格を有する化合物がより好ましく、式(1)で表される9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物がさらに好ましい。中でも、大阪ガスケミカル株式会社によるMF-11、MF-41は添加剤として好適に使用することができる。
融点が200℃以上の高融点の熱可塑性樹脂がポリブチレンテレフタレートである場合、添加剤はフルオレン骨格を有する化合物、アルキレン脂肪酸アミド、又は脂肪酸アミドが好ましい。
添加剤は、一種類の添加剤であってもよいし、上記に説明した添加剤のうちの2種以上の添加剤の組み合わせであってもよい。
添加剤の分子量は、10以上100000以下であってよく、数十程度の低分子化合物でも数万程度の高分子化合物でもいずれであっても良い。
添加剤の含有量は、メルトブロー不織布の全重量のうち、0.1重量%以上20重量%以下の添加剤である。より好ましくは0.3重量%以上15重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以上10重量%以下である。融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる高融点の繊維でも1.5μm以下の平均繊維径を得るために添加剤の含有量は0.1重量%以上であり、熱可塑性樹脂からなる繊維の性能を確保する点から、20重量%以下である。
一つの実施形態では、メルトブロー不織布は、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂と、メルトブロー不織布全重量に対して0.1%重量以上20%重量以下の1つ以上の添加剤とを含む樹脂組成物から形成された繊維からなるメルトブロー不織布であり、樹脂組成物中の融点が200℃以上の熱可塑性樹脂の含有量が80重量%以上99.9重量%以下であり、添加剤の含有量が0.1重量%以上20重量%以下である。この場合、樹脂組成物は、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂と添加剤以外の成分を含まなくてもよいし、含んでもよい。
原料である、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤、艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、親水剤等の成分を添加してもよい。融点が200℃以上の熱可塑性樹脂と、0.1%重量以上20%重量以下の1つ以上の添加剤とを含む上記樹脂組成物は、このような成分をさらに含んでもよい。
本発明の実施形態のメルトブロー不織布の平均繊維径は、不織布強度の観点から、0.1μm以上、フィルタとして用いる場合の濾過効率や吸音材として用いる場合の吸音性能など最終製品の機能の観点から、1.5μm以下である。好ましくは、平均繊維径は0.1μm以上、1.0μm以下である。
本発明の実施形態のメルトブロー不織布の繊維径変動率は、不織布強度の観点から、0.45以上、不織布繊維の分布ムラを抑える観点から、1.3以下である。好ましくは、繊維径変動率は0.65以上、1.3以下である。繊維径変動率は、不織布の製造方法を反映している。
本発明の特定の実施形態では、メルトブロー不織布の平均繊維径及び繊維径変動率について、平均繊維径は0.1μm以上、1.0μm以下、かつ繊維径変動率は0.65以上、1.3以下である。
以上の構成を有する本実施形態のメルトブロー不織布は、添加剤を含まない場合に比べて、平均繊維径が小さく、かつショットが低減された、高融点の熱可塑性樹脂を原料とするメルトブロー不織布である。
好ましい実施形態では、メルトブロー不織布が、以下の式(1)の値が0.1以上であることを満たす。
メルトブロー不織布のMD強度[N]/目付[g/m] ≧ 0.1 (1)
式中、MD強度(MD:Machine Direction)とは、不織布の流れ方向に長さ200mm、それと垂直の方向に50mmの大きさで切り取った不織布の両端を100mm間隔のチャックで挟み、速度300mm/分で引っ張った時の最大荷重時の強度(N)である。
