JP2023096441A - 電池用正極板、電池、及び電池用正極板の製造方法 - Google Patents

電池用正極板、電池、及び電池用正極板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な電池特性を確保しつつ製造品質を向上した電池用正極板、電池、及び電池用正極板の製造方法を提供すること。【解決手段】三次元網目構造の骨格32を備えた金属多孔体30と、正極活物質を含み金属多孔体30の空孔31に充填された正極合材40と、を有し、金属多孔体30の一方の表面30a側に位置する領域を表面側部P1、裏面30b側に位置する領域を裏面側部P3、表面側部P1と裏面側部P3とに挟まれる領域を中央部P2とした場合、表面側部P1及び裏面側部P3は、正極合材40が充填されない中空部34が形成された中空構造を主な構造とする骨格32を含み、中央部P2は、中空部34が潰れた圧縮部35が形成された圧縮構造を主な構造とする骨格32を含み、金属多孔体30の骨格密度は、表面側部P1が最も小さく中央部P2が最も大きい。【選択図】図3

Description

本発明は、電池用正極板、電池、及び電池用正極板の製造方法に関する。
電子機器の電源や、電気自動車(EV)及びハイブリッド自動車(HV)等の車両用駆動電源として用いられる電池として、アルカリ蓄電池等の二次電池が挙げられる。アルカリ蓄電池等の二次電池に用いられる電極は、導電性の集電体と、集電体に保持された活物質等を含む合材(合剤)と、を備えている。例えば、アルカリ蓄電池を構成する電極として、集電体として機能する金属多孔体の空孔に活物質を充填した正極板が好適に用いられている。
特許文献1には、三次元金属多孔体と、活物質と結着剤とを含む合剤とからなり、三次元金属多孔体に合剤を充填した二次電池用電極であって、第1の充填部と、この第1の充填部よりも結着剤の含有量が多くかつ厚み方向における結着剤の分布が略均一な第2の充填部と、合剤を充填しない非充填部とからなり、第2の充填部の少なくとも一方を非充填部に隣接させ、この非充填部が端辺の少なくとも1つを構成するようにしたことを特徴とする二次電池用電極およびその製造方法が開示されている。
特開2009-9869号公報
特許文献1に記載の技術によれば、電池特性を維持しつつ、活物質の脱落による短絡の虞を排除できることが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、金属多孔体の骨格密度の分布が厚み方向で略均一である。そのため、厚み方向に亘って合材の充填性を確保するためには、合材の前駆体であるペーストを三次元多孔体に充填する際の塗工工程において、塗工条件(例えば、ペーストの粘度、塗工量、塗工方法等)の複雑な制御が必要となる上、条件合わせの精度も求められるため、製造品質の低下を招く虞があるという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、良好な電池特性を確保しつつ製造品質を向上した電池用正極板、電池、及び電池用正極板の製造方法を提供することを目的とする。
一実施の形態にかかる電池用正極板は、三次元網目構造の骨格を備えた金属多孔体と、正極活物質を含み金属多孔体の空孔に充填された正極合材と、を有し、金属多孔体の一方の表面側に位置する領域を表面側部、他方の表面である裏面側に位置する領域を裏面側部、表面側部と裏面側部とに挟まれる領域を中央部とした場合、表面側部及び裏面側部は、正極合材が充填されない中空部が形成された中空構造を主な構造とする骨格を含み、中央部は、中空部が潰れた圧縮部が形成された圧縮構造を主な構造とする骨格を含み、金属多孔体の骨格密度は、表面側部が最も小さく中央部が最も大きい。
また、一実施の形態にかかる電池は、正極板と負極板との間にセパレータが介在する電極体を電解液とともに電槽内に収容した電池であって、正極板は、三次元網目構造の骨格を備えた金属多孔体と、正極活物質を含み金属多孔体に充填された正極合材と、を有し、金属多孔体の一方の表面側に位置する領域を表面側部、他方の表面である裏面側に位置する領域を裏面側部、表面側部と裏面側部とに挟まれる領域を中央部とした場合、表面側部及び裏面側部は、正極合材が充填されない中空部が形成された中空構造を主な構造とする骨格を含み、中央部は、中空部が潰れた圧縮部が形成された圧縮構造を主な構造とする骨格を含み、金属多孔体の骨格密度は、表面側部が最も小さく中央部が最も大きい。
また、一実施の形態にかかる電池用正極板の製造方法は、三次元網状構造の骨格を備えた金属多孔体を形成する金属多孔体形成工程と、厚み方向における一方の表面から他方の表面である裏面に向かって金属多孔体の空孔に正極活物質を含む正極ペーストを充填する塗工工程と、充填された正極ペーストを乾燥させて正極合材を形成する合材形成工程と、を有し、表面側に位置する領域を表面側部とし、裏面側に位置する領域を裏面側部とし、表面側部と裏面側部とに挟まれる領域を中央部とした場合、表面側部及び裏面側部は、正極合材が充填されない中空部が形成された中空構造を主な構造とする骨格を含み、中央部は、中空部が潰れた圧縮部が形成された圧縮構造を主な構造とする骨格を含み、金属多孔体の骨格密度は、表面側部が最も小さく中央部が最も大きい。
本発明により、良好な電池特性を確保しつつ製造品質を向上した電池用正極板、電池、及び電池用正極板の製造方法を提供することができる。
実施の形態1にかかる電池の断面を示す模式図である。 実施の形態1にかかる正極板の断面を示す模式図である。 図2に示す正極板内を流れる電流について説明するための模式図である。 図2に示す正極板の性質を説明する表である。 実施の形態1にかかる正極板の製造方法を示すフローチャートである。 金属多孔体形成工程を説明する断面図である。 比較例の評価用電池に含まれる正極板の断面図である。 図7に示す正極板の性質を説明する表である。
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。以下の説明において同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態にかかる電池1の好適な実施形態の一つとして、アルカリ蓄電池に具体化して説明する。なお、以下の説明において、電池1の正極側及び負極側の構造や部材を包括的に示す場合には、「正負極」とまとめて表現する場合がある。また、図中には、便宜上、骨格32等の断面を模式的に示しており、その大きさや密度を実際のものに合わせて図示したものではない。また、以下の説明において、「断面」とは、正極板15の厚み方向に沿った断面である。正極板15の厚み方向は、金属多孔体30の厚み方向と略一致する。
まず、図1を参照して、本実施形態にかかる電池1の概要を説明する。図1は、実施の形態1にかかる電池の断面を示す模式図である。図1に示す電池1は、正極活物質を含む正極板15と、負極活物質を含む負極板16と、の間にセパレータ17が介在する電極体20を正負極の集電板21、22に接続し、電解液とともに電池ケース等の電槽2内に収容したニッケル水素蓄電池である。
セパレータ17としては、微多孔膜、不織布等を用いることができる。微多孔膜又は不織布の材質は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。
電解液としては、アルカリ水溶液が用いられる。電解液の比重は、例えば1.03~1.55である。アルカリとしては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。充電効率を高める観点から、アルカリ金属水酸化物の75mol%以上が水酸化ナトリウムであることが好ましい。
電極体20は、例えば、複数の正極板15と複数の負極板16とが1枚ずつセパレータ17を介して交互に積層されてなる積層体である。正極板15及び負極板16の端部には、正負極のリード部15a、16aがそれぞれ形成されている。正極板15の正極リード部15aは、溶接等の接合方法によって、正極集電板21の接合面に対して垂直に接合されている。負極板16の負極リード部16aもまた、溶接等によって、負極集電板22の接合面に対して垂直に接合されている。
負極板16は、板状の基材と、当該基材に担持された負極活物質を含む負極合材を備えている。負極合材は、負極活物質として、例えば水素吸蔵合金を含む。水素吸蔵合金の種類は特に限定されないが、例えば、希土類元素の混合物であるミッシュメタル(Mm)とニッケル(Ni)との合金や、当該合金の一部を、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)等に置換したものが挙げられる。
負極合材は、さらに導電材、結着剤、増粘剤を含んでも良く、必要に応じてその他の添加剤を含んでも良い。導電材には、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック(AB)等のカーボンブラック類を用いることができる。結着剤には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ビニルアルコール系重合体等を用いることができる。増粘剤には、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)等のセルロース類を用いることができる。
負極合材は、幅方向における一方の端部を除いて基材に充填されている。負極合材が充填されていない基材の端部を圧縮した状態で鉄材等の金属部材を溶接することにより負極リード部16aが形成される。負極リード部16aは、負極集電板22を介して電槽2に設けられた負極端子4と電気的に接続される。
続いて、正極板15の構成については、図2及び図3を適宜参照して説明する。図2は、実施の形態1にかかる正極板の断面を示す模式図である。図3は、図2に示す正極板内を流れる電流について説明するための模式図である。なお、図3は、図2と同一の断面を示している。図1~図3に示すように、正極板15は、板状の金属多孔体30と、当該金属多孔体30の空孔31に充填された正極合材40と、を有する。
正極合材40は、正極活物質として、例えば水酸化ニッケルを含む。正極合材40は、さらに導電材、結着剤、増粘剤を含んでも良く、必要に応じてその他の添加剤を含んでも良い。導電材には、例えば、水酸化コバルト(Co(OH))、コバルト(Co)等を用いることができる。結着剤には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ビニルアルコール系重合体等を用いることができる。増粘剤には、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)等を用いることができる。