式(1)の値は、好ましくは0.15以上であり、より好ましくは0.2以上である。
このような構成を有するメルトブロー不織布は、不織布の流れ方向における引っ張り強度に優れている。
好ましい実施形態では、メルトブロー不織布は、以下の式(2)の値が0.2以上であることを満たす。
メルトブロー不織布のMD伸度[%]/目付[g/m]/平均繊維径[μm] ≧ 0.2 (2)
式中、MD伸度とは、不織布の流れ方向に長さ200mm、それと垂直の方向に50mmの大きさで切り取った不織布の両端を100mm間隔のチャックで挟み、速度300mm/分で引っ張った時の最大荷重時の伸度(%)である。
このような構成を有するメルトブロー不織布は、不織布の流れ方向における引っ張り伸度に優れている。
本実施形態のメルトブロー不織布の目付は、特に限定されないが、強度及びフィルタ化の観点から、平均目付の範囲で好ましくは5~150g/m2であり、より好ましくは10~100g/m2である。
本実施形態のメルトブロー不織布の厚みは、特に限定されないが、一枚のメルトブロー不織布当たり、平均厚みで好ましくは0.01~10mmであり、より好ましくは0.1~5mmである。
本実施形態のメルトブロー不織布の通気度は、特に限定されないが、濾過時の圧力抵抗の上昇を抑え、かつ所定の強度の不織布を得る観点から、100mm×100mmのメルトブロー不織布試験片に対して、JIS L1096に従ってフラジール型試験機により測定した値が、1~1700cm3/cm2/秒であることが好ましく、1~800cm3/cm2/秒がより好ましい。
本実施形態のメルトブロー不織布のショットについては、特に限定されないが、外観及び物質の捕集性能の観点から、1mのメルトブロー不織布に対して、好ましくは、直径1mm以上の透明斑(樹脂塊)が10個/m2以下、より好ましくは5個/m2以下である。
本実施形態に係る不織布では、構成される繊維が連続長繊維であることが好ましい。以下に説明する好適な製造方法では、糸が1本のまま細繊化している為、均一性が高く且つ所望の平均繊維径を有する繊維から構成される不織布を得ることが可能となる。
本実施形態のメルトブロー不織布は、平均繊維径が小さく、かつショットが低減されているため、外観が良好で、物質の捕集能力に優れている。このため、本実施形態のメルトブロー不織布及びこれを複数積層してなるその積層体は、流体フィルタ用のフィルタ材として有用である。流体には気体及び液体が含まれる。
また、本発明は、当該積層体を備える流体用フィルタを提供する。メルトブロー不織布として上記実施形態のメルトブロー不織布のみを用いた場合であっても、外観が良好で物質の捕集能力が高い流体用フィルタを得ることができる。一方、本発明の別の実施形態において、濾過の目的等に応じて、フィルタ材を構成する部材として、本実施形態のメルトブロー不織布に、その他の層を組み合わせて用いてもよく、このようなメルトブロー不織布とその他の層の組合せを含む積層体を備える液体フィルタも本発明の液体フィルタに包含される。
他の層としては、例えば、編布、織布、不織布、フィルム等を挙げることができる。
本実施形態に係るメルトブロー不織布に他の層を積層する場合は、熱エンボス加工、超音波融着等の熱融着法、ニードルパンチ、ウォータージェット等の機械的交絡法、ホットメルト接着剤、ウレタン系接着剤等の接着剤による方法、押出しラミネート等をはじめ、種々公知の方法を採用することができる。
他の層として積層される不織布としては、スパンボンド不織布、湿式不織布、乾式不織布、乾式パルプ不織布、フラッシュ紡糸不織布、開繊不織布等が挙げられる。