正極合材40は、幅方向における一方の端部を除いて金属多孔体30に充填されている。正極合材40が充填されていない金属多孔体30の端部を圧縮した状態で鉄材等の金属部材を溶接することにより正極リード部15aが形成される。正極リード部15aは、金属多孔体30の厚み方向の中央付近に設けられ、正極集電板21を介して電槽2に設けられた正極端子3と電気的に接続される。
金属多孔体30は、正極合材40を担持する担体の機能と、集電体の機能と、を有する。金属多孔体30は、三次元網目構造の骨格32と、正極合材40が充填される空孔31と、正極合材40が充填されない中空部34と、当該中空部34が潰れた圧縮部35と、を備えている。金属多孔体30の多孔度は90%以上であることが好ましく、平均孔径は100μm~200μmであることが好ましい。
金属多孔体30は、導電性を有する金属又はその合金により形成される骨格32を有する。金属多孔体30は、発泡金属であることが好ましく、例えばニッケル又はニッケル合金により形成される発泡ニッケルを好適に用いることができる。発泡ニッケルは、内部に多数の連通した空孔を有し、容易に圧縮することが可能である。
金属多孔体30は、その厚み方向で対向する一方の表面30aと、他方の表面である裏面30bと、を有している。そして、この金属多孔体30を含む正極板15は、その厚み方向で金属多孔体30の骨格密度の分布が不均一になるように構成されている。
ここで、本実施形態では、図2及び図3に二点鎖線で示すように、正極板15をその厚み方向に3等分した各領域について、正極板15のうち金属多孔体30(正極板15)の表面30a側に位置する領域を表面側部P1とし、正極板15のうち金属多孔体30(正極板15)の裏面30b側に位置する正極板15の領域を裏面側部P3とし、正極板15のうち表面側部P1と裏面側部P3とに挟まれる領域を中央部P2として、金属多孔体30の骨格32について詳細を説明する。なお、表面側部P1、中央部P2、裏面側部P3を特に区別しない場合は、それぞれを単に「領域」と呼ぶ場合がある。
金属多孔体30の骨格32は、骨格32をなす金属層33a、33b、33cの厚み方向における断面形状が略多角形の形態をなしており、主に略三角形の各辺が内側に窪んだ形態をなしている。また、正極合材40が充填されない中空部34が形成されているか否かによって、骨格32の構造が区別される。
表面側部P1及び裏面側部P3を構成する骨格32は、中空部34が形成された中空構造を有している。中央部P2を構成する骨格32は、当該中空部34が潰れた圧縮部35が形成された圧縮構造を有している。正極板15(金属多孔体30)を断面視した場合に、中空部34は金属層33a、33c(骨格32)のそれぞれに囲まれた部分であり、圧縮部35は金属層33b(骨格32)に囲まれた部分である。圧縮構造は、中空部34よりも大きく圧縮された圧縮部35が形成された構造を有するため、略三角形の各辺の内側への窪みの程度が中空構造よりも大きく、各辺をなす金属層33b同士が密着した形態をなしている。圧縮部35は、必ずしも完全に潰れた形態である必要はない。
正極板15中の中空部34と圧縮部35との存在比は7:3~3:7であることが好ましく、特に1:1とすることが好ましい。正極板15の厚み方向における外側(表面側部P1及び裏面側部P3)の骨格32が中空構造であることにより、立体的な強度を確保して正極板15の耐久性の向上が図られる。これにより、電池1の製造過程で受ける立体的な外力(例えば、曲げ加工による外力)によって生じ得る正極板15の折れ等の不良を抑制することができる。また、正極板15内に圧縮部35が形成されることにより中空部34の割合が低減され、相対的に正極板15の多孔度を高めることができる。一方、圧縮部35の割合を高くするほど多孔度が高くなるものの、耐久性が低下する。正極板15中の中空部34と圧縮部35との存在比を上記範囲内とすることにより、正極板15の高い多孔度と高い耐久性とを両立することできる。
また、中央部P2の骨格32が圧縮構造であることにより、金属多孔体30全体では中空の容積が低減され、骨格32の構造が中空構造のみである場合と比べて、正極板15の多孔度が向上する。正極板15の多孔度が高くなると、正極活物質周囲の電解液保持性が向上し、正極活物質周りのイオンの移動がスムーズになる。その結果、電池1の内部抵抗を低減することができる。
そして、正極板15に含まれる金属多孔体30の骨格密度は、表面側部P1の骨格密度が最も小さく、中央部P2の骨格密度が最も大きくなるように形成されている。金属多孔体30の骨格密度の割合は、表面側部P1と中央部P2と裏面側部P3との合計を100%とした場合、好ましくは表面側部P1が20%~30%であり、中央部P2が40%~50%であり、裏面側部P3が25%~35%である。
図3に示すように、中央部P2の骨格密度が高いことにより、中央部P2の集電性が向上するため、中央部P2における電流経路CPが太くなる。中央部P2における電流経路CPが太くなると、正極板15の厚み方向において中央部P2と対応する位置に設けられた正極リード部15aから、電流経路CPを通じて流れる電流を取り出しやすくなる。その結果、電池1の内部抵抗が低減する。また、正極板15内では、中央部P2に電流集中の柱が形成され、ここから厚み方向の外側方向へ均等に電流が流れるようになる。これにより、正極板15内に存在する正極活物質全体の利用効率が高まって均一な化学反応が促進されるため、充電時にガスが発生して電池内圧が上昇することを抑制することができる。
金属多孔体30の骨格密度に起因する正極板15のその他の性質について図4を参照して説明する。図4は、図2に示す正極板の性質を説明する表である。図4に示す表には、正極板15又は金属多孔体30の領域毎に電解液の浸透性、正極ペーストの浸透性、及び正極ペーストの脱落性を示している。
ここでは、正極板15の各領域における電解液の浸透性について説明する。正極板15の厚み方向で骨格密度が異なることに伴って、骨格密度が高いほど電解液が骨格32表面を回り込んで流入する必要があるため、電解液の移動距離が増加する。その結果、電解液の浸透性が悪化すると考えられる。これにより、電解液は、表面側部P1では浸透し易く、中央部P2では浸透し難く、裏面側部P3では表面側部P1より浸透し難いとともに中央部P2より浸透しやすい。
このように、正極板15の厚み方向で異なる骨格密度とし、表面側部P1の骨格密度を最も小さくすることにより、正極板15内への電解液の浸透性を向上することができる。また、中空部34の割合を低減させることによって正極板15の多孔度が高くなるため、正極活物質周囲の電解液保持性が向上し、正極活物質周りのイオンの移動がスムーズになる。その結果、電池1の内部抵抗を低減することができる。
上記した金属多孔体30の骨格32の構造(中空構造及び圧縮構造)は、例えば、正極板15の断面を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)で観察することにより把握することができる。SEM観察を行うにあたっては、例えば、適当な樹脂で固めた正極板15を厚み方向で切断して得た切断面を研磨してから、この切断面を用いて正極板15の断面をSEM観察すると良い。
また、金属多孔体30の骨格密度は、例えば、X線CT(X線コンピュータ断層撮影)を用いて正極板15に含まれる金属多孔体30の3次元モデルを取得し、この3次元モデルに対して画像解析を行なうことにより把握することができる。
X線CTを用いた場合、金属多孔体30の3次元モデルを厚み方向に3等分することにより得られた表面側金属部M1、中央金属部M2、及び裏面側金属部M3の各3次元モデルから表面積及び体積をそれぞれ計測し、計測された表面積及び体積を用いてそれぞれの骨格密度を算出することができる。
ここで、表面側金属部M1は、金属多孔体30のうち表面30a側に位置する領域であって、表面側部P1を構成する部分である。裏面側金属部M3は、金属多孔体30のうち裏面側に位置する領域であって、裏面側部P3を構成する部分である。中央金属部M2は、金属多孔体30のうち表面側金属部M1と裏面側金属部M3とに挟まれる領域であって、中央部P2を構成する部分である。なお、表面側金属部M1、中央金属部M2、裏面側金属部M3を特に区別しない場合は、それぞれを単に「領域」と呼ぶ場合がある。
次に、図5を参照して上記の構成を有する正極板15の製造方法について説明する。図は、実施の形態1にかかる正極板の製造方法を示すフローチャートである。図5に示すように、正極板15の製造方法は、以下のステップS1~S3の工程を有する。
ステップS1は、三次元網状構造の骨格32を備えた金属多孔体30を形成する金属多孔体形成工程である。ステップS2は、厚み方向における一方の表面30aから他方の表面である裏面30bに向かって金属多孔体30に正極活物質を含む正極ペーストを充填する塗工工程である。ステップS3は、充填された正極ペーストを乾燥させて正極合材40を形成する合材形成工程である。上記の各工程について、より詳細に説明する。
まず、図6を参照して、金属多孔体形成工程について説明する。図6は、金属多孔体形成工程を示す断面図である。金属多孔体形成工程では、樹脂多孔体の樹脂骨格の表面に、金属多孔体30を構成する金属を付着させた後、加熱処理等により内部の樹脂骨格を分解または溶解させて除去することにより得られる圧縮前金属多孔体120を圧縮することにより金属多孔体30を形成する。
樹脂多孔体の材質としては、ポリウレタン、メラミン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の発泡樹脂が挙げられ、多孔度が高いことからポリウレタンにより形成される発泡ウレタンであることが好ましい。樹脂多孔体の多孔度は80%~98%であることが好ましく、平均孔径は50μm~500μmであることが好ましい。また、樹脂骨格の表面に金属を付着させる方法としては、金属層123a、123b、123cの厚みの調整が容易であることから、電解メッキが好ましい。
金属多孔体30が発泡ニッケルである場合、図6のS1-1に示すように、ウレタン骨格112(樹脂骨格)の表面に無電解ニッケルメッキを施した帯状の発泡ウレタン110(樹脂多孔体)を、所定の速度で搬送する。搬送された発泡ウレタン110を電解ニッケルメッキ液に所定時間浸漬しつつ、発泡ウレタン110の表面110a側に設けた表面側電極101と、発泡ウレタン110の裏面110b側に設けた裏面側電極102と、に電流を流すメッキ処理を行なう。
メッキ処理により、ウレタン骨格112の表面に、集電体として機能するニッケルメッキ層である金属層123a、123b、123cを形成することができる。メッキ処理後に、発泡ウレタン110を焼失させることによって連通した空孔111を備えた発泡ウレタン110の形状に応じた三次元網目状の骨格122と空孔121とを備えた圧縮前金属多孔体120を得ることができる。