次に、本実施形態におけるメルトブロー不織布の製造方法の例を図面を参照して説明するが、当該製造方法は下記に限定されない。図1は、本発明のメルトブロー不織布の製造装置の一例を示す。この製造装置は、原料を投入するホッパー1a、原料を溶融混練する押出機1bと、押出機1bから押出された溶融ポリマーを下流に送る定量ポンプ2と、繊維状に水平方向に吐出するダイ3aと、ダイ3aから溶融ポリマーと一緒に排出される高温高速エア用の温度調整ヒーター3bと、ダイ先端に取り付けられた紡糸ノズル3cと、ダイ3aの近傍に設けられた繊維捕集用のコレクタ4aと、コレクタ4a(及びコレクタ4aで捕集した繊維状の溶融ポリマー5a)を吸引するためのサクションブロワー4bと、ダイから吐出された繊維状の溶融ポリマー5aと、繊維状の溶融ポリマー5aがコレクタ4a上で冷却固化してなるメルトブロー不織布5bと、メルトブロー不織布5bを巻き取る巻取機6からなる。
本発明のメルトブロー不織布は、ポリマーを溶融混練する工程、溶融ポリマーを紡糸ノズルから吐出し、別のノズルから加熱空気を噴出してポリマーの繊維を形成する工程を含む方法により製造することができる。前記で説明した装置を参照して説明すると、メルトブロー不織布を製造する場合、前記紡糸ノズル3cから吐出した繊維状の溶融ポリマー5aを空気ノズルから噴出する加熱空気により延伸し、必要な場合には追加のプロセスを行い、メルトブロー不織布を得ることが可能である。得られたメルトブロー不織布に対して、必要に応じて、カレンダー処理、帯電処理、親水化処理等を施しても良い。
(1)溶融混練工程
前記ポリマーの溶融混練温度は(前記ポリマーの融点+30℃)~(前記ポリマーの融点+150℃)が好ましい。例えばポリアミドの場合、溶融混練温度は250~370℃が好ましく、PBTの場合、溶融混練温度は250~370℃が好ましい。
(2)繊維形成工程
溶融ポリマーを多数の紡糸ノズル3cから吐出するとともに、ノズルから加熱空気を噴出し、前記ポリマーの繊維を形成する。ダイ3a及び加熱空気の温度は、(前記ポリマーの融点)~(前記ポリマーの融点+200℃)とするのが好ましい。ポリマーが紡糸ノズル3cから吐出した直後に急速に固化してしまうことを抑制し、かつ形成されたポリマー繊維の融着を抑制して、繊維径のバラツキを抑える観点から、上記温度範囲が好ましい。
ポリマー繊維を形成するために、紡糸ノズル3c当たりの溶融ポリマーの吐出量は0.1~2g/分/ホール以下が好ましく、0.5~1g/分/ホール以下がより好ましい。繊維化するのに十分な吐出圧力を得ることができ、かつ過剰な吐出圧力でノズルを破損することを避ける観点から、上記紡糸ノズル3c当たりの溶融ポリマーの吐出量は上記範囲が好ましい。
幅当たりの加熱空気の噴出量は5~50Nm3/分/mが好ましく、10~40Nm3/分/mがより好ましい。
以上、本発明のメルトブロー不織布及びその製造方法を好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明は、上記特定の実施形態に限定されない。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1.メルトブロー不織布の製造
(1)ポリアミド樹脂を原料とするメルトブロー不織布の製造
実施例1
メルトブロー製造装置の原料ホッパーに、相対粘度3.0の6-ナイロン樹脂を95%と添加剤1を5%混合した材料を投入し、溶融混練温度を325℃とした。ダイとコレクタの間隔370mmで、340℃の加熱圧縮空気10Nm3/min/mと共に、ノズル径0.3mmのノズルより樹脂を大気中に吐出し、吸引量400Nm3/min/mのコレクタ上に繊維状の樹脂を連続的に捕集させ、コレクタの回転速度を適当に調節して、目付51g/m、厚み0.54mm、通気度39cm3/cm2/s、平均繊維径1.03μmのメルトブロー不織布を得た。
実施例2
メルトブロー製造装置の原料ホッパーに、相対粘度3.0の6-ナイロン樹脂を97%と添加剤2を3%混合した材料を投入した以外は実施例1と同様に操作し、目付51g/m、厚み0.52mm、通気度40cm3/cm2/s、平均繊維径1.39μmのメルトブロー不織布を得た。
実施例3