さらに、図6のS1-3に示すように、圧縮前金属多孔体120を厚み方向から圧縮することにより金属多孔体30が形成される。圧縮前金属多孔体120の圧縮には、ロールプレス等のプレス手段を用いることができる。これにより、所定の厚みを有するとともに、表面側金属部M1の骨格密度が最も小さく、中央金属部M2の骨格密度が最も大きい金属多孔体30を得ることができる。
なお、発泡ウレタン110は、発泡剤により気泡を発生させて作られるが、発泡させた際の気泡の隙間、具体的には3つの気泡によりできる隙間にウレタンが残り、略三角形の骨格を備えた三次元多孔体になる。この発泡ウレタン110を基材とするため、略三角形の骨格を備えた発泡ニッケルが得られる。略三角形の骨格の一部は他の骨格と複数結合して略多角形状となるので、実際の発泡ニッケルの断面はこれらが混在した形態で観察される。
ここで、表面側金属部M10を構成する骨格32をなす金属層123aの平均厚みをT1とし、中央金属部M20を構成する骨格32をなす金属層123bの平均厚みをT2とし、裏面側金属部M30を構成する骨格32をなす金属層123cの平均厚みをT3とする。表面側金属部M10は、圧縮前金属多孔体120のうち表面120a側に位置する領域であって、圧縮されることにより表面側金属部M1となる部分である。裏面側金属部M30は、圧縮前金属多孔体120のうち裏面120b側に位置する領域であって、圧縮されることにより裏面側金属部M3となる部分である。中央金属部M20は、圧縮前金属多孔体120のうち表面側金属部M10と裏面側金属部M30とに挟まれる領域であって、圧縮されることにより中央金属部M2となる部分である。なお、表面側金属部M10、中央金属部M20、裏面側金属部M30を特に区別しない場合は、それぞれを単に「領域」と呼ぶ場合がある。
金属多孔体形成工程では、金属層123aの平均厚みT1が最も大きく、金属層123bの平均厚みT2が最も小さくなるように圧縮前金属多孔体120を形成する。すなわち、金属層123a、123b、123cの平均厚みがT1>T3>T2の関係を満たすように形成する。
このような平均厚みT1、T2、T3の差により、領域毎に一定のプレス圧による圧縮に対する骨格32の潰れ易さ(耐性)の差を設けることができる。平均厚みT1、T2、T3が大きいほど耐性が高く潰れにくいため、圧縮後の骨格密度が小さくなる。平均厚みT1、T2、T3が小さいほど耐性が低く潰れやすいため、圧縮後の骨格密度が大きくなる。
金属層123a、123b、123cの平均厚みT1、T2、T3は、表面側電極101及び裏面側電極102の各電流値と、電解ニッケルメッキ液への浸漬時間等のメッキ処理条件によって調整することができる。例えば、裏面側電極102の電流値よりも、表面側電極101の電流値を大きくなるように設定すると、平均厚みT3よりも、平均厚みT1を大きくすることできる。
平均厚みT1、T2、T3の測定方法について、平均厚みT1の測定手順を例に挙げて説明する。平均厚みT1を測定するにあたっては、まず圧縮前金属多孔体120の断面をSEMで観察し、表面側金属部M10の中から金属層123aがその厚み方向に切断されて、断面形状が略三角形状をなしている金属層123aの断面を選択する。そして、選択した金属層123aを構成する3つの辺の中央位置のそれぞれ厚みを測定し、その平均値を金属層123aの平均厚みT1とする。同様にして、中央金属部M20について金属層123bの平均厚みT2を測定し、裏面側金属部M30について金属層123cの平均厚みT3を測定する。
図5に戻り、塗工工程では、金属多孔体形成工程で得られた金属多孔体30の空孔31に充填するための正極ペーストを調製する。正極ペーストは、正極活物質、導電材、結着剤、増粘剤、必要に応じてその他の添加剤を混合し、これに溶媒を加えて混練することにより調製することができる。正極ペーストは、正極合材40の前駆体である。
そして、調製した正極ペーストを金属多孔体30の空孔31に充填する。正極ペーストは、金属多孔体30の幅方向における両端部を除いて充填される。金属多孔体30は、その厚み方向で対向する表面30aと裏面30bとを有している。正極ペーストは、金属多孔体30の表面30a側から塗工される。金属多孔体30の表面30aに正極ペーストが塗工されると、重力により正極ペーストが表面30aから裏面30bに向かって浸透して裏面30bに露出する。
正極ペーストの塗工は、金属多孔体30の表面30aから裏面30bに向かって正極ペーストが浸透するように塗工できる塗工方法が好ましい。精度良く塗工できることがらダイコータを好適に用いることができる。ダイコータを用いた場合、ダイコータが有するダイヘッドの吐出口を金属多孔体30の表面30aに対向させ、所定の速度で搬送される金属多孔体30の表面30aに対して吐出口から正極ペーストを吐出することにより、金属多孔体30の空孔31に正極ペーストを充填することができる。
ここでは、図4を参照して、金属多孔体30の各領域における正極ペーストの浸透性及び脱落性について説明する。金属多孔体30の厚み方向で骨格密度が異なることに起因して、正極ペーストは、表面側金属部M1では浸透し易く、中央金属部M2では浸透し難く、裏面側金属部M3では表面側金属部M1より浸透し難いとともに中央金属部M2より浸透しやすい。
金属多孔体30の表面30a側から正極ペーストを塗工すると、表面側金属部M1の領域においてスムーズに浸透した正極ペーストが中央金属部M2の領域で受け止められた後、中央金属部M2の領域を抜けた正極ペーストが裏面側金属部M3の領域では徐々に浸透するため、金属多孔体30内に正極ペーストが安定的に留まる。
例えば、裏面側金属部M3の骨格密度を最も低くすると、正極ペーストが裏面30bから抜けやすくなり、正極ペーストが脱落する可能性が高まる。これに対し、本実施形態では、裏面側金属部M3の領域で正極ペーストが脱落し難い。このように、金属多孔体30を用いると、塗工条件の複雑な制御を行なわなくとも、正極ペーストの充填性が安定するため、高品質な正極板15を得ることができる。
続く、合材形成工程では、塗工工程において金属多孔体30に充填された正極ペーストを適宜の乾燥方法を用いて乾燥させ、正極ペーストに含まれる溶媒を除去する。さらに、乾燥したものをロールプレス等のプレス手段を用いて圧縮し、正極板15の密度及び厚さを調整する。このようにして、空孔31に正極合材40が充填された正極板15を形成することができる。なお、メッキ処理時における電解ニッケルメッキ液の目付量と正極板15の厚みとを調整することにより、正極ペーストの充填量に対して必要な空孔31を確保することができる。本実施形態にかかる正極板15の製造方法によれば、正極板15の骨格密度の割合が上記範囲内の正極板15を製造することができる。
次に、金属多孔体30、130の骨格32、132の密度の分布が互いに異なる評価用電池(実施例、比較例)を用意し、直流内部抵抗及び内圧特性のそれぞれを評価した。まず、評価用電池は、下記の要領で作製した。
(実施例)
[正極板の作製]
図5で説明したフローチャートにしたがって正極板15を作製した。まず、金属多孔体形成工程では、多孔度:90%、平均孔径:500μm、厚み:1mm~2mmの発泡ウレタン110を用意し、その表面に無電解ニッケルメッキを施して導電化処理を行なった。次いで、導電化処理した発泡ウレタン110に対し、裏面側電極102よりも表面側電極101の電流値の電流値が大きくなるように設定したメッキ処理条件によりメッキ処理を行なった。このメッキ処理により、ウレタン骨格112の表面に平均厚みT1:10μmの金属層123a、平均厚みT2:6μmの金属層123b、平均厚みT3:8μmの金属層123cを形成した。その後、内部の発泡ウレタン110を焼失させることにより圧縮前金属多孔体120を得た。さらに、圧縮前金属多孔体120をロールプレスにより厚み方向に圧縮した。このようにして、多孔度:90%、平均孔径:300μm、厚み:1mmの金属多孔体30を得た。
正極活物質としてのNi(OH)、導電材としてのCo(OH)、及び増粘剤としてのCMCに水を加えて混練することにより正極ペーストを調製した。Ni(OH)とCo(OH)とCMCとの質量比は、90:7:3とした。次いで、ダイコータを用いて金属多孔体30の表面30aに正極ペーストを塗工することにより、金属多孔体30の空孔31に正極ペーストを充填した後、これを乾燥した。なお、正極ペーストは、目付量が100mg/cmとなるように塗工量を調整した。そして、厚み0.5mmとなるように圧延した後、これを所定寸法に切断し、正極リード部15aを接合することによって正極板15を得た。
このようにして得られた正極板15中の中空部34と圧縮部35との存在比は、1:1であった。また、正極板15に含まれる金属多孔体30の骨格密度の割合は、表面側部P1が25%、中央部P2が45%、裏面側部P3が30%であった。さらに、塗工工程では、骨格密度の分布が厚み方向で略均一な金属多孔体130へ正極ペーストを充填する場合と比較して、金属多孔体30への正極ペーストの充填性についても収率が5%増加した。
[負極板の作製]
負極板16は以下の通り作製した。負極活物質としてのMmNi系水素吸蔵合金を主成分とする負極ペーストを調製した。調製した負極ペーストを基材としてのパンチングメタルに充填した後、乾燥、圧延、所定寸法に切断し、負極リード部16aを接合することによって負極板16を得た。
[評価用電池の構築]
上記の要領でそれぞれ作製した正極板15と負極板16とを対向させて、互いの間に親水化処理を施したポリプロピレン(PP)製不織布のセパレータ17を介在させた電極体20を金属製の電池ケース内に収納し、電解液である水酸化カリウム水溶液を加えて密封することにより実施例の評価用電池を構築した。正極板15は、表面(表面30a側の面)が負極板16の表面と対向するように配置した。
(比較例)
金属多孔体形成工程におけるメッキ処理条件を変更したこと以外は実施例と同様にして正極板150を作製し、この正極板150を用いて実施例と同様にして比較例の評価用電池を構築した。図7を参照して、比較例の評価用電池の構成を説明する。図7は、比較例の評価用電池に含まれる正極板の断面図である。
金属多孔体130を形成する際のメッキ処理条件は、導電化処理した発泡ウレタン110に対し、表面側電極101の電流値と裏面側電極102の電流値とが略一致するように設定したメッキ処理条件によりメッキ処理を行なった。このメッキ処理により、ウレタン骨格112の表面に平均厚みT4:8μmの金属層133を形成した。その後、内部のウレタンを焼失させたものをロールプレスにより厚み方向に圧縮した。このようにして、多孔度:90%、平均孔径:300μm、厚み:1mmの金属多孔体130を得た。
図7に示すように、比較例の評価用電池に含まれる正極板150は、正極合材40が充填されない中空部34が形成された中空構造を主な構造とする骨格132を含んでいる。正極板150中に、中空部34は存在しているが、圧縮部35は存在していない。