メルトブロー製造装置の原料ホッパーに、相対粘度3.0の6-ナイロン樹脂を95%と添加剤3を5%混合した材料を投入した以外は実施例1と同様に操作し、目付50g/m、厚み0.52mm、通気度38cm3/cm2/s、平均繊維径0.59μmのメルトブロー不織布を得た。
実施例4
メルトブロー製造装置の原料ホッパーに、相対粘度3.0の6-ナイロン樹脂を90%と添加剤4を10%混合した材料を投入した以外は実施例1と同様に操作し、目付54g/m、厚み0.44mm、通気度10cm3/cm2/s、平均繊維径0.36μmのメルトブロー不織布を得た。
実施例5
メルトブロー製造装置の原料ホッパーに、相対粘度2.0の6-ナイロン樹脂を90%と添加剤4を10%混合した材料を投入し、溶融混練温度を325℃とした。ダイとコレクタの間隔450mmで、300℃の加熱圧縮空気10Nm3/min/mと共に、ノズル径0.2mmのノズルより樹脂を大気中に吐出し、吸引量400Nm3/min/mのコレクタ上に繊維状の樹脂を連続的に捕集させ、コレクタの回転速度を適当に調節して、目付48g/m、厚み0.37mm、通気度9cm3/cm2/s、平均繊維径0.14μmのメルトブロー不織布を得た。
表1中の添加剤の略語の化合物は以下に示す通りである。
添加剤1 Chimassorb(登録商標)944FDL BASFジャパン株式会社
添加剤2 Chimassorb(登録商標)2020FDL BASFジャパン株式会社
添加剤3 添加剤1とTinuvin(登録商標)622SF BASFジャパン株式会社)の混合物
添加剤4 OGSOL MF11 フルオレン系樹脂改質剤 大阪ガスケミカル株式会社
添加剤5 ライトアマイドWH-510K エチレンビスステアリルアミドに類似の脂肪酸アミド系化合物 共栄社化学株式会社
Figure 2023097613000003
Figure 2023097613000004
Figure 2023097613000005
比較例1
表1に示すように、添加剤を添加しない以外は実施例1と同じ条件でメルトブロー不織布を作製し、目付50g/m、厚み0.49mm、通気度48cm3/cm2/s、平均繊維径3.70μmのメルトブロー不織布を得た。
比較例2
メルトブロー製造装置の原料ホッパーに、添加剤を使用せず、実施例5と同じ相対粘度2.0の6-ナイロン樹脂のみを投入し、溶融混練温度を330℃とした。ダイとコレクタの間隔130mmで、300℃の加熱圧縮空気10Nm3/min/mと共に、ノズル径0.2mmのノズルより樹脂を大気中に吐出し、吸引量400Nm3/min/mのコレクタ上に繊維状の樹脂を連続的に捕集させ、コレクタの回転速度を適当に調節して、目付21g/m、厚み0.22mm、通気度14cm3/cm2/s、平均繊維径1.65μmのメルトブロー不織布を得た。
比較例3
メルトブロー製造装置の原料ホッパーに、相対粘度3.0の6-ナイロン樹脂を90%と、溶融樹脂の物理的な粘度低下のため原料モノマーであるε-カプロラクタムを10%混合した材料を投入し、溶融混練温度を325℃とした。ダイとコレクタの間隔120mmで、340℃の加熱圧縮空気10Nm3/min/mと共に、ノズル径0.3mmのノズルより樹脂を大気中に吐出し、吸引量400Nm3/min/mのコレクタ上に繊維状の樹脂を連続的に捕集させ、コレクタの回転速度を適当に調節して、目付19g/m、厚み0.33mm、通気度32cm3/cm2/s、平均繊維径1.26μmのメルトブロー不織布を得た。
(2)PBTを原料とするメルトブロー不織布の製造
実施例6
メルトブロー製造装置の原料ホッパーに、MFR100のポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を97%と添加剤4を3%混合した材料を投入し、溶融混練温度を280℃とした。ダイとコレクタの間隔130mmで、305℃の加熱圧縮空気13Nm3/min/mと共に、ノズル径0.2mmのノズルより樹脂を大気中に吐出し、吸引量400Nm3/min/mのコレクタ上に繊維状の樹脂を連続的に捕集させ、コレクタの回転速度を適当に調節して、目付30g/m、厚み0.28mm、通気度12cm3/cm2/s、平均繊維径0.66μmのメルトブロー不織布を得た。