[直流内部抵抗(DCIR)の評価]
各評価用電池の直流内部抵抗を測定した。直流内部抵抗を測定するにあたっては、各評価用電池について、それぞれ電池容量に対し、充電率(SOC;State Of Charge)が50%になるまで充電を実施した。その後、10分間休止した。そして、10Aにて10秒間放電を実施した。さらに、1分間休止した後、50Aにて10秒間放電を実施した。各電流値とそれぞれ10秒間放電後の電圧値をプロットした際の傾きから直流内部抵抗を算出した。
各評価用電池の直流内部抵抗を測定した結果、比較例の評価用電池の直流内部抵抗に比べて、実施例の評価用電池の直流内部抵抗は1%低減された。
[電池内圧の評価]
各評価用電池に電池の内部圧力測定用センサーを取り付け、35℃の環境下、4Cの電流値で0.5時間の充電を行なった時の全期間の電池内圧をモニターした。各評価用電池の電池内圧を測定した結果、比較例の評価用電池の電池内圧に比べて、実施例の評価用電池の電池内圧は10%低減された。
このような結果が得られた原因について、比較例の評価用電池の問題点を挙げて説明する。図8は、図7に示す正極板の性質を説明する表である。図8に示す表には、図4と同様に、正極板150又は金属多孔体130の領域毎に電解液の浸透性、正極ペーストの浸透性、及び正極ペーストの脱落性を示している。
図8に示すように、正極板150に含まれる金属多孔体130の骨格密度は、金属多孔体130の表面130a側に位置する領域である表面側部P10と、裏面130b側に位置する領域である裏面側部P30と、表面側部P10と裏面側部P30に挟まれる領域である中央部P20と、の間で略均等な割合となるように形成されている。この場合、中央部P20に電流が集中することによる内部抵抗の低減効果及び内圧特性の向上効果が得られにくい。
また、正極板150の厚み方向で骨格密度が略均一であることに伴って、電解液の浸透性は、領域毎の差が抑制された状態である。例えば、表面側部P10の骨格密度が高くなるほど正極板150内への電解液の浸透が阻害されるため、実施例の評価用電池と比べて表面側部P10の骨格密度が高い比較例の評価用電池では、正極板150内への電解液の浸透性が低下する。さらに、正極板150に含まれる金属多孔体130は全体的に中空構造であるため、中空部34の割合が多くなることに伴って、相対的に正極板150の多孔度が低下する。これにより、正極活物質周囲の電解液保持性の向上が見込めないため、電池の内部抵抗は増加傾向となる。
また、正極板150の厚み方向で骨格密度が略均一であることにより、正極ペーストの塗工性及び脱落性も領域毎の差が抑制された状態である。そのため、正極ペーストを金属多孔体130内に安定的に留めるためには、正極ペーストの粘度、塗工量、正極ペーストを表裏面から塗工する方法とする等の塗工条件の複雑な制御が必要となる上、条件合わせの精度も求められるため、製造品質の低下を招く虞があるという問題がある。
これに対し、本実施形態にかかる正極板15は、三次元網目構造の骨格32を備えた金属多孔体30と、正極活物質を含み金属多孔体30の空孔31に充填された正極合材40と、を有している。さらに、金属多孔体30の一方の表面30a側に位置する領域を表面側部P1、他方の表面である裏面30b側に位置する領域を裏面側部P3、表面側部P1と裏面側部P3とに挟まれる領域を中央部P2とした場合、表面側部P1及び裏面側部P3は、正極合材40が充填されない中空部34が形成された中空構造を主な構造とする骨格32を含み、中央部P2は、中空部34が潰れた圧縮部35が形成された圧縮構造を主な構造とする骨格32を含み、金属多孔体30の骨格密度は、表面側部P1が最も小さく中央部P2が最も大きい。
また、本実施形態にかかる電池1は、正極板15と負極板16との間にセパレータ17が介在する電極体20を電解液とともに電槽2内に収容した電池1であって、正極板15は、三次元網目構造の骨格32を備えた金属多孔体30と、正極活物質を含み金属多孔体30に充填された正極合材40と、を有している。さらに、金属多孔体30の一方の表面30a側に位置する領域を表面側部P1、他方の表面である裏面30b側に位置する領域を裏面側部P3、表面側部P1と裏面側部P3とに挟まれる領域を中央部P2とした場合、表面側部P1及び裏面側部P3は、正極合材40が充填されない中空部34が形成された中空構造を主な構造とする骨格32を含み、中央部P2は、中空部34が潰れた圧縮部35が形成された圧縮構造を主な構造とする骨格32を含み、金属多孔体30の骨格32密度は、表面側部P1が最も小さく中央部P2が最も大きい。
上記した構成により、中央部P2の集電性が向上することに伴う内部抵抗の低減効果と内圧特性の向上効果が得られる。さらに、表面側部P1の骨格密度を小さくすることにより、正極板15内への電解液の浸透性が向上するため、内部抵抗を低減することができる。そして、正極板15の厚み方向で異なる骨格密度とすることにより、正極ペーストの充填性が安定するため、製品品質を向上することができる。このように、本実施形態によれば、良好な電池特性を確保しつつ製造品質を向上することができる。
また、正極板15において、金属多孔体30の骨格密度の割合は、表面側部P1と中央部P2と裏面側部P3との合計を100%とした場合、表面側部P1が20%~30%であり、中央部P2が40%~50%であり、裏面側部P3が25%~35%である。金属多孔体30の骨格密度をこのような範囲内とすることにより、上記効果をより一層確実に得ることができる。
また、正極板15において、中空部34と圧縮部35との存在比が7:3~3:7であることにより、正極板15の高い多孔度と高い耐久性とを両立することできる。
また、本実施形態にかかる正極板15の製造方法は、三次元網状構造の骨格32を備えた金属多孔体30を形成する金属多孔体形成工程と、厚み方向における一方の表面30aから他方の表面である裏面30bに向かって金属多孔体30の空孔31に正極活物質を含む正極ペーストを充填する塗工工程と、充填された正極ペーストを乾燥させて正極合材40を形成する合材形成工程と、を有している。さらに、表面30a側に位置する領域を表面側部P1とし、裏面30b側に位置する領域を裏面側部P3とし、表面側部P1と裏面側部P3とに挟まれる領域を中央部P2とした場合、表面側部P1及び裏面側部P3は、正極合材40が充填されない中空部34が形成された中空構造を主な構造とする骨格32を含み、中央部P2は、中空部34が潰れた圧縮部35が形成された圧縮構造を主な構造とする骨格32を含み、金属多孔体30の骨格32密度は、表面側部P1が最も小さく中央部P2が最も大きい。
本実施形態にかかる正極板15の製造方法によれば、上記効果を奏する正極板15を製造することができる。
1 電池
2 電槽
3 正極端子
4 負極端子
15、150 正極板
15a 正極リード部
16 負極板
16a 負極リード部
17 セパレータ
20 電極体
21 正極集電板
22 負極集電板
30、130 金属多孔体
30a、110a、120a、130a 表面
30b、110b、120b、130b 裏面
31、111、121 空孔
32、122、132 骨格
33a、33b、33c、123a、123b、123c、133 金属層
34 中空部
35 圧縮部
40 正極合材
101 表面側電極
102 裏面側電極
110 発泡ウレタン
112 ウレタン骨格
120 圧縮前金属多孔体
CP 電流経路
M1、M10 表面側金属部
M2、M20 中央金属部
M3、M30 裏面側金属部
P1、P10 表面側部
P2、P20 中央部
P3、P30 裏面側部

Claims (6)

  1. 三次元網目構造の骨格を備えた金属多孔体と、
    正極活物質を含み前記金属多孔体の空孔に充填された正極合材と、
    を有し、
    前記金属多孔体の一方の表面側に位置する領域を表面側部、他方の表面である裏面側に位置する領域を裏面側部、前記表面側部と前記裏面側部とに挟まれる領域を中央部とした場合、
    前記表面側部及び前記裏面側部は、前記正極合材が充填されない中空部が形成された中空構造を主な構造とする前記骨格を含み、
    前記中央部は、前記中空部が潰れた圧縮部が形成された圧縮構造を主な構造とする前記骨格を含み、
    前記金属多孔体の骨格密度は、前記表面側部が最も小さく前記中央部が最も大きい電池用正極板。
  2. 前記金属多孔体の骨格密度の割合は、前記表面側部と前記中央部と前記裏面側部との合計を100%とした場合、前記表面側部が20%~30%であり、前記中央部が40%~50%であり、前記裏面側部が25%~35%である請求項1に記載の電池用正極板。
  3. 前記中空部と前記圧縮部との存在比は、7:3~3:7である請求項1又は2に記載の電池用正極板。
  4. 前記金属多孔体は、ニッケル又はニッケル合金により形成される発泡金属である請求項1~3のいずれか1項に記載の電池用正極板。
  5. 正極板と負極板との間にセパレータが介在する電極体を電解液とともに電槽内に収容した電池であって、
    前記正極板は、
    三次元網目構造の骨格を備えた金属多孔体と、
    正極活物質を含み前記金属多孔体に充填された正極合材と、
    を有し、
    前記金属多孔体の一方の表面側に位置する領域を表面側部、他方の表面である裏面側に位置する領域を裏面側部、前記表面側部と前記裏面側部とに挟まれる領域を中央部とした場合、
    前記表面側部及び前記裏面側部は、前記正極合材が充填されない中空部が形成された中空構造を主な構造とする前記骨格を含み、
    前記中央部は、前記中空部が潰れた圧縮部が形成された圧縮構造を主な構造とする前記骨格を含み、
    前記金属多孔体の骨格密度は、前記表面側部が最も小さく前記中央部が最も大きい電池。
  6. 三次元網状構造の骨格を備えた金属多孔体を形成する金属多孔体形成工程と、
    厚み方向における一方の表面から他方の表面である裏面に向かって前記金属多孔体の空孔に正極活物質を含む正極ペーストを充填する塗工工程と、
    充填された前記正極ペーストを乾燥させて正極合材を形成する合材形成工程と、
    を有し、
    前記表面側に位置する領域を表面側部とし、前記裏面側に位置する領域を裏面側部とし、前記表面側部と前記裏面側部とに挟まれる領域を中央部とした場合、
    前記表面側部及び前記裏面側部は、前記正極合材が充填されない中空部が形成された中空構造を主な構造とする前記骨格を含み、
    前記中央部は、前記中空部が潰れた圧縮部が形成された圧縮構造を主な構造とする前記骨格を含み、
    前記金属多孔体の骨格密度は、前記表面側部が最も小さく前記中央部が最も大きい電池用正極板の製造方法。
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