実施例7
メルトブロー製造装置の原料ホッパーに、MFR100のポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を97%と添加剤5を3%混合した材料を投入した以外は実施例6と同様に操作し、目付11g/m、厚み0.11mm、通気度38cm3/cm2/s、平均繊維径0.61μmのメルトブロー不織布を得た。
比較例4
表1に示すように、添加剤を添加しない以外は実施例6と同じ条件でメルトブロー不織布を作製し、目付30g/m、厚み0.32mm、通気度24cm3/cm2/s、平均繊維径1.82μmのメルトブロー不織布を得た。
比較例5
メルトブロー製造装置の原料ホッパーに、添加剤を使用せず、MFR300のポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂のみを投入し、溶融混練温度を250℃とした。ダイとコレクタの間隔100mmで、305℃の加熱圧縮空気13Nm3/min/mと共に、ノズル径0.2mmのノズルより樹脂を大気中に吐出し、吸引量400Nm3/min/mのコレクタ上に繊維状の樹脂を連続的に捕集させ、コレクタの回転速度を適当に調節して、目付14g/m、厚み0.15mm、通気度16cm3/cm2/s、平均繊維径1.12μmのメルトブロー不織布を得た。
2.各種物性値の測定方法
実施例1~7、比較例1~5のメルトブロー不織布の各種物性値を以下の測定方法に従って測定した。
(1)目付
平均目付は、100mm×100mmの10枚のメルトブロー不織布試験片に対して、温度23℃及び湿度50%における水分平衡状態の質量(g)を測定し、平均することにより求めた。
(2)厚み
100mm×100mmのメルトブロー不織布試験片に対して、直径2.5cm、荷重7g/cm2の測定子を付けたリニアゲージにより試験片の重心に当たる中央部分の厚みを測定し、10枚の測定値を平均することにより求めた。
(3)通気度
通気度は100mm×100mmの10枚のメルトブロー不織布試験片に対して、JIS L1096に従ってフラジール型試験機により測定し、平均することにより求めた。
(4)MD強度
MD強度は、不織布の流れ方向に長さ200mm、それと垂直の方向に50mmの大きさで切り取った不織布の両端を100mm間隔のチャックで挟み、速度300mm/分で引っ張った時の最大強度(N)とした。
(5)MD伸度
MD伸度は、不織布の流れ方向に長さ200mm、それと垂直の方向に50mmの大きさで切り取った不織布の両端を100mm間隔のチャックで挟み、速度300mm/分で引っ張った時の最大伸度(%)とした。
(6)繊維径
平均繊維径は、電子顕微鏡写真にて1画像当たり25本程度の繊維が入る倍率にて、4枚の画像を撮影し、合計100本の繊維を、直径0.01μmオーダーまで繊維径を測定し、それらを平均して求めた。
繊維径割合は、繊維総数に対する特定の繊維径を有する繊維の数の割合をパーセントで示したものである。
(7)標準偏差、繊維径変動率
平均繊維径を求める際に算出された標準偏差を平均繊維径で割ることにより繊維径変動率を求めた。
(8)ショット
ショットは、1m2のメルトブロー不織布試験片に対して、目視にて直径1.0mm以上の透明班の形成の有無によりフィルム化の有無を判定した。
3.結果
表1から、ポリアミド不織布の実施例1~5と比較例1から、添加剤1~4を使用した上で製造条件を整えることにより、ショットを低減し、不織布の外観と物性を良好に維持したまま細繊維化できることがわかる。図2(A)は実施例5の不織布中の繊維の2000倍の倍率の顕微鏡写真であり、図2(B)は比較例1の不織布中の繊維の2000倍の倍率の顕微鏡写真である。
また、比較例2から、添加剤を使用せず、従来技術である粘度が低い原料樹脂を用いた場合は、製造条件を調整しても平均繊維径が1.5μm以下にならず、ショットも低減できないことがわかる。
比較例3は、ポリアミドの原料モノマーであるε-カプロラクタムを使用して溶融樹脂粘度の低下を試みたものである。しかし使用する添加剤が原料樹脂である高分子鎖間の分子間相互作用を緩和できない場合、ある程度細化できたとしてもショットが大幅に増えることがわかる。
ポリブチレンテレフタレート不織布も同様で、実施例6~7と比較例4から、添加剤4~5を使用した上で製造条件を整えることにより、ショットを低減し、不織布の外観と物性を良好に維持したまま細繊維化できることがわかる。
また、比較例5から、添加剤を使用せず、従来技術である粘度が低い原料樹脂を用いた場合は、製造条件を調整しても平均繊維径が1.0μm以下にならず、ショットも低減できないことがわかる。
添加剤と製造条件を適切に選ぶことで、高融点の高極性高分子であっても、平均繊維径が0.1μm以上、1.5μm以下、かつ繊維径変動率が0.45以上、1.3以下である不織布が標準的なメルトブロー製造装置で可能であることを確認した。また、エレクトロスピニングなどのウェブと異なり、基材が無くとも取り扱い可能な強度があることを確認した。
Figure 2023097613000006

Claims (9)

  1. 融点が200℃以上の熱可塑性樹脂からなる繊維と、メルトブロー不織布全重量に対して0.1重量%以上20重量%以下の添加剤とを含むメルトブロー不織布であって、平均繊維径が0.1μm以上、1.5μm以下であり、繊維径の標準偏差の平均繊維径に対する比である繊維径変動率が0.45以上、1.3以下であるメルトブロー不織布。
  2. 前記添加剤が、溶融状態にある前記熱可塑性樹脂のポリマー鎖間の分子間力を緩和するための添加剤である請求項1に記載のメルトブロー不織布。
  3. 以下の式(1)の値が0.1以上である請求項1に記載のメルトブロー不織布。
    メルトブロー不織布のMD強度[N]/目付[g/m] ≧ 0.1 (1)
    式中、MD強度は、不織布の流れ方向に長さ200mm、それと垂直の方向に50mmの大きさで切り取った不織布の両端を100mm間隔のチャックで挟み、速度300mm/分で引っ張った時の最大強度である。
  4. 以下の式(2)の値が0.2以上である請求項1に記載のメルトブロー不織布。
    メルトブロー不織布のMD伸度[%]/目付[g/m]/平均繊維径[μm] ≧ 0.2 (2)
    式中、MD伸度は、不織布の流れ方向に長さ200mm、それと垂直の方向に50mmの大きさで切り取った不織布の両端を100mm間隔のチャックで挟み、速度300mm/分で引っ張った時の最大伸度である。
  5. 前記添加剤は、基本骨格に炭素原子と水素原子とを含む有機化合物であり、かつヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、カルボニル基、カルボキシ基、ホルミル基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、これらのいずれかの誘導体、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む化合物である請求項1~4のいずれかに記載のメルトブロー不織布。
  6. 前記添加剤は、含窒素環を一分子内に複数有する重合体化合物である請求項1~5のいずれかに記載のメルトブロー不織布。
  7. 前記添加剤は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル骨格を分子内に有するヒンダードアミン系光安定剤を含む請求項6に記載のメルトブロー不織布。
  8. 前記添加剤は、フルオレン骨格を有する化合物である請求項1~5のいずれかに記載のメルトブロー不織布。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載のメルトブロー不織布を備えるフィルタ。
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